説明

次亜臭素酸の安定化された溶液

【課題】特に飲料水及び灌漑用水などの水処理/水消毒用の次亜臭素酸の安定化された溶液を提供する。
【解決手段】安定化されたストック溶液は、30%(m/m)未満の次亜臭素酸濃度を有し、1ppmを越えない量のシアヌル酸を安定化剤として含有する。溶液は、任意のタイプの水処理に用いることができるが、飲料水及び灌漑用水に特定の用途を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理用の次亜臭素酸の安定化された溶液に関する。
【背景技術】
【0002】
工業用水や娯楽施設用水などの処理における次亜臭素酸溶液の使用は、周知である。次亜臭素酸は非常に効果的な汎用目的の殺生物剤であるが、非常に不安定でもある。幾つかの用途において、次亜臭素酸は、臭化物塩と水溶性次亜塩素酸塩、例えば次亜塩素酸ナトリウムを反応させることによって、その場で(in situ)作られる。こうして調製された溶液は、次亜臭素酸が活性でなくなる前に、処理されるべき水に直接添加される。
【0003】
Nalco Chemical Companyの米国特許U.S. Patent No. 5,492,126は、典型的な貯蔵条件にて安定である次亜臭素酸ナトリウム溶液を開示する。次亜臭素酸溶液は、高濃度の安定化剤、とくに、尿素、チオウレア、クレアチン、シアヌル酸、アルキルヒダントイン、モノ又はジエタノールアミン、有機スルホンアミド類、ビウレット、スルファミン酸、有機スルファメート及びメラミンからなる群より選択され得る安定化剤で安定化される。この特許は、工業用水系の処理におけるこの次亜臭素酸の安定化された溶液の使用を教示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,492,126号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、特に飲料水及び灌漑用水などの水処理/水消毒用の次亜臭素酸の安定化された溶液を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によれば、水処理用の次亜臭素酸の安定化されたストック溶液を調製する方法が提供される。本方法は、以下の工程:
(1)7.5未満、好ましくは7.4未満のpHを有する次亜塩素酸溶液を調製する工程と;
(2)7.0、好ましくは6.4未満のpHを有する臭化物溶液を調製する工程と;
(3)該次亜塩素酸溶液と、該臭化物溶液とを混合して、次亜臭素酸溶液を形成させる工程と;
(4)該次亜臭素酸溶液に安定化剤をただちに添加して、8〜9、好ましくは8.8のpHを有する次亜臭素酸の安定化された溶液を提供する工程と、
を含む。
【0007】
工程1の次亜塩素酸溶液は、約14のpHを有する次亜塩素塩溶液と塩酸溶液とを混合することにより、調製してもよい。
典型的には、安定化剤は、シアヌル酸であり、好ましくは次亜臭素酸溶液中に、1ppmを越えない量で、有利には0.5ppmを越えない量で添加される。
【0008】
本発明の第2の側面によれば、次亜臭素酸が30%(m/m)未満の濃度、好ましくは20%(m/m)未満の濃度で、安定化剤としてのシアヌル酸の量が1ppmを越えない、水処理用の次亜臭素酸の安定化されたストック溶液が提供される。
【0009】
有利には、本溶液は、シアヌル酸の濃度が0.5ppm未満である。
典型的には、本溶液は、8〜9のpH、好ましくは8.5〜8.9のpH、最も好ましくは8.8のpHを有する。
【0010】
有利には、飲料水用の安定化された溶液は、10%(m/m)未満の次亜臭素酸濃度を有する。
本発明による好ましい飲料水処理用の安定化された溶液は、以下の量で次亜臭素酸及びシアヌル酸を含む。
(1)次亜臭素酸濃度9%(m/m)及びシアヌル酸濃度0.2ppm
(2)次亜臭素酸濃度6%(m/m)及びシアヌル酸濃度0.3ppm
(3)次亜臭素酸濃度3.5%(m/m)及びシアヌル酸濃度0.4ppm
好ましい灌漑用水処理用の安定化された溶液は、10%〜20%(m/m)の次亜臭素酸濃度を有する。
【0011】
本溶液は、ナトリウム又はカリウム系の次亜臭素酸溶液であってもよいが、飲料水及び灌漑用水の処理を目的とする場合には、本溶液はカリウム系次亜臭素酸溶液であることが好ましい。
【0012】
典型的には、カリウム系次亜臭素酸溶液は、20%(m/m)未満、好ましくは10%(m/m)未満のカリウム濃度を有する。
本発明による飲料水処理用の好ましいカリウム系次亜臭素酸の安定化された溶液は、以下の量で次亜臭素酸、カリウム及びシアヌル酸を含む。
(1)次亜臭素酸9%濃度(m/m)、カリウム濃度3.7%(m/m)及びシアヌル酸0.2ppm
(2)次亜臭素酸濃度6%(m/m)、カリウム濃度2.1%(m/m)及びシアヌル酸0.3ppm
(3)次亜臭素酸濃度3.5%(m/m)、カリウム濃度1.1%(m/m)及びシアヌル酸0.4ppm
本発明による灌漑用水処理用の好ましいカリウム系次亜臭素酸の安定化された溶液は、以下の量で次亜臭素酸、カリウム及びシアヌル酸を含む。
(1)次亜臭素酸濃度13%(m/m)、カリウム濃度7%(m/m)及びシアヌル酸0.4ppm
(2)次亜臭素酸濃度16%(m/m)、カリウム濃度8%(m/m)及びシアヌル酸0.3ppm
(3)次亜臭素酸濃度18%(m/m)、カリウム濃度9%(m/m)及びシアヌル酸0.2ppm
本発明の第3の側面によれば、上述の次亜臭素酸の安定化された溶液を水に添加することにより、水、典型的には飲料水又は灌漑用水を処理する方法が提供される。
【0013】
有利には、水中0.5〜0.001mg/lの総臭素濃度を提供するために十分な量の次亜臭素酸溶液を水に添加する。
典型的には、次亜臭素酸の安定化された溶液は、水処理プラントのフィルタトレイ内の飲料水に添加される。
【0014】
好ましくは、処理された水中の遊離臭素残渣は、水処理プラントの水フィルタの下流で監視され、次亜臭素酸の安定化された溶液は、遊離臭素残渣を0.001〜0.2mg/l、好ましくは0.025mg/lに維持するような投与率で添加される。
【0015】
灌漑用水処理に用いられる場合には、次亜臭素酸の安定化された溶液は、灌漑用水流路に直接、好ましくは灌漑用水網の開始部に、添加されてもよい。
有利には、灌漑用水網中の処理された水の遊離臭素残渣は、灌漑用水網の下流で監視され、次亜臭素酸の安定化された溶液は、遊離臭素残渣を0.001〜0.2mg/l、好ましくは0.05mg/lに維持するような投与率で添加される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の次亜臭素酸の安定化された溶液の殺菌率を示すグラフである。
【図2】図2は、本発明の溶液を6mg/lの量で水に添加した後の本発明の次亜臭素酸の安定化された溶液15%(m/m)と比較した場合の次亜臭素酸の安定化された溶液6%(m/m)の減衰率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[好ましい実施形態]
本発明は、水処理用、特に飲料水又は灌漑用水の処理用の次亜臭素酸の安定化された溶液に関する。安定化された溶液は、冷却塔及び下水道流出物中の水などの他のタイプの水の処理にも適する。
【0018】
本発明の背景技術の欄にて説明したように、次亜臭素酸溶液が微生物殺菌に有用であることは公知であるが、次亜臭素酸は不安定であり、商業的に有用な製品を作るために安定化させることが必要である。
【0019】
本発明は、ストック次亜臭素酸溶液を調製する新規な方法を発明したものであり、驚くべきことに、このように調製された次亜臭素酸溶液は、低濃度、すなわち1ppm未満、好ましくは0.5ppm未満のシアヌル酸で安定化され得る、ことを知見したものである。より高濃度のシアヌル酸は、微生物殺菌における臭素の作用を阻害することが知見されており、より高濃度のシアヌル酸のために、次亜臭素酸溶液を水に適用した後で効果を発揮させるには長時間がかかる。
【0020】
本発明に従って、本出願人は、それぞれ、0.4ppm、0.3ppm及び0.2ppmの濃度のシアヌル酸で安定化された、3.5%(m/m)、6%(m/m)及び9%(m/m)次亜臭素酸を含むストック次亜臭素酸溶液を調製した。次亜臭素酸の濃度は、Dionex AD 14イオン交換カラムを用いて、炭酸ナトリウム−重炭酸ナトリウムを溶離剤として用いるイオンクロマトグラフィーにより決定し、導電率検出を抑制した。これらの溶液は、8〜9のpH、好ましくは8.8のpHにて、最も安定化され、最も反応活性であることが知見された。このように安定化された溶液は、最長6ヶ月の貯蔵寿命(密閉で不透光性の容器内で)を有する。本発明者らは、最も驚くべきことに、シアヌル酸安定化剤の濃度と、次亜臭素酸溶液の濃度との間に、逆相関関係があることをも知見した。
【0021】
本発明の別の側面において、本発明者らは、次亜臭素酸のストック溶液、特に上述のような安定化された溶液を飲料水の処理に効果的に用い得ることを知見した。本発明によれば、次亜臭素酸の安定化されたストック溶液は、飲料水に添加されて、水中0.5〜0.001mg/lの総臭素含量を提供する。用いられるストック溶液中の次亜臭素酸の濃度は、飲料水中の有機物質含有量に従って選択される。高い含有量で有機物質を含む水には、高濃度のストック溶液(すなわち9%)を使用し、低い含有量で有機物質を含む水には、低濃度のストック溶液(すなわち3.5%)を使用する。
【0022】
通常の飲料水処理プラントにおいて、水に石灰を添加してpHを7.9から8.4まで上昇させる。次いで、水に凝集剤を添加して、凝集剤により形成された沈殿物を沈殿池中で沈降させる。次いで、沈殿池からの上澄み液(飲料水)を濾過システムに流通させる。濾過システムは、サンドフィルタ(砂濾過)を含む。沈殿池からの飲料水は、重力下で、フィルタを通過して流れる。濾過速度は、フィルタの「ヘッド」により、及び流出口制御弁により、制御される。フィルタを通過する水の流速は、濾過プラント設計、容量及び水ポンプに依存する。次いで、水は、フィルタからフィルタトレイを通って流れる。通常、水は、1〜5分のフィルタトレイ中での滞留時間を有する。フィルタトレイから、水は水溜に流れ、ここから貯水池に揚水される。次いで、飲料水は、ブースターポンプにより、貯水池からエンドユーザー、例えば家庭に流される。家庭は、水処理プラントから3km〜70km(又はそれ以上)離れていることもある。
【0023】
本発明によれば、次亜臭素酸のストック溶液は、ベンチュリシステム又は他の適切なシステム、例えば自動排水ポンプにより、水処理プラント中の水やフィルタトレイ中の水に添加される。ストック溶液は、水面の下にある流入ポイント、好ましくはフィルタトレイの底部にある流入ポイントから添加される。一般に、水中0.001〜0.5mg/lの総臭素濃度を提供するに十分な量のストック溶液が水に添加される。本発明の好ましい実施形態において、水溜及び貯水池の間の水ラインに、プローブが置かれる。プローブは、水中の酸化/還元電位を試験し、0.025〜0.1mg/lの好ましい遊離臭素濃度を提供するように、添加されるストック溶液の量を調節する。プローブはマイクロプロセッサに接続され、マイクロプロセッサは、遊離臭素の好ましい濃度を提供するために水に添加されるストック溶液の投与を操作する投与システムに接続されていることが予想される。プローブは、読み出し値をマイクロプロセッサに送り返す。プローブは、予め設定した上設定値及び下設定値に基づいて、投与システムを作動させたり停止させたりする。設備の誤作動が生じた場合には、警報がオペレータ制御室に中継されて、偶発的な投与を防止する。本システムは、手動によりオペレートされてもよい。
【0024】
本発明によるストック溶液の主な利点の一つは、7.0〜9の比較的広範なpH範囲を有する水を処理するために用いることができる点にある。ストック溶液を処理すべき水に添加した後、水中で(次亜臭素酸から)遊離臭素が形成される。この反応の一般式は、
OBr + Br + HO → Br +2OH
で与えられる。
【0025】
水中の微生物を殺菌するのは遊離臭素である。理論的に拘束されることを望まないが、遊離臭素(次亜臭素酸溶液から形成された)が微生物の半透過性細胞膜に損傷を与え、細胞膜の構造を歪めるか若しくは細胞膜を破壊すると考えられる。細胞膜の構造がこのように歪められ若しくは破壊されると、細胞内の有機体構成要素が細胞から漏出して、微生物は死滅する。飲料水を処理する際には、水に添加される殺菌剤により微生物の総てではなくてとも99%を殺菌できることが必須である。さもなければ、殺菌剤がその効力を失った場合に、生き残った微生物は、殺された微生物の残渣を栄養として、「処理された」水中で増殖するかもしれない。
【0026】
遊離臭素は、微生物を殺菌するのに非常に効果的である。安定化された溶液の水への添加60秒以内で、本発明による溶液で処理した水中での微生物の殺菌率99%を得ることが可能である。図1は、水サンプル中のバクテリアにおける本溶液の6%(m/m)次亜臭素酸の効果を示すために行った試験の結果を示す。20,000総バクテリア種/mlを含む水サンプルに、6%(m/m)次亜臭素酸溶液0.07mg/lを添加した。総バクテリア数の計数は、次亜臭素酸溶液を添加した後の所定間隔で行った。グラフは、本溶液の水への添加50秒以内で、バクテリアの99%を殺菌できたことを明らかに示す。
【0027】
本発明による安定化された溶液の別の利点は、臭素の活性が飲料水への添加後短時間である、ことである。事実、図2に見られるように、水への添加の45分以内で、水中の有し臭素残渣は0.2mg/l未満、典型的には約0.025mg/lである。これは、非常に低い臭素濃度(典型的には約0.025mg/l遊離臭素残渣)であることから、本発明の安定化された溶液により処理された水が、ほとんど迅速に(45分後)、消費者により使用され得ることを意味する。一方、遊離塩素は、長時間、水中に残る。
【0028】
本発明の安定化されたストック溶液のさらに別の利点は、0.001mg/l〜0.2mg/l、典型的には約0.025mg/lの低濃度の遊離臭素残渣が、水中に長時間、水がエンドユーザーに到着するまで維持される、ことである。例えば、これらの残渣は、処理された水が貯水池に貯蔵され、続いてエンドユーザーに至るまで70kmもの水分配網に揚水される時間中、残っていることができる。低濃度でも、この遊離臭素残渣は、処理された時からエンドユーザーに到達する時まで、水中微生物の増殖を防止するに十分である。
【0029】
よって、本発明の次亜臭素酸溶液が水処理プラントのフィルタトレイに添加される場合には、早い殺菌速度ゆえに、水がフィルタトレイに到達する前に、水中微生物の99%が殺菌される。そして、飲料水がエンドユーザーに到達すると、水中には低濃度の遊離臭素が存在する。さらに、水中の低濃度の遊離臭素は、飲料水がエンドユーザーに到達する前に、微生物の成長がないことを確実にする。これは、エンドユーザーに到達してからも飲料水中に多量の塩素が未だ存在する塩素による水処理にとっては、非常に困難である。さらに、低濃度のシアヌル酸がストック溶液中に用いられることから、飲料水に添加されると、処理された飲料水中のシアヌル酸の濃度は無視できる低く、エンドユーザーに何らの影響も与えない、ことにも言及すべきである。
【0030】
本発明による次亜臭素酸ストック溶液は、臭素イオンを含む溶液と、次亜塩素酸を含む溶液と、を組み合わせることにより製造される。
臭素イオンを含む溶液は、水中に臭化物源を溶解させることにより、形成されてもよい。臭化物源は、臭化ナトリウム、臭化カリウム又は臭化リチウムから選択されてもよい。本発明の第1の実施形態によれば、臭化物イオン溶液は、水に臭化ナトリウムを溶解させることにより形成され、37%溶液を与える。
【0031】
次亜塩素酸溶液は、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸マグネシウム、次亜塩素酸リチウム、及び次亜塩素酸カルシウムから選択される次亜塩素酸アルカリ金属塩及び次亜塩素酸アルカリ土類金属塩から調製されてもよい。通常、このような溶液は、約14のpHを有する。塩酸を添加することにより、溶液のpHを7.5よりも低くして、好ましくはpH7.41及び塩素3.5wt%を有する次亜塩素酸溶液を与える。
【0032】
次亜塩素酸及び臭化物溶液は、次いで、大量に組み合わされて、必要な濃度の次亜臭素酸を提供する。この反応一般式は、
HOCl +NaBr → HOBr + NaCl
で表される。
【0033】
例えば、上述の好ましい臭化物溶液は、上述の好ましい次亜塩素酸溶液と、臭化物溶液:次亜塩素酸溶液の比率1:7.4で組み合わされて3.5%(m/m)次亜臭素酸溶液を提供し、若しくは臭化物溶液:次亜塩素酸溶液の比率1:3.7で組み合わされて6%(m/m)次亜臭素酸溶液を提供し、あるいは臭化物溶液:次亜塩素酸溶液の比率1:1.89で組み合わされて9%(m/m)次亜臭素酸溶液を提供する。
【0034】
次いで、このように形成された次亜臭素酸溶液に、シアヌル酸の形態(40℃に加熱された水中に溶解している)での安定化剤が速やかに添加される。少量のシアヌル酸、すなわち1ppm未満、好ましくは0.5ppm未満のシアヌル酸が添加される。本発明の好ましい実施形態において、0.4ppmのシアヌル酸が3.5%次亜臭素酸溶液に添加され、0.3ppmのシアヌル酸が6%次亜臭素酸溶液に添加され、0.2ppmのシアヌル酸が9%次亜臭素酸に添加される。
【0035】
このように製造されたストック溶液は、不透光である密閉容器内で貯蔵した場合に、最長6ヶ月の貯蔵寿命を有することが知見された。
上述の次亜臭素酸溶液は、ナトリウム系の溶液である。すなわち、上述の次亜臭素酸溶液は、次亜塩素酸と臭化ナトリウム溶液との反応により形成されたものである。ナトリウム系次亜臭素酸溶液を灌漑用水処理に用いることの問題点は、ナトリウムが土壌の塩化作用を引き起こし得ることである。実際、ナトリウム吸着率(SAR)は、所定の灌漑用水の含塩土壌状態を誘起する可能性の指標である(土壌の含塩率は、通常、ナトリウムイオンにより占められる土壌のカチオン交換容量のパーセンテージにより測定される)。これは、水中のナトリウム、カルシウム及びマグネシウムの濃度から計算され、土壌の交換可能なナトリウムのパーセンテージ(ESP)が引き延ばされた灌漑の後で安定化するであろうレベルの指標を与える。水のSARが高すぎる場合には、土壌の塩化作用を引き起こすであろう。塩化作用は、土壌中の植物の根に負の影響を与え、カルシウムやマグネシウム等の重要な微量元素の取り込みに負の影響を与える。
【0036】
製造がより高価であるけれども、カリウム系次亜臭素酸の安定化されたストック溶液、すなわち次亜塩素酸と臭化カリウム溶液との反応により形成された溶液を用いることが有益であることが知見されている。これらの溶液もまた、低濃度、すなわち1ppm未満、好ましくは0.5ppm未満のシアヌル酸で安定化される。より高濃度のシアヌル酸は、微生物を殺菌する臭素の作用を阻害することが知見されているので、より高濃度のシアヌル酸は次亜臭素酸溶液を有効にするためにより長時間を要する。
【0037】
本発明に従って、本出願人は、それぞれ0.4ppm、0.3ppm及び0.2ppm濃度のシアヌル酸で安定化された13%(m/m)次亜臭素酸及び7%(m/m)カリウム、16%(m/m)次亜臭素酸及び8%(m/m)カリウム、並びに18%(m/m)次亜臭素酸及び9%(m/m)カリウムを含む灌漑用水処理用の安定化されたカリウム系次亜臭素酸濃縮溶液を調製した。カリウム濃度は、誘導結合プラズマ(ICP)分光器を用いて決定した。こうして安定化された溶液は、最大6ヶ月の貯蔵寿命(密閉不透光性容器内)を有する。溶液は、8〜9のpH、好ましくは8.8のpHにて最も安定化され、最も反応活性であることも知見された。
【0038】
上述のカリウム系次亜臭素酸の安定化されたストック溶液は、灌漑用水流路に直接添加されて、水中0.001mg/l〜0.5mg/lの灌漑用水中総臭素含有量を提供する。用いられるストック溶液中の次亜臭素酸の濃度は、灌漑水中に存在する有機物質に従って選択される。多量の有機物質を含む灌漑水は、高濃度のストック溶液(すなわち18%)を用いることになるであろうし、少量の有機物質を含む灌漑水は、低濃度のストック溶液(すなわち13%)を用いることになるであろう。
【0039】
通常、カリウム系次亜臭素酸の安定化されたストック溶液は、灌漑水路網に、分配の初期にて灌漑水に添加される。処理された水中の遊離臭素濃度は、下流で監視され、カリウム系次亜臭素酸の安定化された溶液は、0.001〜0.2mg/l、典型的には0.02〜0.1mg/l、好ましくは0.05mg/lの遊離臭素残渣を維持するような投与率で添加される。
【0040】
ナトリウム系次亜臭素酸溶液でのように、カリウム系次亜臭素酸溶液は、7〜9の広範なpHにわたり活性であり、水への添加60秒以内で灌漑水中の微生物の99%殺菌率を得る。臭素の活性もまた、比較的短時間であり、水への添加45分以内に灌漑水中には活性臭素が0.02mg/l未満となる。よって、早い殺菌速度ゆえに、本発明によるカリウム系次亜臭素酸溶液を直接、灌漑水網の水路に添加する場合には、水が灌漑水網に分配される間に、微生物の99%を殺すことができ、灌漑水が灌漑水網の終点(よって土壌)に到達するまでに、水中には低濃度(0.2mg/l未満、典型的には約0.01〜0.1mg/l)の遊離臭素(残渣)がある。
【0041】
カリウム系次亜臭素酸溶液のさらなる利点は、カリウムが植物成長にとって重要な微量元素であり、適用される土壌を肥沃にする効果を有することである。
上述のように、本発明によるカリウム系次亜臭素酸溶液は灌漑水中で特定の用途を見出すが、飲料水及び他のタイプの水を処理するためにも用いることができる。飲料水に添加されるカリウムは、消費者(人間)にとっても有益であると考えられる。この溶液は、ナトリウム系次亜臭素酸溶液よりも環境に対する影響が良好であるので、このようなカリウム系次亜臭素酸溶液もまた下水を処理するために好ましい。
【0042】
飲料水を処理するための典型的なカリウム系次亜臭素酸の安定化されたストック溶液は、それぞれ、0.4ppm、0.3ppm及び0.2ppm濃度のシアヌル酸で安定化された、3.5%(m/m)次亜臭素酸及び1.1%(m/m)カリウム、6%(m/m)次亜臭素酸及び2.1%(m/m)カリウム、及び9%(m/m)次亜臭素酸及び3.7%(m/m)カリウムを含む。このように安定化された溶液は、最長6ヶ月の貯蔵寿命(密閉不透光性容器内)を有する。シアヌル酸安定化剤の濃度と、次亜臭素酸溶液の濃度との驚くべき逆相関関係が明白である。さらに、溶液は、8〜9のpH、好ましくは8.8のpHにて最も安定化され、最も反応活性である、ことも知見された。
【0043】
上述のカリウム系次亜臭素酸の安定化されたストック溶液は、(上述の態様で)飲料水に添加されてもよく、水中0.001mg/l〜0.5mg/lの総臭素濃度を提供する。
【0044】
本発明によるカリウム系次亜臭素酸溶液は、臭化カリウムイオンを含む溶液と、次亜臭素酸を含む溶液と、を組み合わせることにより、製造される。
臭化物イオンを含む溶液は、水中に臭化カリウムを溶解させることにより形成されてもよい。本発明の好ましい実施形態によれば、臭化物イオン溶液は、水中に臭化カリウムを溶解させることにより形成され、30%(m/m)溶液を提供する。
【0045】
次亜塩素酸溶液は、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸マグネシウム、次亜塩素酸リチウム、次亜塩素酸カルシウムから選択される次亜塩素酸アルカリ金属塩又は次亜塩素酸アルカリ土類金属塩から調製されてもよい。通常、このような溶液は、約14.5のpHを有する。溶液のpHは、塩酸を添加することにより約7.5まで低下して、好ましくは7.41のpH及び3.5wt%の塩素を有する次亜塩素酸溶液を提供する。
【0046】
次いで、次亜塩素酸溶液及び臭化カリウム溶液を大量に組み合わせて、必要な濃度のカリウム系次亜臭素酸を提供する。この反応の式は、
HOCl +KBr → HOBr + KCl
で表される。
【0047】
例えば、灌漑水を処理するための安定化された溶液を調製するために、上述の好ましいカリウム系臭化物溶液を、上述の好ましい次亜塩素酸溶液と、7.4:1の比率で組み合わせて9%(m/m)のカリウムを有する18%(m/m)カリウム系次亜臭素酸溶液、又は3.7:1の比率で組み合わせて8%(m/m)カリウムを有する16%(m/m)カリウム系次亜臭素酸溶液、又は1.89:1の比率で組み合わせて7%(m/m)カリウムを有する13%(m/m)次亜臭素酸溶液を提供する。
【0048】
次いで、このように形成されたカリウム系次亜臭素酸溶液に、シアヌル酸の形態(40℃に加熱されている水中に溶解している)での安定化剤をただちに添加する。少量のシアヌル酸、すなわち1ppm未満、好ましくは0.5ppm未満のシアヌル酸を添加する。18%(m/m)カリウム系次亜臭素酸溶液中0.2ppmシアヌル酸、16%(m/m)カリウム系次亜臭素酸溶液中0.3ppmシアヌル酸、及び13%(m/m)カリウム系次亜臭素酸溶液中0.4ppmシアヌル酸を提供するに十分な量のシアヌル酸を添加する。
【0049】
このように製造されたストック溶液は、不透光性である密閉容器内に貯蔵される場合に、最長6ヶ月の貯蔵寿命を有することが知見された。
[実施例1]
飲料水処理に用いるためのナトリウム系次亜臭素酸の安定化されたストック溶液の調製
pH12.7にて、15%次亜塩素塩を有する次亜塩素酸ナトリウム溶液132.5Lを水365.5Lと混合して、塩酸(10%)14.6g/lを添加することにより、この溶液のpHを7.41に低下させて、3.5wt%の遊離塩素含有量を有する次亜塩素酸ストック溶液を得た。
【0050】
臭化ナトリウム185kgを水315Lに溶解させて、pH6.4の臭化ナトリウムストック溶液37wt%を得た。
実施例1A 3.5%ナトリウム系次亜臭素酸の安定化されたストック溶液
上述の次亜塩素酸ストック溶液500.24Lを上述の臭化ナトリウムストック溶液67.6Lと混合して(すなわち、上述の臭化ナトリウムと次亜塩素酸溶液とを1:7.4の比率で混合させた)、pH8.8にて3.5%(m/m)の次亜臭素酸を含有する溶液を形成することにより、本発明による3.5%(m/m)次亜臭素酸溶液を調製した。次いで、この溶液に、シアヌル酸227.14mg(40℃に加熱した水に溶解させた)を速やかに添加して、シアヌル酸濃度0.4ppmを得た。
【0051】
実施例1B 6%ナトリウム系次亜臭素酸の安定化されたストック溶液
上述の次亜塩素酸ストック溶液500.02Lを上述の臭化ナトリウムストック溶液135.14Lと混合して(すなわち、上述の臭化ナトリウムと次亜塩素酸溶液とを1:3.7の比率で混合させた)、pH8.8にて6%(m/m)の次亜臭素酸を含む溶液を形成することにより、本発明による6%(m/m)次亜臭素酸溶液を調製した。次いで、この溶液に、シアヌル酸190.55mg(40℃に加熱した水に溶解させた)を速やかに添加して、シアヌル酸濃度0.3ppmを得た。
【0052】
実施例1C 9%ナトリウム系次亜臭素酸の安定化されたストック溶液
上述の次亜塩素酸ストック溶液500Lを上述の臭化ナトリウムストック溶液264.55Lと混合して(すなわち、上述の臭化ナトリウムと次亜塩素酸溶液とを1:1.89の比率で混合させた)、pH8.8にて9%(m/m)の次亜臭素酸を含有する溶液を形成させることにより、本発明による9%(m/m)次亜臭素酸溶液を調製した。次いで、この溶液に、シアヌル酸152.91mg(40℃に加熱した水に溶解させた)を速やかに添加して、シアヌル酸濃度0.2ppmを得た。
[実施例2]
カリウム系次亜臭素酸の安定化されたストック溶液の調製
pH14.5にて、15%塩素を有する次亜塩素ナトリウム溶液132.5Lを水365.5Lと混合して、pH14.2の次亜塩素酸溶液を得た。この溶液に、塩酸(10%)14.6g/lを添加することにより、この溶液のpHを7.5に低下させて、3.5wt%の遊離塩素含有量を有する次亜塩素酸ストック溶液を得た。
【0053】
臭化カリウム150kgを水350Lに溶解させて、pH6.9の臭化カリウムストック溶液30wt%を得た。
実施例2A 18%カリウム系次亜臭素酸の安定化されたストック溶液
上述の次亜塩素酸ストック溶液15.91Lを上述の臭化カリウムストック溶液117.4Lと混合して(すなわち、上述の臭化カリウムと次亜塩素酸溶液とを7.4:1の比率で混合させた)、pH8.8にて18%(m/m)の次亜臭素酸及び9%(m/m)カリウムを含有する溶液を形成することにより、本発明による18%(m/m)カリウム系次亜臭素酸溶液を調製した。次いで、この溶液に、シアヌル酸26.73mg(40℃に加熱した水に溶解させた)を速やかに添加して、シアヌル酸濃度0.2ppmを得た。
【0054】
実施例2B 16%カリウム系次亜臭素酸の安定化されたストック溶液
上述の次亜塩素酸ストック溶液57.84Lを上述の臭化ナトリウムストック溶液214.01Lと混合して(すなわち、上述の臭化カリウム及び次亜塩酸溶液を3.7:1の比率で混合した)、pH8.8にて16%(m/m)次亜臭素酸及び8%(m/m)カリウムを含有する溶液を形成することにより、本発明による16%(m/m)カリウム系次亜臭素酸溶液を調製した。次いで、この溶液に、シアヌル酸81.56mg(40℃に加熱した水に溶解させた)を速やかに添加して、シアヌル酸濃度0.3ppmを得た。
【0055】
実施例2C 13%カリウム系次亜臭素酸の安定化されたストック溶液
上述の次亜塩素酸ストック溶液113.23Lを上述の臭化カリウムストック溶液214.01Lと混合して(すなわち、上述の臭化カリウム及び次亜塩酸溶液を1.89:1の比率で混合した)、pH8.8にて13%(m/m)次亜臭素酸及び7%(m/m)カリウムを含有する溶液を形成することにより、本発明による13%(m/m)カリウム系次亜臭素酸溶液を調製した。次いで、この溶液に、シアヌル酸130.9mg(40℃に加熱した水に溶解させた)を速やかに添加して、シアヌル酸濃度0.4ppmを得た。
[実施例3]
飲料水処理に用いるためのカリウム系次亜臭素酸の安定化されたストック溶液の調製
pH12.7にて、15%次亜塩素塩を有する次亜塩素酸ナトリウム溶液132.5Lを水365.5Lと混合して、この溶液に塩酸(10%)14.6g/lを添加することにより、この溶液のpHを7.41に低下させて、3.5wt%の遊離塩素含有量を有する次亜塩素酸ストック溶液を得た。
【0056】
臭化カリウム150kgを水350Lに溶解させて、pH6.4の臭化カリウムストック溶液30wt%を得た。
実施例3A 3.5%カリウム系次亜臭素酸の安定化された溶液
上述の次亜塩素酸ストック溶液117.74Lを上述の臭化カリウムストック溶液15.91Lと混合して(すなわち、上述の臭化カリウムと次亜塩素酸溶液とを1:7.4の比率で混合させた)、pH8.8にて3.5%(m/m)の次亜臭素酸及び1.1%(m/m)カリウムを含有する溶液を形成することにより、本発明による3.5%(m/m)カリウム系次亜臭素酸溶液を調製した。次いで、この溶液に、シアヌル酸53.46mg(40℃に加熱した水に溶解させた)を速やかに添加して、シアヌル酸濃度0.4ppmを得た。
【0057】
実施例3B 6%カリウム系次亜臭素酸の安定化された溶液
上述の次亜塩素酸ストック溶液214.01Lを上述の臭化カリウムストック溶液57.84Lと混合して(すなわち、上述の臭化カリウムと次亜塩素酸溶液とを1:3.7の比率で混合させた)、pH8.8にて6%(m/m)の次亜臭素酸及び2.1%(m/m)カリウムを含有する溶液を形成することにより、本発明による6%(m/m)カリウム系次亜臭素酸溶液を調製した。次いで、この溶液に、シアヌル酸81.56mg(40℃に加熱した水に溶解させた)を速やかに添加して、シアヌル酸濃度0.3ppmを得た。
【0058】
実施例3C 9%カリウム系次亜臭素酸の安定化された溶液
上述の次亜塩素酸ストック溶液214.01Lを上述の臭化カリウムストック溶液113.23Lと混合して(すなわち、上述の臭化カリウムと次亜塩素酸溶液とを1:1.89の比率で混合させた)、pH8.8にて9%(m/m)の次亜臭素酸及び3.7%(m/m)カリウムを含有する溶液を形成することにより、本発明による9%(m/m)カリウム系次亜臭素酸溶液を調製した。次いで、この溶液に、シアヌル酸65.45mg(40℃に加熱した水に溶解させた)を速やかに添加して、シアヌル酸濃度0.2ppmを得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
30%(m/m)未満の次亜臭素酸濃度を有し、1ppmを越えない量の安定化剤としてのシアヌル酸を含み、かつ8〜9のpHを有する次亜臭素酸の安定化されたストック溶液。
【請求項2】
20%(m/m)未満の次亜臭素酸濃度を有する、請求項1に記載の次亜臭素酸の安定化されたストック溶液。
【請求項3】
0.5ppm未満のシアヌル酸を含む、請求項1又は2に記載の次亜臭素酸の安定化されたストック溶液。
【請求項4】
8.5〜8.9のpHを有する請求項1に記載の次亜臭素酸の安定化されたストック溶液。
【請求項5】
8.8のpHを有する請求項4に記載の次亜臭素酸の安定化されたストック溶液。
【請求項6】
10%(m/m)未満の次亜臭素酸濃度を有する、飲料水用の請求項1〜5のいずれか1項に記載の次亜臭素酸の安定化されたストック溶液。
【請求項7】
9%(m/m)の次亜臭素酸濃度を有し、0.2ppmのシアヌル酸を含む、請求項6に記載の次亜臭素酸の安定化されたストック溶液。
【請求項8】
6%(m/m)の次亜臭素酸濃度を有し、0.3ppmのシアヌル酸を含む、請求項6に記載の次亜臭素酸の安定化されたストック溶液。
【請求項9】
3.5%(m/m)の次亜臭素酸濃度を有し、0.4ppmのシアヌル酸を含む請求項6に記載の次亜臭素酸の安定化されたストック溶液。
【請求項10】
10%〜20%(m/m)の次亜臭素酸濃度を有する灌漑用水処理用の請求項1〜5のいずれか1項に記載の次亜臭素酸の安定化されたストック溶液。
【請求項11】
20%(m/m)未満のカリウム濃度を有する、カリウム系の請求項1〜5のいずれか1項に記載の次亜臭素酸の安定化されたストック溶液。
【請求項12】
10%(m/m)未満のカリウム濃度を有する、飲料水処理用の請求項11に記載のカリウム系次亜臭素酸の安定化されたストック溶液。
【請求項13】
9%(m/m)の次亜臭素酸濃度及び3.7%(m/m)のカリウム濃度を有し、0.2ppmのシアヌル酸を含む、請求項12に記載のカリウム系次亜臭素酸の安定化されたストック溶液。
【請求項14】
6%(m/m)の次亜臭素酸濃度及び2.1%(m/m)のカリウム濃度を有し、0.3ppmのシアヌル酸を含む、請求項12に記載のカリウム系次亜臭素酸の安定化されたストック溶液。
【請求項15】
3.5%(m/m)の次亜臭素酸濃度及び1.1%(m/m)のカリウム濃度を有し、0.4ppmのシアヌル酸を含む、請求項12に記載のカリウム系次亜臭素酸の安定化されたストック溶液。
【請求項16】
13%(m/m)の次亜臭素酸濃度及び7%(m/m)のカリウム濃度を有し、0.4ppmのシアヌル酸を含む、灌漑用水処理用の請求項11に記載のカリウム系次亜臭素酸の安定化されたストック溶液。
【請求項17】
16%(m/m)の次亜臭素酸濃度及び8%(m/m)のカリウム濃度を有し、0.3ppmのシアヌル酸を含む、灌漑用水処理用の請求項11に記載のカリウム系次亜臭素酸の安定化されたストック溶液。
【請求項18】
18%(m/m)の次亜臭素酸濃度及び9%(m/m)のカリウム濃度を有し、0.2ppmのシアヌル酸を含む、灌漑用水処理用の請求項11に記載のカリウム系次亜臭素酸の安定化されたストック溶液。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項に規定される次亜臭素酸の安定化されたストック溶液を水に添加することによる水処理方法。
【請求項20】
請求項1〜9又は請求項11〜15のいずれか1項に規定される次亜臭素酸の安定化されたストック溶液を水に添加することによる飲料水の処理方法。
【請求項21】
請求項1〜5、10〜12又は16〜18のいずれか1項に規定される次亜臭素酸の安定化されたストック溶液を水に添加することによる灌漑用水の処理方法。
【請求項22】
水中0.5〜0.001mg/lの総臭素含量を提供するために十分な量の次亜臭素酸の安定化されたストック溶液を水に添加する、請求項19〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
次亜臭素酸の安定化されたストック溶液は、水処理プラントのフィルタトレイ内の飲料水に添加される、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
処理された水の遊離臭素残渣は、水処理プラントの水フィルタの下流で監視され、次亜臭素酸の安定化されたストック溶液は、遊離臭素残渣を0.001〜0.2mg/lに維持する投与割合で添加される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
処理された水の遊離臭素残渣は、水処理プラントの水フィルタの下流で監視され、次亜臭素酸の安定化されたストック溶液は、遊離臭素残渣を0.025mg/lに維持する投与割合で添加される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
次亜臭素酸の安定化されたストック溶液は、灌漑用水網の灌漑用水ラインに直接添加される、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
次亜臭素酸の安定化されたストック溶液は、灌漑用水網の開始点に添加される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
灌漑用水網中の処理された水の遊離臭素残渣は、該灌漑用水網の下流で監視され、次亜臭素酸の安定化されたストック溶液は、遊離臭素残渣を0.001〜0.2mg/lに維持する投与割合で添加される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
灌漑用水網中の処理された水の遊離臭素残渣は、該灌漑用水網の下流で監視され、次亜臭素酸の安定化されたストック溶液は、遊離臭素残渣を0.05mg/lに維持する投与割合で添加される、請求項28に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−189393(P2010−189393A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47907(P2010−47907)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【分割の表示】特願2002−569737(P2002−569737)の分割
【原出願日】平成14年3月1日(2002.3.1)
【出願人】(503318493)ミルブリッジ・インベストメンツ・プロプライエタリー・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】