機能ブロック図処理装置,機能ブロック図処理方法,およびプログラム
【課題】データのアドレスの相違を検出可能な機能ブロック図処理装置,機能ブロック図処理方法,およびプログラムを提供する。
【解決手段】機能ブロック図処理装置が,コンピュータプログラムの機能ブロック図を表し,機能ブロックを識別するブロック識別子と,この機能ブロックで処理されるデータを識別するデータ識別子と,を有する,複数の機能ブロック情報を記憶する記憶部と,前記複数の機能ブロック情報それぞれに含まれるデータ識別子で表されるアドレスを相対化処理する相対化処理部と,前記相対化処理された複数の機能ブロック情報を比較する比較部と,前記比較の結果を表示する表示部と,を具備する。
【解決手段】機能ブロック図処理装置が,コンピュータプログラムの機能ブロック図を表し,機能ブロックを識別するブロック識別子と,この機能ブロックで処理されるデータを識別するデータ識別子と,を有する,複数の機能ブロック情報を記憶する記憶部と,前記複数の機能ブロック情報それぞれに含まれるデータ識別子で表されるアドレスを相対化処理する相対化処理部と,前記相対化処理された複数の機能ブロック情報を比較する比較部と,前記比較の結果を表示する表示部と,を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,コンピュータプログラムを表す機能ブロック図を処理する機能ブロック図処理装置,機能ブロック図処理方法,およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータプログラムを表現する手法として,機能ブロック図が有る。機能ブロック図によって,命令コード,命令コードで処理されるデータを表現できる。
【0003】
ところで,複数の機能ブロックを比較することがある。この比較には,機能ブロック図の全体を比較する場合と,機能ブロック図を部分的に比較する場合と,がある。機能ブロック図の全体を比較する例として,2つの機能ブロック図が一致するかどうかを確認するベリファイチェックが挙げられる。機能ブロック図を部分的に比較する例として,他の機能ブロックの一部を流用して作成された機能ブロックについて,流用元の機能ブロックからの流用漏れの有無を確認することが挙げられる。
【0004】
なお,プログラムのブロック毎のテキスト情報を比較して,相違内容を出力する技術が公開されている(特許文献1参照)。この比較に際して,プログラム命令コード内の入出力信号を表す番号を全て一致化(データクリア)する。これにより,入力信号を表す番号が異なる場合にも。命令コードを照合し,該当ブロックを識別できる(特許文献1の段落0025参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−149208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら,上述の技術では,入出力信号を表す番号をクリアしてから比較するため,入出力信号のアドレスの誤りを検出できない。
上記に鑑み,本発明は,データのアドレスの相違を検出可能な機能ブロック図処理装置,機能ブロック図処理方法,およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る機能ブロック図処理装置は,コンピュータプログラムの機能ブロック図を表し,機能ブロックを識別するブロック識別子と,この機能ブロックで処理されるデータを識別するデータ識別子と,を有する,複数の機能ブロック情報を記憶する記憶部と,前記複数の機能ブロック情報それぞれに含まれるデータ識別子で表されるアドレスを相対化処理する相対化処理部と,前記相対化処理された複数の機能ブロック情報を比較する比較部と,前記比較の結果を表示する表示部と,を具備することを特徴とする。
【0008】
本発明の他の態様に係る機能ブロック図処理装置は,コンピュータプログラムの機能ブロック図を表し,機能ブロックを識別するブロック識別子と,この機能ブロックで処理されるデータを識別するデータ識別子と,を有する,機能ブロック情報を記憶する記憶部と,基準データ識別子を入力する入力部と,前記入力された基準データ識別子に基づき,前記機能ブロック情報に含まれるデータ識別子を変更処理する変更処理部と,を具備することを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係る機能ブロック図処理方法は,コンピュータプログラムの機能ブロック図を表し,機能ブロックを識別するブロック識別子と,この機能ブロックで処理されるデータを識別するデータ識別子と,を有する,複数の機能ブロック情報それぞれに含まれるデータ識別子で表されるアドレスを相対化処理するステップと,前記相対化処理された複数の機能ブロック情報を比較するステップと,前記比較の結果を表示するステップと,を具備することを特徴とする。
【0010】
本発明の他の態様に係る機能ブロック図処理方法は,コンピュータプログラムの機能ブロック図を表し,機能ブロックを識別するブロック識別子と,この機能ブロックで処理されるデータを識別するデータ識別子と,を有する,機能ブロック情報について,基準データ識別子を入力するステップと,前記入力された基準データ識別子に基づき,前記機能ブロック情報に含まれるデータ識別子を変更処理するステップと,を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば,データのアドレスの相違を検出可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る機能ブロック図処理装置を表すブロック図である。
【図2】機能ブロック図の一例を示す模式図である
【図3】機能ブロック図の比較手順を表すフロー図である。
【図4】機能ブロック図での線番の変更手順を表すフロー図である。
【図5】比較される機能ブロック図の一例を表す模式図であり,(a)〜(c)はそれぞれ機能ブロックA〜Cを示す。
【図6】相対機能ブロック情報の一例を表す模式図であり,(a),(b)はそれぞれ相対機能ブロック情報A,Bを示す。
【図7】比較される機能ブロック図の一例を表す模式図であり,(a),(b)はそれぞれ機能ブロックA,Bを示す。
【図8】相対機能ブロック情報の一例を表す模式図であり,(a),(b)はそれぞれ相対機能ブロック情報A,Bを示す。
【図9】比較される機能ブロック図の一例を表す模式図であり,(a),(b)はそれぞれ機能ブロックA,Bを示す。
【図10】相対機能ブロック情報の一例を表す模式図であり,(a),(b)はそれぞれ相対機能ブロック情報A,Bを示す。
【図11】比較される機能ブロック図の一例を表す模式図であり,(a),(b)はそれぞれ機能ブロックA,Bを示す。
【図12】相対機能ブロック情報の一例を表す模式図であり,(a),(b)はそれぞれ相対機能ブロック情報A,Bを示す。
【図13】流用される機能ブロック図等の一例を表す模式図であり,(a)〜(c)はそれぞれ流用される機能ブロックA,線番が指定される機能ブロックB,線番が指定される機能ブロックCを示す。
【図14】機能ブロック情報の一例を表す模式図である。
【図15】流用される機能ブロック図等の一例を表す模式図であり,(a)〜(c)はそれぞれ流用される機能ブロックA,線番が指定される機能ブロックB,線番が指定される機能ブロックCを示す。
【図16】機能ブロック情報の一例を表す模式図である。
【図17】流用される機能ブロック図等の一例を表す模式図であり,(a)〜(c)はそれぞれ流用される機能ブロックA,線番が指定される機能ブロックB,線番が指定される機能ブロックCを示す。
【図18】機能ブロック情報の一例を表す模式図である。
【図19】流用される機能ブロック図等の一例を表す模式図であり,(a)〜(c)はそれぞれ流用される機能ブロックA,線番が指定される機能ブロックB,線番が指定される機能ブロックCを示す。
【図20】機能ブロック情報の一例を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下,図面を参照して,本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る機能ブロック図処理装置100を表すブロック図である。機能ブロック図処理装置100は,コンピュータプログラムを表す機能ブロック図を処理する装置であり,例えば,ハードウェア(コンピュータ)とソフトウェア(プログラム)の組み合わせで構成できる。
【0014】
機能ブロック図処理装置100は,記憶部111,表示部112,入力部113,機能ブロック抽出部114,機能ブロック図相対化部121,機能ブロック図比較部122,線番推定部123,線番候補抽出部131,線番変更部132を有する。
【0015】
記憶部111は,半導体メモリ,ハードディスク等の記憶手段であり,機能ブロック図を表す機能ブロック情報を記憶する。
【0016】
図2は,機能ブロック図の一例を示す模式図である。記憶部111は,機能ブロック図(正確には,この機能ブロック図に対応する機能ブロック情報)を記憶する。
【0017】
機能ブロック図は,機能ブロックを用いて,コンピュータプログラムの命令コード,命令コード間での実行関係,処理されるデータ等を表す。この例では,機能ブロック(1)〜(4)が表される。機能ブロック(1)〜(4)は,コンピュータプログラムの命令コード(例えば,演算)に対応する。命令コードで処理されるデータは,線番(例えば,RX0001,DX0002)によって表される。
【0018】
線番は,データの属性(レジスタタイプ,ビットタイプ)およびデータのアドレスを表す。ここでは,線番内の先頭の1文字目がデータの属性を表す。この1文字が「D」,「R」それぞれの場合,データがビットタイプ,レジスタタイプとする。線番内の2番目の1文字が相対化処理の前後を表す。この文字が「X」,「A」それぞれの場合,相対化処理前,処理後であることを表す。線番内の4桁の数字がデータのアドレスに対応する。この「アドレス」は,実際にプログラムが用いられるアドレス(絶対アドレス),プログラム内での相対的なアドレス(相対アドレス)のいずれでも良い。
【0019】
記憶部111が記憶する機能ブロック情報は,この機能ブロック図に対応する要素(ブロック識別子,コード識別子,データ識別子(入力データ識別子,出力データ識別子))を有する。ブロック識別子(ここでは,「(1)」〜「(4)」)は,機能ブロックを識別する。コード識別子は,ブロック図に対応する命令コード(「+」,「−」,「OR」,「MOV」)を表す。入力データ識別子,出力データ識別子はそれぞれ,命令コードに対応する入力データおよび出力データを表す。これらのデータは,例えば,線番によって表される。
【0020】
表示部112は,機能ブロック等を表示する装置,例えば,液晶表示装置である。
入力部113は,機能ブロック図処理装置100の利用者が情報を入力するための装置,例えば,キーボード,マウスである。入力部113は,機能ブロックの線番を変更する場合に,基準データ識別子(基準とする線番(基準線番))を入力(指定)する。
【0021】
機能ブロック抽出部114は,記憶部111が記憶する機能ブロック図から機能ブロックを抽出する。入力部113で抽出する機能ブロック図の範囲が指定され,この範囲の機能ブロックが抽出される。即ち,機能ブロック図の一部が比較のためあるいは流用のための機能ブロック図として切り出される。
【0022】
機能ブロック図相対化部121は,抽出された機能ブロック図(特に,その線番)を相対化処理する。機能ブロック図相対化部121は,機能ブロック情報それぞれに含まれるデータ識別子を相対化処理する相対化処理部として機能する。機能ブロック図相対化部121は,機能ブロック図中のデータの最小のアドレスを基準として,データ識別子を相対化処理する。
【0023】
機能ブロック図比較部122は,機能ブロック図を比較し,一致するか否かを判断する。機能ブロック図比較部122は,相対化処理された複数の機能ブロック情報を比較する比較部として機能する。
【0024】
線番推定部123は,2つの機能ブロックの線番に不一致があるとき,不一致の線番について,線番を推定する。線番推定部123は,複数の機能ブロック情報間で一致しないデータ識別子について,データ識別子の候補を推定する推定部として機能する。
【0025】
線番候補抽出部131は,機能ブロックの線番を変更する場合に,基準線番の候補を抽出する。線番候補抽出部131は,基準データ識別子の候補を推定する推定部として機能する。
【0026】
線番変更部132は,基準線番に基づき,ブロック図の線番を変更する。線番変更部132は,基準データ識別子に基づき,機能ブロック情報に含まれるデータ識別子を変更処理する変更処理部として機能する。
【0027】
(機能ブロック図処理装置100の動作手順)
以下,機能ブロック図処理装置100の動作につき,説明する。機能ブロック図処理装置100は,機能ブロック図同士の比較,機能ブロック図での線番の変更が可能である。図3,図4はそれぞれ,機能ブロック図同士の比較,機能ブロック図での線番の変更それぞれの手順を表すフロー図である。なお,この処理は入力部113からの入力によって選択される。
【0028】
A.機能ブロック図の比較
機能ブロック図の比較につき説明する。
・機能ブロック抽出処理(ステップS11)
機能ブロック抽出部114が,機能ブロック図から比較対象となる複数の命令コードから成る2つの機能ブロックを抽出する。なお,抽出される機能ブロックは,入力部113からの入力により選択される。
【0029】
・線番の相対化処理(ステップS12)
2つの機能ブロックの線番の線番属性を比較用の線番属性に置き換える。即ち,最小の線番(例えば,機能ブロックの先頭の線番)を基準にして,採番順序を変えずに,線番を採番し直すことで,機能ブロック情報を相対機能ブロック情報に変換する。さらに,これら2つの相対機能ブロック情報を記憶部111に記録する。
【0030】
ここで,変換禁止フラグ(相対化除外識別子($))等により,線番の変更が制限される。例えば,変換禁止フラグが付加された線番が抽出され,変換禁止リストに出力し,このリストに基づいて,線番の変換が制限される。
【0031】
・比較処理・表示(ステップS13,S14)
2つの相対機能ブロック情報を比較し,機能ブロック図が一致するか否かを判断する。この判断結果が表示部112に表示される。
【0032】
ここで,機能ブロック図の線番に不一致があるとき,線番推定部123が,不一致の線番について,線番を推定し,これを表示させる。
【0033】
(実施例1)
図5の(a)〜(c)に表される機能ブロック図A〜Cを比較する場合を考える。図6の(a)〜(c)は,図5の(a)〜(c)の機能ブロック図A〜Cに対応する相対機能ブロック情報A〜Cを表す。
【0034】
機能ブロック図より機能ブロック抽出処理で機能ブロック図A〜Cが抽出される。
機能ブロック図(機能ブロック情報)A〜Cが相対機能ブロック情報A〜Cに変換される(図6の(a)〜(c)参照)。機能ブロック図Aの先頭の機能ブロックを基準にして,ブロック識別子とデータ識別子(線番)を採番し直して,相対機能ブロック情報Aが生成される。同様に,機能ブロック図Bの先頭の機能ブロックを基準にして,ブロック識別子とデータ識別子(線番)を採番し直して,相対機能ブロック情報Bが生成される。
【0035】
相対機能ブロック情報が一致するために,機能ブロック図Aと機能ブロック図Bは一致すると判定される。一方,機能ブロック図Bと機能ブロック図Cを比較すると,機能ブロック図Cを変換した相対機能ブロック情報Cの線番「RA0103」の部分が相対機能ブロック情報Bと相違するために,機能ブロック図Bと機能ブロック図Cは不一致と判定される。
【0036】
本実施例では,複数(例えば,2つ)の機能ブロック図を比較する時に,それぞれの機能ブロックの先頭(最小の線番)を基準にして,ブロック識別子とデータ識別子(線番)を採番し直した相対機能ブロック情報を使って比較している。例えば,機能ブロックを流用した後に,ブロック識別子とデータ識別子(線番)を採番し直した場合でも流用元の機能ブロックと正しく比較できる。
【0037】
(実施例2)
図7の(a),(b)に表される機能ブロック図A,Bを比較する場合を考える。図8の(a),(b)は,図7の(a),(b)の機能ブロック図A,Bに対応する相対機能ブロック情報A,Bを表す。
【0038】
ここでは,機能ブロック図Bに変換禁止フラグ(相対化除外識別子($))が付加されている。機能ブロック図全体を通して共通に使用される指令値や実行条件など,比較する2つの機能ブロックに共通して使用されている線番を共通線番と定義する。この共通線番に変換禁止フラグを付加して一般の線番と区別している。
【0039】
比較する機能ブロック図A,Bでは,機能ブロック(5)に共通線番「RX1000」を使用しており,このような共通線番の線番属性に変換禁止フラグ「$」を付加している。機能ブロック情報A,Bから変換禁止フラグが付いた線番が抽出される。抽出した線番を除外して,機能ブロック情報A,Bが相対機能ブロック情報A,Bに変換される。ここで共通線番「RX1000」を変換しないので,共通線番を使用する機能ブロック図を正しく比較できる。
【0040】
本実施例によれば,比較する2つの機能ブロックに共通線番が含まれる場合に,共通線番を除外して相対機能ブロック情報に変換するので,機能ブロックを正しく比較できる。
【0041】
(実施例3)
図9の(a),(b)に表される機能ブロック図A,Bを比較する場合を考える。図10の(a),(b)は,図9の(a),(b)の機能ブロック図A,Bに対応する相対機能ブロック情報A,Bを表す。
【0042】
ここで,命令コードに入力するデータの一種であり単数または複数の定数からなるデータテーブルをパラメータと定義する。
【0043】
機能ブロックの抽出後に,機能ブロック図A,Bからパラメータを抽出して変換禁止リストに出力し,変換禁止リストのパラメータを除外して線番を変換する。
【0044】
この例では,機能ブロック図Aの機能ブロック(5)の入力部分にパラメータ1を,機能ブロック図Bの機能ブロック(5)の入力部分にパラメータ2を使用している。機能ブロックからパラメータ1とパラメータ2を変換禁止リストに抽出してから相対機能ブロック情報A,Bに変換している。ここでパラメータ1とパラメータ2は変換されずに相対機能ブロック情報A,Bに格納されるので,パラメータを使用していても相対機能ブロック情報A,Bを使って正しく比較できる。
【0045】
本実施例によれば,比較する2つの機能ブロックにパラメータが含まれていてもパラメータを除外して相対機能ブロック情報に変換するので,機能ブロック図を正しく比較できる。
【0046】
(実施例4)
図11の(a),(b)に表される機能ブロック図A,Bを比較する場合を考える。図12の(a),(b)は,図11の(a),(b)の機能ブロック図A,Bに対応する相対機能ブロック情報A,Bを表す。
【0047】
指定した一方の機能ブロックに対して相違部分の線番候補を推定し,表示する。
【0048】
この例では,相対機能ブロック情報A,Bを比較した時に,相対機能ブロック情報Aの機能ブロック(2)の出力の線番「RX0123」で不一致が検出される。相対機能ブロック情報Aから機能ブロック(2)の入力の線番RA0002の線番番号に「+1」したものが出力の線番「RA0003」になることから,線番推定処理で機能ブロック図Bの機能ブロック(2)の入力の線番「RX0022」に「+1」したRX0023を線番候補と推定される。
【0049】
本実施例によれば,機能ブロックを比較して不一致となった箇所に対して,正しいと推定される線番の候補を表示しているので,相違を容易に修正できる。
【0050】
B.機能ブロック図中の線番の変更
機能ブロック図での線番の変更を説明する。
・機能ブロック抽出処理(ステップS21)
機能ブロック抽出部114が,機能ブロック図から流用のための機能ブロックを抽出する。なお,抽出される機能ブロックは,入力部113からの入力により選択される。
【0051】
・基準線番の指定(ステップS22)
基準とするデータについて,線番(基準線番)を指定する。
【0052】
ここで,基準線番の候補を表示しても良い。線番候補抽出部131が,機能ブロックの線番を変更する場合の基準線番の候補を抽出し,これが表示される。即ち,機能ブロック図で未使用の線番と,変更された線番の連続性等から基準線番の候補を抽出し,これが表示される。
【0053】
・線番の変更(ステップS23)
採番順序を解析し,その結果および基準線番に基づいて,線番が変更される。採番順序の解析に際して,機能ブロック図を相対化処理し,この相対化処理の結果を用いて,採番順序を解析しても良い。
【0054】
ここで,変換禁止フラグ(相対化除外識別子($))等により,線番の変更が制限される。例えば,変換禁止フラグが付加された線番が抽出され,変換禁止リストに出力し,このリストに基づいて,線番の変更が制限される。
【0055】
(実施例5)
図3の(a)に表される機能ブロック図Aを流用し,基準線番を指定し(図13B),線番を変更する場合を考える(図13の(c))。図14は,図13の(a)の機能ブロック図Aに対応する相対機能ブロック情報Aを表す。
【0056】
ここでは,線番「RA0003」を線番「RX0103」に,線番「DA0002」を線番DX0022に指定される。線番の採番順序が解析され,線番が変更される。
【0057】
本実施例によれば,基準線番を指定し,線番を採番し直すことが出来る。
【0058】
(実施例6)
図15の(a)に表される機能ブロック図Aを流用し,基準線番を指定し(図15B),線番を変更する場合を考える(図15の(c))。図16は,図15の(a)の機能ブロック図Aに対応する相対機能ブロック情報Aを表す。
【0059】
ここでは,機能ブロック図Aが変換禁止フラグを含む。機能ブロックから変換禁止フラグが付加された線番を抽出して変換禁止リストに出力し,変換禁止リストの線番を除外して相対機能ブロック情報に変換する。
【0060】
線番「RA0003」が線番「RX0103」に,線番「DA0002」が線番「DX0022」に指定される。線番解析処理で相対機能ブロック情報Aを使って線番の採番順序を解析して,採番順序と指定線番をもとにして,線番を採番している。このとき,共通線番「RX1000」は変換されない。
【0061】
本実施例によれば,機能ブロックに含まれる共通線番を除外して,採番出来る。
【0062】
(実施例7)
図17の(a)に表される機能ブロック図Aを流用し,基準線番を指定し(図17の(b)),線番を変更する場合を考える(図17の(c))。図18は,図17の(a)の機能ブロック図Aに対応する相対機能ブロック情報Aを表す。
【0063】
線番「RA0003」を線番「RX0103」に,線番「DA0002」を線番「DX0022」に指定して,線番が変更される。このとき,機能ブロックからパラメータを抽出して,抽出したパラメータを除外して,線番が変更される。
【0064】
本実施例によれば,機能ブロックにパラメータが含まれていても,パラメータを除外して相対機能ブロック情報に変換してから採番できる。
【0065】
(実施例8)
図19の(a)に表される機能ブロック図Aを流用し,基準線番を指定し(図19の(b)),線番を変更する場合を考える(図19の(c))。図20は,図19の(a)の機能ブロック図Aに対応する相対機能ブロック情報Aを表す。
【0066】
相対機能ブロック情報Aから線番「RA0000」〜「RA0004」で線番サイズが5レジスタ,線番「DA0000」〜「DA0002」で線番サイズが3ビットであることが検出される。その後に,機能ブロック図に登録された不使用線番から連続して採番できる線番とサイズを算出して,線番の候補を表示する。
【0067】
ここで,採番し直す箇所をして「RA0003」を指定すると,5レジスタ以上割当て可能な線番の候補が表示される。この時,指定した「RA0003」にあわせて3レジスタずらした候補が表示される。ここで,線番「RX0103」〜「RX0198」を指定して,線番の採番順序を解析して,採番順序と指定した線番をもとにして他の線番も採番している。
【0068】
本実施例によれば,機能ブロック図に登録された不使用線番から連続して採番可能な空き線番を表示して,そこから線番を選択するので,線番を重複して採番するミスを無くすことが出来る。
【0069】
(その他の実施形態)
本発明の実施形態は上記の実施形態に限られず拡張,変更可能であり,拡張,変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
100…機能ブロック図処理装置,111…記憶部,112…表示部,113…入力部,114…機能ブロック抽出部,121…機能ブロック図相対化部,122…機能ブロック図比較部,123…線番推定部,131…線番候補抽出部,132…線番変更部
【技術分野】
【0001】
本発明は,コンピュータプログラムを表す機能ブロック図を処理する機能ブロック図処理装置,機能ブロック図処理方法,およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータプログラムを表現する手法として,機能ブロック図が有る。機能ブロック図によって,命令コード,命令コードで処理されるデータを表現できる。
【0003】
ところで,複数の機能ブロックを比較することがある。この比較には,機能ブロック図の全体を比較する場合と,機能ブロック図を部分的に比較する場合と,がある。機能ブロック図の全体を比較する例として,2つの機能ブロック図が一致するかどうかを確認するベリファイチェックが挙げられる。機能ブロック図を部分的に比較する例として,他の機能ブロックの一部を流用して作成された機能ブロックについて,流用元の機能ブロックからの流用漏れの有無を確認することが挙げられる。
【0004】
なお,プログラムのブロック毎のテキスト情報を比較して,相違内容を出力する技術が公開されている(特許文献1参照)。この比較に際して,プログラム命令コード内の入出力信号を表す番号を全て一致化(データクリア)する。これにより,入力信号を表す番号が異なる場合にも。命令コードを照合し,該当ブロックを識別できる(特許文献1の段落0025参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−149208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら,上述の技術では,入出力信号を表す番号をクリアしてから比較するため,入出力信号のアドレスの誤りを検出できない。
上記に鑑み,本発明は,データのアドレスの相違を検出可能な機能ブロック図処理装置,機能ブロック図処理方法,およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る機能ブロック図処理装置は,コンピュータプログラムの機能ブロック図を表し,機能ブロックを識別するブロック識別子と,この機能ブロックで処理されるデータを識別するデータ識別子と,を有する,複数の機能ブロック情報を記憶する記憶部と,前記複数の機能ブロック情報それぞれに含まれるデータ識別子で表されるアドレスを相対化処理する相対化処理部と,前記相対化処理された複数の機能ブロック情報を比較する比較部と,前記比較の結果を表示する表示部と,を具備することを特徴とする。
【0008】
本発明の他の態様に係る機能ブロック図処理装置は,コンピュータプログラムの機能ブロック図を表し,機能ブロックを識別するブロック識別子と,この機能ブロックで処理されるデータを識別するデータ識別子と,を有する,機能ブロック情報を記憶する記憶部と,基準データ識別子を入力する入力部と,前記入力された基準データ識別子に基づき,前記機能ブロック情報に含まれるデータ識別子を変更処理する変更処理部と,を具備することを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係る機能ブロック図処理方法は,コンピュータプログラムの機能ブロック図を表し,機能ブロックを識別するブロック識別子と,この機能ブロックで処理されるデータを識別するデータ識別子と,を有する,複数の機能ブロック情報それぞれに含まれるデータ識別子で表されるアドレスを相対化処理するステップと,前記相対化処理された複数の機能ブロック情報を比較するステップと,前記比較の結果を表示するステップと,を具備することを特徴とする。
【0010】
本発明の他の態様に係る機能ブロック図処理方法は,コンピュータプログラムの機能ブロック図を表し,機能ブロックを識別するブロック識別子と,この機能ブロックで処理されるデータを識別するデータ識別子と,を有する,機能ブロック情報について,基準データ識別子を入力するステップと,前記入力された基準データ識別子に基づき,前記機能ブロック情報に含まれるデータ識別子を変更処理するステップと,を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば,データのアドレスの相違を検出可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る機能ブロック図処理装置を表すブロック図である。
【図2】機能ブロック図の一例を示す模式図である
【図3】機能ブロック図の比較手順を表すフロー図である。
【図4】機能ブロック図での線番の変更手順を表すフロー図である。
【図5】比較される機能ブロック図の一例を表す模式図であり,(a)〜(c)はそれぞれ機能ブロックA〜Cを示す。
【図6】相対機能ブロック情報の一例を表す模式図であり,(a),(b)はそれぞれ相対機能ブロック情報A,Bを示す。
【図7】比較される機能ブロック図の一例を表す模式図であり,(a),(b)はそれぞれ機能ブロックA,Bを示す。
【図8】相対機能ブロック情報の一例を表す模式図であり,(a),(b)はそれぞれ相対機能ブロック情報A,Bを示す。
【図9】比較される機能ブロック図の一例を表す模式図であり,(a),(b)はそれぞれ機能ブロックA,Bを示す。
【図10】相対機能ブロック情報の一例を表す模式図であり,(a),(b)はそれぞれ相対機能ブロック情報A,Bを示す。
【図11】比較される機能ブロック図の一例を表す模式図であり,(a),(b)はそれぞれ機能ブロックA,Bを示す。
【図12】相対機能ブロック情報の一例を表す模式図であり,(a),(b)はそれぞれ相対機能ブロック情報A,Bを示す。
【図13】流用される機能ブロック図等の一例を表す模式図であり,(a)〜(c)はそれぞれ流用される機能ブロックA,線番が指定される機能ブロックB,線番が指定される機能ブロックCを示す。
【図14】機能ブロック情報の一例を表す模式図である。
【図15】流用される機能ブロック図等の一例を表す模式図であり,(a)〜(c)はそれぞれ流用される機能ブロックA,線番が指定される機能ブロックB,線番が指定される機能ブロックCを示す。
【図16】機能ブロック情報の一例を表す模式図である。
【図17】流用される機能ブロック図等の一例を表す模式図であり,(a)〜(c)はそれぞれ流用される機能ブロックA,線番が指定される機能ブロックB,線番が指定される機能ブロックCを示す。
【図18】機能ブロック情報の一例を表す模式図である。
【図19】流用される機能ブロック図等の一例を表す模式図であり,(a)〜(c)はそれぞれ流用される機能ブロックA,線番が指定される機能ブロックB,線番が指定される機能ブロックCを示す。
【図20】機能ブロック情報の一例を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下,図面を参照して,本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る機能ブロック図処理装置100を表すブロック図である。機能ブロック図処理装置100は,コンピュータプログラムを表す機能ブロック図を処理する装置であり,例えば,ハードウェア(コンピュータ)とソフトウェア(プログラム)の組み合わせで構成できる。
【0014】
機能ブロック図処理装置100は,記憶部111,表示部112,入力部113,機能ブロック抽出部114,機能ブロック図相対化部121,機能ブロック図比較部122,線番推定部123,線番候補抽出部131,線番変更部132を有する。
【0015】
記憶部111は,半導体メモリ,ハードディスク等の記憶手段であり,機能ブロック図を表す機能ブロック情報を記憶する。
【0016】
図2は,機能ブロック図の一例を示す模式図である。記憶部111は,機能ブロック図(正確には,この機能ブロック図に対応する機能ブロック情報)を記憶する。
【0017】
機能ブロック図は,機能ブロックを用いて,コンピュータプログラムの命令コード,命令コード間での実行関係,処理されるデータ等を表す。この例では,機能ブロック(1)〜(4)が表される。機能ブロック(1)〜(4)は,コンピュータプログラムの命令コード(例えば,演算)に対応する。命令コードで処理されるデータは,線番(例えば,RX0001,DX0002)によって表される。
【0018】
線番は,データの属性(レジスタタイプ,ビットタイプ)およびデータのアドレスを表す。ここでは,線番内の先頭の1文字目がデータの属性を表す。この1文字が「D」,「R」それぞれの場合,データがビットタイプ,レジスタタイプとする。線番内の2番目の1文字が相対化処理の前後を表す。この文字が「X」,「A」それぞれの場合,相対化処理前,処理後であることを表す。線番内の4桁の数字がデータのアドレスに対応する。この「アドレス」は,実際にプログラムが用いられるアドレス(絶対アドレス),プログラム内での相対的なアドレス(相対アドレス)のいずれでも良い。
【0019】
記憶部111が記憶する機能ブロック情報は,この機能ブロック図に対応する要素(ブロック識別子,コード識別子,データ識別子(入力データ識別子,出力データ識別子))を有する。ブロック識別子(ここでは,「(1)」〜「(4)」)は,機能ブロックを識別する。コード識別子は,ブロック図に対応する命令コード(「+」,「−」,「OR」,「MOV」)を表す。入力データ識別子,出力データ識別子はそれぞれ,命令コードに対応する入力データおよび出力データを表す。これらのデータは,例えば,線番によって表される。
【0020】
表示部112は,機能ブロック等を表示する装置,例えば,液晶表示装置である。
入力部113は,機能ブロック図処理装置100の利用者が情報を入力するための装置,例えば,キーボード,マウスである。入力部113は,機能ブロックの線番を変更する場合に,基準データ識別子(基準とする線番(基準線番))を入力(指定)する。
【0021】
機能ブロック抽出部114は,記憶部111が記憶する機能ブロック図から機能ブロックを抽出する。入力部113で抽出する機能ブロック図の範囲が指定され,この範囲の機能ブロックが抽出される。即ち,機能ブロック図の一部が比較のためあるいは流用のための機能ブロック図として切り出される。
【0022】
機能ブロック図相対化部121は,抽出された機能ブロック図(特に,その線番)を相対化処理する。機能ブロック図相対化部121は,機能ブロック情報それぞれに含まれるデータ識別子を相対化処理する相対化処理部として機能する。機能ブロック図相対化部121は,機能ブロック図中のデータの最小のアドレスを基準として,データ識別子を相対化処理する。
【0023】
機能ブロック図比較部122は,機能ブロック図を比較し,一致するか否かを判断する。機能ブロック図比較部122は,相対化処理された複数の機能ブロック情報を比較する比較部として機能する。
【0024】
線番推定部123は,2つの機能ブロックの線番に不一致があるとき,不一致の線番について,線番を推定する。線番推定部123は,複数の機能ブロック情報間で一致しないデータ識別子について,データ識別子の候補を推定する推定部として機能する。
【0025】
線番候補抽出部131は,機能ブロックの線番を変更する場合に,基準線番の候補を抽出する。線番候補抽出部131は,基準データ識別子の候補を推定する推定部として機能する。
【0026】
線番変更部132は,基準線番に基づき,ブロック図の線番を変更する。線番変更部132は,基準データ識別子に基づき,機能ブロック情報に含まれるデータ識別子を変更処理する変更処理部として機能する。
【0027】
(機能ブロック図処理装置100の動作手順)
以下,機能ブロック図処理装置100の動作につき,説明する。機能ブロック図処理装置100は,機能ブロック図同士の比較,機能ブロック図での線番の変更が可能である。図3,図4はそれぞれ,機能ブロック図同士の比較,機能ブロック図での線番の変更それぞれの手順を表すフロー図である。なお,この処理は入力部113からの入力によって選択される。
【0028】
A.機能ブロック図の比較
機能ブロック図の比較につき説明する。
・機能ブロック抽出処理(ステップS11)
機能ブロック抽出部114が,機能ブロック図から比較対象となる複数の命令コードから成る2つの機能ブロックを抽出する。なお,抽出される機能ブロックは,入力部113からの入力により選択される。
【0029】
・線番の相対化処理(ステップS12)
2つの機能ブロックの線番の線番属性を比較用の線番属性に置き換える。即ち,最小の線番(例えば,機能ブロックの先頭の線番)を基準にして,採番順序を変えずに,線番を採番し直すことで,機能ブロック情報を相対機能ブロック情報に変換する。さらに,これら2つの相対機能ブロック情報を記憶部111に記録する。
【0030】
ここで,変換禁止フラグ(相対化除外識別子($))等により,線番の変更が制限される。例えば,変換禁止フラグが付加された線番が抽出され,変換禁止リストに出力し,このリストに基づいて,線番の変換が制限される。
【0031】
・比較処理・表示(ステップS13,S14)
2つの相対機能ブロック情報を比較し,機能ブロック図が一致するか否かを判断する。この判断結果が表示部112に表示される。
【0032】
ここで,機能ブロック図の線番に不一致があるとき,線番推定部123が,不一致の線番について,線番を推定し,これを表示させる。
【0033】
(実施例1)
図5の(a)〜(c)に表される機能ブロック図A〜Cを比較する場合を考える。図6の(a)〜(c)は,図5の(a)〜(c)の機能ブロック図A〜Cに対応する相対機能ブロック情報A〜Cを表す。
【0034】
機能ブロック図より機能ブロック抽出処理で機能ブロック図A〜Cが抽出される。
機能ブロック図(機能ブロック情報)A〜Cが相対機能ブロック情報A〜Cに変換される(図6の(a)〜(c)参照)。機能ブロック図Aの先頭の機能ブロックを基準にして,ブロック識別子とデータ識別子(線番)を採番し直して,相対機能ブロック情報Aが生成される。同様に,機能ブロック図Bの先頭の機能ブロックを基準にして,ブロック識別子とデータ識別子(線番)を採番し直して,相対機能ブロック情報Bが生成される。
【0035】
相対機能ブロック情報が一致するために,機能ブロック図Aと機能ブロック図Bは一致すると判定される。一方,機能ブロック図Bと機能ブロック図Cを比較すると,機能ブロック図Cを変換した相対機能ブロック情報Cの線番「RA0103」の部分が相対機能ブロック情報Bと相違するために,機能ブロック図Bと機能ブロック図Cは不一致と判定される。
【0036】
本実施例では,複数(例えば,2つ)の機能ブロック図を比較する時に,それぞれの機能ブロックの先頭(最小の線番)を基準にして,ブロック識別子とデータ識別子(線番)を採番し直した相対機能ブロック情報を使って比較している。例えば,機能ブロックを流用した後に,ブロック識別子とデータ識別子(線番)を採番し直した場合でも流用元の機能ブロックと正しく比較できる。
【0037】
(実施例2)
図7の(a),(b)に表される機能ブロック図A,Bを比較する場合を考える。図8の(a),(b)は,図7の(a),(b)の機能ブロック図A,Bに対応する相対機能ブロック情報A,Bを表す。
【0038】
ここでは,機能ブロック図Bに変換禁止フラグ(相対化除外識別子($))が付加されている。機能ブロック図全体を通して共通に使用される指令値や実行条件など,比較する2つの機能ブロックに共通して使用されている線番を共通線番と定義する。この共通線番に変換禁止フラグを付加して一般の線番と区別している。
【0039】
比較する機能ブロック図A,Bでは,機能ブロック(5)に共通線番「RX1000」を使用しており,このような共通線番の線番属性に変換禁止フラグ「$」を付加している。機能ブロック情報A,Bから変換禁止フラグが付いた線番が抽出される。抽出した線番を除外して,機能ブロック情報A,Bが相対機能ブロック情報A,Bに変換される。ここで共通線番「RX1000」を変換しないので,共通線番を使用する機能ブロック図を正しく比較できる。
【0040】
本実施例によれば,比較する2つの機能ブロックに共通線番が含まれる場合に,共通線番を除外して相対機能ブロック情報に変換するので,機能ブロックを正しく比較できる。
【0041】
(実施例3)
図9の(a),(b)に表される機能ブロック図A,Bを比較する場合を考える。図10の(a),(b)は,図9の(a),(b)の機能ブロック図A,Bに対応する相対機能ブロック情報A,Bを表す。
【0042】
ここで,命令コードに入力するデータの一種であり単数または複数の定数からなるデータテーブルをパラメータと定義する。
【0043】
機能ブロックの抽出後に,機能ブロック図A,Bからパラメータを抽出して変換禁止リストに出力し,変換禁止リストのパラメータを除外して線番を変換する。
【0044】
この例では,機能ブロック図Aの機能ブロック(5)の入力部分にパラメータ1を,機能ブロック図Bの機能ブロック(5)の入力部分にパラメータ2を使用している。機能ブロックからパラメータ1とパラメータ2を変換禁止リストに抽出してから相対機能ブロック情報A,Bに変換している。ここでパラメータ1とパラメータ2は変換されずに相対機能ブロック情報A,Bに格納されるので,パラメータを使用していても相対機能ブロック情報A,Bを使って正しく比較できる。
【0045】
本実施例によれば,比較する2つの機能ブロックにパラメータが含まれていてもパラメータを除外して相対機能ブロック情報に変換するので,機能ブロック図を正しく比較できる。
【0046】
(実施例4)
図11の(a),(b)に表される機能ブロック図A,Bを比較する場合を考える。図12の(a),(b)は,図11の(a),(b)の機能ブロック図A,Bに対応する相対機能ブロック情報A,Bを表す。
【0047】
指定した一方の機能ブロックに対して相違部分の線番候補を推定し,表示する。
【0048】
この例では,相対機能ブロック情報A,Bを比較した時に,相対機能ブロック情報Aの機能ブロック(2)の出力の線番「RX0123」で不一致が検出される。相対機能ブロック情報Aから機能ブロック(2)の入力の線番RA0002の線番番号に「+1」したものが出力の線番「RA0003」になることから,線番推定処理で機能ブロック図Bの機能ブロック(2)の入力の線番「RX0022」に「+1」したRX0023を線番候補と推定される。
【0049】
本実施例によれば,機能ブロックを比較して不一致となった箇所に対して,正しいと推定される線番の候補を表示しているので,相違を容易に修正できる。
【0050】
B.機能ブロック図中の線番の変更
機能ブロック図での線番の変更を説明する。
・機能ブロック抽出処理(ステップS21)
機能ブロック抽出部114が,機能ブロック図から流用のための機能ブロックを抽出する。なお,抽出される機能ブロックは,入力部113からの入力により選択される。
【0051】
・基準線番の指定(ステップS22)
基準とするデータについて,線番(基準線番)を指定する。
【0052】
ここで,基準線番の候補を表示しても良い。線番候補抽出部131が,機能ブロックの線番を変更する場合の基準線番の候補を抽出し,これが表示される。即ち,機能ブロック図で未使用の線番と,変更された線番の連続性等から基準線番の候補を抽出し,これが表示される。
【0053】
・線番の変更(ステップS23)
採番順序を解析し,その結果および基準線番に基づいて,線番が変更される。採番順序の解析に際して,機能ブロック図を相対化処理し,この相対化処理の結果を用いて,採番順序を解析しても良い。
【0054】
ここで,変換禁止フラグ(相対化除外識別子($))等により,線番の変更が制限される。例えば,変換禁止フラグが付加された線番が抽出され,変換禁止リストに出力し,このリストに基づいて,線番の変更が制限される。
【0055】
(実施例5)
図3の(a)に表される機能ブロック図Aを流用し,基準線番を指定し(図13B),線番を変更する場合を考える(図13の(c))。図14は,図13の(a)の機能ブロック図Aに対応する相対機能ブロック情報Aを表す。
【0056】
ここでは,線番「RA0003」を線番「RX0103」に,線番「DA0002」を線番DX0022に指定される。線番の採番順序が解析され,線番が変更される。
【0057】
本実施例によれば,基準線番を指定し,線番を採番し直すことが出来る。
【0058】
(実施例6)
図15の(a)に表される機能ブロック図Aを流用し,基準線番を指定し(図15B),線番を変更する場合を考える(図15の(c))。図16は,図15の(a)の機能ブロック図Aに対応する相対機能ブロック情報Aを表す。
【0059】
ここでは,機能ブロック図Aが変換禁止フラグを含む。機能ブロックから変換禁止フラグが付加された線番を抽出して変換禁止リストに出力し,変換禁止リストの線番を除外して相対機能ブロック情報に変換する。
【0060】
線番「RA0003」が線番「RX0103」に,線番「DA0002」が線番「DX0022」に指定される。線番解析処理で相対機能ブロック情報Aを使って線番の採番順序を解析して,採番順序と指定線番をもとにして,線番を採番している。このとき,共通線番「RX1000」は変換されない。
【0061】
本実施例によれば,機能ブロックに含まれる共通線番を除外して,採番出来る。
【0062】
(実施例7)
図17の(a)に表される機能ブロック図Aを流用し,基準線番を指定し(図17の(b)),線番を変更する場合を考える(図17の(c))。図18は,図17の(a)の機能ブロック図Aに対応する相対機能ブロック情報Aを表す。
【0063】
線番「RA0003」を線番「RX0103」に,線番「DA0002」を線番「DX0022」に指定して,線番が変更される。このとき,機能ブロックからパラメータを抽出して,抽出したパラメータを除外して,線番が変更される。
【0064】
本実施例によれば,機能ブロックにパラメータが含まれていても,パラメータを除外して相対機能ブロック情報に変換してから採番できる。
【0065】
(実施例8)
図19の(a)に表される機能ブロック図Aを流用し,基準線番を指定し(図19の(b)),線番を変更する場合を考える(図19の(c))。図20は,図19の(a)の機能ブロック図Aに対応する相対機能ブロック情報Aを表す。
【0066】
相対機能ブロック情報Aから線番「RA0000」〜「RA0004」で線番サイズが5レジスタ,線番「DA0000」〜「DA0002」で線番サイズが3ビットであることが検出される。その後に,機能ブロック図に登録された不使用線番から連続して採番できる線番とサイズを算出して,線番の候補を表示する。
【0067】
ここで,採番し直す箇所をして「RA0003」を指定すると,5レジスタ以上割当て可能な線番の候補が表示される。この時,指定した「RA0003」にあわせて3レジスタずらした候補が表示される。ここで,線番「RX0103」〜「RX0198」を指定して,線番の採番順序を解析して,採番順序と指定した線番をもとにして他の線番も採番している。
【0068】
本実施例によれば,機能ブロック図に登録された不使用線番から連続して採番可能な空き線番を表示して,そこから線番を選択するので,線番を重複して採番するミスを無くすことが出来る。
【0069】
(その他の実施形態)
本発明の実施形態は上記の実施形態に限られず拡張,変更可能であり,拡張,変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
100…機能ブロック図処理装置,111…記憶部,112…表示部,113…入力部,114…機能ブロック抽出部,121…機能ブロック図相対化部,122…機能ブロック図比較部,123…線番推定部,131…線番候補抽出部,132…線番変更部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータプログラムの機能ブロック図を表し,機能ブロックを識別するブロック識別子と,この機能ブロックで処理されるデータを識別するデータ識別子と,を有する,複数の機能ブロック情報を記憶する記憶部と,
前記複数の機能ブロック情報それぞれに含まれるデータ識別子を相対化処理する相対化処理部と,
前記相対化処理された複数の機能ブロック情報を比較する比較部と,
前記比較の結果を表示する表示部と,
を具備することを特徴とする機能ブロック図処理装置。
【請求項2】
前記データ識別子が,データの種別を表す種別識別子と,データのアドレスを表すアドレス識別子と,を含み,
前記相対化処理部が,機能ブロック図中のデータの最小のアドレスを基準として,データ識別子を相対化処理する
ことを特徴とする請求項1に記載の機能ブロック図処理装置。
【請求項3】
前記比較の結果,前記複数の機能ブロック情報間で一致しないデータ識別子について,データ識別子の候補を推定する推定部
をさらに具備することを特徴とする請求項1または2に記載の機能ブロック図処理装置。
【請求項4】
コンピュータプログラムの機能ブロック図を表し,機能ブロックを識別するブロック識別子と,この機能ブロックで処理されるデータを識別するデータ識別子と,を有する,機能ブロック情報を記憶する記憶部と,
基準データ識別子を入力する入力部と,
前記入力された基準データ識別子に基づき,前記機能ブロック情報に含まれるデータ識別子を変更処理する変更処理部と,
を具備することを特徴とする機能ブロック図処理装置。
【請求項5】
前記データ識別子が,データの種別を表す種別識別子と,データのアドレスを表すアドレス識別子と,を含み,
前記基準データ識別子の候補を推定する推定部
をさらに具備することを特徴とする請求項4に記載の機能ブロック図処理装置。
【請求項6】
前記記憶部が,機能ブロック情報中の少なくとも一のデータ識別子の相対化処理または変更の制限を表す制限識別子をさらに記憶し,
前記制限識別子に基づき,前記相対化処理部での相対化処理または前記変更処理部での変更処理が制限される,
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の機能ブロック図処理装置。
【請求項7】
前記機能ブロック情報が,前記制限識別子をさらに有する,
ことを特徴とする請求項6項に記載の機能ブロック図処理装置。
【請求項8】
コンピュータプログラムの機能ブロック図を表し,機能ブロックを識別するブロック識別子と,この機能ブロックで処理されるデータを識別するデータ識別子と,を有する,複数の機能ブロック情報それぞれに含まれるデータ識別子で表されるアドレスを相対化処理するステップと,
前記相対化処理された複数の機能ブロック情報を比較するステップと,
前記比較の結果を表示するステップと,
を具備することを特徴とする機能ブロック図処理方法。
【請求項9】
コンピュータプログラムの機能ブロック図を表し,機能ブロックを識別するブロック識別子と,この機能ブロックで処理されるデータを識別するデータ識別子と,を有する,機能ブロック情報について,基準データ識別子を入力するステップと,
前記入力された基準データ識別子に基づき,前記機能ブロック情報に含まれるデータ識別子を変更処理するステップと,
を具備することを特徴とする機能ブロック図処理方法。
【請求項10】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の機能ブロック図処理装置として,コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項1】
コンピュータプログラムの機能ブロック図を表し,機能ブロックを識別するブロック識別子と,この機能ブロックで処理されるデータを識別するデータ識別子と,を有する,複数の機能ブロック情報を記憶する記憶部と,
前記複数の機能ブロック情報それぞれに含まれるデータ識別子を相対化処理する相対化処理部と,
前記相対化処理された複数の機能ブロック情報を比較する比較部と,
前記比較の結果を表示する表示部と,
を具備することを特徴とする機能ブロック図処理装置。
【請求項2】
前記データ識別子が,データの種別を表す種別識別子と,データのアドレスを表すアドレス識別子と,を含み,
前記相対化処理部が,機能ブロック図中のデータの最小のアドレスを基準として,データ識別子を相対化処理する
ことを特徴とする請求項1に記載の機能ブロック図処理装置。
【請求項3】
前記比較の結果,前記複数の機能ブロック情報間で一致しないデータ識別子について,データ識別子の候補を推定する推定部
をさらに具備することを特徴とする請求項1または2に記載の機能ブロック図処理装置。
【請求項4】
コンピュータプログラムの機能ブロック図を表し,機能ブロックを識別するブロック識別子と,この機能ブロックで処理されるデータを識別するデータ識別子と,を有する,機能ブロック情報を記憶する記憶部と,
基準データ識別子を入力する入力部と,
前記入力された基準データ識別子に基づき,前記機能ブロック情報に含まれるデータ識別子を変更処理する変更処理部と,
を具備することを特徴とする機能ブロック図処理装置。
【請求項5】
前記データ識別子が,データの種別を表す種別識別子と,データのアドレスを表すアドレス識別子と,を含み,
前記基準データ識別子の候補を推定する推定部
をさらに具備することを特徴とする請求項4に記載の機能ブロック図処理装置。
【請求項6】
前記記憶部が,機能ブロック情報中の少なくとも一のデータ識別子の相対化処理または変更の制限を表す制限識別子をさらに記憶し,
前記制限識別子に基づき,前記相対化処理部での相対化処理または前記変更処理部での変更処理が制限される,
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の機能ブロック図処理装置。
【請求項7】
前記機能ブロック情報が,前記制限識別子をさらに有する,
ことを特徴とする請求項6項に記載の機能ブロック図処理装置。
【請求項8】
コンピュータプログラムの機能ブロック図を表し,機能ブロックを識別するブロック識別子と,この機能ブロックで処理されるデータを識別するデータ識別子と,を有する,複数の機能ブロック情報それぞれに含まれるデータ識別子で表されるアドレスを相対化処理するステップと,
前記相対化処理された複数の機能ブロック情報を比較するステップと,
前記比較の結果を表示するステップと,
を具備することを特徴とする機能ブロック図処理方法。
【請求項9】
コンピュータプログラムの機能ブロック図を表し,機能ブロックを識別するブロック識別子と,この機能ブロックで処理されるデータを識別するデータ識別子と,を有する,機能ブロック情報について,基準データ識別子を入力するステップと,
前記入力された基準データ識別子に基づき,前記機能ブロック情報に含まれるデータ識別子を変更処理するステップと,
を具備することを特徴とする機能ブロック図処理方法。
【請求項10】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の機能ブロック図処理装置として,コンピュータを機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−244157(P2010−244157A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89759(P2009−89759)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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