歌唱録音システム
【課題】 所定の基準値以上の採点結果を有する歌唱録音を容易に作成する。
【解決手段】 ログイン利用者により任意の楽曲の歌唱採点及び録音が指示された場合に、当該利用者の利用者ＩＤと当該楽曲の楽曲ＩＤと当該楽曲の歌唱区間毎の歌唱採点値とを紐付けして管理する歌唱採点値管理手段３９と、当該利用者による当該歌唱区間毎の歌唱録音音声について、利用者ＩＤと楽曲ＩＤとを紐付けして管理する録音データ管理手段４０と、ログイン利用者による任意の楽曲の第１回目の歌唱では、全歌唱区間について録音を行わせる共に、当該利用者による当該楽曲の第２回目以降の歌唱では、歌唱採点値管理手段３９にて管理されている歌唱採点値が所定の基準値未満の歌唱区間についてのみ録音を行わせる録音制御手段４１と、を備える。
【解決手段】 ログイン利用者により任意の楽曲の歌唱採点及び録音が指示された場合に、当該利用者の利用者ＩＤと当該楽曲の楽曲ＩＤと当該楽曲の歌唱区間毎の歌唱採点値とを紐付けして管理する歌唱採点値管理手段３９と、当該利用者による当該歌唱区間毎の歌唱録音音声について、利用者ＩＤと楽曲ＩＤとを紐付けして管理する録音データ管理手段４０と、ログイン利用者による任意の楽曲の第１回目の歌唱では、全歌唱区間について録音を行わせる共に、当該利用者による当該楽曲の第２回目以降の歌唱では、歌唱採点値管理手段３９にて管理されている歌唱採点値が所定の基準値未満の歌唱区間についてのみ録音を行わせる録音制御手段４１と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、歌唱者の歌唱音声をカラオケ伴奏音楽と共に録音するための歌唱録音システムに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
現在普及しているカラオケ演奏装置には、歌唱採点機能や録音機能を有しているものがある。すなわち、カラオケ楽曲の演奏中にマイクロホンから入力された歌唱音声とカラオケ伴奏音楽の主旋律等を比較して、音程や発声タイミングに基づき歌唱採点を行い、歌唱の優劣を歌唱者に提示することができるカラオケ演奏装置がある。また、歌唱音声とカラオケ伴奏音楽とをミキシングして、ＣＤ等の記録媒体に録音する機能を有するカラオケ演奏装置もある。
【０００３】
ところで、歌唱音声を録音する歌唱者にとって、上手に歌えなかった楽曲を録音したとしても他人に聞かせることができず、また、カラオケ演奏の料金だけではなく録音料金が加算されるため、所定の基準値以上の歌唱力であると判断された歌唱音声のみを録音したいという要望がある。
そこで、従来、所定の基準値以上の歌唱力であると判断された歌唱音声のみを録音するための技術が種々提案されている（特許文献１、特許文献２、特許文献３参照）。
【０００４】
特許文献１に記載された技術は、歌唱者のベストの歌唱（ベストテイク）を録音することができるようにしたものである。具体的には、歌唱者の歌唱音声を複数回録音して、録音の全区間に採点機能を働かせ、録音データをフレーズに分割し、フレーズ毎の採点結果に基づいてベストテイクを選択し、選択されたベストテイクをフレーズ毎につないでベスト歌唱（レコーディングテイク）を作成する。最後に、レコーディングテイクを再生してエコーなどの効果を施し、ガイドメロディのないカラオケ演奏とミキシングしてＣＤ等の録音媒体に記録し、レコーディングディスクを作成する。
【０００５】
特許文献２に記載された技術は、複数の歌唱について録音を行い、採点結果が良い区間を繋ぎ合わせるようにしたものである。具体的には、通信ネットワークを介して接続されたカラオケ録音装置から送信されてくる区間別歌唱採点データ付きの歌唱録音作品と、これに対応付けされた作品の楽曲ＩＤと作品の作者ＩＤを受信して一時記憶する。そして、受信した歌唱録音作品と同じ楽曲ＩＤ・作者ＩＤが付された歌唱録音作品が登録されているか否かを調べ、登録されている場合には、受信した歌唱録音作品の区間別歌唱採点データと登録されている歌唱録音作品の区間別歌唱採点データとを対比し、両作品の採点の良い区間を繋ぎ合わせた新たな歌唱録音作品を編集し、編集後の歌唱録音作品を楽曲ＩＤ・作者ＩＤに対応付けして保管手段に更新登録する。
【０００６】
特許文献３に記載された技術は、自らが設定した目標値以上の採点値である歌唱についてのみ録音を可能としたものである。具体的には、予め当該利用者が歌唱力審査エントリーのために設定採点値を目標値として設定登録する。そして、任意の楽曲に対する利用者の歌唱音声の採点結果が目標値を超えた場合に、当該楽曲の歌唱音声の録音情報に対する歌唱力審査エントリーを受け付け可能とする。
【０００７】
【特許文献１】特開２０００−１７２２７９号公報
【特許文献２】特開２００５−２４１８４７号公報
【特許文献３】特開２００５−３４５５５７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
しかし、特許文献１に記載された技術では、複数の歌唱録音を比較し、その中から最良の歌唱区間を抜き出して繋ぎ合わせるため、レコーディングテイクを作成するまでに同一の楽曲について全体を通して何度も歌唱しなければならず、時間と手間を要することになる。さらに、複数の歌唱録音を行わなければならないため、大容量の記憶装置を必要とする。
【０００９】
また、特許文献２に記載された技術では、歌唱録音を行うための基準値が設定されておらず、歌唱区間毎に最良の録音を繋ぎ合わせたとしても、客観的にレベルの高い歌唱を録音したものであるとは言い切れない。
【００１０】
さらに、特許文献３に記載された技術では、楽曲全体の歌唱採点を比較して総合採点が基準値以上の録音を採用しているが、総合採点が基準値以上であったとしても、部分的には上手に歌い切れていない録音が採用される可能性がある。そして、部分的に上手に歌唱できなかった場合には、再度、楽曲全体を通して歌唱し直さなければならない。
【００１１】
そこで、本発明は、所定の基準値以上の採点結果を有する歌唱録音を容易に作成することが可能な歌唱録音システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
本発明の歌唱録音システムは、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を有している。すなわち、本発明の歌唱録音システムは、予め複数の歌唱区間に区切られた楽曲の当該歌唱区間毎に歌唱採点を行う歌唱採点機能と、歌唱区間毎の歌唱音声を録音する録音機能と、を備えたカラオケ演奏装置における歌唱録音システムであって、ログイン利用者管理手段と、歌唱採点値管理手段と、録音データ管理手段と、録音制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【００１３】
ログイン利用者管理手段は、現にカラオケ演奏装置にログインしている利用者（ログイン利用者）を、利用者ＩＤに基づき特定して管理するための手段である。歌唱採点値管理手段は、ログイン利用者により任意の楽曲の歌唱採点及び録音が指示された場合に、当該利用者の利用者ＩＤと当該楽曲の楽曲ＩＤと当該楽曲の歌唱区間毎の歌唱採点値とを紐付けして管理するための手段である。録音データ管理手段は、歌唱採点及び録音を指示した利用者による歌唱区間毎の歌唱録音音声について、当該利用者の利用者ＩＤと当該楽曲の楽曲ＩＤとを紐付けして管理するための手段である。録音制御手段は、利用者による任意の楽曲の第１回目の歌唱では、全歌唱区間について録音を行わせる共に、当該利用者による当該楽曲の第２回目以降の歌唱では、歌唱採点値管理手段により管理されている歌唱採点値が所定の基準値未満の歌唱区間についてのみ録音を行わせるための手段である。
【００１４】
また、録音制御手段は、第２回目以降の録音を行う歌唱区間において、その歌唱採点値が所定の基準値以上の場合にのみ、既に録音した録音データを新たな録音データに置き換えさせるように機能させてもよい。
【００１５】
このような構成からなる歌唱録音システムでは、利用者がカラオケ装置にログインして、任意の楽曲の歌唱採点及び録音を指示し、当該楽曲の歌唱を行うと、歌唱採点機能により、当該楽曲の歌唱について、所定の歌唱区間毎に歌唱採点を行う。そして、歌唱採点値管理手段により、歌唱採点結果である歌唱採点値について、ログイン利用者の利用者ＩＤと歌唱を行った楽曲の楽曲ＩＤとを紐付けして管理する。また、録音データ管理手段により、当該利用者による歌唱区間毎の歌唱録音音声について、当該利用者の利用者ＩＤと当該楽曲の楽曲ＩＤとを紐付けして管理する。
【００１６】
そして、録音制御手段は、ログイン利用者による任意の楽曲の第１回目の歌唱では、全歌唱区間について録音を行わせる。また、当該ログイン利用者による当該楽曲の第２回目以降の歌唱では、歌唱採点値管理手段により管理されている歌唱採点値が所定の基準値未満の歌唱区間についてのみ録音を行わせる。
【００１７】
この場合、第２回目以降の録音を行う歌唱区間において、その歌唱採点値が所定の基準値以上の場合にのみ、既に録音した録音データを新たな録音データに置き換えさせることが可能である。
【発明の効果】
【００１８】
本発明の歌唱録音システムによれば、利用者による楽曲の第２回目以降の歌唱では、歌唱採点値が所定の基準値未満の歌唱区間についてのみ録音を行わせるようになっている。したがって、従来の技術のように、利用者は全歌唱区間について何度も歌唱を行う必要はなく、少なくとも歌唱採点値が所定の基準値未満の歌唱区間についてのみ、歌唱を行えばよいので、所定の基準値以上の採点結果を有する歌唱録音を、時間と手間をかけずに容易に作成することが可能となる。
また、カラオケ演奏装置に付帯されたＨＤＤ等の容量は限られているが、利用者が同一の楽曲について複数回歌唱した場合であっても、すべての歌唱音声を保存しておく必要がないので、容量が限られたデータ記憶領域を有効に活用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１９】
以下、図面を参照して、本発明の歌唱録音システムの実施形態を説明する。
本発明の実施形態に係る歌唱録音システムは、カラオケ演奏装置の利用者による歌唱音声を録音するためのシステムであり、カラオケ演奏装置の構成要素とされている。以下、本発明の実施形態に係る歌唱録音システムを適用するカラオケ演奏装置について説明する。
【００２０】
＜カラオケ演奏装置＞
図１は、本発明の実施形態に係る歌唱録音システムを適用するカラオケ演奏装置のブロック図である。
本発明の実施形態に係るカラオケ演奏装置１１は、図１に示すように、カラオケ本体２１、カラオケリモコン装置２２、ミキシングアンプ２３、スピーカ２４、マイクロホン２５、ディスプレイ装置２６を備えている。カラオケ本体２１とディスプレイ装置２６とは、有線方式又は無線方式により接続されている。
【００２１】
＜カラオケリモコン装置＞
カラオケリモコン装置２２は、ユーザインタフェース機能を備えており、カラオケ本体２１の送受信手段３５に対して有線方式又は無線方式によりデータの送受信を行うようになっている。このカラオケリモコン装置２２は、楽曲検索手段２２ａとして機能するプログラムと、楽曲索引データベース２２ｂと、データの送受信を行うための回路基板及びプログラムと、カードリーダ等からなる利用者ＩＤ取得手段２２ｃと、フラッシュメモリ等からなる記憶手段（図示せず）と、を備えている。
【００２２】
＜楽曲検索手段／楽曲索引データベース＞
楽曲検索手段２２ａは、楽曲索引データベース２２ｂを参照して、楽曲を検索するためのプログラムからなる。楽曲索引データベース２２ｂは、カラオケ演奏装置１１で演奏に供される楽曲についての属性情報を記述したデータベースであり、例えば、楽曲番号・曲名・歌手名・歌い出し部分の歌詞・流行時期・音楽ジャンル区分・デュエット曲か否かなど、種々の属性情報がこれに含まれている。
【００２３】
＜利用者ＩＤ取得手段＞
利用者ＩＤ取得手段２２ｃは、利用者がカラオケ演奏装置１１を利用する際に、利用者が所持するＩＤ媒体２７から利用者ＩＤを取得するための電子回路及びプログラムからなる。利用者ＩＤ取得手段２２ｃで取得した利用者ＩＤは、ＲＡＭ３３に一時的に記憶され、ログイン利用者管理手段３７で管理される。ＩＤ媒体２７は、例えば、非接触型のＩＣカード、携帯電話、携帯情報端末等からなり、利用者ＩＤを記憶して、利用者ＩＤ取得手段２２ｃとの間でデータの送受信を行うことができるようになっている。
【００２４】
＜カラオケ本体＞
カラオケ本体２１は、中央制御手段３１、ＲＯＭ３２、ＲＡＭ３３、ＨＤＤ３４、送受信手段３５、予約管理手段３６、ログイン利用者管理手段３７、歌唱採点手段３８、歌唱採点値管理手段３９、録音データ管理手段４０、録音制御手段４１、音楽再生制御手段４２、Ａ／Ｄコンバータ４３、映像再生制御手段４４を備えている。
【００２５】
＜中央制御手段＞
中央制御手段３１は、カラオケ本体２１を総合的に制御するための手段であり、例えばＣＰＵ及びその周辺機器により構成されており、ＣＰＵ等がＲＯＭ３２等に記憶されたアプリケーションプログラムに従って動作することにより、制御機能を発揮することができるようになっている。
【００２６】
＜ＲＯＭ／ＲＡＭ＞
ＲＯＭ３２は、カラオケ本体２１を構成する各機器を制御するためのアプリケーションプログラムデータや数値データを記憶するための機器で、例えば半導体メモリ等で構成される。また、ＲＡＭ３３は、アプリケーションプログラムや各種データを一時的に記憶する一時記憶領域として機能するもので、例えば半導体メモリ等で構成される。なお、物理的な半導体メモリによりＲＡＭ３３を構成するのではなく、ハードディスク記憶装置等を用いて仮想的なＲＡＭ３３を構成してもよい。本実施形態では、ＲＡＭ３３に、予約待ち行列３３ａが一時的に格納されている。
【００２７】
＜ＨＤＤ／楽曲データベース／映像データベース＞
ＨＤＤ３４には、楽曲データベース３４ａ、映像データベース３４ｂ、録音データ３４ｃ、及び録音制御データテーブル３４ｄが格納されている。なお、ＨＤＤ３４に替えて、あるいはＨＤＤ３４と共に、データを書き替え可能なＤＶＤ等の大容量記憶装置を用いてもよい。
【００２８】
楽曲データベース３４ａは、演奏データ（ＭＩＤＩ（登録商標）データ）及び歌詞テロップデータが同期されて構成される楽曲データについて、楽曲ＩＤと対応付けてそれぞれ格納したデータベースである。演奏データは各楽曲の演奏データをデジタル化したものであり、歌詞テロップデータは演奏データに同期された楽曲の歌詞文字データである。映像データベース３４ｂは、演奏される楽曲に対応した背景映像を、当該楽曲の楽曲ＩＤに対応させた映像ファイルとして所定数格納したデータベースである。
【００２９】
＜録音データ／録音制御データテーブル＞
図２は、録音データの構成を示す説明図、図３は、録音制御データテーブルの構成を示す説明図である。
録音データ３４ｃは、録音機能により録音され、録音データ管理手段４０により管理されている各利用者の楽曲毎の歌唱音声データである。具体的には、図２に示すように、各利用者が録音を指示した楽曲に関して、歌唱区間毎に歌唱音声データが記録されている。このようなデータ構成とすることにより、歌唱区間毎に歌唱音声データの置き換えが可能となっている。
【００３０】
録音制御データテーブル３４ｄは、図３に示すように、利用者ＩＤ、楽曲ＩＤ、歌唱区間毎の歌唱採点値、基準値、再録音を示すＮＧフラグを紐付けることにより構成されている。後に詳述するが、録音制御データテーブル３４ｄは、歌唱採点値管理手段３９の機能により管理される。そして、録音制御手段４１は、この録音制御データテーブル３４ｄを参照することにより録音データ管理手段４０を制御して、歌唱音声の録音を行う。
【００３１】
＜ログイン利用者管理手段＞
ログイン利用者管理手段３７は、現に当該カラオケ演奏装置１１にログインしている利用者を、利用者ＩＤに基づき特定して管理するためのプログラムからなる。すなわち、ログイン利用者管理手段３７では、利用者ＩＤ取得手段２２ｃにより利用者ＩＤが取得された場合に、この利用者ＩＤに基づいてカラオケ演奏装置１１にログインしている利用者を特定して管理する。
【００３２】
＜歌唱採点手段＞
歌唱採点手段３８は、歌唱採点機能を発揮するための手段であり、利用者による任意の楽曲の歌唱について、所定の歌唱区間毎に歌唱採点を行うためのプログラムからなる。
歌唱採点機能では、マイクロホン２５より入力された歌唱者の音声信号から、音程、声量、テンポ等の歌唱評価データを抽出すると共に、この歌唱評価データと演奏楽曲の主旋律等のリファレンス情報とを比較して採点を行う。このような歌唱採点方法については、特開２００７−１２１９１７号公報等に詳細に記載されている。
【００３３】
＜歌唱採点値管理手段＞
歌唱採点値管理手段３９は、ログイン利用者により任意の楽曲の歌唱採点及び録音が指示された場合に、当該利用者の利用者ＩＤと当該楽曲の楽曲ＩＤと当該楽曲の歌唱区間毎の歌唱採点値とを紐付けして管理するためのプログラムからなり、この歌唱採点値管理手段３９の機能により、録音制御データテーブル３４ｄが管理される。
【００３４】
＜録音データ管理手段＞
録音データ管理手段４０は、ログイン利用者による任意の楽曲に関する歌唱区間毎の歌唱録音音声について、当該利用者の利用者ＩＤと当該楽曲の楽曲ＩＤとを紐付けして管理するためのプログラムからなる。具体的には、録音データ管理手段４０の機能により、マイクロホン２５から入力され、Ａ／Ｄコンバータ４３によりデジタル変換された任意の歌唱者による歌唱音声が、各楽曲の歌唱区間毎に区分された録音データ３４ｃとしてＨＤＤ３４に記憶される。
【００３５】
＜録音制御手段＞
録音制御手段４１は、ログイン利用者による任意の楽曲の第１回目の歌唱では、全歌唱区間について録音を行わせる共に、当該利用者による当該楽曲の第２回目以降の歌唱では、歌唱採点値管理手段３９により管理されている歌唱採点値が所定の基準値未満の歌唱区間についてのみ録音を行わせるためのプログラムからなる。具体的には、録音制御手段４１は、任意の利用者が任意の楽曲について録音を指示した場合に、録音制御データテーブル３４ｄを参照して歌唱区間毎の歌唱採点値と所定の基準値とを比較する。この際、当該利用者の利用者ＩＤ及び当該楽曲の楽曲ＩＤに紐付けされた録音制御データテーブル３４ｄが存在しない場合には、第１回目の歌唱と判断し、当該利用者の利用者ＩＤ及び当該楽曲の楽曲ＩＤに紐付けされた録音制御データテーブル３４ｄが存在する場合には、第２回目以降の歌唱と判断する。
【００３６】
そして、第１回目の歌唱と判断した場合には、全歌唱区間について録音を行わせる。一方、第２回目以降の歌唱と判断した場合には、歌唱採点値管理手段３９により管理されている歌唱採点値と所定の基準値とを比較する。そして、歌唱採点値が所定の基準値未満の歌唱区間についてのみ録音を行わせる。なお、歌唱採点値と所定の基準値との比較は、毎回、全歌唱区間について行ってもよいし、歌唱採点値が基準値未満の区間についてＮＧフラグをセットしておき、ＮＧフラグがセットされた区間についてのみ行ってもよい。
【００３７】
＜音楽再生制御手段＞
音楽再生制御手段４２は、楽曲ＩＤに基づいて楽曲データベース３４ａから抽出された演奏データをデジタル再生すると共にアナログ変換してミキシングアンプ２３に出力するための電子回路である。ミキシングアンプ２３は、マイクロホン２５から入力された歌唱者の歌唱音声信号と、音楽再生制御手段４２から送出される演奏音声信号とをミキシングすると共に、アンプ機能により増幅してスピーカ２４より出力させるための装置である。なお、マイクロホン２５の数は１本に限られず、２本以上であってもよい。
また、マイクロホン２５は、Ａ／Ｄコンバータ４３を介してバスに接続されており、マイクロホン２５から入力された音声信号が歌唱採点手段３８における歌唱採点に使用される。
【００３８】
＜映像再生制御手段／ディスプレイ装置＞
映像再生制御手段４４は、カラオケ演奏中に、映像データベース３４ｂから抽出した映像データ、及び楽曲データベース３４ａから抽出した楽曲データのうちの歌詞テロップデータ（歌詞文字データ）を当該楽曲の演奏データに同期させてディスプレイ装置２６に出力するための電子回路である。さらに、映像再生制御手段４４は、カラオケリモコン装置２２を介した利用者からの操作指示による予約楽曲リストの表示等をディスプレイ装置２６に表示させる機能も有している。
【００３９】
ディスプレイ装置２６は、カラオケ演奏時の映像、歌詞テロップ等を表示するための装置で、例えば、ＣＲＴディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等により構成される。
【００４０】
＜予約管理手段＞
予約管理手段３６は、利用者によりカラオケリモコン装置２２における楽曲検索手段２２ａの機能を用いて選曲され、送受信手段３５を介して送信された当該選曲者の利用者情報（例えば利用者ＩＤ）及び選曲された楽曲ＩＤを対応付けて予約待ち行列３３ａとしてＲＡＭ３３に格納し、管理するためのプログラムである。なお、楽曲選択の表示や予約待ち行列３３ａの表示は、カラオケリモコン装置２２の入出力用表示部及びディスプレイ装置２６のいずれか一方、あるいは双方で行うことができる。
【００４１】
＜送受信手段＞
送受信手段３５は、カラオケリモコン装置２２との間でデータの送受信を行うための電子回路及びプログラムからなる。
【００４２】
＜録音制御＞
次に、本実施形態の歌唱録音システムを用いた録音制御について説明する。図４は、本発明の実施形態に係る歌唱録音システムを用いた録音制御処理のフローチャートである。また、図５は、選曲画面の模式図である。
本実施形態の歌唱録音システムを用いた録音制御に先立ち、ログイン利用者ＩＤ管理手段３７の機能により、ログイン利用者が管理されているものとする。
【００４３】
本実施形態の歌唱録音システムを用いた録音制御では、図４に示すように、ログイン利用者により、歌唱音声の採点及び録音が指示されたか否かを判断する（Ｓ１）。ここで、歌唱音声の採点及び録音が指示されていない場合には、録音制御処理は行わない。なお、図５に示すように、選曲画面において、「採点＆録音ボタン」を操作することにより、ログイン利用者による採点及び録音の指示が行われる。
【００４４】
歌唱音声の採点及び録音が指示されている場合には、録音制御手段４１の機能により、録音制御データテーブル３４ｄを参照し（Ｓ２）、歌唱音声の採点及び録音指示を行った利用者の利用者ＩＤと、採点及び録音対象となる楽曲の楽曲ＩＤとに紐付けされたデータが存在するか否かを判断する（Ｓ３）。ここで、このようなデータが存在しない場合には、当該利用者による当該楽曲の最初の採点及び録音指示であるため、歌唱採点値管理手段３９の機能により、録音制御データテーブル３４ｄの新たなデータとして、当該利用者ＩＤ及び当該楽曲ＩＤに紐付けされたデータ領域を作成し（Ｓ４）、すべての歌唱区間について採点及び録音を行い、採点・録音データを取得する（Ｓ５）。
【００４５】
続いて、採点及び録音を行った歌唱区間毎に、歌唱採点値と基準値とを比較し（Ｓ６）、歌唱採点値が基準値以上か否かを判断する（Ｓ７）。ここで、歌唱採点値が基準値未満の歌唱区間が存在する場合には、当該歌唱区間についてＮＧフラグをセットする（Ｓ８）。そして、すべての歌唱区間について、歌唱採点値の比較判断処理及びＮＧフラグのセット処理処理（Ｓ６〜Ｓ８）が終了するまで、これらの処理を繰り返して行う（Ｓ９）。
【００４６】
一方、歌唱音声の採点及び録音指示を行った利用者の利用者ＩＤと、採点及び録音対象となる楽曲の楽曲ＩＤとに紐付けされたデータが存在する場合には、当該利用者による当該楽曲の第２回目以降の採点及び録音指示であるため、ＮＧフラグがセットされているＮＧ歌唱区間についてのみ、採点及び録音を行う（Ｓ１０）。
【００４７】
続いて、採点及び録音を行った歌唱区間毎に歌唱採点値と基準値とを比較し（Ｓ１１）、歌唱採点値が基準値以上であるか否かを判断する（Ｓ１２）。ここで、採点値が基準値以上の場合には、当該ＮＧ歌唱区間について、録音データ３４ｃを置き換えて、ＮＧフラグをリセットする（Ｓ１３）。一方、採点値が基準値未満の場合には、当該ＮＧ歌唱区間について、録音データ３４ｃの置き換え及びＮＧフラグのリセットは行わない。そして、すべてのＮＧ歌唱区間について、歌唱採点値の比較判断処理及び録音データ３４ｃの置換処理（Ｓ１１〜Ｓ１３）が終了するまで、これらの処理を繰り返して行う（Ｓ１４）。
【００４８】
なお、上述した例では、採点値が基準値以上となった場合に、録音データ３４ｃの置換処理（Ｓ１３）を行っているが、採点結果にかかわらず、すべてのＮＧ歌唱区間について、録音データ３４ｃの置換処理（Ｓ１３）を行ってもよいし、前回の採点値と今回の採点値とを比較し、今回の採点値が前回の採点値を上回ったＮＧ歌唱区間について、録音データ３４ｃの置換処理（Ｓ１３）を行ってもよい。録音制御データテーブル３４ｄにおけるＮＧ歌唱区間の採点値は、録音データ３４ｃの置換処理の態様に応じて更新される。
【００４９】
＜他の実施形態＞
本発明の歌唱録音システム及びその周辺装置を構成する機器や手段は上述したものに限定されず、その利用目的等に応じて、必要な機器や手段のみの構成としたり、適宜他の機器や手段を付加したりすることができる。また、各手段をそれぞれ別個のものとして構成するのではなく、複数の機能を統合した手段として構成してもよい。
【００５０】
また、上述した実施形態は、カラオケ演奏装置１１をスタンドアロンで使用した例を示しているが、各カラオケ店舗等に設置されたカラオケ演奏装置１１を端末装置とし、インターネット回線等を用いて、端末装置とホスト装置とをネットワーク接続した構成とすることもできる。この場合には、ホスト装置において、利用者情報である利用者ＩＤ、歌唱履歴楽曲、録音データ３４ｃ、録音制御データテーブル３４ｄ等を集中管理することにより、ネットワーク接続されたカラオケ演奏端末であれば、どのカラオケ演奏端末を利用した場合であっても同様のサービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【００５１】
【図１】本発明の実施形態に係る歌唱録音システムを適用するカラオケ演奏装置のブロック図。
【図２】録音データの構成を示す説明図。
【図３】録音制御データテーブルの構成を示す説明図。
【図４】本発明の実施形態に係る歌唱録音システムを用いた録音制御処理のフローチャート。
【図５】選曲画面の模式図。
【符号の説明】
【００５２】
１１ カラオケ演奏装置
２１ カラオケ本体
２２ カラオケリモコン装置
２２ａ 楽曲検索手段
２２ｂ 楽曲索引データベース
２２ｃ 利用者ＩＤ取得手段
２３ ミキシングアンプ
２４ スピーカ
２５ マイクロホン
２６ ディスプレイ装置
２７ ＩＤ媒体
３１ 中央制御手段
３２ ＲＯＭ
３３ ＲＡＭ
３３ａ 予約待ち行列
３４ ＨＤＤ
３４ａ 楽曲データベース
３４ｂ 映像データベース
３４ｃ 録音データ
３４ｄ 録音制御データテーブル
３５ 送受信手段
３６ 予約管理手段
３７ ログイン利用者管理手段
３８ 歌唱採点手段
３９ 歌唱採点値管理手段
４０ 録音データ管理手段
４１ 録音制御手段
４２ 音楽再生制御手段
４３ Ａ／Ｄコンバータ
４４ 映像再生制御手段
【技術分野】
【０００１】
本発明は、歌唱者の歌唱音声をカラオケ伴奏音楽と共に録音するための歌唱録音システムに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
現在普及しているカラオケ演奏装置には、歌唱採点機能や録音機能を有しているものがある。すなわち、カラオケ楽曲の演奏中にマイクロホンから入力された歌唱音声とカラオケ伴奏音楽の主旋律等を比較して、音程や発声タイミングに基づき歌唱採点を行い、歌唱の優劣を歌唱者に提示することができるカラオケ演奏装置がある。また、歌唱音声とカラオケ伴奏音楽とをミキシングして、ＣＤ等の記録媒体に録音する機能を有するカラオケ演奏装置もある。
【０００３】
ところで、歌唱音声を録音する歌唱者にとって、上手に歌えなかった楽曲を録音したとしても他人に聞かせることができず、また、カラオケ演奏の料金だけではなく録音料金が加算されるため、所定の基準値以上の歌唱力であると判断された歌唱音声のみを録音したいという要望がある。
そこで、従来、所定の基準値以上の歌唱力であると判断された歌唱音声のみを録音するための技術が種々提案されている（特許文献１、特許文献２、特許文献３参照）。
【０００４】
特許文献１に記載された技術は、歌唱者のベストの歌唱（ベストテイク）を録音することができるようにしたものである。具体的には、歌唱者の歌唱音声を複数回録音して、録音の全区間に採点機能を働かせ、録音データをフレーズに分割し、フレーズ毎の採点結果に基づいてベストテイクを選択し、選択されたベストテイクをフレーズ毎につないでベスト歌唱（レコーディングテイク）を作成する。最後に、レコーディングテイクを再生してエコーなどの効果を施し、ガイドメロディのないカラオケ演奏とミキシングしてＣＤ等の録音媒体に記録し、レコーディングディスクを作成する。
【０００５】
特許文献２に記載された技術は、複数の歌唱について録音を行い、採点結果が良い区間を繋ぎ合わせるようにしたものである。具体的には、通信ネットワークを介して接続されたカラオケ録音装置から送信されてくる区間別歌唱採点データ付きの歌唱録音作品と、これに対応付けされた作品の楽曲ＩＤと作品の作者ＩＤを受信して一時記憶する。そして、受信した歌唱録音作品と同じ楽曲ＩＤ・作者ＩＤが付された歌唱録音作品が登録されているか否かを調べ、登録されている場合には、受信した歌唱録音作品の区間別歌唱採点データと登録されている歌唱録音作品の区間別歌唱採点データとを対比し、両作品の採点の良い区間を繋ぎ合わせた新たな歌唱録音作品を編集し、編集後の歌唱録音作品を楽曲ＩＤ・作者ＩＤに対応付けして保管手段に更新登録する。
【０００６】
特許文献３に記載された技術は、自らが設定した目標値以上の採点値である歌唱についてのみ録音を可能としたものである。具体的には、予め当該利用者が歌唱力審査エントリーのために設定採点値を目標値として設定登録する。そして、任意の楽曲に対する利用者の歌唱音声の採点結果が目標値を超えた場合に、当該楽曲の歌唱音声の録音情報に対する歌唱力審査エントリーを受け付け可能とする。
【０００７】
【特許文献１】特開２０００−１７２２７９号公報
【特許文献２】特開２００５−２４１８４７号公報
【特許文献３】特開２００５−３４５５５７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
しかし、特許文献１に記載された技術では、複数の歌唱録音を比較し、その中から最良の歌唱区間を抜き出して繋ぎ合わせるため、レコーディングテイクを作成するまでに同一の楽曲について全体を通して何度も歌唱しなければならず、時間と手間を要することになる。さらに、複数の歌唱録音を行わなければならないため、大容量の記憶装置を必要とする。
【０００９】
また、特許文献２に記載された技術では、歌唱録音を行うための基準値が設定されておらず、歌唱区間毎に最良の録音を繋ぎ合わせたとしても、客観的にレベルの高い歌唱を録音したものであるとは言い切れない。
【００１０】
さらに、特許文献３に記載された技術では、楽曲全体の歌唱採点を比較して総合採点が基準値以上の録音を採用しているが、総合採点が基準値以上であったとしても、部分的には上手に歌い切れていない録音が採用される可能性がある。そして、部分的に上手に歌唱できなかった場合には、再度、楽曲全体を通して歌唱し直さなければならない。
【００１１】
そこで、本発明は、所定の基準値以上の採点結果を有する歌唱録音を容易に作成することが可能な歌唱録音システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
本発明の歌唱録音システムは、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を有している。すなわち、本発明の歌唱録音システムは、予め複数の歌唱区間に区切られた楽曲の当該歌唱区間毎に歌唱採点を行う歌唱採点機能と、歌唱区間毎の歌唱音声を録音する録音機能と、を備えたカラオケ演奏装置における歌唱録音システムであって、ログイン利用者管理手段と、歌唱採点値管理手段と、録音データ管理手段と、録音制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【００１３】
ログイン利用者管理手段は、現にカラオケ演奏装置にログインしている利用者（ログイン利用者）を、利用者ＩＤに基づき特定して管理するための手段である。歌唱採点値管理手段は、ログイン利用者により任意の楽曲の歌唱採点及び録音が指示された場合に、当該利用者の利用者ＩＤと当該楽曲の楽曲ＩＤと当該楽曲の歌唱区間毎の歌唱採点値とを紐付けして管理するための手段である。録音データ管理手段は、歌唱採点及び録音を指示した利用者による歌唱区間毎の歌唱録音音声について、当該利用者の利用者ＩＤと当該楽曲の楽曲ＩＤとを紐付けして管理するための手段である。録音制御手段は、利用者による任意の楽曲の第１回目の歌唱では、全歌唱区間について録音を行わせる共に、当該利用者による当該楽曲の第２回目以降の歌唱では、歌唱採点値管理手段により管理されている歌唱採点値が所定の基準値未満の歌唱区間についてのみ録音を行わせるための手段である。
【００１４】
また、録音制御手段は、第２回目以降の録音を行う歌唱区間において、その歌唱採点値が所定の基準値以上の場合にのみ、既に録音した録音データを新たな録音データに置き換えさせるように機能させてもよい。
【００１５】
このような構成からなる歌唱録音システムでは、利用者がカラオケ装置にログインして、任意の楽曲の歌唱採点及び録音を指示し、当該楽曲の歌唱を行うと、歌唱採点機能により、当該楽曲の歌唱について、所定の歌唱区間毎に歌唱採点を行う。そして、歌唱採点値管理手段により、歌唱採点結果である歌唱採点値について、ログイン利用者の利用者ＩＤと歌唱を行った楽曲の楽曲ＩＤとを紐付けして管理する。また、録音データ管理手段により、当該利用者による歌唱区間毎の歌唱録音音声について、当該利用者の利用者ＩＤと当該楽曲の楽曲ＩＤとを紐付けして管理する。
【００１６】
そして、録音制御手段は、ログイン利用者による任意の楽曲の第１回目の歌唱では、全歌唱区間について録音を行わせる。また、当該ログイン利用者による当該楽曲の第２回目以降の歌唱では、歌唱採点値管理手段により管理されている歌唱採点値が所定の基準値未満の歌唱区間についてのみ録音を行わせる。
【００１７】
この場合、第２回目以降の録音を行う歌唱区間において、その歌唱採点値が所定の基準値以上の場合にのみ、既に録音した録音データを新たな録音データに置き換えさせることが可能である。
【発明の効果】
【００１８】
本発明の歌唱録音システムによれば、利用者による楽曲の第２回目以降の歌唱では、歌唱採点値が所定の基準値未満の歌唱区間についてのみ録音を行わせるようになっている。したがって、従来の技術のように、利用者は全歌唱区間について何度も歌唱を行う必要はなく、少なくとも歌唱採点値が所定の基準値未満の歌唱区間についてのみ、歌唱を行えばよいので、所定の基準値以上の採点結果を有する歌唱録音を、時間と手間をかけずに容易に作成することが可能となる。
また、カラオケ演奏装置に付帯されたＨＤＤ等の容量は限られているが、利用者が同一の楽曲について複数回歌唱した場合であっても、すべての歌唱音声を保存しておく必要がないので、容量が限られたデータ記憶領域を有効に活用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１９】
以下、図面を参照して、本発明の歌唱録音システムの実施形態を説明する。
本発明の実施形態に係る歌唱録音システムは、カラオケ演奏装置の利用者による歌唱音声を録音するためのシステムであり、カラオケ演奏装置の構成要素とされている。以下、本発明の実施形態に係る歌唱録音システムを適用するカラオケ演奏装置について説明する。
【００２０】
＜カラオケ演奏装置＞
図１は、本発明の実施形態に係る歌唱録音システムを適用するカラオケ演奏装置のブロック図である。
本発明の実施形態に係るカラオケ演奏装置１１は、図１に示すように、カラオケ本体２１、カラオケリモコン装置２２、ミキシングアンプ２３、スピーカ２４、マイクロホン２５、ディスプレイ装置２６を備えている。カラオケ本体２１とディスプレイ装置２６とは、有線方式又は無線方式により接続されている。
【００２１】
＜カラオケリモコン装置＞
カラオケリモコン装置２２は、ユーザインタフェース機能を備えており、カラオケ本体２１の送受信手段３５に対して有線方式又は無線方式によりデータの送受信を行うようになっている。このカラオケリモコン装置２２は、楽曲検索手段２２ａとして機能するプログラムと、楽曲索引データベース２２ｂと、データの送受信を行うための回路基板及びプログラムと、カードリーダ等からなる利用者ＩＤ取得手段２２ｃと、フラッシュメモリ等からなる記憶手段（図示せず）と、を備えている。
【００２２】
＜楽曲検索手段／楽曲索引データベース＞
楽曲検索手段２２ａは、楽曲索引データベース２２ｂを参照して、楽曲を検索するためのプログラムからなる。楽曲索引データベース２２ｂは、カラオケ演奏装置１１で演奏に供される楽曲についての属性情報を記述したデータベースであり、例えば、楽曲番号・曲名・歌手名・歌い出し部分の歌詞・流行時期・音楽ジャンル区分・デュエット曲か否かなど、種々の属性情報がこれに含まれている。
【００２３】
＜利用者ＩＤ取得手段＞
利用者ＩＤ取得手段２２ｃは、利用者がカラオケ演奏装置１１を利用する際に、利用者が所持するＩＤ媒体２７から利用者ＩＤを取得するための電子回路及びプログラムからなる。利用者ＩＤ取得手段２２ｃで取得した利用者ＩＤは、ＲＡＭ３３に一時的に記憶され、ログイン利用者管理手段３７で管理される。ＩＤ媒体２７は、例えば、非接触型のＩＣカード、携帯電話、携帯情報端末等からなり、利用者ＩＤを記憶して、利用者ＩＤ取得手段２２ｃとの間でデータの送受信を行うことができるようになっている。
【００２４】
＜カラオケ本体＞
カラオケ本体２１は、中央制御手段３１、ＲＯＭ３２、ＲＡＭ３３、ＨＤＤ３４、送受信手段３５、予約管理手段３６、ログイン利用者管理手段３７、歌唱採点手段３８、歌唱採点値管理手段３９、録音データ管理手段４０、録音制御手段４１、音楽再生制御手段４２、Ａ／Ｄコンバータ４３、映像再生制御手段４４を備えている。
【００２５】
＜中央制御手段＞
中央制御手段３１は、カラオケ本体２１を総合的に制御するための手段であり、例えばＣＰＵ及びその周辺機器により構成されており、ＣＰＵ等がＲＯＭ３２等に記憶されたアプリケーションプログラムに従って動作することにより、制御機能を発揮することができるようになっている。
【００２６】
＜ＲＯＭ／ＲＡＭ＞
ＲＯＭ３２は、カラオケ本体２１を構成する各機器を制御するためのアプリケーションプログラムデータや数値データを記憶するための機器で、例えば半導体メモリ等で構成される。また、ＲＡＭ３３は、アプリケーションプログラムや各種データを一時的に記憶する一時記憶領域として機能するもので、例えば半導体メモリ等で構成される。なお、物理的な半導体メモリによりＲＡＭ３３を構成するのではなく、ハードディスク記憶装置等を用いて仮想的なＲＡＭ３３を構成してもよい。本実施形態では、ＲＡＭ３３に、予約待ち行列３３ａが一時的に格納されている。
【００２７】
＜ＨＤＤ／楽曲データベース／映像データベース＞
ＨＤＤ３４には、楽曲データベース３４ａ、映像データベース３４ｂ、録音データ３４ｃ、及び録音制御データテーブル３４ｄが格納されている。なお、ＨＤＤ３４に替えて、あるいはＨＤＤ３４と共に、データを書き替え可能なＤＶＤ等の大容量記憶装置を用いてもよい。
【００２８】
楽曲データベース３４ａは、演奏データ（ＭＩＤＩ（登録商標）データ）及び歌詞テロップデータが同期されて構成される楽曲データについて、楽曲ＩＤと対応付けてそれぞれ格納したデータベースである。演奏データは各楽曲の演奏データをデジタル化したものであり、歌詞テロップデータは演奏データに同期された楽曲の歌詞文字データである。映像データベース３４ｂは、演奏される楽曲に対応した背景映像を、当該楽曲の楽曲ＩＤに対応させた映像ファイルとして所定数格納したデータベースである。
【００２９】
＜録音データ／録音制御データテーブル＞
図２は、録音データの構成を示す説明図、図３は、録音制御データテーブルの構成を示す説明図である。
録音データ３４ｃは、録音機能により録音され、録音データ管理手段４０により管理されている各利用者の楽曲毎の歌唱音声データである。具体的には、図２に示すように、各利用者が録音を指示した楽曲に関して、歌唱区間毎に歌唱音声データが記録されている。このようなデータ構成とすることにより、歌唱区間毎に歌唱音声データの置き換えが可能となっている。
【００３０】
録音制御データテーブル３４ｄは、図３に示すように、利用者ＩＤ、楽曲ＩＤ、歌唱区間毎の歌唱採点値、基準値、再録音を示すＮＧフラグを紐付けることにより構成されている。後に詳述するが、録音制御データテーブル３４ｄは、歌唱採点値管理手段３９の機能により管理される。そして、録音制御手段４１は、この録音制御データテーブル３４ｄを参照することにより録音データ管理手段４０を制御して、歌唱音声の録音を行う。
【００３１】
＜ログイン利用者管理手段＞
ログイン利用者管理手段３７は、現に当該カラオケ演奏装置１１にログインしている利用者を、利用者ＩＤに基づき特定して管理するためのプログラムからなる。すなわち、ログイン利用者管理手段３７では、利用者ＩＤ取得手段２２ｃにより利用者ＩＤが取得された場合に、この利用者ＩＤに基づいてカラオケ演奏装置１１にログインしている利用者を特定して管理する。
【００３２】
＜歌唱採点手段＞
歌唱採点手段３８は、歌唱採点機能を発揮するための手段であり、利用者による任意の楽曲の歌唱について、所定の歌唱区間毎に歌唱採点を行うためのプログラムからなる。
歌唱採点機能では、マイクロホン２５より入力された歌唱者の音声信号から、音程、声量、テンポ等の歌唱評価データを抽出すると共に、この歌唱評価データと演奏楽曲の主旋律等のリファレンス情報とを比較して採点を行う。このような歌唱採点方法については、特開２００７−１２１９１７号公報等に詳細に記載されている。
【００３３】
＜歌唱採点値管理手段＞
歌唱採点値管理手段３９は、ログイン利用者により任意の楽曲の歌唱採点及び録音が指示された場合に、当該利用者の利用者ＩＤと当該楽曲の楽曲ＩＤと当該楽曲の歌唱区間毎の歌唱採点値とを紐付けして管理するためのプログラムからなり、この歌唱採点値管理手段３９の機能により、録音制御データテーブル３４ｄが管理される。
【００３４】
＜録音データ管理手段＞
録音データ管理手段４０は、ログイン利用者による任意の楽曲に関する歌唱区間毎の歌唱録音音声について、当該利用者の利用者ＩＤと当該楽曲の楽曲ＩＤとを紐付けして管理するためのプログラムからなる。具体的には、録音データ管理手段４０の機能により、マイクロホン２５から入力され、Ａ／Ｄコンバータ４３によりデジタル変換された任意の歌唱者による歌唱音声が、各楽曲の歌唱区間毎に区分された録音データ３４ｃとしてＨＤＤ３４に記憶される。
【００３５】
＜録音制御手段＞
録音制御手段４１は、ログイン利用者による任意の楽曲の第１回目の歌唱では、全歌唱区間について録音を行わせる共に、当該利用者による当該楽曲の第２回目以降の歌唱では、歌唱採点値管理手段３９により管理されている歌唱採点値が所定の基準値未満の歌唱区間についてのみ録音を行わせるためのプログラムからなる。具体的には、録音制御手段４１は、任意の利用者が任意の楽曲について録音を指示した場合に、録音制御データテーブル３４ｄを参照して歌唱区間毎の歌唱採点値と所定の基準値とを比較する。この際、当該利用者の利用者ＩＤ及び当該楽曲の楽曲ＩＤに紐付けされた録音制御データテーブル３４ｄが存在しない場合には、第１回目の歌唱と判断し、当該利用者の利用者ＩＤ及び当該楽曲の楽曲ＩＤに紐付けされた録音制御データテーブル３４ｄが存在する場合には、第２回目以降の歌唱と判断する。
【００３６】
そして、第１回目の歌唱と判断した場合には、全歌唱区間について録音を行わせる。一方、第２回目以降の歌唱と判断した場合には、歌唱採点値管理手段３９により管理されている歌唱採点値と所定の基準値とを比較する。そして、歌唱採点値が所定の基準値未満の歌唱区間についてのみ録音を行わせる。なお、歌唱採点値と所定の基準値との比較は、毎回、全歌唱区間について行ってもよいし、歌唱採点値が基準値未満の区間についてＮＧフラグをセットしておき、ＮＧフラグがセットされた区間についてのみ行ってもよい。
【００３７】
＜音楽再生制御手段＞
音楽再生制御手段４２は、楽曲ＩＤに基づいて楽曲データベース３４ａから抽出された演奏データをデジタル再生すると共にアナログ変換してミキシングアンプ２３に出力するための電子回路である。ミキシングアンプ２３は、マイクロホン２５から入力された歌唱者の歌唱音声信号と、音楽再生制御手段４２から送出される演奏音声信号とをミキシングすると共に、アンプ機能により増幅してスピーカ２４より出力させるための装置である。なお、マイクロホン２５の数は１本に限られず、２本以上であってもよい。
また、マイクロホン２５は、Ａ／Ｄコンバータ４３を介してバスに接続されており、マイクロホン２５から入力された音声信号が歌唱採点手段３８における歌唱採点に使用される。
【００３８】
＜映像再生制御手段／ディスプレイ装置＞
映像再生制御手段４４は、カラオケ演奏中に、映像データベース３４ｂから抽出した映像データ、及び楽曲データベース３４ａから抽出した楽曲データのうちの歌詞テロップデータ（歌詞文字データ）を当該楽曲の演奏データに同期させてディスプレイ装置２６に出力するための電子回路である。さらに、映像再生制御手段４４は、カラオケリモコン装置２２を介した利用者からの操作指示による予約楽曲リストの表示等をディスプレイ装置２６に表示させる機能も有している。
【００３９】
ディスプレイ装置２６は、カラオケ演奏時の映像、歌詞テロップ等を表示するための装置で、例えば、ＣＲＴディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等により構成される。
【００４０】
＜予約管理手段＞
予約管理手段３６は、利用者によりカラオケリモコン装置２２における楽曲検索手段２２ａの機能を用いて選曲され、送受信手段３５を介して送信された当該選曲者の利用者情報（例えば利用者ＩＤ）及び選曲された楽曲ＩＤを対応付けて予約待ち行列３３ａとしてＲＡＭ３３に格納し、管理するためのプログラムである。なお、楽曲選択の表示や予約待ち行列３３ａの表示は、カラオケリモコン装置２２の入出力用表示部及びディスプレイ装置２６のいずれか一方、あるいは双方で行うことができる。
【００４１】
＜送受信手段＞
送受信手段３５は、カラオケリモコン装置２２との間でデータの送受信を行うための電子回路及びプログラムからなる。
【００４２】
＜録音制御＞
次に、本実施形態の歌唱録音システムを用いた録音制御について説明する。図４は、本発明の実施形態に係る歌唱録音システムを用いた録音制御処理のフローチャートである。また、図５は、選曲画面の模式図である。
本実施形態の歌唱録音システムを用いた録音制御に先立ち、ログイン利用者ＩＤ管理手段３７の機能により、ログイン利用者が管理されているものとする。
【００４３】
本実施形態の歌唱録音システムを用いた録音制御では、図４に示すように、ログイン利用者により、歌唱音声の採点及び録音が指示されたか否かを判断する（Ｓ１）。ここで、歌唱音声の採点及び録音が指示されていない場合には、録音制御処理は行わない。なお、図５に示すように、選曲画面において、「採点＆録音ボタン」を操作することにより、ログイン利用者による採点及び録音の指示が行われる。
【００４４】
歌唱音声の採点及び録音が指示されている場合には、録音制御手段４１の機能により、録音制御データテーブル３４ｄを参照し（Ｓ２）、歌唱音声の採点及び録音指示を行った利用者の利用者ＩＤと、採点及び録音対象となる楽曲の楽曲ＩＤとに紐付けされたデータが存在するか否かを判断する（Ｓ３）。ここで、このようなデータが存在しない場合には、当該利用者による当該楽曲の最初の採点及び録音指示であるため、歌唱採点値管理手段３９の機能により、録音制御データテーブル３４ｄの新たなデータとして、当該利用者ＩＤ及び当該楽曲ＩＤに紐付けされたデータ領域を作成し（Ｓ４）、すべての歌唱区間について採点及び録音を行い、採点・録音データを取得する（Ｓ５）。
【００４５】
続いて、採点及び録音を行った歌唱区間毎に、歌唱採点値と基準値とを比較し（Ｓ６）、歌唱採点値が基準値以上か否かを判断する（Ｓ７）。ここで、歌唱採点値が基準値未満の歌唱区間が存在する場合には、当該歌唱区間についてＮＧフラグをセットする（Ｓ８）。そして、すべての歌唱区間について、歌唱採点値の比較判断処理及びＮＧフラグのセット処理処理（Ｓ６〜Ｓ８）が終了するまで、これらの処理を繰り返して行う（Ｓ９）。
【００４６】
一方、歌唱音声の採点及び録音指示を行った利用者の利用者ＩＤと、採点及び録音対象となる楽曲の楽曲ＩＤとに紐付けされたデータが存在する場合には、当該利用者による当該楽曲の第２回目以降の採点及び録音指示であるため、ＮＧフラグがセットされているＮＧ歌唱区間についてのみ、採点及び録音を行う（Ｓ１０）。
【００４７】
続いて、採点及び録音を行った歌唱区間毎に歌唱採点値と基準値とを比較し（Ｓ１１）、歌唱採点値が基準値以上であるか否かを判断する（Ｓ１２）。ここで、採点値が基準値以上の場合には、当該ＮＧ歌唱区間について、録音データ３４ｃを置き換えて、ＮＧフラグをリセットする（Ｓ１３）。一方、採点値が基準値未満の場合には、当該ＮＧ歌唱区間について、録音データ３４ｃの置き換え及びＮＧフラグのリセットは行わない。そして、すべてのＮＧ歌唱区間について、歌唱採点値の比較判断処理及び録音データ３４ｃの置換処理（Ｓ１１〜Ｓ１３）が終了するまで、これらの処理を繰り返して行う（Ｓ１４）。
【００４８】
なお、上述した例では、採点値が基準値以上となった場合に、録音データ３４ｃの置換処理（Ｓ１３）を行っているが、採点結果にかかわらず、すべてのＮＧ歌唱区間について、録音データ３４ｃの置換処理（Ｓ１３）を行ってもよいし、前回の採点値と今回の採点値とを比較し、今回の採点値が前回の採点値を上回ったＮＧ歌唱区間について、録音データ３４ｃの置換処理（Ｓ１３）を行ってもよい。録音制御データテーブル３４ｄにおけるＮＧ歌唱区間の採点値は、録音データ３４ｃの置換処理の態様に応じて更新される。
【００４９】
＜他の実施形態＞
本発明の歌唱録音システム及びその周辺装置を構成する機器や手段は上述したものに限定されず、その利用目的等に応じて、必要な機器や手段のみの構成としたり、適宜他の機器や手段を付加したりすることができる。また、各手段をそれぞれ別個のものとして構成するのではなく、複数の機能を統合した手段として構成してもよい。
【００５０】
また、上述した実施形態は、カラオケ演奏装置１１をスタンドアロンで使用した例を示しているが、各カラオケ店舗等に設置されたカラオケ演奏装置１１を端末装置とし、インターネット回線等を用いて、端末装置とホスト装置とをネットワーク接続した構成とすることもできる。この場合には、ホスト装置において、利用者情報である利用者ＩＤ、歌唱履歴楽曲、録音データ３４ｃ、録音制御データテーブル３４ｄ等を集中管理することにより、ネットワーク接続されたカラオケ演奏端末であれば、どのカラオケ演奏端末を利用した場合であっても同様のサービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【００５１】
【図１】本発明の実施形態に係る歌唱録音システムを適用するカラオケ演奏装置のブロック図。
【図２】録音データの構成を示す説明図。
【図３】録音制御データテーブルの構成を示す説明図。
【図４】本発明の実施形態に係る歌唱録音システムを用いた録音制御処理のフローチャート。
【図５】選曲画面の模式図。
【符号の説明】
【００５２】
１１ カラオケ演奏装置
２１ カラオケ本体
２２ カラオケリモコン装置
２２ａ 楽曲検索手段
２２ｂ 楽曲索引データベース
２２ｃ 利用者ＩＤ取得手段
２３ ミキシングアンプ
２４ スピーカ
２５ マイクロホン
２６ ディスプレイ装置
２７ ＩＤ媒体
３１ 中央制御手段
３２ ＲＯＭ
３３ ＲＡＭ
３３ａ 予約待ち行列
３４ ＨＤＤ
３４ａ 楽曲データベース
３４ｂ 映像データベース
３４ｃ 録音データ
３４ｄ 録音制御データテーブル
３５ 送受信手段
３６ 予約管理手段
３７ ログイン利用者管理手段
３８ 歌唱採点手段
３９ 歌唱採点値管理手段
４０ 録音データ管理手段
４１ 録音制御手段
４２ 音楽再生制御手段
４３ Ａ／Ｄコンバータ
４４ 映像再生制御手段
【特許請求の範囲】
【請求項１】
予め複数の歌唱区間に区切られた楽曲の当該歌唱区間毎に歌唱採点を行う歌唱採点機能と、前記歌唱区間毎の歌唱音声を録音する録音機能と、を備えたカラオケ演奏装置における歌唱録音システムであって、
ログイン利用者管理手段と、歌唱採点値管理手段と、録音データ管理手段と、録音制御手段と、を備え、
前記ログイン利用者管理手段は、現にカラオケ演奏装置にログインしている利用者を、利用者ＩＤに基づき特定して管理し、
前記歌唱採点値管理手段は、前記利用者により任意の楽曲の歌唱採点及び録音が指示された場合に、当該利用者の利用者ＩＤと当該楽曲の楽曲ＩＤと当該楽曲の歌唱区間毎の歌唱採点値とを紐付けして管理し、
前記録音データ管理手段は、前記利用者による前記歌唱区間毎の歌唱録音音声について、当該利用者の利用者ＩＤと当該楽曲の楽曲ＩＤとを紐付けして管理し、
前記録音制御手段は、前記利用者による前記楽曲の第１回目の歌唱では、全歌唱区間について録音を行わせる共に、当該利用者による当該楽曲の第２回目以降の歌唱では、前記管理されている歌唱採点値が所定の基準値未満の歌唱区間についてのみ録音を行わせる、
ことを特徴とする歌唱録音システム。
【請求項２】
前記録音制御手段は、第２回目以降の録音を行う歌唱区間において、その歌唱採点値が所定の基準値以上の場合にのみ、既に録音した録音データを新たな録音データに置き換えさせる、
ことを特徴とする請求項１に記載の歌唱録音システム。
【請求項１】
予め複数の歌唱区間に区切られた楽曲の当該歌唱区間毎に歌唱採点を行う歌唱採点機能と、前記歌唱区間毎の歌唱音声を録音する録音機能と、を備えたカラオケ演奏装置における歌唱録音システムであって、
ログイン利用者管理手段と、歌唱採点値管理手段と、録音データ管理手段と、録音制御手段と、を備え、
前記ログイン利用者管理手段は、現にカラオケ演奏装置にログインしている利用者を、利用者ＩＤに基づき特定して管理し、
前記歌唱採点値管理手段は、前記利用者により任意の楽曲の歌唱採点及び録音が指示された場合に、当該利用者の利用者ＩＤと当該楽曲の楽曲ＩＤと当該楽曲の歌唱区間毎の歌唱採点値とを紐付けして管理し、
前記録音データ管理手段は、前記利用者による前記歌唱区間毎の歌唱録音音声について、当該利用者の利用者ＩＤと当該楽曲の楽曲ＩＤとを紐付けして管理し、
前記録音制御手段は、前記利用者による前記楽曲の第１回目の歌唱では、全歌唱区間について録音を行わせる共に、当該利用者による当該楽曲の第２回目以降の歌唱では、前記管理されている歌唱採点値が所定の基準値未満の歌唱区間についてのみ録音を行わせる、
ことを特徴とする歌唱録音システム。
【請求項２】
前記録音制御手段は、第２回目以降の録音を行う歌唱区間において、その歌唱採点値が所定の基準値以上の場合にのみ、既に録音した録音データを新たな録音データに置き換えさせる、
ことを特徴とする請求項１に記載の歌唱録音システム。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２０１０−１０７９１１（Ｐ２０１０−１０７９１１Ａ）
【公開日】平成２２年５月１３日（２０１０．５．１３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−２８２５０９（Ｐ２００８−２８２５０９）
【出願日】平成２０年１０月３１日（２００８．１０．３１）
【出願人】（３９０００４７１０）株式会社第一興商 (537)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年５月１３日（２０１０．５．１３）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年１０月３１日（２００８．１０．３１）
【出願人】（３９０００４７１０）株式会社第一興商 (537)
【Ｆターム（参考）】
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