説明

機器据付台座及びそれを用いた機器の設置固定方法

【課題】自動販売機等の機器の荷重を高さ調整部材の底面に分散させ、荷重の集中により基盤に凹みが生じたり基盤が割れたりするおそれがなく基盤を傷付け難く、さらに支持脚のネジ部を回転させて高さを調整する等の煩雑な高さ調整作業を行うことなく、支持プレートを水平に配置することが可能で機器の設置固定作業性に著しく優れる機器据付台座を提供する。
【解決手段】機器据付台座1は、一端側に高位置側支持部9を有し他端側に高位置側支持部9より厚みの大きな低位置側支持部10を有する高さ調整部材2と、機器の一の支持脚43が上面の一端側に載置され他端側に機器の他の支持脚43が載置され下面に高さ調整部材2が装着される支持プレート20と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機や自動支払機等の機器を基盤上に固定する機器据付台座及びそれを用いた機器の設置固定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、多数の自動販売機や自動支払機等の機器が、駅構内、高速道路等のサービスエリア、空港やフェリーの発着所、バスターミナル、ショッピングモール、ホテル等に設置されている。機器をコンクリート製等の基盤に設置する際には、基盤にコンクリートブロックを載置して、その上に機器を積載し、機器の支持脚を固定することが一般的である。また、基盤が傾斜している場合には、機器の支持脚の高さを調整して、機器を水平に設置することが行われている。
しかし、このような方法では機器の設置状態が不安定であり、また、機器の荷重が支持脚に集中してコンクリートブロックが割れてしまうことがあった。そのため、大きな地震等の場合には機器が転倒する可能性もあるという問題があった。
そこで、傾斜した基盤においても自動販売機等の機器を安定に設置することができる技術が開発されている。
【0003】
従来の技術としては、(特許文献1)に「(a)自動販売機の支持脚が載置固定される支持プレートと、(b)基盤上に固定される基盤側固定部材と、基盤側固定部材上に固定される高さ調整部材と、高さ調整部材上に固定されるプレート側固定部材と、前記高さ調整部材に設けられた高さ調整用のネジと、を有する支持金具と、を備えた自動販売機固定装置」が開示されている。
(特許文献2)には、「自動販売機の支持脚が載置される積載フレームと、前記積載フレームの一端側に回動自在に連結され基盤の高位置側に固定される高位置側支持金具と、前記積載フレームの他端側に高さ調整可能に装着され基盤の低位置側に固定される低位置側支持脚と、を備えた自動販売機固定装置」が開示されている。
【特許文献1】特許第2700877号公報
【特許文献2】特開平9−196286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に開示の技術では、自動販売機固定装置を支持基盤に設置する際、支持基盤に基盤側固定部材をアンカーボルトで固定した後、支持プレートが水平になるように、高さ調整部材に設けられたネジを用いて支持金具の高さを調整するため、支持金具毎の高さ調整作業が煩雑で時間がかかるという課題を有していた。
(2)(特許文献2)に開示の技術においても、雌ネジ部に螺嵌した低位置側支持脚の雄ネジ部を回転させることによって低位置側支持脚の高さを調整するため、支持脚の高さ調整作業が煩雑であるという課題を有していた。
(3)(特許文献1)、(特許文献2)に係る発明では、自動販売機固定装置は複数の支持脚で支えられているため、自動販売機等の機器の荷重が支持脚の直下の基盤に集中し、基盤に凹みが生じたり基盤が割れたりするという課題を有していた。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、自動販売機等の機器の荷重は高さ調整部材の底面に分散されるため安定性に優れ、荷重の集中により基盤に凹みが生じたり基盤が割れたりするおそれがなく基盤を傷付け難く、さらに支持脚のネジ部を回転させて高さを調整する等の煩雑な高さ調整作業を行うことなく、支持プレートを水平に配置することが可能で作業性に著しく優れる機器据付台座を提供することを目的とする。
また、本発明は、支持脚のネジ部を回転させて高さを調整する等の煩雑な高さ調整作業を行うことなく支持プレートを水平に配置し、自動販売機等の機器を安定に固定することが可能で作業性に著しく優れる機器の設置固定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来の課題を解決するために本発明の機器据付台座及びそれを用いた機器の設置固定方法は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の機器据付台座は、一端側に高位置側支持部を有し他端側に前記高位置側支持部より厚みの大きな低位置側支持部を有する高さ調整部材と、機器の一の支持脚が上面の一端側に載置され他端側に前記機器の他の支持脚が載置され下面に前記高さ調整部材が装着される支持プレートと、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)一端側に高位置側支持部を有し他端側に高位置側支持部より厚みの大きな低位置側支持部を有する高さ調整部材と、下面に高さ調整部材が装着される支持プレートと、を備えているので、基盤の傾斜に応じた厚さに形成された高さ調整部材を用意し、この高さ調整部材を下面に装着することで、支持プレートの上面が水平になるように機器据付台座を設置することができるため、(特許文献1)や(特許文献2)のような雌ネジ部に螺嵌した支持脚の雄ネジ部を回転させて支持脚の高さを調整する等の煩雑な高さ調整作業が不要で、作業性に著しく優れる。
(2)一端側に高位置側支持部を有し他端側に低位置側支持部を有する高さ調整部材の底面が広く基盤に当接するので、自動販売機等の機器の荷重は高さ調整部材の底面に分散されるため安定性に優れるとともに、荷重の集中により基盤に凹みが生じたり基盤が割れたりするおそれがない。
【0007】
ここで、高さ調整部材としては、ステンレス鋼等の合金鋼、溶融亜鉛めっき鋼板,溶融亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板,溶融亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金めっき鋼板等のめっき鋼板、ポリアセタール製,ポリカーボネート製等の合成樹脂、木粉と合成樹脂の複合材料である再生木、コンクリート等で板状、棒状、管状等の長尺に形成されたものが用いられる。これらは錆や腐食が生じ難く、機械的強度が高く座屈し難いからである。座屈限界荷重を高めるため、リブ等を設けることもできる。
長尺状の高さ調整部材の一端側には、傾斜した基盤の高位置側に設置される高位置側支持部が形成される。高さ調整部材の他端側には、傾斜した基盤の低位置側に設置される低位置側支持部が形成される。低位置側支持部の厚さは、高位置側支持部より厚く形成される。基盤の傾斜分を低位置側支持部と高位置側支持部の高低差で補い、支持プレートの上面を水平にするためである。
【0008】
支持プレートとしては、ステンレス鋼等の合金鋼、溶融亜鉛めっき鋼板,溶融亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板,溶融亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金めっき鋼板等のめっき鋼板、ポリアセタール製,ポリカーボネート製等の合成樹脂、木粉と合成樹脂の複合材料である再生木、コンクリート等で長尺の板状等に形成されたものが用いられる。これらは錆びや腐食が生じ難く、機械的強度が高く座屈し難いからである。特に、再生木で形成されたものが好適に用いられる。リサイクル性に優れるからである。
高さ調整部材を装着するため、支持プレートには、例えば、高さ調整部材との嵌合手段、螺合手段等を設けることができる。
【0009】
支持プレートに載置される機器としては、飲料,食料,タバコ,玩具,プリペイドカード等の自動販売機、現金の自動支払機、ゲーム機等の3本以上の支持脚で支えられたものが用いられる。
【0010】
支持プレートの上面には、機器の支持脚が挿入され支持脚を係止するスリット状の係止孔が形成されたものが用いられる。
【0011】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の機器据付台座であって、前記支持プレートが、下面に形成された溝部を備え、前記高さ調整部材が、前記溝部に嵌装された構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)支持プレートの下面に高さ調整部材が嵌装される溝部を備えているので、高さ調整部材を支持プレートに容易に装着することができ設置作業性に優れる。
(2)基盤が水平な場合には、高さ調整部材を支持プレートの下面に装着せずに、支持プレートを基盤に直接設置することができる。高さ調整部材を嵌装するための突起等を有することなく溝部が形成された支持プレートの下面は、基盤に安定に設置することができるため、傾斜面、水平面のいずれの基盤にも設置することができ自在性に優れる。
【0012】
ここで、溝部としては、支持プレートの長手方向に沿って形成されたもの、支持プレートの長手方向と直交若しくは斜交して形成されたもののいずれも用いることができる。特に、溝部を支持プレートの長手方向に沿って形成することが好適に用いられる。高さ調整部材を溝部に嵌装すれば、支持プレートの短手方向への移動を抑制できるので安定性に優れるからである。
【0013】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の機器据付台座であって、前記高さ調整部材の長手方向の端部及び/又は内底面に配設された爪部と、前記支持プレートの長手方向の端部及び/又は下面に配設され前記爪部と係合する係止部と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)高さ調整部材に配設された爪部と、支持プレートに配設され爪部と係合する係止部と、を備えているので、高さ調整部材に容易に支持プレートを装着することができるとともに、支持プレートの長手方向への移動を抑制でき安定性に優れる。
【0014】
ここで、爪部や係止部の数や位置は適宜設定することができるが、爪部が高さ調整部材の長手方向の端部に形成され、係止部が支持プレートの端部に形成されていると、係止部を視認しながら爪部に係合させることができ、施工性に優れるため好ましい。
【0015】
本発明の請求項4に記載の機器の設置固定方法は、傾斜した基盤の低位置側と高位置側に、請求項1乃至3の内いずれか1に記載の機器据付台座の高さ調整部材の低位置側支持部と高位置側支持部を配置した後、前記高さ調整部材を前記基盤に固定する高さ調整部材固定工程と、機器の支持脚に前記機器据付台座の支持プレートを装着する支持プレート装着工程と、前記高さ調整部材に前記支持プレートを固定する支持プレート固定工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)基盤の傾斜に応じた厚さに形成された高さ調整部材を基盤に固定し、機器の支持脚に支持プレートを装着した後、支持脚を装着した支持プレートを高さ調整部材に固定することにより機器を設置固定できるため、(特許文献1)や(特許文献2)のような雌ネジ部に螺嵌した支持脚の雄ネジ部を回転させて支持脚の高さを調整する等の煩雑な高さ調整作業が不要で、作業性に著しく優れる。
(2)クレーンやフォークリフト等を使って重量の大きな機器を吊上げたり持ち上げたりして、基盤から支持脚を浮かせた状態で支持脚に支持プレートを装着した後、支持脚に支持プレートを装着した機器を、基盤に固定した高さ調整部材に下ろすことにより設置できるため、設置作業性に著しく優れる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明の機器据付台座及びそれを用いた機器の設置固定方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)基盤の傾斜に応じた厚さに形成された高さ調整部材を用意し、この高さ調整部材を下面に装着することで、支持プレートの上面が水平になるように機器据付台座を設置することができるため、雌ネジ部に螺嵌した支持脚の雄ネジ部を回転させて支持脚の高さを調整する等の煩雑な高さ調整作業が不要で作業性に著しく優れた機器据付台座を提供できる。
(2)一端側に高位置側支持部を有し他端側に低位置側支持部を有する高さ調整部材の底面が広く基盤に当接するので、自動販売機等の機器の荷重は高さ調整部材の底面に分散されるため安定性に優れるとともに、荷重の集中により基盤に凹みが生じたり基盤が割れたりするおそれがなく基盤を傷付け難い機器据付台座を提供できる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)支持プレートの下面に高さ調整部材が嵌装される溝部を備えているので、高さ調整部材を支持プレートに容易に装着することができ設置作業性に優れた機器据付台座を提供できる。
(2)下面に溝部が形成された支持プレートは基盤に安定に設置することができるため、高さ調整部材を支持プレートの下面に装着せずに支持プレートを基盤に直接設置することにより、傾斜面、水平面のいずれの基盤にも設置することができ自在性に優れた機器据付台座を提供できる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、
(1)高さ調整部材に配設された爪部と、支持プレートに配設され爪部と係合する係止部と、を備えているので、高さ調整部材に容易に支持プレートを装着することができるとともに、支持プレートの長手方向への移動を抑制でき安定性に優れた機器据付台座を提供できる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、
(1)基盤の傾斜に応じた厚さに形成された高さ調整部材を基盤に固定した後、高さ調整部材に機器据付台座の支持プレートを装着することにより、支持プレートの上面が水平になるように機器据付台座を設置することができるため、雌ネジ部に螺嵌した支持脚の雄ネジ部を回転させて支持脚の高さを調整する等の煩雑な高さ調整作業が不要で作業性に著しく優れた機器の設置固定方法を提供できる。
(2)クレーンやフォークリフト等を使って重量の大きな機器を吊上げたり持ち上げたりして、基盤から支持脚を浮かせた状態で支持脚に支持プレートを装着した後、支持脚に支持プレートを装着した機器を、基盤に固定した高さ調整部材に下ろすことにより設置できるため、設置作業性に著しく優れた機器の設置固定方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における機器据付台座の斜視図であり、図2は本発明の実施の形態1における機器据付台座の平面図であり、図3は図2のA−A線における断面図であり、図4は図2のB−B線における断面図である。
図中、1は本発明の実施の形態1における機器据付台座、2は機器据付台座1の高さ調整部材、3は合金鋼やめっき鋼板等の板材で形成された高さ調整部材2の底面である。
図4において、Gはコンクリート等で形成された傾斜した基盤、4は底面3の長手方向の一端部に溶接,折曲等により立設され傾斜した基盤Gの高位置側に配置される高位置側端面である。なお、高位置側端面4の高さは、後述するプレート固定部材33の側面33aの高さよりも低く形成されている。高位置側の基盤Gに支持プレート20の底面及びプレート固定部材33の側面33aを接地させるためである。
5は高位置側端面4の上端が内側に折り曲げられて形成された爪部、6は底面3の長手方向の他端部に溶接,折曲等により立設され後述するプレート固定部材33の側面33aの高さよりも高く形成され傾斜した基盤Gの低位置側に配置される低位置側端面、7は低位置側端面6に形成された螺子孔、8は底面3と低位置側端面6との間に形成された1乃至複数のリブ、9は高さ調整部材2の高位置側端面4側の高位置側支持部、10は高さ調整部材2の低位置側端面6側の低位置側支持部である。前述したように、高位置側の基盤Gには支持プレート20の底面及びプレート固定部材33の側面33aが接地し、また、低位置側端面6の高さはプレート固定部材33の側面33aの高さよりも高く形成されており、低位置側の基盤Gに支持プレート20の底面は接地していない。そのため、低位置側支持部10の最大高さは、(低位置側端面6の高さ)から(プレート固定部材33の側面33a)を減じた高さLで決定される。従って、実施の形態1における機器据付台座1により調整可能な基盤Gの勾配(分数勾配)は、L/(支持プレート20の長さ)となる。
11は底面3の上面(内底面)の高位置側支持部9側に基部が溶接等で固着され低位置側端面6側を向いて底面3の幅と略同一幅の合金鋼やめっき鋼板等の板材等で形成された爪部、12は底面3の上面(内底面)の低位置側支持部10側に基部が溶接等で固着され低位置側端面6側を向いて底面3の幅と略同一幅の合金鋼やめっき鋼板等の板材等で爪部11より高く形成された爪部、13は高さ調整部材2の底面3の略中央に形成されたアンカー挿通孔である。
【0021】
20は金属製,合成樹脂製,再生木等で一様の厚さに形成された長尺の支持プレート、21は支持プレート20の長手方向に沿って下面に一様な深さで略コ字状に形成された溝部、22は支持プレート20の長手方向に沿って上面に一様な深さで略コ字状に形成されたプレート上面溝部、23は合金鋼やめっき鋼板等で断面略コ字状に形成され上面及び両端面を開口させてプレート上面溝部22の内側に収装された支持脚載置部、24は支持脚載置部23の上面に配設されたゴム製の防振板、25,25は合金鋼やめっき鋼板等で断面略L字状に形成され支持脚載置部23の側面と溶接等により固着されプレート上面溝部22内に収装されたスライド長孔形成部材、25aはスライド長孔形成部材25,25の間隙に形成され後述する支持脚43の外径より幅広で後述する支持脚43の着地部44の外径より幅狭に形成されたスライド長孔、26はスライド長孔形成部材25,25の両端に形成され後述する着地部44の外径より大径に形成された大径孔部、27はプレート上面溝部22の一端側の開口部から支持脚載置部23内に挿入されたストッパ部材、27aはストッパ部材27の上面に形成された螺子孔、28はストッパ部材27の螺子孔27aに挿着されスライド長孔形成部材25とストッパ部材27とを締結する螺子、29はストッパ部材27の内側に延設され支持脚載置部23と所定量の隙間を形成する抑え部、30はプレート上面溝部22の他端側の開口部から支持脚載置部23内に挿入されたストッパ部材、31はスライド長孔形成部材25とストッパ部材30とに挿着されスライド長孔形成部材25とストッパ部材30とを締結する螺子、32はストッパ部材30の内側に延設され支持脚載置部23と所定量の隙間を形成する抑え部である。
【0022】
33は合金鋼やめっき鋼板等で断面略コ字状に形成され支持プレート20の長手方向に沿って溝部21の内側に嵌装されたプレート固定部材、33aはプレート固定部材33の側面、34はプレート固定部材33の一端部に配設され高位置側端面4の上端に形成された爪部5と係合する係止部、34aは支持脚載置部23,支持プレート20,プレート固定部材33を貫通して形成された貫通孔、34bは貫通孔34aに挿通され係止部34をプレート固定部材33の底面に固着した螺子、35はプレート固定部材33の他端部に支持プレート20の他端部と面一に形成され高さ調整部材2の低位置側端面6と当接するプレート固定部材端面、36はプレート固定部材端面35に形成された螺子孔、37は螺子孔36,7に挿着されプレート固定部材端面35と低位置側端面6とを締結する螺子、38は支持脚載置部23,支持プレート20,プレート固定部材33を貫通して形成された貫通孔、39は貫通孔38に挿着された螺子、40はプレート固定部材33の底面の幅と略同一幅の合金鋼やめっき鋼板等の板材等で鉤状に形成され螺子39でプレート固定部材33に固着されて高さ調整部材2の爪部11,12と係合する係止部、41は支持プレート20の略中央に形成されたアンカー挿通孔である。
42はエポキシ樹脂製等で形成され係止部40と高さ調整部材2の底面3との間に充填され硬化するパテ、43は図示しない自動販売機や自動支払機等の機器の底部に配設された支持脚、44は支持脚43の下端に配設され防振板24に載置された着地部、45はアンカー挿通孔13に挿通され基盤Gに固定された金属系アンカーや接着系アンカー等のアンカーである。
【0023】
以上のように構成された実施の形態1における機器据付台座を用いた機器の設置固定方法について、以下、図面を参照しながら説明する。
図5(a)は基盤に高さ調整部材を固定した状態を示す要部断面図であり、図5(b)は機器の支持脚に支持プレートを装着した状態を示す要部断面図である。
まず、自動販売機等の機器を設置する基盤Gの傾斜を水準器等で測定し、基盤Gの傾斜に合った高位置側支持部9と低位置側支持部10とを有する高さ調整部材2と、支持プレート20と、を2体ずつ用意する。支持プレート20にはストッパ部材27を取り付け、防振板24を支持脚載置部23の上面に配設しておく。なお、低位置側端面6の高さの異なる高さ調整部材2を複数本用意しておき、基盤Gの傾斜角度に応じて最適な高さ調整部材2を選択することで、傾斜角度の異なる種々の基盤Gの不陸を調整することができる。
まず、高さ調整部材固定工程において、片方の高さ調整部材2を固定する基盤Gにアンカー挿通孔13の位置に合わせて孔をあけ、図5(a)に示すように、基盤Gにアンカー45で高さ調整部材2を固定する。他方の高さ調整部材2を固定する基盤Gにもアンカー挿通孔13の位置に合わせて孔をあけ、他方の高さ調整部材2を片方の高さ調整部材2と略平行にアンカー45で固定する。高さ調整部材2の底面3と爪部11,12との隙間にエポキシ樹脂製等のパテ42を充填しておく。
次に、支持プレート装着工程において、自動販売機等の機器をクレーンやフォークリフト等で持ち上げ、支持脚43及び着地部44を基盤Gから浮かせた状態にする。次いで、支持脚43及び着地部44に支持プレート20の大径孔部26を挿入し、支持プレート20をスライドさせることによりスライド長孔25aに支持脚43及び着地部44を挿入する。着地部44がストッパ部材27の抑え部29に挟入されるまで支持プレート20をスライドさせる。次いで、支持脚載置部23の他端側の開口部からストッパ部材30を挿入し、ストッパ部材30の抑え部32で着地部44を係止する。螺子31をスライド長孔形成部材25とストッパ部材30とに挿着し、スライド長孔形成部材25とストッパ部材30とを締結し、ストッパ部材30をスライド長孔25aの他端部に固定する。これにより、支持脚43及び着地部44をスライド長孔25a内に固定する。
次に、支持プレート固定工程において、パテ42が硬化しないうちに、支持脚43に装着された支持プレート20を高さ調整部材2の上に下ろし、図4に示すように、高さ調整部材2の爪部5,11,12に支持プレート20の係止部34,40,40を係合させるとともに、高さ調整部材2の低位置側端面6を支持プレート20のプレート固定部材端面35の内側に当接させる。次いで、螺子37を螺子孔36,7に挿着し、高さ調整部材2の低位置側端面6と支持プレート20のプレート固定部材端面35とを締結し、高さ調整部材2に支持プレート20を装着する。これにより、機器を基盤Gに安定に設置固定することができる。
【0024】
以上のように、本発明の実施の形態1における機器据付台座は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)一端側に高位置側支持部9を有し他端側に高位置側支持部9より厚みの大きな低位置側支持部10を有する高さ調整部材2と、下面に高さ調整部材2が装着される支持プレート20と、を備えているので、基盤Gの傾斜に応じた厚さに形成された高さ調整部材2を支持プレート20に装着することで、支持プレート20の上面が水平になるように機器据付台座1を設置することができる。このため、(特許文献1)や(特許文献2)のように、雌ネジ部に螺嵌した支持脚の雄ネジ部を回転させて支持脚の高さを調整する等の煩雑な高さ調整作業が不要で作業性に著しく優れる。
(2)一端側に高位置側支持部9を有し他端側に低位置側支持部10を有する高さ調整部材2の底面3が広く基盤Gに当接するので、自動販売機等の機器の荷重は高さ調整部材2の底面3に分散されるため安定性に優れ、荷重の集中により基盤Gに凹みが生じたり基盤Gが割れたりするおそれがない。
(3)支持プレート20の下面に高さ調整部材2が嵌装される溝部21を備えているので、高さ調整部材2を支持プレート20に容易に装着することができ設置作業性に優れる。
(4)高さ調整部材2に配設された爪部5,11,12と、支持プレート20に配設され爪部5,11,12と係合する係止部34,40,40と、を備えているので、高さ調整部材2に容易に支持プレート20を装着することができるとともに、支持プレート20の長手方向への移動を抑制でき安定性に優れる。
(5)高さ調整部材2の低位置側端面6が支持プレート20のプレート固定部材端面35の内側に当接し、低位置側端面6の螺子孔7とプレート固定部材端面35の螺子孔36に螺子37を挿着して締結することにより、簡単に支持プレート20の長手方向への移動を抑制でき安定性に優れる。
(6)高さ調整部材2の低位置側側面6と底面3との間にリブ8が形成されているので、軽量で搬送性に優れるとともに低位置側側面6の座屈限界荷重を大きくすることができる。また、低位置側側面6の高さの異なる高さ調整部材2を複数種用意しておけば、基盤Gの勾配に応じて最適の高さの低位置側側面6が形成された高さ調整部材2を選択することで、基盤Gの傾斜を相殺することができ自在性に優れる。
(7)高さ調整部材2の高位置側側面4の高さはプレート固定部材33の側面33aの高さより低く形成されているので、高位置側支持部9側では支持プレート20の底面が接地して支持プレート20に載置された機器の荷重を受けることができる。高位置側支持部9側では、さらに係止部40と硬化したパテ42により、支持プレート20に載置された機器の荷重を受けることができる。また、高さ調整部材2の低位置側側面6の高さはプレート固定部材33の側面33aの高さより高く形成されているので、低位置側支持部6側では低位置側側面6が支持プレート20に載置された機器の荷重を受けるが、リブ8が形成されているので低位置側側面6が座屈することなく荷重を受けることができる。
(8)機器の支持脚43の着地部44を防振板24に載置しているので、自動販売機等の機器の運転(例えば、自動販売機の冷蔵庫のコンプレッサー)により発生する振動を抑制し、防振、防音を図ることができる。
【0025】
本発明の実施の形態1における機器の設置固定方法によれば、以下のような作用が得られる。
(1)基盤Gの傾斜に応じた厚さに形成された高さ調整部材2を基盤Gに固定し、機器の支持脚43に支持プレート20を装着した後、支持脚43を装着した支持プレート20を高さ調整部材2に固定することにより機器を設置固定できるため、(特許文献1)や(特許文献2)のような雌ネジ部に螺嵌した支持脚の雄ネジ部を回転させて支持脚の高さを調整する等の煩雑な高さ調整作業が不要で、作業性に著しく優れる。
(2)クレーンやフォークリフト等を使って重量の大きな機器を吊上げたり持ち上げたりして、基盤Gから支持脚43を浮かせた状態で支持脚43に支持プレート20を装着した後、支持脚43に支持プレート20を装着した機器を、基盤Gに固定した高さ調整部材2に下ろすことにより設置できるため、設置作業性に著しく優れる。
(3)高さ調整部材2の底面3と爪部11,12との間にパテ42を充填し、パテ42が硬化しないうちに、支持プレート固定工程において、高さ調整部材2の爪部11,12に支持プレート20の係止部40,40を係合させるので、パテ42が硬化すると、係止部40及び硬化したパテ42が機器の荷重を受けるので、高さ調整部材2の底面3とプレート固定部材33との間隔を維持させて機器を水平に設置固定できる。
(4)高さ調整部材2はアンカー45で基盤Gに強固に固定されるため、地震等によって機器が転倒するのを防止できる。
【0026】
ここで、本実施の形態においては、底面3と低位置側側面6との間にリブ8が形成された場合について説明したが、リブ8を形成することなく低位置側側面6の板材の厚さを厚くして、低位置側側面6の座屈限界荷重を大きくする場合もある。
また、高さ調整部材固定工程において、高さ調整部材2の底面3と爪部11,12との隙間にパテ42を充填したが、同様に、高さ調整部材2の底面3と爪部5との間にパテ42を充填したり、さらに爪部5の上にパテ42を盛ったりする場合もある。パテ42が硬化すると高支持側支持部9の座屈限界荷重を大きくできるからである。
また、高位置側支持部9の座屈限界荷重を大きくするためには、高位置側支持部9の底面3に、頂部がプレート固定部材33の底面に当接するような高さで柱状や突条等の形状で突設された補強部材を設ける場合もある。同様に、高位置側支持部9のプレート固定部材33の底面に、底部が高さ調整部材2の底面3に当接するような長さで柱状や突条等の形状で突設された補強部材を設ける場合もある。これらの場合は、補強部材で支持プレート20に載置された機器の荷重を分散して受けることができ、高位置側支持部9の座屈限界荷重を大きくすることができる。補強部材とプレート固定部材33や底面3とに隙間ができるときは、パテを用いて隙間をなくし荷重を受けるようにすることもできる。
なお、機器の支持脚43には高さ調整機構が設けられているので、高さ調整部材2による不陸の修正に加えて、支持脚43に設けられた高さ調整機構を使って微調整を行うことも可能である。
【0027】
なお、本実施の形態においては、傾斜した基盤Gに機器据付台座1を設置する場合について説明したが、基盤Gが水平な場合は、支持プレート20に高さ調整部材2を装着せずに用いることができる。
図6は実施の形態1における機器据付台座の他の使用状態を示す要部断面図である。
図中、46は支持プレート20に形成されたアンカー挿通孔41に挿通され基盤Gに固定された金属系アンカーや接着系アンカー等のアンカーである。
本発明の実施の形態1における機器据付台座1の支持プレート20は一様の厚さに形成されており、溝部21が支持プレート20の下面に長手方向に沿って形成されているので、支持プレート20は基盤Gに安定に設置することができる。このため、基盤Gが傾斜している場合は高さ調整部材2を装着することにより、基盤Gが水平の場合は高さ調整部材2を装着しないことにより、支持プレート20を水平に設置することができ自在性に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、自動販売機や自動支払機等の機器を基盤上に固定する機器据付台座及びそれを用いた機器の設置固定方法に関し、自動販売機等の機器の荷重は高さ調整部材の底面に分散されるため、荷重の集中により基盤に凹みが生じたり基盤が割れたりするおそれがなく基盤を傷付け難く、また支持脚のネジ部を回転させて高さを調整する等の煩雑な高さ調整作業を行うことなく、支持プレートを水平に配置することが可能で作業性に著しく優れ、さらに水平な基盤な場合においても使用可能で、機器の支持脚の接地面積を広げて安定性を高め地震等による転倒を防止できる機器据付台座を提供することができ、また、支持脚のネジ部を回転させて高さを調整する等の煩雑な高さ調整作業を行うことなく支持プレートを水平に配置し、自動販売機等の機器を安定に固定することが可能で作業性に著しく優れる機器の設置固定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施の形態1における機器据付台座の斜視図
【図2】実施の形態1における機器据付台座の平面図
【図3】図2のA−A線における断面図
【図4】図2のB−B線における断面図
【図5】(a)基盤に高さ調整部材を固定した状態を示す要部断面図 (b)機器の支持脚に支持プレートを装着した状態を示す要部断面図
【図6】実施の形態1における機器据付台座の他の使用状態を示す要部断面図
【符号の説明】
【0030】
1 機器据付台座
2 高さ調整部材
3 底面
4 高位置側端面
5 爪部
6 低位置側端面
7 螺子孔
8 リブ
9 高位置側支持部
10 低位置側支持部
11,12 爪部
13 アンカー挿通孔
20 支持プレート
21 溝部
22 プレート上面溝部
23 支持脚載置部
24 防振板
25 スライド長孔形成部材
25a スライド長孔
26 大径孔部
27 ストッパ部材
27a 螺子孔
28 螺子
29 抑え部
30 ストッパ部材
31 螺子
32 抑え部
33 プレート固定部材
33a 側面
34 係止部
34a 貫通孔
34b 螺子
35 プレート固定部材端面
36 螺子孔
37 螺子
38 貫通孔
39 螺子
40 係止部
41 アンカー挿通孔
42 パテ
43 支持脚
44 着地部
45,46 アンカー
G 基盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側に高位置側支持部を有し他端側に前記高位置側支持部より厚みの大きな低位置側支持部を有する高さ調整部材と、
機器の一の支持脚が上面の一端側に載置され他端側に前記機器の他の支持脚が載置され下面に前記高さ調整部材が装着される支持プレートと、
を備えていることを特徴とする機器据付台座。
【請求項2】
前記支持プレートが、下面に形成された溝部を備え、前記高さ調整部材が、前記溝部に嵌装されていることを特徴とする請求項1に記載の機器据付台座。
【請求項3】
前記高さ調整部材の長手方向の端部及び/又は内底面に配設された爪部と、前記支持プレートの長手方向の端部及び/又は下面に配設され前記爪部と係合する係止部と、を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の機器据付台座。
【請求項4】
傾斜した基盤の低位置側と高位置側に、請求項1乃至3の内いずれか1に記載の機器据付台座の高さ調整部材の低位置側支持部と高位置側支持部を配置した後、前記高さ調整部材を前記基盤に固定する高さ調整部材固定工程と、
機器の支持脚に前記機器据付台座の支持プレートを装着する支持プレート装着工程と、
前記高さ調整部材に前記支持プレートを固定する支持プレート固定工程と、
を備えていることを特徴とする機器の設置固定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−123122(P2009−123122A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298679(P2007−298679)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(300003569)
【出願人】(507380768)イトケンテクノ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】