説明

機能性担持不織布。

【課題】不織布の特徴を最大限に生かし、さらに天然鉱石および金属酸化物の遠赤外線放射等の特性を活用しながら、岩盤浴やサウナ等の温浴効率向上等を目的とした機能性担持不織布の提供。
【解決手段】シート状の不織布1の片面全表面に、樹脂系塗料に85%以上の遠赤外線放射率を有する、天然鉱石および金属酸化物の微粉末とAg微粉末を配合したものを塗布して、機能担持膜2を設け、機能担持膜2を設けたシート状の不織布1の反対側表面に、ポリエチレンフイルム3を設ける。このポリエチレンフイルム3側を上部表面に配した、もう一方の、機能担持膜2を設けたシート状の不織布1を下部に縫い付けて寝袋状に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、岩盤浴等をより効果的にするために、不織布を利用して付加した、健康向上に寄与する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、温泉ブームにより町中でも気軽な温泉入浴が増え、庶民の生活に密着したものになりつつある。その温泉にもいろいろ入浴方法があり、本発明では効果的な岩盤浴を目指して開発したもので、従来の岩盤浴は直接岩盤に横たわるか、タオルを敷布にして横たわる、または専用の布製の浴衣やパジャマを着て横たわる方法が主流であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、通常岩盤から出る遠赤外線放射は岩盤プレートの産地により非常にバラツキが有り入浴施設の違いにより遠赤外線効果に大きく差が出ている、また限られたスペースでの発汗により岩盤プレートに細菌類の増殖と臭気が増える環境を招き、実に不衛生であった。これら問題点を改善し、より最大の癒し効果を成すために本発明はなされたのである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これらの課題を解決する手段として、まず請求項1の記載による発明は、強力な遠赤外線を放射する85%以上の遠赤外線放射率を有する天然鉱石および金属酸化物の微粉末とAg微粉末を配合した樹脂系塗料を、シート状の不織布(1)の片面全表面に塗布して、この部分を機能担持膜(2)として設け、その反対側表面にポリエチレンフイルム(3)を設ける。このようにして形成した、シート状の不織布(1)を岩盤浴の入浴者がマットやシートとして、下に敷いて機能担持膜(2)の上に、横たわって使用するだけでよい。
【0005】
また請求項2の記載による発明は、請求項1記載の機能担持膜(2)を設けたシート状の不織布(1)の、反対側表面にポリエチレンフイルム(3)を設ける。次に、このように形成したシート状の不織布(1)の、ポリエチレンフイルム(3)側を上部表面に配して、掛布団状態に用意する。これに請求項1記載のシート状の不織布(1)を下布団状態にして縫い付け、寝袋状に形成する。これを、入浴者は寝袋として利用するのであるが、当然この寝袋内側全体が機能担持膜(2)に覆われている状態に形成する。
【0006】
さらに請求項3の記載による発明は、シート状の不織布(1)の片面全表面に樹脂系塗料に15〜45%の天然ラジウム鉱石微粉末を配合したものを塗布して、そこに機能担持膜を設けて、積極的にマイナスイオンを発生させるもので、付加価値をさらに高めたものであり、これも請求項1および請求項2のごとく形成され、使用するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のシートおよび寝袋は、機能担持膜(2)の強力な遠赤外線放射エネルギーを積極的に放射するので、通常の岩盤だけの入浴では得られない、入浴者の体に対しての温浴効果は倍増する。つまり岩盤からの遠赤外線放射と機能担持膜を設けた不織布から放射される遠赤外線放射エネルギーの相乗効果で温浴効果は倍増する。また、不織布の吸汗作用に併せて、強い抗菌作用と消臭機能があるので、利用者の発汗作用があっても利用周囲および入浴者に対しても、極めて衛生的である。
特に、寝袋タイプは絶大なるその特徴、効果を発揮する。
【0008】
さらには、本発明の不織布シートおよび寝袋は、マイナスイオンを強力に発生する、機能担持膜(2)を形成したものを、使用することができるので、入浴者にとっては、より付加価値の高い、健康入浴効果の恩恵を受けることができる。
また、利用範囲としては、火燵掛け、座布団、掛け布団、一般寝袋内側に挿入使用、防寒用下着類、揚げたて・焼きたて食品用袋、靴下敷き、手袋内側に挿入使用、理容室および美容室用のエプロン等、多数の使用用途がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、高放射遠赤外線を放射する85%以上の遠赤外線放射率を有する天然鉱石および金属酸化物の微粉末とAg微粉末を配合した樹脂系塗料をシート状の不織布(1)の片面全表面に塗布して、この部分を機能担持膜(2)として設ける。このシート状の不織布(1)に担持する機能性塗料の成分構成は塗料の樹脂系・アルコキシ金属塩系と分散剤と抗菌剤・Agが0.01%〜2.0%、金属酸化物・添加物・遠赤外線放射物質、前記天然鉱石が5%〜40%である。あるいは、上記配分構成で、塗料の樹脂系・水性金属塩系と分散剤の水を使用したものでも良い。この塗布方法は、エアースプレー法やロールコーター法で行う。
【0010】
また機能担持膜(2)を設けたシート状の不織布(1)の、反対側表面にポリエチレンフイルム(3)を設ける。次に、このように形成したシート状の不織布(1)のポリエチレンフイルム側を上部表面に配して、掛布団状態に用意する。このポリエチレンフイルム(3)は、不織布を通して、蒸気等が逃げてしまわないように密閉させて、温浴サウナ効果を上げるためである。これに前記、シート状の不織布(1)を下布団状態にして縫い付け寝袋状に形成する。つまりこの寝袋内面全体は機能担持膜(2)に覆われている状態に形成される。さらには、シート状の不織布(1)の片面全表面を、樹脂系塗料に15〜45%の天然ラジウム鉱石微粉末を配合したものを塗布して、機能担持膜(2)を設けると、強力なマイナスイオンを発生させることができるので、これを使用したものは、より付加価値の高い入浴効果を入浴者に提供することができる。
【0011】
ここで効果の中心となる、85%以上の遠赤外線放射率を有する天然鉱石および金属酸化物は、それ自体が放つ強力な遠赤外線効果は理想的であり、遠赤外線は物に当たることによって、その分子を振動させて熱を発生させる性質をもち、それは伝導(接触)および、対流といった熱伝導と比べて、速熱性と均熱性という点で極めて優れている。さらに遠赤外線の熱は空気または熱風といった熱媒体は使わなくても、遠赤外線の熱エネルギー(水分子振動エネルギー)は入浴者の芯まで到達するので、さまざまな疲労、神経痛等に極めて有効である。いろいろ検証実験の結果、天然鉱石等の高千穂美向石を微粉砕化処理して粉末にするが、粉末の粒子径は0.5μm〜10μmが、ベストであり、遠赤外線放射率が85%以上の天然鉱石類および金属酸化物を積極的に使用する。
【0012】
さらに本発明によれば、大量にマイナスイオンを発生させる天然ラジウム鉱石は世界各地に存在するが、日本においても有馬温泉や三朝温泉、玉川温泉、二股温泉等がある。これらのラジウム鉱石は一定量の放射線量を保持している、つまりγ線、β線、α線がそれである。学会等では一定量以下の放射線量とマイナスイオン生成は人体へのホルミシス効果による細胞活性が有効であることが提唱されている。いろいろ検証実験の結果、これらの天然ラジウム鉱石の粉末粒子径は0.5μm〜10μmがよろしい。
本発明は以上のような構成であり、特に本発明の原材料とする天然鉱石類の中でも、高千穂美向石を積極的に使用するのは、遠赤外線放射率が93%と圧倒的に高い事と、5μ〜20μの広い波長領域を持っていることで、水分を活性化する作用があり、酸化劣化を防ぐ、細胞賦活作用、消臭作用等が高いことなどが実証されている。
【0013】
さらに、本発明の不織布表面に機能担持膜(2)が形成されるが、この塗膜の表面の形状がドーム状に盛られるために、実質的に塗膜表面積が広くなるので、より遠赤外線放射率もより大きくなる特徴が見られた。
また利用方法は、図1のように岩盤浴床(4)に直接敷いて使用したり、図3のごとく寝袋にしたものに入って使用したり、図5のように岩盤浴床(4)に入浴者が直接寝て、上に掛けて使用する、さらに足付寝袋タイプにしたものに入って使用する方法あり等、本発明はいろいろ用途別、使用工夫により、まだまだ新商品の開発が期待できる。
【0014】
ここで遠赤外線放射率85%以上の天然鉱石は、天然ラジウム、トルマリン、医王石、貴陽石、ホルンヘルス、隕石、黒曜石、麦飯石、御影石、竜王石、光明石、黄土、溶岩絹雲母、紫水晶、生光石、蛇紋石、美向石、ブラックシリカ鉱石(神光石・黒鉛珪石)三仙石赤、三仙石膏、黒点花蛇紋石、石英変岩石等から選択されるものである。
また遠赤外線放射率85%以上の金属酸化物は、酸化ニッケル、酸化鉄、酸化クロム二酸化マンガン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、シリカ又は酸化マグネシウム等から選択されるものである。
【0015】
さらに、適用する塗料としでは、無機系塗料と有機系塗料の2種類に大別されるが無機系塗料として、アルコキシ金属塩系塗料、水性金属塩系塗料、または無機物を主体として、これに有機物をハイブリッドした、変性シリコン樹脂塗料からなるものである。また有機系塗料としては、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル糸樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール樹脂、ポリスチレン系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂などの熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂のほか、熱可塑性エラストマー等からなるものである。
【0016】
次に本発明によれば、シート状の不織布(1)に機能担持膜を形成する方法として、その実施例を述べる。
主要バインダーとしては、(株)IDT日板製CRBI−92、分散剤・IPA+樹脂系・アルコキシド金属塩系が60%〜85%、抗菌剤としてAgが0.01〜2.0%添加物として遠赤外線放射物の高千穂美向石が、15〜40%、これが不織布に担持する塗料成分構成であり、この構成で15秒/IHSで塗料を作成準備し、次にイワタワイダースプレーガン等によりスプレー塗装で不織布に塗布する。さらにこれを、80℃の温度にて、20分間焼付乾燥を行う。これにより30g/mの付着量の機能担持膜(2)が形成される。
【0017】
また、マイナスイオン発生の実施例として採用した天然ラジウム鉱石は二股温泉地方のものであり、放射線量測定はアロカ社製サーベイメーター(ガイガーカウンター)TCS−171を使用して測定した。その結果より、二股温泉地方の天然ラジウム鉱石の放射線放射量(μSV/hr)は0.152μSV/hrであった。これらの天然ラジウム鉱石を微粉末0.5〜10μmにして、有機バインダー又は無機バインダーに、15〜45%含有させた塗料を作成して、不織布シートに担持形成する。
以下、本発明の機能担持膜の性能評価結果、塗料塗布による担持方法等を表1、表2、表3、表4に示した。
【0018】
不織布シートに機能性塗料(遠赤外線放射膜)の担持・塗料成分構成としては、
主要バインダー:(株)IDT日板製CRBI−92
樹脂系 :アルコキシド金属塩系+溶剤:IPA=60%〜85%
抗菌剤 :Agが0.01〜2.0%
添加物 :遠赤外線放射物の高千穂美向石が、5〜40%である。
【0019】
【表1】

【0020】
【表2】

【0021】
不織布シートに機能性塗料(マイナスイオン生成膜)の担持・塗料成分構成は
主要バインダー:(株)IDT日板製MSA90改
樹脂系 :水性金属塩系+溶剤:水 =60%〜85%
抗菌剤 :Agが0.01〜2.0%
添加物 :天然ラジウム鉱石が、5〜40%である。
【0022】
【表3】

【0023】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】 本発明のシートタイプの実施図である。
【図2】 本発明のシートタイプの断面図ある。
【図3】 本発明の寝袋タイプの実施図である。
【図4】 本発明の寝袋タイプの断面図である。
【図5】 本発明のシートタイプを掛けた使用実施図である。
【図6】 本発明の足付寝袋タイプの使用実施図である。
【符号の説明】
【0025】
1 シート状の不織布
2 機能担持膜
3 ポリエチレンフイルム
4 岩盤浴床
5 高放射遠赤外線
6 マイナスイオン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の不織布(1)の片面全表面に、樹脂系塗料に85%以上の遠赤外線放射率を有する天然鉱石および金属酸化物の微粉末とAg微粉末を配合したものを塗布して、そこに機能担持膜(2)を設け、さらに前記不織布の反対側片面全表面にポリエチレンフイルム(3)を設けてなる、機能性担持不織布。
【請求項2】
機能担持膜(2)を設けたシート状の不織布(1)のポリエチレンフイルム(3)を設けた側を上部表面に配して、これにもう一方の、機能担持膜(2)とポリエチレンフイルム(3)を設けたシート状の不織布(1)を、この下部に縫い付けて、使用者が機能担持膜(2)の中に、サンドウィッチ状態に入れる、寝袋状に形成した、請求項1に記載の機能性担持不織布。
【請求項3】
シート状の不織布(1)の片面全表面に、樹脂系塗料に15〜45%の天然ラジウム鉱石微粉末を配合したものを塗布して、そこに機能担持膜(2)を設けてマイナスイオンを発生させる、請求項1、請求項2に記載の機能性担持不織布。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−152920(P2007−152920A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−380788(P2005−380788)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【出願人】(598028051)株式会社 日本ハネック (16)
【Fターム(参考)】