説明

機能向上有機分子を抽出したかまたは抽出していない構造改変亜炭

亜炭から抽出された機能向上有機分子を含むかまたは含まない構造改変亜炭組成物であって、前記機能向上有機分子は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される、構造改変亜炭組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物成長栄養素組成物の分野に関する。特に、本発明は安価な化石燃料由来の植物成長促進栄養素組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
亜炭(lignite)は、数百年前の石炭紀の化石植物に由来する化石燃料であり、長い年月をかけて圧縮と加熱を受けてきたものである。褐色亜炭は、化石植物が分解されて黒炭になる前の中間生成物である。
【0003】
そのような理由から、亜炭は低発熱量燃料であると考られているが、植物由来であるため今日では植物にとって大変有益である。よって、亜炭の利用はより有益であると考えられる。
【0004】
亜炭系材料は、通常、加熱した後または未加熱で、アルカリと反応させて使用する(特許文献1〜4)。
【0005】
フルボ酸は、医薬分野において有益な性質を多く有することが知られている。植物の健康に非常に重要であると考えられるフミン酸およびフルボ酸は亜炭から得ることが可能であり、現在の研究は、亜炭からの植物栄養製剤の製造に傾注している。この目的に沿った試みは幾つかなされているものの、亜炭を利用価値のある植物栄養素組成物に効率的に変換する安価な一体的プロセスは未だ得られていない。
【0006】
Fishcerらは、亜炭を加熱およびアンモニア処理して有機肥料を製造する方法を開示している(特許文献4)。本方法は亜炭の加熱処理および水系アンモニア溶媒処理を含む。
【0007】
William Alexanderは、農作物および園芸作物の収穫量の増加に使用可能水溶性フミン酸アルカリ金属塩(液状フミン酸カリウムなど)を開示している(特許文献5および6)。さらに、これら特許文献には「本発明の重要な特徴によれば、実施例1に基づいて調製したフミン酸アルカリ金属塩溶液を、窒素および/またはリンおよび/またはカリウムなどの植物栄養素などの植物栄養成分と混合して、農作物および園芸作物の収穫量を増加させる」旨が記載されている。
【0008】
前記特許文献は、水溶性フミン酸アルカリ金属塩溶液を得るために、水、水酸化カリウム、および含水過酸化水素を含む溶液に地中レナーダイト(ground leonardite)を分散することを教示している。特に、Alexanderはアルカリ金属をレナーダイトで処理することを開示している。前記特許文献に記載の発明は、少量の過酸化水素を添加した水酸化カリウムとレナーダイトをアルカリ条件下で反応させて、明細書中に説明されているようにアルカリ条件を最大限利用することに主に由来する。Alexanderによれば、レナーダイト鉱を含むフミン酸を水酸化アルカリで処理すると、フミン酸の酸化部位は、カリウムイオンなどの易イオン交換性不揮発性アルカリイオンで飽和される。したがって、Alexanderの生成物は、水酸化カリウムとの反応から主に得られることがわかる。反応環境は、陽イオン交換を主な目的とするアルカリ金属塩を得るためにアルカリ性に保たれている。
【0009】
カワラタケ(Coriolus versicolor)による微生物変換プロセス(特許文献7)や、他の微生物による消化(特許文献8)により、亜炭から低分子量化合物を得ようとする試みがなされているものの、これら特許文献に記載の発明の方法では、トン重量規模での製造はコストが掛かり農業などの用途には実用的ではない。
【0010】
したがって、前記特許文献とは異なる亜炭系植物栄養製剤を効率的かつ経済的に製造する必要があった。また、亜炭内に存在する非栄養的活性成分をより活性のある形態に効率的に変換することにより大規模な亜炭系肥料の製造を可能とすることによって、亜炭系肥料を、現行の施肥プラクティスにおけるギャップをより統合的かつ持続的に解消する有望な手段とする必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第7,198,805号明細書
【特許文献2】米国特許第5,248,814号明細書
【特許文献3】米国特許第5,688,999号明細書
【特許文献4】米国特許第6,695,892号明細書
【特許文献5】米国特許第5,034,045号明細書
【特許文献6】米国特許第5,026,416号明細書
【特許文献7】米国特許第5,084,160号明細書
【特許文献8】国際公開第WO2006/000073号パンフレット
【特許文献9】PCT/IB2003/002011(2003年3月15日出願)
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Schmidt-Rohr et al (2004), PNAS, vol. 101 , no. 17, 6351-6354
【非特許文献2】Olk etal (1996) Eur. J. Soil Sci. 47, 293-303
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的の一つは、亜炭由来の機能的有効有機分子(functionally effective organic molecules)を提供することであり、特に、亜炭から抽出した機能向上有機分子を含むかまたは含まない構造改変亜炭、および、機能向上有機分子を含む水溶性物質を提供することを目的とする。
【0014】
本発明の更なる目的は、上記構造改変亜炭組成物および水溶性物質の有望な製造方法、前記亜炭組成物および水溶性物質の工業的用途を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、土壌状態を改善すると共に、植物の生産量および質を向上するための植物栄養製剤を提供することである。
【0016】
本発明の更に他の目的は、亜炭系植物栄養製剤の有望な製造方法、および効率的かつ一体化された植物栄養供給のための前記亜炭系植物栄養製剤の使用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者は、酸性条件下で亜炭を過酸化水素と反応させることにより、葉面施肥、或いは肥料および/または農薬などの他の任意の物質へ添加するための任意の形態での使用に好適な有機分子を得た。また本発明は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基を遊離および/または組み込むことにより、亜炭から得られた有機分子に所望の品質を付与する。本発明の一実施形態において、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基を遊離および/または組み込んだ前記有機分子は、亜炭と共にそのまま保持される。有機分子内の官能基の増加はFTIR分析により明確に示される。FTIR分析結果は亜炭を過酸化水素と連続的に反応させることにより得られる。
【0018】
本発明では、カリウムなどのアルカリにより処理されていないために生物反応における構造的・機能的側面から機能的自由度のより高い有機分子を得た。
【0019】
本発明者は、亜炭を処理して得られる全種類の有機分子が必ずしも全ての種類の植物栄養素との混合に好適であるわけではないことを初めて確認した。亜炭を処理して得られた有機分子の内、所定のカテゴリーの有機分子が植物成長促進栄養素組成物として選択的に機能可能であることがわかった。さらに、本発明者は、亜炭を処理して得られた同一種の有機分子を2種類の従来植物栄養素(すなわち、窒素含有肥料およびリン酸含有肥料)と混合すると、両者は実質的に同様には機能せず、実質的に同様には植物の成長を促進しないことを観察した。従来植物栄養素(窒素肥料およびリン酸肥料など)と亜炭を処理して得られた有機分子との組み合わせの内、所定の組み合わせだけが植物成長促進栄養素組成物として機能することがわかった。亜炭の処理後に所要の有機分子を抽出すると多量の固体塊が残るが、この固体塊は利用しないと環境汚染となりうる。よって、本発明者はまた、前記固体塊を利用した付加価値製品を製造する方法も確立した。
【0020】
[本発明の簡単な説明]
したがって、本発明は、亜炭から抽出された機能向上有機分子を含むかまたは含まない構造改変亜炭組成物であって、前記機能向上有機分子は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される、亜炭組成物を提供することを目的とする。
【0021】
本発明はまた、亜炭から抽出された機能向上有機分子を含むかまたは含まない構造改変亜炭組成物の製造方法であって、粉砕亜炭を酸性条件下で過酸化水素と少なくとも一回反応させて分解を引き起こし、機能向上有機分子を製造するステップと、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加し、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される機能向上有機分子を含む水溶性物質を前記亜炭から抽出する任意のステップとを含む、構造改変亜炭組成物の製造方法を提供する。
【0022】
さらに本発明は、植物および/または土壌を、亜炭から抽出された機能向上有機分子を含むかまたは含まない構造的に改変された有効量の亜炭組成物と接触させるステップを含む植物成長促進方法であって、前記機能向上有機分子は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される機能向上有機分子である、植物成長促進方法を提供する。
【0023】
本発明は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される機能向上有機分子を含む、水溶性物質を提供する。
【0024】
さらに本発明は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される機能向上有機分子を含む水溶性物質の製造方法であって、粉砕亜炭を酸性条件下で過酸化水素と少なくとも一回反応させて分解を引き起こし、機能向上有機分子を含む反応混合物を得るステップと、分離技術により、前記反応混合物から機能向上有機分子を含む水溶性物質を液状または固体状で抽出するステップとを含む、水溶性物質の製造方法。
【0025】
さらに本発明は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される機能向上有機分子を含む有効量の水溶性物質と、植物および/または土壌とを接触させるステップを含む、植物成長促進方法を提供する。
【0026】
本発明は、栄養素の徐放および/または制御放出、有効利用率、および/または同化を提供する植物成長促進栄養素組成物であって、亜炭から抽出された機能向上有機分子を含むかまたは含まない構造改変亜炭組成物であって、
前記機能向上有機分子は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される亜炭組成物、もしくは、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される機能向上有機分子を含む水溶性物質と、
任意で、1種以上の合成および/または天然栄養素とを含み、
前記合成および/または天然栄養素が植物成長促進栄養素組成物に含まれる場合、前記構造改変亜炭組成物または前記水溶性物質と前記合成および/または天然栄養素との重量比は0.01:1〜10:1である、植物成長促進栄養素組成物を提供する。
【0027】
さらに本発明は、植物成長促進栄養素組成物の製造方法であって、
(a)亜炭から抽出された機能向上有機分子を含むかまたは含まない構造改変亜炭組成物であって、前記機能向上有機分子は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される亜炭組成物を調製するステップ、もしくは、
(b)カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される機能向上有機分子を含む水溶性物質を調製するステップと、
(c)植物成長促進栄養素組成物が1種以上の合成および/または天然栄養素を含む場合、構造改変亜炭組成物または水溶性物質と合成および/または天然栄養素との重量比が0.01:1〜10:1となるように、1種以上の合成および/または天然栄養素を、前記ステップ(a)で得られた構造改変亜炭組成物または前記ステップ(b)で得られた水溶性物質と混合または反応させる任意のステップとを含む、植物成長促進栄養素組成物の製造方法を提供する。
【0028】
本発明はまた、植物および/または土壌に有効量の植物成長促進栄養素組成物を接触させるステップを含む植物成長促進方法であって、
前記植物成長促進栄養素組成物は、亜炭から抽出された機能向上有機分子を含むかまたは含まない構造改変亜炭組成物であって、前記機能向上有機分子は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される亜炭組成物、もしくは、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される機能向上有機分子を含む水溶性物質と、任意で、
1種以上の合成および/または天然栄養素とを含み、前記合成および/または天然栄養素が植物成長促進栄養素組成物に含まれる場合、前記構造改変亜炭組成物または前記水溶性物質と前記合成および/または天然栄養素との重量比は0.01:1〜10:1である、植物成長促進方法を提供する。
【0029】
一実施形態において、植物成長促進栄養素組成物は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される機能向上有機分子を含む水溶性物質と、
1種以上の合成および/または天然栄養素とを含み、前記水溶性物質と前記合成および/または天然栄養素との重量比は0.01:1〜10:1である。
【0030】
他の実施形態において、植物成長促進栄養素組成物の製造方法は、
(a)カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される機能向上有機分子を含む水溶性物質を調製するステップと、
(b)水溶性物質と合成および/または天然栄養素との重量比が0.01:1〜10:1となるように、1種以上の合成および/または天然栄養素を前記水溶性物質に混合または反応させるステップとを含む。
【0031】
他の実施形態において、植物成長促進方法は、植物および/または土壌に有効量の植物成長促進栄養素組成物を接触させるステップを含み、
前記植物成長促進栄養素組成物は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される機能向上有機分子を含む水溶性物質と、1種以上の合成および/または天然栄養素とを含み、前記水溶性物質と前記合成および/または天然栄養素との重量比は0.01:1〜10:1である。
【0032】
さらに他の実施形態において、植物成長促進栄養素組成物は、亜炭から抽出された機能向上有機分子を含むかまたは含まない構造改変亜炭組成物であって、
前記機能向上有機分子は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される亜炭組成物と、1種以上の合成および/または天然栄養素とを含み、前記構造改変亜炭組成物と前記合成および/または天然栄養素との重量比は0.01:1〜10:1である。
【0033】
一実施形態において、植物成長促進栄養素組成物の製造方法は、
(a)亜炭から抽出された機能向上有機分子を含むかまたは含まない構造改変亜炭組成物であって、前記機能向上有機分子は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される亜炭組成物を調製するステップと、
(b)構造改変亜炭組成物と合成および/または天然栄養素との重量比が0.01:1〜10:1となるように、1種以上の合成および/または天然栄養素を前記ステップ(a)で得られた構造改変亜炭組成物と混合または反応させるステップとを含む。
【0034】
他の実施形態において、植物成長促進方法は、植物および/または土壌に有効量の植物成長促進栄養素組成物を接触させるステップを含み、前記植物成長促進栄養素組成物は、亜炭から抽出された機能向上有機分子を含むかまたは含まない構造改変亜炭組成物であって、
前記機能向上有機分子は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される亜炭組成物と、1種以上の合成および/または天然栄養素とを含み、前記構造改変亜炭組成物と前記合成および/または天然栄養素との重量比は0.01:1〜10:1である。
【0035】
さらなる実施形態において、植物成長促進栄養組成物は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約1000未満である機能向上有機分子からなる、亜炭の処理により得られる水溶性物質を少なくとも1つ含む。
【0036】
さらなる実施形態において、水溶性物質の製造方法は(a)過酸化水素を約−5℃〜約−20℃に冷却するステップ、(b)水を亜炭に1:1〜3:1(v/w)の比率で添加するステップ、(c)5〜50%冷却過酸化水素を前記ステップ(b)で得られた亜炭に1:1〜1:5(v/w)の比率で添加するステップ、(d)大気条件下で、前記亜炭を過酸化水素と約15分間〜約3時間反応させるステップ、(e)過酸化水素を前記ステップ(d)で得られた処理液に1:1〜1:5(v/v)の比率で添加するステップ、および(f)前記ステップ(c)〜(e)を所定回数繰り返した後、水で抽出して水溶性物質を得るステップを含む。
【0037】
一実施形態において、水溶性物質の製造方法は、(a)過酸化水素を約−5℃〜約−20℃未満に冷却するステップ、(b)前記ステップ(a)で調製した冷却過酸化水素を亜炭に1:2〜1:3(v/w)の比率で添加するステップ、(c)前記亜炭を5〜50%過酸化水素と10℃〜20℃で約1時間〜約3時間反応させた後、さらに約10℃〜約20℃で約3時間〜約5時間反応させるステップ、(d)大気条件下で、過酸化水素を前記ステップ(c)で得られた反応混合物に約1:1(v/w)の比率で添加するステップ、および(e)得られた処理液を水で抽出した後、遠心して水溶性物質を得るステップを含む。
【0038】
他の実施形態において、前記水溶性物質の分子量は1000未満である。
【0039】
さらに他の実施形態において、水溶性物質の製造方法は(a)亜炭を5〜50%過酸化水素に1:1〜1:5(v/w)の比率で添加して反応生成物を得るステップと、(b)前記ステップ(a)で得られた乾燥後の反応生成物に窒素肥料などの尿素を添加して、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約5000を超える機能向上有機分子を得るステップとを含む。
【0040】
一実施形態において、植物成長促進方法は、植物および/または土壌に有効量の植物成長促進栄養素組成物を接触させるステップを含み、
前記植物成長促進栄養素組成物は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約1000未満である機能向上有機分子からなる、亜炭の処理により得られる水溶性物質を少なくとも1つ含む。
【0041】
さらなる実施形態において、植物成長促進栄養組成物は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約1000未満である、亜炭の処理により得られる機能向上有機分子からなる構造改変亜炭組成物を含む。
【0042】
さらなる実施形態において、植物成長促進方法は、植物および/または土壌に有効量の植物成長促進栄養素組成物を接触させるステップを含み、
前記植物成長促進栄養素組成物は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約1000未満である、亜炭の処理により得られる機能向上有機分子からなる構造改変亜炭組成物を含む。
【0043】
一実施形態において、植物成長促進栄養組成物は、
カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約1000未満である、亜炭の処理により得られる機能向上有機分子からなる構造改変亜炭組成物と、
1種以上のリン酸塩源とを含み、前記構造改変亜炭組成物と前記1種以上のリン酸塩源との重量比は0.01:1〜10:1である。
【0044】
他の実施形態において、植物成長促進栄養素組成物の製造方法は(a)亜炭を処理することにより、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約1000未満である、機能向上有機分子からなる構造改変亜炭組成物を調製するステップと、(b)1種以上のリン酸塩源を、前記ステップ(a)で得られた構造改変亜炭組成物に、構造改変亜炭組成物と1種以上のリン酸塩源との重量比が0.01:1〜10:1となるように添加するステップとを含む。
【0045】
さらに他の実施形態において、植物成長促進方法は、植物および/または土壌に有効量の植物成長促進栄養素組成物を接触させるステップを含み、前記植物成長促進栄養素組成物は、
カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約1000未満である、亜炭の処理により得られる機能向上有機分子からなる構造改変亜炭組成物と、
1種以上のリン酸塩源とを含み、前記構造改変亜炭組成物と前記1種以上のリン酸塩源との重量比は0.01:1〜10:1である。
【0046】
さらに他の実施形態において、植物成長促進栄養組成物は、
カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約1000未満である、亜炭の処理により得られる機能向上有機分子からなる水溶性物質と、
1種以上のリン酸塩源とを含み、前記水溶性物質と前記1種以上のリン酸塩源との重量比は0.01:1〜10:1である。
【0047】
さらなる実施形態において、植物成長促進栄養素組成物の製造方法は、
(a)亜炭の処理により、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約1000未満である機能向上有機分子からなる水溶性物質を調製するステップと、
(b)1種以上のリン酸塩源を、前記ステップ(a)で得られた水溶性物質に、水溶性物質と1種以上のリン酸塩源との重量比が0.01:1〜10:1となるように添加するステップとを含む。
【0048】
さらなる実施形態において、植物成長促進方法は、植物および/または土壌に有効量の植物成長促進栄養素組成物を接触させるステップを含み、前記植物成長促進栄養素組成物は、
カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約1000未満である機能向上有機分子からなる、亜炭の処理により得られる水溶性物質と、
1種以上のリン酸塩源とを含み、前記水溶性物質と前記1種以上のリン酸塩源との重量比は0.01:1〜10:1である。
【0049】
一実施形態において、植物成長促進栄養素組成物は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約5000を超える機能向上有機分子からなる、亜炭の処理により得られる水溶性物質を少なくとも1つ含む。
【0050】
さらに他の実施形態において、植物成長促進栄養素組成物の製造方法は(a)過酸化水素に亜炭を1:1〜1:5(v/w)の比率で添加して反応生成物を得るステップと、(b)前記ステップ(a)で得られた乾燥後の反応生成物に窒素肥料などの尿素を添加して、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約5000を超える機能向上有機分子を得るステップとを含む。
【0051】
他の実施形態において、植物成長促進方法は、植物および/または土壌に有効量の植物成長促進栄養素組成物を接触させるステップを含み、
前記植物成長促進栄養素組成物は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約5000を超える機能向上有機分子からなる、亜炭の処理により得られる水溶性物質を少なくとも1つ含む。
【0052】
さらに他の実施形態において、植物成長促進栄養素組成物は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約5000を超える、亜炭を処理して得られる機能向上有機分子からなる構造改変亜炭組成物を含む。
【0053】
さらなる実施形態において、植物成長促進方法は、植物および/または土壌に有効量の植物成長促進栄養素組成物を接触させるステップを含み、
前記植物成長促進栄養素組成物は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約5000を超える、亜炭を処理して得られる機能向上有機分子からなる構造改変亜炭組成物を含む。
【0054】
他の実施形態において、植物成長促進栄養素組成物は、
カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約1000を超える、亜炭を処理して得られる機能向上有機分子からなる構造改変亜炭組成物と、
1種以上の窒素源とを含み、前記構造改変亜炭組成物と前記1種以上の窒素源との重量比は0.01:1〜10:1である。
【0055】
さらなる実施形態において、植物成長促進栄養素組成物の製造方法は、
(a)亜炭の処理により、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約5000を超える機能向上有機分子からなる構造改変亜炭組成物を調製するステップと、
(b)1種以上の窒素源を、前記ステップ(a)で得られた構造改変亜炭組成物に、構造改変亜炭組成物と1種以上の窒素源との重量比が0.01:1〜10:1となるように添加するステップとを含む。
【0056】
さらなる実施形態において、植物成長促進方法は、植物および/または土壌に有効量の植物成長促進栄養素組成物を接触させるステップを含み、前記植物成長促進栄養素組成物は、
カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約5000を超える、亜炭を処理して得られる機能向上有機分子からなる構造改変亜炭組成物と、
1種以上の窒素源とを含み、前記構造改変亜炭組成物と前記1種以上の窒素源との重量比は0.01:1〜10:1である。
【0057】
一実施形態において、植物成長促進栄養素組成物は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約5000を超える機能向上有機分子からなる、亜炭の処理により得られる水溶性物質と、1種以上の窒素源とを含み、前記水溶性物質と前記1種以上の窒素源との重量比は0.01:1〜10:1である。
【0058】
他の実施形態において、植物成長促進栄養素組成物の製造方法は、
(a)亜炭の処理により、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約5000を超える機能向上有機分子からなる水溶性物質を調製するステップと、
(b)1種以上の窒素源を、前記ステップ(a)で得られた水溶性物質に、水溶性物質と1種以上の窒素源との重量比が0.01:1〜10:1となるように添加するステップとを含む。
【0059】
さらに他の実施形態において、植物成長促進方法は、植物および/または土壌に有効量の植物成長促進栄養素組成物を接触させるステップを含み、前記植物成長促進栄養素組成物は、
カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約5000を超える機能向上有機分子からなる、亜炭の処理により得られる水溶性物質と、
1種以上の窒素源とを含み、前記水溶性物質と前記1種以上の窒素源との重量比は0.01:1〜10:1である。
【0060】
さらなる実施形態において、構造改変亜炭組成物の製造方法は(a)過酸化水素を約−5℃〜約−20℃に冷却するステップ、(b)水を亜炭に1:1〜3:1(v/w)の比率で添加するステップ、(c)冷却過酸化水素を前記ステップ(b)で得られた亜炭に1:1〜1:5(v/w)の比率で添加するステップ、(d)大気条件下で、前記亜炭を過酸化水素と約15分間〜約3時間反応させるステップ、(e)過酸化水素を前記ステップ(d)で得られた処理液に1:1〜1:5(v/v)の比率で添加するステップ、および(f)前記ステップ(c)〜(e)を所定回数繰り返して構造改変亜炭組成物を得るステップを含む。
【0061】
他の実施形態において、構造改変亜炭組成物の製造方法は(a)過酸化水素を約−5℃〜約−20℃未満に冷却するステップ、(b)前記ステップ(a)で調製した冷却過酸化水素を亜炭に1:2〜1:3(v/w)の比率で添加するステップ、(c)前記亜炭を過酸化水素と10℃〜15℃で約1時間反応させた後、さらに約20℃で約3時間反応させるステップ、および(d)大気条件下で、過酸化水素を前記ステップ(c)で得られた反応混合物に約1:1(v/w)の比率で添加して、構造改変亜炭組成物を得るステップを含む。
【0062】
さらなる実施形態において、前記構造改変亜炭組成物は、分子量1000未満の機能向上有機分子からなる。
【0063】
さらなる実施形態において、前記構造改変亜炭組成物は、分子量1000未満の機能向上有機分子からなる。
【0064】
一実施形態において、機能向上有機分子の製造方法は、
(a)過酸化水素を亜炭に1:1〜1:5(v/w)の比率で添加して反応生成物を得るステップと、
(b)前記ステップ(a)で得られた乾燥後の反応生成物に窒素肥料などの尿素を添加して、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約5000を超える機能向上有機分子からなる機能向上有機分子を得るステップとを含む。
【0065】
本発明はまた、合成および/または天然の材料と共に構造改変亜炭組成物を含み、栄養素の徐放および効果的な同化をもたらす新規な栄養素を提供する。前記新規な栄養素では、亜炭を過酸化水素と反応させて構造的に改変することによりフミン酸などの栄養成分が活性増強されている。亜炭と過酸化水素との配合比率は、処理液である過酸化水素の濃度(1〜50%)応じて0.01:1〜10:1(w/v)であり、また、特定の1種または複数の栄養素を、栄養素:亜炭比=0.01:1〜10:1(w/w)となるように添加することにより、特定の栄養素が添加されている。
【0066】
構造的改変により、改変された亜炭から栄養学的により活性のある結合が形成されるため、1種または複数の特定の栄養素と混合することにより植物栄養素製剤の設計が可能となり、栄養素の徐放および効果的な同化が達成できることがわかった。
【0067】
一実施形態において、構造改変亜炭を含む栄養素の製造方法は、(a)亜炭材料をパウダー化するステップ、(b)前記パウダー化された亜炭を所要のマイクロメートルサイズに微細化するステップ、(c)前記微細化された亜炭を乾燥して余分な水分を除去するステップ、(d)前記微細化された亜炭を過酸化水素で処理して効果的に構造変換させるステップ、(e)得られた材料を、窒素肥料などの尿素および/またはリン酸肥料および/またはカリウム肥料で処理するか、および/またはリン酸で処理するか、および/または、主要(macro)栄養素および/または補助(micro)栄養素を含む水溶液で処理するステップ、(f)酸性および/またはアルカリ性の栄養素溶液を適量添加して、得られた反応液を中和するステップ、(g)効率的に使用するために、生成物をタブレット状、ペレット状、顆粒状、小粒状、パウダー状、または他の可能な形状とするステップ、および(h)得られた生成物を室温で乾燥、または乾燥機で乾燥するステップを含む。
【0068】
一実施形態において、所要の植物栄養元素を含む前記栄養学的に向上された活性成分は、土壌施肥用途、葉面施肥用途、滴下施肥用途に使用可能である。
【0069】
他の実施形態において、微細化された亜炭を過酸化水素で処理して植物栄養活性成分を増加させる。
【0070】
さらに他の実施形態において、微細化された亜炭を過酸化水素で処理した後、主要栄養素(窒素、リン酸、カリウム)および/または補助栄養素(マグネシウム、カルシウム、銅、亜鉛、マンガン、ホウ素、鉄、シリカ、硫黄、モリブデン)で所望の栄養素補給を行う。
【0071】
さらに他の実施形態において、微細化された亜炭を過剰量の過酸化水素で抽出し、葉面施肥および滴下施肥に好適な可溶性の亜炭系肥料を生成した。
【0072】
さらなる実施形態において、微細化された亜炭を過酸化水素で処理した後、植物栄養素および/またはマグネシウム、カルシウム、銅、亜鉛、マンガン、ホウ素、鉄、シリカ、硫黄、モリブデンからなる群から選択される補助栄養素と混合する。得られる溶液は、溶融尿素および/または既存の窒素肥料、リン酸肥料、カリ肥料、補助栄養素肥料および/または複合肥料の1種または複数と混合されており、植物の品質および生産量を向上させるための選択的および/または特異的な植物栄養製剤が製造される。
【0073】
さらなる実施形態において、吸光度は波数:1700±50(cm−1)で著しく増加しており、過酸化水素処理亜炭サンプルの活性成分が増加した。
【0074】
さらなる実施形態において、未抽出の過酸化水素処理亜炭は特徴的なFTIRピークを示し、そのうち12個のピークは波数1600〜1700(cm−1)の範囲であった。
【0075】
本発明はまた、(a)亜炭を過酸化水素に添加するステップと、(b)反応後に、不溶性の亜炭から遠心または沈殿により可溶性の機能的有効有機分子を回収するステップとを含む方法により製造される、亜炭から抽出される機能的有効有機分子を提供する。
【0076】
前記機能的有効有機分子は、亜炭に存在する、亜炭の処理により生じる通常の有機分子(フミン酸、フルボ酸など)よりも機能的有効性が高い。これは、過酸化水素で処理することにより反応性が向上するからである。
【0077】
一実施形態において、亜炭と過酸化水素との比を1:2〜1:5(v/w)として、5〜50%濃度の過酸化水素を微細化された亜炭に添加した。添加前に、過酸化水素を−5℃〜−20℃で2〜3時間冷却した。過酸化水素と亜炭を10℃〜15℃で1時間反応させ、さらに15℃〜20℃で約3時間反応させた。次いで、前記ステップを所定回数繰り返した後、約5〜50%濃度の過酸化水素を、得られた処理液に1:1(v/w)の比率で25℃〜30℃で添加した。その後、得られた処理液を水で抽出し、5000〜10000rpmで連続遠心して、亜炭を過酸化水素で処理して得られた可溶性の機能的有効有機分子を得た。
【0078】
他の実施形態において、分子量が1000未満の機能的有効有機分子は、リン酸肥料および/または葉面施肥用途、および/または様々な分子設計に好適である。
【0079】
さらに他の実施形態において、分子量が5000を超える機能的有効有機分子は、窒素肥料および/または様々な分子設計に好適である。
【0080】
さらに他の実施形態において、分子量が500未満の機能的有効有機分子は、葉面施肥用途および/または種子処理用組成物および/または滴下施肥用途に好適である。
【0081】
さらなる実施形態において、機能的有効有機分子は、その液体サンプルをフッ化カルシウムセル・アクセサリーを用いてFTIR分析すると、波数1600〜1750(cm−1)において特徴的な吸収ピークを示した。
【0082】
さらなる実施形態において、分子量が1000未満の機能的有効有機分子は、ウランなどのアクチニドなど毒性重金属および/またはタンパク質を除去する能力がある。
【0083】
さらなる実施形態において、機能的有効有機分子は、植物を成長させる性質および植物の生産量を増加させる性質がある。
【0084】
さらなる実施形態において、分子量が1000未満の機能的有効有機分子は、リン酸肥料と混合されるとリン酸利用率が向上し、農作物の収穫量が増加する。
【0085】
さらなる実施形態において、分子量が5000を超える機能的有効有機分子は、窒素肥料と混合されると窒素利用率が向上し、農作物の収穫量が増加する。
【0086】
一実施形態において、機能的有効有機分子を固体NMR解析すると、亜炭の13C NMRスペクトルと、過酸化水素を用いて亜炭から抽出した低分子量有機分子の13C NMRスペクトルとの差異として図示するように、脂肪族基の急激な減少(0〜60ppm)、芳香族基の急激な増加(110〜165ppm)、カルボン酸基、アミド基またはエステル基の急激な増加(160〜190ppm)、カルボニル基の急激な増加(190〜220ppm)を示す化学シフト軸に沿った相対的な炭素濃度分布から定量化される、官能基の増加が確認された。
【0087】
他の実施形態において、機能的有効有機分子の調製は、抽出を行ってあるいは行わずに、反応条件を変えて機能的有効有機分子を選択的に合成するステップを含む。
【0088】
さらに他の実施形態において、機能的有効有機分子の調製は、特定の分子量を有する機能的有効有機分子を抽出するステップを含み、これは選択的分子フィルタなどの限外ろ過を任意で行うことによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】亜炭と過酸化水素処理亜炭(未抽出)との比較FTIR分析の結果を示すグラフである。
【図2】多量の低分子量有機分子を含む未抽出の過酸化水素処理亜炭のFTIR分析結果を示すグラフである。
【図3】過酸化水素を用いた段階的・周期的反応(未抽出)による亜炭官能基の連続増加を示すグラフである。
【図4】抽出後の有機分子の液体サンプルを、フッ化カルシウムセル・アクセサリーを用いてFTIR分析した際の波数1600〜1750(cm−1)における特徴的な吸収ピークを示すグラフである。
【図5】亜炭サンプルの13C NMRスペクトルを示すグラフである。
【図6】亜炭から抽出された有機分子の13C NMRスペクトルを示すグラフである。
【図7】亜炭からの機能的有効有機分子の調製など、本発明に係る様々な生成物の製造方法に含まれるステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0090】
以下、本発明を詳細に説明して本発明の様々な顕著な特徴について説明する。かかる詳細な説明は当業者が本発明を明確に理解かつ再現できるようにするための記載であり、その内容は詳細な説明に限定して解釈されず、添付の特許請求の範囲の請求項およびその均等物のみをもって解釈されるものである。
【0091】
本発明の一実施形態は、亜炭を過酸化水素で処理して機能的有効有機分子を提供する。他の実施形態は、過酸化水素との適切な反応による所望の分子量の機能的有効有機分子の製造方法に関する。
【0092】
前記製造方法はまた、病気治療、効果的な栄養素設計、有機/無機ハイブリッド合成などに利用される所望の1種および/または複数の物質と組み合わすことが可能な、可溶性の機能的有効有機分子を製造する。
【0093】
好適な実施形態において、本発明は、(a)亜炭を20μm未満のサイズに微細化するステップ、(b)前記微細化された亜炭を乾燥して、余分な水分を除去するステップ、(c)前記パウダー化された亜炭を過酸化水素で処理するステップ、(d)過酸化水素による処理反応の終了後、遠心・上清回収により機能的有効有機分子を抽出するステップ、および(e)(パウダー状が望ましい場合)得られた溶液を乾燥機で乾燥するステップを含む、亜炭からの有機分子の製造方法を提供する。
【0094】
他の実施形態において、亜炭のパウダー化はグラインダーを用いて行い、また亜炭の微細化はマイクロナイザーを用いて行い、所望の粒子サイズ(μmオーダー)とする。
【0095】
さらなる実施形態において、亜炭と過酸化水素との反応を温度および組成を変えて最適化し、所望の分子量の機能的有効有機分子を得る。
【0096】
他の実施形態において、亜炭を過酸化水素で処理して得られた溶液を遠心により精製する。
【0097】
他の実施形態において、前記得られた溶液を任意で限外ろ過して所望の分子量の分子を得る。
【0098】
亜炭を過酸化水素で処理することにより、小サイズの可溶性有機分子が生じる。
【0099】
一実施形態において、5〜25%過酸化水素を微細化亜炭に1:2〜1:5(v/w)の比率で亜炭の質に応じて添加した。添加前に、過酸化水素を−20℃で2〜3時間冷却した。10〜15℃で1時間反応させた後、20℃で3時間更に反応させた。反応終了後、亜炭の種類に応じて前記工程を2回、3回またはそれ以上の回数繰り返した。その後、50%過酸化水素を、室温(25〜30℃)で得られた処理液に1:1(v/w)の割合で直接添加した。得られた処理液を水で抽出し、次いで5000〜10000rpmで連続遠心することにより、可溶性の機能的有効有機分子を得た。反応時間の長期化、反応温度の上昇、過酸化水素を高濃度化、多量の過酸化水素による処理など、過酸化水素で激しく処理することにより、低分子量の機能的有効有機分子が得られる一方、機能的有効有機分子のサイズは亜炭と過酸化水素との反応条件に依存する。
【実施例】
【0100】
以下、本発明の説明および例示として具体的な実施例を記載するが、本発明はこれら実施例に限定されない。また、必要に応じて、図面を参照して本発明を説明する。
【0101】
[実施例1]
過酸化水素処理亜炭サンプルの製造およびその評価
微細化亜炭サンプル25gに50%過酸化水素10mlを添加し、よく攪拌した後12時間静置した。このステップを2回繰り返した。図1に示すとおり、波数:1716.70±10(cm−1)において著しく吸光度が上昇しており、過酸化水素処理亜炭サンプルでは活性成分が増加した。
【0102】
図1は、亜炭と過酸化水素処理亜炭(未抽出)との比較FTIR分析に関する。図1に示すとおり、1702±10(cm−1)において吸収ピークが観察された対照未処理亜炭とは対照的に1716±10(cm−1)において吸収ピークが観察されたように、過酸化水素処理により栄養学的に活性な結合が増加し、過酸化水素処理亜炭では前記結合は対照と比較して増大していた。
【0103】
図2に示すとおり、主に1600〜1700(cm−1)において吸収ピークが増大した。具体的には、過酸化水素処理亜炭抽出物では、1686±10(cm−1)、1676±10(cm−1)、1671±10(cm−1)、1664±10(cm−1)、1655±10(cm−1)、1648±10(cm−1)、1638±10(cm−1)、1625±10(cm−1)、1618±10(cm−1)、1599±10(cm−1)、1561±10(cm−1)、1343±10(cm−1)における特徴的な吸収ピークを含む多数のピーク(40超)が観察された。液体サンプルをフッ化カルシウムセル・アクセサリーを用いてFTIR分析した。よって、図2は多量の低分子量有機分子を含む未抽出の過酸化水素処理亜炭のFTIR分析結果を示す。
【0104】
[実施例2]
過酸化水素処理による亜炭からの水溶性物質の製造方法およびその評価
1Lビーカーに投入した微細化亜炭サンプル3gに50%過酸化水素10mlを添加し、よく攪拌した。1Lビーカーを用いたのは、反応中の泡の発生による材料のロスを防ぐためである。得られた溶液を72時間静置した後、蒸留水150mlを加えた。その後、6000rpmで15〜20分間遠心して不溶性物質を除去し、上清を回収した。図3に示すとおり、この過酸化水素処理亜炭抽出物をFTIR分析すると非常に多数の吸収ピークが観察され、これは他の処理サンプルとは大いに相違するものであった。
【0105】
[実施例3]
機能的有効有機分子の毒性重金属除去能力
分子量1000未満の有機分子抽出物(濃度:1000ppm)5mlを、濃度20ppmの硝酸ウラニル含有水500mlに添加した。適切に攪拌後、得られた溶液を5000rpmで遠心し、PAR試薬を用いた比色法によりウラン含有量を波長540nmで測定したところ、機能的有効有機分子は、ウランをppmレベルからppbレベルまで顕著に減少させて、除去した。
【0106】
固体NMRにより、亜炭の13C NMRスペクトル(図5)と、過酸化水素を用いて亜炭から抽出した低分子有機分子の13C NMRスペクトル(図6)との差異などから、官能基の増加が確認された。官能基の増加は、脂肪族基の急激な減少(0〜60ppm)、芳香族基の急激な増加(110〜165ppm)、カルボン酸基、アミド基またはエステル基の急激な増加(160〜190ppm)、カルボニル基の急激な増加(190〜220ppm)を示す化学シフト軸に沿った相対的な炭素濃度分布から定量化される。
【0107】
13C/ CPMAS NMR実験はDSX−300/AMX−400/DRX−500/AV 500 NMRスペクトロメータを用いて行った。
【0108】
[実施例4]
機能的有効有機分子のバイオマス向上能力
(a)分子量500未満の機能的有効有機分子、(b)分子量500〜1000の機能的有効有機分子、(c)分子量1000〜5000の機能的有効有機分子(各濃度:1000ppm)3mlを、Whatman社製のフィルター紙を載置した3枚のペトリ皿(直径16cm)にそれぞれ添加した。各々のペトリ皿に約100mlの蒸留水を添加し、約100個のイネ種子を載置した、イネの生長を9日間モニターした。詳細を下記表1に示す。
【0109】
【表1】

低分子量有機分子の成長促進性の比較結果
【0110】
[実施例5]
機能的有効有機分子を用いたキレート化植物栄養素の製造
葉面施肥および土壌施肥用途において栄養素の吸収および利用効率を向上させるために、植物栄養素を機能的有効有機分子と反応させてキレート化植物栄養素を製造した。キレート化は、例えば、硝酸銅、硝酸亜鉛、硝酸マグネシウムの溶液(アルコール未添加)を機能的有効有機分子に添加して行った。
【0111】
[実施例6]
機能的有効有機分子を用いた有機リン酸肥料製造およびその植物収穫量向上能力の測定
亜炭から抽出した機能的有効有機分子に、Super PhosphateやDAPなどのリン酸肥料を添加して(1〜10%(v/w))有機リン酸肥料を製造した。有機リン酸肥料をワタ、ハマビシ、イネなどの農作物に塗布すると、通常のリン酸肥料と比較して、基本塗布量で収穫量が10〜20%増加した。リン酸肥料への機能的有効有機分子の添加により、植物のリン酸利用率が向上した。
【0112】
Amicon stirred ultrafiltration cell(ミリポア社製)を用いた限外ろ過により機能的有効有機分子のサイズを測定したところ、大部分の機能的有効有機分子の分子量は1000未満であった。
【0113】
[実施例7]
機能的有効有機分子の害虫抑制能力
可溶性の機能的有効有機分子を、アルコールを添加または添加しないで、少量の過酸化水素と共に様々な害虫に散布したところ、害虫数が減少して収穫量が増加した。
【0114】
[実施例8]
機能的有効有機分子の植物病害治療能力
機能的有効有機分子には、植物または動物のウイルス病を治す潜在的可能性があった。
【0115】
[実施例9]
機能的有効有機分子の滴下施肥製剤としての使用可能性
可溶性の機能的有効有機分子は滴下施肥製剤として使用可能であった。
【0116】
[実施例10]
機能的有効有機分子の封鎖化能力
様々な物質に固定化した可溶性の機能的有効有機分子は、金属、ペプチド、分子などを封鎖した。
【0117】
[実施例11]
機能的有効有機分子の沈殿化能の評価
可溶性の機能的有効有機分子は、溶液中の金属、タンパク質、ウイルスなどを沈殿させる性質を有していた。
【0118】
[実施例12]
機能的有効有機分子の結合性の評価
有機または無機ポリマーや、金属と結合した機能的有効有機分子は、様々な分野で利用される材料であった。
【0119】
[実施例13]
亜炭処理後に生じた残余物質の用途の評価
可溶性の機能的有効有機分子を回収した後の残余物質は、他の肥料とブレンドすることにより植物栄養素/肥料としての用途があり、農作物収穫量を増加させた。
【0120】
本発明は、亜炭を過酸化水素で処理することによる、様々な用途を有する新規な機能的有効有機分子の製造について説明する。前記実験の結果から、亜炭から得られた機能的有効有機分子が医薬、農業などの様々な用途で使用されうることがわかる。
【0121】
[実施例14]
15%硝酸銅溶液10ml、15%硝酸亜鉛溶液10ml、15%硝酸マグネシウム溶液10ml、15%ホウ素溶液10ml、15%マグネシウム塩溶液10ml、15%モリブデン塩溶液10ml、15%カルシウム溶液10ml、15%鉄塩溶液10ml、15%可溶性シリケート溶液10mlのうちの1種またはこれらを組み合わせたものを、亜炭から抽出した機能向上有機分子を含むかまたは含まない構造改変亜炭組成物100gにゆっくりと滴下し、よく攪拌した。微細化亜炭パウダーと混合した可溶性栄養素塩の組み合わせと量は、植物の種類、塗布期間に基づく要件や、土壌施肥用、葉面施肥用、滴下施肥用などの用途に応じて異なる。
【0122】
本発明は、優れた品質および生産量、ならびに持続的に良好な土壌状態を達成する特異性および選択性を有する製品を設計することを目的として、栄養学的に活性のある成分が実質的に増加した、植物の成長に必要な主要栄養素および補助栄養素を含む新規な亜炭系植物栄養製剤を、必須栄養素の添加と共に構造改変を行う経済的な方法により製造することについて説明するものである。
【0123】
本発明の結果から、亜炭系植物栄養素製剤が効果的かつ経済的な統合肥料管理に使用されうることがわかる。
【0124】
以上、本発明を植物栄養素の観点から例示として説明したが、本発明は植物だけに限定されるものではなく、医薬など他の分野に置いて同様に適用される。
【0125】
FTIRに示される官能基の増加が構造改変亜炭の13C固体NMR分析により確認された。構造改変亜炭の一部の13CPNMRスペクトルを図5および図6に示す。
【0126】
有機物質を連続的かつ繰り返して土壌に与えると収穫量が減少することがある。また、収穫量減少は、土壌有機物質にその大部分が保持されている土壌窒素の利用率の減少に起因するという詳細な研究がなされている(非特許文献1)。水稲の初期収穫量を潜在的な最大収穫量と設定した長期野外実験を行ったところ、20〜30年間の二毛作・三毛作の間に収穫量が35%減少したとの報告がされている(非特許文献2)。農作物のデータは、収穫量の減少が土壌窒素の取込みの減少に主に起因していることを示されている。イネを三毛作した水中の土壌から抽出したフミン酸分画から、窒素が芳香族基に直接結合したアミドが多量に検出された。芳香族基に結合した窒素は植物に容易に利用されないことから、収穫量の減少は多量のアミドの検出により説明することができる。
【0127】
よって、前記観察および我々の野外実験の知見に基づくと、フミン酸やそれに関連する有機化合物を連続的に付与すると収穫量は減少する。特に、窒素肥料を添加した低分子量化合物は、我々の実験で観察されたように、藻類および微生物の成長を促進させて収穫量を大幅に減少させた。一方、これら低分子量化合物と共にリン酸肥料を与えると、農作物の成長および収穫量が向上した。窒素肥料などの尿素と混合した高分子量有機化合物は、我々の実験で観察されたように、イネの収穫量を大幅に向上させた。亜炭やレナーダイトのような天然資源から得られるフミン酸およびフルボ酸を、多くの場合アルカリ抽出物として、様々な形態で付与した。このような有機化合物を土壌に付与すると、土壌窒素と結合するため収穫量が減少する。これを防ぐため、本発明は、構造改変を行うかあるいは必須分子と結合させることによって有害な影響がない有機酸を開発して有機分子と土壌栄養成分との結合を防止し、収穫量の減少を防止することを目的とする。
【0128】
リン酸肥料に関して、植物が利用可能なリンの量は、他のカチオンとの結合や土壌細菌状態の悪さなどの様々な要因により、土壌に付与されるリンの総量に比して非常に少ない。土壌細菌は、リン酸塩による栄養供給では、栄養素の取込みに非常に重要な役割を果たしている。本明細書に記載した低分子量有機化合物は、農作物収穫量およびバイオマスが増加したことからわかるように、リン酸塩の取り込みを向上させる土壌微生物の数を増加させるポテンシャルが非常に高いことが示された。一方、この低分子量有機化合物は、窒素肥料などの尿素と共に付与されると、微生物が大部分の有機分子を消費してしまうため植物には有機分子が供給される機会がなく、前記のような効果は得られなかった。また、分子量5000を超える有機分子を溶融尿素と混合して、顆粒、小粒またはペレットとすると収穫量が著しく向上した。また、ウレアーゼ阻害剤を阻害する銅、亜鉛および塩の混合物を有するナノ構造もしくは非ナノ構造のケイ酸第二銅やケイ酸亜鉛などの機能的遷移金属シリケート(特許文献9)を、溶融尿素および/または他の植物栄養素を含む構造改変亜炭と混合した後、顆粒、小粒またはペレットとしたものは収穫量を著しく向上させた。
【0129】
1750〜1600(cm−1)の吸収に存在する有機酸の官能基は重要な役割を果たす。本発明は、過酸化水素で亜炭を構造的に改変して1750〜1600(cm−1)の官能基数を増加させることによって、より多くの官能基を提供する。
【0130】
様々な分子量の有機分子((a)500未満、(b)500〜1000、(c)1000〜5000、または(d)前記(a)〜(c)の組み合わせ)は、亜炭を過酸化水素と選択的・周期的に反応させ、1750〜1600(cm−1)における吸収ピークの官能基数を増加させると共に、亜炭から抽出した状態または未抽出の状態で得た。
【0131】
抽出して得られた可溶性有機分子を特定の分子フィルターを用いて限外ろ過して、所望の分子量とした。以下、亜炭から特定の分子量の有機分子を、亜炭から抽出してまたは抽出せずに製造する特定の製造方法について説明する。
【0132】
亜炭を水に1:1〜1:3(w/v)の比率で添加した後、冷却過酸化水素(−5〜−20℃で冷却)を添加した。よく攪拌した後、注意深く反応温度を段階的・周期的に上昇させて、亜炭の品質に応じて15±5℃の温度で30分間〜5時間反応させた。その後、要求に応じて、10〜50%過酸化水素を周期的に添加して、所要の数の官能基および所望の分子量の有機分子を得た。
【0133】
亜炭から抽出を行ってまたは行わずに、亜炭から様々な分子量の有機分子を製造する方法の一例について説明する。亜炭を水に1:2(w/v)の比率で添加した後、5〜15%冷却過酸化水素(−20℃で冷却)を添加した。注意深く反応温度を10℃に上昇させ、次いで15℃に上昇させた。その後、18℃で30分間反応を行った。得られた亜炭は分子量5000を超える有機酸を多量に含んでおり、尿素のような窒素肥料との混合により適するものであった。亜炭の品質に応じて生成量と分子量分布は変化する。また、好適な反応条件とすることにより、分解をある程度行うかまたは行わずに、官能基数を増加することができる。
【0134】
亜炭からの抽出を行ってまたは行わずに、亜炭から様々な分子量の有機分子を製造する方法の一例について説明する。亜炭を水に1:2(w/v)の比率で添加した後、15〜35%冷却過酸化水素(−20℃で冷却)を添加した。注意深く反応温度を10℃に上昇させ、次いで15℃に上昇させた。その後、18℃で5時間反応を行った。亜炭に水を添加した後、可溶性の有機酸を抽出したところ、主に分子量1000〜2000のものが収率60%超で得られた。
【0135】
亜炭からの抽出を行ってまたは行わずに、亜炭から様々な分子量の有機分子を製造する方法の一例について説明する。亜炭を水に1:2(w/v)の比率で添加した後、25〜35%冷却過酸化水素(−20℃で冷却)を添加した。注意深く反応温度を10℃に上昇させ、次いで15℃に上昇させ、18℃で5時間反応を行った。その後、50%過酸化水素を周期的に添加した。この工程を少なくとも3回繰り返した。可溶性の有機酸を抽出したところ、主に分子量500未満のものが収率70%超で得られた。これらの有機酸は、他の植物栄養素とキレート化を行ってまたは行わずに、リン酸肥料の製造や葉面施肥用途または滴下施肥用途により好適であり、また、種子処理や発芽、新規な農薬・医薬品の設計にも好適である。
【0136】
亜炭からの有機酸の抽出を行わない前記反応により、リン酸肥料や窒素肥料などの尿素との好適な混合など、様々な用途に使用される様々な種類の亜炭が得られた。
【0137】
本発明はまた、土壌窒素との結合に影響を与えずに収穫量を減少させない亜炭系有機肥料の製造について記載する(非特許文献1:Nitrogen-bonded aromatics in soil organic matter and their implications for a yield decline in intensive rice croppingを参照)。有機物質を連続的に付与すると、有機物質の植物栄養素との結合性により収穫量が減少する。ほとんどの亜炭含有物質は、カリウムを抽出して付与される。有機物質が蓄積されると土壌に悪影響を及ぼすため収穫量が減少する。抽出したまたは抽出されていない有機分子および栄養素と共に、好適な官能基を所望の物質に選択的に付与することは、低分子量有機分子の場合はリン酸肥料との混合に好適であり、高分子量有機分子の場合は窒素肥料との混合に好適であることから、効果的な長期的植物栄養供給方法となる。有機分子を尿素などの所要の物質と反応(0.10〜5% w/w)させると、窒素含有分子との結合が防止されるため収穫量の減少が防止される。これは主にワタやイネなどの農作物に対する広範囲な野外実験により示されるものである。
【0138】
図3からわかるように、亜炭における連続的な官能基の増加は、1600〜1750(cm−1)の吸収ピークが著しく増加したとおり、過酸化水素との連続的または段階的・周期的な反応により達成された。この方法はまた、官能基を追加して、官能基や機能性分子の数を所望の目的に合わせる機会を与える。
【0139】
特許文献5および6の教示とは反対に、本発明は酸性条件下で実施され、アルカリ非存在では誘導体は塩ではない(William Alexanderの特許文献5および6には、レナーダイトをアルカリ金属で処理することが記載されている。特許文献5および6に記載の発明は、アルカリ条件下で、少量の過酸化水素を添加した水酸化カリウムとレナーダイトを反応させて、アルカリ条件を最大限利用することに主に由来する。レナーダイト鉱を含むフミン酸を水酸化アルカリで処理すると、フミン酸の酸化部位は、カリウムイオンなどの易イオン交換性不揮発性アルカリイオンで飽和され、pH値は約11まで上昇される。したがって、反応環境は、陽イオン交換能を得ることを主な目的としてアルカリ金属塩を得るためにアルカリ性に保たれている)。
【0140】
本発明において、前記反応では、亜炭はカリウムまたは他のアルカリにより飽和されない。本発明は、酸性条件下の亜炭と過酸化水素との反応により、葉面施肥用途や肥料および/または農薬など他の物質に添加した形態など任意の形態での使用に好適な有機分子を亜炭から得ることを目的とする。さらに、本発明は、亜炭を過酸化水素と連続的に反応させて、FTIRおよび13C NMRスペクトルに示されるように亜炭を構造的に改変してより活性のある部位または結合を分解および/または増加させることにより、所望の品質の亜炭を得ることを目的とする。本発明は、カリウムなどのアルカリにより充填または飽和されておらず生物反応における構造的・機能的側面から機能的自由度のより高い有機分子を開発することを目的とする。本発明はまた、効果的にキレート化した葉面施肥用途や、DAPおよびSuper Phosphateなどの他の多くの肥料と配合に有用であり、また、医薬および農業に好適な様々な製品の製造にも好適である、低分子量有機分子の亜炭からの製造について記載する。これら有機分子は、バイオシステムでの利用実現性はアルカリ飽和フミン酸より高い。
【0141】
本発明はまた、分子量500未満の低分子量有機分子および/または分子量500未満、500〜1000以上、1000〜2000、2000以上などの特定の分子量の有機分子を亜炭から製造することを記載する。分子量は5000未満が用途の観点から好ましい。5年間に亘る詳細な野外実験およびポット培養実験により、低分子量有機分子は他のものよりワタやイネなどの収穫量増加に有利であることが示された。
【0142】
本発明は、図3に示すとおり、過酸化水素の順次添加し亜炭内の反応性結合を増加する亜炭の構造的改変および誘導体化について記載する。反応性結合は増加されて、尿素系窒素肥料との混合に好適な反応度の低い亜炭や、リン酸またはリン酸肥料との混合に好適な反応度の高い亜炭など、様々な用途に合わせた所望の品質の亜炭が得られる。液体として抽出された亜炭由来の低分子量有機分子をFTIR分析すると、特徴的なFTIR吸収ピークが観察された(図2)。
【0143】
【表2】

構造改変亜炭を含む植物栄養素の性能




【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜炭から抽出された機能向上有機分子を含むかまたは含まない構造改変亜炭組成物であって、
前記機能向上有機分子は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される、構造改変亜炭組成物。
【請求項2】
亜炭から抽出された機能向上有機分子を含むかまたは含まない構造改変亜炭組成物の製造方法であって、
粉砕亜炭を酸性条件下で過酸化水素と少なくとも一回反応させて分解を引き起こし、機能向上有機分子を製造するステップと、
カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加し、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される機能向上有機分子を含む水溶性物質を前記亜炭から抽出する任意のステップとを含む、構造改変亜炭組成物の製造方法。
【請求項3】
植物および/または土壌を、亜炭から抽出された機能向上有機分子を含むかまたは含まない有効量の構造改変亜炭組成物と接触させるステップを含む植物成長促進方法であって、
前記機能向上有機分子は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される機能向上有機分子である、植物成長促進方法。
【請求項4】
カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される機能向上有機分子を含む、水溶性物質。
【請求項5】
カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される機能向上有機分子を含む水溶性物質の製造方法であって、
粉砕亜炭を酸性条件下で過酸化水素と少なくとも一回反応させて分解を引き起こし、機能向上有機分子を含む反応混合物を得るステップと、
分離技術により、前記反応混合物から機能向上有機分子を含む水溶性物質を液状または固体状で抽出するステップとを含む、水溶性物質の製造方法。
【請求項6】
植物および/または土壌を、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される機能向上有機分子を含む有効量の水溶性物質と接触させるステップを含む、植物成長促進方法。
【請求項7】
栄養素の徐放および/または制御放出、有効利用率、および/または同化を提供する植物成長促進栄養素組成物であって、
亜炭から抽出された機能向上有機分子を含むかまたは含まない構造改変亜炭組成物であって、前記機能向上有機分子は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される亜炭組成物、もしくは、
カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される機能向上有機分子を含む水溶性物質と、
任意で、1種以上の合成および/または天然栄養素とを含み、
前記合成および/または天然栄養素が植物成長促進栄養素組成物に含まれる場合、前記構造改変亜炭組成物または前記水溶性物質と前記合成および/または天然栄養素との重量比は0.01:1〜10:1である、植物成長促進栄養素組成物。
【請求項8】
植物成長促進栄養素組成物の製造方法であって、
(a)亜炭から抽出された機能向上有機分子を含むかまたは含まない構造改変亜炭組成物であって、前記機能向上有機分子は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される亜炭組成物を調製するステップ、もしくは、
(b)カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される機能向上有機分子を含む水溶性物質を調製するステップと、
(c)植物成長促進栄養素組成物が1種以上の合成および/または天然栄養素を含む場合、構造改変亜炭組成物または水溶性物質と合成および/または天然栄養素との重量比が0.01:1〜10:1となるように、1種以上の合成および/または天然栄養素を、前記ステップ(a)で得られた構造改変亜炭組成物または前記ステップ(b)で得られた水溶性物質と混合または反応させる任意のステップとを含む、植物成長促進栄養素組成物の製造方法。
【請求項9】
植物および/または土壌に有効量の植物成長促進栄養素組成物を接触させるステップを含む植物成長促進方法であって、
前記植物成長促進栄養素組成物は、亜炭から抽出された機能向上有機分子を含むかまたは含まない構造改変亜炭組成物であって、前記機能向上有機分子は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される亜炭組成物、もしくは、
カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される機能向上有機分子を含む水溶性物質と、
任意で、1種以上の合成および/または天然栄養素とを含み、
前記合成および/または天然栄養素が植物成長促進栄養素組成物に含まれる場合、前記構造改変亜炭組成物または前記水溶性物質と前記合成および/または天然栄養素との重量比は0.01:1〜10:1である、植物成長促進方法。
【請求項10】
カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される機能向上有機分子を含む水溶性物質と、
1種以上の合成および/または天然栄養素とを含み、
前記水溶性物質と前記合成および/または天然栄養素との重量比は0.01:1〜10:1である、請求項7に記載の植物成長促進栄養素組成物。
【請求項11】
(a)カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される機能向上有機分子を含む水溶性物質を調製するステップと、
(b)水溶性物質と合成および/または天然栄養素との重量比が0.01:1〜10:1となるように、1種以上の合成および/または天然栄養素を前記水溶性物質に混合または反応させるステップとを含む、請求項8に記載の植物成長促進栄養素組成物の製造方法。
【請求項12】
植物および/または土壌に有効量の植物成長促進栄養素組成物を接触させるステップを含み、
前記植物成長促進栄養素組成物は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される機能向上有機分子を含む水溶性物質と、
1種以上の合成および/または天然栄養素とを含み、
前記水溶性物質と前記合成および/または天然栄養素との重量比は0.01:1〜10:1である、請求項9に記載の植物成長促進方法。
【請求項13】
亜炭から抽出された機能向上有機分子を含むかまたは含まない構造改変亜炭組成物であって、前記機能向上有機分子は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される亜炭組成物と、
1種以上の合成および/または天然栄養素とを含み、
前記構造改変亜炭組成物と前記合成および/または天然栄養素との重量比は0.01:1〜10:1である、請求項7に記載の植物成長促進栄養素組成物。
【請求項14】
(a)亜炭から抽出された機能向上有機分子を含むかまたは含まない構造改変亜炭組成物であって、前記機能向上有機分子は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される亜炭組成物を調製するステップと、
(b)構造改変亜炭組成物と合成および/または天然栄養素との重量比が0.01:1〜10:1となるように、1種以上の合成および/または天然栄養素を前記ステップ(a)で得られた構造改変亜炭組成物と混合または反応させるステップとを含む、請求項8に記載の植物成長促進栄養素組成物の製造方法。
【請求項15】
植物および/または土壌に有効量の植物成長促進栄養素組成物を接触させるステップを含み、
前記植物成長促進栄養素組成物は、亜炭から抽出された機能向上有機分子を含むかまたは含まない構造改変亜炭組成物であって、前記機能向上有機分子は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が(i)500未満、(ii)500〜1000、(iii)1000〜5000、(iv)5000以上、(v)前記(i)〜(iv)の任意の最大3つの組み合わせからなる群から選択される亜炭組成物と、
1種以上の合成および/または天然栄養素とを含み、
前記構造改変亜炭組成物と前記合成および/または天然栄養素との重量比は0.01:1〜10:1である、請求項9に記載の植物成長促進方法。
【請求項16】
カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約1000未満である機能向上有機分子からなる、亜炭の処理により得られる水溶性物質を少なくとも1つ含む、請求項7に記載の植物成長促進栄養組成物。
【請求項17】
(a)過酸化水素を約−5℃〜約−20℃に冷却するステップと、
(b)水を亜炭に1:1〜3:1(v/w)の比率で添加するステップと、
(c)5〜50%冷却過酸化水素を前記ステップ(b)で得られた亜炭に1:1〜1:5(v/w)の比率で添加するステップと、
(d)大気条件下で、前記亜炭を過酸化水素と約15分間〜約3時間反応させるステップと、
(e)過酸化水素を前記ステップ(d)で得られた処理液に1:1〜1:5(v/v)の比率で添加するステップと、
(f)前記ステップ(c)〜(e)を所定回数繰り返した後、水で抽出して水溶性物質を得るステップとを含む、請求項5に記載の水溶性物質の製造方法。
【請求項18】
(a)過酸化水素を約−5℃〜約−20℃未満に冷却するステップと、
(b)前記ステップ(a)で調製した冷却過酸化水素を亜炭に1:2〜1:3(v/w)の比率で添加するステップと、
(c)前記亜炭を5〜50%過酸化水素と10℃〜20℃で約1時間〜約3時間反応させた後、さらに約10℃〜約20℃で約3時間〜約5時間反応させるステップと、
(d)大気条件下で、過酸化水素を前記ステップ(c)で得られた反応混合物に約1:1(v/w)の比率で添加するステップと、
(e)得られた処理液を水で抽出した後、遠心して水溶性物質を得るステップとを含む、請求項5に記載の水溶性物質の製造方法。
【請求項19】
水溶性物質の分子量は1000未満である、請求項17に記載の水溶性物質の製造方法。
【請求項20】
水溶性物質の分子量は1000未満である、請求項18に記載の水溶性物質の製造方法。
【請求項21】
(a)亜炭を5〜50%過酸化水素に1:1〜1:5(v/w)の比率で添加して反応生成物を得るステップと、
(b)前記ステップ(a)で得られた乾燥後の反応生成物に窒素肥料などの尿素を添加して、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約5000を超える機能向上有機分子を得るステップとを含む、請求項5に記載の水溶性物質の製造方法。
【請求項22】
植物および/または土壌に有効量の植物成長促進栄養素組成物を接触させるステップを含み、
前記植物成長促進栄養素組成物は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約1000未満である機能向上有機分子からなる、亜炭の処理により得られる水溶性物質を少なくとも1つ含む、請求項9に記載の植物成長促進方法。
【請求項23】
カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約1000未満である、亜炭の処理により得られる機能向上有機分子からなる構造改変亜炭組成物を含む、請求項7に記載の植物成長促進栄養組成物。
【請求項24】
植物および/または土壌に有効量の植物成長促進栄養素組成物を接触させるステップを含み、
前記植物成長促進栄養素組成物は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約1000未満である、亜炭の処理により得られる機能向上有機分子からなる構造改変亜炭組成物を含む、請求項9に記載の植物成長促進方法。
【請求項25】
カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約1000未満である、亜炭の処理により得られる機能向上有機分子からなる構造改変亜炭組成物と、
1種以上のリン酸塩源とを含み、
前記構造改変亜炭組成物と前記1種以上のリン酸塩源との重量比は0.01:1〜10:1である、請求項7に記載の植物成長促進栄養組成物。
【請求項26】
(a)亜炭を処理することにより、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約1000未満である、機能向上有機分子からなる構造改変亜炭組成物を調製するステップと、
(b)1種以上のリン酸塩源を、前記ステップ(a)で得られた構造改変亜炭組成物に、構造改変亜炭組成物と1種以上のリン酸塩源との重量比が0.01:1〜10:1となるように添加するステップを含む、請求項8に記載の植物成長促進栄養素組成物の製造方法。
【請求項27】
植物および/または土壌に有効量の植物成長促進栄養素組成物を接触させるステップを含み、
前記植物成長促進栄養素組成物は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約1000未満である、亜炭の処理により得られる機能向上有機分子からなる構造改変亜炭組成物と、
1種以上のリン酸塩源とを含み、
前記構造改変亜炭組成物と前記1種以上のリン酸塩源との重量比は0.01:1〜10:1である、請求項9に記載の植物成長促進方法。
【請求項28】
カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約1000未満である、亜炭の処理により得られる機能向上有機分子からなる水溶性物質と、
1種以上のリン酸塩源とを含み、
前記水溶性物質と前記1種以上のリン酸塩源との重量比は0.01:1〜10:1である、請求項7に記載の植物成長促進栄養組成物。
【請求項29】
(a)亜炭の処理により、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約1000未満である機能向上有機分子からなる水溶性物質を調製するステップと、
(b)1種以上のリン酸塩源を、前記ステップ(a)で得られた水溶性物質に、水溶性物質と1種以上のリン酸塩源との重量比が0.01:1〜10:1となるように添加するステップとを含む、請求項8に記載の植物成長促進栄養素組成物の製造方法。
【請求項30】
植物および/または土壌に有効量の植物成長促進栄養素組成物を接触させるステップを含み、
前記植物成長促進栄養素組成物は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約1000未満である機能向上有機分子からなる、亜炭の処理により得られる水溶性物質と、
1種以上のリン酸塩源とを含み、
前記水溶性物質と前記1種以上のリン酸塩源との重量比は0.01:1〜10:1である、請求項9に記載の植物成長促進方法。
【請求項31】
カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約5000を超える機能向上有機分子からなる、亜炭の処理により得られる水溶性物質を少なくとも1つ含む、請求項7に記載の植物成長促進栄養組成物。
【請求項32】
(a)過酸化水素に亜炭を1:1〜1:5(v/w)の比率で添加して反応生成物を得るステップと、
(b)前記ステップ(a)で得られた乾燥後の反応生成物に窒素肥料などの尿素を添加して、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約5000を超える機能向上有機分子を得るステップとを含む、請求項8に記載の植物成長促進栄養素組成物の製造方法。
【請求項33】
植物および/または土壌に有効量の植物成長促進栄養素組成物を接触させるステップを含み、
前記植物成長促進栄養素組成物は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約5000を超える機能向上有機分子からなる、亜炭の処理により得られる水溶性物質を少なくとも1つ含む、請求項9に記載の植物成長促進方法。
【請求項34】
カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約5000を超える、亜炭を処理して得られる機能向上有機分子からなる構造改変亜炭組成物を含む、請求項7に記載の植物成長促進栄養組成物。
【請求項35】
植物および/または土壌に有効量の植物成長促進栄養素組成物を接触させるステップを含み、
前記植物成長促進栄養素組成物は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約5000を超える、亜炭を処理して得られる機能向上有機分子からなる構造改変亜炭組成物を含む、請求項9に記載の植物成長促進方法。
【請求項36】
カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約1000を超える、亜炭を処理して得られる機能向上有機分子からなる構造改変亜炭組成物と、
1種以上の窒素源とを含み、
前記構造改変亜炭組成物と前記1種以上の窒素源との重量比は0.01:1〜10:1である、請求項7に記載の植物成長促進栄養組成物。
【請求項37】
(a)亜炭の処理により、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約5000を超える機能向上有機分子からなる構造改変亜炭組成物を調製するステップと、
(b)1種以上の窒素源を、前記ステップ(a)で得られた構造改変亜炭組成物に、構造改変亜炭組成物と1種以上の窒素源との重量比が0.01:1〜10:1となるように添加するステップとを含む、請求項8に記載の植物成長促進栄養素組成物の製造方法。
【請求項38】
植物および/または土壌に有効量の植物成長促進栄養素組成物を接触させるステップを含み、
前記植物成長促進栄養素組成物は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約5000を超える、亜炭を処理して得られる機能向上有機分子からなる構造改変亜炭組成物と、
1種以上の窒素源とを含み、
前記構造改変亜炭組成物と前記1種以上の窒素源との重量比は0.01:1〜10:1である、請求項9に記載の植物成長促進方法。
【請求項39】
カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約5000を超える機能向上有機分子からなる、亜炭の処理により得られる水溶性物質と、
1種以上の窒素源とを含み、
前記水溶性物質と前記1種以上の窒素源との重量比は0.01:1〜10:1である、請求項7に記載の植物成長促進栄養組成物。
【請求項40】
(a)亜炭の処理により、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約5000を超える機能向上有機分子からなる水溶性物質を調製するステップと、
(b)1種以上の窒素源を、前記ステップ(a)で得られた水溶性物質に、水溶性物質と1種以上の窒素源との重量比が0.01:1〜10:1となるように添加するステップとを含む、請求項8に記載の植物成長促進栄養素組成物の製造方法。
【請求項41】
植物および/または土壌に有効量の植物成長促進栄養素組成物を接触させるステップを含み、
前記植物成長促進栄養素組成物は、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約5000を超える機能向上有機分子からなる、亜炭の処理により得られる水溶性物質と、
1種以上の窒素源とを含み、
前記水溶性物質と前記1種以上の窒素源との重量比は0.01:1〜10:1である、請求項9に記載の植物成長促進方法。
【請求項42】
(a)過酸化水素を約−5℃〜約−20℃に冷却するステップと、
(b)水を亜炭に1:1〜3:1(v/w)の比率で添加するステップと、
(c)冷却過酸化水素を前記ステップ(b)で得られた亜炭に1:1〜1:5(v/w)の比率で添加するステップと、
(d)大気条件下で、前記亜炭を過酸化水素と約15分間〜約3時間反応させるステップと、
(e)過酸化水素を前記ステップ(d)で得られた処理液に1:1〜1:5(v/v)の比率で添加するステップと、
(f)前記ステップ(c)〜(e)を所定回数繰り返して構造改変亜炭組成物を得るステップとを含む、請求項2に記載の構造改変亜炭組成物の製造方法。
【請求項43】
(a)過酸化水素を約−5℃〜約−20℃未満に冷却するステップと、
(b)前記ステップ(a)で調製した冷却過酸化水素を亜炭に1:2〜1:3(v/w)の比率で添加するステップと、
(c)前記亜炭を過酸化水素と10℃〜15℃で約1時間反応させた後、さらに約20℃で約3時間反応させるステップと、
(d)大気条件下で、過酸化水素を前記ステップ(c)で得られた反応混合物に約1:1(v/w)の比率で添加して、構造改変亜炭組成物を得るステップと、を含む、請求項2に記載の構造改変亜炭組成物の製造方法。
【請求項44】
構造改変亜炭組成物は分子量1000未満の機能向上有機分子からなる、請求項39に記載の構造改変亜炭組成物の製造方法。
【請求項45】
構造改変亜炭組成物は分子量1000未満の機能向上有機分子からなる、請求項40に記載の構造改変亜炭組成物の製造方法。
【請求項46】
(a)過酸化水素を亜炭に1:1〜1:5(v/w)の比率で添加して反応生成物を得るステップと、
(b)前記ステップ(a)で得られた乾燥後の反応生成物に窒素肥料などの尿素を添加して、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アルデヒド基からなる群から選択される1種以上の官能基の数が減少または増加しており、かつ、分子量が約5000を超える機能向上有機分子からなる機能向上有機分子を得るステップとを含む、請求項2に記載の構造改変亜炭組成物の製造方法。
【請求項47】
合成および/または天然の材料と、構造改変亜炭組成物とを含み、栄養素の徐放および効果的な同化をもたらす新規な栄養素。
【請求項48】
構造改変亜炭を含む新規な栄養素であって、前記亜炭は、過酸化水素との反応により構造的に改変されることによりフミン酸などの栄養成分が活性増強されており、亜炭と過酸化水素との配合比率は、処理液である過酸化水素の濃度(1〜50%)に応じて0.01:1〜10:1(w/v)の範囲であり、特定の1種または複数の栄養素が、栄養素:亜炭比=0.01:1〜10:1(w/w)となるように添加されている、構造改変亜炭を含む新規な栄養素。
【請求項49】
構造的改変により、栄養学的により活性のある結合が形成されるため1種または複数の特定の栄養素と混合することにより植物栄養素製剤の設計が可能となり、栄養素の徐放および効果的な同化が達成される、請求項48に記載の新規な栄養素。
【請求項50】
(a)亜炭材料をパウダー化するステップと、
(b)前記パウダー化された亜炭を所要のマイクロメートルサイズに微細化するステップと、
(c)前記微細化された亜炭を乾燥して余分な水分を除去するステップと、
(d)前記微細化された亜炭を過酸化水素で処理して効果的に構造変換させるステップと、
(e)得られた材料を、窒素肥料などの尿素および/またはリン酸肥料および/またはカリウム肥料で、および/またはリン酸で、および/または、主要栄養素および/または補助栄養素を含む水溶液で処理するステップと、
(f)酸性および/またはアルカリ性の栄養素溶液を適量添加して、得られた反応液を中和するステップと、
(g)効率的に使用するために、生成物をタブレット状、ペレット状、顆粒状、小粒状、パウダー状、または他の可能な形状とするステップと、
(h)得られた生成物を室温で乾燥、または乾燥機で乾燥するステップとを含む、構造改変亜炭を含む栄養素の製造方法。
【請求項51】
所要の植物栄養元素を含む前記栄養学的に向上された活性成分は、土壌施肥用途、葉面施肥用途、滴下施肥用途に使用可能である、請求項50に記載の製造方法。
【請求項52】
微細化された亜炭を過酸化水素で処理して植物栄養活性成分を増加させる、請求項50に記載の製造方法。
【請求項53】
微細化された亜炭を過酸化水素で処理した後、主要栄養素(窒素、リン酸、カリウム)および/または補助栄養素(マグネシウム、カルシウム、銅、亜鉛、マンガン、ホウ素、鉄、シリカ、硫黄、モリブデン)で所望の栄養素補強を行う、請求項50に記載の製造方法。
【請求項54】
微細化された亜炭を過剰量の過酸化水素で抽出し、葉面施肥および滴下施肥に好適な可溶性の亜炭系肥料を生成する、請求項50に記載の製造方法。
【請求項55】
微細化された亜炭を過酸化水素で処理した後、植物栄養素および/またはマグネシウム、カルシウム、銅、亜鉛、マンガン、ホウ素、鉄、シリカ、硫黄、モリブデンからなる群から選択される補助栄養素と混合し、得られる溶液を、溶融尿素および/または既存の窒素肥料、リン酸肥料、炭酸カリウム肥料、補助栄養素肥料および/または複合肥料の1種または複数と混合し、植物の品質および生産量を向上させるための選択的および/または特異的な植物栄養製剤を製造する、請求項50に記載の製造方法。
【請求項56】
過酸化水素を段階的・周期的に亜炭に添加した過酸化水素処理亜炭サンプルは、吸光度が波数:1700±50(cm−1)において著しく増加して過酸化水素処理亜炭サンプルの活性成分が増加している、請求項50に記載の製造方法。
【請求項57】
未抽出の過酸化水素処理亜炭は特徴的なFTIRピークを示し、そのうち12個のピークは波数1600〜1700(cm−1)の範囲である、請求項50に記載の製造方法。
【請求項58】
(a)亜炭を過酸化水素に添加するステップと、
(b)反応後に、遠心または沈殿により不溶性の亜炭から可溶性の機能的有効有機分子を回収するか、あるいは、機能的有効有機分子を亜炭と共に保持するステップとを含む方法により製造される、亜炭から抽出または抽出されていない機能的有効有機分子。
【請求項59】
過酸化水素で処理することにより反応性が向上するため、亜炭に存在する亜炭の処理により生じる、通常のフミン酸およびフルボ酸などの有機分子よりも機能的有効性が高い、請求項58に記載の機能的有効有機分子。
【請求項60】
−5℃〜−20℃で2〜3時間冷却した5〜50%濃度の過酸化水素を、微細化された亜炭に1:2〜1:5(v/w)の比率で添加し、前記過酸化水素と前記亜炭を10℃〜15℃で1時間反応させ、さらに15℃〜20℃で約3時間反応させ、前記ステップを所定回数繰り返した後、約5〜50%濃度の過酸化水素を、得られた処理液に1:1(v/w)の比率で25℃〜30℃で添加し、その後、得られた処理液を水で抽出し、5000〜10000rpmで連続遠心して、前記亜炭を前記過酸化水素で処理して得られた可溶性の機能的有効有機分子である、請求項58に記載の機能的有効有機分子。
【請求項61】
分子量が1000未満の機能的有効有機分子を含み、前記機能的有効有機分子は、リン酸肥料および/または葉面施肥用途、および/または様々な分子設計に好適である、請求項58に記載の機能的有効有機分子。
【請求項62】
分子量が5000を超える機能的有効有機分子を含み、前記機能的有効有機分子は、窒素肥料および/または様々な分子設計に好適である、請求項58に記載の機能的有効有機分子。
【請求項63】
分子量が500未満の機能的有効有機分子を含み、前記機能的有効有機分子は、葉面施肥用途および/または種子処理用組成物および/または滴下施肥用途に好適である、請求項58に記載の機能的有効有機分子。
【請求項64】
機能的有効有機分子は、その液体サンプルをフッ化カルシウムセル・アクセサリーを用いてFTIR分析すると、波数1600〜1750(cm−1)において特徴的な吸収ピークを示す、請求項58に記載の機能的有効有機分子。
【請求項65】
分子量が1000未満の機能的有効有機分子を含み、前記機能的有効有機分子は、ウランなどのアクチニドなど毒性重金属および/またはタンパク質を除去する能力を有する、請求項58に記載の機能的有効有機分子。
【請求項66】
植物を成長させる性質および植物の生産量を増加させる性質を有する、請求項58に記載の機能的有効有機分子。
【請求項67】
過酸化水素処理した亜炭抽出物は、1686±10(cm−1)、1676±10(cm−1)、1671±10(cm−1)、1664±10(cm−1)、1655±10(cm−1)、1648±10(cm−1)、1638±10(cm−1)、1625±10(cm−1)、1618±10(cm−1)、1599±10(cm−1)、1561±10(cm−1)、1343±10(cm−1)における特徴的な吸収ピークを含む20を超える吸収ピークが観察される、請求項58に記載の機能的有効有機分子。
【請求項68】
分子量が1000未満の機能的有効有機分子を含み、前記機能的有効有機分子は、リン酸肥料と混合されるとリン酸利用率を向上させて農作物の収穫量を増加させる、請求項58に記載の機能的有効有機分子。
【請求項69】
分子量が5000を超える機能的有効有機分子を含み、前記機能的有効有機分子は、窒素肥料と混合されると窒素利用率を向上させて農作物の収穫量を増加させる、請求項58に記載の機能的有効有機分子。
【請求項70】
固体NMR解析した場合に、亜炭の13C NMRスペクトルと、過酸化水素を用いて亜炭から抽出した低分子有機分子の13C NMRスペクトルとの差異として図示されるように、脂肪族基の急激な減少(0〜60ppm)、芳香族基の急激な増加(110〜165ppm)、カルボン酸基、アミド基またはエステル基の急激な増加(160〜190ppm)、カルボニル基の急激な増加(190〜220ppm)を示す化学シフト軸に沿った相対的な炭素濃度分布から定量化される官能基増加が確認される、請求項58に記載の機能的有効有機分子。
【請求項71】
機能的有効有機分子の調製は、抽出を行ってあるいは行わずに、反応条件を変えて機能的有効有機分子を選択的に合成するステップを含む、請求項58に記載の機能的有効有機分子。
【請求項72】
機能的有効有機分子の調製は、選択的分子フィルタなどの任意の限外ろ過により、特定の分子量を有する機能的有効有機分子を抽出するステップを含む、請求項58に記載の機能的有効有機分子。
【請求項73】
亜炭から抽出された機能的有効有機分子を含むかまたは含まない構造改変亜炭組成物と、
ケイ酸第二銅、ケイ酸亜鉛、その混合物からなる群から選択される機能的遷移金属シリケートと、
溶融尿素および/または他の植物栄養素とを含む、小粒、顆粒またはペレット状の収穫量向上組成物であって、
前記機能的遷移金属シリケートは、任意で、ナノ構造を有し、かつ、ウレアーゼ阻害剤を阻害する銅、亜鉛および塩の混合物を含む、収穫量向上組成物。
【請求項74】
水を亜炭に1:2〜1:5(w/v)の比率で添加するステップと、
過酸化水素を約−20℃に冷却し、冷却した過酸化水素を、前記水を含む亜炭に添加するステップと、
得られた反応混合液の温度を5℃〜20℃に1段階以上で上昇させ、10℃〜20℃で15分間〜2時間反応させて、分子量5000を超える機能的有効有機分子を多量に含む構造改変亜炭組成物を得るステップとを含む、請求項2に記載の構造改変亜炭組成物の製造方法。
【請求項75】
過酸化水素の濃度は1〜15%である、請求項74に記載の製造方法。
【請求項76】
水を亜炭に1:2〜1:5(w/v)の比率で添加するステップと、
過酸化水素を約−20℃に冷却し、冷却した過酸化水素を、前記水を含む亜炭に添加するステップと、
得られた反応混合液の温度を5℃〜20℃に1段階以上で上昇させ、15℃〜20℃で3〜7時間反応させて、分子量1000〜2000の機能的有効有機分子を多量に含む構造改変亜炭組成物を得るステップとを含む、請求項2に記載の構造改変亜炭組成物の製造方法。
【請求項77】
過酸化水素の濃度は15〜50%である、請求項76に記載の製造方法。
【請求項78】
(a)水を亜炭に1:2〜1:5(w/v)の比率で添加するステップと、
(b)過酸化水素を約−20℃に冷却し、冷却した過酸化水素を、前記水を含む亜炭に添加するステップと、
(c)得られた反応混合液の温度を5℃〜20℃に1段階以上で上昇させ、15℃〜20℃で3〜7時間反応させるステップと、
(d)前記ステップ(b)で使用した過酸化水素の濃度よりも高い濃度の過酸化水素を、得られた反応混合液に連続的かつ周期的に添加して、分子量500未満の機能的有効有機分子を多量に含む構造改変亜炭組成物を得るステップとを含む、請求項2に記載の構造改変亜炭組成物の製造方法。
【請求項79】
前記ステップ(b)および(d)で使用した過酸化水素の濃度は25〜50%である、請求項78に記載の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−509176(P2010−509176A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536813(P2009−536813)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際出願番号】PCT/IB2007/003501
【国際公開番号】WO2008/059358
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(509128111)ビジャム バイオサイエンシス プライベート リミテッド (4)
【Fターム(参考)】