説明

機器管理システム、機器、機器管理方法および機器管理プログラム

【課題】 1または複数の機器に対し、一括設定を行う処理を迅速に行うことができるシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】 このシステムは、1または複数の機器を識別するための機器識別情報と機器に対して設定すべき設定値を含む設定情報とを受け付ける要求受付部11と、機器識別情報により識別される機器に対し、設定情報を含む設定要求を送信する情報送信部14と、情報送信部14が設定要求を送信した機器から、全ての設定値の設定が終了したことを示す設定結果を収集する結果収集部15と、収集された設定結果と機器識別情報とを対応付けて格納する結果管理部13とを含み、情報送信部14が、結果収集部15がその機器から設定結果を収集したかに関係なく、機器識別情報により識別される設定要求が未送信の機器に対し、設定要求を順次送信することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して1または複数の機器を管理し、その1または複数の機器に対して一括設定を行うことを可能にするシステム、機器、方法およびその方法により実現されるコンピュータ可読なプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介して複数のプリンタやMFP(Multi Function Peripheral)等の印刷機器に対して一括に設定を行う機器管理システムが知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。このようにネットワークを介して複数の機器設定を行うことができ、管理することができるシステムでは、各機器のところへ行き、設定を行う必要がないため、短時間で設定を行うことができ、その管理も容易である。
【0003】
設定すべき情報としては、IPアドレス、サブネットマスク、設置場所、ユーザ名、パスワード、FAX装置の通信モード、FAX番号、電子メールのアドレス帳等の数多くの情報がある。
【0004】
例えば、特許文献1では、SNMP/MIBによる情報取得が可能な少なくとも1つのデバイスとネットワークを介して接続し、デバイスの設定項目を設定するネットワーク管理装置が提案されている。この装置は、ネットワーク上に接続されたデバイスを列挙するためのObjectIDの存在を確認する手段と、その手段により存在が確認されたObjectIDに対して、設定項目の設定値を入力するObjectIDをデバイスに設定する手段とを有し、複数のデバイスに対して各種プロトコル等の設定項目を1回の操作で一括設定することを可能にしている。
【0005】
特許文献2では、ネットワークに接続された複数の対象機器に対する設定を行う機器設定装置が提案されている。この装置は、複数の対象機器の各々をネットワーク上で識別するための識別情報と、複数の対象機器の各々に設定すべき機器設定情報とが対応付けられた一括設定情報を受け付ける手段と、その手段により受け付けられた一括設定情報に基づいて、識別情報によってネットワーク上で各対象機器を識別し、ネットワークを介して機器別設定情報を複数の対象機器に一括設定する機器設定手段とを有し、各対象機器からの機種名等の情報の取得を要することなく、複数の対象機器に対して、各対象機器に応じた設定情報を容易に設定することを可能にしている。
【0006】
特許文献3では、デバイスのうち動作状態の管理対象となる複数の対象デバイスを特定する手段と、対象デバイスの動作状態を設定するための管理制御情報を設定する手段と、管理制御情報をネットワークにより対象デバイスに出力し、対象デバイスの動作状態の設定を一括で行う手段とを有し、デバイスの動作状況の管理負担を軽減している。
【0007】
特許文献4では、複数のデバイスを対象に、各デバイスが予め定められた設定対象要件を満たすか否かを確認する手段と、その要件を満たすデバイスを、設定対象デバイスとして選択する手段と、その設定対象デバイスに対して伝送しようとする設定データを決定する手段と、その設定データをその設定対象デバイスに一括して伝送する手段とを有し、設定データの送信が必要なデバイスを利用者が選択しなくてもよくなり、利用者による誤選択を防止でき、設定変更を容易に実施することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来のシステムでは、機器管理システムと機器との間の設定処理が同期的に行われるので、機器内の設定処理が完了するまでの間、機器管理システムは次の処理に移ることができず、待ち時間が発生していた。すなわち、機器内の設定処理が完了し、その機器が完了した旨の通知を出し、それを受け取るまで、次の機器に対し、設定情報を送り、設定処理させることができなかった。
【0009】
その結果、設定の対象となる機器の台数や、1台の機器に対して設定すべき設定値の数が増加すればするほど、全体の処理時間が長くなっていた。
【0010】
そこで、複数の機器に対し、一括設定を行う処理を迅速に行うことができるシステムおよび方法の提供が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題に鑑み、1または複数の機器に対し、設定情報を含む設定要求を、機器内の設定処理が完了するのを待たずに順次送信する情報送信部と、その送信とは非同期に設定結果を収集する結果収集部とを備える構成とする。情報送信部は、送信が成功した場合、結果収集部に設定結果の収集を依頼し、結果収集部は、収集対象の機器から設定結果を収集する。
【0012】
このように、設定情報を含む設定要求の送信と設定結果の収集を非同期にすることで、機器内の設定処理が完了するのを待たずにシステムは次の処理に移行することができるため、1または複数の機器に設定要求を順次送信することができ、従来の同期処理の場合に比べて待ち時間を減らすことができる。これにより、その1または複数の機器に対して一括設定処理を迅速に完了することができる。
【0013】
本発明は、ネットワークを介して接続される1または複数の機器を管理する機器管理システムとして提供することができ、このシステムは、以下の各部を備える。すなわち、一括設定すべき機器を識別するための機器識別情報と機器に対して設定すべき1以上の設定値を含む設定情報とを受け付ける要求受付部と、機器識別情報により識別される機器に対し、設定情報を含む設定要求を送信する情報送信部と、情報送信部が設定要求を送信した機器から、全ての設定値の設定が終了したことを示す設定結果を収集する結果収集部と、収集された設定結果と機器識別情報とを対応付けて格納する結果管理部とを備える。
【0014】
情報送信部は、結果収集部が機器から設定結果を収集したかに関係なく、機器識別情報により識別される、設定要求が未送信の機器に対し、設定要求を順次送信する。
【0015】
機器による設定処理が未完了であるために設定結果が未収集である場合、当該機器からの収集を後回しにして、再び設定結果が収集可能であるかを問い合わせ、その回数が予め決定された回数に達するまで、または、予め決定された時間に達するまで、繰り返し問い合わせをして設定結果の収集を試みる。設定結果が収集できなかった場合は、その旨が結果として機器識別情報を対応付けて格納される。これにより、一括設定処理を長引かせることなく、迅速に完了させることができる。
【0016】
機器による設定処理が未完了であるために設定結果が格納されていなかった場合に、機器が受け付けた設定情報に含まれる設定値の数と、設定値の種別によって機器における処理にかかる時間と、その時点における処理の進歩状況とを収集し、全ての設定処理が完了して設定結果が格納されるまでの予測時間を返し、結果収集部において、設定結果を収集できない場合、当該機器から返された予測時間を基に、次に収集する時間を調整する。これにより、収集のための問い合わせを繰り返す回数を減少させることができ、無駄なネットワークトラフィックを少なくすることができる。
【0017】
また、情報送信部は、設定要求を送信した機器から、当該設定要求を識別するための要求識別情報を受信し、受信した要求識別情報を結果収集部へ送り、設定要求毎に設定結果を収集させることができる。これにより、機器毎の設定結果を要求毎に正しく格納することが可能となる。
【0018】
本発明では、機器管理システムのほか、この機器管理システムにより管理される機器、このシステムで行われる処理を処理ステップとして含む機器管理方法も提供することができる。また、この方法は、機器管理システムを構成する各部により行われる各処理ステップを含むが、これらの処理ステップは、コンピュータ可読なプログラムを実行させることにより実現することができる。このため、本発明では、機器管理方法を実現するためのコンピュータ可読なプログラムを提供することもできる。
【0019】
このプログラムは、記録媒体に記録して提供することができ、本発明では、このプログラムが記録された記録媒体を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態の機器管理システムを含むネットワークシステムを例示した図。
【図2】機器管理システムのモジュール構成を例示した図。
【図3】設定情報を受け付けてから設定要求を送信するまでの処理の流れを示したシーケンス図。
【図4】設定結果を収集する処理の流れを示したシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本実施形態の機器管理システムを含むネットワークシステムの構成例を示した図である。このネットワークシステムは、サーバ装置として構成された機器管理システム10と、複数のMFPとして構成された機器20と、管理者用PC30とがネットワーク40を介して互いに接続された構成とされている。
【0022】
機器管理システム10および管理者用PC30は、キーボード等の入力装置、入力された文字等を表示するための表示装置、それらの入出力装置を制御するための入出力インタフェース、プログラム等を格納するメモリ等の記憶装置、プログラムを読み出して実行し、入力されたデータを処理するためのプロセッサ、ネットワーク40に接続するためのネットワークI/F等を備える。メモリ等の記憶装置には、各種のアプリケーションプログラム、入力装置や表示装置への入出力を制御し、ディスクやメモリの管理等、多くのアプリケーションから共通して利用される基本的な機能を提供し、装置全体を管理するOS、入力装置や表示装置等の周辺機器を制御するBIOS、その他のデータを格納する。また、機器管理システム10および管理者用PC30には、機器20を制御するためのドライバも実装されている。
【0023】
ここでは、機器管理システム10と管理者用PC30が同じ構成とされているが、機器管理システム10は、入力装置や表示装置を備えていなくてもよく、ドライバを実装していなくてもよい。
【0024】
MFPとして構成された機器20は、管理者用PC30やネットワーク40に接続された他のPC等からの印刷データ等の受信に応答して、印刷データを基に描画処理し、用紙に印字等して出力する。この機器20は、プリンタを備えており、電子写真方式のプリンタであれば、感光体ドラム、その感光体ドラムを帯電させる帯電ユニット、帯電させた感光体ドラムに潜像を形成する露光装置、感光体ドラム上に形成された潜像を現像するための現像ユニット、現像によりトナーが付着されて形成されたトナー像を、一定速度で移動する転写ベルトに転写する一次転写ユニット、用紙を給紙する給紙ユニット、転写ベルト上に形成されたトナー像を用紙に転写する二次転写ユニット、用紙に転写されたトナー像を用紙に定着させる定着ユニット、用紙を排紙する排紙ユニットを備える。これらのほか、感光体ドラムおよび転写ベルト上に残留するトナーを除去するクリーニングユニット、位置補正や濃度補正を行うためのセンサを備える。
【0025】
この機器20は、印刷機能、スキャナ機能、FAX機能、コピー機能を備える。このため、これらの機能を実現するためのエンジン、エンジンを制御するためのコントローラ、メモリを備え、また、ネットワーク40を通して通信を行うためのネットワークI/F、FAX番号の入力や倍率変更等を行い、それらを表示するためのキーや操作パネルを備える。
【0026】
機器管理システム10は、ネットワーク40を介して複数の機器20を管理し、それら複数の機器20に対して設定情報を含む設定要求を送信し、一括設定することができる。機器20の設定情報としては、認証情報としてのユーザ名やパスワード、FAX装置の通信モード、FAX番号、電子メールのアドレス帳、時刻、セキュリティ設定、各種パラメータ等の数多くの情報が挙げられる。
【0027】
機器20は、機器管理システム10により管理される機器であり、機器管理システム10からの設定要求を受け付け、各種の設定を行うことができる。
【0028】
管理者用PC30は、ネットワーク40を介してサーバ装置10のUIを閲覧することができる。また、機器管理システム10が管理する機器の中から一括設定を行う機器を選択したり、設定情報を入力したりすることができる。
【0029】
図1では、機器管理システム10と管理者用PC30が別個のものとされているが、1つのPCであってもよい。また、機器管理システム10により管理される機器は、機器20に限られるものではなく、プリンタ、スキャナ、FAX装置であってもよい。また、機器管理システム10が管理する機器の台数は、100台や1000台等、いかなる数であってもよい。
【0030】
装置間の通信は、種々のプロトコルを使用して行うことができるが、インターネットで利用される標準プロトコルであるUDP(User Datagram Protocol)は、転送速度は高いものの、信頼性が低いことから、転送速度は低いものの、信頼性の高いTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)が好ましい。
【0031】
機器管理システム10は、複数の機器20に対し、同じデータを送信するので、マルチキャストにより設定要求を送信することも可能であるが、機器管理システム10と機器20との間にルータ等が存在する場合、そのルータ等で設定要求の送信が停止され、届かないおそれがあり、また、確実性が低いので、ユニキャストで、上記TCP/IPを使用して通信することが好ましい。
【0032】
ネットワークシステムを監視し管理するためのプロトコルとしてSNMP(Simple Network Management Protocol)を利用することができるが、このSNMPは、UDPの上位にマッピングされるプロトコルであるから、信頼性が低く、また、確実性が低いので、上記TCP/IPを使用して通信することが好ましい。
【0033】
図2は、機器管理システムの1つの実施形態を示した構成ブロック図である。機器管理システム10は、ネットワーク40に接続された機器20のうち、一括設定の対象となる機器の識別情報と、設定情報としての設定値とをユーザに入力させ、それを受け付ける要求受付部11と、複数台の機器に対して一括設定の処理を行う設定処理部12と、機器の識別情報と設定結果を格納し管理する結果管理部13と、ネットワーク40を介して機器に対して設定情報を含む設定要求の送信を行う情報送信部14と、ネットワーク40を介して機器から設定結果の収集を行う結果収集部15とを備える。
【0034】
要求受付部11は、一括設定の対象となる機器の機器名やIPアドレスやMACアドレス等の識別情報を入力させるが、その際、登録されている機器名等を表示させ、ユーザに選択させることもできる。結果管理部13は、要求受付部11が受け付けた機器名等の機器識別情報を格納する。設定処理部12は、情報送信から結果格納までを制御し、情報送信部14に指示して、機器識別情報を基に設定要求を送信させ、結果収集部15に指示して、設定結果を収集させる。
【0035】
設定結果は、設定要求に含まれる設定情報の設定値の全てが設定されたことを示す情報とされ、未設定のものが存在する場合は、設定結果を収集することはできない。
【0036】
機器20は、設定要求を受信すると、その設定要求に含まれる設定情報の設定値を1つずつ設定する処理を開始するが、ユーザによりコピーが実行される場合やリブート等により、設定処理が中断する場合がある。このため、機器管理システム10の結果収集部15が、設定結果を要求しても、未だ完了しておらず、設定結果を返すことができない場合がある。
【0037】
この場合、その機器20からの収集を後回しにして、機器識別情報により識別される他の機器からの収集を試み、他の機器すべての収集を試みた後に、再び設定結果が収集可能であるかを問い合わせ、収集を試みる。このような処理を、その回数が予め決定された回数に達するまで、または、予め決定された時間に達するまで繰り返して、設定結果の収集を試みる。そして、最終的に設定結果が収集できなかった場合は、その旨が結果として機器識別情報を対応付けて結果管理部13に格納される。
【0038】
これまで図を参照して機器管理システムの構成について説明してきたが、機器も、設定要求を受信し、それを設定処理し、全ての設定値が設定されたことを示す設定結果を格納することから、機器管理システムと同様の要求受付部、設定処理部、結果管理部を備える。
【0039】
具体的には、要求受付部が、機器管理システムから設定要求を受け付け、設定処理部が、その設定要求に含まれる1以上の設定値の全てを設定し、全ての設定が終了したところで、設定結果を生成し、結果管理部が、その設定結果を格納する。設定処理部は、設定結果を結果格納部に格納させるとともに、結果収集部15が設定結果を要求した場合に、その生成した設定結果を送る。
【0040】
これらの各部は、プログラムとして構成し、それをメモリ等の記憶装置に格納し、プロセッサが読み出し実行することにより実現することができる。
【0041】
図3に示すシーケンス図を参照して、設定情報を受け付けてから設定要求を送信するまでの処理の流れを詳細に説明する。ユーザが管理者用PC30を使用して、一括設定の対象となる機器の機器識別情報と設定情報を入力し、機器管理システム10へ送信する。
【0042】
管理者用PC30は、この処理を利用するために、機器管理システム10との間に通信を確立した後、機器管理システム10からユーザ名およびパスワードの入力を求める画面を受信し、ユーザがそれらを入力することにより、上記機器識別情報および設定情報を入力することができるようにすることもできる。
【0043】
それらの情報は、機器管理システム10が備える要求受付部11が受信し、一括設定を実行するように、それらの情報を設定処理部12に渡す。設定処理部12は、それらの情報を情報送信部14に送信し、情報送信部14が、その機器識別情報を基に、その設定情報を含む設定要求を生成し、その設定要求を、ネットワーク40を介して対象の機器に送信する。
【0044】
設定要求を受信した機器は、送信が成功したとして、その設定要求を識別するための要求識別情報を情報送信部14へ返す。要求識別情報は、要求毎に割り当てられた番号等とすることができる。情報送信部14は、その要求識別情報を結果収集部15へ送り、結果収集部15が、その要求識別情報を機器識別情報とともに保持し、設定結果の収集対象として追加する。これらの情報は、テーブルとして構成し、保持することができる。この場合のテーブルは、要求識別情報を入力するための要求識別情報フィールドと、それに対応する、機器識別情報を入力するための機器識別情報フィールドとを含むことができる。
【0045】
情報送信部14が、機器識別情報を基に設定情報を含む設定要求を送信し、その送信が失敗した場合、送信が失敗した旨を設定処理部12へ通知する。失敗する場合としては、対象の機器が電源断のときのような場合である。設定処理部12は、結果管理部13にその送信失敗という結果を格納する。結果管理部13は、その結果の格納を終了すると、格納が終了した旨の応答を返す。例えば、要求識別情報を一定時間内に取得することができなかったときに、送信失敗と判断することができる。この一定時間は、全体の設定処理時間を考慮して、適当な時間とすることができる。
【0046】
このような処理を、ユーザが指定した全ての機器に対して繰り返し、設定処理部12が全ての結果が通知されるまで待機し、全ての結果が通知されたところで要求受付部11にその旨を通知し、この設定要求の送信処理を終了する。
【0047】
この処理は、要求受付部11が設定要求を受け付けたとき、または、スケジューラにより実行することができる。情報送信部14は、複数台の機器に対し、設定要求を、その機器内の設定処理が完了するのを待たずに順次送信する。
【0048】
図4に示すシーケンス図を参照して、設定結果の収集を行う処理の流れを詳細に説明する。結果収集部15は、テーブル等として保持する収集対象の要求識別情報を順に取り出し、その要求識別情報に対応付けられた機器識別情報を基に、対象の機器に対し、設定結果の収集を試みる。
【0049】
具体的には、設定結果の収集要求を送り、全ての設定が完了した旨の結果を受信することで、設定結果を収集することができる。その対象の機器が、設定処理を完了していれば、その機器は、結果収集部15に対し、設定結果を送信し、まだ完了していない場合は、まだ完了していない旨の応答を返す。
【0050】
このようにして、結果収集部15が、設定結果を収集することができた場合は、設定処理部12へこの設定結果を送り、結果管理部13に格納する。
【0051】
一方、結果収集部15が、設定結果を収集することができなかった場合は、予め決められたリトライ回数、あるいは予め決められた時間に達しているかを判断し、達していない場合は、再度、設定結果を収集することを試みる。再度の収集において、設定結果を収集することができれば、その設定結果を、設定処理部12が結果管理部13に格納する。
【0052】
それでもまだ収集できない場合は、上記の設定結果の収集処理を繰り返すが、予め決められたリトライ回数、あるいは予め決められた時間に達した場合、収集できなかった旨の結果を、設定処理部12に通知し、設定処理部12が、その結果を結果管理部13に格納する。この処理は、収集対象の機器がなくなるまで繰り返し実行される。
【0053】
このように、設定情報の送信と機器からの設定結果の収集を非同期に行うため、設定情報の送信を順次行うことができ、待ち時間を減らすことができる。その結果、複数台の機器に対する一括設定処理を迅速に実現することができる。
【0054】
上記のように、機器識別情報により識別される機器から、要求識別情報により識別される設定結果を収集するので、結果管理部13において機器毎の設定結果を正しく格納および管理することができる。
【0055】
機器20による設定処理が未完了であるために設定結果が格納されていなかった場合に、機器20は、受け付けた設定情報に含まれる設定値の数と、設定値の種別によって機器20における処理にかかる時間と、その時点における処理の進歩状況とを収集し、全ての設定処理が完了して設定結果が格納されるまでの予測時間を返すことができる。すなわち、残りどの程度の時間がかかるかをそれらの情報から計算し、その時間を予測時間として返す。
【0056】
具体的には、まず、設定値の数と、設定値の種別によりかかる処理時間とから、全体の処理時間を計算することができる。次に、この全体の処理時間から、その時点、すなわち収集要求を受け付けた時点における処理の進歩状況(その時点までの処理にかかった時間)を差し引くことにより、残りの時間を計算することができる。
【0057】
結果収集部15は、機器20から返された予測時間を基に、次に収集する時間を調整し、収集のための問い合わせを繰り返さないようにする。これにより、無駄なネットワークトラフィックを少なくすることができる。
【0058】
設定要求の送信が失敗した機器に対しては、機器識別情報により識別される機器のすべてに設定要求を送信した後、再度、送信することも可能である。失敗した結果は、結果管理部13が保持しているので、一定時間経過後に、再度、送信を試みることも可能である。この場合、結果管理部13が設定処理部12に対し、設定処理の指示をすることになるが、その指示をするために、機器設定情報および設定情報を保持しておく必要がある。このため、設定処理部12は、設定情報を情報送信部14に送信する際、結果管理部13にも送り、登録しておくことができる。
【0059】
これまで本発明を上述した実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。したがって、本発明は、機器管理システムのほか、機器管理システムが行う処理ステップを含む機器管理方法およびその方法を実現するためのコンピュータ可読な復帰用プログラムとして構成することができ、また、そのプログラムを、フレキシブルディスク、CD、DVD、SDカード、フラッシュメモリ等の記録媒体に記録して提供することもできるものである。また、機器管理システムにより管理される機器も提供することができ、その機器は、1台であってもよいものである。
【符号の説明】
【0060】
10…機器管理システム、11…要求受付部、12…設定処理部、13…結果管理部、14…情報送信部、15…結果収集部、20…機器、30…管理者用PC、40…ネットワーク
【先行技術文献】
【特許文献】
【0061】
【特許文献1】特開2004−213110号公報
【特許文献2】特開2005−197935号公報
【特許文献3】特許第3743371号公報
【特許文献4】特許第4013072号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続される1または複数の機器を管理する機器管理システムであって、
前記機器を識別するための機器識別情報と当該機器に対して設定すべき1以上の設定値を含む設定情報とを受け付ける要求受付部と、
前記機器識別情報により識別される前記機器に対し、前記設定情報を含む設定要求を送信する情報送信部と、
前記情報送信部が前記設定要求を送信した前記機器から、全ての前記設定値の設定が終了したことを示す設定結果を収集する結果収集部と、
収集された前記設定結果と前記機器識別情報とを対応付けて格納する結果管理部とを含み、
前記情報送信部は、前記結果収集部が前記機器から前記設定結果を収集したかに関係なく、前記機器識別情報により識別される前記設定要求が未送信の機器に対し、前記設定要求を順次送信することを特徴とする、機器管理システム。
【請求項2】
前記結果収集部は、前記機器による前記設定値の設定が全て終了しておらず、前記設定結果の収集ができなかった場合、当該機器からの当該設定結果の収集を後回しにする処理を、予め決定された回数または時間に達するまで繰り返し前記設定結果の収集を試みる、請求項1に記載の機器管理システム。
【請求項3】
前記結果収集部が前記機器に対し、前記設定結果の収集要求を送り、前記機器による前記設定値の設定が全て終了しておらず、前記設定結果の収集ができなかった場合、前記結果収集部は、当該機器が前記設定情報に含まれる前記設定値の数と全ての当該設定値の設定処理にかかる時間と当該収集要求を受けた時点における設定処理に要した時間とから計算し、返信した前記全ての設定値の設定が終了するまでの予測時間を受信し、当該予測時間に基づき当該機器に前記設定結果の収集を試みる時間を調整する、請求項1に記載の機器管理システム。
【請求項4】
前記情報送信部は、前記設定要求を送信した機器から、当該設定要求を識別するための要求識別情報を受信し、受信した前記要求識別情報を前記結果収集部へ送り、設定要求毎に前記設定結果を収集させる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の機器管理システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の機器管理システムにより管理される機器であって、
前記機器管理システムから前記設定要求を受け付ける要求受付部と、前記設定要求に含まれる前記1以上の設定値の全てを設定し、前記設定結果を生成する設定処理部と、前記設定結果を格納する結果管理部とを備える、機器。
【請求項6】
ネットワークを介して接続される1または複数の機器を管理するための機器管理システムにより実行される機器管理方法であって、
前記機器を識別するための機器識別情報と当該機器に対して設定すべき1以上の設定値を含む設定情報とを受け付けるステップと、
前記機器識別情報により識別される前記機器に対し、前記設定情報を含む設定要求を送信するステップと、
前記送信するステップにおいて前記設定要求を送信した前記機器から、全ての前記設定値の設定が終了したことを示す設定結果を収集するステップと、
収集された前記設定結果と前記機器識別情報とを対応付けて格納するステップとを含み、
前記送信するステップは、前記収集するステップにおいて前記機器から前記設定結果を収集したかに関係なく、前記機器識別情報により識別される前記設定要求が未送信の機器に対し、前記設定要求を順次送信する、機器管理方法。
【請求項7】
前記収集するステップでは、前記機器による前記設定値の設定が全て終了しておらず、前記設定結果の収集ができなかった場合、当該機器からの当該設定結果の収集を後回しにする処理を、予め決定された回数または時間に達するまで繰り返し前記設定結果の収集を試みる、請求項6に記載の機器管理方法。
【請求項8】
前記機器に対し、前記設定結果の収集要求を送り、前記機器による前記設定値の設定が全て終了しておらず、前記設定結果の収集ができなかった場合、前記収集するステップでは、当該機器が前記設定情報に含まれる前記設定値の数と全ての当該設定値の設定処理にかかる時間と当該収集要求を受けた時点における設定処理に要した時間とから計算し、返信した前記全ての設定値の設定が終了するまでの予測時間を受信し、当該予測時間に基づき当該機器に前記設定結果の収集を試みる時間を調整する、請求項6に記載の機器管理方法。
【請求項9】
前記送信するステップでは、前記設定要求を送信した機器から、当該設定要求を識別するための要求識別情報を受信し、前記収集するステップでは、受信した前記要求識別情報により識別される前記設定結果を収集する、請求項6〜8のいずれか1項に記載の機器管理方法。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか1項に記載の機器管理方法を実行するためのコンピュータ可読なプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムが記録された記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−218384(P2010−218384A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66270(P2009−66270)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】