説明

次亜ハロゲン化物塩を送達するためのポリマーシステム

本発明は、次亜ハロゲン化物塩を安定化、貯蔵および送達するためのポリマーシステムに関する。1つのシステムは、2層でコーティングされる材料からなり、第1層は、ポリエチレングリコールエポキシドおよびメラミン溶液から調製され、第2層は、無機次亜ハロゲン化物塩溶液から調製される。材料は、織物、綿、竹、セルロース材料、セルロース及び合成繊維の混合物である。システムを備えた抗菌性材料についても記載する。他のシステムは、次亜ハロゲン化物塩の水−ポリエチレングリコール溶液によりコーティングされると共にフィルム形成ポリマーにより封入され、かつ予め形成された空間を含有する材料からなる。両システム中の次亜ハロゲン化物塩は、場合によっては、少なくとも3ヵ月間貯蔵安定性である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、無機次亜塩素酸塩および次亜臭素酸塩に関し、より詳しくは、固体次亜塩素酸塩および次亜臭素酸塩のためのポリマー送達システムに関する。
【背景技術】
【0002】
(次亜塩素酸ナトリウムおよび次亜塩素酸カルシウム)などの無機次亜塩素酸塩、ならびに(次亜臭化ナトリウムおよび次亜臭化カルシウム)などの次亜臭化物塩は、広範囲の微生物に対する有効性が証明されかつ安全性が記録されている優れた殺菌剤である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、実際には、これらの塩は取り扱い難く、貯蔵し難く、輸送し難く、および/または適用し難いことが多い。場合によっては、これらの材料の貯蔵安定性は低いため、通常は、貯蔵寿命が短い。大気に曝露される場合、これらの材料の貯蔵寿命は、日数、又は時間で測定されることすらある。場合によっては、これらの塩は、溶液中に溶解されるか、固体粒子またはタブレットの形態であり、多くの用途では容易に使用されない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、貯蔵安定性の次亜ハロゲン化物塩を送達する方法であって、材料を、ポリエチレングリコールエポキシドおよびメラミンを含む第1の水溶液に接触させる方法に見出される。第1の水溶液は材料上で乾燥される。この材料を、次亜ハロゲン化物塩を含む第2の水溶液に接触させ、乾燥させる。材料中の次亜ハロゲン化物塩は、大気に曝露される場合に少なくとも3ヵ月間安定である。幾つかの実施形態において、得られた材料は、3ヵ月間の大気接触の後、最初に維持された次亜ハロゲン化物塩の少なくとも約90%を保持する。
【0005】
本発明の他の実施形態は、貯蔵安定性次亜ハロゲン化物塩を送達する方法であって、予め形成された空間を含む複数の材料を、次亜ハロゲン化物塩およびポリエチレングリコールを含む水溶液に接触させて、予め形成された空間を有する次亜ハロゲン化物塩含有材料を形成する方法に見出される。これらの材料をフィルム形成ポリマーおよび溶媒の溶液に添加し、フィルム形成混合物を形成する。フィルム形成混合物から溶媒を蒸発させることによって、次亜ハロゲン化物塩含有材料を含有するフィルムが形成される。フィルム中の次亜ハロゲン化物塩は、大気に曝露される場合、少なくとも約3ヵ月間安定である。
【0006】
本発明の他の実施形態は、材料を、ポリエチレングリコールエポキシドおよびメラミンの水溶液に接触させることによって材料上に形成される第1のコーティングを含む抗菌性材料に見出される。次亜ハロゲン化物を含む第2のコーティングは、第1のコーティング上に形成される。次亜ハロゲン化物は、少なくとも3ヵ月間安定である。
【0007】
複数の実施形態が開示されるが、本発明の具体的な実施形態を示し、説明する以下の詳細な説明から、当業者には、本発明のさらに他の実施形態が明白であろう。従って、詳細な説明は、事実上、例示として見なされ、限定的ではない。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、次亜塩素酸塩および次亜臭化物塩などの無機次亜ハロゲン化物塩の改善された安定性および貯蔵性を提供する。幾つかの実施形態において、本開示は、無機次亜ハロゲン化物塩を安定させ、貯蔵し、運搬し、送達するための非水溶性ポリマーシステムを提供する。非水溶性ポリマーシステムの例として、限定されないが、織物、シート、ビーズ、コーティングなどが含まれる。
【0009】
ポリマーシステムは、(次亜塩素酸ナトリウムおよび次亜塩素酸カルシウムなどの)次亜塩素酸塩、ならびに/または(次亜臭化ナトリウムおよび次亜臭化カルシウムなどの)次亜臭化物塩を吸着および安定化することができる物品、化合物および/または官能基などの材料を含む。これらの材料の例には、限定されないが、予め形成された空間を含む材料、ならびに樹脂または接着剤を含む材料が含まれる。予め形成された空間を含む材料の例には、基板、中空繊維、フォーム、封入材、中空または多孔性無機もしくはポリマービーズ、ゼオライト、繊維、不織布材料などが含まれる。幾つかの実施形態において、この材料は、セルロース誘導体であってもよく、合成物であってもよく、またはセルロース誘導体と合成物とを組み合わせてもよい。
【0010】
幾つかの実施形態において、繊維は、天然または人工のスレッドまたはヤーンのネットワークであると考えられ、これは繊維を一緒に織ること、編むこと、クロッシェにすること、結ぶこと、またはプレスすることによって形成される。個々の繊維は、ウール、リネン、綿、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)または他の材料などの原材料を糸車上で紡糸して、繊維を製造することによって形成されてもよい。樹脂または接着剤を含む材料として、エポキシド樹脂、メラミン接着剤または樹脂、アクリルエマルジョンまたは樹脂、ポリウレタン樹脂またはエマルジョン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0011】
幾つかの実施形態において、これらの材料を、次亜塩素酸ナトリウムおよび次亜塩素酸カルシウムなどの次亜塩素酸塩、ならびに/または次亜臭化ナトリウムおよび次亜臭化カルシウムなどの次亜臭化物塩の溶液または粉末に浸漬するか、またはそれらで噴霧する。その後、この材料を、不活性高分子マトリックスにコーティング、含浸、吸着、積層、共有結合および/または混合して、無機次亜塩素酸塩および/または次亜臭化物塩を運搬、安定化、および送達するためのポリマーシステムを形成する。
【0012】
幾つかの実施形態において、上記物品、化合物および/または官能基を含む材料を、不活性高分子マトリックスにコーティング、含浸、吸着、積層、共有結合および/または混合して、ポリマーシステムを形成し、次に、これを無機次亜塩素酸塩および/または次亜臭化物塩の溶液または粉末に浸漬するか、またはそれらで噴霧する。
【0013】
いずれのアプローチにおいても、得られるポリマーシステム中の(次亜塩素酸ナトリウムおよび次亜塩素酸カルシウム)などの無機次亜塩素酸塩、ならびに(次亜臭化ナトリウムおよび次亜臭化カルシウム)などの次亜臭化物塩は、溶液、粉末またはタブレットの形態で、同様の抗菌性/殺菌能力を有する。しかしながら、新規ポリマーシステムの貯蔵寿命は、溶液、粉末またはタブレットの形態の貯蔵寿命よりも実質的に改善されて、週単位、さらには年単位で測定可能である。さらに、このポリマーシステムは、多くの抗菌性/殺菌の用途で、取り扱い、貯蔵、輸送および/または適用/使用が非常に容易である。
【0014】
幾つかの実施形態において、織物の断片を、ポリエチレングリコールエポキシドおよびメラミンを含む第1の水溶液に接触させて、第1の水溶液を織物上で乾燥させる。幾つかの実施形態において、織物を第1の水溶液に浸漬および/または第1の水溶液で噴霧してもよい。織物を、アクリル材料、および次亜塩素酸ナトリウムなどの次亜ハロゲン化物塩を含む第2の水溶液に接触させてもよく、そして、第2の水溶液を乾燥させる。幾つかの実施形態において、織物は、第2の水溶液で噴霧されてもよい。
【0015】
場合によっては、織物を第2の水溶液に接触させる前に、第1の水溶液に接触させてもよい。ある場合には、織物を第1の水溶液に接触させる前に、第2の水溶液に接触させてもよい。幾つかの実施形態において、第1の水溶液は、水性樹脂または接着剤を含んでもよい。大気に暴露される場合、次亜ハロゲン化物塩は少なくとも3ヵ月間安定であり得る。
【0016】
幾つかの実施形態において、複数の多孔性ビーズを、次亜塩素酸ナトリウムなどの次亜ハロゲン化物塩およびポリエチレングリコールを含む水溶液に接触させて、次亜ハロゲン化物塩含有ビーズを形成してもよい。次に、このビーズを、フィルム形成ポリマーおよび溶媒の溶液に添加して、フィルム形成混合物を形成してもよい。溶媒をフィルム形成混合物から蒸発させて、次亜ハロゲン化物塩含有ビーズを含むフィルムを形成してもよい。大気に暴露される場合、フィルム中の次亜ハロゲン化物塩は少なくとも3ヵ月間安定である。
【0017】
幾つかの実施形態において、多孔性ビーズは、約300〜約1200マイクロメートル(ミクロン)の粒径および約10nm(約100オングストローム)の平均細孔径を有するビーズを含んでもよい。場合によっては、多孔性ビーズは、ポリ(4−エチルスチレン−co−ジビニルベンゼン)ビーズを含んでもよい。
【0018】
幾つかの実施形態において、水溶液は、約0.01〜約30重量%の次亜ハロゲン化物塩を含んでもよい。幾つかの実施形態において、水溶液は、約1〜約10重量%の次亜ハロゲン化物塩を含んでもよい。幾つかの実施形態において、水溶液は、約10重量%の次亜ハロゲン化ナトリウム塩を含んでもよい。
【0019】
幾つかの実施形態において、フィルム形成ポリマーおよび溶媒の溶液は、約0.01〜約40重量%のフィルム形成ポリマーを含んでもよく、残りは溶媒である。場合によっては、溶液は、約15重量%のフィルム形成ポリマーを含んでもよく、残りは溶媒である。幾つかの実施形態において、溶液は、約0.1〜約5重量%のフィルム形成ポリマーを含んでもよい。幾つかの実施形態において、フィルム形成ポリマーは、エチレン酢酸ビニルを含んでもよく、溶媒はジクロロメタンを含んでもよい。
【0020】
幾つかの実施形態において、セルロース材料などの抗菌性織物は、ヒドロキシル、アミノ、アミドまたはカルボシレート官能基を含まなくてもよい。第1のコーティングは、織物を、ポリエチレングリコールエポキシドおよびメラミンを含む水溶液に接触させることによって、織物上に形成されてもよい。次亜塩素酸ナトリウムなどの次亜ハロゲン化物を含む第2のコーティングは、第1のコーティング上に形成されてもよい。次亜ハロゲン化物は、少なくとも約3ヵ月間安定である。
【0021】
幾つかの実施形態において、水溶液は、約100ミリリットルの溶液に対して、約0.1〜約30gのポリエチレングリコールエポキシドおよび約0.01〜約10gのメラミンを含む。幾つかの実施形態において、水溶液は、それぞれ約100ミリリットルの溶液に対して、約2〜約5gのポリエチレングリコールエポキシドおよび約0.5〜約2gのメラミンを含む。幾つかの実施形態において、第2のコーティングは、第1のコーティングを、次亜ハロゲン化物塩および任意にアクリル材料の水溶液に接触させることによって形成される。
【0022】
幾つかの実施形態において、抗菌性竹製織物は、竹から誘導されるビスコース100%から製造される織物を含んでもよい。第1のコーティングは、織物を、次亜塩素酸ナトリウムなどの次亜ハロゲン化物塩および任意にアクリル材料の水溶液に接触させることによって、織物上に形成されてもよい。第2のコーティングは、第1のコーティングを、ポリエチレングリコールエポキシド、メラミンおよび任意にポリウレタンの水溶液に接触させることによって、第1のコーティング上に形成されてもよい。次亜ハロゲン化物塩は、少なくとも約3ヵ月間安定である。
【実施例】
【0023】
(ヨウ素滴定試験)
本新規送達システム中の次亜塩素酸ナトリウムの持続性をヨウ素滴定によって決定した。本試験では、0.05gの新規送達システムを、1.0重量%酢酸を含有する40mL無水エタノールに分散する。1gのヨウ化カリウムを添加し、そして混合物をN雰囲気下の室温で1時間撹拌する。放出されたヨウ素を、0.01モル/Lチオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定する。同一手順を、対照としての同量の純粋な綿/ポリエステルブレンド織物に実施する。以下の式1によって、百分率の塩素含有量(次亜塩素酸ナトリウム含有量を示す)を算出した。
【0024】
【数1】

式中、VClおよびVは、それぞれ、試料および対照の滴定において消費されるチオ硫酸ナトリウム溶液の体積(mL)であり、WClは、試料の重量(g)であった。各試験を3回繰り返し、そして平均値を記録する。
【0025】
(実施例1)
綿/ポリエステルブレンド織物(60/40)の断片(50cm×30cm)を、2gのポリエチレングリコールエポキシドおよび0.5gのメラミンを含有する水溶液100mlに1分間浸漬した。100%の収得(pick up)を得るために織物が埋め込まれ(padded)、次に、120℃で一定重量になるまで乾燥させた。室温まで織物を冷却した後、2%の次亜塩素酸ナトリウムを含有する水性アクリルコーティング/接着剤溶液5mlを織物上に噴霧し、次に、織物を一晩空気乾燥した。
【0026】
処理の直後、上記ヨウ素試験を使用して、この織物は、約2000ppmの次亜塩素酸ナトリウムを含有することがわかった。室温大気への3ヵ月の暴露後、この織物は、依然として、約1800ppmを超える次亜塩素酸ナトリウムを含有しており、最初の次亜塩素酸ナトリウムの約90%超が残存することを示した。従って、この織物は、次亜塩素酸ナトリウムの貯蔵および送達のために使用可能である。
【0027】
比較例として、織物をポリエチレングリコールエポキシドおよびメラミンを含む水溶液に接触させる初期の工程を行わずに、綿/ポリエステルブレンド織物(60/40)の断片(50cm×30cm)に、2%次亜塩素酸ナトリウム5mlを直接噴霧した。この織物を一晩空気乾燥させ、次に、室温で開放空気中に貯蔵した。3日以内に、織物上に噴霧された最初の次亜塩素酸ナトリウムの95%超がすでに失われていた。
【0028】
これらの結果は、次亜塩素酸ナトリウムの寿命を延長すること、次亜塩素酸ナトリウム、ならびに他の無機次亜塩素酸塩および/または次亜臭化物塩の貯蔵および送達のための広範囲の潜在的な用途において、この樹脂アプローチが非常に有効なことを示唆する。
【0029】
(実施例2)
他の実施例において、竹製織物(自然由来の竹から得られるビスコース100%から製造された編物)の断片(50cm×30cm)を、2%次亜塩素酸ナトリウムの10%水性アクリルコーティング/接着剤溶液を含有する水溶液100mlに浸漬し、100%湿潤ピックアップになるまでパッドした。この織物上に、2%水性ポリウレタンおよび1%エポキシド/メラミン樹脂を含有する水溶液5mlを噴霧した。この織物を、一定重量になるまで、真空下40℃で乾燥させた。ヨウ素滴定試験によって、この処理後、この織物が約580ppmの次亜塩素酸ナトリウムを含有していたことが示された。室温大気への2ヵ月の暴露後、約540ppmを超える次亜塩素酸ナトリウムが残存した。これは、最初に保持された次亜塩素酸ナトリウムの約90%超が残存したことを意味する。従って、この織物は、次亜塩素酸ナトリウムの貯蔵および送達のために使用可能である。
【0030】
比較として、ポリウレタン、ポリエチレングリコールエポキシドおよびメラミンを含む水溶液を適用せずに、同一の織物を2%次亜塩素酸ナトリウムに直接浸漬した。この織物をパッドし、空気乾燥した。室温の開放空気中での3日後、95%を超える次亜塩素酸ナトリウムが失われた。
【0031】
(実施例3)
300〜1200μmの粒径および10nm(100Å)の平均細孔径を有するポリ(4−エチルスチレン−co−ジビニルベンゼン)多孔性ビーズ、10gを、10%次亜塩素酸ナトリウムを含有する次亜塩化ナトリウム水溶液500mLに添加した。1gのポリエチレングリコール(MW:5000)を混合物に添加し、混合物を室温で24時間撹拌し、次亜塩素酸ナトリウムを多孔性ビーズの細孔に吸着させた。ビーズを濾過によって回収し、一晩、暗条件下の真空デシケータ中で乾燥させた。これらのビーズは、次亜塩素酸ナトリウム含有ビーズとして定義される。
【0032】
一実施例において、1gの上記次亜塩素酸ナトリウム含有ビーズを、ジクロロメタン中15重量%エチレン酢酸ビニル(EVA)コポリマー溶液200mlに添加した。混合物を30分間撹拌し、次に、混合物10mlをガラスペトリ皿(直径10cm)に注ぎ入れた。換気フード中で溶媒を蒸発させた後のビーズを含有するEVAフィルムは、次亜塩素酸ナトリウムの貯蔵および送達のために使用可能である。ヨウ素滴定試験によって、処理後、上記ヨウ素試験を使用して、この織物が約2000ppmの次亜塩素酸ナトリウムを含有することがわかったことが示された。室温大気への3ヵ月の暴露の後、最初の次亜塩素酸ナトリウムの90%超(1800ppmを超える)が残存した。従って、この織物は、次亜塩素酸ナトリウムの貯蔵および送達のために使用可能である。
【0033】
他の実施例において、1gの上記次亜塩素酸ナトリウム含有ビーズを、市販のアクリル裏面コーティング水溶液200mlに添加した。この混合物を30分間撹拌し、次に、混合物10mlを、アクリルカーペットの断片の裏面上に注ぎ、次に、均一に刷毛塗りした。室温で一晩乾燥した後、カーペットは次亜塩素酸ナトリウムの貯蔵および送達のために使用可能である。ヨウ素滴定試験によって、この処理後、カーペット裏面が約800ppmの次亜塩素酸ナトリウムを含有したことが示された。室温大気への3ヵ月の暴露後、最初に保持された次亜塩素酸ナトリウムの90%超(約720ppmを超える)が残存した。
【0034】
本発明の範囲から逸脱することなく、考察された例示的な実施形態に様々な変更および付加を行うことができる。例えば、上記実施形態は特定の特徴を言及するが、本発明の範囲は、様々な組み合わせの特徴を有する実施形態および上記特徴の全てを含まない実施形態も含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵安定性を有する次亜ハロゲン化物塩を送達するための方法であって、
材料を、ポリエチレングリコールエポキシドおよびメラミンを含む第1の水溶液に接触させる工程と、
前記第1の水溶液を前記材料上で乾燥させる工程と、
前記材料を、次亜ハロゲン化物塩を含む第2の水溶液に接触させる工程と、
前記第2の水溶液を前記材料上で乾燥させる工程とを備え、
前記材料中の次亜ハロゲン化物塩は、大気に曝露される場合に少なくとも3ヵ月間安定である方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
得られる材料は、約3ヵ月間の大気接触の後、前記材料によって最初に維持された次亜ハロゲン化物塩の少なくとも約90%を保持する方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、
前記材料は、織物を含む方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、
前記材料は、綿、竹、セルロース材料、又はセルロース及び合成繊維の混合物を含む方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、
前記材料を前記第1の水溶液に接触させる工程は、前記材料を前記第1の水溶液に浸漬させるか、前記材料を前記第1の水溶液で噴霧する工程を含む方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、
前記第2の水溶液中の次亜ハロゲン化物塩は、次亜塩素酸塩および次亜臭化物塩の少なくとも1つを含む方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、
前記第2の水溶液は、更に、水性樹脂又は接着剤を含む方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、
前記材料を前記第2の水溶液に接触させる工程は、前記材料を前記第2の水溶液に浸漬させるか、前記材料を前記第2の水溶液で噴霧する工程を含む方法。
【請求項9】
貯蔵安定性を有する次亜ハロゲン化物塩を送達するための方法であって、
予め形成された空間を含む複数の材料を、次亜ハロゲン化物塩およびポリエチレングリコールを含む水溶液に接触させて、予め形成された空間を有する次亜ハロゲン化物塩含有材料を形成する工程と、
予め形成された空間を有する次亜ハロゲン化物塩含有材料を、フィルム形成ポリマーおよび溶媒の溶液に添加して、フィルム形成混合物を形成する工程と、
前記フィルム形成混合物から前記溶媒を蒸発させることにより、前記次亜ハロゲン化物塩含有材料を含有するフィルムを形成する工程とを備え、
前記フィルム中の次亜ハロゲン化物塩は、大気に曝露される場合に少なくとも約3ヵ月間安定である方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、
予め形成された空間を含有する材料は、中空繊維、フォーム、封入材、中空または多孔性の無機物もしくはポリマービーズ、ゼオライトおよびそれらの組み合わせから選択される方法。
【請求項11】
請求項9記載の方法において、
前記水溶液は、約0.01〜約30重量%の次亜ハロゲン化物塩を含む方法。
【請求項12】
請求項9記載の方法において、
前記フィルム形成ポリマーおよび溶媒の溶液は、約0.01〜約40重量%の前記フィルム形成ポリマーを含み、残りが溶媒である方法。
【請求項13】
抗菌性材料であって、
前記材料をポリエチレングリコールエポキシドおよびメラミンの水溶液に接触させることにより、前記材料上に形成された第1のコーティングと、
前記第1のコーティング上に形成された次亜ハロゲン化物を含む第2のコーティングとを備え、
前記次亜ハロゲン化物は、少なくとも約3ヵ月間安定である材料。
【請求項14】
請求項13記載の抗菌性材料において、
織物を含む抗菌性材料。
【請求項15】
請求項13記載の抗菌性材料において、
前記材料は、綿、セルロース材料、セルロース/合成繊維の混合物、若しくは、ヒドロキシル、アミノ、アミド又はカルボキシレート官能基を含まない他の織物を含む抗菌性材料。
【請求項16】
請求項13記載の抗菌性材料において、
前記第1のコーティングは、約100ミリリットルの溶液に対して、約0.1〜約30gのポリエチレングリコールエポキシド、および約0.01〜約10gのメラミンを含む抗菌性材料。
【請求項17】
請求項13記載の抗菌性材料において、
前記第2のコーティングは、前記第1のコーティングを次亜ハロゲン化物塩の水溶液に接触させることにより形成される抗菌性材料。
【請求項18】
請求項13記載の抗菌性材料において、
前記第2のコーティングは、次亜ハロゲン化物塩を含む抗菌性材料。
【請求項19】
請求項18記載の抗菌性材料において、
前記次亜ハロゲン化物塩は、1種またはそれ以上の次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜臭化ナトリウム、次亜臭化カルシウムおよびそれらの組み合わせを含む抗菌性材料。

【公表番号】特表2013−518044(P2013−518044A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550106(P2012−550106)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際出願番号】PCT/US2011/021832
【国際公開番号】WO2011/091118
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(512190756)ザ ユニバーシティ オブ サウス ダコタ (2)
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF SOUTH DAKOTA
【Fターム(参考)】