説明

欠陥検出装置およびその方法

【課題】検査表面を多方向から撮影して欠陥を判定する装置および方法において、ワークの姿勢と撮影手段の受光部の向きを変化させると、機構が複雑となる。
【解決手段】検査対象物(W)の表面に生じた欠陥を検出して判定する欠陥検出装置であって、受光部(13a)に侵入した光を受光して、前記表面の検査区域(T)の画像を撮影する撮影手段(13)と、表面が鏡面であって、光を撮影手段(13)の受光部(13a)に導くための第1ミラー手段(14)と、検査対象物の表面に対して45度の角度で傾いて配置される第1ハーフミラー(11)と、内面が鏡面であって前記鏡面の少なくとも一部が前記第1ハーフミラーを向いて第1ハーフミラー(11)を覆うように配置される内部ミラー部材(12)と、第1ハーフミラー(11)に向かって光を照射する発光手段(15)と、を具備する欠陥検出装置により解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳物などの切削加工後のワークの表面に生じた欠陥を光学的に検出し、欠陥の種別を判定する欠陥種別判定装置およびその判定方法に関する。特には、ワークの検査対象面に様々な方向から光を照射した際の表面画像を撮影し、それらの画素情報から把握される特徴量から欠陥を検出し、その種別を判定する欠陥検出装置およびその判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミ鋳造物等の切削加工面には、切削工程において、たとえば切子が付着した状態でワークを把持することによって生じる圧痕や、切削工程における切削順序によって生じる微妙な段差や、ワークの剛性のばらつき等により刃の振動で生じたびびり等が生じる場合がある。これらは、その深さに応じて、許容公差内の非欠陥部と許容公差外の欠陥部とに分類され、欠陥部と判断されるべきものは漏れなく欠陥と判断できる必要がある。
【0003】
このような欠陥を自動的に検出して判定するために、たとえば、ワークの検査対象面に光を照射し、CCDカメラ等でその反射光を受光して撮影して欠陥を検査する欠陥検出装置が知られている。しかし、このような欠陥検出装置は、一般に平滑表面を検査対象面とするものであり、粗面における欠陥には適していない。
【0004】
これに対し、たとえば、特許文献1に記載されている欠陥検出装置では、欠陥とは別に不規則な切削加工痕が存在するような表面でも、安定的に欠陥を検出可能とする欠陥検出装置が開示されている。特許文献1に開示されている欠陥検出装置は、欠陥以外の部分に照射された光の反射光を受光した際の撮影手段の受光素子の感度が飽和するように照射光の強度を設定し、その設定条件下で照射光の強度を変化させて、欠陥を検出するものである。
【0005】
しかし、特許文献1に記載されている欠陥検出装置では、ある程度の深さを有する欠陥は検出が可能であるものの、表面粗さが小さいびびり等の欠陥にあっては、正常な部位と同様に、反射光に対する受光素子の感度が飽和する。このため、欠陥が正確に検出できない問題があった。
【0006】
このような問題を解決する方法としては、光の照射方向を変化させて、それぞれの方向に対応させてCCDカメラを移動させることにより、多方向からの表面画像を撮影する方法が考えられる。すなわち、欠陥部では、正常な表面に対して全体の反射強度が低く、また照射光の向きによって反射強度に変化が生じうる特徴を有しているから、検査面につき、多方向から表面画像を撮影して、撮影された複数の表面画像につき、表面画像から得られる画像情報を撮影方向に応じて分類して欠陥の種別を判別する方法などにより、この問題を解決することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−208259号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
検査表面を多方向から撮影する方法としては、たとえば照射光の方向を固定して、ワークの姿勢と撮影手段の受光部の向きを変化させた上で反射光を撮影する方法が考えられる。しかし、ワークの姿勢を変化させる方法では、それを実現する装置において、照明の光軸と反射光の光軸とを調整する機構が複雑になる傾向がある。また、このような装置では、ワークが取り付けられるテーブルの姿勢をアクチューエータなどに変化させることが考えられるが、姿勢を高速で変化させることは一般的に困難であり、欠陥検査に時間がかかる問題も生じる。
【0009】
また、照明の光軸と反射光の光軸とを調整する際において、光の射出位置から検査面(反射面)を介して撮影手段の受光部までの光路の距離をも調整することは困難である。このため、多方向から撮影された複数の表面画像をそれぞれ比較するためには、撮影された各表面画像を、基準位置で撮影された基準画像(一般には、水平状態を基準位置として撮影された表面画像)に対する相対的関係として変換して配光分布を求める必要が生じる。たとえば、ある位置で撮影された表面画像から配光分布を求めるには、その位置における表面の法線と、基準位置における表面の法線とがなす偏角を求め、正常部と欠陥部との反射光の強度の違いをその偏角に対するデータとして定義し、この偏角をゼロとなるような画像変換を行うことで基準位置において撮影された表面画像に変換する処理を行う必要がある。これには多大な計算コストが必要となる。
【0010】
さらに、照明として広角発光手段が選択された場合には、得られた配光分布におけるS/N比が低くなる場合もあり、欠陥の種別を判定する上で不利となる。一方、角度に応じて距離関係を一定に保つことは、作業上煩雑となり、検査に時間がかかる問題に生じる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる問題を、検査対象面の検査区域に対して、ワークを固定した上で、検査区域に照射した光の反射光を受光して表面画像を撮影し、照光方向に応じた画素情報から欠陥を検出する欠陥検出装置およびその方法により解決する。
【0012】
また、検査対象物の表面に生じた欠陥を検出して判定する欠陥検出装置であって、欠陥検出装置は、受光部に侵入した光を受光して、表面の検査区域の画像を撮影する撮影手段と、表面が鏡面であって、光を撮影手段の受光部に導くためのミラー手段と、検査対象物の表面に対して傾いて配置されるハーフミラーと、内面に鏡面加工が施され、鏡面の少なくとも一部がハーフミラーを向いてハーフミラーを覆うように配置される内部ミラー部材と、ハーフミラーに向かって光を照射する発光手段とを備える欠陥検出装置により解決する。
【0013】
また、検査対象物の表面に生じた欠陥を検出して判定する欠陥検出装置により欠陥を検出する方法であって、発光手段により第1ハーフミラーに向けて、第1ハーフミラーを透過するように表面の検査区域に入射光を照射して、入射光を検査区域で反射させて第1反射光とする工程と、第1反射光を第1ハーフミラーに向かって進行させ第1ハーフミラーを透過させて内部ミラー部材で反射させて第2反射光とする工程と、第2反射光を第1ハーフミラーに向かって進行させて第1ハーフミラーで反射させて第3反射光とする工程と、第3反射光を第1ミラー手段に向かって進行させて第1ミラー手段で反射させて撮影手段の受光部で受光させる工程と、撮影手段は受光部により受光した光により表面の検査区域の画像を撮影する工程とを備える方法により解決する。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、検査対象となる表面画像から多方向から撮影するための光学系部材の選択が容易となり、また多方向からの反射光を撮影手段の受光部が受光するための機構を簡易化することができる。また、欠陥の検出に必要な時間を削減することが可能となる。
【0015】
また、本発明により、多方向から撮影した検査対象となる表面画像から配光分布を求める際に、水平状態における表面画像などの基準画像を介することなく、直接配光分布を求めることができ、計算コストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の欠陥検出装置およびその方法における欠陥判別の原理を説明した斜視図である。
【図2】本発明の欠陥検出装置およびその方法における欠陥判別の原理を説明した断面図である。
【図3】本発明の欠陥検出装置およびその方法における欠陥判別の原理を説明した断面図である。
【図4】本発明の欠陥検出装置およびその方法における欠陥判別の原理を説明した断面図である。
【図5】本発明の実施例1である欠陥検出装置を示した図である。
【図6】本発明の実施例1である欠陥検出装置の制御系を含めた全体の構成の概略を示した図である。
【図7】図5の断面X−Xに示した本発明の実施例1である欠陥検出装置の検出ヘッド内の断面であって、欠陥が存在しない場合の光路を示した図である。
【図8】図5の断面X−Xに示した本発明の実施例1である欠陥検出装置の検出ヘッド内の断面であって、欠陥が存在する場合の光路を示した図である。
【図9】図5の断面X−Xに示した本発明の実施例1である欠陥検出装置の検出ヘッド内の断面であって、拡散投光の場合の光路を示した図である。
【図10】本発明の欠陥検出装置の手順を示したフローチャートである。
【図11】本発明の実施例2である欠陥検出装置を示した図である。
【図12】図11の断面Y−Yに示した本発明の実施例2である欠陥検出装置の検出ヘッド内の断面であって、欠陥が存在しない場合の光路を示した図である。
【図13】図11の断面Y−Yに示した本発明の実施例2である欠陥検出装置の検出ヘッド内の断面であって、欠陥が存在する場合の光路を示した図である。
【図14】図11の断面Y−Yに示した本発明の実施例2である欠陥検出装置の検出ヘッド内の断面であって、拡散投光の場合の光路を示した図である。
【図15】非欠陥部の例としての高さ3マイクロメートルの段差の表面画像である。
【図16】欠陥部の例としての高さ8マイクロメートルの段差の表面画像である。
【図17】欠陥部の例としての圧着痕の表面画像である。
【図18】実施例1における平行投受光における高さ3マイクロメートルの段差の場合の擬似配光分布である。
【図19】実施例1における同軸広角投受光における高さ3マイクロメートルの段差の場合の擬似配光分布である。
【図20】実施例1における平行投受光における高さ8マイクロメートルの段差の場合の擬似配光分布である。
【図21】同実施例1における軸広角投受光における高さ8マイクロメートルの段差の場合の擬似配光分布である。
【図22】実施例1における平行投受光における圧着痕の場合の擬似配光分布である。
【図23】実施例1における同軸広角投受光における圧着痕の場合の擬似配光分布である。
【図24】実施例2における平行投受光における高さ3マイクロメートルの段差の場合の擬似配光分布である。
【図25】実施例2における同軸広角投受光における高さ3マイクロメートルの段差の場合の擬似配光分布である。
【図26】実施例2における平行投受光における高さ8マイクロメートルの段差の場合の擬似配光分布である。
【図27】実施例2における同軸広角投受光における高さ8マイクロメートルの段差の場合の擬似配光分布である。
【図28】実施例2における平行投受光における圧着痕の場合の擬似配光分布である。
【図29】実施例2における同軸広角投受光における圧着痕の場合の擬似配光分布である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1,図2,図3を参照して、本発明の欠陥検出装置およびその方法における欠陥判別の原理を説明する。図1は、たとえば、ワーク(検査対象物)の表面に生じた欠陥を光学的に検出する装置および方法の概念を示した図である。検査対象物の検査する面を検査対象面と定義し、検査対象面のうち検査を行う領域を検査領域Wと定義する。また、検査対象領域Wのうち、特に、1回のシーケンスで欠陥を検出しようとする範囲を検査区域Tと定義する。本発明の欠陥検出装置およびその方法は、第1ハーフミラー11,内部ミラー部材12,撮影手段13、第1ミラー手段14と、発光手段15とを備える。
【0018】
第1ハーフミラー11は、検査対象物の表面に対して、傾いて配置される。傾き角度は、検査対象物の表面に対してほぼ45度の角度である。発光手段は、第1ハーフミラー11に向かって光を照射する。内部ミラー部材12は、内面が鏡面加工された部材であり、第1ハーフミラー11を覆うように配置される。内部ミラー部材12の内面の鏡面部の少なくとも一部は、第1ハーフミラー11と対向している。内部ミラー部材12は、鏡面である内面が球面を構成し、所定の状態でその球の中心部に検査区域Tが位置するような位置関係に配置される。撮影手段13は、受光部13aに侵入した光を受光して、検査領域Wの検査区域Tの画像を撮影する。第1ミラー手段14は、表面が鏡面であって、光を撮影手段13の受光部13aに光を導く。第1ミラー手段14は、一の回動軸14aまわりに図の矢印のように回動可能である。たとえば、検査対象物の表面に近い側の第1ハーフミラー11の任意の箇所と検査対象物の表面と遠い側の第1ハーフミラー11の任意の箇所とを結ぶ一の走査方向Scに沿って第1ミラー手段14の表面が連続的に向きながら回動する。走査方向Scは、代表的には、検査対象物の表面に近い側の第1ハーフミラー11の任意の箇所と検査対象物の表面と遠い側の第1ハーフミラー11の任意の箇所とを最短で結ぶ方向である。第1ミラー手段14の回動軸14aは、第1ハーフミラー11の面と平行であって、走査方向Scと垂直な方向に延在する。しながら、走査方向Scと回動軸14aの延在する方向とは、必ずしもこの方向に限られない。第1ハーフミラー11において検査対象物の表面と近い側と遠い側とを結ぶ任意の走査方向に沿って第1ミラー手段14が向いて回動可能である限り、いずれの方向であってもよい。第1ハーフミラー11における検査対象物の表面に近い側と検査対象物の表面と遠い側のいずれの方向から来た光をも走査することができる。
【0019】
発光手段15は、第1ハーフミラー11に向かって光を照射する。発光手段15が照射した光は、第1ハーフミラー11を透過して検査区域Tに照射される入射光Lとなる。入射光Lは検査区域Tで反射されて第1反射光Lとなる。第1反射光Lは第1ハーフミラー11に向かって進行する。第1ハーフミラー11に至った第1反射光Lは第1ハーフミラー11を透過して内部ミラー部材12に至って内部ミラー部材12で反射して第2反射光Lとなる。第2反射光Lは第1ハーフミラー11に向かって進行して第1ハーフミラー11で反射して第3反射光Lとなり、第3反射光Lは第1ミラー手段14に向かって進行して第1ミラー手段14で反射して撮影手段13の受光部13aに向かって進行する。受光部13aで受光された光で、撮影手段13は受光部13aにより受光した光により表面の検査区域Tの画像を撮影する。
【0020】
発光手段は、検査対象物の表面の検査領域Wの検査区域Tから鉛直方向に検査区域Tに向けて固定的に照射される入射光Lとして実現することができる。すなわち、発光手段15は、たとえば、図1および図2に示すように、検査対象物の表面の検査領域Wの検査区域Tから鉛直方向に配置できる。この場合には、入射光Lは、発光手段15から、直接、検査区域Tから鉛直方向に沿って、検査区域Tに向かってまっすぐに進行する。また、検査区域Tで反射される第1反射光Lは、入射光Lの経路、すなわち検査区域Tから鉛直方向に逆進する。また、発光手段15は、たとえば、図3に示すように、検査対象物の表面の検査領域Wの検査区域Tから鉛直方向と垂直な方向にも配置できる。この場合には、検査区域Tから鉛直方向に対して、ほぼ45度の角度(更に、特には、第1ハーフミラーと平行)で第2ハーフミラー16を配置して、発光手段15を検査区域Tから鉛直方向と垂直方向から第2ハーフミラー16に向かって光を照射する。第2ハーフミラー16で反射された光は検査区域Tから鉛直方向に沿って、検査区域Tから離れるように進行し、内部ミラー部材12で反射して、検査区域Tから鉛直方向に沿って検査区域Tに向かって進行し、入射光Lとなって、検査区域Tに向かってまっすぐに向かって進行して、検査区域Tを照射する。いずれの方法でも、検査対象物の表面の検査領域Wの検査区域Tから鉛直方向に検査区域Tに向けて固定された方向から照射される入射光Lを実現することができる。なお、第2ハーフミラー16を利用しなくても、受光部に光を導く第1ミラー手段14を用いずに、発光手段15が、検査対象物Wの表面の検査区域Tから鉛直方向に沿って第1ハーフミラー11を介して検査区域Tに向かって光を照射可能であれば、本発明に含まれる。
【0021】
発光手段15は、検査区域Tに向けて照射方向を変化させながら照射される入射光Lとして実現することもできる。たとえば、図4に示すように、撮影手段13の受光部13aへの光路に対してほぼ45度の角度で第2ハーフミラー16を配置する。そして、撮影手段13の受光部13aへの光路と垂直方向から第2ハーフミラー16に向かって光を照射するように、発光手段15を配置する。第2ハーフミラー16で反射された光は、第1ミラー手段14で反射され、第1ハーフミラー11に向かって進行して第1ハーフミラー11を透過して、検査区域Tに照射される。第1ミラー手段14を回動させるようことにより、第1ミラー手段14での光の方向が変化して、検査区域Tに向けて照射方向を変化させながら照射される入射光Lとして実現することもできる。検査区域Tに至るまでに、第1ハーフミラー11と、内部ミラー部材12との間を複数回反射しながら、検査区域Tに至ることも含まれる。
【0022】
検査区域Tに照射された光は、所定の経路を通って、受光部13aに至り、撮像手段13により、表面画像として撮影される。この場合、検査区域Tに欠陥が存在しない場合には、第1ミラー手段14には、必ず予定した方向から反射光が戻ってくる。たとえば、発光手段は、検査対象物の表面の検査領域Wの検査区域Tから鉛直方向に検査区域Tに向けて固定的に照射される入射光Lとして実現する場合(たとえば、図2,図3)では、第1ハーフミラー11を透過して検査区域Tに照射される入射光Lと検査区域Tで反射した第1反射光Lとは同じ方向(当初から予定される「所定の向き」)に沿って到達した光路を逆進する。その結果、第1ハーフミラー11に至った第1反射光Lは第1ハーフミラー11を透過して内部ミラー部材12に至って内部ミラー部材12で反射して第2反射光Lとなる。そして、第1ハーフミラー11で反射されて第3反射光Lとなって第1ミラー手段14に入射した後に反射されて受光部13aに至る。
【0023】
しかし、検査区域Tに欠陥が存在する場合には、検査区域Tで反射した第1反射光L1は入射光Lとは、必ずしも同じ方向に反射しない。したがって、検査区域Tに欠陥が存在する場合には、上記経路とは異なる光路を通って第1ミラー手段14に至るため、前記所定の向きと異なる方向に第1ミラー手段14が向いた際に、第1ミラー手段14が内部ミラー部材12で反射した第3反射光Lを受光し、撮影手段の受光部13aに光を導くことになる。
【0024】
これは、発光手段15からの光を、検査区域Tに向けて照射方向を変化させながら照射される入射光Lとして実現した場合でも同様である。検査区域Tに欠陥が存在しない場合には、第1ミラー手段14が第2ハーフミラー16からの光を反射させた方向と同じ方向から反射光が戻ってくる。しかし、検査区域Tに欠陥が存在する場合には、検査区域Tで反射した第1反射光L1は表面状態によって、異なる方向に向けて反射するから、検査区域Tに欠陥が存在しない場合に第1ミラー手段14が向いている方向から第3反射光Lを受光し、撮影手段の受光部13aに光を導くことになる。
【0025】
このように、検査区域Tにおいて、欠陥が存在する場合と存在しない場合との間で、反射光の受光経路が異なるので、撮影された表面画像の画素データからは、欠陥が存在する場合と存在しない場合との間に違いを生じる。したがって、これを評価することにより、欠陥の有無およびその種類を検出することができる。
【0026】
なお、発光手段15から出射される光は、平行光線である必要はない。しかし、発光手段15から出射される光または、受光部13aで受光する光の少なくとも一方が、平行光であるとよい。これにより、反射光が乱れることを防ぎ、検出精度を向上することができる。したがって、受光部13aには、複数のレンズを組合せた第1レンズ手段が配置され、第1ミラー手段14から導かれる光を平行光として撮影手段13に導くようにすることが好ましい。撮影手段13では、平行光化された検索域Tの反射光により、表面画像を撮影する。または、発光手段15から出射される光を第2レンズ手段により、平行光線とすることも好ましい。
【実施例】
【0027】
(実施例1)
図5および図6,図7から図9を参照して、本発明の実施例1の欠陥検出装置1について説明する。実施例1は、前記の実施の形態において、光の照射方向を検査対象物の表面に対して鉛直方向に沿って固定した形態(図2,図3)に対応する。図5は、欠陥検出装置1の外観を示した図である。図6は、欠陥検出装置1を動作させるための、制御系の構成の概略を示した図である。図7は、図5の断面X−Xの箇所からみた際において、欠陥が存在しない場合の反射光の進行状態を示している。一方、図8は、図5の断面X−Xの箇所からみた際において、欠陥が存在する場合の反射光の進行状態を示している。また、図9は、拡散光を照射した場合に、図5の断面X−Xの箇所からみた断面における反射光の進行状況を示している。欠陥検出装置1は、検査ヘッド2と、撮像制御部3とを具備する。
【0028】
図5では、検査対象たるワーク5が、ワーク支持台6に取り付けられ、ワーク5は、ワーク5の表面のうち、欠陥の有無を確認しようとする検査対象面5aを検査ヘッド2に向けて配置する。ここで、検査対象面のうち、検査区域5aと定義する。したがって、欠陥の検査は、検査区域5aの位置をずらしながら検査対象面内の検査領域の全てを検査することを意味する。検査区域5aは、検査ヘッド2の下側中央にあたる所定の位置に配置させるように設定する。
【0029】
検査ヘッド2は、第1ハーフミラー11と、内部ミラー部材12と、撮影手段13と、発光手段15と、第1ミラー手段14と第2ミラー手段17とを具備する。検査ヘッド2を所定の位置に移動させるための姿勢コントロール装置としては、代表的には、多関節ロボットアーム25とすることができる。図6に示すとおり、多関節ロボットアーム25は、ロボット制御装置34に接続されている。ロボット制御装置34は、先端に取り付けられている検査ヘッド2の撮影手段13の受光部13aが、検査区域5aに正対し、検査区域5aの表面に対して鉛直方向に受光部13aが位置するように多関節ロボットアーム25の関節を移動させる。
【0030】
ワーク支持台6は、たとえば、水平方向の一方向に可動なXテーブル26と、Xテーブル26の可動方向と直交する方向に可動なYテーブル27とを具備している。さらに、回転テーブル28を付加することもできる。ワーク支持台6のXテーブル26と、Yテーブル27と、回転テーブル28とは、ステージ制御装置35に接続され、水平方向において、直交する2方向にワーク5を移動させ、または水平面内を回転させることが可能である。
【0031】
撮像制御部3は、制御部32と、照明装置33とを具備する。発光手段15は照明装置33に接続され、照明装置33から電圧の供給を受けて点灯および消灯を行う。照明装置33は制御部32に接続されている。制御部32は、照明装置33に供給させる発光手段15への電圧を調整して、発光手段15の点灯および消灯のタイミング、および第1ミラー手段14と第2ミラー手段17の回転,撮影手段13の撮影のタイミングを制御することが可能である。制御部32はロボット制御装置34に接続されている。制御部32は、多関節ロボットアーム25に対し多関節ロボットアーム25の関節の動作の指令を送信するとともに、多関節ロボットアーム25の状態の情報を受信することが可能である。
【0032】
第1ハーフミラー11は、検査対象物の表面に対して鉛直方向に対して傾いて配置される。傾き角度は、検査対象物の表面に対してほぼ45度の角度である。発光手段15は、検査区域5aに対向するように検査対象物の表面に対して鉛直方向の検査ヘッド2の箇所に配置され、第1ハーフミラー11に向かって光を照射可能である。内部ミラー部材12は、内面が鏡面加工された部材であり、第1ハーフミラー11を覆うように配置される。内部ミラー部材12の内面の鏡面部の少なくとも一部は、第1ハーフミラー11と対向している。内部ミラー部材12は、鏡面である内面が球面を構成し、所定の状態でその球の中心部に検査区域5aが位置するような位置関係に配置される。撮影手段13は、受光部13aに侵入した光を受光して、検査対象物5の検査区域5aの画像を撮影する。撮影手段13の受光素子部は、たとえば、CCDまたはCMOSの高速カメラとすることができる。
【0033】
図7に示すように、第1ミラー手段14および第2ミラー手段17は、それぞれ表面が鏡面であって、光を撮影手段13の受光部13aに光を導くガルバノミラーである。第2ミラー手段17は、反射光の光路において、第1ミラー手段14と第1ハーフミラーとの間に配置され、第ハーフミラー11で反射され撮影手段13の受光部13aに向かう第3反射光Lを第1ミラー手段14に向けて反射し、第1ミラー手段14を介して反射光を撮影手段13の受光部13aに導くようにも動作する。
【0034】
第1ミラー手段14は、一の回動軸14aまわりに回動可能であって、たとえば、検査対象物の表面に近い側の第1ハーフミラー11の任意の箇所と検査対象物の表面と遠い側の第1ハーフミラー11の任意の箇所との間の一の方向(以下、「X軸」)に沿って第1ミラー手段14の表面が連続的に向きながら回動可能である。第1ハーフミラー11における検査対象物の表面に近い側と検査対象物の表面と遠い側との間のいずれの方向から来た光をも走査することができる。第2ミラー手段17は、第1ミラー手段14の回動軸14aと平行な回動軸17a周りに回動可能であって、第1ミラー手段14の向きと同期して第1ハーフミラーからの第3反射光Lを第1ミラー手段14に向けて反射可能である。これにより、第2ハーフミラー17もX軸に沿って第2ミラー手段17の表面が連続的に向きながら回動可能となる。第1ミラー手段14の回動軸14a周りの回動と、第2ミラー手段17の回動軸17a周りの回動とを同期させることにより、第3反射光Lを常に一定の方向で撮影手段13の受光部13aに入射させることが可能となる。さらに、第1ミラー手段14は、回動軸14aと垂直な回動軸14bまわりに回動可能であって、第2ミラー手段17も、その回動軸14bと平行な回動軸17b(回動軸17aと垂直方向の回動軸)周りに回動可能である。これによって、たとえば、X軸と垂直な方向(以下、「Y軸」)に沿って、第1ミラー手段14および第2ミラー手段17の表面のそれぞれが連続的に向きながら回動可能となり、第1ミラー手段14および第2ミラー手段17は、第1ハーフミラー11の全面に対して2次元方向の光の走査を行うことが可能となる。
【0035】
発光手段15は、第1ハーフミラー11に向かって光を照射する。発光手段としては、検査対象物の表面に鉛直方向に沿って検査区域5aに向かって光を照射することができれば、どのような光源であっても利用することができる。拡散光源であっても利用できる。しかし、特に、平行光線を照射することができれば、特に有利な効果を奏する。図7および図8では、平行光線の例を説明している。この場合、発光手段15には、発光素子21とレンズ22とが配置され、平行光を射出可能である。発光素子21としては、代表的には、発光ダイオードであるが、レンズ22との組合せにより平行光線とすることができる限り、その他の照明部材を使用することができる。なお、本実施例では、発光手段15は、検査区域5aに対向するように検査対象物の表面に対して鉛直方向の検査ヘッド2の箇所に配置して例を示しているが、実施の形態で説明したように、図3のように、第2ハーフミラー16を使用することにより、照射方向を変えて配置することも可能である。光の照射方向を検査対象物5の表面の検査領域の検査区域5aから鉛直方向に沿って、検査区域5aに向けて固定的に照射される入射光Lとして実現することができればよい。
【0036】
なお、発光手段15または受光部13aで受光する光の少なくとも一方が、平行光であることが好ましい。これにより、反射光が乱れることを防ぎ、検出精度を向上することができる。したがって、図7に示すように、受光部13aには、複数のレンズを組合せたテレセントリックレンズ系レンズ列としての第1レンズ手段13cが配置され、第1ミラー手段14から導かれる光を平行光として撮影手段13に導くようにされている。さらに、受光部13aには、瞳転送系レンズ列13dを配し、第1レンズ手段13cと瞳転送系レンズ列13dとの間の入射瞳Aを、第1ミラー手段14と第2ミラー手段17との間の入射瞳A’に転送することで、第1ミラー手段14と第2ミラー手段17の角度変更感度を高めている。これによりガルバノミラーたる第1ミラー手段14と第2ミラー手段17の視線変更角度を大きくすることができ、また、数百マイクロ秒から数ミリマイクロ秒の高速のガルバノミラー反応速度と相まって、多方向の撮影を短時間で実現することができる。
【0037】
続いて、図7、図8および図9を参照して入射光と反射光の経路について説明する。なお、図7では、第1ミラー手段14および第2ミラー手段17は、それぞれ2軸方向に回動可能であるように図示しているが、以下、図8、図9においては、説明の簡略化のために一軸方向のみに回動可能に図示している。しかし、図8、図9においても、第1ミラー手段14および第2ミラー手段17は、それぞれ2軸方向に回動可能である。以下図7、図8および図9を参照して入射光と反射光の経路について説明では、第1ミラー手段14の回動軸14aと、第2ミラー手段17の回動軸17aとまわりの回動として説明する。まず、発光手段15が照射した光は、検査対象物5の表面に鉛直な方向に沿って、検査区域5aに向かって進行し、第1ハーフミラー11を透過して入射光Lとなって検査区域5aに照射される。
【0038】
図7に示すように、検査区域5aに欠陥がない場合には、入射光Lは検査区域5aで反射されて第1反射光Lとなる。第1反射光Lは第1ハーフミラー11に向かって進行する。第1ハーフミラー11に至った第1反射光Lは第1ハーフミラー11を透過して内部ミラー部材12に至り、内部ミラー部材12で反射して第2反射光Lとなる。第2反射光Lは第1ハーフミラー11に向かって進行して第1ハーフミラー11で反射して第3反射光Lとなり、第3反射光Lは第2ミラー手段17に向かって進行して第2ミラー手段17で反射する。第2ミラー手段17で反射した反射光は、第1ミラー手段に入射して反射し、撮影手段13の受光部13aに向かって進行する。受光部13aで受光された光で、撮影手段13は受光部13aにより受光した光により表面の検査区域5aの画像を撮影する。
【0039】
しかし、図8に示すように、検査区域5aに欠陥が存在する場合には、検査区域5aで反射した第1反射光Lは入射光Lとは、必ずしも同じ方向に反射せず、欠陥の面の不規則性に応じて様々な方向に反射する。したがって、検査区域5aに欠陥が存在する場合には、欠陥がない場合における反射光の経路とは異なる光路を通って第2ミラー手段17に至る。したがって、欠陥が存在しない場合における第2ミラー手段17と異なる方向に、第2ミラー手段17が向いた際に(撮影手段13の視線を変更した際に)、第2ミラー手段17が内部ミラー部材12で反射した欠陥部に当たって反射した第3反射光Lを受光し、第1ミラー手段14を介して撮影手段の受光部13aに光を導くことになる。すなわち、検査区域5aにおいて、欠陥が存在する場合と存在しない場合との間で、反射光の受光経路が異なるので、撮影された表面画像の画素データからは、欠陥が存在する場合と存在しない場合との間に違いを生じる。したがって、画素データを処理して配光分布を照合して比較すれば、欠陥の存在と種類を把握することが出来る。
【0040】
また、図9に示すように、発光手段15として同軸面拡散照明光15aを採用すれば、検査区域5aに欠陥が存在する場合には、拡散光である入射光Lは角度をもって検査区域5aに入射し、検査区域5aで様々な方向(たとえば第1反射光L1aおよび第1反射光L1b)に反射することになる。しかし、様々な方向に反射したとしても、第1反射光L1aおよび第1反射光L1bは、欠陥が存在しない検査対象物により予め予測できる規則的な反射である。したがって、検査区域5aで反射される第1反射光L1aおよび第1反射光L1b、内部ミラー部材12で反射される第2反射光L2aおよび第2反射光L1b、第1ハーフミラー11で反射されて第2ミラー手段17に入射する第3反射光L3aおよび第3反射光L3bのいずれもが予測されたとおりに進行して、最終的に受光部13aを介して撮影手段13に入射して撮像ができる。一方、欠陥が存在する場合には、欠陥の面の不規則性に応じて様々な方向に反射する。検査区域5aに欠陥が存在する場合には、欠陥がない場合における第1反射光L1aおよび第1反射光L1bとは異なる方向に反射するはずなので、その後も異なる光路を通って第2ミラー手段17に至ることになる。この点、拡散光を用いた場合の散乱の度合いは平行光線の場合以上に大きくなるが、欠陥が存在する場合には、検査区域5aからの反射光は欠陥が存在しない場合とは異なる光路を進む点では違いがない。すなわち、図8に示した平行光の場合と同じく、検査区域5aに欠陥が存在する場合には反射光の受光経路は予測された光路と異なっているので、撮影した表面画像の画素データを処理して配光分布を照合して比較すれば、欠陥の存否と種類を把握することが出来る。
【0041】
欠陥の判定のための画像は、第1ミラー手段14および第2ミラー手段17のなす角度に対しての検査区域5aの表面映像として関連付けられればよい。すなわち、制御部32は、第1ミラー手段14および第2ミラー手段17のなす角度に応じて撮影手段13が検査区域5aの表面の画像を撮影するように制御し、撮影された表面画像と、これらの角度とを関連付けた情報を生成する。生成された情報は、記憶装置(不図示)等に格納することができる。反射光の方向は、たとえば、検査対象面(水平面)内の任意の一方向をX軸(たとえば、ワーク支持台6のXテーブル26の可動方向など)とし、これに直交する方向をY軸(たとえば、ワーク支持台6のYテーブル27の可動方向など)とし、水平状態の検査区域5aの表面に対して鉛直方向をZ軸と仮定し、X軸からのZ軸に反時計周りを正とした方向の偏角θと、Z軸からの偏角φとにより、極座標(θ,φ)として表すことができる。第1ミラー手段14および第2ミラー手段17が直交する2方向に回動可能であることにより、2次元面において、検査対象物の面の方向を変更することなく、異なる方向から光を照射することができるので、どの方向からの照光であろうとも、変換をすることなく検査区域5aの面に対する共通の極座標(θ,φ)として表すことができる。
【0042】
制御部32は、画像形成装置31に接続されている。撮影手段13により撮影され、制御部32に取得された表面画像は画像形成装置31に送られる。表面画像は一時的にメモリ(不図示)に格納される。画像形成装置31は、格納されている多方向から照射した光に対応した表面画像の全画素データを組み合わせ、検査領域全体の擬似配光分布を計算する。擬似配光分布は、任意の偏角θの二次元面内において、輝度(反射光強度)をベクトル量とし、検査区域5aからの反射光の方向の偏角φをベクトルの要素として表した二次元面上における反射光の強度分布である。計算された擬似配光分布から、検査領域の全画素の特徴量を算出する。特徴量は、撮影された表面画像の画素値から、反射光強度(輝度)Iとその際の偏角φとにより、F(I,φ)と定義する。発光手段15が、撮影手段13を中心として全方位(360度)に配置されているため、欠陥が存在する場合には、いずれかの方向に反射特性の差異が現れる。また、その反射特性の差異は、欠陥の種類によっても異なる。したがって、これを偏角θ(θ=0〜360°)における各面の特徴量F(I,φ)として予め把握しておけば、この特長量の比較によって、欠陥の種別を把握することができる。
【0043】
ここで、本実施例において、欠陥の検出および種類の判別において、表面画像を撮影するために光を照射した際の反射光と、予め正常部に光を照射した際の反射光との間における、擬似配光分布上の反射特性の差異(測定公差量を超えたもの)の指標として、「予め正常部において取得した反射光強度」に対しての「測定された反射光強度」を、照射した光の方向(検査対象面の法線に対する角度)に対応させた値により判別する。具体的には、任意の偏角θにおける正常面における擬似配光分布において、特徴量F(In,φn)(−90°<n<90°)を求める。一方、同じ偏角θにおいて欠陥検査のために撮影した表面画像により求めた擬似配光分布とから、特徴量F(Im,φm)(−90°<n<90°)を求める。特徴量Fと特徴量Fと同一の偏角φm(=φn)のときの特徴量の比(Im/In)が最大となる偏角を求める。予め欠陥の種類ごとに特徴量の比を閾値THとして取得しておいて、測定された画像から求められた特徴量の比と閾値を比較して、測定された特徴量比がTHを超えた場合には、欠陥と認定する。
【0044】
続いて、図10を参照して、欠陥検出の手順に説明する。まず、ワーク支持台6にワークを載置する。そして、検査ヘッド2の所定の位置に検査区域5aが位置するように、ワーク支持台6のXテーブル26、Yテーブル27または回転テーブル28を回転し、多関節ロボットアーム25の関節を作動させる(S1)。制御部32により、第1ミラー手段14と第2ミラー手段17を回動させて、撮影手段13に入射する光の方向を調整する(カメラたる撮影手段13の視線を変更する)(S2)。撮影手段で撮影を行う(S3)。欠陥がない場合において反射光が受光されると予想できる方向(図8に対応する水平方向)において撮影した基準表面画像と、第1ミラー手段14と第2ミラー手段17を回動して撮影手段の視線を変更した際に撮影した表面画像とを照合する(S4)。ここで、第1ミラー手段14と第2ミラー手段17の角度のずれ量および視線角(撮影手段の視線角度およびずれ量)を算出する(S5)。第1ミラー手段14と第2ミラー手段17の角度のずれ量および視線角(撮影手段の視線角度およびずれ量)に基づいて、欠陥がない場合において反射光が受光されると予想できる方向で撮影した基準表面画像に変換する(S6)。ここで、全画素の輝度値と1ミラー手段14と第2ミラー手段17の角度(視線角)をメモリに保存する(S7)。指定される全ての角度に対して、これらのステップを繰り返して実行した後(S8)に、撮影した全表面画像について、全画素の擬似配光分布を計算する(S9)。擬似配光分布から特徴量を算出し(S10)検査領域の全画素について欠陥の種別を判定する(S11)。欠陥の種別ごとにグループ化(S12)して、欠陥の種類ごとの特徴量を算出し、欠陥の閾値を判定する(S13)。全検査部位を検査し終えたら、欠陥が許容値内であるか否かを判定する(S14)。なお、第1ミラー手段14と第2ミラー手段17の角度は、機械的に角度変更限度(たとえば、−60度から+22.5度)があるため、視線角度に不足がある場合には、回転ステージ28で検査対象物5を180度回転させて逆方向から上記ステップS2からS7を再度行って、擬似配光分布を求めても良い。
【0045】
ここで、本実施例における光学系において、図15から図17、図18と図19,図20と図21,および図22と図23を参照して、本実施例における欠陥検査装置1が如何に有利な効果を奏するかを説明する。非欠陥部の例として、図15に示す表面画像のように段差(高さ3マイクロメートル)を有している場合と、欠陥部の例として図16に示す表面画像のように段差(高さ8マイクロメートル)を有している場合および図17に示す表面画像のように圧着痕を有している場合と、を挙げる。
【0046】
図15に示した段差(高さ3マイクロメートル)を有している表面における欠陥検出の場合において、図15に円で示した検査区域として本実施例の欠陥検出装置により測定し計算した擬似配光分布を図18に示す。この擬似配光分布では、欠陥の無い正常部において予め取得した反射光強度51と、欠陥検出のために測定された段差部の反射光強度52とを重ねて示している。この例では、正常部において予め取得した反射光強度51(ベクトル量)の分布は全方位に対してほぼ均等な扇形を示しており、またに段差部の反射光強度52(ベクトル量)では、その大きさが若干低いものの、分布は均等であることがわかる。また、正常部において予め取得した反射光強度51(ベクトル量)の最大値bに対する欠陥検出のために測定された段差部の反射光強度52(ベクトル量)の最大値aの比(以下、「配光分布比(a/b)」とよぶ)は、1.2となる。
【0047】
図16に示した段差(高さ8マイクロメートル)を有している表面における欠陥検出の場合において、図16に円で示した検査区域として本実施例の欠陥検出装置により測定し計算した擬似配光分布を図20に示す。欠陥と判定されるこの例のように、高低が大きい段差の擬似配光分布では、均等な分布を示す正常部において予め取得した反射光強度51(ベクトル量)よりも、欠陥検出のために測定された段差部の反射光強度52(ベクトル量)が特に一方向(図20の左側)に向かって強い偏りをもっていることが明確にわかる。また、配光分布比(a/b)も25.2と特に高い値を示す。
【0048】
図17に示した圧着痕を有している表面における欠陥検出の場合において、図17に円で示した検査区域として本実施例の欠陥検出装置により測定し計算した擬似配光分布を図22に示す。この例でも均等な分布を示す正常部において予め取得した反射光強度51(ベクトル量)よりも、測定された段差部の反射光強度52(ベクトル量)が特に一方向(図22の右側)に非常に強い偏りをもっていることがわかる。また、この偏りは、段差(高さ8マイクロメートル)の場合の擬似配光分布とは異なった傾向であることが明白である。この場合の配光分布比(a/b)は2.3であり、段差(高さ8マイクロメートル)の場合よりも低いが、非欠陥部における値1.2よりも高い値を示している。
【0049】
図19,図21,図23は、それぞれ、従来の方法での同軸広角投受光の場合における擬似配光分布である。図19,図21および図23に示したとおり、同軸広角投受光光学系の場合には、高さが3マイクロメートルの段差と、8マイクロメートルの段差と、圧着痕とにおいて、予め正常部において取得した反射光強度52の擬似配光分布と、測定された反射光強度51の擬似配光分布の形状および各方向への反射光強度のベクトル量に、平行投受光光学系の場合における擬似配光分布ほどの顕著な差がみられない。 特に、同軸広角投受光光学系の場合には、欠陥と判断されるべき高さ8マイクロメートルの段差の擬似配光分布(図21)と、圧着痕(図23)においては、その形状に大きな違いがなく、欠陥の種類の判別が困難であることがわかる。
【0050】
また、欠陥とはならない高さ3マイクロメートルの段差の場合の擬似配光分布では、平行投受光光学系における配光分布比(a/b)が1.2(図18)であるのに対し、同軸広角投受光光学系における配光分布比(a/b)は1.1(図19)と、ほぼ近接する。これが、欠陥と認定される高さ8マイクロメートルの段差の場合の擬似配光分布の場合では、平行投受光光学系における配光分布比(a/b)は25.2(図20)と高さ3マイクロメートルの段差の場合よりも高い感度で大きく変化した。しかし、同軸広角投受光光学系における配光分布比(a/b)は1.6(図21)と高さ3マイクロメートルの段差の配光分布比(a/b)である1.1(図19)に対して、変化が小さい。すなわち、平行投受光光学系を利用する本発明により得られる配光分布比(a/b)は、欠陥に対して非常に高い感度を有するので、欠陥による特徴の比較を高い感度で行うことが出来、高い精度の欠陥の検出・判定が可能となる。
【0051】
このように、本実施例における光学系で、平行投受光を実現するにより、配光分布比(a/b)は、圧着痕の場合で2.3にまで感度をあげることができる。これは、同軸面照明と通常レンズとを組合せた同軸広角投光およびその反射光を受光する同軸広角投受光光学系を利用した場合に比べて非常に高い値である。すなわち、欠陥部の有無の判定および欠陥部の種類の分類において、欠陥に対する感度が高く判別が容易であることを意味する。
【0052】
(実施例2)
続いて、図11,図12,図13および図14を参照して、本発明の実施例2の欠陥検出装置1について説明する。実施例2は、実施の形態において、検査区域5aへの入射光の入射方向を変化させた形態に対応する。ここでは、実施例1と異なる部分について説明する。図11に示すように、本実施例では、発光手段15は、撮影手段13の受光部13aに取り付けられる点が実施例1と異なっている。図12は、図11の断面Y−Y部を示した検査ヘッド2内の光路を示す。
【0053】
図12に示すように、実施例2では、第2ハーフミラー16を、第1ミラー手段14と、撮影手段13との間に配置し、第1ミラー手段14から撮影手段13に至るまでの反射光の光軸に対して45度の角度で配置している。そして、第1ミラー手段14から撮影手段13に至るまでの反射光の光軸に垂直方向に発光手段15から光を入射し、第2ハーフミラー16で反射して、第1ミラー手段14から撮影手段13に至るまでの反射光の光軸に沿って、第1ミラー手段14に向けて入射光Lが進行する。第1ミラー手段14で反射された光は、第2ミラー手段17に入射して反射して、第1ハーフミラー11に向かって進行する。ここで、図12の破線のように第2ミラー手段17の回転角度を連続的に変更することにより、その角度に応じて、たとえば、入射光Lのみならず、さらに入射光Lのように、入射光方向を変化させながら光を検査区域5aに向けて、照射することができる。また、受光部13aには、複数のレンズを組合せたテレセントリックレンズ系レンズ列としての第1レンズ手段13cを配置して、第1ミラー手段14から導かれる光を平行光として撮影手段13に導くようにされている点も実施例1と同様である。さらに、受光部13aに、瞳転送系レンズ列13dを配し、第1レンズ手段13cと瞳転送系レンズ列13dとの間の入射瞳Aを、第1ミラー手段14と第2ミラー手段17との間の入射瞳A’に転送することも実施例1と同様である。このようにすることで、後述するように、発光手段15として同軸広角光照明15aを採用した図14のような場合であっても、拡散光を第2ハーフミラー16に向けて照射した場合においても、撮影手段13において撮影する際に撮影手段13が平行光として受講することになるので、発光手段が拡散光であっても平行光の場合と同じ効果を奏するようにできる。
【0054】
欠陥の判定の原理は、実施例1と同様に、撮影画像を、欠陥が存在しない場合の画像と照合して判定する。まず、図12に示すように第1ミラー手段14と第2ミラー手段17とを回動させて、検査区域5aに他方から光を照射した状態における画像を撮影する。入射光Lに対して検査区域5aで反射した第1反射光L1aは内部ミラー部材12に至って反射されて第2反射光L2aとなる。第2反射光L2aは、第1ハーフミラー11で反射され第3反射光L3aとなって第2ミラー手段17に向かい、そこで反射した後に第1ミラー手段14に至る。検査区域5aに欠陥が存在しない場合には、第1反射光L1aは、その後、内部ミラー部材12で反射される第2反射光L2a、第1ハーフミラー11で反射されて第2ミラー手段17に入射する第3反射光L3aとなって進行し、所定の光路をとって第1ミラー手段17に至る。しかし、図13に示すとおり、検査区域5aに欠陥が存在する場合には、検査区域5aで反射する反射光は欠陥が存在しない場合の第1反射光L1aとは異なる方向に進行して内部ミラー部材12に至る。そのため、その後、内部ミラー部材12での反射の方向も、第1ハーフミラー11での反射の方向も、欠陥が存在しない場合と異なる経路を通って第2ミラー手段17に至ることになる。したがって、第1ミラー手段14および/または第2ミラー手段17が、欠陥が存在しない場合に予め予測される方向とは異なる方向を向いた際に、反射光を受光し、撮影手段13の受光部13aに光を導くことになる。したがって、制御部32では、第1ミラー手段14および第2ミラー手段17のなす角度に対しての検査区域5aの表面映像として関連付けて処理する点で、実施例1と同様の画像処理を行うことで、欠陥の判定を行うことができ、撮影された表面画像の画素に基づいて、配光分布を求めて、特徴量の比から欠陥の検出および判別を行う点は、実施例1と同じである。また、これは、同軸広角光照明15aを採用した図14のような場合も、同じである。すなわち、同軸広角光照明15aから出射された光は拡散光として第1ミラー手段14および第2ミラー手段17を介して拡散光の入射光Lとなって検査区域5aに至ることになる。入射光Lの正規率が低いために、検査区域5aにおいて、たとえば、第1反射光L1aと第1反射光L1bのように、様々な方向に反射する。しかし、このそれぞれの方向は、欠陥が無い場合に予め測定した方向では一定のルールにしたがった方向となる。そして、内部ミラー12による第2反射光L2aと第2反射光L2b、第1ハーフミラー11による第3反射光L3aと第3反射光L3bとして進行し、第2ミラー手段17に入射する。この反射光は欠陥が無い場合には、予定された光路であるため第1ミラー手段14および第2ミラー手段17は所定の向きで受光することになる。しかし、欠陥が存在する場合には、検査区域5aにおける反射光は、欠陥が存在しない場合の反射光とは異なるように反射するから、その後の反射光も欠陥が存在しない場合と異なるように進行する。そのため、第1ミラー手段14および第2ミラー手段17は、欠陥が存在しない場合に予定された向きと異なる向きで反射光を受光することになる。すなわち、発光手段15から出射された光が拡散光であっても、欠陥検出の原理は同一である。
【0055】
本実施例における光学系において、実施例1と同様に、図15から図17、図24と図25,図26と図27,および図28と図29を参照して、本実施例における欠陥検査装置1が如何に有利な効果を奏するかを説明する。
【0056】
図15に示した段差(高さ3マイクロメートル)を有している表面における欠陥検出の場合において、図15に円で示した検査区域として本実施例の欠陥検出装置により測定し計算した擬似配光分布を図24に示す。この擬似配光分布では、正常部において予め取得した反射光強度51と、欠陥検出のために測定された段差部の反射光強度52とを重ねて示している。この例では、正常部において予め取得した反射光強度51(ベクトル量)の分布は全方位に対してほぼ均等な扇形を示しており、またに欠陥検出のために測定された段差部の反射光強度52(ベクトル量)は、その大きさが若干低いものの、分布は均等であることがわかる。また、正常部において予め取得した反射光強度51(ベクトル量)の最大値bに対する測定された欠陥検出のために測定された段差部の反射光強度52(ベクトル量)の配光分布比(a/b)は、0.73となる。
【0057】
図16に示した段差(高さ8マイクロメートル)を有している表面における欠陥検出の場合において、図16に円で示した検査区域として本実施例の欠陥検出装置により測定し計算した擬似配光分布を図26に示す。欠陥と判定されるこの例のように、高低が大きい段差の擬似配光分布では、均等な分布を示す正常部において予め取得した反射光強度51と、(ベクトル量)よりも、欠陥検出のために測定された段差部の反射光強度52(ベクトル量)が特に一定の方向(図26の水平両側)に向かって強い偏りをもっていることが明確にわかる。また、配光分布比(a/b)も5.0と高い値を示す。
【0058】
図17に示した圧着痕を有している表面における欠陥検出の場合において、図17に円で示した検査区域として本実施例の欠陥検出装置により測定し計算した擬似配光分布を図28に示す。この例でも均等な分布を示す正常部において予め取得した反射光強度51(ベクトル量)よりも、欠陥検出のために測定された段差部の反射光強度52(ベクトル量)が特に一方向(図28の右側)に非常に強い偏りをもっていることがわかる。また、この偏りは、段差(高さ8マイクロメートル)の場合の擬似配光分布とは異なった傾向であることが明白である。この場合の配光分布比(a/b)は2.5である。
【0059】
図24,図26および図28では、同軸広角投受光光学系を利用した従来例である図25,図27および図29とは異なる擬似配光分布がみられ、これらに比べて非常に高い値である。すなわち、実施例2においても、実施例1と同様に、欠陥部の有無の判定および欠陥部の種類の分類において、欠陥に対する感度が高く判別が容易である。
【0060】
なお、欠陥の存否については、前記の方法でなくと、別の方法により判定することもできる。欠陥の高さについては、撮影された画像の画素値であらわされる反射光の明度で、認識をすることが可能となる。したがって、特徴量の比を閾値THに対応する明度の2値化データを予め決定しておき、撮影された画像の画素値のすべてについての明度が、閾値の明度の2値化データより大きいか小さいかを判定する。そして、各画素において、それが閾地の明度の2値化データより大きい場合には最低明度の2値を付与し、小さい場合には最高明度の2値を付与する。これにより、反射光に特異な差異がみられる箇所の画素はたとえば黒に対応した画素が、一方、特異な差異がみられない箇所はたとえば白に対応した画素が付与された画像ができる。欠陥の大きさについては、特異な差異の広がりにより判別することができる。したがって、これを異なる方向から光線を当てて撮影した全ての画像の画素値について行って合成すれば、たとえば黒の画素が大きい箇所は、欠陥が存在すると判定することも可能となる。
【符号の説明】
【0061】
1 欠陥検出装置
2 検出ヘッド
5 検査対象物(ワーク)
11 第1ハーフミラー
12 内部ミラー部材
13 撮影手段
14 第1ミラー手段
15 発光手段
17 第2ミラー手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物の表面に生じた欠陥を検出して判定する欠陥検出装置であって、前記欠陥検出装置は、
受光部に侵入した光を受光して、前記表面の検査区域の画像を撮影する撮影手段と、
表面が鏡面であって、光を前記撮影手段の受光部に導くための第1ミラー手段と、
検査対象物の表面に対して45度の角度で傾いて配置される第1ハーフミラーと、
内面が鏡面であって、前記鏡面の少なくとも一部が前記第1ハーフミラーを向いて前記第1ハーフミラーを覆うように配置される内部ミラー部材と、
光を照射する発光手段とを備え、
前記発光手段が照射した光は、前記第1ハーフミラーを透過して前記表面の検査区域に照射される入射光となり、
前記入射光は前記検査区域で反射されて第1反射光となり、
前記第1反射光は前記第1ハーフミラーに向かって進行して前記第1ハーフミラーを透過して前記内部ミラー部材に至り、前記内部ミラー部材で反射して第2反射光となり、
前記第2反射光は前記第1ハーフミラーに向かって進行し、前記第1ハーフミラーで反射して第3反射光となり、
前記第3反射光は前記第1ミラー手段に向かって進行し、前記第1ミラー手段で反射して前記撮影手段の受光部で受光され、
前記撮影手段は前記受光部により受光した光により前記表面の検査区域の画像を撮影することを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の欠陥検出装置であって、
前記第1ミラー手段は、前記第1ハーフミラーの反射面が、前記第1ハーフミラーにおける前記検査対象物の表面に近い側と前記検査対象物の表面と遠い側との間の一の方向に沿って、連続的に向きが変化するように回動可能であって、前記第3反射光を前記受光部に導くことを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の欠陥検出装置であって、
前記欠陥検出装置は、さらに、前記第1ミラー手段で反射された光が前記撮影手段の受光部に侵入するまでの光路上に配置される第1レンズ手段を備え、
前記第1レンズ手段は、前記撮影手段の受光部に侵入する光を平行光線に調整することを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の欠陥検出装置であって、
前記欠陥検出装置は、
前記検査区域に欠陥が存在する場合には、前記検査区域で反射した前記第1反射光は前記発光手段が照射した光が前記第1ハーフミラーを透過して前記表面の検査区域に向かって照射されるまでの経路と異なる方向に進行し、前記第1ハーフミラーを透過して前記内部ミラー部材に至り、前記内部ミラー部材で反射した反射光は前記第1ハーフミラーに向かって逆進して前記第1ハーフミラーで反射され、前記検査区域に欠陥が存在しない場合において前記第1ミラー手段が前記第3反射光を受光する向きと異なる方向に前記第1ミラー手段が向いた際に、前記第3反射光を受光して前記撮影手段の受光部に光を導くことを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の欠陥検出装置であって、
前記欠陥検出装置は、さらに、表面が鏡面である第2ミラー手段を備え、
前記第2ミラー手段は、前記第3反射光が進行する光路において、前記第1ハーフミラーと前記第1ミラー手段との間に位置し、前記一の方向と直交する方向に沿って、連続的に向きが変化するように回動可能であって、
前記第2ミラー手段は、前記第3反射光を反射して前記第1ミラー手段に向けて導き、前記第1ミラー手段で前記反射光を反射させて前記撮影手段の受光部に導くことを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の欠陥検出装置であって、
前記欠陥検出装置は、
前記検査区域に欠陥が存在する場合には、前記検査区域に欠陥が存在しない場合において前記第1ミラー手段および/または前記第2ミラー手段が第3反射光を受光する向きと異なる方向に前記第1ミラー手段および/または前記第2ミラー手段が向いた際に、前記第3反射光を受光して前記撮影手段の受光部に光を導くことを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の欠陥検出装置であって、
前記発光手段は前記検査対象物の前記表面の検査区域から鉛直方向に沿って前記第1ハーフミラーを介して前記検査区域に向かって光を照射可能であることを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の欠陥検出装置であって、
前記欠陥検出装置は、前記発光手段と前記第1ハーフミラーとの間に配置される第2レンズ手段を備え、前記第2レンズ手段は前記発光手段が発した光を平行光とすることを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項9】
請求項1から3に記載の欠陥検出装置であって、
前記欠陥検出装置は、前記第3反射光が前記撮影手段の前記受光部に至るまでの経路に配置され、前記受光部に至るまでの前記第3反射光の光軸に対して45度の傾きで配置される第2ハーフミラーを備え、
前記発光手段は、前記第2ハーフミラーに向かって光を照射し、
第2ハーフミラーで反射された前記発光手段が発した前記光は、前記第3反射光の光路を進行して前記第1ミラー手段に至り、前記第1ミラー手段の回動によって、前記入射光が前記検査区域に異なる方向から連続的に入射可能であることを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項10】
請求項9に記載の欠陥検出装置であって、
前記欠陥検出装置は、
前記検査区域に欠陥が存在する場合には、前記第1ミラー手段は、前記検査区域に欠陥が存在しない場合に前記第1ミラー手段が前記第3反射光を受光する向きと異なる方向に向いた際に前記第3反射光を受光して前記撮影手段の受光部に光を導くことを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載の欠陥検出装置であって、
前記欠陥検出装置は、さらに、表面が鏡面である第2ミラー手段を備え、
前記第2ミラー手段は、前記第3反射光が進行する光路において、前記第1ハーフミラーと前記第1ミラー手段との間に位置し、前記一の方向と直交する方向に沿って、連続的に向きが変化するように回動可能であって、前記第1ミラー手段の反射光を受光して前記第1ハーフミラーに向けて光を照射し、前記第2ミラー手段の回動によって、前記入射光が前記検査区域に異なる方向から連続的に入射可能であり、
前記第2ミラー手段は、前記第3反射光を反射して前記第1ミラー手段に向けて導き、前記第1ミラー手段で前記反射光を反射させて前記撮影手段の受光部に導くことを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項12】
請求項11に記載の欠陥検出装置であって、
前記欠陥検出装置は、
前記検査区域に欠陥が存在する場合には、前記第1ミラー手段および/または前記第2ミラー手段は、前記検査区域に欠陥が存在しない場合に前記第1ミラー手段および/または前記第2ミラー手段が前記第3反射光を受光する向きと異なる方向に向いた際に前記第3反射光をして前記撮影手段の受光部に光を導くことを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項13】
請求項9から12のいずれか一項に記載の欠陥検出装置であって、
前記欠陥検出装置は、前記発光手段と前記第2ハーフミラーとの間に配置される第2レンズ手段を備え、前記第2レンズ手段は前記発光手段が発した光を平行光とすることを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の欠陥検出装置であって、
前記内部ミラー部材の内面は球面であることを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか一項に記載の欠陥検出装置であって、
前記内部ミラー部材の内面の鏡面は多面体の各面を構成することを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の欠陥検出装置であって、
前記撮影手段の受光部は、前記受光部における入射瞳を前記第1ミラー手段と前記第2ミラー手段との間に転送するレンズ列を有していることを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項17】
検査対象物の表面に生じた欠陥を検出して判定する欠陥検出装置により欠陥を検出する方法であって、前記欠陥検出装置は、
受光部に侵入した光を受光して、前記表面の検査区域の画像を撮影する撮影手段と、
表面が鏡面であって、光を前記撮影手段の受光部に導くための第1ミラー手段と、
検査対象物の表面に対して45度の角度で傾いて配置される第1ハーフミラーと、
内面が鏡面であって、前記鏡面の少なくとも一部が前記第1ハーフミラーを向いて前記第1ハーフミラーを覆うように配置される内部ミラー部材と、
前記第1ハーフミラーに向かって光を照射する発光手段とを備え、
前記方法は、
前記発光手段により前記第1ハーフミラーに向けて、前記第1ハーフミラーを透過するように前記表面の検査区域に入射光を照射して、前記入射光を前記検査区域で反射させて第1反射光とする工程と、
前記第1反射光を前記第1ハーフミラーに向かって進行させ、前記第1ハーフミラーを透過させて前記内部ミラー部材で反射させて第2反射光とする工程と、
前記第2反射光を前記第1ハーフミラーに向かって進行させて、前記第1ハーフミラーで反射させて第3反射光とする工程と、
前記第3反射光を前記第1ミラー手段に向かって進行させて前記第1ミラー手段で反射させて前記撮影手段の受光部で受光させる工程と、
前記撮影手段は前記受光部により受光した光により前記表面の検査区域の画像を撮影する工程とを備える方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記方法は、
前記検査区域から鉛直方向に沿って前記検査区域に向かって前記入射光を照射する工程を有し、
前記検査区域に欠陥が存在する場合には、欠陥が存在しない場合に前記第1ミラー手段が前記第3反射光を受光する方向と異なる方向を向いた際に、前記第3反射光を受光して前記撮影手段の受光部に光が導かれることを特徴とする欠陥検出方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法であって、
前記欠陥検出装置は、前記第3反射光が前記撮影手段の前記受光部に至るまでの経路に配置され、前記受光部に至るまでの前記第3反射光の光軸に対して45度の傾きで配置される第2ハーフミラーを備え、
前記方法は、前記第2ハーフミラーに向かって光を照射して、前記第1ミラー手段に光を入射させる工程と、
前記第1ミラー手段を回動させて、前記検査区域に向かって前記入射光を異なる方向から連続的に入射する工程を有し、
前記検査区域に欠陥が存在する場合には、欠陥が存在しない場合に前記第1ミラー手段が前記第3反射光を受光する方向と異なる方向を向いた際に、前記第3反射光を受光して前記撮影手段の受光部に光が導かれることを特徴とする欠陥検出方法。
【請求項20】
請求項17から19のいずれか一項に記載の方法であって、
前記欠陥検出装置は、前記一の方向と直交する方向に沿って、連続的に向きが変化するように回動可能な第2ミラー手段を備え、
前記方法は、前記第2ミラー手段に前記第1ミラー手段の反射光を受光させて前記第1ハーフミラーに向けて光を照射し、前記第2ミラー手段の回動によって、前記入射光が検査区域に異なる方向から連続的に入射する工程を備えることを特徴とする欠陥検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2013−7588(P2013−7588A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139013(P2011−139013)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】