説明

樹脂組成物

【課題】粉体塗料用樹脂を接着剤、塗料として使用した場合に、接着力が弱い等の問題点を改良し、特にガラス繊維接着剤、粉体塗料等に有効な樹脂組成物を提供する。
【解決手段】飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の粉体塗料用樹脂にシランカップリング剤を加熱混合し、必要に応じて顔料を添加した樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉体塗料用樹脂は広く使用されている。しかし、これを接着剤として使用する場合、他の不飽和ポリエステル樹脂に較べて安価であるが、接着剤が弱く不十分であった。又、粉体塗料として使用する場合、他の成分を添加していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、粉体塗料用樹脂にシランカップリング剤を混合反応させた新規樹脂組成物を得ることを目的とし、該樹脂組成物はガラス繊維接着剤、粉体塗料等に有効に使用される。

【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、粉体塗料用樹脂、飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂に、シランカップリング剤の少なくとも1種類を2〜5%前後混合加熱したものである。必要に応じて顔料を添加させる。
【発明の効果】
【0005】
本発明の混合物質は、従来ある粉体塗料用樹脂にくらべて優れている。
【0006】
本発明に係る混合物質は、飽和ポリエステル樹脂単独に較べてガラス繊維接着剤としての性能が数段優れている。又、粉体塗料としても優れた性能を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
粉体塗料用樹脂とシランカップリング剤の少なくとも1種との混合物質を170マイクロから300マイクロの粒径に粉砕して使用する。シランカップリング剤としては以下のものが挙げられる。
信越化学工業株式会社のKA1003(ビニルトリクロルシラン)
信越化学工業株式会社のKBM1003(ビニルトリメキトキシシラン)
信越化学工業株式会社のKBE1003(ビニルトリエトキシシラン)
信越化学工業株式会社のKBM303(2(3,4エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン)
信越化学工業株式会社のKBM403(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
信越化学工業株式会社のKBE402(3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン)
信越化学工業株式会社のKBE403(3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)
信越化学工業株式会社のKBM1403(P−スチリルトリメトキシシラン)
信越化学工業株式会社のKBM502(3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン)
信越化学工業株式会社のKBM503(3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン)
信越化学工業株式会社のKBM5103(3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)
信越化学工業株式会社のKBM602(N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン)
信越化学工業株式会社のKBM603(N−2(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)
信越化学工業株式会社のKBE603(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン)
信越化学工業株式会社のKBM903(3−アミノプロピルトリメトキシシラン)
信越化学工業株式会社のKBE903(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)
信越化学工業株式会社のKBE9103(3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン)
信越化学工業株式会社のKBM573(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)
信越化学工業株式会社のKBM575(N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩)
信越化学工業株式会社のKBM6123(特殊アミノシラン)
信越化学工業株式会社のKBE585(3−ウレイトプロピルトリエトキシシラン)
信越化学工業株式会社のKBM703(3−クロロプロピルメリメトキシシラン)
信越化学工業株式会社のKBM802(3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン)
信越化学工業株式会社のKBM803(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)
信越化学工業株式会社のKBE846(ビス(トリエトキシリルプロピル)テトラスルフィド)
信越化学工業株式会社のKBE9007(3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン)

【0008】
樹脂の加熱混合は、各樹脂を均一に混合し、樹脂の軟化点付近で加熱混合する。好ましくは、押出し機を使用し、2軸押出し機の場合、シリンダー第1段90度、第2段100度近辺で行うツウィンスクリュー142RPMが好ましい。押し出し機滞留時間は、約60秒位である。製品は粉砕工程を経て、300マイクロから170マイクロに調整する。得られた製品は、ガラス繊維の接着剤として使用する。ガラス繊維の不繊布、即ち、ガラスマットを製造する場合は、ガラス繊維を不織布状に敷き詰めた上から散布し、180度から250度に加熱して接着を行い、ガラスマットを製造する。また、上記本発明に係る樹脂あるいは、ビスフェノール系樹脂(例えば、三洋化成工業株式会社の13ST)、あるいは本発明樹脂と変性エポキシ樹脂水溶液を併用することにより相乗効果が得られる。また、着色したガラス繊維不織布(マット)用、あるい粉体塗料用として、上記組成物の製造時に無機顔料、有機顔料、不溶性色素、レーキ顔料の少なくとも1種を添加する。また、粉体塗料用樹脂の製造時にシランカップリング剤を添加しておけば、あと粉砕するだけで良い。
【実施例1】
【0009】
テレフタル酸と多価アルコールを反応させた樹脂97重量パーセントとエポキシシラン(例えば、信越化学工業株式会社製KBM403)を3重量パーセント混合し、二軸押し出し機に投入しシリンダーの第2段100度でツウィンスクリュー142RPMで約60秒で押出し、加熱混合を行う。テレフタル酸と多価アルコールを主成分とする樹脂をサンプル樹脂5710と称する。得られた混合物を粉砕して170マイクロから300マイクロに篩分けしてパウダーを得、接着剤あるいは粉体塗料として使用する。(以下、サンプル粉末NBL−112と称する。変性エポキシ化合物をMATRIX03と称する。)
【実施例2】
【0010】
サンプル樹脂5710、サンプル粉末NBL−112、現在多量に使用されているビスフェノールエチレンオキサイトフマル酸の反応物(市販品B)MATRIX03を使用しガラス繊維のマット作成し、接着強度を比較した。結果は、表―1のとおりであり、NBL−112とMATRIX03の併用が特に優れている。
【0011】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体塗料用樹脂とシランカップリング剤の混合物を主成分とする樹脂組成物。
【請求項2】
粉体塗料用樹脂が飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂の少なくとも1種である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1の樹脂組成物に顔料を添加混合した樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1、請求項2、請求項3の樹脂組成物いずれかを主成分とするガラス繊維接着剤。
【請求項5】
請求項1、請求項2、請求項3の樹脂組成物いずれかを主成分とする粉体塗料。
【請求項6】
請求項1においてシランカップリング剤がエポキシシランである樹脂組成物。
【請求項7】
粉体塗料用樹脂とシランカップリング剤の比率が飽和ポリエステル樹脂95パーセントから98パーセント、シランカップリング剤2パーセントから5パーセントである樹脂組成物。


【公開番号】特開2010−90319(P2010−90319A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−263356(P2008−263356)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000102924)エヌビイエル株式会社 (22)
【Fターム(参考)】