説明

機械式駐車装置の扉装置

【課題】断面が凹形状の溝を有するガイドレールを敷設しても、溝に入った異物を常に除去することができ、車両がガイドレール上に乗り上げることなく車高検出センサを通過することができ、車高検出センサが正確な制限範囲内の大きさの車両を判別でき、ガイドレールを通過する際に騒音や振動を発生させず、扉の閉鎖時に安定性があり、長期使用にも耐えられる機械式駐車装置の扉装置を提供する。
【解決手段】横開きに開閉移動する機械式駐車装置の扉装置21であって、上から吊り上げられ機械式駐車装置の内部と外部を遮断する扉27と、扉27に係合する溝29を有するガイドレール31とから構成され、ガイドレール31の上面31aはフロア41と同じ高さであり、扉27は、扉27の下面51に設置され溝29に係合し溝29の底29aより底面25aが高い突出部25と、突出部25の底面25aに設置され先端が溝29の底29aに接する掃き具23とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置に係り、さらに詳しくは、機械式駐車装置の車両出入り口に設けられる扉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機械式駐車装置は、地上に建設した建屋内部や、地下に形成した空間に機械装置を配設し、多数の車両を立体的に格納する設備であり、エレベータ方式、くし型エレベータ方式、垂直循環方式、多層循環方式、水平循環方式、平面往復方式等、様々な方式が用いられている。これらいずれの方式の機械式駐車装置においても、車両が機械式駐車装置に乗り込むための出入り口となる入出庫部を備えている。
機械式駐車装置が設置される駐車場、特に立体駐車場においては、消火設備を設け、火災時には電源が破壊されても扉が消火設備の信号により自動的に閉じる構造となっていることが法的に義務付けられている。そのため、機械式駐車装置の入出庫部に設けられた扉は、上から吊り上げられて閉じる方向に移動され、車両の入出庫時以外は機械装置が配設された内部と外部とが遮断されるようになっている。
【0003】
機械式駐車装置の扉の方式は大別して、扉が上下方向に開閉する上開き方式と、扉が左右に開閉する横開き方式とがあり、電動機等により駆動されて開閉動作を行う。横開き方式においては、特許文献1や特許文献2に記載されているように、扉本体の下部をガイドするために凸形状や凹形状のガイドレールをフロア上に敷設し、扉本体の一部がこれらのガイドレールに係合して誘導されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−138076号公報
【特許文献2】特開平7−259422号公報
【特許文献3】特開2007−177429号公報
【特許文献4】特開2009−52307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、駐車場に管理人を配置しない、いわゆる無人の駐車場の需要が増えている一方、断面が凹形状のガイドレールを用いた場合には、溝にごみなどの異物が入りやすいため、常に溝を点検し異物の除去を行わなければならない。すなわち、断面が凹形状のガイドレールを採用する際には、管理人の配置が必須であった。
そのため、図1の(A)に示すような、溝1を扉3の下面に設け、フロア5上に敷設されるガイドレール7として、断面が凸形状のレールを使用することが一般的であった。
【0006】
また、入出庫部には、車両が機械式駐車装置に入庫可能な車高であるか否かを判別するための、車高検出センサが設置されている。しかし、凸形状のガイドレール7を採用した場合、車両が入出庫部を通過するためには、凸形状のガイドレール7上に乗り上げる必要がある。そのため、制限範囲内の車高の車両であるにもかかわらず、凸形状のガイドレール7上に乗り上げることにより車両が車高検出センサに検出され、入庫することができないことがあった。
【0007】
また、凸形状のガイドレール7上を車両が通過する際に騒音が発生すると共に車両にも振動が発生するため、車両の運転者に不快感や不安感を与えるという問題があった。
【0008】
さらに、長期に使用することにより、車両から受けた荷重により、ガイドレール7が変形するという問題があった。
【0009】
そこで、このような問題を解決するために、車両の左右のタイヤが通過する範囲にガイドレール7を敷設せず、前記範囲の両外側と前記範囲の内側とに分割して凸形状のガイドレール7を敷設した機械式駐車装置の扉装置が既に提案されている(特許文献3)。
【0010】
また、図1の(B)に示すように、車両のタイヤが通過する範囲に、弾性体11の弾性力により出没可能な凸形状の可動ガイドレール13を設けた機械式駐車装置の扉ガイドレールが既に提案されている(特許文献4)。
【0011】
しかし、特許文献3の扉装置では、扉3が閉鎖したときに扉3の下に形成された溝1の両端から一部のみがガイドレール7と係合する構造となっている。そのため、閉鎖時に車両がぶつかった場合や火災時に扉の安定性が悪くなるおそれがあった。
【0012】
また、特許文献4の機械式駐車装置の扉15のガイドレールでは、弾性体11の弾性力に頼って凸形状の可動ガイドレール13の可動ガイド17を突出させているため、長期に使用することにより、弾性体11の弾性力が弱くなり、可動ガイド17が突出しなくなるおそれがあった。
また、勢いよく車両が入出庫することにより、可動ガイド17が外れるおそれがあった。
さらに、可動ガイド17と下枠体19との間に、小石や砂利などの固いゴミが挟まることにより、可動ガイド17がうまく出没できなくなるおそれがあった。
【0013】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、無人の駐車場であってもガイドレールの溝に入った異物を常に除去でき、車両がガイドレール上の突起物に乗り上げることなく車高検出センサを通過することができ、車高検出センサが正確に制限範囲内の車高の車両を判別でき、ガイドレールを通過する際に騒音や振動を発生させず、扉の開閉に安定性があり、長期使用にも耐えられる機械式駐車装置の扉装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、横開きに開閉移動する機械式駐車装置の扉装置であって、
上から吊り上げられ前記機械式駐車装置の内部と外部を遮断する扉と、
前記扉に係合する溝を有するガイドレールとから構成され、
前記ガイドレールの上面はフロアと同じ高さであり、
前記扉は、前記扉の下面に設置され前記溝に係合し前記溝の底より底面が高い突出部と、
前記突出部の前記底面に設置され先端が前記溝の前記底に接する掃き具とを備える、ことを特徴とする機械式駐車装置の扉装置が提供される。
【0015】
また、本発明の実施形態によれば、前記底の所定の位置に穴が開いており、
前記穴は前記穴の下の前記フロアに設けられた空間である集塵箱に連通しており、
前記扉の開閉時に前記掃き具に集塵された前記溝上の塵が前記穴に落とされる。
【0016】
もしくは、本発明の別の実施形態によれば、前記掃き具は前記突出部の底面の端部に備えられ、
前記溝の両端から一定の範囲内の前記底の深さは、前記溝の両端に近づくに従いテーパ状に浅くなり、
前記両端は前記フロアと同じ高さにある。
【0017】
さらには、前記ガイドレールの長手方向の中心から一定の範囲内の前記溝の深さは、前記中心に近づくに従いテーパ状に浅くなる。
【発明の効果】
【0018】
上記本発明の装置と方法によれば、フロアには断面が凹形状の溝を有するガイドレールが敷設され、扉の下面に設けられた突出部がガイドレールの底に接触しない高さでガイドレールの溝に係合し、溝の底に先端が接触する掃き具(ブラシやゴムの平板)を突出部の底面に設けてあるので、フロアに断面が凹形状の溝を有するガイドレールを敷設しても、溝に入った塵などの異物を常に除去することができる。そして、駐車場の管理人が居ない、いわゆる無人の機械式駐車装置のフロアにも、断面が凹形状のガイドレールを敷設することができる。
【0019】
また、駐車装置のフロアに敷設されたガイドレールの上面は、フロアと同じ高さであり、ガイドレール上にフロアより高さが突出したものがないため、制限範囲内の大きさの車両がフロアより高さが突出したものに乗り上げて、車高検出センサに誤感知されることはない。そのため、車高検出センサが正確な制限範囲内の大きさの車両を判別できるとともに、ガイドレール上を車両が通過する際に騒音が発生したり、車両に振動が発生したりすることはなく、車両の運転者に不快感や不安感を与えずにすむ。
さらに、ガイドレールにフロアから高さが突出したものがないため、長期に使用しても、車両から受けた荷重により、ガイドレールが変形することはない。
【0020】
さらに、扉の突出部は、扉の下面の一端から他端まで形成され、ガイドレールの溝に係合するので、閉鎖している扉に車両が衝突した場合や火災の場合にも扉の安定性が確保され、機械装置が配設された内部と外部とを確実に遮断することができる。

【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来の機械式駐車装置の扉とガイドレールの説明図である。
【図2】本発明の第1実施形態による機械式駐車装置の扉装置の外観図である。
【図3】図2のA−A矢視図である。
【図4】図3(A)の断面図及び矢視図である。
【図5】本発明の第1実施形態の扉装置のガイドレールと集塵箱の説明図である。
【図6】本発明の第1実施形態の使用説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態の使用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0023】
図2は、本発明の第1実施形態による機械式駐車装置の扉装置21の外観図である。
本発明の機械式駐車装置の扉装置21は、上述した2つの機械式駐車装置の扉の方式のうち、横開き方式に使用するものである。
機械式駐車装置の扉装置21は、上から吊り上げられ機械式駐車装置の内部と外部を遮断する扉27と、扉27に係合する溝29を有するガイドレール31(図4参照)とから構成される。以下、機械式駐車装置の扉装置21を単に「扉装置21」と呼ぶ。
【0024】
駐車場の利用者は、自ら操作盤33を操作することにより、入出庫部35の扉27を開き、車両を機械式駐車場内に入れることができる。車両が入出庫部35を通過する際、入庫可能な車高の車両か否かを確認するために、入出庫部35に車高検出センサが設置されている。車高検出センサは、入庫車両の高さを制限する高さにおいて、水平方向に光37を射出する発光部37aと、その光37を受光し、制限範囲を超える車高の車両が通過し光37が遮られることにより、制限範囲を超える車高の車両を感知する受光部37bとを有する。
【0025】
この図において、扉装置21は、4枚の扉27が横開きするものである。以下、4枚の扉27のうち、扉27の移動方向に対して内側に配置されたものを「内側扉27a」、外側に配置されたものを「外側扉27b」とする。
本実施形態において、扉はX−X線を中心に左右に分かれ、左右の格納庫39に格納される。すなわち、X−X線の右の内側扉27aと外側扉27bの双方が右の格納庫39に格納され、左も同様のことが行われる。
なお、例えば、ガイドレール31の溝29の本数を増やしたり、ガイドレール31(図3参照)の溝29の長さを長くしたりすることにより、Y−Y線を中心に左右に分かれる等、4枚の扉が3枚と1枚とに左右に分かれて格納されても良い。また、4枚の扉全てを一方の格納庫39に格納しても良い。
さらには、本発明の扉装置21の扉27の枚数は1枚から4枚が好ましいが、横開きにスライドする扉27であれば、何枚でもよい。
【0026】
扉27は、水平方向に左右に往復自在に吊持されている。扉27の吊持の方法は、火災時に閉じる方向に自動的に閉じる構造となっていれば、どのような方法でもよい。
【0027】
また、扉27の下方にあたるフロア41には、扉27の軌道に沿って、ガイドレール31が敷設されている。
【0028】
図3は図2のA−A矢視図である。(A)は扉27の閉鎖時の扉装置21の説明図、(B)は扉27の開放時の扉装置21の説明図である。
また、図4は、図3(A)の断面図及び矢視図である。(A)は図3(A)のB−B断面図であり、(B)は図3(A)のC−C矢視図である。
図3(A)において、扉27の閉鎖時、内側扉27aはガイドレール31の中心で閉鎖する。その中心付近にあたる内側扉27aの内側端面43には、ゴム等の弾性材47が付けられている。そして、扉の閉鎖時に左右の内側端面43の弾性材47が噛み合い、機械式駐車装置の内部と外部を隙間なく遮断する。以下、扉の開閉方向に対してガイドレール31の中心側にあたる扉の縁を内側端面43とし、その反対側の縁を外側端面45とする。
内側扉27aの車両通過方向の外部側には、外側扉27bが配置されている。外側扉27bは扉の閉鎖時に、外側扉27bの内側端面43から一定の距離にあたる部分が内側扉27aの外側端面45から一定の距離にあたる部分と重なる。
すなわち、扉27の閉鎖時、外側扉27bと内側扉27aは一部重なるようになっている。
また、扉27の閉鎖時、外側扉27bは外側端面45から一定の距離にあたる一部が、外壁49と重なるようになっている。
【0029】
一方、図3(B)に示すように、扉27の開放時には、内側扉27aと外側扉27bの双方が格納庫39に収納される。
すなわち、閉鎖時にガイドレール31の中心で内側端面43を互いに接していた左右の内側扉27aは開放時に約扉2枚分ガイドレール31を水平移動し、格納庫39に収まる。
同じく、外側扉27bは開放時に、約扉1枚分ガイドレール31を水平移動し、格納庫39に収まる。
このように、扉27の開放時には内側扉27aと外側扉27bの二枚の扉が格納庫39内で重なるようになっている。
【0030】
また、図4(A)に示すように、扉27は、扉27の下面51に設置され溝29に係合し、溝29の底29aより底面25aが高い突出部25と、突出部25の底面25aに設置され、先端が溝29の底29aに接するブラシ又はゴムの平板である掃き具とを備える。
すなわち、各扉27の下面51には、扉27の移動方向に沿って突出部25が形成されており、ガイドレール31の溝29に係合している。そして、突出部25がガイドレール31の溝29に係合することにより扉27がガイドレール31に係合する。
これにより、吊持された扉27は風等に揺れることなく、安定してガイドレール31上に吊持される。そして、車両の入出庫時以外は機械装置が配設された機械式駐車装置の内部と外部とを安定した扉にて遮断することができる。
突出部25は底面25aが、ガイドレール31の溝29の底29aよりも高い位置になるよう設定されている。また、扉の下面51は、フロア41の高さより一定の距離高くなるように、扉27が吊持されている。
突出部25の長手方向の長さは、扉27の移動方向における扉27の長さと同じであり、形は矩形であることが望ましい。しかし、長さは扉27の前記長さより短くてもよい。また、突出部25の端部の高さを漸減し、テーパ状に形成しても良い。
また、突出部25は扉27と一体に形成されているのが好ましいが、扉27と別に形成され、扉27に固定されていても良い。
また、本実施形態は扉27の突出部25が溝29と係合するが、扉27全体が突出部の厚み(車両通過方向の幅)で形成され、扉27自体が溝29と係合し、扉27の下面51に掃き具23を備えていても良い。
【0031】
図3の破線による矩形、及び図4に示すように、突出部25の底面25aの長軸方向の両端(突出部25の底面25aの端部)には、掃き具23が備え付けられている。
掃き具23は先端がガイドレール31の溝29の底29aに接する長さである。すなわち、掃き具23の毛の長さは、突出部25の底面25aからガイドレール31の溝29の底29aまでの距離より長いことが必要である。
また、掃き具23はブラシであることが好ましい。ブラシの素材は、ナイロン等の化繊、馬毛、豚毛、山羊毛等の獣毛、パキン、シダ、パーム等の植物繊維、真鍮等の金属等、硬く弾性のある素材であればいずれでもよい。
また、掃き具23は突出部25の底面25aに直接備え付けられていても良い。もしくは掃き具23に金具を取り付け、その金具が突出部25に取り外し可能に備えられていても良い。
さらに、本実施形態では、掃き具23は突出部25の端部にのみ備え付けられているが、これに限らない。すなわち、突出部25の底面25aの全面に掃き具23を取り付けても良い。
また、掃き具23はブラシの代わりに弾力性のあるゴムの平板を用いても良い。その場合、ゴムの平板の面が扉27の進行方向と垂直になるように取り付けることが好ましい。また、ゴムの平板は1枚でもよいが、複数枚を取り付けることが望ましい。
【0032】
図5は本発明の第1実施形態の扉装置21のガイドレール31と集塵箱53の説明図である。(A)は扉を省略した図2のA−A矢視図であり、(B)は(A)のD−D斜視図、(C)は(A)のE−E斜視図である。
図5(A)に示すように、ガイドレール31に形成されている溝29には、車両通過方向に対して機械式駐車装置の内部側にある内レール29bと、外部側にある外レール29cがある。内レール29bには内側扉27aが係合され、外レール29cには外側扉27bが係合される。
内レール29bの長手方向の長さは、扉が格納庫39に格納された時の、一方の内側扉27aの外側端面45から他方の内側扉27aの外側端面45までの距離より長く設定されている。
また、外レール29cは、一端を扉27の移動方向における内レール29bの両端と同じにし、他端は扉の移動方向において閉鎖時の外側扉27bの内側端面43より所定の長さだけ中央まで伸びている。すなわち、内レール29bは一端から他端まで一本の溝29によって形成されているが、外レール29cは二本の溝29により形成され、ガイドレール31の中央付近には外レール29cを形成しない。
【0033】
また、図5(B)と(C)に示すように、内レール29bと外レール29cは、断面が凹形状の溝29となっており、その溝29の上辺(すなわち、ガイドレール31の上面31a)は、フロア41と同じ高さに設定されている。
これにより、入出庫部35を車両が通過する際に、車両がフロア41よりも高い突起物に乗り上げることはなくなり、正確に車高検出センサで車高を検出することができる。
また、ガイドレール31には突起したものがないため、ガイドレール31上を車両が通過する際にも騒音や振動が発生せず、車両の運転者に不快感や不安感を与えない。
さらに、ガイドレール31には突起したものがないことにより、長期に使用しても、車両から受けた荷重によりガイドレール31が変形する心配がない。
【0034】
ガイドレール31の溝29(内レール29b及び外レール29c)の底29aの所定の部位には、掃き具23が集めた塵を落とすための穴29dが形成されている。所定の部位とは、扉27の開放時に掃き具23が溝29の底29aと接する部位と、扉27の閉鎖時に内側扉27aの内側端面43の掃き具23が溝29の底29aと接する部位である。穴29dの形状は矩形、楕円、円等のいずれでもよい。好ましくは穴29dの大きさは、掃き具23がガイドレール31の溝29の底29aに接する面積よりも大きいほうがよい。
【0035】
ガイドレール31の溝29の穴29dの下には、フロア41がくり抜かれて設けられた空間が集塵箱53として設けられている。ガイドレール31の溝29の穴29dのある位置にあたるフロア41には、上面が開放口53aとしてフロア41に開放され、かつガイドレール31の溝29の穴29dと連通した空間を設けている。以下、この空間を集塵箱53とする。好ましくは、集塵箱53の形状は直方体の空間がよい。また、集塵箱53の底面の矩形の幅は、ガイドレール31の幅より長いことが好ましい。
図5(C)に示すように、集塵箱53の一部はガイドレール31により覆われる。そして、機械式駐車装置の使用時には、ガイドレール31に覆われていない開放口53aに蓋53bを設け、駐車装置の利用者が躓かないようになっている。蓋53bには、指や棒を引っ掛けて蓋53bを外すための切り欠きが設けられていることが好ましい。蓋53bを外すための構造はこれ以外の構造でもよい。
以下、説明のため、集塵箱53を左から順に、集塵箱53p、53q、53r、53s、53tとする。
【0036】
また、ガイドレール31の下の、集塵箱53がない部位には、所定の距離を離して、留め具55が設置されている。留め具55はガイドレール31を固定するためのものである。留め具55の断面はコの字型の形状であることが好ましいが、その他の形状でもよい。
【0037】
図6は本発明の第1実施形態の使用説明図である。(A)は図3(A)のF−F断面図、(B)は図3(B)のG−G断面図である。また、(C)は図3(A)のH−H断面図、(D)は図3(B)のI−I断面図である。
すなわち、図6(A)は閉鎖時の内側扉27a、(B)は開放時の内側扉27aを表し、(C)は閉鎖時の外側扉27b、(D)は開放時の外側扉27bを表す。
例えば、左の内側扉27aにおいて、閉鎖時に内レール29bに溜まった、埃、小石、落ち葉等の塵57は、開放時に外側端面45の掃き具23によって集塵され、集塵箱53pまたは53qに通じる穴29dに落とされる。右の内側扉27aも同様に、外側端面45の掃き具23によって塵57を集塵し、集塵箱53sまたは53tに塵57を落とす。
一方、車両が入出庫部35を通過する際に内側扉27aが開放し、内レール29bに溜まった塵57は、再び閉鎖する際に左右の内側扉27aの内側端面43にある掃き具23によって集塵され、集塵箱53rに通じる穴29dに落とされる。
同様に、例えば外側扉27bにおいて、閉鎖時に外レール29cに溜まった塵57は、開放時に外側端面45の掃き具23によって集塵され、集塵箱53pまたは53qに通じる穴29dに落とされる。右の外側扉27bも同様に、外側端面45の掃き具23によって塵57を集塵し、集塵箱53sまたは53tに塵57を落とす。
一方、外側扉27bが開放後、外レール29cに溜まった塵57は、再び閉鎖する際に左右の外側扉27bの内側端面43にある掃き具23によって集塵され、外レール29cの中央端29eに集まる。そして、再度外側扉27bが開放したときに、中央端29eに集められた塵57は内側端面43の掃き具23によって運ばれ、集塵箱53q、53sに通じる穴29dに落とされる。
なお、外側レールの中央端29eを、溝29の深さが漸減するようテーパ状にすることにより、中央端29eに集められた塵57を閉鎖時の扉の勢いのついた内側端面43の掃き具23によって掃き飛ばしても良い。
【0038】
図7は本発明の第2実施形態の使用説明図である。(A)は扉を省略した図2のA−A矢視図である。(B)と(C)において、Z−Z線より左側は扉の閉鎖時を表し、右側は扉の開放時を表す。そして、(B)は図7(A)のJ−J断面図、(C)は図7(A)のK−K断面図である。
本発明の第2実施形態は、図7(A)に示すように、集塵箱53を有さない。溝29の両端から一定の範囲内の底29aの深さは、溝29の両端に近づくに従いテーパ状に浅くなり、その両端はフロア41と同じ高さになる。また、内レール29bは、ガイドレール31の長手方向の中心から一定の範囲内の溝29の深さは、中心に近づくに従いテーパ状に浅くなる。
すなわち、図7(B)に示すように、内レール29bの両端付近の溝29の深さはテーパ状に浅くなり、内レール29bの両端はフロア41と同じ高さとなっている。また、内レール29bの中央付近の溝29の深さも、内側扉27aの閉鎖時に突出部25に内レール29bの底29aが衝突しない高さまでテーパ状に浅くなっている。
同様に、図7(C)に示すように、外レール29cの外側端29f付近と中央端29e付近の溝29の深さはテーパ状に浅くなり、外レール29cの外側端29fと中央端29eはフロア41と同じ高さとなっている。なお、内レール29b、外レール29cの双方とも、溝29の底29aのテーパ形状は扉の突出部25にレール底29aが衝突しないようになっている。
【0039】
この第2実施形態のレールの形態により、図7(B)のZ−Z線より右側に示すように、内側扉27aは扉27の開放時に外側端面45の掃き具23で内レール29bの塵57を集塵し、扉27の開放に伴う勢いによりレールの外に塵57を掃き飛ばす。また、図7(B)のZ−Z線より左側に示すように、扉の閉鎖時には、左右の内側扉27aが内側端面43の掃き具23で内レール29bの塵57を集塵し、扉27の閉鎖に伴う勢いにより内レール29bの前後に塵57を掃き飛ばす。
同様に、図7(C)のZ−Z線より右側に示すように、外側扉27bも開放時には外側端面45の掃き具23で外レール29cの外側端29fから塵57を掃き飛ばす。そして、図7(C)のZ−Z線より左側に示すように、扉の閉鎖時には内側端面43の掃き具23で外レール29cの中央端29eから塵57を掃き飛ばす。
なお、その他の点は、第1実施形態と同様である。
【0040】
上述した本発明の装置によれば、ガイドレール31の上面31aとフロア41が同じ高さであり、ガイドレール31の上面31aより上に突出しているものがないため、車両が入出庫部35で突起物に乗り上げる必要がなく、フロア41と同じ高さを走行することができる。それにより、入出庫部35に設置された車高検出センサを正確に作動させることができる。
【0041】
また、ガイドレール31上に突出したものがないため、車両が通過する際に騒音や振動が発生せず、車両の運転者に不快感や不安感を与えることもない。
【0042】
さらに、ガイドレール31上に突出したものがないことにより、車両から受けた荷重にも強く、長期使用によってガイドレール31が変形することがない。
【0043】
さらに、突出部25は扉の下面51において一端から他端まで形成され、ガイドレール31に係合するので、閉鎖時に扉の安定性が確保され、火災時には機械装置が配設された内部と外部とを確実に遮断することができる。
【0044】
さらに、ガイドレール31の溝29に入った塵57は、扉が開閉する毎に集塵箱53へ落とされ、もしくはレールの外に掃き飛ばされるので、管理人が毎日レールを掃除する必要がない。そのため、機械式駐車装置の扉装置21のメンテナンスは、2〜3カ月に1度の機械式駐車装置の点検時に、集塵箱53内の清掃もしくは、ガイドレール31付近の清掃を行うのみでよい。これにより、常に機械式駐車装置に管理人を配置する必要がなく、人件費を削減することができる。
【0045】
なお本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
21 機械式駐車装置の扉装置、23 掃き具、25 突出部、25a 底面,
27 扉、27a 内側扉、27b 外側扉
29 溝、29a 底、29b 内レール、29c 外レール,29d 穴、
29e 外側レールの中央端、29f 外側レールの外側端
31 ガイドレール、35 入出庫部、37 車高検出センサの光、39 格納庫、
41 フロア、43 内側端面、45 外側端面、53 集塵箱,55 留め具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横開きに開閉移動する機械式駐車装置の扉装置であって、
上から吊り上げられ前記機械式駐車装置の内部と外部を遮断する扉と、
前記扉に係合する溝を有するガイドレールとから構成され、
前記ガイドレールの上面はフロアと同じ高さであり、
前記扉は、前記扉の下面に設置され前記溝に係合し前記溝の底より底面が高い突出部と、
前記突出部の前記底面に設置され先端が前記溝の前記底に接する掃き具とを備える、ことを特徴とする機械式駐車装置の扉装置。
【請求項2】
前記底の所定の位置に穴が開いており、
前記穴は前記穴の下の前記フロアに設けられた空間である集塵箱に連通しており、
前記扉の開閉時に前記掃き具に集塵された前記溝上の塵が前記穴に落とされる、ことを特徴とする請求項1に記載の機械式駐車装置の扉装置。
【請求項3】
前記掃き具は前記突出部の底面の端部に備えられ、
前記溝の両端から一定の範囲内の前記底の深さは、前記溝の両端に近づくに従いテーパ状に浅くなり、
前記両端は前記フロアと同じ高さにある、ことを特徴とする請求項1に記載の機械式駐車装置の扉装置。
【請求項4】
前記ガイドレールの長手方向の中心から一定の範囲内の前記溝の深さは、前記中心に近づくに従いテーパ状に浅くなる、ことを特徴とする請求項1又は3に記載の機械式駐車装置の扉装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−144953(P2012−144953A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6162(P2011−6162)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000198363)IHI運搬機械株式会社 (292)