機器収納室のシール装置およびそれを使用したブレーキ液圧制御装置

【課題】パッキンのつぶし代をパッキン周方向位置において均一化することによりパッキンのシール性を安定化するとともに寿命を延ばす。
【解決手段】本体および樹脂製の蓋体16の一方にシール溝21を刻設してパッキン22を装着し、該パッキンを他方に形成されたシール面34に圧接させて、両者間に形成される機器収納室13を液密的にシールする車両の機器収納室シール装置10において、パッキンの剛性が、パッキンがシール面に圧接される面圧のパッキン周方向位置での差異に対応してパッキン周方向位置で異なっている。
【解決手段】本体および樹脂製の蓋体16の一方にシール溝21を刻設してパッキン22を装着し、該パッキンを他方に形成されたシール面34に圧接させて、両者間に形成される機器収納室13を液密的にシールする車両の機器収納室シール装置10において、パッキンの剛性が、パッキンがシール面に圧接される面圧のパッキン周方向位置での差異に対応してパッキン周方向位置で異なっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器収納室をパッキンによりシールする機器収納室のシール装置およびそれを使用したブレーキ液圧制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のブレーキ液圧制御装置において、アクチュエータボデーに設けられた複数の電磁弁のソレノイドを覆うソレノイド室が形成されたカバーの側壁端面に環状の凹溝を刻設し、該凹溝に装着されたパッキン(シール部材)を前記ボデーの上面に当接させてソレノイド室を液密的にシールするシール装置が特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開平8−11691号公報(段落〔0033〕、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来装置では、カバーをボデーの上面に締付け装置によって固定するとき、カバー側壁と締付け装置との間の距離、肉厚等がソレノイド室の周囲位置によって異なりカバーとボデー上面とのパッキンを介した接触部分でのカバーのたわみが前記周囲位置で異なることにより、パッキンがボデー上面に圧接される面圧がソレノイド室の周囲位置によって異なる。しかし、パッキンの剛性はパッキン周方向位置で均一であるので、パッキンのつぶし代は前記周囲位置に応じて異なる。これにより、ソレノイド室の周囲位置によりシール性が異なってしまい、水がソレノイド室に浸入し電磁弁が誤作動、或いは故障する可能性がある。
【0004】
また、この従来装置では、締付装置は複数の電磁遮断弁の中央に位置しているが、これら電磁遮断弁への入出力ポートをアクチュエータボデーに形成しようとすると締付装置を迂回させねばならず装置が大型化することとなり好ましくない。仮りに、この従来装置の締付装置をパッキンの周囲の中央位置からずらした場合にパッキンのつぶし代をどのようにすればよいかについては何も提案がなされていない。
【0005】
本発明は、パッキンのつぶし代をパッキン周方向位置において均一化することによりパッキンのシール性を周方向位置にかかわらず均一化することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明の構成上の特徴は、本体と該本体に固定手段によって固定された樹脂製の蓋体との間に機器収納室を形成し、前記本体および前記蓋体の一方に刻設されたシール溝にパッキンを装着し、前記本体および前記蓋体の他方に形成されたシール面に前記パッキンを圧接させて前記機器収納室を液密的にシールする機器収納室のシール装置において、前記パッキンの剛性は、つぶし代がパッキン周方向位置において均一化するように、前記パッキンが前記固定手段による固定により前記シール面に圧接される面圧の前記パッキン周方向位置での差異に対応してパッキン周方向位置で異なることである。
【0007】
請求項2に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記蓋体が前記固定手段によって前記本体に、前記固定手段から前記シール溝までの距離が該シール溝の周方向位置によって異なる位置で固定されることにより、前記パッキンが前記シール面に圧接される面圧が前記パッキン周方向位置によって異なることである。
【0008】
請求項3に記載の発明の構成上の特徴は、ブレーキ液圧制御装置のハイドロユニットの本体と、隔壁および該隔壁の周囲から突出する側壁を有する樹脂製のケースと、前記隔壁に装着されカバーで覆われた制御基板とを備え、前記ケースが固定手段によって前記本体に固定されることにより、前記隔壁と前記側壁と前記本体とで囲まれ前記ハイドロユニットに装着された複数の電磁弁のソレノイドを収納する機器収納室が形成され、前記ケースの側壁の端面に刻設されたシール溝にパッキンが装着され、前記本体に形成されたシール面に前記パッキンが圧接されて前記機器収納室が液密的にシールされる機器収納室のシール装置において、 前記パッキンの剛性は、つぶし代がパッキン周方向位置において均一化するように、前記パッキンが前記固定手段による固定により前記シール面に圧接される面圧の前記パッキン周方向位置での差異に対応してパッキン周方向位置で異なることである。
【0009】
請求項4に記載の発明の構成上の特徴は、請求項3において、前記固定手段は、前記隔壁の中央部以外の位置で貫通して該隔壁に固定され、一端に前記制御基板が固定され、他端が前記機器収納室内に延在する金属製のロッドと、前記ハイドロユニットの本体に係合し前記ロッドに螺着して前記ロッドを前記本体に固定するボルトとからなることである。
【0010】
請求項5に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1乃至4のいずれか1項において、前記パッキンが前記シール面に圧接される面圧の前記パッキン周方向位置での差異を、前記固定手段から前記シール溝までの距離の前記シール溝の周方向位置での差異とすることである。
【0011】
請求項6に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1乃至5のいずれか1項において、前記パッキンの剛性が前記面圧の前記パッキン周方向位置での差異に応じて複数段階にパッキン周方向位置で異なり、前記パッキンの剛性が異なる隣接する段階の部分間では、前記パッキンの剛性が漸次異なることである。
【0012】
請求項7に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1乃至5のいずれか1項において、前記パッキンの剛性が前記面圧の前記パッキン周方向位置での差異に応じて連続的にパッキン周方向位置で異なることである。
【0013】
請求項8に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1乃至7のいずれか1項において、前記パッキンの幅、高さ、リップ形状、および材質硬度の少なくとも一つが異なることによって前記パッキンの剛性が前記パッキン周方向位置で異なることを特徴とする機器収納室のシール装置。
【0014】
請求項9に記載の発明の構成上の特徴は、ソレノイドと弁体とを備える複数の電磁弁と、前記弁体を収容するハイドロユニット本体と、樹脂製のケースと、前記ハイドロユニット本体と前記ケースとの間に設けられた閉曲線状のパッキンとを備えたブレーキ液圧制御装置であって、前記ハイドロユニット本体と前記ケースと前記パッキンとの間に形成される空間には、前記複数の電磁弁のソレノイド、および前記ケースと前記ハイドロユニット本体とを固定する固定手段が設けられ、 該固定手段は前記ケースの前記ハイドロユニット本体方向に向けた弾性変形を伴って前記ケースを固定し、前記固定手段による前記ケースの固定により前記ハイドロユニット本体に圧接される前記パッキンの剛性は、前記圧接により発生する面圧の大きさが大きい位置ほど大きいことである。
【0015】
請求項10に記載の発明の構成上の特徴は、請求項9において、前記ハイドロユニット本体と前記ケースと前記パッキンとの間に形成される空間の中央位置からはずれた位置に前記固定手段が設けられるとともに、残りの空間に前記複数の電磁弁のソレノイドが配されることである。
【発明の効果】
【0016】
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、本体および樹脂製の蓋体の一方にシール溝を刻設してパッキンを装着し、該パッキンを他方に形成されたシール面に圧接させて、両者間に形成される機器収納室を液密的にシールする機器収納室のシール装置において、パッキンの剛性が、パッキンがシール面に圧接される面圧のパッキン周方向位置での差異に対応してパッキン周方向位置で異なるので、パッキンのつぶし代がパッキン周方向位置において均一化する。これにより、パッキンおよびシール溝の寸法が若干ばらついても、パッキンのシール性が低下することなく安定化する。さらに、パッキンが少し劣化しても、パッキン周方向の各位置においてつぶし代に余裕があるのでシール性を維持することができ、パッキンの耐久性が向上し寿命が延びる。
【0017】
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、蓋体が固定手段によって本体に、固定手段からシール溝までの距離がシール溝の周方向位置によって異なる位置で固定されることにより、パッキンがシール面に圧接される面圧がパッキン周方向位置によって異なるが、パッキンの剛性が前記面圧のパッキン周方向位置での差異に対応してパッキン周方向位置で異なるので、パッキンのつぶし代がパッキン周方向位置において均一化し、パッキンのシール性が低下することなく安定化する。
【0018】
上記のように構成した請求項3に係る発明においては、隔壁および該隔壁の周囲から突出する側壁を有する樹脂製のケースが、ブレーキ液圧制御装置のハイドロユニットの本体に固定手段によって固定されることにより、隔壁と側壁と本体とで囲まれ複数の電磁弁のソレノイドを収納する機器収納室が形成され、ケースの側壁の端面に刻設されたシール溝にパッキンが装着され、本体に形成されたシール面にパッキンが圧接されて機器収納室が液密的にシールされる機器収納室のシール装置において、パッキンの剛性が、パッキンがシール面に圧接される面圧のパッキン周方向位置での差異に対応してパッキン周方向位置で異なる。これにより、水がかかることのあるブレーキ液圧制御装置において、ハイドロユニットの本体とケースの側壁との間でパッキンのつぶし代がパッキン周方向位置において均一化し、本体とケースとの間に形成され複数の電磁弁のソレノイドを収納する機器収納室をシールするパッキンのシール性が安定化し、耐久性が向上する。
【0019】
上記のように構成した請求項4に係る発明においては、中央部以外の位置でケースの隔壁に固定されて機器収納室内に延在する金属製のロッドがハイドロユニットの本体にボルトで締結されることによって、樹脂製のケースが本体に固定され、ケースの側壁の端面に刻設されたシール溝に装着されたパッキンの剛性が、パッキンがシール面に圧接される面圧のパッキン周方向位置での差異に対応してパッキン周方向位置で異なる。
【0020】
これにより、ケースとハイドロユニットの本体との間に複数の電磁弁のソレノイドを収納する機器収納室が形成されたブレーキ液圧制御装置において、弾性変形する樹脂製ケースの側壁端面に形成されたシール溝に装着されたパッキンのつぶし代がパッキン周方向位置において均一化し、機器収納室をシールするパッキンのシール性が安定化し、耐久性が向上する。
【0021】
上記のように構成した請求項5に係る発明においては、パッキンがシール面に圧接される面圧のパッキン周方向位置での差異を、固定手段からシール溝までの距離のシール溝の周方向位置での差異とするので、パッキンの剛性を簡易的に容易に前記面圧の差異に対応させてパッキン周方向位置で異ならせることができる。
【0022】
上記のように構成した請求項6に係る発明においては、パッキンの剛性は、パッキンがシール面に圧接される面圧のパッキン周方向位置での差異に応じて複数段階にパッキン周方向位置で異なり、剛性が異なる隣接する段階の部分間では、パッキンの剛性が漸次異なるので、パッキンのつぶし代がパッキン周方向位置において急変しないで略均一化するパッキンおよびシール溝を容易に製作することができる。
【0023】
上記のように構成した請求項7に係る発明においては、パッキンの剛性は、パッキンがシール面に圧接される面圧のパッキン周方向位置での差異に応じて連続的にパッキン周方向位置で異なるので、パッキンのつぶし代がパッキン周方向位置において均一化する。
【0024】
上記のように構成した請求項8に係る発明においては、パッキンの幅、高さ、リップ形状、および材質硬度の少なくとも一つが異なることによって、パッキンの剛性がパッキン周方向位置で異なるので、パッキンのつぶし代がパッキン周方向位置において均一になるようなパッキンを容易に製作することができる。
【0025】
上記のように構成した請求項9に係る発明においては、ハイドロユニット本体とケースとパッキンとの間に形成される空間に、複数の電磁弁のソレノイドともに設けられた固定手段がケースを本体に、ケースのハイドロユニット本体方向に向けた弾性変形を伴って固定する。このケースの本体への固定によりハイドロユニット本体に圧接されるパッキンの剛性は、圧接により発生する面圧の大きさが大きい位置ほど大きくされている。これにより、固定手段は、ケースとハイドロユニット本体とを簡単な構成で固定することができる。そして、固定手段による固定により樹脂製ケースが弾性変形してパッキンがケース本体に圧接され、その面圧がパッキンの周方向位置により異なっても、パッキンのシール性を均一に維持することができ、水等が空間に浸入することを確実に防ぎ、電磁弁の誤作動、故障を防止することができる。
【0026】
上記のように構成した請求項10に係る発明においては、ハイドロユニット本体とケースとパッキンとの間に形成される空間の中央位置からはずれた位置に固定手段を設け、残りの空間に複数の電磁弁のソレノイドを配するので、空間のスペースを有効に利用してハイドロユニットを小型化できるとともに、パッキンの面圧の周方向位置での差異が大きくてもパッキンのシール性を均一にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下本発明の実施形態に係る機器収納室のシール装置10を、車両のブレーキ液圧制御装置11において電磁制御弁のソレノイド56を収納する機器収納室13を液密的にシールする部分に適用した場合について説明する。なお、本実施の形態における機器とは、パッキンによるシールを必要とする機器のことを意味している。
【0028】
車両のブレーキ液圧制御装置11は、図略のブレーキペダルの操作によって液圧を発生するマスタシリンダと車輪に設けられたブレーキのホイールシリンダとの間に接続され、車輪に付与される制動力を制御するものである。ブレーキ液圧制御装置11は、ハイドロユニット14と、ハイドロユニット14の本体15に固定された合成樹脂製のケース16と、ケース16の隔壁17表面に取り付けられた制御基板18と、制御基板18を覆うカバー19等を備えている。
【0029】
図1、図2に示すように、合成樹脂製のケース16は、隔壁17と、隔壁17の周囲から突出して機器収納室13の周囲をなす側壁20とを備え、側壁20の端面にシール溝21が全周に亘って刻設され、シール溝21にパッキン22が装着されている。ケース16がハイドロユニット14の本体15に固定され、パッキン22が本体15に形成されたシール面34に圧接されて本体15との間で機器収納室13を液密的に形成し、ハイドロユニット14に装備されて本体15の表面から機器収納室13内に突出する複数の電磁弁12のソレノイド56を収納する。電磁弁12の弁体57は、ソレノイド56によって移動されハイドロユニット14内に形成された液圧通路を開閉制御する。
【0030】
ケース16には、ソレノイド56と干渉しないように隔壁17の中央部以外の位置で金属製のロッド24が貫通して隔壁17に固定されている。ロッド24の一端は、後述する基板室25内に突出し、他端は機器収納室13内でハイドロユニット14の金属製の本体15の表面まで延在している。本体15にはボルト穴26がロッド24と対向する位置に底面から表面に貫設され、ボルト穴26に挿通されたボルト27が頭部でボルト穴26の段部に係合してロッド24の端面から軸線方向に形成された雌ねじ穴に螺着し、ロッド24の端面を本体15の表面に圧着させてケース16を本体15に固定している。
【0031】
図1、図3において、隔壁17の表面にはカバー19が振動溶着され、制御基板18を収納する基板室25が外部と遮断して形成されている。基板室25内に突出するロッド24の一端には小径部28が形成され、制御基板18に穿設された取付け穴29が小径部28に嵌着されることによって制御基板18はケース16の隔壁17の表面に固定されている。制御基板18は、車輪の回転速度を検出する回転速度センサなどから入力した信号に基づいてハイドロユニット14の図略の油圧ポンプを回転駆動するモータ、電磁弁12のソレノイド56を制御して、通常のブレーキ制御、アンチロックブレーキ制御、横滑り防止制御などの制御を行うものである。隔壁17の側壁20の外側まで延在した部分にはコネクタ30が形成され、コネクタ30には、制御基板18に接続される端子31が設けられている。ソレノイド56の端子32は隔壁17の表面に形成されたダム部33を貫通して基板室25に入って制御基板18に接続されている。ダム部33には端子32と隔壁17との隙間をシールするためにシリコン等のシール材が充填されている。
【0032】
ケース16は合成樹脂で形成されているので、ロッド24及びその雌ねじ穴に螺着したボルト27を介して本体15に固定されると、断面がコの字状に形成されたケース16はボルト27の軸力によりM字状に弾性変形する。すなわち、側壁20の端面がパッキン22を挟んで本体15の表面から離れるような弾性変形を行い、側壁20のシール溝21に装着されたパッキン22をつぶし代だけ圧縮させて本体15の表面に圧接させる。即ち、固定手段23は、ケース16の隔壁17のハイドロユニット本体15方向に向けた弾性変形を伴ってケース16を本体15に固定する。隔壁17の各部分での弾性変形量は形状、肉厚等によって異なるとともに、ロッド24は隔壁17の中央部以外の位置で隔壁17に固定されており、ロッド24からシール溝21までの距離はシール溝21の周方向位置において異なる。なお、ケース16の側壁20の端面と本体15のシール面34との間には僅かな隙間が形成されている。
【0033】
ロッド24、ボルト穴26、ボルト27等によって、樹脂製の蓋体であるケース16を本体15に固定する固定手段23が構成される。固定手段23は、固定手段23からシール溝21までの距離が該シール溝21の周方向位置によって異なる位置でケース16を本体15に固定している。これにより、固定手段23からシール溝21までの間のケース16の部分のたわみ量がシール溝21の周方向位置によって異なり、パッキン22がシール面34に圧接される面圧(以下、パッキン面圧という。)がパッキン周方向位置によって異なる。
【0034】
本実施の形態では、パッキン22のつぶし代がパッキン周方向位置によって異ならないように、パッキン22の剛性をパッキン面圧の差異に対応してパッキン周方向位置で異ならせている。即ち、固定手段23によるケース16の固定によりハイドロユニット本体15に圧接されるパッキン22の剛性を、圧接により発生する面圧の大きさが大きい位置ほど大きくしている。パッキン面圧は、パッキン22をシール溝21に装着し、パッキン22とシール面34との間に面圧紙を介在させた状態でケース16をロッド24を介して本体15の表面に固定した後の面圧紙の色の差異で測定する。これにより、ケース16が本体15に固定手段23によって固定されたとき、パッキン22のつぶし代がパッキン周方向位置において均一化し、パッキン22およびシール溝21の寸法が若干ばらついても、パッキン22のシール性が低下することなく安定化する。さらに、パッキンが少し劣化しても、パッキン周方向の各位置においてつぶし代に余裕があるのでシール性を維持することができ、パッキン22の耐久性が向上し寿命が延びる。
【0035】
そして、水がかかることのある車両のブレーキ液圧制御装置11において、ハイドロユニット14の本体15と合成樹脂製のケース16との間でパッキン22のつぶし代をパッキン周方向位置において均一化することにより、本体15とケース16との間に形成され複数の電磁弁12のソレノイド56を収納する機器収納室13をシールするパッキンのシール性を安定化させ、耐久性を向上させることができる。このとき、弾性変形する合成樹脂製のケース16の側壁20の端面にシール溝21を形成し、該シール溝21に装着されるパッキン22の剛性をパッキン面圧の差異に対応してパッキン周方向位置で異ならせることによって、パッキン22のつぶし代をパッキン周方向位置において均一化させるので、機器収納室13をシールするパッキン22のシール性を簡単な構成で確実に安定化させることができる。
【0036】
パッキン面圧の分布36は、図2においてパッキン面圧の大きさに応じた長さの線分を側壁20の外縁から法線方向に描いて示すように、ロッド24からシール溝21までの距離のシール溝21の周方向位置での差異と略一致する。すなわち、ロッド24からの距離が大きい部分ほど、パッキン面圧は小さいことが発明者の研究により判明した。従って、パッキン22がシール面34に圧接される面圧のパッキン周方向位置での差異を、ロッド24からシール溝21までの距離のシール溝21の周方向位置での差異とし、固定手段からシール溝21までの距離に応じてパッキン37の剛性を異ならせてもよい。
【0037】
図4、図5に示すパッキン37は、パッキン面圧のパッキン周方向位置での差異に対応して剛性が2段階に異なり、剛性が異なる隣接する2段階の部分38,39間の部分41では、パッキン37の幅が漸次異なっている。即ち、パッキン面圧が最小である図4のS−S断面部分およびロッド24との距離がS−S断面部分とほぼ等しいパッキン37の部分38は、小さいパッキン面圧に対応する低剛性を有し、パッキン面圧が最大である図4のG−G断面部分およびロッド24との距離がG−G断面部分とほぼ等しいパッキン37の部分39は、大きいパッキン面圧に対応する高剛性を有している。そして、パッキン37の剛性が異なる隣接する2段階の部分38,39間の部分41では、パッキン37の幅が低剛性部分38から高剛性部分39に向けて漸次増大されている。
【0038】
図5(a)に断面を示す低剛性部分38のパッキン37の全幅をWs、リップ40の根元の幅をLsとし、図5(b)に断面を示す高剛性部分39のパッキン37の全幅をWg、リップ40の根元の幅をLgとすると、Ws<Wg、Ls<Lgとされ、低剛性部分38と高剛性部分39との間の全幅はWsからWg、リップ40の根元の幅はLsからLgに漸増されている。これにより、パッキン37の剛性は、図6に示すように、パッキン面圧のパッキン周方向位置での差異に対応してパッキン周方向位置で2段階に異なり、剛性が異なる隣接する2段階の部分38,39間には剛性が漸次増大する剛性漸増部分41が設けられている。
【0039】
ケース16の側壁20の端面に刻設されたシール溝21は、パッキン37の低剛性部分38の全幅Wsより僅かに広い幅を有する小幅部分42、高剛性部分39の全幅Wgより僅かに広い幅を有する大幅部分43、小幅部分42から大幅部分43に向かって幅が漸増する幅漸増部分44を有している。これにより、パッキン37のつぶし代がパッキン周方向位置において急変しないで略均一化するパッキン37およびシール溝21を容易に製作することができる。
【0040】
パッキン面圧のパッキン周方向位置での差異に対応してパッキンの剛性をパッキン周方向位置で2段階に異ならせ、剛性が異なる隣接する2段階の部分38,39間に剛性が漸次増大する剛性漸増部分41を設けるために、図7に示すパッキン45では、図7(a)に断面を示す低剛性部分38のパッキン45の全幅Wsを、図7(b)に断面を示す高剛性部分39の全幅Wgより小さくし、低剛性部分38のリップ46の根元の幅Lsと高剛性部分39のリップ46の根元の幅Lgを等しくし、剛性漸増部分41ではパッキン45の全幅をWsからWgに漸増している。
【0041】
さらに、図8、図9に示すパッキン47では、図9(a)に断面を示す低剛性部分38のパッキン47の全幅Wsを、図9(b)に断面を示す高剛性部分39のパッキン47の全幅Wgより小さくし、低剛性部分38には1条のリップ48を形成し、高剛性部分39には2条のリップ48を形成し、剛性漸増部分41でリップ48を1条から2条に分割して2条のリップ48の間隔を漸増している。
【0042】
図10、図11に示すパッキン50では、図11(a)に断面を示す低剛性部分38のパッキン50の全幅Wsおよびリップ51の根元の幅Lsと、図11(b)に断面を示す高剛性部分29のパッキン47の全幅Wgおよびとリップ51の根元の幅Lgを夫々等しくし、低剛性部分38のパッキン50の高さHsを高剛性部分39のパッキン50の高さHgより低くしている。この場合は、ケース16の側壁20の端面に刻設されたシール溝21は、パッキン50の全幅W(=Ws=Wg)より僅かに広い幅を全周に亘って有している。
【0043】
図12に断面を示すパッキン54では、全幅W等の断面寸法は全周に亘って同一であるが、低剛性部分38のパッキン54の材質硬度を高剛性部分29のパッキン54の材質硬度より小さくし、剛性漸増部分41でパッキン54の材質硬度を漸増している。
【0044】
図13に示すブレーキ液圧制御装置55では、ケース16に、ソレノイド56と干渉しないように隔壁17の中央部以外の2位置で金属製のロッド52,53が貫通して隔壁17に固定されている。ロッド52,53の一端は、基板室25内に突出し、他端は機器収納室13内でハイドロユニット17の金属製の本体15の表面まで延在している。(ロッドが2本である以外は、図1、図3に示すものと同じであるので、図1、図3参照)本体15には、2個のボルト穴26がロッド52,53と対向する位置で底面から表面に貫設され、ボルト穴26に挿通された2本のボルト27が頭部でボルト穴26の段部に係合してロッド52,53の端面から軸線方向に形成された雌ねじ穴に螺着し、ロッド52,53の端面を本体15の表面に圧着させてケース16を本体15に固定している。基板室25内に突出する2本のロッド52,53の一端には小径部が形成され、制御基板18に穿設された取付け穴が小径部に嵌着されることによって制御基板18はケース16の表面に一層確実に固定されている。
【0045】
上記実施の形態では、パッキン面圧のシール溝21の周方向位置での差異に対応してパッキンの剛性を2段階に異ならせ、剛性が異なる隣接する2段階の部分38,39間には剛性が漸次増大する剛性漸増部分41を設けているが、パッキンの剛性を複数段階に異ならせてもよい。また、図14に示すように、パッキン面圧のシール溝21の周方向位置での差異に対応してパッキンの剛性をパッキン周方向位置で連続的に異ならせてもよい。これにより、パッキンのつぶし代をパッキン周方向位置において一層均一化することができる。
【0046】
上記実施の形態では、パッキンの幅、高さ、リップ形状、および材質硬度の中の一つを異ならせてパッキンの硬度をパッキン周方向位置で異ならせているが、パッキンの幅、高さ、リップ形状、および材質硬度の中の複数項目を組み合わせて異ならせパッキンの硬度をパッキン周方向位置で異ならせるようにしてもよい。
【0047】
上記実施の形態では、ケース16の側壁20の端面にシール溝21を刻設してパッキンを装着しているが、ケース16の側壁20の端面と対向する本体15の部分にシール溝を刻設してパッキンを装着してもよい。
【0048】
さらに、図15に示すように、合成樹脂製の蓋体58を板状とし、本体59を車両用機器が取り付けられる底面60と、底面60から立設する側壁61で構成し、蓋体58に該蓋体58の中央部以外の位置で金属製のロッド62を固定し、金属製のロッド62を本体59の底面60まで延在させてボルト63で本体59に固定して機器収納室64を形成し、側壁61の端面にシール溝65を刻設し、該シール溝65に上記実施の形態に係るパッキン66を装着し、蓋体58に形成されたシール面67に圧接させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る機器収納室のシール装置を備えたブレーキ液圧制御装置の断面図。
【図2】図1の2−2方向から見た図。
【図3】図1の3−3方向から見た一部断面図。
【図4】パッキンの全幅とリップの根元の幅を異ならせたパッキンが装着されたシール溝を示す図。
【図5】パッキンの全幅とリップの根元の幅を変えて剛性を異ならせたパッキンの断面図。
【図6】パッキン面圧に応じてパッキンの剛性をパッキン周囲方向位置で段階的に変える状態を示すグラフ。
【図7】パッキンの全幅を変えて剛性を異ならせたパッキンの断面図。
【図8】リップの条数を変えて剛性を異ならせたパッキンが装着されたシール溝を示す図。
【図9】リップの条数を変えて剛性を異ならせたパッキンの断面図。
【図10】高さを変えて剛性を異ならせたパッキンが装着されたシール溝を示す図。
【図11】高さを変えて剛性を異ならせたパッキンの断面図。
【図12】材質硬度を変えて剛性を異ならせたパッキンの断面図。
【図13】2個の固定装置で本体に固定されるケースを側壁端面から見た図。
【図14】パッキン面圧に応じてパッキンの剛性をパッキン周囲方向位置で連続的に変える状態を示すグラフ。
【図15】機器収納室の他の実施形態を示す図。
【符号の説明】
【0050】
10…シール装置、11,55…ブレーキ液圧制御装置、12…電磁弁、13,64…機器収納室、14…ハイドロユニット、15,59…本体、16,58…ケース(蓋体)、17…隔壁、18…制御基板、19…カバー、20,61…側壁、21,65…シール溝、22,37,45,47,50,54,66…パッキン、23…固定手段、24,52,53,62…ロッド、25…基板室、27,63…ボルト、30…コネクタ、34,67…シール面、36…面圧の分布、38…低剛性部分、39…高剛性部分、40,46,48,51…リップ、41…剛性漸増部分、42…小幅部分、43…大幅部分、44…幅漸増部分、56…ソレノイド、57…弁体、60…底面。
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器収納室をパッキンによりシールする機器収納室のシール装置およびそれを使用したブレーキ液圧制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のブレーキ液圧制御装置において、アクチュエータボデーに設けられた複数の電磁弁のソレノイドを覆うソレノイド室が形成されたカバーの側壁端面に環状の凹溝を刻設し、該凹溝に装着されたパッキン(シール部材)を前記ボデーの上面に当接させてソレノイド室を液密的にシールするシール装置が特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開平8−11691号公報(段落〔0033〕、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来装置では、カバーをボデーの上面に締付け装置によって固定するとき、カバー側壁と締付け装置との間の距離、肉厚等がソレノイド室の周囲位置によって異なりカバーとボデー上面とのパッキンを介した接触部分でのカバーのたわみが前記周囲位置で異なることにより、パッキンがボデー上面に圧接される面圧がソレノイド室の周囲位置によって異なる。しかし、パッキンの剛性はパッキン周方向位置で均一であるので、パッキンのつぶし代は前記周囲位置に応じて異なる。これにより、ソレノイド室の周囲位置によりシール性が異なってしまい、水がソレノイド室に浸入し電磁弁が誤作動、或いは故障する可能性がある。
【0004】
また、この従来装置では、締付装置は複数の電磁遮断弁の中央に位置しているが、これら電磁遮断弁への入出力ポートをアクチュエータボデーに形成しようとすると締付装置を迂回させねばならず装置が大型化することとなり好ましくない。仮りに、この従来装置の締付装置をパッキンの周囲の中央位置からずらした場合にパッキンのつぶし代をどのようにすればよいかについては何も提案がなされていない。
【0005】
本発明は、パッキンのつぶし代をパッキン周方向位置において均一化することによりパッキンのシール性を周方向位置にかかわらず均一化することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明の構成上の特徴は、本体と該本体に固定手段によって固定された樹脂製の蓋体との間に機器収納室を形成し、前記本体および前記蓋体の一方に刻設されたシール溝にパッキンを装着し、前記本体および前記蓋体の他方に形成されたシール面に前記パッキンを圧接させて前記機器収納室を液密的にシールする機器収納室のシール装置において、前記パッキンの剛性は、つぶし代がパッキン周方向位置において均一化するように、前記パッキンが前記固定手段による固定により前記シール面に圧接される面圧の前記パッキン周方向位置での差異に対応してパッキン周方向位置で異なることである。
【0007】
請求項2に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記蓋体が前記固定手段によって前記本体に、前記固定手段から前記シール溝までの距離が該シール溝の周方向位置によって異なる位置で固定されることにより、前記パッキンが前記シール面に圧接される面圧が前記パッキン周方向位置によって異なることである。
【0008】
請求項3に記載の発明の構成上の特徴は、ブレーキ液圧制御装置のハイドロユニットの本体と、隔壁および該隔壁の周囲から突出する側壁を有する樹脂製のケースと、前記隔壁に装着されカバーで覆われた制御基板とを備え、前記ケースが固定手段によって前記本体に固定されることにより、前記隔壁と前記側壁と前記本体とで囲まれ前記ハイドロユニットに装着された複数の電磁弁のソレノイドを収納する機器収納室が形成され、前記ケースの側壁の端面に刻設されたシール溝にパッキンが装着され、前記本体に形成されたシール面に前記パッキンが圧接されて前記機器収納室が液密的にシールされる機器収納室のシール装置において、 前記パッキンの剛性は、つぶし代がパッキン周方向位置において均一化するように、前記パッキンが前記固定手段による固定により前記シール面に圧接される面圧の前記パッキン周方向位置での差異に対応してパッキン周方向位置で異なることである。
【0009】
請求項4に記載の発明の構成上の特徴は、請求項3において、前記固定手段は、前記隔壁の中央部以外の位置で貫通して該隔壁に固定され、一端に前記制御基板が固定され、他端が前記機器収納室内に延在する金属製のロッドと、前記ハイドロユニットの本体に係合し前記ロッドに螺着して前記ロッドを前記本体に固定するボルトとからなることである。
【0010】
請求項5に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1乃至4のいずれか1項において、前記パッキンが前記シール面に圧接される面圧の前記パッキン周方向位置での差異を、前記固定手段から前記シール溝までの距離の前記シール溝の周方向位置での差異とすることである。
【0011】
請求項6に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1乃至5のいずれか1項において、前記パッキンの剛性が前記面圧の前記パッキン周方向位置での差異に応じて複数段階にパッキン周方向位置で異なり、前記パッキンの剛性が異なる隣接する段階の部分間では、前記パッキンの剛性が漸次異なることである。
【0012】
請求項7に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1乃至5のいずれか1項において、前記パッキンの剛性が前記面圧の前記パッキン周方向位置での差異に応じて連続的にパッキン周方向位置で異なることである。
【0013】
請求項8に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1乃至7のいずれか1項において、前記パッキンの幅、高さ、リップ形状、および材質硬度の少なくとも一つが異なることによって前記パッキンの剛性が前記パッキン周方向位置で異なることを特徴とする機器収納室のシール装置。
【0014】
請求項9に記載の発明の構成上の特徴は、ソレノイドと弁体とを備える複数の電磁弁と、前記弁体を収容するハイドロユニット本体と、樹脂製のケースと、前記ハイドロユニット本体と前記ケースとの間に設けられた閉曲線状のパッキンとを備えたブレーキ液圧制御装置であって、前記ハイドロユニット本体と前記ケースと前記パッキンとの間に形成される空間には、前記複数の電磁弁のソレノイド、および前記ケースと前記ハイドロユニット本体とを固定する固定手段が設けられ、 該固定手段は前記ケースの前記ハイドロユニット本体方向に向けた弾性変形を伴って前記ケースを固定し、前記固定手段による前記ケースの固定により前記ハイドロユニット本体に圧接される前記パッキンの剛性は、前記圧接により発生する面圧の大きさが大きい位置ほど大きいことである。
【0015】
請求項10に記載の発明の構成上の特徴は、請求項9において、前記ハイドロユニット本体と前記ケースと前記パッキンとの間に形成される空間の中央位置からはずれた位置に前記固定手段が設けられるとともに、残りの空間に前記複数の電磁弁のソレノイドが配されることである。
【発明の効果】
【0016】
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、本体および樹脂製の蓋体の一方にシール溝を刻設してパッキンを装着し、該パッキンを他方に形成されたシール面に圧接させて、両者間に形成される機器収納室を液密的にシールする機器収納室のシール装置において、パッキンの剛性が、パッキンがシール面に圧接される面圧のパッキン周方向位置での差異に対応してパッキン周方向位置で異なるので、パッキンのつぶし代がパッキン周方向位置において均一化する。これにより、パッキンおよびシール溝の寸法が若干ばらついても、パッキンのシール性が低下することなく安定化する。さらに、パッキンが少し劣化しても、パッキン周方向の各位置においてつぶし代に余裕があるのでシール性を維持することができ、パッキンの耐久性が向上し寿命が延びる。
【0017】
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、蓋体が固定手段によって本体に、固定手段からシール溝までの距離がシール溝の周方向位置によって異なる位置で固定されることにより、パッキンがシール面に圧接される面圧がパッキン周方向位置によって異なるが、パッキンの剛性が前記面圧のパッキン周方向位置での差異に対応してパッキン周方向位置で異なるので、パッキンのつぶし代がパッキン周方向位置において均一化し、パッキンのシール性が低下することなく安定化する。
【0018】
上記のように構成した請求項3に係る発明においては、隔壁および該隔壁の周囲から突出する側壁を有する樹脂製のケースが、ブレーキ液圧制御装置のハイドロユニットの本体に固定手段によって固定されることにより、隔壁と側壁と本体とで囲まれ複数の電磁弁のソレノイドを収納する機器収納室が形成され、ケースの側壁の端面に刻設されたシール溝にパッキンが装着され、本体に形成されたシール面にパッキンが圧接されて機器収納室が液密的にシールされる機器収納室のシール装置において、パッキンの剛性が、パッキンがシール面に圧接される面圧のパッキン周方向位置での差異に対応してパッキン周方向位置で異なる。これにより、水がかかることのあるブレーキ液圧制御装置において、ハイドロユニットの本体とケースの側壁との間でパッキンのつぶし代がパッキン周方向位置において均一化し、本体とケースとの間に形成され複数の電磁弁のソレノイドを収納する機器収納室をシールするパッキンのシール性が安定化し、耐久性が向上する。
【0019】
上記のように構成した請求項4に係る発明においては、中央部以外の位置でケースの隔壁に固定されて機器収納室内に延在する金属製のロッドがハイドロユニットの本体にボルトで締結されることによって、樹脂製のケースが本体に固定され、ケースの側壁の端面に刻設されたシール溝に装着されたパッキンの剛性が、パッキンがシール面に圧接される面圧のパッキン周方向位置での差異に対応してパッキン周方向位置で異なる。
【0020】
これにより、ケースとハイドロユニットの本体との間に複数の電磁弁のソレノイドを収納する機器収納室が形成されたブレーキ液圧制御装置において、弾性変形する樹脂製ケースの側壁端面に形成されたシール溝に装着されたパッキンのつぶし代がパッキン周方向位置において均一化し、機器収納室をシールするパッキンのシール性が安定化し、耐久性が向上する。
【0021】
上記のように構成した請求項5に係る発明においては、パッキンがシール面に圧接される面圧のパッキン周方向位置での差異を、固定手段からシール溝までの距離のシール溝の周方向位置での差異とするので、パッキンの剛性を簡易的に容易に前記面圧の差異に対応させてパッキン周方向位置で異ならせることができる。
【0022】
上記のように構成した請求項6に係る発明においては、パッキンの剛性は、パッキンがシール面に圧接される面圧のパッキン周方向位置での差異に応じて複数段階にパッキン周方向位置で異なり、剛性が異なる隣接する段階の部分間では、パッキンの剛性が漸次異なるので、パッキンのつぶし代がパッキン周方向位置において急変しないで略均一化するパッキンおよびシール溝を容易に製作することができる。
【0023】
上記のように構成した請求項7に係る発明においては、パッキンの剛性は、パッキンがシール面に圧接される面圧のパッキン周方向位置での差異に応じて連続的にパッキン周方向位置で異なるので、パッキンのつぶし代がパッキン周方向位置において均一化する。
【0024】
上記のように構成した請求項8に係る発明においては、パッキンの幅、高さ、リップ形状、および材質硬度の少なくとも一つが異なることによって、パッキンの剛性がパッキン周方向位置で異なるので、パッキンのつぶし代がパッキン周方向位置において均一になるようなパッキンを容易に製作することができる。
【0025】
上記のように構成した請求項9に係る発明においては、ハイドロユニット本体とケースとパッキンとの間に形成される空間に、複数の電磁弁のソレノイドともに設けられた固定手段がケースを本体に、ケースのハイドロユニット本体方向に向けた弾性変形を伴って固定する。このケースの本体への固定によりハイドロユニット本体に圧接されるパッキンの剛性は、圧接により発生する面圧の大きさが大きい位置ほど大きくされている。これにより、固定手段は、ケースとハイドロユニット本体とを簡単な構成で固定することができる。そして、固定手段による固定により樹脂製ケースが弾性変形してパッキンがケース本体に圧接され、その面圧がパッキンの周方向位置により異なっても、パッキンのシール性を均一に維持することができ、水等が空間に浸入することを確実に防ぎ、電磁弁の誤作動、故障を防止することができる。
【0026】
上記のように構成した請求項10に係る発明においては、ハイドロユニット本体とケースとパッキンとの間に形成される空間の中央位置からはずれた位置に固定手段を設け、残りの空間に複数の電磁弁のソレノイドを配するので、空間のスペースを有効に利用してハイドロユニットを小型化できるとともに、パッキンの面圧の周方向位置での差異が大きくてもパッキンのシール性を均一にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下本発明の実施形態に係る機器収納室のシール装置10を、車両のブレーキ液圧制御装置11において電磁制御弁のソレノイド56を収納する機器収納室13を液密的にシールする部分に適用した場合について説明する。なお、本実施の形態における機器とは、パッキンによるシールを必要とする機器のことを意味している。
【0028】
車両のブレーキ液圧制御装置11は、図略のブレーキペダルの操作によって液圧を発生するマスタシリンダと車輪に設けられたブレーキのホイールシリンダとの間に接続され、車輪に付与される制動力を制御するものである。ブレーキ液圧制御装置11は、ハイドロユニット14と、ハイドロユニット14の本体15に固定された合成樹脂製のケース16と、ケース16の隔壁17表面に取り付けられた制御基板18と、制御基板18を覆うカバー19等を備えている。
【0029】
図1、図2に示すように、合成樹脂製のケース16は、隔壁17と、隔壁17の周囲から突出して機器収納室13の周囲をなす側壁20とを備え、側壁20の端面にシール溝21が全周に亘って刻設され、シール溝21にパッキン22が装着されている。ケース16がハイドロユニット14の本体15に固定され、パッキン22が本体15に形成されたシール面34に圧接されて本体15との間で機器収納室13を液密的に形成し、ハイドロユニット14に装備されて本体15の表面から機器収納室13内に突出する複数の電磁弁12のソレノイド56を収納する。電磁弁12の弁体57は、ソレノイド56によって移動されハイドロユニット14内に形成された液圧通路を開閉制御する。
【0030】
ケース16には、ソレノイド56と干渉しないように隔壁17の中央部以外の位置で金属製のロッド24が貫通して隔壁17に固定されている。ロッド24の一端は、後述する基板室25内に突出し、他端は機器収納室13内でハイドロユニット14の金属製の本体15の表面まで延在している。本体15にはボルト穴26がロッド24と対向する位置に底面から表面に貫設され、ボルト穴26に挿通されたボルト27が頭部でボルト穴26の段部に係合してロッド24の端面から軸線方向に形成された雌ねじ穴に螺着し、ロッド24の端面を本体15の表面に圧着させてケース16を本体15に固定している。
【0031】
図1、図3において、隔壁17の表面にはカバー19が振動溶着され、制御基板18を収納する基板室25が外部と遮断して形成されている。基板室25内に突出するロッド24の一端には小径部28が形成され、制御基板18に穿設された取付け穴29が小径部28に嵌着されることによって制御基板18はケース16の隔壁17の表面に固定されている。制御基板18は、車輪の回転速度を検出する回転速度センサなどから入力した信号に基づいてハイドロユニット14の図略の油圧ポンプを回転駆動するモータ、電磁弁12のソレノイド56を制御して、通常のブレーキ制御、アンチロックブレーキ制御、横滑り防止制御などの制御を行うものである。隔壁17の側壁20の外側まで延在した部分にはコネクタ30が形成され、コネクタ30には、制御基板18に接続される端子31が設けられている。ソレノイド56の端子32は隔壁17の表面に形成されたダム部33を貫通して基板室25に入って制御基板18に接続されている。ダム部33には端子32と隔壁17との隙間をシールするためにシリコン等のシール材が充填されている。
【0032】
ケース16は合成樹脂で形成されているので、ロッド24及びその雌ねじ穴に螺着したボルト27を介して本体15に固定されると、断面がコの字状に形成されたケース16はボルト27の軸力によりM字状に弾性変形する。すなわち、側壁20の端面がパッキン22を挟んで本体15の表面から離れるような弾性変形を行い、側壁20のシール溝21に装着されたパッキン22をつぶし代だけ圧縮させて本体15の表面に圧接させる。即ち、固定手段23は、ケース16の隔壁17のハイドロユニット本体15方向に向けた弾性変形を伴ってケース16を本体15に固定する。隔壁17の各部分での弾性変形量は形状、肉厚等によって異なるとともに、ロッド24は隔壁17の中央部以外の位置で隔壁17に固定されており、ロッド24からシール溝21までの距離はシール溝21の周方向位置において異なる。なお、ケース16の側壁20の端面と本体15のシール面34との間には僅かな隙間が形成されている。
【0033】
ロッド24、ボルト穴26、ボルト27等によって、樹脂製の蓋体であるケース16を本体15に固定する固定手段23が構成される。固定手段23は、固定手段23からシール溝21までの距離が該シール溝21の周方向位置によって異なる位置でケース16を本体15に固定している。これにより、固定手段23からシール溝21までの間のケース16の部分のたわみ量がシール溝21の周方向位置によって異なり、パッキン22がシール面34に圧接される面圧(以下、パッキン面圧という。)がパッキン周方向位置によって異なる。
【0034】
本実施の形態では、パッキン22のつぶし代がパッキン周方向位置によって異ならないように、パッキン22の剛性をパッキン面圧の差異に対応してパッキン周方向位置で異ならせている。即ち、固定手段23によるケース16の固定によりハイドロユニット本体15に圧接されるパッキン22の剛性を、圧接により発生する面圧の大きさが大きい位置ほど大きくしている。パッキン面圧は、パッキン22をシール溝21に装着し、パッキン22とシール面34との間に面圧紙を介在させた状態でケース16をロッド24を介して本体15の表面に固定した後の面圧紙の色の差異で測定する。これにより、ケース16が本体15に固定手段23によって固定されたとき、パッキン22のつぶし代がパッキン周方向位置において均一化し、パッキン22およびシール溝21の寸法が若干ばらついても、パッキン22のシール性が低下することなく安定化する。さらに、パッキンが少し劣化しても、パッキン周方向の各位置においてつぶし代に余裕があるのでシール性を維持することができ、パッキン22の耐久性が向上し寿命が延びる。
【0035】
そして、水がかかることのある車両のブレーキ液圧制御装置11において、ハイドロユニット14の本体15と合成樹脂製のケース16との間でパッキン22のつぶし代をパッキン周方向位置において均一化することにより、本体15とケース16との間に形成され複数の電磁弁12のソレノイド56を収納する機器収納室13をシールするパッキンのシール性を安定化させ、耐久性を向上させることができる。このとき、弾性変形する合成樹脂製のケース16の側壁20の端面にシール溝21を形成し、該シール溝21に装着されるパッキン22の剛性をパッキン面圧の差異に対応してパッキン周方向位置で異ならせることによって、パッキン22のつぶし代をパッキン周方向位置において均一化させるので、機器収納室13をシールするパッキン22のシール性を簡単な構成で確実に安定化させることができる。
【0036】
パッキン面圧の分布36は、図2においてパッキン面圧の大きさに応じた長さの線分を側壁20の外縁から法線方向に描いて示すように、ロッド24からシール溝21までの距離のシール溝21の周方向位置での差異と略一致する。すなわち、ロッド24からの距離が大きい部分ほど、パッキン面圧は小さいことが発明者の研究により判明した。従って、パッキン22がシール面34に圧接される面圧のパッキン周方向位置での差異を、ロッド24からシール溝21までの距離のシール溝21の周方向位置での差異とし、固定手段からシール溝21までの距離に応じてパッキン37の剛性を異ならせてもよい。
【0037】
図4、図5に示すパッキン37は、パッキン面圧のパッキン周方向位置での差異に対応して剛性が2段階に異なり、剛性が異なる隣接する2段階の部分38,39間の部分41では、パッキン37の幅が漸次異なっている。即ち、パッキン面圧が最小である図4のS−S断面部分およびロッド24との距離がS−S断面部分とほぼ等しいパッキン37の部分38は、小さいパッキン面圧に対応する低剛性を有し、パッキン面圧が最大である図4のG−G断面部分およびロッド24との距離がG−G断面部分とほぼ等しいパッキン37の部分39は、大きいパッキン面圧に対応する高剛性を有している。そして、パッキン37の剛性が異なる隣接する2段階の部分38,39間の部分41では、パッキン37の幅が低剛性部分38から高剛性部分39に向けて漸次増大されている。
【0038】
図5(a)に断面を示す低剛性部分38のパッキン37の全幅をWs、リップ40の根元の幅をLsとし、図5(b)に断面を示す高剛性部分39のパッキン37の全幅をWg、リップ40の根元の幅をLgとすると、Ws<Wg、Ls<Lgとされ、低剛性部分38と高剛性部分39との間の全幅はWsからWg、リップ40の根元の幅はLsからLgに漸増されている。これにより、パッキン37の剛性は、図6に示すように、パッキン面圧のパッキン周方向位置での差異に対応してパッキン周方向位置で2段階に異なり、剛性が異なる隣接する2段階の部分38,39間には剛性が漸次増大する剛性漸増部分41が設けられている。
【0039】
ケース16の側壁20の端面に刻設されたシール溝21は、パッキン37の低剛性部分38の全幅Wsより僅かに広い幅を有する小幅部分42、高剛性部分39の全幅Wgより僅かに広い幅を有する大幅部分43、小幅部分42から大幅部分43に向かって幅が漸増する幅漸増部分44を有している。これにより、パッキン37のつぶし代がパッキン周方向位置において急変しないで略均一化するパッキン37およびシール溝21を容易に製作することができる。
【0040】
パッキン面圧のパッキン周方向位置での差異に対応してパッキンの剛性をパッキン周方向位置で2段階に異ならせ、剛性が異なる隣接する2段階の部分38,39間に剛性が漸次増大する剛性漸増部分41を設けるために、図7に示すパッキン45では、図7(a)に断面を示す低剛性部分38のパッキン45の全幅Wsを、図7(b)に断面を示す高剛性部分39の全幅Wgより小さくし、低剛性部分38のリップ46の根元の幅Lsと高剛性部分39のリップ46の根元の幅Lgを等しくし、剛性漸増部分41ではパッキン45の全幅をWsからWgに漸増している。
【0041】
さらに、図8、図9に示すパッキン47では、図9(a)に断面を示す低剛性部分38のパッキン47の全幅Wsを、図9(b)に断面を示す高剛性部分39のパッキン47の全幅Wgより小さくし、低剛性部分38には1条のリップ48を形成し、高剛性部分39には2条のリップ48を形成し、剛性漸増部分41でリップ48を1条から2条に分割して2条のリップ48の間隔を漸増している。
【0042】
図10、図11に示すパッキン50では、図11(a)に断面を示す低剛性部分38のパッキン50の全幅Wsおよびリップ51の根元の幅Lsと、図11(b)に断面を示す高剛性部分29のパッキン47の全幅Wgおよびとリップ51の根元の幅Lgを夫々等しくし、低剛性部分38のパッキン50の高さHsを高剛性部分39のパッキン50の高さHgより低くしている。この場合は、ケース16の側壁20の端面に刻設されたシール溝21は、パッキン50の全幅W(=Ws=Wg)より僅かに広い幅を全周に亘って有している。
【0043】
図12に断面を示すパッキン54では、全幅W等の断面寸法は全周に亘って同一であるが、低剛性部分38のパッキン54の材質硬度を高剛性部分29のパッキン54の材質硬度より小さくし、剛性漸増部分41でパッキン54の材質硬度を漸増している。
【0044】
図13に示すブレーキ液圧制御装置55では、ケース16に、ソレノイド56と干渉しないように隔壁17の中央部以外の2位置で金属製のロッド52,53が貫通して隔壁17に固定されている。ロッド52,53の一端は、基板室25内に突出し、他端は機器収納室13内でハイドロユニット17の金属製の本体15の表面まで延在している。(ロッドが2本である以外は、図1、図3に示すものと同じであるので、図1、図3参照)本体15には、2個のボルト穴26がロッド52,53と対向する位置で底面から表面に貫設され、ボルト穴26に挿通された2本のボルト27が頭部でボルト穴26の段部に係合してロッド52,53の端面から軸線方向に形成された雌ねじ穴に螺着し、ロッド52,53の端面を本体15の表面に圧着させてケース16を本体15に固定している。基板室25内に突出する2本のロッド52,53の一端には小径部が形成され、制御基板18に穿設された取付け穴が小径部に嵌着されることによって制御基板18はケース16の表面に一層確実に固定されている。
【0045】
上記実施の形態では、パッキン面圧のシール溝21の周方向位置での差異に対応してパッキンの剛性を2段階に異ならせ、剛性が異なる隣接する2段階の部分38,39間には剛性が漸次増大する剛性漸増部分41を設けているが、パッキンの剛性を複数段階に異ならせてもよい。また、図14に示すように、パッキン面圧のシール溝21の周方向位置での差異に対応してパッキンの剛性をパッキン周方向位置で連続的に異ならせてもよい。これにより、パッキンのつぶし代をパッキン周方向位置において一層均一化することができる。
【0046】
上記実施の形態では、パッキンの幅、高さ、リップ形状、および材質硬度の中の一つを異ならせてパッキンの硬度をパッキン周方向位置で異ならせているが、パッキンの幅、高さ、リップ形状、および材質硬度の中の複数項目を組み合わせて異ならせパッキンの硬度をパッキン周方向位置で異ならせるようにしてもよい。
【0047】
上記実施の形態では、ケース16の側壁20の端面にシール溝21を刻設してパッキンを装着しているが、ケース16の側壁20の端面と対向する本体15の部分にシール溝を刻設してパッキンを装着してもよい。
【0048】
さらに、図15に示すように、合成樹脂製の蓋体58を板状とし、本体59を車両用機器が取り付けられる底面60と、底面60から立設する側壁61で構成し、蓋体58に該蓋体58の中央部以外の位置で金属製のロッド62を固定し、金属製のロッド62を本体59の底面60まで延在させてボルト63で本体59に固定して機器収納室64を形成し、側壁61の端面にシール溝65を刻設し、該シール溝65に上記実施の形態に係るパッキン66を装着し、蓋体58に形成されたシール面67に圧接させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る機器収納室のシール装置を備えたブレーキ液圧制御装置の断面図。
【図2】図1の2−2方向から見た図。
【図3】図1の3−3方向から見た一部断面図。
【図4】パッキンの全幅とリップの根元の幅を異ならせたパッキンが装着されたシール溝を示す図。
【図5】パッキンの全幅とリップの根元の幅を変えて剛性を異ならせたパッキンの断面図。
【図6】パッキン面圧に応じてパッキンの剛性をパッキン周囲方向位置で段階的に変える状態を示すグラフ。
【図7】パッキンの全幅を変えて剛性を異ならせたパッキンの断面図。
【図8】リップの条数を変えて剛性を異ならせたパッキンが装着されたシール溝を示す図。
【図9】リップの条数を変えて剛性を異ならせたパッキンの断面図。
【図10】高さを変えて剛性を異ならせたパッキンが装着されたシール溝を示す図。
【図11】高さを変えて剛性を異ならせたパッキンの断面図。
【図12】材質硬度を変えて剛性を異ならせたパッキンの断面図。
【図13】2個の固定装置で本体に固定されるケースを側壁端面から見た図。
【図14】パッキン面圧に応じてパッキンの剛性をパッキン周囲方向位置で連続的に変える状態を示すグラフ。
【図15】機器収納室の他の実施形態を示す図。
【符号の説明】
【0050】
10…シール装置、11,55…ブレーキ液圧制御装置、12…電磁弁、13,64…機器収納室、14…ハイドロユニット、15,59…本体、16,58…ケース(蓋体)、17…隔壁、18…制御基板、19…カバー、20,61…側壁、21,65…シール溝、22,37,45,47,50,54,66…パッキン、23…固定手段、24,52,53,62…ロッド、25…基板室、27,63…ボルト、30…コネクタ、34,67…シール面、36…面圧の分布、38…低剛性部分、39…高剛性部分、40,46,48,51…リップ、41…剛性漸増部分、42…小幅部分、43…大幅部分、44…幅漸増部分、56…ソレノイド、57…弁体、60…底面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(15,59)と該本体に固定手段(23)によって固定された樹脂製の蓋体(16,58)との間に機器収納室(13,64)を形成し、前記本体および前記蓋体の一方に刻設されたシール溝(21,65)にパッキン(22,37,45,47,50,54,66)を装着し、前記本体および前記蓋体の他方に形成されたシール面(34,67)に前記パッキンを圧接させて前記機器収納室を液密的にシールする機器収納室のシール装置(10)において、
前記パッキン(22,37,45,47,50,54,66)の剛性は、つぶし代がパッキン周方向位置において均一化するように、前記パッキンが前記固定手段(23)による固定により前記シール面(34,67)に圧接される面圧の前記パッキン周方向位置での差異(36)に対応してパッキン周方向位置で異なることを特徴とする機器収納室のシール装置。
【請求項2】
請求項1において、前記蓋体(16,58)が前記固定手段(23)によって前記本体(15,59)に、前記固定手段から前記シール溝(21,65)までの距離が該シール溝の周方向位置によって異なる位置で固定されることにより、前記パッキン(22,37,45,47,50,54,66)が前記シール面(34,67)に圧接される面圧が前記パッキン周方向位置によって異なることを特徴とする機器収納室のシール装置。
【請求項3】
ブレーキ液圧制御装置(11,55)のハイドロユニット(14)の本体(15)と、隔壁(17)および該隔壁の周囲から突出する側壁(20)を有する樹脂製のケース(16)と、前記隔壁に装着されカバー(19)で覆われた制御基板(18)とを備え、前記ケースが固定手段(23)によって前記本体に固定されることにより、前記隔壁と前記側壁と前記本体とで囲まれ前記ハイドロユニットに装着された複数の電磁弁(12)のソレノイド(56)を収納する機器収納室(13)が形成され、前記ケースの側壁の端面に刻設されたシール溝(21)にパッキン(22,37,45,47,50,54,66)が装着され、前記本体に形成されたシール面(34)に前記パッキンが圧接されて前記機器収納室が液密的にシールされる機器収納室のシール装置(10)において、
前記パッキン(22,37,45,47,50,54,66)の剛性は、つぶし代がパッキン周方向位置において均一化するように、前記パッキンが前記固定手段による固定により前記シール面(34)に圧接される面圧の前記パッキン周方向位置での差異(36)に対応してパッキン周方向位置で異なることを特徴とする機器収納室のシール装置。
【請求項4】
請求項3において、前記固定手段(23)は、前記隔壁(17)の中央部以外の位置で貫通して該隔壁に固定され、一端に前記制御基板(18)が固定され、他端が前記機器収納室(13)内に延在する金属製のロッド(24,52,53)と、前記ハイドロユニット(14)の本体(15)に係合し前記ロッドに螺着して前記ロッドを前記本体に固定するボルト(27)とからなることを特徴とする機器収納室のシール装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、前記パッキン(22,37,45,47,50,54,66)が前記シール面(34,67)に圧接される面圧の前記パッキン周方向位置での差異(36)を、前記固定手段(23)から前記シール溝(21,65)までの距離の前記シール溝の周方向位置での差異とすることを特徴とする機器収納室のシール装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項において、前記パッキン(22,37,45,47,50,54,66)の剛性が前記面圧の前記パッキン周方向位置での差異(36)に応じて複数段階にパッキン周方向位置で異なり、前記パッキンの剛性が異なる隣接する段階(38,39)の部分間(41)では、前記パッキンの剛性が漸次異なることを特徴とする機器収納室のシール装置。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1項において、前記パッキン(22,37,45,47,50,54,66)の剛性が前記面圧の前記パッキン周方向位置での差異(36)に応じて連続的にパッキン周方向位置で異なることを特徴とする機器収納室のシール装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項において、前記パッキン(22,37,45,47,50,54,66)の幅、高さ、リップ形状、および材質硬度の少なくとも一つが異なることによって前記パッキンの剛性が前記パッキン周方向位置(38,39,41)で異なることを特徴とする機器収納室のシール装置。
【請求項9】
ソレノイド(56)と弁体(57)とを備える複数の電磁弁(12)と、
前記弁体を収容するハイドロユニット本体(15)と、
樹脂製のケース(16)と、
前記ハイドロユニット本体と前記ケースとの間に設けられた閉曲線状のパッキン(22,37,45,47,50,54)とを備えたブレーキ液圧制御装置(11,55)であって、
前記ハイドロユニット本体(15)と前記ケース(16)と前記パッキン(22,37,45,47,50,54)との間に形成される空間(13)には、前記複数の電磁弁(12)のソレノイド(56)、および前記ケースと前記ハイドロユニット本体とを固定する固定手段(23)が設けられ、
該固定手段は前記ケースの前記ハイドロユニット本体方向に向けた弾性変形を伴って前記ケースを固定し、
前記固定手段による前記ケースの固定により前記ハイドロユニット本体に圧接される前記パッキンの剛性は、前記圧接により発生する面圧の大きさが大きい位置ほど大きいことを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
【請求項10】
請求項9において、前記ハイドロユニット本体(15)と前記ケース(16)と前記パッキン(22,37,45,47,50,54)との間に形成される空間(13)の中央位置からはずれた位置に前記固定手段(23)が設けられるとともに、残りの空間に前記複数の電磁弁(12)のソレノイド(56)が配されることを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
【請求項1】
本体(15,59)と該本体に固定手段(23)によって固定された樹脂製の蓋体(16,58)との間に機器収納室(13,64)を形成し、前記本体および前記蓋体の一方に刻設されたシール溝(21,65)にパッキン(22,37,45,47,50,54,66)を装着し、前記本体および前記蓋体の他方に形成されたシール面(34,67)に前記パッキンを圧接させて前記機器収納室を液密的にシールする機器収納室のシール装置(10)において、
前記パッキン(22,37,45,47,50,54,66)の剛性は、つぶし代がパッキン周方向位置において均一化するように、前記パッキンが前記固定手段(23)による固定により前記シール面(34,67)に圧接される面圧の前記パッキン周方向位置での差異(36)に対応してパッキン周方向位置で異なることを特徴とする機器収納室のシール装置。
【請求項2】
請求項1において、前記蓋体(16,58)が前記固定手段(23)によって前記本体(15,59)に、前記固定手段から前記シール溝(21,65)までの距離が該シール溝の周方向位置によって異なる位置で固定されることにより、前記パッキン(22,37,45,47,50,54,66)が前記シール面(34,67)に圧接される面圧が前記パッキン周方向位置によって異なることを特徴とする機器収納室のシール装置。
【請求項3】
ブレーキ液圧制御装置(11,55)のハイドロユニット(14)の本体(15)と、隔壁(17)および該隔壁の周囲から突出する側壁(20)を有する樹脂製のケース(16)と、前記隔壁に装着されカバー(19)で覆われた制御基板(18)とを備え、前記ケースが固定手段(23)によって前記本体に固定されることにより、前記隔壁と前記側壁と前記本体とで囲まれ前記ハイドロユニットに装着された複数の電磁弁(12)のソレノイド(56)を収納する機器収納室(13)が形成され、前記ケースの側壁の端面に刻設されたシール溝(21)にパッキン(22,37,45,47,50,54,66)が装着され、前記本体に形成されたシール面(34)に前記パッキンが圧接されて前記機器収納室が液密的にシールされる機器収納室のシール装置(10)において、
前記パッキン(22,37,45,47,50,54,66)の剛性は、つぶし代がパッキン周方向位置において均一化するように、前記パッキンが前記固定手段による固定により前記シール面(34)に圧接される面圧の前記パッキン周方向位置での差異(36)に対応してパッキン周方向位置で異なることを特徴とする機器収納室のシール装置。
【請求項4】
請求項3において、前記固定手段(23)は、前記隔壁(17)の中央部以外の位置で貫通して該隔壁に固定され、一端に前記制御基板(18)が固定され、他端が前記機器収納室(13)内に延在する金属製のロッド(24,52,53)と、前記ハイドロユニット(14)の本体(15)に係合し前記ロッドに螺着して前記ロッドを前記本体に固定するボルト(27)とからなることを特徴とする機器収納室のシール装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、前記パッキン(22,37,45,47,50,54,66)が前記シール面(34,67)に圧接される面圧の前記パッキン周方向位置での差異(36)を、前記固定手段(23)から前記シール溝(21,65)までの距離の前記シール溝の周方向位置での差異とすることを特徴とする機器収納室のシール装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項において、前記パッキン(22,37,45,47,50,54,66)の剛性が前記面圧の前記パッキン周方向位置での差異(36)に応じて複数段階にパッキン周方向位置で異なり、前記パッキンの剛性が異なる隣接する段階(38,39)の部分間(41)では、前記パッキンの剛性が漸次異なることを特徴とする機器収納室のシール装置。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1項において、前記パッキン(22,37,45,47,50,54,66)の剛性が前記面圧の前記パッキン周方向位置での差異(36)に応じて連続的にパッキン周方向位置で異なることを特徴とする機器収納室のシール装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項において、前記パッキン(22,37,45,47,50,54,66)の幅、高さ、リップ形状、および材質硬度の少なくとも一つが異なることによって前記パッキンの剛性が前記パッキン周方向位置(38,39,41)で異なることを特徴とする機器収納室のシール装置。
【請求項9】
ソレノイド(56)と弁体(57)とを備える複数の電磁弁(12)と、
前記弁体を収容するハイドロユニット本体(15)と、
樹脂製のケース(16)と、
前記ハイドロユニット本体と前記ケースとの間に設けられた閉曲線状のパッキン(22,37,45,47,50,54)とを備えたブレーキ液圧制御装置(11,55)であって、
前記ハイドロユニット本体(15)と前記ケース(16)と前記パッキン(22,37,45,47,50,54)との間に形成される空間(13)には、前記複数の電磁弁(12)のソレノイド(56)、および前記ケースと前記ハイドロユニット本体とを固定する固定手段(23)が設けられ、
該固定手段は前記ケースの前記ハイドロユニット本体方向に向けた弾性変形を伴って前記ケースを固定し、
前記固定手段による前記ケースの固定により前記ハイドロユニット本体に圧接される前記パッキンの剛性は、前記圧接により発生する面圧の大きさが大きい位置ほど大きいことを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
【請求項10】
請求項9において、前記ハイドロユニット本体(15)と前記ケース(16)と前記パッキン(22,37,45,47,50,54)との間に形成される空間(13)の中央位置からはずれた位置に前記固定手段(23)が設けられるとともに、残りの空間に前記複数の電磁弁(12)のソレノイド(56)が配されることを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
【図1】


【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】


【図12】


【図13】


【図14】


【図15】




【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】


【図12】


【図13】


【図14】


【図15】


【公開番号】特開2008−115963(P2008−115963A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−300452(P2006−300452)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】
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