説明

機能性イソブチレンポリマー−無機クレーナノコンポジット及び有機−水性エマルジョン化方法

【課題】インナーライナーまたはインナーチューブとして好適な、ガスバリアー性を有するナノコンポジットを製造する方法を提供する。
【解決手段】ポリマー、好ましくはハロゲン化エラストマーの有機溶液と、無機クレーの水性スラリーを混合してポリマークレーナノコンポジットエマルジョンを形成する工程と、該エマルジョンを貧溶媒を用いて沈殿させることによりポリマークレーナノコンポジットを回収する工程を含むナノコンポジット製造プロセス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアーバリアのために有用な低透過性ナノコンポジット、その製造プロセス、及び製品におけるその利用に関する。
【発明の背景】
【0002】
ナノコンポジットは、少なくとも1次元がナノメートルの範囲である無機粒子を含むポリマー系である。これらの例のいくつかは、米国特許第6,060,549号、同第6,103,817号、同第6,034,164号、同第5,973,053号、同第5,936,023号、同第5,883,173号、同第5,807,629号、同第5,665,183号、同第5,576,373号、及び同第5,576,372中に開示されている。ナノコンポジットに使用される無機粒子の共通のタイプは、いわゆる「ナノクレー」又は「クレー」と一般的に分類されている無機物質である、フィロケイ酸塩である。理想的には、ナノコンポジット中で相互作用が生じ、クレー表面の間の空間又は空隙へとポリマーがはめ込まれる。つまるところ、これは剥離作用を持つことが好ましく、ここで、このポリマーは、個別のナノメートルサイズのクレープレートレットを伴って完全に分散される。クレーが存在する場合、各種ポリマー混合物のエアーバリア特性が全体的に向上するため、低い空気透過性を有するナノコンポジット、特に、タイヤの製造に使用される等の、動的に加硫されたエラストマーナノコンポジットを得ることが望まれている。
【0003】
ナノコンポジットの調製では、剥離されたクレーを得るために多数の方法が用いられる。最も一般的な方法は、有機的に修飾されたモンモリロナイトクレーの使用によるものである。オルガノクレーは、通常、モンモリロナイトナトリウムの表面に存在するナトリウムイオンをアルキル又はアリルアンモニウム化合物等の有機分子に交換する溶液ベースのイオン交換反応によって製造され、通常膨張剤又は剥離剤として業界において知られている。米国特許第5,807,629号、国際公開第02/100935号、及び国際公開第02/100936号を参照されたい。その他の背景の参考文献には、米国特許第5,576,373号、同第5,665,183号、同第5,807,629号、同第5,936,023号、同第6,121,361号、国際公開第94/22680号、同第01/85831号、及び同第04/058874号等がある。この方法の欠陥の一つは、アミンの熱的安定性が不十分であることである。第2の欠陥は、マトリックスとの化学結合の欠如であり、機械的特性の低下及びヒステリシス現象(hysteresis)の増大をしばしば導く。第3は、遊離したアミン及び分解産物が輸送特性に及ぼす負の影響である。
【0004】
オルガノクレーの性能を向上させるための1方法は、クレーを処理するために機能性ポリマーを用いることである。このアプローチは、水溶性の素材、又は、ポリマー化反応へと組み込み可能な素材に限定される。このアプローチは、例えば、重合調整剤としてオリゴマー及びモノマーのカプロラクタムを用いてナイロンナノコンポジットを調製するために使用されてきた。ポリプロピレンナノコンポジット等のポリオレフィンナノコンポジットでは、無水マレイン酸をグラフトしたポリプロピレンを利用することによって、ナノコンポジットの生成の例が複数存在する。
【0005】
例えば、Liらにより米国特許第6,060,549号中で開示されるように、剥離されたクレーを充填したナイロンを高衝撃プラスチック基盤として利用することが知られている。特に、Liらは、ナイロン、及び、C〜Cイソオレフィン及びパラ−メチルスチレン及びパラ−(ハロメチルスチレン)のコポリマー等の熱可塑性樹脂の混合物を開示し、その混合物はまた、高衝撃素材として使用される、剥離されたクレーを含むナイロンも含む。さらに、Yuichiらによる日本の未審査の特許出願である特開第2000−160024号は、エアーバリアとして使用可能な熱可塑性エラストマーを開示する。Yuichiらの文献中のナノコンポジットには、Liらの文献中に開示されたものと類似の混合物を含む。
【0006】
錯化剤及びゴムを用いて、エラストマー性ナノコンポジットインナーライナー及びインナーチューブも形成されており、その錯化剤は、正に荷電した基を有する反応性ゴム及び、その中に均一に分散された層状ケイ酸塩である。例えば、Kresgeらの米国特許第5,665,183号及び同第5,576,373号を参照されたい。エアーバリアを改良するためのこのアプローチは、正に荷電した基を有する反応性ゴムを予め生成する必要があるため、有用性が限定されたものであった。
【0007】
ナノコンポジットはまた、非イオン性の、イソブチレン及びパラ−メチルスチレンの臭素化コポリマー、及び、それらのコポリマーもしくはその他のポリマーとの混合物を用いて形成されてきた。例えば、Elspassら、米国特許第5,807,629号及び米国特許第6,034,164号を参照されたい。クレーの剥離における効果を、相対的な透過度の減少によって調べると、イオン性相互作用を用いた場合に得られる効果ほどには高くないことがわかっている。
【0008】
上述のように、これらのナノコンポジットは、溶融状態又は溶液状態のいずれかの状態で、エラストマー及びオルガノクレーを混合して製造される。さらに、そのポリマーの特性が疎水的であるため、オルガノクレーは通常、クレーとポリマーとの相互作用をよりよくするように修飾される。修飾プロセスには、通常、無機クレー中のNa+カチオンを、テトラアルキルアンモニウム塩等の有機修飾剤に交換する工程が含まれる。このプロセスには費用がかかり、多くの修飾されたクレーはポリマー中又は有機溶媒中で剥離されない。
【0009】
その他の対象の参考文献には、国際公開第98/03562号が挙げられる。
【0010】
改良されたクレー剥離方法を伴うポリマー/クレーナノコンポジットの製造方法が求められている。さらに、無機クレーを修飾せずにポリマー/クレーナノコンポジットを製造するための安価な方法も求められている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ポリマーが有機相中に提供され、クレーが水相中に提供される、水性有機エマルジョンを媒介としたクレー−ポリマーナノコンポジットを調製するものである。このクレーは有機修飾を含まない無機クレーであってもよい。ポリマーと無機クレーのナノコンポジットを得ることができ、それらの製造方法は効率的かつ経済的であり得る。
【0012】
一実施形態において、本発明は、ナノコンポジットの製造方法を提供する。この方法は、クレーの水性スラリーと、ポリマー溶液を有機溶媒中で混合して、ポリマー−クレーナノコンポジットを含むエマルジョンを形成させる工程と、エマルジョンからナノコンポジットを回収する工程とを含み得る。スラリーは無機クレーを含んでもよい。別の実施形態において、スラリーは、有機クレー(修飾クレー)を実質的に含まないものとすることができる。溶液中のポリマーはハロゲン化ポリマーであってもよい。別の実施形態において、ポリマーはハロゲン化イソブチレンポリマーであってもよい。エマルジョンはエマルジョン化剤又は界面活性剤を含んでもよい。ナノコンポジットは、少なくとも一相のエマルジョンからナノコンポジットを濾過することにより回収することができる。別の実施形態において、ナノコンポジットは、貧溶媒(antisolvent)を用いて沈殿させることにより回収することができる。別の実施形態において、ナノコンポジットは、少なくとも一相のエマルジョンから液体を蒸発させることにより回収することができる。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、無機クレーを水中でスラリー化する工程と、ハロゲン化イソブチレンポリマーを有機溶媒中に溶解して水非混和性のポリマー溶液を形成する工程と、スラリーを、ポリマー溶液を用いてエマルジョン化し、ポリマークレーナノコンポジットを形成する工程と、ナノコンポジットを回収する工程とを含む、ナノコンポジットの製造方法を提供する。エマルジョン化はエマルジョン化剤及び/又は界面活性剤の存在下であってもよい。エマルジョン化剤は、第3アミン類、ジアミン類、ポリアミン類、アミン塩類、第4級アンモニウム化合物類、アルキルエトキシレート類、直鎖状アルコールエトキシレート類、アルキルグルコシド類、アミドエトキシレート類、アミンエトキシレート類、ココ(coco)アミンエトキシレート類のような脂肪アミンエトキシレート類、獣脂アミンエトキシレート類、及びオレイルアミンエトキシレート類等のアルキルアミンエトキシレート類、フェノールエトキシレート類、ノニルフェノールエトキシレート類等のアルキルフェノールエトキシレート類、又はそれらの混合物から選択することができる。
【0014】
ポリマー溶液は、アンモニウム機能性基を含むポリマー鎖Eをさらに含んでよい。アンモニウム機能性基は、そのポリマー鎖Eにペンダントする以下の基で表すことができる:
【0015】
【化1】

【0016】
式中、R及びRは同一であるか又は異なり、水素、C〜Cアルキル及び、第1級又は第2級アルキルハロゲン化物のうちのひとつであり;R、R及びRは同一であるか又は異なり、水素、C〜C20のアルキル、アルケン又はアリール、置換C〜C20のアルキル、アルケン又はアリール、C〜C20脂肪族アルコール又はエーテル、C〜C20カルボン酸、ニトリル、エトキシル化アミン、アクリレート、エステル及びアンモニウムイオンから選択される。特定の実施形態において、例えば、アンモニウム機能性基がN−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン又はそれらの組み合わせであり得る場合等では、少なくとも1つのR、R及びRは、C〜C20脂肪族アルコール、エーテル、又はカルボキシ酸を含む。
【0017】
無機クレーは、ケイ酸塩であり得る。ケイ酸塩は、モンモリロナイト、ノントロナイト、バイデライト、ベントナイト、ボルコンスコアイト、ラポナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、マガダイト、ケニアイト、スティーブンサイト、バーミキュライト、ハロイサイト、ハイドロタルサイト等又はそれらの組み合わせなどのスメクタイトクレーであり得る。
【0018】
イソブチレンポリマーは、C〜Cイソオレフィン及びアルキルスチレンのインターポリマーを含み得る。アルキルスチレンはパラ−メチルスチレンであり得る。イソオレフィンはイソブチレンであり得る。あるいは、イソブチレンポリマーには、C〜Cイソオレフィン(好ましくはイソブチレン)及びイソプレンのインターポリマーを含み得る。イソブチレンポリマーには、ハロゲン化物、エーテル、アミン、アミド、エステル、酸、ヒドロキシル等から選択される官能基を含み得る。イソブチレンポリマーは、臭素又は塩素によりハロゲン化されていてもよい。
【0019】
ポリマー溶液を形成するために使用される溶媒は、アルカン、アルケン、芳香族、ニトロ化アルカン、ハロゲン化アルカン、及びそれらの混合物であり得る。一実施形態において、ポリマー溶液は、1〜30重量%のイソブチレンポリマーを含み得、その他の実施形態において、10〜25重量%のイソブチレンポリマーを含み得る。
【0020】
水性スラリーのクレーは、一実施形態において、0.1〜10重量%のクレーを含み得、その他の実施形態において、0.3〜3.0重量%のクレーを含み得る。スラリーにおける水のpHは、4〜13であり得る。
【0021】
一実施形態においては、スラリーとポリマー溶液の容積比が0.01:1〜1:1の場合に、その他の実施形態においては、0.1:1〜0.9:1又は0.3:1〜0.7:1の場合に、エマルジョンが形成され得る。
【0022】
本発明はさらに、一実施形態において、本明細書において記載されるプロセスで調製したナノコンポジットを提供する。別の実施形態において、本発明は、その中に分散する無機クレーナノ粒子を有するイソブチレンポリマーを含むナノコンポジットを提供する。本発明のナノコンポジットは、インナーライナー又はインナーチューブ等の物品において有用であり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、修飾されていない無機クレーを用いるポリマー/クレーナノコンポジット製造方法を記載する。クレーは水溶液中で剥離される。理論に結び付けようとするものではないが、水性クレー溶液をミクロエマルジョン状態のポリマー又は機能性ポリマーの有機溶液と接触させることにより、剥離したクレーとポリマーとの相互作用が原動力となって、ポリマーマトリックス内に組み入れられてもにクレーの剥離した状態が維持されると考えられる。エマルジョン化剤又は界面活性剤もまた、ミクロエマルジョンの分散及び形成を促進するために使用することができる。本発明の方法は、クレーの剥離を促進し、バリア特性がさらに向上したナノコンポジットをもたらす。得られるナノコンポジットは、その他のポリマー又はエラストマーとブレンドした状態でマスターバッチとして使用することができる。
【0024】
定義
本明細書において使用する場合、周期表グループの新規なナンバーリングスキームは、ケミカル・アンド・エンジニアリング・ニュース(CHEMICAL AND ENGINEERING NEWS),63(5),27(1985)に示されているように使用される。
【0025】
本明細書において使用する場合、「ポリマー」は、ホモポリマー、コポリマー、インターポリマー、ターポリマー等を意味するように使用され得る。同様に、コポリマーとは、少なくとも2つのモノマーと任意的にその他のモノマーを含むポリマーのことを言い得る。
【0026】
本明細書において使用する場合、ポリマーがモノマーを含むものとされる場合は、モノマーは、モノマーがポリマー化された形態のポリマーの中、又はモノマーの誘導体の中に存在する。同様に、触媒成分が中性で安定な形態の成分を含むものとして記載される場合は、イオン形態の成分はモノマーと反応してポリマーを形成する形態であると、当業者には理解されている。
【0027】
本明細書において使用する場合、「エラストマー」又は「エラストマー性組成物」とは、ASTM D1566の定義と一致する任意のポリマー又はポリマー組成物(例えば、ポリマーのブレンド)のことを言う。エラストマーには、ポリマーの溶融混合物及び/又は反応装置混合物等のポリマーが混合されたブレンド物が含まれる。この用語は、用語「ゴム」と同義的に使用され得る。
【0028】
本明細書において使用する場合、「phr」は「ゴム100に対する割合」であり、これはエラストマー(類)又はゴム(類)100重量部を基準として主要なエラストマー成分と組成物の構成成分とを相対的に測定した尺度であって、当技術分野において一般的なものである。
【0029】
本明細書において使用する場合、「イソブチレンをベースとするエラストマー」又は「イソブチレンをベースとするポリマー」とは、イソブチレンの反復単位を少なくとも70モル%含むエラストマー又はポリマーのことを言う。
【0030】
本明細書において使用する場合、イソオレフィンとは、炭素上に2つの置換を有する当該炭素を少なくとも1つ持つ任意のオレフィンモノマーのことを言う。
【0031】
本明細書において使用する場合、「マルチオレフィン」とは、2つ又はそれ以上の不飽和(通常は二重結合)を有する任意のモノマーのことを言い、例えば、マルチオレフィンは、イソプレン等の共役ジエン等、2つの共役二重結合を含む任意のモノマーであり得る。
【0032】
本明細書において使用する場合、「ナノコンポジット」又は「ナノコンポジット組成物」とは、ポリマーマトリックス内に少なくとも1次元がナノメートルの範囲である無機粒子を含むポリマー系のことを言う。
【0033】
本明細書において使用する場合、「インターカレーション」とは、プレートレットフィラーの層の間にポリマーが存在する組成物の状態のことを言う。産業界及び学会において認識されているように、インターカレーションの指標のいくつかとして、オリジナルのプレートレットフィラーの場合と比較したX線走査線の移動及び/又は減弱を挙げることができる。これはオリジナルの鉱物の場合よりもバーミキュライトの層間ではより大きな空間があることを示す。
【0034】
本明細書において使用する場合、「剥離」とは、ポリマーが各粒子を取り囲み得るように又は取り囲むような、元々の無機粒子の個々の層が分離することを言う。一実施形態において、ポリマーは、プレートレットがランダムに配置されるようにプレートレット間に存在する。例えば、剥離又はインターカレーションのいくつかの指標は、層状化されたプレートレットのランダムな配置又は増大した分離によるX線走査線又はより大きなd−配置を示すプロットであり得る。しかしながら、産業界及び学会において認識されているように、透過性試験、電子顕微鏡、原子間力顕微鏡等の剥離の結果を示すその他の指標が有用であり得る。
【0035】
本明細書において使用する場合、「溶媒」とは、別の物質を溶解させ得る任意の物質のことを言う。溶媒という用語を使用する場合、それは少なくとも1種類の溶媒又は特定されない限り2種類又はそれ以上の溶媒のことを言い得る。特定の実施形態において、溶媒は極性であり、その他の実施形態において、溶媒は非極性である。
【0036】
本明細書において使用する場合、「溶液」とは、1つ又はそれ以上の物質(溶媒)中に1つ又はそれ以上の物質(溶質)が分子レベル又はイオンレベルで均一に分散している混合物のことを言う。例えば、溶解プロセスとは、エラストマー及び修飾された層状充填剤の両方が同じ有機溶媒又は溶媒混合物中に留まるようにする混合プロセスのことを言う。
【0037】
本明細書において使用する場合、「懸濁物」とは、通常はコロイドサイズよりも大きい粒子として固体中、液体中、又は気体中に分散している固体からなる系のことを言う。
【0038】
本明細書において使用する場合、「エマルジョン」とは、通常はコロイドサイズよりも大きい液滴として、エマルジョン化剤の有無とは関係なく非混和性の液体中に分散している液体又は液体懸濁物からなる系のことを言う。
【0039】
本明細書において使用する場合、「炭化水素」とは、主として水素及び炭素原子を含む分子又は分子セグメントのことを言う。いくつかの実施形態において、炭化水素には、以下により詳細に記載されるように、ハロゲン化型の炭化水素及びヘテロ原子を含む種類も含まれる。
【0040】
ハロゲン化エラストマー
本発明のナノコンポジットには、C〜Cイソオレフィン由来単位を含む少なくとも1つのハロゲン化エラストマーが含まれる。イソオレフィンは、C〜C化合物であってもよく、一実施形態では、イソブチレン、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、及び4−メチル−1−ペンテンから選択されてもよい。エラストマーはさらに、その他のモノマー由来単位を含んでいてもよい。一実施形態では、ハロゲン化エラストマーに少なくとも1つのスチレンモノマーが含まれ、これは任意に置換されているスチレンモノマー単位であってもよく、望ましくはスチレン、α−メチルスチレン又はアルキルスチレン(オルト、メタ、又はパラ)から選択され、アルキルは、任意のC〜Cアルキル又は分枝鎖アルキルから選択される。望ましいの実施形態において、スチレンモノマーはp−メチルスチレンである。別の実施形態において、エラストマーは少なくとも1つのマルチオレフィンを含み、これは、共役している又はしていないC〜C14ジエンであってもよく、一実施形態では、イソプレン、ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、ミルセン、6,6−ジメチル−フルベン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、及びピペリレンから選択されてもよい。
【0041】
一実施形態において、ハロゲン化エラストマーは、イソオレフィン由来単位、マルチオレフィン由来単位、及びスチレン由来単位を含む。別の実施形態において、ハロゲン化エラストマーはイソオレフィン由来単位及びスチレン由来単位を含み、さらに別の実施形態において、ハロゲン化エラストマーはイソオレフィン由来単位及びマルチオレフィン由来単位を含む。
【0042】
本発明の一実施形態におけるハロゲン化エラストマーは、イソブチレン等のC〜Cイソオレフィンとパラ−アルキルスチレンコモノマー、好ましくは、少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%のパラ異性体を含むパラ−メチルスチレン、とのランダムなエラストマー性コポリマーであり、スチレンモノマー単位中に存在する少なくともいくつかのアルキル置換基がベンジルハロゲン又はいくつかのその他の官能基を含む機能性インターポリマーをも含む。本発明の別の実施形態において、インターポリマーは、エチレン又はC〜Cα−オレフィンとパラ−アルキルスチレンコモノマー、好ましくは、少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%のパラ異性体を含むパラ−メチルスチレン、とのランダムなエラストマー性コポリマーであり、スチレンモノマー単位中に存在する少なくともいくつかのアルキル置換基がベンジルハロゲン又はいくつかのその他の官能基を含む機能性インターポリマーをも含む。好ましい物質は、ポリマー鎖に沿ってランダムに配置された、以下のモノマー単位を含むインターポリマーとして特徴付けられ得る:
【0043】
【化2】

【0044】
式中、R10及びR11は独立して水素、低級アルキル、好ましくは、C〜Cアルキル及び第1級又は第2級アルキルハロゲン化物であり、Xはハロゲン等の官能基である。好ましくは、R10及びR11は水素である。一実施形態において、インターポリマー構造中に存在する最大60モル%のパラ置換されたスチレンが、機能性構造物(5)であるとしてもよく、別の実施形態においては、0.1〜5モル%としてもよい。さらに別の実施形態においては、機能性構造物(5)の量は0.4〜1モル%である。
【0045】
官能基Xは、ハロゲンであってもよいしハロゲンとその他のいくつかの官能基との組み合わせであってもよい。官能基は、カルボン酸類;カルボキシ塩類;カルボキシエステル類、アミド類及びイミド類;ヒドロキシ;アルコキシド;フェノキシド;チオレート;チオエーテル;キサンテート;シアニド;ニトリル;アミノ及びこれらの混合物等の他の基を用いベンジルハロゲンの求核置換により取り込まれるようにすればよい。これらの機能性イソオレフィンコポリマー、それらの調製方法、機能化方法、硬化、及び特に以下に記載する機能性アミンについては、米国特許第5,162,445号により詳細に開示されている。
【0046】
最も有用な上記機能性物質は、イソブチレンとパラ−メチルスチレンとのエラストマー性ランダムインターポリマーであり、0.5〜20モル%パラ−メチルスチレンを含み、ベンゼン環上に存在する最大60モル%のメチル置換基は、臭素又は塩素原子、好ましくは、臭素原子(パラ(ブロモメチルスチレン))を含むほか、パラ(ブロモメチルスチレン)とエステル及びエーテル等のその他の官能基との組み合わせを含む。これらのハロゲン化エラストマーは、EXXPRO(商標)エラストマー(エクソンモービル・ケミカル・カンパニー(ExxonMobil Chemical Company),テキサス州ヒューストン)として市販されており、「BIMS」と略されている。
【0047】
好ましい実施形態において、官能性は、ポリマーの構成成分を高温にて混合した場合に、例えば、酸、アミノ又はヒドロキシル等の官能基などマトリックスポリマー内に存在する官能基と反応し得る又は極性結合を形成し得るように選択される。
【0048】
これらの機能性インターポリマーは、米国特許第5,162,445号に記載される手順によって測定した時の、ポリマーの平均パラ−アルキルスチレン含有量が10%以内であるパラ−アルキルスチレン含有量を少なくとも95重量%のポリマーが有するように、実質的に均一な組成分布を有する。望ましいインターポリマーは、ゲル透過クロマトグラフィーにより測定した場合、分子量分布(Mw/Mn)が5未満、より好ましくは2.5未満と狭く、好ましい粘度平均分子量が200,000〜最大2,000,000の範囲にあり、好ましい数平均分子量が25,000〜750,000の範囲にあることによっても特徴付けられる。
【0049】
BIMSポリマーは、Lewis酸触媒を用いたモノマー混合物のスラリーポリマー化のあと、ハロゲンと熱及び/又は光及び/又は化学的開始剤等のラジカル開始剤との存在下、溶液中でハロゲン化、好ましくは臭素化をし、続いて場合により、異なる官能部分で臭素の求電子的置換をすることによって調製することができる。
【0050】
好ましいBIMSポリマーは、ポリマー中のモノマー由来単位の総量に対して、通常0.1〜5モル%のブロモメチルスチレン基を含む臭素化ポリマーである。別の実施形態において、ブロモメチル基の量は、0.2〜3.0モル%であり、さらに別の実施形態においては0.3〜2.8モル%であり、さらに別の実施形態においては0.4〜2.5モル%であり、さらに別の実施形態においては0.3〜2.0モル%であり、この場合、所望の範囲は任意の上限と任意の下限との任意の組み合わせであってもよい。別な方法で表現すると、好ましいコポリマーは、ポリマーの重量を基準として、0.2〜10重量%の臭素、別の実施形態においては0.4〜6重量%の臭素、別の実施形態においては0.6〜5.6重量%の臭素を含み、ポリマー骨格鎖中に環ハロゲン(ring halogen)又はハロゲンを実質的に含まない。本発明の一実施形態において、インターポリマーは、C〜Cのイソオレフィン由来単位(すなわちイソモノオレフィン)、パラ−メチルスチレン由来単位及びパラ−(ハロメチルスチレン)由来単位のコポリマーであり、パラ−(ハロメチルスチレン)単位は、パラ−メチルスチレンの総数を基準とすると0.4〜3.0モル%でインターポリマー中に存在し、パラ−メチルスチレン由来単位は、ポリマーの総重量を基準とすると、一実施形態においては3重量%〜15重量%、別の実施形態においては4重量%〜10重量%で存在する。別の実施形態において、パラ−(ハロメチルスチレン)はパラ−(ブロモメチルスチレン)である。
【0051】
本発明において有用なハロゲン化エラストマーはさらに、ハロゲン化ブチルゴム成分を含んでもよい。本明細書において使用する場合、「ハロゲン化ブチルゴム」とは、以下に記載するブチルゴム及びいわゆる「星型分枝鎖状」ブチルゴムの両方のことを言う。本発明の一実施形態において、ハロゲン化ゴム成分はC〜Cイソオレフィン及びマルチオレフィンのハロゲン化コポリマーである。別の実施形態において、ハロゲン化ゴム成分は、ポリジエン又はブロックコポリマーと、C〜Cイソオレフィンと共役又は「星型分枝鎖状」ブチルポリマーとのコポリマーとのブレンドである。本発明において有用なハロゲン化ブチルポリマーはしたがって、C〜Cのイソオレフィン由来単位、マルチオレフィン由来単位、及びハロゲン化マルチオレフィン由来単位を含むハロゲン化エラストマーとして記載することができ、「ハロゲン化ブチルゴム」及びいわゆる「ハロゲン化星型分枝鎖状」ブチルゴムの両方を含む。
【0052】
一実施形態において、ハロゲン化ブチルゴムは臭素化ブチルゴムであり、別の実施形態においては、塩素化ブチルゴムである。ハロゲン化ブチルゴムの一般的な特性及び加工については、ヴァンダービルト・ラバー・ハンドブック(THE VANDERBILT RUBBER HANDBOOK)、105−122、(ロバート F.オーム(Robert F.Ohm)編,R.T.ヴァンダービルト・カンパニー・インコーポレイテッド、1990)及びラバー・テクノロジー(RUBBER TECHNOLOGY)、311−321、モーリス・モートン(Maurice Morton)編、チャプマン・アンド・ホール(Chapman&Hall)、1995)に記載されている。ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、及び星状分鎖ブチルゴムは、8 カーク・オスマー工業化学百科事典(KIRK−OTHMER ENCYCLOPEDIA OF CHEMICAL TECHNOLOGY)、934−955、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley&Sons,Inc.)第4版.1993)中でエドワード・クレスギ(Edward Kresge)及びH.C.ワン(Wang)によって記載されている。
【0053】
本発明のハロゲン化ゴム成分には、限定するものではないが、臭素化ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、星型分枝鎖状ポリイソブチレンゴム、星型分枝鎖状臭素化ブチル(ポリイソブチレン/イソプレンコポリマー)ゴム;イソブチレン/メタ−ブロモメチルスチレン、イソブチレン/パラ−ブロモメチルスチレン、イソブチレン/クロロメチルスチレン、ハロゲン化イソブチレンシクロペンタジエン、及びイソブチレン/パラ−クロロメチルスチレンなどのイソブチレン−ブロモメチルスチレンコポリマー類;米国特許第4,074,035号及び米国特許第4,395,506号に記載されているようなハロメチル化芳香族インターポリマー類;イソプレン及びハロゲン化イソブチレンコポリマー類、ポリクロロプレン等、並びに上記のいずれかの混合物が含まれる。ハロゲン化ゴムの成分のいくつかの実施形態については、米国特許第4,703,091号及び同第4,632,963号にも記載されている。
【0054】
より詳細には、本発明の臭素化ゴム成分の一実施形態において、ハロゲン化ブチルゴムが使用される。ハロゲン化ブチルゴムは、ブチルゴムのハロゲン化から製造される。好ましくは、本発明のハロゲン化ブチルゴムを製造する際に使用されるオレフィンポリマー化フィードは、ブチル型ゴムポリマーの調製に通常使用されるオレフィン化合物である。ブチルポリマーはコモノマー混合物を反応させることにより調製され、この混合物は、少なくとも(1)イソブチレン等のC〜Cイソオレフィンモノマー成分と、(2)マルチオレフィン又は共役ジエンのモノマー成分とを含む。イソオレフィンは、コモノマー混合物の総重量に対して、一実施形態においては70〜99.5重量%、別の実施形態においては85〜99.5重量%である。一実施形態において共役ジエン成分は、コモノマー混合物中、一実施形態においては30〜0.5重量%、別の実施形態においては15〜0.5重量%で存在する。さらに別の実施形態においては、コモノマー混合物の8〜0.5重量%が共役ジエンである。
【0055】
イソオレフィンは、イソブチレン、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、及び4−メチル−1−ペンテン等のC〜C化合物である。マルチオレフィンは、イソプレン、ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、ミルセン、6,6−ジメチル−フルベン、シクロペンタジエン、ヘキサジエン及びピペリレン等のC〜C14共役ジエンである。本発明のブチルゴムポリマーの一実施形態は、92〜99.5重量%のイソブチレンを0.5〜8重量%のイソプレンと反応させることにより得られ、さらに別の実施形態においては、95〜99.5重量%のイソブチレンを0.5〜5.0重量%のイソプレンと反応させることにより得られる。
【0056】
ハロゲン化ブチルゴムは、上述のブチルゴム生成物のハロゲン化によって製造される。ハロゲン化は任意の手段により行うことができ、本明細書中において本発明はハロゲン化プロセスによって限定されない。ブチルポリマー等のポリマーをハロゲン化する方法が、米国特許第2,631,984号、同第3,099,644号、同第4,554,326号、同第4,681,921号、同第4,650,831号、同第4,384,072号、同第4,513,116号及び同第5,681,901号に開示されている。一実施形態において、ハロゲンは、例えば、ラバー・テクノロジーの298−299頁(1995)に記載されているような、いわゆるII及びIII構造をしている。一実施形態において、ブチルゴムは、ハロゲン化剤として臭素(Br)又は塩素(Cl)を用いて、40〜60℃にて、ヘキサン希釈剤中でハロゲン化される。ハロゲン化ブチルゴムは、一実施形態においては20〜70のムーニー粘度(Mooney Viscosity)(ML1+8、125℃)、別の実施形態においては25〜55のムーニー粘度を有する。ハロゲン含有量は、ハロゲン化ブチルゴムの重量を基準として、一実施形態においては0.1〜10重量%、別の実施形態においては0.5〜5重量%である。さらに別の実施形態において、ハロゲン化ブチルゴムにおけるハロゲンの重量%は1〜2.2重量%である。
【0057】
別の実施形態において、ハロゲン化ブチル又は星型分枝鎖状ブチルゴムは、ハロゲン化が事実上、主としてアリル型であるようにハロゲン化されていてもよい。このことは、通常、アリル型ハロゲン化ブチル及び星型分枝鎖状ブチルゴムが生成させるように、フリーラジカル臭素化若しくはフリーラジカル塩素化等の手段によって、又はゴムの加熱等の、求電子的にハロゲン化されたゴムの二次的処理等の方法によって達成することができる。アリル型ハロゲン化ポリマーを形成する一般的方法については、米国特許第4,632,963号;米国特許第4,649,178号;米国特許第4,703,091号においてガードナー(Gardner)らにより開示されている。したがって、本発明の一実施形態において、ハロゲン化ブチルゴムは、ハロゲン化マルチオレフィン単位が第一アリル型ハロゲン化単位となったものであり、第一アリル型構造が、一実施形態においては少なくとも20モル%(ハロゲン化マルチオレフィンの総量に対して)、別の実施形態においては少なくとも30モル%存在する。この配列は以下の(6)のように記載することができる。式中、Xはハロゲン、望ましくは塩素又は臭素であり、qは、ハロゲンの総モル量を基準として、一実施形態においては少なくとも20モル%、別の実施形態においては少なくとも30モル%、さらに別の実施形態においては25モル%〜90モル%である:
【0058】
【化3】

【0059】
本発明において有用なハロゲン化ブチルゴムの商業的実施形態は、ブロモブチル2222(エクソンモービル・ケミカル・カンパニー)である。そのムーニー粘度は27〜37であり(ML1+8、125℃、ASTM1646、修正)、臭素含有量はブロモブチル2222に対して1.8〜2.2重量%である。さらに、ブロモブチル2222の硬化特性は以下の通りである:MHは28〜40dN・mであり、MLは7〜18dN・mである(ASTM D2084、修正)。本発明において有用なハロゲン化ブチルゴムの別の商業的実施形態は、ブロモブチル2255(エクソンモービル・ケミカル・カンパニー)である。そのムーニー粘度は41〜51であり(ML1+8、125℃、ASTM1646、修正)、臭素含有量は1.8〜2.2重量%である。さらに、ブロモブチル2255の硬化特性は以下の通りである:MHは34〜48dN・mであり、MLは11〜21dN・mである(ASTM D2084、修正)。本発明は、ハロゲン化ゴム成分のいずれかの商業的供給源に限定されるものではない。
【0060】
本発明の臭素化ゴム成分の別の実施形態において、分枝鎖状又は「星型分枝鎖状」ハロゲン化ブチルゴムが使用される。一実施形態において、星型分枝鎖状ハロゲン化ブチルゴム(「SBHR」)は、ハロゲン化されているか又はされていないブチルゴムと、ハロゲン化されているか又はされていないポリジエン又はブロックコポリマーとの組成物である。ハロゲン化プロセスについては、米国特許第4,074,035号、同第5,071,913号、同第5,286,804号、同第5,182,333号及び同第6,228,978号に詳細に記載されている。本発明はSBHRを形成させる方法によって限定されない。ポリジエン類/ブロックコポリマー又は分枝化剤(以降「ポリジエン類」)は通常、陽イオン的に反応し、ブチル又はハロゲン化ブチルゴムのポリマー化中に含まれるか、あるいはブチル又はハロゲン化ブチルゴムとブレンドされることによりSBHRを形成させることができる。分枝化剤又はポリジエンは、任意の適当な分枝化剤とすることができ、本発明は、SBHRを製造するために使用されるポリジエンのタイプには限定されない。
【0061】
一実施形態において、SBHRは通常、上述のブチル又はハロゲン化ブチルゴムと、スチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリピペリレン、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンジエンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン及びスチレン−イソプレン−スチレンのブロックコポリマーを含む群から選択されるポリジエンおよび部分的水素化ポリジエンのコポリマーとの組成物である。これらのポリジエンは、モノマー重量%を基準として、一実施形態においては0.3重量%より多く、別の実施形態においては0.3〜3重量%、さらに別の実施形態においては0.4〜2.7重量%で存在する。
【0062】
本発明において有用なSBHRの商業的実施形態は、ブロモブチル6222(エクソンモービル・ケミカル・カンパニー)であり、27〜37のムーニー粘度(ML1+8、125℃、ASTM1646、修正)、SBHRに対し2.2〜2.6重量%の臭素含有量を有する。さらに、ブロモブチル6222の硬化特性は以下の通りである:MHは24〜38dN・mであり、MLは6〜16dN・mである(ASTM D2084、修正)。
【0063】
ハロゲン化ゴム成分は、本発明のブレンド中、一実施形態においては10〜90phr、別の実施形態においては20〜80phr、さらに別の実施形態においては30〜70phrで存在し、望ましい範囲はphrの任意の上限とphrの任意の下限との任意の組み合わせとすればよい。
【0064】
アミン機能性ハロゲン化エラストマー
上記ハロゲン化ポリマーにおけるハロゲンは、成分が高温で混合されると、マトリックスポリマー中に存在する官能基、例えば、酸、アミノ又はヒドロキシルの官能基と反応するか又は極性結合を形成することができる。本発明の一実施形態は、クレーとC〜Cイソオレフィン由来単位を含むハロゲン化エラストマーとを含むナノコンポジットであり;エラストマー中のハロゲン部分は、ハロゲン化エラストマーが、エラストマーEにペンダントする以下の基によって表されるアミン−機能性モノマー単位をさらに含むように、アミン−機能性基と求電子的に置換されている:
【0065】
【化4】

【0066】
式中、R及びRは同一であるか又は異なり、水素、C〜Cアルキル及び、第1級又は第2級アルキルハロゲン化物から選択され;R、R及びRは同一であるか又は異なり、水素、C〜C20のアルキル、アルケン又はアリール、置換C〜C20のアルキル、アルケン又はアリール、C〜C20脂肪族アルコール又はエーテル、C〜C20のカルボン酸、ニトリル、エトキシル化アミン、アクリレート、エステル及びアンモニウムイオンから選択される。望ましい実施形態において、R、R及びRのうちの少なくとも一つは、C〜C20アルケン、C〜C20脂肪族アルコール、C〜C20脂肪族エーテル、C〜C20カルボン酸、ニトリル、エトキシル化アミン、アクリレート、エステル及びアンモニウムイオンから選択される。別の実施形態において、R、R及びRは同じであるか又は異なり、C〜C20アルキル、C〜C20エトキシ、又はポリエトキシから選択される。
【0067】
一実施形態において、ハロゲン化エラストマーEは、C〜Cイソオレフィン由来単位、パラ−メチルスチレン由来単位及びパラ−(ハロメチルスチレン)由来単位を含む。
【0068】
別の実施形態において、ハロゲン化エラストマーEは、C〜Cイソオレフィン由来単位、マルチオレフィン由来単位、及びハロゲン化マルチオレフィン由来単位を含む。
【0069】
エラストマーEにペンダントする官能基はさらに、R、R及びRのうちの少なくとも1つが、C〜C20脂肪族アルコール又はエーテル、C〜C20カルボン酸、ニトリル、エステル、アンモニウムイオン、又はアクリレート基から選択され、アクリレートは以下の式によって表される:
【0070】
【化5】

【0071】
式中、R、R及びRは同一であるか又は異なり、水素及びC〜Cアルキル又はアルケニルから選択される。
【0072】
別の実施形態において、アミン−機能性基は、以下の構造を有するエトキシル化アミン(又は対応するアンモニウムイオン)から選択される:
【0073】
【化6】

【0074】
式中、RはC〜C20アルキルであり;x+yは2〜50の数であり、好ましくはx+yは2、5、10、15、又は50である。
【0075】
別の実施形態において、アミン−機能性基は、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノメチルアクリレート、N−メチルアミノ−ビス−2−プロパノール、N−エチルアミノ−ビス−2−プロパノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノプロパノール、ジエチルエタノールアミン、ジメチルアミノ−1−プロパノール、トリプロパノールアミン、トリエタノールアミン、アミノラウリン酸、ベタイン、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0076】
アミン−機能性由来単位は、一実施形態においてはエラストマーの0.01重量%〜10重量%、別の実施形態においては0.1重量%〜8重量%、さらに別の実施形態においては0.2〜6重量%でハロゲン化エラストマー上に存在してもよく、望ましい範囲は重量%の任意の上限と重量%の任意の下限との任意の組み合わせとすればよい。
【0077】
本発明のナノコンポジットのポリマー成分は、上記エラストマー類のいずれかに記載されたような少なくとも1つのエラストマーを含んでもよいし、又は上述の少なくとも2つ又はそれ以上のエラストマーの任意の組み合わせを含んでもよい。一実施形態において、エラストマーは、少なくとも1つのイソブチレンベースのポリマーを含む。別の実施形態において、エラストマーは、少なくとも1つのイソブチレンベースのポリマー及び少なくとも1つの他のゴムを含む。さらに別の実施形態において、エラストマーは、少なくとも2つ又はそれ以上のイソブチレンベースのポリマーを含む。
【0078】
2級ゴム成分
2級ゴム又は「汎用ゴム」成分は、本発明の組成物類及び最終用途物品類中に存在し得る。これらのゴムには、限定されるものではないが、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリ(スチレン−co−ブタジエン)ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリ(イソプレン−co−ブタジエン)ゴム(IBR)、スチレン−イソプレン−ブタジエンゴム(SIBR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ポリスルフィド、ニトリルゴム、プロピレンオキシドポリマー類、星型分枝鎖状ブチルゴム及びハロゲン化星型分枝鎖状ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、星型分枝鎖状ポリイソブチレンゴム、星型分枝鎖状臭素化ブチル(ポリイソブチレン/イソプレンコポリマー)ゴム;ポリ(イソブチレン−co−p−メチルスチレン)及び、例えば、イソブチレン由来単位、p−メチルスチレン由来単位、及びp−ブロモメチルスチレン由来単位のターポリマー等のハロゲン化ポリ(イソブチレン−co−p−メチルスチレン)、及びそれらの混合物を含む。
【0079】
存在する2級ゴム成分の望ましい実施形態は、天然ゴムである。天然ゴムは、ラバー・テクノロジー、179−208頁(モーリス・モートン、チャプマン・アンド・ホール、1995)中に、サブラマニアム(Subramaniam)により詳述されている。本発明の天然ゴムの望ましい実施形態は、SMR CV、SMR5、SMR10、SMR20、及びSMR50等のマレーシアゴム及びそれらの混合物から選択され、その天然ゴムは、100℃(ML1+4)でのムーニー粘度が30〜120、より好ましくは40〜65である。本明細書中に参照されるムーニー粘度試験は、ASTM D−1646に基づく。
【0080】
ポリブタジエン(BR)ゴムは、本発明の組成物において有用な、別の望ましい2級ゴムである。100℃(ML1+4)で測定したときのポリブタジエンゴムのムーニー粘度は、35〜70の範囲であればよく、別の実施形態においては40〜約65であり、さらに別の実施形態においては45〜60であればよい。本発明で有用な、これらの合成ゴムにおけるいくつかの市販品の例は、NATSYN(商標)(グッドイヤー・ケミカル・カンパニー(Goodyear Chemical Company))及びBUDENE(商標)1207又はBR 1207(グッドイヤー・ケミカル・カンパニー)である。望ましいゴムは高cis−ポリブタジエン(cis−BR)である。「高cis−ポリブタジエン」は、1,4−cisポリブタジエンが用いられ、cis成分の量が少なくとも95%であることを意味する。本明細書中に記載の有用な高cis−ポリブタジエン市販製品の例は、BUDENE(商標)1207である。
【0081】
EPM及びEPDM等のエチレン及びプロピレン由来単位のゴムも、2級ゴムとして好適である。EPDMの製造において好適なコモノマーの例は、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンであり、その他のものもある。これらのゴムは、ラバー・テクノロジー、260−283頁(1995)中に記載されている。好適なエチレン−プロピレンゴムは、VISTALON(商標)の商品名(エクソンモービル・ケミカル・カンパニー、テキサス州ヒューストン)で市販されている。
【0082】
別の実施形態において、2級ゴムは、ターポリマー組成物の一部としてのハロゲン化ゴムである。ハロゲン化ブチルゴムは、臭素化ブチルゴムであり、別の実施形態においては塩素化ブチルゴムである。ハロゲン化ブチルゴムの一般的な特性及び加工は、ヴァンダービルト・ラバー・ハンドブック、105−122頁(ロバート F.オーム編,R.T.ヴァンダービルト・カンパニー・インコーポレイテッド、1990)、及びラバー・テクノロジー、311−321頁(1995)中に記載されている。ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、及び星型分枝鎖状ブチルゴムは、8巻カーク・オスマー工業化学百科事典、934−955頁(ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド 1993)中で、エドワード・クレスギ及びH.C.ワンにより記載されている。
【0083】
本発明の2級ゴム成分は、限定されるものではないが、臭素化ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、星型分枝鎖状ポリイソブチレンゴム、星型分枝鎖状臭素化ブチル(ポリイソブチレン/イソプレンコポリマー)ゴム;例えば、イソブチレン由来単位、p−メチルスチレン由来単位、及びp−ブロモメチルスチレン由来単位のターポリマー(BrIBMS)類等のハロゲン化ポリ(イソブチレン−co−p−メチルスチレン)、及び、米国特許第5,162,445号;米国特許第4,074,035号;及び米国特許第4,395,506号中に記載の同様のハロメチル化芳香族インターポリマー類;ハロゲン化イソプレン及びハロゲン化イソブチレンコポリマー類、ポリクロロプレン等、及び上記の任意の混合物の、少なくとも1つ又はそれ以上を含む。ハロゲン化ゴム成分のいくつかの実施形態は、米国特許第4,703,091号及び米国特許第4,632,963号中にも記載されている。
【0084】
本発明の一実施形態において、いわゆる半結晶性コポリマー(「SCC」)が、2級「ゴム」成分として存在する。有用な半結晶性コポリマーが、国際公開第00/69966号中に記載されている。通常、SCCは、エチレン又はプロピレン由来単位、及びα−オレフィン由来単位のコポリマーであり、一実施形態において、α−オレフィンは4〜16炭素原子を有し、別の実施形態においては、SCCは、エチレン由来単位及びα−オレフィン由来単位のコポリマーであり、α−オレフィンは4〜10炭素原子を有して、このSCCはある程度の結晶化度を有する。さらなる実施形態において、SCCは、1−ブテン由来単位及び別のα−オレフィン由来単位のコポリマーであり、この別のα−オレフィンは5〜16炭素原子を有し、このSCCも、ある程度の結晶化度を有する。SCCは、エチレン及びスチレンのコポリマーでとすることもできる。
【0085】
一実施形態において、エラストマー組成物の2級ゴム成分は、90phrまでの範囲で存在してもよく、別の実施形態において50phrまで、別の実施形態において40phrまで、さらに別の実施形態において30phrまでの範囲で存在してもよい。さらに別の実施形態において、2級ゴムは、少なくとも2phr以上存在し、別の実施形態において少なくとも5phr以上存在し、さらに別の実施形態において少なくとも10phr以上存在する。望ましい実施形態では、任意の上限phr及び任意の下限phrの任意の組み合わせが含まれればよい。例えば、NR及びBR等の各ゴム又はゴムの混合物である2級ゴムは、一実施形態において5phr〜90phrで存在してもよく、別の実施形態において10phr〜80phrで存在し、さらに別の実施形態において30phr〜70phrで存在し、さらに別の実施形態において40phr〜60phrで存在し、さらに別の実施形態において5phr〜50phrで存在し、さらに別の実施形態において5phr〜40phrで存在し、さらに別の実施形態において20phr〜60phrで存在し、さらに別の実施形態において20phr〜50phrで存在してもよい、実施形態は、その組成物の所望の最終用途に応じて選択される。
【0086】
充填剤類、添加剤類及び硬化剤類
本発明の組成物は、炭酸カルシウム、クレー、雲母、シリカ及びケイ酸塩、タルク、二酸化チタン、及びカーボンブラック等の、1つ又はそれ以上の充填剤成分を含んでも良い。本明細書中で使用されるとき、充填剤は、ナノコンポジットマトリックスの一部を形成する無機粒子、例えば、大きさがナノメートルの範囲であるクレー粒子等を含まない。しかし、より大きなクレー粒子であれば、所望によりナノコンポジット中の充填剤として使用することができる。一実施形態において、充填剤はカーボンブラック又は修飾カーボンブラックである。好ましい充填剤は、混合物に対し10〜150phrのレベルで存在する、より好ましくは30〜120phrのレベルで存在する、半補強性グレード(semi−reinforcing grade)のカーボンブラックである。ラバー・テクノロジー、59−85(1995)に記載される、有用なグレードのカーボンブラックは、N110〜N990である。より望ましくは、例えば、タイヤのトレッドにおいて有用なカーボンブラックの実施形態は、ASTM(D3037、D1510、及びD3765)規格のN229、N351、N339、N220、N234及びN110である。例えば、タイヤの側壁において有用なカーボンブラックの実施形態は、N330、N351、N550、N650、N660、及びN762である。例えば、タイヤのインナーライナーにおいて有用なカーボンブラックの実施形態は、N550、N650、N660、N762、及びN990である。
【0087】
本発明の組成物は、混合物の機能性エラストマー性コポリマー成分を硬化させて加硫可能な組成物を提供することができる硬化系を任意に含んでもよい。本発明のエラストマー性コポリマー成分に関し好適な硬化系は、有機ペルオキシド類、ステアリン酸亜鉛又はステアリン酸と組み合わせた酸化亜鉛、及び、任意であるが、1つ又はそれ以上の以下の促進剤又は加硫化剤を含む:パーマラックス(Permalux)(ジカテコ−ルボレートのジ−オルトートリルグアニジン塩)、HVA−2(m−フェニレンビスマレイミド)、ジスネット(Zisnet)(2,4,6−トリメルカプト−5トリアジン)、ZDEDC(亜鉛ジエチルジチオカルバメート)及びその他のジチオカルバメート類、テトロンA(Tetrone A)(ジペンタ−メチレンチウラムヘキサスルフィド)、Vultac−5(アルキル化フェノールジスルフィド)、SP1045(フェノールホルムアルデヒド樹脂)、SP1056(臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂)、DPPD(ジフェニルフェニレンジアミン)、サリチル酸(o−ヒドロキシ安息香酸)、ウッドロジン(アビエチン酸)、及び硫黄と組み合わせたTMTDS(テトラメチルチウラムジスルフィド)。本組成物はさらに、紫外光又は電子線照射を用いて硬化させてもよい。
【0088】
本発明の組成物は、色素類、染料類、抗酸化剤類、熱安定化剤類、光安定化剤類、可塑剤類、オイル類及び、当該技術分野で公知のその他の成分等、その他の従来の添加剤を含んでもよい。
【0089】
充填剤、添加剤、及び/又は硬化的成分の混合は、所望の成分と本発明のナノコンポジットとをBanbury(商標)ミキサー、Brabender(商標)ミキサー又は好ましくはミキサー/エクストルーダー等の任意の好適な混合デバイス中にて組み合わせ、ポリマー内にその成分が均一に分散されたナノコンポジットを形成することができるよう十分な剪断条件下で、120℃〜300℃における範囲の温度で混合することによって実施することができる。
【0090】
本発明の組成物は、繊維類、フィルム類、自動車部品等の工業部品類、電化製品の筺体類、消費財類、包材類等の各種の形状の物品類へと、押出成型されたり、圧縮成型されたり、ブロー成型されたり注入成型されたりすればよい。得られる物品類は、高い衝撃強度及び低い気体透過性を呈し得る。特に、本明細書中に記載の組成物は、空気袋、及び自動車(トラック、業務用及び/又は乗客用を含む)又は航空機のインナーライナー類及びインナーチューブ類等のエアーバリアとして有用である。
【0091】
クレー類
本発明のナノコンポジットは、膨潤性の無機クレーを含み得る。本発明の目的にふさわしい膨潤性の層状無機クレー素材としては、天然又は合成フィロケイ酸塩類、特に、モンモリロナイト、ノントロナイト、バイデライト、ボルコンスコアイト、ラポナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、マガダイト、ケニアイト、スティーブンサイト等のスメクチッククレー、ならびにバーミキュライト、ハロイサイト、アルミネートオキシド類、ハイドロタルサイトおよびその類似物挙げられる。これらの層状クレーは、通常、4Å以下の層間空間で強固に相互結合した厚さ5〜20Å、好ましくは8〜12Åの複数のケイ酸塩プレートレットを含む粒子を含有し、層間の表面に存在するNa、Ca+2、K又はMg+2等の交換可能なカチオンを含む。
【0092】
層状クレーは、クレーを水溶液中に懸濁することにより剥離することができる。水中のクレーの濃度は、クレー粒子間の相互作用を最小化し、クレーを完全に剥離させるために十分低くなっていることが好ましい。一実施形態において、クレーの水性スラリーは、0.1〜5.0重量%のクレー濃度を有し;その他の実施形態においては、0.1〜3.0重量%のクレー濃度を有する。
【0093】
本発明による、ナノコンポジット中に取り込まれるクレー又は剥離クレーの量は、ナノコンポジットの機械的特性又はバリア特性、例えば、引っ張り強度又は酸素透過性における向上を生じるのに十分な量である。ナノコンポジット中のクレーの量は、ナノコンポジット中のポリマー含量に基づくと、通常は一実施形態において0.5〜10重量%であり、別の実施形態においては1〜5重量%である。ゴム100部あたりの比率で表現すると、クレー又は剥離クレーは、一実施形態において1〜30phr、別の実施形態において2〜20phr、及び別の実施形態において3〜10phrとすることができる。
【0094】
ナノコンポジットの加工
本発明のナノコンポジットは、エマルジョンプロセスにより製造することができる。一実施形態において、このプロセスには、無機クレーの水性スラリーをポリマー溶液(セメント)と混合することを含めることができる。エマルジョン又はミクロエマルジョンを形成するように、混合は、十分に力強いものである必要がある。いくつかの実施形態において、エマルジョンは、水性溶液又は有機溶液中の懸濁液として形成され得る。バッチプロセス及び連続プロセスを含む、ラボレベルの製造及び大規模製造の両方に対して標準的である方法及び装置を、本発明のポリマー性ナノコンポジットの製造に使用すればよい。
【0095】
特定の実施形態において、ナノコンポジットは、水及び少なくとも1つの層状クレーを含む溶液Aを、溶媒及び少なくとも1つのエラストマーを含む溶液Bと接触させる工程;及び、溶液A及び溶液Bの接触生成物から溶媒及び水を除去してナノコンポジットを回収する工程、を含むプロセスにより製造される。
【0096】
いくつかの実施形態において、ナノコンポジットは、水及び少なくとも1つの層状クレーを含む溶液Aを、溶媒及び少なくとも1つのエラストマーを含む溶液Bと接触させる工程を含むプロセスにより製造され、その接触はエマルジョン化剤又は界面活性剤の存在下で行われる。
【0097】
本発明のエマルジョン類は、従来のエマルジョン技術、すなわち、炭化水素、水及び界面活性剤の混合物を、使用時に、市販のブレンダー又はその等価物にいれて、エマルジョンの形成にとって十分な時間、例えば通常少なくとも数秒間十分に剪断することにより形成される。一般的なエマルジョンに関する情報は、通常「コロイド系と界面(Colloidal Systems and Interfaces)」,S.ロス及びI.D.モリソン,J.W.ワイリー,ニューヨーク,1988を参照されたい。エマルジョンについては、場合により連続的又は断続的な混合又は攪拌をしつつ、場合により加熱又はその他の温度調節をしつつ、クレーの剥離を促進するために十分な期間エマルジョンの形態で維持することが可能であり、一実施形態においては0.1〜100時間又はそれ以上、別の実施形態においては1〜50時間、及び別の実施形態においては2〜20時間、維持することが可能である。
【0098】
特定の実施形態において、エマルジョンは、混合物を高剪断ミキサーによって攪拌することによって形成される。
【0099】
使用時の界面活性剤濃度は、相対的に安定なエマルジョンの形成を可能にするために十分なものである。好ましくは、利用される界面活性剤の量は、少なくとも総エマルジョンの0.001重量%、より好ましくは約0.001〜約3重量%、最も好ましくは0.01〜2重量%未満である。
【0100】
本発明のエマルジョン調製において有用なカチオン性界面活性剤類は、第3アミン類、ジアミン類、ポリアミン類、アミン塩類ならびに第4級アンモニウム化合物類を含む。本発明のエマルジョン調製において有用な非イオン性界面活性剤は、アルキルエトキシレート類、直鎖状アルコールエトキシレート類、アルキルグルコシド類、アミドエトキシレート類、アミンエトキシレート類(例えばココ−、獣脂−、及びオレイル−アミンエトキシレート類)、フェノールエトキシレート類、及びノニルフェノールエトキシレート類を含む。
【0101】
その他の実施形態において、ナノコンポジットは、無機クレーの水性スラリーをポリマー溶液と混合することを含むプロセスにより製造され、そのポリマーは以下により記載されるアミン−機能性モノマー単位を含む:
【0102】
【化7】

【0103】
式中、R10及びR11は同一であるか又は異なり、水素、C〜Cアルキル及び、第1級又は第2級アルキルハロゲン化物のうちのひとつであり;R、R及びRは同一であるか又は異なり、水素、C〜C20のアルキル、アルケン又はアリール、置換C〜C20のアルキル、アルケン又はアリール、C〜C20脂肪族アルコール又はエーテル、C〜C20カルボン酸、ニトリル、エトキシル化アミン、アクリレート、エステル及びアンモニウムイオンから選択される。官能基及び任意の成分について、上記記載の通りであり、量についても既に示してある。
【0104】
一実施形態において、エラストマー及び機能性アミンは最初の工程中で合わせられ、次いで、少なくとも1つのクレーを含む水性スラリーと共にエマルジョン化される。
【0105】
特定の実施形態において、少なくとも1つのR、R及びRはC〜C20脂肪族アルコール又はエーテルとすることができる。これらの実施形態において、アミン機能性ポリマーは、安定的なエマルジョンを形成するための追加の界面活性剤又はエマルジョン化剤の必要性を低減し又は最小化する自己エマルジョン化剤として作用し得る。アミン−機能性ポリマーは、水相からのクレーの抽出を促進し、クレーの剥離を促すことができる。特定の実施形態において、官能基はN−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン又はそれらの組み合わせとすることができる。ミクロエマルジョン中で、水性クレースラリーを機能性ポリマー類の有機溶液と接触させることにより、剥離したクレー及びポリマー類、特に機能性イオン性ポリマー類との間の相互作用が原動力となって、(図1に示すように)ポリマーマトリックス中で剥離したクレーを維持することができ、クレーの剥離が促され、バリア特性が向上したナノコンポジットが得られる。
【0106】
エマルジョンプロセスにより形成されるナノコンポジットは、例えば、溶液からポリマーを沈殿させ、溶媒、貧溶媒、及び水から沈殿したポリマー/クレーナノコンポジットを回収し、回収されたナノコンポジットを乾燥する等のプロセスにより、回収することができる。あるいは、有機溶媒を、蒸気を用いて蒸発させ、得られるポリマースラリーを一連の押出成型に通してナノコンポジットを乾燥させることができる。ナノコンポジットを回収するためのその他の方法も使用することができ;本発明の範囲は、特定の回収方法に何ら限定されない。
【0107】
最終的な組成物は、エアーバリア、特にインナーチューブ及びインナーライナーなどのような物品類へと形成可能であり硬化可能である。
【0108】
ポリマー溶液の形成に用いられる好適な溶媒は、国際公開第02/100935号、及び国際公開第02/100936号中に十分に記載されている。好ましくは、溶媒は、1つ又はそれ以上のアルカン、アルケン、芳香族、ニトロ化アルカン、ハロゲン化アルカン又はそれらの混合物を含む。好ましくは、溶媒は、1つ又はそれ以上のC〜C40直鎖状、分枝鎖状、又は環状アルカンを含む。好ましくは、溶媒は、1つ又はそれ以上のヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、テトラヒドロフラン、ブタン、イソブテン、ペンタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、ドデカン又はそれらの混合物を含む。
【0109】
上記実施形態において、溶媒は、ナノコンポジット組成物の製品中に、ポリマー溶液の総重量に対して30〜99重量%、あるいは40〜99重量%、あるいは50〜99重量%、あるいは60〜99重量%、あるいは70〜99重量%、あるいは80〜99重量%、あるいは90〜99重量%、あるいは95〜99重量%、あるいは70〜90重量%、あるいは75〜90重量%で存在することができる。
【0110】
さらに、特定の実施形態において、ナノコンポジット組成物の製造において2種類又はそれ以上の溶媒が調製される場合、各溶媒は、存在する全溶媒の総量を100容量%として、0.1〜99.9容量%、あるいは1〜99容量%、あるいは5〜95容量%、あるいは10〜90容量%を構成すればよい。
【0111】
水性スラリーのクレー及び水は、クレーを剥離するのに十分な時間、クレーと水とを室温で混ぜることにより、調製することができる。一実施形態において、クレー及び水は0.25〜24時間混ぜてもよい。その他の実施形態において、クレー及び水は4〜16時間、又は10〜14時間撹拌してもよい。
【0112】
特定の実施形態において、クレーの水性スラリーを調製する場合、クレーは、前記スラリーの総重量に基づいて水性スラリーの0.01〜40重量%、あるいは0.1〜5.0重量%、あるいは0.3〜3.0重量%を構成する。
【0113】
特定の実施形態において、エマルジョン中のポリマー溶液に対するクレーの水性スラリーの容量比は0.01:1〜1:1;あるいは0.1:1〜0.9:1;あるいは0.3:1〜0.7:1とすることができる。
【0114】
特定の実施形態において、クレーの水性スラリーのpHは酸性、中性、又は塩基性とすることができる。一実施形態において、クレーの水性スラリーのpHは4〜13の間とすることができる。
【0115】
さらに別の実施形態において、本発明は、エラストマーの空気透過性を向上させるプロセスを提供するもので、このプロセスは、少なくとも1つのエラストマー溶液と、修飾されていない層状の充填剤(一例としては無機クレー等)を含む少なくとも1つの水性スラリーとを接触させてナノコンポジットを形成することを含む。このナノコンポジットの酸素透過度は、本明細書中に記載されるような硬化したナノコンポジット組成物類又は物品類で測定した場合、40℃又はそれ以下において、150mm.cc/[m.日]である。
【0116】
あるいは、本明細書中に記載の硬化したナノコンポジット化合物質で測定した場合、酸素透過率は、40℃又はそれ以下において、150mm.cc/[m.日]であり;本明細書中に記載の硬化したナノコンポジット化合物類で測定した場合、酸素透過率は、40℃又はそれ以下において、140mm.cc/[m.日]であり;本明細書中に記載の硬化したナノコンポジット化合物類で関し測定した場合、酸素透過率は、40℃又はそれ以下において、130mm.cc/[m.日]であり;本明細書中に記載の硬化したナノコンポジット化合物類で測定した場合、酸素透過率は、40℃又はそれ以下において、120mm.cc/[m.日]であり;本明細書中に記載の硬化したナノコンポジット化合物類で測定した場合、酸素透過率は、40℃又はそれ以下において、110mm.cc/[m.日]であり;本明細書中に記載の硬化したナノコンポジット化合物類で測定した場合、酸素透過率は、40℃又はそれ以下において、100mm.cc/[m.日]であり;又は、本明細書中に記載の硬化したナノコンポジット化合物類で測定した場合、酸素透過率は、40℃又はそれ以下において、90mm.cc/[m.日]である。
【0117】
ブチルゴムの統合的なハロゲン化及びナノコンポジット加工
上述のプロセスによってナノコンポジットを形成する際に、ポリマー中の官能性にイオン性がある場合、強いイオン性相互作用が生じ、このため、導入され得る官能基の量が限定される。官能度が高くなると、ゲル形成がもたらされ、加工することができないポリマーが生じてしまう。図2に示され、本明細書中に記載されるプロセスにより、ポリマー製品中のクレーの挿入及び剥離を最大化することができる。ヘキサン又はその他の溶媒中のゴム溶液10は、ハロゲン化反応槽14中で、強力な混合の下でハロゲン12と接触し、反応槽流出物16を生じる。このハロゲン化ゴム溶液16を、次いで、水性腐食剤18により容器20中で中和する。ブチルゴム類のハロゲン化は、米国特許第4,074,035号、同第5,071,913号、同第5,286,804号、同第5,182,333号、及び同第6,228,978号、及びラバー・テクノロジー,298−300(モーリス・モートン編,チャプマン・アンド・ホール 1995)中に詳述されている。
【0118】
中和されたハロゲン化ゴム流体22は、2つの部分24、26へと分割され得る。ハロゲン化されたゴム部分24は、容器30中で官能化剤28と反応させられる。このゴムは、例えば、上述のアミンにより官能化され得る。完成された製品中の官能度が高くなるのは望ましくないため、流体24は、流体22の1〜30%とすればよく、あるいは、流体24は、流体22の5〜20%とすればよく、あるいは流体22の8〜15%とすればよい。
【0119】
容器30からの機能性ゴム流出物32は、ポンプ又は容器36中で、上述のように水性無機クレースラリー34でエマルジョン化され本発明のナノコンポジットを形成し、流体38として容器36から回収することができる。次いでこのナノコンポジット流体38を、ハロゲン化ゴム部分26と合わせることができる。
【0120】
合わさった流体40は、溶媒及び水からナノコンポジット混合物を分離するために処理され得る。一実施例として、流体40中のヘキサンを、蒸気により蒸発させることができ、このヘキサンは回収して再利用可能である。次いで、ゴムの水スラリーを、一連の押出成形機で仕上げて乾燥ゴムベールとすることができる。
【0121】
好ましい実施形態において、本明細書中に記載のプロセスは、1)エーテル類、アミン類、アミド類、エステル類、酸類及びヒドロキシル類からなる群より選択される1つ又はそれ以上の官能基を含むイソブチレンポリマー;及び2)その中に均一に分散した、平均厚さ20ナノメートル未満(好ましくは、透過電子顕微鏡法(Transmission Electron Microscopy)による測定で10ナノメートル未満、好ましくは5ナノメートル未満、好ましくは3ナノメートル未満)の無機クレーナノ粒子、を含む、ナノコンポジットを製造する。その中に均一に分散したとは、粒子が凝集せず、好ましくは、TEMで見ると、粒子の少なくとも80%がイソブチレンポリマーに取り囲まれていることを意味し、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは100%が、イソブチレンポリマーに取り囲まれていることを意味する。
【0122】
別の実施形態において、本発明は以下に関する:
1. 1)クレーの水性スラリーをポリマーの有機溶媒溶液と混合し、ポリマークレーナノコンポジットを含むエマルジョンを形成する工程;及び2)前記エマルジョンから前記ナノコンポジットを回収する工程、を含む、ナノコンポジットの製造プロセス。
【0123】
2. 前記スラリーが無機クレーを含む、項目1記載のプロセス。
【0124】
3. 前記スラリーが有機クレーを実質的に含有しない、項目1又は2記載のプロセス。
【0125】
4. 前記ポリマー溶液がハロゲン化ポリマーを含む、項目1、2又は3記載のプロセス。
【0126】
5. 前記ポリマーがハロゲン化イソブチレンポリマーを含む、項目1〜4のいずれか1項に記載のプロセス。
【0127】
6. 前記エマルジョンがエマルジョン化剤を含む、項目1〜5のいずれか1項に記載のプロセス。
【0128】
7. 前記回収が、前記ナノコンポジットを少なくとも1相の前記エマルジョンから濾過することを含む、項目1〜6のいずれか1項に記載のプロセス。
【0129】
8. 前記回収が、前記ナノコンポジットを、貧溶媒を用いて沈殿させることを含む、項目1〜7のいずれか1項に記載のプロセス。
【0130】
9. 前記回収が、少なくとも1相の前記エマルジョンから液体を蒸発させることを含む、項目1〜8のいずれか1項に記載のプロセス。
【0131】
10. 無機クレーを水中でスラリー化して水性スラリーを形成する工程;
ハロゲン化イソブチレンポリマーを有機溶媒中に溶解して水非混和性のポリマー溶液を形成する工程;
前記スラリーを、前記ポリマー溶液を用いてエマルジョン化し、ポリマークレーナノコンポジットを形成する工程;
前記ナノコンポジットを回収する工程、を含む、ナノコンポジットの製造プロセス。
【0132】
11. 前記エマルジョン化がエマルジョン化剤の存在下である、項目10記載のプロセス。
【0133】
12. 前記ポリマー溶液が、アンモニウム機能性基を含むポリマー鎖Eをさらに含む、項目10記載のプロセス。
【0134】
13. 前記ポリマー溶液が、アンモニウム機能性基を含むポリマー鎖Eをさらに含む、項目11記載のプロセス。
【0135】
14. 前記アンモニウム機能性基が、前記ポリマー鎖Eにペンダントする以下の基により記載される、項目12又は13記載のプロセス:
【0136】
【化8】

【0137】
式中、R及びRは同一であるか又は異なり、水素、C〜Cアルキル、及び第1級又は第2級アルキルハロゲン化物のうちのひとつであり;R、R及びRは同一であるか又は異なり、水素、C〜C20のアルキル、アルケン又はアリール、置換C〜C20のアルキル、アルケン又はアリール、C〜C20脂肪族アルコール又はエーテル、C〜C20カルボン酸、ニトリル、エトキシル化アミン、アクリレート、エステル及びアンモニウムイオンから選択される。
【0138】
15. 前記アンモニウム機能性基が、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、又はこれらの組み合わせからなる群より選択される、項目14記載のプロセス。
【0139】
16. 前記エマルジョン化剤が、第3アミン、ジアミン、ポリアミン、アミン塩、第4級アンモニウム化合物、アルキルグルコシド、及びエトキシレートからなる群より選択される、項目11記載のプロセス。
【0140】
17. 前記エマルジョン化剤が、アルキルエトキシレート、直鎖状アルコールエトキシレート、アミドエトキシレート、アミンエトキシレート、又はフェノールもしくはアルキルフェノールエトキシレートを含む、項目11記載のプロセス。
【0141】
18. 前記エマルジョン化剤が、ココアミンエトキシレート、獣脂アミンエトキシレート、オレイルアミンエトキシレート又はノニルフェノールエトキシレートを含む、項目11記載のプロセス。
【0142】
19. 前記無機クレーがケイ酸塩を含む、項目10〜18のいずれか1項に記載のプロセス。
【0143】
20. 前記ケイ酸塩が、スメクタイトクレーを含む、項目19記載のプロセス。
【0144】
21. 前記スメクタイトクレーが、モンモリロナイト、ノントロナイト、バイデライト、ベントナイト、ボルコンスコアイト、ラポナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、マガダイト、ケニアイト、スティーブンサイト、バーミキュライト、ハロイサイト、ハイドロタルサイト、又はそれらの組み合わせを含む、項目20記載のプロセス。
【0145】
22. 前記スメクタイトクレーが、モンモリロナイト、ベントナイト、バーミキュライト、又はそれらの混合物を含む、項目20記載のプロセス。
【0146】
23. 前記ポリマーがイソブチレンポリマーを含む、項目10〜22のいずれか1項に記載のプロセス。
【0147】
24. 前記イソブチレンポリマーが、C〜Cイソオレフィン及びアルキルスチレンのインターポリマーを含む、項目23記載のプロセス。
【0148】
25. 前記アルキルスチレンがパラ−メチルスチレンを含む、項目24記載のプロセス。
【0149】
26. 前記イソオレフィンがイソブチレンを含む、項目25記載のプロセス。
【0150】
27. 前記イソブチレンポリマーが、ハロゲン化物、エーテル、アミン、アミド、エステル、酸、及びヒドロキシルからなる群より選択される官能基類を含む、項目25記載のプロセス。
【0151】
28. 前記イソブチレンポリマーが、臭素又は塩素によりハロゲン化されている、項目25記載のプロセス。
【0152】
29. 前記溶媒が、アルカン、アルケン、芳香族、ニトロ化アルカン、ハロゲン化アルカン又はそれらの混合物を含む、項目10〜28のいずれか1項に記載のプロセス。
【0153】
30. 前記イソブチレンポリマーが、1〜30重量%の前記ポリマー溶液を含む、項目10〜29のいずれか1項に記載のプロセス。
【0154】
31. 前記イソブチレンポリマーが、10〜25重量%の前記ポリマー溶液を含む、項目10〜29のいずれか1項に記載のプロセス。
【0155】
32. 前記無機クレーが、0.1〜10重量%の前記クレーの水性スラリーを含む、項目10〜31のいずれか1項に記載のプロセス。
【0156】
33. 前記無機クレーが、0.3〜3重量%の前記クレーの水性スラリーを含む、項目10〜32のいずれか1項に記載のプロセス。
【0157】
34. 前記水性スラリーのpHが4〜13である、項目10〜33のいずれか1項に記載のプロセス。
【0158】
35. 工程(c)におけるスラリー対ポリマー溶液の容積比が、0.01:1〜1:1である、項目10〜34のいずれか1項に記載のプロセス。
【0159】
36. 工程(c)におけるスラリー対ポリマー溶液の容積比が、0.1:1〜0.9:1である、項目35のいずれか1項に記載のプロセス。
【0160】
37. 工程(c)におけるスラリー対ポリマー溶液の容積比が、0.3:1〜0.7:1である、項目35記載のプロセス。
【0161】
38. 前記回収が、前記ナノコンポジットを少なくとも1相の前記エマルジョンから濾過することを含む、項目10〜37のいずれか1項に記載のプロセス。
【0162】
39. 前記回収が、前記ナノコンポジットを、貧溶媒を用いて沈殿させることを含む、項目10〜38のいずれか1項に記載のプロセス。
【0163】
40. 前記回収が、少なくとも1相の前記エマルジョンから液体を蒸発させることを含む、項目10〜39のいずれか1項に記載のプロセス。
【0164】
41. エーテル、アミン、アミド、エステル、酸、及びヒドロキシルからなる群より選択される1つ又はそれ以上の官能基を含むイソブチレンポリマー、及び、その中に均一に分散し平均厚さが20ナノメートル未満のを有する無機クレーナノ粒子を含む、項目1〜39のいずれか1項に記載のナノコンポジット。
【0165】
42. 前記イソブチレンポリマーが、C〜Cイソオレフィンとアルキルスチレンとのインターポリマーを含む、項目41記載のナノコンポジット。
【0166】
43. 前記アルキルスチレンがパラ−メチルスチレンを含む、項目42記載のナノコンポジット。
【0167】
44. 前記イソオレフィンがイソブチレンを含む、項目42記載のナノコンポジット。
【0168】
45. 前記イソブチレンポリマーが、ハロゲン化物、エーテル、アミン、アミド、エステル、酸、及びヒドロキシルからなる群より選択される2又はそれ以上の官能基を含む、項目41、42、43又は44記載のナノコンポジット。
【0169】
46. 前記イソブチレンポリマーが臭素又は塩素によってハロゲン化されている、項目41〜45のいずれか1項に記載のナノコンポジット。
【0170】
47. 前記無機クレーがケイ酸塩を含む、項目41〜46のいずれか1項に記載のナノコンポジット。
【0171】
48. 前記無機クレーがスメクタイトクレーを含む、項目41〜46のいずれか1項に記載のナノコンポジット。
【0172】
49. 前記スメクタイトクレーが、モンモリロナイト、ノントロナイト、バイデライト、ベントナイト、ボルコンスコアイト、ラポナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、マガダイト、ケニアイト、スティーブンサイト、バーミキュライト、ハロイサイト、ハイドロタルサイト、又はそれらの組み合わせを含む、項目48記載のナノコンポジット。
【0173】
50. 前記スメクタイトクレーが、モンモリロナイト、ベントナイト、バーミキュライト、又はそれらの組み合わせを含む、項目48記載のナノコンポジット。
【0174】
51. 項目1〜40のいずれか1項に記載のプロセスにより製造される、前記回収されたポリマークレーナノコンポジットを含むナノコンポジット。
【0175】
52. 項目41〜50のいずれか1項に記載のナノコンポジットを含むインナーライナー。
【0176】
53. 項目41〜50のいずれか1項に記載のナノコンポジットを含むインナーチューブ。
【0177】
以下の非限定的な実施例は、本発明の説明に役立つものである。
【実施例】
【0178】
透過性試験
以下の各実施例では、以下の方法を用いて、形成するナノコンポジットの透過性特性を分析した。特定の実施形態において、36グラムのクレー−ゴム混合物を130〜145℃にてBrabender(登録商標)ミキサーにかけ、20グラムのカーボンブラック(N660)と7分間混合した。この混合物をさらに、0.33gのステアリン酸、0.33gのZnO(Kadox 911、CP Hall社製,イリノイ州シカゴ)、及び0.33gのMBTSからなる硬化剤と、40℃にて、40rpm、3分間混合した。得られるゴム化合物を圧延し、圧縮成型して、170℃にて硬化させた。全ての試料をゆっくりと冷却しながら圧縮成型して無欠陥のパッドを得た。ゴムサンプルについては、圧縮及び硬化プレスを使用した。圧縮成型されたパッドの典型的な厚さは、15ミル(38.1ミクロン)前後であった。次いで、透過性試験用に、アーバー・プレス(Arbor press)を用いて、成型したパッドから直径2インチ(5cm)の円板を打ち抜いた。これらの円板を、測定前に、真空オーブン中で60℃にて、一晩置いて条件を整えた。酸素透過の測定は、R.A.パステルナーク(Pasternak)らによるジャーナル・オブ・ポリマーサイエンス(JOURNAL OF POLYMER SCIENCE):パート A−2 467 (1970)の原理の下、Mocon OX−TRAN 2/61透過度測定装置を用いて、40℃にて行った。このように調製された円板をテンプレートの上に載せ、真空グリースで密閉した。10psig(0.07MPa(g))の窒素を円板の片面上に保ち、もう一方の面には10psig(0.07MPa(g))の酸素を保持した。窒素を保持した側の酸素センサーを用いて、酸素濃度の増加を経時的にモニターした。酸素が円板を通って透過するために、又は、窒素保持側の酸素濃度が一定レベルに到達するために必要とされる時間を記録し、酸素透過性を決定するために使用した。透過性は、Mocon WX−TRAN 2/61での、40℃における酸素通過速度として測定した。同一の手順を用いて複数のサンプルが調製される場合、各サンプルに関し透過度の結果を求めた。
【0179】
特定の実施形態において、特性評価に有用な配合を以下のとおりとした:
原料 I.D. 重量部
エラストマー/クレー 108.0(ゴム100部及びクレー8部)
カーボンブラックN660 60.0
ステアリン酸 1.0
ZnO Kadox 911 1.0
MBTS 1.0
【0180】
カーボンブラックN660は、例えば、キャボット・コーポレーション(Cabot Corp.)(マサチューセッツ州ビルリカ)より入手できる。硬化剤であるステアリン酸は、例えば、C.K.ウィトコ・コーポレーション(Witco Corp.)(ルイジアナ州タフト)より入手でき、ZnOの活性化剤であるKadox 911は、C.P.ホール(Hall)(イリノイ州シカゴ)より入手できる。2−メルカプトベンゾチアゾールジスルフィドであるMBTSは、R.T.ヴァンダービルト(コネチカット州ノーウォーク)又はエラストケム(Elastochem)(オハイオ州シャルドン)より入手できる。
【0181】
PIBS−クレーナノコンポジット
実施例1〜10では、BIMS 03−1の混合物(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、2リットル容の反応器中で、シクロヘキサン中に溶解した。ポリマーセメントを60〜80℃の温度に加熱し、その後、アミンをこの溶液に添加した。クレー及び水を室温にて12時間攪拌することにより、水性クレースラリー及び水を別々に調製した。次いで、水性クレースラリーを力強く混合しながらポリマーセメントへと添加し、安定的なエマルジョンを得た。このエマルジョンを一定期間反応器中で混合し、その後、2000mLのイソプロピルアルコールをこのポリマー/クレーエマルジョンへと添加することにより、生成物を沈殿させた。得られたポリマー/クレーナノコンポジットを、真空オーブン中で、80℃にて、16時間乾燥させた。次いで、乾燥させたナノコンポジットの透過性を、上述のように試験した。
【0182】
【表1】

【0183】
【表2】

【0184】
実施例1
50グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、2リットル容の反応器中で、600mLのシクロヘキサン中に溶解した。ポリマーセメントを70℃に加熱し、0.5グラムのジメチル水素化獣脂アルキルアミン(アクゾ・ノーベル(Akzo Nobel)製、Armeen DMHTD)を添加した。反応は70℃にて3時間保持した。CLOISITE(登録商標)Na+(2g)の水性スラリー及び水(500mL)を、このスラリーを室温にて12時間攪拌することにより、別々に調製した。水性クレースラリーを、力強く混合しながらポリマーセメントへと添加し、安定的なエマルジョンを得た。このエマルジョンを1時間反応器中で混合した。2000mLのイソプロピルアルコールをこのポリマー/クレーエマルジョンへと添加することにより、生成物を沈殿させた。得られたポリマー/クレーナノコンポジットを、真空オーブン中で、80℃にて、16時間乾燥させた。
【0185】
実施例2
50グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、2リットル容の反応器中で、600mLのシクロヘキサン中に溶解した。ポリマーセメントを70℃に加熱し、0.5グラムのジメチル水素化獣脂アルキルアミン(アクゾ・ノーベル製、Armeen DMHTD)を添加した。反応は70℃にて1時間保持した。CLOISITE(登録商標)Na+(サザン・クレイ(Southern Clay)製、106gの2.83wt%スラリー)の水性スラリー及び水(400mL)を、このスラリーを室温にて12時間攪拌することにより、別々に調製した。水性クレースラリーを、力強く混合しながらポリマーセメントへと添加し、安定的なエマルジョンを得た。このエマルジョンを反応器中で1時間混合した。2000mLのイソプロピルアルコールをこのポリマー/クレーエマルジョンへと添加することにより、生成物を沈殿させた。得られたポリマー/クレーナノコンポジットを、真空オーブン中で、80℃にて、16時間乾燥させた。
【0186】
実施例3
50グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、2リットル容の反応器中で、600mLのシクロヘキサン中に溶解した。ポリマーセメントを70℃に加熱し、0.5グラムのジメチル水素化獣脂アルキルアミン(アクゾ・ノーベル製、Armeen DMHTD)を添加した。反応は70℃にて3時間保持した。CLOISITE(登録商標)Na+(4g)の水性スラリー及び水(500mL)を、このスラリーを室温にて12時間攪拌することにより、別々に調製した。水性クレースラリーを、力強く混合しながらポリマーセメントへと添加し、安定的なエマルジョンを得た。このエマルジョンを反応器中で1時間混合した。2000mLのイソプロピルアルコールをこのポリマー/クレーエマルジョンへと添加することにより、生成物を沈殿させた。得られたポリマー/クレーナノコンポジットを、真空オーブン中で、80℃にて、16時間乾燥させた。
【0187】
実施例4
50グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、2リットル容の反応器中で、600mLのシクロヘキサン中に溶解した。ポリマーセメントを70℃に加熱し、0.125グラムのN,N−ジメチルヘキシルアミン(アルドリッチ(Aldrich))を添加した。反応は70℃にて2時間保持した。CLOISITE(登録商標)Na+(2g)の水性スラリー及び水(500mL)を、このスラリーを室温にて12時間攪拌することにより、別々に調製した。水性クレースラリーを、力強く混合しながらポリマーセメントへと添加し、安定的なエマルジョンを得た。このエマルジョンを反応器中で1時間混合した。2000mLのイソプロピルアルコールをこのポリマー/クレーエマルジョンへと添加することにより、生成物を沈殿させた。得られたポリマー/クレーナノコンポジットを、真空オーブン中で、80℃にて、16時間乾燥させた。
【0188】
実施例5
100グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、2リットル容の反応器中で、1000mLのシクロヘキサン中に溶解した。ポリマーセメントを75℃に加熱し、2.0グラムのPIB−アミン(KEROCOM PIBA 03、BASF製)を添加した。反応は75℃にて1時間保持した。CLOISITE(登録商標)Na+(5.7g)の水性スラリー及び水(600mL)を、このスラリーを室温にて12時間攪拌することにより、別々に調製した。水性クレースラリーを、力強く混合しながらポリマーセメントへと添加し、安定的なエマルジョンを得た。このエマルジョンを反応器中で1時間混合した。2000mLのイソプロピルアルコールをこのポリマー/クレーエマルジョンへと添加することにより、生成物を沈殿させた。得られたポリマー/クレーナノコンポジットを、真空オーブン中で、80℃にて、16時間乾燥させた。
【0189】
実施例6
100グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、2リットル容の反応器中で、1000mLのシクロヘキサン中に溶解した。ポリマーセメントを75℃に加熱し、2.0グラムのN,N−ジメチルヘキシルアミン(アルドリッチ)を添加した。反応は75℃にて1時間保持した。CLOISITE(登録商標)Na+(5.7g)の水性スラリー及び水(600mL)を、このスラリーを室温にて12時間攪拌することにより、別々に調製した。水性クレースラリーを、力強く混合しながらポリマーセメントへと添加し、安定的なエマルジョンを得た。このエマルジョンを反応器中で1時間混合した。2000mLのイソプロピルアルコールをこのポリマー/クレーエマルジョンへと添加することにより、生成物を沈殿させた。得られたポリマー/クレーナノコンポジットを、真空オーブン中で、80℃にて、16時間乾燥させた。
【0190】
実施例7
100グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、2リットル容の反応器中で、1000mLのシクロヘキサン中に溶解した。ポリマーセメントを75℃に加熱し、1.2グラムのジメチル水素化獣脂アルキルアミン(Armeen DMHTD、アクゾ・ノーベル製)を添加した。反応は75℃にて1時間保持した。SOMASIF ME−100(4g)の水性スラリー及び水(600mL)を、このスラリーを室温にて12時間攪拌することにより、別々に調製した。水性クレースラリーを、力強く混合しながらポリマーセメントへと添加し、安定的なエマルジョンを得た。このエマルジョンを反応器中で1時間混合した。2000mLのイソプロピルアルコールをこのポリマー/クレーエマルジョンへと添加することにより、生成物を沈殿させた。得られたポリマー/クレーナノコンポジットを、真空オーブン中で、80℃にて、16時間乾燥させた。
【0191】
実施例8
100グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、2リットル容の反応器中で、1000mLのシクロヘキサン中に溶解した。ポリマーセメントを75℃に加熱し、1.2グラムのジメチル水素化獣脂アルキルアミン(Armeen DMHTD、アクゾ・ノーベル製)を添加した。反応は75℃にて1時間保持した。SOMASIF ME−100(8g)の水性スラリー及び水(600mL)を、このスラリーを室温にて12時間攪拌することにより、別々に調製した。水性クレースラリーを、力強く混合しながらポリマーセメントへと添加し、安定的なエマルジョンを得た。このエマルジョンを反応器中で1時間混合した。2000mLのイソプロピルアルコールをこのポリマー/クレーエマルジョンへと添加することにより、生成物を沈殿させた。得られたポリマー/クレーナノコンポジットを、真空オーブン中で、80℃にて、16時間乾燥させた。
【0192】
実施例9
50グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、2リットル容の反応器中で、600mLのシクロヘキサン中に溶解した。ポリマーセメントを70℃に加熱し、1.5グラムのPIB−アミン(KEROCOM PIBA 03、BASF製)を添加した。反応は70℃にて1時間保持した。SOMASIF ME−100(8g)の水性スラリー及び水(600mL)を、このスラリーを室温にて12時間攪拌することにより、別々に調製した。水性クレースラリーを、力強く混合しながらポリマーセメントへと添加し、安定的なエマルジョンを得た。このエマルジョンを反応器中で1時間混合した。2000mLのイソプロピルアルコールをこのポリマー/クレーエマルジョンへと添加することにより、生成物を沈殿させた。得られたポリマー/クレーナノコンポジットを、真空オーブン中で、80℃にて、16時間乾燥させた。
【0193】
実施例10
100グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、2リットル容の反応器中で、1000mLのシクロヘキサン中に溶解した。ポリマーセメントを75℃に加熱し、1.0グラムのジメチル水素化獣脂アルキルアミン(Armeen DMHTD、アクゾ・ノーベル製)を添加した。反応は75℃にて1時間保持した。ケニアイト(8g)の水性スラリー及び水(600mL)を、このスラリーを室温にて12時間攪拌することにより、別々に調製した。水性クレースラリーを、力強く混合しながらポリマーセメントへと添加し、安定的なエマルジョンを得た。このエマルジョンを30分間反応器中で混合し、次いでブレンダー中で高速で2分間混合した。2000mLのイソプロピルアルコールをこのポリマー/クレーエマルジョンへと添加することにより、生成物を沈殿させた。得られたポリマー/クレーナノコンポジットを、真空オーブン中で、80℃にて、16時間乾燥させた。
【0194】
実施例11〜22
手順A:BIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、室温にて800mLのシクロヘキサン中に溶解した。この溶液に、200mLの水、クレー(CLOISITE(登録商標)Na+、3.4g)及びN,Nジメチルヘキシルアミン(アルドリッチ)を、示されたように添加した。この溶液を70℃に加熱し、30分間攪拌した。室温へと冷却後、この溶液を注ぎ出して溶媒を蒸発させた。生成物を真空下100℃で、一晩乾燥させた。得られたナノコンポジットの透過性を上述のように試験した。
【0195】
手順B:ステップ1.クレー(CLOISITE(登録商標)Na+、3.4g)及びドデシルトリメチルアンモニウムクロリド(Arquad(登録商標) 12−37W、アクゾ・ノーベル製)を、200mLの水中で、80℃にて1.5時間混合した。混合物を反応器中に入れ、この混合物容器を80mLの水で洗浄し、その洗浄溶液も、反応器へと添加した。ステップ2.反応器に、ポリマー溶液(800mLのシクロヘキサン中に80gのBIMS 03−1を溶解)を添加した。溶液容器を10mLのシクロヘキサンで洗浄し;洗浄溶液、及び任意にN,N−ジメチルヘキシルアミンを、反応器へと添加した。ステップ3.この溶液を70℃に加熱し、30分間攪拌した。室温へと冷却後、この溶液を注ぎ出して溶媒を蒸発させた。生成物を真空下100℃で、一晩乾燥させた。得られたナノコンポジットの透過性を上述のように試験した。その結果を表3に示す。
【0196】
【表3】

【0197】
実施例23〜27
EXXPRO(商標)(BIMS 03−1、80g)及びPIBSA(ポリイソブチレン無水コハク酸)を、ガラス容器中で700mLのシクロヘキサン中に溶解した。この溶液を覆いのついた反応器へと移した。その容器を、100mLのシクロヘキサンで洗浄し、その洗浄溶液も、反応器へと添加した。200mLの水を適切なpH値(pH=5にするためにHCl溶液を使用し、pH=9にするためにNaOH溶液を使用した)で添加した。この混合物を70℃で攪拌後、3.4gのCLOISITE(登録商標) Na+を添加し、この混合物を30分間攪拌した。混合物を注ぎ出して溶媒を蒸発させた。サンプルを真空下100℃で、24時間乾燥させた。得られたナノコンポジットの透過性を上述のように試験した。その結果を表4に示す。
【0198】
【表4】

【0199】
実施例28〜32
EXXPRO(商標)(BIMS 03−1、80g)及びPIBSA 48(インフィニアム(INFINEUM)、米国)を、ガラス容器中で700mLのシクロヘキサン中に溶解した。この溶液を、ガラス製の反応器へと50℃にて移した。その容器を、100mLのシクロヘキサンで洗浄し、その洗浄溶液も、反応器へと添加した。次いで、200mLの水を適切なpH値(pH=5にするためにHCl溶液を使用し、pH=9にするためにNaOH溶液を使用した)で添加した。この混合物をクレーと30分間攪拌し、イソプロパノールを用いて沈殿させた。生成物を真空下100℃で、24時間乾燥させた。得られたナノコンポジットの透過性を上述のように試験した。その結果を表5に示す。
【0200】
【表5】

【0201】
実施例33〜36: 高剪断ミキサーを用いて形成するナノコンポジット
【0202】
実施例33
50グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、2リットル容の反応器中で、1000mLのヘキサン中に溶解した。ポリマーセメントを70℃に加熱し、0.05gのジメチルヘキシルアミン(アルドリッチ)を添加した。反応は70℃にて30分間保持した。Cloisite Na+(145gの2.83wt%スラリー、サザン・クレイ製)の水性スラリー及び水(350mL)を、このスラリーを高剪断ミキサー(Silverson L4RT)により6000RPM、30分間混合することにより、別々に調製した。水性クレースラリー及び1.0gのPropomeen T/12(アクゾ・ノーベル)を、力強く混合しながらポリマーセメントへと添加し、安定的なエマルジョンを得た。このエマルジョンを15分間反応器中で混合し、次いで、高剪断ミキサー(Silverson L4RT)により6000RPM、15分間混合した。2000mLのイソプロピルアルコールをこのポリマー/クレーエマルジョンへと添加することにより、生成物を沈殿させた。得られたポリマー/クレーナノコンポジットを、真空オーブン中で、80℃にて、16時間乾燥させた。
【0203】
実施例34
50グラムのExxpro(商標)ポリマー(BIMS 03−1:10重量%のPMS、0.85モル%のBr)を、2リットル容の反応器中で、1000mLのヘキサン中に溶解した。ポリマーセメントを70℃に加熱し、0.6gのジメチル水素化獣脂アルキルアミン(Armeen DMHTD、アクゾ・ノーベル製)を添加した。反応は70℃にて30分間保持した。Cloisite Na+(145gの2.83wt%スラリー、サザン・クレイ製)の水性スラリー及び水(350mL)を、このスラリーを高剪断ミキサー(Silverson L4RT)により6000RPM、30分間混合することにより、別々に調製した。水性クレースラリー及び1.0gのEthomeen C/12 (アクゾ・ノーベル)を、力強く混合しながらポリマーセメントへと添加し、安定的なエマルジョンを得た。このエマルジョンを15分間反応器中で混合し、次いで、高剪断ミキサー(Silverson L4RT)により6000RPM、15分間混合した。2000mLのイソプロピルアルコールをこのポリマー/クレーエマルジョンへと添加することにより、生成物を沈殿させた。得られたポリマー/クレーナノコンポジットを、真空オーブン中で、80℃にて、16時間乾燥させた。
【0204】
実施例35
50グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、2リットル容の反応器中で、1000mLのヘキサン中に溶解した。ポリマーセメントを70℃に加熱し、0.05gのジメチルヘキシルアミン(アルドリッチ)を添加した。反応は70℃にて30分間保持した。Cloisite Na+(75gの2.83wt%スラリー、サザン・クレイ製)の水性スラリー及び水(350mL)を、このスラリーを高剪断ミキサー(Silverson L4RT)により6000RPM、30分間混合することにより、別々に調製した。水性クレースラリー及び1.0gのEthomeen C/12(アクゾ・ノーベル)を、力強く混合しながらポリマーセメントへと添加し、安定的なエマルジョンを得た。このエマルジョンを15分間反応器中で混合し、次いで、高剪断ミキサー(Silverson L4RT)により6000RPM、15分間混合した。2000mLのイソプロピルアルコールをこのポリマー/クレーエマルジョンへと添加することにより、生成物を沈殿させた。得られたポリマー/クレーナノコンポジットを、真空オーブン中で、80℃にて、16時間乾燥させた。
【0205】
実施例36
50グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、2リットル容の反応器中で、1000mLのヘキサン中に溶解した。ポリマーセメントを70℃に加熱し、0.6グラムのジメチル水素化獣脂アルキルアミン(Armeen DMHTD、アクゾ・ノーベル製)を添加した。反応は70℃にて30分間保持した。Cloisite Na+(75gの2.83wt%スラリー、サザン・クレイ製)の水性スラリー及び水(350mL)を、このスラリーを高剪断ミキサー(Silverson L4RT)により6000RPM、30分間混合することにより、別々に調製した。水性クレースラリー及び1.0gのEthomeen C/12(アクゾ・ノーベル)を、力強く混合しながらポリマーセメントへと添加し、安定的なエマルジョンを得た。このエマルジョンを15分間反応器中で混合し、次いで、高剪断ミキサー(Silverson L4RT)により6000RPM、15分間混合した。2000mLのイソプロピルアルコールをこのポリマー/クレーエマルジョンへと添加することにより、生成物を沈殿させた。得られたポリマー/クレーナノコンポジットを、真空オーブン中で、80℃にて、16時間乾燥させた。
【0206】
【表6】

【0207】
実施例37〜43: 機能性ポリマーの自己エマルジョン化により形成されるナノコンポジット
【0208】
実施例37
50グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、2リットル容の反応器中で、750mLのトルエン中に溶解した。ポリマーセメントを80℃に加熱した。N−メチルジエタノールアミン(0.5g、アルドリッチ製)を100mLのイソプロパノール中に溶解し、ポリマーセメントへと添加した。反応は80℃にて3時間保持した。Cloisite Na+(75gの2.83wt%スラリー、サザン・クレイ製)の水性スラリー及び水(225mL)を、このスラリーを高剪断ミキサー(Silverson L4RT)により6000RPM、20分間混合することにより、別々に調製した。水性クレースラリーをポリマーセメントへと添加してエマルジョンとし、このエマルジョンを、高剪断ミキサー(Silverson L4RT)により6000RPM、20分間混合した。2000mLのイソプロピルアルコールをこのポリマー/クレーエマルジョンへと添加することにより、生成物を沈殿させた。得られたポリマー/クレーナノコンポジットを、真空オーブン中で、80℃にて、16時間乾燥させた。
【0209】
実施例38
50グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、2リットル容の反応器中で、750mLのトルエン中に溶解した。ポリマーセメントを80℃に加熱した。N−メチルジエタノールアミン(0.25g、アルドリッチ製)を100mLのイソプロパノール中に溶解し、ポリマーセメントへと添加した。反応は80℃にて3時間保持した。Cloisite Na+(75gの2.83wt%スラリー、サザン・クレイ製)の水性スラリー及び水(225mL)を、このスラリーを高剪断ミキサー(Silverson L4RT)により6000RPM、20分間混合することにより、別々に調製した。水性クレースラリーをポリマーセメントへと添加してエマルジョンとし、このエマルジョンを、高剪断ミキサー(Silverson L4RT)により6000RPM、20分間混合した。2000mLのイソプロピルアルコールをこのポリマー/クレーエマルジョンへと添加することにより、生成物を沈殿させた。得られたポリマー/クレーナノコンポジットを、真空オーブン中で、80℃にて、16時間乾燥させた。
【0210】
実施例39
50グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、2リットル容の反応器中で、800mLのトルエン中に溶解した。ポリマーセメントを80℃に加熱した。N−メチルジエタノールアミン(0.1g、アルドリッチ製)を100mLのイソプロパノール中に溶解し、ポリマーセメントへと添加した。反応は80℃にて3時間保持した。Cloisite Na+(75gの2.83wt%スラリー、サザン・クレイ製)の水性スラリー及び水(225mL)を、このスラリーを高剪断ミキサー(Silverson L4RT)により6000RPM、20分間混合することにより、別々に調製した。水性クレースラリーをポリマーセメントへと添加してエマルジョンとし、このエマルジョンを、高剪断ミキサー(Silverson L4RT)により6000RPM、20分間混合した。2000mLのイソプロピルアルコールをこのポリマー/クレーエマルジョンへと添加することにより、生成物を沈殿させた。得られたポリマー/クレーナノコンポジットを、真空オーブン中で、80℃にて、16時間乾燥させた。
【0211】
実施例40
50グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、2リットル容の反応器中で、750mLのトルエン中に溶解した。ポリマーセメントを80℃に加熱した。N,N−ジメチルエタノールアミン(0.05g、アルドリッチ製)を100mLのイソプロパノール中に溶解し、ポリマーセメントへと添加した。反応は80℃にて3時間保持した。Cloisite Na+(75gの2.83wt%スラリー、サザン・クレイ製)の水性スラリー及び水(225mL)を、このスラリーを高剪断ミキサー(Silverson L4RT)により6000RPM、20分間混合することにより、別々に調製した。水性クレースラリーをポリマーセメントへと添加してエマルジョンとし、このエマルジョンを、高剪断ミキサー(Silverson L4RT)により6000RPM、20分間混合した。2000mLのイソプロピルアルコールをこのポリマー/クレーエマルジョンへと添加することにより、生成物を沈殿させた。得られたポリマー/クレーナノコンポジットを、真空オーブン中で、80℃にて、16時間乾燥させた。
【0212】
実施例41
50グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、2リットル容の反応器中で、1000mLのシクロヘキサン中に溶解した。ポリマーセメントを70℃に加熱した。トリエタノールアミン(2g、アルドリッチ製)を、ポリマーセメントへと添加した。反応は70℃にて2時間保持した。Cloisite Na+(75gの2.83wt%スラリー、サザン・クレイ製)の水性スラリー及び水(350mL)を、このスラリーを高剪断ミキサー(Silverson L4RT)により6000RPM、20分間混合することにより、別々に調製した。水性クレースラリーをポリマーセメントへと添加してエマルジョンとし、このエマルジョンを、高剪断ミキサー(Silverson L4RT)により6000RPM、20分間混合した。2000mLのイソプロピルアルコールをこのポリマー/クレーエマルジョンへと添加することにより、生成物を沈殿させた。得られたポリマー/クレーナノコンポジットを、真空オーブン中で、80℃にて、16時間乾燥させた。
【0213】
実施例42
50グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、2リットル容の反応器中で、1000mLのシクロヘキサン中に溶解した。ポリマーセメントを70℃に加熱した。N−メチルジエタノールアミン(2g、アルドリッチ製)を、ポリマーセメントへと添加した。反応は70℃にて2時間保持した。Cloisite Na+(75gの2.83wt%スラリー、サザン・クレイ製)の水性スラリー及び水(350mL)を、このスラリーを高剪断ミキサー(Silverson L4RT)により6000RPM、20分間混合することにより、別々に調製した。水性クレースラリーをポリマーセメントへと添加してエマルジョンとし、このエマルジョンを、高剪断ミキサー(Silverson L4RT)により6000RPM、20分間混合した。2000mLのイソプロピルアルコールをこのポリマー/クレーエマルジョンへと添加することにより、生成物を沈殿させた。得られたポリマー/クレーナノコンポジットを、真空オーブン中で、80℃にて、16時間乾燥させた。
【0214】
実施例43
50グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、2リットル容の反応器中で、1000mLのシクロヘキサン中に溶解した。ポリマーセメントを70℃に加熱した。N,N−ジメチルエタノールアミン(2g、アルドリッチ製)を、ポリマーセメントへと添加した。反応は70℃にて2時間保持した。Cloisite Na+(75gの2.83wt%スラリー、サザン・クレイ製)の水性スラリー及び水(350mL)を、このスラリーを高剪断ミキサー(Silverson L4RT)により6000RPM、20分間混合することにより、別々に調製した。水性クレースラリーをポリマーセメントへと添加してエマルジョンとし、このエマルジョンを、高剪断ミキサー(Silverson L4RT)により6000RPM、20分間混合した。2000mLのイソプロピルアルコールをこのポリマー/クレーエマルジョンへと添加することにより、生成物を沈殿させた。得られたポリマー/クレーナノコンポジットを、真空オーブン中で、80℃にて、16時間乾燥させた。
【0215】
【表7】

【0216】
実施例44〜49: 総合的なナノコンポジット加工
【0217】
実施例44
ポリマー部分1:4グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、2リットル容の反応器中で、1000mLのヘキサン中に溶解した。ポリマーセメントを、2時間、75℃に加熱した。Cloisite Na+(2g)の水性スラリー及び水を、別々に調製した。水性クレースラリーをポリマーセメントへと高剪断混合により添加し、1gのエトキシル化(5)脂肪アルキルアミン(Ethmeen C/15、アクゾ・ノーベル製)を添加し、安定的なエマルジョンを得た。
【0218】
ポリマー部分2:46グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、500mLのヘキサン中に溶解した。
【0219】
ポリマー部分2のセメントを、高剪断ミキサー中で、部分1のエマルジョンと15分間混合した。このポリマー/クレーナノコンポジットを、イソプロピルアルコールの添加により沈殿させ、真空オーブン中で、85℃にて、16時間乾燥させた。
【0220】
実施例45
ポリマー部分1:6グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、2リットル容の反応器中で、1000mLのヘキサン中に溶解した。ポリマーセメントを、2時間、75℃に加熱し、0.8gのジメチルエタノールアミン(アルドリッチ)を添加した。反応は75℃にて2時間保持した。Cloisite Na+(2g)の水性スラリー及び水を、別々に調製した。水性クレースラリーをポリマーセメントへと高剪断混合により添加し、1gのエトキシル化(5)脂肪アルキルアミン(Ethmeen C/15、アクゾ・ノーベル製)を添加し、安定的なエマルジョンを得た。
【0221】
ポリマー部分2:46グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、500mLのヘキサン中に溶解した。
【0222】
ポリマー部分2のセメントを、高剪断ミキサー中で、部分1のエマルジョンと15分間混合した。このポリマー/クレーナノコンポジットを、イソプロピルアルコールの添加により沈殿させ、真空オーブン中で、85℃にて、16時間乾燥させた。
【0223】
実施例46
ポリマー部分1:6グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、2リットル容の反応器中で、800mLのトルエン中に溶解した。0.8gのジメチルエタノールアミン(アルドリッチ)を100mLのイソプロパノールに溶解して、ポリマーセメントへと添加した。反応は80℃に加熱し、80℃で3時間保持した。Cloisite Na+(2g)の水性スラリー及び水を、別々に調製した。水性クレースラリーをポリマーセメントへと高剪断混合により添加し、2gのエトキシル化(5)ココアルキルアミン(Ethmeen C/15、アクゾ・ノーベル製)を添加し、安定的なエマルジョンを得た。このエマルジョンを15分間混合した。
【0224】
ポリマー部分2:46グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、500mLのヘキサン中に溶解した。
【0225】
ポリマー部分2のセメントを、高剪断ミキサー中で、部分1のエマルジョンと15分間混合した。このポリマー/クレーナノコンポジットを、イソプロピルアルコールの添加により沈殿させ、真空オーブン中で、85℃にて、16時間乾燥させた。
【0226】
実施例47
ポリマー部分1:4グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、2リットル容の反応器中で、800mLのトルエン中に溶解した。0.5gのジメチルエタノールアミン(アルドリッチ)を10mLのイソプロパノールに溶解して、ポリマーセメントへと添加した。反応は80℃にて3時間保持した。Cloisite Na+(2g)の水性スラリー及び水を、別々に調製した。水性クレースラリーをポリマーセメントへと高剪断混合により添加し、2gのエトキシル化(5)ココアルキルアミン(Ethmeen C/15、アクゾ・ノーベル製)を添加し、安定的なエマルジョンを得た。
【0227】
ポリマー部分2:44gのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、500mLのトルエン中に溶解した。
【0228】
ポリマー部分2のセメントを、高剪断ミキサー中で、部分1のエマルジョンと15分間混合した。このポリマー/クレーナノコンポジットを、イソプロピルアルコールの添加により沈殿させ、真空オーブン中で、85℃にて、16時間乾燥させた。
【0229】
実施例48
ポリマー部分1:5グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、2リットル容の反応器中で、500mLのトルエン中に溶解した。このポリマーセメントを80℃に加熱した。N,N−ジメチルエタノールアミン(0.6mL、アルドリッチ)を200mLのイソプロパノールに溶解して、ポリマーセメントへと添加した。反応は80℃にて4時間保持した。Cloisite Na+(75gの2.83wt%スラリー、サザン・クレイ製)の水性スラリー及び水(400mL)を、別々に調製した。水性クレースラリーをポリマーセメントへと添加し、高剪断ミキサー(Silverson L4RT)により、6000RPM、15分間にて安定的なエマルジョンを得た。
【0230】
ポリマー部分2:45gのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、500mLのトルエン中に溶解した。ポリマー部分2のセメントを、高剪断ミキサー(Silverson L4RT)中で、部分1のエマルジョンと15分間混合した。このポリマー/クレーナノコンポジットを、イソプロピルアルコールの添加により沈殿させ、真空オーブン中で、85℃にて、16時間乾燥させた。
【0231】
実施例49
ポリマー部分1:5グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、2リットル容の反応器中で、500mLのトルエン中に溶解した。このポリマーセメントを80℃に加熱した。N−メチルジエタノールアミン(0.8mL、アルドリッチ)を200mLのイソプロパノールに溶解して、ポリマーセメントへと添加した。反応は80℃にて4時間保持した。Cloisite Na+(75gの2.83wt%スラリー、サザン・クレイ製)の水性スラリー及び水(400mL)を、別々に調製した。水性クレースラリーをポリマーセメントへと添加し、高剪断ミキサー(Silverson L4RT)により、6000RPM、15分間にて安定的なエマルジョンを得た。
【0232】
ポリマー部分2:45グラムのBIMS 03−1(10重量%のPMS、0.8モル%のBr)を、500mLのトルエン中に溶解した。ポリマー部分2のセメントを、高剪断ミキサー(Silverson L4RT)中で、部分1のエマルジョンと15分間混合した。このポリマー/クレーナノコンポジットを、イソプロピルアルコールの添加により沈殿させ、真空オーブン中で、85℃にて、16時間乾燥させた。
【0233】
【表8】

【0234】
本発明の最終的なナノコンポジットの実施形態は、自動車のインナーライナーの製造に使用される等のエアーバリアとして有用である。特に、このナノコンポジットは、トラックのタイヤ、バスのタイヤ、乗用車、オートバイ等の物品に関するインナーライナー及びインナーチューブとして有用である。
【0235】
特定の実施形態に関し、本発明が参照により記載され説明されてきたが、当業者であれば、本発明それ自体が、本明細書中には説明されていない多くの異なるバリエーションを導くことを理解するであろう。これらの理由により、その結果、本発明の真の範囲を決定する目的で、添付の特許請求の範囲を参照すべきである。
【0236】
全ての先行文献は、そのような組み入れが許可される全ての管轄において、参照により完全に本明細書中に組み入れられる。さらに、本明細書中に引用される、試験方法を含む全ての文献は、そのような組み入れが許可される全ての管轄において、それらが明細書中と不一致とならない範囲まで、参照により完全に本明細書中に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0237】
【図1】本発明の方法における一実施形態の間に生成されるエマルジョンである。
【図2】本発明のナノコンポジットプロセスにおける一実施形態を組み入れた、ブチルゴムのハロゲン化プロセスにおける単純化したフローダイアグラムである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1) クレーの水性スラリーをポリマーの有機溶媒溶液 と混合し、ポリマークレーナノコンポジットを含むエマルジョンを形成する工程;及び
2)ナノコンポジットを貧溶媒(antisolvent)を用いて沈殿させることを含む、前記エマルジョンから前記ナノコンポジットを回収する工程、
を含む、ナノコンポジットの製造プロセス。
【請求項2】
前記スラリーが無機クレーを含む、請求項1記載のプロセス。
【請求項3】
前記スラリーが有機クレーを実質的に含有しない、請求項1又は2記載のプロセス。
【請求項4】
前記ポリマー溶液がハロゲン化ポリマーを含む、請求項1、2又は3記載のプロセス。
【請求項5】
前記ポリマーがハロゲン化イソブチレンポリマーを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記回収が、前記ナノコンポジットを少なくとも1相の前記エマルジョンから濾過することを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記回収が、少なくとも1相の前記エマルジョンから液体を蒸発させることを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項8】
(a) 無機クレーを水中でスラリー化して水性スラリーを形成する工程;
(b) ハロゲン化イソブチレンポリマーを有機溶媒中に溶解して水非混和性のポリマー溶液を形成する工程;
(c) 前記スラリーを、 前記ポリマー溶液を用いてエマルジョン化し、ポリマークレーナノコンポジットを形成する工程;
(d)ナノコンポジットを貧溶媒(antisolvent)を用いて沈殿させることを含む、前記ナノコンポジットを回収する工程、
を含む、ナノコンポジットの製造プロセス。
【請求項9】
前記ポリマー溶液が、アンモニウム機能性基を含むポリマー鎖Eをさらに含む、請求項8記載のプロセス。
【請求項10】
前記アンモニウム機能性基が、前記ポリマー鎖Eにペンダントする以下の基:
【化1】

によって表され、式中、R及びRは同一であるか又は異なり、水素、C〜Cアルキル、及び、第1級又は第2級アルキルハロゲン化物のうちのひとつであり;R、R及びRは同一であるか又は異なり、水素、C〜C20のアルキル、アルケン又はアリール、置換C〜C20のアルキル、アルケン又はアリール、C〜C20脂肪族アルコール又はエーテル、C〜C20カルボン酸、ニトリル、エトキシル化アミン、アクリレート、エステル及びアンモニウムイオンから選択される、
請求項8記載のプロセス。
【請求項11】
前記アンモニウム機能性基が、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、又はこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項10記載のプロセス。
【請求項12】
前記無機クレーがケイ酸塩を含む、請求項8〜11のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記ケイ酸塩が、スメクタイトクレーを含む、請求項12記載のプロセス。
【請求項14】
前記スメクタイトクレーが、モンモリロナイト、ノントロナイト、バイデライト、ベントナイト、ボルコンスコアイト、ラポナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、マガダイト、ケニアイト、スティーブンサイト、バーミキュライト、ハロイサイト、ハイドロタルサイト、又はそれらの組み合わせを含む、請求項13記載のプロセス。
【請求項15】
前記スメクタイトクレーが、モンモリロナイト、ベントナイト、バーミキュライト、又はそれらの混合物を含む、請求項13記載のプロセス。
【請求項16】
前記ポリマーがイソブチレンポリマーを含む、請求項8〜15のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項17】
前記イソブチレンポリマーが、C〜Cイソオレフィン及びアルキルスチレンのインターポリマーを含む、請求項16記載のプロセス。
【請求項18】
前記アルキルスチレンがパラ−メチルスチレンを含む、請求項17記載のプロセス。
【請求項19】
前記イソオレフィンがイソブチレンを含む、請求項18記載のプロセス。
【請求項20】
前記イソブチレンポリマーが、ハロゲン化物、エーテル、アミン、アミド、エステル、酸、及びヒドロキシルからなる群より選択される官能基類を含む、請求項18記載のプロセス。
【請求項21】
前記イソブチレンポリマーが、臭素又は塩素によりハロゲン化されている、請求項18記載のプロセス。
【請求項22】
前記溶媒が、アルカン、アルケン、芳香族、ニトロ化アルカン、ハロゲン化アルカン又はそれらの混合物を含む、請求項8〜21のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項23】
前記イソブチレンポリマーが、1〜30重量%の前記ポリマー溶液を含む、請求項8〜22のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項24】
前記イソブチレンポリマーが、10〜25重量%の前記ポリマー溶液を含む、請求項8〜22のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項25】
前記無機クレーが、0.1〜10重量%の前記クレーの水性スラリーを含む、請求項8〜24のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項26】
前記無機クレーが、0.3〜3重量%の前記クレーの水性スラリーを含む、請求項8〜25のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項27】
前記水性スラリーのpHが4〜13である、請求項8〜26のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項28】
工程(c)におけるスラリー対ポリマー溶液の容積比が、0.01:1〜1:1である、請求項8〜27のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項29】
工程(c)におけるスラリー対ポリマー溶液の容積比が、0.1:1〜0.9:1である、請求項28に記載のプロセス。
【請求項30】
工程(c)におけるスラリー対ポリマー溶液の容積比が、0.3:1〜0.7:1である、請求項28に記載のプロセス。
【請求項31】
前記回収が、前記ナノコンポジットを少なくとも1相の前記エマルジョンから濾過することを含む、請求項8〜30のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項32】
前記回収が、少なくとも1相の前記エマルジョンから液体を蒸発させることを含む、請求項8〜31のいずれか1項に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−149260(P2012−149260A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−38990(P2012−38990)
【出願日】平成24年2月24日(2012.2.24)
【分割の表示】特願2008−538862(P2008−538862)の分割
【原出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】