説明

欠陥検出方法および欠陥検出装置

【課題】線状のパターンは検出せずに、ある程度アスペクト比が大きな欠陥を強調して検出可能な欠陥検出方法の実現。
【解決手段】本方法が具備する欠陥強調処理工程は、略円形状の領域に配置される検査対象点群を撮像画像における順次移動した位置に選定し、かつ、当該検査対象点群の周囲に略円形環状に複数配置される各比較対象点を設定する。そして、検査対象点群の中から1つずつ選択される検査対象点の輝度値からその周囲に複数配置された各比較対象点の輝度値をそれぞれ引いた際の各差分を求め、これらの各差分のうち、値が最小となるものを当該検査対象点での強調算出値とする処理を検査対象点群に含まれる検査対象点毎に行う。これにより、検査対象点群の位置の移動に伴って撮像画像における同じ点について強調算出値が複数算出されるため、絶対値が最大となるものをその撮像画像における点での欠陥強調値とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネル等の表示デバイスやその応用製品であるプロジェクタ等の製造における検査工程等の各種製品の検査工程において、低コントラストの欠陥を精度よく自動的に検出する欠陥検出方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
TFTパネル等の液晶パネル検査においてシミ、ムラ、輝点、黒点などの欠陥は、形状が不定でありコントラストも低いため、検査装置で自動検出することは困難であった。このため、検査は未だ検査員の目視で行われているのが現状であり、製造コスト削減のために検査の自動化が急務になっている。
なお、シミやムラ欠陥とは、表示画面のある領域が他の領域と輝度の差がある状態であり、ある程度の範囲で、周りに比べて明るい部分や暗い部分がある状態をいう。なお、通常、欠陥面積が比較的狭い場合をシミ欠陥、比較的大きい場合をムラ欠陥と呼ぶことが多い。さらに、面積が小さく点状の欠陥は輝点欠陥、黒点欠陥と呼ばれる。
【0003】
従来、液晶パネルのように、光を透過して点灯する画素部分と、画素を区画するブラックマトリクス部分とが同一の繰り返しパターンで配置された被検査物における欠陥検出を自動化する方法として、検査対象点の周囲の8点の画素データを用いて検出する8近傍点隣接比較方式が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1では、検査対象点を挟んで配置される左右、上下、斜め方向の隣接する8点のうち、検査対象点との比較に用いるのに最適な2点(左右の2点、もしくは上下の2点、もしくは各斜め方向の2点のうちのいずれか)を選択し、その平均値と検査対象点の輝度データを比較して欠陥の有無を判断していた。そして、比較に最適な2点の選択は、2点の輝度データを比較し、その2点の輝度データが等しい場合は比較に最適な2点であると判断していた。
【0004】
【特許文献1】特開2004−28836号公報
【非特許文献1】新編 画像解析ハンドブック 財団法人東京大学出版会 高木幹雄、下田陽久監修 2004年9月10日発行 1900頁〜1903頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、例えば液晶パネルの四隅部では、検査対象点を挟んで配置される2点のうちの一方がブラックマトリクス部分に配置され、他方が画素部分に配置されるため、輝度データが等しい2点が存在しない。このため、比較に最適な2点を選択することができず、疑似欠陥が発生したり、検査範囲対象外と判断されてしまい、隅部の欠陥検出を精度よく行うことができないという問題があった。
【0006】
また、前記液晶パネルでは、検査対象点と比較する2点との3つの点は、画素部分またはブラックマトリクス部分のいずれか一方にすべてが配置されていなければならないため、検査対象点および比較対象点のピッチを、画素のピッチに一致させなければならず、検査作業が煩雑になるという問題があった。
【0007】
ここで、上記の問題、すなわち、検査対象点と比較対象点とがすべて同じ領域になければならない制約があり、液晶パネルの隅部で誤検出が生じるという問題を解決する手法として、本件出願人により、特願2006-161412号が出願されている。
【0008】
しかしながら、この特願2006-161412号に記載の発明、および前述の特許文献1に記載の発明のいずれにしろ、8近傍点隣接比較方法であるため、検査対象点を通って斜め方向に延びる線状のパターンが形成された基板などを検査対象とした場合に、パターン自体を欠陥として誤検出してしまうという問題点がある。すなわち、このようなパターン上に検査対象点が設定された場合、このような形状や位置のパターンは上下左右斜め方向に配置された8つの比較対象点のいずれにも重ならないため、検査対象点の輝度と2つの比較対象点の平均輝度との差分が大きくなって欠陥と誤検出されてしまう。
【0009】
このことを回避するためには比較対象点を増やせば良く、例えば、検査対象点の画素から所定距離離れて略円形環状に配置される各画素を比較対象点とすればよい。この技術に関しては非特許文献1に紹介されており、このような技術によれば、検査対象点の輝度からその周囲に配置された複数の比較対象点の各輝度をそれぞれ引いた際の各差分のうち値が最小のものを選択することにより、パターンを無視して欠陥のみを検出することが可能となる。
ただし、このように比較対象点を検査対象点を中心に略円形環状に配置する構成は、円形状など、縦横のサイズが略同じ欠陥に適しており、このような構成によっては、縦横のアスペクト比が大きな欠陥については、その一部しか検出できないという問題がある。なお、検査対象点から比較対象点までの距離を大きくすればこのようなアスペクト比が大きな欠陥の検出も可能となるが、このようにすると、比較対象点の内側に他の欠陥や欠陥ではない配線パターンなどが含まれたり、検査対象点と比較対象点とのいずれにも重ならない欠陥は検出できないなど、検出漏れが生じたりするので、欠陥検出の精度が低下してしまう。
【0010】
本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、配線パターンなどが形成された検査対象の欠陥検出に関し、線状のパターンは検出せずに、ある程度アスペクト比が大きな欠陥の検出を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の欠陥検出方法は、被検査物を撮像した撮像画像に対して欠陥強調処理を行う欠陥強調処理工程と、前記欠陥強調処理工程で得られた各画素の欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥検出工程とを備え、前記欠陥強調処理工程は、前記撮像画像において、略円形状の領域に含まれる複数点からなる検査対象点群を順次移動した位置に選定する検査対象点群選定工程と、前記検査対象点群の中心点から所定距離離れてかつ当該検査対象点群の周囲に略円形環状に複数配置される比較対象点をそれぞれ設定し、かつ、前記検査対象点群の中から検査対象点を1つずつ選択して、この選択された検査対象点の輝度値からその周囲に複数配置された各比較対象点の輝度値をそれぞれ引いた際の各差分を求め、これらの差分のうち、値が最小となるものを当該検査対象点での強調算出値とする処理を、前記選定された検査対象点群に含まれる検査対象点毎に行う強調算出値算出工程と、前記検査対象点群の位置の移動に伴って前記撮像画像における同じ点について複数算出された強調算出値のうち、絶対値が最大となるものをその撮像画像における前記点での欠陥強調値とする欠陥強調値算出工程と、を有することを特徴とする。
【0012】
なお、検査対象点および比較対象点は、例えば、TFTパネル等の被検査物を撮像したCCDカメラの撮像画素単位で設定すればよい。
【0013】
本発明では、検査対象点と比較対象点との輝度差に基づいて欠陥を検出するにあたり、検査対象点を1つではなく略円形状の領域に配置された一群の点からなる検査対象点群として構成した。この構成において、検査対象点群を撮像画像において順次(通常は1画素ずつ)移動した位置に選定し、検査対象点群に含まれる各点毎に欠陥強調処理を行うことにより、撮像画像の各点毎に強調算出値が複数得られる。
すなわち、検査対象点群の移動に伴い、撮像画像の1つ1つの点(画素)について、各点を中心とする検査対象点群の数と同じだけ、そして各点を中心とする各比較対象点との輝度値の比較に基づいて強調算出値が求められるため、これらの強調算出値の最大値をその点での欠陥強調値として決定することで、この比較対象点が重畳的に設定された範囲でアスペクト比が大きな欠陥を正確な位置および形状で強調可能となる。
ここで、線状のパターンなどは、略円環状に配置された比較対象点の内側に収まらず、最小値として算出される強調算出値の値が大きくならないので、欠陥として誤検出されない。つまり、本発明によれば、配線パターンなどの線状のパターンは誤検出せずに、ある程度大きなアスペクト比を持った欠陥の検出を実現できる。
なお、本発明では、検査対象点の輝度値から比較対象点の輝度値を引いて差分を求めているため、他の部分よりも輝度が大きい明欠陥を検出できる。
【0014】
本発明の欠陥検出方法は、被検査物を撮像した撮像画像に対して欠陥強調処理を行う欠陥強調処理工程と、前記欠陥強調処理工程で得られた各画素の欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥検出工程とを備え、前記欠陥強調処理工程は、前記撮像画像において、略円形状の領域に含まれる複数点からなる検査対象点群を順次移動した位置に選定する検査対象点群選定工程と、前記検査対象点群の中心点から所定距離離れてかつ当該検査対象点群の周囲に略円形環状に複数配置される比較対象点をそれぞれ設定し、かつ、前記検査対象点群の中から検査対象点を1つずつ選択して、この選択された検査対象点の周囲に複数配置された各比較対象点の輝度値からそれぞれ前記選択された検査対象点の輝度値を引いた際の各差分を求め、これらの差分のうち、値が最小となるものを当該検査対象点での強調算出値とする処理を、前記選定された検査対象点群に含まれる検査対象点毎に行う強調算出値算出工程と、前記検査対象点群の位置の移動に伴って前記撮像画像における同じ点について複数算出された強調算出値のうち、絶対値が最大となるものをその撮像画像における前記点での欠陥強調値とする欠陥強調値算出工程と、を有することを特徴とする。
【0015】
本発明は、検査対象点群と、その周りに配置された比較対象点とを比較して各比較対象点の輝度値からそれぞれ検査対象点の輝度値を引いて求めた各差分の最小値を強調算出値としているので、他の部分よりも輝度が小さい暗欠陥を強調、検出することが可能となる。
本発明によれば、前述の発明と同様に、一群の検査対象点を選定し、この一群の検査対象点の位置の移動に伴い、重畳的な範囲に設定された比較対象点との輝度値の比較に基づいて各点で強調算出値が複数求められるので、この比較対象点が重畳的に設定された範囲でアスペクト比が大きな欠陥を正確な位置および形状で強調可能となる。これにより、配線パターンなどの線状のパターンは誤検出しない一方で、ある程度のアスペクト比を持った欠陥の検出を実現できる。
【0016】
本発明の欠陥検出方法は、被検査物を撮像した撮像画像に対して欠陥強調処理を行う欠陥強調処理工程と、前記欠陥強調処理工程で得られた各画素の欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥検出工程とを備え、前記欠陥強調処理工程は、前記撮像画像において、略円形状の領域に含まれる複数点からなる検査対象点群を順次移動した位置に選定する検査対象点群選定工程と、前記検査対象点群の中心点から所定距離離れてかつ当該検査対象点群の周囲に略円形環状に複数配置される比較対象点をそれぞれ設定し、かつ、前記検査対象点群の中から検査対象点を1つずつ選択して、この選択された検査対象点の輝度値からその周囲に配置された各比較対象点の輝度値をそれぞれ引いた際の各差分を求め、これらの差分のうち、値が最小となるものを当該検査対象点での明欠陥用の強調算出値とするとともに、前記選択された検査対象点の周囲に複数配置された各比較対象点の輝度値からそれぞれ前記選択された検査対象点の輝度値を引いた際の各差分を求め、これらの差分のうち、値が最小となるものを当該検査対象点での暗欠陥用の強調算出値とする処理を、前記選定された検査対象点群に含まれる検査対象点毎に行う強調算出値算出工程と、前記検査対象点群の位置の移動に伴って前記検査対象点について複数算出された明欠陥用の強調算出値のうち、絶対値が最大となるものを当該検査対象点での明欠陥用の欠陥強調値とするとともに、前記検査対象点群の位置の移動に伴って前記検査対象点について複数算出された暗欠陥用の強調算出値のうち、絶対値が最大となるものを当該検査対象点での暗欠陥用の欠陥強調値とする欠陥強調値算出工程と、を有することを特徴とする。
【0017】
本発明では、明欠陥と暗欠陥とをそれぞれ検出することが可能となる。これらの明欠陥および暗欠陥は別々に強調される。
本発明によれば、前述の発明と同様に、一群の検査対象点を選定し、この一群の検査対象点の位置の移動に伴い、重畳的な範囲に設定された比較対象点との輝度値の比較に基づいて各点で強調算出値が複数求められるので、この比較対象点が重畳的に設定された範囲でアスペクト比が大きい欠陥を正確な位置および形状で強調可能となる。これにより、配線パターンなどの線状のパターンは誤検出しない一方で、ある程度のアスペクト比を持った欠陥の検出を実現できる。
【0018】
本発明の欠陥検出方法は、被検査物を撮像した撮像画像に対して欠陥強調処理を行う欠陥強調処理工程と、前記欠陥強調処理工程で得られた各画素の欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥検出工程とを備え、前記欠陥強調処理工程は、前記撮像画像において、略円形状の領域に含まれる複数点からなる検査対象点群を順次移動した位置に選定する検査対象点群選定工程と、前記検査対象点群の中心点から所定距離離れてかつ当該検査対象点群の周囲に略円形環状に複数配置される比較対象点をそれぞれ設定し、かつ、前記検査対象点群の中から検査対象点を1つずつ選択して、この選択された検査対象点の輝度値とその周囲に複数配置された各比較対象点の輝度値それぞれとの各差分を求め、これらの差分のうち、その絶対値が最小となるものを当該検査対象点での強調算出値とする処理を、前記選定された検査対象点群に含まれる検査対象点毎に行う強調算出値算出工程と、前記検査対象点群の位置の移動に伴って前記撮像画像における同じ点について複数算出された強調算出値のうち、絶対値が最大となるものをその撮像画像における前記点での欠陥強調値とする欠陥強調値算出工程と、を有することを特徴とする。
【0019】
本発明では、強調算出値算出工程において、検査対象点と比較対象点との輝度差の絶対値の最小値を強調算出値としているので、明欠陥または暗欠陥に起因する欠陥の強調算出値が得られ、これに基づいて明欠陥または暗欠陥を同時に検出可能となる。これにより、明欠陥および暗欠陥が含まれる検査対象の検査時間を短縮できる。
また、本発明によれば、前述の発明と同様に、一群の検査対象点を選定し、この一群の検査対象点の位置の移動に伴い、重畳的な範囲に設定された比較対象点との輝度値の比較に基づいて各点で強調算出値が複数求められるので、この比較対象点が重畳的に設定された範囲でアスペクト比が大きな欠陥を正確な位置および形状で強調可能となる。これにより、配線パターンなどの線状のパターンは誤検出しない一方で、ある程度のアスペクト比を持った欠陥の検出を実現できる。
【0020】
本発明の欠陥検出装置は、被検査物を撮像した撮像画像に対して欠陥強調処理を行う欠陥強調処理手段と、前記欠陥強調処理手段で得られた各画素の欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥検出手段とを備え、前記欠陥強調処理手段は、前記撮像画像において、略円形状の領域に含まれる複数点からなる検査対象点群を順次移動した位置に選定する検査対象点群選定手段と、前記検査対象点群の中心点から所定距離離れてかつ当該検査対象点群の周囲に略円形環状に複数配置される比較対象点をそれぞれ設定し、かつ、前記検査対象点群の中から検査対象点を1つずつ選択して、この選択された検査対象点の輝度値からその周囲に複数配置された各比較対象点の輝度値をそれぞれ引いた際の各差分を求め、これらの差分のうち、値が最小となるものを当該検査対象点での強調算出値とする処理を、前記選定された検査対象点群に含まれる検査対象点毎に行う強調算出値算出手段と、前記検査対象点群の位置の移動に伴って前記撮像画像における同じ点について複数算出された強調算出値のうち、絶対値が最大となるものをその撮像画像における前記点での欠陥強調値とする欠陥強調値算出手段と、を有することを特徴とする。
【0021】
本発明の欠陥検出装置は、被検査物を撮像した撮像画像に対して欠陥強調処理を行う欠陥強調処理手段と、前記欠陥強調処理手段で得られた各画素の欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥検出手段とを備え、前記欠陥強調処理手段は、前記撮像画像において、略円形状の領域に含まれる複数点からなる検査対象点群を順次移動した位置に選定する検査対象点群選定手段と、前記検査対象点群の中心点から所定距離離れてかつ当該検査対象点群の周囲に略円形環状に複数配置される比較対象点をそれぞれ設定し、かつ、前記検査対象点群の中から検査対象点を1つずつ選択して、この選択された検査対象点の周囲に複数配置された各比較対象点の輝度値からそれぞれ前記選択された検査対象点の輝度値を引いた際の各差分を求め、これらの差分のうち、値が最小となるものを当該検査対象点での強調算出値とする処理を、前記選定された検査対象点群に含まれる検査対象点毎に行う強調算出値算出手段と、前記検査対象点群の位置の移動に伴って前記撮像画像における同じ点について複数算出された強調算出値のうち、絶対値が最大となるものをその撮像画像における前記点での欠陥強調値とする欠陥強調値算出手段と、を有することを特徴とする。
【0022】
本発明の欠陥検出装置は、被検査物を撮像した撮像画像に対して欠陥強調処理を行う欠陥強調処理手段と、前記欠陥強調処理手段で得られた各画素の欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥検出手段とを備え、前記欠陥強調処理手段は、前記撮像画像において、略円形状の領域に含まれる複数点からなる検査対象点群を順次移動した位置に選定する検査対象点群選定手段と、前記検査対象点群の中心点から所定距離離れてかつ当該検査対象点群の周囲に略円形環状に複数配置される比較対象点をそれぞれ設定し、かつ、前記検査対象点群の中から検査対象点を1つずつ選択して、この選択された検査対象点の輝度値からその周囲に配置された各比較対象点の輝度値をそれぞれ引いた際の各差分を求め、これらの差分のうち、値が最小となるものを当該検査対象点での明欠陥用の強調算出値とするとともに、前記選択された検査対象点の周囲に複数配置された各比較対象点の輝度値からそれぞれ前記選択された検査対象点の輝度値を引いた際の各差分を求め、これらの差分のうち、値が最小となるものを当該検査対象点での暗欠陥用の強調算出値とする処理を、前記選定された検査対象点群に含まれる検査対象点毎に行う強調算出値算出手段と、前記検査対象点群の位置の移動に伴って前記検査対象点について複数算出された明欠陥用の強調算出値のうち、絶対値が最大となるものを当該検査対象点での明欠陥用の欠陥強調値とするとともに、前記検査対象点群の位置の移動に伴って前記検査対象点について複数算出された暗欠陥用の強調算出値のうち、絶対値が最大となるものを当該検査対象点での暗欠陥用の欠陥強調値とする欠陥強調値算出手段と、を有することを特徴とする。
【0023】
本発明の欠陥検出装置は、被検査物を撮像した撮像画像に対して欠陥強調処理を行う欠陥強調処理手段と、前記欠陥強調処理手段で得られた各画素の欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥検出手段とを備え、前記欠陥強調処理手段は、前記撮像画像において、略円形状の領域に含まれる複数点からなる検査対象点群を順次移動した位置に選定する検査対象点群選定手段と、前記検査対象点群の中心点から所定距離離れてかつ当該検査対象点群の周囲に略円形環状に複数配置される比較対象点をそれぞれ設定し、かつ、前記検査対象点群の中から検査対象点を1つずつ選択して、この選択された検査対象点の輝度値とその周囲に複数配置された各比較対象点の輝度値それぞれとの各差分を求め、これらの差分のうち、その絶対値が最小となるものを当該検査対象点での強調算出値とする処理を、前記選定された検査対象点群に含まれる検査対象点毎に行う強調算出値算出手段と、前記検査対象点群の位置の移動に伴って前記撮像画像における同じ点について複数算出された強調算出値のうち、絶対値が最大となるものをその撮像画像における前記点での欠陥強調値とする欠陥強調値算出手段と、を有することを特徴とする。
【0024】
これらの各欠陥検出装置においても、前記欠陥検出方法と同様の作用効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の各実施形態を説明する。
[第1実施形態]
〔1.欠陥検出装置の全体構成〕
図1は本発明の第1実施形態に係る欠陥検出装置の構成を示すブロック図である。
図1において、1は検査対象である液晶パネル(TFT(Thin Film Transistor)パネル)、2は光源である。3は液晶パネル1に各種パターンを出力するパターン生成装置であるパターンジェネレータ、5は液晶パネル1を撮影する撮像手段であるCCD(Charge Coupled Devices)カメラであり、液晶パネル1のTFT画素以上の高解像度のCCDを搭載している。6はパターンジェネレータ3及びCCDカメラ5を制御し、液晶パネル1の欠陥を検出する画像処理手段であるコンピュータ装置、7はコンピュータ装置6に接続された表示装置である。
【0026】
コンピュータ装置6は、画像入力手段60と、画像縮小手段61と、欠陥強調処理手段62と、欠陥抽出手段63と、blob手段64と、欠陥判定手段65とから構成されている。
【0027】
コンピュータ装置6の画像入力手段60には、CCDカメラ5で撮像された取込画像の画像データが入力される。その取込画像は図示しない記憶手段に記憶される。従って、画像入力手段60によってCCDカメラ5を用いて検査対象を撮像する画像入力工程(撮像工程)が実施される。
また、画像縮小手段61は、画像入力手段60によって取り込まれた画像を縮小する処理を行う。本実施形態では、1/4サイズに縮小している。なお、画像を縮小することにより、より大きなサイズの欠陥を検出することが可能となり、縮小倍率は検出したい欠陥のサイズに応じて適宜決めることができる。
【0028】
欠陥強調処理手段62は、取得した画像に対して欠陥強調処理を行う欠陥強調処理工程を実施するものであり、撮像画像において検査対象点群を順次選定する検査対象点群選定工程を実施する検査対象点群選定部621と、検査対象点群の中から検査対象点を1つずつ選択して、この点とその周囲に複数配置された各比較対象点の輝度値との各差分に基づいて当該検査対象点での強調算出値を算出する強調算出値算出部622と、検査対象点について複数算出された強調算出値に基づいて当該検査対象点での欠陥強調値を算出する欠陥強調値算出工程を実施する欠陥強調値算出部623と、を有する。
なお、欠陥には、他の画素部分に対して輝度値が高い明欠陥と、輝度値が低い暗欠陥とがある。このため、本実施形態の欠陥強調値算出部623は、明欠陥用の欠陥強調値と、暗欠陥用の欠陥強調値とをそれぞれ別々に算出するように構成されている。
【0029】
欠陥抽出手段63は、欠陥強調処理手段62で得られた結果を所定の閾値と比較して欠陥候補を抽出する。なお、閾値としては、明欠陥閾値と暗欠陥閾値とが設定され、明欠陥強調結果を明欠陥閾値と比較することで明欠陥領域が抽出され、暗欠陥強調結果を暗欠陥閾値と比較することで暗欠陥領域が抽出される。
【0030】
blob手段64は、欠陥候補として抽出した領域の面積、平均輝度、最大輝度を求めるblob工程を実施する。
欠陥判定手段65は、抽出した各欠陥領域の面積、位置などに基づいて欠陥のランクを評価し、今回の検査対象がどの欠陥ランクに該当するかを判定する。
【0031】
〔2.欠陥強調フィルタ設定〕
ここで、本実施形態の欠陥強調フィルタ処理におけるフィルタ設定を示す。
図2は、そのフィルタ設定を示す。このフィルタには、略円形状の領域に含まれる複数点からなる検査対象点群O1〜O37と、この検査対象点群O1〜O37の周囲に略円形環状に配置される複数の比較対象点S1〜S48とが設定されており、検査対象点群O1〜O37の各点や各比較対象点S1〜S48はそれぞれ、CCDカメラ5で撮像され画像入力手段60に取り込まれた取り込み画像(撮像画像)における各画素に対応している。
本実施形態では、検査対象点群O1〜O37は、中心点O19から3画素までの距離にある一群の37個の画素であり、比較対象点S1〜S48は、検査対象点群O1〜O37の画素と重ならないように検査対象点群O1〜O37の中心点O19から6画素の距離に配置された全ての画素(48画素)となっている。
なお、中心画素(図2の例ではO19)からの検査対象点群の距離、および比較対象点の距離のそれぞれは、強調する欠陥のサイズに応じて、下記の条件1を満たすように設定すればよい。
〔条件1〕
1 < (検査対象点群の距離) < (比較対象点の距離)
【0032】
〔3.欠陥検出装置による欠陥検出方法〕
次に、本発明の実施の形態による欠陥検出装置の動作について説明する。
図3は、本実施形態の欠陥検出装置の動作を説明するためのフローチャートである。図3に示す動作はコンピュータ装置6上で実行されるプログラムにより実現されている。
【0033】
〔3−1.画像パターン表示工程〕
まず、検査対象の液晶パネル1がセットされると、コンピュータ装置6によりパターンジェネレータ3を制御し、液晶パネル1上に特定の画像パターンを表示させる(ステップ1、以下ステップを「ST」と略す)。
なお、パターンジェネレータ3によって表示される画像パターンとしては、例えば、暗欠陥を検出しやすいように全画面を白表示する全白画面パターン、明欠陥を検出しやすいように全画面を黒表示する全黒画面パターン、中間調の画面パターン等があり、検出したい欠陥種類に応じて適宜設定される。
【0034】
〔3−2.画像入力工程〕
次に、画像入力手段60は、液晶パネル1の画像をCCDカメラ5で撮影し、その撮影データの画像を取り込む画像入力工程(撮像工程)を行う(ST2)。このとき撮影データは、図示しないA/D変換器により、4096階調(12ビット)のデジタルデータとして、コンピュータ装置6に取り込まれる。
【0035】
〔3−3.画像縮小処理工程〕
続いて、画像縮小手段61により、画像入力手段60で取り込んだ画像を1/4に縮小する(工程ST3)。この縮小された撮像画像を検査対象として、以降の各工程を行う。
【0036】
〔3−4.欠陥強調処理工程〕
次に、欠陥強調処理手段62は、取得された画像に対して欠陥を強調する欠陥強調処理工程を行う(ST4)。この欠陥強調処理工程ST4は、低コントラストの欠陥はそのままでは検出が難しいために、画像の中の欠陥のみを強調する処理を行うものである。欠陥強調処理工程ST4は、図4に示す処理フローで実施される。
なお、本実施形態では、明欠陥と暗欠陥とをそれぞれ別々に強調する。
【0037】
〔3−4−1.強調結果画像用メモリの初期化〕
図4を参照して欠陥強調処理工程ST4の処理を説明する。
まず、欠陥強調処理手段62は、撮像画像と同じサイズの強調結果画像用メモリを用意し、撮像画像の各画素のそれぞれに対応する強調結果画像用メモリの各領域に初期値0を格納する。(ST41)。この強調結果画像用メモリは、明欠陥用のものと暗欠陥用のものとがそれぞれ用意される。
図5に、初期化された強調結果画像用メモリの状態を示す。欠陥強調処理工程ST4では、この強調結果画像用メモリに後述する方法で計算した強調算出値をあるルールに基づいて格納していくことによって欠陥強調結果画像を得ており、以下、強調算出値を求める手法と、この強調算出値を強調結果画像用メモリに格納するルールとについて説明する。
【0038】
〔3−4−2.検査対象点群の選定〕
次に、欠陥強調処理手段62の検査対象点群選定部621により、撮像画像において検査対象点群を選定する(ST42)。図6は、撮像画像の左上端にフィルタを適用した状態を示し、検査対象点群O1〜O37の位置が選定されると、同時に比較対象点S1〜S48も所定の位置に設定される。
【0039】
〔3−4−3.強調算出値算出・欠陥強調値算出工程〕
次に、欠陥強調処理手段62における強調算出値算出部622および欠陥強調値算出部623により、強調算出値算出・欠陥強調値算出工程ST43を実施する。この強調値算出処理および欠陥強調値算出処理は、前記工程ST42で選定された検査対象点群の各点O1〜O37それぞれについて順次行われる。
【0040】
まず、明欠陥用の強調算出値算出工程を説明する。
図6に示した検査対象点群O1〜O37のうちO1を選択し、この検査対象点O1の輝度値と各比較対象点S1〜S48のそれぞれの輝度値との各差分を取得する。ここで、明欠陥用の強調算出値を得るため、検査対象点O1の輝度値から各比較対象点S1〜S48の輝度値をそれぞれ引いた際の各差分を求める。すなわち、検査対象点O1の輝度値を「O1」、比較対象点S1〜S48の各輝度値を「S1〜S48」とすると、以下の(式1)により、差分F1〜F48が得られる。
【0041】
(式1)
F1 =O1−S1
F2 =O1−S2



Fn =O1−Sn



F48 =O1−S48
【0042】
強調算出値算出部622は、上記(式1)の計算を行ったあと、差分F1〜F48の中から値が最小となるものを検査対象点O1における明欠陥用の強調値算出値とする。そして、この強調値算出値を検査対象点O1の位置に対応する強調結果画像メモリへと格納する。図7は、検査対象点O1での強調算出値R1が明欠陥用の強調結果画像用メモリに格納された状態を示す。
【0043】
この検査対象点O1に対して行った処理と同様にして、検査対象点O2〜O37についても、上記(式1)を計算するとともに、F1〜F48の最小値を明欠陥用の強調算出値として求める。
図8は、検査対象点O1〜O37のそれぞれにおける強調算出値R1〜R37が強調結果画像用メモリにそれぞれ格納された状態を示す。ここで、強調結果画像用メモリの各領域と、撮像画像の各点(画素)とはそれぞれ対応しており、この強調結果画像用メモリに格納されたR1〜R37のそれぞれが撮像画像の各点における欠陥強調値となる。
なお、後述するように、強調結果画像用メモリの同じ領域に対する処理が重なる場合があり、このことに対応して、メモリに格納しようとする強調算出値とメモリの当該領域の値とを比較し、絶対値がより大きい値をそのメモリ領域に対応する撮像画像の点における欠陥強調値として算出する(欠陥強調値算出工程)。
【0044】
以上の処理により、検査対象点群選定工程ST42(図4)で選定した検査対象点群に含まれる各検査対象点O1〜O37毎の強調値算出処理が終了したら、再び検査対象点群選定工程ST42に戻り、撮像画像において1画素移動した位置に検査対象点群O1〜O37を選定し直す。図9は、撮像画像においてX方向に1画素ずつ移動した位置に、検査対象点O1〜O37および比較対象点S1〜S48がそれぞれ設定された状態を示す。
本実施形態では、検査対象点群選定工程ST42において、撮像画像の1画素ずつ移動した位置に検査対象点O1〜O37および比較対象点S1〜S48をそれぞれ設定し、この移動した位置のそれぞれにおいて、強調算出値算出・欠陥強調値算出工程ST43を行う。
【0045】
そして、前述と同様にして強調算出値算出・欠陥強調値算出工程ST43を行うが、検査対象点群が移動した位置に設定されることにより、メモリの同じ領域に対する処理が重なる場合があるため、その際の欠陥強調値算出処理について説明する。
図10は、強調結果画像用メモリを示し、この図10には、図6で示した位置に検査対象点群が選定された際に値が格納された領域を斜線で示すとともに(以降の図12、図14においても同じ)、今回選定された検査対象点群の各点にそれぞれ対応した強調算出値R1〜R37がそれぞれ格納される対象となる領域を実線で示した。
ここで、今回、強調算出値R1〜R37が格納される対象となる領域と、前回、既に値が格納された領域とは部分的に重なっている。すなわち、前記の検査対象点群選定工程ST42により、検査対象点群O1〜O37は撮像画像において1画素ずつ移動した位置に選定されるので、検査対象点群O1〜O37のうち23個の点は、前回選定された検査対象点群に含まれる。このため、この23点のそれぞれに対応する強調結果画像用メモリの領域には、既に強調算出値が格納されている。
【0046】
このように強調結果画像用メモリの同じ領域に対する処理が重なることに対応して、欠陥強調値算出部623は、メモリの領域に格納しようとする強調算出値と、メモリの当該領域の値とを比較して絶対値が大きい方の値をメモリの当該領域に格納する。すなわち、メモリの同じ領域、つまり撮像画像における同じ画素毎に複数求められる強調算出値のうち絶対値がより大きい値がその画素(点)における欠陥強調値となる。
【0047】
そして、検査対象点群O1〜O37に含まれる各点のすべてについて強調算出値の算出と、欠陥強調値の算出とが終了したら、前記の検査対象点群選定工程ST42に戻って検査対象点群を1画素移動した位置に選定するとともに、前述と同様にして強調算出値算出・欠陥強調値算出工程ST43を行う。
図11は、欠陥強調フィルタを撮像画像の右端まで移動させた後、X方向の左端でかつ、Y方向に1画素移動した位置にフィルタ設定を行った状態を示す。そして図12は、強調結果画像用メモリを示し、この図12には、既に値が格納された領域を斜線で示すとともに、図11のように選定された検査対象点群の各点にそれぞれ対応する強調算出値R1〜R37がそれぞれ格納される対象となる領域を示す。
さらに、図13は、図11に示した位置からさらにX方向に1画素移動した位置にフィルタ設定を行った状態を示し、図14は、図13のように選定された検査対象点群の各点にそれぞれ対応する強調算出値R1〜R37がそれぞれ格納される対象となる領域を示す。
これら図11、図13のようにフィルタを設定した際も、欠陥強調値算出部623は、メモリの領域に格納しようとする強調算出値と、メモリの当該領域の値とを比較して絶対値が大きい方の値をメモリの当該領域に格納する。
【0048】
このように欠陥強調フィルタを移動して処理を繰り返すと、撮像画像における同じ点(画素)について複数の強調算出値が求められ、これらの複数求められた強調算出値のうち絶対値が最大のものが強調結果画像用メモリに格納されることになる。
例えば、図6に示したように撮像画像の左上端にフィルタ設定を行った状態から順次、図15に示す位置までフィルタを移動させると、図15に示す検査対象点O1(図6では検査対象点O37)について、検査対象点群に含まれる点の数と同じ37個の強調算出値が求められ、そのうち絶対値が最大となる値が強調結果画像用メモリに格納される。
【0049】
ここで、図6の状態から図15の状態となる間に、検査対象点群O1〜O37の位置の移動に伴って比較対象点S1〜S48の位置も移動する(図15の二点鎖線参照)。すなわち、図15の検査対象点O1に対応する撮像画像の画素における輝度値は、このように順次移動した位置に重畳的に設定される比較対象点S1〜S48の輝度値と比較され、上記(式1)により得られた各差分F1〜F48の最小値として、撮像画像の当該画素における強調算出値が算出される。こうして、重畳的に設定される比較対象点S1〜S48のそれぞれの位置における輝度値の比較に基づき、この画素に37個求められる強調算出値のうち絶対値が最大となる値が強調結果画像用メモリに格納され、これにより、この画素の欠陥強調値が決まることになる。
このような処理により、図15に示した欠陥101(ここでは明欠陥)のように、フィルタが1箇所に設定された状態で見れば比較対象点S1〜S48の内側に収まらない、アスペクト比が大きな欠陥を正確な形状、正確な位置で強調することが可能となる。
なお、比較対象点S1〜S48が重畳的に設定される範囲は略円形状となる(図15は撮像画像の左端を示しているため、略円形状に図示されていない)。
【0050】
〔暗欠陥の強調処理〕
以上のようにして、欠陥強調フィルタを撮像画像の左上端から右下端まで移動して明欠陥の欠陥強調処理を終えたら、暗欠陥の強調処理を行う。なお、暗欠陥の強調処理を行う際には、必要に応じて、画像パターン表示工程ST1、画像入力工程ST2を再度実施する。すなわち、パターンジェネレータ3により暗欠陥の強調に適した画像パターンを液晶パネル1に出力し、液晶パネル1の表示画像をCCDカメラ5で撮像して、その撮像画像を画像入力手段60に取り込む。
暗欠陥の強調処理は、明欠陥の強調処理と略同様にして行うが、暗欠陥の強調処理では、上記の(式1)に代えて下記の(式2)を使用し、各比較対象点の輝度値S1〜S48からそれぞれ検査対象点の輝度値(式2の例ではO1)を引いた際の各差分F1〜F48を求める。この差分F1〜F48の中から値が最小となるものをその検査対象点における暗欠陥用の強調値算出値として暗欠陥用の強調結果画像メモリへと格納する。
【0051】
(式2)
F1 =S1−O1
F2 =S2−O1



Fn =Sn−O1



F48 =S48−O1
【0052】
この(式2)を用いる点を除いて、暗欠陥の強調処理は前述した明欠陥の強調処理と同様であり、図4に示したように、検査対象点群選定工程ST42でフィルタの位置を移動させながら、選定した検査対象点群に含まれる点O1〜O37の全てについて強調算出値算出・欠陥強調値算出工程ST43を行う。そして、このような処理によって撮像画像の1つの画素について複数求められる強調算出値のうち絶対値が最大となる値がその画素に係る欠陥強調値として決定される。これにより、強調結果画像においてアスペクト比がある程度大きい欠陥が強調される。
以上により、欠陥強調処理工程ST4が終了する。なお、本実施形態では、明欠陥の強調処理を行ったのち、暗欠陥の強調処理を行ったが、これらの処理は並行して行っても良い。例えば、フィルタを1画素移動させる度に、明欠陥、暗欠陥のそれぞれの強調算出値を算出し、明欠陥、暗欠陥それぞれの強調結果画像メモリに格納してもよい。
【0053】
ここで、本実施形態における欠陥強調画像の具体例を示す。図16は、検査対象の撮像画像を示す。この撮像画像中、Pは液晶パネルの配線引き出し部における配線パターンPであり、102は欠陥である。このように、撮像画像には配線パターンPと欠陥102とが混在している。
図17は、本実施形態による欠陥強調処理が行われた強調結果画像を示す。この図17では、図16に示された欠陥102が正確な形状で強調されている。
この本実施形態における欠陥強調処理と対比するために、8近傍点隣接比較方式(特許文献1など)により、図16の撮像画像を対象に欠陥強調処理を行った場合の強調結果画像を図18に示す。この8近傍点隣接比較による手法では、パターンP(図16)のエッジ部が強調されているため、パターンが欠陥として誤検出されてしまう。
【0054】
また、図19には、非特許文献1の手法により、図16の撮像画像を対象に欠陥強調処理を行った場合の強調結果画像を示す。この手法では、例えば図20に示すように、1つの検査対象点Oと、この検査対象点Oから所定距離離れて略円形環状に配置された複数の比較対象点S1〜S32とからなる欠陥強調フィルタを用いる。ここで、パターンP上に検査対象点Oが設定されても、パターンPは検査対象点Oから各比較対象点S1〜S32のいずれかに到達するように延びているので、各比較対象点S1〜S32のそれぞれと検査対象点との輝度差の最小値として求められる欠陥強調値は小さな値となり、パターンPは強調されない。
ただし、この手法では、図16に示された欠陥102の一部しか強調できない。すなわち、図16の撮像画像における欠陥102は、図20のフィルタのサイズ(比較対象点S1〜S32が形成する略円形環状の直径に相当)よりも大きいため、パターンPの場合と同様、欠陥102上に、比較対象点S1〜S32のいずれかと検査対象点Oとの両方が設定される場合がある。この場合は各比較対象点S1〜S32のそれぞれと検査対象点との輝度差の最小値として求められる欠陥強調値は小さな値となるので、強調されない。このため、検査対象点Oと比較対象点S1〜S32との輝度差が大きくなる欠陥102の一部のみ、強調されることになる。
【0055】
上記の二つの手法に対して、本実施形態による欠陥強調処理では、図2に示したように検査対象点O1〜O37から所定距離離れて略円形環状に比較対象点が配置されていることにより、パターンPは欠陥として強調されない(結果画像図17参照)。また、図15に示すように、検査対象点群の各点O1〜O37のそれぞれを中心点として重畳した範囲に設定される各比較対象点S1〜S48との輝度値の比較に基づいて各画素に複数算出された強調算出値のうち、絶対値が最大となる値を欠陥強調値とするので、比較対象点S1〜S48が重畳的に設定される範囲内で、ある程度アスペクト比が大きい欠陥102が撮像画像と同様の形状で強調される。
【0056】
〔3−5.欠陥抽出工程〕
以上の欠陥強調処理工程ST4を終えると、欠陥の強調結果画像から欠陥を抽出する(ST5)。欠陥抽出手段63は、工程ST4で得られた明欠陥の強調結果画像と、暗欠陥の強調欠陥画像とにそれぞれ閾値を設定し、明欠陥候補の領域と、暗欠陥候補の領域とをそれぞれ切り出す。すなわち、欠陥抽出手段63は、明欠陥強調画像については明欠陥閾値以上の領域を明欠陥領域として抽出し、暗欠陥強調画像については暗欠陥閾値以上の領域を暗欠陥領域として抽出する。
ここで、各閾値は、画像の状況に合わせて最適な値を設定すればよい。例えば、欠陥強調値(輝度値)の平均値と、その標準偏差を求め、以下の式で閾値を設定してもよい。
【0057】
明欠陥閾値 wslevel=avr(明)+α1・σ(明)+β1 (式3)
暗欠陥閾値 bslevel=avr(暗)+α2・σ(暗)+β2 (式4)
ここで、avr(明)は明欠陥強調画像における欠陥強調値の平均値であり、avr(暗)は、暗欠陥強調画像における欠陥強調値の平均値である。また、σ(明)は、明欠陥強調画像における欠陥強調値の標準偏差であり、σ(暗)は、暗欠陥強調画像における欠陥強調値の標準偏差である。そして、α1,α2,β1,β2は任意の数であり、検査対象となる画像の状況で適宜決定される。
なお、明欠陥強調結果画像、暗欠陥強調結果画像のそれぞれには欠陥強調値が負の値となる領域も存在しているが、この負となる領域は、明欠陥強調結果画像においては暗欠陥の部分であり、暗欠陥強調結果画像においては明陥の部分である。このため、上記のavr(明)、avr(暗)、σ(明)、σ(暗)を計算する際、この負の値は除いて計算する。
【0058】
〔3−6.blob工程〕
上記の工程ST5で切り出された明欠陥候補と暗欠陥候補とに対してblob手段64により、blob処理を行う(工程ST6)。これにより、欠陥候補として切り出された領域の面積、平均輝度、最大輝度が求められる。
【0059】
〔3−7.欠陥判定工程〕
そして、上記の工程ST6の結果に基いて、欠陥判定手段65により、各欠陥のランクを判定する欠陥判定を行う(工程ST7)。ここで、シミ欠陥のランクに関しては、その面積、平均輝度、最大輝度により決定する。
欠陥判定手段65で求められた欠陥ランクは、表示装置7に表示され、検査員は検査対象の液晶パネル1の欠陥ランクを容易に把握することができる。
【0060】
〔4.本実施形態による効果〕
本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)被検査物における明度差に起因する欠陥検出にあたり、略円形状の領域に配置された一群の複数点からなる検査対象点群O1〜O37と、その周囲に略円形環状に配置される比較対象点S1〜S48とをそれぞれ欠陥強調フィルタとして設定した。そして、検査対象点群O1〜O37を1画素ずつ移動した位置に順次選定し、検査対象点群O1〜O37に含まれる各点毎に欠陥強調処理を行うことにより、撮像画像の各画素毎に複数の強調算出値が得られる。すなわち、検査対象点群O1〜O37の移動に伴い、撮像画像の1つ1つの点(画素)について、各点を中心とする検査対象点群O1〜O37の数と同じだけ、そして各点を中心とする各比較対象点S1〜S48との輝度値の比較に基づいて強調算出値が求められるため、これらの強調算出値の最大値をその検査対象点の欠陥強調値として決定することで、この比較対象点S1〜S48が重畳的に設定された範囲でアスペクト比が大きい欠陥101,102を正確な位置および形状で強調可能となる。
ここで、線状のパターンなどは、重畳的な位置に設定される比較対象点S1〜S48の各位置のいずれにおいても、比較対象点S1〜S48の内側に収まらないので、最小値として算出される強調算出値の値が大きくならない。このため、本実施形態の欠陥強調フィルタにより、配線パターンなどの線状のパターンは誤検出されない。すなわち、本実施形態によれば、パターンの状態は問わず、ある程度のアスペクト比を持った欠陥を高精度に検出できる。
【0061】
(2)明欠陥強調値と暗欠陥強調値とをそれぞれ(式1)と(式2)とによって別々に算出しているので、明欠陥の欠陥部分と暗欠陥の欠陥部分とをそれぞれ精度良く強調することができる。また、欠陥抽出手段63で明欠陥用の閾値と、暗欠陥用の閾値とでそれぞれ抽出することで、明欠陥および暗欠陥の両方を簡単にかつ精度良く検出することができる。
【0062】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を説明する。前記第1実施形態では、明欠陥の強調処理と、暗欠陥の強調処理とをそれぞれ別々に行って明欠陥の強調結果画像と暗欠陥の強調結果画像とをそれぞれ得ていたが、本実施形態では、これら明欠陥の強調処理と、暗欠陥の強調処理とを同時に行う。
すなわち、第1実施形態では、上記(式1)により明結果の強調算出値を計算し、上記(式2)により暗欠陥の強調算出値を計算していたが、本実施形態では、(式1)または(式2)のいずれかによって検査対象点(O1〜O37のいずれか)と比較対象点S1〜S48(図2)のそれぞれとの輝度値の各差分を求める。
そして、第1実施形態では各差分のうち最小値をその検査対象点における強調算出値としていたところ、本実施形態では、各差分のうち、絶対値が最小となるものをその検査対象点における強調算出値として強調結果画像用メモリに格納する。
以上の点を除いて、本実施形態の欠陥検出方法は第1実施形態の欠陥検出方法と同様である。また、本実施形態の欠陥検出方法は、第1実施形態で例示した欠陥検出装置によって実施できる。
【0063】
このように、本実施形態では、検査対象点(O1〜O37)の輝度値と各比較対象点S1〜S48のそれぞれの輝度値との差分の絶対値の最小値を強調算出値としているので、明欠陥および暗欠陥を強調する際に(式1)または(式2)のいずれかのみで求めることができる。このため、(式1)により明欠陥の強調算出値を算出し、(式2)により暗欠陥の強調算出値を算出している第1実施形態に比べて処理時間を短縮することができる。
また、本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0064】
〔本発明の他の実施形態〕
以下、本発明の他の実施態様および変形例を示す。
前記第1実施形態では、明欠陥の強調処理と、暗欠陥の強調処理との両方を行っていたが、明欠陥および暗欠陥のいずれか一方のみを検出する場合には、上記の(式1)または(式2)により、明欠陥または暗欠陥のいずれか一方の欠陥強調値のみを算出し、明欠陥の欠陥強調値には(式3)による明欠陥用の閾値を適用し、暗欠陥の欠陥強調値には(式4)による暗欠陥用の閾値を適用して、欠陥を抽出すればよい。
また、前記第2実施形態でも、明欠陥および暗欠陥の一方の欠陥のみを検出してもよい。例えば、明欠陥のみを検出すればよい場合には、(式4)の暗欠陥用閾値による欠陥抽出処理を行わなくてもよい。
【0065】
また、前記各実施形態では、撮像画像に1種類のフィルタ(図2)を適用したが、複数のサイズのフィルタを同じ撮像画像にそれぞれ適用し、サイズが異なるフィルタ毎に複数得られる強調結果画像を1枚に合成して、欠陥抽出を行っても問題ない。なお、フィルタのサイズは、上記の(条件1)に基づいて適宜設定可能である。このように複数のサイズのフィルタを適用することで、様々なサイズの欠陥を精度良く強調可能となる。
ここで、複数の強調結果画像を合成する際は、各欠陥強調結果画像の同じ点(撮像画素)の欠陥強調値同士を比較し、最大値をその画素の欠陥強調値とする。
【0066】
さらに、前記各実施形態では、画像縮小工程ST3(図3)で撮像画像を縮小していたが、これに限らず、CCDカメラ5で撮像し画像入力手段60によりコンピュータ装置6に取り込んだ画像を縮小せずに欠陥強調処理工程ST4を実施してもよい。
【0067】
また、前記各実施形態では、検査対象点群O1〜O37の中心点はO19の画素であり、この中心点O19から所定画素数離れた画素まで、略円形状に検査対象点群が構成され、また、この中心点O19から所定画素数離れ略円形環状に並ぶ各画素が比較対象点S1〜S48とされていたが、検査対象点群の中心点は、このように1つの画素である場合に限定されない。検査対象点群の各点や比較対象点は、前記各実施形態では撮像画像の各画素に一対一で対応していたが、このような構成には限定されず、例えば2つや4つなどの画素が中心点を構成する場合も有り得る。
【0068】
前記実施形態では、光源2を液晶パネル1を挟んでCCDカメラ5の反対側に配置したが、光源2をCCDカメラ5側に配置して落射照明としてもよい。さらに、前記実施形態では、液晶パネル1を直接CCDカメラ5で撮影していたが、プロジェクタのように液晶パネル1の表示画像をスクリーンに投影し、その投影画像をCCDカメラ5で撮影してもよい。
【0069】
欠陥の検出対象としては、前記のようなTFT素子を用いた液晶パネル1に限られるものではなく、その他のダイオード素子等を用いた液晶パネルやプラズマディスプレイ、EL(electro-luminescence)ディスプレイ、DMD(Digital Micromirror Device)パネルなどの表示デバイス、ならびにそれらを使用した表示装置・製品の検査に利用することができるものであり、これらに使用した場合でも本発明の範囲から除外されるものでないことはいうまでもない。
さらに、本発明は、各種表示装置の検査に限らず、例えば、配線パターンや印刷パターンなどに欠陥がある場合、これらを撮像して欠陥がある画像が得られればその欠陥を検出できるので、各種製品の表面塗装や印刷物、配線などの欠陥検査に応用することもできる。
要するに、本発明は、被測定物の撮像画像において、周囲と輝度差がある欠陥を検出できるため、輝度シミ欠陥や色シミ欠陥の検出等に広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1実施形態における欠陥検出装置の構成概略図。
【図2】前記実施形態で使用する欠陥強調フィルタの設定を示す図。
【図3】前記実施形態における欠陥検出方法の各工程を示すフローチャート。
【図4】前記欠陥検出方法における欠陥強調処理工程の詳細工程を示すフローチャート。
【図5】前記欠陥強調処理工程において、初期化された強調結果画像用メモリの状態を示す図。
【図6】欠陥強調フィルタを撮像画像の左上端に適用した状態を示す図。
【図7】強調結果画像用メモリを示し、図6のフィルタ設定において、検査対象点群の1つの点に係る欠陥強調値がメモリに格納された状態を示す図。
【図8】強調結果画像用メモリを示し、図6のフィルタ設定において、検査対象点群の全ての点のそれぞれに係る欠陥強調値がメモリにそれぞれ格納された状態を示す図。
【図9】図6の状態から、欠陥強調フィルタをX方向に1画素移動させた状態を示す図。
【図10】強調結果画像用メモリを示し、図6で示した位置に検査対象点群が選定された前回工程の際に値が格納された領域と、図9で示した位置に今回選定された検査対象点群の各点にそれぞれ対応した強調算出値R1〜R37がそれぞれ格納される対象となる領域とが重なっていることを示す図。
【図11】欠陥強調フィルタを撮像画像の右端まで移動させた後、Y方向に1画素移動させた状態を示す図。
【図12】強調結果画像用メモリを示し、図11のフィルタ設定において、検査対象点群の全ての点のそれぞれに係る欠陥強調値がメモリにそれぞれ格納された状態を示す図。
【図13】図12の状態から、欠陥強調フィルタをX方向に1画素移動させた状態を示す図。
【図14】強調結果画像用メモリを示し、図13のフィルタ設定において、検査対象点群の全ての点のそれぞれに係る欠陥強調値がメモリにそれぞれ格納された状態を示す図。
【図15】欠陥強調フィルタの移動により、比較対象点が重畳的に設定される範囲を示す図。
【図16】強調処理前の撮像画像を示す図。
【図17】図16に本実施形態の欠陥強調処理を行うことで得られた強調結果画像を示す図。
【図18】特許文献1と同様の8近傍点隣接比較方式により、図16の撮像画像に対して欠陥強調処理を行うことで得られた強調結果画像を示す図。
【図19】非特許文献1と略同様に図20に示すフィルタを使用し、図16の撮像画像に対して欠陥強調処理を行うことで得られた強調結果画像を示す図。
【図20】非特許文献1のような手法で使用される欠陥強調フィルタを示す図。
【符号の説明】
【0071】
1・・・液晶パネル(被検査物)、2・・・光源、3・・・パターンジェネレータ、5・・・CCDカメラ、62・・・欠陥強調処理手段、63・・・欠陥抽出手段、101,102・・・欠陥、621・・・検査対象点群選定部、622・・・強調算出値算出部、623・・・欠陥強調値算出部、F1〜F48・・・差分、O1〜O37・・・検査対象点群、O19・・・中心点、P・・・配線パターン、R1〜R37・・・欠陥強調値、S1〜S48・・・比較対象点、ST4・・・欠陥強調処理工程、ST42・・・検査対象点群選定工程、ST43・・・強調算出値算出・欠陥強調値算出工程、ST5・・・欠陥抽出工程。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物を撮像した撮像画像に対して欠陥強調処理を行う欠陥強調処理工程と、
前記欠陥強調処理工程で得られた各画素の欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥検出工程とを備え、
前記欠陥強調処理工程は、
前記撮像画像において、略円形状の領域に含まれる複数点からなる検査対象点群を順次移動した位置に選定する検査対象点群選定工程と、
前記検査対象点群の中心点から所定距離離れてかつ当該検査対象点群の周囲に略円形環状に複数配置される比較対象点をそれぞれ設定し、かつ、
前記検査対象点群の中から検査対象点を1つずつ選択して、この選択された検査対象点の輝度値からその周囲に複数配置された各比較対象点の輝度値をそれぞれ引いた際の各差分を求め、これらの差分のうち、値が最小となるものを当該検査対象点での強調算出値とする処理を、前記選定された検査対象点群に含まれる検査対象点毎に行う強調算出値算出工程と、
前記検査対象点群の位置の移動に伴って前記撮像画像における同じ点について複数算出された強調算出値のうち、絶対値が最大となるものをその撮像画像における前記点での欠陥強調値とする欠陥強調値算出工程と、を有する
ことを特徴とする欠陥検出方法。
【請求項2】
被検査物を撮像した撮像画像に対して欠陥強調処理を行う欠陥強調処理工程と、
前記欠陥強調処理工程で得られた各画素の欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥検出工程とを備え、
前記欠陥強調処理工程は、
前記撮像画像において、略円形状の領域に含まれる複数点からなる検査対象点群を順次移動した位置に選定する検査対象点群選定工程と、
前記検査対象点群の中心点から所定距離離れてかつ当該検査対象点群の周囲に略円形環状に複数配置される比較対象点をそれぞれ設定し、かつ、
前記検査対象点群の中から検査対象点を1つずつ選択して、この選択された検査対象点の周囲に複数配置された各比較対象点の輝度値からそれぞれ前記選択された検査対象点の輝度値を引いた際の各差分を求め、これらの差分のうち、値が最小となるものを当該検査対象点での強調算出値とする処理を、前記選定された検査対象点群に含まれる検査対象点毎に行う強調算出値算出工程と、
前記検査対象点群の位置の移動に伴って前記撮像画像における同じ点について複数算出された強調算出値のうち、絶対値が最大となるものをその撮像画像における前記点での欠陥強調値とする欠陥強調値算出工程と、を有する
ことを特徴とする欠陥検出方法。
【請求項3】
被検査物を撮像した撮像画像に対して欠陥強調処理を行う欠陥強調処理工程と、
前記欠陥強調処理工程で得られた各画素の欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥検出工程とを備え、
前記欠陥強調処理工程は、
前記撮像画像において、略円形状の領域に含まれる複数点からなる検査対象点群を順次移動した位置に選定する検査対象点群選定工程と、
前記検査対象点群の中心点から所定距離離れてかつ当該検査対象点群の周囲に略円形環状に複数配置される比較対象点をそれぞれ設定し、かつ、
前記検査対象点群の中から検査対象点を1つずつ選択して、この選択された検査対象点の輝度値からその周囲に配置された各比較対象点の輝度値をそれぞれ引いた際の各差分を求め、これらの差分のうち、値が最小となるものを当該検査対象点での明欠陥用の強調算出値とするとともに、
前記選択された検査対象点の周囲に複数配置された各比較対象点の輝度値からそれぞれ前記選択された検査対象点の輝度値を引いた際の各差分を求め、これらの差分のうち、値が最小となるものを当該検査対象点での暗欠陥用の強調算出値とする処理を、前記選定された検査対象点群に含まれる検査対象点毎に行う強調算出値算出工程と、
前記検査対象点群の位置の移動に伴って前記検査対象点について複数算出された明欠陥用の強調算出値のうち、絶対値が最大となるものを当該検査対象点での明欠陥用の欠陥強調値とするとともに、
前記検査対象点群の位置の移動に伴って前記検査対象点について複数算出された暗欠陥用の強調算出値のうち、絶対値が最大となるものを当該検査対象点での暗欠陥用の欠陥強調値とする欠陥強調値算出工程と、を有する
ことを特徴とする欠陥検出方法。
【請求項4】
被検査物を撮像した撮像画像に対して欠陥強調処理を行う欠陥強調処理工程と、
前記欠陥強調処理工程で得られた各画素の欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥検出工程とを備え、
前記欠陥強調処理工程は、
前記撮像画像において、略円形状の領域に含まれる複数点からなる検査対象点群を順次移動した位置に選定する検査対象点群選定工程と、
前記検査対象点群の中心点から所定距離離れてかつ当該検査対象点群の周囲に略円形環状に複数配置される比較対象点をそれぞれ設定し、かつ、
前記検査対象点群の中から検査対象点を1つずつ選択して、この選択された検査対象点の輝度値とその周囲に複数配置された各比較対象点の輝度値それぞれとの各差分を求め、これらの差分のうち、その絶対値が最小となるものを当該検査対象点での強調算出値とする処理を、前記選定された検査対象点群に含まれる検査対象点毎に行う強調算出値算出工程と、
前記検査対象点群の位置の移動に伴って前記撮像画像における同じ点について複数算出された強調算出値のうち、絶対値が最大となるものをその撮像画像における前記点での欠陥強調値とする欠陥強調値算出工程と、を有する
ことを特徴とする欠陥検出方法。
【請求項5】
被検査物を撮像した撮像画像に対して欠陥強調処理を行う欠陥強調処理手段と、
前記欠陥強調処理手段で得られた各画素の欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥検出手段とを備え、
前記欠陥強調処理手段は、
前記撮像画像において、略円形状の領域に含まれる複数点からなる検査対象点群を順次移動した位置に選定する検査対象点群選定手段と、
前記検査対象点群の中心点から所定距離離れてかつ当該検査対象点群の周囲に略円形環状に複数配置される比較対象点をそれぞれ設定し、かつ、
前記検査対象点群の中から検査対象点を1つずつ選択して、この選択された検査対象点の輝度値からその周囲に複数配置された各比較対象点の輝度値をそれぞれ引いた際の各差分を求め、これらの差分のうち、値が最小となるものを当該検査対象点での強調算出値とする処理を、前記選定された検査対象点群に含まれる検査対象点毎に行う強調算出値算出手段と、
前記検査対象点群の位置の移動に伴って前記撮像画像における同じ点について複数算出された強調算出値のうち、絶対値が最大となるものをその撮像画像における前記点での欠陥強調値とする欠陥強調値算出手段と、を有する
ことを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項6】
被検査物を撮像した撮像画像に対して欠陥強調処理を行う欠陥強調処理手段と、
前記欠陥強調処理手段で得られた各画素の欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥検出手段とを備え、
前記欠陥強調処理手段は、
前記撮像画像において、略円形状の領域に含まれる複数点からなる検査対象点群を順次移動した位置に選定する検査対象点群選定手段と、
前記検査対象点群の中心点から所定距離離れてかつ当該検査対象点群の周囲に略円形環状に複数配置される比較対象点をそれぞれ設定し、かつ、
前記検査対象点群の中から検査対象点を1つずつ選択して、この選択された検査対象点の周囲に複数配置された各比較対象点の輝度値からそれぞれ前記選択された検査対象点の輝度値を引いた際の各差分を求め、これらの差分のうち、値が最小となるものを当該検査対象点での強調算出値とする処理を、前記選定された検査対象点群に含まれる検査対象点毎に行う強調算出値算出手段と、
前記検査対象点群の位置の移動に伴って前記撮像画像における同じ点について複数算出された強調算出値のうち、絶対値が最大となるものをその撮像画像における前記点での欠陥強調値とする欠陥強調値算出手段と、を有する
ことを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項7】
被検査物を撮像した撮像画像に対して欠陥強調処理を行う欠陥強調処理手段と、
前記欠陥強調処理手段で得られた各画素の欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥検出手段とを備え、
前記欠陥強調処理手段は、
前記撮像画像において、略円形状の領域に含まれる複数点からなる検査対象点群を順次移動した位置に選定する検査対象点群選定手段と、
前記検査対象点群の中心点から所定距離離れてかつ当該検査対象点群の周囲に略円形環状に複数配置される比較対象点をそれぞれ設定し、かつ、
前記検査対象点群の中から検査対象点を1つずつ選択して、この選択された検査対象点の輝度値からその周囲に配置された各比較対象点の輝度値をそれぞれ引いた際の各差分を求め、これらの差分のうち、値が最小となるものを当該検査対象点での明欠陥用の強調算出値とするとともに、
前記選択された検査対象点の周囲に複数配置された各比較対象点の輝度値からそれぞれ前記選択された検査対象点の輝度値を引いた際の各差分を求め、これらの差分のうち、値が最小となるものを当該検査対象点での暗欠陥用の強調算出値とする処理を、前記選定された検査対象点群に含まれる検査対象点毎に行う強調算出値算出手段と、
前記検査対象点群の位置の移動に伴って前記検査対象点について複数算出された明欠陥用の強調算出値のうち、絶対値が最大となるものを当該検査対象点での明欠陥用の欠陥強調値とするとともに、
前記検査対象点群の位置の移動に伴って前記検査対象点について複数算出された暗欠陥用の強調算出値のうち、絶対値が最大となるものを当該検査対象点での暗欠陥用の欠陥強調値とする欠陥強調値算出手段と、を有する
ことを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項8】
被検査物を撮像した撮像画像に対して欠陥強調処理を行う欠陥強調処理手段と、
前記欠陥強調処理手段で得られた各画素の欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥検出手段とを備え、
前記欠陥強調処理手段は、
前記撮像画像において、略円形状の領域に含まれる複数点からなる検査対象点群を順次移動した位置に選定する検査対象点群選定手段と、
前記検査対象点群の中心点から所定距離離れてかつ当該検査対象点群の周囲に略円形環状に複数配置される比較対象点をそれぞれ設定し、かつ、
前記検査対象点群の中から検査対象点を1つずつ選択して、この選択された検査対象点の輝度値とその周囲に複数配置された各比較対象点の輝度値それぞれとの各差分を求め、これらの差分のうち、その絶対値が最小となるものを当該検査対象点での強調算出値とする処理を、前記選定された検査対象点群に含まれる検査対象点毎に行う強調算出値算出手段と、
前記検査対象点群の位置の移動に伴って前記撮像画像における同じ点について複数算出された強調算出値のうち、絶対値が最大となるものをその撮像画像における前記点での欠陥強調値とする欠陥強調値算出手段と、を有する
ことを特徴とする欠陥検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−234028(P2008−234028A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−69198(P2007−69198)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】