説明

機器装置およびユニット

【課題】簡素な構成で迅速にユニットを識別できるようにする。
【解決手段】機器装置10の電位検出部13により、実装されたユニット20からその種別に応じて出力された1つ以上の一定電位を当該コネクタ11の所定接続端子から検出し、制御部16のユニット識別手段16Aにより、電位検出部16Aでの検出結果に応じてコネクタ11に接続されたユニット20の種別をそれぞれ識別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニット識別技術に関し、特に機器装置に対して複数種のユニットを実装して用いるシステムにおいて、実装されたユニットの種別を機器装置で自動的に識別するユニット識別技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な機器装置では、その機器装置を使用する目的や状況に合わせた機能を提供するため、必要な機能を持つユニットを挿抜自在に機器装置へ実装して当該機器装置の機能を拡張するというシステム構成が採用されている。
【0003】
例えば、電話回線に対して複数の電話機を交換接続するボタン電話システムの主装置では、そのボタン電話システムを使用する目的、例えば家庭で用いるのかビジネスで用いるのか、あるいは電話回線がアナログ回線かIP回線かなどに応じて、収容する電話回線や電話機の数、あるいは電話回線や電話機の種別を柔軟に組み合わせて所望の機能を提供する必要がある。
したがって、一般的なボタン電話システムでは、主装置に予めアナログ回線と数台の電話機を接続可能な基本機能を実装しておき、IP回線接続用の回線ユニットや電話機増設用の電話機ユニットをオプションとして提供することにより、同じ主装置で異なる使用目的や状況に対応している。
【0004】
このようなシステム構成では、機器装置へ実装されたユニットがどのような種別のユニットであるかを機器装置が識別し、当該ユニットに対してその種別に応じた制御を行う必要がある。
従来、このような複数種のユニットが機器装置に実装されるシステムにおいて、ユニット側に当該パッケージの識別番号を示す識別信号を発生する回路を設け、実装されたユニットからの識別信号に基づき機器装置の検出回路で、当該実装位置に対するユニットの誤実装を識別する技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。
【0005】
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
【特許文献1】特開平5−119109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来技術では、機器装置とユニットとの間でデータ伝送を行う必要があり、簡素な構成で迅速にユニットを識別できないという問題点があった。
すなわち、ユニットから機器装置に対して当該ユニットに固有の識別信号を送信するためには、そのユニットに固有の識別情報を記憶するメモリや、その記憶内容に応じた識別信号を発生させる回路をユニット側に備える必要があり、ユニット側の回路構成が複雑化する。
【0007】
また、機器装置は各ユニットとデータ伝送を行って識別信号を受信する必要があるため、ユニットへの電源供給開始からユニット識別までに時間がかかり、ユニットの誤実装による不具合発生を迅速に回避できないという問題点があった。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、簡素な構成で迅速にユニットを識別できる機器装置およびユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、本発明にかかる機器装置は、所定の機能を実現する機能回路部を有するユニットを実装するとともに、ユニットの種別に応じて当該ユニットの動作を制御する機器装置であって、実装されたユニットの回路と当該機器装置側の回路とを電気的に接続するコネクタと、コネクタを介して接続されているユニットからその種別に応じて出力された1つ以上の一定電位を当該コネクタの所定接続端子から検出する電位検出部と、電位検出部での検出結果に応じて当該ユニットの種別を識別するユニット識別手段とを備えている。
【0009】
この際、ユニットの動作および一定電位の生成に用いられる動作電源をコネクタを介して供給する電源供給部をさらに備え、電源供給部で、ユニットへ動作電源の供給を開始した後、ユニット識別手段でユニットの種別が識別できた場合はユニットに対する動作電源の供給を継続し、種別が識別できなかった場合はユニットに対する動作電源の供給を停止するようにしてもよい。
【0010】
さらに、実装された複数のユニットごとにコネクタを複数備え、電源供給部で、ユニット識別手段で得られた各ユニットに関する種別の識別結果に応じてユニットごとに個別に動作電源の供給を継続しまたは停止するようにしてもよい。
【0011】
また、実装された複数のユニットごとにコネクタを複数備え、ユニットの動作に用いられる動作電源と当該ユニットでの一定電位の生成に用いられる電位生成用電源とを当該コネクタを介してそれぞれ別個に供給する電源供給部をさらに備え、電源供給部で、ユニットへ動作電源の供給を開始する前にユニットへ電位生成用電源を供給し、ユニット識別手段でユニットの種別が識別できた場合はユニットに対する動作電源の供給を開始し、種別が識別できなかった場合はユニットに対する動作電源の供給を開始しないようにしてもよい。
【0012】
また、警報音を出力する警報出力部をさらに備え、ユニット識別手段で、電位検出部からの検出結果が、予め各ユニットの種別に対して割り当てられている検出結果とは異なる未割り当ての検出結果であった場合、警報出力部から警報音を出力するようにしてもよい。
【0013】
また、本発明にかかるユニットは、所定の機能を実現する機能回路部を有し、当該ユニットから出力された一定電位に基づいて当該ユニットの種別を識別する機器装置に実装されて、種別に応じた機器装置からの動作制御に基づき機能回路部を動作させて機能を実現するユニットであって、当該ユニット側の回路と機器装置側の回路とを電気的に接続するコネクタと、当該ユニットの種別に応じた1つ以上の一定電位をコネクタを介して機器装置へ出力する定電位出力部とを備えている。
【0014】
この際、定電位出力部で、コネクタを介して機器装置から供給された機能回路部の動作電源をなす2つの電位のいずれかを一定電位として用いるようにしてもよい。
【0015】
また、定電位出力部で、機能回路部の動作電源とは別個にコネクタを介して機器装置から供給された電位生成用電源をなす2つの電位のいずれかを一定電位として用いるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、機器装置の電位検出部により、ユニットからその種別に応じて出力された1つ以上の一定電位が当該コネクタの所定接続端子から検出され、ユニット識別手段により、電位検出部での検出結果に応じて当該コネクタに接続されたユニットの種別が識別されるため、機器装置とユニットとの間でデータ伝送を行うことなく各ユニットの種別を識別でき、機器装置およびユニットに簡素な回路構成で各ユニットの種別を識別できる。
【0017】
また、ユニットから一定電位を機器装置へ出力するだけなので、機器装置からの電源供給開始からほとんど遅れることなく一定電位を機器装置へ出力することができ、データ伝送でユニット識別情報を機器装置へ通知する場合と比較して、極めて迅速に機器装置でユニットの種別を識別できる。これにより、誤実装されたユニットや実装が不完全なユニットに対して迅速な対応をとることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる機器装置およびユニットについて説明する。図1は本発明の第1の実施の形態にかかる機器装置およびユニットの構成を示すブロック図である。
この機器装置10は、挿抜自在に実装された各種ユニット20(20A,20B)の種別を識別した後、各ユニットとデータ伝送を行うことにより、ユニット20の動作をその種別に応じて制御する装置である。
【0019】
本実施の形態では、各ユニット20にその種別に応じた一定電位をコネクタの所定接続端子へ出力する定電位出力部を設け、機器装置10に設けられた電位検出部でそれぞれのコネクタを介して各ユニットからの定電位を個別に検出し、その検出結果に基づき各ユニット20の種別を識別するようにしたものである。
【0020】
[機器装置]
次に、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる機器装置の構成について説明する。
本発明の第1の実施の形態にかかる機器装置10は、全体としてコンピュータで所定の制御処理を行う処理装置からなり、コネクタ11、伝送インターフェース部(以下、伝送I/F部という)12、電位検出部13、電源供給部14、記憶部15、および制御部16が設けられている。
【0021】
コネクタ11は、複数の接続端子を有し、機器装置10に実装されたユニット20側の回路と機器装置10側の回路とを電気的に接続する回路部である。
伝送I/F部12は、コネクタ11ごとに設けられ、そのコネクタ11を介してユニット20とデータ伝送を行う回路部である。
【0022】
電位検出部13は、コネクタ11ごとに設けられ、ユニット20から出力された当該ユニット20の種別を示す一定電位を、当該コネクタ11の所定接続端子から検出し、その検出結果を制御部16へ出力する回路部である。
電源供給部14は、ユニット20の動作に必要な電源を伝送I/F部12およびコネクタ11を介してユニット20へ供給する回路部である。
記憶部15は、メモリやハードディスクからなり、制御部16での処理動作に用いる各種情報やプログラムを記憶する記憶装置である。
【0023】
制御部16は、CPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部15からプログラムを読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラムとを協働させて各種機能手段を実現する機能部である。これら機能手段としては、ユニット識別手段16Aおよび制御処理手段16Bがある。
【0024】
ユニット識別手段16Aは、電位検出部13での検出結果に基づき各コネクタ11に実装されている各ユニット20の種別を識別する機能手段である。
制御処理手段16Bは、ユニット識別手段16Aで識別され記憶部15に格納された各ユニット20の種別情報を参照し、それぞれのユニット20の種別に応じて個々のユニット20の動作を制御する機能手段である。
【0025】
[ユニット]
次に、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるユニットの構成について説明する。
本発明の第1の実施の形態にかかるユニット20は、コネクタを介して機器装置10に実装されて、機器装置10から供給された動作電源により動作して機器装置10とデータ伝送を行うことにより、それぞれ所望の機能を実現する回路ユニット(増設ユニット)である。
【0026】
このユニット20は、一般的には、印刷回路基板(プリント基板)とこの基板に実装された回路部品からなり、基板に印刷された配線パターンを介してこれら回路部品が接続されて所望の機能を実現するための回路を構成する。
このユニット20には、コネクタ21、機能回路部22、および定電位出力部23が設けられている。
【0027】
コネクタ21は、複数の接続端子を有し、機器装置10への実装時に機器装置10のコネクタ11と接続されて、機器装置10側の回路とユニット20側の回路とを電気的に接続する回路部である。
このコネクタ21は、ユニット20の基板の一辺に印刷形成された接続端子(オス)側からなる、いわゆるカードエッジコネクタであってもよく、この場合機器装置10側のコネクタ11としてソケット(メス側)が用いられる。
【0028】
機能回路部22は、コネクタ21を介して機器装置10とデータ伝送を行うことにより、機器装置10からの動作制御に応じて動作する回路部であり、その動作状況に関する情報を機器装置10へ通知するようにしてもよい。
定電位出力部23は、当該ユニット20の種別に応じた1つ以上の一定電位をコネクタ21の所定接続端子へ出力する回路部である。この一定電位は、ユニット20の動作に応じてその電位が変化することはない。
【0029】
本発明の第1の実施の形態では、コネクタ21を介して機器装置10から供給された動作電源をなす電源電位や接地電位を当該接続端子へ任意に接続する配線パターンから定電位出力部23を構成している。なお、配線パターンに代えて抵抗素子を介して電源電位や接地電位を当該接続端子に印加してもよい。
また、一定電位を複数使用する場合、これら一定電位はコネクタ21の複数の接続端子を用いて別個に並列出力される。
【0030】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図2を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる機器装置およびユニットの動作について説明する。図2は、本発明の第1の実施の形態にかかる機器装置の動作ユニット識別処理を示すフローチャートである。
ここでは、ユニット20から機器装置10へ並列出力される一定電位として、2つの電位すなわち2ビット分の一定電位を用いて3種類のユニットを識別する場合を例として説明する。
【0031】
機器装置10の制御部16は、機器装置10の電源投入時あるいは操作入力部(図示せず)からのリセット操作時に、記憶部15からプログラムを読み込んで実行することにより、図2のユニット識別処理を開始する。
まず、制御部16は、ユニット識別手段16Aにより、電源供給部14を制御して、各コネクタ11に対してユニット20(20A,20B,…)での動作に用いられる動作電源の供給を開始する(ステップ100)。この際、ユニット識別手段16Aで電源供給部14を制御することなく、機器装置10の電源投入に応じて電源供給部14から動作電源の供給を開始してもよい。
【0032】
コネクタ11に接続されている各ユニット20では、機器装置10から供給された動作電源をコネクタ21の所定接続端子を介して受電する。そして、その動作電源に基づき定電位出力部23で当該ユニットの種別に応じた2つの一定電位を生成し、コネクタ21の所定接続端子を介して機器装置10へ出力する。
図1の例では、ユニット20Aにおいて、動作電源をなす2つの電位すなわち電源電位V+と接地電位のうち、一方の電源電位V+が2つの接続端子へ配線により接続されており、2つの一定電位とも電源電位V+がコネクタ21を介して機器装置10へ出力される。また、ユニット20Bにおいて、電源電位V+と接地電位がそれぞれの接続端子へ配線により接続されており、それぞれの一定電位として電源電位V+と接地電位がコネクタ21を介して機器装置10へ出力される。
【0033】
これにより、各ユニット20からの一定電位は、機器装置10の各コネクタ11を介してそれぞれの電位検出部13で検出され、その検出結果が制御部16へ出力される。
機器装置10の制御部16は、ユニット識別手段16Aにより、各電位検出部13のうちその検出結果をチェックしていない未チェックの電位検出部13からの検出結果を取り込む(ステップ101)。そして、その検出結果に基づき当該コネクタ11に接続されているユニットの種別を識別する(ステップ102)。
【0034】
この際、電位検出部13では、例えばコンパレータなどによりユニット20からの一定電位と所定のしきい値とを比較して、その比較結果により当該一定電位が電源電位V+か接地電位かを判断し、その判断結果を1ビットのデジタル信号で制御部16へ出力する。例えば、しきい値を電源電位V+と接地電位の中間電位として電位検出部13でユニット20からの一定電圧を量子化し、その一定電圧がしきい値より高い場合は判定結果としてビット値「1(Highレベル)」を出力し、しきい値より低い場合は判定結果としてビット値「0(Lowレベル)」を出力してもよい。
【0035】
本実施の形態では、2つの一定電位を用いているため、電位検出部13からは2ビット分のデジタル信号が制御部16へ出力される。
これら2ビットの組合せに対して予めユニット種別が割り当てられており、ユニット識別手段16Aは、電位検出部13からの2ビットの組合せに基づき当該ユニット20の種別を識別する。なお、ユニット20が接続されていない場合、電位検出部13では一定電位が接地電位と判断するため、2ビット分で最大3種類のユニットとユニット未実装とが識別できる。
【0036】
ここで、当該ユニット20の種別が識別できた場合(ステップ103:YES)、当該コネクタ11の実装位置に関連付けて、当該ユニット20の種別を記憶部15へ格納する(ステップ104)。そして、未チェックの電位検出部13がある場合は(ステップ105:YES)、ステップ101へ戻って次の識別を行う。
一方、すべての電位検出部13に対するチェックが終了した場合は(ステップ105:NO)、制御部16は、ユニット識別手段16Aによる一連のユニット識別処理を終了し、記憶部15に格納されている各ユニット20の種別に応じた、制御処理手段16Bによる各ユニットの動作制御へ移行する。
【0037】
また、ステップ103において、未割り当てのビット組合せが検出された場合、あるいはユニット未実装と識別された場合(ステップ103:NO)、ユニット識別手段16Aは、当該コネクタ11の実装位置に関連付けて、種別未確認を記憶部15へ格納する(ステップ110)。そして、電源供給部14を制御して、当該コネクタ11への動作電源の供給を停止し(ステップ111)、前述したステップ105へ移行する。
【0038】
このように、本実施の形態では、機器装置10の電位検出部13により、ユニット20からその種別に応じて出力された1つ以上の一定電位を当該コネクタの所定接続端子から検出し、制御部16のユニット識別手段16Aにより、電位検出部13での検出結果に応じて当該コネクタ11に接続されたユニット20の種別を識別するようにしたので、機器装置とユニットとの間でデータ伝送を行うことなく、ユニット20の種別を識別できる。
【0039】
特に、機器装置10では、電位検出部13としてコンパレータを用いることができ、このコンパレータとして汎用のゲート回路やインバータ回路を用いたり、汎用のI/Oコントローラさらには制御部16のCPUに設けられている入力ポートを利用できる。したがって、機器装置10では極めて簡素な回路構成で各ユニットの種別を識別できる。
また、ユニット20では、出力する一定電位として動作電源をなす2つの電位を用いることにより、定電位出力部23を単なる配線で実現でき、回路部品を用いる必要がなくなる。
【0040】
なお、ユニット20から出力する一定電位は、動作電源をなす2つの電位を用いる場合に限定されるものではなく、例えば抵抗素子などを用いて分圧し動作電位とは異なる所定の電位を2つ以上用いてもよい。これにより、誤実装などを正確に判定できる。この際、電位検出部13において一定電位を多段階で検出するようにしてもよく、少ない接続端子で多くの種別判定できる。
【0041】
また、ユニット20から一定電位を機器装置10へ出力するだけなので、機器装置10からの動作電源の供給開始からほとんど遅れることなく一定電位を機器装置10へ出力することができる。したがって、機器装置10からの動作電源の供給開始に応じて、ユニット20の伝送I/F部を起動し、機器装置10とユニット20との間でデータ伝送を開始した後、当該ユニット20の種別情報を機器装置10へ通知する場合と比較して、極めて迅速に機器装置10でユニットの種別を識別できる。
これにより、誤実装されたユニットや実装が不完全なユニットに対して迅速な対応をとすることができる。
【0042】
[第2の実施の形態]
次に、図3を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる機器装置およびユニットについて説明する。図3は本発明の第2の実施の形態にかかる機器装置およびユニットの構成を示すブロック図であり、前述の図1と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
前述した第1の実施の形態(図1参照)では、ユニット20の定電位出力部23で、機器装置10から供給された動作電源に基づき所望の一定電位を生成する場合を例として説明した。本実施の形態では、機器装置10から各ユニット20に対して一定電位生成用の電位生成用電源を動作電源とは別個に供給する場合について説明する。
【0043】
図3において、機器装置10では、電源供給部14から各コネクタ11の所定接続端子へ電位生成用電源が個別に供給されている。この際、動作電源と電位生成用電源の接地電位は兼用されているが、これらを別個に供給してもよい。また、ユニット20では、所定接続端子を介して機器装置10から供給される電位生成用電源を用いて、定電位出力部23が一定電位を出力する。
なお、この他の構成は、前述した第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0044】
[第2の実施の形態の動作]
次に、図4を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる機器装置およびユニットの動作について説明する。図4は、本発明の第2の実施の形態にかかる機器装置の動作ユニット識別処理を示すフローチャートである。
ここでは、ユニット20から機器装置10へ並行出力される一定電位として、2つの電位すなわち2ビット分の一定電位を用いて3種類のユニットを識別する場合を例として説明する。
【0045】
機器装置10の制御部16は、機器装置10の電源投入時あるいは操作入力部(図示せず)からのリセット操作時に、記憶部15からプログラムを読み込んで実行することにより、図4のユニット識別処理を開始する。
まず、制御部16は、ユニット識別手段16Aにより、電源供給部14を制御して、動作電圧の供給開始に先立って、各コネクタ11に対してユニット20(20A,20B,…)での一定電位の生成に用いられる電位生成用電源の供給を開始する(ステップ120)。
【0046】
コネクタ11に接続されている各ユニット20では、機器装置10から供給された電位生成用電源をコネクタ21の所定接続端子を介して受電する。そして、その電位生成用電源に基づき定電位出力部23で当該ユニットの種別に応じた2つの一定電位を生成し、コネクタ21の所定接続端子を介して機器装置10へ出力する。
【0047】
図1の例では、ユニット20Aにおいて、電位生成用電源をなす2つの電位すなわち電源電位V+と接地電位のうち、一方の電源電位Vcが2つの接続端子へ配線により接続されており、2つの一定電位とも電源電位Vcがコネクタ21を介して機器装置10へ出力される。また、ユニット20Bにおいて、電源電位Vcと接地電位がそれぞれの接続端子へ配線により接続されており、それぞれの一定電位として電源電位Vcと接地電位がコネクタ21を介して機器装置10へ出力される。
【0048】
これにより、各ユニット20からの一定電位は、機器装置10の各コネクタ11を介してそれぞれの電位検出部13で検出され、その検出結果が制御部16へ出力される。
機器装置10の制御部16は、ユニット識別手段16Aにより、各電位検出部13のうちその検出結果をチェックしていない未チェックの電位検出部13からの検出結果を取り込む(ステップ121)。そして、その検出結果に基づき当該コネクタ11に接続されているユニットの種別を識別する(ステップ122)。
【0049】
この際、電位検出部13では、例えばコンパレータなどによりユニット20からの一定電位と所定のしきい値とを比較して、その比較結果により当該一定電位が電源電位Vcか接地電位かを判断し、その判断結果を1ビットのデジタル信号で制御部16へ出力する。したがって、この例では2つの一定電位を用いているため、電位検出部13からは2ビット分のデジタル信号が制御部16へ出力される。
これら2ビットの組合せに対して予めユニット種別が割り当てられており、ユニット識別手段16Aは、電位検出部13からの2ビットの組合せに基づき当該ユニット20の種別を識別する。なお、ユニット20が接続されていない場合、電位検出部13では一定電位が接地電位と判断するため、2ビット分で最大3種類のユニットとユニット未実装とが識別できる。
【0050】
ここで、当該ユニット20の種別が識別できた場合(ステップ123:YES)、当該コネクタ11の実装位置に関連付けて、当該ユニット20の種別を記憶部15へ格納するとともに(ステップ124)、電源供給部14を制御して当該ユニット20へ動作電源の供給を開始する(ステップ125)。そして、未チェックの電位検出部13がある場合は(ステップ126:YES)、ステップ121へ戻って次の識別を行う。
一方、すべての電位検出部13に対するチェックが終了した場合は(ステップ126:NO)、制御部16は、ユニット識別手段16Aによる一連のユニット識別処理を終了し、記憶部15に格納されている各ユニット20の種別に応じた、制御処理手段16Bによる各ユニットの動作制御へ移行する。
【0051】
また、ステップ123において、未割り当てのビット組合せが検出された場合、あるいはユニット未実装と識別された場合(ステップ123:NO)、ユニット識別手段16Aは、当該コネクタ11の実装位置に関連付けて、種別未確認を記憶部15へ格納する(ステップ130)。そして、電源供給部14を制御して、当該コネクタ11への動作電源の供給を開始せず、当該コネクタ11への動作電源の供給を停止し(ステップ131)、前述したステップ126へ移行する。
【0052】
このように、本実施の形態では、各ユニット20へ動作電源の供給を開始する前に各ユニット20へ電位生成用電源を供給し、ユニット識別手段16Aでユニット20の種別が識別できた場合、当該ユニット20に対する動作電源の供給を開始し、その種別が識別できなかった場合は当該ユニット20に対する動作電源の供給を開始しないようにしたので、ユニット20の種別が識別されるまでユニット20への動作電源の供給を停止しておくことができる。したがって、誤実装されたユニットや実装が不完全なユニットに対する動作電源の供給を確実に回避でき、これに起因する不具合発生を抑止できる。
【0053】
[第3の実施の形態]
次に、前述した図2を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかる機器装置およびユニットについて説明する。
前述した第1の実施の形態では、各ユニット20うちの種別が識別できなかったユニットに対して、動作電源の供給を停止する場合を例として説明した。
本実施の形態では、図2のステップ103において、電位検出部13から任意のユニット20に対する検出結果として未割り当てのビット組合せが検出された場合、ブザーやスピーカから警報音を出力する。
【0054】
この場合、ステップ103において、ユニット未実装の可能性がある場合、例えばユニット20がコネクタに接続されていない状態と同じ検出結果の場合には、警報音を出力せず、予めユニット種別を割り当てた各ビット組合せとは異なり、未割り当てのビット組合せが検出された場合にのみ、警報音を出力する。
これにより、ユニット20として異なる種類のユニットが実装された場合や、ユニット20がコネクタ11に正しく接続されていないことを作業者に通知でき、適切な対応をとることができる。
【0055】
なお、機器装置10には警報音を出力するための回路部として、例えばブザーやスピーカからなる警報出力部が設けられる以外、機器装置10およびユニット20の構成について前述した図1と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。また、他の動作は、前述した図2と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
また、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態に適用し場合を例として説明したが、前述した第2の実施の形態にも同様にして適用できる。
【0056】
なお、以上の各実施の形態では、各ユニット20うちの種別が識別できなかったユニットに対してのみ、動作電源の供給を停止する場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、例えばいずれかのユニット20で種別の識別ができなかった場合は、特定のあるいはすべてのユニット20への動作電源の供給を停止してもよい。これにより、例えば実装された特定あるいはすべてのユニットが動作しないと不具合が発生する場合などにも対応できる。
【0057】
また、以上の各実施の形態では、ユニット20から機器装置10へ出力する一定電位として、2つの電位すなわち2ビット分の一定電位を用いる場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、機器装置10で使用するユニット20の種別数を識別しうる数の一定電位を用いればよい。
また、以上の各実施の形態では、機器装置10の電位検出部13をコネクタ11ごとに設けた場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、コネクタ11のユニット20からの一定電位を個別に検出できれば、各コネクタ11に対して共通の電位検出部13を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の機器装置とユニットは、一般的な処理装置や制御装置に容易に適用可能であるが、例えば比較的多くの種別のユニットが用いられるボタン電話システムに好適であり、機器装置の構成を主装置に適用し、ユニットの構成を当該主装置に実装される各種オプション用のユニットに適用することにより、簡素な構成で迅速にユニットを識別できるボタン電話システムを構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる機器装置およびユニットの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態にかかる機器装置の動作ユニット識別処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施の形態にかかる機器装置およびユニットの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態にかかる機器装置の動作ユニット識別処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
10…機器装置、11…コネクタ、12…伝送I/F部、13…電位検出部、14…電源供給部、15…記憶部、16…制御部、16A…ユニット識別手段、16B…制御処理手段、20,20A,20B…ユニット、21…コネクタ、22…機能回路部、23…定電位出力部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の機能を実現する機能回路部を有するユニットを実装するとともに、前記ユニットの種別に応じて当該ユニットの動作を制御する機器装置であって、
実装された前記ユニットの回路と当該機器装置側の回路とを電気的に接続するコネクタと、
前記コネクタを介して接続されている前記ユニットからその種別に応じて出力された1つ以上の一定電位を当該コネクタの所定接続端子から検出する電位検出部と、
前記電位検出部での検出結果に応じて当該ユニットの種別を識別するユニット識別手段と
を備えることを特徴とする機器装置。
【請求項2】
請求項1に記載の機器装置おいて、
前記ユニットの動作および前記一定電位の生成に用いられる動作電源を前記コネクタを介して供給する電源供給部をさらに備え、
前記電源供給部は、前記ユニットへ動作電源の供給を開始した後、前記ユニット識別手段で前記ユニットの種別が識別できた場合は前記ユニットに対する動作電源の供給を継続し、前記種別が識別できなかった場合は前記ユニットに対する動作電源の供給を停止することを特徴とする機器装置。
【請求項3】
請求項2に記載の機器装置おいて、
実装された複数のユニットごとに前記コネクタを複数備え、
前記電源供給部は、前記ユニット識別手段で得られた前記各ユニットに関する種別の識別結果に応じてユニットごとに個別に前記動作電源の供給を継続しまたは停止することを特徴とする機器装置。
【請求項4】
請求項1に記載の機器装置おいて、
実装された複数のユニットごとに前記コネクタを複数備え、
前記ユニットの動作に用いられる動作電源と当該ユニットでの前記一定電位の生成に用いられる電位生成用電源とを当該コネクタを介してそれぞれ別個に供給する電源供給部をさらに備え、
前記電源供給部は、前記ユニットへ動作電源の供給を開始する前に前記ユニットへ電位生成用電源を供給し、前記ユニット識別手段で前記ユニットの種別が識別できた場合は前記ユニットに対する動作電源の供給を開始し、前記種別が識別できなかった場合は前記ユニットに対する動作電源の供給を開始しないことを特徴とする機器装置。
【請求項5】
請求項1に記載の機器装置おいて、
警報音を出力する警報出力部をさらに備え、
前記ユニット識別手は、前記電位検出部からの検出結果が、予め各ユニットの種別に対して割り当てられている検出結果とは異なる未割り当ての検出結果であった場合、前記警報出力部から警報音を出力することを特徴とする機器装置。
【請求項6】
所定の機能を実現する機能回路部を有し、当該ユニットから出力された一定電位に基づいて当該ユニットの種別を識別する機器装置に実装されて、前記種別に応じた前記機器装置からの動作制御に基づき前記機能回路部を動作させて前記機能を実現するユニットであって、
当該ユニット側の回路と前記機器装置側の回路とを電気的に接続するコネクタと、
当該ユニットの種別に応じた1つ以上の一定電位を前記コネクタを介して前記機器装置へ出力する定電位出力部と
を備えることを特徴とするユニット。
【請求項7】
請求項6に記載のユニットにおいて、
前記定電位出力部は、前記コネクタを介して前記機器装置から供給された前記機能回路部の動作電源をなす2つの電位のいずれかを前記一定電位として用いることを特徴とするユニット。
【請求項8】
請求項6に記載のユニットにおいて、
前記定電位出力部は、前記機能回路部の動作電源とは別個に前記コネクタを介して前記機器装置から供給された電位生成用電源をなす2つの電位のいずれかを前記一定電位として用いることを特徴とするユニット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−113794(P2006−113794A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−300090(P2004−300090)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】