説明

機能性ゼリーの製造方法

【課題】 内部に水素の微細気泡を保持した機能性ゼリーを提供する。
【解決手段】 容器2内に水を充填し、水素ガス供給管5から水素を供給しつつ超音波振動板4を駆動し、水素の微細気泡1bを発生させる。この微細気泡1bは例えば直径がナノサイズであるため、水中を上昇する速度は遅く、超音波振動板4を停止しても10分間程度は水中に留まっている。そこで、微細気泡1bが水中に留まっている間にゲル化剤を添加する。ゲル化剤を添加すると、水溶液がゼリー1aとなり、内部に微細気泡1bが均一に閉じ込められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に微細な水素の気泡を含有した機能性ゼリーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素は老化などの原因となる活性酸素を中和する機能を有すると考えられている。そのため、従来から水に水素ガスの気泡を封入した水素水や粘性の高い溶液中に水素ガスの気泡を練り込んだゼリーが特許文献1〜4に提案されている。
【0003】
特許文献1には、油性ジェル(W/O型エマルション)の製法と、水性ジェル(O/W型エマルション)の製法が記載されている。
油性ジェルの場合にはジェルとなった後に水素気泡を供給し、この後に気泡を除去(脱泡)することが記載され、水性ジェルの場合には、水素ガスが溶解した加水素水を作製し、次の工程で水素が溶解した加水素水に水溶性高分子(ゲル化剤)を溶解させることが記載されている。
【0004】
特許文献2には、原料液体にスタティックミキサーを介して水素ガス等の気体を導入して、気体溶解液体を製造する方法が開示され、当該原料液体の1つとしてゲル状飲料が挙げられている。
【0005】
特許文献3には、超音波振動装置を用いて、ナノサイズの水素ガスの微細気泡を連続的に生産し、これを均質化装置へ送り、気泡を粘性溶液へ練り込むことで粘性溶液の水素コロイドとする内容が記載されている。
【0006】
特許文献4には、内部に水素ガスを保持するゼリー状食品の製法として、スクリュー型攪拌機内にゼリーの原料を投入するとともに、攪拌羽から水素ガスをゼリー内に供給し、最終的には周囲を糖衣で覆う方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−314496号公報
【特許文献2】実用新案登録第3139460号公報
【特許文献3】特開2008−279424号公報
【特許文献4】実用新案登録第3106002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1にあっては、気泡をジェル(ゼリー)中に残すことが目的ではなく、水素ガスが溶解したジェルを製造することが目的で、そのために水素ガスを微細気泡にして水との接触面積を高めているが、最終製品には水素ガスの気泡が残らないようにしている。
【0009】
特許文献2にあっては、粘性の高いゲル中に水素ガスを送り込むようにしているので、水素の微細気泡を均一に分散させることは極めて困難である。
【0010】
特許文献3にあっては、高粘性の溶液中に水素ガスの気泡を練り込むため、短時間のうちに気泡が抜けてしまうことはないが、超音波振動装置を用いて微細気泡にする際に、均一に分散させることができない。この文献には均質な水素コロイドが得られると記載されているが、実際には均一に分散させることは困難である。
【0011】
特許文献4も特許文献2,3と同様に粘性の高い材料中に後から水素の微細気泡を送り込むので、微細気泡を均一に分散させることは極めて困難である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明に係る機能性ゼリーの製造方法は、水または低粘性の水溶液中に水素ガスを送り込んで微細な水素ガス気泡を発生させるとともに、前記微細な水素ガス気泡を発生させるのと同一工程内で、前記微細気泡が水または水溶液中に留まっている間にゲル化剤を添加し、水または水溶液をゲル化せしめて内部に水素ガスの微細気泡を保持するようにした。
ようにした。
【0013】
ここで、水溶液にはビタミン、ミネラルなど各種栄養剤を溶解したものが考えられ、また水溶液の粘度は水溶液中に容易に水素ガスを供給できる粘度、具体的にはポンプなどの加圧手段を用いずに送り込め、且つ気泡が内部で分散し得るものとする。
【0014】
また、水溶液中に酸に溶けにくくアルカリに溶けやすい腸溶性材料を溶解することで、機能性食品として用いた場合に、水素が体内に吸収されると考えられている小腸まで分解されずに到達させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る機能性ゼリーの製造方法によれば、微細な水素ガス気泡を発生させるのと同一工程内でゲル化剤を添加するため、発生した水素ガス気泡が水から抜ける前に固めることができ、更にゼリー内に水素の微細気泡を均一にしかも量を自由にコントロールして内包させることができる。
また、一旦製品となった後には、内部の微細気泡はゼリー内に留まっているため、携帯に便利で且つ販売しやすい。
更に、機能性食品に用いた場合には食感がよく、化粧品に用いた場合には、肌に塗りやすい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る機能性ゼリーが容器から出ている状態を示す図
【図2】本発明に係る機能性ゼリーの拡大図
【図3】(a)〜(c)は本発明に係る機能性ゼリーの製造工程を説明した図
【図4】別実施例に係る製造方法を説明した図
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示すように本発明に係る機能性ゼリー1は、形状の自由度が高いため、プラスチックやアルミニウム製のケースPに入れることができる。尚、ケースは図示のものに限らず任意である。
【0018】
機能性ゼリー1は図2に示すように連続相としてのゼリー1a内に水素の微細気泡1bが均一に分散している。
【0019】
図3(a)〜(c)は上記機能性ゼリー1の製造工程の一例を説明した図であり、(a)〜(c)までが1つの容器内で行う連続した1つの工程である。
容器2の底部には高周波電源3に接続された超音波振動板4が設けられ、この超音波振動板4を貫通して下方から容器2内に開口する水素ガス供給管5が設けられている。
【0020】
微細気泡を発生させる手段としては、超音波振動板4に限らず、多孔板、スターラー、ジェット噴射ノズルなどでもよい。
【0021】
機能性ゼリー1を製造するには、先ず図3(a)に示すように、容器2内に水(水溶液)を充填する。そして、水素ガス供給管5から水素を供給しつつ超音波振動板4を駆動し、水素の微細気泡1bを発生させる。この微細気泡1bは例えば直径がナノサイズであるため、水中を上昇する速度は遅く、超音波振動板4を停止しても10分間程度は水中に留まっている。
【0022】
そこで、図3(b)に示すように、微細気泡1bが水中に留まっている間にゲル化剤を添加する。この場合、水素の微細気泡1bの発生は継続していても停止していてもよい。
【0023】
ゲル化剤としては、ペクチン、寒天、カラギーナン、グルコマンナン、ゼラチン等を用いる。また、機能性を高めるためゲル化剤以外に、ビタミンやミネラル或いは水素を選択的に小腸まで届かすために腸溶性材料を添加してもよい。
【0024】
腸溶性材料としては、メタクリル酸コポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルセルロース(CMEC)、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、メタクリル酸−アクリル酸エチルエステル共重合体、メタクリル酸−メタクリル酸メチルエステル共重合体、プロピレングリコール、ソルビタンモノラウレート、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、酢酸トリメリト酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)、メタクリレート、キトサン、グアールガム、ペクチン、ローカスビーンガム及びポリエチレングリコール(PEG)、セラックなどが挙げられる。
【0025】
ゲル化剤を添加すると、図3(c)に示すように水溶液がゼリー1aとなり、内部に微細気泡1bが均一に閉じ込められる。
【0026】
図4は別実施例に係る製造方法を説明した図であり、この実施例では水(水溶液)中に水素の微細気泡を発生させる容器2に隣接してゲル化用の容器6を設け、容器2とゲル化用の容器6とを可撓性配管7でつなげ、チューブラーポンプ8によって容器2内の水素の微細気泡を含んだ水(水溶液)を容器6内に送り込み、容器6内の水(水溶液)にゲル化剤を添加するようにしている。
【0027】
上記の方法も水素の微細気泡の発生とゲル化は連続した1つの工程で行われるが、この方法によれば、連続して機能性ゼリーを製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明に係る機能性ゼリーは、抗酸化食品、化粧品、医薬品として利用することができる。
【符号の説明】
【0029】
1…機能性ゼリー、1a…ゼリー、1b…微細気泡、2…容器、3…高周波電源、4…超音波振動板、5…水素ガス供給管、6…ゲル化用の容器、7…可撓性配管、8…チューブラーポンプ、P…ケース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水または低粘性の水溶液中に水素ガスを送り込んで微細な水素ガス気泡を発生させるとともに、前記微細な水素ガス気泡を発生させるのと同一工程内で、前記微細気泡が水または水溶液中に留まっている間にゲル化剤を添加し、水または水溶液をゲル化せしめて内部に水素ガスの微細気泡を保持することを特徴とする機能性ゼリーの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の機能性ゼリーの製造方法において、前記水溶液中には酸に溶けにくくアルカリに溶けやすい腸溶性材料が溶解していることを特徴とする機能性ゼリーの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−57659(P2011−57659A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−237036(P2009−237036)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【特許番号】特許第4450863号(P4450863)
【特許公報発行日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(500457519)
【出願人】(000124764)
【出願人】(509030490)
【出願人】(595122763)
【出願人】(509029933)
【Fターム(参考)】