説明

機械的に安定な吸水性ポリマー粒子の製造方法

モノマー溶液の液滴を、該液滴を取り囲む気相中で重合させることによる吸水性ポリマー粒子の製造法、その際、前記粒子表面は少なくとも1種のポリマー及び/又はワックスで少なくとも部分的に被覆される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノマー溶液の液滴を、該液滴を取り囲む気相中で重合させることによる吸水性ポリマー粒子の製造法に関し、その際、前記粒子表面は少なくとも1種のポリマー及び/又はワックスで少なくとも部分的に被覆される。
【0002】
吸水性ポリマー粒子の製造は、モノグラフィー"Modern Superabsorbent Polymer Technology", F. L. Buchholz及びA.T. Graham著, Wiley-VCH, 1998, 第71頁〜第103頁に記載されている。
【0003】
吸水性ポリマーは、おむつ、タンポン、生理帯及びその他の衛生用品を製造するための、水溶液を吸収する製品として使用され、また一方で農業園芸における保水剤としても使用される。
【0004】
噴霧重合によって、重合と乾燥との方法工程とをまとめることができた。さらに、この粒度は、適当な方法操作によって、ある特定の範囲に調節することができた。
【0005】
モノマー溶液の液滴の重合による吸水性ポリマー粒子の製造は、例えばEP348180A1、WO96/40427A1、US5,269,980、DE10314466A1、DE10340253A1及びDE102004024437A1並びに先願のドイツ国特許出願番号102005002412.2及び102006001596.7に記載されている。
【0006】
DE102004042946A1、DE102004042948A1及びDE102004042955A1並びに先願のドイツ国特許出願番号102005019398.6は、噴霧重合による増粘剤の製造を記載している。
【0007】
EP703265A1は、塗膜形成性ポリマーで被覆することにより吸水性ポリマー粒子の耐摩耗性を改善する方法を記載している。
【0008】
EP755964A2は、同様に、吸水性ポリマー粒子をワックスで被覆することにより、前記粒子の耐摩耗性を改善する方法を開示している。
【0009】
本発明の課題は、モノマー溶液の液滴を、該液滴を取り囲む気相中で重合させることによる吸水性ポリマー粒子の改善された製造法を提供することであった。
【0010】
前記課題は、
a) 少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー、
b) 選択的に少なくとも1種の架橋剤、
c) 少なくとも1種の開始剤、
d) 水
を含有するモノマー溶液の液滴を、該液滴を取り囲む気相中で重合させることにより、ポリマー粒子を得る吸水性ポリマー粒子の製造方法において、前記粒子表面を少なくとも1種のポリマー及び/又はワックスで少なくとも部分的に被覆することを特徴とする、吸水性ポリマー粒子の製造方法により解決される。
【0011】
モノマー溶液の液滴を、該液滴を取り囲む気相中で重合(液滴重合、Vertropfungspolymerisation, dropletization polymerisation)させることにより、高い平均球形度(mSPHT)を有する丸いポリマー粒子が得られる。この平均球形度は、ポリマー粒子の丸さの尺度であり、例えば画像分析システムのCamsizer(R)(Retsch Technolgy GmbH;ドイツ国)を用いて測定することができる。
【0012】
本発明は、液滴重合により得られたポリマー粒子は中空球であり、機械的負荷の場合に破片の割合が明らかに増加するという認識に基づく。
【0013】
本発明による方法により、この中空球の機械的安定性は明らかに高めることができる。
【0014】
前記ポリマー及び/又はワックスは自体公知のように所望の質量比で、液滴重合により製造された基礎となる吸水性ポリマー粒子に塗布することができる。この塗布は、有利に可動の混合部材を備えたミキサー、例えばスクリューミキサー、パドルミキサー、ディスク型ミキサー、すき刃型ミキサー及びブレード型ミキサー中で行われる。特に、バーティカルミキサーが有利であり、殊にすき刃ミキサー及びブレード型ミキサーが有利である。適したミキサーは、例えばレーディゲ(Loedige)ミキサー、ベペックス(Bepex)ミキサー、ナウタ(Nauta)ミキサー、プロセッサル(Processall)ミキサー及びシュギ(Schugi)ミキサーである。更に特に、高速ミキサー、例えばシュギ−フレキソミックス(Schuggi-Flexomix)タイプ又はターボライザー(Turbolizer)を使用するのが有利である。更に特に、流動層型ミキサーも有利である。
【0015】
ポリマー及び/又はワックスの量は、ポリマー粒子に対してそれぞれ、有利に0.005〜10質量%、特に有利に0.05〜5質量%、更に特に有利に0.1〜2質量%である。
【0016】
前記ポリマーの前駆体を前記ポリマー粒子表面に塗布し、前記前駆体を前記粒子表面上で初めて所望のポリマーに反応させることにより、例えばポリオールとポリエポキシドとの反応により、前記ポリマーを前記粒子表面に塗布することもできる。
【0017】
被覆のための使用物質、つまりポリマー、その前駆体又はワックスは、水性分散液、エマルション及び/又はポリマー懸濁液として粒子表面に塗布することができる。
【0018】
前記被覆は、しかしながら、有機溶剤中の溶液の形で又は水及び水と混合可能の有機溶剤とからなる混合物の形で塗布することもできる。前記の水性分散液、エマルション及び懸濁液も、有機の選択的に水と混合可能な溶剤の成分を含有することができる。
【0019】
適当な有機溶剤は、例えば脂肪族及び芳香族の炭化水素、例えばn−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン及びキシレン、アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン及び200〜10000の平均分子量を有するポリエチレングリコール、エーテル、例えばジエチルエーテル、エステル、例えば酢酸エチル及びn−ブチルアセタート、及びケトン、例えばアセトン及び2−ブタノンである。
【0020】
適当な水と混合可能な有機溶剤は、例えば脂肪族C1〜C4−アルコール、例えばメタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン及び200〜10000の平均分子量を有するポリエチレングリコール、エーテル及びケトン、例えばアセトン及び2−ブタノンである。
【0021】
前記使用物質は、溶融液として提供することもできる。
【0022】
本発明による方法の場合に使用可能なポリマー及び/又はワックスは、有利に反応性ではない、つまり前記ポリマー及び/又はワックスは、ポリマー粒子の表面の基と反応する反応性の基を有していない。
【0023】
有利なポリマー及び/又はワックスは、更に特に、0℃〜80℃の温度範囲で接着する傾向を示さないポリマー及び/又はワックスである。
【0024】
本発明による方法において有利に使用されるポリマーは、ビニルエステルのホモポリマー及びコポリマー、特に酢酸ビニルホモポリマー及びエチレン、アクリラート、マレイン酸エステル、ビニルアミド及び/又は他のビニルアシル誘導体との酢酸ビニルコポリマーである。
【0025】
更に、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルのホモポリマー及びコポリマー、例えばメチルメタクリラート及びアクリル酸ブチルエステル又はアクリル酸−2−エチルヘキシルエステルのコポリマーが有利である。
【0026】
ビニルエステル、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルをベースとする前記のコポリマーは、他のコモノマーとして、例えばスチレン、ブタジエン、ビニルアミド、オレフィン性不飽和カルボン酸及びその誘導体、オレフィン性不飽和スルホン酸及びその誘導体、ビニルホスホン酸及びその誘導体又は不飽和酸のポリグリコールエステルを含むことができる。
【0027】
ビニルアミドの例は、特にN−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド及びN−ビニルピロリドンである。
【0028】
オレフィン性不飽和カルボン酸の例は、特にアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸及びマレイン酸並びにこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩及びアミン塩である。前記オレフィン性不飽和カルボン酸の誘導体の例は、特にアミド、例えば(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド及びN−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、同様にN−メチロールアミド又はN−メチロールアミドのエーテル、半アミド及び脂肪族アミンのイミド、並びにアクリルニトリルである。
【0029】
オレフィン性不飽和スルホン酸の例は、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸及びメタリルスルホン酸の塩、特にそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩及びアミン塩である。
【0030】
ビニルホスホン酸の誘導体の例は、特にC1〜C18−アルコールのモノエステル及びジエステル、例えばメチルエステル、プロピルエステル又はステアリルエステルである。ビニルホスホン酸自体は、特に単塩又は二塩として存在し、その際、アルカリ金属塩、アンモニウム塩及びアミン塩が有利である。
【0031】
不飽和酸のポリグリコールエステルは、特にヒドロキシエチル(メタ)アクリラート又は一般式
【化1】

[式中、
Xは、水素又はメチルを表し、
nは0〜50を表し、
Rは、脂肪族、芳香脂肪族又は環式脂肪族のC1〜C24−基、例えばノニルフェニルを表す]
のポリアルキレンオキシド化合物とアクリル酸及びメタクリル酸のエステルである。
【0032】
本発明の有利な実施態様の場合に、塗膜形成性ポリマーが使用される。これは、特に引裂強さ0.5〜25N/mm、有利に1〜20N/mm、特に有利に2〜15、更に特に有利に5〜10N/mm及び/又は破断点伸び10〜10000%、有利に20〜5000%、特に有利に50〜2000%、更に特に有利に500〜1000%を有するポリマー塗膜を有するポリマーである。前記引裂強さ及び破断点伸びはDIN EN ISO 527により測定される。
【0033】
本発明による方法の場合に有利に使用されるポリマーは、更に次のものをベースとする塗膜形成性ポリマーである:
− ポリアセタール、つまりポリビニルアルコールとアルデヒド、例えばブチルアルデヒドとの反応生成物、
− ポリウレタン、つまり二価及び多価アルコール及びイソシアナートから重付加により得られるポリマー、例えばポリエステルジオール及び/又はポリエーテルジオールと例えば2,4−又は2,6−トルエンジイソシアナート、4,4−メチレンジ(フェニルイソシアナート)又はヘキサメチレンジイソシアナートから製造されるポリマー(Houben-Weyl, Methoden der Organischen Chemie,第4版、第E20/2巻、 p. 1561 - 1721参照)、
− ポリ尿素、つまりジアミン及びジイソシアナートの重付加によるか又はジアミンと二酸化炭素、ホスゲン、カルボン酸エステル(例えば活性化されたジフェニルカーボネート)又は尿素の重縮合によるか又はジイソシアナートと水との反応により得られるポリマー(Houben-Weyl, Methoden der Organischen Chemie, 第4版、第E20/2巻、 p. 1721 - 1752参照)、
− ポリシロキサン、その際、基礎ポリマーとして特に線状のジメチルポリシロキサンが使用され、その末端基は多様に変性されていても良い("Chemie und Technologie des kalthaertenden Siliconkautschuks", p. 49 - 64, SILICONE - Chemie und Technologie, [28.04.1989のシンポジウム] VULKAN-VERLAG, Essen参照)、
− ポリアミド、その際、例えば塗料の製造のために使用されるようなコポリアミド(Plaste Kautsch., Jahrgang 25, p. 440 - 444 (1978)参照)が有利である。
【0034】
− ポリエステル、例えばラクトンの開環重合によるか又はヒドロキシカルボン酸又はジオール及びジカルボン酸誘導体の重縮合により製造されるポリマー(Houben-Weyl, Methoden der Organischen Chemie, 第4版、第E20/2巻、 p. 1404 - 1429参照)、
− ポリエポキシドから適当な硬化剤で重付加反応により又はエポキシ基を介した重合により製造することができるエポキシ樹脂(Houben-Weyl, Methoden der Organischen Chemie, 第4版、第E20/2巻、 p. 462 - 552及び第E20/2巻、 p. 1891 - 1994参照)、例えばビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの反応生成物又はベースとする反応生成物
− 重縮合又はエステル交換反応におけるジグリコール又はビスフェノールをホスゲン又は炭酸ジエステルとの反応により容易に製造されるポリカーボネート(Houben-Weyl, Methoden der Organischen Chemie, 第4版、第E20/2巻、 p. 1443 - 1457参照)。
【0035】
本発明による方法において特に有利に使用されるポリマーは、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルのホモポリマー及びコポリマー並びにポリアセタールをベースとするポリマーである。
【0036】
前記ポリマーの2種以上の混合物を使用することもできる。前記混合比は、全く重要ではなく、それぞれの所与性に合わせることができる。
【0037】
本発明による方法の場合に有利に使用されるポリマーは更に弾性ポリマーである。これは、23℃で繰り返し少なくともその長さが2倍に伸びることができかつ伸長のために必要な強制力を停止した直後に再びほぼ当初の長さに戻るというゴム弾性の挙動を有するポリマーである。
【0038】
適当な弾性ポリマーの代表例は、天然及び合成のラテックスであり、前記ラテックスは通常では結合剤及び弾性接着剤として空気乾燥する吸収性の生成物の製造の際に使用される。この例に記載されたラテックスに対して更に、ラテックス分散液の形成のためにそれぞれ適した天然及び合成のエラストマーも本発明の場合において使用するために適していることが考慮される。従って、天然ゴム、ポリブタジエン−ゴム、スチレン−ブタジエン−ゴム、アリールニトリル−ブタジエン−ゴム、ポリ−2−クロロブタジエン−ゴム、ポリイソプレン−ゴム、ポリイソブチレン−ゴム、イソプレン−イソブチレン−コポリマー、エチレン−プロピレン−ゴム、エチレン−酢酸ビニル−コポリマー、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリル−ゴム、エチレン−アクリラート−コポリマー、エピクロロヒドリン−ゴム、ポリプロピレンオキシド−ゴム及びポリウレタンを使用することができる。
【0039】
本発明の更に有利な実施態様の場合に、ワックスが吸水性ポリマー粒子の表面に塗布される。
【0040】
ワックスとは、この場合、特に、1974年のドイツ油脂科学協会(DGF)の表現(DGF統一法:油脂、油脂製品及び類縁物質の調査(Untersuchung von Fetten, Fettprodukten und verwandten Stoffen):M部門:ワックス及びワックス製品(Wachse und Wachsprodukte);Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft、シュトゥットガルト、1975参照)に従って、その化学組成及びその天然由来及び合成由来とは無関係に、一般に次の機械物理学的特性により特徴付けられる物質であると解釈される:
− 20℃で混練可能で、固体〜脆い固体;
− 粗〜微結晶性、半透明〜不透明であるが、ガラス状ではない;
− 40℃以上で分解せずに溶融する;
− その溶融温度の僅かに上回る温度ですでに比較的低粘度でかつ糸を引かない;
− コンシステンシー及び溶解度において温度に著しく依存する;
− 僅かな圧力で研磨可能である。
【0041】
有利なワックスは、特に融点及び滴点が30〜180℃、特に有利に40〜180℃、更に特に有利に40〜170℃の温度範囲にあるようなワックスである。滴点の決定はこの場合、DGF統一法によるDGF−M−III3(75)により行われる(Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft, シュトゥットガルト)。
【0042】
本発明の場合に使用されるワックスは、例えば天然ワックス、変性天然ワックス、部分合成ワックス及び完全合成ワックスである。天然ワックスの例は、現存のワックス、例えば植物性ワックス又は動物性ワックスである。植物性ワックスの例は、カルナウバワックス、カンデリラワックス、オーリクリーワックス、サトウキビワックス及びレタモワックスである。動物性ワックスの例は、昆虫性ワックス、例えば蜜ろう、ゲーダろう及びセラックろう、並びにウールワックスである。天然ワックスの他の例は、化石ワックス、例えば石油ワックス又は褐炭ワックス及び泥炭ワックスである。石油ワックスの例は、オゾケライト及びタンク底ワックス(Tankbodenwachs)であり、褐炭ワックス及び泥炭ワックスの例は粗モンタンワックスである。変性天然ワックスの例は、製油により得られたワックス、例えば石油蒸留又は蒸留残分から得られた粗結晶性及び微結晶性パラフィンワックス又は化学的に変性されたワックス、例えば二回精製した粗モンタンワックスである。部分合成ワックスの例は、モンタンワックスから製造可能な酸ワックス及びエステルワックスであり、これらはパラフィン酸化により製造されたワックス酸並びにアルコールワックス及びアミドワックスである。完全合成ワックスの例は、炭化水素ワックス、例えばポリオレフィンワックス及びフィッシャートロプッシュワックス、並びに酸素官能基を有する合成ワックスである。酸素官能基を有する合成ワックスの例は、合成により製造された炭化水素ワックスの酸化により又はオレフィンの不飽和カルボン酸との共重合又はテロメリゼーションにより得られる酸ワックス、合成ワックス酸を合成アルコールでエステル化することによりかつオレフィンを不飽和エステル、例えば酢酸ビニルと共重合させることにより得られるエステルワックス、オキソ合成に引き続く水素化により並びに合成脂肪の水素化により製造されるアルコールワックス、並びに合成酸をアミンと反応させることにより得られるアミドワックスである。合成により製造された炭化水素ワックスの酸化により得られるワックスの例は、ポリエチレンワックスの酸化物である。
【0043】
本発明により使用される有利なワックスは、精製された(脱樹脂及び漂白された)モンタンワックス並びにポリオレフィンワックスである。
【0044】
本発明により使用される特に有利なワックスは、ポリオレフィンワックス、例えばポリエチレンワックス(高圧ポリエチレンワックス、低圧ポリエチレンワックス、分解ポリエチレンワックス)、前記ポリエチレンワックスの酸化物、エテン−α−オレフィン−コポリマーをベースとするワックス、エチレン−酢酸ビニル−コポリマーをベースとするワックス、エチレン−スチレン−コポリマーをベースとするワックス、エチレン−アクリル酸−コポリマーをベースとするワックス、並びにポリエチレンワックスとポリ(テトラフルオロエチレン)ワックスとのワックス混合物をベースとするワックスである。
【0045】
前記ワックスの2種以上の混合物を使用することもできる。前記混合比は、全く重要ではなく、それぞれの所与性に合わせることができる。
【0046】
吸水性ポリマー粒子の製造のために本発明による方法において使用されるべきモノマー溶液は、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーa)、選択的に少なくとも1つの架橋剤b)、少なくとも1つの開始剤c)及び水d)を含有する。
【0047】
前記モノマーa)は、有利に水溶性であり、つまり23℃での水中での溶解度は、一般に少なくとも1g/100g 水、有利に少なくとも5g/100g 水、特に有利に少なくとも25g/100g 水、極めて有利に少なくとも50g/100g 水であり、かつ、前記モノマーa)は有利に少なくともそれぞれ1個の酸基を有する。
【0048】
適したモノマーa)は例えば、エチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸である。特に有利なモノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸である。さらにアクリル酸が特に有利である。
【0049】
有利なモノマーa)は、少なくとも1個の酸基を有し、その際、該酸基は、好ましくは少なくとも部分的に中和されている。
【0050】
モノマーa)の全量に対するアクリル酸及び/又はそれらの塩の割合は、有利には少なくとも50mol%、特に有利には少なくとも90mol%、殊に有利には少なくとも95mol%である。
【0051】
モノマーa)の酸基は、通常では部分的に、有利に25〜85mol%、特に50〜80mol%、特に有利には60〜75mol%が中和されており、その際、慣例の中和剤、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属炭酸水素塩ならびにそれらの混合物を使用してよい。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニウム塩を使用することもできる。ナトリウム及びカリウムは、アルカリ金属として特に好ましく、しかしながら殊に好ましいのは水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムならびにこれらの混合物である。通常、中和は、水溶液として、溶融物として、又は有利には固体として中和剤を混入することによって達成される。例えば、50質量%を明らかに下回る含水率を有する水酸化ナトリウムは、23℃より高い融点を有するワックス状の材料として存在することができる。この場合には、高めた温度で粉粒体又は溶融物として計量供給することが可能である。
【0052】
このモノマーa)、特にアクリル酸は、好ましくは0.025質量%までのヒドロキノン半エーテルを含有する。有利なヒドロキノン半エーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)及び/又はトコフェロールである。
【0053】
トコフェロールとは、以下の式の化合物であると理解される:
【化2】

[式中、R1は、水素又はメチルを意味し、R2は、水素又はメチルを意味し、R3は、水素又はメチルを意味し、かつR4は、水素、又は1〜20個の炭素原子を有する酸基を意味する]。
【0054】
好ましいR4の基は、アセチル、アスコルビル、スクシニル、ニコチニル及び生理学的に許容される他のカルボン酸である。前記カルボン酸は、モノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸であってよい。
【0055】
好ましくは、R1=R2=R3=メチルで示されるアルファトコフェロール、特にラセミ体アルファトコフェロールである。R1は、特に好ましくは水素又はアセチルである。特に有利に、RRR−アルファ−トコフェロールである。
【0056】
モノマー溶液は、そのつどアクリル酸に対して、有利には最大でも130質量ppm、とりわけ有利には最大でも70質量ppm、有利には少なくとも10質量ppm、とりわけ有利には少なくとも30質量ppm、殊に約50質量ppmのヒドロキノン半エーテルを含有し、その際、アクリル酸塩はアクリル酸として一緒に考慮される。例えば、このモノマー溶液の製造のために、アクリル酸を相応する含有量のヒドロキノン半エーテルと一緒に使用することができる。
【0057】
重合抑制剤は、例えば活性炭による吸収によっても前記モノマー溶液から除去することができる。
【0058】
架橋剤b)は、ポリマー網目構造にラジカル重合により組み込むことができる少なくとも2個の重合可能な基を有する化合物である。適した架橋剤b)は、例えばエチレングリコールジメタクリラート、ジエチレングリコールジアクリラート、アリルメタクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、トリアリルアミン、テトラアリルオキシエタン(例えばEP530438A1に記載)、ジアクリラート及びトリアクリラート(例えばEP547847A1、EP559476A1、EP632068A1、WO93/21237A1、WO2003/104299A1、WO2003/104300A1、WO2003/104301A1及びDE10331450A1に記載)、アクリラート基以外にさらに別のエチレン性不飽和基を含有する混合アクリラート(例えばDE10331456A1及びDE10355401A1に記載)、又は架橋剤混合物(例えばDE19543368A1、DE19646484A1、WO90/15830A1及びWO2002/32962A2に記載)である。
【0059】
適切な架橋剤b)は、特にN,N′−メチレンビスアクリルアミド及びN,N′−メチレンビスメタクリルアミド、不飽和モノカルボン酸又はポリカルボン酸とポリオールとのエステル、例えばジアクリラート又はトリアクリラート、例えばブタンジオールジアクリラート又はエチレングリコールジアクリラート、又はブタンジオールジメタクリラート又はエチレングリコールジメタクリラートならびにトリメチロールプロパントリアクリラート及びアリル化合物、例えばアリル(メタ)アクリラート、トリアリルシアヌラート、マレイン酸ジアリルエステル、ポリアリルエステル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、リン酸のアリルエステルならびにビニルホスホン酸誘導体(例えば、EP343427A2中に記載されている)である。更に好適な架橋剤b)は、ペンタエリトリトールジ−、ペンタエリトリトールトリ−及びペンタエリトリトールテトラアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル及びグリセリントリアリルエーテル、ソルビトールをベースとするポリアリルエーテルならびにそのエトキシル化されたバリエーションである。本発明による方法の場合に、例えばポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリラートが使用可能であり、その際、使用されたポリエチレングリコールは100〜1000の分子量を有する。
【0060】
とりわけ好ましい架橋剤b)は、しかしながら、3〜20箇所エトキシル化されたグリセリンの、3〜20箇所エトキシル化されたトリメチロールプロパンの、3〜20箇所エトキシル化されたトリメチロールエタンのジアクリラート及びトリアクリラート、殊に2〜6箇所エトキシル化されたグリセリン又はトリメチロールプロパンの、3箇所プロポキシル化されたグリセリン又はトリメチロールプロパンの、ならびに3箇所、混合エトキシル化又はプロポキシル化されたグリセリン又はトリメチロールプロパンの、15箇所エトキシル化されたグリセリン又はトリメチロールプロパンの、ならびに少なくとも40箇所エトキシル化されたグリセリン、トリメチロールエタン又はトリメチロールプロパンのジアクリラート及びトリアクリラートである。
【0061】
極めて有利な架橋剤b)は、例えばWO2003/104301A1に記載されているような、ジアクリラート又はトリアクリラートを得るためにアクリル酸又はメタクリル酸とエステル化された複数箇所エトキシル化及び/又はプロポキシル化されたグリセリンである。3〜10箇所エトキシル化されたグリセリンのジアクリラート及び/又はトリアクリラートが特に有利である。さらに、1〜5箇所エトキシル化及び/又はプロポキシル化されたグリセリンのジアクリラート又はトリアクリラートが特に有利である。3〜5箇所エトキシル化及び/又はプロポキシル化されたグリセリンのトリアクリラートが最も有利である。
【0062】
前記モノマー溶液は、モノマーa)に対してそれぞれ、架橋剤b)を有利に少なくとも0.1質量%、特に少なくとも0.2質量%、特に有利に少なくとも0.3質量%、更に特に有利に少なくとも0.4質量%含有し、かつ有利に2.5質量%まで、特に2質量%まで、特に有利に1.5質量%まで、更に特に有利に1質量%まで含有する。
【0063】
開始剤c)として、重合条件下でラジカルへと分解する全ての化合物が使用されてよく、例えば過酸化物、ヒドロペルオキシド、過酸化水素、過硫酸塩、アゾ化合物及びいわゆるレドックス開始剤が使用されてよい。水溶性の開始剤を使用することが好ましい。大抵の場合には、相違する開始剤の混合物、例えば過酸化水素及びペルオキソ二硫酸ナトリウム又はペルオキソ二硫酸カリウムからなる混合物を使用することが有利である。過酸化水素とペルオクソ二硫酸ナトリウムとからなる混合物は、全ての任意の比において使用されてよい。
【0064】
特に有利な開始剤c)は、アゾ開始剤、例えば2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド及び2,2′−アゾビス[2−(5−メチル2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、及び光開始剤、例えば2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン及び1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、レドックス開始剤、例えば過硫酸ナトリウム/ヒドロキシメチルスルフィン酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム/ヒドロキシメチルスルフィン酸、過酸化水素/ヒドロキシメチルスルフィン酸、過硫酸ナトリム/アスコルビン酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム/アスコルビン酸及び過酸化水素/アスコルビン酸、光開始剤、例えば1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、並びにこれらの混合物である。
【0065】
該開始剤は、通常の量で、例えばモノマーa)に対して、0.001〜5質量%の量で、好ましくは0.01〜1質量%の量で使用される。
【0066】
好ましい重合抑制剤は、最適な作用のために溶解された酸素を必要とする。従って、モノマー溶液から、重合前に、不活性化によって、すなわち不活性ガス、有利に窒素による貫流によって、溶解された酸素を除去することができる。しかしながら、酸素含有量は、還元剤、例えばアスコルビン酸の添加により低下させることもできる。有利には、モノマー溶液の酸素含有率は重合前に、1質量ppm未満に、特に有利には0.5質量ppm未満に低下される。
【0067】
モノマー溶液は、気相中での重合のために液滴化される。
【0068】
モノマー溶液の固体含有率は、好ましくは少なくとも35質量%、有利には少なくとも38質量%、とりわけ有利には少なくとも40質量%、極めて有利には少なくとも42質量%である。その際、固体含有率は、重合後に不揮発性の全ての成分の合計である。これらは、モノマーa)、架橋剤b)及び開始剤c)である。
【0069】
気相の酸素含有率は、好ましくは0.001〜0.15体積%、特に有利には0.002〜0.1体積%、殊に有利には0.005〜0.05体積%である。
【0070】
気相は、酸素以外に、好ましくは不活性ガス、すなわち反応条件下で重合には関与しないガス、例えば窒素及び/又は水蒸気のみを含有する。
【0071】
液滴化に際して、モノマー溶液は液滴の形成下に気相へと配量される。モノマー溶液の液滴化は、例えば液滴化プレート(Vertropferplatte)を用いて実施できる。
【0072】
液滴化プレートは、少なくとも1個の穿孔を有するプレートであり、その際、液体が上方から穿孔を通り抜ける。液滴化プレートもしくは液体は振動することができ、それによって液滴化プレートの下側で、穿孔ごとに理想的には単分散した液滴の列が作製される。
【0073】
穿孔の数と大きさとは、所望の容量及び液滴の大きさに従って選択される。その際、液滴の直径は、通常は穿孔の直径の1.9倍である。この場合に重要なことは、液滴化されるべき液体の通り抜けが速すぎないこと、あるいは穿孔による圧力損失が大きすぎないことである。さもなければ、液体は液滴化されず、むしろ液体噴流が、高い運動エネルギーのために分裂(噴霧)される。液滴化装置は、層流分解の流範囲内で運転される。すなわち穿孔1個当たりの処理量と穿孔直径とに対するレイノルズ数は、好ましくは2000未満、有利には1000未満、とりわけ有利には500未満、極めて有利には100未満である。穿孔による圧力損失は、好ましくは2.5bar未満、とりわけ有利には1.5bar未満、極めて有利には1bar未満である。
【0074】
液滴化プレートは、通常は少なくとも1個の、好ましくは少なくとも10個の、特に有利には少なくとも50個の、通常は10000個までの、好ましくは5000個までの、特に有利には1000個までの穿孔を有し、その際、それらの穿孔は、通常は一様に液滴化プレート上に分布しており、好ましくは三角ピッチで分布している。すなわち、それぞれ3つの穿孔が正三角形の頂点を形成する。
【0075】
穿孔の直径は、所望の液滴の大きさに合わせられる。この製造された液滴は、有利に少なくとも100μm、特に有利に少なくとも150μm、更に特に有利に少なくとも200μmの平均液滴サイズを有し、その際、前記液滴直径は光散乱法により測定することができる。
【0076】
該液滴化プレートを支持プレート上に載置することが好ましいことがある。その際、該支持プレートは同様に穿孔を有する。その際、支持プレートの穿孔は、液滴化プレートの穿孔よりも大きい直径を有し、かつ液滴化プレートの各穿孔の下に、それと同心の支持プレートの穿孔が存在するように配置されている。この配置は、例えば別の大きさの液滴を生成するために、液滴化プレートを迅速に交換することを可能にする。
【0077】
しかし、該液滴化は、気送式引込みノズル(pneumatische Ziehduese)、回転、噴射の切断又は迅速に制御可能な微細バルブノズル(Mikroventilduese)によっても実施できる。
【0078】
空気吸引式ノズルにおいては、液体噴流が、ガス流と一緒にオリフィスを通して加速される。ガス量により、液体噴流の直径、ひいては液滴直径に影響を及ぼすことができる。
【0079】
回転による液滴化の場合には、液体は、回転ディスクの開口部を通り抜ける。液体に作用する遠心力によって、定義された寸法の液滴が引き取られる。回転液滴化のための有利な装置は、例えばDE4308842A1の中で記載される。
【0080】
しかしまた、流出する液体噴流を、回転刃を用いて、定められた区分で切り分けてもよい。各区分は、引き続き液滴を形成する。
【0081】
マイクロバルブノズルが使用される場合、直接的に、定義された液体体積を有する液滴が作製される。
【0082】
有利には、気相はキャリアガスとして反応室を流れる。その際、キャリアガスは、自由落下するモノマー溶液の液滴に対して並流又は向流で、有利には並流で反応室に導いてよい。有利には、前記キャリアガスは導通後に少なくとも部分的に、有利には少なくとも50%を、特に有利には75%を、循環ガスとして前記反応室中に返送される。通常は、キャリアガスの部分流は、その都度の通過後に、好ましくは10%まで、特に有利には3%まで、殊に有利には1%までが排出される。
【0083】
ガス速度は、好ましくは、流れが反応器に向けられるように、例えば一般的な流れ方向と反対の対流渦が存在しないように調整され、かつ、それは例えば0.01〜5m/s、好ましくは0.02〜4m/s、とりわけ有利には0.05〜3m/s、極めて有利には0.1〜2m/sである。
【0084】
キャリアガスは、適切には、反応器前で反応温度に予熱される。
【0085】
反応温度は、熱誘導型重合の場合には、好ましくは70〜250℃、特に有利には100〜220℃、殊に有利には120〜200℃である。
【0086】
該反応は、過圧下もしくは低圧下で実施でき、周囲圧力に対して100mbarまでの低圧が有利である。
【0087】
反応排ガス、すなわち反応室から出て行くキャリアガスは、例えば熱交換器中で冷却することができる。その際、水と、反応しなかったモノマーa)とが凝縮する。次いで、反応排ガスは、少なくとも部分的に再び加熱でき、そして循環ガスとして反応器へと返送することができる。反応排ガスの一部は排出され、かつ新鮮なキャリアガスと置き換えられえ、その際、反応排ガス中に含まれた水と、反応しなかったモノマーa)とは分離され、かつ返送することができる。
【0088】
とりわけ有利なのは熱統合であり、すなわち排ガスの冷却に際しての排熱の一部が、循環ガスの再加熱のために使用される。
【0089】
該反応器は随伴加熱することができる。随伴加熱は、その際、壁部温度が、反応器内部温度より少なくとも5℃高く、反応器壁部での凝縮が確実に回避されるように調整される。
【0090】
この反応生成物は、反応室から通常の方法で取り出すことができ、有利にはスクリューコンベアを介して底部で取り出すことができ、そして場合により所望の残留湿分までかつ所望の残留モノマー含量まで更に乾燥することができる。
【0091】
前記ポリマー粒子は、本発明により少なくとも1種のポリマー及び/又はワックスを塗布する前に前記特性を更に改善するために後架橋することができる。
【0092】
後架橋剤は、ヒドロゲルのカルボキシラート基と共有結合を形成することができる少なくとも2個の基を有する化合物である。適した化合物は、例えばアルコキシシリル化合物、ポリアジリジン、ポリアミン、ポリアミドアミン、ジエポキシド又はポリエポキシド(例えばEP83022A2、EP543303A1及びEP937736A2に記載)、二官能性又は多官能性アルコール(例えばDE3314019A1、DE3523617A1及びEP450922A2に記載)、又はβ−ヒドロキシアルキルアミド(例えばDE10204938A1及びUS6,239,230に記載)である。
【0093】
更に、DE4020780C1の中で環状カーボネートが、DE19807502A1の中で2−オキサゾリドン及びその誘導体、例えば2−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリドンが、DE19807992C1の中でビス−及びポリ−2−オキサゾリジノンが、DE19854573A1の中で2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン及びその誘導体が、DE19854574A1の中でN−アシル−2−オキサゾリドンが、DE10204937A1の中で環状尿素が、DE10334584A1の中で二環状アミドアセタールが、EP1199327A2の中でオキセタン及び環状尿素が、またWO2003/31482A1の中でモルホリン−2,3−ジオン及びその誘導体が適した後架橋剤として記載されている。
【0094】
さらに、DE3713601A1に記載されているような、付加的な重合可能なエチレン性不飽和基を含有する後架橋剤も使用することができる。
【0095】
後架橋剤の量は、そのつどポリマーに対して、好ましくは0.01〜1質量%、とりわけ有利には0.05〜0.5質量%、極めて有利には0.1〜0.2質量%である。
【0096】
本発明の有利な一実施態様において、後架橋剤に加えて、多価カチオンが粒子表面に塗布される。
【0097】
本発明による方法において使用することができる多価カチオンはたとえば二価のカチオン、たとえば亜鉛、マグネシウム、カルシウム及びストロンチウムのカチオン、三価のカチオン、たとえばアルミニウム、鉄、クロム、希土類及びマンガンのカチオン、四価のカチオン、たとえばチタン及びジルコニウムのカチオンである。対イオンとして塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン及びカルボン酸イオン、例えば酢酸イオン及び乳酸イオンが可能である。硫酸アルミニウムが有利である。
【0098】
基礎ポリマーAに対する使用量はたとえば0.001〜0.5質量%、有利には0.005〜0.2質量%、特に有利には0.02〜0.1質量%である。
【0099】
この後架橋は、一般的には、後架橋剤の溶液をヒドロゲル又は乾燥させたポリマー粒子上に吹き付けることにより実施される。この噴霧に引続き、加熱乾燥を行い、その際、後架橋反応は乾燥前でも乾燥中でも行うことができる。
【0100】
架橋剤溶液の吹き付けは、有利に可動式混合器具を有するミキサー中で、例えばスクリューミキサー、パドルミキサー、ディスクミキサー、鋤刃ミキサー及びブレードミキサ中で実施する。特に有利に、バーティカルミキサー、殊に有利に鋤刃ミキサー及びブレードミキサーである。適したミキサーは、例えばレーディゲ(Loedige)ミキサー、ベペックス(Bepex)ミキサー、ナウタ(Nauta)ミキサー、プロセッサル(Processall)ミキサー及びシュギ(Schugi)ミキサーである。
【0101】
この加熱乾燥は、好ましくは接触乾燥器、特に好ましくはパドル型乾燥器、殊に好ましくはディスク型乾燥器中で実施する。適した乾燥機は、例えばベペックス(Bepex)乾燥機及びナラ(Nara)乾燥機である。さらに、流動床乾燥機も使用することができる。
【0102】
乾燥は、ミキサーそれ自体中で、ジャケットの加熱又は熱風の吹き込みによって行なうことができる。後方に接続された乾燥機、例えば箱形乾燥機、回転管炉か又は加熱可能なスクリューは、同様に好適である。とりわけ好ましくは、流動層乾燥機中で混合及び乾燥される。
【0103】
有利な乾燥温度は、100〜250℃の範囲内、有利には120〜220℃、及びとりわけ有利には140〜200℃である。反応ミキサー又は乾燥機中におけるこの温度での有利な滞留時間は、好ましくは少なくとも10分間、とりわけ有利には少なくとも20分間、極めて有利には少なくとも30分間である。
【0104】
本発明による方法は、高い遠心分離保持能力(CRC)、4.83kPa(AUP0.7psi)の圧力下での高い吸収及び高い機械的安定性を有する吸水性ポリマー粒子の製造を可能にする。
【0105】
本発明による方法により得られる吸水性ポリマー粒子は、通常では中空球の形状を有する。本発明の他の主題は、従って、少なくとも1つの中空を粒子内部に有し、前記粒子表面は少なくとも部分的にポリマー層及び/又はワックス層を有している吸水性ポリマー粒子である。
【0106】
前記ポリマー層及び/又はワックス層は、吸水性ポリマー粒子の有利に0.005〜10質量%、特に有利に0.05〜5質量%、更に特に有利に0.1〜2質量%である。
【0107】
有利に、前記被覆は塗膜形成性ポリマーからなる。これは、特に引裂強さ0.5〜25N/mm、有利に1〜20N/mm、特に有利に2〜15、更に特に有利に5〜10N/mm及び/又は破断点伸び10〜10000%、有利に20〜5000%、特に有利に50〜2000%、更に特に有利に500〜1000%を有するポリマー塗膜を有するポリマーである。
【0108】
本発明による吸水性ポリマー粒子は、ほぼ円形である。すなわち該ポリマー粒子は、一般に少なくとも0.84の、好ましくは少なくとも0.86の、特に有利には少なくとも0.88の、殊に有利には少なくとも0.9の平均球形度(mSPHT)を有する。球形度(SPHT)は、
【数1】

[式中、Aは、横断面積であり、かつUは、ポリマー粒子の横断面周囲長である]として定義される。この平均球形度(mSPHT)は体積平均球形度である。
【0109】
平均球形度(mSPHT)は、例えば画像解析システムCamsizer(登録商標)(Retsch Technology GmbH;DE)で測定することができる。
【0110】
比較的低い平均球形度(mSPHT)を有するポリマー粒子は、ポリマー粒子が重合の間もしくは後に凝集される場合に、逆懸濁重合によって得られる。
【0111】
通常の溶液重合(ゲル重合)によって製造される吸水性ポリマー粒子は、乾燥後に粉砕され、分級され、その際、不規則なポリマー粒子が得られる。このポリマー粒子の平均球形度(mSPHT)は、約0.72〜約0.78である。
【0112】
本発明による他の主題は、少なくとも1つの中空を粒子内部に有し、前記粒子は10質量%未満、有利に8質量%未満、特に有利に6質量%未満、更に特に有利に5質量%未満の含水量を有し、少なくとも0.84、有利に少なくとも0.86、特に有利に少なくとも0.88、更に特に有利に少なくとも0.9の平均球形度(mSPHT)を有し、かつ0.08未満、有利に0.06未満、特に有利に0.04未満、更に特に有利に0.02未満の安定性指数を有し、前記含水量はEDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により推奨される試験法番号WSP 230.2−05「Moisture content」により測定される、吸水性ポリマー粒子である。
【0113】
前記中空球の最大直径対前記ポリマー粒子の最大直径の比は、有利に少なくとも0.1、特に有利に少なくとも0.3、更に特に有利に少なくとも0.4である。
【0114】
前記ポリマー粒子は、重合されアタクリル酸の、有利に少なくとも50mol%、特に有利に少なくとも90mol%、更に特に有利に少なくとも95mol%である。前記の重合されたアクリル酸は、有利に25〜85mol%、特に有利に50〜80mol%、更に特に有利に60〜75mol%が中和されている。
【0115】
本発明の更なる1つの対象は、本発明による方法により得られる吸水性ポリマー粒子である。
【0116】
本発明による方法に従って得られる吸水性ポリマー粒子は、典型的には少なくとも20g/g、好ましくは少なくとも25g/g、有利には少なくとも30g/g、とりわけ有利には少なくとも35g/g、極めて有利には少なくとも40g/gの遠心分離保持容量(CRC)を有する。該吸水性ポリマー粒子の遠心分離保持能力(CRC)は、通常は、60g/g未満である。
【0117】
前記の本発明による方法により得られた吸水性ポリマー粒子は、4.83kPa(AUP0.7psi)の圧力下で、一般に少なくとも15g/g、有利に少なくとも20g/g、特に有利に少なくとも25g/g、更に特に有利に少なくとも30g/gの吸収量を有する。4.83kPa(AUP0.7psi)の圧力下での、本発明による吸水性ポリマー粒子の吸収量は、通常では50g/gより低い。
【0118】
ポリマー粒子の平均直径は、好ましくは少なくとも200μm、特に有利には250〜600μm、殊に300〜500μmであり、その際、該粒子直径は、光散乱によって測定でき、体積平均の平均直径を意味する。前記ポリマー粒子の90%は有利に100〜800μm、特に有利に150〜700μm、更に特に有利に200〜600μmの直径を有する。
【0119】
本発明の更なる主題は、前記された方法により製造された吸水性ポリマー粒子の使用を含む衛生用品、特におむつの製造方法である。
【0120】
本発明の他の主題は、衛生用品のための、廃棄物、特に医療廃棄物の増粘のため、又は農業における保水剤としての本発明による吸水性ポリマー粒子の使用である。
【0121】
吸水性ポリマー粒子は、以下で記載された試験法によって試験される。
【0122】
方法:
この測定は、他に記載がない限り、23±2℃の周囲温度及び50±10%の相対空気湿度で実施するのが好ましい。吸水性ポリマーは、測定前に良く混和する。
【0123】
含水量
この吸水性ポリマー粒子の含水率は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により推奨された試験方法No.WSP 230.2−05「Moisture content」により測定する。
【0124】
遠心分離保持能力(CRC Centrifuge Retention Capacity)
吸水性ポリマー粒子の遠心分離保持能力は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により推奨された試験法No.WSP 241.2−05「Centrifuge retention capacity」に従って測定される。
【0125】
荷重吸収性(AUL0.7psi;Absorption Under Pressure)
この荷重吸収性は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により推奨された試験方法No.WSP 242.2−05「Absorption under pressure」により測定され、その際、21g/cm2の重りの代わりに4.9g/cm2(0.7psi)の重りを使用する。
【0126】
安定性指数
前記安定性指数は、吸水性ポリマー粒子の機械的安定性を記載する。
【0127】
このために吸水性ポリマー粒子50gを、約360mlの内部容量を有する円柱状の磁器製のミル中に秤量した。前記磁器製のミルは8.8cmの内部高さ及び7.2cmの内径を有していた。更に、24個の円柱状の磁器製の成形体を充填した。前記磁器製の成形体は1.25cmの高さ及び1.25cmの直径を有していた。磁器製の成形体の重量は5.3gであった。前記円柱状の磁器製のミルを閉鎖し、15分間ローラ駆動装置を用いて毎分150回転で回転させた。
【0128】
100μmより小さい粒子サイズを有する吸水性ポリマー粒子の割合を、機械的負荷の前及び後で測定した。前記吸水性ポリマー粒子が、100μmより小さい粒子サイズを有する粒子を1質量%以上含む場合には、これを予め分離することができる。
【0129】
この安定性指数は次のように計算される:
安定性指数=(粒子<100μmnachher−粒子<100μmvorher)/100質量%
その際、粒子<100μmvorherは、機械的負荷の前の100μm未満の粒子サイズを有するポリマー粒子の質量割合であり、粒子<100μmnachherは機械的負荷後の100μm未満の粒子サイズを有するポリマー粒子の質量割合である。
【0130】
100μm未満の粒子サイズを有する粒子は、PartAn Particle Analyzer Typ 2001 F/L(AnaTec社、Duisburg、DE)を用いて光学的に測定される。測定のためにポリマー粒子20gを使用した。
【0131】
実施例:
実施例1(比較例):
アクリル酸ナトリウム13.98kg(水中で37.5質量%の溶液)、アクリル酸1.60kg及び水0.392kgを、15箇所エトキシル化されたトリメチロールプロパントリアクリラート28gと混合した。該溶液を、加熱され窒素雰囲気で充填された液滴化塔(Vertropfungsturm)(156℃、12mの高さ、2mの幅、並流で0.1m/sのガス速度)中に液滴化した。計量供給速度は、16kg/hであった。液滴化プレートは170μmの30個の穿孔を有していた。液滴化プレートの直径は、65mmであった。開始剤を、液滴化装置の直前で、スタティックミキサを用いてモノマー溶液と混合した。開始剤として、水中で2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリドの6.5質量%の溶液を使用した。開始剤溶液の計量供給速度は、0.43kg/hであった。
【0132】
この吸水性ポリマー粒子は165℃で60分間乾燥した。得られた吸水性ポリマー粒子は、36.8g/gの遠心分離保持能力(CRC)、23.4g/gの荷重吸収性(AUL0.7psi)及び0.8質量%の含水量を有していた。
【0133】
引き続き、前記吸水性ポリマー粒子の機械的安定性を測定した。結果は第1表にまとめられている。
【0134】
実施例2
実施例1と同様に実施した。機械的安定性の測定の前に、この吸水性ポリマー粒子をアクロナール(Acronal(R) A 508)(BASF Aktiengesellschaft, DE)で被覆した。アクロナール(Acronal(R) A 508)は、3℃未満のガラス転移温度及び約75nmの平均粒子サイズを有するメチルメタクリラート/メタクリル酸−コポリマーの水性ポリマー分散液である。前記ポリマー分散液の固体含有量は、約41質量%であった。
【0135】
被覆のために吸水性ポリマー粒子200gをフードプロセッサ(Kitchen Aid Ultra Power, Model KSM 90, St. Joseph, Michigan, US)に装入した。絶え間なく混合しながら、1.5分間に2流体ノズルを用いてアクロナール(Acronal(R) A 508)2.44g及び水17.56gからなる溶液を吹き付けた。供給開始後の最初の0.5分は、段階1で混合した。引き続き、3.5分を段階2で混合した。
【0136】
この被覆されたポリマー粒子を130℃で180分間乾燥した。乾燥したポリマー粒子は0.7質量%の含水量を有していた。
【0137】
実施例3
実施例2と同様に実施した。絶え間なく混合しながら、4分間に2流体ノズルを用いてアクロナール(Acronal(R) A 508)1.22g、ソルビタンモノラウラート0.30g及び水8.48gからなる溶液を吹き付けた。
【0138】
この被覆されたポリマー粒子を130℃で180分間乾燥した。乾燥したポリマー粒子は0.7質量%の含水量を有していた。
【0139】
実施例4
実施例2と同様に実施した。絶え間なく混合しながら、4分間に2流体ノズルを用いてアクロナール(Acronal(R) A 508)2.44g、ソルビタンモノラウラート0.30g及び水7.26gからなる溶液を吹き付けた。
【0140】
この被覆されたポリマー粒子を130℃で180分間乾燥した。乾燥したポリマー粒子は1.1質量%の含水量を有していた。
【0141】
実施例5
実施例2と同様に実施した。絶え間なく混合しながら、4分間に2流体ノズルを用いてアクロナール(Acronal(R) A 508)4.88g、ソルビタンモノラウラート0.30g及び水4.82gからなる溶液を吹き付けた。
【0142】
この被覆されたポリマー粒子を130℃で180分間乾燥した。乾燥したポリマー粒子は1.2質量%の含水量を有していた。
【0143】
実施例6
実施例2と同様に実施した。絶え間なく混合しながら、4分間に2流体ノズルを用いてスチロナール(Styronal(R) D 809 (BASF Aktiengesellschaft, DE))1.00g、ソルビタンモノラウラート0.30g及び水8.70gからなる溶液を吹き付けた。スチロナール(Styronal(R) D 809)は、約22℃のガラス転移温度及び約160nmの平均粒子サイズを有するアクリル酸ブチル/スチレン/アクリル酸−コポリマーの水性ポリマー分散液である。前記ポリマー分散液の固体含有量は、約50質量%であった。
【0144】
この被覆されたポリマー粒子を130℃で180分間乾燥した。乾燥したポリマー粒子は0.8質量%の含水量を有していた。
【0145】
実施例7(比較例)
アクリル酸ナトリウム13.95kg(水中で37.5質量%の溶液)、アクリル酸1.60kg及び水0.416kgを、15箇所エトキシル化されたトリメチロールプロパントリアクリラート34gと混合した。この溶液を、加熱され窒素雰囲気が充填された液滴化塔(Vertropfungsturm)(156℃、12mの高さ、2mの幅、並流で0.1m/sのガス速度)中に液滴化した。計量供給速度は、16kg/hであった。液滴化プレートは170μmの30個の穿孔を有していた。液滴化プレートの直径は、65mmであった。開始剤を、液滴化装置の直前で、スタティックミキサを用いてモノマー溶液と混合した。開始剤として、水中の2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリドの6.5質量%の水溶液を使用した。開始剤溶液の計量供給速度は、0.43kg/hであった。
【0146】
この吸水性ポリマー粒子は165℃で60分間乾燥した。
【0147】
得られた吸水性ポリマー粒子は、45.0g/gの遠心分離保持能力(CRC)、14.2g/gの荷重吸収性(AUL0.7psi)及び1.4質量%の含水量を有していた。
【0148】
引き続き、前記吸水性ポリマー粒子の機械的安定性を測定した。結果は第1表にまとめられている。
【0149】
実施例8(比較例)
実施例7と同様に実施した。機械的安定性を測定する前に、前記吸水性ポリマー粒子をソルビタンモノラウラートで被覆した。
【0150】
被覆のために吸水性ポリマー粒子200gをフードプロセッサ(Kitchen Aid Ultra Power, Model KSM 90, St. Joseph, Michigan, US)に装入した。絶え間なく混合しながら、4分間に、2流体ノズルを用いて、ソルビタンモノラウラート0.30g及び水9.70gからなる溶液を吹き付けた。供給開始後の最初の0.5分は、段階1で混合した。引き続き、3.5分を段階2で混合した。
【0151】
この被覆されたポリマー粒子を130℃で180分間乾燥した。乾燥したポリマー粒子は0.7質量%の含水量を有していた。
【0152】
実施例9
実施例7と同様に実施した。機械的安定性の測定の前に、この吸水性ポリマー粒子をアクロナール(Acronal(R) A 508)(BASF Aktiengesellschaft, DE)で被覆した。
【0153】
被覆のために吸水性ポリマー粒子200gをフードプロセッサ(Kitchen Aid Ultra Power, Model KSM 90, St. Joseph, Michigan, US)に装入した。絶え間なく撹拌しながら、4分間に2流体ノズルを用いてアクロナール(Acronal(R) A 508)1.22g、ソルビタンモノラウラート0.30g及び水8.48gからなる溶液を吹き付けた。供給開始後の最初の0.5分は、段階1で混合した。引き続き、3.5分を段階2で混合した。
【0154】
この被覆されたポリマー粒子を130℃で180分間乾燥した。乾燥したポリマー粒子は0.8質量%の含水量を有していた。
【0155】
実施例10(比較例)
アクリル酸ナトリウム13.71kg(水中で37.5質量%の溶液)、アクリル酸1.57kg及び水0.709kgを、3箇所エトキシル化されたグリセリンアクリラート11gと混合した。この溶液を、加熱され窒素雰囲気で充填された液滴化塔(Vertropfungsturm)(160℃、12mの高さ、2mの幅、並流で0.1m/sのガス速度)中に液滴化した。計量供給速度は、16kg/hであった。液滴化プレートは170μmの30個の穿孔を有していた。液滴化プレートの直径は、65mmであった。開始剤を、液滴化装置の直前で、スタティックミキサを用いてモノマー溶液と混合した。開始剤として、水中の2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリドの6.5質量%の溶液を使用した。開始剤溶液の計量供給速度は、0.43kg/hであった。
【0156】
引き続き、得られた吸水性ポリマー粒子を後架橋させた。このために、吸水性ポリマー粒子200gに、フードプロセッサ中で中間の撹拌段階で2流体ノズルを用いて後架橋溶液6.3gを吹き付けた。この後架橋溶液は、2−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリドン0.3g、水4.2g及びイソプロパノール1.8gからなっていた。この湿ったポリマーを、スパチュラで再度均質化し、空気循環型乾燥庫中で170℃で30分間熱処理した。この後架橋されたポリマー粒子から850μmの篩を用いて塊状物を除去した。
【0157】
得られた吸水性ポリマー粒子は、35.1g/gの遠心分離保持能力(CRC)、23.3g/gの荷重吸収性(AUL0.7psi)及び1.0質量%の含水量を有していた。
【0158】
引き続き、前記吸水性ポリマー粒子の機械的安定性を測定した。結果は第1表にまとめられている。
【0159】
実施例11
実施例10と同様に実施した。機械的安定性の測定の前に、この吸水性ポリマー粒子をアクロナール(Acronal(R) A 508)(BASF Aktiengesellschaft, DE)で被覆した。
【0160】
被覆のために吸水性ポリマー粒子200gをフードプロセッサ(Kitchen Aid Ultra Power, Model KSM 90, St. Joseph, Michigan, US)に装入した。絶え間なく撹拌しながら、2.0分間に2流体ノズルを用いてアクロナール(Acronal(R) A 508)2.44g及び水17.08gからなる溶液を吹き付けた。供給開始後の最初の0.5分は、段階1で混合した。引き続き、3.5分を段階2で混合した。
【0161】
この被覆されたポリマー粒子を130℃で180分間乾燥した。乾燥したポリマー粒子は1.0質量%の含水量を有していた。
【0162】
表1:比較結果
【表1】

【0163】
*)比較例
**)ポリマーに対する

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー、
b) 選択的に少なくとも1種の架橋剤、
c) 少なくとも1種の開始剤、
d) 水
を含有するモノマー溶液の液滴を、該液滴を取り囲む気相中で重合させることにより、ポリマー粒子を得る吸水性ポリマー粒子の製造方法において、前記粒子表面を少なくとも1種のポリマー及び/又はワックスで少なくとも部分的に被覆することを特徴とする吸水性ポリマー粒子の製造方法。
【請求項2】
ポリマー粒子に対してポリマー及び/又はワックス0.005〜10質量%を、粒子表面に塗布することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマー、前記ポリマーの前駆体及び/又はワックスを水性分散液、エマルション及び/又は懸濁液の形で使用することを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
このポリマーは、塗膜形成性ポリマーであり、0.5〜15N/mmの引裂強さ及び/又は100〜1000%の破断点伸びを有するポリマー塗膜が形成されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記モノマー溶液の固体含有量は少なくとも35質量%であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
モノマーa)は、少なくとも50mol%が少なくとも部分的に中和されたアクリル酸であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
液滴が、少なくとも100μmの平均直径を有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法により製造できる吸水性ポリマー粒子。
【請求項9】
粒子内部に少なくとも1つの中空空間を有し、その際、粒子表面は少なくとも部分的にポリマー層及び/又はワックス層を有する、吸水性ポリマー粒子。
【請求項10】
ポリマー層及び/又はワックス層はポリマー粒子の0.005〜10質量%であることを特徴とする、請求項9記載のポリマー粒子。
【請求項11】
ポリマーは塗膜形成性ポリマーであり、0.5〜15N/mmの引裂強さ及び/又は100〜1000%の破断点伸びを有するポリマー塗膜を形成することを特徴とする、請求項9又は10記載のポリマー粒子。
【請求項12】
ポリマー粒子が少なくとも0.84の平均球形度を有することを特徴とする、請求項8から11までのいずれか1項記載のポリマー粒子。
【請求項13】
粒子内部に少なくとも1つの中空空間を有し、その際、粒子は10質量%未満の含水率、少なくとも0.84の平均球形度及び0.08未満の安定性指数を有する、吸水性ポリマー粒子。
【請求項14】
ポリマー粒子が少なくとも1つの中空空間を有し、前記中空空間の最大直径対前記ポリマー粒子の最大直径の比は少なくとも0.1であることを特徴とする、請求項8から12までのいずれか1項記載のポリマー粒子。
【請求項15】
ポリマー粒子の少なくとも50mol%は、少なくとも部分的に中和された重合したアクリル酸を含有することを特徴とする、請求項8から14までのいずれか1項記載のポリマー粒子。
【請求項16】
ポリマー粒子が、少なくとも200μmの平均直径を有することを特徴とする、請求項8から15までのいずれか1項記載のポリマー粒子。
【請求項17】
請求項8から16までのいずれか1項記載のポリマー粒子の衛生用品の製造のための使用。
【請求項18】
請求項8から18までのいずれか1項記載のポリマー粒子を含有する衛生用品。

【公表番号】特表2010−513631(P2010−513631A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541989(P2009−541989)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【国際出願番号】PCT/EP2007/063757
【国際公開番号】WO2008/077779
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】