説明

機能性香料成分を含む香料組成物

香料の蒸発を補助するための機能性香料成分を有する香料組成物。機能性香料成分は、900〜1400の範囲のコヴァッツインデックス及び約1ppb超のODTを有する。1つの実施形態では、機能性香料成分は、組成物の少なくとも約10重量%の量で存在してもよい。別の実施形態では、機能性香料成分を含有する組成物は、VOCを実質的に含まない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物の所望の香料特性を損なうことなしに非機能性香料成分の蒸発を補助するための機能性香料成分を有する香料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の香料組成物は、空気中の悪臭をマスキング、脱臭、及び/又は除去するために利用可能である。これらの組成物は、電気プラグインディフューザー、受動的ディフューザー、トリガースプレーディスペンサー、及びエアゾールディスペンサーを含む、空気清浄システムにより分配され得る。多くの場合、香料組成物を空気中へ適切に送達するには、蒸発又は分配助剤の使用が必要である。
【0003】
プラグイン空気清浄剤は、例えば、香料蒸発助剤として20%以上の揮発性有機化合物(「VOC」)を含有する液体組成物を使用してもよい。本明細書で使用するとき「VOC」とは、20℃で測定するとき0.2mmHg超の蒸気圧を有し、かつ香料の蒸発を補助する揮発性有機化合物を意味する。例示的なVOCとしては、以下の有機溶媒が挙げられる:ジプロピレングリコールメチルエーテル(「DPM」)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(「MMB」)、揮発性シリコーン油、及びメチル、エチル、プロピル、ブチルのジプロピレングリコールエステル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、又は商標名Dowanol(商標)グリコールエーテルのVOCのいずれか。
【0004】
液体電気プラグイン空気清浄剤では、DPM及びMMBが一般的に用いられている。エアゾールディスペンサーでは、一般的に用いられている分配助剤又は噴射剤は、炭化水素であり、これはVOCである。環境保護局及びカリフォルニア大気資源局(「CARB」)は、現在、一部のVOCを規制している。CARB規制の分類により現在規制されているVOCは、California Consumer Products RegulationのArticle 2,§94508(a)(144)に見出すことができる。かかる規制及び環境保護に対する願望を鑑みて、VOC含量を低減するアプローチが望ましい。
【0005】
かかるエアゾール空気清浄剤中のVOC含量を低減するアプローチの1つは、単にVOC含量を減らすことである。しかし、VOC含量の低減は、製品性能に悪影響を与える恐れがある。具体的には、液体電気プラグイン空気清浄剤では、VOCは、プラグイン装置から拡散するときに組成物の蒸発プロファイルを補助する溶液中に香料成分を保持するのに役立ち得る。したがって、VOC量を低減すると、所望の香料特性の送達を損なわせる恐れがある。エアゾールディスペンサーにおける噴射剤含量を低減すると、耐用期間の最後にディスペンサー内に過剰の製品が残る恐れがある。それはまた、分配される製品の粒径を増加させ、過剰な表面沈着を導く恐れがある。
【0006】
VOC含量を低減する別のアプローチが、エアゾールディスペンサーに特有ではあるが、米国特許第7,014,127号に概説されている。このアプローチは、特定の範囲の缶圧及び弁開口部寸法と組み合わせて、ブタンを含まない液化ガス噴射剤を最大25%用いる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,014,127号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
組成物の所望の香料特性を損なうことなく、VOC含量を低減せずに又は低減して、香料を可溶化する及び/又は香料の蒸発を補助する成分を有する、空気清浄組成物を含む組成物が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、活性剤、非機能性香料成分、及び組成物の約10重量%超の機能性香料成分(「FPC」)を有する組成物を目的とする。FPCは、約900〜約1400のコヴァッツインデックス、及び約1.0十億分率(「ppb」)以上の臭気検出閾値(「ODT」)を有してもよい。
【0010】
本発明はまた、VOCを実質的に含まず、イソ−ノニルアセテート、ジヒドロミルセノール、リナロール、d−リモネン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるFPCを組成物の約10重量%超含む、空気清浄組成物を目的とする。
【0011】
本発明は更に、非機能性香料成分と、組成物の約10重量%超の900〜1400の範囲のコヴァッツインデックス及び約1.0ppb以上のODTを有するFPCとを有する組成物を提供する工程を含む香料の蒸発を調節する方法を目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】空気清浄組成物で用いられている従来の有機溶媒と比較した、本発明に係る特定のFPCの蒸発プロファイルを示す折れ線グラフ。
【図2】本発明に係るFPCを含有する香料組成物(香料組成物A)と、DPM及び/又はMMBを用いる同等の香料組成物(香料組成物B)の蒸発速度を示す折れ線グラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、活性剤、非機能性香料成分、及びFPCを有する組成物を目的とする。FPCは、約900〜約1400のコヴァッツインデックス及び約1.0ppb超のODTを有してもよい。本発明は、香料の蒸発を補助することができるVOCを有する成分又は物質の必要性をなくす又は低減する。本明細書で使用するとき「VOC」とは、20℃で測定するとき0.2mmHg超の蒸気圧を有し、かつ香料の蒸発を補助する揮発性有機化合物を意味する。
【0014】
FPC
本発明のFPCは、空気清浄組成物で一般的に用いられている従来の有機溶媒又はVOCに類似する蒸発特性を有する香料原材料の1種である。FPCは、香料原材料の蒸発を補助する。幾つかの実施形態では、FPCは、二次的な芳香効果を提供することもできる。かかる実施形態では、組成物の快楽効果を提供するために、FPCではない少なくとも1つの香料原材料が存在する。FPCは、組成物の香料特性に負の影響を与えることなしに比較的高濃度で用いることができる。
【0015】
香料原材料は、個体が香料を嗅いだときに嗅覚反応を生じさせることが理解されている。常に知覚されて個体の嗅覚反応を生じさせる香料成分の最低濃度は、ODTとして知られている。香料の濃度が上昇するにつれて、香料の臭気強度及び個体の嗅覚反応も増加する。これは香料の濃度が最高に達するまで続き、その時点で臭気強度は、それ以上個体の嗅覚反応が生じない平坦域に達する。個体が常に臭気を知覚する香料濃度の範囲は、臭気検出範囲(「ODR」)として知られている。高濃度の香料原材料を含む組成物はコストが高く非効率であるため、組成物中の香料原材料の濃度は、香料原材料のODTに又はDORの範囲内になるように配合されるべきである。
【0016】
しかし、出願人らは、一部の状況では、ODTを超える、あるいはODRを超えるFPCを用いることが望ましい可能性があることを見出した。具体的には、空気清浄組成物で従来用いられている濃度よりも高濃度のFPCを使用すると、驚くべきことに、芳香のために含まれている非機能性香料成分又は香料成分の蒸発を補助する。更に、これらのFPCの使用は、芳香又は快楽効果のために含まれている非機能性香料成分の香料特性に干渉しない。
【0017】
香料原材料をFPCとして好適なものにする香料特性は、以下の物理的化学的特性のいずれかを用いて規定することができる:引火点、蒸気圧、コヴァッツインデックス、沸点、分子量、蒸発熱、並びにこれら及び他の物理的化学的特性の組み合わせ。本出願で用いるために選択される香料原材料はまた、所定の香料特性の香気を留めておくためにODT及び非極性香気特性を用いて規定することもできる。
【0018】
好適なFPCは、約1.0ppb超、あるいは約5.0ppb超、あるいは約10.0ppb超、あるいは約20.0ppb超、あるいは約30.0ppb超、あるいは約0.1百万分率(「ppm」)のODTを有してもよい。
【0019】
ODTは、炎イオン化検出器及び嗅ぎ口を備える市販のガスクロマトグラフ(「GC」)を用いて測定することができる。GCを較正して、シリンジにより注入される正確な物質体積、正確なスプリット比、並びに既知の濃度及び鎖長分布の炭化水素標準物質を用いた炭化水素反応を決定する。空気の流量を正確に測定し、ヒトの吸入の持続時間が12秒間であると仮定して、サンプル体積を計算する。任意の時点の検出器における正確な濃度は既知であるため、吸入された体積当たりの質量も既知であり、物質の濃度を計算することができる。物質が50ppb未満の閾値を有するかどうかを決定するために、逆算された濃度の溶液を嗅ぎ口に送達させる。官能試験員がGC溶出物を嗅ぎ、臭気を感知したときの保持時間を同定する。全官能試験員の平均から感知能の閾値を決定する。
【0020】
必要な量の分析物をカラムに注入し、検出器における濃度を50ppbにする。臭気検出閾値を決定するための典型的なガスクロマトグラフパラメータを以下に列挙する。試験は、設備に関する指針に従って実施する。
【0021】
設備:
GC:FID検出器を備える5890シリーズ(Agilent Technologies,Ind.,Palo Alto,California,USA)
7673オートサンプラー(Agilent Technologies,Ind.,Palo Alto,California,USA)
カラム:DB−1(Agilent Technologies,Ind.,Palo Alto,California,USA)
長さ30メートルのID 0.25mm膜厚1マイクロメートル(キャピラリーチューブの内壁上のポリマー層、分離させるための選択的分割を提供)
方法のパラメーター:
分割注入:スプリット比17/1
オートサンプラー:注入1回当たり1.13マイクロリットル
カラム流量:1.10mL/分
空気流量:345mL/分
入り口温度245℃
検出器温度285℃
温度情報
初期温度:50℃
速度:5℃/分
最終温度:280℃
最終時間:6分
主な仮定:(i)一嗅ぎ当たり12秒
【0022】
(ii)GCエアをサンプル希釈液に添加
好適なFPCは、揮発性が高く、沸点が低い香料成分であってもよい。非限定的な、好適なFPCとしては、イソ−ノニルアセテート、ジヒドロミルセノール(3−メチレン−7−メチルオクタン−7−オル)、リナロール(3−ヒドロキシ−3,7−ジメチル−1,6オクタジエン)、ゲラニオール(3,7ジメチル−2,6−オクタジエン−1−オル)、d−リモネン(1−メチル−4−イソプロピペニル−1−シクロヘキサン、ベンジルアセテート、イソプロピルミリストリステート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。表1は、特定のFPCの代表的な特性のおおよその報告値を列挙する。図1は、空気清浄組成物において一般的に用いられているVOCに関する特定のFPCの蒸発プロファイルを示す。
【0023】
【表1】

【0024】
所望の香料特性を劣化させることなしに、1種のFPCを単独で用いることもでき、又は他のFPCと組み合わることもできると考えられている。組成物中の総FPC含量は、組成物の約10重量%超、あるいは約15重量%超、あるいは約20重量%超、あるいは約25重量%超、あるいは約30重量%超、あるいは約35重量%超、あるいは約40重量%超、あるいは約45重量%超、あるいは約50重量%超、あるいは約10重量%〜約95重量%、あるいは約15重量%〜約95重量%、あるいは約20重量%〜約95重量%、あるいは約20重量%〜約95重量%、あるいは約25重量%〜約95重量%、あるいは約30重量%〜約95重量%、あるいは約35重量%〜約95重量%、あるいは約40重量%〜約95重量%、あるいは約45重量%〜約95重量%、あるいは約50重量%〜約95重量%であってもよい。
【0025】
列挙した濃度のFPCを使用すると、皮膚保湿剤、身体の脱臭剤、顔及び身体用洗浄剤、乳幼児用拭き取り具等のパーソナルケア製品;硬質表面洗浄剤、木材研磨剤、及び自動車洗浄剤等の表面ケア組成物;洗浄剤、柔軟剤、しわ取り剤、及びリフレッシュ剤等の布地ケア組成物;エアゾール、電気プラグインディフューザー、受動的ディフューザー、連結型及び分離型圧電システム、吸上型システム、ゲルマトリクス等を含む空気清浄剤系等の空気ケア製品を含む種々のシステムで、所望の使用期間にわたって、一定の香料特性を提供するために香料組成物全体の蒸発プロファイルの調節を補助することができる。本発明を更に詳細に説明する目的のために、液体電気プラグイン空気清浄剤用のFPCを含む組成物について記載する。「空気清浄組成物」又は「空気清浄剤」という用語は、本明細書で使用するとき、組成物中に悪臭中和香料原材料をマスキング、層化、又は包含することにより、空気中の臭気を低減する及び/又は空気中の臭気の痕跡を低減する任意の好適な組成物を指す。これは、本発明の多くの実施形態のうちの1つであり、特許請求の範囲に記載される本発明の全範囲を限定するものではない。
【0026】
多くの種類の空気清浄組成物が可能である。非限定的な実施例としてプラグイン空気清浄剤用の液体組成物を使用すると、好適なFPCは、約800〜約1500、あるいは約900〜約1400、あるいは約1000〜約1300の範囲のコヴァッツインデックスを有してもよい。これらの物質は、エーテル、アルコール、アルデヒド、アセテート、ケトン、又はこれらの混合物のいずれであってもよい。非限定的なFPCの組み合わせ、又は2成分FPC組成物としては、表2に列挙するものが挙げられる。
【0027】
【表2】

【0028】
非機能性香料成分
本発明の組成物は、非機能性香料成分又は複数の非機能性香料成分を含み、これは芳香、香気、又は快楽効果のために用いられている従来の香料原材料である。非機能性香料成分は、FPCの特性を満たさない。好適な非機能性香料成分は、米国特許第5,663,134号、同第5,670,475号、同第5,783,544号、同第5,939,060号、及び同第6,146,621号に開示されている。
【0029】
活性剤
本発明はまた、活性剤を含んでもよく、活性剤とは、洗浄、表面ケア保護、布地コンディショニング又は柔軟、布地リフレッシュ、しわ取り、空気清浄化、空気脱臭、悪臭除去、皮膚保湿、身体の脱臭、又は同様の効果をもたらす任意の剤である。活性剤は、水又は脱イオン水を含まない。
【0030】
空気清浄化又は布地リフレッシュ組成物では、活性剤は真の悪臭除去効果をもたらし得る。真の悪臭除去効果は、感覚的にかつ分析的に(例えばGCにより)測定できる悪臭低下として定義される。したがって、空気清浄化組成物が真の悪臭除去効果をもたらす場合、空気清浄化組成物は、単に臭気を隠す又はマスキングするために香料を用いることにより機能する訳ではない。空気清浄化製品が悪臭中和剤とともに提供される場合、空気清浄化製品は、1種以上の幾つかの種類の臭気制御機構を用いてもよい。好適な悪臭制御剤の1つは、シクロデキストリンであり、これは米国特許第5,534,165号、同第5,668,097号、同第5,714,317号、及び同第6,682,694号に開示されている。
【0031】
活性剤はまた、界面活性剤、乳化剤、可溶化剤、ポリマー、シクロデキストリン、過酸化水素、緩衝剤、亜鉛イオン等の悪臭中和剤を含んでもよい。例えば、好適な布地コンディショニング/柔軟剤は、米国特許第5,139,687号に開示されている。
【0032】
1つの実施形態では、組成物は、VOCを実質的に含まず、組成物の約18重量%以下のVOCを含む。別の実施形態では、組成物は、VOCを実質的に含まず、組成物の約6重量%以下のVOCを含む。更に別の実施形態では、組成物は、VOCを実質的に含まず、組成物の約5重量%以下のVOCを含む。更に別の実施形態では、組成物は、VOCを実質的に含まず、組成物の約1重量%以下のVOCを含む。更に別の実施形態では、組成物は、VOCを実質的に含まず、組成物の約0.5重量%以下のVOCを含む。更に別の実施形態では、組成物はVOCを含まない。
【0033】
表3は、液体電気プラグイン空気清浄剤で用いることができる代表的な香料組成物を示す目的で提供される。本発明に従って、組成物A1、A2、A3、及びA4は、VOCを含まずFPCを含む。
【0034】
【表3】

【0035】
【表4】

【0036】
【表5】

【0037】
【表6】

【実施例】
【0038】
本発明に係る表4に示すような、FPCを含有する代表的な香料組成物、及びDPM及び/又はMMBを用いる同等の香料組成物に対して、感覚測定及び蒸発速度測定を実施する。2つの香料組成物、香料組成物A及び香料組成物Bを表4に従って作製し、それぞれ互いに同一である液体電気プラグインリフィル中に入れる。それぞれ互いに同一であるリフィルを液体電気プラグイン装置に挿入する。液体電気プラグイン装置及びそのリフィルを複数のコンセント枠のプラグに差し込む。電圧を測定し、記録する。6日目、総リフィル重量(香料、瓶、吸上、吸上封止具、止め輪を含む)を記録する。約24時間後(7日目)、総リフィル重量を再度記録する。蒸発速度を以下の式に従って計算する:
【0039】
【数1】

【0040】
1000は、ミリグラムに換算するための係数である。
同様の計算を7、14、21、及び30日目等の他の日についても実施できる。蒸発試験の結果を、図2に示す。
【0041】
【表7】

【0042】
DPM及び/又はMMBを含有する香料組成物対FPC代替物を含む香料組成物の直接感覚比較を、1日目及び21日目に、訓練を受けた調香師及び官能試験員により実施する。感覚比較試験の結果を、表5に示す。
【0043】
【表8】

【0044】
感覚試験及び蒸発速度測定の両方が、上記の代表的な組成物中に含有されているFPCが、香料の蒸発を補助するためにDPM及び/又はMMBの代替として好適であることを示す。
【0045】
種々の香料の香気の種類におけるFPC代替物の感覚的影響を調べるために、FPCによる香気を留める特性の完全性及び臭気提示効果を決定するための、単一代替物としてのFPC代替物及び2成分FPC組成物を用いる、従来の香水で典型的に見られる重要な臭気の種類(すなわち、トップノートの種類−グリーンウォータリー系、ミドルノートの種類−フローラル系、及びベースノートの種類−グルメバニラ系)を表す香料組成物対DPM及び/又はMMBを用いる組成物において、液体電気プラグイン空気清浄剤における香気の留まりを更に感覚的に試験した。したがって、香料組成物は、(1)非機能性香料成分及び(2)FPC;又は(1)非機能性香料成分及び(2)DPM、若しくはMMB、若しくはDPMとMMBとを含む。DPM及び/又はMMBを含有する組成物対イソ−ノニルアセテート及び/又はジヒドロミルセノールを含有するFPC代替物を含む組成物の直接感覚比較を、訓練を受けた調香師及び官能試験員により実施する。驚くべきことに、表7に示すように、FPC単一成分を含有する組成物の臭気提示は、DPM及び/又はMMBを含有する組成物に対して、室内への拡散、フレッシュさを増加させ、グリーン系フレッシュさ及びフルーティー系フレッシュさ等の芳香剤の新規要素を際立たせた。更に予想外なことに、芳香をもたらす2成分FPC組成物の結果は、よりバランスのとれた芳香提示を更に高め、芳香のボディ及び豊かさを増加させ、最高のフレッシュさ及び/又はクリーンな臭気特性を示した。したがって、イソ−ノニルアセテート、ジヒドロミルセノール、リナロール、d−リモネン、及びこれらの組み合わせは、香料の蒸発を補助するためのDPM及びMMB等のVOCの代替として好適である。より驚くべきことに、これらのFPCは、非機能性香料成分の特性を強化し、室内への充満を改善する。
【0046】
【表9】

【0047】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく制限されるものとして理解されるべきでない。それよりむしろ、特に指定されない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0048】
本明細書で引用される、相互参照付きの、又は関連する、特許及び出願を含むいずれの文献も、明白に排除されない限り、また別の方法で制限されない限り、本明細書にその全体が参照によって組み入れられる。いずれの文献の引用も、こうした文献が本明細書中で開示又は特許請求の範囲に記載されるいずれかの発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他のあらゆる参照文献との組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、本文書における用語のいずれかの意味又は定義が、援用文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいては、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義を優先するものとする。
【0049】
本発明の特定の実施形態について説明し記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正が可能であることが当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性剤と、
非機能性香料成分と、
約900〜約1400のコヴァッツインデックス及び約1.0ppb超のODTを有するFPCと、を含む組成物であって、前記FPCが前記組成物の約10重量%超の量で存在する、組成物。
【請求項2】
前記組成物が、空気清浄剤及び布地リフレッシュ剤からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記FPCが、前記組成物の約15重量%〜約95重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記FPCが、前記組成物の約30重量%〜約95重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記FPCが、イソノニルアセテート、ジヒドロミルセノール、リナロール、ゲラニオール、d−リモネン、ベンジルアセテート、イソプロピルミリストリステート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物がVOCを実質的に含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記FPCが、約800〜約1500のコヴァッツインデックスを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記FPCが約0.1ppm超のODTを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記FPCが、イソノニルアセテート、ジヒドロミルセノール、リナロール、d−リモネン、ベンジルアセテート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項10】
イソノニルアセテート、ジヒドロミルセノール、リナロール、d−リモネン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるFPCを約10重量%超含む空気清浄化組成物であって、前記組成物がVOCを実質的に含まない、空気清浄化組成物。
【請求項11】
前記FPCが、前記組成物の約15重量%超の量で存在する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記FPCが、前記組成物の約20重量%超の量で存在する、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記FPCが、前記組成物の約25重量%超の量で存在する、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
界面活性剤、乳化剤、可溶化剤、ポリマー、シクロデキストリン、過酸化水素、緩衝剤、亜鉛イオン、及びこれらの混合物からなる群から選択される活性剤を更に含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
非機能性香料成分と、
約900〜約1400のコヴァッツインデックス及び約1.0ppb超のODTを有するFPCと、を含む組成物を提供する工程を含む非機能性香料成分の蒸発を調節する方法であって、前記FPCが前記組成物の約10重量%超の量で存在する、方法。
【請求項16】
前記FPCが、前記組成物の約15重量%超の量で存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記FPCが、前記組成物の約30重量%超の量で存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物が活性剤を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記組成物が規制されているVOCを実質的に含まない、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−529992(P2011−529992A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521323(P2011−521323)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/052249
【国際公開番号】WO2010/014807
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】