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樹脂複合導電チューブ
説明

樹脂複合導電チューブ

【課題】円筒状不織布の表面に継ぎ目がなく均一で、且つ、樹脂複合導電チューブの表面から内部まで樹脂を均等に分布させることで、加圧、摩擦、吸着、吸収、塗布等の性能を長期間に亘って発揮できる樹脂複合導電チューブを提供する。
【解決手段】ニードリングにより一体化した円筒状不織布の構造体に、遅効性凝固剤を含有する導電性樹脂を付着させたもので、マイグレーションや沈降を防止することにより、表面から内部まで均一な導電性を有している。また、他の形態として、導電性樹脂を含みニードリングにより一体化した円筒状不織布の構造体に、遅効性凝固剤を含有する樹脂を付着させている。さらに、他の形態として、導電性樹脂を含みニードリングにより一体化した円筒状不織布の構造体に、遅効性凝固剤を含有する導電性樹脂を付着させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニードリングにより一体化した円筒状樹脂複合導電チューブに関するものである。この種の樹脂複合導電チューブは、ロール芯材の外周に装着して、除電、加圧、摩擦、吸着、吸収、塗布など各種機能を発現せしめる一般工業用不織布導電ロールであリ、用途としては、鉄鋼、非鉄金属、ガラスの製造工程、フイルム製造工程、物流ロールコンベアにおいて搬送用ロールの被覆材として搬送物の除電、傷防止クッション、ロールの滑り防止、騒音防止に利用される。また、薄板鋼板等の表面処理工程においてメッキ液、洗浄液等の薬液の拭取り及び防錆油等の塗布、洗浄、印刷機においてインクの塗布及び拭取り、ドラム、ベルト、ロール、紙、フイルムなどからの除電、現像機において薬液の塗布及び拭取り、複写機において、ドラム、ベルト、ロール、紙、フイルムなどからの除電、トナーの拭取り、掻き落し、移動、オイルの塗布用のロール、の被覆材などにも使用される。
【背景技術】
【0002】
従来、不織布でロール芯材を被覆した導電ロールが開示されている。例えば、シャフトの外周面上に、導電性不織布を螺旋状または海苔巻き状に巻回したものや、導電性不織布をドーナツ状に打ち抜いて、その多数枚をシャフトに挿入してシャフトの軸方向に積層したもので、この導電性不織布層は導電性ポリマーで被覆されていることを特徴とする導電ロールが開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、本出願人は、一般工業用不織布ロールとして、表面に継ぎ目がなく均一で、且つ、表面から内部まで樹脂が均等に分布し、ロール芯材の外周に装着して、加圧、摩擦、吸着、吸収、塗布など各種機能を有する樹脂複合耐熱チューブ被覆材を開示している(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平04−36999号公報
【特許文献2】特開2002−13078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示す導電ロールでは、図4に示すように、(a)細巾の不織布あるいは樹脂により繊維を固定した不織布を螺旋状に巻き付けた導電ロール、および(b)ロール巾の不織布を海苔巻き状に巻き付けた導電ロールは、その巻き付けに手間がかかるだけでなく、巻き付けた不織布や樹脂により繊維を固定した不織布間に隙間、重なり、接着剤層が生じてしまうという問題がありロール表面の均一性に欠けるものであった。また、長期使用すると接着剤が劣化してロールから部分的に剥がれるという問題が生じていた。さらに、(c)ドーナツ状に打ち抜いた不織布あるいは樹脂により繊維を固定した不織布の円板を多数枚シャフトに挿入して積層した導電ロールでは、不織布あるいは樹脂により繊維を固定した不織布の製造ロスが大きく、且つ、圧縮成形に手間がかかり価格の高い導電ロールとなっていた。
【0006】
また、導電性不織布層を導電性ポリマーで被覆した除電ロールにおいて、シート状不織布あるいは、円筒状に一体化した不織布にエマルジョンを含浸させて乾燥する公知の方法では、図5に示すように、水分が不織布の表面から蒸発して乾燥するため、乾燥が進むに従って不織布内部のエマルジョンが表面近くに移行し(所謂、マイグレーション)、そこで乾燥して樹脂分を残すこととなる。そのため、ロール被覆材として使用される不織布層の表面付近は多量のゴムまたは合成樹脂を含有しているが、内部はゴムまたは合成樹脂の含有量が少なくなる。一方、乾燥時間が長いと、エマルジョンが自重で下方に沈降して、下部は多量のゴムまたは合成樹脂を含有しているが、上部はゴムまたは合成樹脂の含有量が少なくなる。不織布の厚さが薄い場合には、それほど問題はないが、厚くなるに従って不織布の表面付近と内部とに差が生じ、表面付近は、電気抵抗値が低くすなわち導電性が高く除電性能が高いが、内部は電気抵抗値が高くすなわち導電性が低く除電性能が低くなる。また、ロールの硬度も表面付近は高く内部は低くなり、工業用導電ロールとして要求される除電、加圧、摩擦、吸着、吸収、塗布等の性能が、ロールが摩耗することによって急速に変化し、性能が安定せず長期間に亘って使用することが困難となっていた。
【0007】
前記のロールが磨耗することによって工業用ロールの加圧、摩擦、吸着、吸収、塗布等の性能が安定しない問題点を解決するために、本出願人は特許文献2に示すような樹脂複合耐熱チューブ被覆材を提供しているが、本出願は、工業用導電ロールに要求される加圧、摩擦、吸着、吸収、塗布等の性能に加えて、さらに導電性すなわち電気抵抗値、除電性能においても長期間の使用に耐えるよう改良を加えたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の樹脂複合導電チューブは、ニードリングにより一体化した円筒状不織布の構造体に、遅効性凝固剤を含有する導電性樹脂を付着させたもので、マイグレーションや沈降を防止することにより、表面から内部まで均一な導電性を有している。また、他の形態として、導電性樹脂を含みニードリングにより一体化した円筒状不織布の構造体に、遅効性凝固剤を含有する樹脂を付着させている。さらに、他の形態として、導電性樹脂を含みニードリングにより一体化した円筒状不織布の構造体に、遅効性凝固剤を含有する導電性樹脂を付着させている。
【0009】
本発明では、樹脂として粘度が低いエマルジョン系のものを使用しているので、不織布の中心部まで充分に樹脂が浸透する。樹脂が不織布の中心部まで浸透した状態で、そのまま放置すると遅効性凝固剤の作用で凝固する。凝固の際に不織布の表面から水分を蒸発させることがないので、樹脂分が内部から表面近くに移行して付着量のむらが生じるようなことがない。また外部から何らかの作用を受けることもないので、表面近くと内部とで凝固状態が異なることや、樹脂の固まりや空洞が生じることがない。
【0010】
すなわち、本発明においては、円筒状に形成された樹脂複合導電チューブの表面には継ぎ目がなく均一で、且つ、樹脂複合導電チューブの表面から内部まで樹脂が均等に分布している。そして樹脂複合導電チューブの表面側も内部も樹脂の付着量が均等であって、当該硬度、電気抵抗値のバラツキが小さく、したがって、表面が減摩して内部が露出しても工業用導電ロールとして要求される除電、加圧、摩擦、吸着、吸収、塗布等の性能が低下することなく発揮でき長期間に亘って使用できる。また、従来のものに較べて充分に厚いものにすることも可能であり、部分摩耗した場合は再研磨することにより長期間に亘って使用することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、円筒状に形成された樹脂複合導電チューブの表面に継ぎ目がなく均一で、且つ、樹脂複合導電チューブの表面から内部まで樹脂が均等に分布しているという特徴を有している。これにより、表面が減摩して内部が露出しても工業用導電ロールとして要求される除電、加圧、摩擦、吸着、吸収、塗布等の性能が低下することなく発揮でき長期間に亘って使用できる。また、従来のものに較べて充分に厚いものにすることも可能であり、部分摩耗した場合は再研磨することにより長期間に亘って使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明による樹脂複合導電チューブを示したもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。図2は本発明による樹脂複合導電チューブの処理段階を示した説明図である。図3は、本発明による樹脂複合導電チューブを、ロール芯材と平行方向に2分割または4分割した切片の斜視図である。図4は、従来の除電ロールを示したもので、(a)は不織布を螺旋状に巻付けたもの、(b)は不織布を海苔巻き状に巻付けたもの、(c)はドーナツ状に形成した多数の不織布を、ロール芯材に積層したものである。図5は、従来の除電ロールにおいて、マイグレーションや沈降が生じた状態を示したものである。
【0013】
図1〜図3において、1は樹脂複合導電チューブであり円筒状不織布などで形成されている。2はロール芯材である。5は樹脂複合導電チューブの表面側、6はA部、7はB部、8はC部、9は内面側である。本発明における不織布は、その素材として、羊毛などの天然繊維、レイヨンなどの非導電性の再生繊維や導電性の再生繊維、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ビニロンなどの非導電性の合成繊維や導電性繊維の合成繊維が使用され、これらの短繊維または長繊維をニードルパンチ等の公知の方法で円筒状不織布としたものが使用される。これらの円筒状不織布を単独で使用することもできるが、レイヨンなどの非導電性の再生繊維や導電性の再生繊維、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ビニロンなどの非導電性の合成繊維や導電性繊維の合成繊維で織られた織布の表面に前記繊維素材を積層して織布で補強し、円筒状にニードルパンチして形成した不織布を使用することもできる。円筒状不織布の見掛け密度は0.1〜0.5g/cc程度が適当である。密度が0.1g/cc未満では充分な強度が得られず耐久性に劣る。また0.5g/ccを越えると組織が密になり相手材に適切にフィットせず、工業用導電ロールに要求される除電、加圧、摩擦、吸着、吸収、塗布等の性能が発揮できず、また相手材に傷を付けるおそれがある。
【0014】
樹脂は、合成ゴム系、アクリル系、ポリウレタン系など弾性、摩擦力、吸収などの各々の目的に応じて選択使用される。必要に応じてメチロールメラミン、エポキシなどの架橋剤、水分散顔料などの着色剤、界面活性剤などの浸透浸水剤、炭酸カルシウムなどの充填剤、老化防止剤など、通常の樹脂に使用される各種の添加剤を添加してもよい。
【0015】
樹脂に配合する導電成分としては、ポリアセチレン系樹脂、ポリアセン系樹脂、ポリ芳香族ビニレン系樹脂、ポリピロール系樹脂、ポリアニリン系樹脂、及びポリチオフェン系樹脂、並びにこれらの誘導体より選択した導電性樹脂一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。樹脂組成物中に均一に分散できるものであれば使用可能であり、カーボンブラック粉末、グラファイト粉末、カーボンファイバーやアルミニウム,銅,ニッケルなどの金属粉末、酸化チタン,酸化亜鉛などの金属酸化物粉末、導電性ガラス粉末などの粉末状導電剤が好ましく用いられる。この導電成分の配合量は、目的とする樹脂複合導電チューブの用途や状況に応じて適宜選定すればよく、特に制限されるものではないが、通常は組成物全体に対して5〜50重量%であり、特に好ましくは10〜30重量%である。
【0016】
そして、このエマルション(溶質溶媒が共に液体である分散系溶液のこと)に、遅効性の凝固剤が添加される。遅効性の凝固剤としては、例えば炭酸水素ナトリウム、硫酸アンモニウム、ケイフッ化ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、塩化マグネシウム、又は、塩化カルシウムなどの塩類を単独又は混合使用するのが適当である。凝固剤の添加量は、エマルションの種類、気温、液温などによっても異なるが、樹脂固形分に対しておおむね0.1〜5.0重量%とするのが適当である。この凝固剤の作用により、樹脂が数時間程度で凝固するよう調整するのが好ましい。樹脂の固形分濃度は、5〜40重量%とするのが適当である。固形分濃度が5重量%未満であると、凝固速度が遅くなり、しかも円筒状不織布に対する樹脂の付着量が少なくなり、樹脂複合導電チューブの耐久性がなくなる。また固形分濃度が40重量%を越えると、エマルションが凝固剤に対して敏感になり、不用意に凝固し易くなる。また円筒状不織布に含浸する際にも樹脂の粘度が高くなり、当該樹脂が充分に円筒状不織布中に浸透せず、均一な樹脂複合導電チューブが得られ難い。
【0017】
円筒状不織布に対する樹脂の付着量は、使用形態に応じて適切な量とすべきであるが、繊維に対して10〜200重量%、好ましくは20〜100重量%である。樹脂の付着量は前記10%未満では、円筒状不織布の個々の繊維を充分に固着することができず除電、加圧、摩擦、吸着、吸収、塗布など工業用導電ロール被覆材として樹脂複合導電チューブを使用する際、繊維が脱落し易く耐久性に乏しい。また200%を越えると、導電性不織布ロールは組織が密になり硬度が高くなり相手材に適切にフィットせず、工業用導電ロールとして要求される除電、加圧、摩擦、吸着、吸収、塗布等の性能が発揮できずまた相手材に傷を付ける恐れがある。
【0018】
図2は樹脂複合導電チューブの処理段階を示した説明図である。(a)に示す円筒状不織布に樹脂を含浸した後、(b)では、そのまま室温で数時間放置し、円筒状不織布に含浸させた樹脂を凝固させる。このとき40〜90℃程度に加温して、樹脂の凝固を促進することも好ましいことである。(c)では、樹脂が充分凝固したならば、遅効性凝固剤を洗浄後、これを100〜150℃に加熱して水分を蒸発させ乾燥させる。そしてこれを所定の寸法に裁断しロール芯材に装着接着し、表面研磨して仕上げる。樹脂複合導電チューブの硬度はJISK6301のスプリングC型硬度計において30〜90度が適当である。硬度が30度未満では工業用導電ロールとして要求される除電、加圧、摩擦、吸着、吸収、塗布等の性能が発揮できず耐久性に乏しい。硬度が90度を越える場合は工業用導電ロールとして要求される除電、加圧、摩擦、吸着、吸収、塗布等の性能が発揮できず、また相手材に傷を付ける恐れがある。
【実施例】
【0019】
(実施例1)導電性アクリル繊維(繊度3.3dtex、カット長50〜76mm)よりなる400g/mのウエブに円筒形のベッドプレートを有する特殊ニードル機によりニードルパンチを施して密度0.2g/cc、厚さ2mm、内径40mm、外径44mm、長さ500mmの円筒状不織布を作成した。ポリウレタン系エマルジョン100重量部に、導電性ポリアニリン系樹脂20重量部、炭酸水素ナトリウム0.5重量部を添加して樹脂液を調整した。前記円筒状不織布に樹脂液を含浸させ固形分で100%重量比となるよう調整した。そして140℃で4時間乾燥して、密度0.40g/ccの樹脂複合導電チューブとした。
【0020】
(比較例1)前記実施例1で述べたものと同じ円筒状不織布に、ポリウレタン系エマルジョン100重量部に、導電性ポリアニリン系樹脂20重量部を添加して樹脂を調整した。前記円筒状不織布に樹脂液を含浸させ固形分で100%重量比となるよう調整した。そして140℃で4時間乾燥して、密度0.40g/ccの樹脂複合導電チューブとした。
【0021】
(実施例2)導電性アクリル繊維(繊度3.3dtex、カット長50〜76mm)よりなる1600g/mのウエブに円筒形のベッドプレートを有する特殊ニードル機によりニードルパンチを施して密度0.2g/cc、厚さ8mm、内径40mm、外径56mm、長さ500mmの円筒状不織布を作成した。二トリル−ブタジエン共重合ゴム系エマルジョン100重量部に、導電性ポリアニリン系樹脂20重量部、加硫剤ディスパージョン5重量部(組成はコロイド硫黄20部、亜鉛華60部、加硫促進剤EZ10部、加硫促進剤MZ10部、水90部)、炭酸水素ナトリウム0.5部を添加して樹脂液を調整した。前記円筒状不織布に樹脂液を含浸させ固形分で60%重量比となるよう調整した。そして140℃で4時間乾燥して、密度0.34g/ccの樹脂複合導電チューブとした。
【0022】
(比較例2)前記実施例2で述べたものと同じ円筒状不織布に、二トリル−ブタジエン共重合ゴム系エマルジョン100重量部に、導電性ポリアニリン系樹脂20重量部を添加して樹脂を調整した。前記円筒状不織布に樹脂液を含浸させ固形分で60%重量比となるよう調整した。そして140℃で4時間乾燥して、密度0.35g/ccの樹脂複合導電チューブとした。
【0023】
前記実施例1、2および比較例1,2の樹脂複合導電チューブの評価を、それぞれ下記に従って行った。評価結果を表1および表2に示す。
【0024】
〔樹脂複合導電チューブの評価方法〕
(1)表面付近と内部との硬度バラツキ
図3に示すように、樹脂複合導電チューブを100cm幅に裁断しその切り口を実施例1および比較例1では厚み方向に2分割し、実施例2および比較例2では厚み方向に4分割し、分割面の各部分についてそれぞれ円周方向の4カ所において硬度を測定した。硬度計はJISK6301のスプリング硬度計を使用した。各部の硬度を表1に示す。なお、表1において、実施例1及び比較例1では、樹脂複合導電チューブの厚みを2等分した表面側から内側の3つの部分とは、表面部5、B部7、内面部9の位置である。実施例2及び比較例2では、樹脂複合導電チューブの厚みを4等分した表面側から内側の5つの部分とは、表面部5、A部6、B部7、C部8、内面部9の位置である。また、硬度のバラツキは、実施例1および比較例1では、各例について12のデータ、実施例2および比較例2では、各例について20のデータの最大値と最小値との差を平均で割って100を掛けた数値である。
【0025】
(2)表面付近と内部との導電性バラツキ
図3に示すように、樹脂複合導電チューブを100cm幅に裁断しその切り口を実施例1および比較例1では厚み方向に2分割し、実施例2および比較例2では厚み方向に4分割し、分割面の各部分についてそれぞれ円周方向の4カ所において電気抵抗値を測定した。測定は日置電機株式会社製ディジタルメグオームハイテスター34531を使用した。各部の電気抵抗を表2(単位;Ω/sq)に示す。なお、表2において、実施例1及び比較例1では、樹脂複合導電チューブの厚みを2等分した表面側から内側の3つの部分とは、表面部5、B部7、内面部9の位置である。実施例2及び比較例2では、樹脂複合導電チューブの厚みを4等分した表面側から内側の5つの部分とは、表面部5、A部6、B部7、C部8、内面部9の位置である。また、電気抵抗値は、実施例1および比較例1では、各例について12のデータ、実施例2および比較例2では各例について20のデータを平均した数値である。
【0026】
(3)マイグレーション評価
試験片の断面を目視で観察して評価した。表2において、マイグレーションがないものは「なし」、マイグレーションがあるものは「あり」と表示している。











【0027】
【表1】

【0028】
【表2】

【0029】
本発明の実施例1,2においては、表面化から内側の電気抵抗値が10Ω/sq台であり、表面側から内部まで電気抵抗値すなわち導電性、除電性能においても均一であることがわかる。表面が減摩して内部が露出しても工業用導電性ロールとして要求される導電性、除電性能が低下することなく発揮できる。もし、部分摩耗した場合は再研磨することで長期間に亘って使用できる。これに対し比較例1,2においては、電気抵抗値の表面付近と内部の差が大きい。特に比較例2のものは厚みが8mmと厚いので、樹脂が表面付近に集中して電気抵抗値が高く中央付近のB部は樹脂が移行して少なくなっており電気抵抗値が高くなって測定限界を超えている。従って樹脂複合導電チューブの表面付近が摩耗すると、ローラー表面の電気抵抗値すなわち導電性、除電性能が大幅に変化して工業用導電ロールに適さない。実施例1,2と比較例1,2を比較すれば、本発明による顕著な効果が理解できる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、主とした用途として、鉄鋼、非鉄金属、ガラスの製造工程、フイルム製造工程、物流ロールコンベアにおいて搬送用ロールの被覆材として搬送物の除電、傷防止クッション、ロールの滑り防止、騒音防止に利用される。また、薄板鋼板等の表面処理工程においてメッキ液、洗浄液等の薬液の拭取り及び防錆油等の塗布、洗浄、印刷機においてインクの塗布及び拭取り、ドラム、ベルト、ロール、紙、フイルムなどからの除電、現像機において薬液の塗布及び拭取り、複写機において、ドラム、ベルト、ロール、紙、フイルムなどからの除電、トナーの拭取り、掻き落し、移動、オイルの塗布用のロールとして述べた。しかしながら、これに限定されるものではなく、ロール芯材の外周に装着して、除電、加圧、摩擦、吸着、吸収、塗布など各種機能を発現せしめる一般工業用導電ロール被覆材として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による樹脂複合導電チューブを示したもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図2】本発明による樹脂複合導電チューブの処理段階を示した説明図である。
【図3】本発明による樹脂複合導電チューブを、ロール芯材と平行方向に2分割または4分割した切片の斜視図である。
【図4】従来の導電ロールを示したもので、(a)は不織布を螺旋状に巻付けたもの、(b)は不織布を海苔巻き状に巻付けたもの、(c)はドーナツ状に形成した多数の不織布を、ロール芯材に積層したものである。
【図5】従来の導電ロールにおいて、マイグレーションや沈降が生じた状態を示したものである。
【0032】
1 樹脂複合導電チューブ
2 ロール芯材
5 表面部
6 A部
7 B部
8 C部
9 内面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニードリングにより一体化した円筒状不織布の構造体に、遅効性凝固剤を含有する導電性樹脂を付着させてなり、表面から内部まで均一な導電性を有し、長期間の使用に耐える樹脂複合導電チューブ。
【請求項2】
導電性樹脂を含み、ニードリングにより一体化した円筒状不織布の構造体に、遅効性凝固剤を含有する樹脂を付着させてなり、表面から内部まで均一な導電性を有して長期間の使用に耐える樹脂複合導電チューブ。
【請求項3】
導電性樹脂を含み、ニードリングにより一体化した円筒状不織布の構造体に、遅効性凝固剤を含有する導電性樹脂を付着させてなり、表面から内部まで均一な導電性を有して長期間の使用に耐える樹脂複合導電チューブ。
【請求項4】
前記遅効性凝固剤が、炭酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、ケイフッ化ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、メチルアルコール、又は、エチルアルコールなどのアルコール類の単体又は複数で構成され凝固剤の添加量が樹脂固形分に対して0.1〜5.0重量%であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の樹脂複合導電チューブ。
【請求項5】
前記導電性樹脂が、ポリアセチレン系樹脂、ポリアセン系樹脂、ポリ芳香族ビニレン系樹脂、ポリピロール系樹脂、ポリアニリン系樹脂、及びポリチオフェン系樹脂、並びにこれらの誘導体より選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の樹脂複合導電チューブ。
【請求項6】
前記導電性樹脂が、ポリアセチレン系樹脂、ポリアセン系樹脂、ポリ芳香族ビニレン系樹脂、ポリピロール系樹脂、ポリアニリン系樹脂、及びポリチオフェン系樹脂、並びにこれらの誘導体より選択される少なくとも一種に、カーボンブラック粉末、グラファイト粉末、カーボンファイバーやアルミニウム,銅,ニッケルなどの金属粉末、酸化チタン,酸化亜鉛などの金属酸化物粉末、導電性ガラス粉末などの粉末状導電剤を添加することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の樹脂複合導電チューブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−70862(P2010−70862A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−236168(P2008−236168)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【出願人】(000229863)アンビック株式会社 (35)
【Fターム(参考)】