説明

機械学習方法、機械学習プログラム、および機械学習装置

【課題】連続値を入力値として与える機械学習方法において、二値素性の出力確率の分布が機械学習に適した分布となるように、連続値を離散化するための閾値を動的に変更することを可能とすること。
【解決手段】取得部201は、閾値候補および連続値を取得する。仮離散化部202は、取得された閾値候補ごとに、当該閾値候補を用いて連続値を離散化することにより、連続値から二値素性を抽出する。仮算出部203は、抽出された二値素性ごとに、当該二値素性の出力確率を算出する。抽出部204は、取得された閾値候補の中から、連続する2つの閾値候補の組み合わせを抽出する。数値差算出部205は、抽出された組み合わせごとに、算出された出力確率の数値差を算出する。決定部206は、算出された数値差に基づいて、取得された閾値候補の中から、閾値を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、閾値を用いて連続値を離散化することにより、連続値から二値素性を抽出し、抽出された二値素性の出力確率を算出する機械学習方法、機械学習プログラム、および機械学習装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、たとえばベイジアンネットワークの学習方法に用いられる機械学習方法として、二値素性を必要とする機械学習器に対し、連続値を入力値として与える機械学習方法が挙げられる。また、このような機械学習方法において、あらかじめ、適当な閾値を設けておき、閾値ごとに、当該閾値を用いて連続値を離散化することにより二値素性を抽出し、さらに、閾値ごとに、抽出された二値素性の出力確立を算出する方法が考案されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。このような機械学習方法によれば、各カテゴリへの分類にとって効果の無い素性を排除でき、二値素性の数を絞り込むことができるため、ベイジアンネットワークの学習における計算量を削減することができるものとされている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−326465号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般的に、閾値ごとに算出された二値素性の出力確率の分布が偏っていないほうが、これらの二値素性は、機械学習器の入力データとして有用であると言えるにも関わらず、上記特許文献1に記載の従来技術にあっては、閾値ごとに算出された二値素性の出力確率の分布が偏ってしまうといった問題が多くあった。
【0005】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、連続値を入力値として与える機械学習方法において、二値素性の出力確率の分布が機械学習に適した分布となるように、連続値を離散化するための閾値を動的に変更することを可能とすることにより、機械学習の有用性の向上を図ることができる機械学習方法、機械学習プログラム、および機械学習装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる機械学習方法は、閾値を用いて学習データ中の連続値を離散化することにより前記連続値から二値素性を抽出する離散化工程と、前記離散化工程によって抽出された二値素性の出力確率を算出する算出工程と、を含んだ機械学習方法であって、閾値候補を取得する取得工程と、前記取得工程によって取得された閾値候補ごとに、当該閾値候補を用いて前記連続値を離散化することにより前記連続値から二値素性を抽出する仮離散化工程と、前記取得工程によって取得された閾値候補ごとに、前記仮離散化工程によって抽出された二値素性の出力確率を算出する仮算出工程と、前記仮算出工程によって算出された出力確率に基づいて、前記取得工程によって取得された閾値候補の中から、前記閾値を決定する決定工程と、をさらに含んだことを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、閾値とするか否かの判断基準となる二値素性の出力確率を閾値候補ごとに算出しておき、算出された二値素性の出力確率に基づいて、二値素性の出力確率の分布が機械学習に適した分布となるような閾値を、閾値候補の中から決定することができる。
【0008】
また、この発明にかかる機械学習方法は、上記に記載の発明において、前記取得工程によって取得された閾値候補の中から、連続する2つの閾値候補の組み合わせを抽出する抽出工程と、前記抽出工程によって抽出された組み合わせごとに、前記仮算出工程によって算出された出力確率の数値差を算出する数値差算出工程と、をさらに含み、前記決定工程は、前記数値差算出工程によって算出された数値差に基づいて、前記取得工程によって取得された閾値候補の中から、前記閾値を決定することを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、連続する2つの閾値候補の出力確率の数値差を算出しておき、算出された出力確率の数値差に基づいて、機械学習に適した分布となるような閾値を、閾値候補の中から決定することができる。
【0010】
また、この発明にかかる機械学習方法は、上記に記載の発明において、前記決定工程は、前記抽出工程によって抽出された組み合わせごとに、前記数値差算出工程によって算出された数値差が所定値以上であるか否かを判断し、所定値以上であると判断した組み合わせを構成する閾値候補を、前記閾値として決定することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、連続する2つの閾値候補の出力確率の数値差を算出しておき、算出された出力確率の数値差に基づいて、二値素性の出力確率の分布の偏りが無く、機械学習に適した分布となるような閾値を、閾値候補の中から決定することができる。
【0012】
また、この発明にかかる機械学習方法は、上記に記載の発明において、前記決定工程は、前記抽出工程によって抽出された組み合わせの中から、所定値以上であると判断した組み合わせが二つ以上連続する組み合わせを抽出し、抽出された組み合わせを構成する閾値候補を、前記閾値として決定することを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、連続する2つの閾値候補の出力確率の数値差を算出しておき、算出された出力確率の数値差に基づいて、二値素性の出力確率の分布の偏りが無く、機械学習に適した分布となるような連続する複数の閾値を、閾値候補の中から決定することができる。
【0014】
また、この発明にかかる機械学習方法は、上記に記載の発明において、算出工程による算出処理回数を計数する計数工程と、計数工程によって計数された算出処理回数に基づいて、前記閾値を新たに決定するか否かを判断する判断工程と、をさらに含んだことを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、所定の学習回数ごとに、二値素性の出力確率の分布が機械学習に適した分布となるように、閾値を変更することができる。
【0016】
また、この発明にかかる機械学習プログラムは、閾値を用いて学習データ中の連続値を離散化することにより前記連続値から二値素性を抽出する離散化工程と、前記離散化工程によって抽出された二値素性の出力確率を算出する算出工程と、をコンピュータに実行させる機械学習プログラムであって、閾値候補を取得する取得工程と、前記取得工程によって取得された閾値候補ごとに、当該閾値候補を用いて前記連続値を離散化することにより前記連続値から二値素性を抽出する仮離散化工程と、前記取得工程によって取得された閾値候補ごとに、前記仮離散化工程によって抽出された二値素性の出力確率を算出する仮算出工程と、前記仮算出工程によって算出された出力確率に基づいて、前記取得工程によって取得された閾値候補の中から、前記閾値を決定する決定工程と、をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、コンピュータに、閾値とするか否かの判断基準となる二値素性の出力確率を閾値候補ごとに算出させておき、算出された二値素性の出力確率に基づいて、二値素性の出力確率の分布が機械学習に適した分布となるような閾値を、閾値候補の中から決定させることができる。
【0018】
また、この発明にかかる機械学習装置は、閾値を用いて学習データ中の連続値を離散化することにより前記連続値から二値素性を抽出する離散化手段と、前記離散化手段によって抽出された二値素性の出力確率を算出する算出手段と、を備えた機械学習装置であって、閾値候補を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された閾値候補ごとに、当該閾値候補を用いて前記連続値を離散化することにより前記連続値から二値素性を抽出する仮離散化手段と、前記取得手段によって取得された閾値候補ごとに、前記仮離散化手段によって抽出された二値素性の出力確率を算出する仮算出手段と、前記仮算出手段によって算出された出力確率に基づいて、前記取得手段によって取得された閾値候補の中から、前記閾値を決定する決定手段と、をさらに備えたことを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、閾値とするか否かの判断基準となる二値素性の出力確率を閾値候補ごとに算出しておき、算出された二値素性の出力確率に基づいて、二値素性の出力確率の分布が機械学習に適した分布となるような閾値を、閾値候補の中から決定することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明にかかる機械学習方法、機械学習プログラム、および機械学習装置によれば、連続値を入力値として与える機械学習方法において、二値素性の出力確率の分布が機械学習に適した分布となるように、連続値を離散化するための閾値を動的に変更することが可能となるため、結果的に、機械学習の有用性の向上を図ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる機械学習方法、機械学習プログラム、および機械学習装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0022】
(機械学習装置100のハードウェア構成)
まず、この実施の形態にかかる機械学習装置100のハードウェア構成について説明する。図1は、この実施の形態にかかる機械学習装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0023】
図1において、機械学習装置100は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、HDD(Hard Disc Drive)104と、HD(Hard Disc)105と、FDD(Flexible Disk Drive)106と、FD(Flexible Disk)107と、CD−RW(Compact Disc ReWritable)ドライブ108と、CD−RW109と、ディスプレイ110と、キーボード111と、マウス112と、ネットワークI/F(インタフェース)113と、通信ケーブル114と、プリンタ115と、バス120とを備えて構成されている。
【0024】
CPU101は、機械学習装置100全体を制御する。ROM102は、各種制御プログラムなどを格納する。RAM103は、可変的なデータを書き換え自在に記憶し、CPU101のワークエリアとして機能する。HDD104は、CPU101の制御にしたがってHD105に対するデータのリード/ライトを制御する。HD105は、HDD104の制御にしたがって書き込まれたデータを記憶する。
【0025】
FDD106は、CPU101の制御にしたがってFD107に対するデータのリード/ライトを制御する。FD107は、着脱自在であり、FDD106の制御にしたがって書き込まれたデータを記憶する。CD−RWドライブ108は、CPU101の制御にしたがってCD−RW(または、CD−R、CD−ROM)109に対するデータのリード/ライトを制御する。CD−RW109は、着脱自在であり、CD−RWドライブ108の制御にしたがって書き込まれたデータを記憶する。
【0026】
ディスプレイ110は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、あるいは文字や画像などの各種データを表示する。キーボード111は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備える。マウス112は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、マウスポインタの移動などを行う。ネットワークI/F113は、通信ケーブル114を介してLAN、WAN、インターネットなどのネットワークに接続され、当該ネットワークとCPU101とのインタフェースとして機能する。プリンタ115は、文字や画像などの各種データを印刷する。バス120は上記各部を接続する。
【0027】
(機械学習装置100の機能的構成)
つぎに、この実施の形態にかかる機械学習装置100の機能的構成について説明する。図2は、この実施の形態にかかる機械学習装置100の機能的構成を示すブロック図である。
【0028】
図2に示すように、機械学習装置100は、取得部201と、仮離散化部202と、仮算出部203と、抽出部204と、数値差算出部205と、決定部206と、離散化部207と、算出部208と、計数部209と、判断部210と、によって構成されている。
【0029】
取得部201は、閾値候補を取得する。また、取得部201は、離散化部207による離散化の対象とされた学習データ中の連続値を取得する。
【0030】
仮離散化部202は、取得部201によって取得された閾値候補ごとに、当該閾値候補を用いて、取得部201によって取得された連続値を離散化することにより、取得部201によって取得された連続値の中から二値素性を抽出する。
【0031】
仮算出部203は、取得部201によって取得された閾値候補ごとに、仮離散化部202によって抽出された二値素性の出力確率を算出する。
【0032】
抽出部204は、取得部201によって取得された閾値候補の中から、連続する2つの閾値候補の組み合わせを抽出する。
【0033】
数値差算出部205は、抽出部204によって抽出された組み合わせごとに、仮算出部203によって算出された出力確率の数値差を算出する。
【0034】
決定部206は、数値差算出部205によって算出された数値差に基づいて、取得部201によって取得された閾値候補の中から、閾値を決定する。具体的に、決定部206は、抽出部204によって抽出された組み合わせごとに、数値差算出部205によって算出された数値差が「所定下限値以上」または「所定下限値以上所定上限値未満」であるか否かを判断する。そして、決定部206は、抽出部204によって抽出された組み合わせの中から、「所定下限値以上」または「所定下限値以上所定上限値未満」であると判断した組み合わせが二つ以上連続する組み合わせを抽出し、抽出された組み合わせを構成する閾値候補を、閾値として決定する。
【0035】
離散化部207は、決定部206によって決定された閾値ごとに、当該閾値を用いて学習データ中の連続値を離散化することにより、取得部201によって取得された連続値の中から二値素性を抽出する。
【0036】
算出部208は、決定部206によって決定された閾値ごとに、離散化部207によって抽出された二値素性の出力確率を算出する。
【0037】
計数部209は、算出部208による算出処理回数を計数する。
【0038】
判断部210は、計数部209によって計数された算出処理回数に基づいて、閾値を新たに決定するか否かを判断する。
【0039】
なお、上述した各機能構成部は、具体的には、たとえば図1に示したディスプレイ110、プリンタ115、ネットワークI/F113などによってその機能を実現する。また、各機能構成部は、1台の情報処理装置が実現する構成に限らず、複数台の情報処理装置にまたがって実現する構成であってもよい。
【0040】
(機械学習装置100による機械学習処理の手順)
つぎに、この発明の実施の形態にかかる機械学習装置100による機械学習処理の手順について説明する。図3は、この発明の実施の形態にかかる機械学習装置100による機械学習処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0041】
まず、取得部201によって、閾値候補および離散化部207による離散化の対象とされた学習データ中の連続値を取得して(ステップS301)、仮離散化部202によって、ステップS301で取得された閾値候補ごとに、当該閾値候補を用いてステップS301で取得された連続値を離散化することにより、ステップS301で取得された連続値から二値素性を抽出する(ステップS302)。
【0042】
つぎに、仮算出部203によって、ステップS301で取得された閾値候補ごとに、ステップS302で抽出された二値素性の出力確率を算出して(ステップS303)、抽出部204によって、ステップS301で取得された閾値候補の中から、連続する2つの閾値候補の組み合わせを抽出する(ステップS304)。
【0043】
そして、数値差算出部205によって、ステップS304で抽出された組み合わせごとに、ステップS303で算出された出力確率の数値差を算出して(ステップS305)、決定部206によって、ステップS305で算出された数値差に基づいて、ステップS301で取得された閾値候補の中から、閾値を決定する(ステップS306)。
【0044】
さらに、離散化部207によって、ステップS306で決定された閾値ごとに、当該閾値を用いて学習データ中の連続値を離散化することにより、ステップS301で取得された連続値から二値素性を抽出して(ステップS307)、算出部208によって、ステップS306で決定された閾値ごとに、ステップS307で抽出された二値素性の出力確率を算出する(ステップS308)。
【0045】
そのうえで、計数部209によって、算出部208による算出処理回数(学習回数)に1を加算して(ステップS309)、機械学習処理を終了するか否かを判断する(ステップS310)。
【0046】
ステップS310において機械学習処理を終了すると判断した場合(ステップS310:Yes)は、一連の処理を終了する。一方、ステップS310において機械学習処理を終了しないと判断した場合(ステップS310:No)は、判断部210によって、ステップS309で加算された算出処理回数が3で割り切れるか否かを判断する(ステップS311)。
【0047】
ステップS311において、算出処理回数が3で割り切れると判断した場合は(ステップS311:Yes)、ステップS301に戻り、ステップS301以降の処理を引き続きおこなう。一方、ステップS311において、算出処理回数が3で割り切れないと判断した場合は(ステップS311:No)、ステップS307に戻り、ステップS307以降の処理を引き続きおこなう。
【0048】
なお、ステップS306において、閾値とされなかった閾値候補については、閾値候補から削除するようにしてもよい。このとき、ステップS303で算出された出力確率や、ステップS305で算出された数値差などに基づいて、削除する閾値候補を決定するようにしてもよい。
【0049】
また、ステップS306において、閾値数が所定数に満たない場合は、以下の方法を用いて、上記所定数を満たすようにしてもよい。(1)まず、上記所定数が満たされるように、線形補完などの手法を用いて、閾値候補に追加すべき閾値を予測する。(2)予測された閾値を閾値候補に追加する。(3)ステップS301〜ステップS306を再度おこなう。
【0050】
(仮算出部203によって算出された出力確率の一例)
つぎに、仮算出部203によって算出された出力確率の一例について説明する。図4および図5は、仮算出部203によって算出された出力確率の一例を示す説明図である。
【0051】
このうち、図4は、仮算出部203によって算出された出力確率を表で示したものである。一方、図5は、仮算出部203によって算出された出力確率をグラフで示したものである。
【0052】
たとえば、閾値候補が閾値として有用であるか否かの判断基準値を「10」とした場合、図4に示す表および図5に示すグラフにおいて、範囲Aに含まれる閾値候補(0,1,2,3)は、出力確率同士の数値差が全て「10」以下であり、閾値として有用でない。また、範囲Bに含まれる閾値候補(4,5,6,7)は、出力確率同士の数値差が全て「10」以上あり、閾値として有用である。決定部206は、このような判断方法により、閾値候補(0,1,2,3,4,5,6,7)の中から、閾値候補(4,5,6,7)を、閾値として決定する。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態にかかる機械学習装置100は、連続する2つの閾値候補の組み合わせごとに、出力確率の数値差を算出しておき、算出された出力確率の数値差に基づいて、二値素性の出力確率の分布の偏りが無く、機械学習に適した分布となるような連続する複数の閾値を、閾値候補の中から決定することができる。また、本実施の形態にかかる機械学習装置100は、所定の学習回数ごとに、二値素性の出力確率の分布が機械学習に適した分布となるように、閾値を変更することができる。
【0054】
以上のことから、本実施の形態にかかる機械学習装置100は、二値素性の出力確率の分布が機械学習に適した分布となるように、連続値を離散化するための閾値を動的に変更することが可能となるため、結果的に、機械学習の有用性の向上を図ることができるという効果を奏する。
【0055】
なお、本実施の形態で説明した機械学習方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【0056】
また、本実施の形態においては、二値素性の出力確率に基づいて、閾値を決定することとしたが、これに限らず、たとえば、二値素性の出現頻度など、その他の情報に基づいて、閾値を決定することとしてもよい。また、出力確率値が既定の範囲に一つずつある様に、閾値を間引いたり(例えば、「1〜3%」、「10〜30%」、「70〜90%」、「97〜99%」に各一つずつ等)、出力確率や対数出力確率(出力確率をx%としたとき、log(x/(100−x))の値)の差が既定の値になる様に、閾値を間引いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上のように、本発明にかかる機械学習方法、機械学習プログラム、および機械学習装置は、閾値を用いて連続値を離散化することにより、連続値から二値素性を抽出し、抽出された二値素性の出力確率を算出する機械学習方法、機械学習プログラム、および機械学習装置などへの利用に適しており、特に、ベイジアンネットワークの学習に用いられる、機械学習方法、機械学習プログラム、および機械学習装置などへの利用に適している。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】この実施の形態にかかる機械学習装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図2】この実施の形態にかかる機械学習装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態にかかる機械学習装置による機械学習処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】仮算出部によって算出された出力確率の一例を示す説明図である。
【図5】仮算出部によって算出された出力確率の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0059】
100 機械学習装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 HDD
105 HD
106 FDD
107 FD
108 CD−RWドライブ
109 CD−RW
110 ディスプレイ
111 キーボード
112 マウス
113 ネットワークI/F
114 通信ケーブル
115 プリンタ
120 バス
201 取得部
202 仮離散化部
203 仮算出部
204 抽出部
205 数値差算出部
206 決定部
207 離散化部
208 算出部
209 計数部
210 判断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閾値を用いて学習データ中の連続値を離散化することにより前記連続値から二値素性を抽出する離散化工程と、前記離散化工程によって抽出された二値素性の出力確率を算出する算出工程と、を含んだ機械学習方法であって、
閾値候補を取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得された閾値候補ごとに、当該閾値候補を用いて前記連続値を離散化することにより前記連続値から二値素性を抽出する仮離散化工程と、
前記取得工程によって取得された閾値候補ごとに、前記仮離散化工程によって抽出された二値素性の出力確率を算出する仮算出工程と、
前記仮算出工程によって算出された出力確率に基づいて、前記取得工程によって取得された閾値候補の中から、前記閾値を決定する決定工程と、
をさらに含んだことを特徴とする機械学習方法。
【請求項2】
前記取得工程によって取得された閾値候補の中から、連続する2つの閾値候補の組み合わせを抽出する抽出工程と、
前記抽出工程によって抽出された組み合わせごとに、前記仮算出工程によって算出された出力確率の数値差を算出する数値差算出工程と、をさらに含み、
前記決定工程は、
前記数値差算出工程によって算出された数値差に基づいて、前記取得工程によって取得された閾値候補の中から、前記閾値を決定することを特徴とする請求項1に記載の機械学習方法。
【請求項3】
前記決定工程は、
前記抽出工程によって抽出された組み合わせごとに、前記数値差算出工程によって算出された数値差が所定値以上であるか否かを判断し、所定値以上であると判断した組み合わせを構成する閾値候補を、前記閾値として決定することを特徴とする請求項2に記載の機械学習方法。
【請求項4】
前記決定工程は、
前記抽出工程によって抽出された組み合わせの中から、所定値以上であると判断した組み合わせが二つ以上連続する組み合わせを抽出し、抽出された組み合わせを構成する閾値候補を、前記閾値として決定することを特徴とする請求項3に記載の機械学習方法。
【請求項5】
算出工程による算出処理回数を計数する計数工程と、
計数工程によって計数された算出処理回数に基づいて、前記閾値を新たに決定するか否かを判断する判断工程と、
をさらに含んだことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の機械学習方法。
【請求項6】
閾値を用いて学習データ中の連続値を離散化することにより前記連続値から二値素性を抽出する離散化工程と、前記離散化工程によって抽出された二値素性の出力確率を算出する算出工程と、をコンピュータに実行させる機械学習プログラムであって、
閾値候補を取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得された閾値候補ごとに、当該閾値候補を用いて前記連続値を離散化することにより前記連続値から二値素性を抽出する仮離散化工程と、
前記取得工程によって取得された閾値候補ごとに、前記仮離散化工程によって抽出された二値素性の出力確率を算出する仮算出工程と、
前記仮算出工程によって算出された出力確率に基づいて、前記取得工程によって取得された閾値候補の中から、前記閾値を決定する決定工程と、
をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする機械学習プログラム。
【請求項7】
閾値を用いて学習データ中の連続値を離散化することにより前記連続値から二値素性を抽出する離散化手段と、前記離散化手段によって抽出された二値素性の出力確率を算出する算出手段と、を備えた機械学習装置であって、
閾値候補を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された閾値候補ごとに、当該閾値候補を用いて前記連続値を離散化することにより前記連続値から二値素性を抽出する仮離散化手段と、
前記取得手段によって取得された閾値候補ごとに、前記仮離散化手段によって抽出された二値素性の出力確率を算出する仮算出手段と、
前記仮算出手段によって算出された出力確率に基づいて、前記取得手段によって取得された閾値候補の中から、前記閾値を決定する決定手段と、
をさらに備えたことを特徴とする機械学習装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−3869(P2009−3869A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−166434(P2007−166434)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(390024350)株式会社ジャストシステム (123)