止水弁及びシャワーヘッド
【課題】 シャワー吐出の水流に沿った方向に弁軸を移動できるようにするとともに、弁軸の移動量を少なくすることができる止水弁及びこの止水弁を備えたシャワーヘッドを提供することを課題とする。
【解決手段】 止水弁は弁内流路に対して交差方向に移動する弁軸と、前記弁内流路を移動する水流が前記弁軸を貫通するように穿設した弁軸内流路を形成する貫通孔と、前記弁軸を軸方向に移動可能に内嵌した弁筒とを備え、前記弁軸と前記弁筒との間の漏れ防止用のシール部材および前記貫通孔と前記弁筒との間の漏れ防止用のシールパッキンを前記弁筒側に配設するように構成し、シャワーヘッドは前記止水弁をヘッド部と把持部との境界部にシャワー吐出方向に沿って弁軸が移動する向きに向けて設けるように構成する。
【解決手段】 止水弁は弁内流路に対して交差方向に移動する弁軸と、前記弁内流路を移動する水流が前記弁軸を貫通するように穿設した弁軸内流路を形成する貫通孔と、前記弁軸を軸方向に移動可能に内嵌した弁筒とを備え、前記弁軸と前記弁筒との間の漏れ防止用のシール部材および前記貫通孔と前記弁筒との間の漏れ防止用のシールパッキンを前記弁筒側に配設するように構成し、シャワーヘッドは前記止水弁をヘッド部と把持部との境界部にシャワー吐出方向に沿って弁軸が移動する向きに向けて設けるように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は往復動型手動弁を形成する止水弁、特にシャワーヘッド内に組み込むための小型の止水弁と、その止水弁を備えたシャワーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャワーヘッド内に組み込まれた止水弁には、例えばシャワーヘッドのヘッド部と把持部との間に水平方向へ移動する弁軸を備え、弁軸端部の操作端をシャワー吐出の水流に対して直角方向へ押すことによって弁を開閉する止水弁があった(特許文献1,2)。
弁座に球形の弁体が位置することにより閉弁となり、球形の弁体が弁座から外れると開弁になる。この弁の移動に対しては、弁体を弁座側に押圧するためのスプリングによる付勢力を作用させて弁の開閉動作を確実にすることが必要となり、また弁軸側の複数箇所にOリングを嵌着して弁軸と弁本体との間の漏れ止めをしていた。
このような止水弁では、通常、弁本体がシャワーヘッドのヘッド部と把持部との間に位置する把持部側に組み付けられ、あるものでは弁座の位置が中央部から偏芯した位置に配置されて弁本体から突出する弁軸の端部ができるだけ少なくなるように配慮され、またあるものでは弁座の位置を中央部に配置して操作性を左右均一になるように配慮されている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−166798号公報
【特許文献2】特開2001−212018号公報
【0004】
〔問題点〕
このような従来の技術においては、シャワーヘッドのヘッド部と把持部との間に水平方向へ移動する弁軸を備えることにより、シャワー吐出の水流に対して直角方向へ操作することになり、もち手の向きや位置が不自然になり、把持部を握る力が不安定になり易く、また操作の点から必然的に弁本体または把持部から操作端が突出しなければならない構造となるため、弁軸が長くなり、外見寸法が大きくなる、特に、弁座の大きさに比較して弁座の閉鎖に必要な弁軸の移動量を確保するため、Oリングの弁軸への嵌着間隔が異常に大きくなり、その分シャワーヘッドの外径寸法を大きくしなければならない等の問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来の技術における前記問題点を解消するためのものであり、そのための技術的な課題は、シャワー吐出の水流に沿った方向に弁軸を移動できるようにするとともに、弁軸の移動量を少なくすることができる止水弁及びこの止水弁を備えたシャワーヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため具体的に構成した本発明の止水弁に係る第1の課題解決手段は、弁内流路に対して交差方向に移動する弁軸と、前記弁内流路を移動する水流が前記弁軸を貫通するように穿設した弁軸内流路を形成する貫通孔と、前記弁軸を軸方向に移動可能に内嵌した弁筒とを備え、前記弁軸と前記弁筒との間の漏れ防止用のシール部材および前記貫通孔と前記弁筒との間の漏れ防止用のシールパッキンを前記弁筒側に配設したことを特徴とするものである。
【0007】
また、止水弁に係る第2の課題解決手段は、前記弁筒の弁軸嵌合部の各端縁部にシール部材保持用の拡径部を形成し、この拡径部に配設されたシール部材を前記拡径部側に押圧保持するシール部材保持体を形成して、前記各端縁部に前記シール部材保持体をそれぞれ被嵌したことを特徴とする。
【0008】
また、シャワーヘッドに係る第1の課題解決手段は、請求項1又は請求項2に記載の止水弁を、ヘッド部と把持部との境界部に、シャワー吐出方向に沿って弁軸が移動する向きに向けて設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明の止水弁に係る第1の課題解決手段では、弁内流路に対して交差方向に移動する弁軸と、前記弁内流路を移動する水流が前記弁軸を貫通するように穿設した貫通孔と、前記弁軸を軸方向に移動可能に内嵌した弁筒とを備え、前記弁軸と前記弁筒との間の漏れ防止用のシール部材および前記貫通孔と前記弁筒との間の漏れ防止用のシールパッキンを前記弁筒側に配設したことにより、弁軸に穿設された貫通孔が弁軸の動きに従って水流に対して交差方向に移動するため、弁軸の弁閉弁開間の移動量を最小にすることができ、止水弁を小型化でき、また鋼球を弁体として使用しなくて済むため使用部品点数を大幅に減少することができる。
【0010】
また、止水弁に係る第2の課題解決手段では、前記弁筒における弁軸嵌合部の各端縁部にシール部材保持用の拡径部を形成し、この拡径部に配設されたシール部材を前記拡径部側に押圧保持するシール部材保持体を形成して、前記各端縁部に前記シール部材保持体をそれぞれ被嵌したことにより、弁軸と弁筒との間の漏れ防止用のシール部材が弁筒内面側に設けられ、弁軸に形成された貫通孔の最小移動範囲について漏れ防止ができ、弁軸の長さを短くすることができて、止水弁全体を小型化することができる。
【0011】
また、シャワーヘッドに係る第1の課題解決手段では、ヘッド部と把持部との境界部にシャワー吐出方向に沿って弁軸が移動する向きに向けて止水弁を設けたことにより、シャワーヘッドの腹面及び背面に操作ボタンを配置することができ、小型でしかも片手操作し易い止水弁を設けたシャワーヘッドを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明における以下の実施の形態では、風呂場用シャワーヘッドに止水弁を設けた場合について説明する。
なお、この実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるため具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、特許請求の範囲の記載事項を限定するものではない。
【0013】
〔構成〕
シャワーヘッド10は、図1及び図2に示すように、上端部の下方に向いた面の開口部1cにシャワー吐出をするための細孔を多数個穿設したシャワースクリーン部材1aを皿小ねじ1bで着脱自在に取り付けたヘッド部1と、このヘッド部1に接続し、下方へ湾曲した筒状体に形成され、下端部にはねじ部2aを形成するとともにOリング6を嵌着できるようにした把持部2とを備え、ヘッド部1と把持部2との境界部には、内部に弁筒21を形成し、この弁筒21に弁軸5を往復動自在に挿入し、シャワー吐出側の面(以下、腹面という)に止水ボタン3を配置し、シャワー吐出側と反対側の面(以下、背面という)に吐水ボタン4を配置して、それぞれを弁軸5の各端部に嵌め込んで、止水ボタン3と吐水ボタン4と弁軸5とを一体的に動作できるようにするとともに弁軸5を指で操作できるようにした止水弁20を形成する。
ヘッド部1と把持部2の材質はABS樹脂であり、弁筒21は把持部2の材質と同質とし、弁軸5の材質はABS樹脂であり、止水ボタン3と吐水ボタン4の材質はPP樹脂とする。
【0014】
このシャワーヘッド10では、図2乃至図4で示すように、ヘッド部1と把持部2との境界部に挟み込むように止水弁20を形成し、止水弁20は、図2乃至図6で示すように、把持部2のヘッド側端面に弁筒21の中心軸をシャワー吐出の中心軸と平行な向きにして一体に形成する。
止水弁20を境界部に設けるヘッド部1と把持部2とは、端面をインロー合せにより嵌め合わせ、それぞれ図7と図8に示すように、ヘッド部1に形成された空間の側方空間部1g,1gと、把持部2に形成された端面の両側部に前側に突出した突出部2g,2gとを、その形成された形状に合わせて嵌め合わせることによって位置固定する。ヘッド部1と把持部2との抜け防止には、後述するCリング24(図2)を係合溝21dに掛止して取り付けることによって行う。
【0015】
弁筒21の弁軸嵌合孔21aの向きは中心軸をシャワー吐出方向の中心軸と平行な向きに向け、弁軸5が背面から腹面に向けて移動すると弁開となり、逆に腹面から背面に向けて移動すると弁閉となるように、弁軸5の向きと弁軸内流路を形成する貫通孔5aの位置とを定めて、弁筒21に弁軸5を嵌合する。
弁筒21の側周面には、ヘッド部1のシャワースクリーン部材1aの裏面側にまで挿入して、貫通孔下流側の流路の一部を形成する円筒形状の下流側流路部材21bを突設する。ヘッド部1に下流側流路部材21bを挿入することにより、把持部2の内筒部2cから弁軸5の貫通孔5aを介してヘッド部1のシャワースクリーン部材1aの裏面側まで連通するシャワーヘッド内の流路が形成される。
【0016】
下流側流路部材21bは、弁軸5の貫通孔5aの上流側周面における周縁部を密閉するシールパッキン22の外径よりも、大きな内径を有する円筒形に形成し、外周面には基部にシール部材としてのOリング23を嵌着するためのOリング溝21cを刻設し、先端部に係止用のCリング24を係合するための係合溝21dを刻設する。
弁筒21の弁軸嵌合孔21aを有する円筒部では、各端縁部にシール部材としてのOリング25,25を内嵌するための拡径部21e,21eを刻設し、これらの各端縁部の拡径部21e,21eに内嵌されたOリング25,25を押圧保持するシール部材保持体としてのOリング抑え26,26を軸方向の外方から被嵌する。
【0017】
Oリング抑え26は、図2乃至図6及び図11に示すように、円筒部の一端には弁軸5が貫通する孔26bを穿設した孔明き端面26aを形成し、他端には端部を開放して周上2箇所に幅広の脚26c,26cを軸方向に延設し、各脚26c,26cの先端には外方へ突出する係止用の突出部26d,26dを突設する。突出部26d,26dはヘッド部1の把持部2との係合側の端部に形成されている係合溝1e,1eによって外面をクランプされ、位置固定される。
Oリング抑え26の材質はPOM樹脂とする。
【0018】
弁軸5は、図2乃至図6及び図9に示すように、弁体を筒状に形成し、中央部に弁軸内流路を形成する貫通孔5aを穿設し、背面側に位置する端部には周上2箇所に突出部材5b,5bを外方に突出し、各端縁から中央部側に寄った位置には内径部まで貫通する帯状の切欠き部5c,5dを刻設して,止水ボタン3と吐水ボタン4とにそれぞれ形成されている半割り軸部3a,4aの位置固定用の突起部3b,4bが嵌まり込み、位置固定できるようにする。
【0019】
貫通孔5aの上流側の縁部周面を密閉するシールパッキン22は、図2乃至図4及び図10に示すように、外径は下流側流路部材21bの内径よりも小さくした円筒状に形成し、弁軸5の外面に当接する端面には弁軸外周の湾曲面に合わせた曲面を形成し、弁軸当接側の端部には外周面に外方へリング状に突設したシール用の突設部22a,22aを二条突設し、他端側の外周面には把持部側に設けられたリブ2b,2bと嵌め合う溝22b,22bを刻設する。溝22bは端部では端縁に近づくに従い幅が広がるように形成して、リブ2b,2bと嵌め合いが容易になるように形成する。
シールパッキン22の材質はNBRとする。
【0020】
〔組立〕
シャワーヘッド10に止水弁20を組み込むには、以下のような手順により行なう。
(1) シールパッキン22の取付け(図2,図6乃至図8,図10)
把持部2のヘッド部1側に突出した下流側流路部材21bの開口から、シールパッキン22を突設部22aが形成されていない方の端部を先にして、リブ2b,2bに溝22b,22bが嵌まり込むように挿入し、突設部22aが形成されていない方の端部が把持部2の内部に形成されたストッパ2dに当接するまで挿入する。
【0021】
(2) 止水弁20の組立(図2,図5及び図6,図8乃至図13)
上側のOリング抑え26とOリング25とを順に弁軸5に外嵌し、Oリング抑え26は弁軸5の突出部材5b,5bに当接するまで押し込み、Oリング25はOリング抑え26の内端面に当接して弁筒21の拡径部21eに入り込むまで押し込む。引き続いて、弁軸5のリブ5e,5eを設けた中空部に吐水ボタン4の半割り軸部4aを内嵌するとともに吐水ボタン4の円筒部をOリング抑え26に外嵌し、半割り軸部4aの外周側に突出した突起部4bが弁軸5の切欠き部5cに嵌まり込み位置固定するまで押し込む。
その後、弁軸5を突出部材5b,5bが形成されていない方の端部を背面側から弁筒21の弁軸嵌合孔21aに内嵌し、Oリング抑え26を押し込む。
この押込み量は、最奥部に押し込んだ位置が全開位置になるように予め押込み深さを設定しておく。
【0022】
また、腹面側についてもOリング抑え26および止水ボタン3の取付けを行なう。
弁開位置になっている状態では弁軸5の腹面側に位置する端部が弁筒21から突出して長めにはみ出ている状態になり、この突出している端部にOリング25とOリング抑え26とを順に外嵌し、Oリング25がOリング抑え26に押されて弁筒21の拡径部21eに入り込むまで押し込む。引き続いて、弁軸5のリブ5f,5fを設けた中空部に止水ボタン3の半割り軸部3aを内嵌するとともに止水ボタン3の台形状断面に形成された筒部をOリング抑え26の外周側に位置するように嵌め込み、半割り軸部3aの外周側に突出した突起部3bが弁軸5の切欠き部5cに嵌まり込み、位置固定するまで押し込む。
【0023】
(3) 止水弁下流側の組付け(図3乃至図8)
弁筒21の側面に突出した下流側流路部材21bのOリング溝21cにOリング23を嵌め込み、把持部2の弁筒形成側の端面にヘッド部1の把持部接続側の端面が当接するように、把持部2の下流側流路部材21bをヘッド部1に挿入するとともに互いの嵌合部を嵌め合わせ、シャワースクリーン部材1aを取り付ける開口部1cからCリング24を挿入して下流側流路部材21bの係合溝21dに嵌め付けて、下流側流路部材21bがヘッド部1の嵌合箇所から抜けないようにすることによってヘッド部1と把持部2とを結合する。
ヘッド部1が把持部2に結合するときには、背面側と腹面側との両Oリング抑え26,26の開口側の先端が当接するまで押し込まれ、当接した状態でヘッド部1が把持部2に組み付けられ、ヘッド部1の弁筒21の外周側に位置する支持部材1d,1dに刻設された係合溝1e,1eによって両Oリング抑え26,26の先端に突設された突出部26d,26dが挟持されて、弁軸5が移動してもOリング抑え26,26が動くことがないように位置固定する。
【0024】
(4) シャワースクリーン部材1aの取付け(図2乃至図4,図7)
ヘッド部1と把持部2とを結合した後、開口部1cにシャワースクリーン部材1aを内部の支持部材1f,…,1fに当接して位置が安定するようになるまで嵌め合せ、シャワースクリーン部材1aの中央に穿設した貫通孔1gを介して皿小ねじ1bをヘッド部中央に設けられた支持円筒1hの端部に螺着して、シャワースクリーン部材1aをヘッド部1に組み付ける。
【0025】
〔作用効果〕
このように構成した実施形態においては、図3に示すように、吐水ボタン4を押して弁開にすると、流水は把持部2の内筒部2cからシールパッキン22、弁軸5の貫通孔5aおよび下流側流路部材21bを介してヘッド部1の内部へ流入し、シャワースクリーン部材1aの細孔を介して外部へシャワー吐出する。
図4に示すように、止水ボタン3を押して弁閉にすると、シールパッキン22が弁軸5の外周面に当接して弁軸5の上流側を密封し、把持部2からヘッド部1への流水を止め、シャワー吐出を停止する。
【0026】
これにより、弁軸5に穿設された貫通孔5aが弁軸の動きに従って水流に対して交差方向に移動することになり、弁軸5の弁閉弁開間の移動量を最小にすることができ、止水弁の小型化ができるとともに鋼球を用いることなく止水弁を形成できて構成を簡素化することができる。
また、弁筒21の弁軸嵌合孔21aの端縁部に拡径部21eを形成してOリング溝とし、Oリング抑え26によってOリング溝の一壁面を形成するとともにOリング25の押圧部材を兼ね、組立後のシール性を良くするとともに組立時の弁軸5の外周側へのOリング25の組付けを容易にすることができる。
【0027】
Oリング25,25及びシールパッキン22によって弁軸5の外周側を密封したことにより、弁軸5のシールには、弁開時に貫通孔5aの直近の外周部を封じることができ、弁閉時に貫通孔5aがシールパッキン22から外れてシールパッキン22が貫通孔穿設位置から外れた位置の直近の位置で弁軸外周面に当接して流れを止めることができ、全開から全閉までの移動が最小の移動量で可能になる。このため、従来の弁軸側にOリングやシールパッキンを設けた場合よりもシール材配設に必要な軸方向長さ分を短縮でき、例えば、同じ大きさのシャワーヘッドに組込む弁軸の直径が同じ止水弁では、弁軸5にOリングを設けた場合に比較して弁軸長さがおよそ3mm短縮することができる。
また、弁軸5を射出成形により製作した場合、弁軸5側にOリングを設ける構成では、形成されたOリング溝周辺部が厚肉になり、Oリング溝刻設箇所の周辺部から貫通孔5aの周辺部までの部分が厚肉になって、ヒケが発生し易くなり、シール材の水密性能が低下する恐れが生じるが、実施例の弁軸では、弁軸5の全体を一定肉厚に形成することができ、水密性能を低下させる恐れがない。
【0028】
実施形態のシャワーヘッドでは、握った状態がより自然な形となり、止水弁の操作における指の開きが小さくて済むため、握り状態を維持したままボタン操作をすることができて、シャワーヘッドを握る力がほとんど変わることがなく操作でき、持ち手が安定する。
シャワーヘッドの背面と腹面との間を往復動する操作部を形成したことにより、操作ボタンを大きくすることができ、操作性が良くなり、ボタン操作しても安定してシャワーヘッドを把持することができて、シャワーヘッドの使い勝手が向上する。
また、シャワーヘッドの持ち手に関係のない形状になっているため、利き手が左右どちらでも使用感に差を生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施態様における止水弁を設けたシャワーヘッドを示す斜視図である。
【図2】同上シャワーヘッドを示す分解斜視図である。
【図3】同上シャワーヘッドにおける通水状態を示す縦断面図である。
【図4】同上シャワーヘッドにおける止水状態を示す縦断面図である。
【図5】図3におけるA−A断面で示す横断面図である。
【図6】図3におけるB−B断面で示す部分平面断面図である。
【図7】同上シャワーヘッドのヘッド部を示す部品図であり、(A)は下平面図、(B)は(A)におけるA−A断面で示す縦断面図、(C)は(B)におけるB−B断面で示す平面断面図、(D)は背面図である。
【図8】同上シャワーヘッドの把持部を示す断面図であり、(A)は縦断面図、(B)は(A)におけるB−B断面で示す部分下平面図、(C)は(B)におけるC−C断面で示す正面断面図である。
【図9】同上シャワーヘッドに設けた止水弁の弁軸を拡大して示す部品図であり、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は平面図、(D)は(B)におけるA−A断面で示す縦断面図、(E)は(A)におけるB−B断面で示す縦断面図、(F)は(A)におけるC−C断面で示す平面断面図である。
【図10】同上シャワーヘッドに設けた止水弁のシールパッキンを拡大して示す部品図であり、(A)は平面図、(B)は背面図、(C)は(A)におけるA−A断面で示す縦断面図である。
【図11】同上シャワーヘッドに設けた止水弁のOリング抑えを拡大して示す部品図であり、(A)は側面図、(B)は底面図、(C)は(B)におけるA−A断面で示す縦断面図である。
【図12】同上シャワーヘッドに設けた止水弁の止水ボタンを拡大して示す部品図であり、(A)は底面図、(B)は(A)におけるA−A断面で示す縦断面図、(C)は(A)におけるB−B断面で示す縦断面図、(D)は(B)におけるC部を更に拡大して示す部分拡大断面図である。
【図13】同上シャワーヘッドに設けた止水弁の吐水ボタンを拡大して示す部品図であり、(A)は底面図、(B)は(A)におけるA−A断面で示す縦断面図、(C)は(A)におけるB−B断面で示す縦断面図、(D)は(B)におけるC部を更に拡大して示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 ヘッド部
1c 開口部
1e 係合溝
2 把持部
2b リブ
2c 内筒部
2d ストッパ
3 止水ボタン
4 吐水ボタン
5 弁軸
5a 貫通孔(弁軸内流路)
5b 突出部材
6 Oリング
10 シャワーヘッド
20 止水弁
21 弁筒
21a 弁軸嵌合孔
21b 下流側流路部材
21e 拡径部
22 シールパッキン
22a 突設部
22b 溝
23,25 Oリング
24 Cリング
26 Oリング抑え
26a 孔明き端面
26b 孔
26c 脚
26d 突出部
【技術分野】
【0001】
本発明は往復動型手動弁を形成する止水弁、特にシャワーヘッド内に組み込むための小型の止水弁と、その止水弁を備えたシャワーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャワーヘッド内に組み込まれた止水弁には、例えばシャワーヘッドのヘッド部と把持部との間に水平方向へ移動する弁軸を備え、弁軸端部の操作端をシャワー吐出の水流に対して直角方向へ押すことによって弁を開閉する止水弁があった(特許文献1,2)。
弁座に球形の弁体が位置することにより閉弁となり、球形の弁体が弁座から外れると開弁になる。この弁の移動に対しては、弁体を弁座側に押圧するためのスプリングによる付勢力を作用させて弁の開閉動作を確実にすることが必要となり、また弁軸側の複数箇所にOリングを嵌着して弁軸と弁本体との間の漏れ止めをしていた。
このような止水弁では、通常、弁本体がシャワーヘッドのヘッド部と把持部との間に位置する把持部側に組み付けられ、あるものでは弁座の位置が中央部から偏芯した位置に配置されて弁本体から突出する弁軸の端部ができるだけ少なくなるように配慮され、またあるものでは弁座の位置を中央部に配置して操作性を左右均一になるように配慮されている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−166798号公報
【特許文献2】特開2001−212018号公報
【0004】
〔問題点〕
このような従来の技術においては、シャワーヘッドのヘッド部と把持部との間に水平方向へ移動する弁軸を備えることにより、シャワー吐出の水流に対して直角方向へ操作することになり、もち手の向きや位置が不自然になり、把持部を握る力が不安定になり易く、また操作の点から必然的に弁本体または把持部から操作端が突出しなければならない構造となるため、弁軸が長くなり、外見寸法が大きくなる、特に、弁座の大きさに比較して弁座の閉鎖に必要な弁軸の移動量を確保するため、Oリングの弁軸への嵌着間隔が異常に大きくなり、その分シャワーヘッドの外径寸法を大きくしなければならない等の問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来の技術における前記問題点を解消するためのものであり、そのための技術的な課題は、シャワー吐出の水流に沿った方向に弁軸を移動できるようにするとともに、弁軸の移動量を少なくすることができる止水弁及びこの止水弁を備えたシャワーヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため具体的に構成した本発明の止水弁に係る第1の課題解決手段は、弁内流路に対して交差方向に移動する弁軸と、前記弁内流路を移動する水流が前記弁軸を貫通するように穿設した弁軸内流路を形成する貫通孔と、前記弁軸を軸方向に移動可能に内嵌した弁筒とを備え、前記弁軸と前記弁筒との間の漏れ防止用のシール部材および前記貫通孔と前記弁筒との間の漏れ防止用のシールパッキンを前記弁筒側に配設したことを特徴とするものである。
【0007】
また、止水弁に係る第2の課題解決手段は、前記弁筒の弁軸嵌合部の各端縁部にシール部材保持用の拡径部を形成し、この拡径部に配設されたシール部材を前記拡径部側に押圧保持するシール部材保持体を形成して、前記各端縁部に前記シール部材保持体をそれぞれ被嵌したことを特徴とする。
【0008】
また、シャワーヘッドに係る第1の課題解決手段は、請求項1又は請求項2に記載の止水弁を、ヘッド部と把持部との境界部に、シャワー吐出方向に沿って弁軸が移動する向きに向けて設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明の止水弁に係る第1の課題解決手段では、弁内流路に対して交差方向に移動する弁軸と、前記弁内流路を移動する水流が前記弁軸を貫通するように穿設した貫通孔と、前記弁軸を軸方向に移動可能に内嵌した弁筒とを備え、前記弁軸と前記弁筒との間の漏れ防止用のシール部材および前記貫通孔と前記弁筒との間の漏れ防止用のシールパッキンを前記弁筒側に配設したことにより、弁軸に穿設された貫通孔が弁軸の動きに従って水流に対して交差方向に移動するため、弁軸の弁閉弁開間の移動量を最小にすることができ、止水弁を小型化でき、また鋼球を弁体として使用しなくて済むため使用部品点数を大幅に減少することができる。
【0010】
また、止水弁に係る第2の課題解決手段では、前記弁筒における弁軸嵌合部の各端縁部にシール部材保持用の拡径部を形成し、この拡径部に配設されたシール部材を前記拡径部側に押圧保持するシール部材保持体を形成して、前記各端縁部に前記シール部材保持体をそれぞれ被嵌したことにより、弁軸と弁筒との間の漏れ防止用のシール部材が弁筒内面側に設けられ、弁軸に形成された貫通孔の最小移動範囲について漏れ防止ができ、弁軸の長さを短くすることができて、止水弁全体を小型化することができる。
【0011】
また、シャワーヘッドに係る第1の課題解決手段では、ヘッド部と把持部との境界部にシャワー吐出方向に沿って弁軸が移動する向きに向けて止水弁を設けたことにより、シャワーヘッドの腹面及び背面に操作ボタンを配置することができ、小型でしかも片手操作し易い止水弁を設けたシャワーヘッドを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明における以下の実施の形態では、風呂場用シャワーヘッドに止水弁を設けた場合について説明する。
なお、この実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるため具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、特許請求の範囲の記載事項を限定するものではない。
【0013】
〔構成〕
シャワーヘッド10は、図1及び図2に示すように、上端部の下方に向いた面の開口部1cにシャワー吐出をするための細孔を多数個穿設したシャワースクリーン部材1aを皿小ねじ1bで着脱自在に取り付けたヘッド部1と、このヘッド部1に接続し、下方へ湾曲した筒状体に形成され、下端部にはねじ部2aを形成するとともにOリング6を嵌着できるようにした把持部2とを備え、ヘッド部1と把持部2との境界部には、内部に弁筒21を形成し、この弁筒21に弁軸5を往復動自在に挿入し、シャワー吐出側の面(以下、腹面という)に止水ボタン3を配置し、シャワー吐出側と反対側の面(以下、背面という)に吐水ボタン4を配置して、それぞれを弁軸5の各端部に嵌め込んで、止水ボタン3と吐水ボタン4と弁軸5とを一体的に動作できるようにするとともに弁軸5を指で操作できるようにした止水弁20を形成する。
ヘッド部1と把持部2の材質はABS樹脂であり、弁筒21は把持部2の材質と同質とし、弁軸5の材質はABS樹脂であり、止水ボタン3と吐水ボタン4の材質はPP樹脂とする。
【0014】
このシャワーヘッド10では、図2乃至図4で示すように、ヘッド部1と把持部2との境界部に挟み込むように止水弁20を形成し、止水弁20は、図2乃至図6で示すように、把持部2のヘッド側端面に弁筒21の中心軸をシャワー吐出の中心軸と平行な向きにして一体に形成する。
止水弁20を境界部に設けるヘッド部1と把持部2とは、端面をインロー合せにより嵌め合わせ、それぞれ図7と図8に示すように、ヘッド部1に形成された空間の側方空間部1g,1gと、把持部2に形成された端面の両側部に前側に突出した突出部2g,2gとを、その形成された形状に合わせて嵌め合わせることによって位置固定する。ヘッド部1と把持部2との抜け防止には、後述するCリング24(図2)を係合溝21dに掛止して取り付けることによって行う。
【0015】
弁筒21の弁軸嵌合孔21aの向きは中心軸をシャワー吐出方向の中心軸と平行な向きに向け、弁軸5が背面から腹面に向けて移動すると弁開となり、逆に腹面から背面に向けて移動すると弁閉となるように、弁軸5の向きと弁軸内流路を形成する貫通孔5aの位置とを定めて、弁筒21に弁軸5を嵌合する。
弁筒21の側周面には、ヘッド部1のシャワースクリーン部材1aの裏面側にまで挿入して、貫通孔下流側の流路の一部を形成する円筒形状の下流側流路部材21bを突設する。ヘッド部1に下流側流路部材21bを挿入することにより、把持部2の内筒部2cから弁軸5の貫通孔5aを介してヘッド部1のシャワースクリーン部材1aの裏面側まで連通するシャワーヘッド内の流路が形成される。
【0016】
下流側流路部材21bは、弁軸5の貫通孔5aの上流側周面における周縁部を密閉するシールパッキン22の外径よりも、大きな内径を有する円筒形に形成し、外周面には基部にシール部材としてのOリング23を嵌着するためのOリング溝21cを刻設し、先端部に係止用のCリング24を係合するための係合溝21dを刻設する。
弁筒21の弁軸嵌合孔21aを有する円筒部では、各端縁部にシール部材としてのOリング25,25を内嵌するための拡径部21e,21eを刻設し、これらの各端縁部の拡径部21e,21eに内嵌されたOリング25,25を押圧保持するシール部材保持体としてのOリング抑え26,26を軸方向の外方から被嵌する。
【0017】
Oリング抑え26は、図2乃至図6及び図11に示すように、円筒部の一端には弁軸5が貫通する孔26bを穿設した孔明き端面26aを形成し、他端には端部を開放して周上2箇所に幅広の脚26c,26cを軸方向に延設し、各脚26c,26cの先端には外方へ突出する係止用の突出部26d,26dを突設する。突出部26d,26dはヘッド部1の把持部2との係合側の端部に形成されている係合溝1e,1eによって外面をクランプされ、位置固定される。
Oリング抑え26の材質はPOM樹脂とする。
【0018】
弁軸5は、図2乃至図6及び図9に示すように、弁体を筒状に形成し、中央部に弁軸内流路を形成する貫通孔5aを穿設し、背面側に位置する端部には周上2箇所に突出部材5b,5bを外方に突出し、各端縁から中央部側に寄った位置には内径部まで貫通する帯状の切欠き部5c,5dを刻設して,止水ボタン3と吐水ボタン4とにそれぞれ形成されている半割り軸部3a,4aの位置固定用の突起部3b,4bが嵌まり込み、位置固定できるようにする。
【0019】
貫通孔5aの上流側の縁部周面を密閉するシールパッキン22は、図2乃至図4及び図10に示すように、外径は下流側流路部材21bの内径よりも小さくした円筒状に形成し、弁軸5の外面に当接する端面には弁軸外周の湾曲面に合わせた曲面を形成し、弁軸当接側の端部には外周面に外方へリング状に突設したシール用の突設部22a,22aを二条突設し、他端側の外周面には把持部側に設けられたリブ2b,2bと嵌め合う溝22b,22bを刻設する。溝22bは端部では端縁に近づくに従い幅が広がるように形成して、リブ2b,2bと嵌め合いが容易になるように形成する。
シールパッキン22の材質はNBRとする。
【0020】
〔組立〕
シャワーヘッド10に止水弁20を組み込むには、以下のような手順により行なう。
(1) シールパッキン22の取付け(図2,図6乃至図8,図10)
把持部2のヘッド部1側に突出した下流側流路部材21bの開口から、シールパッキン22を突設部22aが形成されていない方の端部を先にして、リブ2b,2bに溝22b,22bが嵌まり込むように挿入し、突設部22aが形成されていない方の端部が把持部2の内部に形成されたストッパ2dに当接するまで挿入する。
【0021】
(2) 止水弁20の組立(図2,図5及び図6,図8乃至図13)
上側のOリング抑え26とOリング25とを順に弁軸5に外嵌し、Oリング抑え26は弁軸5の突出部材5b,5bに当接するまで押し込み、Oリング25はOリング抑え26の内端面に当接して弁筒21の拡径部21eに入り込むまで押し込む。引き続いて、弁軸5のリブ5e,5eを設けた中空部に吐水ボタン4の半割り軸部4aを内嵌するとともに吐水ボタン4の円筒部をOリング抑え26に外嵌し、半割り軸部4aの外周側に突出した突起部4bが弁軸5の切欠き部5cに嵌まり込み位置固定するまで押し込む。
その後、弁軸5を突出部材5b,5bが形成されていない方の端部を背面側から弁筒21の弁軸嵌合孔21aに内嵌し、Oリング抑え26を押し込む。
この押込み量は、最奥部に押し込んだ位置が全開位置になるように予め押込み深さを設定しておく。
【0022】
また、腹面側についてもOリング抑え26および止水ボタン3の取付けを行なう。
弁開位置になっている状態では弁軸5の腹面側に位置する端部が弁筒21から突出して長めにはみ出ている状態になり、この突出している端部にOリング25とOリング抑え26とを順に外嵌し、Oリング25がOリング抑え26に押されて弁筒21の拡径部21eに入り込むまで押し込む。引き続いて、弁軸5のリブ5f,5fを設けた中空部に止水ボタン3の半割り軸部3aを内嵌するとともに止水ボタン3の台形状断面に形成された筒部をOリング抑え26の外周側に位置するように嵌め込み、半割り軸部3aの外周側に突出した突起部3bが弁軸5の切欠き部5cに嵌まり込み、位置固定するまで押し込む。
【0023】
(3) 止水弁下流側の組付け(図3乃至図8)
弁筒21の側面に突出した下流側流路部材21bのOリング溝21cにOリング23を嵌め込み、把持部2の弁筒形成側の端面にヘッド部1の把持部接続側の端面が当接するように、把持部2の下流側流路部材21bをヘッド部1に挿入するとともに互いの嵌合部を嵌め合わせ、シャワースクリーン部材1aを取り付ける開口部1cからCリング24を挿入して下流側流路部材21bの係合溝21dに嵌め付けて、下流側流路部材21bがヘッド部1の嵌合箇所から抜けないようにすることによってヘッド部1と把持部2とを結合する。
ヘッド部1が把持部2に結合するときには、背面側と腹面側との両Oリング抑え26,26の開口側の先端が当接するまで押し込まれ、当接した状態でヘッド部1が把持部2に組み付けられ、ヘッド部1の弁筒21の外周側に位置する支持部材1d,1dに刻設された係合溝1e,1eによって両Oリング抑え26,26の先端に突設された突出部26d,26dが挟持されて、弁軸5が移動してもOリング抑え26,26が動くことがないように位置固定する。
【0024】
(4) シャワースクリーン部材1aの取付け(図2乃至図4,図7)
ヘッド部1と把持部2とを結合した後、開口部1cにシャワースクリーン部材1aを内部の支持部材1f,…,1fに当接して位置が安定するようになるまで嵌め合せ、シャワースクリーン部材1aの中央に穿設した貫通孔1gを介して皿小ねじ1bをヘッド部中央に設けられた支持円筒1hの端部に螺着して、シャワースクリーン部材1aをヘッド部1に組み付ける。
【0025】
〔作用効果〕
このように構成した実施形態においては、図3に示すように、吐水ボタン4を押して弁開にすると、流水は把持部2の内筒部2cからシールパッキン22、弁軸5の貫通孔5aおよび下流側流路部材21bを介してヘッド部1の内部へ流入し、シャワースクリーン部材1aの細孔を介して外部へシャワー吐出する。
図4に示すように、止水ボタン3を押して弁閉にすると、シールパッキン22が弁軸5の外周面に当接して弁軸5の上流側を密封し、把持部2からヘッド部1への流水を止め、シャワー吐出を停止する。
【0026】
これにより、弁軸5に穿設された貫通孔5aが弁軸の動きに従って水流に対して交差方向に移動することになり、弁軸5の弁閉弁開間の移動量を最小にすることができ、止水弁の小型化ができるとともに鋼球を用いることなく止水弁を形成できて構成を簡素化することができる。
また、弁筒21の弁軸嵌合孔21aの端縁部に拡径部21eを形成してOリング溝とし、Oリング抑え26によってOリング溝の一壁面を形成するとともにOリング25の押圧部材を兼ね、組立後のシール性を良くするとともに組立時の弁軸5の外周側へのOリング25の組付けを容易にすることができる。
【0027】
Oリング25,25及びシールパッキン22によって弁軸5の外周側を密封したことにより、弁軸5のシールには、弁開時に貫通孔5aの直近の外周部を封じることができ、弁閉時に貫通孔5aがシールパッキン22から外れてシールパッキン22が貫通孔穿設位置から外れた位置の直近の位置で弁軸外周面に当接して流れを止めることができ、全開から全閉までの移動が最小の移動量で可能になる。このため、従来の弁軸側にOリングやシールパッキンを設けた場合よりもシール材配設に必要な軸方向長さ分を短縮でき、例えば、同じ大きさのシャワーヘッドに組込む弁軸の直径が同じ止水弁では、弁軸5にOリングを設けた場合に比較して弁軸長さがおよそ3mm短縮することができる。
また、弁軸5を射出成形により製作した場合、弁軸5側にOリングを設ける構成では、形成されたOリング溝周辺部が厚肉になり、Oリング溝刻設箇所の周辺部から貫通孔5aの周辺部までの部分が厚肉になって、ヒケが発生し易くなり、シール材の水密性能が低下する恐れが生じるが、実施例の弁軸では、弁軸5の全体を一定肉厚に形成することができ、水密性能を低下させる恐れがない。
【0028】
実施形態のシャワーヘッドでは、握った状態がより自然な形となり、止水弁の操作における指の開きが小さくて済むため、握り状態を維持したままボタン操作をすることができて、シャワーヘッドを握る力がほとんど変わることがなく操作でき、持ち手が安定する。
シャワーヘッドの背面と腹面との間を往復動する操作部を形成したことにより、操作ボタンを大きくすることができ、操作性が良くなり、ボタン操作しても安定してシャワーヘッドを把持することができて、シャワーヘッドの使い勝手が向上する。
また、シャワーヘッドの持ち手に関係のない形状になっているため、利き手が左右どちらでも使用感に差を生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施態様における止水弁を設けたシャワーヘッドを示す斜視図である。
【図2】同上シャワーヘッドを示す分解斜視図である。
【図3】同上シャワーヘッドにおける通水状態を示す縦断面図である。
【図4】同上シャワーヘッドにおける止水状態を示す縦断面図である。
【図5】図3におけるA−A断面で示す横断面図である。
【図6】図3におけるB−B断面で示す部分平面断面図である。
【図7】同上シャワーヘッドのヘッド部を示す部品図であり、(A)は下平面図、(B)は(A)におけるA−A断面で示す縦断面図、(C)は(B)におけるB−B断面で示す平面断面図、(D)は背面図である。
【図8】同上シャワーヘッドの把持部を示す断面図であり、(A)は縦断面図、(B)は(A)におけるB−B断面で示す部分下平面図、(C)は(B)におけるC−C断面で示す正面断面図である。
【図9】同上シャワーヘッドに設けた止水弁の弁軸を拡大して示す部品図であり、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は平面図、(D)は(B)におけるA−A断面で示す縦断面図、(E)は(A)におけるB−B断面で示す縦断面図、(F)は(A)におけるC−C断面で示す平面断面図である。
【図10】同上シャワーヘッドに設けた止水弁のシールパッキンを拡大して示す部品図であり、(A)は平面図、(B)は背面図、(C)は(A)におけるA−A断面で示す縦断面図である。
【図11】同上シャワーヘッドに設けた止水弁のOリング抑えを拡大して示す部品図であり、(A)は側面図、(B)は底面図、(C)は(B)におけるA−A断面で示す縦断面図である。
【図12】同上シャワーヘッドに設けた止水弁の止水ボタンを拡大して示す部品図であり、(A)は底面図、(B)は(A)におけるA−A断面で示す縦断面図、(C)は(A)におけるB−B断面で示す縦断面図、(D)は(B)におけるC部を更に拡大して示す部分拡大断面図である。
【図13】同上シャワーヘッドに設けた止水弁の吐水ボタンを拡大して示す部品図であり、(A)は底面図、(B)は(A)におけるA−A断面で示す縦断面図、(C)は(A)におけるB−B断面で示す縦断面図、(D)は(B)におけるC部を更に拡大して示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 ヘッド部
1c 開口部
1e 係合溝
2 把持部
2b リブ
2c 内筒部
2d ストッパ
3 止水ボタン
4 吐水ボタン
5 弁軸
5a 貫通孔(弁軸内流路)
5b 突出部材
6 Oリング
10 シャワーヘッド
20 止水弁
21 弁筒
21a 弁軸嵌合孔
21b 下流側流路部材
21e 拡径部
22 シールパッキン
22a 突設部
22b 溝
23,25 Oリング
24 Cリング
26 Oリング抑え
26a 孔明き端面
26b 孔
26c 脚
26d 突出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁内流路に対して交差方向に移動する弁軸と、前記弁内流路を移動する水流が前記弁軸を貫通するように穿設した弁軸内流路を形成する貫通孔と、前記弁軸を軸方向に移動可能に内嵌した弁筒とを備え、前記弁軸と前記弁筒との間の漏れ防止用のシール部材および前記貫通孔と前記弁筒との間の漏れ防止用のシールパッキンを前記弁筒側に配設したことを特徴とする止水弁。
【請求項2】
前記弁筒の弁軸嵌合部の各端縁部にシール部材保持用の拡径部を形成し、この拡径部に配設されたシール部材を前記拡径部側に押圧保持するシール部材保持体を形成して、前記各端縁部に前記シール部材保持体をそれぞれ被嵌したことを特徴とする請求項1記載の止水弁。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の止水弁を、ヘッド部と把持部との境界部に、シャワー吐出方向に沿って弁軸が移動する向きに向けて設けたことを特徴とするシャワーヘッド。
【請求項1】
弁内流路に対して交差方向に移動する弁軸と、前記弁内流路を移動する水流が前記弁軸を貫通するように穿設した弁軸内流路を形成する貫通孔と、前記弁軸を軸方向に移動可能に内嵌した弁筒とを備え、前記弁軸と前記弁筒との間の漏れ防止用のシール部材および前記貫通孔と前記弁筒との間の漏れ防止用のシールパッキンを前記弁筒側に配設したことを特徴とする止水弁。
【請求項2】
前記弁筒の弁軸嵌合部の各端縁部にシール部材保持用の拡径部を形成し、この拡径部に配設されたシール部材を前記拡径部側に押圧保持するシール部材保持体を形成して、前記各端縁部に前記シール部材保持体をそれぞれ被嵌したことを特徴とする請求項1記載の止水弁。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の止水弁を、ヘッド部と把持部との境界部に、シャワー吐出方向に沿って弁軸が移動する向きに向けて設けたことを特徴とするシャワーヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−325968(P2006−325968A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−154330(P2005−154330)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(592243553)株式会社タカギ (31)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(592243553)株式会社タカギ (31)
【Fターム(参考)】
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