説明

機器の保守最適化システム及び保守最適化方法

【課題】共通する部品を有する複数機器を対象とした保守最適化システムであって、複数の機器に関する検査・保守等の作業を行う各作業者からの情報を、共通部品という観点で一元管理する。
【解決手段】予防保守作業に必要な各サイトの各装置構成に対する作業情報の管理は、複数種類の作業内容(部品情報含む)及び作業周期を作業テンプレートとして管理し、階層化された予防保守構成マスタに対し割当てて登録・管理を行う。
個別装置/予防保守サービス計画の作成機能により、納入されている各サイトの個別装置毎に、登録済作業テンプレートを割当てて作業計画を自動作成し登録・管理を行う。保守管理サーバから出力されるものとして、個別装置/予防保守計画書、個別装置/予防保守提案書、予防保守見積書などがある。作業テンプレート更新機能により、作業テンプレートを修正することで、登録されている各サイトの予防保守個別構成の登録済作業計画を一括で修正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器の保守最適化システム及び保守最適化方法に係り、特に、保守サービス会社が、共通する部品を有する複数の精密な機器を含むシステムを対象として、検査・保守等のサービスを提供する場合において、これらの機器の検査・保守等の作業に関する作業者からの情報を生かして各機器の予防保守に活用する、保守最適化システム及び保守最適化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機器の保守最適化システムに関する技術として、特許文献1には、原子力発電所のような発電プラントにおいて、状態監視保守による定期検査の合理化、機器部品の経年劣化の検査、系統機器で発生したトラブルの分析などを遠隔で行う発電プラントの監視・診断・検査・保守システムに関する発明が開示されている。特許文献1に記載のシステムは、サイトに設置されたプラントや機器の監視手段と、定期検査やトラブル対応等の保守データを収集管理する管理手段から、運転データおよび保守データを取り込み、保守サービス会社に設けられた格納手段に格納する。これらの運転、保守データなどのフィールドデータは検索手段によって閲覧可能であると同時に、保守サービス会社に送信手段を用いて移送され、保守サービス会社のサブ解析手段によって、監視診断対象に応じた物理則に基づく監視診断を実施し、異常の早期発見やトラブル対応支援のためのコンサルテーションを通信手段を通じて行う。また、同じくサブ解析手段によって、フィールドデータに基づいて機器の経年劣化状況を分析し、劣化の進行を予測して点検時期を判断し、短期から長期にわたる適切な保守計画を通信手段を通じて提供する。さらに、ユーザの要求に応じて、過去の事例や設計情報の提供、解析や設計コードの使用権の提供サービスも行う。これらにより、プラントを所有する会社の保守コストの削減を実現し、総合的な保守サービスを提供する。
【0003】
一方、特許文献2には、整備作業者が携帯する情報端末装置と情報管理装置とを備えた航空機整備支援システムが開示されている。特許文献2の発明では、整備実行項目毎に一つのページ画面に表示することで、利便性、操作性を高めている。
【0004】
また、特許文献3には、保守の費用対効果を最大にする最適保守計画決定方法であって、最適保守メニューとシミュレーションで計算した確率とに基づき具体的補修方法を発生させる方法が開示されている。また、特許文献4にも、交換時期における部品の状態の確率を算出する保守事業シミュレータが開示されている。
【0005】
さらに、特許文献5には、自動車の消耗品の累積走行距離に基づき、消耗品の交換を指示する自動車整備通知方法が開示されている。また、特許文献6には、既納品情報と保守情報とからリプレース対象案件を抽出するリプレース生産管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−114294号公報
【特許文献2】特開2011−96116号公報
【特許文献3】特開2003−99119号公報
【特許文献4】特開2004−323162号公報
【特許文献5】特開2003−137079号公報
【特許文献6】特開2004−139363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の発明は、特定のプラントを対象とした保守最適化システムであり、共通する部品を有する複数の機器を対象とした部品の保守最適化システムではない。
【0008】
また、特許文献2の発明は、複数の航空機の整備を対象としているものの、これら複数の航空機の検査・保守等の作業に関する作業者からの情報を生かして共通する部品整備に活用することについて、十分な配慮はなされていない。
【0009】
特許文献3の発明も、共通する部品を有する複数の機器を対象とした部品の保守について、十分な配慮はなされていない。
【0010】
特許文献4の発明は、共通する部品を有する昇降機等を対象にしているものの、シミュレータを使用するものであり、対象となる機器に特化したシミュレータを開発するためにコストを要する。また、精密な計測機器や医療機器のように、多機種少量生産タイプの製品であって、使用期間中は常に高い精度が求められるものの、短期間に十分な部品関連情報が得られないような分野の機器には適していないと考えられる。
【0011】
特許文献5の発明は、自動車の走行距離を基に消耗品の交換時期を判定するものであるが、自動車の部品のように大量生産、大量消費されるものでない、多機種少量生産タイプの機器の部品に関して、同様の手法で交換時期の判定を行うことは、十分な情報が得られないため必ずしも適切な手段ではないと考えられる。
【0012】
特許文献6の発明は、既納品情報と保守情報とをリプレースの管理に利用するものであり、そのまま部品の保守に利用することは困難であると考えられる。
【0013】
本発明の目的は、共通する部品を有する複数機器を対象とした保守最適化システムであって、短期間に十分な部品関連情報が得られないような分野の機器に関する検査・保守等の作業を行う各作業者からの情報を、共通部品という観点で一元管理し、ユーザ装置毎の最適な予防保守を実現することのできる、低コストの、機器の保守最適化システム及び保守最適化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の代表的なものの一例を示すと、次の通りである。本発明の機器の保守最適化システムは、保守サービス会社の保守管理サーバがネットワークを介して、複数の装置サイト及び作業者端末に接続可能に構成されており、前記各装置サイトには、複数の装置サイト間で共通する部品を有しかつ保守サービスの対象となる個別装置が設置されており、前記保守管理サーバは、演算処理部及びデータベースを備えており、前記データベースは、予防保守構成マスタDB、個別装置構成DB、作業テンプレートDB、作業計画DB、及び作業来歴DBを有しており、予防保守管理に必要な当該システム内の全ての前記個別装置の構成を網羅した装置構成の管理情報を全予防保守構成マスタとしてマスタ化し、該当予防保守構成マスタが前記予防保守構成マスタDBに登録され、前記予防保守構成マスタから前記個別装置に必要な情報を参照して、前記各装置サイトの装置毎に実装される装置構成の管理情報が作成され、個別予防保守構成として前記個別装置構成DBに登録され、前記予防保守構成マスタDBに対して、どの部位・部品に対して、どの部品を使って、何をするかを定義する作業テンプレートが前記作業テンプレートDBに登録され、前記各個別装置が、前記予防保守構成マスタDBを通じて前記1つの作業テンプレートを共有して参照する機能を有し、前記演算処理部は、前記個別装置毎に、前記作業テンプレートを割当てて作業計画を作成して、前記作業計画DBに登録し、前記作業テンプレートを用いて、前記共通する部品に関する前記各サイトの保守関連情報を一元管理し、前記作業者端末で作成された前記各個別装置に関する作業来歴チェックシート及び報告書を受け取って来歴伝票を生成し、該来歴伝票により、前記各個別装置に関する前記作業来歴を前記作業来歴DBに蓄積し、前記作業計画及び前記作業来歴に基づいて、前記各個別装置の保守に関する予防保守サービス計画の提案書を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の顧客装置(機器)を対象とした保守最適化システムにおいて、部品の保守関連情報を一元管理するので、短期間に十分な部品関連情報が得られないような分野の機器であっても、顧客装置毎に豊富な情報に基づいた予防保守の提案書を自動的に提案することができる。また、部品の保守実績から予防保守計画を顧客装置毎に算出し、見積の根拠となる質の高い提案書をタイムリーに提出できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係わる、複数の顧客装置(機器)を対象とした保守最適化システムの全体構成例を示す、概念図である。
【図2】図1の保守管理サーバの主な機能、及びデータベースの主な構成例を示す図である。
【図3】予防保守用の予防保守装置構成マスタの構成例を示す図である。
【図4】予防保守装置構成マスタと個別装置構成、及び作業テンプレートの関係について説明する図である。
【図5】作業テンプレートによるリンク付けについて、説明する図である。
【図6】作業テンプレートによる、予防保守装置構成の予防保守構成マスタと個別装置構成の各種伝票(提案書伝票、見積書伝票、手配、サービス確認伝票)間の、繋がりについて説明する図である。
【図7】保守管理サーバ及び作業者端末における保守最適化処理のメインフローを示す図である。
【図8】保守管理サーバにおける保守最適化処理における、各部の動作を説明する図である。
【図9】作業テンプレートのフォーマット及び入力方法について説明する図である。
【図10】作業テンプレートによる入力について説明する図である。
【図11】作業テンプレートによる入力について説明する図である。
【図12】図11の入力作業の詳細について説明する図である。
【図13】予防保守装置構成と個別装置構成の関連について、説明する図である。
【図14】比較例として、予防保守装置構成がない場合の、個別装置構成間の関係を示す図である。
【図15】本発明による、予防保守装置構成がある場合の、個別装置構成間の関係を示す図である。
【図16】本発明のシステムにおいて、管理したい対象を追加の例を説明する図である。
【図17】作業来歴チェックシートで入力された作業来歴の保持方法について説明する図である。
【図18】作業来歴登録及び作業計画更新について述べる図である。
【図19】予防保守・個別装置構成と作業計画の関係について説明する図である。
【図20】作業テンプレートの更新について述べる図である。
【図21】本発明による、予防保守の提案書作成の効果を説明する図である。
【図22】本発明の保守最適化システム導入による業務時間短縮の効果を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係わる、複数の顧客装置(機器)を対象とした保守最適化システム及び保守最適化方法について、以下、図を参照しながら説明する。
【実施例】
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係わる機器の保守最適化システムの概念図である。
保守サービス会社100の保守管理サーバ110は、ウェブサーバ160及びネットワーク700を介して、顧客1(管理部門)400及びその装置サイトA(病院)200A、装置サイトB(病院)200B、−、顧客m(管理部門)400及びその装置サイトN(病院)200Nに接続されている。各装置サイトA、B、−、Nには、保守サービス対象の顧客装置(個別装置)として、多機種少量生産タイプの機器であって部品が共通する装置、例えば型式が同じ、生化学分析装置、医療用DNA解析装置、走査型電子顕微鏡などの医療用機器が設置されている。これらの医療用機器には、常に高い精度が求められるので、予防保守の果たす役割は大きい。一方で、個々の装置では短期間に十分な部品関連情報が得られない、という特徴がある。
【0019】
保守管理サーバ110は、ネットワーク700を介して、さらに、装置メーカ500、部品メーカ600の各サーバとも接続されている。作業者端末300は、GUIの画面を作業者が操作して、保守管理サーバ110との間で、無線通信による情報の送受が可能に構成された携帯端末である。なお、作業者端末300は、各々の装置サイトにおける各機器との間でも、一定の範囲で情報の送受が可能に構成されている。
【0020】
保守管理サーバ110は、演算処理部120、メモリ(図示略)やデータベース130、入出力部140、及び通信制御部150を備えている。保守管理サーバ110はコンピュータにより構成され、演算処理部120で所定のプログラムを実行することで、コンピュータに保守管理のための各種の機能を実現させる。
【0021】
図2は、図1の保守管理サーバ110の演算処理部で実行される主な機能、及びデータベース130の主な構成例を示す図である。保守管理サーバは、初期マスタデータ定義機能1100、個別装置データ定義機能1101、個別装置データ・作業テンプレート/リンク機能1102、作業テンプレート更新機能1103、作業・交換来歴更新機能1104、個別装置/予防保守サービス計画の作成機能1105、個別装置/予防保守提案書の作成機能1106、予防保守サービス受付機能1107、予防保守サービス出力機能1108などを備えている。
【0022】
データベース130には、予防保守構成マスタDB131、個別予防保守構成DB132、作業テンプレートDB133、サービス(作業)計画DB134、装置稼働情報DB135、作業来歴DB136、各種伝票用のDB137、部品価格・納期情報参照用の部品マスタDB138、及び提案書を自動出力する為の顧客予算時期参照用の顧客情報DB139等がある。
【0023】
予防保守構成マスタDB131は、特定の型式の機器の基本となる装置構成(予防保守装置構成)の部位及び部品の情報を保有している。各装置サイトの装置毎に装置の構成を管理する為、予防保守管理に必要な全装置構成を網羅した装置構成情報を予防保守構成マスタとしてマスタ化しシステムに登録・管理を行う。
【0024】
個別予防保守構成DB132は、予防保守装置構成をコピーして形成され、各装置サイトの各個別装置構成の部位及び部品の情報を保有している。なお、1つの装置サイトに、型式が同じ機器が複数設置される場合には、機器毎に個別予防保守構成DB132が設けられる。
【0025】
「作業テンプレート」とは、形式毎に行う作業、使用する部品、作業周期を管理するマスタファイルである。図2の伝票用のDB137に保持される各種伝票には、計画伝票、提案伝票、見積伝票、受注伝票、来歴伝票等がある。部品マスタDB138に保持される情報には、部品詳細情報として部品価格や部品納期情報があり、提案書に反映する情報となる。また、顧客情報DB139に保持される情報には、提案書出力先の名称・住所などに加え、提案書自動出力のタイミングの元となる予算時期情報などが含まれる。
【0026】
図1の走査型電子顕微鏡を例に挙げると、予防保守構成マスタDB131は全装置サイト200A〜200Nの走査型電子顕微鏡に対応し、個別予防保守構成DB132は各サイトの各走査型電子顕微鏡にそれぞれ対応して設けられる。なお、保守サービス会社の保守サービスの対象が、装置構成が複数の機器を組み合わせたシステム、例えば医療用計測・診断システム、あるいは、半導体製造システム等であり、共通して使用される部品を多く含んでいる場合には、予防保守構成マスタDB131がこれらのシステムの構成機器全体をカバーするように構成しても良い。
【0027】
保守管理サーバ110と、装置メーカ500、部品メーカ600、各装置サイトの顧客m(管理部門)、及び作業者端末300の間では、所定の範囲で相互に情報のやり取りが可能になっている。
【0028】
図2に戻って、保守管理サーバ110には、入出力部140を介して各種設定/入力1110やその他の情報が入力され、作業者端末300からの情報として、作業詳細記録1140、部品交換記録1150が入力される。
【0029】
以下、保守管理サーバ110で処理される主な機能について、説明する。
[初期マスタデータ定義]
初期マスタデータ定義機能1100により、各種設定/入力1110において、ユーザに納入された各サイトの装置毎に、当該装置の構成を管理する為に、予防保守管理に必要な全装置構成を網羅した装置構成情報を「予防保守構成マスタ」としてマスタ化しシステムに登録し、管理を行う。
[個別装置データ定義機能]
個別装置データ定義機能1101により、各種設定/入力1110において、「予防保守構成マスタ」をコピーして各装置サイトの各個別装置構成に対応する個別予防保守構成DB132を定義する。
[作業項目作成・管理]
個別装置データ・作業テンプレート/リンク機能1102により、予防保守作業に必要な各サイトの各装置構成に対する作業情報の管理には、複数種類(例えば最大6種類)の作業内容(部品情報含む)及び作業周期が含まれ、この情報は作業テンプレート1330(図6参照)を用いて管理する。作業テンプレート1330は、階層化された予防保守構成マスタに対し割当てて作業テンプレートDB133に登録し、管理を行う。予防保守構成マスタ131に、作業テンプレートDB133の作業情報を割当てて登録することで、各サイトの個別装置毎に作業項目を割当てる作業は省略される。
【0030】
「作業テンプレートの作成・更新」
管理者は、予め、作業テンプレート1330により、装置型式に必要であると予想される全ての作業と部品の定義を行う。なお、「作業テンプレート」の詳細については、図4以下で説明する。作業テンプレート更新機能1103により、作業テンプレートDB133を更新・修正することで、登録されている各サイトの予防保守個別構成の登録済作業計画を一括で修正することが出来る。
[作業来歴登録・管理]
作業・交換来歴更新機能1104により、予防保守個別構成DB132からダウンロードしたファイルに、各サイトにおける作業実施項目を記載し作業来歴DB136に登録することで、実施した作業内容の来歴管理を行える機能を有する。また、作業来歴の管理は、各サイトの装置を構成する部位・部品毎に、登録・管理が出来る。さらに、作業来歴登録は、各サイトの装置稼動情報(通電時間・分析時間・動作回数)も装置稼働情報DB135に登録し、管理することが出来る。
【0031】
また、故障部品の交換実績を作業来歴DB136に登録・管理する機能を有し、これにより各サイトの部位・部品毎の適正交換周期を管理することが出来る。
[作業計画作成・管理]
個別装置/予防保守サービス計画の作成機能1105により、納入されている各サイトの個別装置毎に、登録済作業テンプレートを割当てて計画伝票を自動作成して作業計画DB134に登録し、管理を行う。計画伝票には、具体的な作業計画が含まれている。すなわち、作業計画には、サービス周期の定義として、例えば、動作確認周期が1年、パーツAの交換周期が1年、パーツBの交換周期が1年又は20000通電時間、パーツAの交換周期が2年の様に、管理者により各種のサービス計画が定義される。保守管理サーバ110から出力されるものとして、個別装置/予防保守計画書1120、個別装置/予防保守提案書1130、予防保守見積書1131などがある。
【0032】
また、作業テンプレート更新機能1103により作業計画を修正することで、作業計画DB134に登録されている作業内容や作業周期などの作業情報を、各サイトの個別装置単位で管理出来る。
【0033】
作業者端末300は、各サイトの作業者が、保守管理サーバ110との間で、無線通信による情報の送受を可能に構成されている。そのため、リモートサポート機能から収集し装置稼働情報DB135に保持された稼動情報(通電時間・分析時間・動作回数)から、各サイトの部品の交換周期を自動的に再計画する機能を有する。
【0034】
作業者端末300からの情報を受けて、作業・交換来歴更新機能1104により、新たに作業来歴が登録されると、各サイトの次回の作業時期を自動で算出する機能を有する。
[提案書の作成・管理]
個別装置/予防保守提案書の作成機能1106により、作業計画及び作業来歴に基づいて、各個別装置の保守に関する予防保守サービス計画の提案書の生成に必要な情報を出力する。提案書は、作業計画及び作業来歴の作業IDや項目の情報を用いて所定の書式に作成される。すなわち、各サイトの個別装置毎に自動作成され作業計画DB134に登録された作業計画及び作業来歴を元に、ビジュアル化した提案書を自動で作成出来る。提案書を自動作成する機能の参照先は、顧客情報DB139であり、顧客情報内の予算時期を参照することで、お客様の予算立案時の最適な時期でのアプローチが可能となる。提出タイミングのデフォルトとしては、顧客予算時期の7か月前をリードタイムとして設定している。
【0035】
提案書では、ユーザに提案する内容を複数、例えば3種類、のプランとして自動的に作成することが出来る。また、作業テンプレートにより、各サイトの部品・作業毎に重要度が設定出来、部品マスタDB138を参照することで、部品価格及び部品納期情報など部品に関する全ての情報を提案書に反映させることが可能となる。
【0036】
保守管理サーバ110は、さらに、予防保守サービス受付機能1107、予防保守サービス出力機能1108、その他の機能を備えている。
【0037】
次に、本発明における、予防保守構成マスタ1310及び個別装置構成DB1320と作業テンプレート1330の関係について説明する。まず、本発明の対象となる複数の機器は、複数の共通する部品を有する特定の型式の機器である。
【0038】
図3に、予防保守用の予防保守装置構成マスタ(予防保守構成マスタ)1310の構成例を示す。予防保守構成マスタ1310は、特定の型式の機器の装置構成(予防保守装置構成)の部品情報を複数層に階層化(ツリー構造化)した構成となっている。すなわち、予防保守構成マスタ1310は、予防保守装置構成の情報を階層化し、部位・部品単位に複数階層、最大4階層、の装置構成を管理する仕様となっている。
【0039】
予防保守構成マスタ1310の各階層に、階層番号が自動付番される。例えば、予防保守装置構成の「装置S-4800」の階層番号(10000)とし、サンプリング機構(階層1)には階層番号(10001)、モータ組(階層2)には階層番号(10002)、モータ(階層3)には階層番号(10003)、ダンパ(階層3)には階層番号(10004)が自動付番される。洗浄機構(階層1)に対する(階層2)として電磁弁が2つあって、どちらか片方が選択されて個別装置構成に展開される場合も、両方の部位・部品に階層番号が自動付番される。
【0040】
次に、図4で、予防保守構成マスタ1310と個別装置構成DB1320の関連について、説明する。予防保守マスタ1310の構成情報をもとに各サイト(顧客)装置に必要な構成情報を割当てて個別装置構成を作成していく。すなわち、各サイトに納入される装置単位で、個別装置構成DB1320が作成される。これらの個別装置構成DB1320と予防保守構成マスタ1310とは、作業テンプレート1330によってリンク付けされる。
【0041】
ここで、図5、図6を参照しながら、本発明の予防保守構成マスタ1310及び個別装置構成DB1320と作業テンプレート1330によるリンク付けについて、説明する。
【0042】
本発明では、予防保守構成マスタ1310に対して、作業テンプレート1330を定義する。作業テンプレートは、『どの部位・部品に対して』、『どの部品を使って』、『何をするか』を定義する。本実施例において、作業テンプレートでは、交換、調整、クリーニング、校正、流路洗浄、性能確認のいずれかの作業を行う。この作業テンプレート1330は、提案伝票、見積伝票の作成、作業来歴チェックシートの作成に利用する。予防保守構成マスタ1310に対して、作業テンプレートを定義することにより、各サイトの個別装置構成DB1320(1320−1,−,1320−N)は、予防保守構成マスタ1310を通じて1つの作業テンプレートDB133に保持された作業テンプレート1330を共有して参照することができる。
【0043】
図5に示すように、作業テンプレート1330は、「装置のどこ(階層番号)」に「何を使って(パーツNO)」、「どんな作業(作業ID)」を行うかを予め定義する。ここでは、予防保守装置構成の装置S-4800において、階層番号(10001)の部位「サンプリング機構」に対して、「クリーニング」の作業IDを割り当てる。また、階層番号(10003)の部位「モータ」に対して「交換」の作業IDを割り当てる。
【0044】
作業テンプレート1330は、提案伝票の雛型になる。さらに、階層番号(10007)の部位「電磁弁‘」に対して「交換」の作業IDを割り当てる。
【0045】
図6で、作業テンプレート1330による、予防保守構成マスタ1310と個別装置構成DB1320の各種伝票(提案書伝票1404、見積書伝票1405、手配伝票1406、サービス確認伝票(報告書)1409)間の、繋がりについて説明する。なお、手配伝票1406は、提案・見積書伝票等の情報に基づいて経理処理システムに必要な手配を行うための伝票である。
【0046】
作業テンプレート1330には、「参照階層番号+作業ID+部品名+P/N+周期」が記載されている。P/Nはパーツナンバーである。作業来歴チェックシート1400には、「参照階層番号+作業ID+P/N+実施日+作業者+・・・」が記載されている。参照階層番号は、全ての情報の紐付けとなっている。作業来歴伝票1402には、作業IDと共に、対象階層の部品に対して行った作業と交換の実績が記載される。
【0047】
そこで、作業来歴伝票1402の「参照階層番号+作業ID+P/N+実施日+作業者」から、個別装置構成1320の作業計画(周期情報)1403を取得することができる。
【0048】
すなわち、(1)提案・見積・手配の各伝票のP/Nは作業テンプレート1330のP/N情報が反映される。(2)作業来歴チェックシート1400は、作業テンプレート1330、作業計画1403、見積伝票1405、サービス確認伝票(報告書)1409により作成される。なお、サービス確認伝票(報告書)1409は保守管理サーバ110の見積伝票1405をダウンロードして作成される伝票であり、作業IDと共に、顧客に対する費用請求の元になる作業時間等が記載される。
【0049】
本発明のように予防保守構成マスタ1310を利用する場合、提案伝票1404の作成時や作業来歴チェックシート1400の作成時に、作業対象の階層番号を予防保守構成1310の階層番号から個別装置構成DB1320の階層番号へ変換する必要がある。なお、後で説明するように、作業来歴チェックシート1400には「次回優先」の欄があり、この欄にマークが付された作業は次回に優先して行うことを示している。この情報は、次回優先作業テーブルに記録される(図18参照)。
【0050】
次に、図7に、保守管理サーバ110及び作業者端末300における保守最適化処理のメインフローを示す。また、図8に、保守管理サーバ及び作業者端末300による保守最適化処理における、各部の動作を示す。
【0051】
保守管理サーバ110において、まず、装置形式毎にベースとなる予防保守構成マスタ(予防保守装置構成DB)1310を作成し、データベースに保存する(S300)。そして、各サイトにおける個々の装置の据付時に、予防保守構成マスタをコピーし、予防保守個別構成装置の仕様を反映した個別構成DB1320を作成・保存する(S301)。さらに、個別構成DB1320と作業テンプレートDB133とのリンク付けを行う(S302)。
【0052】
リンク付けされた個別構成DB1320と作業テンプレートDB133とから、計画伝票1403を作成し作業計画DB134に登録する(S303)。計画伝票内には作業計画の情報も含まれている。そして、計画伝票から、提案伝票1404を自動生成し、提案伝票をコピーして見積伝票1405を生成し、見積伝票をコピーして受注伝票1408やサービス確認伝票1409を作成し・保存する(S304)。
【0053】
一方、各サイト200において作業者が、保守・点検作業を行う場合(S320)、作業者は、保守管理サーバ110から受注伝票1408等の必要な情報を作業者端末300にダウンロードし(S321)、それらの情報に基づいて当該サイトの機器の保守・点検作業を行い(S322)、作業来歴チェックシート1400及び報告書1409を生成し、それらのデータを一時的に作業者端末300に保存する(S323、S324)。報告書1409には、作業者が行った作業内容や作業時間等が記載される。各サイトで作成された作業来歴チェックシート1400及び報告書1409のデータは、保守管理サーバ110にアップロードされる(S325)。作業終了に伴い、作業者端末300において不要となったデータは削除される。
【0054】
保守管理サーバ110では、アップロードされた作業来歴チェックシート1400に基づいて来歴伝票1402が生成・保存され(S306)、報告書1409もデータベースに保存される(S307)。来歴伝票1402により、作業来歴を保守管理サーバ110の作業来歴DB139に蓄積することで提案書1404の精度が向上する。
【0055】
作業来歴チェックシート1400の「次回優先」の欄にマークがある場合には、その情報が次回優先作業テーブルに記録される(S308、S309)。
【0056】
保守管理サーバ110では、作業来歴チェックシートに基づき生成される来歴伝票1402がある程度蓄積された段階、換言すると、所定の周期毎にバッチ処理を行い、作業テンプレートが更新される(S310、S311)。作業テンプレートの更新処理では、保守管理サーバ110の作業来歴DB136に蓄積された来歴伝票1402の部品交換来歴から、各サイトの部品の交換条件を算出し、作業テンプレートDB133にフィードバックする。また、来歴伝票がある程度蓄積された段階で、この作業来歴をバッチ処理で、計画伝票1403内の作業計画へ反映させる(S312、S313)。更新された作業テンプレートや計画伝票の情報は、次回の提案伝票、見積伝票、受注伝票の作成に反映される(S304)。このようにして、S304〜S313の処理を繰り返す。この処理は、各装置サイト200A〜200Nに対応して、個別に実行される。
【0057】
図9〜図12で、作業テンプレート1330のフォーマット及び入力方法について説明する。
まず、図9において、作業テンプレート1330には、参照階層番号、階層テキスト、明細番号、作業/部品名称、数量/作業時間、数量単位、作業実施周期、周期単位、カウンタ種別、カウンタ、カウンタ単位、重要度ポイントの各欄がある。このような作業テンプレート1330のフォーマットに、参照階層番号を入力し、作業IDを割り付ける。そのために、作業を定義する階層番号、ここでは(10001)を入力する。階層テキストの欄には、階層・部位の名称を入力する。明細番号の欄には、作業を定義する部位に明細番号を付ける(100,200,300・・・)。作業/部品名称の欄では、実施する作業を選択する。同様にして、作業IDが自動入力され、作業時間を入力し、時間単位を選択し、作業実施周期、周期単位を入力する。さらに、カウンタ種別、カウンタ、カウンタ単位、重要度ポイントを入力する。
【0058】
なお、カウンタ値とは、時間周期とは別に装置の通電時間、動作回数などが入手可能な場合に使用する。カウンタ値を使用すると、時間周期とカウンタ値のどちらか先に達した方で自動提案の対象となる。カウンタ値には、本実施例では以下の3種類があり、各階層単位で選択が可能である。
【0059】
<カウンタ種別>
1:通電時間、2:稼動時間、3:動作回数
また、重要度ポイントとは、作業を行う上で特に重要な作業に対して「高」を設定する。「高」に設定されると、提案書・見積書上でソート順が上に表示される。一般的には「低」を設定する。重要度ポイントは、本実施例では、以下の2種類がある。
【0060】
<重要度ポイント>
0:低、1:高
図10では、さらに、階層番号(10003)に対して、図9と同様な入力を行い、作業テンプレートフォーマットに参照階層番号を入力し、作業IDを割り付ける。
【0061】
図11では、階層番号(10003)において、上位明細番号200(交換作業)に対して、実際に使用する部品(モータ)を設定している。
【0062】
図12は、図11の入力についての説明図である。明細番号の欄で、作業ID「交換」に使用部品を割り当てる場合は、上位明細番号「+1」とする。上位明細番号200の欄では、使用する部品が紐付いている上位明細番号を入力する。作業/部品名称の欄に入力した部品名が、提案書・見積書の部品リストに反映される。見積書作成時に使用する名称が望ましい。作業ID/品目コードの欄には、実際に手配をする部品のP/Nを入力する。装置構成の階層に記入されているP/Nと不一致でも問題ない。数量/作業時間の欄には、使用する(手配)員数を入力する。ここに入力した数量が、提案書・見積書、部品の自動手配につながる。
【0063】
図13では、予防保守装置構成1310の(階層1)サンプリング機構と、個別装置構成1320の(階層1)サンプリング機構との関連づけ(リンク)について説明する。作業者は階層番号(20001)をキーに、参照階層番号(10001)を意識することなく、予防保守構成マスタDB1310に対応する作業テンプレートDB133を参照することで、予防保守構成マスタDB1310の対応する階層番号(10001)の「クリーニング」の情報を、個別装置構成1320の「クリーニング」の情報として得ることができる。換言すると、作業テンプレート個別装置構成DB1320毎の作業テンプレートは不要となる。
【0064】
このように、作業テンプレート133DBは、個別装置構成DBには保持せず、予防保守構成マスタ1310の作業計画のデータベースにのみ保持する。
【0065】
図14に、比較例として、予防保守構成マスタがない場合の、個別装置構成DB間の関係を示す。ある特定の個別装置構成DBで、他の装置の同一部品の情報検索をしたい場合に、2つの個別装置間を関連付ける情報がないため、他の装置の同一部位を認識することはできない。
【0066】
図15に、本発明による、予防保守構成マスタ1310がある場合の、個別装置構成DB1320間の関係を示す。ある特定の個別装置構成DB1320で、他装置・同一部品の情報検索をしたい場合、予防保守構成マスタ1310の予防保守装置構成をキーとして各個別装置の部位を一意に特定し交換来歴を、横串を通して検索・管理することが可能になる。この例では、使用期間が短く部品関連情報の蓄積が十分でない日立病院のサイトにおけるモータ組のパーツである「モータ」に関して、予防保守装置構成を介して、同じ装置構成の東京病院のサイトにおけるモータ組のパーツである「モータ」の情報を検索して利用する例を示している。これにより、個々の装置では短期間に十分な部品関連情報が得られない医療用機器であっても、各サイトの部品の保守関連情報を一元管理することで、短期間に十分な部品関連情報が蓄積される。これにより、予防保守のために必要な部品関連情報を取得して、質の高い作業計画書を作成し、顧客に提案することができる。
【0067】
図16に、本発明のシステムにおいて、管理したい対象を追加の例を説明する。
予防保守構成マスタ1310の階層構造に該当部位を追加することで、個別装置構成DB1320への追加が可能となる。この例では、予防保守装置構成にリンス機構を追加することで、他のサイトのリンス機構の情報を検索して利用することができるようになる。予防保守構成マスタ(予防保守装置構成DB)が無い場合は対象の個別装置全てにリンス機構の追加作業が必要である。
【0068】
次に、図17で、作業来歴の保持方法について説明する。
作業者端末300に表示される作業来歴チェックシートの入力画面には、「参照階層番号」、「作業名」、「見積有無」、「実施日」、「作業時間」、「時間優先」その他の項目が表示される。見積部位にはX印がある。作業者は、作業実施箇所にチェックを入れる。
【0069】
アップロードされた作業来歴チェックシート1400には、「参照階層番号」、「階層」、「作業ID」、「P/N」、「実施日」、「作業者」などが記載されている。アップロードされた作業来歴チェックシート1400に基づいて来歴伝票1402が生成され、登録される。この作業来歴情報は、個別装置構成DB1320にその来歴が登録されるのではなく、予防保守構成マスタ1310の作業来歴伝票DB136に登録される。個別装置構成DBと各作業来歴伝票(明細)1402とは、個別装置構成DB1320のコンポーネントID(階層番号)によってリンクしている。
【0070】
次に、図18により、作業来歴の登録及び作業計画更新について述べる。
図7のS305〜S313でも述べたように、作業来歴チェックシート1400の登録により作業来歴伝票1402を作成・登録し、その後、蓄積された作業来歴伝票1402の情報に基づき作業計画1403をバッチ処理で更新する。作業計画1403には、具体的な作業内容の計画が「作業計画明細1〜n」として記録されている。作業来歴チェックシート1400の「次回優先」の欄にマークが付された作業は、次回優先作業テーブルに記録される。作業来歴伝票に「カウンタ情報」7600が入っている場合は、個別装置構成DBのカウンタ情報を更新する。
【0071】
図19で、予防保守構成マスタ及び個別装置構成DBと作業計画1403の関係について説明する。
作業計画1403は、各装置の作業実施の計画を管理するため、個別装置構成DB1320毎に作成する必要がある。作業計画の明細には、階層毎の作業の実施予定日が定義されており、次回優先作業テーブル及び作業テンプレート1330と組み合わせて、提案(提案書)伝票1404を生成する。作業計画明細1の設定によって提案伝票1404が自動的に作成される。なお、次回優先作業テーブルは、データベース130の1つとして保持されている。
【0072】
また、作業計画1403に含まれる提案(提案書)伝票1404の明細の作業内容と作業で使用する部品は作業テンプレートから取得する。提案伝票明細の周期と作業対象の階層番号(コンポーネントID) は、「作業計画明細1〜n」から取得する。
【0073】
図20で、作業テンプレートの更新処理について述べる。保守管理サーバ110を管理するオペレータは、予防保守構成マスタの作業来歴DB136に蓄積された来歴伝票1402の部品交換来歴から、各サイトの部品の交換条件を算出し、作業テンプレートDB133にフィードバックする。図20の例では、部品交換来歴に基づき、作業テンプレートの階層番号10003の「モータ」に関し、交換の周期を3年から2.5年に変更している。この変更結果は、階層番号10003に対応する「モータ」を部品として保有するすべての個別装置構成の予防保守に反映される。
【0074】
次に、図21で、本発明による、予防保守の提案書作成の効果を説明する。
多機種少量生産タイプの製品であって、共通する部品を有する複数の機器を対象として、検査・保守等のサービスを提供する分野において、従来の予防保守では、装置・作業に関する情報が点在しており一元管理するシステムがなかった。このような分野における予防保守のあるべき姿(保守最適化システム)は、情報の一元化→予防保守計画作成→予防保守提案書自動作成→予防保守見積作成→顧客への最適提案にある。
【0075】
本発明によれば、共通する部品を有する複数機器を対象とした保守最適化システムにおいて、多機種少量生産タイプの製品の部品の保守関連情報を一元管理するので、予防保守の提案書として部品の交換やクリーニングの時期を自動的に提案することができる。また、部品の保守実績から予防保守計画を顧客装置毎に算出し、見積の根拠となる質の高い提案書をタイムリーに提出できる。
【0076】
検査・保守等のサービスを提供する企業においては、保守関連情報を一元管理するので、顧客の情報共有が可能となり、誰でも見積・提案書を出力可能となる。
【0077】
本発明を利用して作成される提案書として、例えば、製品を複数のモジュールに分割し、各モジュール単位で、「充実プラン」、「予防保守プラン」、「節約プラン」のようなサービス(メンテナンス)のレベルの異なる複数のサービスプランを自動作成し、顧客に提案することができる。保守関連情報を一元管理するので、新規納入装置、保守契約装置ともに簡単に長期保守計画が作成できる。また、装置毎に提案時期を設定することで、点検の提案書を自動作成できる。
【0078】
図22で、本発明の保守最適化システム導入による業務時間短縮の効果を説明する。本発明の保守最適化システム導入により、新規に、作業チェックシート作成や作業チェックシート作成が必要になる。しかし、保守関連情報を一元管理するので、提案内容検討・見積作成のための時間を大幅に短縮し、かつ、それらの質を高めることができる。
【符号の説明】
【0079】
100…保守サービス会社、110…保守管理サーバ、120…演算処理部、130…データベース、131…予防保守構成マスタDB、132…個別予防保守構成DB、133…作業テンプレートDB、134……サービス(作業)計画DB、135…装置稼働情報DB、136…作業来歴DB、137……各種伝票用のDB、140…入出力部、150…通信制御部、160…ウェブサーバ、200A…装置サイトA(病院)、200B…装置サイトB(病院)、300…作業者端末、400…顧客(管理部門)、1100…初期マスタデータ定義機能、1102…個別装置データ・作業テンプレート/リンク機能、1103…作業テンプレート更新機能、1104…作業・交換来歴更新機能、1105…個別装置/予防保守サービス計画の作成機能、1106…個別装置/予防保守提案書の作成機能、1107…予防保守サービス受付機能、1108…予防保守サービス出力機能、1310…予防保守構成マスタ、1320…個別装置構成、1330…作業テンプレート、1400…作業来歴チェックシート、1402…作業来歴伝票、1403…作業計画、1404…提案書伝票、1405…見積書伝票、1406…手配伝票、1408…受注伝票、1409…報告書(サービス確認伝票)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保守サービス会社の保守管理サーバがネットワークを介して、複数の装置サイト及び作業者端末に接続可能に構成されており、
前記各装置サイトには、複数の装置サイト間で共通する部品を有しかつ保守サービスの対象となる個別装置が設置されており、
前記保守管理サーバは、演算処理部及びデータベースを備えており、
前記データベースは、予防保守構成マスタDB、個別装置構成DB、作業テンプレートDB、作業計画DB、及び作業来歴DBを有しており、
予防保守管理に必要な当該システム内の全ての前記個別装置の構成を網羅した装置構成の管理情報を全予防保守構成マスタとしてマスタ化し、該全予防保守構成マスタが前記予防保守構成マスタDBに登録され、
前記予防保守構成マスタから前記個別装置に必要な情報を参照して、前記各装置サイトの装置毎に実装される装置構成の管理情報が作成され、個別予防保守構成として前記個別装置構成DBに登録され、
前記予防保守構成マスタDBに対して、どの部位・部品に対して、どの部品を使って、何をするかを定義する作業テンプレートが前記作業テンプレートDBに登録され、
前記各個別装置が、前記予防保守構成マスタDBを通じて前記1つの作業テンプレートを共有して参照する機能を有し、
前記演算処理部は、
前記個別装置毎に、前記作業テンプレートを割当てて作業計画を作成して、前記作業計画DBに登録し、
前記作業テンプレートを用いて、前記共通する部品に関する前記各サイトの保守関連情報を一元管理し、
前記作業者端末で作成された前記各個別装置に関する作業来歴チェックシート及び報告書を受け取って来歴伝票を生成し、該来歴伝票により、前記各個別装置に関する前記作業来歴を前記作業来歴DBに蓄積し、
前記作業計画及び前記作業来歴に基づいて、前記各個別装置の保守に関する予防保守サービス計画の提案書を生成する
ことを特徴とする機器の保守最適化システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記データベースは、装置稼働情報DB及び各種伝票用のDBを有しており、
前記保守管理サーバは、前記演算処理部で実行される機能として、初期マスタデータ定義機能、個別装置データ定義機能、及び個別装置データ・作業テンプレート/リンク機能を備えており、
前記初期マスタデータ定義機能により、前記各サイトの装置毎に、当該装置の構成を管理する為に、予防保守管理に必要な全装置構成を網羅した装置構成情報を前記予防保守構成マスタDBとして登録し、
前記個別装置データ定義機能により、前記予防保守構成マスタをコピーして各装置サイトの各個別装置構成に対応する前記個別予防保守構成を定義する
ことを特徴とする機器の保守最適化システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記保守管理サーバは、作業テンプレート更新機能を備えており、
該作業テンプレート更新機能により、前記作業テンプレートDBに登録された前記作業テンプレートを修正することで、登録されている前記各サイトの予防保守個別構成の登録済の前記作業計画を一括して修正し、前記作業計画に登録されている作業内容や作業周期を含む作業情報を、前記各サイトの前記個別装置単位で管理する
ことを特徴とする機器の保守最適化システム。
【請求項4】
請求項2において、
前記保守管理サーバは、個別装置データ・作業テンプレート/リンク機能を備えており、
前記予防保守装置構成と前記個別装置構成の同じ階層の部品の関連づけのために、参照階層番号に作業IDを割り付ける
ことを特徴とする機器の保守最適化システム。
【請求項5】
請求項4において、
前記作業テンプレートにより、前記各サイトの各装置構成に対する作業情報として、部品情報を含む複数種類の前記作業内容及び前記作業周期を定義、管理し、
前記階層化された予防保守構成マスタDBに対し割当てて登録・管理を行う
ことを特徴とする機器の保守最適化システム。
【請求項6】
請求項2において、
前記保守管理サーバは、前記作業者端末からリモートサポート機能で収集した稼動情報から前記部品の交換周期を自動的に再計画する機能を有し、
前記稼動情報は、通電時間、分析時間及び動作回数のデータを含んでいる
ことを特徴とする機器の保守最適化システム。
【請求項7】
請求項2において、
前記保守管理サーバは、
前記予防保守個別構成からダウンロードしたファイルに作業実施項目を記載し登録することにより、前記各装置構成で実施した作業内容の来歴管理を行う機能を有する
ことを特徴とする機器の保守最適化システム。
【請求項8】
請求項2において、
前記予防保守構成マスタDBの階層構造に該当部位を追加することで、前記個別装置構成DBへの前記作業の追加を行う機能を有する
ことを特徴とする機器の保守最適化システム。
【請求項9】
機器の保守最適化方法であって、
保守サービス会社の保守管理サーバがネットワークを介して、複数の装置サイト及び作業者端末に接続可能に構成されており、前記各装置サイトには、複数の共通する部品を有しかつ保守サービスの対象となる機器である個別装置が設置されており、
前記保守管理サーバは、演算処理部及びデータベースを備えており、
前記データベースは、予防保守構成マスタDB、個別装置構成DB、作業テンプレートDB、作業計画DB、及び作業来歴DBを有しており、
予防保守管理に必要な当該システム内の全ての前記個別装置の構成を網羅した装置構成の管理情報を全予防保守構成マスタとしてマスタ化し、該全予防保守構成マスタが前記予防保守構成マスタDBに登録され、
前記予防保守構成マスタから前記個別装置に必要な情報を参照して、前記各装置サイトの装置毎に実装される装置構成の管理情報が作成され、個別予防保守構成として前記個別装置構成DBに登録され、
前記予防保守構成マスタDBに対して、どの部位・部品に対して、どの部品を使って、何をするかを定義する作業テンプレートが前記作業テンプレートDBに登録され、
前記各個別装置が、前記予防保守構成マスタDBを通じて前記1つの作業テンプレートを共有して参照する機能を有し、
前記個別装置毎に、前記作業テンプレートを割当てて作業計画を自動作成して前記作業計画DBに登録し、
前記作業テンプレートを用いて、前記共通する部品に関する前記各サイトの保守関連情報を一元管理し、
前記作業者端末で作成された前記各個別装置に関する作業来歴チェックシート及び報告書を受け取って来歴伝票を生成し、該来歴伝票により、前記各個別装置に関する前記作業来歴を前記作業来歴DBに蓄積し、
前記作業計画及び前記作業来歴に基づいて、前記各個別装置の保守に関する予防保守サービス計画の提案書を生成する
ことを特徴とする機器の保守最適化方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記データベースは、装置稼働情報DB及び各種伝票用のDBを有しており、
前記保守管理サーバは、前記演算処理部で実行される機能として、初期マスタデータ定義機能、個別装置データ定義機能、及び個別装置データ・作業テンプレート/リンク機能を備えており、
前記初期マスタデータ定義機能により、前記各サイトの装置毎に、当該装置の構成を管理する為に、予防保守管理に必要な全装置構成を網羅した装置構成情報を前記予防保守構成マスタDBとして登録し、
前記個別装置データ定義機能により、前記予防保守構成マスタをコピーして各装置サイトの各個別装置構成に対応する前記個別予防保守構成を定義する
ことを特徴とする機器の保守最適化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−69009(P2013−69009A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205487(P2011−205487)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(300050367)株式会社日立ハイテクフィールディング (11)