欠陥検査方法および欠陥検査装置
【課題】
複数条件の画像を同時に検出して統合する構成を用いた場合、高レートのデータ転送手段と大容量のメモリや記憶媒体が必要となる。
【解決手段】
複数の撮像条件にて試料の画像データを取得する工程と、前記複数の撮像条件にて取得した複数の画像データを画像記憶部へ格納する工程と、前記複数の画像データのそれぞれより欠陥候補を取得する工程と、前記画像記憶部に格納された、少なくとも2つの撮像条件の前記画像データから、前記複数の画像データのいずれかで検出した前記欠陥候補位置とその周辺を含む部分画像を切り出す工程と、前記欠陥候補に対応する少なくとも2つの撮像条件で取得した前記部分画像を統合処理することで、欠陥候補を分類する工程と、を有することを特徴とする欠陥検査方法である。
複数条件の画像を同時に検出して統合する構成を用いた場合、高レートのデータ転送手段と大容量のメモリや記憶媒体が必要となる。
【解決手段】
複数の撮像条件にて試料の画像データを取得する工程と、前記複数の撮像条件にて取得した複数の画像データを画像記憶部へ格納する工程と、前記複数の画像データのそれぞれより欠陥候補を取得する工程と、前記画像記憶部に格納された、少なくとも2つの撮像条件の前記画像データから、前記複数の画像データのいずれかで検出した前記欠陥候補位置とその周辺を含む部分画像を切り出す工程と、前記欠陥候補に対応する少なくとも2つの撮像条件で取得した前記部分画像を統合処理することで、欠陥候補を分類する工程と、を有することを特徴とする欠陥検査方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料表面に存在する微小な欠陥を高感度に検査する欠陥検査方法および欠陥検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハ、液晶ディスプレイ、ハードディスク磁気ヘッドなどの薄膜デバイスは多数の加工工程を経て製造される。このような薄膜デバイスの製造においては、歩留まり向上および安定化を目的として、いくつかの一連の工程毎に外観検査が実施される。特許文献1(特許3566589号公報)には、「外観検査では本来同一形状となるように形成された2つのパターンの対応する領域を、ランプ光、レーザ光または電子線などを用いて得られた参照画像と検査画像を元に、パターン欠陥あるいは異物などの欠陥を検出する」方法が開示されている。また、特許文献2(特開2006−98155号公報)では「大多数のNuisanceの中に少数のDOIが含まれる状況で、DOIを効率よく抽出し、教示する事により、最適な検査条件出しが可能となる検査方法」が開示されている。さらに検査感度を向上させる手法として、特許文献3(US7221992)および特許文献4(US2008/0285023)にて、「複数の異なる光学条件による画像を同時検出し、参照画像との明るさの比較を条件ごとに行い、その比較値を統合して欠陥とノイズの判別を行う方法」が開示されているが、各光学条件にて高解像に取得した欠陥画像を欠陥判別部に送るための高いデータ転送レートが必要であることと、複数条件の画像を一度に処理するため、高い処理性能のプロセッサを必要とする点に課題がある。特許文献5(US7283659)には、「プロセス情報などの非画像特徴による欠陥候補の分類と、欠陥画像特徴による分類の、二段階の判定により、効率的な欠陥分類を実施する方法」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3566589号公報
【特許文献2】特開2006−98155号公報
【特許文献3】US7221992
【特許文献4】US2008/0285023
【特許文献5】US7283659
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術に基づき、異なる光学条件の画像を同時に検出して統合する構成を用いた場合、各光学条件にて取得した画像を転送・保存するために、高レートのデータ転送手段と大容量のメモリや記憶媒体が必要となる。さらに、統合できる画像の光学条件は装置構成に依存して限定される。また、ステージ走査により被検査対象物の各光学条件による画像を時系列に撮像する場合、異なる光学条件の画像間には、ステージ走行誤差などによる位置のずれが生じており、画像間の位置を補正して統合する必要がある。しかし、光学条件が異なると被対象物のパターンの見え方が大きく異なることもあり、位置補正量を算出するためには、広い範囲の検出画像が必要となり、処理時間とメモリ容量の増大が課題となる。
【0005】
処理対象の検出画像を限定するため、上記従来技術では、プロセス情報などの非画像特徴による欠陥候補の絞り込みを実施している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
(1)複数の撮像条件にて試料の画像データを取得する工程と、前記複数の撮像条件にて取得した複数の画像データを画像記憶部へ格納する工程と、前記複数の画像データのそれぞれより欠陥候補を取得する工程と、前記画像記憶部に格納された、少なくとも2つの撮像条件の前記画像データから、前記複数の画像データのいずれかで検出した前記欠陥候補位置とその周辺を含む部分画像を切り出す工程と、前記欠陥候補に対応する少なくとも2つの撮像条件で取得した前記部分画像を統合処理することで、欠陥候補を分類する工程と、を有することを特徴とする欠陥検査方法である。
【発明の効果】
【0007】
本願において開示される発明によれば、試料表面に存在する微小な欠陥を高感度に検査する欠陥検査方法および欠陥検査装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る欠陥検査装置の第一の実施の形態の構成の一例を示す図である。
【図2】本発明に係る欠陥検査装置の第一の実施の形態における画像取得部の構成の一例を示す図である。
【図3】本発明に係る欠陥検査装置の第一の実施の形態における欠陥候補抽出部の構成の一例を示す図である。
【図4】本発明に係る欠陥検査装置の第一の実施の形態における欠陥候補検出部の構成の一例を示す図である。
【図5】本発明に係る欠陥検査装置の第一の実施の形態におけるチップの構成の一例を示す図である。
【図6】本発明に係る欠陥検査装置の第一の実施の形態におけるビットレート圧縮のための変換関数の一例を示す図である。
【図7】本発明に係る欠陥検査装置の第一の実施の形態における欠陥候補選択部教示欠陥数と分類性能の一例を示す図である。
【図8】本発明に係る欠陥検査装置の第一の実施の形態における欠陥候補選択部の特徴空間の一例を示す図である。
【図9】本発明に係る欠陥検査装置の第一の実施の形態における後処理部の構成の一例を示す図である。
【図10】本発明に係る欠陥検査装置の第一の実施の形態における欠陥判定のフローの一例を示す図である。
【図11】本発明に係る欠陥検査装置の第一の実施の形態における、欠陥候補教示用のGUIの拡張表示の一例を示す図である。
【図12】本発明に係る欠陥検査装置の第二の実施の形態の構成の一例を示す図である。
【図13】本発明に係る欠陥検査装置の第二の実施の形態の統合欠陥候補抽出部の一例を示す図である。
【図14】本発明に係る欠陥検査装置の第三の実施の形態の構成の一例を示す図である。
【図15】本発明に係る欠陥検査装置の第三の実施の形態における統合欠陥分類部の構成の一例を示す図である。
【図16】本発明に係る欠陥検査装置の第三の実施の形態における位置ずれ検出・補正の一例を示す図である。
【図17】本発明に係る欠陥検査装置の第一から三の実施の形態におけるSEM式検査装置の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【実施例1】
【0010】
以下において、本発明の欠陥検査技術(欠陥検査方法および欠陥検査装置)の実施の形態1を図1から図11により、詳細に説明する。
【0011】
本発明のパターン検査技術の実施の形態1として、半導体ウェハを対象とした暗視野照明による欠陥検査装置および欠陥検査方法を例にとって説明する。
【0012】
図1は実施の形態1の欠陥検査装置の構成の一例を示したものである。実施の形態1に係る欠陥検査装置は、画像取得部110(110−1,110−2,110−3)、画像格納バッファ120(120−1,120−2,120−2)、欠陥候補抽出部130(130−1,130−2,130−3)、欠陥候補選択部140、制御部150、統合後処理部160、結果出力部170を有して構成される。画像取得部110では、半導体ウェハの検査画像データを取得し、画像格納バッファ120と欠陥候補抽出部130に画像データを転送する。欠陥候補抽出部130は、画像取得部110から転送された画像データから、後述する処理にて欠陥候補を抽出し、欠陥候補を欠陥候補選択部140に転送する。欠陥候補選択部140では、前記欠陥候補からノイズなどの誤検出である虚報やユーザが検出を希望しないNuisanceを取り除き、残った欠陥候補情報を制御部150へ送信する。制御部150から画像格納バッファ120へ、前記残った欠陥候補の座標を送信し、画像格納バッファ120に格納されている、前記画像データから、欠陥候補を含む画像を切り出し、統合後処理部160へ欠陥候補画像を転送する。統合後処理部160では、前記欠陥候補画像を、後述の処理にてユーザが検出を希望する欠陥であるDOI(Defect of Interest)のみを抽出し、DOIを結果出力部170に出力する。
【0013】
図1では、3つの異なる検査画像の取得条件にて画像取得を行う画像取得部110−1、110−2、110−3に対し、画像格納バッファ120−1、120−2、120−3と欠陥候補抽出部130−1、130−2、130−3を有する。ここで、検査画像の取得条件とは、試料に対する照明条件や検出条件、異なる検出感度での検査画像取得などである。
【0014】
図2は、実施の形態1における、暗視野照明による画像取得部110の構成の一例を示した図である。画像取得部110は、ステージ210、メカニカルコントローラ230、2つの照明光学系(照明部)240−1、240−2、検出光学系(上方検出系)250−1、(斜方検出系)250−2、イメージセンサ260−1、260−2を有し、前記検出光学系には、空間周波数フィルタ251、検光子252を有する。
【0015】
試料210は例えば半導体ウェハなどの被検査物である。ステージ220は試料210を搭載してXY平面内の移動および回転(θ)とZ方向への移動が可能である。メカニカルコントローラ230はステージ220を駆動するコントローラである。照明部240の光を試料210に照射し、試料210からの散乱光を上方検出系250−1、斜方検出系250−2で結像させ、結像された光学像を各々のイメージセンサ260で受光して、画像信号に変換する。このとき、試料210をX‐Y‐Z‐θ駆動のステージ220に搭載し、該ステージ220を水平方向に移動させながら異物散乱光を検出することで、検出結果を2次元画像として得る。
【0016】
照明部240の照明光源は、レーザを用いても、ランプを用いてもよい。また、各照明光源の波長の光は短波長であってもよく、また、広帯域の波長の光(白色光)であってもよい。短波長の光を用いる場合、検出する画像の分解能を上げる(微細な欠陥を検出する)ために、紫外領域の波長の光(Ultra Violet Light:UV光)を用いることもできる。レーザを光源として用いる場合、それが単波長のレーザである場合には、可干渉性を低減する手段(図示せず)を照明部240の各々に備えることも可能である。
【0017】
また、イメージセンサ260に複数の1次元イメージセンサを2次元に配列して構成した時間遅延積分型のイメージセンサ(Time Delay Integration Image Sensor:TDIイメージセンサ)を採用しステージ220の移動と同期して各1次元イメージセンサが検出した信号を次段の1次元イメージセンサに転送して加算することにより、比較的高速で高感度に2次元画像を得ることが可能になる。このTDIイメージセンサとして複数の出力タップを備えた並列出力タイプのセンサを用いることにより、センサからの出力を並列に処理することができ、より高速な検出が可能になる。また、イメージセンサ260に、裏面照射型のセンサを用いると表面照射型のセンサを用いた場合と比べて検出効率を高くすることができる。
【0018】
イメージセンサ260−1、260−2から出力される検出結果は、制御部270を介し、画像格納バッファ120−1、120−2と、欠陥候補抽出部130−1、130−2に転送される。
【0019】
図3は、実施の形態1における、欠陥候補抽出部の構成の一例を示す図である。欠陥候補抽出部130は、前処理部310、画像メモリ部320、欠陥候補検出部330、パラメータ設定部340、制御部350、記憶部360、入出力部370を備えてなる。
【0020】
まず、前処理部310では、画像取得部110より入力した画像データに対してシェーディング補正、暗レベル補正、ビット圧縮等の画像補正を行い、一定単位の大きさの画像に分割し、画像メモリ320へ格納する。画像メモリ320に格納された被検査領域の画像(以下、検出画像と記載)と対応する領域の画像(以下、参照画像と記載)のデジタル信号を読み出す。ここで、参照画像は隣接するチップの画像としても良いし、隣接する複数のチップ画像から作成した、画像内に欠陥のない理想画像としても良い。さらに、隣接する複数のチップ欠陥候補検出部330において位置を合わせるための補正量を算出し、算出された位置の補正量を用いて、検出画像と参照画像の位置合せを行い、対応する画素の特徴量を用いて特徴空間上ではずれ値となる画素を欠陥候補として出力する。パラメータ設定部340は、外部から入力される、欠陥候補を抽出する際の特徴量の種類やしきい値などの検査パラメータを設定し、欠陥候補検出部330に与える。欠陥候補検出部330は制御部350を介し、欠陥候補選択部140へ抽出した欠陥候補の画像や特徴量などを出力する。制御部350は、各種制御を行うCPUを備え、ユーザからの検査パラメータ(特徴量の種類、しきい値など)の変更を受け付けたり、検出された欠陥情報を表示したりする表示手段と入力手段を持つ入出力部351、検出された欠陥候補の特徴量や画像などを記憶する記憶装置352と接続されている。
【0021】
ここで、前記制御部150、270、350はすべて同一の制御ユニットであっても良いし、それぞれ異なる制御ユニットにて構成され、それぞれが互いに接続されていても良い。
【0022】
図4は、実施の形態1における、欠陥候補検出部330の構成の一例について示す。欠陥候補検出部330は位置合せ部430、特徴量演算部440、特徴空間形成部450、はずれ画素検出部460を備えてなる。位置合わせ部430は、画像メモリ部320から入力した、検出画像410と参照画像420の位置ずれを検出し、補正する。特徴量演算部440では、位置合わせ部430にて位置ずれを補正した検出画像440と参照画像420の対応する画素から特徴量を算出する。ここで算出する特徴量は、検出画像440と参照画像420の明度差や、一定領域内の明度差の総和やばらつき、などとする。特徴空間形成部450は、任意に選択した特徴量に基づき特徴空間を形成し、はずれ画素検出部460にて、特徴空間内で外れた位置にある画素を欠陥候補として出力する。特徴空間形成部450では、各欠陥候補のばらつきなどに基づき正規化を実施しても良い。ここで、欠陥候補を判定するための基準は、特徴空間内のデータ点のばらつきや、データ点の重心からの距離などを用いることができる。このとき、パラメータ設定部340から入力されたパラメータを利用し、判定基準を決定しても良い。
【0023】
図5は、本発明に係る欠陥検査装置の第一の形態における、チップの構成の一例を示す図であり、欠陥候補検出部330での欠陥候補の検出について説明する。検査対象となる試料(半導体ウェハ、ウェハとも記す)210はメモリマット部501と周辺回路部502とを備えてなる同一パターンのチップ500が多数、規則的に並んでいる。制御部270では試料である半導体ウェハ210をステージ220により連続的に移動させ、これに同期して、順次、チップの像をイメージセンサ260−1、260−2より取り込み、検出画像に対し、規則的に配列されたチップの同じ位置、例えば図5の検出画像の領域530に対し、領域510、520、540、550のデジタル画像信号を参照画像とし、参照画像の対応する画素や検出画像内の他の画素と比較し、差異の大きな画素を欠陥候補として検出する。
【0024】
図6は前処理部310にて、画像取得部110から入力された画像データに対し、データの圧縮を実施する場合の、圧縮のための関数の一例を示す図である。図6では、12bitで入力された画像データを10bitに圧縮する例を示している。関数610は入力Iinと出力Ioutの関係をIout=0.25×Iinとした場合で、画像データの比較的暗い部分も明るい部分も同一の圧縮を行った例である。一方、関数620,630は、画像の比較的暗い部分は圧縮率を下げ、明るい部分の圧縮率を上げた関数の一例である。データの圧縮を実施することで、前記欠陥候補抽出部130内での画像容量を削減することが可能となり、必要とするメモリ容量の削減と、画像転送効率の向上が実現できる。
【0025】
図7は本発明に係る欠陥検査装置の第一の形態における、欠陥候補選択部140の構成の一例を示す図である。欠陥候補選択部140は、位置ずれ検出・補正部710と、欠陥候補対応付け部720と、外れ値検出部730とを備えてなる。位置ずれ検出・補正部710は、各欠陥候補抽出部130−1、130−2、130−3から複数の欠陥候補の画像や特徴量と、ウェハ上の検出位置を入力し、各欠陥候補におけるウェハ座標の位置ずれを検出して補正する。
【0026】
欠陥候補対応付け部720は、位置ずれ検出・補正部710にて検出位置を補正した欠陥候補の対応付けをすることで、各欠陥判定部にて検出された欠陥候補が、単一の欠陥判定部で検出された欠陥候補(以下、単一欠陥)なのか、同一の欠陥を複数の欠陥判定部にて検出された欠陥候補(以下、共通欠陥)なのかを判定する。ウェハ座標上であらかじめ設定した範囲内で欠陥候補が重なるかどうかを判定する方法などにより、対応付けを実施する。
【0027】
外れ値検出部730は、欠陥候補対応付け部720にて対応付けされた欠陥候補に対し、しきい値を設定し、特徴空間内で外れた位置にある欠陥候補を検出し、欠陥候補の特徴量や、検出位置などを制御部150に出力する。このとき、共通欠陥は、各欠陥判定部から出力された特徴量を線形または非線形の関数にて統合し、外れ値を決定してもよい。特徴量統合の一例として、各欠陥判定部から入力した特徴量をx1、x2、x3とし、任意に設定する重みをw1、w2、w3とすると、線形の統合関数はg=w1x1+w2x2+w3、非線形の統合関数は、g=x1x2x3などとし、統合関数gが設定したしきい値以上であれば、外れ値と判定する。また、単一欠陥と、共通欠陥それぞれに対し、異なるしきい値を設定することもできる。単一欠陥には、高いしきい値を設定し、共通欠陥には低いしきい値を設定することもできる。また、制御部150に出力する欠陥候補数に上限を設定してもよく、上限を超えた場合、しきい値からの尤度が大きい欠陥から、制御部150に欠陥候補を出力してもよい。
【0028】
図8は欠陥候補選択部140にて扱う特徴空間と、外れ値検出部730にて決定するしきい値の一例を示す図である。図では、2つの欠陥候補抽出部130−1、130−2(取得条件1、取得条件2)から出力された欠陥候補の特徴量による2次元の特徴空間の例を示す。欠陥候補抽出部130−1にてしきい値830―1以上であった欠陥候補のうち、欠陥候補抽出部130−1のみで検出された単一欠陥810−1、欠陥候補抽出部130−2にてしきい値830―2以上であった欠陥候補のうち、欠陥候補抽出部130−2のみで検出された単一欠陥810−2に対して、しきい値840−1、840−2にて外れ値の判定をし、欠陥候補抽出部130−1、130−2にて検出された共通欠陥820に対してしきい値850で外れ値の判定をする。各々のしきい値以上となった欠陥候補を外れ値(図中○で囲まれた欠陥候補)とする。
【0029】
図9は本発明に係る欠陥検査装置の第一の形態における、画像格納バッファと、統合後処理部160の構成の一例を示す図である。制御部150は、欠陥候補選択部140から外れ値と判定された欠陥候補の検出位置を受け取り、画像切り出し位置を設定する。欠陥切り出しは、各欠陥候補それぞれに対し、欠陥候補を含む被検査領域の前記検出画像と、比較対象の前記参照画像を切り出す。このとき、欠陥候補選択部140にて単一欠陥と判定された欠陥候補に対しても、全ての画像格納バッファ120−1、120−2、120−3に対し同じ画像切り出し位置を設定する。統合後処理部160は、画像格納バッファ120−1、120−2、120−3から、制御部150にて決定した画像切り出し位置の部分画像データを受け取る。統合後処理部160は、前処理部910と、画像記憶部920、欠陥分類部940、ユーザインターフェース950とを備えて構成される。前処理部910は、入力された部分画像データに対し、各画像格納バッファ120の部分画像データに対し、サブピクセル単位の画像位置あわせや、各画像データ間の画像の明るさずれ補整などを実施する。特徴量抽出部920は、前処理部910から、各画像取得条件における前記検出画像と前記参照画像の部分画像データを受け取り、欠陥候補の特徴量を算出する。算出する特徴量は各(1)明るさ、(2)コントラスト、(3)濃淡差、(4)近傍画素の明るさ分散値、(5)相関係数、(6)近傍画素との明るさの増減、(7)2次微分値などとする。特徴量抽出部920は、一定数の欠陥候補数となるか、欠陥候補抽出部130においてウェハ内の一定面積の欠陥候補が抽出されるまで特徴量記憶部930に特徴量を格納する。欠陥分類部940は、特徴量記憶部930に格納された、一定数の欠陥候補の特徴量を入力し、特徴空間を作成し、特徴空間内での欠陥候補の分布に基づき分類を実施する。欠陥分類部940では、入力された欠陥候補を重要欠陥(DOI)と非重要欠陥(Nuisance)との分類、膜中欠陥と膜上欠陥の分類や異物やスクラッチなどの欠陥種に分類、実欠陥とノイズなどによる虚報の分離を含む。ここで、欠陥分類部940は、ユーザインターフェース950と接続されており、ユーザの教示を入力することもできる。ユーザはユーザインターフェースを介し、検出を希望するDOIを教示することができる。結果出力部170では、欠陥分類部940にて分類した結果を出力する。
【0030】
図10は本発明に係る欠陥検査装置の第一の実施の形態における、欠陥検査の処理フローの一例を示す図であり、ここでは、画像取得条件が2条件であった場合の処理フローを示す。各画像取得条件にて画像取得を実施し(1000−1、1000−2)、画像格納バッファ120−1、120−2へ格納する(1010−1、1010−2)。各々の条件にて取得した画像から欠陥候補を抽出する(1020−1、1020−2)。欠陥候補選択部140にて、各画像取得条件の欠陥候補の対応付けと、外れ値算出により、欠陥候補選択を実施(1030)。次に、欠陥候補選択部140は各画像格納バッファ120へ、部分画像切り出し位置を設定し(1040)、各画像格納バッファ120から統合後処理部160へ部分画像データを転送する(1050−1、1050−2)。統合後処理部では、各条件の画像を統合し、欠陥分類を実施(1060)。分類結果を出力する(1070)。
【0031】
図11は、本発明に係る欠陥検査装置の実施の形態1における、グラフィックユーザインターフェースの一例を示す図である。ユーザは、欠陥候補抽出部130にて、各画像取得条件の画像から欠陥候補抽出130を行った結果を示すウェハマップ1110や、欠陥候補選択部140にて、欠陥候補の外れ値を判定するための特徴空間1120や、欠陥候補選択の結果統合後処理部160へ出力される欠陥候補を示すウェハマップ1130や、統合後処理部160にて、実欠陥と虚報の分類を実施した場合の結果を示すウェハマップ1140や、各画像取得条件の欠陥候補画像1150を確認する事ができる。また、ユーザ教示を入力する事もできる。
【実施例2】
【0032】
以下において、本発明の欠陥検査技術(欠陥検査方法および欠陥検査装置)の実施の形態2を図12、13により説明する。
【0033】
実施の形態1で説明した欠陥検査技術において、複数の画像取得条件の画像取得部110−1、110−2、110−3にて取得した画像データを統合欠陥候補抽出部180へ入力する形態について説明する。
【0034】
図12は、実施の形態2の欠陥検査装置の構成の一例を示したものである。実施の形態2に係る欠陥検査装置は、画像取得部110、画像格納バッファ120、統合欠陥候補抽出部180、欠陥候補選択部140、制御部150、統合後処理部160、結果出力部170を有して構成される。画像取得部110は、実施の形態1と同様に複数の画像取得条件の画像データを取得する。統合欠陥候補抽出部180は、画像取得部110−1、110−2、110−3から入力した画像データを統合し欠陥候補を抽出する。
【0035】
欠陥候補選択部140では、前記欠陥候補からノイズなどの誤検出である虚報やユーザが検出を希望しないNuisanceを取り除き、残った欠陥候補情報を制御部150へ送信する。制御部150から画像格納バッファ120へ、前記残った欠陥候補の座標を送信し、画像格納バッファ120に格納されている、前記画像データから、欠陥候補を含む画像を切り出し、統合後処理部160へ欠陥候補画像を転送する。統合後処理部160では、前記欠陥候補画像を、後述の処理にてユーザが検出を希望する欠陥であるDOI(Defect of Interest)のみを抽出し、DOIを結果出力部170に出力する。
【0036】
図13は、実施の形態2の統合欠陥候補抽出部180の構成の一例を示したものである。統合画像作成部1310は画像取得部110−1、110−2、110−3から入力した各画像データの位置ずれを検出・補正し、統合画像を作成する。統合画像は、各画像データ同士の重み付きの和を求める線形和としても良いし、非線形の統合を実施しても良い。統合画像作成部1310は、作成した統合画像を前処理部へ出力する。前処理部320以降の処理は実施の形態1と同様とする。
【0037】
前記実施の形態2では、各画像データから統合画像を作成する形式で統合処理を実施する例を示したが、各画像から特徴量を抽出し、対応する画素の特徴量に基づき特徴空間を作成し、特徴空間内の外れ値を欠陥候補として抽出する方法を実施することもできる。
【実施例3】
【0038】
以下において、本発明の欠陥検査技術(欠陥検査方法および欠陥検査装置)の実施の形態3を図14から図16により説明する。
【0039】
実施の形態1で説明した欠陥検査技術において、複数の画像取得条件の画像取得部110−1、110−2、110−3にて取得し、それぞれの画像データから欠陥候補を抽出し、抽出した欠陥候補を統合欠陥分類部180へ入力する形態について説明する。
【0040】
図14は、実施の形態3の欠陥検査装置の構成の一例を示したものである。実施の形態3に係る欠陥検査装置は、画像取得部110、欠陥候補抽出部130、統合欠陥分類部190、結果出力部170を有して構成される。画像取得部110−1、110−2、110−3は、実施の形態1と同様に、複数の画像取得条件の画像データを取得する。欠陥候補抽出部130−1、130−2、130−3は、実施の形態1と同様に、画像取得部110−1、110−2、110−3で取得したそれぞれの画像データから欠陥候補を抽出する。
【0041】
統合欠陥分類部190は、欠陥候補抽出部130−1、130−2、130−3にて取得した欠陥候補を入力し、各欠陥候補の位置ずれを検出・補正し、欠陥分類を実施し、分類結果を結果出力部170に出力する。
【0042】
図15に実施の形態3の統合欠陥分類部190の構成の一例を示す図である。統合欠陥分類部190は、欠陥選択部1510、位置ずれ検出部1520、位置ずれ補正部1530、欠陥分類部1540とを備えて構成される。
【0043】
欠陥選択部1510−1、1510−2、1510−3は、欠陥候補抽出部130−1、130−2、130−3から入力した欠陥候補から、位置合わせに利用する欠陥候補を選択する。欠陥候補選択の基準は、前記検出画像と前記参照画像の明度差や、欠陥のサイズ、形状やこれらの組合せなどである。
【0044】
位置ずれ検出部1520は、欠陥選択部1510にて選択された欠陥候補に基づき、欠陥候補のずれ量を算出する。ずれ量算出の方法の一例として以下の方法を示す。
(1)各欠陥候補の最近傍点同士を仮対応付け
(2)仮対応付けされた欠陥候補同士の距離を最小とするような位置ずれ量を算出
(3)位置ずれを補正
(4)上記(1)〜(3)を位置ずれ量が収束するまで繰り返す
位置ずれ補正部1530は、位置ずれ検出部1520から入力した位置ずれ量を基に、欠陥候補抽出部130−1、130−2、130−3から入力した欠陥候補に対し、位置ずれ補正を実施する。
【0045】
欠陥分類部1540は、位置ずれ補正部1530にて補正された欠陥候補から、特徴量を抽出し、欠陥候補の分類を実施する。欠陥候補の分類は、実施の形態1と同様の方法にて実施する。欠陥分類部1540にて求めた欠陥候補の分類結果を結果出力部170に出力する。
【0046】
また、位置ずれ検出部1520で算出した位置ずれ量を記憶部1550に格納しておき、位置ずれ補正部1530にて、記憶部1550に格納した位置ずれ量を読み込み、位置ずれ補正を実施する事もできる。
【0047】
図16は、統合欠陥分類部190での欠陥候補の位置ずれ補正の一例を示すfである。画像取得条件1、2の欠陥候補1610、1620それぞれから、位置ずれ検出に利用する欠陥候補1630、1640を選択し、選択した欠陥候補からずれ量を算出する。求めたずれ量を基に、画像取得条件1、2の欠陥候補1610、1620の位置ずれを補正する(1650)。
上記実施の形態1から3では、検査装置として暗視野検査装置による実施例を示したが、明視野検査装置、SEM式検査装置など、全ての方式の検査装置に適用することができ、複数の画像取得条件として、上記複数の方式の検査装置により画像取得し、欠陥判定を実施する事ができる。
【0048】
図17は、SEM式検査装置の構成の一例を示す図である。実施例1で説明した暗視野式検査装置と同じ、または同等の動作をする部分は同一の番号を付けた。電子線源1410から照射された電子ビームはコンデンサーレンズ1420、1430を通過した後、電子線軸調整器1440により非点収差やアライメントずれを補正される。走査ユニット1450、1460により電子ビームを偏向し、電子ビームを照射する位置を制御された後。電子ビームは対物レンズ1470により収束されてウェハ210の撮像対象1400に対して照射される。撮像対象1400からはこの結果、2次電子と反射電子が放出され、2次電子および反射電子は1410の一次電子線通過穴を有した反射板に衝突し,そこで発生した二次電子が1490の電子検出器により検出する。1410で検出された2次電子および反射電子はA/Dコンバータ1500でデジタル信号に変換され、制御部270へ転送される。
【符号の説明】
【0049】
110・・・画像取得部、120・・・画像格納バッファ、130・・・欠陥候補抽出部、140・・・欠陥候補選択部、150・・・制御部、160・・・統合後処理部、170・・・結果出力部、210・・・ウェハ、220・・・ステージ、230・・・コントローラ、240・・・照明系、250・・・検出系、310・・・前処理部、320・・・画像メモリ部、330・・・欠陥候補検出部、340・・・パラメータ設定部、350・・・制御部、410・・・検出画像、420・・・参照画像、430・・・位置合わせ部、440・・・特徴量演算部、450・・・特徴空間形成部、460・・・はずれ画素検出部、710・・・位置ずれ検出・補正部、720・・・欠陥候補対応付け部、730・・・外れ値検出部、910・・・前処理部、920・・・特徴量抽出部、930・・・特徴量記憶部、940・・・欠陥分類部、950・・・ユーザインターフェース
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料表面に存在する微小な欠陥を高感度に検査する欠陥検査方法および欠陥検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハ、液晶ディスプレイ、ハードディスク磁気ヘッドなどの薄膜デバイスは多数の加工工程を経て製造される。このような薄膜デバイスの製造においては、歩留まり向上および安定化を目的として、いくつかの一連の工程毎に外観検査が実施される。特許文献1(特許3566589号公報)には、「外観検査では本来同一形状となるように形成された2つのパターンの対応する領域を、ランプ光、レーザ光または電子線などを用いて得られた参照画像と検査画像を元に、パターン欠陥あるいは異物などの欠陥を検出する」方法が開示されている。また、特許文献2(特開2006−98155号公報)では「大多数のNuisanceの中に少数のDOIが含まれる状況で、DOIを効率よく抽出し、教示する事により、最適な検査条件出しが可能となる検査方法」が開示されている。さらに検査感度を向上させる手法として、特許文献3(US7221992)および特許文献4(US2008/0285023)にて、「複数の異なる光学条件による画像を同時検出し、参照画像との明るさの比較を条件ごとに行い、その比較値を統合して欠陥とノイズの判別を行う方法」が開示されているが、各光学条件にて高解像に取得した欠陥画像を欠陥判別部に送るための高いデータ転送レートが必要であることと、複数条件の画像を一度に処理するため、高い処理性能のプロセッサを必要とする点に課題がある。特許文献5(US7283659)には、「プロセス情報などの非画像特徴による欠陥候補の分類と、欠陥画像特徴による分類の、二段階の判定により、効率的な欠陥分類を実施する方法」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3566589号公報
【特許文献2】特開2006−98155号公報
【特許文献3】US7221992
【特許文献4】US2008/0285023
【特許文献5】US7283659
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術に基づき、異なる光学条件の画像を同時に検出して統合する構成を用いた場合、各光学条件にて取得した画像を転送・保存するために、高レートのデータ転送手段と大容量のメモリや記憶媒体が必要となる。さらに、統合できる画像の光学条件は装置構成に依存して限定される。また、ステージ走査により被検査対象物の各光学条件による画像を時系列に撮像する場合、異なる光学条件の画像間には、ステージ走行誤差などによる位置のずれが生じており、画像間の位置を補正して統合する必要がある。しかし、光学条件が異なると被対象物のパターンの見え方が大きく異なることもあり、位置補正量を算出するためには、広い範囲の検出画像が必要となり、処理時間とメモリ容量の増大が課題となる。
【0005】
処理対象の検出画像を限定するため、上記従来技術では、プロセス情報などの非画像特徴による欠陥候補の絞り込みを実施している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
(1)複数の撮像条件にて試料の画像データを取得する工程と、前記複数の撮像条件にて取得した複数の画像データを画像記憶部へ格納する工程と、前記複数の画像データのそれぞれより欠陥候補を取得する工程と、前記画像記憶部に格納された、少なくとも2つの撮像条件の前記画像データから、前記複数の画像データのいずれかで検出した前記欠陥候補位置とその周辺を含む部分画像を切り出す工程と、前記欠陥候補に対応する少なくとも2つの撮像条件で取得した前記部分画像を統合処理することで、欠陥候補を分類する工程と、を有することを特徴とする欠陥検査方法である。
【発明の効果】
【0007】
本願において開示される発明によれば、試料表面に存在する微小な欠陥を高感度に検査する欠陥検査方法および欠陥検査装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る欠陥検査装置の第一の実施の形態の構成の一例を示す図である。
【図2】本発明に係る欠陥検査装置の第一の実施の形態における画像取得部の構成の一例を示す図である。
【図3】本発明に係る欠陥検査装置の第一の実施の形態における欠陥候補抽出部の構成の一例を示す図である。
【図4】本発明に係る欠陥検査装置の第一の実施の形態における欠陥候補検出部の構成の一例を示す図である。
【図5】本発明に係る欠陥検査装置の第一の実施の形態におけるチップの構成の一例を示す図である。
【図6】本発明に係る欠陥検査装置の第一の実施の形態におけるビットレート圧縮のための変換関数の一例を示す図である。
【図7】本発明に係る欠陥検査装置の第一の実施の形態における欠陥候補選択部教示欠陥数と分類性能の一例を示す図である。
【図8】本発明に係る欠陥検査装置の第一の実施の形態における欠陥候補選択部の特徴空間の一例を示す図である。
【図9】本発明に係る欠陥検査装置の第一の実施の形態における後処理部の構成の一例を示す図である。
【図10】本発明に係る欠陥検査装置の第一の実施の形態における欠陥判定のフローの一例を示す図である。
【図11】本発明に係る欠陥検査装置の第一の実施の形態における、欠陥候補教示用のGUIの拡張表示の一例を示す図である。
【図12】本発明に係る欠陥検査装置の第二の実施の形態の構成の一例を示す図である。
【図13】本発明に係る欠陥検査装置の第二の実施の形態の統合欠陥候補抽出部の一例を示す図である。
【図14】本発明に係る欠陥検査装置の第三の実施の形態の構成の一例を示す図である。
【図15】本発明に係る欠陥検査装置の第三の実施の形態における統合欠陥分類部の構成の一例を示す図である。
【図16】本発明に係る欠陥検査装置の第三の実施の形態における位置ずれ検出・補正の一例を示す図である。
【図17】本発明に係る欠陥検査装置の第一から三の実施の形態におけるSEM式検査装置の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【実施例1】
【0010】
以下において、本発明の欠陥検査技術(欠陥検査方法および欠陥検査装置)の実施の形態1を図1から図11により、詳細に説明する。
【0011】
本発明のパターン検査技術の実施の形態1として、半導体ウェハを対象とした暗視野照明による欠陥検査装置および欠陥検査方法を例にとって説明する。
【0012】
図1は実施の形態1の欠陥検査装置の構成の一例を示したものである。実施の形態1に係る欠陥検査装置は、画像取得部110(110−1,110−2,110−3)、画像格納バッファ120(120−1,120−2,120−2)、欠陥候補抽出部130(130−1,130−2,130−3)、欠陥候補選択部140、制御部150、統合後処理部160、結果出力部170を有して構成される。画像取得部110では、半導体ウェハの検査画像データを取得し、画像格納バッファ120と欠陥候補抽出部130に画像データを転送する。欠陥候補抽出部130は、画像取得部110から転送された画像データから、後述する処理にて欠陥候補を抽出し、欠陥候補を欠陥候補選択部140に転送する。欠陥候補選択部140では、前記欠陥候補からノイズなどの誤検出である虚報やユーザが検出を希望しないNuisanceを取り除き、残った欠陥候補情報を制御部150へ送信する。制御部150から画像格納バッファ120へ、前記残った欠陥候補の座標を送信し、画像格納バッファ120に格納されている、前記画像データから、欠陥候補を含む画像を切り出し、統合後処理部160へ欠陥候補画像を転送する。統合後処理部160では、前記欠陥候補画像を、後述の処理にてユーザが検出を希望する欠陥であるDOI(Defect of Interest)のみを抽出し、DOIを結果出力部170に出力する。
【0013】
図1では、3つの異なる検査画像の取得条件にて画像取得を行う画像取得部110−1、110−2、110−3に対し、画像格納バッファ120−1、120−2、120−3と欠陥候補抽出部130−1、130−2、130−3を有する。ここで、検査画像の取得条件とは、試料に対する照明条件や検出条件、異なる検出感度での検査画像取得などである。
【0014】
図2は、実施の形態1における、暗視野照明による画像取得部110の構成の一例を示した図である。画像取得部110は、ステージ210、メカニカルコントローラ230、2つの照明光学系(照明部)240−1、240−2、検出光学系(上方検出系)250−1、(斜方検出系)250−2、イメージセンサ260−1、260−2を有し、前記検出光学系には、空間周波数フィルタ251、検光子252を有する。
【0015】
試料210は例えば半導体ウェハなどの被検査物である。ステージ220は試料210を搭載してXY平面内の移動および回転(θ)とZ方向への移動が可能である。メカニカルコントローラ230はステージ220を駆動するコントローラである。照明部240の光を試料210に照射し、試料210からの散乱光を上方検出系250−1、斜方検出系250−2で結像させ、結像された光学像を各々のイメージセンサ260で受光して、画像信号に変換する。このとき、試料210をX‐Y‐Z‐θ駆動のステージ220に搭載し、該ステージ220を水平方向に移動させながら異物散乱光を検出することで、検出結果を2次元画像として得る。
【0016】
照明部240の照明光源は、レーザを用いても、ランプを用いてもよい。また、各照明光源の波長の光は短波長であってもよく、また、広帯域の波長の光(白色光)であってもよい。短波長の光を用いる場合、検出する画像の分解能を上げる(微細な欠陥を検出する)ために、紫外領域の波長の光(Ultra Violet Light:UV光)を用いることもできる。レーザを光源として用いる場合、それが単波長のレーザである場合には、可干渉性を低減する手段(図示せず)を照明部240の各々に備えることも可能である。
【0017】
また、イメージセンサ260に複数の1次元イメージセンサを2次元に配列して構成した時間遅延積分型のイメージセンサ(Time Delay Integration Image Sensor:TDIイメージセンサ)を採用しステージ220の移動と同期して各1次元イメージセンサが検出した信号を次段の1次元イメージセンサに転送して加算することにより、比較的高速で高感度に2次元画像を得ることが可能になる。このTDIイメージセンサとして複数の出力タップを備えた並列出力タイプのセンサを用いることにより、センサからの出力を並列に処理することができ、より高速な検出が可能になる。また、イメージセンサ260に、裏面照射型のセンサを用いると表面照射型のセンサを用いた場合と比べて検出効率を高くすることができる。
【0018】
イメージセンサ260−1、260−2から出力される検出結果は、制御部270を介し、画像格納バッファ120−1、120−2と、欠陥候補抽出部130−1、130−2に転送される。
【0019】
図3は、実施の形態1における、欠陥候補抽出部の構成の一例を示す図である。欠陥候補抽出部130は、前処理部310、画像メモリ部320、欠陥候補検出部330、パラメータ設定部340、制御部350、記憶部360、入出力部370を備えてなる。
【0020】
まず、前処理部310では、画像取得部110より入力した画像データに対してシェーディング補正、暗レベル補正、ビット圧縮等の画像補正を行い、一定単位の大きさの画像に分割し、画像メモリ320へ格納する。画像メモリ320に格納された被検査領域の画像(以下、検出画像と記載)と対応する領域の画像(以下、参照画像と記載)のデジタル信号を読み出す。ここで、参照画像は隣接するチップの画像としても良いし、隣接する複数のチップ画像から作成した、画像内に欠陥のない理想画像としても良い。さらに、隣接する複数のチップ欠陥候補検出部330において位置を合わせるための補正量を算出し、算出された位置の補正量を用いて、検出画像と参照画像の位置合せを行い、対応する画素の特徴量を用いて特徴空間上ではずれ値となる画素を欠陥候補として出力する。パラメータ設定部340は、外部から入力される、欠陥候補を抽出する際の特徴量の種類やしきい値などの検査パラメータを設定し、欠陥候補検出部330に与える。欠陥候補検出部330は制御部350を介し、欠陥候補選択部140へ抽出した欠陥候補の画像や特徴量などを出力する。制御部350は、各種制御を行うCPUを備え、ユーザからの検査パラメータ(特徴量の種類、しきい値など)の変更を受け付けたり、検出された欠陥情報を表示したりする表示手段と入力手段を持つ入出力部351、検出された欠陥候補の特徴量や画像などを記憶する記憶装置352と接続されている。
【0021】
ここで、前記制御部150、270、350はすべて同一の制御ユニットであっても良いし、それぞれ異なる制御ユニットにて構成され、それぞれが互いに接続されていても良い。
【0022】
図4は、実施の形態1における、欠陥候補検出部330の構成の一例について示す。欠陥候補検出部330は位置合せ部430、特徴量演算部440、特徴空間形成部450、はずれ画素検出部460を備えてなる。位置合わせ部430は、画像メモリ部320から入力した、検出画像410と参照画像420の位置ずれを検出し、補正する。特徴量演算部440では、位置合わせ部430にて位置ずれを補正した検出画像440と参照画像420の対応する画素から特徴量を算出する。ここで算出する特徴量は、検出画像440と参照画像420の明度差や、一定領域内の明度差の総和やばらつき、などとする。特徴空間形成部450は、任意に選択した特徴量に基づき特徴空間を形成し、はずれ画素検出部460にて、特徴空間内で外れた位置にある画素を欠陥候補として出力する。特徴空間形成部450では、各欠陥候補のばらつきなどに基づき正規化を実施しても良い。ここで、欠陥候補を判定するための基準は、特徴空間内のデータ点のばらつきや、データ点の重心からの距離などを用いることができる。このとき、パラメータ設定部340から入力されたパラメータを利用し、判定基準を決定しても良い。
【0023】
図5は、本発明に係る欠陥検査装置の第一の形態における、チップの構成の一例を示す図であり、欠陥候補検出部330での欠陥候補の検出について説明する。検査対象となる試料(半導体ウェハ、ウェハとも記す)210はメモリマット部501と周辺回路部502とを備えてなる同一パターンのチップ500が多数、規則的に並んでいる。制御部270では試料である半導体ウェハ210をステージ220により連続的に移動させ、これに同期して、順次、チップの像をイメージセンサ260−1、260−2より取り込み、検出画像に対し、規則的に配列されたチップの同じ位置、例えば図5の検出画像の領域530に対し、領域510、520、540、550のデジタル画像信号を参照画像とし、参照画像の対応する画素や検出画像内の他の画素と比較し、差異の大きな画素を欠陥候補として検出する。
【0024】
図6は前処理部310にて、画像取得部110から入力された画像データに対し、データの圧縮を実施する場合の、圧縮のための関数の一例を示す図である。図6では、12bitで入力された画像データを10bitに圧縮する例を示している。関数610は入力Iinと出力Ioutの関係をIout=0.25×Iinとした場合で、画像データの比較的暗い部分も明るい部分も同一の圧縮を行った例である。一方、関数620,630は、画像の比較的暗い部分は圧縮率を下げ、明るい部分の圧縮率を上げた関数の一例である。データの圧縮を実施することで、前記欠陥候補抽出部130内での画像容量を削減することが可能となり、必要とするメモリ容量の削減と、画像転送効率の向上が実現できる。
【0025】
図7は本発明に係る欠陥検査装置の第一の形態における、欠陥候補選択部140の構成の一例を示す図である。欠陥候補選択部140は、位置ずれ検出・補正部710と、欠陥候補対応付け部720と、外れ値検出部730とを備えてなる。位置ずれ検出・補正部710は、各欠陥候補抽出部130−1、130−2、130−3から複数の欠陥候補の画像や特徴量と、ウェハ上の検出位置を入力し、各欠陥候補におけるウェハ座標の位置ずれを検出して補正する。
【0026】
欠陥候補対応付け部720は、位置ずれ検出・補正部710にて検出位置を補正した欠陥候補の対応付けをすることで、各欠陥判定部にて検出された欠陥候補が、単一の欠陥判定部で検出された欠陥候補(以下、単一欠陥)なのか、同一の欠陥を複数の欠陥判定部にて検出された欠陥候補(以下、共通欠陥)なのかを判定する。ウェハ座標上であらかじめ設定した範囲内で欠陥候補が重なるかどうかを判定する方法などにより、対応付けを実施する。
【0027】
外れ値検出部730は、欠陥候補対応付け部720にて対応付けされた欠陥候補に対し、しきい値を設定し、特徴空間内で外れた位置にある欠陥候補を検出し、欠陥候補の特徴量や、検出位置などを制御部150に出力する。このとき、共通欠陥は、各欠陥判定部から出力された特徴量を線形または非線形の関数にて統合し、外れ値を決定してもよい。特徴量統合の一例として、各欠陥判定部から入力した特徴量をx1、x2、x3とし、任意に設定する重みをw1、w2、w3とすると、線形の統合関数はg=w1x1+w2x2+w3、非線形の統合関数は、g=x1x2x3などとし、統合関数gが設定したしきい値以上であれば、外れ値と判定する。また、単一欠陥と、共通欠陥それぞれに対し、異なるしきい値を設定することもできる。単一欠陥には、高いしきい値を設定し、共通欠陥には低いしきい値を設定することもできる。また、制御部150に出力する欠陥候補数に上限を設定してもよく、上限を超えた場合、しきい値からの尤度が大きい欠陥から、制御部150に欠陥候補を出力してもよい。
【0028】
図8は欠陥候補選択部140にて扱う特徴空間と、外れ値検出部730にて決定するしきい値の一例を示す図である。図では、2つの欠陥候補抽出部130−1、130−2(取得条件1、取得条件2)から出力された欠陥候補の特徴量による2次元の特徴空間の例を示す。欠陥候補抽出部130−1にてしきい値830―1以上であった欠陥候補のうち、欠陥候補抽出部130−1のみで検出された単一欠陥810−1、欠陥候補抽出部130−2にてしきい値830―2以上であった欠陥候補のうち、欠陥候補抽出部130−2のみで検出された単一欠陥810−2に対して、しきい値840−1、840−2にて外れ値の判定をし、欠陥候補抽出部130−1、130−2にて検出された共通欠陥820に対してしきい値850で外れ値の判定をする。各々のしきい値以上となった欠陥候補を外れ値(図中○で囲まれた欠陥候補)とする。
【0029】
図9は本発明に係る欠陥検査装置の第一の形態における、画像格納バッファと、統合後処理部160の構成の一例を示す図である。制御部150は、欠陥候補選択部140から外れ値と判定された欠陥候補の検出位置を受け取り、画像切り出し位置を設定する。欠陥切り出しは、各欠陥候補それぞれに対し、欠陥候補を含む被検査領域の前記検出画像と、比較対象の前記参照画像を切り出す。このとき、欠陥候補選択部140にて単一欠陥と判定された欠陥候補に対しても、全ての画像格納バッファ120−1、120−2、120−3に対し同じ画像切り出し位置を設定する。統合後処理部160は、画像格納バッファ120−1、120−2、120−3から、制御部150にて決定した画像切り出し位置の部分画像データを受け取る。統合後処理部160は、前処理部910と、画像記憶部920、欠陥分類部940、ユーザインターフェース950とを備えて構成される。前処理部910は、入力された部分画像データに対し、各画像格納バッファ120の部分画像データに対し、サブピクセル単位の画像位置あわせや、各画像データ間の画像の明るさずれ補整などを実施する。特徴量抽出部920は、前処理部910から、各画像取得条件における前記検出画像と前記参照画像の部分画像データを受け取り、欠陥候補の特徴量を算出する。算出する特徴量は各(1)明るさ、(2)コントラスト、(3)濃淡差、(4)近傍画素の明るさ分散値、(5)相関係数、(6)近傍画素との明るさの増減、(7)2次微分値などとする。特徴量抽出部920は、一定数の欠陥候補数となるか、欠陥候補抽出部130においてウェハ内の一定面積の欠陥候補が抽出されるまで特徴量記憶部930に特徴量を格納する。欠陥分類部940は、特徴量記憶部930に格納された、一定数の欠陥候補の特徴量を入力し、特徴空間を作成し、特徴空間内での欠陥候補の分布に基づき分類を実施する。欠陥分類部940では、入力された欠陥候補を重要欠陥(DOI)と非重要欠陥(Nuisance)との分類、膜中欠陥と膜上欠陥の分類や異物やスクラッチなどの欠陥種に分類、実欠陥とノイズなどによる虚報の分離を含む。ここで、欠陥分類部940は、ユーザインターフェース950と接続されており、ユーザの教示を入力することもできる。ユーザはユーザインターフェースを介し、検出を希望するDOIを教示することができる。結果出力部170では、欠陥分類部940にて分類した結果を出力する。
【0030】
図10は本発明に係る欠陥検査装置の第一の実施の形態における、欠陥検査の処理フローの一例を示す図であり、ここでは、画像取得条件が2条件であった場合の処理フローを示す。各画像取得条件にて画像取得を実施し(1000−1、1000−2)、画像格納バッファ120−1、120−2へ格納する(1010−1、1010−2)。各々の条件にて取得した画像から欠陥候補を抽出する(1020−1、1020−2)。欠陥候補選択部140にて、各画像取得条件の欠陥候補の対応付けと、外れ値算出により、欠陥候補選択を実施(1030)。次に、欠陥候補選択部140は各画像格納バッファ120へ、部分画像切り出し位置を設定し(1040)、各画像格納バッファ120から統合後処理部160へ部分画像データを転送する(1050−1、1050−2)。統合後処理部では、各条件の画像を統合し、欠陥分類を実施(1060)。分類結果を出力する(1070)。
【0031】
図11は、本発明に係る欠陥検査装置の実施の形態1における、グラフィックユーザインターフェースの一例を示す図である。ユーザは、欠陥候補抽出部130にて、各画像取得条件の画像から欠陥候補抽出130を行った結果を示すウェハマップ1110や、欠陥候補選択部140にて、欠陥候補の外れ値を判定するための特徴空間1120や、欠陥候補選択の結果統合後処理部160へ出力される欠陥候補を示すウェハマップ1130や、統合後処理部160にて、実欠陥と虚報の分類を実施した場合の結果を示すウェハマップ1140や、各画像取得条件の欠陥候補画像1150を確認する事ができる。また、ユーザ教示を入力する事もできる。
【実施例2】
【0032】
以下において、本発明の欠陥検査技術(欠陥検査方法および欠陥検査装置)の実施の形態2を図12、13により説明する。
【0033】
実施の形態1で説明した欠陥検査技術において、複数の画像取得条件の画像取得部110−1、110−2、110−3にて取得した画像データを統合欠陥候補抽出部180へ入力する形態について説明する。
【0034】
図12は、実施の形態2の欠陥検査装置の構成の一例を示したものである。実施の形態2に係る欠陥検査装置は、画像取得部110、画像格納バッファ120、統合欠陥候補抽出部180、欠陥候補選択部140、制御部150、統合後処理部160、結果出力部170を有して構成される。画像取得部110は、実施の形態1と同様に複数の画像取得条件の画像データを取得する。統合欠陥候補抽出部180は、画像取得部110−1、110−2、110−3から入力した画像データを統合し欠陥候補を抽出する。
【0035】
欠陥候補選択部140では、前記欠陥候補からノイズなどの誤検出である虚報やユーザが検出を希望しないNuisanceを取り除き、残った欠陥候補情報を制御部150へ送信する。制御部150から画像格納バッファ120へ、前記残った欠陥候補の座標を送信し、画像格納バッファ120に格納されている、前記画像データから、欠陥候補を含む画像を切り出し、統合後処理部160へ欠陥候補画像を転送する。統合後処理部160では、前記欠陥候補画像を、後述の処理にてユーザが検出を希望する欠陥であるDOI(Defect of Interest)のみを抽出し、DOIを結果出力部170に出力する。
【0036】
図13は、実施の形態2の統合欠陥候補抽出部180の構成の一例を示したものである。統合画像作成部1310は画像取得部110−1、110−2、110−3から入力した各画像データの位置ずれを検出・補正し、統合画像を作成する。統合画像は、各画像データ同士の重み付きの和を求める線形和としても良いし、非線形の統合を実施しても良い。統合画像作成部1310は、作成した統合画像を前処理部へ出力する。前処理部320以降の処理は実施の形態1と同様とする。
【0037】
前記実施の形態2では、各画像データから統合画像を作成する形式で統合処理を実施する例を示したが、各画像から特徴量を抽出し、対応する画素の特徴量に基づき特徴空間を作成し、特徴空間内の外れ値を欠陥候補として抽出する方法を実施することもできる。
【実施例3】
【0038】
以下において、本発明の欠陥検査技術(欠陥検査方法および欠陥検査装置)の実施の形態3を図14から図16により説明する。
【0039】
実施の形態1で説明した欠陥検査技術において、複数の画像取得条件の画像取得部110−1、110−2、110−3にて取得し、それぞれの画像データから欠陥候補を抽出し、抽出した欠陥候補を統合欠陥分類部180へ入力する形態について説明する。
【0040】
図14は、実施の形態3の欠陥検査装置の構成の一例を示したものである。実施の形態3に係る欠陥検査装置は、画像取得部110、欠陥候補抽出部130、統合欠陥分類部190、結果出力部170を有して構成される。画像取得部110−1、110−2、110−3は、実施の形態1と同様に、複数の画像取得条件の画像データを取得する。欠陥候補抽出部130−1、130−2、130−3は、実施の形態1と同様に、画像取得部110−1、110−2、110−3で取得したそれぞれの画像データから欠陥候補を抽出する。
【0041】
統合欠陥分類部190は、欠陥候補抽出部130−1、130−2、130−3にて取得した欠陥候補を入力し、各欠陥候補の位置ずれを検出・補正し、欠陥分類を実施し、分類結果を結果出力部170に出力する。
【0042】
図15に実施の形態3の統合欠陥分類部190の構成の一例を示す図である。統合欠陥分類部190は、欠陥選択部1510、位置ずれ検出部1520、位置ずれ補正部1530、欠陥分類部1540とを備えて構成される。
【0043】
欠陥選択部1510−1、1510−2、1510−3は、欠陥候補抽出部130−1、130−2、130−3から入力した欠陥候補から、位置合わせに利用する欠陥候補を選択する。欠陥候補選択の基準は、前記検出画像と前記参照画像の明度差や、欠陥のサイズ、形状やこれらの組合せなどである。
【0044】
位置ずれ検出部1520は、欠陥選択部1510にて選択された欠陥候補に基づき、欠陥候補のずれ量を算出する。ずれ量算出の方法の一例として以下の方法を示す。
(1)各欠陥候補の最近傍点同士を仮対応付け
(2)仮対応付けされた欠陥候補同士の距離を最小とするような位置ずれ量を算出
(3)位置ずれを補正
(4)上記(1)〜(3)を位置ずれ量が収束するまで繰り返す
位置ずれ補正部1530は、位置ずれ検出部1520から入力した位置ずれ量を基に、欠陥候補抽出部130−1、130−2、130−3から入力した欠陥候補に対し、位置ずれ補正を実施する。
【0045】
欠陥分類部1540は、位置ずれ補正部1530にて補正された欠陥候補から、特徴量を抽出し、欠陥候補の分類を実施する。欠陥候補の分類は、実施の形態1と同様の方法にて実施する。欠陥分類部1540にて求めた欠陥候補の分類結果を結果出力部170に出力する。
【0046】
また、位置ずれ検出部1520で算出した位置ずれ量を記憶部1550に格納しておき、位置ずれ補正部1530にて、記憶部1550に格納した位置ずれ量を読み込み、位置ずれ補正を実施する事もできる。
【0047】
図16は、統合欠陥分類部190での欠陥候補の位置ずれ補正の一例を示すfである。画像取得条件1、2の欠陥候補1610、1620それぞれから、位置ずれ検出に利用する欠陥候補1630、1640を選択し、選択した欠陥候補からずれ量を算出する。求めたずれ量を基に、画像取得条件1、2の欠陥候補1610、1620の位置ずれを補正する(1650)。
上記実施の形態1から3では、検査装置として暗視野検査装置による実施例を示したが、明視野検査装置、SEM式検査装置など、全ての方式の検査装置に適用することができ、複数の画像取得条件として、上記複数の方式の検査装置により画像取得し、欠陥判定を実施する事ができる。
【0048】
図17は、SEM式検査装置の構成の一例を示す図である。実施例1で説明した暗視野式検査装置と同じ、または同等の動作をする部分は同一の番号を付けた。電子線源1410から照射された電子ビームはコンデンサーレンズ1420、1430を通過した後、電子線軸調整器1440により非点収差やアライメントずれを補正される。走査ユニット1450、1460により電子ビームを偏向し、電子ビームを照射する位置を制御された後。電子ビームは対物レンズ1470により収束されてウェハ210の撮像対象1400に対して照射される。撮像対象1400からはこの結果、2次電子と反射電子が放出され、2次電子および反射電子は1410の一次電子線通過穴を有した反射板に衝突し,そこで発生した二次電子が1490の電子検出器により検出する。1410で検出された2次電子および反射電子はA/Dコンバータ1500でデジタル信号に変換され、制御部270へ転送される。
【符号の説明】
【0049】
110・・・画像取得部、120・・・画像格納バッファ、130・・・欠陥候補抽出部、140・・・欠陥候補選択部、150・・・制御部、160・・・統合後処理部、170・・・結果出力部、210・・・ウェハ、220・・・ステージ、230・・・コントローラ、240・・・照明系、250・・・検出系、310・・・前処理部、320・・・画像メモリ部、330・・・欠陥候補検出部、340・・・パラメータ設定部、350・・・制御部、410・・・検出画像、420・・・参照画像、430・・・位置合わせ部、440・・・特徴量演算部、450・・・特徴空間形成部、460・・・はずれ画素検出部、710・・・位置ずれ検出・補正部、720・・・欠陥候補対応付け部、730・・・外れ値検出部、910・・・前処理部、920・・・特徴量抽出部、930・・・特徴量記憶部、940・・・欠陥分類部、950・・・ユーザインターフェース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の撮像条件にて試料の画像データを取得する工程と、
前記複数の撮像条件にて取得した複数の画像データを画像記憶部へ格納する工程と、
前記複数の画像データのそれぞれより欠陥候補を取得する工程と、
前記画像記憶部に格納された、少なくとも2つの撮像条件の前記画像データから、前記複数の画像データのいずれかで検出した前記欠陥候補位置とその周辺を含む部分画像を切り出す工程と、
前記欠陥候補に対応する少なくとも2つの撮像条件で取得した前記部分画像を統合処理することで、欠陥候補を分類する工程と、
を有することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項2】
複数の撮像条件にて試料の画像データを取得する工程と、
前記複数の撮像条件にて取得した複数の画像データを画像記憶部へ格納する工程と、
前記複数の画像データを統合し、欠陥候補を取得する工程と、
前記画像記憶部に格納された、少なくとも2つの撮像条件の前記画像データから、前記欠陥候補位置とその周辺を含む部分画像を切り出す工程と、
前記欠陥候補に対応する少なくとも2つの撮像条件で取得した前記部分画像を統合処理することで、欠陥候補を分類する工程と、
を有することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の欠陥検査方法であって、
前記欠陥候補を取得する工程と、前記欠陥候補を分類する工程とが非同期であることを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の欠陥検査方法であって、
前記部分画像を切り出す欠陥候補数に上限を設定することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項5】
複数の撮像条件にて試料の画像データを取得する工程と、
前記複数の画像データのそれぞれより欠陥候補を検出する工程と、
前記欠陥候補の位置ずれ量を算出するための欠陥候補を選択する工程と、
前記選択した欠陥候補の位置のずれ量を基に、前記複数の画像データから取得した欠陥候補のずれ量を算出する工程と、
前記ずれ量に基づき、それぞれの欠陥候補の対応関係を算出し、欠陥候補を分類する工程と、
を有することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項6】
複数の撮像条件にて試料の画像データを取得する検出光学系と、
前記複数の撮像条件にて取得した複数の画像データを格納する画像記憶部と、
前記複数の画像データのそれぞれより欠陥候補を検出する欠陥候補検出部と、
前記画像記憶部に格納された、少なくとも2つの撮像条件の前記画像データから、前記複数の画像データのいずれかで検出した前記欠陥候補位置とその周辺を含む部分画像を切り出す画像切り出し部と、
前記欠陥候補に対応する少なくとも2つの撮像条件で取得された前記部分画像を統合処理することで、欠陥候補を分類する統合後処理部と、
を有することを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項7】
複数の撮像条件にて試料の画像データを取得する検出光学系と、
前記複数の撮像条件にて取得した複数の画像データを格納する画像記憶部と、
前記複数の画像データを統合し欠陥候補を取得する欠陥候補検出部と、
前記画像記憶部に格納された、少なくとも2つの撮像条件の前記画像データから、前記欠陥候補位置とその周辺を含む部分画像を切り出す画像切り出し部と、
前記欠陥候補に対応する少なくとも2つの撮像条件で取得した前記部分画像を統合処理することで、欠陥候補を分類する統合後処理部と、
を有することを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の欠陥検査装置であって、
前記欠陥候補検出部と、前記統合後処理部とが非同期であることを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれかに記載の欠陥検査装置であって、
前記部分画像を切り出す欠陥候補数に上限を設定することを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項10】
複数の撮像条件にて試料の画像データを取得する検出光学系と、
前記複数の画像データのそれぞれより欠陥候補を検出する欠陥候補検出部と、
前記欠陥候補の位置ずれ量を算出するための欠陥候補を選択する欠陥候補選択部と、
前記選択した欠陥候補の位置のずれ量を基に、前記複数の画像データから取得した欠陥候補のずれ量を算出するずれ量算出部と、
前記ずれ量に基づき、それぞれの欠陥候補の対応関係を算出し、欠陥候補を分類する統合処理部と、
を有することを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項1】
複数の撮像条件にて試料の画像データを取得する工程と、
前記複数の撮像条件にて取得した複数の画像データを画像記憶部へ格納する工程と、
前記複数の画像データのそれぞれより欠陥候補を取得する工程と、
前記画像記憶部に格納された、少なくとも2つの撮像条件の前記画像データから、前記複数の画像データのいずれかで検出した前記欠陥候補位置とその周辺を含む部分画像を切り出す工程と、
前記欠陥候補に対応する少なくとも2つの撮像条件で取得した前記部分画像を統合処理することで、欠陥候補を分類する工程と、
を有することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項2】
複数の撮像条件にて試料の画像データを取得する工程と、
前記複数の撮像条件にて取得した複数の画像データを画像記憶部へ格納する工程と、
前記複数の画像データを統合し、欠陥候補を取得する工程と、
前記画像記憶部に格納された、少なくとも2つの撮像条件の前記画像データから、前記欠陥候補位置とその周辺を含む部分画像を切り出す工程と、
前記欠陥候補に対応する少なくとも2つの撮像条件で取得した前記部分画像を統合処理することで、欠陥候補を分類する工程と、
を有することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の欠陥検査方法であって、
前記欠陥候補を取得する工程と、前記欠陥候補を分類する工程とが非同期であることを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の欠陥検査方法であって、
前記部分画像を切り出す欠陥候補数に上限を設定することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項5】
複数の撮像条件にて試料の画像データを取得する工程と、
前記複数の画像データのそれぞれより欠陥候補を検出する工程と、
前記欠陥候補の位置ずれ量を算出するための欠陥候補を選択する工程と、
前記選択した欠陥候補の位置のずれ量を基に、前記複数の画像データから取得した欠陥候補のずれ量を算出する工程と、
前記ずれ量に基づき、それぞれの欠陥候補の対応関係を算出し、欠陥候補を分類する工程と、
を有することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項6】
複数の撮像条件にて試料の画像データを取得する検出光学系と、
前記複数の撮像条件にて取得した複数の画像データを格納する画像記憶部と、
前記複数の画像データのそれぞれより欠陥候補を検出する欠陥候補検出部と、
前記画像記憶部に格納された、少なくとも2つの撮像条件の前記画像データから、前記複数の画像データのいずれかで検出した前記欠陥候補位置とその周辺を含む部分画像を切り出す画像切り出し部と、
前記欠陥候補に対応する少なくとも2つの撮像条件で取得された前記部分画像を統合処理することで、欠陥候補を分類する統合後処理部と、
を有することを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項7】
複数の撮像条件にて試料の画像データを取得する検出光学系と、
前記複数の撮像条件にて取得した複数の画像データを格納する画像記憶部と、
前記複数の画像データを統合し欠陥候補を取得する欠陥候補検出部と、
前記画像記憶部に格納された、少なくとも2つの撮像条件の前記画像データから、前記欠陥候補位置とその周辺を含む部分画像を切り出す画像切り出し部と、
前記欠陥候補に対応する少なくとも2つの撮像条件で取得した前記部分画像を統合処理することで、欠陥候補を分類する統合後処理部と、
を有することを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の欠陥検査装置であって、
前記欠陥候補検出部と、前記統合後処理部とが非同期であることを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれかに記載の欠陥検査装置であって、
前記部分画像を切り出す欠陥候補数に上限を設定することを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項10】
複数の撮像条件にて試料の画像データを取得する検出光学系と、
前記複数の画像データのそれぞれより欠陥候補を検出する欠陥候補検出部と、
前記欠陥候補の位置ずれ量を算出するための欠陥候補を選択する欠陥候補選択部と、
前記選択した欠陥候補の位置のずれ量を基に、前記複数の画像データから取得した欠陥候補のずれ量を算出するずれ量算出部と、
前記ずれ量に基づき、それぞれの欠陥候補の対応関係を算出し、欠陥候補を分類する統合処理部と、
を有することを特徴とする欠陥検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−112915(P2012−112915A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264488(P2010−264488)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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