説明

次世代エネルギースタンドのネットワーク及び当該ネットワークにおいて使用する次世代エネルギースタンド

【課題】次世代自動車等のエネルギーを円滑かつ安全に供給、引き取り、蓄積を可能とした次世代エネルギースタンドのネットワークを提供する。
【解決手段】次世代エネルギーである電力を供給、引き取り、蓄積が出来る装置を備えた次世代エネルギースタンドAを設け、このスタンドAの蓄電池及びエネルギー需要箇所Eの発電装置及び蓄電池とは双方向から送電可能な電力ネットワークFに接続し、前記スタンドAと、エネルギー需要箇所E及び管理者GのコンピューターをインターネットHで接続して情報ネットワークIを構築し、エネルギー需要箇所Eでは管理者G及び電力ネットワークFで前記スタンドAから電力の供給を受け、エネルギー需要箇所Eの余剰電力は管理者G及び電力ネットワークFで前記スタンドAに送電出来、エネルギー需要箇所Eが前記スタンドAに引き渡した電力は何れのスタンドAにおいても受け取りが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、低炭素社会の実現に向けて、研究開発が盛んな次世代自動車、新交通システム及び家庭、集合住宅、工場、地域等(以下、「エネルギー需要箇所」、と言う)の次世代エネルギーの供給等に関するもので有り、特に、次世代エネルギーの供給、余剰エネルギーの引き取り、及び蓄積が出来る次世代エネルギースタンドのネットワーク及び当該ネットワークにおいて使用する次世代エネルギースタンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、低炭素社会の実現に向けた取り組みが行われており、例えば、自動車業界においては、化石燃料を燃焼して排出されるCOの削減を目指して、次世代自動車の研究開発が行われている。ここで、次世代エネルギーとは、電力、天然ガス、液体水素、燃料電池等を言う。この様な次世代自動車として、ガソリン等の揮発油と電気等のエネルギーを組み合わせたり、又は揮発油を除いた電気等のエネルギー単独で走行する自動車が考えられている。
【0003】
また、自動車のみならず、次世代エネルギーについては、エネルギーを消費する全ての場所、例えば、家庭や地域等におけるものでも、同様なことが研究開発されている。例えば、太陽光発電とその余剰電力の蓄積または電力会社への売電などは一部実用化が始まっている。そして、低炭素社会を実現させるためには余剰電力をより有効利用するための管理システムや蓄積・供給する施設が必要となる。また、前記次世代自動車等を普及させるためには、この次世代自動車等にエネルギーを供給出来るスタンドが必要となる。
【0004】
一方、従来、エネルギー供給の担い手の一つとしてガソリンスタンドが有る。ガソリンスタンドとしては、顧客や事業者の利便性及び安全性を目的として、例えば、特許文献1には、デリベリユニットのホース繰り出し口近傍に設けられ前記給油ホースの角度が所定値以上になったことを検出するセンサと、予め定められた給油ホ−スの繰り出し位置で前記給油ホースの角度が所定値より大なる場合、さらに前記給油ホースを下降すべく、前記ホース昇降機構を駆動制御せしめる昇降手段とを設けてなる懸垂式給油装置が記載されている。
【特許文献1】特開昭61−81998号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この様な揮発油等の供給のみを目的とした従来のガソリンスタンドでは、当然のことであるが、前記記載した次世代エネルギーである電気、天然ガス及び液体水素等の供給は出来ない。また、このことは、既存のガソリンスタンドに、単に、電気等の供給装置を併設すれば済むと言う問題では無い。つまり、硬く、重い電力ケーブルを頻繁に曲げたり伸ばしたりすると、電力ケーブル自身が劣化して傷つき、当該電力ケーブルの一部でも露出すると感電のおそれが発生する。また、電力ケーブルの熱に対する化学的劣化が招来する安全性への問題の解決、また、揮発油の供給装置と充電装置を併設する場合、電気と、揮発油と言う可燃性のものを同時に扱うことに対する防爆対策の実施などが求められる。
【0006】
また、前記次世代エネルギーの供給が出来る、いわゆる次世代エネルギースタンド(以下、「次世代エネルギースタンド」と言う)を、さらに、進めて、供給の他、余剰エネルギーの引き取り、及びその蓄えなどが出来れば次世代エネルギースタンドとしても便利であり、加えて、この様な次世代エネルギースタンドを複数繋げてネットワークを構築して、そのネットワーク内のスタンドで自由に次世代エネルギーのやり取りが出来るようになれば、より便利であり、次世代エネルギースタンドとして、新しいモデルケースを提案することが出来る。
【0007】
この発明は、これらの点に鑑みて為されたもので、次世代自動車等のエネルギーを円滑かつ安全に供給、引き取り、蓄積を可能とした次世代エネルギースタンドのネットワーク及び当該ネットワークにおいて使用する次世代エネルギースタンドを提供して前記課題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、次世代エネルギーを供給、引き取り、及び蓄積が出来る各装置を備えた次世代エネルギースタンドを複数設け、前記複数のスタンドの次世代エネルギーを蓄積が出来る装置の中の蓄電池と、各次世代エネルギースタンド周辺の一定地域のエネルギー需要箇所の発電装置又は蓄電池とは、双方向から送電可能な電力会社の電力ネットワークに接続し、前記次世代エネルギースタンド及び前記エネルギー需要箇所では電気を供給及び引き取り出来る制御装置を設け、前記複数の次世代エネルギースタンドと、前記エネルギー需要箇所及び前記電力の供給及び引き取りに関する管理者の、各自のコンピューターをインターネットを通じて接続して、電力の供給及び引き取りに関する情報ネットワークを構築する。
【0009】
前記エネルギー需要箇所では、前記情報ネットワークの管理者及び電力ネットワークを通じて前記次世代エネルギースタンドから電力の供給を受け、また、蓄電池に貯蔵出来、当該エネルギー需要箇所における余剰電力は前記情報ネットワークの管理者及び電力ネットワークを通じて前記次世代エネルギースタンドに送電出来、当該次世代エネルギースタンドではこの電力を蓄電池に貯蔵出来、前記エネルギー需要箇所が前記次世代エネルギースタンドに引き渡した電力は、前記次世代エネルギーの情報ネットワークを介して何れの次世代エネルギースタンドにおいても受け取りが出来、前記エネルギー需要箇所及び前記次世代エネルギースタンドでは、前記次世代エネルギーの情報ネットワークによって、前記電力の他の次世代エネルギーに関する情報交換が自在であり、前記何れの次世代エネルギースタンドでも、エネルギー需要箇所の次世代エネルギーの売買及び決済が出来る次世代エネルギースタンドのネットワークとした。
【0010】
請求項2の発明は、上部には天蓋を備え、下部に移動体が走行及び停止自在な空間を有した施設において、当該施設の建物の天蓋には電力を蓄えた蓄電池、液体又は気体の次世代エネルギーを蓄えたタンクを夫々設け、前記天蓋の下面に当該下面を周回する軌条を設け、前記天蓋に設けた蓄電池又はタンクからエネルギーを移送するケーブル又はホースを前記軌条に沿って移動自在に設け、当該軌条に懸架し、底面が開口した箱体を、前記軌条に沿って移動自在に設け、当該箱体の中に、前記ケーブル又はホースの一端を引き込み、当該ケーブル又はホースの先端にソケット又はカプラを設けて、当該ケーブル又はホースを箱体内で折り返して箱体の底面から前記ソケット又はカプラを引き出し又は収納自在に設けてエネルギーの供給装置を形成し、電力、液体又は気体の次世代エネルギーの供給が出来る前記請求項1に記載のネットワークにおいて使用する次世代エネルギースタンドとした。
【0011】
請求項3の発明、前記エネルギーの供給装置の箱体内に、駆動装置により上下方向に移動自在な横板を設け、当該箱体内で一端を固定したケーブル又はホースの他端を立ち上げて折り返して、当該ケーブル又はホースの先端を垂下させて当該ケーブル先端のソケット又はホース先端のカプラを当該箱体の開口から突出させ、前記折り返し箇所を前記横板に設けた複数の多面ローラに通して係止し、当該ケーブルのソケット又はホースのカプラを前記箱体の開口から一定長引き出し及び収納自在に設けた前記請求項2に記載のネットワークにおいて使用する次世代エネルギースタンドとした。
【0012】
請求項4の発明は、前記軌条を複数並べて設け、当該各軌条に前記箱体を夫々懸架させ、複数の又は複数種類のエネルギーが供給出来る前記請求項2又は3に記載のネットワークにおいて使用する次世代エネルギースタンドとした。
【0013】
請求項5の発明は、水平方向の一定範囲に回動自在な円盤上に設置された略箱型のベースと、当該ベースから立設され、垂直方向の一定角度について回動自在に設けられた一定長のブームとから成り、当該ブームの上部には開口部を設け、当該開口部には開閉自在なカバーを設け、当該ブームの上部の内側には滑車を設け、当該ブームの内側に長尺で上面が開口した箱体を設け、当該箱体内に、駆動装置により上下方向に移動自在な横板を設け、当該箱体内で一端を固定したケーブル又はホースの他端を垂下し、当該ケーブル又はホースの先端を折り返して立ち上げて当該ケーブル先端のソケット又はホース先端のカプラを当該箱体の開口から突出させ、前記折り返し箇所を前記横板に設けた複数の多面ローラに通して係止し、当該ケーブルのソケット又はホースのカプラを前記滑車を介して前記ブームの開口部から一定長引き出し及び収納自在とした次世代エネルギー供給装置を設けた前記請求項1、2、3又は4の何れかに記載の次世代エネルギースタンドとした。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、この次世代エネルギースタンドのネットワークを用いれば、次世代エネルギーの購入や処理が出来、地域の住人にとって、次世代エネルギーの総合ステーションとなり、極めて便利なものとなる。
【0015】
請求項2の発明によれば、施設の建物において、ソケットを設けたケーブル、又はカプラを設けたホースを使用して、電力等の次世代エネルギーの供給、引き取り及び蓄積が出来ることとしたので、地域の住人にとって、この次世代エネルギースタンドに車両等の移動体を持ち込めば、次世代エネルギーの購入や処理が出来、次世代エネルギーの総合ステーションとなり、極めて便利なものとなる。
【0016】
また、天蓋に軌条を設け、この軌条に移動自在な次世代自動車のエネルギー供給、引き取り装置を設けて、天蓋からエネルギーを供給するようにしたので、電気については、絶縁が確保され、揮発油系エネルギー、液体水素等については、漏洩が容易に分かる。また、前記供給、引き取り機器が自重を受けずに操作出来るので、長期間に渡り使用出来るものである。
【0017】
請求項3及び5の各発明によれば、箱体内でケーブル等を折り返した形態を保持出来るため、ケーブル等を引き出しても、収納しても、ケーブル等を一定角度以上、曲がらないようにしたので、電力ケーブルの様に剛性が高いものであっても、当該剛性を維持したままで、電力供給等が出来るので、ケーブル等を必要以上に傷つけることが無く、安全かつ確実に供給が出来るので極めて便利である。
【0018】
請求項4の発明によれば、軌条を複数並べて設け、当該各軌条に前記箱体を夫々懸架させ、複数の又は複数種類の次世代エネルギーが供給出来ることとしたので、より多くの車両等の移動体に対してエネルギーの供給が出来、また、複数種類のエネルギーが供給出来るようにしたものは、このスタンド1か所で各種のエネルギーの供給が受けられるので、非常に便利である。
【0019】
請求項5の発明によれば、簡単に設置出来るので、当該次世代エネルギー供給装置を容易に普及させることが出来、次世代自動車等の研究開発にも貢献するものである。また、各エネルギーが個別に設けられるので、ソケット部分を除いて、各装置が外界と隔絶されており、電力については、絶縁が確保され、揮発油系エネルギー、液体水素については、漏洩があったとしても外部に漏れることが無く、さらに、漏洩センサーなどを設けることにより、漏洩があったとしても容易に分かる。
【0020】
また、この装置はエネルギーを供給するソケット等の出入り口が一定長の高さを有し、ソケット等からエネルギーを盗み難く、破損したり、感電、汚染、漏電などが起こり難いものである。また、この装置にまた、前記供給、引き取り機器が自重を受けずに操作出来るので、長期間に渡り使用出来るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次世代エネルギーである電力、液体水素、天然ガス等を夫々供給、引き取り、及び蓄積が出来る各装置を備えた次世代エネルギースタンドを設け、複数の前記次世代エネルギースタンドの蓄電池及び各エネルギー需要箇所の発電装置又は蓄電池とは、双方向から送電可能な電力会社の電力ネットワークに接続し、前記次世代エネルギースタンド及び前記エネルギー需要箇所では電気を供給及び引き取り出来る制御装置を設け、前記複数の次世代エネルギースタンドと、前記エネルギー需要箇所及び前記電力の供給及び引き取りに関する管理者の、各自のコンピューターをインターネットを通じて接続して、電力の供給及び引き取りに関する情報ネットワークを構築する。
【0022】
各エネルギー需要箇所では、前記情報ネットワークの管理者及び電力ネットワークを通じて前記次世代エネルギースタンドから電力の供給を受け、蓄電池に貯蔵出来、各エネルギー需要箇所における余剰電力は前記情報ネットワークの管理者及び電力ネットワークを通じて前記次世代エネルギースタンドに送電出来、当該次世代エネルギースタンドではこの電力を蓄電池に貯蔵出来、前記各エネルギー需要箇所が前記次世代エネルギースタンドに引き渡した電力は、前記次世代エネルギーの情報ネットワークを介して何れの次世代エネルギースタンドにおいても受け取りが出来、前記各エネルギー需要箇所及び前記次世代エネルギースタンドでは、前記次世代エネルギーの情報ネットワークによって、前記電力の他、液体水素、天然ガス等の次世代エネルギーに関する情報交換が自在であり、前記何れの次世代エネルギースタンドでも、各エネルギー需要箇所の次世代エネルギーの売買及び決済が出来ることとした。
【0023】
これにより、この次世代エネルギースタンドのネットワークを用いれば、次世代エネルギーの購入や処理が出来、地域の住人にとって、次世代エネルギーの総合ステーションとなり、極めて便利なものとなる。
【実施例1】
【0024】
以下、この発明の実施例1の次世代エネルギースタンドAのネットワークを図に基づいて説明する。図1は、この発明の実施例1の次世代エネルギースタンドのネットワークを示す説明図である。図2は、この発明の実施例1のエネルギー需要箇所における構成を示す説明図である。
【0025】
まず、次世代エネルギーである電力、液体水素、天然ガス等を夫々供給、引き取り、及び蓄積が出来る各装置を備えた次世代エネルギースタンドAを設ける。複数の前記次世代エネルギースタンドAの蓄電池と、当該次世代エネルギースタンドA周辺の一定地域の各エネルギー需要箇所E(ここでは、各家庭とする。)の発電装置及び蓄電池とは、双方向から送電可能な電力会社の電力ネットワークFに接続され、前記次世代エネルギースタンドA及び前記各エネルギー需要箇所Eでは電力を供給及び引き取り出来る制御装置(図示省略)を設けている。
【0026】
また、図2に示すように、このエネルギー需要箇所Eでは、自家発電用の太陽光発電パネルE1、パワー・コンディショナーE2、自所内分電盤E3、電力量計E4が夫々接続されて設けられ、また、前記パワー・コンディショナーE2と蓄電池E5とが接続されており、さらに、これらを監視する監視モニタE6と接続されたパーソナル・コンピューターE7を設けている。
【0027】
このエネルギー需要箇所Eでは、常時、太陽光発電パネルE1によって、発電した電力を自所内電力負荷E8で消費し、余剰電力は蓄電池E5に蓄えられる。さらに、電力不足の場合は電力ネットワークFから電力量計E4及び自所内分電盤E3を通して自所内電力負荷E8で消費される構成となっている。
【0028】
前記複数の次世代エネルギースタンドAと、前記各エネルギー需要箇所E及び前記電力の供給及び引き取りに関する管理者(コンピューターシステム)Gの、各自のコンピューターをインターネットHを通じて接続して、電力の供給及び引き取りに関する情報ネットワークIを構築する。また、各エネルギー需要箇所Eにおける余剰電力は前記情報ネットワークIの管理者G及び電力ネットワークFを通じて前記次世代エネルギースタンドAに送電出来、当該次世代エネルギースタンドAではこの電力を蓄電池に貯蔵出来、さらに、前記各エネルギー需要箇所Eが前記次世代エネルギースタンドAに引き渡した電力は、前記次世代エネルギーの情報ネットワークIを介して何れの次世代エネルギースタンドAにおいても受け取りが出来るようになっている。
【0029】
また、前記エネルギー需要箇所E及び前記次世代エネルギースタンドAでは、前記次世代エネルギーの情報ネットワークIによって、前記電力の他、液体水素、天然ガス等の次世代エネルギーに関する情報交換が自在であり、前記何れの次世代エネルギースタンドAでも、各エネルギー需要箇所の次世代エネルギーの売買及び決済が出来るようになっている。
【0030】
以下、具体的に説明する。各エネルギー需要箇所Eなどに設置された自家発電装置(例えば、太陽光発電など、図2参照)によって、発生した余剰電力を、次世代エネルギースタンドAにおいて、当該余剰電力を引き取って蓄電池に蓄積するケースについて、処理の流れを説明する。余剰電力は、各エネルギー需要箇所Eにある蓄電池に蓄えられているものと、各エネルギー需要箇所Eで現在発電されている電力のうち余剰になっている電力のいずれか、または、その合算となる。
【0031】
まず、各家エネルギー需要箇所Eにおいて余剰となっている電力を前記次世代エネルギースタンドAが引き取る場合、引き取りを希望するエネルギー需要箇所Eは、前記情報ネットワークIを介して、当該情報ネットワークIを運営管理する管理者Gに、引き取ってほしい電力量と引き取り希望時間帯、引き取ってもらう電力を次世代エネルギースタンドAに買い取ってもらう場合の希望単価を照会する。
管理者Gは引き取り可能な次世代エネルギースタンドAを検索し決定後、前記エネルギー需要箇所Eに対して、引き取りの可否、引き取り電力量、電力送り出し開始時間、などを通知する。
【0032】
引き取り可能な次世代エネルギースタンドAの決定方法は以下のように行う。
引き取りを希望するエネルギー需要箇所Eと電力ネットワークFを介して接続される次世代エネルギースタンドAを結ぶ送電線の距離が短い順に次世代エネルギースタンドAを選択し、選択された次世代エネルギースタンドAに設置された蓄電池に、引き取り希望時間帯に、空きがあるか否か調べ、空きがある場合は当該次世代エネルギースタンドAを、引き取りに応じる次世代エネルギースタンドAに決定し、当該次世代エネルギースタンドAの引き取り量は、前記当該次世代エネルギースタンドAの蓄電池の空きの量に相当する電力量とする。
引き取ってほしい電力量のすべてが、空いている蓄電池を有した次世代エネルギースタンドAに割り当てられるまで、前記の選択と決定を繰り返す。
【0033】
また、前記決定方法で決定された、引き取りに応じる次世代エネルギースタンドAに対しては、それぞれの引き取る電力量と引き取り開始時間を通知する。前記エネルギー需要箇所Eは、電力送り出し開始時間になれば、余剰電力を前記電力ネットワークFの電力線を通じて送り出す。また、この時、引き取りに応じる次世代エネルギースタンドAと前記各エネルギー需要箇所Eとが専用回線で接続されているときはそれを使用する。この場合、直流のままでの送電も可能とする。引き取りに応じる次世代エネルギースタンドAは、引き取り開始時間になれば、前記電力ネットワークFの電力線又は専用回線を通じて、送られた電力をスタンド内に設けている蓄電池に蓄積する。この時、引き取りに応じる次世代エネルギースタンドAが複数の場合は、引き取りを複数同時に行なうこともできる。
【0034】
次に、実際に引き取る電力量の制御方法について以下に示す。
エネルギー需要箇所Eから送り出される余剰電力量は、時々刻々変化する。これはエネルギー需要箇所Eに設置されている発電機の発電量とエネルギー需要箇所Eにおける電力の消費量が時々刻々変化するためである。余剰電力量は、エネルギー需要箇所Eに設置される蓄電池の有無とその容量及び実際に蓄積されている電力量にも依存する。
このため、引き取りに応じる次世代エネルギースタンドAが実際に引き取る電力量と、エネルギー需要箇所Eから送り出される余剰電力量を、ある一定の単位時間内では同量とする制御が必要となる。
【0035】
そこで、余剰電力を送り出すエネルギー需要箇所Eは、送り出し開始時間後、一定の時間単位(たとえば、15分単位)ごとに、その単位時間内に実際に送り出した余剰電力量を計測し、その情報を、情報ネットワークIを介して、管理者Gに伝える。管理者Gは、当該余剰電力量を、引き取りに応じる次世代エネルギースタンドAそれぞれに割り当てられた前記引き取り量に比例した電力量に配分し、当該電力量(以下、「単位時間引き取り量」、と言う)を、前記一定の単位時間ごとに、引き取りに応じる次世代エネルギースタンドAに伝える。引き取りに応じる次世代エネルギースタンドAの制御装置は、当該電力量に相当する電力を電力ネットワークFから次世代エネルギースタンドAの蓄電池に蓄積する。
【0036】
次世代エネルギースタンドAが蓄電池への蓄積を終了するタイミングは、
(1)割り当てられた前記引き取り量に到達したとき、(2)前記引き取り希望時間帯を過ぎた時(3)次世代エネルギースタンドAの蓄電池に空きが無くなった時、のいずれかとなる。次世代エネルギースタンドAは、実際に引き取った電力量と終了時間を管理者Gに通知する。
【0037】
前記で述べた制御方法は、余剰電力の引き取り開始時間や引き取り量をあらかじめ想定した場合の説明であるが、引き取り開始時間または引き取り量をあらかじめ想定しない、すなわち、任意の時刻に任意の電力量を引き取る制御も可能とする。任意の時刻に任意の電力量の引き取りを希望する各エネルギー需要箇所Eは、当該希望を管理者Gに照会後、任意の時刻を基点に、一定の時間単位(例えば、15分単位)ごとに、単位時間内に実際に送り出した余剰電力量を計測し、その情報を、情報ネットワークIを介して、管理者Gに伝える。管理者Gは、前記情報を受信する度、当該余剰電力量の引き取りが可能な次世代エネルギースタンドAを検索・決定し、決定した次世代エネルギースタンドAに当該情報を伝え、引き取りに応じる次世代エネルギースタンドAの制御装置は、当該情報に相当する電力量を電力ネットワークFから次世代エネルギースタンドAの蓄電池に蓄積する。
【0038】
同一の時間帯に複数のエネルギー需要箇所Eが引き取りを希望した場合で、引き取ってほしい電力量のすべてを引き取ることができない場合、即ち、引き取り可能な次世代エネルギースタンドAが不足する場合、管理者Gは、エネルギー需要箇所Eに対して、次の選択肢を提供する。(1)引き取り希望時間帯の変更、(2)引き取ってほしい電力量の変更、(3)電力会社への売電、(4)入札によるエネルギー需要箇所の決定。
入札によるエネルギー需要箇所Eの決定とは、次世代エネルギースタンドAが引き取る電力を次世代エネルギースタンドAが買い取る場合、その買い取り単価が低い順位に、エネルギー需要箇所Eを決定する方法を言う。
【0039】
前記電力引き取り行為が複数のエネルギー需要箇所Eと複数の次世代エネルギースタンドAによって同時に行われる場合、或るひとつの次世代エネルギースタンドAは、前記一定の単位時間内に、複数の前記「単位時間引き取り量」に関する情報を受ける場合がある。このような場合は、次世代エネルギースタンドAの制御装置は、前記情報を受ける度に、蓄電池に蓄電する電力量を変更する制御を行うことになる。
この変更制御を簡素化するために、管理者Gは、前記「単位時間引き取り量」を次世代エネルギースタンドAごとに集約し、管理者Gが任意に設定した時刻を基点として、一定の単位時間(例えば、15分単位)ごとに、前記集約した「単位時間引き取り量」を、前記次世代エネルギースタンドAに伝達することができる。
前記次世代エネルギースタンドAは、前記集約した「単位時間引き取り量」に基づき、蓄電池に蓄電する電力量を変更制御する。
【0040】
エネルギー需要箇所Eは、管理者Gに対して、任意な時点で、電力引き取りの終了を申し入れることができる。管理者Gは、申し入れたエネルギー需要箇所Eからの電力引き取りを終了する。
【0041】
次世代エネルギースタンドAに引き取られた電力をそのまま買い取ってもらう場合と、後日、エネルギー需要箇所Eが使用するために預けておく場合とがある。後者の場合、前記管理者Gの管理下にある何れの次世代エネルギースタンドAでも引き出すことが出来る。例えば、電気自動車の充電を旅行先のスタンドで行うのと同じであり、まるで、銀行の口座にお金を預けておき、後日、他の支店で引き出すのと同じである。
【0042】
次に、前記とは逆に、各エネルギー需要箇所Eで使用する電力が自家発電による電力では不足する場合、前記次世代エネルギースタンドAに預けてある電力を引き出すことが出来る。この場合の電力の出し入れは、前記引き取りの場合と逆となり、その処理方法・制御方法は、前記引き取りの場合と同様な考え方で行うことができる。
【0043】
引き出しを希望するエネルギー需要箇所Eは、前記情報ネットワークIを介して、前記管理者Gに、引き出したい電力量と希望時間帯を照会する。管理者Gは、引き出しが可能な次世代エネルギースタンドAを検索し決定後、引き出しを希望するエネルギー需要箇所Eに引き出しの可否、開始時間を通知する。
【0044】
引き出し可能な次世代エネルギースタンドAの決定方法は以下のように行う。
引き出しを希望するエネルギー需要箇所Eと電力ネットワークFを介して接続される次世代エネルギースタンドAを結ぶ送電線の距離が短い順に次世代エネルギースタンドAを選択し、選択された次世代エネルギースタンドAに設置された蓄電池に、引き出し希望時間帯に、引き出せる電力量があるか否か調べ、ある場合は当該次世代エネルギースタンドAを、引き出しに応じる次世代エネルギースタンドAに決定する。
引き出しを希望するエネルギー需要箇所Eの希望時間帯内で、引き出しを希望する電力量が満足されるまで、前記検索・決定を繰り返す。
管理者Gは、引き出しに応じる次世代エネルギースタンドAに対しては、引き出し電力量と開始時間を通知する。前記エネルギー需要箇所Eは、開始時間になったら、蓄電池への充電を希望する場合は、蓄電を開始する。
引き出しに応じる次世代エネルギースタンドAは、開始時間になったら前記電力ネットワークFの電力線又は専用回線を通じて、電力をスタンド内の蓄電池から送り出す。
【0045】
エネルギー需要箇所Eが預けてある電力量を引き出せない場合、即ち、引き出し可能な次世代エネルギースタンドAが不足する場合、管理者Gは、エネルギー需要箇所Eに対して、次の選択肢を提供する。(1)引き出し希望時間帯の変更、(2)引き出したい電力量の変更、(3)電力会社からの買電。
このよう場合、次世代エネルギースタンドAは、エネルギー需要箇所Eに対して、前もって約束したペナルティを支払う。
【0046】
次に、実際にエネルギー需要箇所Eが、前記決定方法によって決定した次世代エネルギースタンドAから引き出す電力量の制御方法について以下に示す。
エネルギー需要箇所Eにおける電力の消費量は、時々刻々変化する。このため、引き出しに応じる次世代エネルギースタンドAが実際に電力ネットワークFの電力線に送り出す電力量と、エネルギー需要箇所Eが実際に電力ネットワークFの電力線から自所内に取り込む電力量を、ある一定の単位時間内において、同量となるように制御する必要がある。
制御方法は、前記引き取りの場合と同様な方法で行う。即ちエネルギー需要箇所Eは、ある一定の単位時間ごとに、その一定の単位時間内に実際に取り込んだ電力量を計測し、その情報を、管理者Gを介して引き出しに応じている次世代エネルギースタンドAに伝達し、当該次世代エネルギースタンドAは当該情報をもとにして、スタンド内の蓄電池から電力ネットワークFに電力を送り出す。
【0047】
また、この次世代エネルギースタンドAでは、持ち込まれたエネルギーを他のエネルギーに交換することが出来る。例えば、液体水素を持ち込んで、代わりに電力をもらいうけて電気自動車に充電したり、或いは、自己の持つ蓄電池としての口座に蓄電することも出来る。
前記管理者Gは、一定期間ごとに、以上の様な取引を各エネルギー需要箇所ごとに決済し、報告する。
【0048】
続いて、この発明の実施例1の前記ネットワークにおいて使用する次世代エネルギースタンドAを図に基づいて説明する。図3は、この発明の実施例1の次世代エネルギースタンドの正面図である。図4は、同次世代エネルギースタンドの軌条から懸架した箱体の斜視図である。図5は、同次世代エネルギースタンドの軌条から箱体を懸架した構造を示す一部省略断面側面図である。図6は、同次世代エネルギースタンドの軌条に懸架した箱体とケーブルとの接続状態を示す正面図である。図7は、同次世代エネルギースタンドの軌条内で、移動金車によって、ケーブルを伸縮自在に挿通している状態を示す斜視図である。図8は、同次世代エネルギースタンドの箱体の内部を示す正面図である。図9は、同側面図である。図10は、図8においてケーブルを延ばした状態の正面図である。
【0049】
図3に示すように、この発明の実施例1の次世代エネルギースタンドAは、概略、上部に広い天蓋1を有し、下部の左側奥には洗車機2を配置し、略中央奥には事務所3を配置し、これらの手前部分及び右側には、車両が走行したり、停車出来る空間を有した建物4から成る。この建物4の天蓋1の内部に次世代エネルギーを貯蔵するタンクを設けている(ここでは、次世代エネルギーとして電力を用い、タンクに替えて、蓄電池と接続された急速充電器とする。図示省略)。
【0050】
さらに、この次世代エネルギースタンドAにおいて使用する次世代エネルギー供給装置を説明する。次世代エネルギースタンドAの天蓋1の下面に当該下面を周回する平面視、略四角形状の軌条5を設けている。この軌条5は、図5に示すように、断面L型の長尺な部材5aを2つ平行に並べて設けたものから成り、これら2つの部材5aの内側には、前記急速充電器から電力を供給するケーブル6を延ばして挿通させ、図6及び7に示すように、このケーブル6は、一定間隔で複数の移動金車7によって吊るされている。この移動金車7は、下面の中央に切欠きを設けた角筒状のレールの中を移動自在に設けられている。そして、前記軌条5の2つの部材5aによって挟まれた箇所の下面は開口した状態となっている。
【0051】
この様な軌条5には、底面が開口し、扁平で長細の箱体8を移動自在に懸架している。具体的に説明すると、この箱体8の上面に、図5及び6に示すように、一定長のチャネル型の係止枠9を、自身の開口部を上にして取り付けている。この係止枠9の相対向する両内側面には回動自在な2つの車輪9aを夫々軸支して設けており、前記軌条5の下面に、当該係止枠9を、自身の開口した面から被せて、各車輪9aを前記軌条5の断面L型の部材5aの水平片上に載せ、図4に示すように、軌条5に箱体8が移動自在に懸架されており、別途設けたモーターにより(図示省略)、動くようになっている。
【0052】
前記箱体8内において、図8に示すように、この箱体8の上下方向の相対向する二つの内側面の上下に歯車8bを夫々設け、各歯車8bに環状にしたチェーン10を夫々掛け回し、当該両側のチェーン10の間に細長い横板11を渡して各チェーン10に固定し、この横板11は、モーター12の正逆回転による前記チェーン10の移動によって箱体8内を上端から下端まで移動自在に設けられている。この横板11を前記チェーン10と共に上端から下端まで移動させることにより、後述する、先端にソケットを設けた一定長のケーブルを前記箱体8の開口8aから一定長引き出し及び収納自在に設けている。
【0053】
また、前記モーター12は、このモーター12に隣接して設けられたスイッチ(図示省略)によって作動するようになっており、図4に示すように、このスイッチから垂下されて箱体8の開口8aより下であって、地上に立つ人が手を伸ばせば届く位置に延びた紐13を引っ張ることによって作動するようになっている。
【0054】
また、図6及び8に示すように、前記箱体8内側の開口8a付近の一側面にはL型のコネクタ14を固定して設けており、前記軌条5から下方に垂下されたケーブル6の先端部をこのL型のコネクタ14の一端に接続している。
【0055】
さらに、この箱体8内側において、前記L型のコネクタ14の他端に、先端にソケット15を設けた一定長のケーブル16の後端を接続して、充電用のケーブルをこの箱体8内に引き込んでいる。この箱体8内で前記ケーブル16を上方に立ち上げて当該ケーブル16の先の一部を前記横板11に設けた2つの三面ローラ17内に夫々通して係止し、その後、下方に垂下させて、さらに、開口8aの近くに設けた三面ローラ17内に通して、当該ケーブル16先端のソケット15を当該箱体8の開口8aから突出させている。実施例1では、この様にして、次世代エネルギー供給装置を形成している。
【0056】
また、この実施例1では、図3に示すように、前記箱体8を軌条5から2つ懸架させ、車両に電力供給のために移動するエリアを、前記軌条5の半分の範囲で分けている。さらに、ここでは、前記箱体8からケーブル16が延びる範囲を予め設定しておく、すなわち、車両に接続可能な範囲として軌条5の真下の位置から半径5mの円内としている。
【0057】
そして、車両に電力を供給する際は、このスタンドAにおいて、天蓋1の軌条5の下であって、この位置からおよそ半径5mの範囲の停車出来るスペースに車両を停める。その後、近くにある箱体8の開口8aから垂下している紐13を斜め下の位置から引っ張って、当該箱体8を車両に近い位置まで持って来る。この紐13は、真下から引っ張らなければ、スイッチが入らないようになっており、斜め下の位置から引っ張ると、箱体8ごと移動するようになっている。
【0058】
この位置で、箱体8の真下から前記紐13を軽く引っ張ると、前記モーター12のスイッチが入り、このモーター12が回転して前記横板11を上端から下端の位置まで移動させる。これにより、図10に示すように、先端にソケット15を設けたケーブル16を降下させる。人は、降下して来たケーブル16のソケット15を持って、車両のバッテリーの差込口にソケット15を差し込んで接続し、当該車両の充電を開始する。この時、ケーブル16は、前記に通り、半径5mの範囲まで充電出来るように延びるので、ケーブル16が完全に延び切る前にソケット15を持って、車両の差込口に持って行くことが望ましい。
【0059】
さらに、このスタンドAの適当な箇所に、予め設けた充電状況を表示する表示器を見て充電状況を確認することが出来る(図示省略)。そして、充電が完了すると前記表示に表示されると共に音声によっても充電完了が告げられるようになっている。この後、人は、車両の差込口からソケット15を外し、再び、前記箱体8の真下の位置で、紐13を軽く引っ張ると前記モーター12のスイッチが入り、このモーター12が逆回転して、前記横板11を下端から上端の位置まで移動させる。これにより、先端にソケット15を設けたケーブル16を箱体8内に収納するようになっている。
【0060】
また、図11は、この発明の実施例1の次世代エネルギースタンドの軌条を3基設け、夫々の軌条から箱体を懸架した状態を示す斜視図である。このスタンドAでは、この図11に示すように、前記軌条5を複数並べて設け(図11では3基)、当該各軌条5に前記箱体8を夫々懸架させ、複数の又は複数種類の次世代エネルギー、例えば、電力の他、天然ガス、液体水素等が、このスタンドAで全て供給出来るようにすることが出来る。天然ガス、液体水素の場合、前記ケーブル6、16に替えてホースを用い、ソケット15に替えてカプラを用いることが出来る。もちろん、他の部材を用いても良い。
【0061】
次に、天蓋4に設けた高速充電器からケーブル6を延ばして、軌条5内に垂下する手段を説明する。図12は、この発明の実施例1の次世代エネルギー供給装置の可撓性防護枠の一部省略斜視図である。図13は、同可撓性防護枠の伸縮によってケーブルが位置を変えて垂下出来ることを示す説明図である。この図12に示すように、略短筒状の枠材19aを複数連続軸支して連繋し、一定角度以上は曲がらないように形成されたケーブルの可撓性防護枠19を形成し、前記天井裏1aの軌条5の部材5aを平行に設けた間に沿って開口1bを設け、この開口1b上を可撓性防護枠19が移動自在となるように設けられており、この場合、直線の軌条5の場合に用いられる。
【0062】
この可撓性防護枠19の内側の一端から他端にかけて、ケーブル6を挿通して、天井裏1aからケーブル6を前記箱体8のすぐ近くに垂下している。垂下されたケーブル6は、この後、箱体8の開口8aからL型のコネクタ14の一端に接続される(図6参照)。この可撓性防護枠19は、図13に示すように、急速充電器Dからケーブル6が垂下された位置を基点Cとして、一定長伸縮自在となっており、この可撓性防護枠19の先端が、前記基点Cに近い位置では折り曲げられた部分が多い状態であり(図13において点線で示す。)、前記可撓性防護枠19の先端が、前記基点Cから遠い位置では折り曲げ部分の少ない状態となっている(図13において実線で示す。)。
【実施例2】
【0063】
次に、この発明の実施例2について説明する。この実施例2では、前記次世代エネルギースタンドAにおいて用いる他の次世代エネルギー供給装置Bを説明する。図14は、この発明の実施例2の次世代エネルギー供給装置の斜視図である。図15は、この発明の実施例2の次世代エネルギー供給装置の使用状態を示す斜視図である。図16は、この発明の実施例2の次世代エネルギー供給装置のブームの内側の一部省略側面図である。図17は、この発明の実施例2の次世代エネルギー供給装置のブームの内側の一部省略正面図である。
【0064】
この次世代エネルギー供給装置Bは、水平方向に左右夫々60度回動自在な円盤20上に設置された箱型のベース21と、このベース21から立設され、垂直方向30度回動自在に設けられた一定長のブーム22から成る。ここでの次世代エネルギーは電力とする。前記ブーム22の上部は略直角に曲げられて、この上部の下面には開口部23を設け、この開口部23には開閉自在なカバー24を設けている。
【0065】
図16及び17に示すように、このブーム22の上部の内側には滑車22aを設け、この滑車22aの下方、当該ブーム22の内側の下部から上部にかけて、長尺で上面が開口した箱体25を設け、当該箱体25の上下方向の相対向する二つの内側面の上下に歯車25aを夫々設け、各歯車25aに環状にしたチェーン29を夫々掛け回し、各チェーン29の間に横板30を渡して固定し、当該横板30は、モーター31よる前記歯車25aの回動によって箱体25内を下端から上端まで移動自在としている。この箱体25内の機構は、前記実施例1における箱体8内の機構と基本的には同じである。
【0066】
当該箱体25内でケーブル27の一端27aを固定した後、垂下して、前記横板30に設けた2つの三面ローラ30a内を通して折り返し、さらに、立ち上げて当該ケーブル27先端のソケット26を当該箱体25の開口から突出させ、さらに、前記滑車22aを介して このケーブル27のソケット26を前記ブーム22の開口部23から一定長引き出し及び収納自在に設けている。また、前記ベース21の前側の傾斜面には、充電操作用のボタン28が設けられている。
【0067】
この装置Bの高さは、盗難、破損、感電、汚染、漏電などのリスクから守るため約2.5m以上とし、ここでは、約2.8mとする。
【0068】
前記次世代エネルギースタンドAにおいて、この次世代エネルギー供給装置Bを設置する場所としては、例えば、次世代エネルギースタンドAの端など、前記天蓋1から懸架させたエネルギー供給装置のソケットが届かない位置に停止した車両にエネルギーを供給する場合などが考えられる。また、次世代エネルギースタンドAの他、駐車場が有って、車が出入りし易い場所、例えば、コンビニエンスストア、ファミリーレストラン、郊外の大型量販店、スタンドでは無いが洗車機が設置されたスペースなどにも設置できると考える。
【0069】
次に、この次世代エネルギー供給装置Bの利用方法について述べる。まず、この装置Bの前に、車両の充電用の差込口側を向けて止め、蓋を開けて差込口を出す。装置Bのボタン28を押すと、カバー24が開いて、開口部23からソケット26が出て来る。ソケット26を設けたケーブル27はゆっくりと送り出され、人はこのソケット26を持って、車両の差込口まで移動し、接続する。この時、ブーム22は不使用時の通常のロック状態から、使用状態へと変わり、バランス良く揺れるスイング機構によって、人が弱い力であっても、このソケット26及びケーブル27を支え、ソケット26を車両の差込口まで持って行くことが出来る。
【0070】
充電が完了すると、ブーム22に取り付けられた表示灯が点滅し(図示省略)、案内が音声で流れる。人は、ソケット26を車両の差込口から外すと、当該ソケット26は前記滑車22aを介して、前記箱体25内の装置によって自動的に巻き戻され、ソケット26はブーム22内部に収納され、前記カバー24は閉じられ、ブーム22は傾斜を直し、動かないロック状態となる。
【0071】
また、この次世代エネルギー供給装置Bでは、次世代エネルギーとして電力を用いているが、電力に替えて、天然ガス、液体水素等を、この装置で供給出来るようにすることが出来る。天然ガス、液体水素の場合、前記ケーブル27に替えてホースを用い、ソケット26に替えてカプラを用いることが出来る。もちろん、他の部材を用いても良い。
【0072】
また、前記実施例1及び2において、自動車に充電する場合によって説明しているが、自動車に限らず、電力をエネルギー源とする他のもの、例えば、将来的に、開発されると予想される家事や作業を行う移動自在なロボットなどに充電することも可能と考える。
【0073】
また、この次世代エネルギースタンドAにおいては、前述のように、各エネルギー需要箇所の余剰電力の利活用にサービスを提供しているが、天然ガスや液体水素等を対象とした蓄積、提供のサービスもできる。
【0074】
この様に、本願発明によれば、単に、次世代の複数のエネルギーの供給、のみならず、引き取り、また、蓄えることが出来る。すなわち、この次世代エネルギースタンドAに来れば、次世代エネルギーの購入や処理が出来、その地域における次世代エネルギーの総合ステーションとなり、極めて便利なものとなる。
【0075】
前記実施例1では、新たに、この実施例1のスタンドAを設けたが、既存のガソリンスタンドに、この実施例1の構成を設けて、例えば、1つのスタンドにおいて、ガソリン系の燃料、電力、天然ガス及び液体水素が供給出来るようにすることも出来る。その際、ガソリンス系の燃料は、地下のタンクに貯蔵され、スタンドの柱の内側に設けられた管を通って天蓋1下面の軌条5まで運ばれ、この軌条5を利用して懸垂式給油装置で給油される。また、実施例1では、家庭に対するものとして記載しているが、家庭の他、事業所など、広くエネルギー需要箇所において採用出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】この発明の実施例1の次世代エネルギースタンドのネットワークを示す説明図である。
【図2】この発明の実施例1のエネルギー需要箇所における構成を示す説明図である。
【図3】この発明の実施例1の次世代エネルギースタンドの正面図である。
【図4】この発明の実施例1の次世代エネルギースタンドの軌条から懸架した箱体の斜視図である。
【図5】この発明の実施例1の次世代エネルギースタンドの軌条から箱体を懸架した構造を示す一部省略断面側面図である。
【図6】この発明の実施例1の次世代エネルギースタンドの軌条に懸架した箱体とケーブルとの接続状態を示す正面図である。
【図7】この発明の実施例1の次世代エネルギースタンドの軌条内で、移動金車によって、ケーブルを伸縮自在に挿通している状態を示す斜視図である。
【図8】この発明の実施例1の次世代エネルギースタンドの箱体の内部を示す正面図である。
【図9】この発明の実施例1の次世代エネルギースタンドの箱体の内部を示す側面図である。
【図10】図8においてケーブルを延ばした状態の正面図である。
【図11】この発明の実施例1の次世代エネルギースタンドの軌条を3基設け、夫々の軌条から箱体を懸架した状態を示す斜視図である。
【図12】この発明の実施例1の次世代エネルギー供給装置の可撓性防護枠の一部省略斜視図である。
【図13】この発明の実施例1の次世代エネルギー供給装置の可撓性防護枠の伸縮によってケーブルが位置を変えて垂下出来ることを示す説明図である。
【図14】この発明の実施例2の次世代エネルギー供給装置の斜視図である。
【図15】この発明の実施例2の次世代エネルギー供給装置の使用状態を示す斜視図である。
【図16】この発明の実施例2の次世代エネルギー供給装置のブームの内側の一部省略側面図である。
【図17】この発明の実施例2の次世代エネルギー供給装置のブームの内側の一部省略正面図である。
【符号の説明】
【0077】
A 次世代エネルギースタンド B 次世代エネルギー供給装置
C 基点 D 急速充電器
E エネルギー需要箇所 F 電力ネットワーク
G 管理者 H インターネット
I 情報ネットワーク
1 天蓋 1a 天井裏 1b 開口
2 洗車機 3 事務所 4 建物
5 軌条 5a 部材 6 ケーブル
7 移動金車 8 箱体 8a 開口
8b 歯車 9 係止枠 9a 車輪
10 チェーン 11 横板 12 モーター
13 紐 14 コネクタ 15 ソケット
16 ケーブル 17 三面ローラ
19 可撓性防護枠 19a 枠材 20 円盤
21 ベース 22 ブーム 22a 滑車
23 開口部 24 カバー 25 箱体
25a 歯車 26 ソケット 27 ケーブル
28 ボタン 29 チェーン 30 横板
30a 三面ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次世代エネルギーを供給、引き取り、及び蓄積が出来る各装置を備えた次世代エネルギースタンドを複数設け、
前記複数のスタンドの次世代エネルギーを蓄積が出来る装置の中の蓄電池と、各次世代エネルギースタンド周辺の一定地域のエネルギー需要箇所の発電装置又は蓄電池とは、双方向から送電可能な電力会社の電力ネットワークに接続し、前記次世代エネルギースタンド及び前記エネルギー需要箇所では電気を供給及び引き取り出来る制御装置を設け、
前記複数の次世代エネルギースタンドと、前記エネルギー需要箇所及び前記電力の供給及び引き取りに関する管理者の、各自のコンピューターをインターネットを通じて接続して、電力の供給及び引き取りに関する情報ネットワークを構築し、
前記エネルギー需要箇所では、前記情報ネットワークの管理者及び電力ネットワークを通じて前記次世代エネルギースタンドから電力の供給を受け、また、蓄電池に貯蔵出来、
当該エネルギー需要箇所における余剰電力は前記情報ネットワークの管理者及び電力ネットワークを通じて前記次世代エネルギースタンドに送電出来、当該次世代エネルギースタンドではこの電力を蓄電池に貯蔵出来、
前記エネルギー需要箇所が前記次世代エネルギースタンドに引き渡した電力は、前記次世代エネルギーの情報ネットワークを介して何れの次世代エネルギースタンドにおいても受け取りが出来、
前記エネルギー需要箇所及び前記次世代エネルギースタンドでは、前記次世代エネルギーの情報ネットワークによって、前記電力の他の次世代エネルギーに関する情報交換が自在であり、前記何れの次世代エネルギースタンドでも、エネルギー需要箇所の次世代エネルギーの売買及び決済が出来ることを特徴とする、次世代エネルギースタンドのネットワーク。
【請求項2】
上部には天蓋を備え、下部に移動体が走行及び停止自在な空間を有した施設において、
当該施設の建物の天蓋には電力を蓄えた蓄電池、液体又は気体の次世代エネルギーを蓄えたタンクを夫々設け、
前記天蓋の下面に当該下面を周回する軌条を設け、前記天蓋に設けた蓄電池又はタンクからエネルギーを移送するケーブル又はホースを前記軌条に沿って移動自在に設け、当該軌条に懸架し、底面が開口した箱体を、前記軌条に沿って移動自在に設け、
当該箱体の中に、前記ケーブル又はホースの一端を引き込み、当該ケーブル又はホースの先端にソケット又はカプラを設けて、当該ケーブル又はホースを箱体内で折り返して箱体の底面から前記ソケット又はカプラを引き出し又は収納自在に設けてエネルギーの供給装置を形成し、
電力、液体又は気体の次世代エネルギーの供給が出来ることを特徴とする、前記請求項1に記載のネットワークにおいて使用する次世代エネルギースタンド。
【請求項3】
前記エネルギーの供給装置の箱体内に、駆動装置により上下方向に移動自在な横板を設け、
当該箱体内で一端を固定したケーブル又はホースの他端を立ち上げて折り返して、当該ケーブル又はホースの先端を垂下させて当該ケーブル先端のソケット又はホース先端のカプラを当該箱体の開口から突出させ、前記折り返し箇所を前記横板に設けた複数の多面ローラに通して係止し、
当該ケーブルのソケット又はホースのカプラを前記箱体の開口から一定長引き出し及び収納自在に設けたことを特徴とする前記請求項2に記載のネットワークにおいて使用する次世代エネルギースタンド。
【請求項4】
前記軌条を複数並べて設け、当該各軌条に前記箱体を夫々懸架させ、複数の又は複数種類のエネルギーが供給出来ることを特徴とする、前記請求項2又は3に記載のネットワークにおいて使用する次世代エネルギースタンド。
【請求項5】
水平方向の一定範囲に回動自在な円盤上に設置された略箱型のベースと、当該ベースから立設され、垂直方向の一定角度について回動自在に設けられた一定長のブームとから成り、当該ブームの上部には開口部を設け、当該開口部には開閉自在なカバーを設け、当該ブームの上部の内側には滑車を設け、当該ブームの内側に長尺で上面が開口した箱体を設け、当該箱体内に、駆動装置により上下方向に移動自在な横板を設け、
当該箱体内で一端を固定したケーブル又はホースの他端を垂下し、当該ケーブル又はホースの先端を折り返して立ち上げて当該ケーブル先端のソケット又はホース先端のカプラを当該箱体の開口から突出させ、前記折り返し箇所を前記横板に設けた複数の多面ローラに通して係止し、
当該ケーブルのソケット又はホースのカプラを前記滑車を介して前記ブームの開口部から一定長引き出し及び収納自在とした次世代エネルギー供給装置を設けたことを特徴とする前記請求項1、2、3又は4の何れかに記載の次世代エネルギースタンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−36074(P2011−36074A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−181617(P2009−181617)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【出願人】(000141060)株式会社関電工 (115)
【Fターム(参考)】