説明

歌唱音声評価装置

【課題】歌唱者に対して歌唱技法を使いこなそうとする意識を持たせること。
【解決手段】本発明の実施形態におけるカラオケ装置は、楽曲データ再生中に入力された歌唱音声を解析して、複数の評価項目についての評価値を算出し、評価項目の評価値と賞品情報との対応関係を規定する賞品テーブルを参照して、評価値の算出結果に応じた賞品情報を歌唱者に付与する。カラオケ装置は、楽曲データの再生に伴い表示される内容、放音される内容を、歌唱者に対して付与された賞品情報に基づいて変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歌唱音声の評価結果に応じた処理を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケ装置は、歌唱をすることで歌唱者が楽しむことができるように構成されている。このようなカラオケ装置には、歌唱者が容易に歌唱を楽しむことができるように、歌詞などが表示される表示画面が備え付けられている。この表示画面を利用して、歌唱終了後に歌唱音声の評価結果、すなわち歌唱の巧拙を評価点として表示させたり、歌唱者などを擬似したキャラクタ(以下、アバターという)を表示画面に表示させたりすることにより、歌唱者を楽しませる技術も開発されている。
このようなアバターは、衣装などのアイテムとともに表示されることが多い。このアイテムは、歌唱者に対して予め関連付けられたアイテムの中から選択される。特許文献1には、歌唱音声の評価点が高ければ、歌唱者は楽曲に応じたアイテムを獲得し、その歌唱者に対して獲得したアイテムを関連付けることにより、次にアイテムを選択するときの選択肢を増やす技術が開示されている。以下、このように歌唱者に対してアイテムを関連付けることを「歌唱者に対してアイテムを付与する」という表現を用いる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−175819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、歌唱の巧拙は、歌唱音声の音高の正確さだけでなく、様々な歌唱技法(例えば、ビブラート、こぶし、抑揚など)を使いこなせているかどうかなどを含めて総合的に判断される。そのため、一部の歌唱技法がうまく使いこなせていなくても、他の歌唱技法が使いこなせていたり、歌唱音声の音高が非常に正確であったりすると、曲全体としての評価点は高くなる。
【0005】
特許文献1の技術においては、歌唱した結果としての評価点は、曲全体における歌唱の巧拙を反映したものであるため、一部の歌唱技法が使いこなせていなくても、評価点が高ければ、歌唱者にアイテムが付与される。評価点が低かった場合には、アイテムが付与されないため、歌唱者は評価点を向上させてアイテムが付与されるように歌唱の練習をすることになる。一方、歌唱者は、一部の歌唱技法が使いこなせていなくても、一度アイテムが付与されてしまえば目的が達成され、その歌唱技法を使いこなすための努力をしようという意識がもてなかった。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、歌唱者に対して歌唱技法を使いこなそうとする意識を持たせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明は、楽曲データの再生中に入力された歌唱音声を取得する取得手段と、前記取得された歌唱音声を解析して、複数の評価項目についての評価値を算出する評価手段と、前記評価項目の評価値と賞品情報との対応関係を規定する賞品テーブルを参照して、前記算出された評価項目ごとの評価値に対応する前記賞品情報を特定する特定手段と、楽曲データの再生に伴って出力される画像または音を示す再生データに対して、前記特定された賞品情報に応じた処理を施す処理手段とを具備することを特徴とする歌唱音声評価装置を提供する。
【0007】
また、別の好ましい態様において、前記歌唱音声を入力する歌唱者を識別する識別情報を取得する識別手段をさらに具備し、前記特定手段は、前記識別情報と当該識別情報に付与された賞品情報との対応関係を示す付与テーブルに、前記特定した賞品情報を前記取得された識別情報に付与したものとして前記対応関係を追加し、前記処理手段は、前記付与テーブルを参照して、前記取得された識別情報に付与された賞品情報に応じた処理を、前記再生データに対して施すことを特徴とする。
【0008】
また、別の好ましい態様において、前記付与テーブルを参照して、前記取得された識別情報に付与された賞品情報のうち、前記再生データに対する処理に反映させる賞品情報を選択する選択手段をさらに具備し、
前記処理手段は、前記選択された賞品情報に応じた処理を、前記再生データに対して施すことを特徴とする。
【0009】
また、別の好ましい態様において、前記処理手段は、前記識別手段が複数の識別情報を取得した場合には、当該複数の識別情報の各々に付与された賞品情報の組み合わせに応じた処理を、前記再生データに対して施すことを特徴とする。
【0010】
また、別の好ましい態様において、賞品情報の授受の内容を示す授受情報を取得し、当該授受情報に基づいて前記付与テーブルの対応関係を変更する変更手段をさらに具備することを特徴とする。
【0011】
また、別の好ましい態様において、前記評価手段は、前記識別情報と前記評価値とを対応付けた評価テーブルに、前記取得された識別情報が示す歌唱者の歌唱音声を解析して算出した前記評価値を当該識別情報に対応付けて追加し、前記特定手段は、前記評価テーブルを参照して、前記評価値に基づいて少なくとも一の識別情報を選択し、前記特定した賞品情報を前記選択した識別情報に付与したものとして前記付与テーブルに前記対応関係を追加することを特徴とする。
【0012】
また、別の好ましい態様において、前記賞品テーブルは、前記取得された識別情報に付与された賞品情報に応じて、前記評価項目の評価値と前記賞品情報との対応関係が変更されるように決められていることを特徴とする。
【0013】
また、別の好ましい態様において、前記評価手段は、前記楽曲データの再生期間を複数に分割した分割期間に対応して、前記評価値を算出し、前記賞品テーブルは、前記分割期間に対応して設けられ、前記特定手段は、前記分割期間ごとに、前記賞品テーブルを参照して前記賞品情報を特定することを特徴とする。
【0014】
また、別の好ましい態様において、外部装置を制御する制御信号を、前記特定された賞品情報に基づいて出力する賞品出力手段をさらに具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、歌唱者に対して歌唱技法を使いこなそうとする意識を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態におけるカラオケ装置の構成を説明するブロック図である。
【図2】本発明の実施形態における表示画面の表示態様を説明する図である。
【図3】本発明の実施形態における賞品テーブルの例を説明する図である。
【図4】本発明の実施形態における付与テーブルの例を説明する図である。
【図5】本発明の実施形態における歌唱音声評価部および再生処理部の構成を説明する機能ブロック図である。
【図6】本発明の変形例1における歌唱音声評価部および再生処理部の構成を説明する機能ブロック図である。
【図7】本発明の変形例1における評価テーブルの例を説明する図である。
【図8】本発明の変形例2における歌唱音声評価部および再生処理部の構成を説明する機能ブロック図である。
【図9】本発明の変形例3における歌唱音声評価部および再生処理部の構成を説明する機能ブロック図である。
【図10】本発明の変形例4における期間情報の例を説明する図である。
【図11】本発明の変形例4における賞品切替テーブルの例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態>
[ハードウエア構成]
図1は、本発明の実施形態におけるカラオケ装置1の構成を説明するブロック図である。カラオケ装置1は、歌唱者の歌唱音声が入力され、入力された歌唱音声の評価を行う。また、カラオケ装置1は、歌唱中に表示画面に表示される表示態様を変化させるための賞品情報(上述のアイテムに対応)を、評価結果に応じて歌唱者に対して付与する。まず、カラオケ装置1のハードウエア構成について説明する。
【0018】
カラオケ装置1は、制御部10、操作部20、表示部30、通信部40、記憶部50、音響処理部60を有する。これらの各構成は、バスを介して接続されている。また、カラオケ装置1は、音響処理部60に接続されたスピーカ61およびマイクロフォン62を有する。
【0019】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを有する。制御部10は、ROMまたは記憶部50に記憶された制御プログラムを実行することにより、バスを介してカラオケ装置1の各部を制御する。この例においては、制御部10は、制御プログラムを実行することにより、楽曲データに応じた画像表示および音声出力をするための再生処理機能を実現し、また、入力された歌唱音声の評価を行うための歌唱音声評価機能を実現する。この再生処理機能においては、楽曲データを再生して表示部30への表示内容を制御し、スピーカ61からの放音内容を制御する。歌唱音声評価機能においては、歌唱音声を評価する処理、評価結果に応じた賞品情報を歌唱者に付与する処理、再生処理機能の制御により表示される画像の表示内容、出力される音の内容を、賞品情報に応じて変化させる処理が行われる。
【0020】
操作部20は、操作パネルなどに設けられた操作ボタン、リモコンに設けられた操作ボタン、キーボード、マウスなどの操作デバイスであって、歌唱者の操作を受け付けて、その内容を示す操作信号を制御部10に出力する。
表示部30は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスであり、制御部10の制御に応じた内容を表示画面に表示する。この表示の内容は、カラオケの楽曲の進行に応じた背景画像、歌詞テロップ、アバター、メニュー画面、歌唱音声の評価結果などである。表示画面の表示内容のうち、楽曲データの再生中に表示画面に表示される内容を、図2を用いて説明する。
【0021】
図2は、本発明の実施形態における表示画面の表示態様を説明する図である。この例において、楽曲データの再生中には、表示画面の表示領域300は、ステージSTなどの背景画像が表示される背景表示領域BA、歌詞テロップが表示される歌詞表示領域LA、およびアバターが表示されるアバター表示領域CAにより構成される。歌詞表示領域LAおよびアバター表示領域CAは、背景表示領域BAに重畳した位置関係であり、歌詞表示領域LAおよびアバター表示領域CAに表示される画像は、背景表示領域BAにおける背景画像より優先して表示される。なお、アバターは、上述したとおり歌唱者を擬似したキャラクタを示すものとして説明するが、アバターに限らず、表示領域300に表示される画像のうち背景画像、歌詞テロップを除くキャラクタ全般について同様に適用できる。
【0022】
図1に戻って説明を続ける。通信部40は、制御部10の制御に応じて、インターネットなどの通信回線と接続して、サーバ装置などの通信装置と情報のやり取りを行う。制御部10は、通信部40を介して取得した情報を用いて、記憶部50に記憶される情報を更新するようにしてもよい。また、通信部40は、ネットワークを介した通信に限らず、有線または無線により外部装置と接続可能に構成されたインターフェイスを有していてもよい。
【0023】
記憶部50は、ハードディスク、不揮発性メモリなどの記憶手段であり、楽曲データ、評価基準情報、歌唱音声データ、賞品テーブル、付与テーブル、および画像素材データなどをそれぞれ記憶する記憶領域を有する。
【0024】
楽曲データは、カラオケの歌唱対象となる楽曲に関連するデータが含まれ、例えば、ガイドメロディデータ(以下、GMデータという)、伴奏データ、歌詞データ、背景データ、アバター制御データなどが含まれている。GMデータは、楽曲のボーカルパートのメロディを示すデータ、すなわち、歌唱すべき構成音の内容が指定されたデータであり、例えば、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)形式により記述されている。伴奏データは、楽曲の伴奏の内容を示すデータであり、例えば、MIDI形式により記述されている。
【0025】
歌詞データは、楽曲の歌詞の内容を示すデータ、および表示部30に表示させた歌詞テロップを色替えするためのタイミングを示すデータを有する。背景データは、表示部30に表示される背景画像を示すデータである。この背景画像は、楽曲の進行に応じて変化するものであってもよいし、変化しないものであってもよい。アバター制御データは、表示部30に表示させるアバターの動作を、楽曲の進行に応じて規定するデータである。
なお、背景画像が各楽曲に対応して決められている必要がない、すなわち、どの楽曲でも同じ背景画像を用いる場合には、背景データは楽曲データ毎に設けられていなくてもよい。また、どの楽曲でもアバターの動作が同じものとする場合にも、アバター制御データが楽曲データ毎に設けられていなくてもよい。
【0026】
楽曲データは、歌唱者による操作部20の操作によって指定された楽曲に対応するものが、制御部10(後述する再生部210(図5参照))によって読み出される。そして、制御部10によって実現される再生処理機能において、楽曲データに含まれる各データが、カラオケの伴奏音、ガイドメロディ音のスピーカ61からの出力、歌詞テロップ、背景画像、アバターの表示部30への表示に用いられる。なお、楽曲データには、楽曲のサビ部分の位置、メロディの出だし部分の位置など、楽曲の各構成部分の位置を規定する情報も含まれていてもよい。
【0027】
評価基準情報は、歌唱音声評価機能において用いられる歌唱音声の評価の基準となる情報を有し、各楽曲に対応付けられて記憶部50に記憶されている。この例においては、評価基準情報は、様々な歌唱技法を含む複数の評価項目(音高、ビブラート、抑揚、こぶし、フォール、リズムなど)の各々について、楽曲全体のうち評価を行う区間を規定する評価区間情報、評価項目の評価値を算出するための基準値などを有している。評価区間情報は、例えば、ビブラート評価においては、ビブラートを用いて歌唱すべき区間(構成音)などを示す情報であり、音高評価など楽曲全体の区間にわたって評価される評価項目については、規定されていなくてもよい。また、基準値は、音高評価においては、例えば、GMデータが示す構成音の音高と歌唱音声の音高との音高差の許容範囲(±50centなど)を示し、ビブラート評価においては、模範となるビブラートの態様(音高変動、音量変動など)を示す情報である。
【0028】
歌唱音声データは、カラオケの対象となった楽曲についての歌唱をする歌唱者によって、マイクロフォン62から入力された歌唱音声を示すデータであり、例えば、WAVE形式などで記憶される。このようにして記憶される歌唱音声データは、制御部10によって、カラオケの対象となった楽曲を示す楽曲データに対応付けられる。
【0029】
図3は、本発明の実施形態における賞品テーブルの例を説明する図である。賞品テーブルは、図3に示すように、評価項目の評価値と賞品情報との対応関係を規定するテーブルであり、歌唱者に対して賞品情報が付与される条件を示している。この例においては、評価値の範囲をしきい値により表している。例えば、音高の評価項目について、評価値が75点以上90点未満であれば、アバターの衣装Aを示す賞品情報が歌唱者に付与され、評価値が90点以上95点未満であれば、アバターの衣装Aを示す賞品情報と、アバターの表情Aを示す賞品情報とが付与される。評価値が95点以上である場合には、さらにアバターの表情Bを示す賞品情報と背景画像への演出Aを示す賞品情報とが付与される。このように、1種類の評価項目の評価値のしきい値により規定される条件により、複数の賞品情報が付与される場合もある。
【0030】
1つの賞品情報が付与される条件は、1種類の評価項目の評価値のしきい値のみで決まる場合に限らず、複数種類の評価項目の評価値のしきい値で規定される場合もある。例えば、アバターの動作Bを示す賞品情報が付与される条件は、音高の評価項目についての評価値が80点以上であり、かつビブラートの評価項目についての評価値が70点以上であることとして規定されている。なお、この条件は、音高の評価項目についての評価値が80点以上であるか、ビブラートの評価項目についての評価値が70点以上であるかのいずれかとして規定されていてもよい。また、複数の賞品情報が付与される条件として、複数種類の評価項目の評価値のしきい値で規定されていてもよい。
【0031】
また、この賞品テーブルは、楽曲データに対応付けて記憶され、歌唱者に付与される賞品情報、賞品情報が付与される条件は、楽曲の種類に応じて変化させることもできる。したがって、図3に記載された賞品テーブルは、特定の楽曲についての賞品テーブルの例として示したものである。なお、どの楽曲の場合も同じ賞品テーブルを使うものとしてもよく、その場合には、楽曲データに対応付けられていなくてもよい。
【0032】
このように賞品テーブルにおける賞品情報の内容について、複数例示して説明する。この例においては、賞品情報としては、表示部30に表示される画像に関連するものと、スピーカ61から出力される音に関連するものとが存在する。
画像に関連する賞品情報としては、アバターに関する内容、画質、背景画像への演出、歌詞テロップの表示態様、歌唱者本人の画像表示などである。アバターに関する内容としては、例えば、アバターの衣装(体の部位ごとに設けられていてもよい)、装飾品、持ち物などアバターが身につけるもの、アバターの動き、表情などアバターの動作に関するもの、アバターの色、サイズ、体型(肥満、やせ型など)などアバターの形態に関するもの、アバターの年齢、レベルなどのアバターの成長に関するものがある。また、別のアバター(友達、恋人などのアバター)を追加する賞品情報があってもよい。
【0033】
画質については、例えば、色数(モノクロ、カラーなど)、表示の精細度、ビットレートなどである。背景画像への演出としては、表示次元数(1D(例えば線画として表示),2D、3D)、背景画像の変化態様、背景画像の種類、表示領域300における占有範囲などである。色数、精細度、表示次元数などについては、アバターの表示態様として併せて適用されてもよいし、アバターに関する賞品情報として規定されていてもよい。歌詞テロップの表示態様としては、歌詞テロップの大きさ、歌唱位置を示すワイプ表示の態様(アニメーション効果の付与など)などである。
また、歌唱者本人の画像表示とは、カラオケ装置1が歌唱者を撮影するカメラなどの撮影手段を有しているときに適用されるものであり、撮影された歌唱者を表示部30に表示させるための賞品情報である。
一方、音に関連する賞品情報としては、音質(ビットレートなど)、エコー、リバーブなどの音響効果、伴奏音、ガイドメロディなどの音量、ハモリパートの追加、効果音の追加、伴奏音を構成する楽器の種類などである。なお、背景画像への演出に連動して音の出力態様、アバターの表示態様が変化するようになっていてもよい。
【0034】
図4は、本発明の実施形態における付与テーブルの例を説明する図である。付与テーブルは、図4に示すように、歌唱者を識別するためのIDなどの識別情報(歌唱者A、歌唱者Bなど)と、歌唱者に付与された賞品情報との対応関係を規定するテーブルである。また、この例においては、賞品情報には、キャラクタ情報(キャラクタA、キャラクタBなど)が含まれている。キャラクタ情報は、上記の賞品情報が付与されていない状態において表示されるアバターの基本的な特徴を初期情報として規定するものであり、例えば、性別、体格などを規定する情報である。
【0035】
画像素材データは、表示部30に表示される画像のうち、アバターに関連する画像など背景画像以外の様々な画像を示すデータであり、その一部は、賞品情報に対応付けられている。例えば、賞品情報の衣服Aとして用いられる画像を示すデータは、衣服Aを示す画像素材データとして記憶部50に記憶されている。
【0036】
図1に戻って説明を続ける。マイクロフォン62は、歌唱者の歌唱音声が入力され、歌唱音声を示すオーディオ信号を音響処理部60に出力する。スピーカ61は、音響処理部60から出力されるオーディオ信号を放音する。音響処理部60は、DSP(Digital Signal Processor)などの信号処理回路、MIDI形式の信号からオーディオ信号を生成する音源などを有する。音響処理部60は、マイクロフォン62から入力されるオーディオ信号をA/D変換(アナログデジタル変換)して制御部10に出力する。音響処理部60は、制御部10から楽曲データに基づくMIDI形式の信号が入力され、その信号に基づいてオーディオ信号を生成する。音響処理部60は、このように生成したオーディオ信号、制御部10から出力されたオーディオ信号、マイクロフォン62から入力されたオーディオ信号などを、エフェクト処理、増幅処理などの信号処理を施してからスピーカ61に出力する。
【0037】
ここで、制御部10は、楽曲データを読み出して再生し、その楽曲の伴奏音をスピーカ61から出力させている期間において、音響処理部60から出力されるオーディオ信号を取得し、歌唱音声データを生成し、その楽曲データに対応付けて記憶部50へ記憶する。
以上が、カラオケ装置1のハードウエア構成についての説明である。
【0038】
[ソフトウエア構成]
次に、カラオケ装置1の制御部10が制御プログラムを実行することによって実現される歌唱音声評価機能および再生処理機能について説明する。なお、以下に説明する歌唱音声評価機能を実現する歌唱音声評価部100における各構成の一部または全部については、ハードウエアによって実現してもよい。また、再生処理機能を実現する再生処理部200における各構成の一部または全部についても、ハードウエアによって実現してもよい。まず、歌唱音声評価機能について説明する。
【0039】
図5は、本発明の実施形態における歌唱音声評価部100および再生処理部200の構成を説明する機能ブロック図である。歌唱音声評価部100は、取得部110、評価部120、特定部130、識別部140、選択部150、およびデータ制御部160を有する。再生処理部200は、再生部210および出力データ生成部220を有する。
【0040】
取得部110は、記憶部50に記憶された歌唱音声データのうち、予め決められた評価期間の歌唱音声に対応する部分(この例においては、楽曲全体)の歌唱音声データを取得して、評価部120に出力する。この例においては、取得部110は、楽曲データの再生中に順次生成される歌唱音声データを、順次取得して出力する。なお、取得部110は、楽曲データの再生が終了し、歌唱音声データが記憶部50へ全て記憶された後に、取得して出力するようにしてもよい。
【0041】
評価部120は、取得部110において取得された歌唱音声データを解析して、複数の評価項目についての評価値を算出する。例えば、音高評価については、歌唱音声データから、歌唱音声の音高を特定して、評価基準情報およびGMデータを参照して、歌唱音声の音高とGMデータの音高との一致の程度に応じた評価値を算出する。例えば、評価部120は、歌唱音声の音高が、GMデータが示す構成音の音高の周波数から一定範囲(この例においては、±50cent)に含まれている期間の割合に応じて評価値を算出する。例えば、評価部120は、上記割合が80%であれば、評価値を80点とする。この例においては、評価値は0から100点の間で算出される。
【0042】
ここで、評価部120は、歌唱音声の音高を特定するときには、各フレームについて歌唱音声データが示す音声信号の波形が負から正に変化する際のゼロクロスを検出し、そのゼロクロスの時間間隔を測定することによってフレーム毎の歌唱音高(周波数)を特定する。このとき、この音声信号から、ローパスフィルタによりノイズ成分となる高域成分をカットしたり、ハイパスフィルタにより直流成分をカットしたりしておいてもよい。なお、歌唱音高は、歌唱音声データにFFT(Fast Fourier Transform)を施して得られるスペクトルから特定してもよい。
【0043】
また、評価部120は、ビブラート評価については、評価基準情報によって示される区間における歌唱音声の音高変化の態様(音高変化、音量変化の周波数、変化幅など)に基づいて、評価値を算出すればよい。このように、評価部120は、様々な評価項目についての評価値の算出については、公知の方法を用いて行えばよい。
評価部120は、複数の評価項目について評価値を算出すると、算出結果を示す情報を特定部130に出力する。
【0044】
識別部140は、歌唱者による操作部20の操作などにより入力された歌唱者自身を識別する情報を識別情報として特定部130、選択部150、およびデータ制御部160に出力する。このような操作は、少なくとも歌唱前に行われるようになっている。なお、識別部140は、操作部20へ入力された情報から歌唱者を識別する場合に限らず、歌唱者を撮影する撮影手段から得られる画像データを取得してこれを解析し、その歌唱者を識別してもよい。また、識別部140は、IDカードなどを読み取る読取装置から得られるIDカードに記録された情報から歌唱者を識別してもよい。
【0045】
特定部130は、評価部120が評価した歌唱音声データが対応付けられた楽曲データに対応する賞品テーブルを参照し、評価部120から出力された算出結果が条件を満たす賞品情報を特定する。特定部130は、特定した賞品情報を、識別部140から出力された識別情報と対応付けて付与テーブルに追加する。
選択部150は、付与テーブルを参照し、識別部140によって識別された歌唱者に対応付けられた賞品情報のうち、一部または全部を選択して、選択した内容を示す情報をデータ制御部160に出力する。この選択は、出力データ生成部220から出力されるデータに反映させる賞品情報を選択する指示が、歌唱者による操作部20の操作などにより入力されることによって行われる。
【0046】
データ制御部160は、選択部150における賞品情報の選択が行われると、付与テーブルを参照し、識別部140から出力された識別情報に対応する賞品情報のうち、選択部150によって選択された賞品情報を読み出し、再生処理部200の出力データ生成部220に出力する。データ制御部160は、このようにして読み出した賞品情報を出力することによって、再生された楽曲データに基づいて出力データ生成部220から出力されるデータの内容を賞品情報に応じて変化させる。
以上が、歌唱音声評価機能についての説明である。続いて、再生処理機能についての説明をする。
【0047】
再生部210は、予め歌唱者による操作部20の操作などにより指定された楽曲の楽曲データを読みだして再生して得られる楽曲再生データ(楽曲データに含まれる各データを再生したデータ)を、出力データ生成部220に出力する。
出力データ生成部220は、再生部210から出力された楽曲再生データに基づいて、表示部30における表示内容、音響処理部60を介してスピーカ61から出力される音の内容を決定し、表示部30に表示させるための映像データを表示部30に出力し、スピーカ61から放音させるためのオーディオデータを音響処理部60に出力する。
【0048】
このとき、出力データ生成部220は、表示部30に映像データを出力するときには、楽曲データにおける背景データ、歌詞データなどの他、画像素材データも用いる。画像素材データは、データ制御部160から出力された賞品情報に対応したデータが用いられる。例えば、出力された賞品情報が、キャラクタA、衣服Bであれば、出力データ生成部220は、キャラクタA、衣服Bの画像素材データを用いて、キャラクタAに対応するアバターに衣服Bに対応する衣服を着用させた状態でアバター表示領域CAに表示されるように映像データを生成する。そして、出力データ生成部220は、アバター制御データに基づいて、アバター表示領域CAに表示されたアバターを動作させるように映像データを生成する。また、出力データ生成部220は、出力する映像データにおける背景表示領域BAの表示内容を背景データに基づいて決定し、歌詞表示領域LAの表示内容を歌詞データに基づいて決定する。
【0049】
ここでは、出力データ生成部220におけるアバターの表示態様の制御について説明したが、これに限らず、演出を示すものなど、画像に関連する賞品情報がデータ制御部160から出力された場合には、その賞品情報に応じた表示内容が表示部30に表示されるように、映像データを生成して出力する。賞品情報が3Dとするものである場合には、出力データ生成部220は、表示部30が3D表示が可能な構成であれば、3D表示での表示内容を示す映像データを生成して出力する。3D表示用のデータは楽曲データに含まれるようにしてもよいし、出力データ生成部220において2Dから3D表示への変換処理を行ってもよい。
【0050】
一方、出力データ生成部220は、音響処理部60にオーディオデータを出力するときには、データ制御部160から出力された賞品情報に応じて変化させる。例えば、出力データ生成部220は、データ制御部160から出力された賞品情報がハモリパートを追加するものである場合には、オーディオデータにハモリパートを追加する。なお、ハモリパートを規定するデータは、楽曲データに含まれているようにすればよい。また、出力データ生成部220は、データ制御部160から出力された賞品情報が音響効果としてリバーブを付与するものである場合には、オーディオデータが示す音にリバーブを付与する処理を施すようにすればよい。この処理は、音響処理部60において行われるようにしてもよい。
このように、データ制御部160は、出力データ生成部220に対して、選択部150によって選択された賞品情報を出力することにより、出力データ生成部220とともに、再生部210から出力される楽曲再生データに対して、その賞品情報に応じた処理を施す処理部として機能する。
以上が再生処理機能についての説明である。
【0051】
このように、本発明の実施形態におけるカラオケ装置1は、複数の評価項目の評価結果に応じて、歌唱者に対して賞品情報を付与する。そして、カラオケ装置1は、歌唱者が歌唱するときの表示部30の表示内容、スピーカ61からの放音内容を、歌唱者に対して付与された賞品情報に応じた内容とする。このように、カラオケ装置1は、複数の評価項目の各々の評価結果に応じた賞品情報を付与するという充実したカラオケの付加サービスを提供し、さらに、様々な賞品情報が付与されるように様々な歌唱技法を使いこなし、全ての評価項目についての評価値を改善しようとする意識を、歌唱者に持たせることができる。
【0052】
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以下のように、さまざまな態様で実施可能である。
[変形例1]
上述した実施形態においては、歌唱音声を入力した歌唱者に対して、歌唱音声の評価結果に応じた賞品情報を付与していたが、複数の歌唱者により入力された歌唱音声の評価結果に応じて、一部の歌唱者に対して賞品情報を付与するようにしてもよい。例えば、複数の歌唱者が順番に同一の楽曲について歌唱し、歌唱音声の評価結果が最もよかった歌唱者に対して賞品情報を付与する構成である。
【0053】
ここでは、最初の歌唱者は、操作部20を操作して楽曲を指定する。また、その歌唱者は、歌唱者を識別する情報を入力する。最初の歌唱者による歌唱が終了すると、次の歌唱者は、自身を識別する情報を入力し、最初の歌唱者により指定された楽曲についての歌唱を開始する。このようにして、複数の歌唱者が順に歌唱する。最後の歌唱者は、歌唱が終了すると、操作部20を操作して終了した旨を入力する。これにより、一部の歌唱者への賞品情報の付与が行われる。
この構成を実現する場合には、図6に示す歌唱音声評価部100Aが構成されるようにすればよい。
【0054】
図6は、本発明の変形例1における歌唱音声評価部100Aおよび再生処理部200の構成を説明する機能ブロック図である。歌唱音声評価部100Aは、取得部110、評価部120A、特定部130A、識別部140A、選択部150、およびデータ制御部160を有する。また、評価部120Aによって評価テーブル125が構成される。取得部110、選択部150、データ制御部160、および再生処理部200の構成は、実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0055】
識別部140Aは、識別情報を、特定部130Aに出力するのではなく、評価部120Aに出力する。評価部120Aは、複数の評価項目についての評価値を、識別情報と対応付けて評価テーブル125に追加する。このとき、評価部120Aは、算出した各評価項目の評価値を総合して総合評価を示す総合評価値を算出してもよい。
【0056】
図7は、本発明の変形例1における評価テーブル125の例を説明する図である。図7に示すように、評価テーブル125は、識別情報と評価項目毎の評価値との対応関係を示す。図7に示す例においては、歌唱者A、歌唱者Bの2人の歌唱者による歌唱が終了した状態を示している。これ以降にも歌唱者が増える場合には、そのたびに評価テーブル125に識別情報と評価値との対応関係が評価部120Aによって追加される。なお、この例においては、2人の歌唱者により全ての歌唱者による歌唱が終了したものとする。
【0057】
特定部130Aは、操作部20に最後の歌唱者の歌唱が終了した旨の入力がされると、評価テーブル125を参照して、各歌唱者に対応する評価値に基づいて、いずれかの歌唱者を選択する。この例においては、特定部130Aは、総合評価の評価値が最も高い歌唱者(図7に示す評価テーブルによれば、歌唱者B)を選択する。特定部130Aは、賞品テーブルを参照し、選択した歌唱者の各評価項目の評価値から、その歌唱者に付与する賞品情報を特定する。特定部130Aは、選択した歌唱者の識別情報と、特定した賞品情報とを対応付けて付与テーブルに追加する。
以上が、変形例1における歌唱音声評価部100Aの構成についての説明である。
【0058】
なお、変形例1における構成を実現する競争モードと、実施形態における構成を実現する通常モードとを、切り替えることができるように制御プログラムを構成してもよい。この場合には、モード毎に異なる賞品テーブルを用いるようにしてもよい。
また、特定部130Aは、競争モードにおいて複数の歌唱者を順位付けして選択し、順位に応じて異なる賞品テーブルを用いるようにして、成績優秀の歌唱者には、通常モードでは付与されない賞品情報が付与されるようにしてもよい。
【0059】
[変形例2]
上述した実施形態において、付与テーブルは、特定部130における特定が行われると、対応関係が追加されていたが、賞品情報の歌唱者間での譲渡、交換などにより付与テーブルの対応関係が変化するようにしてもよい。この構成を実現する場合には、図8に示す歌唱音声評価部100Bが構成されるようにすればよい。
【0060】
図8は、本発明の変形例2における歌唱音声評価部100Bおよび再生処理部200の構成を説明する機能ブロック図である。歌唱音声評価部100Bは、実施形態における歌唱音声評価部100に加えて、変更部170を有する。歌唱音声評価部100Bのうち変更部170以外の構成、および再生処理部200の構成は、実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0061】
まず、自身に付与されている賞品情報を別の歌唱者に付与したい歌唱者は、操作部20を操作して、賞品情報の譲渡処理を行う指示、自らを識別する情報、付与しようとする賞品情報、その賞品情報を付与する先の歌唱者を識別する情報をそれぞれ入力する。操作部20は、この入力を受け付けると、付与対象となる賞品情報、譲渡側の歌唱者、および譲受側の歌唱者を示す情報が変更部170に出力される。変更部170は、この情報を賞品情報の授受の内容を示す授受情報として取得し、授受情報の内容にしたがって付与テーブルの内容を変更する。例えば、図4に示す付与テーブルにおいて、歌唱者Aから歌唱者Bに衣服Bを示す賞品情報が譲渡されると、変更部170は、歌唱者Aに対応付けられた衣服Bを示す賞品情報は、歌唱者Aに対応するものを削除し、歌唱者Bに新たに対応付ける。
【0062】
なお、上記例においては、授受情報は、賞品情報を譲渡する場合を示したが、交換する場合についても同様である。例えば、歌唱者Aの衣服Bを示す賞品情報と、歌唱者Bの動作Aを示す賞品情報とを交換する場合には、これらを特定する情報が授受情報に含まれることになる。
【0063】
また、歌唱者は、賞品情報の授受において、他の歌唱者との間での授受に限らず、賞品情報を金銭により販売(オークションを含む)する販売管理装置から購入するようにしてもよい。この場合には、カラオケ装置1は、通信部40を介して、販売管理装置に対して、金銭の支払を決済する情報を送信し、販売管理装置から購入した賞品情報に対応する画像素材データなどを取得して記憶部50に記憶する。また、変更部170は、購入した賞品情報と購入者である歌唱者の識別情報とを対応付けて付与テーブルに追加する。
また、歌唱者は、自らに付与されている賞品情報を他の歌唱者に譲渡するにあたり、上記販売管理装置を用いた譲渡における場合と同様に、金銭により販売するようにしてもよい。
【0064】
[変形例3]
上述した実施形態においては、賞品情報は、表示部30に表示される内容、またはスピーカ61からの放音内容を変化させるものであったが、通信部40を介して接続される外部装置を制御するものであってもよい。この構成を実現する場合には、図9に示す歌唱音声評価部100Cが構成されるようにすればよい。
【0065】
図9は、本発明の変形例3における歌唱音声評価部100Cおよび再生処理部200の構成を説明する機能ブロック図である。歌唱音声評価部100Cは、実施形態における歌唱音声評価部100に加えて、賞品出力部180を有する。歌唱音声評価部100Cのうち賞品出力部180および特定部130C以外の構成、および再生処理部200の構成は、実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0066】
この例においては、賞品情報には、例えば、カラオケ利用料金の割引が受けられるクーポン券の発行を示すものが含まれているものとする。また、通信部40に接続された外部装置1000は、通信部40から出力される制御信号に応じた画像を紙に形成するプリンタであるものとする。
特定部130Cは、特定した賞品情報が、クーポン券の発行を示すものである場合には、識別情報と対応付けて付与テーブルに追加するのではなく、賞品出力部180に賞品情報を出力する。賞品出力部180は、特定部130Cから出力された賞品情報に基づいて、クーポン券の画像を紙に形成するための制御信号を、通信部40を介して外部装置1000に出力する。
【0067】
なお、上記例においては、外部装置1000は、プリンタであったが他の装置であってもよい。例えば、外部装置1000が、カラオケ装置1が設置された部屋の照明の動作(照明方向、照明量など)を制御する照明制御装置である場合には、賞品出力部180は、照明を用いた演出(照明の明暗制御など)を行うための制御信号を出力すればよい。また、外部装置1000が部屋の空調を制御する空調制御装置であれば、賞品出力部180は、空調の温度、匂いなどを制御する制御信号を出力すればよい。また、外部装置1000が、カラオケ装置1の利用料金、部屋での飲食料金などを管理する料金管理装置である場合には、賞品出力部180は、料金を減額する処理などを行うための制御信号を出力すればよい。
【0068】
[変形例4]
上述した実施形態において、賞品テーブルは、楽曲データに対応付けられていたが、楽曲全体の再生期間を複数に分割した分割期間に対応して歌唱音声が評価され、分割期間毎に適用される賞品テーブルが異なるようにしてもよい。すなわち、付与する賞品情報を特定するための賞品テーブルが、楽曲の進行に伴って変化していくようにしてもよい。
この場合には、記憶部50に記憶された楽曲データは、分割期間において用いる賞品テーブルを規定する期間情報を有する。また、楽曲データに対応付けられた賞品テーブルは、賞品テーブル1、2、・・・のように複数となっている。各賞品テーブルにおける対応関係は互いに異なっているものとするが、一部が同一になっていてもよい。
【0069】
図10は、本発明の変形例4における期間情報の例を説明する図である。図10に示す例においては、期間情報は、特定部130が参照すべき賞品テーブルが、時刻t0(例えば楽曲の開始タイミング)から時刻t1までの分割期間においては賞品テーブル1であり、時刻t1から時刻t2までの分割期間においては賞品テーブル2であることを示している。
この例においては、評価部120は、分割期間毎に各評価項目の評価値を算出して、特定部130に算出結果を示す情報を出力する。特定部130は、分割期間毎に、対応する賞品テーブルを参照し、この算出結果から賞品情報を特定する。
【0070】
すなわち、特定部130は、分割期間毎に賞品情報を特定し、付与テーブルに追加する。なお、特定部130は、一部の分割期間(歌唱が難しい部分など)のみ賞品情報を特定する処理を行い、他の分割期間においては、賞品情報を特定する処理を行わなくてもよい。この場合には、期間情報において、分割期間において特定を行わないことを示す情報が含まれるようにすればよい。
【0071】
また、楽曲データに楽曲の構成部分(Aメロ、Bメロ、サビなど)を示すデータが含まれている場合などにおいては、上記の期間情報を用いずに、構成部分と賞品テーブルとの対応関係を規定する賞品切替テーブルを用いてもよい。この場合には、構成部分が分割期間に対応する。この賞品切替テーブルは楽曲データに対応付けて記憶されていてもよい。
【0072】
図11は、本発明の変形例4における賞品切替テーブルの例を説明する図である。上述したように、賞品切替テーブルは、楽曲の構成部分と賞品テーブル(賞品テーブル1、2、・・・)との対応関係を規定する。図11に示す賞品切替テーブルの例においては、構成部分がサビであるときには、特定部130が参照すべき賞品テーブルが、賞品テーブル3であることを示している。
この例においては、評価部120は、楽曲の構成部分毎に各評価項目の評価値を算出して、特定部130に算出結果を示す情報を出力する。特定部130は、構成部分毎に、対応する賞品テーブルを参照し、この算出結果から賞品情報を特定する。すなわち、特定部130は、構成部分毎に賞品情報を特定し、付与テーブルに追加する。この追加処理は、楽曲データの再生終了後に行ってもよいし、楽曲データの再生中に行ってもよい。
楽曲データの再生中に追加処理がなされる場合には、データ制御部160は、楽曲データ再生中に新たに追加された賞品情報を出力データ生成部220に出力して、表示部30に表示される内容、スピーカ61から放音される内容に反映させてもよい。
【0073】
なお、特定部130が参照する賞品テーブルは、楽曲の再生期間において変化する場合に限らず、日付、曜日などに応じて変化するように構成されていてもよい。この場合には、特定部130は、日付、曜日などの情報を計時手段などから取得して、取得した情報に対応する賞品テーブルを用いるようにすればよい。
【0074】
[変形例5]
上述した実施形態においては、評価部120は、評価基準情報を参照して評価値を算出していたが、過去に評価した結果を基準とした相対的な評価として評価値を算出してもよい。この場合には、評価部120は、変形例1において説明した評価テーブル125のように、歌唱者と評価値との対応関係を規定した情報を評価基準情報に追加するようにしてもよい。評価基準情報に追加されるのは、過去一定期間に算出された評価値の履歴としての情報であってもよいし、最後に算出された評価値の情報であってもよい。そして、評価部120は、評価基準情報に追加された評価値の情報を参照して、相対的な評価値を算出してもよい。例えば、評価部120は、評価値が悪い評価項目については、同じ歌唱音声が入力されたとしても、評価値をよくするように決められたアルゴリズムにより、新たな評価値を算出すればよい。
【0075】
[変形例6]
上述した実施形態においては、評価基準情報は予め決められた内容であり変化するものではなく、評価部120における評価値の算出の基準は変化しなかったが、歌唱者に対して付与されている賞品情報に応じて、すなわち、付与テーブルの内容に応じて、算出の基準が変化するようにしてもよい。例えば、特定の賞品情報が付与されている歌唱者が入力した歌唱音声の評価においては、評価値の算出において、評価基準を厳しくすることにより、算出される評価値が高くなりにくくしてもよいし、評価基準を緩くすることにより評価値が低くなりにくくしてもよい。
このような評価基準の変更は、評価部120が付与テーブルの内容に応じて、参照する評価基準情報の内容を変更するようにしてもよいし、評価基準の厳しさが異なる複数の評価基準情報が記憶部50に記憶されているものとし、評価部120が付与テーブルに応じて、いずれかの評価基準情報を選択して参照するようにしてもよい。
【0076】
[変形例7]
上述した実施形態においては、評価部120は、評価値を0から100点の数値として算出していたが、2値の情報(合格、不合格など)として算出されてもよい。この場合には、2値のいずれかとするための判断基準が評価基準情報に含まれるようにすればよい。
【0077】
[変形例8]
上述した実施形態においては、特定部130が複数の賞品情報を特定する場合があったが、複数の賞品情報を特定した場合には、そのうち、選択された一部の賞品情報のみが歌唱者に対して付与されるようにしてもよい。この場合には、ランダムにいずれか1つの賞品情報が選択されてもよいし、歌唱者が操作部20への操作により一部の賞品情報を選択するようにしてもよい。
【0078】
[変形例9]
上述した実施形態において、賞品テーブルは、楽曲データに対応付けられ、再生される楽曲データに応じて特定部130によって参照されるものが決められていたが、歌唱者に付与されている賞品情報、すなわち、付与テーブルの内容に応じて、賞品テーブルの内容が変化するように構成されていてもよい。
例えば、特定の賞品情報が付与されている歌唱者に対して付与される賞品情報を特定部130が特定するときには、賞品テーブルに規定された評価値のしきい値を高くすることにより、賞品情報が付与されにくくしてもよいし、しきい値を低くすることにより賞品情報が付与されやすくしてもよい。また、付与テーブルに規定された賞品情報と賞品テーブルに規定された賞品情報とに重複するものが増えてきた場合などにおいては、賞品テーブルにおいて評価値のしきい値に対応付けられている賞品情報が変更されるようにしてもよい。
【0079】
このような賞品テーブルの内容の変更は、特定部130が付与テーブルに応じて、参照する賞品テーブルの内容を予め決められたアルゴリズムにより変更するようにしてもよいし、対応関係の内容が異なる複数の賞品テーブルが記憶部50に記憶されているものとし、特定部130が付与テーブルに応じて、いずれかの賞品テーブルを選択して参照するようにしてもよい。
【0080】
なお、付与テーブルの内容に応じて賞品テーブルの内容が変更されるのではなく、過去の評価値の算出結果に応じて変化するようにしてもよい。この場合には、評価部120は、変形例1において説明した評価テーブル125のように、歌唱者と評価値との対応関係を規定した情報を蓄積する。蓄積される情報は、過去一定期間に算出された評価値の履歴としての情報であってもよいし、最後に算出された評価値の情報であってもよい。そして、特定部130は、付与テーブルの内容ではなく、評価テーブルの内容に応じて、参照する賞品テーブルの内容を予め決められたアルゴリズムにより変更するようにしてもよいし、参照する賞品テーブルを選択するようにすればよい。
【0081】
[変形例10]
上述した実施形態において、特定部130は、特定した賞品情報が、既に歌唱者に対して付与されている場合には、同一の内容を示す複数の賞品情報を歌唱者に対して付与するようにしてもよいし、同一の内容を示す賞品情報については付与しないようにしてもよい。また、特定部130は、予め決められたアルゴリズムにより別の賞品情報を決定して付与するようにしてもよい。
【0082】
[変形例11]
上述した実施形態において、識別部140は、歌唱者を識別するための識別情報を出力していたが、例えば、カラオケ装置1が特定の歌唱者専用の装置として用いられる場合などにおいては、歌唱者を区別する必要がないため、識別部140はなくてもよい。この場合には、付与テーブルは、特定の歌唱者に付与された賞品情報を示すものであればよいから、識別情報と対応付けられていなくてもよい。すなわち、付与テーブルに代えて、識別情報との対応関係の無く、単に、付与された賞品情報のリストといった情報としてもよい。
【0083】
[変形例12]
上述した実施形態において、選択部150は、操作部20への操作に応じて、歌唱者に対応付けられた賞品情報のうち、一部または全部を選択するものであったが、操作部20への操作以外の処理に応じて選択するようにしてもよい。例えば、選択部150は、予め決められたアルゴリズム(例えば、ランダムに一部を選択、再生される楽曲データに応じて一部を選択、全部選択など)にしたがって選択すればよい。なお、賞品情報を全部選択する場合には、選択部150は存在しなくてもよい。この場合には、データ制御部160は、楽曲データの再生が開始される前に、賞品情報を読み出して出力データ生成部220に出力すればよい。
【0084】
[変形例13]
上述した実施形態において、出力データ生成部220は、データ制御部160から出力される賞品情報に応じて、出力するデータの内容を制御していたが、この賞品情報の組み合わせが特定の組み合わせである場合には、別の制御(以下、特殊制御という)をするようにしてもよい。例えば、アバターが着用する衣装とアバターの表情とが特定の組み合わせとなった場合の特殊制御としては、出力データ生成部220は、画像、音に演出効果を加えたり、アバターの動作を変化させたりした映像データおよびオーディオデータを生成すればよい。
賞品情報の組み合わせと、その組み合わせの場合に行う特殊制御の内容との対応関係については、出力データ生成部220に予め設定されていてもよいし、記憶部50に記憶されていてもよい。なお、賞品情報の組み合わせとは、特定の種類の賞品情報の組み合わせによるものに限らず、付与されている賞品情報のうち同じ内容を示すものの数、付与されている賞品情報の種類の数などを含んでいる。例えば、衣装Aの賞品情報が5個以上付与されていれば、特殊制御が行われるようにしてもよいし、賞品情報の種類が10種類以上付与されていれば、特殊制御が行われるようにしてもよい。
【0085】
[変形例14]
上述した実施形態において、識別部140は、一人の歌唱者を識別する情報の入力に応じて識別情報を出力していたが、複数の歌唱者を識別する情報の入力を受け付け、複数の歌唱者に対応する識別情報を出力するようにしてもよい。この場合には、複数の歌唱者に付与された賞品情報を組み合わせに応じた内容のデータが、出力データ生成部220から出力されるようにすればよい。例えば、識別部140から歌唱者Aおよび歌唱者Bに対応する識別情報が出力された場合には、2人のアバターが表示されるようにしてもよいし、いずれかの歌唱者に付与された1人のアバターが、歌唱者Aおよび歌唱者Bに付与された衣装などを着用した状態で表示されるようにしてもよい。
上述の変形例13にこの構成を組み合わせると、複数の歌唱者が協力することにより、特定の種類の賞品情報の組み合わせを実現し、出力データ生成部220において特殊制御がなされるようにすることができる。
【0086】
[変形例15]
上述した実施形態においては、記憶部50に記憶されている各種データなどは、カラオケ装置1の内部に存在するものであったが、その一部または全部は、通信部40を介してネットワークを経由して接続されるサーバなどの外部の記憶装置に記憶されているものとしてもよい。例えば、記憶部50に記憶されている各種データのうち、賞品テーブル、付与テーブル、画像素材データなどが記憶装置に記憶されていてもよい。この場合におけるデータの参照などは、通信部40を介して行ってもよいし、記憶部50、制御部10のRAMなどに一時的にダウンロードしておいてもよい。
【0087】
[変形例16]
上述した実施形態における制御プログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供し得る。また、カラオケ装置1は、制御プログラムをネットワーク経由でダウンロードしてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1…カラオケ装置、10…制御部、20…操作部、30…表示部、40…通信部、50…記憶部、60…音響処理部、61…スピーカ、62…マイクロフォン、100,100A,100B,100C…歌唱音声評価部、110…取得部、120,120A…評価部、125…評価テーブル、130,130A,130C…特定部、140,140A…識別部、150…選択部、160…データ制御部、170…変更部、180…賞品出力部、200…再生処理部、210…再生部、220…出力データ生成部、1000…外部装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲データの再生中に入力された歌唱音声を取得する取得手段と、
前記取得された歌唱音声を解析して、複数の評価項目についての評価値を算出する評価手段と、
前記評価項目の評価値と賞品情報との対応関係を規定する賞品テーブルを参照して、前記算出された評価項目ごとの評価値に対応する前記賞品情報を特定する特定手段と、
楽曲データの再生に伴って出力される画像または音を示す再生データに対して、前記特定された賞品情報に応じた処理を施す処理手段と
を具備することを特徴とする歌唱音声評価装置。
【請求項2】
前記歌唱音声を入力する歌唱者を識別する識別情報を取得する識別手段をさらに具備し、
前記特定手段は、前記識別情報と当該識別情報に付与された賞品情報との対応関係を示す付与テーブルに、前記特定した賞品情報を前記取得された識別情報に付与したものとして前記対応関係を追加し、
前記処理手段は、前記付与テーブルを参照して、前記取得された識別情報に付与された賞品情報に応じた処理を、前記再生データに対して施す
ことを特徴とする請求項1に記載の歌唱音声評価装置。
【請求項3】
前記付与テーブルを参照して、前記取得された識別情報に付与された賞品情報のうち、前記再生データに対する処理に反映させる賞品情報を選択する選択手段をさらに具備し、
前記処理手段は、前記選択された賞品情報に応じた処理を、前記再生データに対して施す
ことを特徴とする請求項2に記載の歌唱音声評価装置。
【請求項4】
前記処理手段は、前記識別手段が複数の識別情報を取得した場合には、当該複数の識別情報の各々に付与された賞品情報の組み合わせに応じた処理を、前記再生データに対して施す
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の歌唱音声評価装置。
【請求項5】
賞品情報の授受の内容を示す授受情報を取得し、当該授受情報に基づいて前記付与テーブルの対応関係を変更する変更手段をさらに具備する
ことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の歌唱音声評価装置。
【請求項6】
前記評価手段は、前記識別情報と前記評価値とを対応付けた評価テーブルに、前記取得された識別情報が示す歌唱者の歌唱音声を解析して算出した前記評価値を当該識別情報に対応付けて追加し、
前記特定手段は、前記評価テーブルを参照して、前記評価値に基づいて少なくとも一の識別情報を選択し、前記特定した賞品情報を前記選択した識別情報に付与したものとして前記付与テーブルに前記対応関係を追加する
ことを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の歌唱音声評価装置。
【請求項7】
前記賞品テーブルは、前記取得された識別情報に付与された賞品情報に応じて、前記評価項目の評価値と前記賞品情報との対応関係が変更されるように決められている
ことを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれかに記載の歌唱音声評価装置。
【請求項8】
前記評価手段は、前記楽曲データの再生期間を複数に分割した分割期間に対応して、前記評価値を算出し、
前記賞品テーブルは、前記分割期間に対応して設けられ、
前記特定手段は、前記分割期間ごとに、前記賞品テーブルを参照して前記賞品情報を特定する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の歌唱音声評価装置。
【請求項9】
外部装置を制御する制御信号を、前記特定された賞品情報に基づいて出力する賞品出力手段をさらに具備する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の歌唱音声評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−194381(P2012−194381A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58306(P2011−58306)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】