説明

機能効果を有するセルロース成形品及びその製造法

本発明は機能効果を有するセルロース成形品の製造方法に関する。該方法は、セルロース系繊維またはフィルムに殺菌性金属イオン及び/またはイオン性医薬活性物質を有する組入れられたイオン交換体をこれらの活性物質の保持部分が該繊維中に構築されるように装填することを特徴とする。前記保持部分は、該繊維またはフィルムが水溶液中で用いられるとき、対応する当量濃度で該活性物質を経時的に放出する。本発明はまた該発明方法により製造された成形品に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明はセルロース成形品及び改良され且つ高められた機能効果を有し、特に医薬、衛生、衣料品、製紙及び包装工業に応用できるセルロース成形品を乾-湿式押出し法により製造する方法に関する。
【0002】
該機能効果は、安定した細心の注意を払って調整可能な殺菌効果、特に創傷接触材料、スポーツ及びレジャー衣料、診療用編織布、フィルター及び包装紙に向けられている。
【0003】
先行技術
例えば、銀、水銀、銅、亜鉛及びジルコニウムイオン類等の重金属イオン類は細菌、ウイルス、真菌類または胞子を弱め、或いはそれらの成長を抑制する[Thurmanら, CRC Crit. Rev. In Environ. Contr. 18(4), p. 295-315(1989)]。殺菌効果について、銀イオンは特に興味をそそるものである。例えば、Hg2+のような他の殺菌性金属イオン類に対する銀イオンの重要な利点は、銀に対して人の代謝の感受性が鈍いことである。殺菌作用濃度は銀では0.01乃至1mg/lであることを示す[ウルマンの工業化学百科辞典(5版)、VCH 1993、A24巻、160頁]。
【0004】
銀イオンのこの効果は異なる用途で用いられる。紡織繊維(textile fibers)の製造において銀は、例えばポリアミドシルクの表面にメッキで析出される。前記銀メッキされたポリアミドシルクを編機及び成形機で加工することには該ポリアミドシルクの銀層が部分的に繊維案内装置上に析出して前記装置を多く停止させることになるので問題がある。金属銀、銀-ゼオライトまたは銀-ガラスセラミックスをポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維及びポリアミド繊維のような溶融紡糸繊維のマトリックス中へ導入することも知られている[繊維工業2003用ポケットブック(Taschenbuch fuer die Textilindustrie 2003)、 Schiele & Schoen Berlin、124頁以降]。
【0005】
アクリル繊維に対して銀-ゼオライト及び銀-ガラスセラミックスを用いることも提案されている。静菌性及び殺菌性の物性を有するセルロース成形品も発売されており入手可能である。トリコサン[2,4,4-トリクロロ(II)-ヒドロキシフェニレンエーテル]をセルロース系繊維に組入れると永久的に静菌性の繊維となる(ITB International Textile Bulletin 3/2002)。前記物質は病原性ブドウ球菌系を含む通常皮膚に起こる細菌に対して活性である。
【0006】
ドイツ特許公報10 140 772は組入れられた藻類を有するセルロース成形品の製造方法を開示している。前記セルロース成形品は重金属含有媒体から金属類を吸着することができる。該重金属を充填した成形品は抗菌性及び/または殺菌性材料として使用できる。前記成形品中の吸着重金属含量は、該セルロース成形品の全重量に対して少なくとも約70mg/kgとして与えられる。
【0007】
褐藻類の含量が繊維重量に対して11.39重量%の繊維を0.05モル硝酸銀溶液に浸漬することにより1,855mg/kg繊維の銀含量が得られることが更に開示されている。藻類は天然生成物であるので前記重金属類の結合容量が変化する。重金属類を藻類へ結合する間に、イオン交換、錯化及び更に未知反応類等の異なる結合機構が関係する。そのため、前記重金属の藻類への結合は非特異的である。前記繊維の更に不利な点は陽イオンのみが殺菌効果に用いられるが、例えば安息香酸及びソルビン酸等の殺菌性陰イオンの殺菌効果には用いられないことである。
【0008】
発明の目的
本発明の目的は機能効果を有するセルロース成形品及び特に医薬、衛生、衣料品に使用される前記成形品の製造方法を提供することにあり、前記成形品は殺菌効果を有し、特に前記利点が通気性衣料に付随する。別の目的は前記活性薬剤を編繊布(textile)の保持部分に保持することであり、そして長期にわたり前記保持部分からの前記薬剤の十分な放出を得ることである。前記薬剤の放出濃度は制御可能であるべきである。また、本発明の方法により得られる成形品、特に繊維またはフィルムは、活性薬剤の高度な吸着性のために創傷用包帯、膏薬、衛生製品、編織布、特殊紙及び包装材料の製造に有用であるので、そのように形成されるべきである。最後に、繊維のブレンドの複合材料が製造可能であるべきである。
【0009】
別の諸利点は以下の記載に示される。
本目的は乾-湿押出し方法により紡糸され、組入れられた弱架橋(weak-linked)陽イオン活性イオン交換体を有するセルロース成形品に活性薬剤を装填することにより、本発明による先に検討した方法と組合せて達成される。驚くべきことに、前記活性薬剤に対する結合容量はイオン交換体の架橋度に依存することが判明された。このように、例えば銀のような陽イオン活性薬剤に対する結合容量は、多官能架橋剤で弱く架橋したポリアクリレートを用いた場合、2倍を超えて増加させることができた。
【0010】
本発明による弱架橋イオン交換体は架橋剤の量を減少させたイオン交換体である。通常のイオン交換樹脂は該イオン交換体樹脂の重量に対して4乃至12重量%の架橋剤の量を示す。本発明の弱架橋イオン交換体は0.1乃至2.0重量%、好ましくは0.3乃至1.5重量%、特に好ましくは0.5乃至1.2重量%の範囲の架橋剤の量を有する。
【0011】
弱架橋イオン交換体樹脂は水溶液中でかなり膨潤する顕著な能力によって特徴付けられる。前記の架橋剤量を有する通常のイオン交換樹脂は小さな膨潤度のみを示す。
組入れられた弱架橋陽イオン交換体で作られた繊維は、ドイツ特許公報10 140 772による褐藻類を有する繊維の容量を28倍まで超える銀イオン結合容量を示す。このように、銀イオン等の陽イオン活性殺菌薬剤を大量に充填することができる繊維またはフィルムを製造する機会が与えられる。15重量%組入れられた弱架橋陽イオン交換体を有する一本の繊維は約80gの銀を充填することができる。組入れられた弱架橋陽イオン交換体の量を増加させれば、それに従って該100g銀/kg繊維を超える繊維の銀充填が可能である。
【0012】
前記繊維は、例えば木綿、羊毛 または合成繊維等の他の繊維と混合することができる。この手法により非常に経済的な方法で殺菌性の糸を製造することができる。
しかし、繊維中に組入れられるイオン交換体の量を増加していくと、編織布の強さ、伸度及び引掛強さ等の編織布の物理的パラメーターに不利な影響を与えることになる。特に、強さ及び引掛強さは組入れられるイオン交換体の量が増加するに従って減少していく。
【0013】
組入れられたイオン交換体を含まない繊維の物性と近似してくる強さ及び引掛強さのような編織布の物理的物性を示す銀充填繊維を提供することも経済的に興味をそそるものである。
【0014】
本発明で以って、繊維当りの十分な銀含有量を有する繊維であって適切な殺菌効果を示すが編織布の物理的パタメーターを考慮して不都合のない繊維を得ることが可能である。本発明によれば、繊維のセルロース重量を基準として0.5乃至1.5 重量%の組入れられた陽イオン交換体で5,000乃至10,000mg銀/kg繊維を結合することが可能である。このような繊維は公知の使用分野で充分な殺菌効果を持ち、その編織布の物理的パタメーターン関しては非修飾繊維と同等である。このような繊維及びそれからできた糸の加工は全ての繊維機械で可能である。
【0015】
弱架橋陽イオン交換体の代わりに、アクリル酸―ジビニルベンゼン共重合体に結合したカルボキシル基に基づく、或いはドイツ特許公報19 917 614に記載のスチレンージビニルベンゼン共重合体に結合したキレート形成イミノ二酢酸に基づくイオン交換体を用いるならば、その殺菌剤効果が同じくらいの繊維が得られる。しかし、銀イオン容量は前記弱架橋陽イオン交換体の50%未満である。
【0016】
繊維または糸の殺菌剤効果の基準は水溶液中の活性薬剤の平衡濃度、例えば銀イオンの濃度である。
このために、銀イオンを充填した繊維または糸を20℃の温度で蒸留水中に入れ、次いで24時間後の銀イオンの平衡濃度を測定する。表1は弱架橋陽イオン交換体または公知のジビニルベンゼンで架橋したイオン交換体を用いて、銀イオンの平衡濃度及び繊維中への銀の充填量を示す。示されるごとく、銀イオンの平衡濃度は殺菌剤効果を得るため必要な濃度である0.01乃至1mg/lを超える値と同等のレベルにある。この平衡濃度は他の種類の繊維と混合することにより各所要濃度値に制御することができる。
【0017】
【表1】

【0018】
表1に示されるごとく、本発明による繊維は抗菌効果を同時に増加した繊維の銀含量で得るに必要な平衡濃度を提供する。その有用性は明らかである。
繊維の使用中に、遊離の銀イオンが永久に放出され、それにより該平衡濃度が繊維中に析出した銀で保持される。本発明の繊維の改良された保存物性より該平衡濃度が長期にわたって保持される。
【0019】
弱架橋陽イオン交換体と塩化物型のトリアルキルアンモニウム基含有スチレンージビニルベンゼン共重合体に基づく強塩基性陰イオン交換体とを該繊維に組入れると、前記繊維を銀イオンと安息香酸またはアスコルビン酸等の陽イオン活性且つ陰イオン活性殺菌イオンで充填することができる。
【0020】
このように、銀イオンを例えば安息香酸やアスコルビン酸等の陰イオン活性薬剤と共に用いることが可能である。前記物質はいくつかの出版物で示されているように毒物学的に受け入れられるものであり、従ってそれらは食品へ直接使用される資格がある(Wallhaesser、 Sterilisation、Desinfection Konservierung、4版、1988年、396頁)。このような繊維を製紙において加工すると、或いはそれでできたフィルムを加工すると、食品用抗菌性包装材料が提供される。
【0021】
また、陽イオン活性薬剤を有する前記機能化された繊維を医療用途に用いることが可能である。このような繊維はニコチンのような薬剤が結合できる。前記繊維はバンドエイドに製造されて経皮吸収システムに用いられる。
【0022】
前記機能繊維の充填は有利には該繊維を適切なイオン溶液中に浸漬させることにより進めることができる。前記浸漬は連続的に、或いは回分式で行うことができる。連続式の浸漬は後処理中の別の浴で短繊維に充填するのが好ましい。
【0023】
本発明及びその特性は以下の実施例によりより明確に例示される。
【0024】
実施例1
アクリル酸とアクリル酸ナトリウムの架橋共重合物を基礎とした粒度が10μm未満の粉末弱架橋陽イオン交換体をN-メチルモルホリン-N-オキシド1水和物中の12重量%のセルロース溶液へ該セルロースに対して15重量%の重量比で添加する。紡糸溶液を混練機で均質化し、そして紡糸孔径が80μmの480孔を有する紡糸ノズルを用いて約90℃の温度で紡糸した。引取り速度は約30m/分であった。マルチフィラメント繊維を数個の洗浄浴中に導き残留N-メチルモルホリン-N-オキシドを洗い落とした。該繊維を遠心乾燥し、そして繊維1kg当たり10リットルの0.1M硝酸銀溶液中で充填させた。充填後、該繊維を遠心乾燥し、そして洗浄して残留硝酸銀を除去した。最後に、該繊維を約80℃の温度で乾燥した。
【0025】
【表2】

【0026】
表2は該繊維のパラメーターと繊維当たりの銀含量を示す。高度に充填した繊維は、この繊維を他の紡織繊維、例えば木綿とブレンドすることにより銀充填糸が経済的に得られるという利点を提供する。約5,000mg銀/kg糸の含量に対して該銀繊維は該糸の16分の1を構成するに過ぎない。
【0027】
メッキしたポリアミド繊維と対照的にこのようにして製造した糸は編機または成形機上で良好な加工性を示す。
【0028】
実施例2
0.17texタイター(titre)であってセルロース含量に対して6重量%の弱架橋陽イオン交換体の含量を有する繊維を実施例1に従って製造する。これらの繊維は実施例1に従って銀で充填される。該繊維パラメーターを表3に示す。
【0029】
実施例3
0.5texタイターであってセルロース含量に対して0.5重量%の弱架橋陽イオン交換体の含量を有する繊維を実施例1に従って製造する。銀イオンの充填は実施例1に従って行われる。該繊維のパラメーターを表3に示す。更に表3に弱架橋陽イオン交換体を有しない繊維を比較のために示す。
【0030】
【表3】

【0031】
繊維上の銀含量は弱架橋陽イオン交換体の含量を通じて広範囲にわたり調整可能であることが実施例1乃至3より明らかである。0.5重量%であっても高い銀の含量が得られる。0.5重量%の該弱架橋陽イオン交換体が繊維の織物パラメーターに与える影響はごく僅かである。
【0032】
実施例4(比較例)
60%の水性N-メチルモルホリン-N-オキシド中のセルローススラリーへイミノ二酢酸キレート基を有するスチレン-ジビニルベンゼン共重合体を基礎とした弱酸マクロ細孔陽イオン交換体の水懸濁液を、紡糸繊維がセルロース含量に対して6重量%の含量に達するような濃度で添加する。紡糸後前記繊維を洗浄し、そして実施例1に従って銀イオンを充填する。表4は該繊維のパラメーターを示す。
【0033】
【表4】

【0034】
実施例5(比較例)
実施例4に対応して実施して、該スラリーへ6重量%のナトリウム形型の架橋ポリアクリル酸エステル基礎とした弱酸マクロ細孔陽イオン交換体を添加して、紡糸した繊維がセルロースに対して6重量%のイオン交換体を含有し、該繊維を洗浄し、そして実施例1に従って該繊維に銀イオンを充填すると、13.6g/kg繊維の銀を有する繊維を得る。実施例5は驚くべきことに、ポリアクリル酸エステルを基礎とした該イオン交換体はポリアクリル酸エステルを基礎とした該弱架橋陽イオン交換体と比較して約半分の量の銀イオンを結合することを示す。100%を超える結合容量の増加は、一方では繊維中の少量の該弱架橋陽イオン交換体が織物のパラメーターに殆ど影響せず、他方では銀イオンの高度の配合に基づき他の繊維とのブレンドによる経済的な製造が可能であるという技術的及び経済的な利点につながる。
【0035】
実施例6
実施例1乃至5に従って製造した弱架橋陽イオン交換体及び先行技術の通常のイオン交換体に銀、銅(II)及び亜鉛イオンを充填する。その結果を表5に示す。
【0036】
【表5】

【0037】
銅イオン、銀イオンまたは銀イオンと亜鉛イオンの組合わせを充填した繊維は殺菌繊維として用いることができる。
【0038】
実施例7
アクリル酸とアクリル酸ナトリウムとの共重合物基礎とする弱架橋陽イオン交換体と塩化物型のトリアルキルアンモニウム基を有する強塩基性陰イオン交換体の85%N-メチルモルホリン-N-オキシド中の懸濁物を、11重量%のN-メチルモルホリン-N-オキシド1水和物中のセルロース溶液に、紡糸溶液が11重量%のセルロース及びセルロース含量に対して8重量%の弱架橋陽イオン交換体と8重量%の前記陰イオン交換体を含有するような量で添加する。均質化後に該紡糸溶液を実施例1に従って0.1texタイターとなるように紡糸する。該繊維は26.3cN/texの強さ、12.1%の伸度及び 8.6cN/texの引掛強さを示す。
【0039】
銀の充填は52.4g銀/kg繊維であり、安息香酸の充填は16.6g安息香酸/kg繊維である。これらの繊維は非常に強力な殺菌効果を所有する。この実施例は、本発明による繊維は、充填繊維と先行技術から知られた陰イオン交換体及び陽イオン交換体との組合せに適用できることを示している。
【0040】
実施例8
実施例2に対応して製造された組入れられた陽イオン交換体を有する本発明のイオン交換性繊維またはフィルムにニコチンを充填する。該充填繊維またはフィルムを洗浄し、そして乾燥する。これらの繊維またはフィルムは編織物の保持部分へと加工されて、経皮吸収系として施される。
【0041】
実施例9
実施例1に従って製造した繊維の殺菌特性をヨーロッパ薬局方(EP 2002)、“汚染微生物数の測定”に従って測定した。190mg銀/kg紙、760mg銀/kg紙及び3,800mg銀/kg紙のように紙中の銀含量を漸次変えていった量で実施例1による繊維を含有する紙を検査した。この検査は以下の微生物(表6乃至9)を用いて行った。
緑濃菌(Pseudomonas aeruginosa) ATCC 9027
黄色ブドウ状球菌 (Staphylococcus aureus) ATCC 6538
枯草菌胞子 (Bacillus subtilis spores) ATCC 6633
フザリウムソラニ胞子(Fusarium solani spores) ATCC 36031
【0042】
【表6】

【0043】
【表7】

【0044】
【表8】

【0045】
【表9】

【0046】
細菌数の全ての結果は10%の測定誤差を蒙る。
比較試料は銀含有繊維を有しない紙であった。全ての微生物に対して殺菌効果が処理時間及び銀充填濃度に依存することが判明した。バチルスズブチリス胞子が予想通りに最高の抵抗を示した。
【0047】
実施例10
実施例1に従って製造した繊維を木綿と共に紡糸してNm68/1タイターであって1,300 mg銀/kg糸の銀含量のストッキング糸を得た。この糸でストッキングを編んでその殺菌性を調べた(試料3144408.3)。この検査は第195924号に従って行った。試験生物体はラクトバチルスブレビスDSM20054であった。参考試料として抗菌装備のない木綿織物を用いた(表10)。各試料及び該参考試料について5回の測定を行った。
【0048】
【表10】

【0049】
評価基準
成長抑制(参考各標準布帛)の24時間値は初期値より少なくとも2桁大きい(AE<-2)ものでなければならない。
【0050】
KBE値が接触時間ゼロのKBE平均値を10を底とする対数で最大で0.5を超えている、すなわちAE5.24> -0.5であるならば、抗菌効果が得られる。
試験細菌に対して、各接触時間における5中4のひとつのKBE値が抗菌性を示すならば、抗菌装填効果が得られる。この要件は試料番号3144408(編んだストッキング)の結果により満たされている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組入れられたイオン交換体を有するセルロース系繊維またはフィルムに殺菌性金属イオン及び/またはイオン性医薬品を装填して、前記薬品を保持する部分を該繊維内に創り出し、そしてこれらの繊維またはフィルムを水溶液中に施すと、前記保持部分が平衡濃度の量で該薬品を放出することを特徴とする、機能効果を有するセルロース成形品の製造方法。
【請求項2】
水溶液中で膨潤する弱架橋イオン交換体が施される、請求項1の方法。
【請求項3】
金属イオンとして銀イオンが施される、請求項1または2の方法。
【請求項4】
追加の殺菌活性金属イオン、好ましくは銅、水銀、ジルコニア、または亜鉛イオンが施される、請求項3の方法。
【請求項5】
該イオン性医薬品が陰イオン活性薬剤、特に安息香酸またはソルビン酸である、請求項1乃至4のいずれかの方法。
【請求項6】
該活性薬剤の濃度が該成形品1kg当たり0.005g乃至100gの範囲にある、請求項1乃至5のいずれかの方法。
【請求項7】
活性薬剤が充填されている該繊維が紡織繊維とブレンドされ、そして布帛へ加工される、請求項1乃至6のいずれかの方法。
【請求項8】
紡織繊維が、木綿、羊毛、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリル繊維、ポリプロピレン繊維及び再生セルロース繊維からなる群より選択される、請求項7の方法。
【請求項9】
イオン交換体を含有し、該イオン交換体は殺菌性金属イオン及び/またはイオン性医薬品を装填されており、該成形体が水溶液中で現時の平行濃度に対応する濃度で、該金属イオン及び/または薬品をずっと放出することを特徴とする、機能効果を有するセルロース成形品。
【請求項10】
該イオン交換体が弱架橋イオン交換体である、請求項9のセルロース成形品。
【請求項11】
該金属イオンが少なくとも一部は銀イオンである、請求項9または請求項10のセルロース成形品。
【請求項12】
少なくとも一部に請求項9乃至11のいずれかのセルロース成形品を含有する布帛。
【請求項13】
該布帛が紙、ソーセージの皮または不織布である、請求項12の布帛。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの組入れられた弱架橋陽イオン活性イオン交換体を含むセルロース系繊維またはフィルムに殺菌性金属イオン及び/またはイオン性医薬品を装填して、前記金属イオン及び/または薬品を保持する部分を該繊維またはフィルム内に創り出し、そしてこれらの繊維またはフィルムを水溶液中に施すと、前記保持部分が平衡濃度の量で該金属イオン及び/または薬品を放出することを特徴とする、湿−乾押出し方法による機能効果を有するセルロース成形品の製造方法。
【請求項2】
弱架橋陽イオン活性イオン交換体がポリアクリレートである、請求項1の方法。
【請求項3】
金属イオンとして銀イオンが施される、請求項1または2の方法。
【請求項4】
追加の殺菌活性金属イオン、好ましくは銅、水銀、ジルコニア、または亜鉛イオンが施される、請求項3の方法。
【請求項5】
該イオン性医薬品が陰イオン活性薬剤、特に安息香酸またはソルビン酸である、請求項1乃至4のいずれかの方法。
【請求項6】
該活性薬剤の濃度が該成形品1kg当たり0.005g乃至100gの範囲にある、請求項1乃至5のいずれかの方法。
【請求項7】
活性薬剤が装填されている該繊維が紡織繊維とブレンドされ、そして布帛へ加工される、請求項1乃至6のいずれかの方法。
【請求項8】
紡織繊維が、木綿、羊毛、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリル繊維、ポリプロピレン繊維及び再生セルロース繊維からなる群より選択される、請求項7の方法。
【請求項9】
セルロース成形品が陽イオン活性及び/または陰イオン活性イオン交換体を更に含む、請求項1乃至8のいずれかの方法。
【請求項10】
弱架橋陽イオン活性イオン交換体を含有し、該イオン交換体は殺菌性金属イオン及び/またはイオン性医薬品を装填されており、該成形体が水溶液中で現時の平行濃度に対応する濃度で、該金属イオン及び/または薬品をずっと放出することを特徴とする、機能効果を有するセルロース成形品。
【請求項11】
該金属イオンが少なくとも一部は銀イオンである、請求項10のセルロース成形品。
【請求項12】
少なくとも一部に請求項10または11のセルロース成形品を含有する布帛。
【請求項13】
該布帛が紙、ソーセージの皮または不織布である、請求項12の布帛。

【公表番号】特表2006−522232(P2006−522232A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504948(P2006−504948)
【出願日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003466
【国際公開番号】WO2004/088009
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(597032192)チューリンギシェス・インスティトゥート・フューア・テクスティール・ウント・クンストシュトッフ・フォルシュンク・エー・ファオ (1)
【Fターム(参考)】