説明

機能水

【課題】 本発明は、アトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎といった各種皮膚炎の治療用として、また、水虫や虫さされ等に起因するかゆみの抑制及び治療用として、更にはシミやソバカス、ニキビ、湿疹等の抑制及び治療にも効果がある機能水を提供することを目的とする。また更に、害虫忌避作用、動植物の活性化作用、生鮮食品の酸化防止機能、鮮度保持機能等をも兼ね備えた機能水を提供することを目的とする。
【解決手段】 鉄を酸素、並びに窒素を含む気体雰囲気中で加熱溶融して得られる酸素・窒素含有鉄化合物が、水に混合されて得られる混合液を主成分とする機能水である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚や粘膜に対する治療・美容用水として、或いは害虫忌避剤、動植物の活性剤、生鮮食品の鮮度保持剤として使用され得る機能水に関する。
【背景技術】
【0002】
アトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎といった各種皮膚炎の治療薬としては、従来より、非ステロイド系薬剤、副腎皮質ホルモン入り薬剤が使用されている。しかし、非ステロイド系薬剤には比較的即効性が無く、副腎皮質ホルモン入り薬剤については副作用が問題視されている。
【0003】
また、皮膚のかゆみの治療に対しては、外用の抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤等も一般に使用されているが、これらは、アトピー性皮膚炎、水虫や虫さされのかゆみには殆ど効果がない。
【0004】
そこで、本願発明者は、先に新規な皮膚炎の治療用水を開発し、出願している(特許文献1参照。)。アトピー性皮膚炎をはじめとする各種皮膚炎に有効に作用し、かゆみの抑制、湿疹の赤みの軽減に効果がある。
【0005】
また、自然水に、ヨモギエキス、レモンエキス、ハーブエキス等を混合撹拌して生成される薬草ローションも開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この薬草ローションにも、アトピー性皮膚炎等の治療効果があり、また、シミやソバカスを徐々に除く作用があることも報告されている。
【0006】
【特許文献1】特開平11−171780号(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2002−363065号公報(特許請求の範囲、実施例)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示された皮膚炎の治療用水には、アトピー性皮膚炎をはじめとする各種皮膚炎の治療効果はあるが、更に治療効果の高い治療用水が望まれていた。また、水虫や虫さされ等によるかゆみには効果が少なく、即効性も殆ど無いものであった。
【0008】
更に、特許文献2に開示された薬用ローションについても、アトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎の治療効果が報告されているが、即効性はなく、長期継続使用により徐々に治療効果が現れるというものであって、より即効性のある治療薬が期待されていた。
【0009】
一方、従来の害虫忌避剤や動植物の活性剤には、種々の化学物質を含むものが多く、中には人体や環境に悪影響を与えるものも含まれているため、これらの使用に際しては、細心の注意を要した。
【0010】
そこで本発明は、アトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎といった各種皮膚炎の治療用として、また、水虫や虫さされ等に起因するかゆみの抑制及び治療用として、更にはシミやソバカス、ニキビ、湿疹等の抑制及び治療にも効果がある機能水を提供することを目的とする。
【0011】
また更に、皮膚や粘膜に対する治療・美容用水としてのみならず、害虫忌避作用、動植物の活性化作用、生鮮食品の酸化防止機能、鮮度保持機能等をも兼ね備えた機能水を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の機能水の要旨とするところは、鉄を酸素、並びに窒素を含む気体雰囲気中で加熱溶融して得られる酸素・窒素含有鉄化合物が、水に混合されて得られる混合液を主成分とすることにある。
【0013】
かかる機能水において、前記酸素・窒素含有鉄化合物は、微粉末であることを特徴とする。
【0014】
かかる機能水において、前記混合液は、水に混合された前記微粉末を濾過して得られる濾液であることを特徴とする。
【0015】
更に、かかる機能水において、前記混合液中には、前記微粉末のうち10μm以下の微粒子が分散していることを特徴とする。
【0016】
また、かかる機能水において、更に、ナトリウムイオン;カルシウムイオン;炭酸イオンを含み得る。
【0017】
かかる機能水において、更に、フッ素イオン;炭酸水素イオンを含み得る。
【0018】
かかる機能水において、更に、アルコール及び/又はビタミンを含み得る。
【発明の効果】
【0019】
本発明の機能水は、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、内分泌性皮膚病、接触皮膚炎、脂漏性皮膚炎等の各種皮膚炎の治療用水として、非常に治療効果が高い。
【0020】
また、本発明の機能水は、pH値が限りなく中性に近いため、皮膚に直接塗布した場合でも、肌に非常に優しい。化粧水として使用した場合には、皮膚の活性化に伴う美肌・美白効果、保湿効果がある。更に、シミやソバカス、ニキビ、ホクロ等に対する治療・抑制効果もある。
【0021】
また、機能水による皮膚の活性化によって、頭皮に使用した場合には、抜け毛の抑制及び育毛効果もある。更には、ふけ・かゆみの抑制にも非常に効果的である。
【0022】
また、水虫、虫さされ等によるかゆみ、湿疹等に対しても、即効性があり、治療効果も従来に比較して非常に高い。
【0023】
更に、酸素・窒素含有鉄化合物の働きによって、機能水に殺菌効果が付与され、皮膚炎や外傷等の患部の殺菌剤、消毒剤としても適用できる。
【0024】
また、本発明の機能水には害虫忌避作用があるため、防虫剤、害虫駆除剤、防ダニ剤等としても適用できる。
【0025】
更にまた、本発明の機能水は、動植物の活性化作用、生鮮食品の酸化防止機能、鮮度保持機能等も備えており、ペット用品、園芸用品としての動植物の活性剤、生鮮食品の鮮度保持剤としての適用も可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の機能水は、鉄を酸素、並びに窒素を含む気体雰囲気中で加熱溶融して得られる酸素・窒素含有鉄化合物(以下、「酸窒化鉄」という。)が、水に混合されて得られる混合液を主成分とするものである。ここで、「酸窒化鉄」とは、鉄を酸素、並びに窒素を含む気体雰囲気中で加熱溶融して得られるもの、より具体的には、酸素、並びに窒素雰囲気中で、鉄へのレーザー照射により蒸発又は昇華して得られるものをいう。例えば、鋼板をレーザー切断加工する際に発生する鉄粉が、本発明に係る酸窒化鉄に該当する。
【0027】
レーザー切断加工は、各種の金属材料にレーザービームを照射して局部的に溶融させ、レーザーと同軸方向に、空気、酸素、又は窒素等のアシストガスを噴き付け、溶融物を吹き飛ばすことで切断を行う方法である。この時、吹き飛ばされた溶融物は固化して金属又は金属化合物の微粉末を形成するが、従来、これらの微粉末は廃棄物として処理されていた。そこで、本発明の機能水の調製に、鋼板をレーザー切断加工して得られる微粉末、いわゆる「酸窒化鉄」の微粉末を用いることによって、廃棄物の有効利用を図ることができる。
【0028】
なお、本発明の機能水には、例えば、ステンレス鋼をレーザー切断加工した際に得られる微粉末を適用することも可能であり、微粉末の素となる金属材料は特に限定されないが、中でも鋼板をレーザー切断加工した際に得られる酸窒化鉄が好適に使用し得るため、以下の態様においては、酸窒化鉄を使用した態様を説明する。
【0029】
本発明の機能水の調製に用いられる酸窒化鉄の含有量は特に限定されないが、酸窒化鉄が混合される水量に対して、0.05〜2重量%であることが好ましく、より好ましいのは0.1〜1重量%である。酸窒化鉄の含有量が0.05〜0.1重量%程度であっても、皮膚炎等に対する治療効果は十分に発揮されるが、0.05重量%より少ない場合には、治療効果が殆ど発揮されない。
【0030】
本発明の機能水は、酸窒化鉄を水に混合することによって得られる混合液を主成分とするものである。より具体的には、酸窒化鉄の微粉末を水に混合し、ミキサー等で撹拌することによって得られる混合液を主成分とするものである。水に酸窒化鉄の微粉末を混合して撹拌すると、酸窒化鉄の微粉末の殆どは混合液中に分散されるが、その少なくとも一部は混合液に溶解されることとなる。
【0031】
なお、機能水の調製には、水に混合された酸窒化鉄の微粉末を濾過することによって得られる濾液の部分を使用することが好ましい。この濾液には、酸窒化鉄の微粉末の少なくとも一部が溶解しており、また、酸窒化鉄の微粉末のうち10μm以下の微粒子が分散しているため、皮膚炎等に対する治療効果は十分に発揮される。一方、濾材に残った酸窒化鉄の微粉末は、回収して再び機能水の調製に使用することができる。つまり、酸窒化鉄の微粉末は繰り返し使用することが可能であり、非常に経済的である。
【0032】
以上の通り、本発明の機能水は、「酸窒化鉄」が水に混合撹拌され、その少なくとも一部が溶解されて得られる混合液を主成分とすることを特徴とするものであるが、この混合液に、ナトリウムイオン;カルシウムイオン;炭酸イオンが溶解された態様であってもよい。機能水が、これらの各種イオンを含有することによって、皮膚炎等に対する治療効果が更に高まる。
【0033】
ここで、本態様の機能水の調製に用いられるナトリウムイオンの含有量は特に限定されないが、0.005重量%〜0.1重量%であることが好ましい。
【0034】
本態様の機能水の調製に用いられるカルシウムイオンの含有量は特に限定されないが、好ましくは、0.005重量%〜0.1重量%である。
【0035】
本態様の機能水の調製に用いられる炭酸イオンの含有量は特に限定されないが、好ましくは、0.01重量%〜0.5重量%である。
【0036】
また、これら各種イオンを混合液に溶解させる方法としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等を直接混合液に溶解させる方法、気体の二酸化炭素を混合液に溶解させる方法等があるが、これらに限定されず、所望の量の各種イオンを含むように調製されれば、何れの方法であってもよい。
【0037】
更に、本発明の機能水に使用される水としては、純水、天然水、地下水、蒸留水、水道水、或いは、鉱泉水等が挙げられるが、天然水や地下水、鉱泉水等が、予め上記の各種イオンを含有している場合は、別途、ナトリウムイオン等を溶解する必要はない。
【0038】
本発明の機能水は、「酸窒化鉄」が水に混合されて得られる混合液を主成分として含んで成り、更に好ましい態様として、この混合液に、上述した各種成分を含有して得られる混合液である。本発明の機能水は、従来の皮膚炎の治療薬、化粧水等の代替として、そのまま使用することもできる。しかし、更に機能水の治療効果を高めるために、フッ素イオン及び/又は炭酸水素イオンを溶解させて成る機能水であることが好ましい。
【0039】
本態様の機能水の調製に用いられるフッ素イオンは、例えば、フッ化ナトリウムを溶解させる等の方法によって機能水に添加される。フッ素イオンの含有量は特に限定されないが、好ましくは0.0005重量%〜0.01重量%である。
【0040】
本態様の機能水の調製に用いられる炭酸水素イオンは、例えば、炭酸ナトリウム、二酸化炭素等を直接水に溶解させる等の方法によって添加される。炭酸水素イオンの含有量は特に限定されないが、0.005〜0.5重量%であることが好ましく、より好ましいのは0.01〜0.2重量%である。
【0041】
以上、本発明の機能水の種々の態様について詳述したが、本発明の機能水には、その他、実際の使用条件に適合し得るように、適当量の添加物が添加されてもよい。
【0042】
添加物としては、アルコール、ビタミン、油脂、界面活性剤等が挙げられるが、特に、アルコール及び/又はビタミンを添加することが好ましい。本発明の機能水を皮膚炎等の患部に塗布する場合には、機能水にアルコールを添加しておくことによって、患部の消毒効果を発揮する。また、機能水を内服用として使用する場合には、各種ビタミンを添加することによって、ビタミン補給が容易に行える。
【0043】
本態様の機能水の調製に用いられるアルコールは、特に限定されないが、中でもメチルアルコールが特に好適に用いられ得る。また、アルコールの含有量は、特に限定されないが、本態様の機能水におけるアルコールの最終的な濃度が、50〜200ppmとなるように添加されることが好ましい。
【0044】
一方、ビタミンとしては、ビタミンA、B、C、E等の各種ビタミンが使用され得る。これらの各種ビタミンは、例えば、粉末ビタミンを混合液に溶解させることによって容易に添加することができる。また、各種ビタミンの含有量は、特に限定されないが、本態様の機能水におけるビタミンの最終的な濃度が、5〜50ppmであることが好ましい。
【0045】
本発明は、以上の構成を含む機能水であり、酸窒化鉄が混合されて得られる混合液を主成分とすることにより、各種皮膚炎に対して、従来の治療薬より優れた治療効果が発揮される。また、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、炭酸イオンを溶解することによって、更には、フッ素イオンや炭酸水素イオンを溶解することによって、治療効果の更なる向上が図られる。また、アルコールやビタミン等の添加物を混入することにより、外用、或いは内服用といった使用条件に適合した機能水を提供することも可能となる。
【0046】
以上、酸窒化鉄を使用した機能水の種々の態様について詳述したが、上述の通り、本発明の機能水には、例えば、ステンレス鋼をレーザー切断加工した際に得られる微粉末を適用することも可能である。
【0047】
つまり、本発明の機能水の他態様として、ステンレス鋼を酸素、並びに窒素を含む気体雰囲気中で加熱溶融して得られる酸素・窒素含有金属化合物が、水に混合されて得られる混合液を主成分とするものであってもよい。ここで、酸素・窒素含有金属化合物としては、酸素・窒素含有クロム化合物、酸素・窒素含有ニッケル化合物、酸素・窒素含有鉄クロム化合物、酸素・窒素含有鉄ニッケル化合物、酸素・窒素含有クロムニッケル化合物等が挙げられ、これらのうちから選択される1以上が水に混合されて得られる混合液を主成分とすることによって、本態様に係る機能水が得られる。なお、本態様の機能水の調製に用いられる酸素・窒素含有クロム化合物等の含有量は特に限定されないが、酸窒化鉄と同様、酸素・窒素含有クロム化合物等が混合される水量に対して、0.05〜2重量%であることが好ましく、より好ましいのは0.1〜1重量%である。
【0048】
以上、本発明の機能水について説明したが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るものである。例えば、酸素・窒素含有クロム化合物等と、酸窒化鉄とを併用し、これらを水に混合して得られる混合液を主成分とする機能水であってもよく、これらの態様はいずれも本発明の範囲に属するものである。
【実施例1】
【0049】
本発明の機能水を調製した。容器内に1Lの水(地下水)と5gの酸窒化鉄の微粉末を入れ、約2分、混合撹拌した後、静置した。この混合液の上液を三分の一程度(約330cc)除去し、更に水を追加して、全量で1Lの混合液とした。これを3日間静置した後、上澄み液を回収し濾過することによって、本発明の機能水を得た。なお、地下水には、微量のナトリウムイオン、カルシウムイオン、炭酸イオンが含有されていた。
【実施例2】
【0050】
実施例1と同様の方法で得られた上澄み液を、濾過していない状態で煮沸後、分析方法(H15厚労省告示261号)に従って、一般細菌、大腸菌等の分析項目について分析を行った。その分析結果を表1に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
表1の分析結果に示すように、鉄及びその化合物、濁度以外の項目に関しては、何れも基準値を下回っていた。また、pH値も7.1と限りなく中性に近い値を示し、皮膚炎等の患部に直接塗布する場合や敏感肌の患者が使用する場合でも、肌に非常に優しいものであるといえる。なお、上澄み液を濾過した状態で分析を行えば、鉄及びその化合物、濁度の項目に関しても基準値をクリアできるものと考えられる。
【実施例3】
【0053】
本発明の機能水を調製した。容器内に1Lの水(蒸留水)と3gの酸窒化鉄の微粉末を入れ、約2分、混合撹拌した後、静置した。この混合液の上液を三分の一程度(約330cc)除去し、更に水を追加して、全量で1Lの混合液とした。得られた混合液に、フッ化ナトリウム水溶液、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、及び二酸化炭素を適量添加して、ナトリウムイオン73mg、フッ素9.5mg、炭酸水素イオン16mgを存在させるようにし、これを3日間静置した後、上澄み液を回収し濾過することによって、本実施例に係る機能水を得た。なお、pH値は7.2であった。
【実施例4】
【0054】
実施例3で得られた機能水に、粉末ビタミン(ビタミンC及びEの混合物)を、最終的な濃度が10ppmとなるように添加し、本実施例に係る機能水を得た。
【実施例5】
【0055】
実施例3で得られた機能水に、粉末ビタミン(ビタミンC及びEの混合物)及びメチルアルコールを、最終的な濃度がそれぞれ10ppm、100ppmとなるように添加して、本実施例に係る機能水を得た。
【実施例6】
【0056】
実施例1、3乃至5で得られた機能水を、アトピー性皮膚炎の患者に使用してもらい、皮膚炎の治療効果について試験を行った。被験者はステロイド系薬剤を使用していたが、一向に改善の見られなかった患者である。患部に機能水を1日2〜3回、スプレー塗布するのみであったが、かゆみは治まり、湿疹も3、4日目には徐々に無くなり始め、1週間で殆ど無くなった。
【実施例7】
【0057】
実施例1、3乃至5で得られた機能水を、水虫の患部にスプレー塗布した。かゆみは直ぐに治まり、患部の赤みも1週間ほどで治まった。従って、水虫に対する治療薬としても非常に有効であると思われる。
【実施例8】
【0058】
実施例1、3乃至5で得られた機能水を、虫さされによる患部にスプレー塗布した。かゆみは直ぐに治まり、1、2日で腫れも引き、虫さされによるかゆみや腫れの治療に対して、即効性があり、非常に効果的であることが分かった。
【実施例9】
【0059】
実施例1で得られた機能水と、市販の化粧水(商品名:アベンヌウォーター、ピエール ファーブル社製)とを、17〜58歳の女性10人に1週間使用してもらい、表2に示す各項目についてアンケート調査を行った。なお、機能水のpH値は7.1、アベンヌウォーターのpH値は8.1であった。
【0060】
【表2】

【0061】
本発明の機能水を化粧水として使用した場合、アベンヌウォーターが弱アルカリ性であるのに対して、機能水は限りなく中性に近いものであるため、肌に非常に優しいという評価を得た。また、機能水には、アベンヌウォーターに比べてぬめりがあり、使用直後にはべたつき感もあるが、のび、なじみが良く、みずみずしさもあり、被験者の総合評価では、本発明の機能水が好評であった。更に、機能水を化粧水として使用した場合、化粧のりが良好で、脂性の女性であっても化粧がくずれることが無く、化粧直しの手間が省けるという報告や、肌のキメが細かくなったという報告等もあった。また更に、シミやソバカス、シワ、ホクロ等も1週間で殆ど目立たなくなり、ニキビに至っては、2、3日で無くなったという報告もあった。従って、機能水に、皮膚の活性化に伴う美肌効果、美白効果があることが確認された。一方、男性においても、髭剃り後に機能水を使用してもらったが、非常に好評であった。
【実施例10】
【0062】
実施例1、4で得られた機能水を、抗高血圧薬を服用中の高血圧の60代男性に、朝夕2回、1回50〜100mlずつ、1週間服用してもらった。抗高血圧薬服用時の血圧が170〜185/105〜110mmHgであったのに対し、抗高血圧薬と共に機能水を服用してもらった結果、1週間後には130〜140/95〜100mmHgまで下がり、安定した。また、それと共に抗高血圧薬の投与量を従来の4錠から3錠に減らしたが、血圧は下がった状態で安定した。従って、機能水には血圧降下作用があるものと思われる。
【0063】
更に、機能水の服用を開始して2、3日目には、痰が切れやすくなり、その他、便通も良好であるという報告もあった。
【実施例11】
【0064】
実施例1で得られた機能水を、60代男性に、1日1、2回頭皮に直接スプレー塗布してもらった。その結果、フケやかゆみが治まると共に、生え際付近に目立っていた白髪が殆ど目立たなくなった。更に、抜け毛も抑制され、従って機能水には、頭皮の活性化による育毛・発毛効果があるものと思われる。
【実施例12】
【0065】
実施例1で得られた機能水を、女性に朝夕2回、1回につき50〜100ccずつ、20日間服用してもらった。その結果、服用開始前に65kgであった体重が、20日後には62.5kgとなり、20日間でマイナス2.5kgのダイエットに成功した。なお、機能水の服用期間中も、特別な食事制限や運動は行わず、服用開始前と同様の日常生活を送っていた。従って、機能水には、ダイエット効果があるものと思われる。
【実施例13】
【0066】
実施例1、3乃至5で得られた機能水を、肩こりに悩む男女5人に対して、肩や首筋にスプレー塗布した。1日に2、3回の使用で、3日目には肩こりがとれ、肩こりからくる頭痛も起こらなくなったという報告もあった。従って、機能水には、筋肉を和らげる効果があるものと思われる。
【実施例14】
【0067】
実施例1で得られた機能水を、ゴミ置き場(京都市中央卸売市場内)において、約6mの範囲に対して500ccスプレーで散布した。ゴミ置き場には魚の粗をはじめとする生ゴミが主に捨てられており、機能水を散布する前は多くのハエが集っていた。そこで、この生ゴミに機能水を散布すると、散布と同時にハエは一旦飛散し、その後再び生ゴミに戻ってきたが、生ゴミに止まることはなかった。更に散布後約30分経過してゴミ置き場を確認した際には、機能水を散布した辺りの生ゴミにはハエが集っておらず、ハエ等の害虫を忌避する作用が確認された。
【実施例15】
【0068】
実施例1で得られた機能水を5倍に希釈し、この希釈した機能水を植木にスプレーで散布した。機能水を散布する前の植木には蟻や毛虫が付いていたが、散布した翌日にはこれらの虫の姿が確認できず、その後も植木に虫が寄り付くことはなかった。つまり、実施例14と同様、機能水に害虫忌避作用があることが確認された。
【実施例16】
【0069】
実施例1で得られた機能水を使用して、生花の育成を試みた。機能水を入れた花瓶と、比較例として水道水を入れた花瓶を用意し、それぞれの花瓶にバラの花10輪程を付けた切り花を挿し、その生育状況を観察した。水道水を使用したバラは、徐々に花弁の色が黒ずんでいき、1週間後には約半分の花が枯れた。一方、機能水を使用して育成したバラは、1週間経っても枯れることがなく、花弁も鮮やかな色を保持していた。従って、機能水には、植物の活性化作用があるものと思われる。
【実施例17】
【0070】
実施例1で得られた機能水を5倍に希釈し、この希釈した機能水を使用して金魚を飼育した。その結果、1週間後には、体表の色が鮮やかになることが確認された。従って、機能水には、動物の皮膚に対する活性化作用もあると思われる。なお、実施例1で得られた機能水を希釈せずに使用した場合には、3〜4日で金魚の体表がただれて白く変色し、その後、死に至った。
【実施例18】
【0071】
実施例1で得られた機能水を、リンゴの切り口にスプレーで噴霧した。数分後、機能水を噴霧していない切り口は茶色に変色したが、機能水を噴霧した切り口には、変色が確認されなかった。同様に、牛肉片にも機能水を噴霧して観察したが、機能水を噴霧した牛肉片には変色が確認されなかった。従って、機能水には、食品の酸化防止機能、鮮度保持機能があると思われる。
【実施例19】
【0072】
本発明の機能水に係る酸窒化鉄の微粉末を、琵琶湖で採取してきた水500mlに1g添加した。24時間培養後、酸窒化鉄を添加した試料と、添加していない試料との、それぞれにおける一般細菌を計量した。その結果、酸窒化鉄を添加していない試料からは、53000個/mlの一般細菌が検出されたが、酸窒化鉄を添加した試料からは、21000個/mlしか一般細菌が検出されなかった。従って、酸窒化鉄を溶解して得られる水溶液を主成分とする機能水には、殺菌作用があるものと思われる。
【実施例20】
【0073】
実施例1で得られた機能水について、白金電極法による酸化還元電位の測定を行った。比較例として水道水(東京都中央区)についても測定を行った。その結果、水道水の酸化還元電位が590mVであったのに対して、機能水は190mVであり、水道水に比較して優位な差が示された。つまり、水道水に比較して機能水の酸化還元電位が低いので、機能水には、活性酸素生成の抑制効果があると言える。活性酸素の生成が抑えられると、酸化による細胞のダメージが少なく、代謝が促進される。従って、実施例9に示した美肌効果、シミやニキビ等が目立たなくなるといった効果や、実施例16及び実施例17に示した動植物の活性化作用、実施例18に示した食品の酸化防止機能等が発揮されたものと考えられる。
【0074】
また、酸化還元電位が低いということは抗酸化能が高いということになる。つまり、水道水に比べて鉄が酸化しにくい、即ち錆びにくいということが考えられるため、防錆剤等への応用も期待できる。
【実施例21】
【0075】
本発明の機能水を調製した。容器内に1Lの水(地下水)と、ステンレス鋼をレーザー切断加工した際に得られた微粉末5gとを入れ、約2分、混合撹拌した後、静置した。この混合液の上液を三分の一程度(約330cc)除去し、更に水を追加して、全量で1Lの混合液とした。これを3日間静置した後、上澄み液を回収し濾過することによって、本実施例の機能水を得た。なお、地下水には、微量のナトリウムイオン、カルシウムイオン、炭酸イオンが含有されていた。
【実施例22】
【0076】
実施例21で得られた機能水をW50×D20×H20(cm)の水槽に満たし、幅方向の両端にそれぞれ電極を取り付けた。更に、これらの電極と、5Wの電球及び電源とを直列に繋いで100Vの電圧をかけた際、電球の点灯が確認できた。なお、実施例1で得られた機能水を水槽に満たして同様の実験を行ったが、電球は点灯しなかった。従って、実施例21に係る機能水は、導電性を備えることが判明した。
【実施例23】
【0077】
実施例21で得られた機能水4Lに対して、水200ccに水酸化カリウム100gを溶解し、これを3倍希釈して得られた水酸化カリウム水溶液を30cc添加し、実施例22と同様の実験を行った。すると、実施例22に比較して、電球がより明るく点灯した。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の機能水は、各種皮膚炎に対する治療効果が高く、また、皮膚の活性化に伴う美肌・美白効果、育毛・発毛効果等の種々の効果も期待でき、皮膚炎の治療用水、化粧水、毛髪活性剤等として適用し得るものと考えられる。
【0079】
更に、機能水を服用することによって、血圧降下作用、ダイエット効果、体調維持、健康増進効果等も期待でき、各種内服液、栄養ドリンク等にも適用し得るものと考えられるる。
【0080】
また、機能水には、害虫忌避作用が確認されており、防虫剤、害虫駆除剤、防ダニ剤等に適用し得るものと考えられる。
【0081】
一方、機能水には、動植物の活性化作用、生鮮食品の酸化防止機能、鮮度保持機能等も確認されており、ペット用品や園芸用品、生鮮食品の鮮度保持剤等として、広範囲に適用し得るものと考えられる。
【0082】
また、本発明に係る酸窒化鉄には、殺菌作用があるものと思われ、これを含む機能水には、皮膚炎、外傷等の患部の消毒用、殺菌用水としての適用も可能であると考えられる。
【0083】
更にまた、酸窒化鉄は、強磁性材料であるため、建材、セラミック製品、IT技術分野等への応用も期待できる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄を酸素、並びに窒素を含む気体雰囲気中で加熱溶融して得られる酸素・窒素含有鉄化合物が、水に混合されて得られる混合液を主成分とする機能水。
【請求項2】
前記酸素・窒素含有鉄化合物が微粉末である請求項1に記載の機能水。
【請求項3】
前記混合液が、水に混合された前記微粉末を濾過して得られる濾液である請求項2に記載の機能水。
【請求項4】
前記混合液中に、前記微粉末のうち10μm以下の微粒子が分散している請求項3に記載の機能水。
【請求項5】
更に、
ナトリウムイオン、
カルシウムイオン、
炭酸イオン
を含む請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の機能水。
【請求項6】
更に、フッ素イオン及び/又は炭酸水素イオンを含む請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の機能水。
【請求項7】
更に、アルコール及び/又はビタミンを含む請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の機能水。


【公開番号】特開2006−16302(P2006−16302A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182758(P2004−182758)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(597150865)
【Fターム(参考)】