説明

機械式駐車装置

【課題】高い収容率で使用できる機械式駐車装置を実現でき、収容車両(例えばレンタカー)を手軽に利用(借りる)ことができるようにする。
【解決手段】駐車可能な車両1の最大寸法が互いに異なる複数の駐車エリア3a〜3dを有する機械式駐車装置10であって、登録車両1毎に該登録車両の識別情報と駐車エリアとが互いに関連付けられている登録データを記憶する記憶装置17と、各駐車エリアと所定の入・出庫位置との間で登録車両を搬送する搬送装置19と、搬送装置19を制御する制御装置21と、を備え、各登録車両の入・出庫時に該登録車両の識別情報が制御装置21に入力され、該識別情報と登録データとに基づいて、該識別情報と関連付けられた駐車エリアと入・出庫位置との間で該登録車両を搬送させる制御を、制御装置21が搬送装置19に対して行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機械式駐車装置では、例えば、図6に示すように、駐車棚5、ケージ7などを備える。駐車棚5は、車両1が格納されるものであり、上下に複数段配置される。ケージ7は、上下複数段の駐車棚5に隣接する昇降路9内を上下に昇降させられる。ケージ7には、車両1が積載されるパレット15が積載される。このような構成で、例えば、入出庫階(例えば地上階)において、ケージ7上のパレット15に車両1が自走して乗り込み、次いで、このケージ7が、所定階の駐車棚5の高さまで上昇し、パレット15ごと車両1を当該駐車棚5へ引き渡す。ケージ7と各駐車棚5との間でのパレット受け渡しは、図示しない横行装置によりなされる。このような機械式駐車装置は例えば下記特許文献1に記載されている。
【0003】
また、図6に示すような上下複数段の駐車棚5を含む構成を1つの駐車エリアとして、この駐車エリアを前後方向(図6の紙面と垂直な方向)に複数配置した機械式駐車装置もある。
【0004】
ところで、近年、特に首都圏においては、車以外の交通網が整備されているだけでなく、駐車場の費用が高く、平日には車を利用しない等の背景から、若年層に車離れが見られる。また、ガソリンコストの上昇も、車離れの背景となっている。このような背景に合った自動車レンタカーシステムの開発が期待される。自動車レンタカーシステムは例えば下記特許文献2に記載されている。
【特許文献1】特開2005−330702号公報
【特許文献2】特開2005―25630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した複数の駐車エリアを有する機械式駐車装置では、大型車も小型車を同じ駐車エリア(駐車棚)に格納すると、小型車を格納した場合、大きな余裕スペースが生じる。この場合、低い車両収容率で駐車装置を使用することになる。従って、高い収容率で使用できる機械式駐車装置が望まれる。
【0006】
また、機械式駐車装置を用いたレンタカーシステムが考えられる。この場合、車両をより手軽に借りることができるレンタカーシステムが望まれる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、高い収容率で使用できる機械式駐車装置を提供することにある。また、本発明の別の目的は、収容車両(例えばレンタカー)を手軽に利用(借りる)ことができるようにする機械式駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明によると、駐車可能な車両の最大寸法が互いに異なる複数の駐車エリアを有する機械式駐車装置であって、
登録車両毎に該登録車両の識別情報と駐車位置とが互いに関連付けられている登録データを記憶する記憶装置と、
前記各駐車エリア内の駐車位置と当該駐車エリアの入・出庫位置との間で登録車両を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置を制御する制御装置と、を備え、
各登録車両の入・出庫時に該登録車両の識別情報が前記制御装置に入力され、該識別情報と前記登録データとに基づいて、該識別情報と関連付けられた前記駐車位置と前記入・出庫位置との間で該登録車両を搬送させる制御を、前記制御装置が前記搬送装置に対して行い、
前記入・出庫位置は、前記各駐車エリア毎に設けられている、ことを特徴とする機械式駐車装置が提供される。
【0009】
上記本発明の機械式駐車装置では、前記登録データが記憶装置に記憶された登録車両が駐車されるようになっており、複数の駐車エリアは、駐車可能な登録車両の最大寸法が互いに異なっており、各登録車両の入・出庫時に該登録車両の識別情報が前記制御装置に入力され、該識別情報と前記登録データとに基づいて、該識別情報と関連付けられた前記駐車位置と前記入・出庫位置との間で該登録車両を搬送させる制御を、前記制御装置が前記搬送装置に対して行うので、人が登録車両をその寸法に応じた駐車エリアの入・出庫位置へ乗り入れることで、車両寸法・車種毎に駐車エリアを区分けすることができる。このようにして、高収納率の機械式駐車装置を実現できる。
また、前記機械式駐車装置をレンタカーシステムの駐車装置やマンションの駐車装置として設置することもできる。レンタカーシステムの駐車装置とした場合、入・出位置と駐車位置との間で自動的に登録車両が搬送されるので、手間をかけずにレンタル用の登録車両を取り出し、格納することができ、効率が向上する。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明によると、駐車可能な車両の最大寸法が互いに異なる複数の駐車エリアを有する機械式駐車装置であって、
登録車両毎に該登録車両の識別情報と駐車エリアとが互いに関連付けられている登録データを記憶する記憶装置と、
前記各駐車エリアと所定の入・出庫位置との間で登録車両を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置を制御する制御装置と、を備え、
各登録車両の入・出庫時に該登録車両の識別情報が前記制御装置に入力され、該識別情報と前記登録データとに基づいて、該識別情報と関連付けられた前記駐車エリアと前記入・出庫位置との間で該登録車両を搬送させる制御を、前記制御装置が前記搬送装置に対して行う、ことを特徴とする機械式駐車装置が提供される。
【0011】
上記本発明の機械式駐車装置では、前記登録データが記憶装置に記憶された登録車両が駐車されるようになっており、複数の駐車エリアは、駐車可能な登録車両の最大寸法が互いに異なっており、各登録車両の入・出庫時に該登録車両の識別情報が前記制御装置に入力され、該識別情報と前記登録データとに基づいて、該識別情報と関連付けられた前記駐車エリアと前記入・出庫位置との間で該登録車両を搬送させる制御を、前記制御装置が前記搬送装置に対して行うので、車両寸法・車種毎に駐車エリアを自動的に区分けすることができる。このようにして、高収納率の機械式駐車装置を実現できる。
また、前記機械式駐車装置をレンタカーシステムの駐車装置やマンションの駐車装置として設置することもできる。レンタカーシステムの駐車装置とした場合、入・出位置と駐車エリアとの間で自動的に登録車両が搬送されるので、手間をかけずにレンタル用の登録車両を取り出し、格納することができ、効率が向上する。
さらに、上記構成では、車両の駐車エリアを区分けするために、入庫時に車両の寸法を計測する計測装置などを設ける必要がない。従って、計測装置も設けるスペースや、計測装置の修理のメンテナンスなどを行う必要もない。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によると、前記機械式駐車装置は、前記登録車両の前記識別情報が記憶され人が携帯可能な情報保持手段から該識別情報を読み取り、読み取った該識別情報を前記制御装置に入力する読み取り装置を備える。
【0013】
このように、前記登録車両の前記識別情報が記憶され人が携帯可能な情報保持手段と、該情報保持手段から前記識別情報を読み取り、読み取った該識別情報を前記制御装置に入力する読み取り装置と、が設けられるので、登録車両(例えばレンタカー)を手軽に利用できる。
例えば、出庫時(車両使用時)には、利用者が、情報保持手段(例えば車のキーやカード)を所定の孔に差し込んだり、所定の読み取り位置に配置させるなどして、読み取り装置により識別情報を読み取らせる。これにより、当該識別情報が前記制御装置に入力され、当該識別情報が示す登録車両が、該識別情報と関連付けられた前記駐車エリアから出庫位置まで前記搬送装置により搬送される。
一方、入庫時には、利用者が、車両を入庫位置に車両を配置させ前記情報保持手段を所定の孔に差し込んだり、所定の読み取り位置に配置させるなどして、読み取り装置により識別情報を読み取らせる。これにより、当該識別情報が前記制御装置に入力され、当該識別情報が示す登録車両が、入庫位置から該識別情報と関連付けられた前記駐車エリアまで前記搬送装置により搬送される。
従って、機械式駐車装置に収容している登録車両を手軽に利用することができる。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によると、前記登録車両の前記識別情報が記憶され人が携帯可能な情報保持手段から該識別情報を読み取り、読み取った該識別情報を前記制御装置へ入力する読み取り装置を備え、
前記搬送装置、前記記憶装置、前記制御装置および前記読み取り装置は、各駐車エリア毎に、当該駐車エリアに対応させて設けられ、互いに対応付けられており、
前記各記憶装置は、対応する駐車エリアに予め定めた登録車両についてのみ前記登録データを記憶し、
前記読み取り装置は、対応する前記制御装置に前記識別情報を入力し、該制御装置は、対応する前記記憶装置に記憶されている前記登録データと入力された前記識別情報とに基づいて前記制御を行う。
【0015】
この構成により、機械式駐車装置に収容している登録車両を手軽に利用することができるだけでなく、車両寸法・車種毎に駐車エリアを区分けする管理がなされる。即ち、読み取り装置は、対応する駐車エリアに駐車できない(予め定められていない)登録車両の識別情報を読み取った場合には、該識別情報が対応する制御装置に入力されても、対応する記憶装置は当該識別情報を記憶していないので、制御装置は、搬送制御を行わない。従って、登録車両が、駐車すべきでない駐車エリアに駐車されることが無くなり、これにより、車両寸法・車種毎に駐車エリアを区分けする管理がなされる。
【0016】
本発明の好ましい実施形態によると、前記各登録車両は、レンタカーであり、
前記機械式駐車装置は、前記レンタカーが貸し出されていた期間に応じたレンタカー使用料金を計算するレンタル料金精算装置を備える。
【0017】
このように、前記レンタカーが貸し出されている期間を計測し、計測した前記期間に応じたレンタカー使用料金を計算するレンタル料金精算装置を備えるので、レンタカーの使用期間に応じた課金が容易になる。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によると、前記登録車両には、動力源計測装置が設けられており、
該動力源計測装置は、前記登録車両の出庫時点から入庫時点までの間における該登録車両の動力源の減少量を計測し、
前記計測した減少量に応じた動力源消費料金を計算する動力源料金精算装置を備える。
【0019】
このように、該動力源計測装置は、前記登録車両の出庫時点から入庫時点までの間における該登録車両の動力源の減少量を計測し、動力源料金精算装置は、前記計測した減少量に応じた動力源消費料金を計算するので、動力源消費料金を車両利用者に請求することが容易になる。例えば、動力源はガソリンであり、車両利用者がガソリンを満タンにして登録車両を返却しない場合にも、レンタカー運営者側がガソリン消費料金を車両利用者に請求することが容易になる。なお、動力源は、バッテリーに蓄えられた電気エネルギーであってもよい。即ち、登録車両は、バッテリーの電気エネルギーで走行する電気自動車であってもよい。
【発明の効果】
【0020】
上述した本発明によると、高い収容率で使用できる機械式駐車装置を実現でき、収容車両(例えばレンタカー)を手軽に利用(借りる)ことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を実施するための最良の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0022】
図1は、発明の実施形態による機械式駐車装置10の構成図である。図1に示すように、機械式駐車装置10は、駐車可能な車両1の最大寸法が互いに異なる複数の駐車エリア3a,3b,3c,3dを有する。
【0023】
図2は、図1のII−II線矢視図である。図2に示すように、駐車エリア3bは、駐車棚5、ケージ7などを含む。駐車棚5は、車両1が格納されるものであり、上下に複数段配置される。ケージ7は、複数の駐車棚5(即ち、駐車位置)に隣接する昇降路9内を上下に昇降させられる。図2の例では、ケージ7は、ワイヤー11に結合され、ワイヤーが回転駆動されるドラム13から巻き出しまたはドラム13に巻き戻されることで昇降させられる。ケージ7には、車両1が積載されるパレット15が積載される。このような構成で、例えば、ケージ7が入・出庫位置のある入・出庫階(例えば地上階)と各駐車棚5との間を昇降可能であり、各駐車棚5との間で車両1が積載されたパレット15を受け渡し可能となっている。このパレット受け渡しは、図示しないパレット横行装置によりなされる。なお、他の駐車エリア3a,3c,3dも図2と同様の構成となっている。
【0024】
本実施形態によると、機械式駐車装置10は、記憶装置17、搬送装置19および制御装置21とを備える。
【0025】
記憶装置17は、登録車両1毎に、該登録車両1の識別情報と、該登録車両1を格納すべき駐車エリア3a,3b,3c,3dとが互いに関連付けられた登録データを記憶する。即ち、登録データは、各登録車両1の識別情報と、各駐車エリアを示すエリア情報を含み、登録データにおいて、登録車両1毎に、該登録車両1の識別情報と、該登録車両1を格納すべき駐車エリアを示すエリア情報とが互いに関連付けられている。この登録データが記憶装置17に記憶されている登録車両1が、機械式駐車装置10に収容される。登録車両1の駐車エリア3a,3b,3c,3dは、登録車両1の寸法に応じて決定される。図1の例では、小型車用の駐車エリア3aと、ハイルーフ小型車用の駐車エリ3bと、大型車用の駐車エリア3cと、ハイルーフ大型車用の駐車エリア3dとが設けられている。
【0026】
搬送装置19は、所定の入・出庫位置(即ち、入庫位置と出庫位置)から前記各駐車エリア3a,3b,3c,3dへ登録車両1を搬送する。図1の例では、入庫位置と出庫位置は同じ位置であるが、本発明によると、別個の位置であってもよい。各駐車エリアから入・出庫位置にパレット15が搬送され、入・出庫位置のこのパレット15に登録車両1が乗り込みでき、または、このパレット15から登録車両1が乗り出し可能となっている。図1、図2の例では、搬送装置19は、パレット15を載せて入・出庫位置から水平移動する水平移動装置23と、各ケージ7とを有する。水平移動装置23は、入・出庫階に位置する駐車エリア3a,3b,3c,3dのケージ7との間でパレット15を受け渡しできるようになっている。
【0027】
制御装置21は、前記搬送装置19を制御する。各登録車両1の入・出庫時に該登録車両1の識別情報が前記制御装置21に入力され、該識別情報と関連付けられた前記駐車エリア3a,3b,3cまたは3dと前記入・出庫位置との間で前記搬送装置19が該登録車両1を搬送するように、前記制御装置21が該識別情報と前記登録データとに基づいて前記搬送装置19を制御する。
制御装置21への識別情報の入力は、例えば、識別情報を車のキーやカードなどの携帯可能な情報保持手段に記憶させておき、情報保持手段内の識別情報を読み取り装置25に読み取らせることでなされてよい。読み取り装置25は、入・出庫位置付近に設けられてよい。
なお、入庫時に、制御装置21は、入力された前記識別情報と関連付けられた駐車エリア3a,3b,3cまたは3dの空いている駐車棚5のいずれかに登録車両1を格納させる制御を搬送装置19に対して行うが、その際、格納した当該登録車両1の識別情報と当該駐車棚5の位置情報とを関連付けたデータが、制御装置21から前記記憶装置17へ出力されて前記登録データに組み込まれる。
また、各登録車両1を格納する駐車棚5は、予め決められていてもよい。この場合、各登録車両1毎に、該登録車両1の識別情報と、該登録車両1を格納すべき駐車エリア3a,3b,3cまたは3dに含まれる駐車棚5(即ち、駐車位置)を示す位置情報とが互いに関連付けられたデータを前記登録データとしてよい。そして、各登録車両1の入・出庫時に該登録車両1の識別情報が上述のように前記制御装置21に入力され、該識別情報と関連付けられた位置情報が示す駐車エリア内の駐車棚5と前記入・出庫位置との間で前記搬送装置19が該登録車両1を搬送するように、前記制御装置21が該識別情報と前記登録データとに基づいて前記搬送装置19を制御する。
【0028】
上述の機械式駐車装置の動作について説明する。
利用者が、出庫時(車両使用時)に、前記識別情報が記憶された携帯可能な前記情報保持手段(車のキーやカード)などを所定の孔に差し込んだり、所定の読み取り位置に配置させるなどして、読み取り装置25により識別情報を情報保持手段から読み取らせる。これにより、当該識別情報が前記制御装置21に入力され、当該識別情報が示す登録車両1が、該識別情報と関連付けられた前記駐車エリア(内の駐車棚5)から出庫位置まで前記搬送装置19により搬送される。
一方、入庫時には、利用者が、前記情報保持手段を所定の孔に差し込んだり、所定の読み取り位置に配置させるなどして、読み取り装置25により識別情報を読み取らせる。これにより、この識別情報が制御装置21へ入力されることで、制御装置21は、該識別情報と登録データとに基づいて、該識別情報と関連付けられた前記駐車エリア用のパレット15を入庫位置に搬送させる制御を搬送装置19に対して行う。その後、このパレット15に登録車両1を乗り込ませた上で、再度、人が所定の操作装置を操作することで、格納指令を制御装置21に入力させる。これにより、制御装置21は、入力された前記識別情報と登録データとに基づいて、該識別情報と関連付けられた駐車エリア(内の駐車棚5)へ当該登録車両1を搬送させる制御を搬送装置19に対して行う。
【0029】
なお、情報保持手段は、読み取り装置25との間で無線により情報の送受信が可能なICタグを利用したものであってもよいし、他のものであってもよい。
【0030】
上記本発明の機械式駐車装置10では、前記登録データが記憶装置17に記憶された登録車両1が駐車されるようになっており、複数の駐車エリア3a,3b,3c,3dは、駐車可能な登録車両1の最大寸法が互いに異なっており、各登録車両1の入・出庫時に該登録車両1の識別情報が前記制御装置21に入力され、該識別情報と関連付けられた前記駐車エリアと前記入・出庫位置との間で前記搬送装置19が該登録車両1を搬送するように、前記制御装置21が該識別情報と前記登録データとに基づいて前記搬送装置19を制御するので、車両寸法・車種毎に駐車エリア3a,3b,3c,3dを自動的に区分けすることができる。このようにして、高収納率の機械式駐車装置10を実現できる。
また、前記機械式駐車装置10をレンタカーシステムの駐車装置やマンションの駐車装置として設置することもできる。レンタカーシステムの駐車装置とした場合、入・出位置と駐車エリアとの間で自動的に登録車両1が搬送されるので、手間をかけずにレンタル用の登録車両1を取り出し、格納することができ、効率が向上する。
さらに、上記構成では、登録車両1の駐車エリア3a,3b,3c,3dを区分けするために、入庫時に車両1の寸法を計測する計測装置などを設ける必要がない。従って、計測装置も設けるスペースや、計測装置の修理のメンテナンスなどを行う必要もない。
【0031】
[実施例]
上述した機械式駐車装置10を用いた実施例を説明する。
本実施例では、前記各登録車両1は、レンタカーであり、機械式駐車装置10は、図3のブロック図に示すように、レンタル料金精算装置27、動力源計測装置29および動力源料金精算装置31をさらに備える。
【0032】
レンタル料金精算装置27は、前記レンタカー1が貸し出されていた期間に応じたレンタカー使用料金を計算する。
動力源計測装置29は、前記レンタカー1に設けられている。該動力源計測装置29は、前記レンタカー1が出庫時点から入庫時点までの期間に減少した該レンタカー1の動力源の量を計測する。
動力源料金精算装置31は、前記計測した動力源の減少量に応じた動力源消費料金を計算する。
【0033】
図4は、本実施例によるレンタカー1の利用手順を示すフローチャートである。
ステップS1において、利用者は、レンタカー1の予約を行う。この予約は、借りる登録車両1や日時などを特定して行う。予約は、例えば、インターネットの予約用ウェブサイト上で行うことができる。この予約を行うことで、予約情報が所定の予約管理装置に自動的に入力および記憶される。予約情報は、借りる登録車両1を示す前記識別番号と予約番号を含む。これら識別番号と予約番号とは互いに関連付けられている。
ステップS2において、利用者が、貸し出し日時に、予約レンタカー1の識別情報が記憶された携帯可能な情報保持手段(車のキーやカード)をレンタカー運営者側から、受け取る。例えば、利用者が操作装置を操作して前記予約管理装置に予約番号を入力することで、予約番号と関連付けられた識別情報が記憶されている情報保持手段が所定の保管場所から自動的に取り出されて受け取り可能となっていてよい。代わりに、レンタカー運営者側の人に予約番号を伝えることで、レンタカー運営側の人から予約レンタカー1の識別情報が記憶されている情報保持手段を受け取ってもよい。
ステップS3において、出車操作を行う。例えば、利用者は、受け取った前記情報保持手段を所定の孔に差し込んだり、所定の読み取り位置に配置させるなどして、読み取り装置25により情報保持手段から識別情報を読み取らせる。
ステップS4において、情報保持手段から読み取られた識別情報が前記制御装置21に自動的に入力され、前記制御装置21の制御により、当該識別情報が示すレンタカー1が、該識別情報と関連付けられた前記駐車エリアの駐車棚5から出庫位置まで前記搬送装置19により搬送される。
ステップS5において、さらに、レンタル料金精算装置27は、レンタカー使用料金の計算を開始する。例えば、レンタル料金精算装置27は、出庫時点(例えば、ステップS3で読み取り装置25が識別情報を読み取った時点)で、時間のカウントを自動的に開始し、前記レンタカー1が貸し出されていた期間に応じたレンタカー使用料金を計算する。
このようにしてレンタカー1が貸し出されて利用者に使用される。
【0034】
ステップS6において、利用者がレンタカー1を返却する場合、レンタカー1を運転して機械式駐車装置10の入・出庫位置付近に配置させる。この状態で、キーやカード(情報保持手段)を所定の孔に差し込んだり、所定の読み取り位置に配置させるなどして、読み取り装置25により識別情報を読み取らせる。これにより、この識別情報が制御装置21へ入力されることで、制御装置21は、該識別情報と登録データとに基づいて、該識別情報と関連付けられた前記駐車エリア用のパレット15を入庫位置に搬送させる制御を搬送装置19に対して行う。その後、このパレット15にレンタカー1を乗り込ませた上で、再度、レンタカー運営者側の人が所定の操作装置を操作することで、格納指令を制御装置21に入力させる。これにより、制御装置21は、入力された前記識別情報と登録データとに基づいて、該識別情報と関連付けられた駐車エリアに当該レンタカー1を搬送させる制御を搬送装置19に対して行う。
ステップS7において、レンタル料金精算装置27は、出庫時点(例えば、ステップ6で読み取り装置25が識別情報を読み取った時点)で、レンタカー使用料金の計算を終了し、前記出庫時点から前記入庫時点までの期間に応じたレンタカー使用料金を算出する。また、動力源計測装置29は、レンタカー1が所定の出庫位置から出庫されてから前記入庫位置に戻ってくる間に減少した該レンタカー1の動力源の量(動力源消費量)を計測する。即ち、動力源計測装置29は、前記出庫時点と前記入庫時点にレンタカー1の動力源量を計測し、これら計測値の差を動力源消費量として算出する。動力源消費量に基づいて、動力源料金精算装置31は、動力源消費料金を計算する。このように計算されたレンタカー使用料金と動力源消費料金とが利用者に請求される。なお、動力源がガソリンである場合、レンタカー1返却前に給油が行われた結果、動力源消費量がマイナスである場合には、動力源消費料金もマイナスの値となり、その分、レンタカー使用料金が減額される。利用者は、レンタカー使用料金と動力源消費料金とを支払うとともに、情報保持手段をレンタカー運営者側へ返却する。
【0035】
上述した本実施例によると、利用者は、レンタカー1を手軽に利用できる。また、レンタカー運営者側にとっても、レンタカー貸し出しの手間が大幅に軽減される。
また、前記レンタカー1が貸し出されている期間を計測し、計測した前記期間に応じたレンタカー使用料金を計算するレンタル料金精算装置27を備えるので、レンタカー1の使用期間に応じた課金が容易になる。
さらに、前記動力源計測装置29は、前記レンタカー1が所定の出庫位置から出庫されてから前記入庫位置に戻ってくる間に減少した該レンタカー1の動力源の量を計測し、動力源料金精算装置31は、前記計測した動力源の減少量に応じた動力源消費料金を計算するので、動力源がガソリンである場合に、レンタカー利用者がガソリンを満タンにしてレンタカー1を返却しない場合に、レンタカー運営者側が動力源(ガソリン)消費料金をレンタカー利用者に請求することが容易になる。
【0036】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【0037】
上述の実施形態では、入・出庫位置は、複数の駐車エリア3a〜3dに対し1つだけ設けられていたが、本発明によると、入・出庫位置は各駐車エリア3a〜3d毎に設けられてもよい。この場合について説明する。図5は、この場合の構成を示す。
登録車両1は、各駐車エリアの前記入出庫階(例えば地上階)にある入・出庫位置に位置するケージ7上のパレット15に自走して乗り込み可能であり、この入・出庫位置に位置するケージ7上のパレット15から自走して乗り出し可能である。従って、水平移動装置25は省略され、搬送装置19は、ケージ7からなる。また、図5のように、搬送装置19、記憶装置17、制御装置21および読み取り装置25は、各駐車エリア毎に、当該駐車エリアに対応させて設けられる。従って、各記憶装置17は、対応する駐車エリアに駐車可能な登録車両についてのみ前記登録データを記憶している。
この構成では、対応する駐車エリアの入・出庫位置付近に設けられた読み取り装置25は、この駐車エリアに駐車できない登録車両1の識別情報を読み取った場合には、該識別情報が対応する制御装置21に入力されても、対応する記憶装置17は当該識別情報を記憶していないので、制御装置21は、搬送制御を行わない。この場合、当該制御装置21は、警告信号(例えばアラームなど)を発生させることで、駐車エリアが異なる旨を人に通知してもよい。
他の構成は、上述の実施形態と同じであってよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態による機械式駐車装置の概略構成図である。
【図2】図1のII−II線矢視図である。
【図3】本発明の実施例で使用する装置のブロック図である。
【図4】本発明の実施例によるレンタカー利用手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の他の実施形態による機械式駐車装置の概略構成図である。
【図6】従来の機械式駐車装置の構成例である。
【符号の説明】
【0039】
1 登録車両(レンタカー)、3a,3b,3c,3d 駐車エリア、5 駐車棚(駐車位置)、7 ケージ、9 昇降路、10 機械式駐車装置、11 ワイヤー、13 ドラム、15 パレット、17 記憶装置、19 搬送装置、21 制御装置、23 水平移動装置、25 読み取り装置、27 レンタル料金精算装置、29 動力源計測装置、31 動力源料金精算装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車可能な車両の最大寸法が互いに異なる複数の駐車エリアを有する機械式駐車装置であって、
登録車両毎に該登録車両の識別情報と駐車位置とが互いに関連付けられている登録データを記憶する記憶装置と、
前記各駐車エリア内の駐車位置と当該駐車エリアの入・出庫位置との間で登録車両を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置を制御する制御装置と、を備え、
各登録車両の入・出庫時に該登録車両の識別情報が前記制御装置に入力され、該識別情報と前記登録データとに基づいて、該識別情報と関連付けられた前記駐車位置と前記入・出庫位置との間で該登録車両を搬送させる制御を、前記制御装置が前記搬送装置に対して行い、
前記入・出庫位置は、前記各駐車エリア毎に設けられている、ことを特徴とする機械式駐車装置。
【請求項2】
駐車可能な車両の最大寸法が互いに異なる複数の駐車エリアを有する機械式駐車装置であって、
登録車両毎に該登録車両の識別情報と駐車エリアとが互いに関連付けられている登録データを記憶する記憶装置と、
前記各駐車エリアと所定の入・出庫位置との間で登録車両を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置を制御する制御装置と、を備え、
各登録車両の入・出庫時に該登録車両の識別情報が前記制御装置に入力され、該識別情報と前記登録データとに基づいて、該識別情報と関連付けられた前記駐車エリアと前記入・出庫位置との間で該登録車両を搬送させる制御を、前記制御装置が前記搬送装置に対して行う、ことを特徴とする機械式駐車装置。
【請求項3】
前記登録車両の前記識別情報が記憶され人が携帯可能な情報保持手段から該識別情報を読み取り、読み取った該識別情報を前記制御装置へ入力する読み取り装置を備える、ことを特徴とする請求項1または2に記載の機械式駐車装置。
【請求項4】
前記登録車両の前記識別情報が記憶され人が携帯可能な情報保持手段から該識別情報を読み取り、読み取った該識別情報を前記制御装置へ入力する読み取り装置を備え、
前記搬送装置、前記記憶装置、前記制御装置および前記読み取り装置は、各駐車エリア毎に、当該駐車エリアに対応させて設けられ、互いに対応付けられており、
前記各記憶装置は、対応する駐車エリアに予め定めた登録車両についてのみ前記登録データを記憶し、
前記読み取り装置は、対応する前記制御装置に前記識別情報を入力し、該制御装置は、対応する前記記憶装置に記憶されている前記登録データと入力された前記識別情報とに基づいて前記制御を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項5】
前記各登録車両は、レンタカーであり、
前記レンタカーが貸し出されていた期間に応じたレンタカー使用料金を計算するレンタル料金精算装置を備える、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の機械式駐車装置。
【請求項6】
前記登録車両には、動力源計測装置が設けられており、
該動力源計測装置は、前記登録車両の出庫時点から入庫時点までの間における該登録車両の動力源の減少量を計測し、
前記計測した減少量に応じた動力源消費料金を計算する動力源料金精算装置を備える、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の機械式駐車装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−293338(P2009−293338A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150215(P2008−150215)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(000198363)石川島運搬機械株式会社 (292)
【Fターム(参考)】