説明

樹脂組成物

【課題】カーボンナノチューブは少量添加で高い導電性を持つことが知られているが射出成形などでは安定した導電性を発現させるのが難しい。金型等の改良をすることなく導電性を安定して発現させることができる樹脂組成物および成形物、そしてその製造方法を提供する。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂とカーボンナノチューブと無機フィラーからなることを特徴とする樹脂組成物。および前記樹脂組成物からなる成形物。更には、ポリオレフィン樹脂25〜98.5重量%、多層カーボンナノチューブ0.1〜25重量%、無機フィラー1〜50重量%からなり、前記無機フィラーは樹脂中のカーボンナノチューブ濃度を上げるだけでなく、射出成形時にカーボンナノチューブがせん段により偏在するのを防ぎ成形品の表面導電率の低下が抑えられた樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカーボンナノチューブと無機フィラーを配合した樹脂組成物ならびに成形方法によらず安定した導電性を示す成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブはその特性からエレクトロニクス(トランジスター素子、配線など)、エネルギー(燃料電池用電極材料、太陽光発電装置、ガス貯蔵など)、電子放出(フラットパネル装置など)、化学(吸着剤、触媒、センサーなど)、複合材料(導電性プラスチック、強化材料、難燃ナノコンポジットなど)など様々な分野での応用が期待されている。今後、カーボンナノチューブの量産が進み価格が安価になればプラスチック分野では特に導電性(静電性)プラスチック材料としての市場が拡大していくことが期待されている。カーボンナノチューブを用いるメリットとしてはカーボンブラックと比較すると低添加で導電性を発現すること、脱落が少ないこと、表面が平滑であることなどが上げられる。しかし、カーボンナノチューブはアスペクト比が非常に大きく、そして表面に官能基を持たないなどの特性からその分散が非常に困難である。特にプラスチック中への分散は非常に困難である。また、射出成形のように成形時に強いせん断を与えることでカーボンナノチューブが配向する傾向がある。そのことにより成形品表面からカーボンナノチューブの存在が低下することによる導電性の低下が起きる結果となっていた。カーボンナノチューブは少ない量を高分散させることで効率よく導電ネットワークを形成しているため、配向の影響は大きいという問題を抱えている。
【0003】
従来、カーボンナノチューブを射出成形品の表面に出し導電性を向上させる技術としては、射出成形の金型を加工しカーボンナノチューブの配向を制御する方法(特許文献1参照)。また、射出成形後に金型の温度をガラス転移点以上に保温することにより、射出成形時の歪みを抑えたり、カーボンナノチューブを表面へ移動させたり、結晶化を促進させることでカーボンナノチューブに動きを与えて導電性を向上させる方法(特許文献2参照)が知られている。また、射出成形における導電性の低下を抑える方法としては導電性フィラーの添加量を増やすことが一般的であるが、添加量を上げなくても導電性フィラーを偏在させることで見かけの添加量は上げることができる。導電性フィラーを偏在させる技術としては、導電性フィラーの樹脂への親和性の差を利用して2種以上の樹脂を用いて片方の樹脂へ導電性フィラーを偏在する技術(特許文献3、非特許文献1、2参照)がある。
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の技術は成形品ごとに金型を作らなくてはならず、また複雑な形状には対応できない問題点がある。特許文献2記載の技術は、成形時に保温を行う時間が必要となり生産性が悪く、成形機中で樹脂を滞留させる時間も長くなり物性劣化を引き起こす恐れもあり好ましくない。また特許文献3および非特許文献1、2記載の技術は、成形品の導電性を安定させることはできるが、偏在させる側の樹脂とカーボンナノチューブの相性が悪いとかえって導電性を落とす結果となる。特にポリプロピレン樹脂にポリエチレン樹脂を添加する場合はポリプロピレン樹脂単独の場合より導電性が低下してしまう問題点がある。さらにカーボンナノチューブの場合は分散が難しくその問題を解決する必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−107534号公報
【特許文献2】特開2007−296725号公報
【特許文献3】特開2008−274060号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】日本レオロジー学会誌、2004年、p.129
【非特許文献2】日本ゴム協会誌、2002年、p.380
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、カーボンナノチューブを低添加で配合していても高い導電性を発現し、成形方法によらずに安定した導電性を発現することができる樹脂組成物ならびに成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明はポリオレフィン樹脂25〜98.5重量%、多層カーボンナノチューブ0.1〜25重量%、無機フィラー1〜50重量%からなり、前記無機フィラーは樹脂中のカーボンナノチューブ濃度を上げるだけでなく、射出成形時にカーボンナノチューブがせん段により偏在するのを防ぎ成形品の表面導電率の低下が抑えられた樹脂組成物に関する。
【0009】
更に本発明はポリオレフィン樹脂がポリプロピレン樹脂30〜100重量%とポリエチレン樹脂0〜70重量%からなる樹脂組成物に関する。
更に本発明は無機フィラーが板状および針状の形状を有することを特徴とする樹脂組成物に関する。
【0010】
更に本発明は上記板状および針状の形状を有する無機フィラーがタルク、マイカ、ハイドロタルサイト、板状炭酸カルシウム、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、針状水酸化マグネシウム、ホウ酸アルミニウム、塩基性硫酸マグネシウムから選ばれる1種以上であることを特徴とする樹脂組成物に関する。
更に本発明は上記樹脂組成物からなる成形体に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明により低添加で良好な導電性を有する導電性樹脂組成物を得ることができ、それを用いてなる射出成形体においても良好な導電性を保持する成形体を得ることが出来た。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明で用いるカーボンナノチューブは、グラファイトの1枚面を巻いて円筒状にした形状を有しており、そのグラファイト層が1層で巻いた構造を持つ単層カーボンナノチューブ、2層またはそれ以上で巻いた多層カーボンナノチューブでも、これらが混在するものであっても良いが、多層カーボンナノチューブであることが好ましい。また、カーボンナノチューブの側壁がグラファイト構造ではなく、アモルファス構造をもったカーボンナノチューブを用いても構わない。
【0013】
さらに、形状としては針状、コイル状、チューブ状、カップ状の形態などいずれの形態を有するものであってもよい。具体的には、グラファイトウィスカー、フィラメンタスカーボン、グラファイトファイバー、極細炭素チューブ、カーボンチューブ、カーボンフィブリル、カーボンマイクロチューブ、カーボンナノファイバーなどを挙げることができる。これらの形態として1種または2種以上を組み合わせた形態において使用することができる。
【0014】
本発明のカーボンナノチューブは、一般にレーザーアブレーション法、アーク放電法、熱CVD法、プラズマCVD法、燃焼法などで製造できるが、どのような方法で製造したカーボンナノチューブでも構わない。特に、ゼオライトを触媒の担体としてアセチレンを原料に熱CVD法で作る方法は、特に精製することなく、多少の熱分解による不定形炭素被覆はあるものの、純度が高く、良くグラファイト化された多層カーボンナノチューブが得られる点で、本発明に使用するカーボンナノチューブとして好ましい。
本発明で用いるカーボンナノチューブのサイズとしては、特に限定されるものではなく、例えば、繊維径として0.5〜300nm、繊維長として0.01〜100μmなどを具体的に挙げることができる。繊維径として1〜200nm、繊維長として1〜10μmを好ましい範囲として挙げることができる。
【0015】
本発明で用いるカーボンナノチューブの二次粒子形状は特に限定されるものではなく、例えば一般的な一次粒子であるカーボンナノチューブが複雑に絡み合っている状態でもよく、ほぐれ易くカーボンナノチューブを直線状にしたものの集合体であっても良い。直線状のカーボンナノチューブの集合体である二次粒子は絡み合っているものと比べると分散性が良いので好ましい。
【0016】
本発明で用いるカーボンナノチューブは表面処理を行ったものや、カルボキシル基などの官能基を付与させたカーボンナノチューブ誘導体であってもよい。また、金属原子やフラーレン等を内包させたカーボンナノカプセル等も用いることが出来る。
【0017】
本発明において、オレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等の単独重量体、共重合体を主成分とするものが用いられる。例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-メチルアクリレート共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、プロピレン-酢酸ビニル共重合体、プロピレン-メチルアクリレート共重合体、プロピレン-メチルメタクリレート共重合体、プロピレン-エチルアクリレート共重合体、ポリブテン、ポリ-3-メチルブテン-1、ポリ-4-メチルペンテン-1、エチレン系アイオノマー樹脂等が挙げられる。これらは、単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。本発明においてはポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂を用いるのがより好ましい。
【0018】
本発明におけるポリエチレン系樹脂とは、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、メタロセン(シングルサイト)触媒系ポリエチレン、環状ポリエチレンの他に無水マレイン酸変性ポリエチレン、グリシジル(メタ)アクリレート変性ポリエチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート変性ポリエチレン等の変性ポリエチレン樹脂が挙げられる。本発明においては導電性を高く保ちたいので結晶化度の高い高密度なポリエチレンをもちいるのがより好ましい。
【0019】
本発明におけるポリプロピレン系樹脂とは、ホモポリプロピレン、ブロックプロピレン共重合体、ランダムプロピレン共重合体ポリオレフィン系樹脂、エチレンプロピレン共重合ゴムの他に無水マレイン酸変性ポリプロピレン、グリシジル(メタ)アクリレート変性ポリプロピレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート変性ポリプロピレン等の変性ポリプロピレン樹脂が挙げられる。などが挙げられる。本発明においては特にカーボンナノチューブの偏在に影響を与える他成分を含まないホモポリプロピレン樹脂を用いることが好ましい。
【0020】
本発明において、オレフィン系樹脂としては、導電性を発現する視点においてはポリプロピレン系樹脂、特にホモポリプロピレン樹脂を用いるのが最も好ましい。ポリプロピレン系樹脂はポリエチレン系樹脂と比べカーボン系材料との界面張力が低く、一定の凝集を引き起こすことで導電性のネットワークを形成する為、導電性がポリエチレン系樹脂と比べ高くなる。また、ポリプロピレン系樹脂はポリエチレン系樹脂と比較して結晶性も高い為、非結晶部分へのカーボンナノチューブの偏在が起きることで導電性ネットワークを形成する。以上の理由からポリエチレン系樹脂を用いるよりポリプロピレン系樹脂を用いるのが好ましく、エチレン成分がより少ないホモポリプロピレン樹脂を用いるのが最も好ましい。
【0021】
また、均一分散を必要とする場合はポリエチレン系樹脂を用いる方が好ましい。ポリエチレン系樹脂を用いる場合はより結晶性が高い樹脂を用いるのが好ましく、例えば低密度ポリエチレン樹脂と高密度ポリエチレン樹脂では結晶性の高い高密度ポリエチレン樹脂を用いるのがより好ましい。さらに、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂のポリマーアロイはアロイ樹脂中のポリエチレン樹脂の部分にカーボンナノチューブが偏在し、アロイとしての分散状態が連続系であれば低添加で安定した導電性を発揮する。前記アロイ系ではポリプロピレン系樹脂単独で用いた時よりは導電性が若干劣るが、導電性のばらつきなどが少なく安定性といった面では有利である。なおポリマーアロイ系においては、カーボンナノチューブが高度に偏在するポリエチレン系樹脂層が連続層にならないとかえって導電性を低下させる原因となる。
【0022】
また、ポリエチレン系樹脂層が連続であっても配合比が大きすぎると元々導電性を発現しにくい樹脂であるためポリプロピレン系樹脂単独で用いるより導電性が大幅に低下し、アロイにするメリットが少なくなってしまうので好ましくない。そのため、連続層を形成するポリエチレン系樹脂/ポリプロピレン系樹脂の配合比を設定する必要があり、好ましくは30〜70/70〜30、更に好ましくは40〜60/60〜40の配合比にすることがよい。前記配合比の中でもポリエチレン系樹脂の方がポリプロピレン系樹脂より少ない方が導電性発現に有利となるのでより好ましい。
【0023】
本発明におけるオレフィン系樹脂には結晶造核剤を添加してもよい。結晶造核剤が樹脂製造元にて添加されているグレードを使用しても、結晶造核剤を本発明の樹脂組成物を作成する時に添加しても良い。結晶造核剤を添加することで樹脂の結晶性を上げることができ、そのことによりカーボンナノチューブを非結晶部分へ偏在させ導電性ネットワークが形成され導電性が上がるので好ましい。
【0024】
前記、結晶造核剤としては、多価の有機酸および/またはその金属塩、アリールホスフェート化合物、環状多価金属アリールホスフェート化合物およびジベンジリデンソルビトール化合物が挙げられる。結晶造核剤の添加量としては樹脂組成物中に0.01〜5重量%であることが好ましい。0.01重量%以下では十分な効果を発揮せず、5重量%以上添加しても更なる効果は望めない。
【0025】
多価の有機酸および/またはその金属塩としては、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、クエン酸、ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ナフテン酸、シクロペンタンカルボン酸、1−メチルシクロペンタンカルボン酸、2−メチルシクロペンタンカルボン酸、シクロペンテンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、1−メチルシクロヘキサンカルボン酸、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸、3,5−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸、4−ブチルシクロヘキサンカルボン酸、4−オクチルシクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキセンカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、キシリル酸、エチル安息香酸、4−t−ブチル安息香酸、サリチル酸、フタル酸、トリメリット酸、フェニルホスホン酸、ピロメリット酸などのカルボン酸(但し、脂肪族モノカルボン酸を除く)またはこれらのリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属、亜鉛もしくはアルミニウムの塩が挙げられる。
【0026】
アリールホスフェート化合物としては、次の化合物の金属塩が挙げられる。
ビス(4−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ビス(4−クミルフェニル)ホスフェート、2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、2,2’−メチレン−ビス(4−クミル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート、2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)ホスフェート、2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−エチルフェニル)ホスフェート、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、2,2’−エチリデン−ビス(4−i−プロピル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート、2,2’−エチリデン−ビス(4−s−ブチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート、2,2’−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)ホスフェート、2,2’−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、2,2’−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)ホスフェート、2,2’−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、4,4’−ジメチル−6,6’−ジ−t−ブチル−2,2’−ビフェニル)ホスフェート等のアルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)の塩、モノ−およびビス−(4−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ジヒドロオキシ−(4−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ジヒドロオキシ−ビス(4−t−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(4−t−ブチルフェニル)ホスフェート等のアルミニウム、カルシウムおよび亜鉛の塩が挙げられる。
【0027】
環状多価金属アリールホスフェート化合物としては、ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ビス[2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ビス[2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ビス[2,2’−チオビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ビス[2,2’−チオビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ビス[2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェニル)ホスフェート]、ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ビス[(4,4’−ジメチル−6,6’−ジ−t−ブチル−2,2’−ビフェニル)フォスフェート]、ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、トリス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、トリス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ジヒドロオキシ−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ジヒドロオキシ−2,2’−メチレン−ビス(4−クミル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ジヒドロオキシ−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ジヒドロオキシ−2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ジヒドロオキシ−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ヒドロオキシ−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ヒドロオキシ−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4−クミル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロオキシ−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ヒドロオキシ−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]のアルカリ土類金属(例えば、カルシウム、バリウム)、アルミニウム、チタン、マグネシウム、亜鉛、オキシジルコニウムの塩等が挙げられる。
【0028】
ジベンジリデンソルビトール化合物としては、1・3,2・4−ジベンジリデンソルビトール、1・3−ベンジリデン−2・4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1・3−ベンジリデン−2・4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1・3−p−メチルベンジリデン−2・4−ベンジリデンソルビトール、1・3−p−エチルベンジリデン−2・4−ベンジリデンソルビトール、1・3−p−メチルベンジリデン−2・4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1・3−p−エチルベンジリデン−2・4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−n−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−i−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−n−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−s−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−t−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1・3−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−2・4−ベンジリデンソルビトール、1・3−ベンジリデン−2・4−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(2’,4’−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(3’,4’−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−メトキシベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−エトキシベンジリデン)ソルビトール、1・3−ベンジリデン−2・4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1・3−p−クロルベンジリデン−2・4−ベンジリデンソルビトール、1・3−p−クロルベンジリデン−2・4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1・3−p−クロルベンジリデン−2・4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1・3−p−メチルベンジリデン−2・4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1・3−p−エチルベンジリデン−2・4−p−クロルベンジリデンソルビトール、および1・3,2・4−ビス(p−クロルベンジリデン)ソルビトール等が挙げられる。
【0029】
本発明で使用される無機フィラーとしては、公知の無機材料が使用できる。具体的には、例えば、タルク、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ゼオライト、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム(ウォラストナイト、ゾノトライト)、塩基性硫酸マグネシウム、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルーン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、金属粉、チタン酸カリウム、MOS、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛等を用いることができる。これら無機フィラーは、単独でも2種類以上併用しても良い。本発明では、これらの中でもタルク、マイカ、ハイドロタルサイト、板状炭酸カルシウム、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、針状水酸化マグネシウム、ホウ酸アルミニウム、塩基性硫酸マグネシウムから選ばれる1種以上であることが好ましく、タルクを用いることがより好ましい。
【0030】
本発明で使用される無機フィラーの形状は特に限定されないが、繊維状、棒状、針状、板状、球状、バルーン形状、紡錘形状、テトラポット形状、不定形などのフィラーを用いることが出来る。本発明においては射出成形品の表面状態の改質および溶融流動場において流動状態を変える事が無機フィラーの果たす役割であるので、球状、バルーン形状以外の形状であることが好ましく、特に針状、板状であることが好ましい。また、本発明で使用される無機フィラーの平均粒径は、例えば、0.01〜10.0μm、好ましくは0.10〜5.0μmであることが適当である。ここで平均粒径とは、JIS Z8820に準拠した液相沈降法で測定された粒度分布測定曲線の累積値が50%となる粒子径のことを意味する。平均粒径が0.10μm以上であれば、混練時に2次凝集を起こして機械物性を低下させることもないので好ましい。また10.0μm以下であれば、機械物性、特に耐衝撃性を低下させることもないので好ましい。さらに本発明で使用される無機フィラーの比重は3以下であることが好ましい。比重が大きいと小さいものと比べ同じ重量を添加した際に系中の無機フィラーの占める体積が少なくなってしまい無機フィラーの添加の効果が薄れてしまう。もちろん体積比を合わせて添加することで効果は発揮するが、成形品の比重を上げてしまい生産性も落とすことになるので、無機フィラーの比重は3以下であることが好ましい。
【0031】
本発明の無機フィラーの製法にはバルクの粒子を機械粉砕させる方法、高速気流中で衝突させ方法、熱分解法、アトマイズ法、スプレー法、コロイド法、均一沈殿法、アルコキシド法、水熱合成法、マイクロエマルション法、溶媒蒸発法、ゾルゲル法、レーザーアブレーション法、CVD法、PVD法などがあるがどの方法で作成された無機フィラーを使用しても構わない。また表面に無機表面処理が施された無機フィラーを用いても構わない。無機表面処理としては酸化ケイ素などの金属酸化物で被覆する方法や、例えばAl、Mn、Cu、Zn、Zr、Ag、Cl、Ce、Eu、Tb、Er等の金属をドープさせる方法などが挙げられる。無機酸化物による表面処理は数種類のもので1層または何層か被覆しても構わないが、酸化亜鉛や酸化チタンのような金属酸化物では酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどで1または2層被覆される場合が多い。
【0032】
また、金属をドープさせる方法はナノ粒子表面の活性を落とすのにも優れているが、新たな特性を付与する目的でも用いられる。例えば酸化亜鉛にアルミニウムをドープさせることで導電性を付与することが出来る。さらに本発明の無機フィラーは有機の表面処理が施された無機フィラーであっても構わない。この表面処理剤としては、高級脂肪酸、高級脂肪酸アルカリ金属塩、多価アルコール高級脂肪酸エステル、アニオン系界面活性剤、リン酸エステル、シランカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、チタネートカップリング剤、オルガノシラン、オルガノシロキサン及びオルガノシラザンから選ばれる少なくとも1種が用いられる。なお、無機表面処理および有機表面処理は単独で施されても、両方とも施されていても構わない。
【0033】
本発明で用いられるカーボンナノチューブは予め予備分散をされた予備分散体にしてから用いても良い。予備分散体とはカーボンナノチューブとポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、酸変性オレフィンワックス等から選ばれる1種以上のワックスを機械的に分散させたものである。予備分散体を用いることで、カーボンナノチューブを直接樹脂へ添加するのと比較し良好な分散性を示す。本発明においてベースとなるポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂である場合は相容性が良好なポリプロピレンワックスを用いた予備分散体を使用することが好ましい。ポリプロピレン系樹脂にポリエチレンワックスを用いた予備分散体を用いるとポリエチレンとの親和性が高いカーボンナノチューブがうまく分散しない為好ましくない。
【0034】
一方、ベースとなるポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂を含む樹脂である場合はポリエチレンワックスを用いた予備分散体を用いた方が分散性が良好であり好ましい。ワックスとカーボンナノチューブを混合するための装置としては、ディスパー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ハイスピードミキサー、乳鉢、インターナルミキサー、ニーダー、バンバリーミキサー、二軸混練機、サンドミル、ボールミル、ロールミル等があるが、好ましくはロールミルを使用する。ロールミルにはロールが二本のものと三本のものが主であるが、特に分散性を上げるにはせん断力の大きい三本ロールミルが好ましい。
【0035】
予備分散体のカーボンナノチューブとワックスの配合比は、予備分散体中にカーボンナノチューブが40重量%以下になることが好ましい。40重量%を上回るとカーボンナノチューブの吸油率の高さから予備分散体の粘度が硬くなり、分散性が著しく低下すので好ましくない。カーボンナノチューブを40重量%以上含有する予備分散体を作成する場合は予備分散体の粘度を下げるために液状の分散媒を単独もしくは前記ワックスと併用することが好ましい。液状分散媒のみを用いると分散性やブリードの問題などもあるため前記ワックスと液状の分散媒を併用することがより好ましい。液状の分散媒としては可塑剤、常温溶融塩、シリコーンオイル、ポリエチレングリコール、界面活性剤などが上げられるが、耐熱性の面から常温溶融塩を用いることが好ましい。
【0036】
前記、常温溶融塩とは、室温付近で液体である塩類の総称であり、室温付近の広い範囲において液体で、また、室温付近の蒸気圧が極めて低いという特徴を有するカチオンとアニオンからなる塩である。
【0037】
常温溶融塩のカチオンとしては、イミダゾリウム、ピリジニウム、アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウムであり、例えば、ジアルキルイミダゾリウム、トリアルキルイミダゾリウム、アルキルピリジニウム、ジアルキルピリジニウム、トリアルキルピリジニウム、1−フルオロアルキルピリジニウム、1−フルオロトリアルキルピリジニウム、テトラアルキルアンモニウム、テトラアルキルホスホニウム、トリアルキルスルホニウムなどが挙げられる。
【0038】
さらに詳細な具体例としては、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウム、1−デシル−3−メチルイミダゾリウム、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウム、1−テトラドデシル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキサドデシル−3−メチルイミダゾリウム、1−オクタドデシル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−オクチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム1,2−ジメチル−3−オクチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−エチルイミダゾリウム、1−エチル−3−オクチルイミダゾリウム、1−エチル−3−ブチルイミダゾリウム、1−エチル−3−ヘキシルイミダゾリウム、1−オクチル−3−エチルイミダゾリウム、1,2−ジエチル−3,4−ジメチルイミダゾリウム、1−フルオロピリジニウム、1−フルオロ−2,4,6−トリメチルピリジニウム、1−エチルピリジニウム、1−ブチルピリジニウム、1−ヘキシルピリジニウム、1−プロピル3−メチルピリジニウム、1−ブチル−4−メチルピリジニウム、1−ブチル−3−メチルピリジニウム、1−ヘキシル−4−メチルピリジニウム、1−ヘキシル−3−メチルピリジウム、1−オクチル−4−メチルピリジニウム、1−オクチル−3−メチルピリジニウム、1−ブチル−3,4−ジメチルピリジニウム、1−ブチル−3,5−ジメチルピリジニウム、トリメチルペンチルアンモニウム、トリメチルヘキシルアンモニウム、トリメチルヘプチルアンモニウム、トリメチルオクチルアンモニウム、トリエチルプロピルアンモニウム、トリエチル(2−メトキシエチル)アンモニウム、メチルトリオクチルアンモニウム、トリエチルペンチルアンモニウム、トリエチルヘプチルアンモニウム、ジメチルエチルプロピルアンモニウム、ジメチルブチルエチルアンモニウム、ジメチルエチルペンチルアンモニウム、ジメチルエチルヘキシルアンモニウム、ジメチルエチルヘプチルアンモニウム、ジメチルエチルノニルアンモニウム、ジメチルエチルヘプタデシルアンモニウム、ジメチルジプロピルアンモニウム、ジメチルブチルプロピルアンモニウム、ジメチルプロピルペンチルアンモニウム、ジメチルヘキシルプロピルアンモニウム、ジメチルヘプチルプロピルアンモニウム、ジメチルブチルペンチルアンモニウム、ジメチルブチルヘキシルアンモニウム、ジメチルブチルヘプチルアンモニウム、ジメチルヘキシルペンチルアンモニウム、ジエチルヘプチルメチルアンモニウム、ジヘキシルジメチルアンモニウム、ジプロピルブチルヘキシルアンモニウム、ジヘキシルジプロピルアンモニウム、ジエチルメチルプロピルアンモニウム、ジエチルメチル(2−メトキシエチル)アンモニウム、ジプロピルエチルメチルアンモニウム、ジエチルプロピルペンチルアンモニウム、ジエチルメチルペンチルアンモニウム、エチルメチルプロピルペンチルアンモニウム、ジプロピルメチルペンチルアンモニウム、ジブチルメチルペンチルアンモニウム、ジブチルヘキシルメチルアンモニウム、トリヘキシルテトラデシルホスホニウム、トリイソブチルメチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、トリエチルスルホニウム等が挙げられる。
【0039】
常温溶融塩のアニオンとしては、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフルオロボレート、メチルスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミド、ビスペンタフルオロエタンスルホン酸イミド、ビスシアノイミド、三酸化窒素、酢酸、トリフルオロメタンカルボン酸等が挙げられる。
【0040】
常温溶融塩の具体例としては、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンサルフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホン酸、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメチルサルフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムエチルサルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムエチルサルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンサルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホン酸、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−メチルイミダゾリウムクロライド、1−メチルイミダゾリウムハイドロジェンサルフェート、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムメチルサルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロアンチモネート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ドデシル−3−イミダゾリウムアイオダイド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホン酸、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアンアミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムナイトレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエチルスルフォニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムオクチルサルフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトシレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトシレート、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、4−(3−ブチル−1−イミダゾリオ)−1−ブタンスルホン酸トリフレート、4−(3−ブチル−1−イミダゾリオ)−1−ブタンスルフォネート、1−アリール−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフォネート、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム2−(2−メトキシエトキシ)−エチルサルフェート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリムヘキサフルオロホスフェート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンするフォネート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド、3−メチル−1−プロピルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド、1−ブチル−4−メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−4−メチルピリジニウムブロミド、1−ブチル−4−メチルピリジニウムクロライド、1−ブチル−4−メチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、トリブチルメチルアンモニウムメチルサルフェート、メチル-トリオクチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド、テトラブチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド、テトラエチルアンモニウムトリフルオロメタンスルフォネート、テトラブチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムチオサリチレート、テトラブチルアンモニウムベンゾエート、テトラブチルアンモニウムメタンスルフォネート、テトラブチルアンモニウムノナフルオロブタンスルフォネート、テトラブチルアンモニウムヘプタデカフルオロオクタンスルフォネート、テトラヘキシルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラオクチルアンモニウムクロライド、テトラペンチルアンモニウムチオシアネート、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムトリフルオロアセテート、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、テトラブチルホスホニウムテトラフルオロボレート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィネート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)アミド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムブロミド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムクロライド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムデカノエート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムジシアンアミド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリイソブチルメチルホスホニウムトシレート、3−(トリフェニルホスホニオ)プロパン−1−スルホン酸、3−(トリフェニルホスホニオ)プロパン-1-スルフォネート、テトラブチルホスホニウム−p−トルエン」スルフォネート、トリエチルスルフォニウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミドが挙げられる。
【0041】
前記の予備分散体において常温溶融塩とワックスを用いる場合は、予備分散体中にカーボンナノチューブが40〜70重量%、ワックスが20〜55重量%、常温溶融塩が5〜30重量%の予備分散体を用いる。
【0042】
本発明における樹脂組成物の製造は特に限定されるものではない。例えば、ポリオレフィン系樹脂、カーボンナノチューブ、無機フィラー、更に必要に応じて各種添加剤や着色剤等を加え、ヘンシェルミキサーやタンブラー、ディスパー等で混合しニーダー,ロールミル,スーパーミキサー,ヘンシェルミキサー,シュギミキサー,バーティカルグラニュレーター,ハイスピードミキサー,ファーマトリックス,ボールミル,スチールミル,サンドミル,振動ミル,アトライター,バンバリーミキサーのような回分式混練機、二軸押出機、単軸押出機、ローター型二軸混練機等で混合や溶融混練分散し、ペレット状、粉体状、顆粒状あるいはビーズ状等の形状の樹脂組成物を得ることができる。
【0043】
本発明の樹脂組成物は、導電性組成物を比較的高濃度に含有し、成形時に被成形樹脂(ベース樹脂)で希釈されるマスターバッチであっても良いし、導電性組成物の濃度が比較的低く、被成形樹脂で希釈せずにそのままの組成で成形に供されるコンパウンドであっても良い。
【0044】
本発明の成形品は、押出成形、射出成形、ブロー成形のいずれかの成形方法で得られるものでもよいし、樹脂組成物を粉砕して得られる粉体塗料でもよい。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内で必要に応じて適当な添加剤、例えば、耐酸化安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、染料、顔料、分散剤、カップリング剤等を配合してもよい。
【実施例】
【0045】
次に、本発明を具体的に実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本実施例においるポリオレフィン系樹脂(A)とカーボンナノチューブ(B)と無機フィラー(C)それぞれの製造元と商品名を以下に示す。前記各成分の配合比は表1に示す。
ポリオレフィン系樹脂(A−1):ホモポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社製、プライムポリプロJ105P)
ポリオレフィン系樹脂(A−2):高密度ポリエチレン樹脂(旭化成ケミカルズ社製、サンテックHD L50P)
カーボンナノチューブ(B):線径が10〜15nm、長さが0.1〜10μm のCCVD法により作成された多層カーボンナノチューブ(ARKEMA社製、GRAPHISTRENGTH C100)
無機フィラー(C−1):タルク(日本タルク社製、ミクロエースSG−95)
無機フィラー(C−2):塩基性硫酸マグネシウム(宇部マテリアルズ社製、モスハイジ)
【実施例1】
【0046】
1.樹脂組成物の製造
ポリオレフィン系樹脂(A)を、除湿乾燥機で乾燥後、これにカーボンナノチューブ(B)と無機フィラー(C)を所定量加えスーパーミキサーにて攪拌羽回転速度約300rpmで4分間、攪拌・混合した。これをポリオレフィン系樹脂(A)が変質しない適切な加工温度に設定した二軸押出機で溶融混練し樹脂組成物を作成した後、射出成形機(東芝機械(株)製IS−100F型)を用い成形を行った。
2.評価
得られた成形品の表面抵抗率をSIMCO社製の表面抵抗測定器(TRUSTAT ST−3)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン樹脂25〜98.5重量%、多層カーボンナノチューブ0.1〜25重量%、無機フィラー1〜50重量%からなり、前記無機フィラーは樹脂中のカーボンナノチューブ濃度を上げるだけでなく、射出成形時にカーボンナノチューブがせん段により偏在するのを防ぎ成形品の表面導電率の低下が抑えられた樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1記載のポリオレフィン樹脂がポリプロピレン樹脂30〜100重量%とポリエチレン樹脂0〜70重量%からなる請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1記載の無機フィラーが板状および針状の形状を有することを特徴とする請求項1ないし2記載の樹脂組成物。
【請求項4】
請求項3記載の板状および針状の形状を有する無機フィラーがタルク、マイカ、ハイドロタルサイト、板状炭酸カルシウム、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、針状水酸化マグネシウム、ホウ酸アルミニウム、塩基性硫酸マグネシウムから選ばれる1種以上であることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4記載の樹脂組成物からなる成形体。

【公開番号】特開2010−196012(P2010−196012A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45667(P2009−45667)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】