説明

機能チャネル処理方法

【課題】音声の途切れにくい通信を実現する機能チャネル処理方法を提供する。
【解決手段】
機能チャネルの誤り検出符号化を行い、誤りが発生していない時の機能チャネルの情報要素から、無線チャネルにおける通信が音声通話か否かを判定して音声通話状態フラグとして記憶する。また、通信中に前記機能チャネルの内容を判断するための情報要素に誤りが発生して機能チャネルの内容が判断不能となった際に、音声通話状態フラグを参照する。そして、音声通話状態フラグが音声通話中であると判断できる場合は、機能チャネルを音声信号として復号化処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル無線機の機能チャネル処理方法に関し、特に狭帯域デジタル通信方式の機能チャネル通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、デジタル通信においては、複数の情報要素を組み合わせた所定構造のデータの塊、例えばフレームを単位として信号を伝送している。また、伝送される情報要素によっては伝送中に発生する誤りを考慮し、誤り訂正等の符号化が行われることもある。
受信側では受信した信号の情報要素を分解するためにどのような構造のデータが送られて来ているのかを知る必要がある。このため、伝送するデータの塊にはデータ構造等の情報を含む情報要素が含まれていることが多い。
【0003】
たとえば、狭帯域デジタル通信方式のひとつとして「狭帯域デジタル通信方式標準規格ARIB STD−T61」(社団法人電波産業会)で規定されているSCPC(Single Channel Per Carrier)方式がある。
SCPCは、公共業務を含む業務用のデジタル移動通信システムに用いられる自営通信方式によるネットワークに用いる。
SCPC狭帯域デジタル移動通信システムでは、無線キャリア上の最小通信単位をフレームと呼び、フレームの集合によって無線チャネルが構成される。
【0004】
図6を参照して、SCPCの物理チャネルのフレームフォーマットについて説明する。SCPCの物理チャネルには、「通信用チャネル」と「同期バースト」の2種類のフォーマットが存在する。通信用チャネルは、ユーザが通信のために使用するフォーマットである。また、同期バーストは、例えば音声通信用チャネルの送信前に取り交わされるバーストデータである。
このように、SCPCでは、使用目的によって、フレームフォーマットを使い分ける特徴がある。それぞれのフレームにはいくつかの機能チャネルが割り当てられ、その信号フォーマット(ビット配列)が規定されている。
図6(a)は、通信用チャネルの信号フォーマットの概略を示す図である。このように、通信用チャネルは、リニアライザ用プリアンブル及びバースト過渡応答用ガードタイム(LP+R)、プリアンブル(P)、トラヒックチャネル(TCH:Traffic Chanel)/高速付随制御チャネル、無線情報チャネル(RICH:Radio Information Chanel)、同期ワード(SW)、低速付随制御チャネル(SACCH)、及び未定義部(図示せず)から構成される。
図6(b)は、同期バーストの信号フォーマットの概略を示す図である。同期バーストは、リニアライザ用プリアンブル及びバースト過渡応答用ガードタイム(LP+R)、プリアンブル(P)、無線情報チャネル(RICH)、同期ワード(SW)、パラメータ情報チャネル(PICH:Parameter Information Chanel)、バースト過渡応答用のガードタイム(G)から構成される。この同期バーストにおいては、たたみ込みされたPICHの先頭に、バースト識別ビットが設定される。
【0005】
ここで、SCPC狭帯域デジタル移動通信システムでは、無線チャネル構造等の情報を転送するためにRICHが使用されている。RICHは、通信用チャネルと同期バーストの両方の物理チャネルに配置される機能チャネルである。
図7を参照して、RICHの構成と各情報識別の内容について説明する。図7の各表は、「狭帯域デジタル通信方式標準規格ARIB STD−T61」で規定されているSCPC方式のRICHの構成の概念図である。
図7のように、RICHの情報要素(情報ユニット)は、無線チャネルの種別を示す無線チャネル識別(F)、通信用チャネルの内容を示す通信モード識別(M)、通信形態を示す動作モード識別(D)を用いて構成される。
【0006】
図8は、RICHの符号化手順を示すフローチャートである。
無線機のDSP(Digital Signal Processor)等の制御演算手段は、RICHの情報要素に、誤り検出符号化処理(ステップS200)、固定ビット付加処理(ステップS201)、誤り訂正符号化処理(ステップS202)、インタリーブの符号化処理(ステップS203)を行って、RICHのデータを作成する。
【0007】
RICHのデータの作成において、誤り検出符号化処理では、伝送路で発生する誤りを考慮して誤り訂正符号化を行う。このため、RICHを用いることで、ある程度までの誤りであれば訂正可能である。
また、インタリーブ処理は、誤り訂正能力を上げるために行われる。このインタリーブ処理により、万が一、伝送路で発生した誤りを訂正しきれなかった場合でも、誤り検出符号化によって誤りが残っていることを知ることができる。
【0008】
受信側では符号化の逆の手順を行って符号化を解いて、情報要素を再生する。
具体的に、受信側の無線機は、受信したRICHの情報識別に従って受信データの処理を行う。この際、通信モード識別によって受信した通信用チャネルが空線信号なのか、回線使用中を示すビジーなのか、または音声信号なのか知ることができる。また、音声信号でスピーカーのON/OFF制御や音声データの出力等の処理を行うこともできる。
一方で、受信したRICHに誤りが発生してしまった場合は、無線チャネルの構造等を知る手段がなくなってしまう。もし受信側の無線機が、誤りを無視して処理を行うと、受信したデータが非音声データであるのに音声信号として処理される等の事態が生じる。このように、音声データではないデータを、音声コーデックに出力してしまうとスピーカーから異音が出る等の不具合が発生する。
このため、RICHに誤りが発生してしまった場合は例外処理として何もしない等の処理とするのが一般的である。
【0009】
このような従来のRICHを用いる通信方法として特許文献1を挙げることができる(以下、従来技術1とする。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−148116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来技術1を含むRICHを用いた通信方法では、弱電界やマルチパス等の影響によって受信側で無線チャネルの情報に誤りが発生すると、機能チャネルの判別が正しく行われなくなっていた。
このため、音声通話中にもかかわらず音声信号として処理されず、スピーカーから出力される音声が途切れてしまうことがあった。
【0012】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上述の課題を解消することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の機能チャネル処理方法は、無線チャネルとして音声信号又はデータを機能チャネルとして受信するための制御手段と、前記機能チャネルの内容が音声信号又はデータであるか判断するための情報要素を有する機能チャネル判断手段とを備えたデジタル方式の無線装置による機能チャネル処理方法において、前記制御手段は、前記機能チャネルの誤り検出符号化を行い、誤りが発生していない時の前記機能チャネルの前記情報要素から、前記無線チャネルにおける通信が音声通話か否かを判定して音声通話状態フラグを記憶し、通信中に前記機能チャネルの内容を判断するための前記情報要素に誤りが発生して前記機能チャネルの内容が判断不能となった際に、前記音声通話状態フラグを参照し、前記音声通話状態フラグが音声通話中である場合は機能チャネルを音声信号として復号化処理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、弱電界やマルチパス等の影響によりRICHに誤りが発生しても、音声通話中であれば音声信号として扱うことで、音声の途切れを顕著に減らす機能チャネル処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る無線システムXの制御構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るRICH処理部110に記憶されたデータの構成を示す概念図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る通信処理方法のフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係る音声フラグ処理の詳細を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る誤りフラグ処理の詳細を示すフローチャートである。
【図6】従来の物理チャネルのフレームフォーマットを示した概念図である。
【図7】従来のRICHの情報要素の構成と各情報識別の内容を示した概念図である。
【図8】従来のRICHの符号化手順の処理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1の実施の形態>
〔無線システムXの構成〕
まず、図1を参照して、本発明の実施の形態に係る無線システムXの構成例を説明する。無線システムXは、送受信装置2を含む無線システムであり、この送受信装置2は、機能チャネル処理部10と、無線の電気/電波信号の送受信に係るRF部20と、電気/電波信号を送受信するRF同軸ケーブル6、アンテナ7等を備えて構成される。
機能チャネル処理部10は、本発明の実施の形態に係る機能チャネルの処理を行うための制御演算手段と記憶手段とを備えたハードウェア資源である。機能チャネル処理部は、制御部100とRICH処理部110とを含んで構成される。
制御部100は、DSP、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)等のGPP(General Purpose Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等の制御演算手段を備えた部位である。
RICH処理部110は、レジスタ、RAM、ROM、フラッシュメモリ等を備えた記憶手段及び機能チャネル判断手段である。RICH処理部110は、制御部100が実行するための機能チャネルに係るデータやプログラム等を記憶している。
【0017】
次に、図2を参照して、RICH処理部110に含まれるデータの詳細な構成について説明する。RICH処理部110は、機能チャネルのRICHの情報要素について記憶している。また、機能チャネル処理に係る、FLAG、CNT1、CNT2、N1、N2の変数又は定数を記憶している。
FLAGは、音声通話状態フラグであり、現在の通信が音声通話であるかどうかを示す変数である。
CNT1は、音声通話確定用カウンタの変数であり、現在の通信が音声通話であるか判定するために音声信号が何フレーム連続であるかをカウントする。
N1は音声通話確条件を示す所定の定数である。音声信号の場合、「N1」のフレーム連続で音声通話状態となる。
CNT2は、音声通話保護カウンタの変数であり、音声通話状態でRICHに誤りが発生して種別が不定となった際に不定状態をカウントする。
N2は音声通話保護段数を示す定数であり、RICHに誤りがある状態が「N2」フレーム連続するまで音声通話状態を継続する。
【0018】
〔本発明の実施の形態に係る機能チャネル処理〕
以下で、図3〜図5のフローチャートを参照して、本発明の実施の形態に係る通信処理方法に係る機能チャネル処理について説明する。
本実施形態に係る通信処理方法では、無線システムXの受信側の無線機において、同期確立状態で、通信用チャネルを受信した時のTCHの処理に用いることができる。
【0019】
〈機能チャネル処理の詳細〉
まず、図3を参照すると、ステップS101において、制御部100は、受信したRICHに誤りがあるかどうか判定する。この判定は、従来の誤り検出符号化処理(図8)と同様の検出により行う。つまり、受信RICHの誤り検出結果による分岐処理をする。
Yes、すなわち誤りがある場合、制御部100は、処理をステップS107に進める。
No、すなわち誤りがない場合、制御部100は、処理をステップS102に進める。
【0020】
ステップS102において、受信したRICHに誤りが無い場合、制御部100は、RICHが音声信号であるか否か判定する。この判定は、例えば、図7に示したようなオクテットを用いて、RICHで通知された通信モード識別の確認を行う。具体的には、音声信号と、例えば同期バーストのような音声信号以外の信号であるか否かを識別して判定する。つまり、この処理は、受信RICHの通信モード識別の内容による分岐処理である。
Yes、すなわち音声信号の場合、制御部100は、処理をステップS105に進める。
No、すなわち音声信号以外の場合、制御部100は、処理をステップS103に進める。
【0021】
ステップS103においては、通信モード識別が音声信号以外であった場合、制御部100は、音声通話フラグリセット処理を行う。
具体的には、音声通話状態フラグであるFLAGを音声通話状態ではないことを示す「0」にクリアする。つまり、変数FLAGを「0」にクリアする処理を行う。
【0022】
次に、ステップS104において、制御部100は、通信モード別処理を行う。
具体的には、RICHの通信モード識別に従って、TCHの処理を行う。
以上により、本発明の実施の形態に係る機能チャネル処理を終了する。
【0023】
ステップS105においては、通信モード識別が音声信号であった場合、音声フラグ処理を行う。
この音声フラグ処理の詳細については後述する。
【0024】
次に、ステップS106において、制御部100は、音声信号処理を行う。具体的には、TCHを音声信号として復号化等の処理する。
以上により、本発明の実施の形態に係る機能チャネル処理を終了する。
【0025】
ステップS107においては、誤りが検出された場合、制御部100は誤りフラグ処理を行う。
この誤りフラグ処理の詳細についても後述する。
【0026】
次に、ステップS108にて、制御部100は、例外処理を行う。
この例外処理においては、制御部100は、ステップS115でTCHが判別できない時の例外処理、例えばアイドル時の処理等を実行する処理を行う。
以上により、本発明の実施の形態に係る機能チャネル処理を終了する。
【0027】
〈音声フラグ処理の詳細〉
ここで、図4を参照して、ステップS105(図3)の音声フラグ処理の詳細について説明する。
ステップS111において、制御部100は、音声通話状態フラグである変数FLAGが1であるか判定する。つまり、変数FLAGの内容による分岐処理を行う。
Yesの場合、制御部100は、処理をステップS112に進める。
Noの場合、制御部100は、処理をステップS113に進める。
【0028】
ステップS112においては、音声通話状態フラグである変数FLAGが音声通話状態を示す「1」にセットされている場合は、制御部100は、CNT1リセット処理を行う。
具体的には、変数CNT1を「0」にクリアして、リセットする処理を行う。
【0029】
一方、ステップS113においては、音声通話状態フラグである変数FLAGが音声通話状態ではないことを示す「0」にセットされている場合は、制御部100は、CNT1インクリメント処理を行う。
具体的には、変数CNT1に「1」等の数値を足してインクリメントする処理を行う。
【0030】
次に、ステップS114にて、制御部100は、CNT1とN1の比較を行い、CNT1がN1より大きくなったかについて判定する。具体的には、変数CNT1と定数N1とを比較した結果による分岐処理を行う。
Yesの場合、すなわちCNT1がN1より大きい場合、制御部100は、処理をステップS115に進める。
No、すなわちCNT1がN1以下の場合は、制御部100は、音声フラグ処理を終了する。その後、制御部100は、ステップS115を行わずにTCHを音声信号で処理するステップS106を実行する。
【0031】
ステップS115においては、CNT1がN1より大きい場合、制御部100は、FLAGセット処理を行う。
具体的には、制御部100は、音声通話状態フラグである変数FLAGを、音声通話状態を示す「1」にセットする。
以上により、音声フラグ処理を終了する。その後、制御部100は、TCHを音声信号で処理するステップS106を実行する。
【0032】
〈誤りフラグ処理の詳細〉
次に、図5を参照して、ステップS107(図3)の誤りフラグ処理の詳細について説明する。
ステップS121において、制御部100は、受信したRICHに誤りがある場合は、音声通話状態フラグである変数FLAGが通話状態を示す「1」であるか否か判定する。つまり、変数FLAGの内容による分岐処理を行う。
Yesの場合、制御部100は、ステップS122に処理を進める。
Noの場合、制御部100は、ステップS125に処理を進める。
【0033】
ステップS122において、制御部100は、音声通話状態フラグであるFLAGが「1」であった場合は、変数CNT2のインクリメン卜処理を行う。
具体的には、CNT2に「1」等を足すインクリメントを行う。
【0034】
次に、ステップS123において、制御部100は、CNT2がN2より大きいか否かについて判定する。この処理では、比較結果によりステップS106又はステップS124に分岐する。すなわち、変数CNT2と定数N2とを比較した結果による分岐処理を行う。
Yes、つまり変数CNT2>N2の場合、制御部100は、処理をステップS124に進める。
No、つまりそれ以外の場合、制御部100は、図3のステップS106に進む(A)。すなわち、CNT2がN2以下の場合は、TCHを音声信号で処理するステップS106を実行して、処理を終了する。
【0035】
ステップS124にて、制御部100は、CNT2がN2より大きい場合、FLAGリセット処理を行う。
具体的には、制御部100は、音声通話状態フラグである変数FLAGが音声通話状態ではないことを示す「0」にクリアする。
以上により、誤りフラグ処理を終了する。
【0036】
ここで、ステップS125において、音声通話状態フラグであるFLAGが通話状態ではないことを示す「0」であった場合、制御部100は、CNT2リセット処理を行う。
具体的には、制御部100は、変数CNT2を「0」にクリアすることで、リセットする処理を行う。
以上により、誤りフラグ処理を終了する。
その後、制御部100は、TCHの処理内容が判定できない場合の例外処理(図3)を実行して処理を終了する。
【0037】
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
本発明の実施の形態に係る機能チャネル処理においては、制御部100は、RICHが誤りなく受信できる時に音声通話であるか否かの判定を行っておく。そして、もしRICHに誤りが発生した時はその判定結果に従って音声通話中であれば音声信号として処理を行う。
つまり、制御部100は、受信したフレーム及び直前の数フレームが音声信号であれば音声通話中であると判断し、一方で非音声信号を受信した場合は音声通話中ではないと判断する。また、機能チャネルの内容を示す情報に誤りがあった場合、直前までの音声通話中であるか否かの判断結果より音声通話中であれば音声信号として処理を行う。
つまり、音声データは誤り訂正符号化されて伝送されているため、音声として処理を行えば、演算処理能力上の負荷が増えるものの、判別可能な音声を出力することができる。
このため、音声通話中に受信信号に誤りが発生して無線チャネルの構造を示す情報に誤りが発生してしまった場合でも、ある程度の期間は音声信号として処理されるので音声の途切れを減らすことができる。
また、このような機能チャネル処理方法を実行することで、音声途切れの少ない使い勝手の良い無線機を提供することができる。
【0038】
以上の実施態様の特徴をまとめると、次のようになる。
本発明の実施の形態に係る機能チャネル処理方法は、無線チャネルとして音声信号又はデータを機能チャネルとして受信するための制御部100と、機能チャネルの内容が音声信号又はデータであるか判断するための情報要素を有するRICH処理部110を備えたデジタル方式の無線の送受信装置2による機能チャネル処理方法において、制御部100は、機能チャネルの誤り検出符号化を行い、誤りが発生していない時の無線情報チャネルの情報要素から、無線チャネルにおける通信が音声通話か否かを判定して音声通話状態フラグであるFLAGに記憶し、通信中に機能チャネルの内容を判断するための情報要素に誤りが発生して機能チャネルの内容が判断不能となった際に、記憶しておいた音声通話状態フラグであるFLAGを参照し、音声通話状態フラグが音声通話中であると判断できる場合は機能チャネルを音声信号として復号化処理することを特徴とする。
また、本発明の実施の形態に係る機能チャネル処理方法は、デジタル方式の無線システムにおける、音声信号又はデータを転送するための機能チャネルを有する物理チャネルにおいて、前記機能チャネルの内容が音声信号であるのか等の判断を行う情報要素を備える機能チャネルを受信する無線受信装置により、通信環境が良好な状態、すなわち伝送した情報に誤りが発生していない時の通信内容から現在行っている通信が音声通話であるか否かを判定してその結果を保存しておき、その通信中に通信環境の変化等によって機能チャネルの内容を判断するための情報要素に誤りが発生して機能チャネルの内容が判断不能となった際に、その保有しておいた音声通話であるか否かの結果を参照し、その結果より音声通話中であると判断できる場合は機能チャネルを音声信号として処理をすることを特徴とする。
また、本発明の実施の形態に係る機能チャネル処理方法は、無線チャネル構造を含む情報を転送する無線情報チャネルが誤りなく受信されている際に音声通話であるか否かの判定を行って音声通話状態フラグとして記憶し、前記無線情報チャネルに誤りが発生した場合、前記音声通話状態フラグに従って音声通話中であれば音声信号として処理することを特徴とする。
また、本発明の実施の形態に係る無線機は、無線チャネルとして音声信号又はデータを機能チャネルとして受信するための制御手段と、前記機能チャネルの内容が音声信号又はデータであるか判断するための情報要素を有する機能チャネル判断手段とを備え、前記制御手段は、前記機能チャネルの誤り検出符号化を行い、誤りが発生していない時の前記無線情報チャネルの前記情報要素から、前記無線チャネルにおける通信が音声通話か否かを判定して音声通話状態フラグを記憶し、通信中に前記機能チャネルの内容を判断するための前記情報要素に誤りが発生して前記機能チャネルの内容が判断不能となった際に、前記音声通話状態フラグを参照し、前記音声通話状態フラグが音声通話中であると判断できる場合は機能チャネルを音声信号として復号化処理することを特徴とする。
【0039】
なお、本発明の実施の形態に係る機能チャネル処理方法は、SCPC方式に限られず、同様の機能チャネルやRICHに相当する機能チャネルを用いるデジタル無線方式に使用可能である。
【0040】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0041】
2 送受信装置
6 RF同軸ケーブル
7 アンテナ
10 機能チャネル処理部
20 RF部
100 制御部
110 RICH処理部
X 無線システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線チャネルとして音声信号又はデータを機能チャネルとして受信するための制御手段と、前記機能チャネルの内容が音声信号又はデータであるか判断するための情報要素を有する機能チャネル判断手段とを備えたデジタル方式の無線装置による機能チャネル処理方法において、
前記制御手段は、
前記機能チャネルの誤り検出符号化を行い、誤りが発生していない時の前記機能チャネルの前記情報要素から、前記無線チャネルにおける通信が音声通話か否かを判定して音声通話状態フラグを記憶し、
通信中に前記機能チャネルの内容を判断するための前記情報要素に誤りが発生して前記機能チャネルの内容が判断不能となった際に、前記音声通話状態フラグを参照し、
前記音声通話状態フラグが音声通話中である場合は機能チャネルを音声信号として復号化処理する
ことを特徴とする機能チャネル処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−102328(P2013−102328A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244432(P2011−244432)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】