説明

欠陥を減らすために用いられる炭素ビーム蒸着チャンバー

【課題】イオンビーム蒸着により堆積された炭素保護膜で覆われた薄膜ディスクの有害な欠陥を最小化する手段を提供する。
【解決手段】ここに記載される改良された炭素ビーム蒸着チャンバー40は、チャンバーの開口プレート20の外側表面上での炭素膜の堆積を大幅に減少させることにより、システム洗浄やハードウェアの交換が必要になる前の処理可能なディスク枚数を大幅に増加させることができ、又、コーティングされたディスク44におけるディスク欠陥を大幅に減少させて、炭素銃10の生産性を実質的に増加させるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオンビーム蒸着により堆積された炭素保護膜に関し、特に、イオンビーム蒸着により堆積された炭素保護膜でコーティングされた薄膜ディスクの有害な欠陥を最小化する手段に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜ディスクの記録密度をより高めようとする要望は再生/記録ヘッドとデータ記憶装置のディスクとの間の磁気的な距離を短くするということを暗に要求している。磁気記憶ディスク上の再生/記録ヘッドの高さを低くすることにより薄膜記憶媒体のデータ密度を向上させることは可能であるが、より有望な解決方法はディスクに設けられる磁気的に不活性な炭素を主材料とする保護膜の厚さを減らすことである。
【0003】
記憶媒体に設けられる炭素を主材料とする保護膜の厚さを極端に薄くすることが特に好ましい。更に、この炭素を主材料とする保護膜はダイヤモンドの硬さに近いくらいに非常に堅くするのが特に好ましい。この炭素を主材料とする保護膜の他の特に好ましい性質としては、ディスク上の再生/記録ヘッドの円滑な移動を可能にする比較的平滑な表面を有していることがあげられる。
【0004】
記憶媒体に設けられたダイヤモンド状炭素保護膜の厚さを2〜3nmに薄くすることは、磁気ディスクドライブの記録密度を増すための主要な方策の一つである。プラズマ化学気相成長法(PECVD)を用いた場合、記憶媒体上に、従来のスパッタ蒸着により形成した場合に比べてより緻密でより堅いことが既に確認されている炭素を主材料とする層を形成することができる。プラズマは「イオン化した」気体であり、その温度はとても高く原子が電子の一部を失い帯電している状態のものである。
【0005】
イオンビーム処理はマイクロエレクトロニクス装置の製造のさまざまな用途に用いることができる。イオン化した気体は特許文献1や特許文献2に示されているように、半導体基板の電気的性質を変更するのに用いることができる。イオンビーム処理は、例えば、高周波マイクロ波集積回路や薄膜磁気ヘッドの製造にも用いることができ、又、データ記憶装置、即ち、ディスクドライブの不可欠な構成要素である磁気ディスクに対する薄膜層の塗布にも用いることができる。
【0006】
イオンビーム蒸着には二つの基本的な形態が存在する。「二次イオンビーム蒸着」或いは「イオンビームスパッタリング」においては、蒸着される膜の必須成分ではない粒子を含有したイオンビームが所望の材料から成るターゲットに向けられ、スパッタし、スパッタされたターゲット材料が基板上に捕集される。二次イオンビーム蒸着は完全に不活性なスパッタリングプロセスとして実行することができる。或いは、特定の化学物質を蒸着チャンバー内のイオン源或いは他の箇所に加え、ターゲット材料との反応又は基板との反応によって蒸着膜の化学的性質を変えることも可能である。これはイオン源プラズマ或いはイオンビームによるエネルギー的活性化があってもなくても行うことができる。
【0007】
「一次」或いは「直接」イオンビーム蒸着という呼び名で一般に知られている本発明の構成において、イオンビームは薄膜蒸着に用いることができる。本発明において用いられる炭素銃において、イオンビーム源は目的とする膜の構成物質を含んだ粒子の流動を形成するために用いられており、その流動は基板上に堆積する。このようなタイプの「一次」イオンビーム蒸着では、堆積物は、気相において、イオン源に導入された前駆物質である化学物質から反応性のある方法によって形成される。ダイヤモンド状の炭素膜は炭化水素ガス(今回はアセチレンガス)中に配置されたイオン源による直接イオンビーム蒸着によって形成される。
【0008】
本発明において取り扱われる課題は、プラズマ材料(本発明の場合は炭素をベースとしたプラズマ材料)を上記のようなイオンビーム蒸着をその内部で行うチャンバーの内壁に集積させることである。特に、前駆物質であるアセチレンガスをイオン化させて炭素イオンをディスク上に放出することによって制御された方法にて薄膜ダイヤモンド状硬質炭素膜を磁気再生/記録ディスク上に形成する炭素銃は、イオン化チャンバーを収容した炭素銃の内部空間の内壁や、イオン化チャンバー自身の内壁や、炭素蒸着工程の間のイオンビームの流れを導くハウジングの前端に配置された開口プレートの環状の開口部の中に配置されたビーム照射リングや、開口プレートに対しても炭素イオンを付着させるものである。
【0009】
開口プレートとビーム照射リングとの間の接触部に特別な関心が払われる。炭素銃の炭素蒸着サイクルの際に開口プレートの環状の開口部は照射リングを保持している。炭素銃の塗布サイクルの際に開口プレートとビーム照射リングの接触部を封止するために、開口プレートとビーム照射リングとの間にはOリングが配置される。
【0010】
蒸着サイクルの間にチャンバーの内壁に付着した粒子を除去する目的で、プラズマチャンバーに洗浄ガスと共に水を注ぐという方法が知られている。例えば、特許文献1には汚染物質を電離壁から取り除く方法が以下のように開示されている。
「チャンバーとその内部にあるフィラメントを備えたイオン源の中での汚染物質の生成を抑えるための方法であって、チャンバー内の圧力を大気圧よりも低くする工程、供給材料をチャンバー内に導入する工程、チャンバー内に含酸素ガスを導入する工程、供給材料のイオンを形成するためにフィラメントへ電力を加える工程、及び、チャンバー内に堆積している汚染物質を含酸素ガスと反応させる工程を含む方法。この方法は好ましくは、含酸素ガスをイオン又はラジカルを形成しているポリマー或いはチャンバー内に堆積している金属と反応させる工程を含む。そのような工程を含むことにより、チャンバー内の塗布構造成分からの堆積物にダメージを与えたり、イオン源の寿命を短くしてしまうことを防ぐことができる。」
プラズマ粒子のイオンビーム蒸着及び/又はそれに用いられるチャンバーの洗浄工程を開示した文献としては、特許文献3、非特許文献1、特許文献4、特許文献5、特許文献6が挙げられる。
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,355,933号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0016838号明細書
【特許文献3】特開2001-254179号公報
【特許文献4】米国特許第5,858,477号明細書
【特許文献5】特開平11-229150号公報
【特許文献6】米国特許第6,772,776号明細書
【非特許文献1】D. Ochs、B. Cord著,“In Situ Oxygen Plasma Cleaning ofa PECVD Source for Hard Disk Overcoats”,Appl. Phys. A 78, (2004),p.637-639
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
イオンビーム蒸着により形成された炭素保護膜で覆われた薄膜ディスクに著しく有害な欠陥をもたらす恐れのある炭素粒子の被覆サイクルの間の炭素銃の外側への集積を減らすことにより達成できる炭素銃の生産力の大幅な増加は、本発明の特筆すべき特徴である。更に、そのような炭素粒子は、薄膜ディスクの処理における被覆工程よりも前に薄膜ディスクの表面に付着する可能性があり、ディスクやファイルの通常の検出マッピング技術では検知できない欠陥を生み出す恐れがあるため非常に有害なものとなる可能性がある。そのような炭素粒子がディスクドライブの故障を招くことはファイル腐食試験により実証済みである。
【0013】
本発明に関連した炭素銃はUnaxis社により設計されたものである。イオン蒸着チャンバーを保持する炭素銃の内部空間やイオン蒸着チャンバー自体には、最初に多数の炭素粒子が比較的短時間の操作時間で堆積される。装置の被覆工程の間に炭素銃の内部空間やイオン蒸着チャンバーの内壁に付着した炭素膜は、ディスクの薄膜塗布層に付着することとなる炭素粒子を生み出し、完成後のディスク駆動装置にディスクドライブの欠陥を引き起こす可能性がある。特に懸念されるのは、ビーム照射リングや開口プレートに付着した炭素粒子であった。
【0014】
そのような炭素粒子の形成を減らすために、Unaxis社は、一連の炭素蒸着サイクルの後に、最終的に炭素粒子の形成を招くこととなる炭素銃蒸着チャンバー内の不必要な炭素膜の堆積を取り除くための酸素洗浄工程を行うように炭素銃を設計し直した。
上記のUnaxis社の炭素銃の設計変更は炭素蒸着チャンバー内の炭素粒子の形成を著しく減少させた。
【0015】
しかしながら、上記の設計変更は、エッチングチャンバーの外側である炭素銃の表面に炭素が堆積されるのを取り除くものではなかった。そのような炭素の堆積は、炭素イオンビームがディスクの外縁部を通過した後に散乱した際に形成される。この炭素の堆積は比較的高応力であるために、比較的短い操作時間の経過後に破砕(蒸着表面からの層間剥離や除去)が起こり、炭素蒸着サイクルの間にチャンバー内に許容できないほどの多量の炭素粒子が形成されることとなり、ディスク上に炭素保護膜を蒸着する際にそれらの炭素粒子がディスク表面に付着してしまう。
【0016】
以下に示す構造は、炭素膜がチャンバー開口プレートの外表面に集積してしまうのを大幅に減少させるものであり、それによって、被覆されたディスクにおけるディスク欠陥を大幅に減らすことができ、炭素銃の生産性を大幅に増すことができる。
【0017】
炭素銃はUnaxis社製のCirculus炭素蒸着ツールのアドオンモジュールである。炭素銃の洗浄サイクルの間に、炭素銃の移動可能なビーム照射リングと組み合わせて用いられる炭素銃のカバープレート或いはシャッターが、炭素銃を収容している内部空間をディスクを保持している蒸着チャンバーから隔離する。ビーム照射リングが開口プレートの開口部から炭素銃のイオンチャンバーの前方の内部空間に引き出された時に洗浄サイクルが開始され、一方で、シャッター或いはカバープレートを開口プレートの開口部の前で回転させてビーム照射リングに付随しているOリングによって内部空間を洗浄サイクルの間封止させる。
【0018】
ビーム照射リング自体は約80mmの開口部を有し、蒸着する炭素の流束がその開口部からディスク基板上への線状蒸着へと向かっていく。ビーム照射リングの環状のへりが、開口プレートに付随しているOリングに炭素銃の蒸着サイクルの間に散乱した炭素が集積するのを防いでいる。
【0019】
従来の設計では、開口プレートには蒸着炭素のプレートへの粘着力を減らすために粗面が設けられていた。しかしながら、比較的短い時間の間に、そのような開口プレートは、表面に薄膜炭素被膜が蒸着された完成したディスクの耐食性能に深刻な有害な影響を与えてしまう炭素粒子を生み出す恐れのあるものであった。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明では、開口プレートはビーム照射リングを受け入れる環状の開口部のサイズが大きくなるように設計し直されている。そのように再設計された炭素銃の開口プレートは、従来の設計の開口プレートの開口部の環状領域を大幅に増大させたものである。従って、本発明の開口プレートは表面積が減少し、被覆サイクル中に炭素銃の開口プレートの表面に付着する炭素粒子の数が減少している。
【0021】
従って、O2プラズマ洗浄サイクルの間にビーム照射リングが炭素銃の内部空間に引っ込んだ際に、本発明の開口プレートの再設計された開口領域には従来と比較してはるかに少量の炭素が堆積することとなる。バランスのとれた洗浄工程と蒸着工程を行えば、炭素膜は従来の構成でみられるほどは開口プレートの外側には堆積せずに、洗浄サイクルが必要になるまでに行える被覆サイクルの回数が大幅に増加することとなる。
【0022】
従って、イオンビーム蒸着を行うチャンバーを保持するように構成された内部空間を有するハウジングと、チャンバー内にプラズマ流を発生させるための電力手段と、前記イオン蒸着チャンバーの前方の前記ハウジング内に設けられた開口プレートと、前記開口プレート中の環状の開口部と、前記環状の開口部の中に設けられて、前記装置の被覆サイクルの際に制御されたプラズマ流を前記基板への被膜形成を行うよう導くビーム照射手段とを備えた基板上へのイオンビーム蒸着を行うための装置によって、本発明は表面積が小さく被覆サイクルの間のプレート上へのプラズマ蒸着を減らすことのできる改良された開口プレートを提供するものであり、ハウジング内に堆積したプラズマ材料の除去ができるようにするためにプラズマ材料と反応する気体を前記ハウジングの内部空間に導入する。
【0023】
本発明は更に、イオンビーム蒸着を行うチャンバーを保持するように構成された内部空間を有するハウジングと、チャンバー内にプラズマ流を発生させるための電力手段と、前記イオン蒸着チャンバーの前方の前記ハウジング内に設けられた開口プレートと、前記開口プレート中の環状の開口部と、前記環状の開口部の中に設けられて、前記装置の塗布サイクルの際に制御されたプラズマ流を前記基板への被覆を行うよう導くビーム照射手段とを備えた基板上へのイオンビーム蒸着を行うための装置を洗浄する改良された方法をも提供するものであり、当該改良された方法は、開口プレートの表面積を減少させ被覆サイクル中の開口プレートへのプラズマ蒸着を減らし、被覆サイクルの間にハウジング内に堆積したプラズマ材料の除去ができるようにするためにプラズマ材料と反応する気体を前記ハウジングの内部空間に導入するものである。
【0024】
本発明において、イオンビーム蒸着を行うための炭素銃は、ディスク上へのプラズマのイオンビーム蒸着を行うように構成されたプラズマチャンバーを含んだ内部空間を有するハウジングと、ディスクに対する薄膜被覆の形成を行うためにディスクに向けられることとなるプラズマを前記チャンバー内に発生されるための電力手段と、前記プラズマチャンバーの前方の前記ハウジング内に設けられた開口プレートと、前記開口プレート中の環状の開口部と、前記環状の開口部の中に設けられて、前記プラズマチャンバーの前で前記炭素銃の前方に配置された支持機構によって支持されたディスクを用いた前記炭素銃の被覆サイクルの際に制御されたプラズマ流を前記ディスクへの被膜形成を行うよう導くビーム照射手段を備えている。前記被覆サイクルの際、前駆物質である気体(この場合はアセチレンガス)が炭素銃内でイオン化することにより炭素膜が形成される。しかしながら、被覆サイクルの際に被膜としてディスクに付着するイオン化した炭素は、チャンバーの内壁や、開口プレートや、ビーム照射リングや、被覆サイクルの際にプラズマ流に晒される他の関連部材の表面にも付着する。炭素粒子はディスクの被覆サイクルの開始前及びその最中にチャンバー内に挿入されているディスクにも付着する場合があり、そのような場合、表面むらや被覆後の完成したディスクに欠陥となり得る部位を形成してしまうこととなりかねないので、被覆サイクルを何回も行った後にはこれらの表面に積みあがった炭素は取り除かなければならない。
【0025】
洗浄ガスを用いることは従来から知られていたが、本発明は、炭素銃のO2プラズマに晒されない部分への炭素膜の集積を最小化するための炭素銃の改良方法を提示するものである。洗浄サイクルの間に、炭素銃の内部空間はまず封止され、その後に、イオン化チャンバーのためのガス注入口が開けられ、炭素銃の内部空間に集積した炭素膜と反応する気体を導入する。本発明の炭素銃において、洗浄ガスとしては、炭素と反応し二酸化炭素ガスや一酸化炭素ガスを形成し、炭素残留物をほとんど残すことなくチャンバーから放出可能である、酸素ガスが好ましく用いられる。
【0026】
本発明は特に磁気ディスクの被膜形成に有用な改良点を提供するものである。具体的には、本発明の改良された炭素銃は、開口プレートの表面積の減少が、通常は炭素銃の外側に堆積する炭素膜をその代わりに、その後に洗浄サイクルにおいてO2プラズマによって洗浄されるビーム照射リング上に堆積させる装置を備えている。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、イオンビーム蒸着により堆積された炭素保護膜でコーティングされた薄膜ディスクの有害な欠陥を最小化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明を詳細に説明する前に述べておくが、この発明は特定の液体、生体分子あるいは装置構造に限定して解釈されるべきものではなく、適宜変更され得るものである。また、ここで用いる用語は、特定の実施形態を説明する目的のためだけのものであり、限定解釈されるように意図されたものではない。
【0029】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される、単数形の用語や「前記」「当該」等の文言によって引用される用語は、特に指示のない限り、単数と複数の指示対象の両方を含むよう解釈すべきであることに留意すべきである。従って、例えば、「ディスク」と言う記載は、単数のディスクばかりでなく複数のディスクをも含み、「特性」と言う記載は、単数の特性ばかりでなく複数の特性をも含む。本発明の説明および特許請求の範囲において、以下に詳しく説明する定義に従って次の用語を用いる。
【0030】
「イオン」という用語は、従来の意味で使用して、帯電した原子または分子、即ち、固有の数のプロトンおよび電子を含む原子又は分子を表すものである。正のイオンは電子よりも多くのプロトンを含み、負のイオンはプロトンよりも多くの電子を含む。
従って、ここで用いる「イオン化チャンバー」という用語は、チャンバーに投入された液体或いは気体からイオンを形成するチャンバーのことを表す。
【0031】
「任意の」または「任意的に」との文言は、実質的に説明された状況が起きてもよいし起きなくともよいことを意味する。従って、この記述は、状況が起きる場合と、起きない場合を含んでいる。
【0032】
「プラズマ」という用語は、イオン化した気体を表し、物質の明確に区別できる相と通常考えられる。「イオン化した」という用語はそのような気体を含んだかなりの割合の分子から少なくとも一つの電子が取り除かれたことを意味する。電磁場と強力に結合するように、自由電荷はプラズマが電気的に導電可能とする。
【0033】
「放射線」という用語は、元来の意味で用いており、媒体それ自身に永久的な変位を起こさせることなくエネルギーが媒体の1つの粒子から別のものに遷移するように、媒体を伝わる波動擾乱の形式のエネルギーの放射及び伝播をいう。従って、例えば、放射線は高周波の波形と電磁波の波形をいう。
【0034】
例えば「実質的に同じ要素」という語句における「実質的に」という用語は、互いに10%を超えて逸脱しない要素、好適には互いに5%を超えて逸脱しない要素、さらに好適には互いに1%を超えて逸脱しない要素、最も好適には互いに0.1%を超えて逸脱しない要素のことをいう。同様に、「実質的に同じ要素」という語句は、物理的な特性が互いに逸脱しない要素のことをいう。例えば、「実質的に同じ要素」とは、互いに10%を超えない異なる要素、好適には互いに5%を超えない異なる要素、さらに好適には互いに1%を超えない異なる要素、最も好適には互いに0.1%を超えない異なる要素のことをいう。「実質的に」という用語の他の使用例は、類似の定義を含む。
【0035】
ここで、「基板」という用語は、コーティングを施す表面を有するすべての材料をいう。本発明の好適な実施形態において、基板は、ディスクドライブなどのデータ記憶装置に用いる磁気ディスクである。
【0036】
従来のスッパタ堆積により製造した場合よりも、プラズマ化学気相成長(PECVD)により製造した場合は、炭素層をより硬くより緻密に析出させるが、PECVDにより析出した炭素の重要な課題は、長時間使用後に炭素源の内側に生じる粒子による炭素膜の汚染である。この粒子の発生により、炭素源の稼働時間が大幅に制限される。
【0037】
間欠的なその場酸素プラズマ処理により、そのような炭素源を洗浄してそのような粒子の発生を回避することが公知であり、洗浄処理の向上は装置の操作に大きな役割を果たしており、これにより、装置の停止時間が短縮し、粒子の発生が減少し、完成したディスクの不良率が減少している。
【0038】
以下、図面を参照して、本発明を詳細に説明する。ここで、同じ参照符号は、各図面において同様の構造部を示す。本発明において用いる炭素銃10を、図1の斜視図に示す。図1は1つの炭素銃10を示す。当該炭素銃は、前駆物質ガスとしてアセチレン(C)を用いる。前駆物質ガスは、炭素銃10でイオン化されることにより、アセチレン(C)イオンを生成する。アセチレンイオンは、以下に述べるディスク処理ステーションに搭載された磁気ディスクに向けて加速される状態で生成される。Unaxis社が本発明の改良点を生かすことが可能な炭素銃用の装置を製造するが、その用途は炭素銃に限定されるものではなく、また、炭素銃での使用は本発明を限定するように解釈すべきものではない。
【0039】
図2Aにおいて、かなりの量の炭素を堆積させた後で、かつ洗浄サイクルを開始する前の炭素銃10の内部空間を示す。図2Bにおいて、酸素洗浄後の炭素銃10の内部空間を示す。
【0040】
図3は、2つの炭素銃10を概略的に示すもので、各炭素銃10は互いに鏡像関係であり、炭素銃10はディスク処理ステーション14の両側に搭載されている。図3Aにおいて、両方の炭素銃は被覆サイクル中である。本明細書の理解を補助する目的で、左手の炭素銃10は炭素銃10Aと表示し、右手の炭素銃10は炭素銃10Bと表示する。2つ炭素銃10は互いに同様の部品を有するため、左手の炭素銃10にのみ、本明細書の理解の際の利便性のために、参照符号により印をつけることにする。炭素銃10Aと炭素銃10Bのいずれか片方に特有の部材であるというような特に必要な場合を除いては、部材を表示する符号に添え字AまたはBを付けない。
【0041】
炭素銃10は、ハウジング12Aと12Bを備え、処理ステーション14に搭載される。炭素銃10Aと10Bのハウジング12Aと12B間の処理ステーション14に配置された回転可能なディスクホルダー16により、炭素銃10は互いに分離されるが、ハウジング12Aと12Bのそれぞれに配置された炭素銃と同様な部材により、炭素銃10は係合される。分離Oリング18をディスクホルダー16の両側に配置する。各炭素銃10は、ディスクホルダー16の両側でOリング18と係合してハウジング12Aと12B間を密封する、スライド可能な開口プレート20を有する。開口プレート20中の環状の開口部19は、ビーム照射リング22を受け入れる。
【0042】
ビーム照射リング22は、環状の外側リップ24を有し、かつリップ24の内径28において、環状の伸長部26を有する。伸長部26は、一般にリップ24に平行であり、かつ、リップ24から伸びる、すなわち、処理ステーション14のグリッパ17によりディスクホルダー16に保持されるディスク44に向かって伸びる。ビーム照射リング22の環状の伸長部26は、開口プレート20中の環状の開口部19よりも直径がはるかに小さく、ディスク44の重ね塗りを最小限にする。Oリング30は、開口プレート20を密封し、かつハウジング12Aと12Bとの間の封鎖を形成するために、開口部19に隣接する開口プレート20の内側端32およびビーム照射リング22のリップ24の外側端33と係合する。当該Oリング30は、ビーム照射リング22のリップ24により、炭素堆積から保護される。
【0043】
ハウジング12Aと12B間の分離を完全にするために、開口プレート20の外側端34を、それぞれ炭素銃10Aと10Bに対するハウジング12Aと12B間の処理ステーション14の突起36中に、ハウジング12Aと12B内側壁35に隣接して配置する。
【0044】
各炭素銃10のハウジング12は内部空間39を備え、内部空間39は、ガス導入口42を経由してチャンバー40に入る前駆物質ガスをイオン化するためのプラズマチャンバー40を保持する。イオン化処理は公知であるため、ここに述べる発明概念の枠組みを提供する詳細についてのみ説明する。
【0045】
炭素銃10の動作サイクルは炭素銃10Aと炭素銃10Bとで同じであるため、左手の炭素銃10Aの動作についてのみ以下に詳細に説明する。
ディスクまたは基板44を、グリッパ17により処理ステーション14のディスクホルダー16中の適当な位置に保持する。ディスク処理の際に、ディスク処理において必要な一連の工程に対する処理ステーション14における一連の位置に、ディスクホルダー16を回転中心(図示せず)の周りに回転させる。図3に示す炭素銃の配置において、処理ステーション14は、炭素銃10の間のディスク44を位置決めするために停止し、その後炭素銃10はディスク44の両側に薄膜の炭素保護膜を施すために動作する。炭素銃10Aのこの被覆サイクルの際に、ガス導入口42が開口して前駆物質ガスをプラズマチャンバー40中に導入させる。ここに説明する応用例においては、アセチレン(C)を前駆物質ガスとして用いるが、例えばメタン(CH)などの他の炭素をベースにした気体を用いることも可能である。イオン化処理の制御をより良好にするために、前駆物質ガスをアルゴン(Ar)などの不活性ガスと混合させて用いてもよい。
【0046】
前駆物質ガスのイオン化により、ディスク44上に均一な厚さ(2〜5nm)の炭素薄膜を形成するように制御された方法でビーム照射リング22を通してディスク44に堆積される、アセチレンイオンの雲が生成する。しかしながら、ディスク44をコーティングするのに使用されないラジカルを含む過剰のアセチレンイオン及び炭素は、ハウジング12Aの内部空間39やプラズマチャンバー40、ハウジング12Aのコート内側壁35、プラズマチャンバー40の内壁48、及び開口プレート20において散乱する。ビーム照射リング22はOリング30を炭素堆積から保護する。特筆すべきこととしては、環状の開口部19に隣接する開口プレートの周辺端32での炭素の蓄積である。数回の被覆サイクルの間に炭素の蓄積が始まり、コーティングされたディスクの不良率に悪影響を与える。自由炭素イオンがディスクに付着し、ディスク性能を損ない、更にディスクの破損を起こす恐れすらある表面の凹凸が発生する。
【0047】
酸素(O)などの反応性ガスをイオン化チャンバー中に導入し、チャンバーを「磨きあげて」炭素の蓄積を減少させることは公知であるが、本発明は従来技術では得られない効率を提供し、かつ洗浄サイクルにおいて特に有用である。
【0048】
被覆サイクルにおいて、プラズマチャンバー40に隣接するハウジング12Aの内部空間に、シャッターまたはカバープレート50を配置し、被覆サイクルに干渉しないように、プラズマチャンバー40の前面、ビーム照射リング22およびディスク44間の経路をはずして先を覆う。
【0049】
洗浄サイクルを開始するために、図3Bに示すように、イオン化チャンバー40は使用せず前駆物質ガスであるイオン源を外した状態で、炭素銃10は機能していない状態にある。ビーム照射リング22のリップ24がイオン化チャンバー40の前面に隣接するが接触しない状態で、ビーム照射リング22をハウジング12Aの内部空間に引き出す。リング22の環状の伸長部26を、ハウジング12Aと12Bの間のディスク処理ステーション14および開口プレート20中の開口部19から引き抜き、ハウジング12Aの内部39に完全に収納する。次に、図3Bに示すように、シャッター50を回転させて、開口プレート20中の開口部19とほぼ平行であるが、開口プレート20と伸長部26とが分離された固定位置に、シャッター50を設置する。
【0050】
図3Cに示すように、ハウジング12Aの内側壁35に沿って開口プレート20を軸方向に移動させることにより、開口プレート20をOリング18から分離させ、シャッター50の外側壁50'と開口プレート20の内側壁20'との間でOリング30を固定することが可能となる。
【0051】
密閉したハウジング12Aの内部区画において、酸素などの洗浄ガスを、ハウジング12Aの内部区画39内に導入する。洗浄処理のより詳細な考察については、非特許文献1を参照されたい。
【0052】
本発明の開口プレート20中の開口部19は拡大されて、被覆サイクル中に、炭素イオンに晒される開口プレートの表面を少なくする。炭素銃の構造に対するこれらの変更により、欠陥が発生するまでに炭素銃を動作させることのできる回数が大幅に増加する。特に、システム洗浄が必要となる前のディスク被覆サイクル数が7倍に増加する。
【0053】
図4は、従来設計の炭素銃ではわずか1400部品をスパッタした後に欠陥が急激に増加するが、改良された設計の炭素銃を用いた場合には9000部品を越えてスパッタしても欠陥が低いレベルで維持されることを示している。このように、開口プレート20の表面積を比較的少なく減少させることにより炭素銃の生産性を7倍増加させる、即ち、洗浄サイクルを始めることが必要になる前に炭素銃によりコーティングされるディスクの生産量が7倍に増加することとなる。
【0054】
本発明をその好適な特定の実施形態について説明したが、上記の説明およびそれに伴う実施例は例示であり、本発明の範囲を限定するように意図されたものではないものとする。その他の態様、優位性および変形は、本発明の関連する分野の当業者には明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に用いる炭素銃の側平面図の一例である。
【図2A】炭素堆積後の図1に示す炭素銃の内部空間内の開口部の端部平面図である。
【図2B】酸素洗浄後の図1に示す炭素銃の内部空間内の開口部の端部平面図である。
【図3A】被覆サイクルの際にディスクの両側をコーティングするために作動する2つの銃を有する、ディスク用コーティングステーションの両側に取り付けられる一対の炭素銃の概略側面図である。
【図3B】ディスク用コーティングステーションの両側に取り付けられる一対の炭素銃の概略側面図であり、洗浄サイクルが開始されたところである。
【図3C】ディスク用コーティングステーションの両側に取り付けられる一対の炭素銃の概略側面図であり、洗浄サイクルが進行中である。
【図4】好適な設計を用いた場合に、欠陥が生じるまでの炭素銃操作の回数が大幅に増加することを示すグラフである。
【符号の説明】
【0056】
10,10A,10B…炭素銃、
12A,12B…ハウジング、
14…ディスク処理ステーション、
16…ディスクホルダー、
17…処理ステーション14のグリッパ、
18…分離Oリング、
19…開口プレート20中の環状の開口部、
20…開口プレート、
22…ビーム照射リング、
24…環状の外側リップ、
26…環状の伸長部、
28…リップ24の内径、
30…Oリング、
32…開口プレート20の内側端、
33…リップ24の外側端、
34…開口プレート20の外側端、
35…ハウジング内側壁、
36…処理ステーション14の突起、
39…内部空間、
40…チャンバー、
42…ガス導入口、
44…ディスク、
48…プラズマチャンバー40の内壁、
50…シャッターまたはカバープレート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンビーム蒸着を行うチャンバーを保持するように構成された内部空間を有するハウジングと、前記チャンバー中にプラズマ流を発生されるための電力手段と、前記イオン蒸着チャンバーの前方の前記ハウジング内に設けられた開口プレートと、前記開口プレート中の環状の開口部と、前記環状の開口部の中に設けられて、被覆サイクルの際に制御されたプラズマ流を基板への被膜形成を行うよう導くビーム照射手段と、前記開口プレートと係合可能な密封手段とを備えた、基板上へのイオンビーム蒸着を行うための装置であって、
前記被覆サイクルの際に開口プレート上へのプラズマ堆積を減少させるように表面積を小さくした開口プレートを備えることにより、洗浄サイクルの際に洗浄されない領域上の炭素膜の堆積を最小にし、
プラズマ材料と反応する気体を前記ハウジングの内部空間に導入して、前記ハウジングの内部空間に堆積したプラズマ材料を除去することを可能にすることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記開口プレート中の前記環状の開口部を拡大して、被覆サイクルの際にその上に堆積する炭素粒子に晒される開口プレートの表面積を小さくしたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記開口プレートを、前記チャンバーと前記基板との間の前記ハウジングの先端に配置したことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ビーム照射手段は、当該ビーム照射手段を前記開口プレートの前記環状の開口部に搭載したときに前記開口プレートと係合可能な環状のリップを備えていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
Oリングを前記開口プレートと前記ビーム照射手段との間に配置して、前記開口プレートに隣接して配置される前記ビーム照射リングの部分上に設けられるリップにより、被覆サイクルの際の炭素の堆積から前記Oリングを保護することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ビーム照射手段は、前記基板に指向された内部伸長部を有するリングと、前記リップと前記開口プレート間に配置されるOリングと係合して、被覆サイクルの際の炭素膜の堆積から前記Oリングと前記開口プレート中の前記開口部の環状の端部を保護する外側リップとを備えたことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記ビーム照射リングと係合して、洗浄サイクルの際に前記ハウジングの内部空間にビーム照射リングを引き込むための引き込み手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記基板は磁気ディスクを備えていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記密封手段が、洗浄サイクルの際に前記開口プレート中の前記開口部を覆う可動シャッターまたはカバープレートを備えていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記密封手段が、前記可動シャッターまたは前記カバープレートと係合するOリングを備えていることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記密封手段が、前記可動シャッターまたは前記カバープレートに対向するスライド可能な開口プレートを備えていることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記Oリングが、前記可動シャッターと前記スライド可能な開口プレートとの間に固定されて、洗浄サイクルの際に前記ハウジングの前面端部を密封することを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
内壁を有し、イオンビーム蒸着を行うチャンバーを保持するように構成されたハウジングと、前記イオン蒸着チャンバーの前方に配置された開口プレートと、前記開口プレート中の環状の開口部に配置されたビーム照射リングと、基板に対する被膜の形成を行うために基板に向けられることとなるプラズマを前記チャンバー内に発生されるための電力手段と、基板に対する被覆サイクルの際に前記ハウジングの内部に堆積するプラズマ材料をハウジングの内部空間とその内部のチャンバーから洗浄する洗浄装置を備えた、イオンビーム蒸着を行うための装置を洗浄する方法であって、
前記開口プレート中の開口部を拡大して形成し、洗浄すべき表面積を減少させる工程と、
洗浄用の引き込み手段を用いて前記ビーム照射リングを前記ハウジングの内部空間に引き込む工程と、
密封手段により前記ハウジングを密封する工程と、
洗浄サイクルの際にガス導入口手段を経由して前記ハウジングの内部空間への反応性ガスを導入することを可能にする工程であって、前記ハウジングの内壁に堆積したプラズマ材料と前記ガスが反応して前記ハウジングの内部空間に堆積したプラズマ材料を除去することが可能になる工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項14】
更に、前記ビーム照射リングと前記開口プレート中の前記開口部との間に配置するようにシャッターまたはカバープレートを回転させる工程を含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
更に、前記基板に指向された内部伸長部と、前記Oリングと係合する外側リップとを前記ビーム照射リングに設けることにより、前記Oリングと前記開口プレート中の前記開口部の環状の端部を被覆サイクルの際の炭素の堆積から保護する工程を含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記引き込み工程が、前記ビーム照射リングに係合する引き込み手段を用いて、洗浄のために前記ハウジングの内部に前記ビーム照射リングを引き込む工程を含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記密封工程が、可動シャッターを適当な位置に回転させて、前記密封手段のOリングの片側と係合させる工程を含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記密封工程が、スライド可能な開口プレートを移動させて、前記Oリングの他方に係合させる工程を含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記密封工程が、前記可動シャッターと前記スライド可能な開口プレートとの間にOリングを固定して密封状態を作る工程を含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
一対のハウジングであって、各ハウジングがイオンビーム蒸着を行うチャンバーを保持するように構成された内部空間を有するハウジングと、前記チャンバー中にプラズマ流を発生させるための電力手段と、前記イオン蒸着チャンバーの前面の前記の各ハウジング中に配置される開口プレートと、前記開口プレート中の環状の開口部と、前記環状の開口部に配置されて、被覆サイクルの際に基板の両側に前記の各ハウジングから被膜を施すために制御されたプラズマ流を誘導するビーム照射手段と、前記開口プレートと係合して前記ハウジングを密閉する密封手段とを備えた、基板上にイオンビーム蒸着を行うための装置であって、
前記被覆サイクルの際に開口プレート上へのプラズマ堆積を減少させるよう表面積を小さくした開口プレートを備えることにより、洗浄サイクルの際に洗浄されない領域上の炭素膜の堆積を最小にするものであり、
プラズマ材料と反応する気体を前記ハウジングの内部空間に導入して、前記ハウジングの内部空間に堆積したプラズマ材料を除去することを可能にすることを特徴とする装置。
【請求項21】
イオンビーム蒸着を行うチャンバーを保持するように構成された内部空間を有するハウジングと、前記チャンバー内にプラズマ流を発生されるための電力手段と、前記イオン蒸着チャンバーの前方の前記ハウジング中に配置される開口プレートと、開口プレート中の環状の開口部と、環状の開口部に配置されて、被覆サイクルの際に基板に被膜を施すために制御されたプラズマ流を誘導するビーム照射リングとを備えた、基板上にイオンビーム蒸着を行うための炭素銃であって、
前記被覆サイクルの際に開口プレート上へのプラズマ堆積を減少させるよう表面積を小さくした開口プレートを備えることにより、洗浄サイクルの際に洗浄されない領域上の炭素膜の堆積を最小にするものであり、
プラズマ材料と反応する気体を前記ハウジングの内部空間に導入して、前記ハウジングの内部空間に堆積したプラズマ材料を除去することを可能にすることを特徴とする炭素銃。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−169784(P2007−169784A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−337364(P2006−337364)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(503116280)ヒタチグローバルストレージテクノロジーズネザーランドビーブイ (1,121)
【Fターム(参考)】