説明

櫛形ポリマー並びに洗濯洗剤及び洗浄剤中でのそれらの使用

本発明は、ポリマー主鎖、及びこのポリマー主鎖とエステル基を介して結合したポリエステル側鎖からなる櫛形ポリマーであって、
(i)ポリマー主鎖が、ポリカルボン酸またはコポリマーポリカルボン酸(A)であること;
(ii)ポリマー側鎖が、次の構成分、すなわち(B1)場合によってはスルホン化されたC−ジカルボン酸、(B2)ジオール、及び/または2つのOH基を有するポリオールエーテル、並びに(C)式−O−(AO)R(式中、Aはエチレン、プロピレンまたはブチレンを意味し、xは1〜100の数を意味し、そしてRは炭素原子数1〜30の炭化水素残基を意味する)の非イオン性末端基を含むこと;
(iii)ポリエステル側鎖の総質量パーセントB1+B2+Cが、櫛形ポリマーの総質量を基準に80〜99.9%であること;
(iv)ポリエステル側鎖が、B1+B2/Cの質量比率を2:1〜100:1とした成分B1、B2及びCのエステル化反応によって得られること;
を特徴とする、前記櫛形ポリマーに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エステル基を介して結合したポリエステルサイドアーム部を有するポリマー主鎖からなり、この際、前記のポリエステルサイドアーム部は非イオン性基で末端キャップされてる、水溶性及び/または水分散性櫛形ポリマーに関する。この櫛形ポリマーは、洗濯洗剤及び洗浄剤中でソイルリリースポリエステルとして使用される。
【背景技術】
【0002】
米国特許第4,427,557号明細書(特許文献1)には、モノマーとしてのエチレングリコール(1)、200〜1,000g/モルの分子量を有するポリエチレングリコール(2)、芳香族ジカルボン酸(3)、及びスルホン化された芳香族ジカルボン酸のアルカリ金属塩(4)から製造される2,000〜10,000g/モルの範囲の分子量を有するポリエステルが記載されており、ポリエステル布に対するそれのソイルリリース作用が賞賛されている。
【0003】
米国特許第4,702,857号明細書(特許文献2)は、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコールまたはこれらの混合物(1)、一方の末端で短鎖アルキル基で、特にメチル基でキャップされている少なくとも10個のグリコール単位を有するポリエチレングリコール(2)、ジカルボン酸もしくは−エステル(3)、及び任意のスルホン化された芳香族ジカルボン酸のアルカリ金属塩(4)からなるポリエステルを特許請求の範囲に記載している。
【0004】
米国特許第4,721,580号明細書(特許文献3)は、テレフタレート単位及びスルホン含有末端基、特にスルホエトキシル化された末端基MOS(CHCHO)−Hを有するポリエステルを開示しており、洗濯洗剤及び柔軟剤中でのそれの使用を賞賛している。
【0005】
米国特許第4,968,451号明細書(特許文献4)は、(メタ)アリルアルコール、アルキレンオキシド、アリールジカルボン酸及びC−C−グリコールを共重合し、次いでスルホン化することによって得られる、スルホン含有末端基を有するポリエステルを記載している。
【0006】
米国特許第5,415,807号明細書(特許文献5)には、スルホン化されたポリエトキシ/プロポキシ末端基を有するソイルリリースポリマーが結晶化を起こす傾向があり、その結果、ソイルリリース効果が低下することが説明されている。この文献は、SRPの結晶化傾向が、ハイドロトロープ物質を添加することによって抑制され得ることを教示している。
【0007】
米国特許第5,691,298号明細書(特許文献6)では、ジ−もしくはポリヒドロキシスルホネート、非イオン性もしくは陰イオン性末端基を有するテレフタレート単位及び1,2−オキシアルキレンオキシ単位からなる分枝状骨格を有するソイルリリースポリマーが特許請求の範囲に記載されている。
【0008】
国際公開第01/23515号パンフレット(特許文7)には、スルホ基含有末端基を含むアニオン性ポリエステル、及び硬質表面の洗浄のためのそれの使用が賞賛されている。この種のポリエステルはべとべとしており、固形での用途には問題がある。
【0009】
欧州特許出願公開第1035194号明細書(特許文献8)には、モノアルキル−もしくはジアルキルアミン、アルコール、カルボン酸またはスルホン基含有基からなる末端キャップ基を有する櫛形ポリエステル、並びに洗濯洗剤及び洗浄剤中でのそれの使用が記載されている。
【0010】
これまで知られているソイルリリースポリマーは、それらの応用関連特性において、特にソイルリリース作用、水溶性並びに吸湿性及びコンシステンシーに関して、洗濯洗剤及び洗浄剤中での使用では完全に満足のいくものではない。加えて、これらは、スルホン化度が高まるにつれ、そのポリエステルの合成中に、増大する溶融粘度、それ故重大な方法技術上の問題を招く。200℃で50,000mPasを超える溶融粘度では、反応器中での攪拌は益々困難になり、そして反応器からのポリマー溶融物の完全な排出は殆ど不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,427,557号明細書
【特許文献2】米国特許第4,702,857号明細書
【特許文献3】米国特許第4,721,580号明細書
【特許文献4】米国特許第4,968,451号明細書
【特許文献5】米国特許第5,415,807号明細書
【特許文献6】米国特許第5,691,298号明細書
【特許文献7】国際公開第01/23515号パンフレット
【特許文献8】欧州特許出願公開第1035194号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、水溶性が良好で、非常に優れたソイルリリース作用を示し、洗濯洗剤及び洗浄剤に慣用の添加剤及び助剤と適合(kompatibel)し、調合物中に簡単に配合することができ、また加水分解に対して安定している、洗濯洗剤及び洗浄剤中に使用するためのポリエステルを提供することにある。また、このポリエステルは、60℃未満の温度において、良好かつ自ずと水中に溶けるべきであり、そして洗濯洗剤及び洗浄剤中でそれの作用を完全に発揮するべきであり、並びに少なくした濯ぎ水の消費の下でも、改善された洗浄及び濯ぎプロフィルを有するべきである。
【0013】
加えて、前記ポリエステルは、200℃で最大でも50,000mPasの溶融粘度を有するべきである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
驚くべきことに、上記の課題が、以下に定義されるような特定の櫛形ポリエステルによって解決されることが見出された。
【0015】
本発明の対象は、ポリマー主鎖、及びこのポリマー主鎖にエステル基を介して結合したポリエステル側鎖とからなる櫛形ポリマーであって、
(i)ポリマー主鎖が、ポリカルボン酸またはコポリマーポリカルボン酸(A)であること;
(ii)ポリエステル側鎖が、次の構成要素、すなわち(B1)場合によりスルホン化されているC−ジカルボン酸、(B2)ジオール及び/または二つのOH基を有するポリオールエーテル、並びに(C)式−O−(AO)R(式中、Aはエチレン、プロピレンまたはブチレンを意味し、xは1〜100の数を意味し、そしてRは炭素原子数1〜30の炭化水素基を意味する)で表される非イオン性末端基を含むこと;
(iii)ポリエステル側鎖の総質量パーセントB1+B2+Cが、櫛形ポリマーの総質量を基準にして80〜99.9%、好ましくは90〜99.8%、特に好ましくは93〜99.5%であること;
(iv)ポリエステル側鎖が、B1+B2/Cの質量比を2:1〜100:1、好ましくは3:1〜40:1、特に好ましくは4:1〜15:1とした成分B1、B2及びCのエステル化反応によって得られること、
を特徴とする、前記櫛形ポリマーである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の櫛形ポリマーは、良好なソイルリリース作用及び分散力を特色とする。これらは、60℃未満の温度において、良好にかつ自ずと水中に溶解する。これらが1,000〜50,000mPas、好ましくは5,000〜45,000mPas、特に好ましくは15,000〜35,000mPasの200℃での溶融粘度を有することが製造プロセスにとって特に有利である。
【0017】
溶融粘度は、200℃及び230℃においてHaake回転式粘度系RV2を用いて測定した。好ましい本発明の櫛形ポリマーの数平均分子量Mnは800〜25,000g/モル、特に1,000〜16,000g/モル、特に好ましくは1,200〜12,000g/モルの範囲である。
【0018】
更に、好ましい本発明の櫛形ポリマーは、8超、好ましくは10〜30の流動ファクター(Fliessfaktor)ffcを有することを特徴とする。
【0019】
更に、好ましい本発明の櫛形ポリマーは、40℃超、好ましくは50℃超、特に55℃超の溶融温度(示差走査熱量計からの最大ピークと定義される)を有することを特徴とする。
【0020】
特に好ましい本発明の櫛形ポリマーは、上記で定義した流動ファクター及び溶融温度に加えて、1,500〜16,000g/モルの数平均分子量を有することを特徴とする。
【0021】
ポリカルボン酸(A)は、ポリマー性の脂肪族、環状脂肪族または芳香族カルボン酸またはそれらの誘導体、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、及びそれらの無水物またはエステル(炭素原子数1もしくは2〜22の線状もしくは分枝状の飽和もしくは不飽和炭素鎖を有する脂肪族、環状脂肪族もしくは芳香族アルコールとの前記酸のエステル)、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びノルボルネン酸から誘導される。特に好ましいものは、ポリアクリル酸及びポリメタクリル酸及び上述したようなこれらの誘導体、並びにポリアクリル酸−無水マレイン酸コポリマーである。
【0022】
使用するポリカルボン酸またはコポリマーポリカルボン酸の数平均分子量は、200〜2,000,000g/モル、好ましくは1,000〜100,000g/モル、特に好ましくは1,000〜50,000g/モルであることができる。
【0023】
更に、ポリマー主櫛は、更に別のビニル性モノマー、例えばスチレン、アクリルアミド、α−メチルスチレン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカプロラクタム、酢酸ビニル、アクリルアミドプロピレンスルホン酸(AMPS)、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸及びこれらのアルカリ金属、アルカリ土類金属及びアンモニウム塩から誘導される構造単位も含むことができ、この際、これらの構造単位の配置はランダム状、交互状またはブロック状であることができる。
【0024】
本発明の好ましい形態の一つは、その側鎖において、成分(B1)が、テレフタル酸、イソフタル酸及びそれらの無水物またはエステル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸; スルホイソフタル酸、例えば5−スルホイソフタル酸、それの無水物、エステルまたはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属塩、特にリチウム及びナトリウム塩、またはC〜C22アルキル基を有するモノ−、ジ−、トリ−もしくはテトラアルキルアンモニウム塩から誘導される櫛形ポリマーである。
【0025】
特に好ましい形態の一つは、それの側鎖(B1)が、テレフタル酸またはジアルキルテレフタレート、特にジメチルテレフタレートから誘導される構造要素を含む櫛形ポリエステルである。更に別の特に好ましい形態の一つは、それの側鎖(B1)が、5−スルホイソフタル酸またはそれのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属塩から誘導される構造要素を含む櫛形ポリマーである。
【0026】
本発明の好ましい実施形態の一つは、それの側鎖において、成分(B2)がエチレングリコール、プロパンジオール類、例えば1,2−プロピレングリコール、ブタンジオール類、例えば1,2−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール類、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリプロピレングリコール類またはこれらの組み合わせから誘導される櫛形ポリマーである。
【0027】
ポリエチレングリコール(PEG)及びポリプロピレングリコールは、200〜8,000、好ましくは500〜8,000g/モルのモル質量を有することができ、特にPEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、PEG750、PEG800、PEG1000、PEG1500、PEG1850、PEG2000、PEG3000、PEG3350、PEG4000、PEG6000、PEG8000である。
【0028】
90〜20,000g/モル、好ましくは200〜6,000g/モルのモル質量を有する、ブロック、グラジエントまたはランダムな分布でプロピレングリコール、エチレングリコール及び/またはブチレングリコールからなる重合生成物も使用できる。
【0029】
本発明の好ましい形態の一つは、それの側鎖において成分(C)が、式HO−(AO)R(式中Aは、エチレン、プロピレンまたはブチレンを意味し、xは2〜100、好ましくは2〜40、特に2〜25の数を意味し、そしてRはC〜C20アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、ブチルまたはC〜C30アリール−アルケニル、例えばトリスチリルフェニルを意味する)ポリアルコキシ化合物、例えばトリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、ペンタエチレングリコールモノメチルエーテル、または10〜30個のEO単位を有するトリスチリルフェノール−ポリエトキシレートから誘導される櫛形ポリマーである。
【0030】
該櫛形ポリマーの製造は、それ自体既知の方法に従い、成分(A)、(B1)、(B2)及び(C)を、エステル化触媒の存在下に前述の量比で、有利には高められた温度下に、互いに反応させることによって行われる。エステル化触媒としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属酢酸塩、アルカリ土類金属−酸化物、−水酸化物、−炭酸塩及び−酢酸塩、並びに炭素原子数6〜22の脂肪酸のアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩が挙げられる。更に、チタン化合物、例えばチタン酸塩、金属スズ及び有機スズ化合物、例えばモノ−及びジアルキルスズ誘導体がエステル化触媒として挙げられる。好ましくは、エステル化/エステル交換は、触媒としてスズ粉またはチタンテトライソプロピレートの使用下で行われる。
【0031】
エステル化またはエステル交換は、好ましくは120〜280℃の温度で行われ、この際、生ずる低沸点凝縮物(アルコールまたは水)を、好ましくは<0.1mbarまでの低められた圧力下に、蒸留によって縮合生成物から除去する。
【0032】
反応の仕方の理由から、目的ポリマー中には置換の完全な均一性は優勢とならず、むしろ置換のある程度ランダムな分布幅が想定され得る。更に、多かれ少なかれ複雑な網状構造を招く二つまたはそれ以上のポリマー鎖の架橋を導く特定の反応性分子の結合が観察され得る。
【0033】
本発明の櫛形ポリマーは無色乃至黄色っぽく、そして無臭である。これらは、3〜8のpHにおいて比較的長い時間、加水分解に対し安定しており、非常に調製し易く、水中に良好に溶解し、そして慣用の洗濯洗剤及び洗浄剤と良好に適合する。
【0034】
これらは、テクスタイル繊維にかなり改善されたソイルリリース性を供し、そして本質的に、油、脂肪または色汚れに対する他の洗濯洗剤成分のソイルリリース力を援助する。
【0035】
それ故、本発明の対象は、洗濯洗剤及び洗浄剤中のソイルリリースポリマーとしての本発明の櫛形ポリマーの使用でもある。
【0036】
更に、洗濯物の後処理剤中に、例えば柔軟剤中に本発明の櫛形ポリマーを使用することも有利であり得る。
【0037】
硬質表面用の洗浄剤中で櫛形ポリエステルを利用することにより、処理された表面を撥汚性にすることができる。
【0038】
更に、本発明の対象は、本発明の櫛形ポリマーを含む洗濯洗剤及び洗浄剤でもある。
【0039】
該櫛形ポリマーが使用された上記洗濯洗剤及び洗浄剤調合物は、粉末状、顆粒状、ペースト状、ゲル状または液状であることができる。これの例は、一般洗濯洗剤、マイルド洗濯洗剤、色物用洗濯洗剤、ウール用洗濯洗剤、カーテン用洗濯洗剤、モジュール式洗濯洗剤、タブレット洗剤、固形石鹸、染み抜き剤(Fleckensalze)、洗濯糊及び型付け剤、アイロンがけ用の助剤である。本発明の櫛形ポリマーは、家庭用洗浄剤、例えば汎用洗浄剤、食器洗浄剤、絨毯用洗浄剤及び含浸剤、床及び他の硬質表面(例えば、プラスチック、セラミック、ガラス製の硬質表面)の洗浄剤及び手入れ剤にも使用することができる。
【0040】
産業用の洗浄剤の例は、プラスチック用の洗剤剤及び手入れ剤、例えば住居用及び自動車計器類のための洗浄剤及び手入れ剤、並びに塗装された表面、例えば自動車の車体のための洗浄剤及び手入れ剤である。
【0041】
本発明による洗濯洗剤調合物、手入れ用調合物及び洗浄剤調合物は、完成した剤を基準にして少なくとも0.1重量%、好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは0.2〜3重量%の量で本発明の櫛形ポリマーを含む。
【0042】
これらの調合物の組成は、それらの予定された用途に従い、処理もしくは洗濯すべき繊維材料または洗浄すべき表面の種類に適合させることができる。本発明による洗濯洗剤及び洗浄剤は、慣用の成分、例えば界面活性剤、乳化剤、ビルダー、漂白触媒及び漂白活性化剤、金属イオン封鎖剤、黒ずみ防止剤、色移り防止剤、染料定着剤、酵素、蛍光増白剤、及び柔軟成分を含むことができる。更に、本発明の目的において、調合物または調合物の一部は、染料及び/またはフレグランスによって狙い通りに着色及び/または香り付けすることができる。
【0043】
完成した洗濯洗剤調合物及び洗浄剤調合物中の界面活性剤の総濃度は、1〜99重量%、好ましくは5〜80重量%であることができる。使用される界面活性剤は、陰イオン性性、非イオン性性、両性または陽イオン性であることができる。上記の界面活性剤の混合物も使用することができる。好ましい洗濯洗剤調合物及び洗浄剤調合物は、陰イオン性界面活性剤及び/または非イオン性界面活性剤、及びこれらと更に別の界面活性剤との混合物を含む。
【0044】
陰イオン性界面活性剤としては、スルフェート、スルホネート、カルボキシレート、ホスフェート及びこれらの混合物などが挙げられる。この際、適当なカチオンは、アルカリ金属、例えばナトリウムもしくはカリウムまたはアルカリ土類金属、例えばカルシウムもしくはマグネシウム、並びにアンモニウム、置換されたアンモニウム化合物、例えばモノ−、ジ−もしくはトリエタノールアンモニウムカチオン、及びこれらの混合物である。以下のタイプの陰イオン性界面活性剤が特に重要であり、欧州特許出願公開第1035194A2号明細書(特許文献8)に詳しく記載されている:アルキルエステルスルホネート、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、アルケニルベンゼンスルホネート、アルカンスルホネート及び石鹸。
【0045】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、欧州特許出願公開第1035194A2号明細書(特許文献8)に詳しく記載されている次の化合物、すなわちアルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、ポリプロピレンオキシド縮合物及びポリブチレンオキシド縮合物; 脂肪族アルコールと約1〜約25モルのエチレンオキシドとの縮合生成物;
プロピレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合によって形成される疎水性ベースとエチレンオキシドとの縮合生成物;
プロピレンオキシドとエチレンジアミンとの反応生成物とエチレンオキシドとの縮合生成物;
半極性非イオン性界面活性剤;
脂肪酸アミド;
それぞれ脂肪アルキル基中に8〜20個、好ましくは12〜18個のC原子を有するアルキル−及びアルケニルオリゴグリコシド並びに脂肪酸ポリグリコールエステルまたは脂肪アミンポリグリコールエステル、アルコキシル化トリグリカミド、混合エーテルまたは混合ホルミル、アルキルオリゴグリコシド、アルケニルオリゴグリコシド、脂肪酸−N−アルキルグルカミド、ホスフィンオキシド、ジアルキルスルホキシド及びタンパク質加水分解物;
両性もしくは双性イオン性界面活性剤。
【0046】
適当な陽イオン性界面活性剤は、欧州特許出願公開第1035194A2号明細書(特許文献8)に詳しく記載されているような、置換されているかもしくは置換されていない直鎖状もしくは分枝状第四アンモニウム塩である。
【0047】
乳化剤としては、炭素原子数8〜22の線状もしくは分枝状で飽和もしくは不飽和の脂肪アルコール、炭素原子数12〜22の脂肪酸、アルキル基中の炭素原子数が8〜15のアルキルフェノール及びソルビタンエステルに0〜30モルのアルキレンオキシド、特にエチレンオキシド、プロピレンオキシド及び/またはブチレンオキシドを付加した付加生成物;
グリセリンに0〜30モルのエチレンオキシドを付加した付加生成物の(C12〜C18)脂肪酸モノ−もしくはジエステル;
炭素原子数6〜22の飽和もしくは不飽和脂肪酸及び場合によってはこれらのエチレンオキシド付加生成物のグリセリンモノ−もしくはジエステル並びにソルビタンモノ−もしくはジエステル;
ヒマシ油及び/または硬化ヒマシ油に5〜60モル、好ましくは15〜60モルのエチレンオキシドを付加した付加生成物;
ポリオールエステル、特にポリグリセリンエステル、例えばポリグリセリンポリリシノレート及びポリグリセリンポリ−12−ヒドロキシステアレート、
などが挙げられる。
【0048】
本発明に含まれ得る更に別の洗濯洗剤及び洗浄剤成分には、水の硬度を低減するための無機及び/または有機ビルダーが挙げられ、欧州特許出願公開第1035194A2号明細書(特許文献8)に詳しく記載されている。
【0049】
本発明の洗濯洗剤及び洗浄剤組成物は、場合によっては、本発明のポリエステルと反応しない、一種またはそれ以上の慣用の漂白剤、並びに活性化剤もしくは安定化剤、特にパーオキシ酸を含むことができる。これらは、欧州特許出願公開第1035194A2号明細書(特許文献8)に詳しく記載されている。
【0050】
本発明の洗濯洗剤及び洗浄剤組成物は、一種またはそれ以上の慣用の酵素を含むことができる。このような酵素は、例えばリパーゼ類、アミラーゼ類、プロテアーゼ類、セルラーゼ類、プリナーゼ類(pullinases)、クチナーゼ類、パーオキシダーゼ類などである。プロテアーゼ類には、BLAP(登録商標)、Opticlean(登録商標)、Maxacal(登録商標)、Maxapem(登録商標)、Esperase(登録商標)、Savinase(登録商標)、Purafect(登録商標)OxP及び/またはDuraxym(登録商標)を、アミラーゼ類にはTermamyl(登録商標)、Amylase−LT(登録商標)、Maxamyl(登録商標)、Duramyl(登録商標)及び/またはPruafect(登録商標)OxAmを、リパーゼ類にはLipolase(登録商標)、Lipomax(登録商標)、Lumafast(登録商標)及び/またはLipozym(登録商標)を利用できる。これらは欧州特許出願公開第1035194A2号明細書(特許文献8)に詳しく記載されている。
【0051】
黒ずみ防止剤としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロース及びポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0052】
色移り防止剤としては、例えばポリアミン−N−オキシド、例えばポリ−(4−ビニルピリジン−N−オキシド)、例えばISP社のChromabond S−400、ポリビニルピロリドン、例えばBASF社のSokalan(登録商標)HP50、及びN−ビニルピロリドンとN−ビニルイミダゾール及び場合によっては他のモノマーとからなるコポリマーなどがある。
【0053】
本発明は、有効物質として染料定着剤を含む洗濯洗剤及び洗浄剤も包含し、染料定着剤は、例えば、ジエチレントリアミン、ジシアンジアミド及びアミド硫酸の反応、アミン類とエピクロロヒドリンとの反応、例えばジメチルアミノプロピルアミンとエピクロロヒドリンとの反応またはジメチルアミンとエピクロロヒドリンとの反応、あるいはジシアンジアミド、ホルムアルデヒド及び塩化アンモニウムの反応、あるいはジシアンジアミド、エチレンジアミン及びホルムアルデヒドの反応、あるいはシアナミドとアミン類及びホルムアルデヒドとの反応、あるいはポリアミン類とシアナミド類及びアミド硫酸との反応、あるいはシアナミド類とアルデヒド類及びアンモニウム塩との反応によって得られる染料定着剤、並びにポリアミン−N−オキシド、例えばポリ(4−ビニルピリジン−N−オキシド)、例えばISP社のChromabond(登録商標)S−400; ポリビニルピロリドン、例えばBASF社のSokalan(登録商標)HP50、及びN−ビニルピロリドンとN−ビニルイミダゾール及び場合によっては他のモノマーとからなるコポリマーであることができる。
【0054】
本発明の洗濯洗剤及び洗浄剤は、錯化剤、例えばアミノカルボキシレート類、例えばエチレンジアミンテトラアセテート、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミントリアセテート、ニトリロトリアセテート、エチレンジアミンテトラプロピオネート、トリエチレンテトラアミンヘキサアセテート、ジエチレントリアミンペンタアセテート、シクロヘキサンジアミンテトラアセテート、ホスホネート類、例えばアザシクロヘプタンジホスホネート,Na塩、ピロホスフェート類、エチドロン酸(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、1−ヒドロキシエチアン−1,1−ジホスホン酸、アセトホスホン酸)及びこれらの塩、アミノホスホネート類、例えばエチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホネート)、ジエチレントリアミンペンタキス(メチレンホスホネート)、アミントリメチレンホスホン酸、シクロデキストリン類、並びに多官能性置換芳香族錯化剤、例えばジヒドロキシジスルホベンゼンまたはエチレンジアミンジスクシネート類を含むことができる。
【0055】
蛍光増白剤としては、環状炭化水素、例えばジスチリルベンゼン類、ジスチリルビフェニル類、ジフェニルスチルベン類、トリアジニルアミノスチルベン類、スチルベニル−2H−トリアゾ−ル類、例えばスチルベンジル−2H−ナフトール[1,2−d]トリアゾ−ル類及びビス(1,2,3−トリアゾ−ル−2−イル)スチルベン類、ベンゾキサゾール類、例えばスチルベニルベンゾキサゾール及びビス(ベンゾキサゾール)、フラン類、ベンゾフラン類及びベンズイミダゾール類、例えばビス(ベンゾ[b]フラン−2−イル)ビフェニル及びカチオン性ベンズイミダゾール類、1,3−ジフェニル−2−ピラゾリン、クマリン、ナフタルイミド類、1,3,5−2−イル−誘導体、メチンシアニン及びジベンゾチオフェン−5,5−オキシドを使用することができる。
【0056】
好ましいものは、アニオン性蛍光増白剤、特にスルホン化された化合物である。
【0057】
本発明の洗濯洗剤は、蛍光増白剤を、0.001〜2重量%、好ましくは0.002〜0.8重量%、特に好ましくは0.003〜0.4重量%の量で含むことができる。
【0058】
柔軟成分としては、欧州特許出願公開第1035194A2号明細書(特許文献8)に詳しく記載されている第四アンモニウム塩を使用できる。
【0059】
本発明の洗濯洗剤及び洗浄剤は、染料及びフレグランスもしくは香料も含むことができる。
【0060】
本発明の更に別の対象の一つは、本発明の櫛形ポリエステルを含む固形食器洗浄剤である。これは、機械中でガラス、磁器、食事用具(Besteck)、金属及びプラスチック物品を洗浄するための剤である。該櫛形ポリエステルは、上記の物品の表面上の洗浄水または濯ぎ水の非常に良好な流去挙動をもたらす。それによって、食洗機中での乾燥時間が短縮され、そして残渣がなく斑点の無い洗い物が達成される。更に、上記のポリエステルは非常に水溶性に優れ、そのため洗浄水の量の減少を可能にする。
【0061】
固形の機械食器洗浄剤調合物中での本発明に従い使用される櫛形ポリエステルの含有量は広い範囲で変動し得、各々の調合物を基準にして一般的に0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%、特に好ましくは1〜3重量%である。
【0062】
本発明の固形機械食器洗浄剤は、粉末、顆粒物としてまたはタブレットの形で提供することができる。本発明の固形食器洗浄剤の製造は既知の方法で、例えば粉末または顆粒状の櫛形ポリエステルを、食器洗浄剤調合物の他の成分と然るべき使用量で単に混ぜることによって行うことができる。
【0063】
本発明による固形食器洗浄剤は、押出成形体としても提供することができる。この際、食器洗浄調合物の成分またはこのような成分の一部からなる固形でかつ本質的に自由流動性の混合物を、加圧下にストランドの形にプレスし、そしてこのストランドを、有孔ダイから吐出後に、切断装置を用いて、予め定め得る顆粒物寸法に切断する。
【0064】
好ましい本発明の形態の一つは、一相もしくは多相、単色または多色であることができ、特に一つの層または複数の層、特に二つの層からなることができるタブレット形態の食器洗浄剤である。
【0065】
本発明による固形食器洗浄剤は、本質的に界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤、酵素、アミノ酸及びその塩、ビルダー、コビルダー、漂白剤、有機酸、ハイドロトロープ剤、染料及びフレグランス、他の特殊な助剤及び添加物質、例えば酸化防止剤、ゼオライト、塩、漂白活性化剤、漂白触媒、光活性金属酸化物、光活性ナノ粒子、光活性化剤、酵素安定化添加物、殺真菌剤、殺バクテリア剤、スケール防止剤、帯電防止剤、泡制御剤、色移り防止剤、臭い捕捉剤(Geruchsfaengern)、ポリマー、顔料、pH制御用の剤、UV吸収剤、蛍光増白剤、分散剤、錯化剤、防腐剤及びガラス腐食剤から選択される慣用の構成分を含む。
【0066】
機械食器洗浄剤中では、泡の少ない化合物が好ましい。これらは、中でも、非イオン性界面活性剤、好ましくは、アルコキシル化(有利にはエトキシル化)されたアルコール、特に第一アルコール、好ましくは炭素原子数が8〜22でかつアルコール1モル当たり平均して1〜25モルのエチレンオキシド(EO)を有するこのようなアルコールであり、ここでそのアルコール残基は線状であるかまたは好ましくは2位でメチル分枝していることができるか、またはオキソアルコール残基に通常存在するように線状の基とメチル分枝基を混合して含むことができる。しかし、特には、炭素原子数が10〜20の天然由来のアルコール、例えばココヤシ(Kokos)アルコール、ヤシ(Palm)アルコール、獣脂アルコールまたはオレイルアルコールからの線状残基を有しかつアルコール1モル当たり平均して2〜18個のEOを有するアルコールエトキシレートが好ましい。エトキシル化度は統計的な平均値であり、これは特定の製品では整数または分数であることができる。アルコールエトキシレートは、エチレンオキシドの狭いまたは広い同族体分布を有することができる(ナローレンジエトキシレートまたはブロードレンジエトキシレート)。これらの部類の製品には、Clariant Produkte(Deutschland)GmbH製のGenapol(登録商標)TMブランドが該当する。
【0067】
本発明のポリエステルは、別個のリンス剤調合物中にも使用することができる。特に好ましい形態の一つは、本発明の櫛形ポリエステルの他に、0〜50重量%のホスフェート、好ましくは三リン酸五ナトリウム、0〜5重量%のホスホネート、0〜50重量%のクエン酸ナトリウム、0〜10重量%のポリカルボン酸ナトリウム、0〜40重量%の炭酸ナトリウム、0〜25重量%の炭酸水素ナトリウム、0〜30重量%の二ケイ酸ナトリウム、5〜15重量%の漂白剤、好ましくは過ホウ酸ナトリウム、1〜5重量%の漂白活性化剤、好ましくはTAED、1〜5重量%の酵素、好ましくはプロテアーゼ類及びアミラーゼ類、1〜10重量%の非イオン性界面活性剤、好ましくは脂肪アルコールアルコキシレート及びポリエチレングリコール、0〜2重量%のパラフィン、0〜1重量%の銀保護剤、フレグランス及び染料を含む、リンス剤が統合された固形食器洗浄調合物である。
【実施例】
【0068】
例1:櫛形ポリエステル1
KPG攪拌機、内部温度計、ガス導入管及び蒸留橋を備えた2リットル四つ首フラスコ中に、175gのエタンジオール、175gの1,2−プロパンジオール、120gのテトラエチレングリコールモノメチルエーテル及び0.6gのチタンテトライソプロピレートを仕込み、攪拌し、次いで0.6gの炭酸ナトリウム及び118.5gの5−スルホイソフタル酸ジメチルエステルNa塩、265.8gのテレフタル酸、及び3.0gのポリアクリル酸(2,500g/モル)を導入した。その後、二回排気しそしてNで不活性化した。ここで、攪拌下に、30分間以内で170℃に加熱した。約173℃でエステル交換もしくは蒸留が始まった。2時間の経過のうちに内部温度を210℃に上昇した。その後、内部温度を約225℃に高めそして更に30分間縮合した。次いで、30分間内で、圧力を<1mbarの真空に低め、そして230℃で3時間縮合した。縮合段階の終わりに達成された溶融粘度は230℃で10,000mPasであった。次いで、Nで換気し、そして溶融物を200℃で排出した。ポリエステル溶融物の溶融粘度は排出時に25,000mPasであった。
【0069】
例1の反応の仕方と同様にして、以下の櫛形ポリエステル2〜8を製造した。
【0070】
例2:櫛形ポリエステル2
【0071】
【表1】

【0072】
230℃での溶融粘度;12,000mPas
200℃での溶融粘度:30,000mPas
【0073】
例3:櫛形ポリエステル3
【0074】
【表2】

【0075】
230℃での溶融粘度:8,000mPas
200℃での溶融粘度:20,000mPas
【0076】
例4:櫛形ポリエステル4
【0077】
【表3】

【0078】
230℃での溶融粘度:5,000mPas
200℃での溶融粘度:17,000mPas
【0079】
例5:櫛形ポリエステル5
【0080】
【表4】

【0081】
230℃での溶融粘度:19,000mPas
200℃での溶融粘度:50,000mPas
【0082】
例6:櫛形ポリエステル6
【0083】
【表5】

【0084】
230℃での溶融粘度:10,000mPas
200℃での溶融粘度:35,000mPas
【0085】
例7:櫛形ポリエステル7
【0086】
【表6】

【0087】
230℃での溶融粘度:6,000mPas
200℃での溶融粘度:18,000 mPas
【0088】
例8:櫛形ポリエステル8
【0089】
【表7】

【0090】
230℃での溶融粘度:18,000mPas
200℃での溶融粘度:48,000mPas
【0091】
陰イオン性末端キャップ基を有する櫛形ポリマーと非イオン性末端キャップ基を有する類似の櫛形ポリマーとの、それらの溶融粘度に関する違いを示すために、できるだけ同じ構造を用いて比較試験を行い、200℃及び230℃でのそれらの溶融粘度を求めた。
【0092】
この際、50,000mPasを超える粘度は、生産規模では処理することが困難乃至全く不可能であることを留意すべきである。
【0093】
比較例:スルホ基含有末端基を有する櫛形ポリエステル
比較例1:
KPG攪拌機、内部温度計、ガス導入管及び蒸留橋を備えた2リットル四つ首フラスコ中に、175gのエタンジオール、175gの1,2−プロパンジオール、100gのイセチオン酸Na塩、及び0.6gのチタンテトライソプロピレートを仕込み、攪拌し、次いで0.6gの炭酸ナトリウム及び118.5gの5−スルホイソフタル酸−ジメチルエステルNa塩、265.8gのテレフタル酸、及び3.0gのポリアクリル酸(2,500g/モル)を導入した。その後、二度排気し、そしてNで不活性化した。ここで、攪拌下に、30分間以内で170℃に加熱した。約173℃でエステル交換もしくは蒸留が始まった。2時間経過するうちに、内部温度を常圧で210℃に上昇した。その後、内部温度を約225℃に高め、そして更に30分間縮合した。次いで、30分間で圧力を<1mbarに下げ、そして3時間230℃で縮合した。縮合段階の終わりに達成された溶融粘度は50,000mPasであった。次いで、Nで換気し、そして溶融物を200℃で排出した。ポリエステル溶融物の溶融粘度は排出時に約250,000mPasであった。
【0094】
比較例2:
KPG攪拌機、内部温度計、ガス導入管及び蒸留橋を備えた2リットル四つ首フラスコ中に、210gのエタンジオール、50gの1,2−ジエチレングリコール、75gの3−スルホ安息香酸Na塩及び0.6gのチタンテトライソプロピレートを仕込み、攪拌し、次いで0.6gの炭酸ナトリウム及び118.5gの5−スルホイソフタル酸−ジメチルエステルNa塩、300gのテレフタル酸、及び4gのポリアクリル酸(2,500g/モル)を導入した。その後、二度排気しそしてNで不活性化した。ここで、攪拌下に30分間以内で170℃に加熱した。約173℃で、エステル交換もしくは蒸留が始まった。2時間経過するうちに、内部温度を常圧下に210℃に上昇させた。その後、内部温度を約225℃に高めそして更に30分間縮合した。次いで、30分間で圧力を<1mbarに低めそして3時間230℃で縮合した。縮合段階の終わりに理論的に期待できる縮合物量は達成されなかった。非常に高い溶融粘度(>100,000mPas)の故に、この試験は予定より早く打ち切った。
【0095】
【表8】

【0096】
【表9】

【0097】
【表10】

【0098】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー主鎖、及びこのポリマー主鎖にエステル基を介して結合したポリエステル側鎖からなる櫛形ポリマーであって、
(i)ポリマー主鎖が、ポリカルボン酸またはコポリマーポリカルボン酸(A)であること;
(ii)ポリエステル側鎖が、次の構成分、すなわち(B1)場合によりスルホン化されたCジカルボン酸、(B2)ジオール、及び/または2つのOH基を有するポリオールエーテル、並びに(C)式−O−(AO)R(式中、Aはエチレン、プロピレンまたはブチレンを意味し、xは1〜100の数を意味し、そしてRは炭素原子数1〜30の炭化水素残基を意味する)で表される非イオン性末端基を含み;
(iii)ポリエステル側鎖の総質量パーセントB1+B2+Cが、櫛形ポリマーの総質量を基準にして80〜99.9%であること;
(iv)ポリエステル側鎖が、B1+B2/Cの質量比率を2:1〜100:1とした成分B1、B2及びCのエステル化反応によって得られること;
を特徴とする前記櫛形ポリマー。
【請求項2】
ポリカルボン酸(A)がポリ(メタ)アクリル酸であることを特徴とする、請求項1の櫛形ポリマー。
【請求項3】
成分(B1)が、テレフタル酸、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、スルホイソフタル酸類またはこれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項1または2の櫛形ポリマー。
【請求項4】
成分(B2)が、エチレングリコール、プロパンジオール類、ブタンジオール類、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類またはこれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項1〜3の一つまたはそれ以上の櫛形ポリマー。
【請求項5】
成分(C)が、式HO−(AO)R(式中、Aはエチレン、プロピレンまたはブチレンを意味し、xは2〜100の数を意味し、そしてRはメチル、エチル、プロピル、ブチルまたはトリスチリルフェニルを意味する)のポリアルコキシ化合物から誘導されることを特徴とする、請求項1〜4の一つまたはそれ以上の櫛形ポリマー。
【請求項6】
ポリアルコキシ化合物が、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、ペンタエチレングリコールモノメチルエーテル、またはEO単位数が10〜30のトリスチリルフェノールポリエトキシレートであることを特徴とする、請求項5の櫛形ポリマー。
【請求項7】
ポリエステル側鎖の総質量パーセントB1+B2+Cが櫛形ポリマーの総質量を基準にして90〜99.8%であることを特徴とする、請求項1〜6の一つまたはそれ以上の櫛形ポリマー。
【請求項8】
ポリエステル側鎖が、B1+B2/Cの質量比率を3:1〜40:1とした成分B1、B2及びCのエステル化反応によって得られることを特徴とする、請求項1〜7の一つまたはそれ以上の櫛形ポリマー。
【請求項9】
200℃の温度で最大50,000mPasの溶融粘度を特徴とする、請求項1〜8の一つまたはそれ以上の櫛形ポリマー。
【請求項10】
800〜25,000g/モルの平均モル質量Mnを特徴とする、請求項1〜9の一つまたはそれ以上の櫛形ポリマー。
【請求項11】
成分(A)、(B1)、(B2)及び(C)をエステル化触媒の存在下に互いに反応させることを特徴とする、請求項1〜10の一つまたはそれ以上の櫛形ポリマーの製造方法。
【請求項12】
洗濯洗剤及び洗浄剤中でのソイルリリースポリマーとしての請求項1〜10の一つまたはそれ以上の櫛形ポリマーの使用。
【請求項13】
請求項1〜10の一つまたはそれ以上の櫛形ポリマーを含む、洗濯洗剤または洗浄剤。
【請求項14】
完成した剤を基準に0.1〜10重量%の量の櫛形ポリマーを含む、請求項13の洗濯洗剤または洗浄剤。

【公表番号】特表2012−526160(P2012−526160A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508936(P2012−508936)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002647
【国際公開番号】WO2010/127809
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(398056207)クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド (182)
【Fターム(参考)】