説明

機器の輸送用脚体

【課題】安価に製造でき、かつ再利用する場合にも便利な機器の輸送用脚体を提供する。
【解決手段】機器本体10の底面にねじ込み式の脚部16を備えた機器を輸送する際に適用される輸送用脚体30であって、合成樹脂材によって形成され、円盤状の基台31の中心に、機器本体10の底面に設けられたねじ孔15に螺着されるねじ棒35を上面に設けた柱部34が一体的に立設される。脚体30は、機器本体10の底面に装着されて設置された場合に、設置面との間にフォークリフトのフォークが挿入できる程度のスペースを保有する背の高さを有する。基台31が有底環形に、柱部34が下面開放の中空状に形成され、基台31の内底面に、柱部34の外周面から基台31の周壁32に繋がる複数枚のリブ36が放射状に配される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却貯蔵庫等の機器を梱包して輸送する場合に用いる輸送用脚体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷蔵庫等の機器を輸送するに際して脚部を傷付けることなく輸送する手段として、下記特許文献1に記載されたものが知られている。このものは、輸送用部材として、弾性変形可能な内部装着体と、脚部よりも長い外部筒状体とが備えられ、脚部を機器本体にねじ込んで装着したまま、脚部の回りに内部装着体を径方向から差し込んで装着したのち、この内部装着体を弾性変形させつつ同内部装着体の回りに外部筒状体を嵌着し、外部筒状体で機器を支持するようになっている。機器を設置する場合は、外部筒状体を引き抜くことに続いて、内部装着体を外せば、脚部により支持可能な状態とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−308318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来手段では、輸送用部材として内部装着体と外部筒状体との二部材が必要であるから、輸送用部材自体の製造コストが高くつき、またこのような輸送用部材は、回収して再利用することが望ましいが、同じく二部材であることにより管理、保管が面倒であるという不具合があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、安価に製造でき、かつ再利用する場合にも便利な機器の輸送用脚体を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、機器本体の底面にねじ込み式の脚部を備えた機器を輸送する際に適用される輸送用脚体であって、合成樹脂材によって形成され、円盤状の基台の中心に、前記機器本体の底面に設けられたねじ孔に螺着されるねじ棒を上面に設けた柱部が一体的に立設されているところに特徴を有する。
【0006】
輸送時には、機器本体の底面のねじ孔に対して柱部のねじ棒をねじ込むことで輸送用脚体を装着し、同輸送用脚体で機器本体を支持する。設置時には輸送用脚体をねじ棒を緩めて外し、代わって付属の脚部をねじ込んで装着する。梱包された機器は、輸送時において、機器本体の底部にフォークリフトのフォークを差し込んで持ち上げることによって移送される。
輸送用脚体を合成樹脂材の一体物として形成したから安価に製造でき、また一部材であることから、再利用する場合にも、管理、保管等に便利である。フォークが輸送用脚体に接触した場合に、基台に当たることで柱部への衝撃力が緩和され、ねじ棒の折損等を防止できる。
【0007】
また、以下のような構成としてもよい。
(1)前記基台が有底環形に形成されているとともに、前記柱部が下面開放の中空状に形成されており、前記基台の内底面には、前記柱部の外周面から前記基台の周壁に繋がる複数枚のリブが放射状に配されて設けられている。輸送用脚体の軽量化を図った上で、特に基台の径方向の衝撃に抗した強度を増大できる。
(2)前記柱部の外周面には、前記リブの基端側が立ち上がるようにして張り出し形成されている。柱部の軸方向の座屈強度を高めることに有効となる。
【0008】
(3)前記柱部の内周面には、複数枚の内側リブが放射状に配されて設けられている。柱部に対して直接に径方向の外力が作用した場合の耐衝撃性が高められる。
(4)前記機器本体の底縁角部にはL字形をなすガード部材が装着されるようになっており、当該輸送用脚体の前記柱部の上端部には、前記ガード部材における水平部の端縁に切り欠き形成された取付溝を挿通可能な段差部が設けられている。
ガード部材は、水平部の取付溝を当該輸送用脚体の柱部の段差部に差し込みつつ、機器本体の底部角部を覆って装着され、同部にフォークリフトのフォーク等の異物が直接に当たることから保護する。ガード部材の装着が簡単に行える。
【0009】
(5)前記機器本体の底部角部にはL字形をなすガード部材が装着されるようになっており、当該輸送用脚体における前記柱部の上面に比べて同柱部の外周面に形成された前記リブの上面が一段低く形成されることにより、前記前記柱部の上端部には、前記ガード部材における水平部の端縁に切り欠き形成された取付溝を挿通可能な段差部が設けられている。
上記と同様の作用効果が得られる。
【0010】
(6)前記基台の外底面では中央部が周縁部に比べて高くなった形態で形成され、この基台の内底面の中央部寄りの位置には、外底面に達する水抜き孔が形成されている。
輸送用脚体は、基台の外底面の中央部側が設置面との間に空隙を設けた形態で設置される。基台内に水が溜まった場合に、水抜き孔から空隙に向けて排水される。
【0011】
(7)前記柱部が下面開放の中空状に形成されており、この中空の天井面には、当該輸送用脚体をねじ込み操作するべく工具が嵌合される工具嵌合孔が形成されている。
輸送用脚体を装着する場合は、工具を柱部の中空内に入れて工具嵌合孔に嵌合し、柱部のねじ棒を機器本体側のねじ孔に螺合したのち工具を回してねじ込むことで装着される。外すときは、工具を逆方向に回して緩めることで輸送用脚体を外すことができる。輸送用脚体の取り付け、取り外しをより簡単に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の輸送用脚体は、合成樹脂材の一体物として形成したから安価に製造でき、また再利用する場合にも管理、保管等に便利である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態1に係る冷蔵庫の正面図
【図2】輸送に伴う底部側の梱包形態を示す分解斜視図
【図3】輸送時の梱包形態の斜視図
【図4】輸送用脚体の斜視図
【図5】同平面図
【図6】図5のVI−VI線断面図
【図7】図5のVII−VII線断面図
【図8】脚体の装着部分の部分拡大断面図
【図9】輸送時の製品の一部切欠正面図
【図10】実施形態2の輸送用脚体の縦断面図
【図11】実施形態3の輸送用脚体の斜視図
【図12】実施形態4の輸送用脚体の斜視図
【図13】同平面図
【図14】図13のXIV−XIV線断面図
【図15】脚体の装着部分の部分拡大断面図
【図16】輸送時の製品の一部切欠正面図
【図17】実施形態5の輸送用脚体の斜視図
【図18】同平面図
【図19】同縦断面図
【図20】脚体の装着部分の部分拡大断面図
【図21】実施形態6に係る輸送用脚体の縦断面図
【図22】同底面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図9によって説明する。
この実施形態では、輸送する機器として4ドア式の業務用冷蔵庫を例示する。冷蔵庫Rは、図1に示すように、前面開口の断熱箱体からなる冷蔵庫本体10を有し、同冷蔵庫本体10の前面開口部には、観音開き形式の左右一対の断熱扉11が上下二段に亘って装着されているとともに、冷蔵庫本体10の上面には、冷凍装置等を装備した機械室12が設けられている。
冷蔵庫本体10の外底面の四隅には、図2及び図8に示すように、ねじ孔15が形成された金属製の取付板14が埋設され、付属の脚部16が、その上面に突設されたねじ棒(図示せず)を上記の取付板14のねじ孔15にねじ込むことで取り付けられ、4本の脚部16により冷蔵庫本体10が支持されつつ設置面に設置されるようになっている。
【0015】
一方、図2及び図3には、輸送時の形態の概略が示されており、冷蔵庫本体10の底面の四隅には脚部16に代わって詳しくは後記する輸送用脚体30が装着されるとともに、冷蔵庫本体10(機械室12を含む)に袋状の樹脂シート(図示せず)が被せられる。そして、冷蔵庫本体10の底部における前後の角部に、それぞれ段ボール製のL字形をなすガード部材20が、また機械室12の上面における左右両端部に、同様に段ボール製の略箱形をなすガード部材26が装着され、冷蔵庫本体10(機械室12を含む)の左右両端部において、ガード部材20,26を挟んで樹脂バンド28により全周に亘って締め付けるようになっている。
【0016】
輸送用脚体30(以下、単に脚体30という)について説明する。脚体30は、ポリプロピレン等の合成樹脂材の射出成形によって一体的に形成されている。脚体30は、図4ないし図7に示すように、円形の底壁32の全周縁に周壁33を巡らせてなる有底環形の基台31と、この基台31の内底面の中心から立ち上がり形成された下面開放の中空状をなす円形の柱部34とから形成されている。柱部34の上面の中心には、上記した冷蔵庫本体10の底面に埋設された取付板14のねじ孔15に螺合可能なねじ棒35が突設されている。
【0017】
脚体30の寸法の一例を示すと、図6に示すように、脚体30における基台31の直径φ1が190mmで、柱部34の直径φ2が73mmである。また、脚体30における柱部34の上面までの高さh1が156mmで、そのうち基台31(周壁33)の高さh2が50mmである。脚体30の上記高さh1は、後記するように、脚体30が冷蔵庫本体10の底面に装着されて設置された場合に、冷蔵庫本体10の外底面と設置面との間に、フォークリフトのフォーク(図示せず)が挿入可能なスペースが確保できるような高さとなっている。
【0018】
脚体30における柱部34の外周面から基台31の内底面(周壁33の内周面まで)に亘り、L形をなす8枚の外側リブ36が、等角度間隔を開けて放射状に形成されている。より詳細には、基台31側では、外側リブ36が周壁33と同じ高さを持って形成され、一方、柱部34側では、外周面から所定長さ突出し、その突出長さは、各外側リブ36の突出端を結んだ円の直径φ3が100mmとなる程度である。
ここで、上記した外側リブ36の上面の高さ位置は、柱部34の上面の高さ位置より所定寸法H(10mm程度)低く設定されており、これにより、柱部34の上端部に寸法Hの段差を持った段差部38が形成されている。
【0019】
この段差部38における段差の寸法Hは、上記した底部用のガード部材20の厚さを考慮して設定されている。手前側と奥側のガイド部材20は、図2に示すように、冷蔵庫本体10の全幅に匹敵する長さを有しており、それぞれの水平部21の開口縁には、脚体30の取付位置と対応した2位置に、脚体30の柱部34の段差部38に挿通可能な取付溝23が、直角に切り込み形成されている。取付溝23の切り込み深さは、ガイド部材20の垂直部22が冷蔵庫本体10の前面または後面に当たった場合に、各取付溝23の奥が段差部38に当たる程度である。
なお、手前側のガード部材20の角部には、締結用の樹脂バンド28が嵌る位置決め溝24が左右2箇所に形成されている。
【0020】
本実施形態の作用を説明する。製品を出荷するに当たっては、図8に示すように、冷蔵庫本体10の底面の四隅に設けられた各取付板14のねじ孔15に対し、輸送用脚体30のねじ棒35を螺合し、柱部34の上面が冷蔵庫本体10の底面に当たるまでねじ込んで取り付ける。四本の脚体30が取り付けられたら、冷蔵庫本体10(機械室12を含む)に袋状の樹脂シート(図示せず)が被せられる。
【0021】
続いて、図2に示すように、冷蔵庫本体10の底部における前後の角部にガード部材20が装着される。手前側のガード部材20は、図9に示すように、水平部21に形成された左右の取付溝23を、手前側の左右2本の脚体30に設けられた段差部38にそれぞれ挿通しつつ、手前側から差し込まれ、垂直部22が冷蔵庫本体10の前面の底部に当たったところで差し込みが停止される。
奥側のガード部材20は、同じく水平部21に形成された左右の取付溝23を、奥側の左右2本の脚体30に設けられた段差部38にそれぞれ挿通しつつ、奥側から差し込まれ、垂直部22が冷蔵庫本体10の後面の底部に当たったところで差し込みが停止される。
これにより、冷蔵庫本体10の底部における前後の角部に、それぞれガード部材20が密着した形態で装着される。
【0022】
それとともに、図3に示すように、機械室12の上面における左右両端部に、ガード部材26が被せられる。上側のガード部材26は、浅い箱を裏返しかつ隣り合う2側面を除去したような形状に形成されており、各ガード部材26は、残った2側面を機械室12の前面と左側面または右側面に当てつつ、機械室12の上面における左右両端部に装着される。
そののち、冷蔵庫本体10(機械室12を含む)の左右両端部において、樹脂バンド28を下側の手前のガード部材20の位置決め溝24に嵌めて位置決めしつつ、上下のガード部材20,26を挟んで全周に亘って縦向きに巻回して締め付ける。以上により、製品の梱包が完了する。
【0023】
製品すなわち冷蔵庫本体10(機械室12を含む)は、上記のように梱包された形態で出荷、輸送される。その間、フォークリフトを利用して車両等へ製品を積み上げあるいは積み降ろしをする場合は、例えば前面側から冷蔵庫本体10の下面における左右の脚体30の間にフォークを抜き差ししつつ、冷蔵庫本体10を支持することになる。
【0024】
製品の輸送が完了して設置する場合は、設置箇所において開梱する。手順としては、図3に示す梱包状態から両樹脂バンド28を切断して外したのち、上下4個のガード部材20,26並びに樹脂シートを外す。そののち、脚体30をねじを緩める方向に回動させて外し、それに代わって、別途備えられた脚部16を底面の四隅に埋設された取付板14のねじ孔15にねじ込んで取り付け(図1)、所定の設置位置に設置される。
開梱時に外された輸送用脚体30は回収されて、別の製品の出荷、輸送時等に再利用される。
【0025】
本実施形態の輸送用脚体30によれば、以下のような数々の作用効果を得ることができる。
輸送時には、冷蔵庫本体10の底面に配された取付板14のねじ孔15に対して、柱部34の上面のねじ棒35をねじ込むことで輸送用脚体30を装着し、同脚体30で冷蔵庫本体10を支持する。設置時には脚体30をねじを緩めて外し、代わって付属の脚部16をねじ込んで装着する。
輸送時において脚部16に代わって脚体30を用いることで、輸送時に脚部16が損傷を受けることを実質的に防止できる。脚体30は合成樹脂材の一体物として形成したから安価に製造でき、また再利用する場合にも、一部材であることから管理、保管等に便利である。
【0026】
脚体30の基本的な形状は、円形の基台31の中心に、ねじ棒35を上面に設けた柱部34が一体的に立設された形状であって、柱部34の背を高くひいては脚体30の全高を高くして形成されているから、当該脚体30を冷蔵庫本体10の底面に取り付けた場合には、冷蔵庫本体10の底面の下にフォークリフトのフォークを差し込み、同冷蔵庫本体10を持ち上げて移送することができる。ここで、フォークが脚体30に接触すると、まず基台31に当たってフォークリフトの運転者がこれに気付き、そののち直ちに運転を停止することによって衝突力を最小限に留めることができる。その結果、梱包製品のバランスが崩れることが防がれる。また基台31に当たることで柱部34への衝撃力が緩和され、ねじ棒35の折損等を防止できる。
【0027】
脚体30はより詳細には、基台31が有底環形に形成されているとともに、柱部34が下面開放の中空状に形成されており、この柱部34の外周面から基台31の内底面に亘り、8枚の外側リブ36が放射状に配されて設けられている。これにより、脚体30の軽量化を図った上で、柱部34の軸方向の座屈強度や基台31の径方向の衝撃に抗した強度を増大できる。
【0028】
冷蔵庫本体10の底部における前面または後面の角部には、フォークリフトのフォーク等の異物が当たることから防ぐために、段ボール製のL字形のガード部材20が装着される。その対応として脚体30側では、外側リブ36の上面を一段下げることにより、柱部34の上端部にガード部材20における水平部21の端縁に切り欠き形成された取付溝23を挿通可能な段差部38が設けられている。そのためガード部材20は、水平部21の取付溝23を柱部34の上端の段差部38に合わせて冷蔵庫本体10の外底面に沿って差し込むだけで、冷蔵庫本体10の底部の前側または後側の角部を覆って装着できる。すなわち、ガード部材20の装着を簡単に行うことができる。
【0029】
<実施形態2>
図10は、本発明の実施形態2を示す。
実施形態2の脚体30Aは、上記実施形態1の脚体30に対して、柱部34の内周面における外側リブ36の裏側に対応する位置ごとに、8枚の全高に亘る内側リブ37が放射状に張り出し形成されている。
この脚体30Aによれば、柱部34に対して直接に径方向の外力が作用した場合の耐衝撃性が高められる。
【0030】
<実施形態3>
図11は、本発明の実施形態3を示す。
実施形態3の脚体30Bは、実施形態1の脚体30と比較すると、柱部34の外周から基台31の内底面に亘って放射状に配されて設けられるL字形をなす外側リブ36Bが、実施形態1の倍の16枚設けられている。
柱部34の軸方向の座屈強度、基台31の径方向の衝撃に抗した強度をさらに強化できる。
この脚体30Bにおいても、上記実施形態2と同様に、柱部34の内周面に内側リブを形成するようにしてもよい。
【0031】
<実施形態4>
本発明の実施形態4を図12ないし図16によって説明する。
実施形態4の脚体40は、図12ないし図14に示すように、円形の底壁42の全周縁に周壁43を巡らせてなる有底環形の基台41と、この基台41の内底面の中心から立ち上がり形成された下面開放の中空状をなす円形の柱部44とから形成されている。
【0032】
より詳細には、実施形態1の脚体30と比べると、柱部44は比較的大径に形成され、基台41は比較的背が低く形成されている。柱部44は、その上端部の所定寸法が縮径されることで段差部45が形成されており、段差部45の上面の中心には、冷蔵庫本体10の底面に埋設された取付板14のねじ孔15に螺合可能なねじ棒46が突設されている。
柱部44の上端に設けられた段差部45には、上記に説明した段ボール製のガード部材20における水平部21に切り込み形成された取付溝23が挿通可能となっている。段差部45の下端部の裏側には、補強壁45Aが下向きに周設されている。
【0033】
基台41の環形をなす内底面上には、柱部44の外周面の下端部と、基台41の周壁43とを繋ぐようにして、図示12枚のリブ47が放射状に配されて形成されている。
一方、基台41の環形をなす外底面41Aは、外周縁から内周縁に向けて斜め上方に傾いたテーパ面となっている。したがって、後記するように当該脚体40が冷蔵庫本体10の底面に取り付けられて設置された場合に、基台41の外底面41Aの内周縁寄りの面と設置面との間に、空隙48が構成されるようになっている。
【0034】
基台41内は、上記の12枚のリブ47が設けられることにより、12個の部屋50に区分された形態となるが、各部屋50の底面には、その中心位置から少し内縁側に寄った位置に、水抜き孔51が貫通形成されている。
なお、上記した柱部44における段差部45の下端回りの面の周縁角部には、12個のクッション用溝52が、リブ47の形成位置と対応して一定角度間隔を開けて全周に亘って形成されている。クッション用溝52を形成したことにより、輸送時の振動、衝撃を吸収するように機能する。また、基台41の外底面41Aをテーパ面として、設置面との間に空隙48が構成されるようにしたことも、輸送時の振動、衝撃を吸収することに有効となる。
【0035】
本実施形態の作用は以下のようである。製品を出荷するに当たっては、図15に示すように、冷蔵庫本体10の底面の四隅に設けられた各取付板14のねじ孔15に対し、脚体40のねじ棒46を螺合し、柱部44の縮径部の上面が冷蔵庫本体10の底面に当たるまでねじ込んで取り付ける。四本の脚体40が取り付けられたら、樹脂シートが被せられたのち、冷蔵庫本体10の底部における前後の角部にガード部材20が装着される。
手前側のガード部材20は、図16に示すように、水平部21に形成された左右の取付溝23を、手前側の左右2本の脚体40に設けられた段差部45にそれぞれ挿通しつつ、手前側から差し込まれて装着される。奥側のガード部材20も同様に奥側から差し込まれて装着される。
そののち、実施形態1と同様に、機械室12の上面に左右のガード部材26が装着されたのち、左右の2本の樹脂バンド28で締結される。
【0036】
製品は、上記のように梱包された形態で出荷、輸送され、その間、フォークリフトを利用して車両等へ製品を積み上げあるいは積み降ろしをする場合は、例えば前面側から冷蔵庫本体10の下面における左右の脚体40の間にフォークを抜き差ししつつ、冷蔵庫本体10を支持することになる。このとき、仮にフォークが脚体40に接触したとしても、まず基台41に当たることで柱部44への衝撃力が緩和され、ねじ棒46の折損等を防止できる。
【0037】
なお、輸送中等において水が降り懸かると、例えば脚体40の基台41内に画成された部屋50に水が溜まるおそれがあるが、部屋50の底面には水抜き孔51が開口されているから、同水抜き孔51を通って設置面との間の空隙48に廃棄され、水が溜まることが防止される。
【0038】
本実施形態の輸送用脚体40によれば、実施形態1の脚体30と同様に、輸送時において脚部16に代わって脚体40を用いることで、輸送時に脚部16が損傷を受けることを実質的に防止でき、その上、脚体40は合成樹脂材の一体物として形成したから安価に製造でき、また再利用する場合にも、一部材であることから管理、保管等に便利となる。
【0039】
形状的な効果としては、フォークリフトのフォークが脚体40に接触した場合に、基台41に当たることで柱部44への衝撃力が緩和されるのであるが、基台41内にはリブ47が配されていることから、衝撃力に抗した増強がなされる。また、柱部44を比較的大径としたから、軸方向の座屈強度が強化される。
柱部44の上端部には段差部45が設けられていることで、ガード部材20の装着が容易に行えることも同様である。
【0040】
上記のように脚体40の基台41の増強を図るべく基台41内に複数枚(12枚)のリブ47を形成したが故に、基台41内が小さな部屋50に区画されて、降り懸かった水が溜まり易い傾向にあるが、基台41の環形をなす外底面41Aを、外周縁から内周縁に向けて斜め上方に傾いたテーパ面として、基台41の外底面41Aの内周縁寄りの面と設置面との間に、空隙48が構成されるようにする一方、各部屋50の内底面における内周縁寄りの位置に水抜き孔51を形成したから、降り懸かった水が水抜き孔51を通って設置面との間の空隙48に廃棄され、水が溜まることが防止される。以て、脚体40を清浄に保つことができる。
【0041】
<実施形態5>
本発明の実施形態5を図17ないし図20によって説明する。
実施形態5の脚体60は、図17ないし図19に示すように、円形の底壁62の全周縁に周壁63を巡らせてなる有底環形の基台61と、この基台61の内底面の中心から立ち上がり形成された下面開放の中空状をなす円形の柱部64とから形成されている。柱部64は、上記実施形態のものに比べて背が低く、基台61の周壁63よりも少し高い程度である。
【0042】
柱部64の上面の中心には、冷蔵庫本体10の底面に埋設された取付板14のねじ孔15に螺合可能なねじ棒65が突設されている。
基台61の環形をなす内底面上には、周壁63と同じ高さを持った図示8枚のリブ66が、柱部64の外周面と基台61の周壁63とを繋ぐようにして、放射状に配されて形成されている。
また、柱部64における基台61の上面から突出した部分が、ガード部材20の水平部21に形成された取付溝23を挿通可能な段差部67として利用される。
【0043】
本実施形態の作用は以下のようである。製品を出荷するに当たっては、図20に示すように、冷蔵庫本体10の底面の四隅に設けられた各取付板14のねじ孔15に対し、脚体60のねじ棒65を螺合し、柱部64の上面が冷蔵庫本体10の底面に当たるまでねじ込んで取り付ける。四本の脚体40が取り付けられたら、図示はしないが、上記実施形態1と同様に、樹脂シートが被せられたのち、冷蔵庫本体10の底部における前後の角部にガード部材20が装着され、さらに機械室12の上面に左右のガード部材26が装着されたのち、左右の2本の樹脂バンド28で締結される。以上により、製品の梱包が完了する。
【0044】
製品は、上記のように梱包された形態で出荷、輸送され、その間、フォークリフトを利用して車両等へ製品を積み上げあるいは積み降ろしをする場合は、例えば前面側から冷蔵庫本体10の下面における左右の脚体60の間にフォークを抜き差ししつつ、冷蔵庫本体10を支持することになる。このとき、仮にフォークが脚体60に接触したとしても、まず基台61に当たることで柱部64への衝撃力が緩和され、ねじ棒65の折損等を防止できる。
【0045】
製品の輸送が完了して設置する場合は、設置箇所において開梱する。手順としては、梱包状態から両樹脂バンド28を切断して外したのち、ガード部材20,26と樹脂シートを外す。そののち、脚体60をねじを緩める方向に回動させて外し、それに代わって、別途備えられた脚部16を底面の四隅に埋設された取付板14のねじ孔15にねじ込んで取り付け(図1参照)、所定の設置位置に設置される。
開梱時に外された輸送用脚体60は回収されて、別の製品の出荷、輸送時等に再利用される。
【0046】
実施形態5によれば、輸送時において脚部16に代わって脚体60を用いることで、輸送時に脚部16が損傷を受けることを実質的に防止できる。脚体60は合成樹脂材の一体物として形成したから安価に製造でき、また再利用する場合にも、一部材であることから管理、保管等に便利である。
フォークリフトを用いて移送する場合に、フォークが脚体60に接触すると、まず基台61に当たってフォークリフトの運転者がこれに気付き、そののち直ちに運転を停止することによって衝突力を最小限に留めることができる。また基台61に当たることで柱部64への衝撃力が緩和され、ねじ棒65の折損等を防止できる。
【0047】
脚体60の基台61が有底環形に形成されているとともに、柱部64が下面開放の中空状に形成されており、基台61の環形をなす内底面上には、図示8枚のリブ66が、柱部64の外周面と基台61の周壁63とを繋ぐようにして放射状に配されて形成されているから、脚体60の軽量化を図った上で、基台61の径方向の衝撃に抗した強度を増大できる。
【0048】
<実施形態6>
図21及び図22は、本発明の実施形態6を説明する。
この実施形態6の脚体60Aでは、上記実施形態5の脚体60に対し、柱部64の天井面の中心からねじ棒65の中心線に沿って、六角レンチの一端部が嵌合可能な六角孔68が形成されている。
脚体60Aを適用した場合、その装着に当たっては、六角レンチの一端側を柱部64の中空内に入れて六角孔68に嵌合し、柱部64のねじ棒65を冷蔵庫本体10の取付板14のねじ孔15に螺合したのち、六角レンチを回してねじ込むことで装着される。外すときは、六角レンチに回して緩めることで脚体60Aを外すことができる。脚体60Aの取り付け、取り外しをより簡単に行うことができる。
万が一、輸送途中でねじ棒65が折れたとしても、六角レンチを用いてねじ孔15内に残ったねじ棒65を取り出すことができる。
【0049】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記各実施形態において、輸送用脚体を再生樹脂で形成することにより、同脚体を原料として再利用でき、その場合、脚体には別部材が埋設されている等がなくて再生樹脂のみで形成されているのであるから、原料として再利用する場合の前処理等が簡単となる。
(2)上記各実施形態に例示した輸送用脚体において、基台と柱部とのいずれか一方または両方が中実形状であってもよい。
(3)基台の内底面に放射状に配されたリブの枚数は任意である。
【0050】
(4)実施形態1の輸送用脚体について例示した寸法はあくまでも一例であって、任意に選定し得るものである。
(5)実施形態2では、内側リブは外側リブの裏側に同枚数配された場合を例示したが、内側リブが、外側リブと位相がずれていたり、枚数が異なっていてもよい。
(6)実施形態2に示したような内側リブを、実施形態4,5に例示した形態の脚体についても設けるようにしてもよい。
【0051】
(7)実施形態4において、基台の外底面の中央部側と設置面との間に空隙を設ける手段として、基台の外底面における中央部の方が外周部よりも一段高くなった段差状に形成してもよい。
(8)実施形態1ないし3及び実施形態5,6に例示した輸送用脚体についても、基台の外底面に空隙を設ける一方、内底面に水抜き孔を設けるようにしてもよい。
【0052】
(9)実施形態1ないし実施形態5の輸送用脚体についても、柱部の中空の天井面に、当該輸送用脚体をねじ込み操作するべく六角レンチ等の工具が嵌合される工具嵌合孔を形成するようにしてもよい。
(10)本発明は上記実施形態に例示した冷蔵庫に限らず、冷蔵ショーケースや製氷機等の冷却機器、さらには重量が比較的大きい機器を梱包して輸送する場合に用いる輸送用脚体全般に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
R…冷蔵庫(機器) 10…冷蔵庫本体(機器本体) 14…取付板 15…ねじ孔 16…脚部 20…ガード部材 21…水平部 23…取付溝 30,30A,30B…輸送用脚体 31…基台 32…底壁 33…周壁 34…柱部 35…ねじ棒 36,36B…外側リブ(リブ) 37…内側リブ 38…段差部 40…輸送用脚体 41…基台 41A…(基台41の)外底面 42…底壁 43…周壁 44…柱部 45…段差部 46…ねじ棒 47…リブ 48…空隙 51…水抜き孔 60,60A…輸送用脚体 61…基台 62…底壁 63…周壁 64…柱部 65…ねじ棒 66…リブ 67…段差部 68…六角孔(工具嵌合孔)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体の底面にねじ込み式の脚部を備えた機器を輸送する際に適用される輸送用脚体であって、
合成樹脂材によって形成され、円盤状の基台の中心に、前記機器本体の底面に設けられたねじ孔に螺着されるねじ棒を上面に設けた柱部が一体的に立設されていることを特徴とする機器の輸送用脚体。
【請求項2】
前記基台が有底環形に形成されているとともに、前記柱部が下面開放の中空状に形成されており、前記基台の内底面には、前記柱部の外周面から前記基台の周壁に繋がる複数枚のリブが放射状に配されて設けられていることを特徴とする請求項1記載の機器の輸送用脚体。
【請求項3】
前記柱部の外周面には、前記リブの基端側が立ち上がるようにして張り出し形成されていることを特徴とする請求項2記載の機器の輸送用脚体。
【請求項4】
前記柱部の内周面には、複数枚の内側リブが放射状に配されて設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3記載の機器の輸送用脚体。
【請求項5】
前記機器本体の底縁角部にはL字形をなすガード部材が装着されるようになっており、当該輸送用脚体の前記柱部の上端部には、前記ガード部材における水平部の端縁に切り欠き形成された取付溝を挿通可能な段差部が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の機器の輸送用脚体。
【請求項6】
前記機器本体の底部角部にはL字形をなすガード部材が装着されるようになっており、当該輸送用脚体における前記柱部の上面に比べて同柱部の外周面に形成された前記リブの上面が一段低く形成されることにより、前記前記柱部の上端部には、前記ガード部材における水平部の端縁に切り欠き形成された取付溝を挿通可能な段差部が設けられていることを特徴とする請求項3または請求項4記載の機器の輸送用脚体。
【請求項7】
前記基台の外底面では中央部が周縁部に比べて高くなった形態で形成され、この基台の内底面の中央部寄りの位置には、外底面に達する水抜き孔が形成されていることを特徴とする請求項2ないし請求項6のいずれか一項に記載の機器の輸送用脚体。
【請求項8】
前記柱部が下面開放の中空状に形成されており、この中空の天井面には、当該輸送用脚体をねじ込み操作するべく工具が嵌合される工具嵌合孔が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の機器の輸送用脚体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−60211(P2013−60211A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199099(P2011−199099)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】