説明

機能性マイクロバブル及び機能性マイクロバブル水

【課題】簡単な手段で生物の血管内、臓器内あるいは皮膚内等の生物の体内にインスリン様成長因子−1(IGF−1)を生成させる技術の提供。
【解決手段】気体と液体との混合液よりなる気液二相流体を、内側形状が円筒形又は円錐形の容器内で毎分20,000〜40,000回転(毎秒約330〜670回転)させて、同容器の中心部に液体及び気体の2相旋回流を形成させ、その2相旋回流の回転軸に沿って気体の負圧空洞部を形成させて、旋回気体空洞部を形成させ、その旋回によって気体を千切り、かつ粉砕して、発生時に直径が10〜40μmで、電位が−40〜−100mVの微細気泡を含む機能性マイクロバブル又は機能性マイクロバブル水を、生物へ供与(例えばマイクロバブル水に生物を浸漬)する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性マイクロバブル又は機能性マイクロバブル水の提供に関し、特に生物の体内においてインスリン様成長因子−1(IGF−1)又は成長ホルモンを生成させる機能性マイクロバブル及び機能性マイクロバブル水の提供に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、微細気泡の製造技術及びその利用技術の開発が盛んに行われるようになってきて、重要な産業技術分野を形成するに至っている。
直径が数10μm以下、特に50μm以下の微細な気泡はマイクロバブルといわれ、その作用メカニズム、物理化学的性質、機能等は、未だ十分に解明されていない。
本発明者は、水産養殖及びバイオリアクターに適用可能なガス気泡供給器の開発に取組み、気泡の微細化を追求する過程において、種々の微細気泡発生装置を開発してきた。また、開発した発生装置を池や湖沼等の閉鎖水域の水質改善に用いるため、実証実験を重ね、種々の成果を得てきた。
【特許文献1】特願2002−143885号公報
【0003】
一方、インスリン様成長因子−1(IGF−1)は、疾病予防とアンチエイジングに関わる重要な物質であって、分子量が7500のペプチドで、細胞のアポトーシスを抑制し、細胞の生存、増殖、そして分化に不可欠な重要な物質であることが知られている。
すなわち、インスリン様成長因子−1は、成長ホルモンの末梢での作用発現物質で、筋肉細胞、神経細胞などの細胞の増殖分化に重要な役割を演じるものであり、成長ホルモン欠損症で認められる多くの症候は、インスリン様成長因子−1の産生低下に起因すると考えられ、この病態の観察と成長ホルモン補充による効果の観察から、インスリン様成長因子−1の多彩で重要な作用が判明した。
【特許文献2】特開2006−151971号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の研究結果から、マイクロバブル(MB)の生物作用として、牡蠣やホタテの成長促進作用が認められているが、マイクロバブルを利用して他の有用生物の育生を促進したり、疾病を治癒したりする発明、及びその開発やメカニズムの解明は殆どなされていなかった。
よって本発明は、マイクロバブルを利用して生物の育生を促進したり、疾病の治癒を図るなどの発明技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、鋭意研究の結果、マイクロバブル又はマイクロバブル含有水を生物に供給すると、細胞の生存、増殖、そして分化に不可欠な重要な物質生物であるインスリン様成長因子−1(IGF−1)の生成を促進することを見いだした。
本願発明は、該発見に基づいてなされたもので下記構成の機能性マイクロバブル及び機能性マイクロバブル水に係るものである。
【0006】
[1] 気体と液体との混合液よりなる気液二相流体を、内側形状が円筒形又は円錐形の容器内で毎分20,000〜40,000回転(毎秒約330〜670回転)させて、同容器の中心部に液体及び気体の2相旋回流を形成させ、その2相旋回流の回転軸に沿って気体の負圧空洞部を形成させて、旋回気体空洞部を形成させ、その旋回によって気体を千切り、かつ粉砕して、発生時に直径が10〜40μmで、電位が−40〜−100mVの微細気泡である機能性マイクロバブルを製造することを特徴とする機能性マイクロバブルの製造方法。
[2] 気体と液体との混合液よりなる気液二相流体を、内側形状が円筒形又は円錐形の容器内で毎分20,000〜40,000回転(毎秒約330〜670回転)させて、同容器の中心部に液体及び気体の2相旋回流を形成させ、その2相旋回流の回転軸に沿って気体の負圧空洞部を形成させて、旋回気体空洞部を形成させ、その旋回によって気体を千切り、かつ粉砕して、発生時に直径が10〜40μmで、電位が−40〜−100mVの微細気泡を含む機能性マイクロバブル水を製造することを特徴とする機能性マイクロバブル水の製造方法。
[3] 気体と液体との混合液よりなる気液二相流体を、内側形状が円筒形又は円錐形の容器内で回転させる回転数が、毎秒350〜700回転であることを特徴とする前項[2]記載の機能性マイクロバブル水の製造方法。
【0007】
[4] 気体と液体との混合液よりなる気液二相流体を、内側形状が円筒形又は円錐形の容器内で毎分20,000〜40,000回転(毎秒約330〜670回転)させて、同容器の中心部に液体及び気体の2相旋回流を形成させ、その2相旋回流の回転軸に沿って気体の負圧空洞部を形成させて、旋回気体空洞部を形成させ、その旋回によって気体を千切り、かつ粉砕して、発生時に直径が10〜40μmで、電位が−40〜−100mVの微細気泡となしてなることを特徴とする機能性マイクロバブル。
[5] 気体と液体との混合液よりなる気液二相流体を、内側形状が円筒形又は円錐形の容器内で毎分20,000〜40,000回転(毎秒約330〜670回転)させて、同容器の中心部に液体及び気体の2相旋回流を形成させ、その2相旋回流の回転軸に沿って気体の負圧空洞部を形成させて、旋回気体空洞部を形成させ、その旋回によって気体を千切り、かつ粉砕して、発生時に直径が10〜40μmで、電位が−40〜−100mVの微細気泡を含む機能性マイクロバブル水となしてなることを特徴とする機能性マイクロバブル水。
[6] 前項[4]記載の機能性マイクロバブル又は前項[]5]記載の機能性マイクロバブル水が、それの生物への供与によって生物の血管内、臓器内あるいは皮膚内等の生物の体内にインスリン様成長因子−1(IGF−1)を生成させるものであることを特徴とする機能性マイクロバブル又は機能性マイクロバブル水。
【0008】
[7] 前項[4]記載の機能性マイクロバブル又は前項[5]記載の機能性マイクロバブル水が、それの生物への供与によって生物の血管内、臓器内あるいは皮膚内等の生物の体内にインスリン様成長因子−1(IGF−1)を生成させ、生物の体内の血糖値を低下させるものであることを特徴とする機能性マイクロバブル又は機能性マイクロバブル水。
[8] 前項[4]記載の機能性マイクロバブル又は前項[5]記載の機能性マイクロバブル水が、それの生物への供与によって生物の血管内、臓器内あるいは皮膚内等の生物の体内にインスリン様成長因子−1(IGF−1)を生成させ、生物の体内の血圧値を低下させるものであることを特徴とする機能性マイクロバブル又は機能性マイクロバブル水。
【0009】
[9] 前項[4]記載の機能性マイクロバブル又は前項[5]記載の機能性マイクロバブル水が、それの生物への供与によって生物の血管内、臓器内あるいは皮膚内等の生物の体内にインスリン様成長因子−1(IGF−1)を生成させ、生物の心機能の改善、高脂血症の改善、認知機能の上昇、抗うつ作用、アルツハイマー病予防、美肌効果、育毛作用、創傷治癒の促進、抗炎症作用あるいはナチュラルキラー細胞の活性化による免疫機能活性化作用から選ばれるいずれか1又は2以上を達成させるものであることを特徴とする機能性マイクロバブル又は機能性マイクロバブル水。
[10] 機能性マイクロバブル又は機能性マイクロバブル水が、それの生物への供与によって知覚神経刺激により生物の血管内、臓器内あるいは皮膚内等の生物の体内にインスリン様成長因子−1(IGF−1)を生成させるものであることを特徴とする前項[6]〜[9]のいずれか1項に記載の機能性マイクロバブル又は機能性マイクロバブル水。
【0010】
[11] 前項[4]記載の機能性マイクロバブル又は前項[5]記載の機能性マイクロバブル水が、それの生物への供与によって生物の血管内、臓器内あるいは皮膚内等の生物の体内に成長ホルモンを生成させるものであることを特徴とする機能性マイクロバブル又は機能性マイクロバブル水。
[12] 前項[4]記載の機能性マイクロバブル又は前項[5]記載の機能性マイクロバブル水が、それの生物への供与によって知覚神経刺激により生物の血管内、臓器内あるいは皮膚内等の生物の体内に成長ホルモンを生成させるものであることを特徴とする機能性マイクロバブル又は機能性マイクロバブル水。
[13] 生物が、動物であることを特徴とする前項[6]〜[12]のいずれか1項に記載の機能性マイクロバブル又は機能性マイクロバブル水。
[14] 動物が、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類等の脊椎動物であることを特徴とする前項[13]に記載の機能性マイクロバブル又は機能性マイクロバブル水。
[15] 生物が、植物であることを特徴とする前項[6]〜[12]のいずれか1項に記載の機能性マイクロバブル又は機能性マイクロバブル水。
[16] 生物が、微生物であることを特徴とする前項[6]〜[12]のいずれか1項に記載の機能性マイクロバブル又は機能性マイクロバブル水。
【発明の効果】
【0011】
本願発明の機能性マイクロバブル又は機能性マイクロバブル水を、単に生物に供与するだけで、生物の血管内、臓器内あるいは皮膚内等の生物の体内にインスリン様成長因子−1(IGF−1)含有濃度を上昇させることができ、特に肝臓や血漿(血液)中のインスリン様成長因子−1を飛躍的に上昇させることができる。
その結果、生物の育生促進や疾病の予防・治癒を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係るマイクロバブル、マイクロバブル水及びインスリン様成長因子−1(IGF−1)について、説明する。
「マイクロバブル、マイクロバブル水について」
本願発明に係るマイクロバブル(機能性マイクロバブル)は、気体と液体との混合液よりなる気液二相流体を、内側形状が円筒形又は円錐形の容器内で毎分20,000〜40,000回転あるいは毎秒約300〜700回転させて、同容器の中心部に液体及び気体の2相旋回流を形成させ、その2相旋回流の回転軸に沿って気体の負圧空洞部を形成させて、旋回気体空洞部を形成させ、その旋回によって気体を千切り、かつ粉砕して製造され、発生時に直径が10〜40μmで、電位が−40〜−100mVの微細気泡となっているものである。
そして、発生後は所定の寿命を持って徐々に微細化し、消滅し溶解するものせる。
ここで、所定の寿命とは、大気圧が作用する水面近くの常圧の場合は数秒前後であり、高圧になるに従いその寿命がより長くなる。
すなわち、高圧下において発生時に好ましくは30μm以下の気泡径を有し、発生後は前記微細気泡に比べ、より長い寿命を持って徐々に微細化し、水中での上昇過程において消滅・溶解する微細気泡で、高圧下とは1気圧以上の深い水面下をいう。
本願発明のマイクロバブルは、その発生時の大きさにおいて略5μm〜略40μmの直径のものである。
このようなマイクロバブルの物理的特性として、発生時に直径が10〜40μmで、電位が−40〜−100mVの微細気泡で、その後、気泡径が小さくなるに従い、その電位量の絶対値は逆比例して増加するものである。
また、数百ミクロン〜数ミリメートル、あるいはそれ以上の気泡径の気泡(以下、通常気泡という)と比較して、表面張力が極端に大きく、内圧が高い。マイクロバブルが消滅する際の内圧は、数千気圧にも達するといわれている。
また、そのマイクロバブルの消滅・溶解時には、暗闇で自発光が確認できる程の高エネルギーを有するものであり、これを観測している。
【0013】
上述のようなマイクロバブルは、発生後比較的短時間で微細化し、消滅・溶解する過程において、強大な熱及び光のエネルギーを放出する。そのエネルギーの供給によって、生物の生理活性を促進させ、特に生体の血流促進を実現し、新陳代謝を高める気泡である。すなわち、マイクロバブルの発するエネルギーによって、生理活性を制御する物質が生体内に生成され、その結果として生理活性が促進されるものと推測される。
また、生理活性の結果として、生物本来の成長促進補助を大幅に可能とする。
そして、本願発明のマイクロバブルは、低温水中に身体又は身体の一部を浸した場合に、血流促進を図ることができる気泡でもある。ここで低温水とは、略37度C〜略40度C程度の温水を意味するが、本願発明に係るマイクロバブルの血流促進の作用により、より高温での入浴と同等の血流促進効果を得ることができる。また、身体の一部、例えば足及び脛に前記マイクロバブルを当てても血流促進を図ることができる。
さらに、溶存酸素濃度を高めることによる生理活性機能と、上述のように気泡自体による生理活性機能を共に備えている。
本願発明のマイクロバブルの発生過程においては、円筒状のスペースを構成する円周の接線方向に向けて液体を圧送することにより、円筒状スペースの軸線に沿って旋回流を生成させ、その旋回流の中心軸付近に負圧領域を形成させ、その負圧領域の一端から外部の気体が吸込まれ、その気体が前記負圧領域の他端に向って通過することによって、細かい紐状の旋回気体空洞部を形成させ、その旋回気体空洞部が前記圧送液により、縮径されて先細りとなり、千切られ、かつ、静液体に臨むことにより生成される。
【0014】
次に、本願発明に係るマイクロバブルの気泡径は、均一であり、気泡同士の合体や分裂が起こり難く、極めて優れた分散性を示す。これに対して、通常気泡は、酸素吸収効率が悪く、また生理活性を起こさせることができない。
マイクロバブルが発生及びはじける際に生成される音エネルギーが、約キロヘルツ〜数10キロヘルツ程度の振動で伝達される。
マイクロバブルは水中に長時間滞留する。マイクロバブルは、比較的短時間で消滅するが、同時にマイクロバブル発生装置からは大量のマイクロバブルが連続的に発生し続けることから、マイクロバブル全体として滞留する性質を備えている。
【0015】
「インスリン様成長因子−1(IGF−1)について」
[生体の恒常性維持における知覚神経の役割]
ヒトを含めて生物は、常に様々な環境の変化にさらされている。これらの環境の変化に対して、生物は、神経系、内分泌系、および免疫系の3つのシステムを巧妙に協調させて対応し、生体内部を一定の状態に維持している。生体内部の恒常性を保つ機能は、ホメオスターシスと呼ばれ、この機能が、正常に作動しているおかげで、我々は生命を維持できるのである。
生体に対する環境変化、例えば、「怪我をする」が起これば、これは、神経系や免疫系によって認識され、それぞれ、痛み、および細菌の侵入という情報として、中枢(脳)へ伝達される。中枢神経系は、全身の神経系および内分泌系を活性化させ、それぞれ、自律神経機能の活性化、およびステロイドなどのホルモン分泌亢進などの効果を惹起し、生体内の恒常性を維持しようとする。
この様に、知覚神経系は、レーダー網のように、全身に張り巡らされ、全身の状況の些細な変化をも感知し、環境の変化をいち早く中枢へ伝え、その後の環境の変化に対応するための重要な生体反応を惹起する上で、重要な役割を担っている。
【0016】
[生体防御反応と臓器保護機構]
前述の様に、怪我をすると、免疫系では、細菌の侵入などを感知した白血球が活性化され、細菌の侵入から生体を守るための生体防御反応が展開される。細菌の侵入により、白血球の中でも、単球と呼ばれる細胞がまず活性化される。単球は、実際に細菌と戦う兵隊である好中球と呼ばれる細胞に戦いの指令を送る。この指令物質は、古くはガン細胞を殺す働きがあったことから、腫瘍壊死因子と呼ばれている。腫瘍壊死因子は、好中球を活性化し、好中球から、細菌を殺す武器である活性酸素種や蛋白分解酵素を放出させる。また、腫瘍壊死因子は、細菌などの攻撃で傷害された細胞を除去する働きをも持っている。傷害された細胞は、細胞死(アポトーシス)と呼ばれる機序によって除去される。
【0017】
知覚神経刺激による臓器保護機構生体に密に張り巡らされた知覚神経のネットワークは、生体の恒常性を攪乱する要因が作用すると、速やかにこれを察知する。
知覚神経表面には、カプサイシンなどのバニロイド化合物に対する受容体(バニロイド受容体.1)が存在する。この受容体は、43℃の熱刺激、pH6以下の酸性環境、低濃度の腫瘍壊死因子やインターロイキン−1などの炎症性サイトカイン、プロスタグランジン、内因性マリファナであるアナンダマイド、ブラジキニン、トロンボキサンA2、およびロイコトリエンなどで活性化される。
すなわち、生体の恒常性をかく乱する要因が作用して、それに対する生体側の反応により生成されるこのような物質により、知覚神経が刺激されるのである。知覚神経が刺激されると、温痛覚が伝達され、生体は熱さや痛みを感じるが、同時に知覚神経末端からカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)という知覚神経で産生されるペプチドを放出する。
CGRPは、血管内皮細胞を活性化し、腫瘍壊死因子の産生を抑制する作用を有する一酸化窒素やプロスタグランジンの産生を促進する。さらに、CGRPは、血管内皮細胞や臓器実質細胞の生存に重要な役割を担うインスリン様成長因子−1の産生も促進する。
【0018】
インスリン様成長因子−1(IGF−1):
疾病予防とアンチエイジングに関わる重要な物質インスリン様成長因子−1は、分子量7500ペプチドで、細胞のアポトーシスを抑制し、細胞の生存、増殖、そして分化に不可欠な重要な物質である。
インスリン様成長因子−1は、成長ホルモンの末梢での作用発現物質で、筋肉細胞、神経細胞などの細胞の増殖分化に重要な役割を演じる。成長ホルモン欠損症で認められる多くの症候は、インスリン様成長因子−1の産生低下に起因すると考えられ、この病態の観察と成長ホルモン補充による効果の観察から、インスリン様成長因子−1の多彩で重要な作用が判明した。
インスリン様成長因子−1は、血糖を調節するインスリンと類似したシグナルを細胞に伝達し、血糖を低下させ、糖尿病の軽減に重要であるが、その他にも、蛋白質分解抑制(蛋白同化作用)、血圧低下、心機能の改善、高脂血症の改善、認知機能の上昇、抗うつ作用、アルツハイマー病予防、美肌効果、育毛作用、創傷治癒の促進、抗炎症作用、ナチュラルキラー細胞の活性化による免疫機能活性化作用などの作用が知られている。
また、成長ホルモンのアンチエイジング作用は、インスリン様成長因子−1の作用によるものである。インスリン様成長因子−1は、生体防御反応において、過剰に産生された腫瘍壊死因子によるアポトーシスを抑制するほか、アポトーシスによる細胞欠落を、新たに若い無傷な細胞を分裂増殖させることで、補充する作用を有する。
【実施例】
【0019】
本発明に係る実施形態を図1に基づいて説明する。
図1は、マウスを40℃の水道水と40℃の本願発明のマイクロバブル水に5分間浸漬した際及びマウスに何も処理をしない際(コントロール)の各種臓器、皮膚、血漿におけるインスリン様成長因子−1(IGF−1)生成率(コントロール(100)に対する比率)を示すものである。
なお、図において「コントロール」は、何もしない、そのままのマウスである。
「40℃水道水」は、40℃の温水にマウスを5分間入れて入浴させた場合であり、
「40℃水道水+マイクロバブル」は、40℃の温水にマイクロバブルを発生させながら、マウスを5分間入浴させた場合である。
すなわち、マウスを40℃の水道水と40℃の本願発明のマイクロバブル水に5分間浸漬してから、マウスの各種臓器、皮膚、血漿におけるインスリン様成長因子−1(IGF−1)生成率を測定した。
そして、その結果を図1に示した(ただし、コントロール(100)に対する比率を示す)。
その結果から、マウスを40℃の水道水に浸漬しただけでも体内のインスリン様成長因子−1濃度は上昇するが、40℃の本願発明のマイクロバブル水に浸漬すると、一層体内のインスリン様成長因子−1濃度は上昇することが明確に解る。
特に肝臓及び血漿(血液)中のインスリン様成長因子−1濃度は飛躍的に上昇することが解った。
以上のことから、本願発明のマイクロバブル又はマイクロバブル水の供与により、生物体内のインスリン様成長因子−1濃度が上昇するため、生物の育生促進や、医療分野において多くの疾患への治療効果が期待できる。
すなわち、生体が急性の過大な、又は慢性の持続するストレスにより、それぞれ、重症感染症や生活習慣病を発症した場合、または、老化が促進されるような場合、マイクロバブルは、インスリン様成長因子−1産生を促進し、若い細胞を分裂させ、臓器の障害、炎症、又は老化の促進を抑制することが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】マウスを40℃の水道水と40℃の本願発明のマイクロバブル水に5分間浸漬した際の各種臓器、皮膚、血漿におけるインスリン様成長因子−1(IGF−1)生成率(コントロール(100)に対する比率)を示すものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体と液体との混合液よりなる気液二相流体を、内側形状が円筒形又は円錐形の容器内で毎分20,000〜40,000回転(毎秒約330〜670回転)させて、同容器の中心部に液体及び気体の2相旋回流を形成させ、その2相旋回流の回転軸に沿って気体の負圧空洞部を形成させて、旋回気体空洞部を形成させ、その旋回によって気体を千切り、かつ粉砕して、発生時に直径が10〜40μmで、電位が−40〜−100mVの微細気泡である機能性マイクロバブルを製造することを特徴とする機能性マイクロバブルの製造方法。
【請求項2】
気体と液体との混合液よりなる気液二相流体を、内側形状が円筒形又は円錐形の容器内で毎分20,000〜40,000回転(毎秒約330〜670回転)させて、同容器の中心部に液体及び気体の2相旋回流を形成させ、その2相旋回流の回転軸に沿って気体の負圧空洞部を形成させて、旋回気体空洞部を形成させ、その旋回によって気体を千切り、かつ粉砕して、発生時に直径が10〜40μmで、電位が−40〜−100mVの微細気泡を含む機能性マイクロバブル水を製造することを特徴とする機能性マイクロバブル水の製造方法。
【請求項3】
気体と液体との混合液よりなる気液二相流体を、内側形状が円筒形又は円錐形の容器内で回転させる回転数が、毎秒350〜700回転であることを特徴とする請求項2記載の機能性マイクロバブル水の製造方法。
【請求項4】
気体と液体との混合液よりなる気液二相流体を、内側形状が円筒形又は円錐形の容器内で毎分20,000〜40,000回転(毎秒約330〜670回転)させて、同容器の中心部に液体及び気体の2相旋回流を形成させ、その2相旋回流の回転軸に沿って気体の負圧空洞部を形成させて、旋回気体空洞部を形成させ、その旋回によって気体を千切り、かつ粉砕して、発生時に直径が10〜40μmで、電位が−40〜−100mVの微細気泡となしてなることを特徴とする機能性マイクロバブル。
【請求項5】
気体と液体との混合液よりなる気液二相流体を、内側形状が円筒形又は円錐形の容器内で毎分20,000〜40,000回転(毎秒約330〜670回転)させて、同容器の中心部に液体及び気体の2相旋回流を形成させ、その2相旋回流の回転軸に沿って気体の負圧空洞部を形成させて、旋回気体空洞部を形成させ、その旋回によって気体を千切り、かつ粉砕して、発生時に直径が10〜40μmで、電位が−40〜−100mVの微細気泡を含む機能性マイクロバブル水となしてなることを特徴とする機能性マイクロバブル水。
【請求項6】
請求項4記載の機能性マイクロバブル又は請求項5記載の機能性マイクロバブル水が、それの生物への供与によって生物の血管内、臓器内あるいは皮膚内等の生物の体内にインスリン様成長因子−1(IGF−1)を生成させるものであることを特徴とする機能性マイクロバブル又は機能性マイクロバブル水。
【請求項7】
請求項4記載の機能性マイクロバブル又は請求項5記載の機能性マイクロバブル水が、それの生物への供与によって生物の血管内、臓器内あるいは皮膚内等の生物の体内にインスリン様成長因子−1(IGF−1)を生成させ、生物の体内の血糖値を低下させるものであることを特徴とする機能性マイクロバブル又は機能性マイクロバブル水。
【請求項8】
請求項4記載の機能性マイクロバブル又は請求項5記載の機能性マイクロバブル水が、それの生物への供与によって生物の血管内、臓器内あるいは皮膚内等の生物の体内にインスリン様成長因子−1(IGF−1)を生成させ、生物の体内の血圧値を低下させるものであることを特徴とする機能性マイクロバブル又は機能性マイクロバブル水。
【請求項9】
請求項4記載の機能性マイクロバブル又は請求項5記載の機能性マイクロバブル水が、それの生物への供与によって生物の血管内、臓器内あるいは皮膚内等の生物の体内にインスリン様成長因子−1(IGF−1)を生成させ、生物の心機能の改善、高脂血症の改善、認知機能の上昇、抗うつ作用、アルツハイマー病予防、美肌効果、育毛作用、創傷治癒の促進、抗炎症作用あるいはナチュラルキラー細胞の活性化による免疫機能活性化作用から選ばれるいずれか1又は2以上を達成させるものであることを特徴とする機能性マイクロバブル又は機能性マイクロバブル水。
【請求項10】
機能性マイクロバブル又は機能性マイクロバブル水が、それの生物への供与によって知覚神経刺激により生物の血管内、臓器内あるいは皮膚内等の生物の体内にインスリン様成長因子−1(IGF−1)を生成させるものであることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の機能性マイクロバブル又は機能性マイクロバブル水。
【請求項11】
請求項4記載の機能性マイクロバブル又は請求項5記載の機能性マイクロバブル水が、それの生物への供与によって生物の血管内、臓器内あるいは皮膚内等の生物の体内に成長ホルモンを生成させるものであることを特徴とする機能性マイクロバブル又は機能性マイクロバブル水。
【請求項12】
請求項4記載の機能性マイクロバブル又は請求項5記載の機能性マイクロバブル水が、それの生物への供与によって知覚神経刺激により生物の血管内、臓器内あるいは皮膚内等の生物の体内に成長ホルモンを生成させるものであることを特徴とする機能性マイクロバブル又は機能性マイクロバブル水。
【請求項13】
生物が、動物であることを特徴とする請求項6〜12のいずれか1項に記載の機能性マイクロバブル又は機能性マイクロバブル水。
【請求項14】
動物が、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類等の脊椎動物であることを特徴とする請求項13に記載の機能性マイクロバブル又は機能性マイクロバブル水。
【請求項15】
生物が、植物であることを特徴とする請求項6〜12のいずれか1項に記載の機能性マイクロバブル又は機能性マイクロバブル水。
【請求項16】
生物が、微生物であることを特徴とする請求項6〜12のいずれか1項に記載の機能性マイクロバブル又は機能性マイクロバブル水。


【図1】
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【公開番号】特開2008−43906(P2008−43906A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−223710(P2006−223710)
【出願日】平成18年8月19日(2006.8.19)
【出願人】(504361872)株式会社 ナノプラネット研究所 (6)
【Fターム(参考)】