説明

樹脂組成物

【課題】大気中の塵芥や油性物質の吸着による塗膜表面の汚染が少なく、降雨後の雨筋跡が残り難い耐汚染性が長期にわたり良好で、かつ耐水性に優れた塗膜を形成する水系塗料に用いられるエマルションを含む樹脂組成物を提供することである。
【解決手段】(A)1種又は2種以上のα,β−エチレン性不飽和単量体100質量部に対し、(B)平均粒子径4〜100nmの水分散型球状コロイダルシリカSiO(固形分)10〜300質量部を乳化安定化剤として、乳化重合して得られるエマルションを含むことを特徴とする樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築内装材や外装材等に用いられるエマルション塗料用の樹脂組成物に関するものであり、通常エマルション重合に用いられる乳化剤を用いないため、耐水性、耐温水白化性に優れ、且つ塗膜表面を親水化し水濡れを良くしたことで雨水が塗膜と汚染物質との界面に浸透して汚染物質を洗い流す機能を有する、耐汚染性に優れた塗膜を提供する。
【背景技術】
【0002】
従来から有機溶剤希釈型塗料が多く用いられてきたが、シックハウス症候群や大気中への有機溶媒の放散等の環境問題等が提起され、水性塗料への転換が加速度的に進行している。また一方で、消費者ニーズはこれらの商品の塗膜の長期耐久性・高機能化への期待感の高まりも見せている。
【0003】
この様な状況下で水性エマルション塗料の特徴を考えると、該塗料は良好な被膜形成を果たすことが重要である。該塗料の被膜形成については、塗布後の分散媒・溶媒の揮発と共に体積収縮が進行し、併行的にエマルション粒子間の距離が狭まり、遂には粒子の最密充填が起こり、しかる後に粒子間を融着、ポリマーの相互侵入により被膜形成が終了するが、粒子と粒子との境界部にはエマルション重合時に使用した界面活性剤成分が偏折することが知られている。この界面活性剤成分は水に溶解し易く、塗膜の耐水性、耐温水白化性を低下させる。
【0004】
また、建築材料等の塗膜に大気中の塵芥や油性物質、排気ガス中に含まれるカーボン等の非極性の汚染物質が付着、蓄積した場合、雨水によって流去せずに蓄積し、汚れの状態が不均一で目立ち易くなる。これら塗膜の汚染性を改善する手法として、コロイダルシリカ等の親水性成分を添加することで塗膜を親水性にして水濡れ性を改良する方法が提案されている(例えば特許文献1及び2)。しかし、これらは度重なる降雨によって親水性成分が流出することにより良好な耐汚染性を長期間維持することが困難であった。
【0005】
更に、その流出を抑えるために、親水性成分とポリマーを化学的に結合させる、あるいは、アルコキシシラン化合物を添加し、その加水分解縮重合によって高分子化することで流出を低減することも提案されているが、乳化重合する際に界面活性剤を必須として使用されているために、塗膜全体の親水性が向上し、耐水性、耐温水白化性が著しく劣る結果となっている(例えば特許文献3)。
【0006】
更に、反応性の界面活性剤を使用することでこれらの性能の向上を提案されているが(例えば特許文献4)、耐雨筋汚染性及び耐水性の両立との根本的な解決には至っていないのが現状である。
【特許文献1】特開2005−120165号公報
【特許文献2】特開平11−116885号公報
【特許文献3】特許第2637955号明細書
【特許文献4】特開昭59−217702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記の様な課題を解決することであり、大気中の塵芥や油性物質の吸着による塗膜表面の汚染が少なく、降雨後の雨筋跡が残り難い耐汚染性が長期にわたり良好で、かつ耐水性に優れた塗膜を形成する水系塗料に用いられるエマルションを含む樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に従って、(A)1種又は2種以上のα,β−エチレン性不飽和単量体100質量部に対し、(B)平均粒子径4〜100nmの水分散型球状コロイダルシリカSiO(固形分)10〜300質量部を乳化安定化剤として、乳化重合して得られるエマルションを含むことを特徴とする樹脂組成物が提供される。
【発明の効果】
【0009】
上述のように、本発明によって、水系塗料に用いることにより長期にわたり耐汚染性が良好で耐水性に優れた塗膜を形成することができるエマルションを含む樹脂組成物を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
本発明者等は、上記の目的を達成するために種々の研究を重ねた結果、(A)1種又は2種以上のα,β−エチレン性不飽和単量体100質量部に対し、(B)平均粒子径4〜100nmの水分散型球状コロイダルシリカSiO(固形分)10〜300質量部を乳化安定化剤として、乳化重合して得られるエマルションを含む樹脂組成物を塗料等に用いると長期にわたり耐汚染性が良好で耐水性に優れた塗膜を形成することができることを見出した。
【0012】
本発明に使用されるα,β−エチレン性不飽和単量体は、通常のアクリルエマルション重合に用いられる単量体が用いられる。
【0013】
利用可能な単量体としては、以下のような単量体が挙げられる。メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、及びアクリロニトリル等で、これらから選ばれた1種又は2種以上の単量体が使用できる。
【0014】
更に、本発明では1種又は2種以上のα,β−エチレン性不飽和単量体として、カルボキシル基含有単量体、アミノ基含有単量体、アミド基含有単量体、ヒドロキシル基含有単量体、アルコキシシリル基含有単量体の群の中から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0015】
具体例としては、カルボキシル基含有単量体として、アクリル酸、(メタ)アクリル酸、フマール酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、及びクロトン酸等が挙げられる。
【0016】
アミノ基含有単量体としては、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及び4−ビニルピリジン等が挙げられる。
【0017】
アミド基含有単量体としては、アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、及びN−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。
【0018】
ヒドロキシル基含有単量体としては、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、及びポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0019】
アルコキシシリル基含有単量体としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、β−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、β−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシブチルフェニルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、及びγ−(メタ)アクリロキシプロピルジエチルメトキシシラン等が挙げられる。
【0020】
これらの内、アクリル酸、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、N−ビニル−2−ピロリドン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の単量体は、コロイダルシリカをポリマー粒子表面に化学的及び、又は電気的に吸着・固定化するのに優れるため、特に好ましい。その他の官能基を有する単量体も水分散型球状コロイダルシリカの吸着・固定化には寄与しないが、併用することは可能である。例えば、グリシジル(メタ)アクリレートやアリルグリシジルエーテル、2個以上のグリシジル基を有するエポキシ化合物と活性水素原子を有するエチレン性不飽和単量体との反応によって得られるエポキシ基含有単量体やそのオリゴマー;(メタ)アクリロイルイソシアネート、イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルメタクリレート等のイソシアネート含有単量体;N−メチロール基を有したN−メチロールアクリルアミドや酢酸ビニル、塩化ビニル、更にはエチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、ジアルキルフマレート等が代表的なものとして挙げられる。これらについても、1種又は2種以上の単量体が利用できる。
【0021】
更に、得られる塗膜の機能を向上させるために、架橋構造を導入することも可能である。一般的に架橋構造は、“粒子内部架橋構造”と“粒子間架橋構造”の2種に大別される。
【0022】
この“粒子内架橋構造”や“粒子間架橋構造”をエマルション粒子に組み込むことで、塗膜とした時の強靱性、耐ブロッキング性、不粘着性、耐溶剤性等の塗膜性能を大幅に向上させ得ることができる。
【0023】
粒子内・間架橋構造を得るための単量体の例を列挙すると、以下のようになる。
【0024】
粒子内架橋:分子中に重合性不飽和二重結合を2個以上有する単量体である、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等を使用する方法や;乳化重合反応時に温度にて相互に反応する官能基を持つ単量体を組み合わせて、例えば、カルボキシル基とグリシジル基や、水酸基とイソシアネート基等の組み合わせの官能基を持つエチレン性不飽和単量体を選択含有させた単量体混合物を使用する方法;加水分解縮合反応する、(メタ)アクリロキシプピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等、加水分解性シリル基含有エチレン性不飽和単量体を含有させた単量体混合物を使用する方法;等の方法により製造させることができる。
【0025】
粒子間架橋:カルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体を共重合させた後、分子中に2個以上のヒドラジド基を有する化合物を混合する方法が最も代表的な例として挙げられる。
【0026】
カルボニル基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクロレインや、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ホルミルスチロール、(メタ)アクリルオキシアルキルプロパナール、ジアセトン(メタ)アクリレート、アセトニル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート−アセチルアセテート、ブタンジオール−1,4−アクリレート−アセチルアクリレート、ビニルエチルケトン、及びビニルイソブチルケトン等が挙げられる。特に、アクロレインや、ジアセトンアクリルアミド及びビニルメチルケトンが好ましい。
【0027】
上記カルボニル基の対となる、分子中に2個以上のヒドラジド基を有する化合物としては、例えば、カルボヒドラジドや、蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン2酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、及びチオカルボジヒドラジド等が挙げられる。これらの中でも、エマルションへの分散性や耐水性のバランスからカルボヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド及びコハク酸ジヒドラジドが好ましい。
【0028】
得られる塗膜の耐候性・耐光性を向上させるために、光安定機能や紫外線吸収機能を組み込むことも可能である。
【0029】
重合性光安定性単量体は、具体的に例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、及び1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
【0030】
重合性紫外線吸収性単量体としては、具体的に例えば、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシヘキシル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチル−3’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−t−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、及び2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−ニトロ−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0031】
もちろん、非反応型の光安定剤や紫外線吸収剤を重合時に併用することも可能である。
【0032】
本発明においては、乳化重合の際の乳化安定化剤としてコロイダルシリカを使用する。
【0033】
コロイダルシリカは、平均粒子径4〜100nmの水分散型球状コロイダルシリカSiOであり、上記範囲内にあることで重合時の安定性及び、塗膜表面の親水化に優れる、更には平均粒子径10〜50nmの水分散型球状コロイダルシリカがより好ましい。水分散型コロイダルシリカの平均粒子径が100nmより大きくなると、ポリマー粒子も沈降し易くなるので、貯蔵安定性が低下する。一方平均粒子径の下限を4nmとしたのは、現在容易に入手可能な平均粒子径を示したのであって、4nm未満となると非常に高価で入手困難になり使用用途が狭まってしまう。一方、溶剤型のコロイダルシリカでは乳化重合の際に溶剤が存在すると重合率の低下やポリマーの分子量の違い等で不具合が生じる恐れがあり、得られる樹脂組成物からなる塗膜の耐汚染性や耐水性が劣るものとなる。
【0034】
水分散型のコロイダルシリカの形状には、鎖状のものや異形状のもの等があるが、これらは重合時に不安定なため使用できず、本発明では球状コロイダルシリカを使用する。コロイダルシリカの形状や平均粒子径は、電子顕微鏡による観察で確認することができる。
【0035】
水分散型球状コロイダルシリカの具体例としては、例えば、日産化学工業(株)製のスノーテックスST−20、ST−O、ST−C、ST−S、ST−Nや、旭電化工業(株)製のアデライトAT−20、AT−20N、AT−20A、AT−300等が挙げられる。これらのうち1種又は2種以上のコロイダルシリカを併用しても構わない。
【0036】
水分散型球状コロイダルシリカには、用途等によりアルミニウムやアルカリ金属等の金属又は化合物で被覆処理したものが用いられることがあるが、本発明への使用においてはアルミニウム金属又はその化合物で被覆処理したものは好ましくない。その理由は、アルミニウムで表面処理されたコロイダルシリカは、コロイダルシリカ自身の分散安定性が高くなるため、ポリマーの粒子表面に吸着・固定化され難く、エマルション粒子を形成し難くなるためである。
【0037】
本発明の樹脂組成物は乳化重合法によって製造されるが、単量体を一括して仕込む単量体一括仕込み法や、単量体を連続的に滴下する単量体滴下法等、あるいは、これらを組み合わせる方法等が挙げられるが、概して以下のような製造方法によって製造される。
【0038】
まず、加熱・攪拌の可能な反応容器に上記の(A)1種又は2種以上のα,β−エチレン性不飽和単量体を一部仕込み、これに上記の(B)平均粒子径4〜100nmの水分散型球状コロイダルシリカSiOと水(好ましくは脱イオン水)、及び開始剤、更に必要に応じて連鎖移動剤を仕込み充分に混合する。この混合溶液を温度20℃〜80℃に保ちながら、更に残りの(A)1種又は2種以上のα,β−エチレン性不飽和単量体を少しずつ滴下しながら攪拌し、1〜24時間ほど乳化重合を行うとエマルションが得られる。この場合、(A)1種又は2種以上のα,β−エチレン性不飽和単量体100質量部に対し、(B)平均粒子径4〜100nmの水分散型球状コロイダルシリカSiO(固形分)は10〜300質量部であり、更には50〜150質量部であることがより好ましい。10質量部よりも少ない場合は、重合時の安定性及び貯蔵安定性が悪く、得られた塗膜についても純水との接触角が高く耐汚染性効果が得られない。一方、300質量部を超える場合は塗膜の成膜性が劣り、クリアーな塗膜が得られない。
【0039】
このように得られたエマルションは、pH7未満の酸性域及びpH11より高い強塩基域において、コロイダルシリカが凝集固化し、沈殿する可能性があるため、pHが、7〜11であることが好ましく、更にはpH8〜10であることがより好ましい。合成後のエマルションのpHがこの範囲外の場合には、一般的に用いるpH調整剤を用いてpH調整を行うことも可能である。
【0040】
pH調整剤としては、従来から中和剤として公知の各種含窒素塩基性化合物が特に制限なく利用できる。具体的には、例えば、トリメチルアミンや、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアルキルアミン類、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、エチルプロパノールアミン等のアルコールアミン類、モルホリン、アンモニア等の揮発性含窒素塩基性化合物が代表的なものとして挙げられる。これらのうち1種又は2種以上のpH調整剤を併用しても構わない。
【0041】
また、γ−アミノプロピルトリメトキシシランや、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−シクロへキシル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有アルコキシシランも中和剤の一部として併用可能である。
【0042】
乳化重合時に用いられる前記重合開始剤としては、従来から一般的にラジカル重合に使用されているものが使用可能であるが、中でも水溶性のものが好適であり、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類;2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)ハイドロクロライドや、4,4’−アゾビス−シアノバレリックアシッド、2,2’−アゾビス(2−メチルブタンアミドオキシム)ジハイドロクロライドテトラハイドレート等のアゾ系化合物;過酸化水素水、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の過酸化物等が挙げられる。更に、L−アスコルビン酸、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤と、硫酸第一鉄等を組み合わせたレドックス系も使用できる。
【0043】
前記連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタンや、チオグリコール酸−2−エチルヘキシル、2−メチル−t−ブチルチオフェノール、四臭化炭素、及びα−メチルスチレンダイマー等を挙げることができる。これらを適宜使用することによって、塗膜の光沢や、成膜性、不粘着性を制御することができる。
【0044】
上記エマルションの乳化重合を行う際には、乳化剤として通常用いるアニオン性、ノニオン性、カチオン性の界面活性剤を一切使用しないことが好ましい。
【0045】
乳化剤として用いられるラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪酸塩や、高級アルコール硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシノニルフェニルエーテルスルホン酸アンモニウム、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールエーテル硫酸塩、スルホン酸基又は硫酸エステル基と重合性の炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有する、いわゆる反応性乳化剤等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテルや、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、又は前述の骨格と重合性の炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有する反応性ノニオン性界面活性剤等のノニオン性界面活性剤;アルキルアミン塩や、第4級アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤等が挙げられる。しかし、これら界面活性剤は、エマルションの乳化重合時の安定性、得られるエマルションの機械的、化学的、貯蔵安定性等の各種特性に大きく寄与する反面、塗膜の耐水性、耐温水白化性、耐候性等の特性を著しく低下させる要因となりうるため用いない方が好ましい。
【0046】
また、エマルションの乳化重合を行う際には、コロイド安定化剤として、ポリビニルアルコール(変性タイプも含む)、ヒドロキシアルキルセルロース、ポリアルキレングリコール、水溶性樹脂、高分子界面活性剤を使用すると、上記と同様に塗膜の耐水性、耐温水白化性、耐候性等の特性を著しく低下させるため、これらを一切使用しない方が好ましい。
【0047】
上記のように得たエマルションを含む樹脂組成物を、ガラス基板上に塗装し温度10℃〜200℃で2分〜10日間乾燥させた塗膜を用い、静的表面接触角計CA−X型(協和界面科学社製)で測定した塗膜表面の純水との接触角が、50°以下であることが塗膜の耐汚染性に優れるため好ましく、更には10°〜30°であることがより好ましい。
【0048】
本発明の樹脂組成物の用途は、建築内装材や外装材等に用いられるエマルション塗料用として用いることが好ましい。塗料として使用する場合には、樹脂組成物だけをクリアー塗料として使用可能であるが、一般的に使用されるベンガラ、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム等の着色顔料や、炭酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、アルミナ、ミョウバン、白土、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土等の体質顔料、更には、光触媒活性を有する酸化チタン、シミ止め・吸着機能を有するフライポンタイト、活性亜鉛華、珪酸マグネシウム等の機能性顔料も添加することが可能である。塗料としての各種機能を付与させるためには、増粘剤や、分散剤、沈降防止剤や、防カビ剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を適宜添加してもよい。
【0049】
この様にして得られた樹脂組成物は、各種無機質素材や金属素材、木材素材、プラスチック素材等に適用でき、自然乾燥、若しくは、50℃以上の温度で強制乾燥させることにより優れた塗膜を形成することが可能である。また、成膜に際しては、成膜温度を下げる目的で、エチレングリコールモノブチルエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート等の有機溶剤(造膜助剤)を任意に添加することも可能である。
【0050】
本発明の樹脂組成物を用いることで、長期にわたり耐汚染性が良好で、耐水性に優れる塗膜が提供できる。
【実施例】
【0051】
以下に、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中の「部」及び「%」は、特に断りのない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
【0052】
(実施例1、6及び比較例4)
撹拌装置、温度計、冷却管を備えた反応器中に、表1に記載のフラスコ仕込み物を仕込み、反応器内部を窒素で置換した後、70℃まで昇温した。次いで、過硫酸カリウム(重合開始剤)0.8部を加え、70℃、6時間加熱攪拌した。その後、室温まで冷却し、アンモニア水溶液を添加してpH9〜10に調整し、樹脂組成物A、F及びOを得た。
【0053】
(実施例2〜5、7及び8)
撹拌装置、温度計、冷却管及び滴下装置を備えた反応器中に、表1に記載のフラスコ仕込み物を仕込み、反応器内部を窒素で置換した後、70℃まで昇温・保持した。次いで、表1に記載の過硫酸カリウムを加え、予め別容器で撹拌混合しておいた表1に示す滴下物を、4時間かけて連続滴下した。滴下終了後、更に70℃で2時間加熱攪拌を行った後に室温まで冷却し、アンモニア水溶液を添加して、pH9〜10に調整し、樹脂組成物B〜E、G及びHを得た。
【0054】
(比較例1)
水分散型球状コロイダルシリカを使用しない以外は、実施例2〜5、7及び8と同様の操作で樹脂組成物Lを得た。
【0055】
(比較例2)
水分散型球状コロイダルシリカに平均粒子径200nmのタイプ(MP−2040、日産化学(株)製)を使用した以外は、実施例2〜5、7及び8と同様の操作で樹脂組成物Mを得た。
【0056】
(比較例3)
比較例1で得た水分散型球状コロイダルシリカを含まない樹脂組成物LにスノーテックスSを添加・混合し、樹脂組成物Nを得た。
【0057】
【表1】

*1:カチオン性界面活性剤の乳化剤、第一工業製薬(株)製、α−スルホナト−ω−1−アリルオキシメチル−アルキルオキシポリオキシエチレンのアンモニウム塩(エチレンオキシド平均付加モル数 10モル)
*2:球状コロイダルシリカ、日産化学工業(株)製、固形分SiO:30%、平均粒子径:8〜11nm、Na安定型
*3:球状コロイダルシリカ、日産化学工業(株)製、固形分SiO:20%、平均粒子径:10〜20nm、Na安定型
*4:球状コロイダルシリカ、日産化学工業(株)製、固形分SiO:20%、平均粒子径:10〜20nm、アンモニア安定型
*5:球状コロイダルシリカ、日産化学工業(株)製、固形分SiO:20%、平均粒子径:10〜20nm、表面アルミナ処理
*6:球状コロイダルシリカ、日産化学工業(株)製、固形分SiO:40%、平均粒子径:200nm、Na安定型
【0058】
上記平均粒径はコロイダルシリカメーカーのカタログ値であり、8〜11nmなどと幅を有しているのは粒径が小さいため製造が難しくバッチ毎に変動するためであるという。なお、水分散型球状コロイダルシリカの平均粒子径は、透過型電子顕微鏡により球形コロイダルシリカ粒子300個の粒径を測定し、その平均値である。
【0059】
試験方法及び評価は、以下の方法で行った。
【0060】
<成膜性>
上記実施例1〜8及び比較例1〜4の各樹脂組成物に成膜助剤を適宜添加したものを、ガラス板に4milアプリケーターで塗布し、50℃で2時間乾燥させた。その後、塗膜の成膜性を以下の基準にて黙視判定した。
[評価基準]
○:塗膜が完全にクリアーな一枚の塗膜となっている状態。
×:塗膜にワレが多数発生する、又は白濁し爪で引っ掻くと粉状に剥離する状態。
【0061】
<接触角>
上記実施例1〜8及び比較例1〜4の各樹脂組成物に成膜助剤を適宜添加したものを、ガラス板に4milアプリケーターで塗布し、50℃で2時間乾燥させた。室温で1日放置後に、協和界面科学製FACE接触角計CA−X型を使用して純水との静的接触角を測定し、結果を表2に示した。
【0062】
<耐水性>
上記実施例1〜8及び比較例1〜4の各樹脂組成物に成膜助剤を適宜添加したものをガラス板上に6milアプリケーターで塗装し、50℃、6時間で乾燥した後、室温で一日養生した。その後、試験板を23℃の水に1週間浸漬し、乾燥後の塗膜の白化度合いを以下の基準で目視判定した。
[評価基準]
○:塗膜の変色がない、若しくは、やや青みがかった透明である。
△:塗膜が局所的に白化している。
×:塗膜が全体に白化している。
【0063】
<耐温水白化性>
上記実施例1〜8及び比較例1〜4の各樹脂組成物に成膜助剤を適宜添加したものを黒板上に6milアプリケーターで塗装し、50℃、6時間で乾燥した後、室温で一日養生した。その後、試験板を60℃温水に24時間浸漬し、乾燥後の塗膜の白化度合いを以下の基準で目視判定した。
[評価基準]
○:塗膜の変色がない、若しくは、やや青みがかった透明である。
△:塗膜が局所的に白化している。
×:塗膜が全体に白化している。
【0064】
<耐雨筋汚染性>
白色塗料を塗装したスレート板(寸法10cm×30cm×厚さ5mm)に上記実施例1〜8及び比較例1〜4の各樹脂組成物に成膜助剤及び表面調整剤を適宜添加したものを乾燥膜厚で70〜80μmになるようにスプレー塗装し、60℃で2時間乾燥させた。これを10日間養生した後に、水平面に対して10度に傾斜し、かつ長さ30cmで深さ3mmの溝が3mmピッチで刻まれた屋根を有する架台に、屋根に降った雨が塗膜の表面に筋状に流れ落ちるように南向きに垂直に取り付け、その状態で1ヶ月、6ヶ月、12ヶ月間暴露した後、塗膜の外観を未試験の塗膜と比較して汚染状態を、以下の基準で目視観察した。結果を表2に示した。
[評価基準]
○:わずかな汚れはあるが、雨筋は確認されない。
△:局所的な汚れがあり、雨筋が薄く確認される。
×:全面にかなりの汚れがあり、雨筋がしっかりと確認される。
【0065】
<貯蔵安定性>
上記実施例1〜8及び比較例1〜4の各樹脂組成物を各々100mlガラス製サンプル瓶に入れ、密栓した状態で50℃恒温室に1ヶ月間貯蔵し、その状態を以下の基準で評価した。
[評価基準]
○:試験前と同じ状態であり、変化なし。
△:目視で沈殿ブツは確認されないが、粒子の一部が凝集し、粒子径が大きくなった。
×:目視で沈殿ブツが確認された。
【0066】
【表2】

【0067】
表1及び表2より明らかな通り、本発明の樹脂組成物の実施例1〜8は重合安定性、貯蔵安定性は共に優れており、その樹脂組成物から純水との接触角の低い塗膜を形成できた。また、得られた塗膜は1ヶ月、6ヶ月、12ヶ月の曝露試験の結果も良好な外観を示し、耐雨筋汚染性に効果を示した。一方、比較例1の水分散型球状コロイダルシリカを用いない一般的なアクリルエマルションは成膜した場合の純水との接触角が高く、暴露後1週間で雨筋汚染を生じた。比較例2では、水分散型球状コロイダルシリカの平均粒子径サイズが大きいためにコロイダルシリカ粒子が分散性を安定に維持できず、貯蔵安定性試験においてコロイダルシリカ粒子の沈殿を生じた。比較例3においては比較例1で得たアクリルエマルションと水分散型球状コロイダルシリカを単にコールドブレンドした場合には、初期の純水との接触角は低下し耐雨筋汚染性を示したものの、水分散型球状コロイダルシリカがアクリルエマルション粒子に吸着されていないために暴露試験6ヶ月以降は経時で表面の水分散型球状コロイダルシリカが雨によって洗い流され、耐雨筋汚染性が低下した。比較例4は成膜助剤を大量に添加する若しくは、乾燥温度を150℃まで上昇させたが、一枚のクリアーな膜を得ることができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明のエマルションを含む樹脂組成物は、塗料用の樹脂としてはもとより、インクや接着剤、粘着剤、各種の表面処理用コーティング剤のバインダーとして有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)1種又は2種以上のα,β−エチレン性不飽和単量体100質量部に対し、(B)平均粒子径4〜100nmの水分散型球状コロイダルシリカSiO(固形分)10〜300質量部を乳化安定化剤として、乳化重合して得られるエマルションを含むことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
前記エマルションの乳化重合時に、乳化剤として、アニオン性、ノニオン性、カチオン性の界面活性剤を一切使用していない請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記エマルションの乳化重合時に、コロイド安定化剤として、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキルセルロース、ポリアルキレングリコール、水溶性樹脂、高分子界面活性剤を一切使用していない請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記(A)1種又は2種以上のα,β−エチレン性不飽和単量体が、カルボキシル基含有単量体、アミノ基含有単量体、アミド基含有単量体、ヒドロキシル基含有単量体及びアルコキシシリル基含有単量体の群の中から選ばれる少なくとも一種を含む請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記樹脂組成物を用いて形成される塗膜表面の純水との接触角が50°以下である請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記(B)水分散型球状コロイダルシリカの粒子表面が、アルミニウム金属又はその化合物で被覆処理されてない請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記エマルションのpHが、7〜11である請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。