説明

機能水霧化装置

【課題】 水素水や酸素水を霧化して供給することができ、しかもコンパクトに構成される機能水霧化装置を提供する。
【解決手段】 表面弾性波が伝播する振動面4を有する基板部1上に、該基板部1上に水Wを供給する水供給手段11と、水供給手段11により供給した水Wを電気分解するための陰極6および陽極7から成る電気分解手段10と、電気分解手段10の陰極6付近で生じた水素水を毛細管現象により保持しておく水溜め部8と、振動面4を介して水溜め部8にまで表面弾性波を伝播させる振動子2とを配した機能水霧化装置とする。また、陰極6と陽極7の配置を入れ換えて水溜め部8に酸素水を保持させてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素水や酸素水を霧化して供給する機能水霧化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、健康増進等を目的として、水を電気分解することによって生じる水素水や酸素水を利用することが行われている(例えば特許文献1参照)。水素水は水中に水素ガスを溶存させたものであって、還元作用を有することから、アンチエイジング効果や食品の長期保存効果を発揮することが期待される。また、酸素水は水中に酸素ガスを溶存させたものであって、酸素を供給することにより細胞の酸素不足を解消し、疲労回復効果等を発揮することが期待されている。なお、本文中においては水素水と酸素水を総称して機能水という。
【0003】
ところで、これら機能水を供給するにあたって、使用者の皮膚表面や空間内の隅々にまで機能水を供給するには、機能水を霧化して供給することが望ましい。また、このような機能水を霧化することのできる装置を多様な機器に組み込んで使い勝手よく用いるには、装置全体をコンパクト化することが望ましい。
【特許文献1】特開2005−105289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記技術背景を鑑みて発明したものであって、水素水や酸素水を霧化して供給することができ、しかもコンパクトに構成される機能水霧化装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明の機能水霧化装置を、基板部1と、該基板部1上に水Wを供給する水供給手段11と、水供給手段11により供給した水Wを電気分解するための陰極6および陽極7から成る電気分解手段10と、電気分解手段10の陰極6付近で生じた水素水を毛細管現象により保持しておく水溜め部8と、水溜め部8を振動させる振動手段とを具備したものとする。
【0006】
このようにすることで、振動手段が発する振動によって、水溜め部8内に保持した水素水を霧化させ、アンチエイジング効果や食品の長期保存効果を発揮する水素水ミストM1として放出することができる。しかも、本発明の機能水霧化装置は、非常にコンパクト化されて多様な機器にも組み込み易いものとなる。
【0007】
また、上記課題を解決するために本発明の機能水霧化装置を、基板部1と、該基板部1上に水Wを供給する水供給手段11と、水供給手段11により供給した水Wを電気分解するための陰極6および陽極7から成る電気分解手段10と、電気分解手段10の陽極7付近で生じた酸素水を毛細管現象により保持しておく水溜め部8と、水溜め部8を振動させる振動手段とを具備したものとしてもよい。
【0008】
このようにすることで、振動手段が発する振動によって、水溜め部8内に保持した酸素水を霧化させ、疲労回復効果等を発揮する酸素水ミストM2として放出することができる。しかも、本発明の機能水霧化装置は、非常にコンパクト化されて多様な機器にも組み込み易いものとなる。
【0009】
本発明の機能水霧化装置においては、上記基板部1が、表面弾性波が伝播する振動面4を有するものであり、上記振動手段が、基板部1の振動面4を介して水溜め部8にまで表面弾性波を伝播させる振動子2であることが好適である。このようにすることで、振動子2から振動面4を介して伝播した表面弾性波によって、水溜め部8内に保持した水素水又は酸素水を霧化させ、水素水ミストM1又は酸素水ミストM2として放出することができる。
【0010】
また、本発明の機能水生成装置においては、上記振動手段が、基板部1の水溜め部8を配してある面1aと反対側の面1bに配した超音波振動子20であることも好適である。このようにすることで、超音波振動子20から発生させた超音波振動によって、水溜め部8内に保持した水素水又は酸素水を霧化させ、水素水ミストM1又は酸素水ミストM2として放出することができる。
【0011】
また、本発明の機能水霧化装置において、上記水供給手段11は、結露水を生成する冷却装置13であることが好適である。このようにすることで、水Wを継続的に供給するための構造がコンパクト化されるとともに、使用者が水Wを補給する手間も不要なものとなる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明は、基板部と、該基板部上に水を供給する水供給手段と、水供給手段により供給した水を電気分解するための陰極および陽極から成る電気分解手段と、電気分解手段の陰極付近で生じた水素水を毛細管現象により保持しておく水溜め部と、水溜め部を振動させる振動手段とを具備したことで、水素水を霧化して供給することができ、しかもコンパクトであって多様な機器にも組み込み易い機能水霧化装置になるといった効果を奏する。
【0013】
また請求項2に係る発明は、基板部と、該基板部上に水を供給する水供給手段と、水供給手段により供給した水を電気分解するための陰極および陽極から成る電気分解手段と、電気分解手段の陽極付近で生じた酸素水を毛細管現象により保持しておく水溜め部と、水溜め部を振動させる振動手段とを具備したことで、酸素水を霧化して供給することができ、しかもコンパクトであって多様な機器にも組み込み易い機能水霧化装置になるといった効果を奏する。
【0014】
また請求項3に係る発明は、上記基板部が、表面弾性波が伝播する振動面を有するものであり、上記振動手段が、基板部の振動面を介して水溜め部にまで表面弾性波を伝播させる振動子であることから、請求項1又は2に係る発明の効果に加えて、振動子から振動面を介して伝播した表面弾性波によって水素水ミスト又は酸素水ミストを放出することができ、装置全体の薄型化を図ることができるといった効果を奏する。
【0015】
また請求項4に係る発明は、上記振動手段が、基板部の水溜め部を配してある面と反対側の面に配した超音波振動子であることから、請求項1又は2に係る発明の効果に加えて、超音波振動子から発生させた超音波振動によって水素水ミスト又は酸素水ミストを放出することができ、装置設置面積の極小化や低コスト化を図ることができるといった効果を奏する。
【0016】
また請求項5に係る発明は、水供給手段が、結露水を生成する冷却装置であることで、請求項1〜4のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、水を継続的に供給するための構造がコンパクト化されるとともに、使用者が水を補給する手間も不要なものになるといった効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。図1には、本発明の実施形態における一例の機能水霧化装置の構成を概略的に示している。
【0018】
図示のように、本例の機能水霧化装置は、薄板状の基板部1上に後述の各部材を配置してユニット化したものである。基板部1は、その厚みT方向を向く一面1a側の長さ方向Lの一端側(図中右端側)に振動子2を配置し、該振動子2を高周波電源3に接続させている。高周波電源3からの電力供給によって振動子2は振動を生じ、該振動は基板部1の一面1a上の表面弾性波となって図中左側に向けて(図中のA方向参照)伝播する。即ち、上記基板部1においては一面1a側が、表面弾性波が伝播する振動面4となっている。
【0019】
基板部1の一面1a側の長さL方向の他端側(図中左端側)には、水Wを貯留しておくことができる凹状の貯水面5と、貯水面5内に水Wが貯留されたときに該水Wに覆われるように設けた陰極6および陽極7と、貯水面5内の水Wと陰極6付近において接触するように配置した水溜め部8とを配置している。陰極6および陽極7は、直流電源9で接続させることで電気分解手段10を構成している。また、水溜め部8は多孔質構造を有するフェルトから成り、長時間に亘って水分を保持することが可能になっている。
【0020】
陰極6と陽極7の配置としては、基板部1の一面1a上において貯水面5内の振動子2に近い側に陰極6を配置し、振動子2から遠い側に陽極7を配置している。また、基板部1の一面1a上において、陰極6よりも更に振動子2に近い側であって貯水面5の水Wと接触する位置に、水溜め部8を配置している。
【0021】
基板部1の貯水面5に水Wを供給する水供給手段11としては、該基板部1の他面(一面1aとは反対側の面)1b上に、ペルチェユニット12を用いて形成した冷却装置13を配置している。上記ペルチェユニット12は、冷却側の基板部14aと放熱側の基板部14bとの間に多数のペルチェ素子15を配列したものであって、この冷却側の基板部14aを、基板部1の他面1bにおける貯水面5の真裏の位置に、貼着等して接触させている。つまり、上記水供給手段11は、基板部1の貯水面5を裏側から冷却することで該貯水面5上に水Wを直接結露させるものである。
【0022】
上記構成の機能水霧化装置によって霧状の機能水を生成するには、まずペルチェユニット12内のペルチェ素子15に通電して基板部14aを冷却し、基板部1の一面1a側において貯水面5内に水Wを結露させて所定水準まで貯留させる。ここで電気分解手段10の陰極6および陽極7間に電圧を印加すると、貯水面5内の水Wは電気分解を生じ、陰極6においては生成された水素水が、隣接する水溜め部8内に毛細管現象によって速やかに吸引されるとともに該水溜め部8内に保持される。
【0023】
そして、高周波電源3によって振動子2を振動させて表面弾性波を形成すると、該表面弾性波は振動面4上を伝播して水溜め部8にまで至り、水溜め部8の多孔質内に保持される水素水を霧化させる。霧化した水素水は、水素水ミストM1として基板部1の一面1a側から外部へと向けて放出される。上記水素水ミストM1は、使用者の皮膚表面や部屋の隅々にまで行き渡り、還元作用を有することから、アンチエイジング効果や食品の長期保存効果を発揮することができる。しかも、水素水ミストM1を生成する機能水霧化装置としては、上記のように基板部1上にユニット化した装置となるため、非常にコンパクト化されて多様な機器にも組み込み易いものになる。また、電気分解用の水Wを使用者が補給する必要がなく、使い勝手も非常に良好である。
【0024】
次に、本発明の実施形態における他例の機能水霧化装置について、図2に基づいて説明する。なお、本例の基本的な構成は上記した一例と同様であることから、一例と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明を省略し、一例とは相違する構成についてのみ以下に詳述する。
【0025】
本例の機能水霧化装置は、電気分解手段10の陰極6と陽極7の配置が逆になっている点において、一例とは相違している。つまり、本例にあっては、貯水面5内の振動子2に近い側に陽極7を配置し、振動子2から遠い側に陰極6を配置している。また、陽極7よりも更に振動子2に近い側であって貯水面5の水Wと接触する位置に、水溜め部8を配置している。
【0026】
本例の機能水霧化装置によって基板部1の貯水面5内に水Wを貯留させたうえで陰極6および陽極7間に電圧を印加すると、水Wの電気分解によって陽極7側に生成された酸素水が、隣接する水溜め部8内に吸引されて保持される。ここで、高周波電源3によって振動子2を振動させて表面弾性波を形成すると、該表面弾性波は振動面4上を伝播して水溜め部8にまで至り、水溜め部8の多孔質内に保持される酸素水を霧化させる。霧化した水素水は、酸素水ミストM2として基板部1の一面1a側から外部へと向けて放出される。上記酸素水ミストM2は、疲労回復効果等を発揮することができる。
【0027】
酸素水ミストM2を生成する本例の機能水霧化装置は、上記のように基板部1上にユニット化した装置となるため、非常にコンパクト化されて多様な機器にも組み込み易いものになる。また、電気分解用の水Wを使用者が補給する必要がなく、使い勝手も非常に良好である。
【0028】
次に、本発明の実施形態における更に他例の機能水霧化装置について、図3に基づいて説明する。なお、本例の基本的な構成は上記した一例と同様であることから、一例と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明を省略し、一例とは相違する構成についてのみ以下に詳述する。
【0029】
本例の機能水霧化装置にあっては、水溜め部8を振動させる振動手段として一例のように振動子2から表面弾性波を伝播させるのではなく、基板部1の水溜め部8を配してある面1aと反対側の面1bに超音波振動子20を配することで振動手段を形成している。したがって、超音波振動子20が発生させた超音波振動は基板部1の厚みT方向(図中の矢印B参照)に速やかに伝播され、水溜め部8内に保持した水素水を霧化させることで、水素水ミストM1を放出する。一例の機能水霧化装置においては装置全体の薄型化を図ることができるのに対して、上記構成を具備する本例の機能水霧化装置においては、装置設置面積の極小化を図ることができる。
【0030】
また、本例の機能水霧化装置にあっては、結露水を生成するための冷却装置13を、一例のように基板部1の振動面4を形成してある側の面1aとは反対側の面1bに配置するのではなく、基板部1とは別に設けた結露水生成用の冷却板21に配置している。冷却板21の一面21a側には凹状の結露面22を形成しており、冷却板21の他面21b側に、上記冷却装置13を成すペルチェユニット12の冷却側を貼着等して接触させている。
【0031】
冷却板21の結露面22と、基板部1の貯水面5とは、該冷却板21の一面21a側にて結露面22から延設してある導水溝23を介して連通接続させている。図示のように、冷却板21は基板部1の貯水面5側へと全体を下向きに傾斜させてあるので、冷却板21の結露面22に生じた結露水は、導水溝23を通って基板部1の貯水面5へと自重により搬送され、電気分解用の水Wとして利用される。結露面22上の結露水を貯水面5にまで搬送する手段としては、例えば多孔質部材等の搬送部材を介在させて毛細管現象により搬送するといった、他の手段を用いてもよい。
【0032】
また、本例の機能水霧化装置において、電気分解手段10の陰極6と陽極7の配置を逆にしてもよい。この場合には、図2に示す他例の機能水霧化装置と同様に、水溜め部8に保持される酸素水を霧化して、酸素水ミストM2を放出することができる。
【0033】
なお、本発明の機能水霧化装置を構成する冷却装置13はペルチェユニット12以外を用いて形成してもよいし、水溜め部8はフェルト以外を用いて形成してもよい。その他の構成についても、本発明の主旨を逸脱しない限り適宜設計変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態における一例の機能水霧化装置の構成を示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態における他例の機能水霧化装置の構成を示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態における更に他例の機能水霧化装置の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0035】
1 基板部
1a 一面
1b 他面
2 振動子
4 振動面
6 陰極
7 陽極
8 水溜め部
10 電気分解手段
11 水供給手段
13 冷却装置
20 超音波振動子
M1 水素水ミスト
M2 酸素水ミスト
W 水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板部と、該基板部上に水を供給する水供給手段と、水供給手段により供給した水を電気分解するための陰極および陽極から成る電気分解手段と、電気分解手段の陰極付近で生じた水素水を毛細管現象により保持しておく水溜め部と、水溜め部を振動させる振動手段とを具備したことを特徴とする機能水霧化装置。
【請求項2】
基板部と、該基板部上に水を供給する水供給手段と、水供給手段により供給した水を電気分解するための陰極および陽極から成る電気分解手段と、電気分解手段の陽極付近で生じた酸素水を毛細管現象により保持しておく水溜め部と、水溜め部を振動させる振動手段とを具備したことを特徴とする機能水霧化装置。
【請求項3】
上記基板部が、表面弾性波が伝播する振動面を有するものであり、上記振動手段が、基板部の振動面を介して水溜め部にまで表面弾性波を伝播させる振動子であることを特徴とする請求項1又は2記載の機能水霧化装置。
【請求項4】
上記振動手段が、基板部の水溜め部を配してある面と反対側の面に配した超音波振動子であることを特徴とする請求項1又は2記載の機能水霧化装置。
【請求項5】
上記水供給手段が、結露水を生成する冷却装置であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の機能水霧化装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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