説明

機器管理システム、障害管理装置、機器管理装置、障害管理プログラム、及び機器管理プログラム

【課題】電子機器の可用性を向上させる機器管理システム、障害管理装置、機器管理装置、障害管理プログラム、及び機器管理プログラムを提供する。
【解決手段】機器管理システム1は、機器管理装置200は、障害予測部131により、所定期間経過後の電子機器300における障害発生予測を障害管理装置100に要求する。これを受けて障害管理装置100は、障害履歴解析部21により、記録された障害履歴を解析し、障害予測部212により、解析結果に基づき、所定期間経過後に電子機器300で発生する可能性のある障害を予測し、予測結果を要求元の機器管理装置200に応答する。その結果、機器管理装置200は、通知部14により、予測結果に基づき、障害発生が予測された電子機器300の情報を障害対応元CEに通知するとともに、情報取得制御部11により、障害発生が予測された電子機器300からの情報取得の間隔を短くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の保守技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、画像処理装置などの電子機器を顧客先に導入する際には、SLA(Service Level Agreement)により機器の正常稼働を保障することが前提となる。そこで、電子機器を提供するメーカ側では、恒常的に機器自体の信頼性・保守性などを向上させるための対策を実施している。
【0003】
例えば、特許文献1には、ネットワーク上の対象機器の可用性向上を目的として、ネットワーク上の別の機器から対象機器の状態を監視する多重監視技術が開示されている。また、特許文献2には、システムの可用性向上を目的として、早期的な障害の検出を契機とし、フェールオーバ処理を開始するクラスタ構成のサーバシステム技術が開示されている。
【0004】
また、顧客側では、電子機器の障害管理を行うためのソフトウェアを導入し、発生障害への対応を迅速に行うための対策を実施している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方法では、上記環境下における電子機器の可用性向上に対して十分な対応がとれていない。つまり、改善の余地を残している。
【0006】
一般的に、電子機器の信頼性は、経年劣化の傾向があり、これに伴い障害の発生頻度も高まる。また、機器導入からある程度の期間が経過すると、メーカ側の保守優先度が低下する恐れがあり、これに伴い障害対応への迅速性も低下するリスクが高まる。このように、電子機器の障害発生は、時間経過と伴に動的に変化する特性を有する。
【0007】
しかし、従来の方法は、電子機器からの障害発生を検知した場合にその旨を通知し、障害対応を行うといった、予め決められたプロセスに従い発生障害に対応する仕組みとなっており、柔軟性がない。そのため、従来の方法では、上述したような障害発生特性を考慮し、例えば、障害対応の初動時間を短縮するなどといった可用性を向上させる対応を行うことができない。
【0008】
本発明は上記従来技術の問題点を鑑み提案されたものであり、電子機器の可用性を向上させる機器管理システム、障害管理装置、機器管理装置、障害管理プログラム、及び機器管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る機器管理システムは、電子機器と、前記電子機器から取得した機器情報に基づき、前記電子機器を管理する機器管理装置と、前記機器管理装置により記録された障害履歴情報に基づき、前記電子機器で発生した障害の履歴を管理する障害管理装置とが、所定のデータ伝送路で接続される機器管理システムであって、所定期間経過後の前記電子機器における障害発生予測を前記機器管理装置から前記障害管理装置に要求する障害予測要求手段と、前記機器管理装置から予測要求を受け付けると、障害予測が要求された電子機器の前記障害履歴情報を解析する障害履歴解析手段と、前記障害履歴情報の解析結果に基づき、所定期間経過後に前記電子機器で発生する可能性のある障害を予測し、予測結果を前記障害管理装置から要求元の前記機器管理装置に応答する障害予測手段と、前記障害管理装置から予測要求への応答を受け付けると、前記予測結果に基づき、障害発生が予測された電子機器からの情報取得の間隔を変更し、変更した情報取得間隔に従って、前記機器情報を取得する情報取得制御手段と、を有する。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る障害管理装置は、電子機器と、前記電子機器から取得した機器情報に基づき、前記電子機器を管理する機器管理装置とが、所定のデータ伝送路で接続され、前記機器管理装置により記録された障害履歴情報に基づき、前記電子機器で発生した障害の履歴を管理する障害管理装置であって、前記機器管理装置から予測要求を受け付けると、障害予測が要求された電子機器の前記障害履歴情報を解析する障害履歴解析手段と、前記障害履歴情報の解析結果に基づき、所定期間経過後に前記電子機器で発生する可能性のある障害を予測し、予測結果を要求元の前記機器管理装置に応答する障害予測手段と、を有する。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る機器管理装置は、電子機器と、障害履歴情報に基づき、前記電子機器で発生した障害の履歴を管理する障害管理装置とが、所定のデータ伝送路で接続され、前記電子機器から取得した機器情報に基づき、前記電子機器を管理する機器管理装置であって、所定期間経過後の前記電子機器における障害発生予測を前記障害管理装置に要求する障害予測要求手段と、前記障害管理装置から予測要求への応答を受け付けると、前記予測結果に基づき、障害発生が予測された電子機器からの情報取得の間隔を変更し、変更した情報取得間隔に従って、前記機器情報を取得する情報取得制御手段と、を有する。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る障害管理プログラムは、電子機器と、前記電子機器から取得した機器情報に基づき、前記電子機器を管理する機器管理装置とが、所定のデータ伝送路で接続され、前記機器管理装置により記録された障害履歴情報に基づき、前記電子機器で発生した障害の履歴を管理する障害管理装置としてコンピュータを機能させる障害管理プログラムであって、前記コンピュータを、前記機器管理装置から予測要求を受け付けると、障害予測が要求された電子機器の前記障害履歴情報を解析する障害履歴解析手段と、前記障害履歴情報の解析結果に基づき、所定期間経過後に前記電子機器で発生する可能性のある障害を予測し、予測結果を要求元の前記機器管理装置に応答する障害予測手段として機能させる。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明に係る機器管理プログラムは、電子機器と、障害履歴情報に基づき、前記電子機器で発生した障害の履歴を管理する障害管理装置とが、所定のデータ伝送路で接続され、前記電子機器から取得した機器情報に基づき、前記電子機器を管理する機器管理装置としてコンピュータを機能させる機器管理プログラムであって、前記コンピュータを、所定期間経過後の前記電子機器における障害発生予測を前記障害管理装置に要求する障害予測要求手段と、前記障害管理装置から予測要求への応答を受け付けると、前記予測結果に基づき、障害発生が予測された電子機器からの情報取得の間隔を変更し、変更した情報取得間隔に従って、前記機器情報を取得する情報取得制御手段として機能させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電子機器の可用性を向上させる機器管理システム、障害管理装置、機器管理装置、障害管理プログラム、及び機器管理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る機器管理システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る障害管理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る機器管理機能の構成例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る機器管理情報のデータ例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る障害履歴情報のデータ例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る機器仕様情報のデータ例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る予測条件情報のデータ例を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る障害発生時の処理手順例を示すシーケンス図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る障害予測に基づく処理手順例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下「実施形態」という)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
[第1の実施形態]
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る機器管理システム1の構成例を示す図である。
図1には、1又は複数の電子機器300〜300(以下総称する場合「電子機器300」という)と、機器管理装置200と、障害管理装置100とが、ネットワークなどのデータ伝送路N(例えば「LAN:Local Area Network」)で接続されるシステム構成例が示されている。
【0018】
電子機器200は、管理対象機器であり、画像処理機能を有するプリンタやMFP(Multifunction Peripheral)などである。機器管理装置200は、機器情報に基づき状態を監視し、電子機器300を管理する機器管理機能を有する機器であり、電子機器300をクライアントとするサーバ装置(機器管理サーバ)である。障害管理装置100は、機器管理装置200から障害通知に基づき、電子機器300の障害発生から対応完了までのプロセスを管理する障害管理機能を有する機器であり、機器管理装置200をクライアントするサーバ装置(障害管理サーバ)である。よって、機器管理装置200は、システム内に複数設定されていてもよい。図1には、便宜上、システム内に1台の機器管理装置200が設置されている場合の例が示されている。
【0019】
本実施形態に係る機器管理システム1は、次のようなサービス運用が可能な環境を提供する。
機器管理装置200は、管理対象である電子機器300から機器情報を取得する。機器管理装置200は、取得した機器情報に基づき、電子機器300で障害が発生したか否かを判定する(障害を検知する)。その結果、機器管理装置200は、障害が発生した(障害が検知された)電子機器300の情報を障害対応元CEに通知し、発生障害への対応を依頼するとともに、障害が発生した電子機器300の機器情報を障害管理装置100に送信する。これにより、障害対応元CEでは、障害が発生した電子機器300の障害対応が行われる。また、障害管理装置100には、電子機器300の障害履歴が記録される。
【0020】
一方、機器管理装置200は、障害が発生したと判定されなかった(障害が検知されなかった)場合、今後の電子機器300における障害発生予測を障害管理装置100に要求する。これを受けて障害管理装置100は、記録された障害履歴の解析結果に基づき、今後、電子機器300で発生する可能性のある障害を予測し、予測結果を要求元の機器管理装置200に応答する。その結果、機器管理装置200は、予測結果に基づき、障害発生が予測された電子機器300の情報を障害対応元CEに通知するとともに、障害発生が予測された電子機器300からの情報取得の間隔を短くする(予測に応じて監視頻度を最適化する)。これにより、障害対応元CEでは、今後、対応依頼がありそうな電子機器300を事前に把握することができる。また、機器管理装置200では、今後、障害が発生しそうな電子機器300の状態監視が強化される。
【0021】
以上のように、本実施形態に係る機器管理システム1は、上記システム構成により、時間経過とともに動的に変化する障害発生特性を考慮した電子機器300の可用性向上に対応可能な機器管理サービスを提供することができる。
【0022】
<ハードウェア構成>
図2は、本実施形態に係る障害管理装置100のハードウェア構成例を示す図である。
図2に示すように、障害管理装置100は、入力装置101、表示装置102、外部I/F103、RAM(Random Access Memory)104、ROM(Read Only Memory)105、CPU(Central Processing Unit)106、通信I/F107、及びHDD(Hard Disk Drive)108などを備え、それぞれがバスBで相互に接続されている。
【0023】
入力装置101は、キーボードやマウスなどを含み、障害管理装置100に各操作信号を入力するのに用いられる。表示装置102は、ディスプレイなどを含み、障害管理装置100による処理結果を表示する。
【0024】
通信I/F107は、障害管理装置100をデータ伝送路Nに接続するインタフェースである。これにより、障害管理装置100は、通信I/F107を介して、他の機器(例えば「電子機器」や「機器管理装置」など)とデータ通信を行うことができる。
【0025】
HDD108は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。格納されるプログラムやデータには、装置全体を制御する基本ソフトウェアであるOS(Operating System)、及び該OS上において各種機能を提供するアプリケーションソフトウェアなどがある。また、HDD108は、格納しているプログラムやデータを、所定のファイルシステム及び/又はDB(Data Base)により管理している。
【0026】
外部I/F103は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、記録媒体1003aなどがある。これにより、障害管理装置100は、外部I/F103を介して、記録媒体103aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。記録媒体103aには、例えば、フロッピー(商標又は登録商標)ディスク、CD(Compact Disk)、及びDVD(Digital Versatile Disk)、ならびに、SDメモリカード(SD Memory Card)やUSBメモリ(Universal Serial Bus Memory)などがある。
【0027】
ROM105は、電源を切っても内部データを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。ROM105には、障害管理装置100の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、OSやアプリケーション設定、及びネットワーク設定などのプログラムやデータが格納されている。RAM104は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。CPU106は、上記記憶装置(例えば「HDD」や「ROM」など)から、プログラムやデータをRAM上に読み出し、処理を実行することで、装置全体の制御や搭載機能を実現する演算装置である。
【0028】
以上のように、本実施形態に係る障害管理装置100は、上記ハードウェア構成により、各種情報処理サービスを実現できる。なお、機器管理装置200も、上記ハードウェア構成と略同一であり、各種情報処理サービスを実現できる。
【0029】
<機器管理機能>
本実施形態に係る機器管理機能について説明する。
本実施形態に係る機器管理システム1では、機器管理装置200が、電子機器300から取得した機器情報に基づき、電子機器300の障害履歴を障害管理装置100に記録する。機器管理装置200は、所定期間経過後の電子機器300における障害発生予測を障害管理装置100に要求する。これを受けて障害管理装置100は、記録された障害履歴を解析し、解析結果に基づき、所定期間経過後に電子機器300で発生する可能性のある障害を予測し、予測結果を要求元の機器管理装置200に応答する。その結果、機器管理装置200は、予測結果に基づき、障害発生が予測された電子機器300の情報を障害対応元CEに通知するとともに、障害発生が予測された電子機器300からの情報取得の間隔を短くする。本実施形態に係る機器管理システム1は、このような機器管理機能を有している。
【0030】
従来の機器管理方法は、予め決められたプロセスに従って、電子機器300の発生障害に対応する仕組みとなっているため、時間経過とともに動的に変化する障害発生特性を考慮した電子機器300の可用性を向上させる対応を行うことができない。
【0031】
そこで、本実施形態に係る機器管理システム1は、障害管理装置100が、電子機器300の障害履歴に基づき、今後発生する可能性のある障害を予測し、機器管理装置200が、障害発生が予測された電子機器300を障害対応元CEに通知するとともに、電子機器300の監視頻度を最適化する仕組みとした。
【0032】
これにより、本実施形態に係る機器管理システム1は、時間経過とともに動的に変化する障害発生特性を考慮した電子機器300の可用性向上に対応可能な環境を提供する。その結果、本実施形態に係る機器管理システム1では、電子機器300の可用性を向上させることができる。
【0033】
以下に、本実施形態に係る機器管理機能の構成とその動作について説明する。
図3は、本実施形態に係る機器管理機能の構成例を示す図である。
図3に示すように、本実施形態に係る機器管理機能は、情報取得制御部11、機器情報取得部12、障害判定部13、通知部14、障害履歴解析部21などを有している。情報取得制御部11、機器情報取得部12、障害判定部13、及び通知部14などの各機能部は、機器管理装置200で動作する。障害履歴解析部21は、障害管理装置100で動作する。このように、本実施形態に係る機器管理機能は、機器管理装置200が有する機能部と障害管理装置100が有する機能部とが連携動作することで実現される。
【0034】
《機器管理装置》
まず、機器管理装置200が有する機能部の動作で参照される機器管理情報について説明する。
【0035】
図4は、本実施形態に係る機器管理情報90Dのデータ例を示す図である。
図4に示すように、機器管理情報90Dは、機器識別、機種識別、ネットワーク設定、取得間隔、及び格納先などの各情報項目を対応付けた1又は複数の情報セットを有し、該情報セットを電子機器単位で管理している。機器管理情報90Dは、例えば、機器管理装置200が備える記憶装置の所定の記憶領域にあたる機器管理情報保持部90に格納され保持される。
【0036】
[機器識別]項目は、電子機器300の識別情報(以下「機器識別情報」という)を保持する項目であり、項目値には、電子機器300ごとにユニークに割り当てられた識別子であるシリアルナンバーなどがある。[機種識別]項目は、機種の識別情報(以下「機種識別情報」という)を保持する項目であり、項目値には、電子機器300の機種ごとにユニークに割り当てられた識別子である機種名/機種コード値などがある。[ネットワーク設定]項目は、電子機器300のネットワーク設定情報を保持する項目であり、項目値には、電子機器300に設定されたネットワーク設定値であるIPアドレス(Internet Protocol Address)などがある。[取得間隔]項目は、電子機器300から機器情報を取得する間隔(情報取得タイミング)を示す情報(以下「取得間隔情報」という)を保持する項目であり、項目値には、情報取得の間隔を示す所定値などがある。[格納先]項目は、電子機器300から取得した機器情報の格納先を示す情報(以下「格納先情報」という)を保持する項目であり、項目値には、機器情報が格納された所定の記憶領域へのデータパス(アクセスパス)であるURI(Uniform Resource Identifier)などがある。
【0037】
機器管理情報90Dの[取得間隔]項目値は、後述する情報取得制御部11により更新される。また、[格納先]項目値は、後述する機器情報取得部12により更新される。なお、これらの情報項目以外の項目値は、例えば、機器管理装置200の管理対象範囲に従って、管理者が管理対象機器ごとに設定する。なお、管理者による設定に限らない。例えば、機器管理装置200が、管理対象機器に対してブロードキャストし、その結果、得られた情報に基づき、自動設定してもよい。
【0038】
図3の説明に戻る。情報取得制御部11は、電子機器300からの機器情報の取得を制御する機能部である。情報取得制御部11は、機器管理情報90Dの取得間隔情報に基づき、設定された時間間隔に従って(設定された情報取得タイミングで)、対応する電子機器300からの情報取得を機器情報取得部12に指示する。このとき、情報取得制御部11は、機器管理情報90Dのネットワーク設定情報を機器情報取得部12に渡す。
【0039】
また、情報取得制御部11は、後述する障害判定部13からの情報取得の間隔調整指示に従って、機器管理情報90Dの取得間隔情報を更新する。このとき、情報取得制御部11は、障害判定部13から受け取った機器識別情報に基づき、機器管理情報90Dの中から、調整対象の電子機器300に対応する情報セットを特定し、該当情報セットの取得間隔情報を更新する。具体的には、情報取得の間隔が短くなる値に更新する。これにより、電子機器300からの情報取得回数が多くなり、監視頻度が高くなる(状態監視が強化される)。
【0040】
機器情報取得部12は、電子機器300から機器情報を取得する機能部である。機器情報取得部12は、情報取得制御部11からの指示に従って、システム内の電子機器300からの情報取得処理を開始する。このとき、機器情報取得部12は、情報取得制御部11から受け取ったネットワーク設定情報に基づき、対応する電子機器300に所定の情報取得コマンドを送信し、機器情報を要求する。これにより、機器情報取得部12は、電子機器300から応答された機器情報を受信する。
【0041】
機器情報取得部12は、受信した機器情報を所定の記憶領域に格納し、格納した機器情報へのデータパスを機器管理情報90Dの格納先情報として記録する。このとき、機器情報取得部12は、機器識別情報又はネットワーク設定情報に基づき、機器管理情報90Dの中から、情報取得先の電子機器300に対応する情報セットを特定し、該当情報セットの格納先情報に、格納した機器情報へのデータパスを記録する。なお、受信した機器情報には、例えば、電子機器300のネットワーク設定値、機器名、機種名、利用状況値(カウンタ値などの利用機能実測値)、機器状態値(障害発生の有無を示すフラグ値や発生障害を識別する障害名/エラーコード値)などの各種データが含まれる。機器情報取得部12は、管理対象機器全てから機器情報を取得し終えると、電子機器300に対する障害判定を障害判定部13に指示する。
【0042】
障害判定部13は、電子機器300で障害が発生したか否かを判定する(障害を検知する)機能部である。障害判定部13は、機器情報取得部12からの指示に従って、システム内の電子機器300に対する障害判定処理を開始する。障害判定部13は、格納された機器情報に含まれる機器状態値に基づき、障害判定を行う。このとき、障害判定部13は、機器管理情報90Dの格納先情報に基づき、機器情報を参照する。
【0043】
障害判定部13は、障害が発生したと判定した場合、該当した電子機器300の機器情報を障害管理装置100に送信し、障害履歴の記録を要求する。これにより、障害管理装置100には、電子機器300の障害履歴が記録される。また、障害判定部13は、該当した電子機器300の障害情報の通知を後述する通知部14に指示する。
【0044】
一方、障害判定部13は、障害予測要求部131を有し、障害が発生していないと判定した場合、該当した電子機器300の障害予測を後述する障害履歴解析部21に要求する。このとき、障害予測要求部131は、予測する電子機器300の機器識別情報を障害管理装置100に送信し、障害予測を要求する。これにより、障害予測要求部131は、障害管理装置100から応答された障害予測結果を受信する。障害判定部13は、障害が予測される旨の結果を受信した場合、予測された電子機器300からの情報取得の間隔調整を情報取得制御部11に指示する。このとき、障害判定部13は、機器管理情報90Dの機器識別情報(予測された電子機器の機器識別情報)を情報取得制御部11に渡す。また、障害判定部13は、予測された電子機器300の障害予測情報の通知を通知部14に指示する。
【0045】
なお、障害管理装置100とのデータ通信は、予め保持しておいた障害管理装置100のネットワーク設定情報に基づき行う。
【0046】
通知部14は、所定の通知先に各種情報を通知する機能部である。通知部14は、障害判定部13からの指示に従って、障害情報を障害対応元CEに通知する。このとき、通知部14は、例えば、障害が発生した電子機器300の情報を障害情報として送信する。これにより、障害対応元CEには、発生障害への対応が依頼され、障害が発生した電子機器300の障害対応が行われる。また、通知部14は、障害判定部13からの指示に従って、障害予測情報を障害対応元CEに通知する。このとき、通知部14は、例えば、障害が予測された電子機器300の情報や予測された障害内容を障害予測情報として送信する。これにより、障害対応元CEでは、今後、対応依頼がありそうな電子機器300や障害内容を事前に把握することができる。その結果、予測された障害が発生した場合の障害対応の初動時間の短縮につながる(迅速に対応できる)。
【0047】
《障害管理装置》
まず、障害管理装置100が有する機能部の動作で参照される各種情報について説明する。
【0048】
図5は、本実施形態に係る障害履歴情報80Dのデータ例を示す図である。
図5に示すように、障害履歴情報80Dは、電子機器300で発生した障害の履歴情報(以下「障害履歴情報」という)であり、機器識別及び導入日時などの各情報項目を対応付けた第1の情報セットを有している。また、障害履歴情報80Dは、発生日時、対応完了日時、ダウンタイム、発生間隔、及び障害識別などの各情報項目を対応付けた1又は複数の第2の情報セットを有している。障害履歴情報80Dは、第2の情報セットを発生障害単位で管理している。障害履歴情報80Dは、例えば、障害管理装置100が備える記憶装置の所定の記憶領域にあたる障害履歴情報保持部80に格納され、電子機器ことに保持される。
【0049】
第1の情報セットの[機器識別]項目は、機器識別情報を保持する項目である。[導入日時]項目は、電子機器300をシステム内に導入した際の記録情報(以下「機器導入記録情報」という)を保持する項目であり、項目値には、電子機器300の導入日時を示す日付と時刻などがある。
【0050】
また、第2の情報セットの[発生日時]項目は、障害が発生した際の記録情報(以下「障害発生記録情報」という)を保持する項目であり、項目値には、障害発生日時を示す日付と時刻などがある。[対応完了日時]項目は、発生障害への対応を完了した際の記録情報(以下「対応完了記録情報」という)を保持する項目であり、項目値には、発生障害への対応完了日時を示す日付と時刻などがある。[ダウンタイム]項目は、障害発生により機能利用できなかった期間(利用不可能期間)を示す情報(以下「ダウンタイム情報」という)を保持する項目であり、項目値には、利用不可能期間を示す日数などがある。[発生間隔]項目は、障害の発生間隔を示す情報(以下「障害発生間隔情報」という)を保持する項目であり、項目値には、障害発生間隔を示す期間などがある。[障害識別]項目は、発生障害の識別情報(以下「障害識別情報」という)を保持する項目であり、項目値には、障害ごとにユニークに割り当てられた識別子である障害名(又はエラーコード値)などがある。
【0051】
障害履歴情報80Dの第1の情報セットの各情報項目値は、例えば、機器管理装置200の管理対象範囲に従って、管理者が管理対象機器ごとに設定する。また、第2の情報セットの[発生障害]項目値は、障害判定部13からの記録要求に従って、同機能13から受信した機器情報に基づき記録される。具体的には、次のように記録される。[障害識別]項目値には、機器情報に含まれる機器状態値に基づき、障害名(又はエラーコード値)が記録される。また、他の情報項目値は、次のように記録される。[発生日時]項目値には、機器情報の受信日時が記録される。[対応完了日時]項目値には、障害対応元CEの担当作業者が所定のツールを介して入力した対応完了日時が記録される。[ダウンタイム]項目値には、障害発生記録情報と対応完了記録情報とに基づき算出した発生から対応完了までの日数が記録される。[発生間隔]項目値には、前回発生した同一障害の発生日時と今回の発生日時とに基づき算出した前回の障害発生から今回の障害発生までの期間が記録される。
【0052】
図6は、本実施形態に係る機器仕様情報70Dのデータ例を示す図である。
図6に示すように、機器仕様情報70Dは、電子機器300(搭載部品を含む)の仕様情報(以下「機器仕様情報」という)であり、機種識別、部品識別、及び耐用期間などの各情報項目を対応付けた1又は複数の情報セットを有し、該情報セットを機種単位で管理している。機器仕様情報70Dは、例えば、障害管理装置100が備える記憶装置の所定の記憶領域にあたる障害管理情報保持部70に格納され保持される。
【0053】
[機種識別]項目は、機種識別情報を保持する項目である。[部品識別]項目は、機種に対応する搭載部品の識別情報(以下「部品識別情報」という)を保持する項目であり、項目値には、部品ごとにユニークに割り当てられた識別子である部品名/部品コード値などがある。[耐用期間]項目は、搭載部品の耐用期間を示す情報(以下「耐用期間情報」という)を保持する項目であり、項目値には、製品仕様に基づき予め決められた部品の耐用期間を示す所定値(耐用年数)などである。
【0054】
機器仕様情報70Dの各情報項目値は、例えば、機器管理装置200の管理対象範囲に従って、管理者が管理対象機器の機種ごとの製品仕様に基づき設定する。
【0055】
図7は、本実施形態に係る予測条件情報60Dのデータ例を示す図である。
図7に示すように、予測条件情報60Dは、電子機器300の障害予測を行うための判断条件が定義された情報(以下「予測条件情報」という)であり、障害識別及び条件定義などの各情報項目を対応付けた1又は複数の情報セットを有し、該情報セットを障害単位で管理している。予測条件情報60Dは、例えば、障害管理装置100が備える記憶装置の所定の記憶領域にあたる予測条件情報保持部60に格納され保持される。
【0056】
[障害識別]項目は、障害識別情報を保持する項目である。[条件定義]項目は、所定時間経過後に障害が発生する可能性があるか否か(障害予測)の判断条件を定義した情報(以下「条件定義情報」という)を保持する項目であり、項目値には、障害発生の可能性を判断する際の判断基準値(閾値)を含む判断条件式(値の大小比較式)などがある。なお、本実施形態では、障害発生の可能性を障害発生頻度(平均障害発生回数)に基づき行う。よって、判断基準値には、障害に対応する搭載部品(発生障害対応時に交換される部品)の耐用期間における障害発生頻度(耐用年数を基準とした年単位の平均障害発生回数)が設定される。耐用期間における障害発生頻度は、搭載部品の製品仕様に基づく値(製品として想定される値)である。
【0057】
予測条件情報60Dの各情報項目値は、例えば、システム1の運用方針に従って、管理者が管理対象機器で発生が想定される障害ごとに予め設定する。
【0058】
図3の説明に戻る。障害履歴解析部21は、電子機器300の障害履歴を解析する機能部である。障害履歴解析部21は、障害予測部211を有し、記録された障害履歴情報80Dの解析結果、機器仕様情報70D、及び予測条件情報60Dに基づき、所定期間経過後に電子機器300で発生する可能性のある障害を予測し、予測結果を要求元の機器管理装置200に応答する。
【0059】
障害履歴解析部21は、障害判定部13からの予測要求に従って、障害予測が要求された電子機器300の障害履歴情報80Dに基づき、これまでの障害発生回数を発生障害ごとに集計する。このとき、障害履歴解析部21は、障害判定部13から受信した機器識別情報に基づき、障害履歴情報80Dの中から、解析対象の電子機器300に対応する情報セットを特定し、該当情報セットの障害識別情報に基づき、記録された発生障害を分類し、分類した発生障害ごとに上記集計を行う。次に、障害履歴解析部21は、集計結果に基づき、履歴記録期間における発生障害ごとの発生頻度(履歴記録期間を基準とした年単位の平均障害発生回数)を算出する。このとき、障害履歴解析部21は、該当情報セットの障害発生間隔情報に基づき、平均発生間隔を算出し、算出した平均発生間隔から、年単位の平均障害発生回数を算出する。より具体的には、算出した平均発生間隔「4ヶ月」であった場合、年単位の平均障害発生回数は3回となる。
【0060】
障害予測部211は、予測条件情報60Dの条件定義情報に定義された判断条件式に従って、解析結果である障害発生頻度の算出値が判断基準値以上か否かを判定する。このとき、障害予測部211は、集計した発生障害ごとの障害識別情報に基づき、予測条件情報60Dの中から、予測対象の障害に対応する情報セットを特定し、該当情報セットの条件定義情報に基づき、上記判定を行う。その結果、障害予測部211は、解析結果である障害発生頻度の算出値が判断基準値以上と判定した場合、所定期間経過後に該当障害が発生する可能性があると判断する。ここでいう所定期間とは、該当障害の前回の発生日時から現在日時までの経過期間を、判断基準値以上と判定された解析結果である障害発生頻度に基づく発生間隔から差し引いた期間である。より具体的には、例えば、判断基準値以上と判定された解析結果である障害発生頻度が「3.0回/年(4ヶ月に1回の割合で発生)」であり、該当障害の前回の発生日時から現在日時までの経過期間が1ヶ月であった場合、所定期間は、4ヶ月から1ヶ月を差し引いた期間である3ヶ月となる。つまり、上記所定期間経過後とは、発生頻度から予測される次回の障害発生までの残りの期間の経過を意味している。
【0061】
また、障害予測部211は、解析結果である障害発生頻度の算出値が判断基準値未満と判定した場合、機器仕様情報70Dと障害履歴情報80Dとに基づき、障害予測が要求された電子機器300の搭載部品が耐用期間を超過している(耐用期間を超えて使用している)か否かを判定する。このとき、障害予測部211は、障害予測が要求された電子機器300の機種識別情報と搭載部品の部品識別情報とに基づき、機器仕様情報70Dの中から、判定対象の機種及び部品に対応する情報セットを特定し、該当情報セットの耐用期間情報と障害履歴情報80Dの対応完了記録情報とに基づき、上記判定を行う。障害予測部211は、障害履歴情報80Dの対応完了記録情報に基づき、前回の発生障害への対応日時を特定し、特定した対応日時から現在日時までの期間が、耐用期間情報の耐用期間を超過しているか否かを判定する。その結果、障害予測部211は、前回の対応日時から現在日時までの期間が耐用期間を超過していると判定した場合、該当部品の障害が発生する可能性があると判断する。
【0062】
障害履歴解析部21は、障害予測部211による障害予測結果を機器管理装置200に送信し、要求元に応答する。なお、障害予測結果には、障害予測の有無(予測されたか否か)、予測された障害内容(判断基準値以上と判定した該当障害/耐用期間超過と判定された該当部品)などが含まれる。
【0063】
以上のように、本実施形態に係る機器管理機能は、上記各機能部が連携動作することにより実現される。なお、上記機能部は、システム1を構成する各機器に搭載(インストール)されるプログラム(機器管理機能を実現するソフトウェア)が、演算装置(CPU)により、記憶装置(「HDD」や「ROM」)からメモリ(RAM)上に読み出され、各機器において、以下の処理が実行されることで実現される。
【0064】
本実施形態に係る機器管理機能の詳細な動作(機能部群の連携動作)について、処理手順を示すシーケンス図を用いて説明する。
【0065】
《障害発生時の処理》
図8は、本実施形態に係る障害発生時の処理手順例を示すシーケンス図である。
図8に示すように、機器管理装置200は、情報取得制御部11により、機器管理情報保持部90にアクセスし、機器管理情報90Dの取得間隔情報に基づき、管理対象である電子機器300からの情報取得処理を開始する(ステップS101)。
【0066】
機器管理装置200は、情報取得制御部11により、取得間隔情報に設定された時間間隔に従って、対応する電子機器300からの情報取得を機器情報取得部12に指示する(ステップS102)。このとき、情報取得制御部11は、機器管理情報90Dのネットワーク設定情報を機器情報取得部12に渡す。
【0067】
これを受けて機器管理装置200は、機器情報取得部12により、機器管理情報90Dのネットワーク設定情報に基づき、対応する電子機器300に所定の情報取得コマンドを送信し、機器情報を要求する(ステップS103)。これにより、機器管理装置200は、機器情報取得部12により、電子機器300から応答された機器情報を受信する(ステップS104)。
【0068】
これを受けて機器管理装置200は、機器情報取得部12により、受信した機器情報を所定の記憶領域に格納し、機器管理情報保持部90にアクセスし、格納した機器情報へのデータパスを機器管理情報90Dの格納先情報として記録する(ステップS105)。このとき、機器情報取得部12は、機器識別情報又はネットワーク設定情報に基づき、機器管理情報90Dの中から、情報取得先の電子機器300に対応する情報セットを特定し、該当情報セットの格納先情報に、格納した機器情報へのデータパスを記録する。
【0069】
その後、機器管理装置200は、機器情報取得部12により、管理対象機器全てから機器情報を取得し終えると、電子機器300に対する障害判定を障害判定部13に指示する(ステップS106)。
【0070】
これを受けて機器管理装置200は、障害判定部13により、格納された機器情報に含まれる機器状態値に基づき、電子機器300で障害が発生したか否かを判定する(障害を検知する:ステップS107)。このとき、障害判定部13は、機器管理情報90Dの格納先情報に基づき、機器情報を参照する。
【0071】
その結果、機器管理装置200は、障害判定部13により、障害が発生したと判定した場合、該当した電子機器300の機器情報を障害管理装置100に送信し、障害履歴の記録を要求する(ステップS108)。これにより、障害管理装置100では、障害履歴情報保持部80にアクセスし、受信した機器情報が電子機器300の障害履歴情報80Dとして記録される(ステップS109)。
【0072】
また、機器管理装置200は、障害判定部13により、障害が発生したと判定した場合、該当した電子機器300の障害情報の通知を通知部14に指示する(ステップS110)。
【0073】
これを受けて機器管理装置200は、通知部14により、障害が発生した電子機器300の情報を障害情報として送信し、障害情報を障害対応元CEに通知する(ステップS111)。これにより、障害対応元CEには、発生障害への対応が依頼され、担当作業者により、障害が発生した電子機器300の障害対応が行われる。
【0074】
その後、障害管理装置100は、障害対応元CEの担当作業者が所定のツールを介して、対応完了日時の入力を受け付けると、障害履歴情報保持部80にアクセスし、入力情報が、対応した電子機器300の障害履歴情報80D(対応完了記録情報)として記録される(ステップS112)。
【0075】
このように、機器管理システム1では、管理対象である電子機器300から取得した機器情報に基づき、管理対象機器での障害発生が検知され、障害発生を検知した電子機器300の障害履歴が記録され、障害対応元CEに対して、発生障害への対応が依頼される。
【0076】
《障害予測に基づく処理》
図9は、本実施形態に係る障害予測に基づく処理手順例を示すシーケンス図である。なお、図9に示すステップ201からS207までの処理は、図8に示すステップS101からS107までの処理と同様のため、その説明を省略し、ステップS208からの処理について説明する。
【0077】
図9に示すように、機器管理装置200は、障害判定部13により、障害が発生していないと判定した場合、障害予測要求部131により、該当した電子機器300の機器識別情報を障害管理装置100に送信し、電子機器300の障害予測を障害管理装置100に要求する(ステップS208)。
【0078】
これを受けて障害管理装置100は、障害履歴解析部21により、当該装置を有する各情報保持部80,70,60にアクセスし、障害履歴情報80D、機器仕様情報70D、及び予測条件情報60Dを参照する(ステップS209)。
【0079】
障害管理装置100は、障害履歴解析部21により、障害予測が要求された電子機器300の障害履歴情報80Dを解析する(ステップS210)。具体的には、次のような解析処理を行う。
【0080】
障害履歴解析部21は、履歴記録期間における発生障害ごとの発生頻度を算出する。障害履歴解析部21は、機器管理装置200から受信した機器識別情報に基づき、障害予測が要求された電子機器300の障害履歴情報80Dの中から、解析対象の電子機器300に対応する情報セットを特定する。障害履歴解析部21は、該当情報セットの障害識別情報に基づき、記録された発生障害を分類し、障害発生回数を発生障害ごとに集計する(ステップ210:STEP1)。障害履歴解析部21は、該当情報セットの障害発生間隔情報に基づき、平均発生間隔を算出し、算出した平均発生間隔から、履歴記録期間を基準とした年単位の平均障害発生回数を算出する(ステップ210:STEP2)。これにより、障害管理装置100では、履歴記録期間における発生障害ごとの発生頻度の算出値を解析結果として得る。
【0081】
次に、障害管理装置100は、障害履歴解析部21が有する障害予測部211により、所定期間経過後に発生する可能性のある障害を予測する(ステップS211)。具体的には、まず、次のような障害発生頻度による条件判定による予測処理を行う。
【0082】
障害予測部211は、集計した発生障害ごとの障害識別情報に基づき、予測条件情報60Dの中から、予測対象の障害に対応する情報セットを特定する。障害予測部211は、該当情報セットの条件定義情報に定義された判断条件式に従って、解析結果である障害発生頻度の算出値が判断基準値以上か否かを判定する(ステップ211:STEP1)。
【0083】
その結果、障害予測部211は、解析結果である障害発生頻度の算出値が判断基準値以上と判定した場合、所定期間経過後(発生頻度から予測された次回発生までの残り期間経過後)に該当障害が発生する可能性があると判断する。
【0084】
一方、障害予測部211は、解析結果である障害発生頻度の算出値が判断基準値未満と判定した場合、次のような耐用期間の超過判定による予測処理を行う。
【0085】
障害予測部211は、障害予測が要求された電子機器300の機種識別情報と搭載部品の部品識別情報とに基づき、機器仕様情報70Dの中から、判定対象の機種及び部品に対応する情報セットを特定する。障害予測部211は、該当情報セットの耐用期間情報と障害履歴情報80Dの対応完了記録情報とに基づき、障害予測が要求された電子機器300の搭載部品が耐用期間を超過している(耐用期間を超えて使用している)か否かを判定する(ステップ211:STEP2)。このとき、障害予測部211は、障害履歴情報80Dの対応完了記録情報に基づき、前回の発生障害への対応日時を特定し、特定した対応日時から現在日時までの期間が、耐用期間情報の耐用期間を超過しているか否かを判定する。
【0086】
その結果、障害予測部211は、前回の対応日時から現在日時までの期間が耐用期間を超過していると判定した場合、該当部品の障害が発生する可能性があると判断する。
【0087】
このように、障害管理装置100では、障害予測部211により障害発生が予測された場合、障害履歴解析部21により、障害予測結果を機器管理装置200に送信し、要求元に応答する(ステップS212)。なお、障害予測部211が障害発生を予測しなかった場合には、その旨が機器管理装置200に送信され、要求元に応答される。
【0088】
これを受けて機器管理装置200は、障害が予測される旨の結果を受信した場合、障害判定部13により、予測された電子機器300の障害予測情報の通知を通知部14に指示する(ステップS213)。
【0089】
その結果、機器管理装置200は、通知部14により、障害予測情報を障害対応元CEに通知する(ステップS214)。このとき、通知部14は、例えば、障害が予測された電子機器300の情報や予測された障害内容を障害予測情報として送信する。これにより、障害対応元CEでは、今後、対応依頼がありそうな電子機器300や障害内容を事前に把握することができる。
【0090】
また、機器管理装置200は、障害が予測される旨の結果を受信した場合、障害判定部13により、予測された電子機器300の機器情報取得の間隔調整を情報取得制御部11に指示する(ステップS215)。このとき、障害判定部13は、機器管理情報90Dの機器識別情報(予測された電子機器の機器識別情報)を情報取得制御部11に渡す。
【0091】
その結果、機器管理装置200は、情報取得制御部11により、機器管理情報保持部90にアクセスし、障害判定部13から受け取った機器識別情報に基づき、機器管理情報90Dの中から、調整対象の電子機器300に対応する情報セットを特定し、該当情報セットの取得間隔情報を更新する(ステップS216)。具体的には、情報取得の間隔が短くなる値に更新する。これにより、電子機器300からの情報取得回数が多くなり、監視頻度が高くなる。
【0092】
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る機器管理システム1によれば、機器管理装置200が、電子機器300から取得した機器情報に基づき、電子機器300の障害履歴を障害管理装置100に記録する。機器管理装置200は、所定期間経過後の電子機器300における障害発生予測を障害管理装置100に要求する。これを受けて障害管理装置100は、記録された障害履歴を解析し、解析結果に基づき、所定期間経過後に電子機器300で発生する可能性のある障害を予測し、予測結果を要求元の機器管理装置200に応答する。その結果、機器管理装置200は、予測結果に基づき、障害発生が予測された電子機器300の情報を障害対応元CEに通知するとともに、障害発生が予測された電子機器300からの情報取得の間隔を短くする。
【0093】
これによって、本実施形態に係る機器管理システム1は、時間経過とともに動的に変化する障害発生特性を考慮した電子機器300の可用性向上に対応可能な環境を提供でき、電子機器300の可用性を向上させることができる。
【0094】
ここまで、上記実施形態の説明を行ってきたが、上記実施形態に係る「機器管理機能」は、図を用いて説明を行った各処理手順を、動作環境(プラットフォーム)にあったプログラミング言語でコード化したプログラムが、システム1を構成する各機器(「機器管理装置」や「障害管理装置」など)が備える演算装置(CPU)により実行されることで実現される。
【0095】
上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体103aに格納することができる。これにより、例えば、障害管理装置100の場合、上記プログラムは、外部I/F103を介して、障害管理装置100にインストールすることができる。また、障害管理装置100は、通信I/F107を備えていることから、電気通信回線を用いて上記プログラムをダウンロードし、インストールすることもできる。
【0096】
また、上記実施形態では、障害管理装置100が機器仕様情報保持部70を備えている構成について説明を行ったが、この限りでない。機器仕様情報保持部70を備える外部の記憶装置と障害管理装置100とが連携動作する構成であってもよい。
【0097】
最後に、上記実施形態に挙げた形状や構成に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した要件に、本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0098】
1 機器管理システム
11 情報取得制御部
12 機器情報取得部
13 障害判定部(131:障害予測要求部)
14 通知部
21 障害履歴解析部(211:障害予測部)
60 予測条件情報保持部(D:予測条件情報)
70 機器仕様情報保持部(D:機器仕様情報)
80 障害履歴情報保持部(D:障害履歴情報)
90 機器管理情報保持部(D:機器管理情報)
100 障害管理装置(障害管理サーバ)
200 機器管理装置(機器管理サーバ)
300 電子機器
【先行技術文献】
【特許文献】
【0099】
【特許文献1】特開平11−175487号公報
【特許文献2】特開平11−175488号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器と、前記電子機器から取得した機器情報に基づき、前記電子機器を管理する機器管理装置と、前記機器管理装置により記録された障害履歴情報に基づき、前記電子機器で発生した障害の履歴を管理する障害管理装置とが、所定のデータ伝送路で接続される機器管理システムであって、
所定期間経過後の前記電子機器における障害発生予測を前記機器管理装置から前記障害管理装置に要求する障害予測要求手段と、
前記機器管理装置から予測要求を受け付けると、障害予測が要求された電子機器の前記障害履歴情報を解析する障害履歴解析手段と、
前記障害履歴情報の解析結果に基づき、所定期間経過後に前記電子機器で発生する可能性のある障害を予測し、予測結果を前記障害管理装置から要求元の前記機器管理装置に応答する障害予測手段と、
前記障害管理装置から予測要求への応答を受け付けると、前記予測結果に基づき、障害発生が予測された電子機器からの情報取得の間隔を変更し、変更した情報取得間隔に従って、前記機器情報を取得する情報取得制御手段と、を有することを特徴とする機器管理システム。
【請求項2】
前記情報取得制御手段は、
障害発生が予測された電子機器からの情報取得の間隔が短くなるように変更することを特徴とする請求項1に記載の機器管理システム。
【請求項3】
前記機器情報に基づき、前記電子機器で障害が発生しているか否かを判定する障害判定手段を有し、
前記障害予測要求手段は、
判定結果が前記電子機器で障害が発生していない場合、所定期間経過後の前記電子機器における障害発生予測を前記障害管理装置に要求することを特徴とする請求項1又は2に記載の機器管理システム。
【請求項4】
前記障害履歴解析手段は、
障害予測が要求された電子機器の前記障害履歴情報に含まれる障害識別情報と障害発生間隔情報とを解析し、所定期間の障害発生頻度を算出し、
前記障害予測手段は、
予め設定しておいた障害発生の可能性を判断する際の判断基準値を含む条件式に従って、前記障害発生頻度の算出値が前記判断基準値以上か否かを判定し、前記障害発生頻度の算出値が前記判断基準値以上と判定した場合、該当した障害が発生する可能性があると判断し、所定期間経過後の発生障害を予測することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の機器管理システム。
【請求項5】
前記障害予測手段は、
前記障害発生頻度の算出値が前記判断基準値未満と判定した場合、予め設定しておいた機器仕様情報と前記障害履歴情報とに基づき、障害予測が要求された電子機器の搭載部品が耐用期間を超過しているか否かを判定することを特徴とする請求項4に記載の機器管理システム。
【請求項6】
前記障害予測手段は、
前記障害履歴情報に含まれる対応完了記録情報から特定した特定した対応日時から現在日時までの期間が、前記機器仕様情報に含まれる前記電子機器の搭載部品の耐用期間情報の耐用期間を超過しているか否かを判定し、前回の対応日時から現在日時までの期間が耐用期間を超過していると判定した場合、該当した部品の障害が発生する可能性があると判断し、所定期間経過後の発生障害を予測することを特徴とする請求項5に記載の機器管理システム。
【請求項7】
前記予測結果に基づき、障害発生が予測された電子機器の情報を障害対応元に通知する通知手段を有することを特徴とすることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の機器管理システム。
【請求項8】
電子機器と、前記電子機器から取得した機器情報に基づき、前記電子機器を管理する機器管理装置とが、所定のデータ伝送路で接続され、前記機器管理装置により記録された障害履歴情報に基づき、前記電子機器で発生した障害の履歴を管理する障害管理装置であって、
前記機器管理装置から予測要求を受け付けると、障害予測が要求された電子機器の前記障害履歴情報を解析する障害履歴解析手段と、
前記障害履歴情報の解析結果に基づき、所定期間経過後に前記電子機器で発生する可能性のある障害を予測し、予測結果を要求元の前記機器管理装置に応答する障害予測手段と、を有することを特徴とする障害管理装置。
【請求項9】
電子機器と、障害履歴情報に基づき、前記電子機器で発生した障害の履歴を管理する障害管理装置とが、所定のデータ伝送路で接続され、前記電子機器から取得した機器情報に基づき、前記電子機器を管理する機器管理装置であって、
所定期間経過後の前記電子機器における障害発生予測を前記障害管理装置に要求する障害予測要求手段と、
前記障害管理装置から予測要求への応答を受け付けると、前記予測結果に基づき、障害発生が予測された電子機器からの情報取得の間隔を変更し、変更した情報取得間隔に従って、前記機器情報を取得する情報取得制御手段と、を有することを特徴とする機器管理装置。
【請求項10】
電子機器と、前記電子機器から取得した機器情報に基づき、前記電子機器を管理する機器管理装置とが、所定のデータ伝送路で接続され、前記機器管理装置により記録された障害履歴情報に基づき、前記電子機器で発生した障害の履歴を管理する障害管理装置としてコンピュータを機能させる障害管理プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記機器管理装置から予測要求を受け付けると、障害予測が要求された電子機器の前記障害履歴情報を解析する障害履歴解析手段と、
前記障害履歴情報の解析結果に基づき、所定期間経過後に前記電子機器で発生する可能性のある障害を予測し、予測結果を要求元の前記機器管理装置に応答する障害予測手段として機能させる障害管理プログラム。
【請求項11】
電子機器と、障害履歴情報に基づき、前記電子機器で発生した障害の履歴を管理する障害管理装置とが、所定のデータ伝送路で接続され、前記電子機器から取得した機器情報に基づき、前記電子機器を管理する機器管理装置としてコンピュータを機能させる機器管理プログラムであって、
前記コンピュータを、
所定期間経過後の前記電子機器における障害発生予測を前記障害管理装置に要求する障害予測要求手段と、
前記障害管理装置から予測要求への応答を受け付けると、前記予測結果に基づき、障害発生が予測された電子機器からの情報取得の間隔を変更し、変更した情報取得間隔に従って、前記機器情報を取得する情報取得制御手段として機能させる機器管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−61840(P2013−61840A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200327(P2011−200327)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】