説明

止水機構

【課題】シール部材等による水密性を確保しつつ、筒体等の挿し込み作業をスムーズになし得るようにすること。
【解決手段】管体Pと調査器具Eを管体内に送り込む筒体2との間の水密を確保する筒体止水部1を、筒体止水部本体3と、切れ目のない環状の筒体シール部材4と、筒体シール押さえ部材5と、フランジパッキン6で構成する。この筒体シール部材4の内径は筒体2の外径とほぼ同じであって、スムーズにこの筒体2を通すことができる。管体Pに通水を開始すると、その水圧によって筒体シール部材4が上向きに移動し筒体シール押さえ部材5の下端に当接し、その当接力によって扁平状に変形する。この変形により筒体シール部材4が、筒体止水部本体3及び筒体2の両方に強く密接し、高い水密性を確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水道管等の管体の内部を調査する調査器具を、水密状態を確保しつつ前記管体内に送り込むための止水機構に関する。
【背景技術】
【0002】
水道管等の管体の内部を調査する調査器具は、管体に挿し込まれた筒体の中に通されて、この筒体の一端側から調査対象箇所まで送り込まれる。そして、この調査器具のケーブルは、筒体の他端側から引き出されて観察装置に接続される。
【0003】
この調査に際しては、水道等の利用者の不便とならないように、管体に水等の流体を流通させた状態のまま行うことが多い。このため、管体への筒体の挿し込み部、及び、筒体からのケーブルの引き出し部において水漏れが生じやすい。この水漏れを防止するため、前記挿し込み部あるいは引き出し部に止水機構を設けて、この水漏れを防止するのが一般的である。この止水機構として、管体の受け口内面に周溝を形成し、この周溝にシール部材(Oリング等)を嵌め込み、この受け口に筒体を挿し込むようにした構成が採用できる。
【0004】
この構成においては、管体と筒体との間の水密性を確保するために、筒体の外径よりも若干小さい内径のシール部材を用いることが多い。この場合、このシール部材が筒体の挿し込みの抵抗となって、その挿し込み作業がスムーズにできない場合がある。筒体とケーブルとの間の止水機構についても同様のことが言える。
【0005】
そこで、特許文献1に示す構成においては、周方向の一部に切れ込みを形成したシール部材を採用している。このシール部材は、管体への筒体の挿し込みがほぼ完了した段階で、その切れ込みを開くことによって筒体に直接設けられる。このようにすれば、シール部材が挿し込みの抵抗となりにくく、スムーズにその挿し込み作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−222813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の構成においては、シール部材に切れ込みを形成しているため、この切れ込みを通って漏水する恐れがあり、水密性の確保の点で問題がある。
【0008】
そこで、この発明は、シール部材等による水密性を確保しつつ、筒体等の挿し込み作業をスムーズになし得るようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、この発明は、管体の内部を調査する調査器具を、水密状態を確保しつつ前記管体内に送り込むための止水機構において、前記管体と前記調査器具を管体内に送り込む筒体との間の水密を確保する筒体止水部を備え、この筒体止水部が、筒体止水部本体と、筒体シール部材と、筒体シール押さえ部材とを有し、前記筒体シール部材が切れ目のない環状をしており、前記筒体止水部本体に設けた前記筒体シール部材に前記筒体を挿し込んで前記管体に通水し、その通水に伴う水圧によって前記筒体シール部材を前記筒体シール押さえ部材に押さえ付け、その押圧力によって前記筒体シール部材を扁平状に変形して、この筒体シール部材によって、前記筒体止水部からの漏水を防止するように止水機構を構成した。
【0010】
この構成においては、筒体の外径とほぼ同じ内径の筒体シール部材を用いる。この筒体シール部材は、筒体止水部本体と筒体の両方に当接した状態となっている。管体への通水前においては、筒体シール部材は元の形状(例えば、断面円形のドーナツ形状)をしており、筒体止水部本体及び筒体への筒体シール部材の密接力は比較的小さい。このため、筒体シール部材にスムーズに筒体を挿し込むことができる。その一方で、通水を開始すると、その水圧によって前記筒体シール部材が筒体シール押さえ部材に押さえ付けられ、その押圧力でこの筒体シール部材の断面が扁平に変形する。すると、筒体シール部材と、筒体止水部本体及び筒体との間の密接力が高まる。しかも、この筒体シール部材の変形は通水開始後直ちに生じるため、水密性に対する信頼性が高い。また、筒体シール部材として、切れ目のない環状のものを採用したので、この切れ目から漏水する恐れがない。
【0011】
前記構成においては、前記筒体止水部本体と、前記筒体止水部に接続する本管側のフランジとの間に、前記筒体の直径と略同径の貫通孔を形成したフランジパッキンを介在させるのが好ましい。
【0012】
前記筒体シール部材は、主として筒体止水部の上部からの漏水を防止する一方で、このフランジパッキンは、主として筒体止水部の下部からの漏水を防止する。このように、筒体シール部材とフランジパッキンを併用することによって、筒体止水部における水密性を一層向上することができる。この筒体止水部は、本管側に設けられた排水フランジや消火栓の取り付け用フランジ等の、種々のフランジに接続可能である。
【0013】
前記各構成においては、前記調査器具のケーブルと前記筒体との間の水密を確保するケーブル止水部を備え、このケーブル止水部が、ケーブル止水部本体と、ケーブル止水部の受け部との間に、前記ケーブルの直径と略同径の貫通孔を形成したケーブルパッキンを介在させたものであって、このケーブルパッキンにケーブル軸方向の押圧力を付与し、その押圧力によって、前記貫通孔の内面と前記ケーブルの外周面とを密接させて、前記ケーブル止水部からの漏水を防止するようにし、前記押圧力が、このケーブルパッキンの径方向の幅中心よりも内径側で最大となる構成とすることができる。
【0014】
この調査器具は、ケーブルの抜き挿しによって調査対象箇所まで案内されるが、ケーブル止水部における水密性の確保が重要である。ケーブルパッキンにケーブル軸方向の押圧力を付与すると、このケーブルパッキンが扁平に変形してケーブルとの間の密接力が高まる。これらの両密接力の作用によって、高い水密性を確保することができる。その一方で、ケーブルパッキンへの押圧力を解除すると、ケーブルパッキンと、ケーブルとの間の密接力が小さくなって、ケーブルを容易に抜き挿しすることができる。
【0015】
また、内径側で強く押圧することにより、ケーブルパッキンの変形量がこの内径側で特に大きくなり、このケーブルパッキンの貫通孔の内径面と、ケーブルの外周面との密接度合いが一層高まる。このため、ケーブル止水部における止水作用がさらに向上する。この内径側の押圧力を高める手法として、ケーブルパッキンに直接当接するケーブル止水部本体や、ケーブルパッキンを保持する受け部に、このケーブルパッキン側に凸状の段差を有する段部を形成したり、ケーブル止水部本体とケーブルパッキンとの間にシール部材を挟み込んだりすることが考えられる。
【0016】
前記各構成とする代わりに、管体の内部を調査する調査器具を、水密状態を確保しつつ前記管体内に送り込むための止水機構において、前記調査器具のケーブルと前記筒体との間の水密を確保するケーブル止水部を備え、このケーブル止水部が、ケーブル止水部本体と、ケーブル止水部の受け部との間に、前記ケーブルの直径と略同径の貫通孔を形成したケーブルパッキンを介在させたものであって、このケーブルパッキンにケーブル軸方向の押圧力を付与し、その押圧力によって、前記貫通孔の内面と前記ケーブルの外周面とを密接させて、前記ケーブル止水部からの漏水を防止するようにし、前記押圧力が、このケーブルパッキンの径方向の幅中心よりも内径側で最大となるように止水機構を構成することもできる。
【0017】
本構成のようにケーブルパッキンにケーブル軸方向の押圧力を付与すると、上述したように、ケーブルパッキンの貫通孔の内径面とケーブルの外周面との間が密接し水密性が大幅に向上する。その一方で、前記押圧力を解除すると、前記密接も解除されて、ケーブルの抜き挿しを容易に行うことができる。
【0018】
さらに、このように内径側で強く押圧することにより、ケーブルパッキンの変形量がこの内径側で特に大きくなり、このケーブルパッキンの貫通孔の内径面と、ケーブルの外周面との密接度合いが一層高まる。このため、ケーブル止水部における止水作用がさらに向上する。この内径側の押圧力を高める手法として、ケーブルパッキンに直接当接するケーブル止水部本体や、ケーブルパッキンを保持する受け部に、このケーブルパッキン側に凸状の段差を有する段部を形成したり、ケーブル止水部本体とケーブルパッキンとの間にシール部材を挟み込んだりすることが考えられる。
【発明の効果】
【0019】
この発明は、調査対象の管体と調査器具を送り込む筒体との間、又は、前記管体と調査器具のケーブルとの間の水密を確保すべく、筒体止水部本体に筒体シール部材を、又は、ケーブル止水部本体にケーブルパッキンを設け、筒体又はケーブルをこの筒体シール部材又はケーブルパッキンに挿し込んだ上で、この筒体シール部材又はケーブルパッキンを変形して筒体又はケーブルの外周面に密接させ、筒体止水部又はケーブル止水部からの漏水を防止するようにした。このようにすれば、筒体又はケーブルを両止水部にスムーズに抜き挿しすることができるとともに、高い水密性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本願発明に係る止水機構(筒体止水部)を示す縦断面図
【図2】筒体止水部の止水作用を示す縦断面図であって、(a)はシール部材の押さえ付け前、(b)はシール部材の押さえ付け後
【図3】本願発明に係る止水機構(ケーブル止水部)の一例を示す縦断面図
【図4】図3に示したケーブル止水部の分解斜視図
【図5】本願発明に係る止水機構(ケーブル止水部)の他例を示す縦断面図
【図6】本願発明に係る止水機構(ケーブル止水部)のさらに他例を示す縦断面図
【図7】本願発明に係る止水機構(筒体止水部及びケーブル止水部)を適用した検査装置の全体構成を示し、(a)は正面図、(b)は側面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明に係る止水機構を構成する筒体止水部1の一実施形態を図1及び図2に示す。この止水機構は、水道管等の管体Pの内部を調査するカメラ等の調査器具Eを、水密状態を確保しつつ管体P内に送り込むためのものであって、管体Pと調査器具Eを管体P内に送り込む筒体2との間の水密を確保する筒体止水部1が、筒体止水部本体3と、筒体シール部材4と、筒体シール押さえ部材5と、フランジパッキン6とを備えている。筒体シール部材4は、切れ目のない環状をしており、筒体止水部本体3の内面に形成された段差部7に設けられている。この筒体シール部材4の内径は筒体2の外径とほぼ同じである。また、フランジパッキン6の中心に形成される貫通孔の直径も、筒体2の外径とほぼ同じである。このため、筒体シール部材4及びフランジパッキン6に、スムーズに筒体2を通すことができる。この筒体止水部1は、フランジパッキン6を介して、排水フランジ8にボルト9で固定されている。
【0022】
筒体シール押さえ部材5には調節ねじ10が設けられており、この調節ねじ10を筒体止水部本体3にねじ込むことによって、筒体シール押さえ部材5が筒体止水部本体3に固定される。この固定状態において、筒体シール部材4と筒体シール押さえ部材5との間には若干の隙間(2〜3mm程度)が生じている。このように隙間を設けることで、筒体2の抜き挿しを容易に行うことができる。このとき、筒体シール部材4は、筒体止水部本体3と筒体2の両方に当接した状態となっている。
【0023】
管体Pに通水を開始すると、その水圧によって筒体シール部材4が上向きに移動し筒体シール押さえ部材5の下端に当接し、その当接力によって図2(b)に示すように扁平状に変形する。すると、筒体シール部材4が、筒体止水部本体3及び筒体2の両方に強く密接する(同図中の左右向き矢印を参照)。このように筒体シール部材4と、筒体止水部本体3及び筒体2とを密接させることにより、高い水密性を確保することができる。
【0024】
筒体シール部材4で、主として筒体止水部1の上部からの漏水を防止する一方で、フランジパッキン6で、主として筒体止水部1の下部からの漏水を防止する。このように、筒体シール部材4とフランジパッキン6を併用することによって、筒体止水部1における水密性を一層向上することができる。なお、筒体シール部材4のみで十分な水密性が確保できる場合は、フランジパッキン6を用いない構成とすることもできる。
【0025】
この発明に係る止水機構を構成するケーブル止水部11の一例を図3に、その分解斜視図を図4にそれぞれ示す。このケーブル止水部11は、調査器具EのケーブルCを水密性を確保しつつ筒体2から引き出すためのものであって、ケーブル止水部本体12と、ケーブルシール部材13と、ケーブルシール押さえ部材14と、ケーブルパッキン15とを備えている。ケーブル止水部本体12及びケーブルシール押さえ部材14は、軸心を含む垂直面によって丁度二分割されている。ケーブルCの先端に設けられた調査器具Eは、このケーブルCの径よりも大径であるのが一般的である。このようにケーブル止水部本体12等を二分割しておけば、調査器具Eを筒体2内に送り込んだ後にこの分割されたケーブル止水部本体12等を一体にして、ケーブルCをケーブル止水部11から引き出すことができる。なお、この分割数は適宜変更することができ、例えば三分割としても同様の作用を発揮する。
【0026】
ケーブル止水部本体12は、固定ねじ16を用いて環状のシール部材17を介してフランジ18にねじ止めされる。ケーブルシール押さえ部材14には、二分割されたワッシャー19が90度回転させた状態で宛がわれた上で、ケーブル止水部本体12に調節ねじ20でねじ止めされる。
【0027】
ケーブルシール部材13は、螺旋状をしており、ケーブル止水部本体12の内面に形成された段差部21に設けられる。このケーブルシール部材13の内径(螺旋の巻き内径)はケーブルCの外径とほぼ同じである。このケーブル止水部11にケーブルCを通す際は、ケーブルシール押さえ部材14をケーブル止水部本体12に固定する調節ねじ19を若干緩めておき、このケーブルシール押さえ部材14とケーブルシール部材13とが強く当接しないようにしておく。このようにすることによって、ケーブルCをケーブルシール部材13にスムーズに通すことができる。
【0028】
ケーブルCをある程度送り込んだら、調節ねじ20を締め付けてケーブル止水部本体12とケーブルシール押さえ部材14とをしっかりとねじ止めする。このとき、ケーブルシール部材13がケーブルシール押さえ部材14によって押さえ付けられて変形する。すると、その螺旋状の内径が縮径して、ケーブルCの外径面に強く密接する。このようにケーブルシール部材13とケーブルCとを密接させることにより、高い水密性を確保することができる。また、ケーブルCを送り込みつつ、水密性も確保し得るように、調節ねじ20の締め付け量を適宜調節することもできる。
【0029】
ケーブルパッキン15は、ケーブル止水部11の受け部22内に設けられており、このケーブル止水部11は、ケーブルパッキン15を介して、受け部22にボルト23で固定されている。このケーブルパッキン15には、その中央にケーブルCとほぼ同じ径の貫通孔24が形成されるとともに、この貫通孔24から外縁部に亘るギザギザ状の切れ込み25が形成されている。調査器具Eをケーブルパッキン15に通す際にこの切れ込み25が開いて、ケーブルCの径よりも大径の調査器具Eをスムーズに通す一方で、この調査器具Eが通った後は切れ込み25が閉じて、ケーブルCを隙間なく貫通孔24に通すことができる。
【0030】
ケーブルシール部材13で、主としてケーブル止水部11の上部からの漏水を防止する一方で、このケーブルパッキン15で、主としてケーブル止水部11の下部からの漏水を防止する。このように、ケーブルシール部材13とケーブルパッキン15を併用することによって、ケーブル止水部11における水密性を一層向上することができる。
【0031】
この実施形態においては、フランジ18の凹部の深さtとケーブル止水部本体12のフランジの厚みtはほぼ同じである。このため、ケーブル止水部本体12とフランジ18との間に厚みがtのシール部材17が介することにより、ケーブル止水部本体12とフランジ18の下面に高さがtの段差が生じる。この段差によって、ケーブルパッキン15の径方向の幅中心よりも内径側で、このケーブルパッキン15にケーブル軸方向の強い押圧力が作用する。このように内径側で強い押圧力が作用すると、ケーブルパッキン15の変形量がこの内径側で特に大きくなり、このケーブルパッキン15の貫通孔24の内径面と、ケーブルCの外周面との密接度合いが一層高まる。さらに、この押圧力によりケーブルパッキン15の切れ込み25が閉じる作用も期待でき、ケーブル止水部11における止水作用が向上する。また、同図中には示していないが、ケーブル止水部本体12の対向する分割面にゴム等の止水部材を挟み込むことにより、その止水作用が一層高まることも期待できる。
【0032】
なお、ケーブルパッキン15のみで十分な水密性が確保できる場合は、ケーブルシール部材13を用いない構成とすることもできる。
【0033】
この発明に係る止水機構を構成するケーブル止水部11の他例を図5に示す。このケーブル止水部11は、シール部材17を用いない代わりに、受け部22の上面のケーブルCを通す貫通孔寄りに、高さがtの段差を形成した点において図3等に示したものと異なる。このように段差を形成することによっても、ケーブルパッキン15の内径側でケーブル軸方向の強い押圧力を作用させることができ、上記と同様に、ケーブル止水部11における止水作用を一層高めることができる。
【0034】
この発明に係る止水機構を構成するケーブル止水部11のさらに他例を図6に示す。ボルト23のねじ込みのみによってケーブルパッキン15に強い押圧力を作用させて止水作用を発揮し得るのであれば、同図のように、シール部材17を用いたり、受け部22に段差を形成したりしない構成ももちろん採用することができる。
【0035】
上記の各実施形態のようにケーブルシール部材13を螺旋状とする代わりに、筒体シール部材4と同様に、切れ目のない環状のものを用いることもできる。ケーブルシール押さえ部材14によるケーブルシール部材13の押さえ付けによって、上述したのと同様に、高い水密性を確保することができるためである。
【0036】
上記実施形態として、ケーブル止水部本体12等を分割した態様について示したが、ケーブルCの外径と、調査器具Eの部分の外径がほぼ同一の場合は、これらを分割した態様とする必要はない。ケーブル止水部本体12等に形成された貫通孔を通して、調査器具Eをスムーズに筒体2内に送り込むことができるためである。
【0037】
止水機構として、筒体止水部1とケーブル止水部11の両方を採用した検査装置全体の外観を図7に示す。消火栓等の給水設備を接続する管体P(T字管)には仕切り弁26が設けられ、この仕切り弁26に、排水フランジ8を介して筒体止水部1が設けられる。この仕切り弁26、排水フランジ8、筒体止水部1を貫通するように、筒体2が同軸に挿し込まれる。この筒体止水部1によって、排水フランジ8と筒体2との間の水密性が確保される。この筒体2の上端側には、ケーブル止水部11が設けられ、このケーブル止水部11でケーブルCと筒体2との間の水密性が確保されるとともに、このケーブルCが筒体2の外部に引き出される。筒体2の挿し込みは、ケーブル止水部11側に固定された挿入用ハンドル27に設けられたレバーブロック28を操作して、排水フランジ8側に挿入用ハンドル27を引き寄せることによって行われる。
【0038】
この検査装置においては、止水機構として、筒体止水部1とケーブル止水部11の両方を採用した態様について示したが、いずれか一方の止水部を採用した態様とすることもできる。
【符号の説明】
【0039】
1 筒体止水部
2 筒体
3 筒体止水部本体
4 筒体シール部材
5 筒体シール押さえ部材
6 フランジパッキン
7 段差部
8 排水フランジ(本管側のフランジ)
9 ボルト
10 調節ねじ
11 ケーブル止水部
12 ケーブル止水部本体
13 ケーブルシール部材
14 ケーブルシール押さえ部材
15 ケーブルパッキン
16 固定ねじ
17 シール部材
18 フランジ
19 ワッシャー
20 調節ねじ
21 段差部
22 受け部
23 ボルト
24 貫通孔
25 切れ込み
26 仕切り弁
27 挿入用ハンドル
28 レバーブロック
C ケーブル
E 調査器具
P 管体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管体(P)の内部を調査する調査器具(E)を、水密状態を確保しつつ前記管体(P)内に送り込むための止水機構において、
前記管体(P)と前記調査器具(E)を管体(P)内に送り込む筒体(2)との間の水密を確保する筒体止水部(1)を備え、この筒体止水部(1)が、筒体止水部本体(3)と、筒体シール部材(4)と、筒体シール押さえ部材(5)とを有し、
前記筒体シール部材(4)が切れ目のない環状をしており、前記筒体止水部本体(3)に設けた前記筒体シール部材(4)に前記筒体(2)を挿し込んで前記管体(P)に通水し、その通水に伴う水圧によって前記筒体シール部材(4)を前記筒体シール押さえ部材(5)に押さえ付け、その押圧力によって前記筒体シール部材(4)を扁平状に変形して、この筒体シール部材(4)によって、前記筒体止水部(1)からの漏水を防止するようにしたことを特徴とする止水機構。
【請求項2】
前記筒体止水部本体(3)と、前記筒体止水部(1)に接続する本管側のフランジ(8)との間に、前記筒体(2)の直径と略同径の貫通孔を形成したフランジパッキン(6)を介在させたことを特徴とする請求項1に記載の止水機構。
【請求項3】
前記調査器具(E)のケーブル(C)と前記筒体(2)との間の水密を確保するケーブル止水部(11)を備え、このケーブル止水部(11)が、ケーブル止水部本体(12)と、ケーブル止水部(11)の受け部(22)との間に、前記ケーブル(C)の直径と略同径の貫通孔(24)を形成したケーブルパッキン(15)を介在させたものであって、このケーブルパッキン(15)にケーブル(C)軸方向の押圧力を付与し、その押圧力によって、前記貫通孔(24)の内面と前記ケーブル(C)の外周面とを密接させて、前記ケーブル止水部(11)からの漏水を防止するようにし、前記押圧力が、このケーブルパッキン(15)の径方向の幅中心よりも内径側で最大となることを特徴とする請求項1又は2に記載の止水機構。
【請求項4】
管体(P)の内部を調査する調査器具(E)を、水密状態を確保しつつ前記管体(P)内に送り込むための止水機構において、
前記調査器具(E)のケーブル(C)と前記筒体(2)との間の水密を確保するケーブル止水部(11)を備え、このケーブル止水部(11)が、ケーブル止水部本体(12)と、ケーブル止水部(11)の受け部(22)との間に、前記ケーブル(C)の直径と略同径の貫通孔(24)を形成したケーブルパッキン(15)を介在させたものであって、このケーブルパッキン(15)にケーブル(C)軸方向の押圧力を付与し、その押圧力によって、前記貫通孔(24)の内面と前記ケーブル(C)の外周面とを密接させて、前記ケーブル止水部(11)からの漏水を防止するようにし、前記押圧力が、このケーブルパッキン(15)の径方向の幅中心よりも内径側で最大となることを特徴とする止水機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−96160(P2013−96160A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240883(P2011−240883)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.レバーブロック
【出願人】(000142595)株式会社栗本鐵工所 (566)
【Fターム(参考)】