説明

機能性付与粘土鉱物粉末およびその製造方法

【課題】ゲル剤を用いることで、粘土鉱物の粉末の表面に所要の機能を発現する機能性物質粉末を均質に分散・固着して、この機能性物質粉末による該機能の発現と、粘土鉱物粉末の表面特性の発現とを両立し得るようにした機能性付与粘土鉱物粉末と、この機能性付与粘土鉱物粉末の製造方法とを提供する。
【解決手段】粘土鉱物粉末12を基材とし、この基材の表面に機能性物質粉末14を固着させた機能性付与粘土鉱物粉末であって、少なくとも前記粘土鉱物粉末12、機能性物質粉末14およびゲル剤18を含有し、前記機能性物質粉末14が、前記ゲル剤18によって覆われた状態で前記粘土鉱物粉末12の表面に均質に分散して固着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ゲル剤を用いることで、雲母またはタルク等の粘土鉱物粉末の表面に対して種々の機能を発現する機能性物質粉末を固着させ、該機能性物質粉末による各種機能の発現と、該粘土鉱物粉末の表面特性の保持とが好適に達成されている機能性付与粘土鉱物粉末およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
雲母原鉱石またはタルク原鉱石の鉱脈は、世界中に広く分布し、またこれらの加工が容易であることから、古くから様々な用途に用いられ、かつその利用範囲も極めて多岐に渡るものである。雲母原鉱石は、俗に「千枚剥がし」と呼ばれ、細かい鱗片状に剥離し易い特異的な層状積層構造を有すると共に、滑り性、弾力性、電気絶縁性および耐熱性等の良好な特性を有している。一方、タルク原鉱石は、そのモース硬度が1と極めて柔らかい鉱物であり、また滑りが良いことから「滑石」や「ソープストーン」と俗に呼称されている。また、タルクの粒子構造も、雲母ほど顕著ではないが層状になっている。このような層状積層構造をなす雲母原鉱石およびタルク原鉱石等の粘土鉱物は、劈開性を有するために粉末とされた際に独特の優れた感触を発現する特徴を有し、また物性的には化学的に安定であるため、他の混合物の機能に影響を与えないという特徴を有している。
【0003】
このような特徴によって雲母またはタルク等の粘土鉱物の粉末は、紙、樹脂や塗料等に対する工業製フィラーとして、増量、物性や性能の改善、機能性の付与、加工性の改善を目的として添加され、また化粧品原料、医薬品原料、その他触媒や吸着材等の粉末製品としても用いられている。殊に層状積層構造(鱗片状または板状)を呈して肌に適度な伸び、滑り性や密着感等をもたらすと共に、光沢感や仕上がり感を向上させる効果を奏し、ファンデーションやアイシャドウ等の粧材の原料処方中には必ずこれら粘土鉱物の粉末が存在し、最も重要な体質顔料としての一つとなっている。
【0004】
また雲母およびタルクは、前述した長所がある一方で、以下のような短所も知られている。すなわち雲母においては、光透過性が高い性質の発現によって、吸油時に色調が黒っぽく変色してしまう問題がある。また天然雲母の場合には、構成成分以外の鉄(Fe)等の有色金属が含まれると発色が著しくなり、また合成雲母においても顔料と混合すると、顔料の色調よりも暗い色調になることが知られている。更に、雲母は層間に電荷を有するために劈開面方向への結合力が強く、高い劈開性を有すると共に高い弾力性を有する一方で、化粧品、殊にファンデーション製作時において成形性が悪くなることが指摘されている。タルクにおいては、構造の崩壊性が高いために成形性は良好であるが、雲母のような透明感は無く、キラキラと光り輝くような色調は見られない。このような問題は粧材にとっては致命的な問題となり得るため、現行の化粧品処方においては特性の違いを考慮して、製造される化粧品に求められる感触や色調等に応じて、雲母、タルク等が所要の割合で混合されて使用されることが一般的となっている。
【0005】
ところで近年、粘土鉱物粉末の表面に対して色材を付与することで、粘土鉱物粉末を着色した着色粘土鉱物粉末が製造されている。この着色粘土鉱物粉末は、色材の色を選択することで任意の色を付与し得る。しかし、雲母等の粘土鉱物粉末を着色した製品は、顔料をバインダで固着したものは言うに及ばず、酸化チタン、酸化鉄薄膜等の金属酸化物薄膜を形成したものや、単にこれらを混合したものにおいても、表面が「ザラザラする」と云った感触の悪化が指摘される。すなわち、雲母等の粘土鉱物粉末が有する優れた滑り性等の表面物性を損ってしまう。この感触の悪化は、混合物中に存在する顔料(バインダで固着された形態を含む)等の立体構造や、電荷的な性質に起因すると考えられている。また、雲母使用時の成形性を改善する方法として、球状有機微粒子を粧材原料中に混合して使用する方法が挙げられるが、この微粒子の使用も前述した金属酸化物と同じく感触の悪化を招く。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで感触の悪さを改善する対応策として、一般的に(A)粧材原料中に薄片状窒化ホウ素等を添加する方法や、(B)油脂類の添加量を多くする方法が考えられている。しかし(A)の場合、薄片状窒化ホウ素の如き感触を改善する物質は高価であり、完成品たる粧材の価格が大きく引き上げられてしまう問題がある。また(B)の場合、油脂類は粧材の疎水性を上げてしまうため、使用対象である人肌に大きな関係があって粧材の大きな評価項目である保湿(保水)性および吸水性が低下してしまう問題がある。
【0007】
これらの問題を改善すべく、例えば特許文献1には、粧材の粉体組成にシリコーン剤を添加する内容が開示されている。しかし、この方法の場合、(A)の問題に対しては対応が可能である一方で、シリコーン剤は疎水性物質であるので、(B)の問題には対処ができなかった。また雲母等粉末の表面特性を大きく変化させるため、該雲母等粉末に付与された顔料による着色が妨げられる難点が指摘される。
【特許文献1】特開2003−55150号公報
【0008】
すなわちこの発明は、従来の技術に係る機能性付与粘土鉱物粉末およびその製造方法に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、ゲル剤を用いることで、粘土鉱物の粉末の表面に所要の機能を発現する機能性物質粉末を均質に分散・固着して、この機能性物質粉末による該機能の発現と、粘土鉱物粉末の表面特性の発現とを両立し得るようにした機能性付与粘土鉱物粉末と、この機能性付与粘土鉱物粉末の製造方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係る機能性付与粘土鉱物粉末は、
粘土鉱物粉末を基材とし、この基材の表面に機能性物質粉末を固着させた機能性付与粘土鉱物粉末であって、
少なくとも前記粘土鉱物粉末、機能性物質粉末およびゲル剤を含有し、
前記機能性物質粉末が、前記ゲル剤によって覆われた状態で前記粘土鉱物粉末の表面に均質に分散して固着されていることを特徴とする。
【0010】
従って、請求項1に係る発明によれば、ゲル剤を用いることで、粘土鉱物粉末の表面に所要の機能を発現する機能性物質粉末を好適に固着して、この機能性物質粉末による該機能の発現と、粘土鉱物粉末の良好な感触の発現とを両立し得る。
【0011】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項2に記載の発明に係る機能性付与粘土鉱物粉末は、
粘土鉱物粉末を基材とし、この基材の表面に機能性物質粉末を固着させた機能性付与粘土鉱物粉末であって、
予め準備した粘土鉱物粉末、機能性物質粉末およびゲル剤から得た混合体に水を加えることで、前記ゲル剤をゾル状態とすると共に、該混合体に流動性を付与して、前記機能性物質粉末を均質に分散させたもとで、該混合体を乾燥して前記ゲル剤を凝固させることにより、
前記機能性物質粉末が、前記ゲル剤によって覆われると共に前記粘土鉱物粉末の表面に均質に分散された状態で固着されていることを特徴とする。
【0012】
従って、請求項2に係る発明によれば、ゲル剤を用いることで、雲母またはタルク等の粘土鉱物粉末の表面に所要の機能を発現する機能性物質粉末を均質に分散・固着して、この機能性物質粉末による該機能の発現と、粘土鉱物粉末の表面特性の発現とを両立すると共に、ゲル剤が備える保水性や粘着性を付与することができる。
【0013】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項3に記載の発明に係る機能性付与粘土鉱物粉末は、
粘土鉱物粉末を基材とし、この基材の表面に機能性物質粉末を固着させた機能性付与粘土鉱物粉末であって、
予め準備した粘土鉱物粉末、機能性物質粉末およびゲル剤から得た混合体に水を加えることで、前記ゲル剤をゾル状態とすると共に、該混合体に流動性を付与して、前記機能性物質粉末を均質に分散させた後、該混合体に、前記ゲル剤を重合させる金属イオンを添加し、
次いで前記混合体を乾燥して前記ゲル剤を重合・凝固させることにより、前記機能性物質粉末が、前記ゲル剤によって覆われると共に前記粘土鉱物粉末の表面に均質に分散された状態で固着されていることを特徴とする。
【0014】
従って、請求項3に係る発明によれば、ゲル剤を用いることで、雲母またはタルク等の粘土鉱物粉末の表面に所要の機能を発現する機能性物質粉末を均質に分散・固着して、この機能性物質粉末による該機能の発現と、粘土鉱物粉末の表面特性の発現とを両立すると共に、ゲル剤が備える保水性を付与することができる。またゲル剤を重合・凝固させているので、過剰な水分を与えてもゾル状態に戻ることがない。
【0015】
請求項4に記載の発明は、前記水の使用量は、100重量部の混合体に対して、50〜200重量部になっていることを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、粘土鉱物粉末の表面への機能性物質粉末の固着を好適になし得る。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記粘土鉱物粉末として、天然または合成の雲母またはタルクの粉末が、1種類または2種類以上使用されることを要旨とする。
従って、請求項5に係る発明によれば、雲母またはタルクが呈する好適な感触を付与すると共に、その構造中に含まれる結晶水によって高い親水性等を付与し得る。
【0017】
請求項6に記載の発明は、前記粘土鉱物粉末として、セリサイト(絹雲母)の粉末が使用されることを要旨とする。
従って、請求項6に係る発明によれば、セリサイトは表面における光散乱が大きいから、高い白色度と、透明感のある光り輝くような色調との双方を付与し得る。
【0018】
請求項7に記載の発明は、前記粘土鉱物粉末として、焼成雲母の粉末が使用されることを要旨とする。
従って、請求項7に係る発明によれば、焼成によって構造内から水酸基(−OH)が離脱した雲母であるため、薄片に剥離が可能であり、密着感のある優れた感触を付与し得る。
【0019】
請求項8に記載の発明は、前記粘土鉱物粉末として、パールマイカの粉末が使用されることを要旨とする。
従って、請求項8に係る発明によれば、パールマイカが有する酸化チタン被膜によって、干渉色による真珠光沢色調を付与し得る。
【0020】
請求項9に記載の発明は、前記機能性物質粉末として、顔料が1種類または2種類以上使用されることを要旨とする。
従って、請求項9に係る発明によれば、嗜好性を容易に高め得るから、例えば化粧品原料、医療品原料として好適に採用し得る。また複数の顔料を使用することで、所謂ソフトフォーカス効果(光効果)を付与し得る。
【0021】
請求項10に記載の発明は、前記顔料として、酸化チタンが使用されることを要旨とする。
従って、請求項10に係る発明によれば、酸化チタンは光隠蔽性が大きく、白色度が高いから、例えば化粧品原料として好適に採用し得る。
【0022】
請求項11に記載の発明は、前記顔料として、酸化亜鉛が使用されることを要旨とする。
従って、請求項11に係る発明によれば、酸化亜鉛は紫外線吸収効果を有するから、例えば化粧品原料として好適に採用し得る。
【0023】
請求項12に記載の発明は、前記顔料として、価数を任意に制御して発現色を変化させ得る酸化鉄が使用されることを要旨とする。
従って、請求項12に係る発明によれば、 価数の変化によって黄色、赤色または黒色の各色を容易に発現させ得るから、例えば化粧品原料の嗜好性を好適に高め得る。
【0024】
請求項13に記載の発明は、前記ゲル剤として、有機ゲル剤が使用されることを要旨とする。
従って、請求項13に係る発明によれば、有機ゲル剤の極めて高い水分子包摂作用のため、好適に保水性および機能性物質粉末の固着性を高め得る。
【0025】
請求項14に記載の発明は、前記有機ゲル剤として、ポリアクリル酸ナトリウムまたはアルギン酸ナトリウムが使用されることを要旨とする。
従って、請求項14に係る発明によれば、更に高い保水性および機能性物質粉末の固着性を付与し得る。
【0026】
請求項15に記載の発明は、前記ゲル剤として、ポリアクリル酸ナトリウムが使用されると共に、前記金属イオンとしてマグネシウムが使用されることを要旨とする。
従って、請求項15に係る発明によれば、ポリアクリル酸ナトリウムを好適に重合させて、ゾル状態への可逆的変化を防止し得る。
【0027】
請求項16に記載の発明は、前記ゲル剤として、アルギン酸ナトリウムが使用されると共に、前記金属イオンとしてカルシウムが使用されることを要旨とする。
従って、請求項16に係る発明によれば、アルギン酸ナトリウムを好適に重合させて、ゾル状態への可逆的変化を防止し得る。
【0028】
請求項17に記載の発明は、前記ゲル剤の使用量は、100重量部の前記粘土鉱物粉末および機能性物質粉末に対して、0.1〜3.0重量部になっていることを要旨とする。
従って、請求項17に係る発明によれば、粘土鉱物粉末の表面への機能性物質粉末の固着を好適になし得る。
【0029】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項18に記載の発明に係る機能性付与粘土鉱物粉末の製造方法は、
粘土鉱物粉末を基材とし、この基材の表面に機能性物質粉末が固着されている機能性付与粘土鉱物粉末の製造方法であって、
予め準備した粘土鉱物粉末、機能性物質粉末およびゲル剤を充分に混合することで均質な混合体を得て、
前記混合体に対して水を加えて前記ゲル剤をゾル状態とすると共に、該混合体に流動性を付与して、前記機能性物質粉末を均質に分散させ、
前記流動性が付与された混合体を乾燥させることで、前記ゲル剤を凝固させ、
これにより前記機能性物質粉末を前記ゲル剤によって覆い、前記粘土鉱物粉末の表面に均質に分散させた状態で固着させるようにしたことを特徴とする。
【0030】
従って、請求項18に係る発明によれば、ゲル剤を用いることで、粘土鉱物粉末の表面に所要の機能を発現する機能性物質粉末を均質に分散・固着して、この機能性物質粉末による該機能の発現と、粘土鉱物粉末の表面特性の発現とを両立すると共に、ゲル剤が備える保水性や粘着性を付与することができる機能性付与粘土鉱物粉末を製造し得る。
【0031】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項19に記載の発明に係る機能性付与粘土鉱物粉末の製造方法は、
粘土鉱物粉末を基材とし、この基材の表面に機能性物質粉末が固着されている機能性付与粘土鉱物粉末の製造方法であって、
予め準備した粘土鉱物粉末、機能性物質粉末およびゲル剤を充分に混合することで均質な混合体を得て、
前記混合体に対して水を加えて前記ゲル剤をゾル状態とすると共に、該混合体に流動性を付与して、前記機能性物質粉末を均質に分散させ、
前記流動性が付与された混合体に、前記ゲル剤を重合させる金属イオンを添加し、
次いで前記流動性が付与された混合体を乾燥させることで、前記重合したゲル剤を重合・凝固させ、
これにより前記機能性物質粉末を前記ゲル剤によって覆い、前記粘土鉱物粉末の表面に均質に分散させた状態で固着させるようにしたことを特徴とする。
【0032】
従って、請求項19に係る発明によれば、ゲル剤を用いることで、粘土鉱物粉末の表面に所要の機能を発現する機能性物質粉末を均質に分散・固着して、この機能性物質粉末による該機能の発現と、粘土鉱物粉末の表面特性の発現とを両立すると共に、ゲル剤が備える保水性を付与することができる機能性付与粘土鉱物粉末を製造し得る。またこの方法で製造された機能性付与粘土鉱物粉末は、ゲル剤を重合・凝固させているので、過剰な水分を与えてもゾル状態に戻ることがない。
【0033】
請求項20に記載の発明は、前記金属イオンは、対応する金属の塩を溶解させた水溶液として添加されることを要旨とする。
従って、請求項20に係る発明によれば、流動化したゲル剤(混合体)への金属イオンの均質な混合を達成し得る。
【0034】
請求項21に記載の発明は、前記粘土鉱物粉末として、天然または合成の雲母またはタルクの粉末を、1種類または2種類以上使用するようにしたことを要旨とする。
従って、請求項21に係る発明によれば、雲母またはタルクが呈する好適な感触を付与すると共に、その構造中に含まれる結晶水によって高い親水性等を有する機能性付与粘土鉱物粉末を製造し得る。
【0035】
請求項22に記載の発明は、前記粘土鉱物粉末として、セリサイト(絹雲母)の粉末を使用するようにしたことを要旨とする。
従って、請求項22に係る発明によれば、セリサイトは表面における光散乱が大きいから、高い白色度と、透明感のある光り輝くような色調との双方を有する機能性付与粘土鉱物粉末を製造し得る。
【0036】
請求項23に記載の発明は、前記粘土鉱物粉末として、焼成雲母の粉末を使用するようにしたことを要旨とする。
従って、請求項23に係る発明によれば、焼成によって構造内から水酸基(−OH)が離脱した雲母であるため、薄片に剥離が可能であり、密着感のある優れた感触を有する機能性付与粘土鉱物粉末を製造し得る。
【0037】
請求項24に記載の発明は、前記粘土鉱物粉末として、パールマイカの粉末を使用するようにしたことを要旨とする。
従って、請求項24に係る発明によれば、パールマイカが有する酸化チタン被膜によって、干渉色による真珠光沢色調を有する機能性付与粘土鉱物粉末を製造し得る。
【0038】
請求項25に記載の発明は、前記機能性物質粉末として、顔料を1種類または2種類以上使用するようにしたことを要旨とする。
従って、請求項25に係る発明によれば、嗜好性を容易に高め得るから、例えば化粧品原料、医療品原料として好適に採用し得る。また複数の顔料を使用することで、所謂ソフトフォーカス効果(光効果)を有する機能性付与粘土鉱物粉末を製造し得る。
【0039】
請求項26に記載の発明は、前記機能性物質粉末として、酸化チタンを使用するようにしたことを要旨とする。
従って、請求項26に係る発明によれば、酸化チタンは光隠蔽性が大きく、白色度が高いから、例えば化粧品原料として好適に採用し得る機能性付与粘土鉱物粉末を製造し得る。
【0040】
請求項27に記載の発明は、前記機能性物質粉末として、酸化亜鉛を使用するようにしたことを要旨とする。
従って、請求項27に係る発明によれば、酸化亜鉛は紫外線吸収効果を有するから、例えば化粧品原料として好適に採用し得る機能性付与粘土鉱物粉末を製造し得る。
【0041】
請求項28に記載の発明は、前記機能性物質粉末として、価数を任意に制御して発現色を変化させ得る酸化鉄を使用するようにしたことを要旨とする。
従って、請求項28に係る発明によれば、価数の変化によって黄色、赤色または黒色の各色を容易に発現させ得るから、例えば化粧品原料の嗜好性を好適に高めた機能性付与粘土鉱物粉末を製造し得る。
【0042】
請求項29に記載の発明は、前記ゲル剤として、有機ゲル剤を使用するようにしたことを要旨とする。
従って、請求項29に係る発明によれば、有機ゲル剤の極めて高い水分子包摂作用のため、好適に保水性・機能性物質粉末の固着性を高めた機能性付与粘土鉱物粉末を製造し得る。
【0043】
請求項30に記載の発明は、前記ゲル剤として、ポリアクリル酸ナトリウムまたはアルギン酸ナトリウムを使用するようにしたことを要旨とする。
従って、請求項30に係る発明によれば、更に高い保水性・機能性物質粉末の固着性を有する機能性付与粘土鉱物粉末を製造し得る
【0044】
請求項31に記載の発明は、前記ゲル剤としてポリアクリル酸ナトリウムを使用すると共に、前記金属イオンとしてマグネシウムを使用するようにしたことを要旨とする。
従って、請求項31に係る発明によれば、ポリアクリル酸ナトリウムを好適に重合させて、ゾル状態への可逆的変化を防止できる機能性付与粘土鉱物粉末を製造し得る。
【0045】
請求項32に記載の発明は、前記ゲル剤としてアルギン酸ナトリウムを使用すると共に、前記金属イオンとしてカルシウムを夫々使用するようにしたことを要旨とする。
従って、請求項32に係る発明によれば、アルギン酸ナトリウムを好適に重合させて、ゾル状態への可逆的変化を防止できる機能性付与粘土鉱物粉末を製造し得る。
【0046】
請求項33に記載の発明は、前記ゲル剤は、100重量部の前記粘土鉱物粉末および機能性物質粉末に対して、0.1〜3.0重量部となるように使用されることを要旨とする。
従って、請求項33に係る発明によれば、粘土鉱物粉末の表面への機能性物質粉末の固着を好適になし得る。
【0047】
請求項34に記載の発明は、前記水は、100重量部の混合体に対して、50〜200重量部となるように使用されることを要旨とする。
従って、請求項34に係る発明によれば、粘土鉱物粉末の表面への機能性物質粉末の固着を好適になし得る。
【発明の効果】
【0048】
本発明に係る機能性付与粘土鉱物粉末およびその製造方法によれば、ゲル剤を用いることで、雲母またはタルク等の粘土鉱物の粉末の表面に所要の機能を発現する機能性物質粉末を均質に分散・固着して、この機能性物質粉末による該機能の発現と、粘土鉱物粉末の表面特性の発現とを両立し得る。また本発明に係る機能性付与粘土鉱物粉末およびその製造方法は、良質な感触を呈する粘土鉱物粉末に、該感触を損なわず所要の機能を付与する製品製造に大きく貢献することに留まらず、粘土鉱物粉末が有する有用な物性、すなわち絶縁性および耐熱性等を生かすことで、該粘土鉱物粉末の利用範囲を大きく広げ、工業原料、医薬品または化粧品等の多数の業界に大きく貢献するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
次に、本発明に係る機能性付与粘土鉱物粉末およびその製造方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。本願の発明者は、雲母またはタルク等の粘土鉱物の粉末と、この粉末の表面に固着されて発色等の各種機能を発現する機能性物質粉末と、この機能性粉末を粘土鉱物粉末に固着させるバインダとして作用するゲル剤とを混合することで、該粘土鉱物粉末が有する優れた感触を保持しつつ、該機能性粉末が発現する各種機能の該粘土鉱物粉末への好適な付与をなし得ることを知見したものである。なお、本発明で云う雲母またはタルクとは、基材として選択する粘土鉱物として好適な例を挙げたものであって、他の層状構造を有する粘土鉱物も含み、例えばバーミキュライトまたはカオリン鉱物等、または他の粘土鉱物であってもよい。また本発明で云う粘土鉱物粉末は、雲母またはタルク等の粘土鉱物粒子からなるものであり、粉末の表現は粒子の意味を含むものとする。更に本発明における機能性物質粉末による着色とは、基材の色相を変化させるのみでなく、元の基材が有する色相を保持したまま、色調(色の濃淡)を変化させる態様や、光の干渉作用による干渉色の発現等も含まれる。
【実施例】
【0050】
実施例に係る機能性付与粘土鉱物粉末10は、図1に示す如く、雲母、タルク等の粘土鉱物の粉末(以下、粘土鉱物粉末と云う)12を基材として、この基材の表面に多数の機能性物質の粉末(以下、機能性物質粉末と云う)14が均質に分散した状態で、ゲル剤18によって覆われて固着したものである。ここでゲル剤18は、粘土鉱物粉末12と、該粘土鉱物粉末12の表面に均質に分散して存在する多数の機能性物質粉末14との全体を覆うように存在することで、該機能性物質粉末14を粘土鉱物粉末12の表面に固着している。また、本実施例に係る機能性付与粘土鉱物粉末10は、図2に示す如く、基本的に各原料準備工程S1、混合工程S2、流動化工程S3、乾燥固定化工程S4および最終工程S5を経ることで製造される。ここで本発明の理解に資するため、各工程について説明する前に粘土鉱物として好適に使用される雲母およびタルクにつき、以下説明する。
【0051】
前記雲母は、主成分として層状の単斜晶系結晶構造を持つ含水珪酸塩鉱物であり、これを粉砕して得られる粉末は、細かくても鱗片状または板状の相似形になって粒度が安定すると共に、良好な滑り性等を示す特異な表面状態を有している。そして雲母は、3原子のケイ素(Si)と1原子のアルミニウム(Al)との酸化物が形成する4個の四面体構造2層間に、2個または3個の金属酸化・水酸化物が構成する八面体構造が挟み込まれた構造の2:1型粘土鉱物である。この構造においては四面体の1/4がAlに置換されて、四面体−八面体−四面体を1つの構成ユニットとしている雲母各層の層間は負電荷を有することになるため、6個の四面体が形成する6員環の中心に、12配位の形で1価の陽イオンであるカリウム(K)が取り込まれている。そして雲母には、構造の微差によって白雲母、黒雲母、金雲母および合成雲母等が存在する。白雲母(muscovite)は、前述の八面体をなす金属元素が3価のアルミニウム(Al3+)に置換された2−八面体型雲母であり、黒または金雲母(biotite)は、該金属元素が2価の鉄(Fe2+)またはマグネシウム(Mg2+)に置換された3−八面体型雲母である。
【0052】
また合成雲母は、人為的に雲母を構成する各成分を溶融させて結晶生成させ、phlogopite(八面体をマグネシウム(Mg2+)だけで構成される雲母を指し、一般には鉄を含むbiotiteであって色の淡い黒金色の雲母)のOH基(結晶水)をフッ素に置換した化学構造を有する雲母である。この他、白雲母(muscovite)の結晶成長が不充分な粉末形状鉱物である絹雲母(sericite)がある。これらの雲母の中で化粧品原料に主に用いられているのは、白色である天然白雲母と人為的な合成雲母である。なお、絹雲母(sericite)は、不充分な結晶成長のために粉末表面における光散乱が大きく、雲母とタルクとの中間の色調を呈する特徴を有している。具体的には、高い白色度と、透明感のある光り輝くような色調との双方を有している。また各種類の雲母を焼成した焼成雲母があるが、この雲母においては焼成によって構造内から水酸基(−OH)が離脱するため、通常の雲母より更に薄片に剥離が可能であり、密着感があり、殊に化粧品原料等として好適な優れた感触を呈するという特徴を呈する。更に、雲母粉末の表面に酸化チタン薄膜を形成することで、特異な光沢(真珠光沢)を発現させて干渉色が得られるパールマイカもあり、本発明における粘土鉱物として好適に使用し得る。
【0053】
またタルクは、4原子のケイ素(Si)の酸化物が形成する4個の四面体構造2層間に、3個のマグネシウム(Mg)酸化・水酸化物が構成する八面体構造が挟み込まれた構造となっている。すなわち、構造が雲母とは異なり、各層の層間に電荷が存在せずに層間陽イオンが存在していない。従って、雲母のように各層が電荷によって固着しておらず、層間が滑って構造が崩壊し易い構造を有しており、雲母とは感触が異なる。また物性的には高い白色度を有して光を殆ど透過しないため、色調についても光透過性の高い雲母とは異なるものとなっている。これら雲母およびタルクは何れも化学的にも極めて安定であり、有機または無機の化学物質をこれらの表面に化学結合させて固着することは困難であることが知られている。
【0054】
前記粘土鉱物粉末12は、機能性付与粘土鉱物粉末10が使用される対象物および用途等に応じて、雲母等の原鉱石またはこれら原鉱石を所要の方法で粉砕して得られたフレークまたは粉末等の任意の形態で用意される。具体的には、粉砕段階S11と必要に応じて実施される分級・乾燥段階S12とからなる各原料準備工程S1を実施することで用意される。前記粉砕段階S11は、雲母等の粘土鉱物原鉱石に対して、ピンミル、ハンマーミル、ロールミル(ローラーミル)その他公知の粉砕手段による粉砕を実施して、機能性付与粘土鉱物粉末10の主体をなす基材として所定粒径に調整等された粘土鉱物粉末を得る段階である。ここで使用される粉砕手段や、この手段による粉砕時間等は、得るべき粘土鉱物粉末12をなす粒子の径により略決定される。ここで粉砕方法としては、乾式粉砕または湿式粉砕の何れの方法であっても採用し得る。また、湿式下で好適な粉砕等を実施する水流を利用した、所謂水流粉砕機や水中攪拌機等による粉砕も採用可能である。この水流粉砕機や水中攪拌機等の使用による粉砕は、分級が同時に実施されるため、後述する分級・乾燥段階S2における分級が不要となる。
【0055】
前記分級・乾燥段階S12は、粉砕段階S11の実施により得られた粘土鉱物粉末12を使用用途に応じた粒径に揃えると共に、湿式粉砕法で粉砕を実施した際に、粉砕に使用した水を除去等するための乾燥を施す段階である。従って、粉砕段階S11において乾式粉砕法を採用した場合は乾燥は不要となる。この分級・乾燥段階S12において実施される分級は、基材として使用する粘土鉱物粉末12の粒径に対応したメッシュを有する通常の篩いによる分級等、従来公知の方法が適宜採用可能である。この分級・乾燥段階S12における乾燥は、一般的に使用される熱風循環恒温乾燥炉等の従来公知の手段を使用することで実施され、またこの他、例えば流動層乾燥機等の従来公知の乾燥機も使用し得る。なお、この乾燥によって加えられる熱量は120〜160℃程度に設定される。この温度が高過ぎると、殊にタルクの場合、得られた基材が保持しているタルク原鉱石の親水性等の有用な物性が失われる場合があるので注意が必要である。また、乾燥時間は製造効率を大きく悪化させないように90〜180分程度の範囲内で適宜設定される。また粉砕段階S11の実施により、充分に製品としての粒度となっている場合等は、必ずしも分級を実施する必要はない。
【0056】
また各原料準備工程S1では、粘土鉱物粉末12だけでなく、この粘土鉱物粉末12に所要の機能を付与する機能性物質粉末14や、ゲル剤18も、好適に後述する混合体とし得るように粉末状で準備される。前記機能性物質粉末14については、粘土鉱物粉末12に所要の機能を付与し得る物質の粉末であれば何れの物質でも採用可能であり、前述した粉砕段階S11および分級・乾燥段階S12を必要に応じて実施して準備するか、または市販している機能性物質粉末14を購入して準備してもよい。詳細を後述するゲル剤18は、基本的に市販品を購入して準備され、また必要に応じて該ゲル剤18を重合・凝固させる金属イオン(詳細は後述)も準備される。
【0057】
ここで使用される前記機能性物質粉末14としては、粘土鉱物粉末12に好適な発色を発現させる色材(顔料)や、生薬または薬草等の有効成分、殺虫、殺菌または抗菌成分、防臭、消臭または芳香成分、透湿、吸水または透湿抑制成分、感温、保温、蓄熟、発熱または吸収成分或いは発光または蛍光等の特殊色素成分等を含む物質粉末が挙げられる。このように機能性物質粉末14は、発現させる機能に応じて適宜選択され、また発現させる機能に応じて単一種類または2以上の複数種類を併せて使用することも可能である。
【0058】
この機能性物質粉末14については、前述の如く、粘土鉱物粉末12の表面に均質に分散させて固着させることを考慮して、その大きさは該粘土鉱物粉末12の大きさよりも充分に小さくされる。具体的には、体積比で1/10以下、色材の場合は1/100〜1/数百程度が好適である。また形状については、扁平状、球状、その他、所要の機能の発現に問題がなければどのような形状の粉末であってもよい。
【0059】
前記機能性物質粉末14として代表的に使用される顔料を説明すると、一般的には鉄、亜鉛、チタン、ジルコニウム、すず、アルミニウム、コバルト、クロムまたはバナジウム等の酸化物が挙げられる。顔料としては、基材である粘土鉱物粉末12との関係による着色または干渉色の発現具合、人体等に対する安全性および価格等の観点から、鉄、亜鉛およびチタンの使用が好適である。殊に酸化チタンは光隠蔽性が大きく、白色度が高いから、これを機能性物質粉末14として使用した機能性付与粘土鉱物粉末10は、化粧品原料として好適に採用し得る。また酸化亜鉛は紫外線吸収効果を有するから、これを機能性物質粉末14として使用した機能性付与粘土鉱物粉末10は、化粧品原料として好適に採用し得る。更に、酸化鉄を使用する場合、雰囲気温度等によって価数を任意に制御して発現色を黄色、赤色または黒色の各色に容易に変化させ得るから、例えば化粧品原料の嗜好性を好適に高め得る。この他、例えば酸化鉄および酸化チタン等の複数の顔料を機能性物質粉末14として使用することで、所謂ソフトフォーカス効果(光効果)を機能性付与粘土鉱物粉末10に発現させることができる。このソフトフォーカスは、昨今非常に注目を集め、かつ化粧品に求められる機能であり、この機能を発現する機能性付与粘土鉱物粉末10は、好適に化粧品原料として採用され得る。
【0060】
前記ゲル剤18は、粘土鉱物粉末12の表面に機能性物質粉末14を均質に分散させた状態で固着させるバインダとして機能する物質である。このゲル剤18としては、天然或いは人為的に合成された有機または無機のゲル剤が挙げられる。有機ゲル剤としては、寒天、アルギン酸およびカラギナン等といった海藻由来の物質や、グアガム、ローカストビーンカム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸およびアルギン酸等のような植物由来の物質や合成品等が挙げられる。また無機ゲル剤としては、モンモリロナイト等の陽イオンをインターカレーションするものと、ハイドロタルサイト等の陰イオンをインターカレーションするものが知られているが、何れの物質も有機ゲル剤同様に用いることが可能である。
【0061】
このゲル剤18としては、前述の如く、有機または無機の差異や、天然または人為的合成品の差異に関係なく採用可能であるが、有機ゲル剤を用いた方が無機ゲル剤よりも、極めて高い水分子包摂作用を備えるため、保水性および機能性物質粉末14の固着性等に関して優れており、殊にアルギン酸またはポリアクリル酸を用いた場合の効果が大きい。これは、本発明で機能性物質粉末14を粘土鉱物粉末12の表面に均質に分散させた状態で固着させるための粘着性の好適な発現を少量で達成し得るためである。ゲル剤18は必須不可欠であるが、粘土鉱物粉末12と機能性物質粉末14とを主体とする本発明に係る機能性付与粘土鉱物粉末10においては、感触の良化や所要機能の発現に寄与しないため、その添加量は少ない方がよいからである。なお、この場合においても本発明は、インターカレーション等の化学反応を伴わないことから、粘土鉱物本来の、滑りの良い感触が損なわれることはない。
【0062】
前記混合工程S2は、粘土鉱物粉末12、機能性物質粉末14およびゲル剤18を充分に混合・混練して、該粘土鉱物粉末12、機能性物質粉末14およびゲル剤18が均質に混合した混合体を得る工程である。この混合工程S2は、リボン型、パドル型やスクリュー型ミキサー、ニーダーまたはその他公知の粉砕手段により実施される。この混合工程S2における混合が不充分であると、ゲル剤18が局所的に強度の高い状態で存在して、機能性物質粉末14を粘土鉱物粉末12の表面に均質に分散できなくなる虞がある。この混合・混練時間は、粘土鉱物粉末12等の粒径やゲル剤18の添加量等の各要素によって変動するが、機能性物質粉末14を粘土鉱物粉末12の表面に均一に固着し得るように、各粉末12,14、18が均質に混ざり合うように適宜設定される。ここで、前記機能性物質粉末14の粘土鉱物粉末12に対する混合量は、該粘土鉱物粉末12の種類や、表面に結合させる機能性物質粉末14の種類、得たい機能および機能の強さ等によって適宜調節される。この機能性物質粉末14の混合量を多くする程、粘土鉱物粉末12の表面に機能性物質粉末14が密に固着して、該機能性物質粉末14の機能を強く発現させることが可能となる。
【0063】
また、前記ゲル剤18の添加量は、粘土鉱物粉末12および機能性物質粉末14の総重量を100重量部として、0.1〜3.0重量部にされる。この添加量が0.1重量部未満であると、粘土鉱物粉末12に対する機能性物質粉末14の混合量に関わりなく、該機能性物質粉末14を粘土鉱物粉末12の表面に好適に固着し得なくなる。一方、3.0重量部を超えると、後述する流動化工程S3において混合体を好適に流動状態とし得なくなってしまう。なお、ゲル剤18として好適に使用される有機ゲル剤であるポリアクリル酸においては、0.5重量部を超えると前述の挙動が発現し、好適な使用が困難となる。
【0064】
前記流動化工程S3は、所要量の溶媒としての水を混合して混合体を流動状態とする工程である。具体的には、図3に示す如く、水を加えることでゲル剤18をゾル状態とし、このゾル状態となっているゲル剤18内に粘土鉱物粉末12および機能性物質粉末14が均質に分散される(図3(a)参照)。本流動化工程S3で混合体に対して加えられる水の量は、基本的にゲル剤18をゾル化させつつ、粘土鉱物粉末12および機能性物質粉末14を泥漿状態とする程度に設定される。具体的には、乾燥状態にある100重量部の混合体に対して、50〜200重量部程度とされる。この水の量が200重量部を超える場合、後の乾燥固定化工程S4で多大な時間が要求され製造効率が低下する。一方、50重量部未満であると、ゲル剤18のゾル化や、両粉末12および14がゾル化したゲル剤18内に分散した状態とされた混合体が得られなくなる虞がある。
【0065】
なお、ここで加えられる水は、後の乾燥固定化工程S4で蒸発除去させる必要があるため、添加量は少ない程よい。また混合体の流動化は、該混合体と水との攪拌度合い等によっても左右されるため、本流動化工程S3の実施にあたっては、該混合体および水を充分に攪拌させる状態下に該水を少量づつ添加する方法で実施することが好ましい。更に、少量の水でゲル剤18の好適なゾル化を達成するため、混合体に水を加えた後に24時間以上放置することが好ましい。ゲル剤18の種類によっては、充分な水があっても短時間ではゾル化しないことがあるためである。なお、図3〜図5では、粘土鉱物の粒子を粘土鉱物粉末12として、機能性物質の粒子を機能性物質粉末14として表している。
【0066】
ところで、異なる種類の粒子を混合する場合、一般的に凝集し易いことが知られている。これは粘土鉱物粉末12と機能性物質粉末14とを混合する本発明においても容易に起こり、実際上、単に粘土鉱物粉末12と機能性物質粉末14とを混合する程度では、混合の度合いや時間を伸ばしても凝集をなくすことは困難である。すなわち、図4に示すように、粘土鉱物粉末12の表面に機能性物質粉末14が局在化してしまう。このような状態でゲル剤18による、機能性物質粉末14の粘土鉱物粉末12の表面への固着が行なわれても、該機能性物質粉末14が均質に分散された状態とはならない。従って、機能性物質粉末14によって発現される各種機能も偏在化してしまうため、例えば該機能性物質粉末14が顔料である場合、該顔料が発現する色にムラを生じてしまう。しかし、異なる粒子である粘土鉱物粉末12および機能性物質粉末14を溶媒(水を含みゾル化したゲル剤18)下に流動させる流動化工程S3の実施により、該機能性物質粉末14の凝集を回避して均質な分散状態に移行させることが可能となる。
【0067】
なお、粘土鉱物粉末12としてタルク粉末を採用する場合、原鉱石の段階では表面物性が親水性であるが、粉砕段階S11で乾式粉砕法を実施すると、この有用な物性を継承せず疎水性を発現してしまう。しかし、本発明ではこの流動化工程S3において、粘土鉱物粉末12が水に浸漬されることになるので、親水性を回復させることが可能となっている。
【0068】
前記乾燥固定化工程S4は、流動化工程S3を経て流動状態とされた混合体を乾燥させて水を除去すると共に、機能性物質粉末14を粘土鉱物粉末12の表面に均質に分散させた状態で固着させる工程である。前記流動化工程S3を経て、各粉末12および14がゾル化したゲル剤18内に分散した状態とされた混合体は、本乾燥固定化工程S4を実施することで、当該状態を維持しつつ水だけを除去した乾燥物とされる。すなわち、ゾル化して流動性を有するゲル剤18から水分が奪われて乾燥収縮するため、該ゲル剤18内に均質に分散して存在した粘土鉱物粉末12および機能性物質粉末14は、その分散状態を維持しながら体積を減少させて(図3(b)参照)、最終的には粉末状態に到る(図3(c)参照)。この乾燥に伴う収縮は、混合体内で最も大きな粘土鉱物粉末12を核として進行する。なお、乾燥固定化工程S4を経て得られる機能性付与粘土鉱物粉末10が、ゲル剤18の乾燥凝固等によって固化している場合には、攪拌等を実施して解砕(粉末に解す)される。
【0069】
また機能性物質粉末14が、前記流動化した混合体の乾燥・収縮に際して、粘土鉱物粉末12の表面に固着されず、ゲル剤18中に単独で存在することもあり得る。しかしこの場合であっても機能性物質粉末14は、ゲル剤18に覆われた状態になるため、該機能性物質粉末14に由来する感触等が発現して、粘土鉱物粉末12の感触が損なわれることはない。なお、前述の生薬、薬草等の有効成分、殺虫、殺菌、抗菌成分、防臭または消臭成分等の機能性物質粉末14については、露出して外部に放出されることが必要となるが、ゲル剤18については経時的な水分蒸発によって少しずつ崩壊するため、前述のゲル剤18中に単独で存在する機能性物質粉末14等が該崩壊に伴って放出されて所要の機能を発現し得る。またゲル剤18の崩壊は非常に微視的なものであるので、粘土鉱物粉末12の表面に固着されている機能性物質粉末14が、該粘土鉱物粉末12の感触が損なわれる程に露出することはない。
【0070】
通常の場合、本乾燥固定化工程S4の実施により、粘土鉱物粉末12および機能性物質粉末14は異種の粒子であるため乾燥によって凝集してしまう。しかし本発明においては、乾燥の進行によって凝集しようとする多数の機能性物質粉末14は、乾燥によって凝固(ゲル化)し始めて徐々に粘性を増大させるゲル剤18内に取り込まれているため、該機能性物質粉末14同士の接近が許容されず、その結果、凝集することはない。また乾燥の進行に伴って、機能性物質粉末14の凝集力も強くなるが、ゲル剤18の粘性も強くなるため、該機能性物質粉末14が凝集することはない。そして最終的にゲル剤18が完全乾燥したゲル状態に到れば、該ゲル剤18内に取り込まれた状態の機能性物質粉末14は当該位置からの移動が不可能となる。すなわち、粘土鉱物粉末12に対して機能性物質粉末14が完全に固着された状態になる。
【0071】
本乾燥固定化工程S4は、ゲル剤重合段階S41と乾燥段階S42とからなり、該ゲル剤重合段階S41は必要に応じて実施されている。前記ゲル剤重合段階S41は、流動化工程S3の実施により流動状態とされている混合体に対して、所要の金属イオンを添加する段階である。この金属イオンの添加によって、ゾル化したゲル剤18が重合されて、以後ゾル状態に戻らなくなる。すなわち、本ゲル剤重合段階S41を経た後に乾燥凝固されたゲル剤18は、湿分等によって組成内に水分が混入した場合であっても、粘性を発現するゾルに戻り得ず、化学的および物理的に安定な状態に保持される。従って、ゲル剤18で全面的に覆われる粘土鉱物粉末12および機能性物質粉末14は、化学的および物理的な安定度や、耐水性、耐油性および耐薬品性が向上し、更には経年変化等も小さなものとし得る。
【0072】
一方、本ゲル剤重合段階S41を実施しない選択も可能である。この場合、流動状態の混合体に対して所要の金属イオンが添加されないため、ゲル剤18の重合はなされない。しかし、後述の乾燥段階S42の実施によって、ゲル剤18は充分に乾燥されて、粘土鉱物粉末12および機能性物質粉末14を全面的に覆う状態となるため、耐水性、耐油性および耐薬品性の向上を期待し得る。更に、ゲル剤18が重合がなされていないため、水分等の介在により可逆的にゾル状態への移行もなし得る。従って、完成後の化粧品原料に、ゾル状態の発現による「もちもち感」や「のび」等といった特異な感触を与えることが可能となる。なおゲル剤18の添加量は、機能性付与粘土鉱物粉末10の全体重量の僅か1/1000〜5/1000であり、かつ該機能性付与粘土鉱物粉末10についても化粧品原料の一部を構成するに過ぎないので、該機能性付与粘土鉱物粉末10を使用した化粧品全部が、水分等の介在で使用不可能なゾル状態になるわけではない。
【0073】
ここで使用される金属イオンは、使用されているゲル剤18の重合に好適な公知の物質から選択され、例えばゲル剤がポリアクリル酸ナトリウムの場合にはマグネシウムイオンが好適に使用され、アルギン酸ナトリウムの場合にはカルシウムイオンが好適に使用される。そして各金属イオンは、流動化したゲル剤(混合体)への均質な混合を達成するため、通常は水溶性の金属塩を水に溶解させた水溶液の形態で添加される。例えばマグネシウムイオンは塩化マグネシウム水溶液として添加され、カルシウムイオンは塩化カルシウム水溶液として添加される。このように金属塩の形態で金属イオンを取り扱うことで、各種金属イオンを安定的に計量等し得る。また、ゲル剤を制御下に重合させるため、各金属イオンは、濃度(金属塩水溶液の濃度)および添加量を設定した状態で添加される。
【0074】
このときの金属イオンの濃度(金属塩水溶液の濃度)は、ポリマーであるゲル剤18をモノマーとして換算したときのモル比から適宜決定される。具体的に金属イオンは、乾燥重量比で添加されるゲル剤18を100重量部として、0.1〜0.01重量部程度として添加される。また、金属イオンを添加する際には溶液とする等して、100mmol程度の濃度とすることが好適である。高濃度での金属イオンの添加は、局所的に強固なゲルの重合体を形成してしまうためである。また添加量は、添加するゲル剤18の種類と金属イオンの種類とから適宜決定される。
【0075】
乾燥段階S42は、流動化工程S3の実施により流動状態とされている混合体から、余分な水分を除去等するための乾熱乾燥を施す段階である。乾燥段階S42における乾燥は、一般的に使用される熱風循環恒温乾燥炉等の従来公知の手段を使用することで実施され、またこの他、例えば流動層乾燥機等の従来公知の乾燥機も使用し得る。なお、この乾燥によって加えられる熱量はさほど大きなものではなく、105〜160℃程度に設定される。また、乾燥時間は90〜180分程度の製造効率を阻害しない範囲内で適宜選択的に設定される。
【0076】
なお、機能性物質粉末14として酸化鉄を使用した場合、乾燥温度を適宜設定することで、金属原子と結合する酸素の数を変化させることも可能である。この場合、その全てを酸化鉄(III)(三酸化二鉄;Fe23)としたり、または酸化鉄(II)(酸化第1鉄;FeO)とすることを制御し得る。すなわち、価数による色調の違いを意図的に利用して、単なる赤褐色や黒色だけではなく、それらの中間色を発現する機能性付与粘土鉱物粉末10を製造することも可能である。
【0077】
前記最終工程S5は、前述の各工程S1〜S4を経ることで製造された機能性付与粘土鉱物粉末10に対して、出荷に必要な計量、包装その他様々な検査等を実施する工程である。そして本最終工程S5の終了後に機能性付与粘土鉱物粉末10は出荷等される。
【0078】
雲母等は化学的に安定な物質であるため、化学物質の結合は困難であったが、本発明においてはゲル剤18をバインダとして利用することで、機能性物質粉末14を粘土鉱物粉末12の表面に分散して均一な状態で固着し得る。また雲母等の粘土鉱物粉末12は、その結晶構造中に−OH基(結晶水)を有しており、これらの微細粉末に水を添加すると、水分子を引き込んでゾル(粘土)状になる親水性を有する。このため、本発明に係る機能性付与粘土鉱物粉末10を使用することで、粘土鉱物粉末12が素材的に有する良好な感触に加えて、親水性によって発現する保水性等の人肌への良好な作用が更に期待できる。
【0079】
また、本発明に係る機能性付与粘土鉱物粉末10は、表面に存在する機能性物質粉末14と、雲母等の粘土鉱物粉末12とが相まって良好な干渉色等を呈すると共に、該粘土鉱物粉末12の鱗片状の粒子形状により発現される肌に適度に付着する付着性、展延性や良好な滑り感等の特性が機能性物質粉末14で阻害されないため、化粧品原料や医薬品原料等としては最適である。更に、酸化チタン等の電荷を有する金属酸化物は、該電荷によってキシミ感のある悪い感触を示すが、本発明に係る機能性付与粘土鉱物粉末10においては、導通性がないゲル物質からなるゲル剤18が、機能性物質粉末14を覆って絶縁膜として作用するため、このような感触を完全に払拭し得る。
【0080】
(変更例)
前述の実施例では、機能性付与粘土鉱物粉末10は、粘土鉱物粉末12、機能性物質粉末14およびゲル剤18のみから構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、機能性付与粘土鉱物粉末10の基材たる粘土鉱物粉末12と同様の粒子形状となる酸化アルミニウム、硫酸バリウム、窒化ホウ素等を増量材または機能性物質粉末14として用いるようにしてもよい。この場合、多種混合による感触および色調の変化といった効果が期待できる。
【0081】
(実験例)
以下に、基材としての雲母等粉末の表面に対して、顔料である機能性物質粉末を固着させた機能性付与粘土鉱物粉末について、外観(色および表面状態)、感触、保水性および(ファンデーションとしての)成形性等につき測定・観察を実施すると共に、評価を行なった。
【0082】
(実験1:製造された機能性付与粘土鉱物粉末の外観および感触について)
粘土鉱物粉末として雲母(商品名 TM−20(焼成雲母薄片化粉末);株式会社山口雲母工業所製)を、機能性物質粉末として顔料(商品名 CR−50(酸化チタン粉末);石原産業株式会社製)を、ゲル剤としてポリアクリル酸ナトリウム(試薬;キシダ化学株式会社製)を夫々使用した。そして粘土鉱物粉末と機能性物質粉末との重量を表1に記載する割合として混合し、この混合物100重量部に対してゲル剤0.1重量部を添加・混合して混合体とした。そしてこの混合体に対して、脱イオン水を徐々に添加して混練し、該混合体が流動性を持ち始めるまで添加を継続した。次にこの流動化した混合体を24時間静置して、ゲル剤に充分吸水させた後、よく混練しながら100mmolの塩化マグネシウム溶液(キシダ化学株式会社製試薬により調整)を、流動性がなくなる状態を終点として滴下添加した。なお、塩化マグネシウム添加量(乾燥重量)は、重量比でポリアクリル酸ナトリウムの約1/10の量であった。以上のように調整後、温度105℃、時間3時間の条件で乾熱乾燥したものを、磁製乳鉢で粉砕後、100メッシュの篩を通過させて実験例1−1および1−2に係る試験試料を得た。
【0083】
そして夫々の試験試料について、乾燥状態での白色度および吸油状態での白色度並びにL*値(明度)、a*値およびb*値(色み(色相・色彩))の測定、感触に係る官能評価および表面状態の目視による確認を実施した。なお、色みを表すa*値およびb*値において、a*値は緑色を負(−)方向、赤色を正(+)方向として表され、b*値は青色を負(−)方向、黄色を正(+)方向として表される。なお、吸油状態の試料は、乾燥状態にある試料に対して流動パラフィン(試薬;キシダ化学株式会社製)を充分に吸収させることで作製した。また、TM−20単体を参考例Aとして、CR−50単体を参考例Bとして、夫々実験1の各試験試料と同様の測定を実施した。
【0084】
(実験1で使用した測定機器および測定方法)
・白色度等測定:分光色彩計(商品名 CM3610d;ミノルタ株式会社製)を使用して、白色度、L*(明度)およびa*、b*(色差)を測定し、そして実験例1−1および1−2に係る試験試料における乾燥状態および吸油状態の夫々の色み(a*およびb*)から、乾燥・吸油の両状態間における色差を示す△E*ab値を算出した。
・感触に係る官能評価:任意に選んだ20〜60歳台の女性30名を評価者として、粘土鉱物粉末(TM−20)単体および機能性物質粉末(CR−50)単体を対照区(参考例A、B)として、手の甲と腕とに塗布することで実施した。そして感触について、極めて良好、良好、普通、不良または極めて不良の5段階で評価した。
・粘土鉱物粉末の表面状態の目視観察:走査電子顕微鏡(商品名 S−2400;株式会社日立ハイテクノトジーズ製)を使用して実施した。
【表1】

【0085】
(実験1の結果:白色度および明度について)
実験1に係る光学的な結果を上記の表1に示す。この表1から分かるように、白色度およびL*値は、粘土鉱物粉末(TM−20)に混合する機能性物質粉末(CR−50)量が多くなるに従って高い値となり、酸化チタン粉末単体の値に近似した。これにより、機能性物質粉末が粘土鉱物粉末の表面に好適に固着されていることが確認された。
【0086】
(色みについて)
また、a*値およびb*値は、双方とも色彩を有していないため、参考例A(粘土鉱物粉末単体)および2(機能性物質粉末単体)の双方共に略同等な値を示した。これに対して、乾燥と吸油との両状態間における色差を示す△E*ab値については、機能性物質粉末(CR−50)単体が1.1と極めて些少であるのに対して、粘土鉱物粉末(TM−20)単体では29と桁違いに大きな値を示した。ここから機能性物質粉末については乾燥と吸油との両状態間での色的な変化がないのに対して、粘土鉱物粉末については乾燥と吸油との両状態間での色的な変化が大きく、少なくとも機能性物質粉末の30倍近い変化があると確認された。なお本実験1では、吸油時の黒味がかった発色が著しい焼成雲母粉末を粘土鉱物粉末として用いている。
【0087】
本発明に係る機能性付与粘土鉱物粉末である実験例1−1(粘土鉱物粉末:機能性物質粉末=70:30)および1−2(粘土鉱物粉末:機能性物質粉末=90:10)に係る試験試料では、△E*ab値は夫々2.7および5.5を示した。これは粘土鉱物粉末単体に比較して極めて低い値であり、機能性物質粉末単体の値に近いものであった。すなわち、吸油による色差が少ないことを意味し、本実験例1−1および1−2に係る機能性付与粘土鉱物粉末を原料として用いた化粧品を人肌に使用した際にも、油等による色彩変化は小さくなるとの好適な結果が確認された。
【0088】
(感触について)
実験1の感触に係る結果を以下の表2に示す。表2は、官能検査結果を百分率で表したものであり、以下のことが分かる。すなわち、先ず参考例Aの雲母粉末については「極めて良好」および「良好」の双方で98%を占め、更に「不良」および「極めて不良」とのマイナス評価は皆無であり、また参考例Bの酸化チタン粉末は「極めて不良」および「不良」の双方で100%となっている点から、粘土鉱物粉末と機能性物質粉末との感触の差異が明らかなことが確認できる。また、本発明に係る製造方法で製造された機能性付与粘土鉱物粉末においては、感触を大きく悪化させる機能性物質粉末を全体の10重量部混合した実験例1−2に係る試験試料においては、粘土鉱物粉末単体と略同様の評価が得られた。そして、機能性物質粉末を全体の30重量部混合した実験例1−1に係る試験試料においては、粘土鉱物粉末単体には劣るものの、感触が悪いと感じた被験者は極めて少なかった。一般的な知見として、通常の乾燥粉末同士の混合では数%の酸化チタン添加により、どの被験者も感触の低下を感じることが明らかとなっているから、本発明に係る機能性付与粘土鉱物粉末の感触は、極めて良好な結果といえる。
【表2】

【0089】
(表面の状態について)
実験例1−1および1−2に係る試験試料の表面を走査電子顕微鏡によって観察したところ、図5に示すように、機能性物質粉末が粘土鉱物粉末上に均一に分散した状態で固着していることが確認された。また、実験例1−1および1−2に係る試験試料に、50倍量の水を加えて攪拌、静置を行なった後に、再度その表面を走査電子顕微鏡によって観察したが、機能性物質粉末の粘土鉱物粉末の表面からの離脱は観察されなかった。
【0090】
(総括)
以上のことから、本発明に係る機能性付与粘土鉱物粉末は、機能性物質粉末が粘土鉱物粉末の表面に均質に分散すると共に、該機能性物質粉末が有する機能を有効に発現し、かつ粘土鉱物粉末が有する優れた感触が損なわれていないことが確認された。
【0091】
(実験2:保水性について)
基本的に実験1と同様に、粘土鉱物粉末として雲母(商品名 TM−20(焼成雲母薄片化粉末);株式会社山口雲母工業所製)を、機能性物質粉末として顔料(商品名 CR−50(酸化チタン粉末);石原産業株式会社製)を、ゲル剤としてA:ポリアクリル酸ナトリウム(試薬;キシダ化学株式会社製)またはB:アルギン酸ナトリウム(試薬;キシダ化学株式会社製)を夫々使用した。そして粘土鉱物粉末と機能性物質粉末との重量を90:10の割合として混合し、この混合物100重量部に対してゲル剤0.1重量部を添加・混合して混合体とした。そしてこの混合体に対して、脱イオン水を徐々に添加して混練し、該混合体が流動性を持ち始めるまで添加を継続した。次にこの流動化した混合体を24時間静置して、ゲル剤に充分吸水させた後、よく混練しながらゲル剤Aを使用した混合体には、100mmolの塩化マグネシウム溶液(キシダ化学株式会社製試薬により調整)を、ゲル剤Bを使用した混合体には、100mmolの塩化カルシウム溶液(キシダ化学株式会社製試薬により調整)を、流動性がなくなる状態を終点として夫々滴下添加して、更に脱イオン水を加えて総水分量を15mlに調整することで実験例2−1および2−2に係る試験試料を得た。なお、塩化マグネシウムまたは塩化カルシウムの添加量(乾燥重量)は、重量比でポリアクリル酸ナトリウムまたはアルギン酸ナトリウムの約1/10の量であった。
【0092】
そして夫々の試験試料について、吸水量の測定を実施した。ここで吸水量の測定は、夫々の試験試料を50℃に調整した乾熱器中で乾燥し、経時的に重量測定を行ない、加水前の乾燥粉末重量を0、加水後で乾燥前の重量を100として残存水分率を算出することで行なった。なお比較対照用として、TM−20単体を参考例Aとして実験例2の各試験試料と同様の測定を実施した。
【0093】
(実験2の結果)
実験2の結果を以下の図6に示す。図6から明らかな通り、焼成、未焼成を問わず高い保水性(保湿性)を有している雲母に比較しても、ゲル剤A(ポリアクリル酸ナトリウム+塩化マグネシウム)が付与された実験例2−1に係る試験試料については、残存水分率が平均して20%程度上回る良好な結果が得られた。これに対して、ゲル剤B(アルギン酸ナトリウム+塩化カルシウム)が付与された実験例2−2に係る試験試料については、有意な差は認められなかった。これは本実験2では、実用を目的としてゲル剤の添加量を0.1%と低かったためと考えられる。
【0094】
(実験3:吸水量について)
前述の実験2に用いた実験例2−1および2−2並びに参考例Aに係る試験試料を、105℃乾熱下において乾燥させ、次いで徐々に脱イオン水を加えて混練し、最終的に乾燥した粉末の5倍量の脱イオン水中で充分に吸水させて実験例3−1および3−2に係る試験試料を得た。そしてこれをヌッチェ上に濾紙を置いた吸引濾過装置を用いて、滴下する水滴が見られなくなるまで脱水、重量を測定して、乾燥粉末100gあたりの吸水量を算出した。
【0095】
(実験3の結果)
参考例Aの吸水量74gであるのに対して、実験例3−1および3−2に係る試験試料は、夫々110gおよび95gであった。この結果から、未処理の粘土鉱物粉末に対して、吸水量が前者で50%、後者で30%程度多くなっていることが確認された。すなわち、ゲル剤添加による吸水性向上効果が判明した。
【0096】
(実験例4:成形性について)
粘土鉱物粉末として雲母(商品名 Y−2300(焼成雲母薄片化粉末);株式会社山口雲母工業所製)およびタルク(商品名 FK−300S(粉末);株式会社山口雲母工業所製):を使用し、機能性物質粉末として4種類の顔料(顔料A:商品名 CR−50(酸化チタン粉末);石原産業株式会社製、顔料B:商品名 TAROX合成赤色酸化鉄粉末R-516P;チタン工業株式会社製、顔料C:商品名 TAROX合成黄色酸化鉄粉末LL-100P;チタン工業株式会社製および顔料D:商品名 TAROX合成黒色酸化鉄粉末BL-100P;チタン工業株式会社製)を使用し、ゲル剤としてA:ポリアクリル酸ナトリウム(試薬;キシダ化学株式会社製)またはB:アルギン酸ナトリウム(試薬;キシダ化学株式会社製)を使用して混合体とした。なお、これら各物質の使用量は、下の[0093]に記載の化粧品の各原料の配合量と共に、下記の表3に示す。
【表3】

【0097】
そしてこの混合体に対して、脱イオン水を徐々に添加して混練し、該混合体が流動性を持ち始めるまで添加を継続した。次にこの流動化した混合体を24時間静置して、ゲル剤に充分吸水させた後、よく混練しながら0.3gの塩化マグネシウム(ゲル剤A使用の場合)または0.3gの塩化カルシウム(ゲル剤B使用の場合)を溶解させた水溶液を流動性がなくなる状態を終点として100mmolの溶液として滴下添加した。そして温度105℃、時間3時間の条件で乾熱乾燥したものを、磁製乳鉢で粉砕後、100メッシュの篩を通過させて実験例4−1および4−2に係る試験試料を得た。
【0098】
そして夫々の試験試料を用いて、各試料に球状有機微粒子(商品名 ガンツパールGMX−6010;ガンツ化成株式会社製)、オイルA(商品名 シリコーンオイルKF-96A-30CS;信越化学株式会社製)、オイルB(商品名 シリコーンオイルKF-6017;信越化学株式会社製)、オイルC(商品名 スクワラン;岸本特殊肝油工業所製)を加えて、汎用のホモジナイザーを用いて混合・強攪拌により分散させて化粧品原料とした。そしてこの化粧品原料を、46mm×55mmのアルミ製金型によって、ハンドプレス機を用いて圧力15MPaの条件で高圧成型して実験例4−1および4−2に係るファンデーションを試作した。また球状有機微粒子の配合量を減らして、これをY-2300に置き換えた実験例4−3および4−4に係るファンデーションを試作した。なお比較対照用として、実験例4−1に係る試験試料からゲル剤と金属塩とを除いたものを参考例Cとして、また実験例4−3に係る試験試料からゲル剤と金属塩とを除いたものを参考例Dとして、夫々同じく参考例CおよびDに係るファンデーションを試作した。
【0099】
(ファンデーションの評価方法および結果)
このようにして得られた実験例4−1および4−2並びに参考例Cに係るファンデーション成型品を、500mm四方で厚さ30mmのジュラコン板上に、1mの高さから自然落下させた後の様子を調べた。その結果、参考例Cでは2回の落下で亀裂が確認されたが、ゲル剤を含んでいる実験例4−1および4−2に係るファンデーション成型品においては3回落下後においても変化は見られなかった。また、実験例4−3および4−4並びに参考例Dに係るファンデーション成型品については、参考例Dでは1回の落下で亀裂が確認されたが、ゲル剤を含んでいる実験例4−3および4−4に係るファンデーション成型品においては3回落下後においても変化は見られなかった。また当然のことながら、各実験例4−1〜4−4に係る試験試料から作製されたファンデーションの感触は優れたものであった。なお、この落下試験は化粧品メーカーで実施される試験であり、通常1回の落下で亀裂が認められなければ合格とされる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の好適な実施例に係る機能性付与粘土鉱物粉末について、ゲル剤によって機能性物質粉末が粘土鉱物粉末の表面に固着された状態を拡大して示す概略図である。
【図2】実施例の機能性付与粘土鉱物粉末について、その製造方法の一例を示す工程図である。
【図3】乾燥固定化工程S4における流動化された混合体が乾燥される状態を示す説明図である。
【図4】機能性物質粉末が粘土鉱物粉末の表面で凝集して固着している状態を示す説明図である。
【図5】機能性物質粉末が粘土鉱物粉末の表面で分散して固着している状態を示す説明図である。
【図6】実験2の結果である乾燥時間−残存水分率の関係を示すグラフ図である。
【符号の説明】
【0101】
12 粘土鉱物粉末
14 機能性物質粉末
18 ゲル剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘土鉱物粉末(12)を基材とし、この基材の表面に機能性物質粉末(14)を固着させた機能性付与粘土鉱物粉末であって、
少なくとも前記粘土鉱物粉末(12)、機能性物質粉末(14)およびゲル剤(18)を含有し、
前記機能性物質粉末(14)が、前記ゲル剤(18)によって覆われた状態で前記粘土鉱物粉末(12)の表面に均質に分散して固着されている
ことを特徴とする機能性付与粘土鉱物粉末。
【請求項2】
粘土鉱物粉末(12)を基材とし、この基材の表面に機能性物質粉末(14)を固着させた機能性付与粘土鉱物粉末であって、
予め準備した粘土鉱物粉末(12)、機能性物質粉末(14)およびゲル剤(18)から得た混合体に水を加えることで、前記ゲル剤(18)をゾル状態とすると共に、該混合体に流動性を付与して、前記機能性物質粉末(14)を均質に分散させたもとで、該混合体を乾燥して前記ゲル剤(18)を凝固させることにより、
前記機能性物質粉末(14)が、前記ゲル剤によって覆われると共に前記粘土鉱物粉末(12)の表面に均質に分散された状態で固着されている
ことを特徴とする機能性付与粘土鉱物粉末。
【請求項3】
粘土鉱物粉末(12)を基材とし、この基材の表面に機能性物質粉末(14)を固着させた機能性付与粘土鉱物粉末であって、
予め準備した粘土鉱物粉末(12)、機能性物質粉末(14)およびゲル剤(18)から得た混合体に水を加えることで、前記ゲル剤(18)をゾル状態とすると共に、該混合体に流動性を付与して、前記機能性物質粉末(14)を均質に分散させた後、該混合体に、前記ゲル剤(18)を重合させる金属イオンを添加し、
次いで前記混合体を乾燥して前記ゲル剤(18)を重合・凝固させることにより、前記機能性物質粉末(14)が、前記ゲル剤によって覆われると共に前記粘土鉱物粉末(12)の表面に均質に分散された状態で固着されている
ことを特徴とする機能性付与粘土鉱物粉末。
【請求項4】
前記水の使用量は、100重量部の混合体に対して、50〜200重量部になっている請求項2または3記載の機能性付与粘土鉱物粉末。
【請求項5】
前記粘土鉱物粉末(12)として、天然または合成の雲母またはタルクの粉末が、1種類または2種類以上使用される請求項1〜4の何れか一項に記載の機能性付与粘土鉱物粉末。
【請求項6】
前記粘土鉱物粉末(12)として、セリサイト(絹雲母)の粉末が使用される請求項1〜4の何れか一項に記載の機能性付与粘土鉱物粉末。
【請求項7】
前記粘土鉱物粉末(12)として、焼成雲母の粉末が使用される請求項1〜4の何れか一項に記載の機能性付与粘土鉱物粉末。
【請求項8】
前記粘土鉱物粉末(12)として、パールマイカの粉末が使用される請求項1〜4の何れか一項に記載の機能性付与粘土鉱物粉末。
【請求項9】
前記機能性物質粉末(14)として、顔料が1種類または2種類以上使用される請求項1〜8の何れか一項に記載の機能性付与粘土鉱物粉末。
【請求項10】
前記顔料として、酸化チタンが使用される請求項9記載の機能性付与粘土鉱物粉末。
【請求項11】
前記顔料として、酸化亜鉛が使用される請求項9記載の機能性付与粘土鉱物粉末。
【請求項12】
前記顔料として、価数を任意に制御して発現色を変化させ得る酸化鉄が使用される請求項9記載の機能性付与粘土鉱物粉末。
【請求項13】
前記ゲル剤(18)として、有機ゲル剤が使用される請求項1〜12の何れか一項に記載の機能性付与粘土鉱物粉末。
【請求項14】
前記有機ゲル剤として、ポリアクリル酸ナトリウムまたはアルギン酸ナトリウムが使用される請求項13記載の機能性付与粘土鉱物粉末。
【請求項15】
前記ゲル剤(18)として、ポリアクリル酸ナトリウムが使用されると共に、前記金属イオンとしてマグネシウムが使用される請求項3記載の機能性付与粘土鉱物粉末。
【請求項16】
前記ゲル剤(18)として、アルギン酸ナトリウムが使用されると共に、前記金属イオンとしてカルシウムが使用される請求項3記載の機能性付与粘土鉱物粉末。
【請求項17】
前記ゲル剤(18)の使用量は、100重量部の前記粘土鉱物粉末および機能性物質粉末に対して、0.1〜3.0重量部になっている請求項1〜16の何れか一項に記載の機能性付与粘土鉱物粉末。
【請求項18】
粘土鉱物粉末(12)を基材とし、この基材の表面に機能性物質粉末(14)が固着されている機能性付与粘土鉱物粉末の製造方法であって、
予め準備した粘土鉱物粉末(12)、機能性物質粉末(14)およびゲル剤(18)を充分に混合することで均質な混合体を得て、
前記混合体に対して水を加えて前記ゲル剤(18)をゾル状態とすると共に、該混合体に流動性を付与して、前記機能性物質粉末(14)を均質に分散させ、
前記流動性が付与された混合体を乾燥させることで、前記ゲル剤(18)を凝固させ、
これにより前記機能性物質粉末(14)を前記ゲル剤(18)によって覆い、前記粘土鉱物粉末(12)の表面に均質に分散させた状態で固着させるようにした
ことを特徴とする機能性付与粘土鉱物粉末の製造方法。
【請求項19】
粘土鉱物粉末(12)を基材とし、この基材の表面に機能性物質粉末(14)が固着されている機能性付与粘土鉱物粉末の製造方法であって、
予め準備した粘土鉱物粉末(12)、機能性物質粉末(14)およびゲル剤(18)を充分に混合することで均質な混合体を得て、
前記混合体に対して水を加えて前記ゲル剤(18)をゾル状態とすると共に、該混合体に流動性を付与して、前記機能性物質粉末(14)を均質に分散させ、
前記流動性が付与された混合体に、前記ゲル剤(18)を重合させる金属イオンを添加し、
次いで前記流動性が付与された混合体を乾燥させることで、前記重合したゲル剤(18)を重合・凝固させ、
これにより前記機能性物質粉末(14)を前記ゲル剤(18)によって覆い、前記粘土鉱物粉末(12)の表面に均質に分散させた状態で固着させるようにした
ことを特徴とする機能性付与粘土鉱物粉末の製造方法。
【請求項20】
前記金属イオンは、対応する金属の塩を溶解させた水溶液として添加される請求項19項に記載の機能性付与粘土鉱物粉末の製造方法。
【請求項21】
前記粘土鉱物粉末(12)として、天然または合成の雲母またはタルクの粉末を、1種類または2種類以上使用するようにした請求項18〜20の何れか一項に記載の機能性付与粘土鉱物粉末の製造方法。
【請求項22】
前記粘土鉱物粉末(12)として、セリサイト(絹雲母)の粉末を使用するようにした請求項18〜20の何れか一項に記載の機能性付与粘土鉱物粉末の製造方法。
【請求項23】
前記粘土鉱物粉末(12)として、焼成雲母の粉末を使用するようにした請求項18〜20の何れか一項に記載の機能性付与粘土鉱物粉末の製造方法。
【請求項24】
前記粘土鉱物粉末(12)として、パールマイカの粉末を使用するようにした請求項18〜20の何れか一項に記載の機能性付与粘土鉱物粉末の製造方法。
【請求項25】
前記機能性物質粉末(14)として、顔料を1種類または2種類以上使用するようにした請求項18〜24の何れか一項に記載の機能性付与粘土鉱物粉末の製造方法。
【請求項26】
前記機能性物質粉末(14)として、酸化チタンを使用するようにした請求項18〜24の何れか一項に記載の機能性付与粘土鉱物粉末の製造方法。
【請求項27】
前記機能性物質粉末(14)として、酸化亜鉛を使用するようにした請求項18〜24の何れか一項に記載の機能性付与粘土鉱物粉末の製造方法。
【請求項28】
前記機能性物質粉末(14)として、価数を任意に制御して発現色を変化させ得る酸化鉄を使用するようにした請求項18〜24の何れか一項に記載の機能性付与粘土鉱物粉末の製造方法。
【請求項29】
前記ゲル剤(18)として、有機ゲル剤を使用するようにした請求項18〜28の何れか一項に記載の機能性付与粘土鉱物粉末の製造方法。
【請求項30】
前記有機ゲル剤として、ポリアクリル酸ナトリウムまたはアルギン酸ナトリウムを使用するようにした請求項29記載の機能性付与粘土鉱物粉末の製造方法。
【請求項31】
前記ゲル剤(18)としてポリアクリル酸ナトリウムを使用すると共に、前記金属イオンとしてマグネシウムを使用するようにした請求項19記載の機能性付与粘土鉱物粉末の製造方法。
【請求項32】
前記ゲル剤(18)としてアルギン酸ナトリウムを使用すると共に、前記金属イオンとしてカルシウムを使用するようにした請求項19記載の機能性付与粘土鉱物粉末の製造方法。
【請求項33】
前記ゲル剤(18)は、100重量部の前記粘土鉱物粉末(12)および機能性物質粉末(14)に対して、0.1〜3.0重量部となるように使用される請求項18〜32の何れか一項に記載の機能性付与粘土鉱物粉末の製造方法。
【請求項34】
前記水は、100重量部の混合体に対して、50〜200重量部となるように使用される請求項18〜33の何れか一項に記載の機能性付与粘土鉱物粉末の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−189518(P2008−189518A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−25866(P2007−25866)
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【出願人】(598031095)株式会社 山口雲母工業所 (7)
【Fターム(参考)】