説明

機械式駐車場

【課題】本発明はパレット方式の機械式駐車場に関し、リフトから異なる4方向に対してパレットの移載を可能とすると共に車両の入出庫方向の自由度を高めることを課題とする。
【解決手段】車両70が積載されるパレット19と、パレット19と共に車両70が駐車される駐車層12と、パレット19が搭載されるリフトフレーム20と、リフトフレーム20を昇降駆動する昇降装置22とを有するリフト11と、パレット19を駐車層12に移載するパレット移載装置21とを有し、前記パレット移載装置21をリフト11に設け、パレット19をリフト11と駐車層12との間で直交する四方向に移載しうる構成とする。また昇降装置22に、リフトフレーム20を昇降可能に支持する複数のマストよりなるリフトハウジング36と、リフトハウジング36の一側部に配設されたカウンタウエイト30,31とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機械式駐車場に係り、特にパレット方式の機械式駐車場に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、少ないスペースで多数の車両を効率的に駐車できる駐車場として、機械式駐車場が知られている。また、機械式駐車場も種々の構造が提供されているが、その1つとしてパレットの上に自動車を載置し、このパレットを前後或いは左右にレールや溝を利用して移動させることにより、空いているパレットスペースへ運ぶ構成としたパレット式の機械式駐車場が提供されている。また、このパレット式の機械式駐車場にリフト(昇降機構)及び立体的な駐車層を組み合わせることにより、より駐車効率を高めた機械式駐車場(機械式立体駐車場)も提供されている。
【0003】
一方、リフトの構造も種々提案されており、例えば特許文献1に開示された立体駐車場のリフトは2本の支柱(マスト)に沿ってパレットが昇降する構成とされていた。また、特許文献2に開示された立体駐車場のリフトは、4本又は6本の支柱(マスト)に沿ってパレットが昇降する構成とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−312183号公報
【特許文献2】特開2001−065186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された2本のマストに沿ってパレットが昇降する構成では、マストはリフトの一側部に位置していたため、駐車層においてリフトからパレットを移載できる方向はマストが配置されている側部を除いた3方向となる。また、特許文献2に開示された4本又は6本のマストに沿ってパレットが昇降する構成では、マストがパレットの長辺と対向するよう配置されていたため、駐車層においてリフトからパレットを移載できる方向はマストが配置されている方向を除いた2方向のみとなる。
【0006】
このように、リフトによりパレットが昇降される構成の機械式駐車場では、パレットを移載できる方向は最大でも3方向のみであり、4方向にパレットを移載できるものは存在しなかった。このため、従来の機械式駐車場では機械式駐車場を設置する際、パレットの移載方向によりそのレイアウトに制限を受けてしまうという問題点があった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、リフトから異なる4方向に対してパレットの移載を可能とすると共に車両の入出庫方向の自由度を高めた機械式駐車場を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は、第1の観点からは、
車両が積載されるパレットと
該パレットと共に前記車両が駐車される駐車層と、
前記パレットが搭載されるリフトフレームと、前記リフトフレームをチェーンを介して昇降駆動する昇降装置とを有するリフトと、
前記パレットを前記駐車層に移載するパレット移載装置とを有しており、
前記リフトの前記昇降装置に、前記リフトフレームを昇降可能に支持する複数のマストよりなるリフトハウジングと、前記リフトハウジングの一側部に配設された複数のカウンタウエイトとを設け、
前記カウンタウエイトは、
前記リフトフレームの一側部に接続される第1のカウンタウエイトと、
前記一側部と反対側の前記リフトフレームの他側部に接続されると共に前記第1のカウンタウエイトに対して独立な構成とされた第2のカウンタウエイトとを有し、
前記リフトフレームの四隅位置には、環状チェーンを接続し、
前記環状チェーンは、その上部が第1歯車に巻架されると共に下部がスプロケットに巻架され、
前記環状チェーンは、前記第1歯車と前記スプロケットの途中位置において前記リフトフレームと接続され、
前記環状チェーンは、その途中位置に前記第1のカウンタウエイトを設け、
連結チェーンの一端部は前記リフトフレームと接続し、前記連結チェーンは、接続点から上方に延出した後に第2歯車により下方に向け延出方向を変換されて前記第2のカウンタウエイトに接続したことを特徴とする機械式駐車場により解決することができる。
【0009】
また、上記発明において、
前記第1のカウンタウエイトと前記第2のカウンタウエイトとの間にクリアランスを設
けた構成としてもよい。
【0010】
また、上記発明において、
前記第1のカウンタウエイトの下部に前記第2のカウンタウエイトを並んで配設し、前記第1のカウンタウエイトの下部に接続されたチェーンが前記第2のカウンタウエイトに形成された貫通孔に挿通されることにより下方に延出する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、リフトと駐車層との間でパレットを直交する四方向に移載することが可能となるため、機械式駐車場を設置する際、リフト及び駐車層のレイアウトの自由度を高めることができる。
【0012】
また、本発明によれば、複数のカウンタウエイトを一側部に集約的に配置しているため、カウンタウエイトが車両の入出庫に際し邪魔になることを防止でき、車両の入出庫方向の自由度を高めることができる。また、第1及び第2のカウンタウエイトがそれぞれ独立しているため、各カウンタウエイトに各々接続される接続部材(環状チェーン等)の伸びを各カウンタウエイトの相対的な移動で吸収させることができ、よってリフトフレームを水平に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の一実施例である機械式駐車場の正面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施例である機械式駐車場の左側面図である。
【図3】図3は、図1におけるA−A線に沿う矢視図である。
【図4】図4は、図1におけるB−B線に沿う矢視図である。
【図5】図5は、カウンタウエイトの配設構造を説明するための図である。
【図6】図6は、カウンタウエイトを拡大して示す図である。
【図7】図7は、天井ビームを拡大して示す図である。
【図8】図8は、スプロケットを拡大して示す図である。
【図9】図9は、昇降装置を示す平面図及び正面図である。
【図10】図10は、本発明の一実施例である機械式駐車場の動作を説明するための 図であり、リフトフレームが着床位置にある状態を示す図である。
【図11】図11は、本発明の一実施例である機械式駐車場の動作を説明するための 図であり、リフトフレームがパレット旋回位置にある状態を示す図である。
【図12】図12は、本発明の一実施例である機械式駐車場の動作を説明するための 図であり、リフトフレームの上昇状態を示す図である。
【図13】図13は、本発明の一実施例である機械式駐車場を適用した立体駐車場の 概略構成図であり、(A)は機械式駐車場の正面図、(B)は機械式駐車場の1F(1階)の平面図、(C)は機械式駐車場の2F(2階)の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。
【0015】
図1乃至図4及び図13は、本発明の一実施例である機械式駐車場10の全体構成を示している。図1は機械式駐車場10の正面図、図2は左側面図、図3は図1におけるAA矢視図、図4は図1におけるB−B矢視図、図13は本実施例に係る機械式駐車場10を立体駐車場に適用した例を示す概略構成図である。
【0016】
尚、図13では本発明を5層(各階を1F〜5Fと示す)の立体駐車場に適用した例を示しているが、図1乃至図4では図示及び説明の便宜上、2層の機械式駐車場10を図示している。
【0017】
図13に示されるように、本実施例に係る機械式駐車場10は、1Fに乗降室29が設けられており、よって車両70は1Fにおいて機械式駐車場10に対して入出庫が行われる構成とされている。しかしながら、乗降室29を設ける層は1Fに限定されるものではなく、いずれの層においても設けることが可能なものであり、よって機械式駐車場10のレイアウトを高い自由度を持って設定することができる。
【0018】
また、本実施例に係る機械式駐車場10は、パレット19を用いたパレット式の駐車場である。このパレット式の機械式駐車場10は、パレット19に車両70が積載された状態でこれをリフト11を用いて昇降させたり、或いは面方向に移動させたりすることにより、駐車棚12に車両70を入庫或いは出庫させる構成とされている。
【0019】
この機械式駐車場10は図1乃至図4に示されるように、大略すると車両70が積載されるパレット19、このパレット19(車両70)を昇降させるためのリフト11、及びパレット19と共に車両70を収納(駐車)する駐車層12等により構成されている。またリフト11は、リフトフレーム20、パレット19をリフト11と駐車層12との間で移載する(移動させる)パレット移載装置21、及びこのリフトフレーム20を昇降駆動する昇降装置22等により構成されている。以下、機械式駐車場10の各構成要素について説明する。
【0020】
先ず、リフト11について説明する。
【0021】
リフト11は設置面13上に設置されており、大略するとマスト15〜18、パレット19、リフトフレーム20、パレット移載装置21、昇降装置22、旋回装置23、第1及び第2のカウンタウエイト30,31等により構成されている。マスト15〜18は設置面13に立設された支柱であり、本実施例では4本設けられている。しかしながら、マストの数はこれに限定されるものではない。このマスト15〜18の上端部は、天井ビーム25により連結されている。
【0022】
更に、各マスト15〜18の設置面13から天井ビーム25に至る途中位置は、中間ビーム24により連結されている。よって、マスト15〜18及び各ビーム24,25は矩形枠体状のリフトハウジング36を構成し、また中間ビーム24を設けることによりその強度及び剛性の向上が図られている。
【0023】
パレット19は前記のように車両70を積載するものであり、平面視した状態で長方形状を有している。このパレット19は、リフトフレーム20の上部に配設された構成とされている。具体的には、リフトフレーム20の上部には旋回装置23が搭載され、この旋回装置23の上部にはパレット移載装置21が搭載されている。パレット19は、このパレット移載装置21の上部に搭載された構成とされている。
【0024】
リフトフレーム20は、2本のサイドフレーム20Aと、これを連結する2本の連結フレーム20Bとにより構成されている。図3に示すように、一方のサイドフレーム20Aは、その一端部をマスト15に昇降自在に支持されており、他端部をマスト16に昇降自在に支持されている。また、他方のサイドフレーム20Aは、その一端部をマスト18に昇降自在に支持されており、他端部をマスト17に昇降自在に支持されている。
【0025】
2本の連結フレーム20Bは、離間配設された一対のサイドフレーム20Aを連結するよう設けられている。これにより、リフトフレーム20は、マスト15〜18に支持されて昇降動作を行う構成となる。
【0026】
また、リフトフレーム20は、前記のようにパレット19、パレット移載装置21、及び旋回装置23が配設された構成とされている。更に、リフトフレーム20は、可動歩道27,28(これについては後述する)とも係合するよう構成されている。よって、リフトフレーム20が昇降動作すると、これに伴ってパレット19、パレット移載装置21、旋回装置23、及び可動歩道27,28も昇降動作する。
【0027】
ここで、図3を主に参照して乗降室29について説明する。
【0028】
乗降室29の床部は、パレット19、可動歩道27,28、及び固定歩道43A〜43Dにより構成されている。このパレット19、可動歩道27,28、及び固定歩道43A〜43Dは、乗降室29に対して車両70が入出庫する際、図1及び図2に示すように略同一の高さとなるよう構成されている。よって、車両70への搭乗者の乗り降り、及び乗降室29内における搭乗者の歩行を安全に行うことができる。尚、この時のパレット19の位置を乗降位置SLというものとする。
【0029】
可動歩道27と二つの固定歩道43A,43Bは、パレット19の図3中右側に矢印X1,X2方向に並んで配置されている。具体的には、可動歩道27は一対の固定歩道43A,43Bに挟まれるよう配置されている。
【0030】
また、可動歩道28と二つの固定歩道43C,43Dは、パレット19の図3中左側にX1,X2方向に並んで配置されている。具体的には、可動歩道27が一対の固定歩道43C,43Dに挟まれるよう配置されている。
【0031】
このように本実施例では、パレット19の周囲には可動歩道27,28及び固定歩道43A〜43Dが配設され、パレット19の両側位置には広い歩道空間が存在する。また、パレット19、可動歩道27,28、及び固定歩道43A〜43Dの高さは、略等しい高さとされている。このため、乗降室29内において、搭乗者が車両70に対し乗降する際、乗降を安全かつ容易に行うことができる。
【0032】
一方、固定歩道43A〜43Dは下方に延出した脚部(図に現れず)を有しており、この脚部は設置面13に固定された構成とされている。また、固定歩道43A〜43Dの配設位置は、リフトフレーム20(20B)の昇降動作に邪魔にならない位置に設けられている。よって、リフトフレーム20が昇降動作する際、固定歩道43A〜43Dと干渉するようなことはない。
【0033】
これに対し、可動歩道27,28は、リフトフレーム20を構成する連結フレーム20Bを跨ぐように配置されている。この可動歩道27,28は、図10(A),(B)に示すように、歩道面81と、下方に向け延出した複数(例えば、4本)の脚部82とにより構成されている。
【0034】
歩道面81は、その上面を人が歩行する面である。また、脚部82は固定歩道43A〜43Dと異なり設置面13に固定されておらず、よって可動歩道27,28は設置面13に対して昇降方向(矢印Z1,Z2方向)に移動可能な構成とされている。
【0035】
また脚部82は、リフトフレーム20に設けられたガイドローラ85に昇降方向(矢印Z1,Z2方向)に移動可能に係合した構成とされている。よって可動歩道27,28は、リフトフレーム20に対しても所定範囲において昇降方向(矢印Z1,Z2方向)に移動可能な構成とされている。また、ガイドローラ85が脚部82と係合することにより、後述するように可動歩道27,28がリフトフレーム20と共に設置面13から上昇したとしても、可動歩道27,28がリフトフレーム20から離脱して落下してしまうことを確実に防止することができる。
【0036】
更に、歩道面81の背面で連結フレーム20Bと対向する位置には、当接部材83が設けられている。この当接部材83は、後述するようにリフトフレーム20が上昇することにより連結フレーム20Bのフレーム上面20Cと当接する。そして、当接した後に更にリフトフレーム20が上昇することにより、可動歩道27,28は設置面13から離脱してリフトフレーム20と共に上昇する。この時、可動歩道27,28はリフトフレーム20に吊り下げられたような状態となる(図12参照)。
【0037】
次に、パレット19を旋回させるパレット旋回装置23について説明する。
【0038】
旋回装置23は、図10に示すように、旋回ベース69と旋回用モータ71等により構成されている。旋回ベース69の下部には従動歯車69aが配設されており、この従動歯車69aに旋回用モータ71の回転軸に設けられた駆動歯車71aが噛合している。従って、旋回用モータ71が駆動することにより、駆動歯車71aを介して従動歯車69aが回転する。
【0039】
従動歯車69aは旋回ベース69と一体的な構成とされており、よって旋回用モータ71が駆動することにより旋回ベース69は旋回する構成とされている。また、この旋回ベース69の上部には、パレット19を搭載するパレット移載装置21が設けられている。よって、旋回装置23が駆動して旋回ベース69が旋回することにより、パレット移載装置21と共にパレット19はリフトフレーム20に対して旋回動作を行う。
【0040】
しかしながら、図1及び図2に示すような、パレット19の高さ、可動歩道27,28の高さ、及び固定歩道43A〜43Dの高さが略等しい高さとされている状態では、パレット19を旋回させることはできない。そこで、本実施例ではパレット19を図1及び図2に示す乗降位置SLよりも高いパレット旋回位置TLまで上昇させ、この状態でパレット19を旋回させる構成としている(これについては、後に詳述する)。
【0041】
本実施例に係る旋回装置23は、パレット19を90°単位で旋回できる構成とされている。これにより、パレット19は、図3に実線示す位置と、この位置よりも90度回転した図3に一点鎖線で示す位置との間で旋回することができる。
【0042】
また、図3に二点鎖線で示す円CRは、パレット19がパレット回転中心Oを中心として回転する際、平面視で長方形状とされたパレット19の四隅の角が描く円である。(以下、この円をパレット回転円CRという)。このパレット回転円CRの直径は、図3に矢印Dで示すものとなる(以下、パレット回転円CRの直径をパレット直径Dという)。前記したマスト15〜18は、このパレット直径Dの外側に設けられており、パレット19の旋回の邪魔にならないよう設定されている。
【0043】
次に、パレット19をリフト11と駐車層12との間で移載するパレット移載装置21について説明する。
【0044】
このパレット移載装置21は、上記した旋回装置23の旋回ベース69上に配設されており、またパレット19はこのパレット移載装置21の上部に搭載される。このパレット移載装置21としては、本出願人が先に出願した特公平7−29681号公報に開示された搬送装置を適用することができる。
【0045】
同公報に開示された搬送装置は、モータにより駆動される駆動車輪をパレット19の四隅位置に対応する位置に配設されている。パレット移載装置21に搭載されたパレット19は、この駆動車輪を駆動させることにより移動される。また、この四隅位置に配設された4個の駆動車輪は、アクチュエータにより90°回転可能な構成とされている。更に、駆動車輪の回転方向は正転及び逆転のいずれの方向に対しても行いうる構成となっている。従って、パレット19は、パレット移載装置21により直交する四方向に移動可能な構成となる。
【0046】
パレット移載装置21の具体的な動作について、図4を用いて説明する。
【0047】
図4は図1におけるB−B矢視図であり、特にパレット19(図4では、二点鎖線で示す)が後述する昇降装置22により2Fに上昇した状態を示している。同図に示すように、駐車層12の2Fにおいてリフト11の回りには、Y方向用パレット案内フレーム72,73及びX方向用パレット案内フレーム74,75が配設されている。
【0048】
各案内フレーム72〜75は、適宜位置にパレット移動ローラ34A及びパレット案内ローラ34Bが配設されている。パレット移動ローラ34Aはパレット移動モータ34Cが設けられており、パレット移動モータ34Cによりパレット移動ローラ34Aが駆動されることにより、パレット19を移動する構成とされている。
【0049】
いま、図4に示す状態において、パレット移載装置21がパレット19を矢印Y2方向に移動するよう駆動し、かつY方向用パレット案内フレーム72に設けられたパレット移動ローラ34Aが同様にパレット19を矢印Y2方向に移動するよう駆動した場合、パレット19はパレット移載装置21等によりリフト11からY方向用パレット案内フレーム72に移載される。
【0050】
これとは逆に、図1に二点鎖線で示すようにY方向用パレット案内フレーム72にパレット19が搭載されていた場合(図1では、パレット19に車両70が搭載された状態を二点鎖線で示している)において、Y方向用パレット案内フレーム72に設けられたパレット移動ローラ34Aが同様にパレット19を矢印Y1方向に移動するよう駆動し、かつパレット移載装置21がパレット19を同様に矢印Y1方向に移動するよう駆動した場合、パレット19はY方向用パレット案内フレーム72からパレット移載装置21等によりリフト11に移載される。
【0051】
上記の移載動作は、パレット移載装置21とY方向用パレット案内フレーム73との間(移載方向はY1,Y2方向)、パレット移載装置21とX方向用パレット案内フレーム74との間(移載方向はX1,X2方向)、及びパレット移載装置21とX方向用パレット案内フレーム75との間(移載方向はX1,X2方向)でも同様に行われる。
【0052】
よって、パレット19は、パレット移載装置21とY方向用パレット案内フレーム72との間、パレット移載装置21とY方向用パレット案内フレーム73との間、パレット移載装置21とX方向用パレット案内フレーム74との間、及びパレット移載装置21とX方向用パレット案内フレーム75との間で移載可能な状態となる。
【0053】
このように本実施例に係る機械式駐車場10では、パレット移載装置21が直交する四方向にパレット19を移載可能な構成であるため、リフト11と駐車層12との間において、直交する四方向に対してパレット19の移載が可能となる。尚、マスト15〜18は、パレット19がリフト11と駐車層12との間で移載される際、邪魔にならない位置に配設位置が設定されている。
【0054】
次に、主に図5〜9を参照し、パレット19を昇降させるための各種装置・機器について説明する。
【0055】
本実施例では、昇降装置22、第1及び第2のカウンタウエイト30,31、環状チェーン37〜40、連結チェーン41,42、及びスプロケット45〜52等を用いてパレット19を昇降動作させる構成としている。
【0056】
図5は、本実施例で適用したパレット19を昇降させるための各種装置等を概略的に示した図である。同図に示すように、リフトフレーム20(図5では、図示の便宜上1枚板のように示している)の四隅位置には、環状チェーン37〜40が接続されている。
【0057】
各環状チェーン37〜40は、その上部が第1歯車45A,47A,49A,51Aに巻架(噛合)されると共に下部がスプロケット46,48,50,52に巻架(噛合)された構成とされている。この環状チェーン37〜40は、第1歯車45A,47A,49A,51Aとスプロケット46,48,50,52との途中位置においてリフトフレーム20と接続されている。
【0058】
また、第1歯車45A,47A,49A,51Aは天井ビーム25に配設され、スプロケット46,48,50,52は後述するように昇降装置22に配設されている。これにより、リフトフレーム20は4本の環状チェーン37〜40にその四隅位置を支持された構成となる。
【0059】
次に、第1及び第2のカウンタウエイト30,31について説明する。
【0060】
この第1及び第2のカウンタウエイト30,31は、昇降されるパレット19,リフトフレーム20,パレット移載装置21等(以下、リフトフレーム等という)の総重量に基づきこれと対応する重さに設定されている。この第1及び第2のカウンタウエイト30,31の重力は、スプロケット45〜51を用いてリフトフレーム等の重量方向と反対側方向に向けリフトフレーム20に作用するよう構成される。
【0061】
ここで、リフトフレーム20のY1方向側の位置に注目すると、リフトフレーム20の図中Y1方向側に配設された環状チェーン39,40は、その途中位置に第1のカウンタウエイト30が設けられた構成とされている。よって、第1のカウンタウエイト30の重力は第1歯車49A及び第1歯車51Aを介してリフトフレーム20に伝達され、その作用する力はリフトフレーム20の重力に対して反対方向に作用する。これにより、リフトフレーム20のY1方向側の位置(一側部)においては、リフトフレーム20の重量は第1のカウンタウエイト30の重量により相殺される。
【0062】
これに対し、前記一側部に対して離間した、リフトフレーム20のY2方向側の位置(前記一側部と反対側の他側部)に注目する。この他側部に配設されている環状チェーン37,38は、その途中にカウンタウエイト30が設けられていない構成となっている。しかしながら本実施例では、第2のカウンタウエイト31を第1のカウンタウエイト30が配設された一側部に配設し、リフトフレーム20の前記他側部と第2のカウンタウエイト31とを連結チェーン41,42を用いて連結した構成としている。
【0063】
具体的には、連結チェーン41,42の一端部(図5における右側端部)はリフトフレーム20とY2方向側で接続している(接続点を図中Pで示す)。この連結チェーン41,42は、接続点Pから上方に延出した後に第2歯車45B,47Bで方向を転換されてY1方向へ延出し、更に第2歯車49B,51Bにより下方に向け延出方向を変換されて第2のカウンタウエイト31に接続した構成とされている。
【0064】
この構成とすることにより、第2のカウンタウエイト31の重力は、第2歯車49B,51B,45B,47Bを介してリフトフレーム20の位置Pに伝達され、その作用する力はリフトフレーム20の重力に対して反対方向に作用する。これにより、リフトフレーム20のY2方向側の位置(他側部)においても、リフトフレーム20の重量は第2のカウンタウエイト31の重量により相殺される。
【0065】
これにより、リフトフレーム20を水平状態にバランスさせることができ、パレット19の安定した昇降動作を実現させることができる。また、このようにリフトフレーム20の重量が第1及び第2のカウンタウエイト30,31の重量で相殺されることにより、後述する昇降装置22の出力を小さくすることが可能となる。
【0066】
また本実施例では、第1のカウンタウエイト30及び第2のカウンタウエイト31がリフト11(具体的にはリフトハウジング36)の一側部に集約的に配設されている。カウンタウエイトの配設位置では、カウンタウエイトが入出庫する車両70の邪魔にならないよう考慮する必要がある。しかしながら、本実施例のように複数のカウンタウエイト30,31を一側部に集約的に配置することにより、入出庫する車両70に対する考慮を行う箇所を少なくすることができる。
【0067】
更に、本実施例では、第1のカウンタウエイト30と第2のカウンタウエイト31がそれぞれ独立した構成となっている。このため、第1のカウンタウエイト30に接続される環状チェーン39,40の伸びと、第2のカウンタウエイト31に接続される連結チェーン41,42の伸びをそれぞれ別個に調整することができ、リフトフレーム20の前後の重量差等に起因して経時的に各チェーン39〜42に伸びの差が生じても、これを容易にカウンタウエイト30,31側で吸収させることができ、よってリフトフレーム20を水平に維持することができる。
【0068】
図6は、第1のカウンタウエイト30及び第2のカウンタウエイト31を拡大して示している。尚、図6では各カウンタウエイト30,31の約左半分を図示している。
【0069】
前記した説明から明らかなように、第1のカウンタウエイト30は、その上部に環状チェーン40が接続されると共に、下部にも環状チェーン40が接続されている。下部に位置する環状チェーン40は、第2のカウンタウエイト31に形成された貫通孔79に挿通され、第2のカウンタウエイト31の下方に延出する構成とされている。
【0070】
また、第2のカウンタウエイト31は、第1のカウンタウエイト30の下部に並んで配設されており、上部に連結チェーン42が接続されている。前記した第1のカウンタウエイト30の外側部にはガイド突起76が形成されており、第2のカウンタウエイト31のこれと対向する位置にはガイド溝77が形成されている。ガイド溝77は上下方向(Z1,Z2方向)に長く延在形成されており、ガイド突起76はこのガイド溝77に移動可能に係合した構成とされている。これにより、第1のカウンタウエイト30と第2のカウンタウエイト31とが上下方向に移動する際、互いに干渉したり両者間で衝突が発生したりすることを防止することができる。
【0071】
また、第2のカウンタウエイト31の外側部には案内ローラ78が設けられている。この案内ローラ78は、マスト17及びマスト18に係合するよう構成されている。よって、第1及び第2のカウンタウエイト30,31は、マスト17,18に案内されて上下移動する。このため、第1及び第2のカウンタウエイト30,31の移動は円滑に行われる。
【0072】
更に、第1のカウンタウエイト30と第2のカウンタウエイト31との間には、クリアランス35が形成されている。このため、各チェーン37〜42に伸びが発生しても、直ちにこれにより各カウンタウエイト30,31とが干渉することを防止でき、騒音の発生や各カウンタウエイト30,31の損傷を防止することができる。
【0073】
図7及び図8は、スプロケット45〜51の配設位置を拡大して示している(尚、図7ではスプロケット45,49のみを示している)。各図に示すように、スプロケット45〜51はマスト15〜18に支持された天井ビーム25に配設されている。このため、連結チェーン41,42は重量物であるリフトフレーム20及び各カウンタウエイト30,31の重力を受けることになるが、確実にこれを受けることができる。
【0074】
また、本実施例では、リフトフレーム20の位置P(図5参照)から第2のカウンタウエイト31まで連結チェーン41,42を引き回す必要がある。しかしながら、天井ビーム25の上部を利用して連結チェーン41,42を引き回しているため、連結チェーン41,42が他の構成の邪魔になるようなことはない。
【0075】
更に、第1歯車45Aと第2歯車45Bは同軸に配置した構成であり、同様に第1歯車47Aと第2歯車47Bも同軸に配置した構成である。即ち、各第1歯車45A,47A,49A,51Aと第2歯車45B,47B,49B,51Bは、図8に示すように同軸に配置されてスプロケット45〜51を構成している。本実施例では、環状チェーン37〜40に加え、連結チェーン41,42を設けた構成であるが、図8に示すような第1歯車と第2歯車を同軸に配置したスプロケット45〜51を用いることにより、各チェーン37〜42のコンパクトな配置を行うことができる。
【0076】
図9は、昇降装置22を示している。昇降装置22は図1及び図2に示すように、リフトフレーム20の下部に配設される。この昇降装置22は、フレーム61上にモータ60、駆動シャフト64,65、減速機62,63、及び連結シャフト66A,66B,67A,67B等を配設した構成されている。
【0077】
モータ60は前後双方向に出力可能なモータであり、一方の出力軸が駆動シャフト64に接続され、他方の出力軸が駆動シャフト65に接続されている。駆動シャフト64は、減速機62に接続されている。この減速機62では、モータ60の回転を減速し、連結シャフト66A,66Bの回転力として出力する。同様に、駆動シャフト65は、減速機63に接続されている。この減速機63では、モータ60の回転を減速し、連結シャフト67A,67Bの回転力として出力する。
【0078】
連結シャフト66Aは、減速機62と接続された端部と反対側の端部にスプロケット46が設けられている。このスプロケット46は、前記のように環状チェーン37が巻架される。連結シャフト66Bは、減速機62と接続された端部と反対側の端部にスプロケット48が設けられている。このスプロケット48は、前記のように環状チェーン38が巻架される。
【0079】
連結シャフト67Aは、減速機63と接続された端部と反対側の端部にスプロケット50が設けられている。このスプロケット50は、前記のように環状チェーン39が巻架される。連結シャフト67Bは、減速機63と接続された端部と反対側の端部にスプロケット52が設けられている。このスプロケット52は、前記のように環状チェーン40が巻架される。
【0080】
従って、モータ60が駆動することにより、駆動シャフト64,65、減速機62,63、連結シャフト66A,66B,67A,67Bを介して各スプロケット46,48,50,52が回転し、これに巻架されている環状チェーン37〜40を回転付勢する。これにより、環状チェーン37〜40に接続されたリフトフレーム20は昇降され、これに伴いリフトフレーム20に搭載されているパレット19も昇降する。
【0081】
次に、パレット19に積載された車両70を駐車層12に入庫する手順について説明する。
【0082】
尚、以下の説明においては、機械式駐車場10の設置スペースの関係から、車両70の乗降室29への入庫方向がX2方向に限定され(図13(B)参照)、かつ2Fの駐車層12においてパレット19がその長手方向がY1,Y2方向となるよう格納される例(図13(C)参照)について説明するものとする。
【0083】
図13(B)は、車両70を乗降室29に入庫する状態を示している。上記のように車両70は入庫方向がX2方向に限定されているため、入庫時において乗降室29のパレット19は長手方向がX1,X2方向となるよう設定されている。
【0084】
また、車両70が乗降室29に入庫する状態では、リフトフレーム20は昇降装置22により最下位置にある。図10は、リフトフレーム20が着床位置にある状態を示している。尚、この時におけるリフトフレーム20の位置を着床位置というものとする。
【0085】
この時、設置面13と連結フレーム20Bのフレーム上面20Cとの距離は図10(A)に矢印H1で示す距離となっており、またフレーム上面20Cと可動歩道27,28に設けられた当接部材83との距離はΔHとなっている。即ち,リフトフレーム20が着床位置に位置しているとき、フレーム上面20Cと当接部材83(可動歩道27,28)との間にはΔHの間隙が形成されている。また、リフトフレーム20が着床位置に位置した状態では、パレット19、可動歩道27,28、及び固定歩道43A〜43Dは乗降位置SLに位置し、よって略等しい高さとなっている。
【0086】
上記のようにリフトフレーム20が着床位置に位置した状態において、車両70は乗降室29に入庫し、パレット19上に積載される。この際、前記ようにパレット19、可動歩道27,28、及び固定歩道43A〜43Dは同一高さとなっており、よって乗降室29の歩道には段差は形成されておらず、車両70に対する搭乗者の降車及び乗降室29内の歩行を安全かつ円滑に行うことができる。
【0087】
車両70がパレット19に積載され、搭乗者が乗降室29から離れると、車両70を駐車層12に移動する処理が開始される。前記したように、本実施例の場合には、車両70の乗降室29に対する入庫方向がX1,X2であるのに対し、駐車層12におけるパレット19の格納方向はその長手方向がY1,Y2方向である。よって、乗降室29内或いはパレット19が2Fに上昇された状態においてパレット19を90°旋回させる必要がある。
【0088】
本実施例では、2Fでパレット19を回転させる構成では2Fに旋回スペースを設ける必要がありスペース効率が悪いため、乗降室29で旋回させる構成としている。しかしながら、パレット19の旋回位置は乗降室29に限定されるものではなく、機械式駐車場10の設置高さ条件等によっては駐車層12に設けても構わない。
【0089】
前記ように、パレット19の旋回は、旋回装置23を用いて行う。しかしながら、リフトフレーム20が着床位置に位置した状態では、パレット19、可動歩道27,28、及び固定歩道43A〜43Dの高さが略等しいため、この状態でパレット19を旋回させるとパレット19が各歩道27,28,43A〜43Dと干渉してしまい、旋回することができない。
【0090】
そこで本実施例では、パレット19を旋回させる際、リフト11を起動してリフトフレーム20をパレット19が旋回可能な位置まで上昇させる。具体的には、リフト11を構成する昇降装置22を起動し、スプロケット46,48,50,52を回転させ、これにより環状チェーン37〜40を移動させ、これによりリフトフレーム20を上昇させる。尚、このパレット19が旋回しうる状態におけるリフトフレーム20の位置を旋回可能位置というものとする。
【0091】
図11は、リフトフレーム20が旋回可能位置まで上昇した状態を示している。このように、リフトフレーム20が旋回可能位置まで上昇すると、昇降装置22は一端停止され、よってリフトフレーム20の上昇も停止される。
【0092】
この状態において、設置面13からのフレーム上面20Cの高さは、図11(A)に矢印H2で示す高さとなっている。このようにリフトフレーム20が旋回可能位置まで移動することにより、パレット19は乗降位置SLより上昇して、パレット19の旋回が可能となるパレット旋回位置(図11にTLで示す位置)まで上昇する。
【0093】
この際、パレット19が乗降位置SLからパレット旋回位置TLまで上昇するまでにリフトフレーム20が上昇する上昇距離HD(HD=H2−H1)は、リフトフレーム20が着床位置に位置していたときにおけるフレーム上面20Cと当接部材83との間隙ΔHよりも小さくなるよう設定されている(ΔH>HD)。即ち、リフトフレーム20が着床位置と旋回可能位置との間で昇降する際、リフトフレーム20は間隙ΔHの高さ範囲内で移動するよう構成されている。
【0094】
この構成とすることにより、リフトフレーム20が昇降動作しても、可動歩道27は設置面13に着床した状態(乗降位置SL)を維持し、リフトフレーム20に配設されたパレット19等の構成物のみが上昇させることができる。
【0095】
パレット19がパレット旋回位置TLまで上昇すると、旋回装置23が起動し、パレット19を90°回転させる。これにより、パレット19はその長手方向がY1,Y2方向に沿った状態となる。
【0096】
上記のようにパレット19の旋回処理が終了すると、再び昇降装置22が起動してリフトフレーム20は上昇を開始する。このリフトフレーム20の上昇に伴い、やがてフレーム上面20Cは可動歩道27,28に設けられている当接部材83に当接する。そして、更に20が上昇すると、可動歩道27,28はリフトフレーム20に係合した状態(具体的には、可動歩道27,28がリフトフレーム20に跨るように載った状態)となる。
【0097】
よって、これ以降のリフトフレーム20の上昇は、可動歩道27,28を載せた状態で行われることとなる。図12は、リフトフレーム20が可動歩道27,28を載せた状態で上昇している状態を示しており、フレーム上面20Cの設置面13からの高さがH3である状態を示している(H3>H1+ΔH)。
【0098】
このように、リフトフレーム20が旋回可能位置よりも上昇すると、リフトフレーム20は可動歩道27,28を載せた状態で上昇するが、前記のように可動歩道27,28の脚部82はリフトフレーム20に設けられたガイドローラ85に係合しているため、可動歩道27,28がリフトフレーム20上で移動したり、またリフトフレーム20から脱落したりするようなことはない。更に、リフトフレーム20が上昇する際、パレット19と可動歩道27,28は図12に矢印H4で示す距離だけ離間した状態を維持しつつ上昇する。
【0099】
やがてリフトフレーム20は、駐車層12の2Fに設けられたY方向用パレット案内フレーム72,73及びX方向用パレット案内フレーム74,75に対しパレット19を移載可能な位置(以下、リフトフレーム20のこの高さ位置を移載可能位置という)まで上昇する。リフトフレーム20が移載可能位置まで上昇すると、昇降装置22は停止され、リフトフレーム20は移載可能位置に位置決めされる。
【0100】
図4は、このリフトフレーム20が移載可能位置に位置決めされた状態を示している。この状態でパレット19の高さは、駐車棚設置スラブ33(図1,図2参照)上に設けられた各パレット案内フレーム72〜75の高さと対応する高さとなっている。また、前記のようにリフト11には直交する四方向にパレット19を移載可能なパレット移載装置21が設けられると共に、駐車層12の2Fに配設された各パレット案内フレーム72〜75にはパレット移動ローラ34A及びパレット案内ローラ34Bが設けられている。
【0101】
よって、本実施例に係る機械式駐車場10によれば、パレット移載装置21とY方向用パレット案内フレーム72との間、パレット移載装置21とY方向用パレット案内フレーム73との間、パレット移載装置21とX方向用パレット案内フレーム74との間、及びパレット移載装置21とX方向用パレット案内フレーム75との間でパレット19を移載することが可能となる。
【0102】
このように本実施例に係る機械式駐車場10は、リフト11と駐車層12との間でパレット19を直交する四方向に移載することが可能となるため、機械式駐車場10を設置する際、リフト11及び駐車層12のレイアウトの自由度を高めることができる。
【0103】
また、リフト11に搭載されるパレット移載装置21を必ずしも四方向移載に限定的に用いる必要はなく、例えば図13(C)に符号11Aで示す位置にリフト11を設けた場合、リフト11を二方向移載のリフトとして用いることができ、また符合11Bで示す位置にリフト11を設けた場合には、リフト11を三方向移載のリフトとして用いることができる。
【0104】
更に、本実施例に係る機械式駐車場10は、リフト11に設けられているリフトフレーム20及び昇降装置22等を利用してパレット19に対して相対的に可動歩道27,28を上下動させることが可能であるため、可動歩道27,28を移動させるために新たな駆動装置を設ける必要はなく、機械式駐車場10の低コスト化を図ることができる。
【0105】
尚、上記した実施例では、パレット移載装置21として特公平7−29681号公報に開示された搬送装置を適用した例を示したが、パレット移載装置21はこれに限定されるものではなく、パレット19を回転できる構成であれば、他の搬送装置を用いることも可能である。
【0106】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。
【0107】
具体的には、本発明は旋回装置を有していない機械式駐車場に対しても適用することができ、旋回装置を有していなくてもパレットをリフトと駐車層との間で直交する四方向に移載することができる。
【0108】
また、本実施例ではパレットを90°旋回させる構成としているが、パレットを180°旋回させる構成とすることもでき、この構成では可動歩道を設ける必要はなくなる。
【符号の説明】
【0109】
10 機械式駐車場
11 リフト
12 駐車棚
13 設置面
15〜18 マスト
19 パレット
20 リフトフレーム
21 パレット移載装置
22 昇降装置
23 旋回装置
25 天井ビーム
27,28 可動歩道
29 乗降室
30 第1のカウンタウエイト
31 第2のカウンタウエイト
33 駐車棚設置スラブ
35 クリアランス
37〜40 環状チェーン
41,42 連結チェーン
43A〜43D 固定歩道
45〜52 スプロケット
60 昇降用モータ
70 車両
71 旋回用モータ
81 歩道面
82 脚部

O:パレット回転中心
D:パレット直径
CR:パレット回転円
SL:乗降位置
TL:パレット旋回位置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が積載されるパレットと
該パレットと共に前記車両が駐車される駐車層と、
前記パレットが搭載されるリフトフレームと、前記リフトフレームをチェーンを介して昇降駆動する昇降装置とを有するリフトと、
前記パレットを前記駐車層に移載するパレット移載装置とを有しており、
前記リフトの前記昇降装置に、前記リフトフレームを昇降可能に支持する複数のマストよりなるリフトハウジングと、前記リフトハウジングの一側部に配設された複数のカウンタウエイトとを設け、
前記カウンタウエイトは、
前記リフトフレームの一側部に接続される第1のカウンタウエイトと、
前記一側部と反対側の前記リフトフレームの他側部に接続されると共に前記第1のカウンタウエイトに対して独立な構成とされた第2のカウンタウエイトとを有し、
前記リフトフレームの四隅位置には、環状チェーンを接続し、
前記環状チェーンは、その上部が第1歯車に巻架されると共に下部がスプロケットに巻架され、
前記環状チェーンは、前記第1歯車と前記スプロケットの途中位置において前記リフトフレームと接続され、
前記環状チェーンは、その途中位置に前記第1のカウンタウエイトを設け、
連結チェーンの一端部は前記リフトフレームと接続し、前記連結チェーンは、接続点から上方に延出した後に第2歯車により下方に向け延出方向を変換されて前記第2のカウンタウエイトに接続したことを特徴とする機械式駐車場。
【請求項2】
前記第1のカウンタウエイトと前記第2のカウンタウエイトとの間にクリアランスを設けたことを特徴とする請求項1記載の機械式駐車場。
【請求項3】
前記第1のカウンタウエイトの下部に前記第2のカウンタウエイトを並んで配設し、前記第1のカウンタウエイトの下部に接続された前記チェーンが前記第2のカウンタウエイトに形成された貫通孔に挿通されることにより下方に延出する構成としたことを特徴とする請求項2記載の機械式駐車場。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−40560(P2013−40560A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−224121(P2012−224121)
【出願日】平成24年10月9日(2012.10.9)
【分割の表示】特願2010−75238(P2010−75238)の分割
【原出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】