説明

機械をモニタリングする際に用いるシステムおよび方法

【課題】プロセッサと動作可能に結合するメモリデバイスを有する、機械をモニタリングするシステムを提供する。
【解決手段】メモリデバイスは、機械155に関する複数の運用測定値を格納しており、プロセッサに機械155に関する第1の複数の運用測定値を記録すること、その運用測定値のフルスペクトル分析を実行すること、およびそれから第1のフルスペクトルデータセットを生成することを指示するコンピュータ命令がプログラミングされている。命令は、プロセッサに、第1のフルスペクトルデータセットをメモリデバイス内に格納されたニューラルネットワーク165であるコンピュータ利用学習モデルに送信するようにも指示する。命令は更に、プロセッサに、第1のフルスペクトルデータセットと第2のフルスペクトルデータセットの間の変化を判定するよう指示する。第2のフルスペクトルデータセットは、第1のフルスペクトルデータセットと異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する発明の主題は、一般的に、モニタリングシステムに関し、より具体的には、機械の物理的状態をモニタリングする際に使用するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の産業設備の多くは、周知の回転および往復運動機械を複数有する。そのような周知の機械のうち少なくともいくつかは、ターボ機関、ポンプ、モータ、コンプレッサ、ディーゼルエンジン、ギアボックス、およびファンを有する。そのような周知の産業設備のうち少なくともいくつかは、ガスタービンエンジン、および蒸気タービン発電機等の、周知のターボ機関のうち少なくともいくつかを有する発電設備である。
【0003】
周知の機械の多くは、リアルタイムデータ収集およびオフライン診断のためのモニタリング装置を受ける構成要素を有する。そのような周知の構成要素には、例えば、回転可能なシャフトおよび関連したベアリングがある。また、そのような周知のモニタリング装置には、例えば、近接プローブ、振動センサ、および温度センサがある。機械の定常および非定常動作中に、モニタリング装置は、監視制御およびデータ収集(SCADA)システム、および/またはデータ収集システム(DAS)に多量のリアルタイムデータを送信する。
【0004】
これら周知の機械のいくつかが動作している間に、機械は通常動作から逸脱するかもしれない。これら逸脱の中には、アラート、警告、またはアラームを全く作動させない異常がある。機械は、異常の概要表示後に、通常運用パラメータに復帰することができる。更に、そのような異常は、異常中に収集されたデータのレビュー中には認識されないかもしれず、データが完全にレビューされた場合、異常が発見されず、および解明されずに残るであろう。このような異常は切迫していることを示し、機械の突発的および/または破滅的な故障を含む、通常動作からのより深刻な逸脱を示す可能性がある。機械がそのように故障した場合、上記の発見されなかった異常についての指示は、機械の運用寿命を通して記録された履歴データのレビュー中に再度見落とされるかもしれない。したがって、機械のオペレータは、潜在的に未解決の、または切迫している故障を示す可能性のある機械のある動作および/または状態を不注意に残すかもしれない。更に、そのような履歴データのレビューは、時間を浪費し、エネルギーを浪費するので、したがって、費用がかかる。
【0005】
いくつかの周知の設備内のオペレータは、周知の機械のいくつかについてコンピュータ利用モデルを形成し、故障の識別、通知、および診断を容易にした。これら周知のコンピュータ利用モデルのいくつかは、実験によって得られるデータに基づく第1の原理によって生成される。あるいは、これら周知モデルのいくつかは、いくつかの波形データのスペクトル分析を用いて生成され、機械内部の故障を診断するために使用する決定論的モデルを作成する。高速フーリエ変換(FFT)を使用して、記録された波形データを時間ドメインから周波数ドメインに転送する。通常は、使用する変換される波形データは、周波数データおよび振幅データに限られる。更に、あるいは、周知のコンピュータ利用モデルの中には、実験上の処理情報を使用するもの、および/または収集された波形データの周波数データおよび振幅データを単に含むだけのスペクトル分析情報を使用するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,308,322号明細書
【発明の概要】
【0007】
そのようなコンピュータ利用モデルは、ニューラルネットワーク、クラスタリングモデル、および/またはサポートベクトル機械を有するモデリング技術により生成することができる。これら周知のコンピュータ利用モデルは、機械、関連した処理、および/または関連した故障を完全に、および正確に定義するための十分なスペクトル分析データおよび/または実験により得られるデータを用いて生成することはできない。更に、収集された波形の周波数および振幅に対するスペクトルデータのリアルタイム分析を限定することで、モデルの分析時間および/または応答時間を延長し、それにより、オペレータによる応答を先延ばしにする。更に、限定されたスペクトルデータを使うことで、モデルを生成するための実験により得られるデータの使用に関する信頼性が増し、それにより、モデルの複雑さが増し、したがって、モデルのメンテナンス要求が増える。
【0008】
一態様において、機械をモニタリングするシステムが提供される。機械のモニタリングシステムは、モニタリングされる機械に関する複数の運用測定値を格納するよう構成された、少なくとも1つのメモリデバイスを有する。各運用測定値は、時間に関連づけられる。システムは、少なくとも1つのメモリデバイスと結合する少なくとも1つのプロセッサも有する。少なくとも1つのメモリデバイスは、少なくとも1つのプロセッサに、機械に関する第1の複数の運用測定値を記録すること、および機械に関する第1の複数の運用測定値のフルスペクトル分析を実行し、それから第1のフルスペクトルデータセットを生成することを指示するプログラミングされたコンピュータ命令を有する。少なくとも1つのメモリデバイスは、少なくとも1つのプロセッサに、第1のフルスペクトルデータセットを、少なくとも1つのメモリデバイス内に格納された少なくとも1つのモデルに送信すること、および第1のフルスペクトルデータセットと第2のフルスペクトルデータセット間の変化を判定することを指示するプログラミングされたコンピュータ命令も有する。第2のフルスペクトルデータセットは、第1のフルスペクトルデータセットと異なる。
【0009】
別の態様において、機械のモニタリングで使用する方法が提供される。本方法は、機械が所定の動作状態にある間モニタリングされる機械に関する複数の第1の運用測定値をコンピューティングデバイスにより記録することを含む。本方法は、コンピューティングデバイスによって、複数の第1の運用測定値を機械の所定の動作状態と関連づけることも含む。本方法は更に、コンピューティングデバイスによって、機械に関する複数の第1の運用測定値のフルスペクトル分析を実行し、それから第1のフルスペクトルデータセットを生成することを含む。本方法は、コンピューティングデバイスによって、第1のフルスペクトルデータセットを、コンピューティングデバイス内に格納された少なくとも1つのモデルに送信することも含む。本方法は更に、コンピューティングデバイスによって、第1のフルスペクトルデータセットと第2のフルスペクトルデータセット間の変化を判定することを含み、第2のフルスペクトルデータセットは第1のフルスペクトルデータセットと異なる。
【0010】
更に別の態様において、コンピュータ実行可能命令が実施される1つまたは複数の非一時的コンピュータ読み取り可能記憶媒体が提供される。コンピュータ実行可能命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのメモリデバイスに機械に関する複数の第1の運用測定値を格納および検索させるために、少なくとも1つのプロセッサに少なくとも1つのメモリデバイスと通信させる。各運用測定値は時間と関連づけられ、機械は所定の動作状態にある。また、コンピュータ実行可能命令は、少なくとも1つのプロセッサで実行されると、少なくとも1つのプロセッサに機械に関する複数の第1の運用測定値を記録させ、複数の第1の運用測定値を機械の所定の動作状態と関連づけさせ、機械に関する複数の第1の運用測定値のフルスペクトル分析を実行させ、そこから第1のフルスペクトルデータセットを生成させ、第1のフルスペクトルデータセットを少なくとも1つのメモリデバイス内に格納された少なくとも1つのモデルに送信させる。また、コンピュータ実行可能命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、第1のフルスペクトルデータセットと第2のフルスペクトルデータセットの間の変化を判定させる。第2のフルスペクトルデータセットは、第1のフルスペクトルデータセットと異なる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】機械の動作をモニタおよび/または制御するために使用することができる、典型的なサーバアーキテクチャの簡略ブロック図である。
【図2】機械の動作をモニタおよび/または制御するために使用することができる、ユーザコンピュータデバイスの例示的構成のブロック図である。
【図3】機械の動作をモニタおよび/または制御するために使用することができる、サーバコンピュータデバイスの例示的構成のブロック図である。
【図4】燃焼エンジン、燃焼エンジンコントローラ、およびネットワークを介する通信で結合されたニューラルネットワークを有する例示的燃焼エンジンモニタリングシステムのブロック図である。
【図5】図3および図4に示す同期機械の動作のモニタおよび評価を実現することを可能にする、例示的方法のフローチャートである。
【図6】図5のフローチャートの続きである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、モニタリングシステム100の典型的なサーバアーキテクチャの簡略ブロック図である。例示的な実施形態において、モニタリングシステム100は、産業設備(図示しない)内の機械(図示しない)の動作と関連するデータを収集、格納、および表示することを容易にする。また、例示的な実施形態において、モニタリングシステム100は、1つまたは複数のインプットデバイス(図1には図示しない)を有することが可能な複数のクライアントシステム104に通信可能に結合されたサーバシステム102を有する。
【0013】
更に、例示的な実施形態において、クライアントシステム104は、モニタリングシステム100内で統合された通信ネットワーク106を使って、クライアントシステム104がサーバシステム102にアクセスすることを可能にするウェブブラウザを有するコンピュータである。通信ネットワーク106の少なくとも一部は、モニタリングシステム100のバックボーンを形成する。より具体的には、クライアントシステム104は、インターネット、構内ネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、および/または統合サービスデジタル網(ISDN)、ダイアルアップ接続、デジタル加入者線(DSL)、ケーブルモデム、メッシュネットワーク、および/またはバーチャルプライベートネットワーク(VPN)の少なくとも1つを有するが、これらに限定されない、考えられる多くのインターフェースの少なくとも1つを通じてサーバシステム102に通信可能に結合される。クライアントシステム104は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、または他のウェブベースの接続可能機器を有するが、これらに限定されない、サーバシステム102にアクセス可能な任意のデバイスであり得る。
【0014】
また、例示的な実施形態において、データベースサーバ110は、ベアリングのXプローブおよびYプローブから受信した位置および振動データ、およびベアリング温度を含むが、これらに限定されない、産業設備内の機械と関連した様々な運用データを有するデータベース112に、通信可能に結合される。データは、測定時間と関連づけられる。例示的な実施形態において、データベース112には、サーバシステム102から遠隔で格納される。代替の実施形態において、データベース112は、分散されてもよい。例示的な実施形態において、人はサーバシステム102にログインすることによって、クライアントシステム104を介してデータベース112にアクセスできる。
【0015】
本明細書に例示および記載された実施形態と本開示の形態の範囲内であるが本明細書に具体的には記載されない実施形態は、機械と関連した運用データを記録、格納、検索、および表示するための例示的な手段を構成する。例えば、サーバシステム102、クライアントシステム104、またはそれに追加されるかその中に含まれる任意の他の同様のコンピュータデバイスは、互いに統合された場合、本明細書に記載されるプロセッサを用いる処理および技術を実行するために十分なコンピュータ実行可能命令がプログラミングされた十分なコンピュータ読み取り可能記憶媒体を含む。具体的には、サーバシステム102、クライアントシステム104、またはそれに追加されるかその中に含まれる任意の他の同様のコンピュータデバイスは、互いに統合された場合、機械と関連した運用データを記録、格納、検索、および表示するための例示的な手段を構成する。
【0016】
図2は、機械の動作をモニタおよび/または制御するために使うことができるモニタリングシステム100と共に用いるためのユーザコンピュータデバイス、例えば、クライアントシステム104の例示的構成のブロック図である。クライアントシステム104は、メモリデバイス120、および命令を実行するためにメモリデバイス120に動作可能に結合されたプロセッサ122を有する。いくつかの実施形態において、実行可能命令は、メモリデバイス120に格納される。クライアントシステム104は、プロセッサ122をプラグラミングすることによって、本明細書に記載された1つまたは複数の動作を実行するよう構成可能である。例えば、プロセッサ122は、ある動作を1つまたは複数の実行可能命令として符号化し、実行可能命令をメモリデバイス120に提供することによってプログラミングされてもよい。プロセッサ122は、(例えば、マルチコア構成において)1つまたは複数の処理ユニットを有してもよい。
【0017】
例示的な実施形態において、メモリデバイス120は、実行可能命令および/または他のデータを格納および検索することができる1つまたは複数のデバイスである。メモリデバイス120は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ソリッドステートディスク、および/またはハードディスク等であるが、これらに限定されない、1つまたは複数のコンピュータ読み取り可能媒体を含むことができる。メモリデバイス120は、ベアリングのXプローブおよびYプローブから受信した振動データおよびベアリング温度を含むが、これらに限定されない、産業設備内の機械と関連した様々な運用データを格納するよう構成することができる。いくつかの実施形態において、プロセッサ122は、データの格納期間に基づいてメモリデバイス120からデータを取り除く、または「パージする」。例えば、プロセッサ122は、その後の時間および/またはイベントと関連した、以前に記録および格納されたデータを上書きすることができる。更に、またはあるいは、プロセッサ122は、所定の時間間隔を超えるデータを取り除くことができる。
【0018】
いくつかの実施形態において、クライアントシステム104は、プロセッサ122に結合されたプレゼンテーションインターフェース124を有する。プレゼンテーションインターフェース124は、ユーザインターフェースおよび/またはアラーム等の情報をユーザ126に提示する。例えば、プレゼンテーションインターフェース124は、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、有機LED(OLED)ディスプレイ、および/または「電子インク」ディスプレイ等の、ディスプレイデバイス(図示しない)に結合することができるディスプレイアダプタ(図示しない)を含むことができる。いくつかの実施形態において、プレゼンテーションインターフェース124は、1つまたは複数のディスプレイデバイスを有する。更に、またはあるいは、プレゼンテーションインターフェース124は、音声出力デバイス(図示しない)(例えば、オーディオアダプタおよび/またはスピーカ)を有することができる。
【0019】
いくつかの実施形態において、クライアントシステム104は、ユーザインプットインターフェース128を有する。例示的な実施形態において、ユーザインプットインターフェース128は、プロセッサ122に結合され、ユーザ126からインプットを受信する。ユーザインプットインターフェース128は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、マウス、スタイラス、および/または接触感知パネル(例えば、タッチパッドまたはタッチスクリーン)を含むことができる。タッチスクリーン等の単一構成要素は、プレゼンテーションインターフェース124のディスプレイデバイスとユーザインプットインターフェース128の両方として機能することができる。
【0020】
通信インターフェース130は、プロセッサ122に結合され、サーバシステム102(図1に示す)および他のクライアントシステム104等の1つまたは複数の他のデバイスと通信して結合するよう構成される。通信インターフェース130は、そのようなデバイスに対し、インプットおよびアウトプット(I/O)動作を行う。例えば、通信インターフェース130は、有線ネットワークアダプタ、無線ネットワークアダプタ、移動体通信アダプタ、シリアル通信アダプタ、および/またはパラレル通信アダプタを含むことができるが、これらに限定されない。通信インターフェース130は、1つまたは複数の遠隔デバイスからデータを受信することができ、および/または1つまたは複数の遠隔デバイスにデータを送信することができる。例えば、1つのクライアントシステム104の通信インターフェース130は、処理情報を、他のクライアントシステム104の通信インターフェース130に送信することができる。
【0021】
プレゼンテーションインターフェース124および/または通信インターフェース130は、どちらも、(例えば、ユーザ126または他のデバイスに)本明細書に記載された方法と共に使用するために適切な情報を提供することが可能である。したがって、プレゼンテーションインターフェース124および通信インターフェース130は、アウトプットデバイスということができる。同様に、ユーザインプットインターフェース128および通信インターフェース130は、本明細書に記載された方法と共に使用するために適切な情報を受け取ることができ、インプットデバイスということができる。
【0022】
図3は、機械の動作をモニタおよび/または制御するために使うことができる、サーバコンピュータデバイス140の例示的構成のブロック図である。より具体的には、図3は、モニタリングシステム100と共に使用するためのサーバコンピュータデバイス140の例示的構成のブロック図であり、より具体的には、サーバシステム102はサーバコンピュータデバイス140を有する。サーバコンピュータデバイス140は、データベースサーバ110(図1に示す)を有することができるが、これに限定されない。
【0023】
サーバコンピュータデバイス140は、命令を実行するプロセッサ142も有することができる。命令は、例えば、メモリデバイス144に格納することができる。プロセッサ142は、(例えば、マルチコア構成において)1つまたは複数の処理ユニットを有してもよい。メモリデバイス144は、ベアリングのXプローブおよびYプローブから受信した位置および振動データ、およびベアリング温度を含むが、これらに限定されない産業設備内の機械と関連した様々な運用データも有することができる。
【0024】
プロセッサ142は、サーバコンピュータデバイス140が、クライアントシステム104または他のサーバコンピュータデバイス140等のデバイスと通信できるような通信インターフェース146に、動作可能に結合される。例えば、通信インターフェース146は、クライアントシステム104からの要求を、通信ネットワーク106(図1に示す)を介して受信することができる。
【0025】
プロセッサ142は、ストレージデバイス148にも動作可能に結合することができる。ストレージデバイス148は、データベース112と関連するデータ等であるが、それに限定されない、データを格納および/または検索するために適切な任意のコンピュータで動作するハードウェアである。いくつかの実施形態において、ストレージデバイス148は、サーバコンピュータデバイス140内に統合される。例えば、サーバコンピュータデバイス140は、ストレージデバイス148として1つまたは複数のハードディスクドライブを有することができる。他の実施形態において、ストレージデバイス148はサーバコンピュータデバイス140の外にあり、複数のサーバコンピュータデバイス140によってアクセス可能である。例えば、ストレージデバイス148は、低価格ディスク冗長アレイ(RAID)構成におけるハードディスクおよび/またはソリッドステートディスク等の、複数のストレージユニットを有してもよい。ストレージデバイス148は、ストレージエリアネットワーク(SAN)および/またはネットワーク接続ストレージ(NAS)システムを有することができる。
【0026】
いくつかの実施形態において、プロセッサ142は、ストレージインターフェース150を介してストレージデバイス148に動作可能に結合される。ストレージインターフェース150は、プロセッサ142がストレージデバイス148にアクセスすることを可能にする任意の構成要素である。ストレージインターフェース150は、例えば、アドバンスドテクノロジーアタッチメント(ATA)アダプタ、シリアルATA(SATA)アダプタ、スモールコンピュータシステムインターフェース(SCSI)アダプタ、RAIDコントローラ、SANアダプタ、ネットワークアダプタ、および/またはプロセッサ142がストレージデバイス148にアクセスすることを可能にする任意の構成要素を含むことができる。
【0027】
クライアントシステム104およびサーバコンピュータデバイス140等のコンピュータデバイスは、コンピュータシステム内でグループ化することができる。例えば、コンピュータシステムは、複数のサーバコンピュータデバイス140および/またはクライアントシステム104を単一のネットワークに接続することによって作成することができる。あるいは、単一ユーザによって操作することができる1つまたは複数のコンピュータデバイスは、コンピュータシステムとみなすことができる。
【0028】
図4は、機械155をモニタおよび/または操作するために使うことができるモニタリングシステム100のブロック図である。機械155は、往復運動デバイス(例えば、内燃エンジンおよびコンプレッサ)、化学プロセス反応器、排熱回収装置、蒸気タービン、ガスタービン、開閉所の回路遮断機、および開閉所の変圧器を含むが、これらに限定されない、任意の産業プロセスのための任意の産業設備であり得る。モニタリングシステム100は、発電所(従来型および原子力)、製油所、化学製造プラント、および食品処理プラントを含むが、これらに限定されない、より大きな任意の産業設備で使うことができる。例示的な実施形態において、機械155は、機械155の複数のユニットを有することができるが、これらに限定されない、そのようなより大きな、統合された産業設備(図示しない)の一部である。
【0029】
例示的な実施形態において、モニタリングシステム100は、機械コントローラ160を有する。このモニタリングシステムは、ニューラルネットワーク、クラスタリング解析モデル、サポートベクトル機械モデルを含むが、これらに限定されない、学習方法/モデル、または学習モデルも含む。サポートベクトル機械モデルは、一種の教師あり学習モデルである。クラスタリング解析モデルは、一種の教師なし学習モデルである。ニューラルネットワークは、一種のデータ駆動型学習モデルである。あるいは、本明細書に記載されるような、モニタリングシステム100の動作を可能にする任意のコンピュータ利用モデルおよび/またはモデリングアプリケーションが使用される。
【0030】
例示的な実施形態において、本明細書で使われるように、モニタリングシステム100は、ネットワーク106を介して機械コントローラ160と通信で結合されたニューラルネットワーク165であるコンピュータ利用学習モデルを有する。特定のコンピューティングデバイス、例えば、クライアントシステム104に関し、ある動作が以下に記載されるが、任意のコンピューティングデバイスにより1つまたは複数の記載された動作を行うことが可能であることが考えられる。例えば、コントローラ160は、以下の動作全てを行うことができる。
【0031】
例示的な実施形態において、コントローラ160およびニューラルネットワーク165は、それぞれ、少なくとも1つのクライアントシステム104および/またはサーバシステム102において実現される。例示的な実施形態において、各クライアントシステム104およびサーバシステム102は、通信インターフェース130(図2に示す)を介してネットワーク106に結合される。
【0032】
コントローラ160は、(例えば、どちらも図2に示す、ユーザインプットインターフェース128および/またはプレゼンテーションインターフェース124を介して)オペレータ170と情報をやりとりする。例えば、コントローラ160は、アラーム等の機械155に関する情報をオペレータ170に与えることができる。ニューラルネットワーク165は、(例えば、ユーザインプットインターフェース128および/またはプレゼンテーションインターフェース124を介して)専門家および/または技術者175と情報をやりとりする。例えば、ニューラルネットワーク165は、生データ、派生データ、および評価データを含むが、これらに限定されない情報を、専門家/技術者175に与えることができる。ユーザ126(図2に示す)は、オペレータ170または専門家/技術者175のいずれであってもよい。
【0033】
機械155は、1つまたは複数のモニタリングセンサ180を有する。例示的な実施形態において、モニタリングセンサ180は、ベアリング振動および温度読取り値を含むが、これらに限定されない運用測定値を収集する。モニタリングセンサ180は、現時点での運用測定値読取り値を繰り返し(例えば、周期的に、連続に、および/または要求に応じて)送信する。例えば、モニタリングセンサ180は、最小値(例えば、4ミリアンペア(ma))と最大値(例えば、20ma)の間で電流を生成することができる。最小値は、界磁電流が検出されないことの代表的な指示であり、最大値は、界磁電流の検出可能な最大量が検出されたことの代表的な指示である。コントローラ160は、運用測定値読取り値を受信し、処理する。
【0034】
動作中、図1から図4を参照すると、例示的な実施形態において、モニタリングセンサ180は、ベアリングキャップ(図示しない)に近接して配置されたXプローブおよびYプローブ(どちらも図示しない)、および潤滑油の流れにベアリングキャップまで延長するよう配置された抵抗温度検出器(RTD)(図示しない)を有する。XプローブおよびYプローブは、プローブに対するベアリングキャップの相対的な位置を測定することによって、ベアリング振動を測定する。RTDは、ベアリング潤滑油の温度を測定する。モニタリングセンサ180は、測定した変数の大きさを代表する信号の型式(図示しない)で、運用測定値を送信する。信号は、記録が行われた日時を割り当てられ、または記録が行われた日時で標識される。また、送信した信号は、振幅と周波数を持つ波形を有する。信号は、モニタリングセンサ180からコントローラ160に送信され、機械155の動作、監視、および制御を容易にする。信号は、データベースサーバ110にも送信され、データベース112に格納される。例示的な実施形態において、信号は、データ収集時点の機械155の運用モードまたは状態で標識される。運用状態の例には、完全シャットダウン、回転装置の始動、同期化による初始動、電力生成、および回転装置に対するシャットダウンを含むが、これらに限定されない。したがって、信号は、データベース112内のデータレコードにデータとしてロードされると、機械155の運用状態に関してソート可能となる。データは、各運用状態に対してデータベース112内に記録および格納され、データは履歴データとして格納される。機械155の各運用状態の関数として格納されたデータは、データの一部を定義する。
【0035】
また、動作中、クライアントシステム104および/またはサーバシステム102の少なくとも1つは、データベース112からの履歴データの少なくとも一部を収集するための、またはデータをモニタリングセンサ180から受信するときにコントローラ160から直接履歴データの少なくとも一部を収集するための実行可能命令を有する。更に、クライアントシステム104および/またはサーバシステム102の少なくとも1つは、利用可能なコンピュータ読み取り可能記憶媒体内でプログラミングされた実行可能命令およびアルゴリズムを有し、機械155に関するこれら第1の運用測定値のフルスペクトル分析を実行し、第1のフルスペクトルデータセットを生成する。第1のフルスペクトルデータセットは、ニューラルネットワーク165に送信される。例示的な実施形態において、ニューラルネットワーク165は、モニタリングシステム100内にただ1つ存在する。あるいは、任意の数のニューラルネットワークが、機械155の各運用状態に対するニューラルネットワーク165を含むが、これらに限定されない、本明細書に記載されるようなモニタリングシステム100を可能にするよう存在可能である。
【0036】
更に、動作中、フルスペクトル分析は、高速フーリエ変換(FFT)の実行を含み、時間ドメインから周波数ドメインへの機械155に関する第1の運用測定値の記録された波形データを転送し、第1のフルスペクトルデータセットを生成する。第1のフルスペクトルデータセットは、標準ハーフスペクトル分析を使って利用できない機械155に関する第1の運用測定値において取得された波形の複数の要素および性質の計算値を有する。そのような計算された要素および性質は、フルスペクトル前方および反対成分振幅、フルスペクトル前方および反対成分周波数、フルスペクトル前方および反対軌道成分、および少なくとも1つのフルスペクトル前方および反対順序電力を含むが、これらに限定されない。本明細書で使用したように、用語「前方」および「反対」は、例えばロータ回転の方向に関する、例えば軌道およびケーシング運動を定義するために使用する。更に、そのような計算された要素および性質は、ギャップ、シャフト中心線、および軌道の形等の派生情報を含むが、これらに限定されない。更に、そのような計算された要素および性質は、スペクトル成分の変化率、周波数ドリフト、および位相ドリフト等の派生した波形の傾向情報を含むが、これらに限定されない。
【0037】
更に、動作中、クライアントシステム104および/またはサーバシステム102の少なくとも1つは実行可能命令を有し、第1のフルスペクトルデータセットの第1の部分を機械155に関する第1の動作状態と関連づけるためにニューラルネットワーク165を訓練/教育する。第1のフルスペクトルデータセットの第1の部分は、機械155に関する少なくとも1つの第1の運用パターンを定義し、具体的には、その第1の動作状態に対して定義する。更に、クライアントシステム104および/またはサーバシステム102の少なくとも1つは、実行可能命令を有し、第1のフルスペクトルデータセットを機械155に関する第2の動作状態と関連づけるためにニューラルネットワーク165を訓練する。第1のフルスペクトルデータセットの第2の部分は、機械155に関する少なくとも1つの第2の運用パターンを定義し、具体的には、その第2の動作状態に対して定義する。したがって、ニューラルネットワーク165の訓練が完了すると、ニューラルネットワーク165は、機械155の各動作状態に対する「通常の」運用パターンを定義するために十分な性能を有する。更に、「通常の」動作状態は、年間の天気や時間による環境条件および最近の運用履歴を含むが、これらに限定されない状態によって変更可能であるため、複数の運用パターンをニューラルネットワーク165内で生成することができる。
【0038】
更に、周知の「異常な」または「障害のある」動作状態に対し、更に、ニューラルネットワーク165によるそのような運用パターンとして、以後の認識のための特定の故障条件として、データベース112内のデータを追加的に、適切に標識することができる。例えば、初期のロータ加速中における回転装置からのロールオフ中のターボ機関のトリップを、以後の分析に対して、そのように識別することができる。したがって、データの反復記録およびフルスペクトル分析を使うこと、動作状態別パターンを持つそのようなデータの一貫した関連づけ、およびそのようなパターンを用いてニューラルネットワーク165をロードすることは、周知の各動作状態に対して機械155をモデリングすることを容易にする。したがって、モニタリングシステム100は、直接記録されたデータ、および機械155の動作状態の関数としての第1のフルスペクトルデータセットを介して、上記に記載されたベアリングのモデルを、少なくとも部分的に生成する。より具体的には、生データ、および振動および温度それぞれに対して関連したXプローブ、Yプローブ、およびRTDから生成されたフルスペクトル分析データは、ベアリングの正確なモデルの生成を容易にする。
【0039】
更に、上記のデータに加え、データベース112およびニューラルネットワーク165は、機械155およびその部品、例えば、上記のベアリングに関した他の情報と関係するデータを有することができる。例えば、機械155の特定のモデルが関連するドライブトレーンにおける他のベアリングと比較して通常は高温で動作するベアリングを有する、または、そのベアリングがシャフトの限界速度付近で起動中に比較的高い振動を受ける場合、そのような情報は機械155のモデルにインプットされ、ニューラルネットワーク165内のそのモデルの精度を更に定義することができる。したがって、そのようなニューラルモデルは、生データおよび分析データによって部分的に生成することができ、物理学ベースのモデルまたは決定性ロジックと組み合わされ、ニューラルネットワーク165内で動作状態別のパターンモデリングを完成することができる。
【0040】
更に、加えて、所定の範囲のスクリーニングフィルタを、上記ニューラルネットワーク訓練処理における様々なポイントで、モニタリングシステム100内に形成することができる。例えば、データの中には、ニューラルネットワーク165内での選択に対する所定のデータ範囲への異常値があってもよく、そこから排除されるものがあってもよい。
【0041】
また、動作中、上記の履歴データに加え、モニタリングセンサ180は、測定した変数の即時の大きさの代表的な即時信号の形式で、次の、リアルタイムの、または即時の運用測定値を送信する。即時信号は、記録日時および時間を割り当て、または標識される。また、即時信号は、送信されると、波形を有する。即時信号は、モニタリングセンサ180からコントローラ160に送信され、機械155の操作、監視、制御を容易にする。即時信号はデータベースサーバ110にも送信され、データベース112に格納される。例示的な実施形態において、即時信号はデータ収集時の機械155の運用モード、または状態に標識される。したがって、即時信号は、データベース112内のデータレコード内に即時データとしてロードされると、機械155の運用状態に関してソート可能となる。即時データは各運用状態に対してデータベース112内に記録および格納され、即時データは履歴データとして格納することができる。しかしながら、履歴データとは対照的に、即時データは、データレコードを保持する機械155の各運用状態に対して、上記の履歴データレコードと比較される。
【0042】
更に、動作中、クライアントシステム104および/またはサーバシステム102の少なくとも1つは、実行可能命令を有し、データベース122からの即時データの少なくとも一部を収集し、またはデータをモニタリングセンサ180から受信した際にコントローラ160から直接収集する。更に、クライアントシステム104および/またはサーバシステム102の少なくとも1つは、利用可能なコンピュータ読み取り可能記憶媒体内でプログラミングされた実行可能命令およびアルゴリズムを有し、機械155に関するこれら第2の運用測定値のフルスペクトル分析を実行し、第1のフルスペクトルデータセットに対する上記と同様の方法で、データコンテンツを用いて、第2のフルスペクトルデータセットを生成する。第2のフルスペクトルデータセットは、ニューラルネットワーク165に送信される。そのような動作状態別データは、ニューラルネットワーク165を導き、第2のフルスペクトルデータセットを機械155に関する第2の動作状態および機械155に関する第2の動作状態のうちの一方と関連づけることを容易にする。
【0043】
更に、動作中、クライアントシステム104および/またはサーバシステム102の少なくとも1つは実行可能命令を有し、ニューラルネットワーク165に、第2のフルスペクトルデータセットと上記のように開発された機械155の動作状態別パターンの比較を実行させる。ニューラルネットワーク165は、各動作状態に対する運用パターンを「認識し」、即時運用パターンがモデル化された動作パターンと異なる場合に更に「認識する」よう訓練される。例えば、これらに限定されるものではないが、所定のパラメータは、機械155の各構成要素に対し、ニューラルネットワーク内で形成される。また、ニューラルネットワーク165は、複数の動作モデルの運用モデルのうちどれが即時の動作状態に最も近いかを判断し、比較のための基準としてその運用モデルを使用するよう訓練される。即時運用パターンと、最も合致するモデル化された運用パターンの間の比較が少なくとも1つの所定のパラメータを超える場合、モニタリングシステム100は、アラート、警告、またはアラームの1つを用いて、オペレータ170および専門家/技術者175の少なくとも1人に通知する。オペレータ170および/または専門家/技術者175が一度通知を受けると、他の方法および装置、例えば、これに限定されないが、目視検査を用い、更に状態を調べる必要がある。
【0044】
例えば、上記のベアリングがXプローブに対する通常より高い振動指示を有し、Yプローブからの振動読取り値およびRTDが即時の動作状態に対して形成されたパラメータ内であるなら、ニューラルネットワーク165は、ベアリングに対する一意的な状態が存在すると判断し、オペレータに適切に知らせる。いくつかの実施形態において、ニューラルネットワーク165内のモデルからの即時状態が逸脱した大きさおよび期間を含むが、これらに限定されないパラメータにより、オペレータに対し通知に応答するための十分な時間を与えるために、低い閾値で設定されてもよい。例えば、約60℃(140°F)から約79.4℃(175°F)へ油の温度が急速に上がることは、通常は、すぐに調べ、必要ならばオペレータが応答すべきベアリングの重大な故障に関する指示である。他の実施形態において、関連するモニタリングセンサ180により生成された信号間で形成された関係を含むが、これに限定されない追加パラメータは、通知を生成するために、閾値をより高くすることを可能にする。例えば、隣接するベアリングからの通常の振動読取り値および全てのベアリングに対する通常の油温度と組み合わせて、機械155のロータを加速する間に、周知の異常に高い温度となったベアリングは、通知を生成することができない。
【0045】
例示的な実施形態はロータおよびベアリングを有する機械155の一部のモデリングについて記述するが、モニタリングシステム100は、ガスタービンコンプレッサおよび/またはコンバスタ、ガスタービンに結合された電気発電機、蒸気タービン、風力タービン、およびディーゼルエンジンを有するが、これらに限定されない、機械155の任意の部分をモデル化するために使うことができる。更に、モニタリングシステム100は、石油精製所における分解プロセス、化学製造プラントにおける混合プロセス、食品加工プラントにおける包装プロセス、および化石燃料燃焼ボイラにおける焼却プロセスを含むが、これらに限定されない、任意の産業処理のための任意の機械装置と共に使うことができる。
【0046】
図5は、機械155(図4に示す)の動作のモニタおよび評価を実現することができる例示的方法200のフローチャートである。図6は、図5のフローチャートの続きである。例示的な実施形態において、機械155は、202にて、第1の動作状態および第2の動作状態の少なくとも1つの状態にある。コンピューティングデバイス、例えば、サーバシステム102の少なくとも1つおよび/またはクライアントシステム104の1つ(どちらも図1に示す)は、204にて、機械155に関する複数の第1の運用測定値を記録する。サーバシステム102の少なくとも1つおよび/またはクライアントシステム104の1つは、206にて、複数の第1の運用測定値を、機械155の第1の動作状態および機械155の第2の動作状態のうちの一方と関連づける。また、例示的な実施形態において、サーバシステム102の少なくとも1つおよび/またはクライアントシステム104の1つは、208にて、機械155に関する複数の第1の運用測定値のフルスペクトル分析を実行し、第1のフルスペクトルデータセットを生成する。サーバシステム102の少なくとも1つおよび/またはクライアントシステム104の1つは、210にて、第1のフルスペクトルデータセットを、サーバシステム102の少なくとも1つおよび/またはクライアントシステム104の1つ内に格納されたニューラルネットワーク165(図4に示す)に送信する。サーバシステム102の少なくとも1つおよび/またはクライアントシステム104の1つは、212にて、機械155に関する複数の第2の運用測定値を記録する。更に、例示的な実施形態において、サーバシステム102の少なくとも1つおよび/またはクライアントシステム104の1つは、214にて、機械155に関する複数の第2の運用測定値のフルスペクトル分析を実行し、第2のフルスペクトルデータセットを生成する。サーバシステム102の少なくとも1つおよび/またはクライアントシステム104の1つは、212にて、第2のフルスペクトルデータセットをニューラルネットワーク165に送信する。サーバシステム102の少なくとも1つおよび/またはクライアントシステム104の1つは、218にて、第1のフルスペクトルデータセットと第2のフルスペクトルデータセットの間の変化を判定する。
【0047】
機械に関する周知のコンピュータ利用モデルとは対照的に、本明細書に記載された方法、システム、および装置は、作業機械のモニタリングを改良する。具体的には、機械に関する周知のコンピュータ利用モデルとは対照的に、本明細書に記載された方法、システム、および装置は、故障の識別、通知、および診断の改良を可能にする。より具体的には、機械に関する周知のコンピュータ利用モデルとは対照的に、本明細書に記載された方法、システム、および装置は、既存のモニタリングハードウェアを使用する機械、および周波数データおよび振幅データを越えて収集された波形データの分析を拡張するフルスペクトル分析のモデルの生成を可能にする。更に、機械に関する周知のコンピュータ利用モデルとは更に対照的に、本明細書に記載された方法、システム、および装置は、フルスペクトル分析の拡張結果を学習モデル、例えば、ニューラルネットワークにインポートすることを可能にする。更に、機械に関する周知のコンピュータ利用モデルとは対照的に、本明細書に記載された方法、システム、および装置は、機械装置および/または故障のより正確なモデルの構築を可能にする。フルスペクトル分析から学習モデル、例えば、ニューラルネットワークへのインポートを介する機械のそのような改良モデリングも、モデルの分析時間および/または応答時間を減少することによって、異常検出および故障診断に対するそのようなモデルの使用を容易にし、それにより、機械のオペレータによる異常および故障への応答時間の改善を容易にする。更に、機械のそのような改良モデリングは、モデルの複雑さの減少を容易にし、したがって、モデルのメンテナンス要求を減少し、収集されたデータと生成されたデータの間の関係をより良く理解することを容易にする。更に、周知のデータ収集基盤を使ってフルスペクトル分析のための生運用データを収集することで、本明細書に記載された方法、システム、および装置の設置および導入コストの減少を容易にする。
【0048】
本明細書に記載された方法、システム、および装置の例示的技術効果は、(a)既存のセンサおよびモニタリングハードウェアを使って、機械の各関連する動作状態中の機械と関連づけられた動作データを収集および格納すること、(b)フルスペクトル分析を使って、格納された動作データを分析すること、(c)フルスペクトル分析の結果を学習モデル、例えばニューラルネットワークにインポートし、機械のコンピュータ利用モデルを生成すること、(d)収集されたデータの一部とフルスペクトル分析から生成されたデータを、機械の関連した動作状態に関連づけること、(e)以前に定義された動作状態にある機械が次の動作をしている間に、追加の運用データを記録すること、(f)追加の運用データとコンピュータ利用モデルとを比較すること、および(g)運用異常および機械装置の故障の存在を判断すること、のうち少なくとも1つを有する。
【0049】
本明細書に記載された方法およびシステムは、本明細書に記載された特定の実施形態に限定されない。例えば、各方法の各システムおよび/またはステップの構成要素は、本明細書に記載された他の構成要素および/またはステップから独立および分離して使用する、および/または実行することができる。更に、各構成要素および/またはステップは、他の組立品および方法と共に使用する、および/または実行することもできる。
【0050】
ここに記載された記述は、本発明を開示するための例を用い、最良の様態を含み、および当業者が本発明を実行することも可能にし、任意のデバイスまたはシステムを作成および使用すること、および任意の組合せ方法を実行することを含む。本発明の特許範囲は、特許請求の範囲によって規定されるものであり、当業者が思いつくその他の例も含むことができる。そうしたその他の例は、特許請求の範囲の表現と同じ構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の表現と多少の相違はあっても等価である構造要素を含む場合には、特許請求の範囲に含まれるものとする。
【0051】
いくつかの実施形態は、1つまたは複数の電子的またはコンピューティングデバイスの利用を含む。そのようなデバイスは、通常は、汎用の中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、マイクロコントローラ、縮小命令セットコンピュータ(RISC)プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理回路(PLC)、および/または本明細書に記載された機能を実行可能な他の回路またはプロセッサ等の、プロセッサまたはコントローラを含む。本明細書に記載された方法は、ストレージデバイスおよび/またはメモリデバイスを含むが、これらに限定されない、コンピュータ読み取り可能媒体で実施される実行可能命令として符号化することができる。そのような命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、本明細書に記載された方法の少なくとも一部を実行させる。上記の例は、例示のためだけのものであり、したがって、プロセッサという単語の定義および意味を何ら限定するものではない。
【0052】
本発明は様々な特定の実施形態の観点から記載されてきたが、当業者は、本発明は特許請求の範囲の精神および範囲内の変形例と共に実行可能であることを認識するであろう。
【符号の説明】
【0053】
100 モニタリングシステム
102 サーバシステム
104 クライアントシステム
106 通信ネットワーク
110 データベースサーバ
112 データベース
120 メモリデバイス
122 プロセッサ
124 プレゼンテーションインターフェース
126 ユーザ
128 ユーザインプットインターフェース
130 通信インターフェース
140 サーバコンピュータデバイス
142 プロセッサ
144 メモリデバイス
146 通信インターフェース
148 ストレージデバイス
150 ストレージインターフェース
155 機械
160 機械コントローラ
165 ニューラルネットワーク (学習モデル)
170 オペレータ
175 専門家/技術者
180 モニタリングセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械(155)のモニタリングシステム(100)であって、
モニタされる前記機械の複数の運用測定値を格納するよう構成され、各運用測定値が時間と関連づけられた、少なくとも1つのメモリデバイス(120/144)、および
前記少なくとも1つのメモリデバイスと結合する少なくとも1つのプロセッサ(122/142)を備え、前記少なくとも1つのメモリデバイスが、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記機械に関する第1の複数の運用測定値を記録すること、
前記機械に関する前記第1の複数の運用測定値のフルスペクトル分析を実行し、それから第1のフルスペクトルデータセットを生成すること、
前記第1のフルスペクトルデータセットを前記少なくとも1つのメモリデバイス内に格納された少なくとも1つのモデル(165)に送信すること、および
前記第1のフルスペクトルデータセットと、前記第1のフルスペクトルデータセットと異なる第2のフルスペクトルデータセットの間の変化を判定すること、
を指示するプログラミングされたコンピュータ命令を備える、システム(100)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのメモリデバイス(120/144)が、前記少なくとも1つのプロセッサ(122/142)に、
前記機械(155)に関する第2の複数の運用測定値を記録すること、
前記機械に関する前記第2の複数の運用測定値のフルスペクトル分析を実行し、それから前記第2のフルスペクトルデータセットを生成すること、および
前記第2のフルスペクトルデータセットを前記少なくとも1つのモデルに送信すること、
を指示するプログラミングされたコンピュータ命令を更に備える、
請求項1記載のシステム(100)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのメモリデバイス(120/144)が、前記少なくとも1つのプロセッサ(122/142)にフルスペクトル分析を実行させ、
フルスペクトル前方成分振幅、
フルスペクトル反対成分振幅、
フルスペクトル前方成分周波数、
フルスペクトル反対成分周波数、
フルスペクトル前方軌道成分、
フルスペクトル反対軌道成分、
少なくとも1つのフルスペクトル前方順序電力、および
少なくとも1つのフルスペクトル反対順序電力
の少なくとも1つを計算することによって第1のフルスペクトルデータセットおよび第2のフルスペクトルデータセットを生成するよう指示する、プログラミングされたコンピュータ命令を更に備える、
請求項1記載のシステム(100)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのメモリデバイス(120/144)が、前記少なくとも1つのプロセッサ(122/142)にフルスペクトル分析を実行させ、スペクトル成分の変化率、周波数ドリフト、および位相ドリフトの少なくとも1つを有する波形傾向を計算することにより第1のフルスペクトルデータセットおよび第2のフルスペクトルデータセットを生成するよう指示する、プログラミングされたコンピュータ命令を有する、
請求項1記載のシステム(100)。
【請求項5】
少なくとも1つのクライアントシステム(104)に動作可能に結合された少なくとも1つのデータベースサーバ(110)を更に備え、前記少なくとも1つのデータベースサーバおよび前記少なくとも1つのクライアントシステムの各々が、前記少なくとも1つのメモリデバイス(144/120)および前記少なくとも1つのプロセッサ(142/122)を有し、前記少なくとも1つのデータベースサーバが、前記機械(155)の履歴動作データを含む複数のデータレコードを有するデータベース(112)に動作可能に結合され、前記履歴動作データが、前記第1のフルスペクトルデータセットを有する、請求項1記載のシステム(100)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのデータベースサーバ(110)および前記少なくとも1つのクライアントシステム(104)の前記少なくとも1つのメモリデバイス(144/120)が、前記少なくとも1つのモデル(165)の少なくとも一部を格納し、前記少なくとも1つのメモリデバイスが、前記少なくとも1つのプロセッサ(142/122)に、
前記機械(155)に関する少なくとも1つの第1の運用パターンを定義する前記第1のフルスペクトルデータセットの第1の部分を、前記少なくとも1つのモデル内で前記機械(155)の第1の動作状態と関連づけること、および
前記機械に関する少なくとも1つの第2の運用パターンを定義する前記第1のフルスペクトルデータセットの第2の部分を、前記少なくとも1つのモデル内で前記機械に関する第2の動作状態と関連づけること、
を指示するプログラミングされたコンピュータ命令を有する、
請求項5記載のシステム(100)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのメモリデバイス(144/120)が、前記少なくとも1つのプロセッサ(142/122)に
前記少なくとも1つのモデル(165)に、前記第2のフルスペクトルデータセットを、前記機械(155)に関する第1の動作状態および前記機械に関する前記第2の動作状態のうちの一方と関連づけさせること、
前記少なくとも1つのモデルに、前記第2のフルスペクトルデータセットと前記機械に関する前記少なくとも1つの第1の運用パターンとの比較を実行させること、および、
前記比較が少なくとも1つの所定のパラメータを超える場合に、前記システムのオペレータ(126/170/175)に通知すること、
を指示するプログラミングされたコンピュータ命令を有する、
請求項6記載のシステム(100)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのモデル(165)が、
前記機械(155)に関する前記第1の動作状態と関連づけられた第1のモデル(165)、および、
前記機械に関する前記第2の動作状態と関連づけられた第2のモデル(165)を有する、
請求項6記載のシステム(100)。
【請求項9】
コンピュータ実行可能命令が実施される1つまたは複数の非一時的コンピュータ読み取り可能記憶媒体であって、少なくとも1つのプロセッサ(142/122)によって実行されると、前記コンピュータ実行可能命令が前記少なくとも1つのプロセッサに、
少なくとも1つのメモリデバイスに、所定の動作状態にある機械(155)に関し、それぞれが時間と関連づけられた複数の第1の運用測定値を格納および検索させるために、前記少なくとも1つの前記メモリデバイス(144/120)と通信させ、
前記機械に関する複数の第1の運用測定値を記録させ、
前記複数の第1の運用測定値と前記機械に関する前記所定の動作状態を関連づけさせ、
前記機械に関する前記複数の第1の運用測定値のフルスペクトル分析を実行させ、それから第1のフルスペクトルデータセットを生成させ、
前記第1のフルスペクトルデータセットを前記少なくとも1つのメモリデバイス内に格納された少なくとも1つのモデル(165)に送信させ、
前記第1のフルスペクトルデータセットと、前記第1のフルスペクトルデータセットと異なる第2のフルスペクトルデータセットの間の変化を判定させる、コンピュータ読み取り可能記憶媒体。
【請求項10】
前記コンピュータ実行可能命令が更に、前記少なくとも1つのプロセッサ(142/122)に、
前記機械(155)に関する複数の第2の運用測定値を記録させ、
前記機械に関する前記複数の第2の運用測定値のフルスペクトル分析を実行させ、それから第2のフルスペクトルデータセットを生成させ、
前記第2のフルスペクトルデータセットを前記少なくとも1つのモデル(165)に送信させ、
前記少なくとも1つのモデルに、前記第2のフルスペクトルデータセットを前記機械の前記所定の動作状態と関連づけさせる、請求項9記載のコンピュータ読み取り可能記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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