説明

機能シート

【課題】持ち運び性のよい洗浄、殺菌・除菌、消臭シートを安価にかつ扱いやすく保存性のよいものを提供することを目的とする。
【解決手段】シートは繊維から構成されておりこのシートの繊維の一部に水等の液体に可溶する洗浄成分固体あるいは、洗浄、殺菌・除菌成分固体、あるいは、消臭成分固体を付着させこの繊維のシートに水等の液体を与えることにより水に可溶する洗浄成分、殺菌・除菌成分、消臭成分が溶出し手軽な洗浄、殺菌・抗菌、消臭効果を含む機能シートを安価に提供することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば便座、什器、食器、各種台所用品、衣類を洗浄したり殺菌・除菌したり、消臭する洗浄、殺菌・除菌、消臭を簡便に使用できるシートに関する。
【背景技術】
【0002】
現在排気ガス、黄砂、ほこり等の汚れ、各種台所用品・什器の汚れ、各種細菌等がくっついていたりあるいは靴、靴下など不愉快な臭気が存在する。手足、便座、各種什器・機器・台所用品を洗浄するため、あるいは洗浄、殺菌・除菌あるいは消臭する必要がある。しかしながらこういったことをするためには例えば洗浄の場合、水と洗剤等を使い洗浄をする必要がある。便座、手指などの殺菌・除菌にはアルコール等が必要になる。また靴、靴下などの臭いを取ることが必要となる。
【0003】
各種の洗浄するための機器、シート等が提案されているがほとんどの場合合成界面活性剤の入った洗浄剤を使う必要がありその場合大量の水で流し落としたりする必要がある。また殺菌・除菌についても引火性であるアルコールを使うといった面倒な処理を行う必要が発生している。臭気については臭気の元を生成する微生物の増殖を防ぐため殺菌剤等を使う必要があった。
【0004】
例えば特許文献1特開2009−153553では被掃除体に固着した油分を含んだ汚を容易に取り除くことができる掃除具を提供するためにシート状の不織布と、モース硬度が9の研磨材を含み、不織布の一方面上に島状に形成された研磨層と、研磨層を覆うように形成された洗浄層は界面活性剤とバインダーとの混合物溶液を塗布、乾燥させることによって形成されている洗浄層を備えることによって水等に付けて汚れを擦り取るようになっている。消臭についてはたとえば特許文献2特開2008−094775等で臭気の元となる微生物の増殖を抑制するような試みがされている。
【特許文献1】特開2009−153553
【特許文献2】特公2008−094775
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の洗浄シート、殺菌・除菌シートは通常特許文献1に示されるように研磨剤、合成界面活性剤が含まれており何層にもなりその構造も複雑となりまた環境にも影響を与えてしまいます。従来品では多量の水などが必要であるしまた研磨剤等で表面に傷がつくことなどもあり手軽に使うことが難しく、さらにこの洗浄、殺菌・除菌シートのパッケージが大掛かりなものになってしまい高価になってしまう。また簡便で手軽に使える安価な消臭可能なシートは存在しなかった。本発明はこういった不便を解消するために手軽に持ち運びが容易で保存性が高く、及び洗浄、殺菌・除菌、消臭効果が高く安価な洗浄、殺菌・除菌、消臭シートが求められていた。また不愉快なアンモニア等の臭気を消臭する手軽に使える安価なシートが求められていた。例えば簡便に便座の洗浄、殺菌・除菌、消臭を可能にするシートがあれば非常に便利であり市場から待ち望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記の課題を解決するため鋭意研究を行い次のような手法をとった。すなわち繊維質から構成されたシートの繊維の一部に、水に可溶性があり水に溶解するとマイナスイオンが生成することにより洗浄機能、殺菌・除菌機能あるいは両者(洗浄機能、殺菌・除菌機能)を発揮する固体を付着させ、さらにこのシートには水を格納しているマイクロカプセルを設け、このマイクロカプセルの水がマイクロカプセルの破壊によって前述の繊維に供給されると前述の固体が水に溶解しシートが洗浄シートあるいは殺菌・除菌シートあるいは洗浄、殺菌・除菌シートとなるようにすればよい。
【0007】
そしてここでのマイナスイオンは塩素イオン(Cl)であればよい。また必要に応じてマイクロカプセルに含有される水には人が好む匂いをつけておけば洗浄時、殺菌・除菌時、あるいは洗浄、殺菌・除菌時に人を心地よい気分にさせる。
【0008】
前述の洗浄はマイナスイオンが被洗浄物と汚れの間に浸透し汚れの表面全面および被洗浄物表面に付着しマイナスイオン同士の反発力により汚れが被洗浄物から剥離することにより達成されるものである。この繊維質は不織布、織布、和紙、洋紙、スポンジ、あるいは不織布、織布、和紙、洋紙、スポンジの中から選ばれた2以上の組み合わせであればよい。
【0009】
機能シートの機能が洗浄機能である場合についての製法を説明する。繊維質から構成されたシートの繊維の一部に水に可溶性があり、水に溶解するとマイナスイオンが生成することにより洗浄機能を発揮する固体を付着させ、さらにこのシートには水を格納しているマイクロカプセルを設け、このマイクロカプセルの水がマイクロカプセルの破壊によって前述の固体に供給されるとシートが洗浄シートとなる機能シートの製法であって、マイナスイオンを含む水を繊維質のシートに印刷または浸漬し乾燥させ、さらに水を格納しているマイクロカプセルを配置するようにすればよい。
【0010】
前述のマイナスイオンは塩素イオン(Cl)が好ましく、この塩素イオン(Cl)の濃度が2000mg/l〜40000mg/lの範囲が好適である。塩素イオン(Cl)の濃度が2000mg/l以下では十分な洗浄効果が発揮されず40000mg/l以上では繊維質に対する損傷や変色が発生してしまう。
【0011】
このシートは複数のシートから構成され少なくとも1枚のシートに水を含有したマイクロカプセルを印刷しこのシートを積層し接着してもよい。
【0012】
機能シートが殺菌・除菌あるいは洗浄、殺菌・除菌の機能である場合についての製法を説明する。繊維質から構成されたシートの繊維の一部に、水に可溶性があり水に溶解するとマイナスイオンが生成することにより殺菌・除菌機能あるいは洗浄機能、殺菌・除菌機能を発揮する固体を付着させ、さらにこのシートには水を格納しているマイクロカプセルを設け、このマイクロカプセルの水がマイクロカプセルの破壊によって該繊維に供給されると前述の固体が水に溶解しシートが殺菌・除菌シートあるいは洗浄、殺菌・除菌シートの製法であって、マイナスイオンを含む水を繊維質のシートに印刷または浸漬し乾燥させ、さらに水を格納しているマイクロカプセルを配置するようにすればよい。
【0013】
前述のマイナスイオンは塩素イオン(Cl)が好ましく塩素イオン(Cl)の濃度が30000mg/l〜40000mg/lが好適である。塩素イオン(Cl)の濃度が30000mg/l以下では十分な除菌・殺菌効果が発揮されず40000mg/l以上では繊維質に対する損傷や変色が発生してしまう。
【0014】
次に機能シートが洗浄機能シートの場合について説明する。繊維質から構成されたシートの繊維の一部に、水に溶解すると洗浄機能を発揮するマイナスイオンを生成する固体を付着させ、このシートに水が供給されると固体は水に溶解し洗浄機能を発揮する洗浄シートとすればよい。
【0015】
前述のマイナスイオンは塩素イオン(Cl)であれば好ましい。またこのシートはその片方の面に不通水性の膜が形成してあればよい。このようにシートはその片方の面に不通水性の膜が形成してあることによって人がこの機能シートを使って手で洗浄する時に不通水性の膜により手に汚れ等が付着せず手が保護される。
【0016】
前述の洗浄はマイナスイオンが被洗浄物と汚れの間に浸透し汚れの表面全面および被洗浄物表面に付着しマイナスイオン同士の反発力により汚れが被洗浄物から剥離することにより達成されている。前述の繊維質は不織布、織布、和紙、洋紙、スポンジ、あるいは不織布、織布、和紙、洋紙、スポンジの中から2以上の組み合わせであればよい。
【0017】
洗浄機能シートの製法について説明する。繊維質から構成されたシートの繊維の一部に、水に溶解するとマイナスイオンが生成することにより洗浄機能を発揮する固体を付着させ、このシートに水が供給されると前述の固体は水に溶解し洗浄機能を有する機能シートの製法であってマイナスイオンを含有する水を繊維質のシートに印刷または浸漬し乾燥させればよい。
【0018】
前述のマイナスイオンは塩素イオン(Cl)が好ましくマイナスイオンである塩素イオン(Cl)の濃度は2000mg/l〜40000mg/lが好適である。マイナスイオンである塩素イオン(Cl)の濃度が2000mg/l以下では十分な洗浄効果が発揮されず40000mg/l以上では繊維質に対する損傷や変色が発生してしまう。
【0019】
次にマイクロカプセルに洗浄機能を持つマイナスイオンを含有する水を格納した場合について説明する。繊維質から構成されたシートの繊維の一部に、マイナスイオン洗浄成分液体を格納したマイクロカプセルをこのシートの一部に配置しこのマイクロカプセルが破壊し内部の液体がシートに染み出すことにより洗浄シートとなるようにすればよい。そして前述のマイナスイオンは塩素イオン(Cl)であれば好適である。
【0020】
また必要に応じてマイクロカプセルに含有される水には人が好む匂いをつけておけば洗浄時に人を心地よい気分にさせる。
【0021】
前述の洗浄はマイナスイオンが被洗浄物と汚れの間に浸透し汚れの表面全面および被洗浄物表面に付着しマイナスイオン同士の反発力により汚れが被洗浄物から剥離することにより達成される。前述の繊維質は不織布、織布、和紙、洋紙、スポンジ、あるいは不織布、織布、和紙、洋紙、スポンジの中から2以上の組み合わせであればよい。
【0022】
繊維質から構成されたシートの繊維の一部に、マイナスイオン洗浄成分液体を含有したマイクロカプセルをこのシートの一部に設け、このマイクロカプセルが破壊し内部の液体がシートに染み出すことによる洗浄機能を発揮するシートの製法であってマイナスイオンを含む水を格納したマイクロカプセルを印刷によって配置すればよい。
【0023】
前述のマイナスイオンは塩素イオン(Cl)が好ましく、この塩素イオンの濃度が2000mg/l〜40000mg/lが好適である。マイナスイオンである塩素イオン(Cl)濃度が2000mg/l以下では十分な洗浄効果が発揮されず40000mg/l以上ではマイクロカプセルに対する損傷、変色が発生してしまう。
【0024】
前述のシートは複数のシートから構成され少なくとも1枚のシートにマイナスイオンを格納した液体を格納したマイクロカプセルを配置しこのシートを積層し接着してもよい。
【0025】
次に消臭機能シートについて説明する。繊維質から構成されたシートの繊維の一部に、水に溶解すると、塩素イオン(Cl)が生成することにより消臭機能を発揮する固体を付着させ、このシートに水が供給されると固体が溶解し消臭機能を発揮する消臭シートとすればよい。
【0026】
前述の消臭はアンモニアと塩素イオン(Cl)が結合することによって無臭の塩化アンモニウムを生成することによるものである。
【0027】
次に消臭機能シートの製法について説明する。繊維質から構成されたシートの繊維の一部が水に溶解すると、塩素イオン(Cl)が生成することによる消臭機能を有する固体を付着させ、このシートに水が供給されると固体が溶解し消臭機能を有する消臭シートの製法であって塩素イオン(Cl)を2000mg/l〜40000mg/l含む水を繊維質のシートに印刷または浸漬し乾燥させればよい。塩素イオン(Cl)が2000mg/l以下では十分な消臭効果が発揮されず40000mg/l以上では繊維質に対する損傷、変色が発生してしまう。

【発明の効果】
【0028】
本発明によれば人が手軽に持ち運びが容易で保存性が高い、簡便な構造で安価な洗浄、殺菌・除菌、消臭シートを提供することが可能となる。少量の水があるか、あるいは水等の液体マイクロカプセル入りの場合、まったく液体が無くても汚れ物を洗浄可能であり、被洗浄対象物、被殺菌・除菌対象物を洗浄、殺菌・除菌することが可能となる。また人間が不愉快になる臭いに対し消臭が可能となる。さらに残留物を残す泡、環境負荷等に問題のある合成界面活性剤等が入っていないため多量の水で洗い流す必要も無いという利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に本発明を実施する最良の形態の例について図に基づいて詳細に説明していく。図1は本発明の1実施形態の模式図でありシート101の断面図である。103は不織布であり繊維質中に溶解する前の102の固体が設けられている。この固体には水などに溶解する成分から構成されている。104はマイクロカプセルでありマイクロカプセルの中には105の水が充填されている。このマイクロカプセルは力を加えると破壊し内部の水が不織布に染み出す構造となっている。
【0030】
その場合のメカニズムを説明したものが図2から図4である。図2で203は不織布であり202は溶解する前の固体で204はマイクロカプセルでありマイクロカプセルの中には205の水が充填されている。206は圧力で、圧力をかけることにより204のマイクロカプセルが破壊され205の水が不織布に流出する。必要に応じて水に匂いの元を入れておけばマイクロカプセルが破壊された時に匂いを出すことが可能となり、人の好みに合った匂いの元を入れておけば人は快適になる。
【0031】
図3はそのメカニズムを示しており、303の不織布に304のマイクロカプセルが破壊され水が流出し302、302aの固体に305の水分が滲みこみ306のように固体が溶解する。302aは固体に水がしみこんで行く様子である。図4はその状態がさらに進んだ状態であり403の不織布に404のマイクロカプセルから水405が流出し402の固体から溶解し不織布に染み出し生成した液体に406が浸されている不織布である。
【0032】
機能が洗浄の場合の本実施例について説明する。ここで塩素イオン濃度3230mg/lを含有した水に不織布を浸漬し乾燥させる。すると不織布の繊維質中に固体が生成する。水の入ったマイクロカプセルは不織布の表面に印刷を行い付着させる。その様子を図5に示した。図5の501は不織布であり、505で塩素イオン濃度3230mg/lを含有した水に浸漬し502で乾燥する。さらに503、503aにより両面にマイクロカプセルを印刷し、両面にマイクロカプセルが印刷されたシート504を作成する。次に上記で作成したシート504を3枚積層し透水性の接着剤により接合する。その断面の様子を図6に示した。すなわち603、603a、603bは固体部を有する不織布である。602、602a、602b、602c、602d、602eは水を含有するマイクロカプセル層である。前述のように作成することにより洗浄シートとなる。つまり圧力でマイクロカプセルが破壊されることにより洗浄成分が溶解し洗浄シートなる。
【0033】
本製法によったシートで油脂汚れの付着した板で試したところ良好な洗浄結果が得られた。すなわちマイナスイオンとしてClが働いたが、この様子は後述する。ここでは塩素イオン濃度を上記の通りしたがこれに限られるものではない。洗浄効果が得られる組成であればよい。また製法もこれに限られるものではなく例えば印刷などの方法で塩素イオン含有の水を印刷し乾燥させるといった方法のように本発明の趣旨に合致していればよい。
【0034】
次に殺菌・除菌、洗浄、殺菌・除菌について説明するが、ここで先ほどと同様に塩素イオン濃度33000mg/lを含有した水に不織布を浸漬し乾燥させる。すると不織布の繊維質中に固体が生成する。水の入ったマイクロカプセルは不織布の表面に印刷を行い付着させる。その様子を図5に示した。図5の501は不織布であり、505で塩素イオン濃度33000mg/lを含有した水に浸漬し502で乾燥する。さらに503、503aにより両面にマイクロカプセルを印刷し、両面にマイクロカプセルが印刷されたシート504を作成する。次に上記で作成したシート504を3枚積層し透水性の接着剤により接合する。その断面の様子を図6に示した。すなわち603、603a、603bは固体部を有する不織布である。602、602a、602b、602c、602d、602eは水を含有するマイクロカプセル層である。前述のように作成することにより洗浄、殺菌・除菌シートとなる。つまり圧力でマイクロカプセルが破壊されることにより洗浄、殺菌・除菌成分が溶解し洗浄、殺菌・除菌シートになる。
【0035】
本製法によったシートで殺菌・除菌テストを行ったところシートは強アルカリ(pH13.2)でありブドウ球菌、緑膿菌に対して良好な結果が得られた。ここでは塩素イオン濃度を上記の通りしたがこれに限られるものではない。殺菌・除菌、洗浄効果が得られる濃度であればよい。また製法もこれに限られるものではなく例えば印刷などの方法で塩素イオン含有の水を印刷し乾燥させるといった方法のように本発明の趣旨に合致していればよい。
【0036】
ここでは繊維質に不織布を使用したがこれに限られるものではなく溶解する固体を保持できる繊維質であればよく例えばスポンジあるいは織布、和紙、洋紙といった紙等でもよい。また不織布、スポンジ、織布、和紙、洋紙といったものを複数組み合わせてもよい。
【0037】
次に他の実施形態について説明するが、図7は本発明の模式図であるシート701の断面図である。703は不織布であり繊維質中に溶解する前の702の固体が設けられている。この固体には水などに溶解する成分から構成されている。
【0038】
本実施例の場合についてすなわち洗浄シートの製法について説明する。ここで塩素イオン濃度3230mg/lを含有した水に不織布を浸漬し乾燥させる。すると不織布中に固体が生成する。その様子を図8に示したがここで803の不織布シートを801の塩素イオン濃度3230mg/lを含有した水に浸漬し802で乾燥を行い804の洗浄シートとする。
【0039】
本製法によったシートで油脂汚れの付着した板で試したところ良好な洗浄結果が得られた。その洗浄力テストの結果を図9に示したが、図に示したとおり、換気扇の表面に付着した油汚れを洗浄する洗浄力テストであるが本発明のシートに水をしみこませた物は非常に強い洗浄力を示した。これは市販の合成界面活性剤が大量に入っている強力洗剤を布にしみこませた物と同様であった。水を布にしみこませた物はほとんど洗浄力がなかった。また本発明品と同様に合成界面活性剤の使用を制限した環境負荷の低い市販のエコ洗剤を布にしみこませた物の洗浄力はかなり劣っていた。
【0040】
ここではマイナスイオンとして塩素イオン(Cl)が働いたが、このメカニズムは後述する。ここでは塩素イオン濃度を上記の通りしたがこれに限られるものではない。洗浄効果が得られる塩素イオン濃度であればよい。また製法もこれに限られるものではなく例えば印刷などの方法で塩素イオン含有の水を印刷し乾燥させるといった方法のように本発明の趣旨に合致していればよい。
【0041】
以上の場合のメカニズムを説明したものが図10から図12である。図10で1003は不織布であり1002は溶解する前の固体で1004は水でありシート1001に水をかけたとろである。1004の水が不織布に沁みこんでいく様子を表している。図11は水1104が不織布1103に沁みこみ溶解する前の固体1102と接触し溶解しているところであり、1105は不織布1103中で固体1102が溶解した液体部分が広がったところである。
【0042】
図12はさらに溶解が進んだ様子で1203の不織布のほとんどに1202の固体部分から溶解した液体に変わり不織布部分1204に液体が広がっている。この不織布にひろがった液体中に塩素イオン(Cl)が含まれており洗浄効果を発揮する。
【0043】
次に応用例を示すが不通水性シートを片側に形成したものの断面を図13に示した。1301は洗浄シートであり1303は不織布、1302が固体部で1304が不通水性の膜である。こういった構造にすることにより人が手で1304に触れても水を通さないため手が汚れない。このような断面で手袋を作れば洗浄作業時に手の保護も含めて非常に楽になると考えられる。
【0044】
ここでは繊維質に不織布を使用したがこれに限られるものではなく溶解する固体を保持できる繊維質であればよく例えばスポンジあるいは織布、和紙、洋紙といった紙等でもよい。また不織布、スポンジ、織布、和紙、洋紙といったものを複数組み合わせてもよい。
【0045】
次にマイクロカプセルにマイナスイオンを含有する水を内包した本発明の機能シートを説明する。図14はその模式図であり、シート1401の断面で1402は不織布1404はマイクロカプセル、1403はマイナスイオンを含有する液体である。
【0046】
図15は図14のシートに圧力をかける様子を示しており、1502は不織布1504はマイクロカプセル、1503はマイナスイオンを含有する液体であり、1505は圧力である。すると図16に示すように不織布1602中でマイクロカプセル1604が破壊され液体1603が不織布に染み出していき、染み出した部分が1605である。
【0047】
本実施例の場合の製法について説明する。マイクロカプセル内に収納する液体は塩素イオン濃度3230mg/lを含有した水である。この液体の入ったマイクロカプセルは不織布の表面に印刷を行い付着させる。必要に応じて作成したシートを積層接着してもよい。
【0048】
本製法によったシートで油脂汚れの付着した板で試したところ良好な洗浄結果が得られた。すなわちマイナスイオンとして塩素イオン(Cl)が働いたが、この様子は後述する。こでは成分を上記の通りしたがこれに限られるものではない。洗浄効果が得られる塩素イオンの濃度であればよい。また製法もこれに限られるものではなく本発明の趣旨に合致していればよい。
【0049】
ここでは繊維質に不織布を使用したがこれに限られるものではなく溶解する固体を保持できる繊維質であればよく例えばスポンジあるいは織布、和紙、洋紙といった紙等でもよい。また不織布、スポンジ、織布、和紙、洋紙といったものを複数組み合わせてもよい。
【0050】
次にマイナスイオンでの洗浄のメカニズムについて説明する。図17は板1702の上に汚れ1701が付着している様子を表した模式図である。通常汚れはプラスに帯電している。
【0051】
図18においては板1802の上に汚れ1801が付着しているところにマイナスイオン1803が引き寄せられていく様子を示している。図19は板1902と汚れ1901の拡大図であり、汚れ1901のプラスに帯電している部分に引き寄せられてマイナスイオン1903a、1903が汚れの表面に付着しており、また板1902の表面にも同様に毛細管現象によりマイナスイオン1905が表面に付着しいている。そしてマイナス同士1903、1905は反発するため汚れ1901は板1902から浮き上がる。
【0052】
図20は浮き上がったところを示しており、板2002から汚れ2001は板に付着したマイナスイオン2003と汚れ2001に付着したマイナスイオン2003、2003aにより反発力2004により板2002から汚れ2001が離れていく様子を示している。
【0053】
次に消臭シートの場合の実施形態について説明するが、図21は本発明の模式図であるシート2101の断面図である。2103は不織布であり繊維質中に溶解する前の2102の固体が設けられている。この固体には汗などの水分に溶解する成分から構成されている。
【0054】
本実施例の場合の製法について説明する。ここで塩素イオン濃度3230mg/lを含有した水に不織布を浸漬し乾燥させる。すると不織布中に固体が生成する。その様子を図22に示したがここで2201の不織布シートに2204において塩素イオン濃度3230mg/lを含有した水に浸漬し2202で乾燥を行い2203のシートを作成する。これがが消臭シートである。
【0055】
本製法によったシートで靴の中での消臭効果を試したところ良好な消臭結果が得られた。これは悪臭の主成分のアンモニアが汗等の水分によって溶解した塩素イオンと反応して無臭の塩化アンモニウムが生成したためである。このシートを使って夏期に靴の中に入れてテストを行ったところ不快な臭いは発生しなかった。また手洗をした手の水分を拭う動作を1ヶ月繰り返し消臭効果を試したところ良好な消臭結果が得られた。
【0056】
ここでは塩素イオン濃度を上記の通りしたがこれに限られるものではない。消臭効果が得られる塩素イオン濃度であればよい。また製法もこれに限られるものではなく例えば印刷などの方法で塩素イオン含有の水を印刷し乾燥させるといった方法のように本発明の趣旨に合致していればよい。
【0057】
その場合のメカニズムを説明したものが図23から図25である。図23で2303は不織布であり2302は溶解する前の固体で2304は汗などの水分でありシートに水分が吸収されたところである。図24は水分2404が不織布2403に沁みこみ溶解する前の固体2402と接触し溶解しているところであり、2405が不織布2403中で溶解した部分である。
【0058】
図25はさらに溶解が進んだ様子で2503の不織布のほとんど2502の固体部分から溶解した液体部分2504が広がっていき塩素イオンが消臭効果をもたらす。
【0059】
ここでは繊維質に不織布を使用したがこれに限られるものではなく溶解する固体を保持できる繊維質であればよく例えばスポンジあるいは織布、和紙、洋紙といった紙等でもよい。また不織布、スポンジ、織布、和紙、洋紙といったものを複数組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の機能シートの断面
【図2】シートに加圧した様子
【図3】固体からの溶解のメカニズム
【図4】シートのほとんどが機能を持った様子
【図5】製造プロセス
【図6】シート積層の断面の様子
【図7】本発明の他の機能シートの断面
【図8】製造プロセス
【図9】洗浄力テストの結果
【図10】シートに水を付加する様子
【図11】固体からの溶解のメカニズム
【図12】シートのほとんどが機能を持った様子
【図13】不通水膜を有する洗浄シート
【図14】マクロカプセルを内包した本発明の機能シートの断面
【図15】マイクロカプセルを内包した機能シートに加圧している様子
【図16】マイクロカプセルが破壊され内部の液体がシートに染み出している様子
【図17】板と付着している汚れ
【図18】汚れにマイナスイオンを供給している様子
【図19】汚れにマイナスイオンが付着し汚れがとれつつある様子
【図20】汚れが取れた様子
【図21】本発明の消臭機能シートの断面
【図22】製造プロセス
【図23】シートに水を付加する様子
【図24】固体から溶解のメカニズム
【図25】シートのほとんどが機能を持った様子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維質から構成されたシートの繊維の一部に、水に可溶性があり水に溶解するとマイナスイオンが生成することにより洗浄機能、殺菌・除菌機能あるいは両者(洗浄機能、殺菌・除菌機能)を発揮する固体を付着させ、さらに該シートには水を格納しているマイクロカプセルを設け、該マイクロカプセルの水がマイクロカプセルの破壊によって該繊維に供給されると該固体が水に溶解し該シートが洗浄シートあるいは殺菌・除菌シートあるいは洗浄殺菌・除菌シートとなることを特徴とする機能シート
【請求項2】
前記マイナスイオンは塩素イオン(Cl)であることを特徴とする特許請求範囲第1項記載の機能シート
【請求項3】
前記マイクロカプセルに含有される水には匂いがつけられていることを特徴とする特許請求範囲第1項記載の機能シート
【請求項4】
前記洗浄はマイナスイオンが被洗浄物と汚れの間に浸透し汚れの表面全面および被洗浄物表面に付着しマイナスイオン同士の反発力により汚れが被洗浄物から剥離するとことにより達成されることを特徴とする特許請求範囲第1項記載の機能シート
【請求項5】
前記繊維質は不織布、織布、和紙、洋紙、スポンジ、あるいは不織布、織布、和紙、洋紙、スポンジの中から選ばれた2以上の組み合わせであることを特徴とする特許請求範囲第1項記載の機能シート
【請求項6】
繊維質から構成されたシートの繊維の一部に水に可溶性があり、水に溶解するとマイナスイオンが生成することにより洗浄機能を発揮する固体を付着させ、さらに該シートには水を格納しているマイクロカプセルを設け、該マイクロカプセルの水がマイクロカプセルの破壊によって該固体に供給されると該シートが洗浄シートとなる機能シートの製法であって、マイナスイオンを含む水を繊維質のシートに印刷または浸漬し乾燥させ、さらに水を格納しているマイクロカプセルを配置したことを特徴とする洗浄機能を有する機能シートの製法
【請求項7】
前記マイナスイオンは塩素イオン(Cl)であって該塩素イオンの濃度が2000mg/l〜40000mg/lであることを特徴とする特許請求範囲第6項記載の洗浄機能を有する機能シートの製法
【請求項8】
前記シートは複数のシートから構成され少なくとも1枚のシートに水を含有したマイクロカプセルを印刷し該シートを重ね合わせ接着することを特徴とする特許請求範囲第6項記載の洗浄機能を有する機能シートの製法
【請求項9】
繊維質から構成されたシートの繊維の一部に、水に可溶性があり水に溶解するとマイナスイオンが生成することにより殺菌・除菌機能あるいは洗浄機能、殺菌・除菌機能を発揮する固体を付着させ、さらに該シートには水を格納しているマイクロカプセルを設け、該マイクロカプセルの水がマイクロカプセルの破壊によって該繊維に供給されると該固体が水に溶解し該シートが殺菌・除菌シートあるいは洗浄、殺菌・除菌シートの製法であって、マイナスイオンを含む水を繊維質のシートに印刷または浸漬し乾燥させ、さらに水を格納しているマイクロカプセルを配置したことを特徴とする殺菌・除菌機能あるいは洗浄、殺菌・除菌機能を有する機能シートの製法
【請求項10】
前記マイナスイオンは塩素イオン(Cl)であって該塩素イオンの濃度が30000mg/l〜40000mg/lであることを特徴とする特許請求範囲第9項記載の殺菌・除菌機能あるいは洗浄、殺菌・除菌機能を有する機能シートの製法
【請求項11】
繊維質から構成されたシートの繊維の一部に、水に溶解すると洗浄機能を発揮するマイナスイオンを生成する固体を付着させ、該シートに水が供給されると該固体は水に溶解し洗浄機能を発揮する洗浄シートとなることを特徴とする機能シート
【請求項12】
前記マイナスイオンは塩素イオン(Cl)であることを特徴とする特許請求範囲第11項記載の機能シート
【請求項13】
前記シートはその片方の面に不通水性の膜が形成してあることを特徴とする特許請求範囲第11項記載の機能シート
【請求項14】
前記洗浄はマイナスイオンが被洗浄物と汚れの間に浸透し汚れの表面全面および被洗浄物表面に付着しマイナスイオン同士の反発力により汚れが被洗浄物から剥離することにより達成されることを特徴とする特許請求範囲第11項記載の機能シート
【請求項15】
前記繊維質は不織布、織布、和紙、洋紙、スポンジ、あるいは不織布、織布、和紙、洋紙、スポンジの中から2以上の組み合わせであることを特徴とする特許請求範囲第11項記載の機能シート
【請求項16】
繊維質から構成されたシートの繊維の一部に、水に溶解するとマイナスイオンが生成することにより洗浄機能を発揮する固体を付着させ、該シートに存在する該固体に水が供給されると固体は水に溶解し洗浄機能を有する機能シートの製法であってマイナスイオンを含有する水を繊維質のシートに印刷または浸漬し乾燥させたことを特徴とする洗浄機能を有する機能シートの製法
【請求項17】
前記マイナスイオンは塩素イオン(Cl)であり該マイナスイオンの濃度は2000mg/l〜40000mg/lであることを特徴とする請求項16項記載の洗浄機能を有する機能シートの製法
【請求項18】
繊維質から構成されたシートの繊維の一部に、マイナスイオン洗浄成分液体を格納したマイクロカプセルを該シートの一部に配置し該マイクロカプセルが破壊し内部の液体がシートに染み出すことにより洗浄シートとなることを特徴とする機能シート
【請求項19】
前記マイナスイオンは塩素イオン(Cl)であることを特徴とする特許請求範囲第18項記載の機能シート
【請求項20】
前記マイクロカプセルに含有される液体には匂いがつけられていることを特徴とする特許請求範囲第18項記載の機能シート
【請求項21】
前記洗浄はマイナスイオンが被洗浄物と汚れの間に浸透し汚れの表面全面および被洗浄物表面に付着しマイナスイオン同士の反発力により汚れが被洗浄物から剥離することにより達成されることを特徴とする特許請求範囲第18項記載の機能シート
【請求項22】
前記繊維質は不織布、織布、和紙、洋紙、スポンジ、あるいは不織布、織布、和紙、洋紙、スポンジの中から2以上の組み合わせであることを特徴とする特許請求範囲第18項記載の機能シート
【請求項23】
繊維質から構成されたシートの繊維の一部に、マイナスイオン洗浄成分液体を含有したマイクロカプセルを該シートの一部に配置し該マイクロカプセルが破壊し内部の液体がシートに染み出すことによる洗浄シートの製法であってマイナスイオンを含む水を格納したマイクロカプセルを印刷したことを特徴とする洗浄機能を有する機能シートの製法
【請求項24】
前記マイナスイオンは塩素イオン(Cl)であり該塩素イオンの濃度が2000mg/l〜40000mg/lであることを特徴とする特許請求範囲第23記載の機能シートの製法
【請求項25】
前記シートは複数のシートから構成され少なくとも1枚のシートにマイナスイオンを格納した液体を格納したマイクロカプセルを配置し該シートを重ね合わせ接着することを特徴とする特許請求範囲第23項記載の機能シートの製法
【請求項26】
繊維質から構成されたシートの繊維の一部に、水に溶解すると、塩素イオン(Cl)塩素イオンが生成することにより消臭機能を発揮する固体を付着させ、該シートに水が供給されると該固体が溶解し消臭機能を発揮する消臭シートとなることを特徴とする機能シート
【請求項27】
前記消臭はアンモニアと前記塩素イオン(Cl)が結合することによって無臭の塩化アンモニウムを生成することによって達成すことを特徴とする特許請求範囲第26項記載の機能シート
【請求項28】
繊維質から構成されたシートの繊維の一部が水に溶解すると、塩素イオン(Cl)が生成することによる消臭機能を有する固体を付着させ、該シートに水が供給されると該固体が溶解し消臭機能を有する消臭シートの製法であって塩素イオンを2000mg/l〜40000mg/lを含む水を繊維質のシートに印刷または浸漬し乾燥させたことを特徴とする消臭機能を有する機能シートの製法












【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−147765(P2011−147765A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276471(P2010−276471)
【出願日】平成22年12月12日(2010.12.12)
【出願人】(392019433)
【出願人】(509284163)
【Fターム(参考)】