説明

止血をモジュレートする組成物およびその使用法

本発明は、出血エピソード時の失血または出血を予防または軽減するための方法および組成物における、ヘビ毒FVポリペプチドの使用法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は一般に、対象における失血または出血を予防または軽減するための方法および作用物質に関する。より詳細には、本発明は、出血エピソード(bleeding episode)時の失血または出血を予防または軽減するために、ヘビ毒FVを含む薬学的組成物を対象に投与することに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
血管損傷に反応した血液凝固は、生物体が生存し続けるために必要不可欠である。手術中または損傷もしくは外傷の後に失血を抑えることの重要性から、血液凝固を促進するか、または血餅の溶解(線維素溶解性のプラスミン/プラスミノーゲン経路などによる;Royston et al., 1990, Blood Coagul. Fibrinol. 1: 53(非特許文献1);Orchard et al., 1993, Br. J. Haematol. 85: 596(非特許文献2))を抑制するかのいずれかである調節因子の同定は、強い関心を集める領域となっている。
【0003】
凝固過程はさまざまな血液成分または血液因子の複雑な相互作用によって媒介され、それは最終的にフィブリン塊を生じさせる。一般に、凝固「カスケード」と称されるものに関与する血液成分は、それ自体が活性化凝固因子であるアクチベーターの作用によってタンパク質分解酵素に変換される酵素的に不活性なタンパク質であるプロ酵素またはチモーゲンである。そのような変換を受けた凝固因子は、一般に「活性因子」と称され、末尾に小文字の「a」を加えることによって表記される(例えば、第VIIa因子)。
【0004】
凝固カスケードにおける重要な段階の1つは、プロトロンビナーゼ複合体(FXaがFVaと複合体化したもの)によるプロトロンビンのトロンビンへの変換であり、これについてはSuttie, J. W and Jackson, C. M, 1977, Physiol Rev, 57: 1-70(非特許文献3)を参照されたい。第X因子(FX)の活性化を促進する系または経路は2つある。「内因性経路」は、血漿中にのみ存在する因子の利用を通じてトロンビン形成を導く反応のことを指す。一連のプロテアーゼ媒介活性化は、最終的には第IXa因子(FIXa)を生じさせ、これは第VIIIa因子(FVIIIa)と共同して、Ca2+およびリン脂質の存在下でFXをFXaへと切断する。全く同じタンパク質分解が、血液凝固の「外因性経路」において、第VIIa因子(FVIIa)およびその補助因子である組織因子によって引き起こされる。組織因子は膜結合タンパク質であり、通常は血漿中で循環することはない。しかし、血管が破壊されると、それはFVIIaと複合体を形成して、Ca2+およびリン脂質の存在下でFX活性化または第IX因子(FIX)活性化を触媒することができる(Nemerson and Gentry, 1986, Biochem. 25: 4020-4033(非特許文献4))。止血におけるこの2つの凝固経路の相対的な重要性は明確ではないが、近年ではFVIIおよび組織因子が血液凝固の調節に中心的な役割を果たすことが見いだされている。
【0005】
第VII因子は、血液中を一本鎖チモーゲンとして循環する微量の血漿中糖タンパク質である。このチモーゲンは触媒的に不活性である(Williams et al., J. Biol. Chem. 264: 7536-7543 (1989)(非特許文献5);Rao et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 85: 6687-6691(非特許文献6))。一本鎖FVIIは、インビトロでFXa、FXIIa、FIXaまたはトロンビンによって二本鎖FVIIaに変換されうる。FXaはFVIIの主要な生理的アクチベーターであると考えられている。止血に関与するいくつかの他の血漿タンパク質と同様に、FVIIはその活性の点でビタミンKに依存しており、それはこのタンパク質のアミノ末端にクラスター化している複数のグルタミン酸残基のγ-カルボキシル化のために必要である。これらのγ-カルボキシル化グルタミン酸はFVIIとリン脂質との金属関連相互作用のために必要である。
【0006】
第V因子(FV)は、一本鎖分子として合成される大型の糖タンパク質であり、哺乳動物では血液中を、セリンプロテアーゼで活性化されるFXの不活性補助因子として循環する。損傷または外傷時に必要になると、FVはトロンビンまたはFXaによるタンパク質分解によって活性化される。活性化の過程でBドメインが放出されて、活性化FVaが生じる。FVaは、重鎖(A1-A2ドメインを含む)および軽鎖(A3-C1-C2ドメインを含む)という2本の鎖を有し、これらはCa2+依存的な非共有結合性の相互作用によって結び付けられている。
【0007】
ヒトFVaは活性化タンパク質C(APC)によるタンパク質分解によって不活性化され、それは止血バランスを維持するための有効な調節機構となっている。APCはビタミンK依存性セリンプロテイナーゼであり、ヒトFVaをアミノ酸位置334、534および679で切断して、ヒトFVaを不活性FVに変換し、それによってプロトロンビナーゼ複合体を不安定化するとともにトロンビン生成の速度を低下させる。
【0008】
プロトロンビンの活性化が生理的に意味のある速度で起こるためには、FXaは、Ca2+イオンの存在下でリン脂質膜上に集合してFVaとプロトロンビナーゼ複合体を形成しなければならない(Suttie & Jackson, 1977, Physiol. Rev. 57: 1(非特許文献7))。この複合体の形成は、FXaのみによる触媒作用と比較して、プロトロンビンの活性化を105倍に増強する。
【0009】
オーストラリアブラウンスネーク(シュードナジャ-テクスチリス(Pseudonaja textilis)および関連種)および2種のタイパン(オキシウラヌス-スキュテルス(Oxyuranus scutellus)(沿岸タイパン)およびオキシウラヌス-ミクロレピドータス(Oxyuranus microlepidotus)(内陸タイパン))は、ヒトプロトロンビナーゼ複合体によく似た、FVa様補助因子と複合体を形成したFXa様プロテアーゼで構成される強力な凝血促進性毒素である毒(venom)を産生するという点で特異である(Masci et al., 1988, Biochem Int, 17: 825-835(非特許文献8))。P.テクスチリスのFVa様プロテアーゼは、APC切断部位334および534を欠いており、それ故、切断部位を1つしか持たないためにその不活性型にヒトFVaと同じ速度では変換されない。
【0010】
米国特許第7,125,846号は、ヒトFVポリペプチドをヒトFVIIポリペプチドと同時または逐次のいずれかで組み合わせて投与することによって、出血エピソードおよび凝固障害(coagulation disorder)を治療する方法を開示している。この投与は、FVIIaまたはFVのいずれかを単独で投与した場合の凝固時間、血餅の堅固さおよび抵抗性と比べて、凝固時間の短縮、より堅固な血餅、および線維素溶解に対する抵抗性の増大を提供するものとして開示されている。
【0011】
本発明は、一部には、ヘビ毒FVaタンパク質(例えば、P.テクスチリスFVaタンパク質)が単独でヒトFXaと複合体を形成して血液を効率的に凝固させるという発見を根拠に置いている。この発見は、ヘビ毒FVaタンパク質が、ヒトでは損傷部位に限局しているFXaの存在下のみにおいてプロトロンビナーゼ複合体を形成する(そして血液を凝固させる)と考えられ、ヘビ毒FVaタンパク質を、望ましくない部位で血液を凝固させることなしに対象に注射することを可能にすることから、非常に有利である。ヘビ毒FVポリペプチドの例証的な実例は、以下の利点を含む:(1)プロトロンビンからのトロンビンの最大限の生成のために必要なヘビ毒FVタンパク質の量が、nM濃度の範囲にある;(2)ヘビ毒由来のFVは血液を凝固させるためにFXaのみを必要とし、一方、FVIIaは組織因子、Ca2+およびリン脂質を必要とする;(3)ヘビ毒FVアミノ酸配列はヒトFV配列よりもAPC切断部が少ないため、ヘビ毒FVタンパク質は極めて安定であり、APCによって容易には分解されない;(4)内因性FVは限られているため、ヘビ毒FVの添加によって、律速性プロトロンビナーゼ複合体の濃度を、FVIIaの添加によって達成しうるよりもはるかに高い濃度に上昇させることができる;および(5)活性のためにヘビ毒FXaは必要でない。いずれか1つの理論または作動形態に拘束されることは望まないが、哺乳動物血液中のFVaの濃度は通常は極めて低く、それから形成されるFVの濃度も同じく極めて低いため、ヘビ毒FVaの投与は全体的FVa濃度を上昇させ、それ故にプロトロンビナーゼ複合体の濃度を上昇させると考えられる。これはひいては、血餅形成の速度を、損傷部位で必要になった時に実質的に上昇させると考えられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Royston et al., 1990, Blood Coagul. Fibrinol. 1: 53
【非特許文献2】Orchard et al., 1993, Br. J. Haematol. 85: 596
【非特許文献3】Suttie, J. W and Jackson, C. M, 1977, Physiol Rev, 57: 1-70
【非特許文献4】Nemerson and Gentry, 1986, Biochem. 25: 4020-4033
【非特許文献5】Williams et al., J. Biol. Chem. 264: 7536-7543 (1989)
【非特許文献6】Rao et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 85: 6687-6691
【非特許文献7】Suttie & Jackson, 1977, Physiol. Rev. 57: 1
【非特許文献8】Masci et al., 1988, Biochem Int, 17: 825-835
【発明の概要】
【0013】
したがって、1つの局面において、本発明は、対象における出血エピソードまたは凝固障害の治療または予防のための方法を提供する。これらの方法は一般に、ヘビ毒FVポリペプチドの出血抑制有効量を対象に投与する段階を含む。いくつかの態様において、ヘビ毒FVポリペプチドは:(a)SEQ ID NO:2、4、6、8、10もしくは12のいずれか1つに示された配列に対して、少なくとも50%(ならびに少なくとも51%〜少なくとも99%、およびそれらの間のすべての整数パーセンテージ)の配列類似性もしくは配列同一性を有するアミノ酸配列;または(b)SEQ ID NO:1、3、5、7、9もしくは11のいずれか1つに示された配列またはそれらの相補物に対して少なくとも50%(ならびに少なくとも51%〜少なくとも99%およびそれらの間のすべての整数パーセンテージ)の配列類似性もしくは配列同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列;または(c)SEQ ID NO:1、3、5、7、9もしくは11のいずれか1つに示された配列またはそれらの相補物と、少なくとも低、中または高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列、を含み、ここで(a)、(b)または(c)のアミノ酸配列は、以下からなる群より選択される任意の1つまたは複数の活性を有する:出血抑制活性、凝固時間短縮活性;止血強化活性;血餅溶解時間延長活性;および血餅強度増大活性。好適には、ヘビ毒FVポリペプチドは、薬学的に許容される担体を含む組成物の形態で投与される。
【0014】
1つの関連した局面において、本発明は、本明細書で広義に定義されたヘビ毒FVポリペプチド、および薬学的に許容される担体を含む、または本質的にそれらからなる薬学的組成物を提供する。好適には、組成物は、全身投与用または局所投与(例えば、局部投与または静脈内投与)用に製剤化される。いくつかの態様において、組成物はFVIIおよび/またはFVIIaを含まない。いくつかの態様において、組成物はヘビ毒FXaを含まない。
【0015】
いくつかの態様において、ヘビ毒FVポリペプチドは、例えば図7に示されているように、軽鎖および重鎖ドメインを含む。好適には、活性化ペプチドは、例えば図7に示されているように、軽鎖ドメインと重鎖ドメインとの間に介在する。しかし、特定的な態様において、この活性化ペプチドはヘビ毒FVポリペプチドから欠如している。
【0016】
いくつかの態様において、ヘビ毒FVポリペプチドは、以下のうち1つまたは複数を含む:(a)重鎖領域内のマルチ銅オキシダーゼドメイン;(b)軽鎖領域内のマルチ銅オキシダーゼドメイン;および(c)典型的には軽鎖領域内のC末端膜結合ドメイン。このタイプの例証的な実例において、ヘビ毒FVポリペプチドは以下を含む:(i)重鎖領域内の少なくとも1つの(例えば、2つの)マルチ銅オキシダーゼドメイン;(ii)軽鎖領域内のマルチ銅オキシダーゼドメイン;および(c)軽鎖領域内の少なくとも1つの(例えば、2つの)膜結合ドメイン。
【0017】
いくつかの態様において、ヘビ毒FVポリペプチドは、以下のうち1つまたは複数を含む:(1)例えばEuropean Bioinformatics Institute(EBI)データベース中にInterProシグネチャIPR008972およびSuperfamilyエントリSSF49503として定義されているキュプレドキシンドメイン;(2)例えばEBI InterProデータベース中にInterProシグネチャIPR002355およびPrositeエントリPS00079として定義されているマルチ銅オキシダーゼ1型(銅結合部位)ドメイン(本明細書ではマルチ銅_オキシダーゼ1ドメインとも称する);(3)例えばEBIデータベース中にInterProシグネチャIPR011706およびPfamエントリPF07731として定義されているマルチ銅オキシダーゼ2型ドメイン(本明細書ではCu-オキシダーゼ_2ドメインとも称する);(4)例えばEBIデータベース中にInterProシグネチャIPR000421およびSMARTアクセッション番号SM00231として定義されている凝固因子5/8 C型ドメイン(本明細書ではFA58Cドメインとも称する);(5)例えばEBIデータベース中にInterProシグネチャIPR000421およびPrositeエントリPS50022として定義されている凝固因子5/8 C末端ドメイン(本明細書ではFA58C_3ドメインとも称する);(6)例えばEBIデータベース中にInterProシグネチャIPR000421およびPfamエントリPF00754として定義されている凝固因子5/8 C型ドメイン(本明細書ではF5_F8_type_Cドメインとも称する)、(7)例えばEBIデータベース中にInterProシグネチャIPR008979およびSuperfamilyエントリSSF49785として定義されているガラクトース結合様ドメイン(本明細書ではGal_bind_likeドメインとも称する);(8)例えばEBIデータベース中にInterProシグネチャIPR000421およびPrositeエントリPS01285として定義されている凝固因子5/8 C型シグネチャ1ドメイン(本明細書ではFA58C_1ドメインとも称する);(9)例えばEBIデータベース中にInterProシグネチャIPR000421およびPrositeエントリPS01286として定義されている凝固因子5/8 C型シグネチ 2ドメイン(本明細書ではFA58C_2ドメインとも称する);ならびに(10)例えばEBIデータベース中にInterProシグネチャIPR0014693およびProtein Information ResourceエントリPIRSF5000150として定義されている凝固因子Vドメイン(本明細書ではFactor_Vドメインとも称する);またはそれらの生物活性断片。このタイプの例証的な実例において、ヘビ毒FVポリペプチドは以下を含む:(1)少なくとも1つのキュプレドキシンドメイン(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのドメイン);(2)少なくとも1つのマルチ銅_オキシダーゼ1ドメイン(例えば、1つ、2つまたは3つのドメイン);(3)1つのCu-オキシダーゼ_2ドメイン;(4)少なくとも1つのFA58Cドメイン(例えば、1つまたは2つのドメイン);(5)少なくとも1つのFA58C_3ドメイン(例えば、1つまたは2つのドメイン);(6)少なくとも1つのF5_F8_type_Cドメイン(例えば、1つまたは2つのドメイン)、(7)少なくとも1つのGal_bind_likeドメイン(例えば、1つまたは2つのドメイン);(8)少なくとも1つのFA58C_1ドメイン(例えば、1つまたは2つのドメイン);(9)少なくとも1つのFA58C_2ドメイン(例えば、1つまたは2つのドメイン);および(10)1つのFactor_Vドメイン。いくつかの態様において、ヘビ毒FVポリペプチドはシグナルペプチドドメインを含む。他のものにおいて、それはシグナルペプチドドメインを欠いている。
【0018】
いくつかの態様において、ヘビ毒FVポリペプチドは:(a)A1ドメイン;(b)A2ドメイン;(c)Bドメイン、これは活性化ドメインとも互換的に称される;(d)A3ドメイン;(e)C1ドメイン;および(f)C2ドメインのうち1つまたは複数を含み、ここで:A1、A2およびA3ドメインは、例えばEBIデータベース中にInterProシグネチャIPR001117として定義されているマルチ銅オキシダーゼドメインの分岐進化バージョン(diverged version)である;Bドメインは活性化の際に除去される;かつ、C1およびC2は、例えばEBIデータベース中にInterProシグネチャIPR000421として定義されている膜結合促進ドメインである。このタイプの例証的な実例において、ヘビ毒FVポリペプチドは、A1、A2およびA3ドメインならびにC1およびC2ドメインを含む。
【0019】
代表的なドメインは、天然に存在する種のドメインと長さが同じであるか、または非常に類似している(例えば、1個、2個、3個、4個、5個もしくはさらには10個の残基が異なる)。ある態様において、ヘビ毒FVポリペプチドは、以下のドメインのうち1つまたは複数(場合によってはすべて)を含む(番号付けは、図7中のコンセンサス番号付けのことを指す):
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVポリペプチド(本明細書では「ヘビ毒FV」とも称する)のいずれかの残基31〜772によって定義される重鎖ドメインに対して、少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%もしくは98%の配列類似性もしくは配列同一性を有するか、または1個、2個、3個、5個もしくはさらには10個、15個もしくは20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基773〜817によって定義される活性化ドメイン、本明細書では互換的にBドメインとも称されるものに対して、少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%もしくは98%の配列類似性もしくは配列同一性を有するか、または1個、2個、3個、5個もしくはさらには10個、15個もしくは20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基818〜1461によって定義される軽鎖ドメインに対して、少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%もしくは98%の配列類似性もしくは配列同一性を有するか、または1個、2個、3個、5個もしくはさらには10個、15個もしくは20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基31〜208、209〜337、351〜530、500〜682、823〜997および963〜1153によって定義されるキュプレドキシンドメインのいずれか1つに対して、少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%もしくは98%の配列類似性もしくは配列同一性を有するか、または1個、2個、3個、5個もしくはさらには10個、15個もしくは20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基307〜327、662〜681および1120〜1138によって定義されるマルチ銅_オキシダーゼ1ドメインのいずれか1つに対して、少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%もしくは98%の配列類似性もしくは配列同一性を有するか、または1個、2個、3個、5個もしくはさらには10個、15個もしくは20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基581〜687によって定義されるCu-オキシダーゼ_2ドメインに対して、少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%もしくは98%の配列類似性もしくは配列同一性を有するか、または1個、2個、3個、5個もしくはさらには10個、15個もしくは20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基1147〜1298および1303〜1457によって定義されるGal_bind_likeドメインのいずれか1つに対して、少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%もしくは98%の配列類似性もしくは配列同一性を有するか、または1個、2個、3個、5個もしくはさらには10個、15個もしくは20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基1146〜1296および1302〜1455によって定義されるFA58Cドメインのいずれか1つに対して、少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%もしくは98%の配列類似性もしくは配列同一性を有するか、または1個、2個、3個、5個もしくはさらには10個、15個もしくは20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基1147〜1296および1303〜1455によって定義されるFA58C_3ドメインのいずれか1つに対して、少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%もしくは98%の配列類似性もしくは配列同一性を有するか、または1個、2個、3個、5個もしくはさらには10個、15個もしくは20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基1141〜1455によって定義されるFA58C_2ドメインに対して、少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%もしくは98%の配列類似性もしくは配列同一性を有するか、または1個、2個、3個、5個もしくはさらには10個、15個もしくは20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基1187〜1215および1347〜1374によって定義されるFA58C_1ドメインのいずれか1つに対して、少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%もしくは98%の配列類似性もしくは配列同一性を有するか、または1個、2個、3個、5個もしくはさらには10個、15個もしくは20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;および
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基1162〜1293および1318〜1452によって定義されるF5_F8_type_Cドメインのいずれか1つに対して、少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%もしくは98%の配列類似性もしくは配列同一性を有するか、または1個、2個、3個、5個もしくはさらには10個、15個もしくは20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン。
【0020】
いくつかの態様において、ヘビ毒FVポリペプチドは、以下のドメインのうち1つまたは複数(場合によってはすべて)を含む(番号付けは、図7中のコンセンサス番号付けのことを指す):
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基31〜348によって定義されるA1ドメインに対して、少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%もしくは98%の配列類似性もしくは配列同一性を有するか、または1個、2個、3個、5個もしくはさらには10個、15個もしくは20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基349〜691によって定義されるA2ドメインに対して、少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%もしくは98%の配列類似性もしくは配列同一性を有するか、または1個、2個、3個、5個もしくはさらには10個、15個もしくは20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基772〜817によって定義されるBドメインに対して、少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%もしくは98%の配列類似性もしくは配列同一性を有するか、または1個、2個、3個、5個もしくはさらには10個、15個もしくは20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基819〜1148によって定義されるA3ドメインに対して、少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%もしくは98%の配列類似性もしくは配列同一性を有するか、または1個、2個、3個、5個もしくはさらには10個、15個もしくは20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基1149〜1299によって定義されるC1ドメインに対して、少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%もしくは98%の配列類似性もしくは配列同一性を有するか、または1個、2個、3個、5個もしくはさらには10個、15個もしくは20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;および
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基1300〜1461によって定義されるC2ドメインに対して、少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%もしくは98%の配列類似性もしくは配列同一性を有するか、または1個、2個、3個、5個もしくはさらには10個、15個もしくは20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン。
【0021】
いくつかの態様において、活性化ドメインまたはBドメインは欠如している。
【0022】
特定的な態様において、重鎖は、配列:

を含み、
式中、
X1は塩基性アミノ酸残基(例えば、ArgもしくはHisまたはそれらの改変形態)から選択される;
X2は、疎水性アミノ酸残基(例えば、IleもしくはLeuまたはそれらの改変形態などの脂肪族側鎖を有するアミノ酸残基)から選択される;
X3は、酸性アミノ酸残基(例えば、GluもしくはAspまたはそれらの改変形態)から選択される;
X4は、荷電アミノ酸残基(例えば、Lysもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基、またはGluもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基)から選択される;
X5は、任意のアミノ酸残基(例えば、Leuもしくはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基、またはProもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基)から選択される;
X6は、任意のアミノ酸残基(例えば、Gluもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基、またはAlaもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基)から選択される;
X7は、任意のアミノ酸残基(例えば、Ileもしくはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基、またはSerもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基)から選択される;
X8は、任意のアミノ酸残基(例えば、Asnもしくはその改変形態などの中性/極性アミノ酸残基、またはAspもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基)から選択される;
X9は、小型アミノ酸残基(例えば、SerもしくはAlaまたはそれらの改変形態)から選択される;
X10は、疎水性アミノ酸残基(例えば、MetもしくはValまたはそれらの改変形態などの脂肪族側鎖を有するアミノ酸残基)から選択される;
X11は、任意のアミノ酸残基(例えば、Aspもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基、またはAsnもしくはその改変形態などの中性/極性アミノ酸残基)から選択される;
X12は、任意のアミノ酸残基(例えば、Proもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基、またはLeuもしくはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基)から選択される;
X13は、任意のアミノ酸残基(例えば、Asnもしくはその改変形態などの中性/極性アミノ酸残基、またはAspもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基)から選択される;
X14は、任意のアミノ酸残基(例えば、Hisもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基、またはAsnもしくはその改変形態などの中性/極性アミノ酸残基)から選択される;
X15は、任意のアミノ酸残基(例えば、Asnもしくはその改変形態などの中性/極性アミノ酸残基、またはAspもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基)から選択される;
X16は、疎水性アミノ酸残基(例えば、Leuもしくはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するアミノ酸残基、またはTrpもしくはその改変形態などの芳香族側鎖を有するアミノ酸残基)から選択される;
X17は、任意のアミノ酸残基(例えば、Metもしくはその改変形態などのイオウ含有側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基;またはArgもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;
X18は、塩基性アミノ酸残基(例えば、ArgもしくはLysまたはその改変形態)から選択される;
X19は、任意のアミノ酸残基(例えば、Metもしくはその改変形態などのイオウ含有側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基;またはLysもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;
X20は、任意のアミノ酸残基(例えば、Asnもしくはその改変形態などの中性/極性アミノ酸残基、またはLysもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;
X21は、小型アミノ酸残基(例えば、ProもしくはAlaまたはそれらの改変形態)から選択される;
X22は、小型アミノ酸残基(例えば、GlyもしくはSerまたはそれらの改変形態)から選択される;
X23は、疎水性アミノ酸残基(例えば、IleもしくはValまたはそれらの改変形態などの脂肪族側鎖を有するアミノ酸残基)から選択される;
X24は、任意のアミノ酸残基(例えば、脂肪族側鎖を有するものもしくはその改変形態を含む疎水性アミノ酸残基、またはAlaもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基)から選択される;
X25は、任意のアミノ酸残基(例えば、Leuもしくはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基;またはArgもしくはHisもしくはそれらの改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;
X26は、疎水性アミノ酸残基(例えば、IleもしくはValまたはそれらの改変形態などの脂肪族側鎖を有するアミノ酸残基)から選択される;
X27は、塩基性アミノ酸残基(例えば、ArgもしくはLysまたはその改変形態)から選択される;
X28は、小型アミノ酸残基(例えば、SerもしくはAlaまたはそれらの改変形態)から選択される;
X29は、疎水性アミノ酸残基(例えば、Leuもしくはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するアミノ酸残基、またはTrpもしくはその改変形態などの芳香族側鎖を有するアミノ酸残基)から選択される;
X30は、任意のアミノ酸残基(例えば、Glyもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基、またはArgもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;
X31は、任意のアミノ酸残基(例えば、Glnもしくはその改変形態などの中性/極性アミノ酸残基、またはGluもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基)から選択される;
X32は、任意のアミノ酸残基(例えば、Serもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基、またはAsnもしくはその改変形態などの中性/極性アミノ酸残基、またはIleもしくはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基)から選択される;
X33は、小型アミノ酸残基(例えば、ProもしくはSerまたはそれらの改変形態)から選択される;
X34は、任意のアミノ酸残基(例えば、Lysもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基、またはIleもしくはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基)から選択される;
X35は、疎水性アミノ酸残基(例えば、LeuもしくはIleもしくはそれらの改変形態などの脂肪族側鎖を有するアミノ酸残基、またはPheもしくはその改変形態などの芳香族側鎖を有するアミノ酸残基)から選択される;
X36は、任意のアミノ酸残基(例えば、Aspもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基、またはGlyもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基)から選択される;
X37は、存在しないか、または疎水性アミノ酸残基(例えば、Ileまたはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するもの)から選択される;
X38は、任意のアミノ酸残基(例えば、Lysまたはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基、およびGluまたはその改変形態などの酸性アミノ酸残基を含む荷電アミノ酸残基、またはIleもしくはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基)から選択される;
X39は、小型アミノ酸残基(例えば、SerもしくはProまたはそれらの改変形態)から選択される;
X40は、任意のアミノ酸残基(例えば、Serもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基、またはArgもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;
X41は、任意のアミノ酸残基(例えば、Ileもしくはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基、またはLysもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;かつ
X42は、疎水性アミノ酸残基(例えば、Valもしくはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するアミノ酸残基、またはMetもしくはその改変形態などのイオウ含有側鎖を有するもの)から選択される。
【0023】
活性化ペプチドの代表的な態様は、配列:

、を含み、
式中、
X43は、塩基性アミノ酸残基(例えば、ArgもしくはHisまたはそれらの改変形態)から選択される;かつ
X44は、小型アミノ酸残基(例えば、SerもしくはProまたはそれらの改変形態)から選択される。
【0024】
いくつかの態様において、軽鎖は、配列:

を含み、
式中、
X45は、任意のアミノ酸残基(例えば、Tyrもしくはその改変形態などの芳香族側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基、またはAsnもしくはその改変形態などの中性/極性アミノ酸残基)から選択される;
X46は、任意のアミノ酸残基(例えば、Argもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基、またはGlyもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基)から選択される;
X47は、任意のアミノ酸残基(例えば、Argもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基、またはGlyもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基)から選択される;
X48は、任意のアミノ酸残基(例えば、Leuもしくはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基、またはArgもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;
X49は、小型アミノ酸残基(例えば、ProもしくはAlaまたはそれらの改変形態)から選択される;
X50は、任意のアミノ酸残基(例えば、Ileもしくはその改変形態などの疎水性アミノ酸残基もしくはその改変形態、またはThrもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基から選択される;
X51は、疎水性アミノ酸残基(例えば、ValもしくはIleまたはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するアミノ酸残基)から選択される;
X52は、塩基性アミノ酸残基(例えば、ArgもしくはLysまたはその改変形態)から選択される;
X53は、任意のアミノ酸残基(例えば、Asnもしくはその改変形態などの中性/極性アミノ酸残基、またはLysもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;
X54は、存在しないか、または小型アミノ酸残基(例えば、Serまたはその改変形態)から選択される;
X55は、任意のアミノ酸残基(例えば、ArgもしくはHisもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基、またはLeuもしくはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基)から選択される;
X56は、任意のアミノ酸残基(例えば、Thrもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基、またはMetもしくはその改変形態などのイオウ含有側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基)から選択される;
X57は、任意のアミノ酸残基(例えば、Ileもしくはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基、またはThrもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基)から選択される;
X58は、任意のアミノ酸残基(例えば、Metもしくはその改変形態などのイオウ含有側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基、またはThrもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基)から選択される;
X59は、任意のアミノ酸残基(例えば、Aspもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基、またはGlyもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基)から選択される;
X60は、任意のアミノ酸残基(例えば、Gluもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基、またはGlyもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基)から選択される;
X61は、任意のアミノ酸残基(例えば、Metもしくはその改変形態などのイオウ含有側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基、またはLysもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;
X62は、疎水性アミノ酸残基(例えば、PheもしくはTyrまたはそれらの改変形態などの芳香族側鎖を有するアミノ酸残基)から選択される;
X63は、任意のアミノ酸残基(例えば、Hisもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基、またはGlnもしくはその改変形態などの中性/極性アミノ酸残基)から選択される;
X64は、任意のアミノ酸残基(例えば、Lysもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基、またはGlnもしくはその改変形態などの中性/極性アミノ酸残基)から選択される;
X65は、荷電アミノ酸残基(例えば、Lysもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基、またはGluもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基)から選択される;
X66は、荷電アミノ酸残基(例えば、Gluもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基、またはLysもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;
X67は、任意のアミノ酸残基(例えば、Thrもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基、またはArgもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;
X68は、任意のアミノ酸残基(例えば、Asnもしくはその改変形態などの中性/極性アミノ酸残基、またはAspもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基)から選択される;
X69は、任意のアミノ酸残基(例えば、Pheもしくはその改変形態などの芳香族側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基、またはSerもしくはその改変形態小型アミノ酸残基)から選択される;
X70は、荷電アミノ酸残基(例えば、Gluもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基、またはLysもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;
X71は、任意のアミノ酸残基(例えば、Glyもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基、またはArgもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;
X72は、荷電アミノ酸残基(例えば、Gluもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基、またはLysもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;
X73は、小型アミノ酸残基(例えば、AlaまたはSer、その改変形態)から選択される;
X74は、塩基性アミノ酸残基(例えば、LysもしくはArgまたはそれらの改変形態)から選択される;
X75は、小型アミノ酸残基(例えば、SerまたはGly、その改変形態)から選択される;かつ
X76は、任意のアミノ酸残基(例えば、Lysもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基、またはAsnもしくはその改変形態などの中性/極性アミノ酸残基)から選択される。
【0025】
いくつかの態様において、ヘビ毒FVポリペプチドはシグナルペプチドを含み、それは好適には、配列:

を含む。
【0026】
ヘビ毒FVポリペプチドは、好適には、SEQ ID NO:15、16および17のいずれか1つに示された配列に対して、少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%もしくは98%の配列類似性もしくは配列同一性を有するか、または1個、2個、3個、5個もしくはさらには10個、15個もしくは20個を上回らないアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を含むポリペプチド配列を範囲に含む。
【0027】
代表的なヘビ毒FVポリペプチドは、SEQ ID NO:2および4(ブラウンスネーク)、SEQ ID NO:6および8(内陸タイパン)およびSEQ ID NO:10および12(沿岸タイパン)のいずれか1つに示された配列に対して、少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%もしくは98%の配列類似性もしくは配列同一性を有するか、または1個、2個、3個、5個もしくはさらには10個、15個もしくは20個を上回らないアミノ酸残基が異なる配列を含む。好適には、ヘビ毒FVポリペプチドは、シグナルペプチドドメインおよび活性化ペプチド(またはB)ドメインのうち少なくとも1つを欠いている。
【0028】
いくつかの態様において、ヘビ毒FVポリペプチドは、FXa結合部位、プロトロンビン結合部位およびトロンビン切断部位のうちいずれかいずれか1つまたは複数を含む。このタイプの例証的な実例において、ヘビ毒FVポリペプチドは、少なくとも1つのFXa結合部位(例えば、1つまたは2つ)、1つのプロトロンビン結合部位および1つのトロンビン切断部位を含む。代表的なヘビ毒FVポリペプチドは、以下のいずれか1つまたは複数:
(1)残基の約338〜379にあるFXa結合部位;
(2)残基の約524〜537にあるFXa結合部位;
(3)残基の約703〜707にあるプロトロンビン結合部位;および
(4)残基の約772〜773にあるトロンビン切断部位、を含み、
ここで番号付けは図7中のコンセンサス番号付けのことを指す。
【0029】
好適には、ヘビ毒FVポリペプチドは、図7のコンセンサス番号付けを基準として残基818〜819および/または残基537〜538にあるAPC部位を含む。いくつかの態様において、ヘビ毒FVポリペプチドは、野生型哺乳動物(例えば、ヒト)FVよりも1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ)少ない活性化プロテインC(APC)部位を有する。
【0030】
いくつかの態様において、ヘビ毒FVポリペプチドは、薬学的に許容される担体または希釈剤を含む組成物の形態で投与される。組成物は、対象における、対象の体表または体内の出血部位からの失血を予防または軽減するために、注射によって(全身性)、または局部適用によって投与することができる。
【0031】
本組成物は、内科的もしくは外科的な介入、望ましくない外傷、または他の形態の組織障害に起因する出血エピソードを経験している対象の治療のために用いることができ、これらの障害の例証的な実例には以下のものが含まれる:多回輸血を受けた対象における凝血異常(coagulopathy)を含む凝血異常;肝機能低下(「肝疾患」)を含む、先天的または後天的な凝固障害または出血性障害(bleeding disorder);血小板機能の欠陥または血小板数減少;必須な凝固性「化合物」(例えば、血小板またはフォンビルブラント因子タンパク質)の欠乏または異常;線維素溶解の増大;抗凝固療法または血栓溶解療法;対象が血餅を形成または維持する能力を低下させる薬物の投与;および幹細胞移植。
【0032】
いくつかの態様において、出血は、例えば脳、内耳領域、眼、肝臓、肺、腫瘍組織、胃腸管などの臓器内で起こる;他の非限定的な例において、出血は、例えば出血性胃炎および大量の子宮出血などにおけるように広範性である。
【0033】
他の態様において、出血エピソードは、血餅を維持または形成する能力に欠陥のある対象における手術または外傷に関連した出血であり、例えば、急性関節血症(関節における出血)、慢性血友病性関節症、血腫(例えば、筋肉、後腹膜、舌下および後咽頭)、他の組織における出血、血尿(腎尿管(renal tract)からの出血)、脳出血、手術(例えば、肝切除術)、抜歯および胃腸出血(例えば、UGI出血)に起因する。さらに、組成物は、対象における、例えば外傷もしくは手術、または血小板の数の減少もしくは活性の低下に起因する出血エピソードを治療するために用いることができる。
【0034】
もう1つの局面において、本発明は、上記で広義に定義したヘビ毒FVポリペプチドの、対象における失血または出血を予防または軽減するための医薬品またはキットの製造における使用法に関する。いくつかの態様において、ヘビ毒FVポリペプチドは局部投与用に製剤化される。キットは、例えば以下のうち1つまたは複数を含む:組成物の形態にあるFVポリペプチド、および薬学的に許容される担体;対象に対する投与用のヘビ毒FVポリペプチドの調製のための1つまたは複数の容器;1つまたは複数の他の試薬および/または他の治療薬;ヘビ毒FVポリペプチドを患者に投与するためのデバイスまたは他の材料;ならびに対象における失血を治療するためにキットを投与するための説明書。いくつかの態様において、キットはFVIIおよびFVIIaを含まない。いくつかの態様において、キットはヘビ毒FXaを含まない。
【0035】
好適には、キットは、完全な止血を得るために必要な時間を短縮させるため;ホメオスタシスを得るために必要な時間を短縮させるため;凝固時間を短縮させるため;血餅溶解時間を延長させるため;および出血の部位での血餅強度を増大させるために用いられる。
【0036】
いくつかの態様において、ヘビ毒FVポリペプチドは、以下のいずれか1つまたは複数を達成するために有効な量での投与のために製剤化される:(1)出血の抑制(すなわち、出血抑制有効量);(2)凝固時間の短縮(すなわち、凝固時間短縮有効量);(3)止血の強化(すなわち、止血強化有効量);(4)血餅溶解時間を延長すること(すなわち、血餅溶解時間延長有効量);および(5)血餅強度の増大(すなわち、血餅強度増大有効量)。
【0037】
いくつかの態様において、ヘビ毒FVポリペプチドは、対象以外の者による投与用に製剤化される。または、ヘビ毒FVポリペプチドは自己投与用に製剤化される。
【0038】
いくつかの態様において、ヘビ毒FVポリペプチドは、それを用いることが必要になるよりも前に、対象への備えのために製剤化される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】リン脂質およびP.テクスチリスのヘビ毒FVの存在下における、再カルシウム化(re-calcified)を行ったクエン酸血漿における凝固時間のグラフ表示である。
【図2】添加したカルシウムの存在下における、種々の濃度(0.4〜550nM)のP.テクスチリスのヘビ毒FVを伴うクエン酸全血の凝固時間のグラフ表示である。対照は595秒の凝固時間(ゼロ時の再カルシウム化後)に対応する。
【図3】それぞれマウス5匹ずつの2群における失血の経時的推移を示しているグラフ表示である。一方の群には、段落[0256]に記載した「マウス尾切除出血モデル」の通りに、切断した尾部に食塩水による局部処置を行った。第2の群には、FVaの食塩水溶液を用いた点を除いて同じように処置した。各動物個体からの失血を10分間間隔で測定し、処理用溶液中でも測定した。
【図4】図3からのデータを用いたグラフ表示であり、以下を示している:(a)各群における動物個体を合計5匹とした、各被験群内のマウスにおける総失血(上のグラフを参照);(b)各群における動物個体を合計5匹とした、各被験群におけるマウス20g当たりの平均全失血(下のグラフを参照)。
【図5】500nmol/LのFVaを含む食塩水100μl(■);食塩水100μl(対照)(●);およびアプロチニンを含む食塩水(110μmol/l)100μl(▲)の静脈内注射後のマウス尾切除実験のグラフ表示である。各群についてn=10。
【図6】(a)クーマシー染色ゲル(ゲル1)および(b)ウエスタンブロット(ゲル2)の写真表示であり、抗プロテアーゼ重鎖抗体(P.テクスチリスのFXa様プロテアーゼの重鎖との組換えGST融合タンパク質に対するヒツジ抗血清)を用いることで、アフィニティー精製されたFV調製物から第Xa因子が除去されたことを示している。ゲル(a)および(b)のレーン1は、P.テクスチリスのヘビ毒FVタンパク質を含む;レーン2はP.テクスチリスのFXa様プロテアーゼを含む;ならびに、レーン3はFVを含む(DardakおよびXaアフィニティー除去の後)。
【図7−1】単離されたヘビ毒FVの間の配列アラインメントを図示している。示されているのは、以下のヘビに由来するヘビ毒FVのアミノ酸配列である:P.テクスチリス(ブラウンスネーク)(SEQ ID NO:2)、O.ミクロレピドータス(内陸タイパン)(SEQ ID NO:6および8)およびO.スキュテルス(沿岸タイパン)(SEQ ID NO:10および12)。
【図7−2】図7−1の続き。
【図7−3】図7−2の続き。
【図7−4】図7−3の続き。
【図7−5】図7−4の続き。
【図7−6】図7−5の続き。
【発明を実施するための形態】
【0040】
(表A)配列の簡単な説明


【0041】
発明の詳細な説明
定義
他に定義する場合を除き、本明細書で用いられるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を持つ。本明細書に記載されるものと類似の、または等価なあらゆる方法および材料を本発明の実施および試験に用いることができるが、好ましい方法および材料を記載している。本発明において、以下の用語は以下のように定義される。
【0042】
冠詞の「1つの(a)」および「1つの(an)」は、本明細書において、冠詞の1つまたは複数(すなわち、少なくとも1つ)の文法上の目的語を指すために用いられる。例えば、「1つの要素(an element)」は1つの要素または複数の要素のことを意味する。
【0043】
「約(about)」とは、基準となる数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量または長さに対して、最大で30%、25%、20%、25%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%異なる数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量または長さを指して用いられる。
【0044】
「生物活性断片」という用語は、参照または完全長ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列に対して適用される場合、参照配列の活性の少なくとも約0.1、0.5、1、2、5、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、98、99%を有する断片のことを指す。本発明の範囲に含まれるものには、参照ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの活性を含むかまたはコードする、長さが少なくとも約18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000ヌクレオチドまたは残基である生物活性断片がある。代表的な生物活性断片は一般に、相互作用、例えば分子内または分子間相互作用に関与する。分子間相互作用は、特異的結合相互作用または酵素相互作用でありうる。分子間相互作用は、ヘビ毒FV分子とFXa分子との間のものでありうる。ヘビ毒FVタンパク質の生物活性部分には、SEQ ID NO:2、4、6、8、10および12のヘビ毒FVのアミノ酸配列に対して十分な類似性もしくは同一性を有するか、またはそれに由来するアミノ酸配列を含むペプチドが含まれる。
【0045】
「出血性疾患」という用語は、本明細書で用いる場合、出血エピソードとして顕在化する、細胞または分子起源の、先天的な、後天的な、または誘発性の任意の欠陥のことを指す。出血性疾患の例には、凝固因子欠乏症、凝固因子阻害薬、血小板機能の欠陥、血小板減少症、フォンビルブラント病、ならびに出血および/または輸血に起因する凝固タンパク質の希釈、線維素溶解の増大および血小板数減少によって引き起こされるものなどの凝血異常が非限定的に含まれる。
【0046】
「出血エピソード」という用語は、本明細書で用いる場合、手術、外傷または他の形態の組織障害と関連した、望ましくなく、制御されず、往々にして過剰である出血、ならびに以上に定義した出血性疾患を有する対象における望ましくない出血のことを指す。
【0047】
「血餅溶解時間」、「血餅強度」および「凝固時間」という用語は、本明細書で用いる場合、対象の止血系の状態をアッセイするために用いられる臨床的パラメーターのことを指す。血液試料を対象から適した間隔で採取し、1つまたは複数のパラメーターを、例えば、Meh et al., (2001, Blood Coagulation and Fibrinolysis, 12: 627-637);Vig et al., (2001, Hematology, 6(3): 205-213);Vig et al., (2001, Blood Coagulation and Fibrinolysis, 12(7): 555-561);Glidden et al., (2000, Clinical and Applied Thrombosis/Hemostasis, 6(4): 226-233;McKenzie et al., (1999, Cardiology, 92(4): 240-247)および;Davies et al., (1995, Journal of the American Society of Nephrology, 6(4): 1250-1255)に記載されたようなトロンボエラストグラフィーによってアッセイする。血餅強度は、Carr et al., (1991, Am J Med, 302: 13-8)に記載されたようにしてアッセイすることができる。
【0048】
「凝固障害」という用語は、本明細書で用いる場合、対象が血餅形成を制御する能力を妨げる障害のことを指す。最もよく知られている凝固障害は血友病であり、これは凝固するまでに患者が長い時間にわたって出血する状態である。種々の原因による他の凝固障害もあり、その非限定的な例には以下が含まれる:血友病B、血友病C、消費性凝血異常、血小板減少症、フォンビルブラント病および低タンパク質血症。
【0049】
「コード配列」とは、遺伝子のポリペプチド産物のコードに寄与する任意の核酸配列のことを意味する。それに対して、「非コード配列」とは、遺伝子のポリペプチド産物のコードに寄与しない任意の核酸配列のことを指す。
【0050】
本明細書の全体を通じて、文脈が別のものを要求しない限り、「含む(comprise)」「含む(comprises)」および「含むこと(comprising)」という語は、言及した段階もしくは要素または段階もしくは要素の群を含むものの、他の任意の段階または要素も、段階または要素の群も除外しないことを意味するものと解釈されるものとする。したがって、「含むこと」などの用語の使用は、記載された要素は必要または必須であるが、他の要素は任意選択的であり、存在してもしなくてもよいことを指し示している。「からなる(consisting of)」とは、「からなる」という語句の後に続くいかなるものも制限的に含むことを意味する。したがって、「からなる」という語句は、記載された要素が必要または必須であり、他の要素は存在しないと考えられることを指し示している。「本質的に、からなる(consisting essentially of)」とは、語句の後に記載されたすべての要素を含むほかは、記載された要素の開示において特定された活性または作用に対して干渉も寄与もしない他の要素に限定されることを意味する。したがって、「本質的に、からなる」という語句は、記載された要素は必要または必須であるが、他の要素は任意選択的であって、記載された要素の活性または作用にそれらが影響を及ぼすか否かに応じて存在することもあれば存在しないこともあることを指し示している。
【0051】
「相補的」および「相補性」という用語は、塩基対合規則によって関連づけられたポリヌクレオチド(すなわち、ヌクレオチドの配列)のことを指す。例えば、配列「A-G-T」は、配列「T-C-A」に対して相補的である。相補性は「部分的」であってもよく、その場合には核酸の塩基のいくつかのみが塩基対合規則に従ってマッチする。または、核酸間に「完全な」または「全体的な」相補性があってもよい。核酸鎖間の相補性の度合いは、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率および強度に大きな影響を及ぼす。
【0052】
「対応する(corresponds to)」または「対応する(corresponding to)」とは、(a)参照ポリヌクレオチド配列の全体または部分に対して実質的に同一もしくは相補的なヌクレオチド配列を有するか、またはペプチドもしくはタンパク質の中のアミノ酸配列と同一なアミノ酸配列をコードする、ポリヌクレオチド;または(b)参照ペプチドもしくはタンパク質の中のアミノ酸の配列に対して実質的に同一なアミノ酸配列を有するペプチドもしくはポリペプチド、のことを意味する。
【0053】
状態の治療または予防の文脈における「有効量」とは、そのような治療または予防を必要とする個体に対する、単回投与または一連のものの一部のいずれかでの、活性作用物質のその量の投与が、その状態に対する治療または予防のために有効であることを意味する。有効量は、治療される個体の健康および身体の状態、治療される個体の分類群、組成物の製剤形態、医学的状況の評価、および他の関連した要因に応じて変化すると考えられる。その量は、定型的な試験を通じて決定することのできる比較的広い範囲に収まると考えられる。
【0054】
本明細書で用いる場合、「機能」および「機能的な」という用語は、生物学的、酵素的または治療的な機能のことを指す。
【0055】
「FVポリペプチド」という用語は、本明細書で用いる場合、ヘビ毒FVポリペプチドを非限定的に範囲に含み、かつ、SEQ ID NO:2、4、6、8、10または12のいずれか1つに示された配列に対して少なくとも50%(ならびに少なくとも51%〜少なくとも99%およびそれらの間のすべての整数パーセンテージ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、ならびに例えばウシ、ブタ、イヌ、マウス、ラットおよびサケなどの他の種に由来する野生型(天然)FVを非限定的に範囲に含む。それはさらに、1つの個体に存在してそれから別の個体へと出現する可能性のある、FVの天然のアレル変異(allelic variation)も範囲に含む。また、グリコシル化または他の翻訳後修飾の度合いおよび位置も、選ばれた宿主、および宿主細胞環境の性質に応じて変化する可能性がある。「FV」という用語はまた、チモーゲン形態にあるFVポリペプチド、ならびにその各々の生物活性形態が生じるようにプロセシングされたものも範囲に含むものとする。それはさらに、参照もしくは天然のヘビ毒FVに比して化学的に修飾された、および/または参照もしくは天然のヘビ毒FVに比して1つもしくは複数のアミノ酸配列の変更を含む、および/または参照もしくは天然の完全長もしくは前駆体ヘビ毒FVに比して短縮されたアミノ酸配列を含む、FVポリペプチドも範囲に含む。したがって、例えば、ヘビ毒FVポリペプチドは、FVaポリペプチドを非限定的に含む、天然または参照の完全長または前駆体ヘビ毒FVのプロセシングされた形態を範囲に含む。代替的または追加的に、ヘビ毒FVポリペプチドが、安定性、リン脂質結合、変化した比活性などを含む、参照または天然のヘビ毒FVに比して異なる特性を呈してもよい。「FVポリペプチド」という用語はまた、幾分修飾されたアミノ酸配列を有するポリペプチド、例えばN末端アミノ酸の欠失もしくは付加を含む修飾されたN末端を有するポリペプチド、および/または、参照もしくは天然のヘビ毒FVに比して化学的に修飾されているポリペプチドも範囲に含む。FVポリペプチドはまた、参照もしくは天然のFVと実質的に同じもしくはより優れた生物活性を呈する、または代替的には、参照もしくはま天然のFVに比して実質的に修飾されたもしくは低下した生物活性を呈する、ポリペプチドも範囲に含む。それらはまた、参照または天然のFVの配列とは1つまたは複数のアミノ酸の挿入、欠失または置換に違いがあるアミノ酸配列を有するポリペプチドも非限定的に含み、例証的な実例において、同じ細胞で産生された参照または天然のFVの、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%および130%の比活性を呈するポリペプチドを範囲に含む。参照または天然のFVに比して実質的に同じであるか向上した生物活性を有するFVポリペプチドは、同じ細胞種で産生された参照または天然のFVの、少なくとも約25%、50%、75%、100%、110%、120%または130%の比生物活性を呈するポリペプチドを範囲に含む。本発明において、FV生物活性は、例えば調製物が血漿を凝固させる能力を測定することによって定量化することができる(Thorelli et al., 1998, Thromb Haemost, 80: 92に記載されたように)。その反対に、参照または天然のFVに比して実質的に低下した生物活性を有するFVポリペプチドは、同じ細胞種で産生された参照または天然のFVの、約25%、10%、5%または1%未満の比活性を呈するものである。
【0056】
「遺伝子」とは、染色体上の特定の座位を占め、かつ、転写および/もしくは翻訳調節配列、ならび/またはコード領域および/または非翻訳配列(すなわち、イントロン、5'および3'非翻訳配列)からなる、遺伝の単位を意味する。
【0057】
「止血」という用語は、本明細書で用いる場合、出血を効果的に停止させ、線溶系によって容易には溶解されない、損傷の部位での安定で固いフィブリン塊または栓子の形成のことを指す。
【0058】
「相同性」とは、同一であるか、または保存的置換を構成する核酸またはアミノ酸のパーセンテージ数のことを指す。相同性は、GAP(Deveraux et al., 1984, Nucleic Acids Research 12, 387-395)などの配列比較プログラムによって決定することができ、それは参照により本明細書に組み入れられる。このようにして、本明細書中に引用されたものと類似の、または実質的に異なる配列を、アラインメント中へのギャップの挿入によって比較することが可能となり、そのようなギャップは例えば、GAPによって用いられる比較アルゴリズムによって決定される。
【0059】
「宿主細胞」という用語は、本発明の任意の組換えベクターまたは単離されたポリヌクレオチドのレシピエントとなりうる、またはレシピエントとなった個々の細胞または細胞培養物を含む。宿主細胞には単一の宿主細胞の子孫が含まれ、子孫は自然な、偶発的または計画的な変異および/または変化が理由で、最初の親細胞と(形態または総DNA相補物に関して)必ずしも完全に同一でない可能性がある。宿主細胞には、インビボまたはインビトロで、本発明の組換えベクターまたはポリヌクレオチドによるトランスフェクションまたは感染を受けた細胞が含まれる。本発明の組換えベクターを含む宿主細胞は、「組換え宿主細胞」である。
【0060】
「ハイブリダイゼーション」は、本明細書において、DNA-DNAハイブリッドまたはDNA-RNAハイブリッドを生成する相補的ヌクレオチド配列の対合を表すために用いられる。相補的な塩基配列とは、塩基対合規則によって関連づけられる配列である。DNAでは、AはTと対合し、CはGと対合する。RNAでは、UはAと対合し、CはGと対合する。この点に関して、「マッチ(match)」および「ミスマッチ(mismatch)」という用語は、相補的な核酸鎖における対合ヌクレオチドのハイブリダイゼーション能力のことを指す。上述した古典的なA-TおよびG-C塩基対のようなマッチするヌクレオチドは、効率的にハイブリダイズする。ミスマッチは、効率的にハイブリダイズしないヌクレオチドのその他の組み合わせである。
【0061】
「単離された」とは、そのネイティブ性状態でそれに通常付随する成分を実質的または本質的に含まない材料のことを意味する。例えば、「単離されたポリヌクレオチド」は、本明細書で用いる場合、天然の状態でその側面に位置する配列から精製されているポリヌクレオチド、例えば、その断片に通常隣接する配列から取り出されているDNA断片のことを指す。または、「単離されたペプチド」または「単離されたポリペプチド」などは、本明細書で用いる場合、ペプチドまたはポリペプチド分子の、その天然の細胞環境からの、および細胞の他の成分との随伴状態からのインビトロ単離および/または精製のことを指し、すなわちそれはインビボ物質とは随伴していない。
【0062】
「から得られる」とは、例えば、ポリヌクレオチド抽出物またはポリペプチド抽出物などの試料が、対象の特定の源から単離されること、または導き出されることを意味する。例えば、抽出物は、対象から直接単離した組織または生体液から得ることができる。
【0063】
「オリゴヌクレオチド」という用語は、本明細書で用いる場合、ホスホジエステル結合を介して連結された複数のヌクレオチド残基(デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド、またはその関連した構造変異体もしくは合成類似体)で構成されるポリマー(またはその関連した構造変異体もしくは合成類似体)のことを指す。したがって、「オリゴヌクレオチド」という用語は、典型的には、ヌクレオチド残基およびそれらの間の連結が天然に存在するヌクレオチドポリマーのことを指すが、この用語がその範囲内に、ペプチド核酸(PNA)、ホスホルアミデート、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、2-o-メチルリボ核酸などを非限定的に含むさまざまな類似体も含むことは理解されるであろう。分子の正確なサイズは、具体的な用途に応じて異なってよい。オリゴヌクレオチドは典型的には長さがかなり短く、一般に約10〜30ヌクレオチド残基であるものの、この用語は任意の長さの分子を指すこともできるが、大型のオリゴヌクレオチドには典型的には「ポリヌクレオチド」または「核酸」の用語が用いられる。
【0064】
「機能的に連結した」とは、本明細書で用いる場合、構造遺伝子をプロモーターの調節制御下に置き、続いてそのプロモーターが遺伝子の転写および任意で翻訳を制御することを意味する。異種プロモーター/構造遺伝子の組み合わせの構築においては、遺伝子配列またはプロモーターを、遺伝子配列またはプロモーターと、その天然の状況でそれが制御する遺伝子、すなわちその遺伝子配列またはプロモーターの由来となった遺伝子との間の距離とほぼ同じである、遺伝子転写開始部位からの距離に配置することが一般に好ましい。当技術分野で公知であるように、この距離のある程度の変化は、機能の喪失を伴うことなく受け入れ可能である。同様に、調節配列エレメントの、その制御下に配置される異種遺伝子に対する好ましい配置は、その天然の状況、すなわちその由来となった遺伝子におけるエレメントの配置によって規定される。
【0065】
「患者」および「対象」という用語は互換的に用いられ、ヒトまたは他の哺乳動物の患者および対象のことを指し、本発明の方法を用いて検査または治療することが望まれる任意の個体を含む。しかし、「患者」は、症状が存在することを意味しないことは理解されるであろう。本発明の範囲に入る適した動物には、霊長動物、家畜(例えば、ヒツジ、ウシ、ウマ、ロバ、ブタ)、実験試験動物(例えば、ウサギ、マウス、ラット、モルモット、ハムスター)、伴侶動物(例えば、ネコ、イヌ)ならびに捕獲した野生動物(例えば、キツネ、シカ、ディンゴ)が非限定的に含まれる。
【0066】
「薬学的に許容される担体」とは、動物、好ましくはヒトを含む哺乳動物に対する局部投与または全身投与に安全に用いることのできる、固体または液体の充填剤、希釈剤または封入物質のことを意味する。
【0067】
「ポリヌクレオチド」または「核酸」という用語は、本明細書で用いる場合、mRNA、RNA、cRNA、cDNAまたはDNAを示す。この用語は典型的には、リボヌクレオチドもしくはデオキシヌクレオチドのいずれか、またはいずれかのタイプのヌクレオチドの修飾形態である、長さが少なくとも10塩基のポリマー形態のヌクレオチドのことを指す。この用語は一本鎖および二本鎖の形態のDNAを含む。
【0068】
「ポリヌクレオチド変異体」および「変異体」という用語は、本明細書で以下に定義しているストリンジェントな条件下で参照配列とハイブリダイズする参照ポリヌクレオチド配列またはポリヌクレオチドに対して実質的な配列同一性を呈するポリヌクレオチドのことを指す。これらの用語には、少なくとも1つのヌクレオチドの付加、欠失または置換によって参照ポリヌクレオチドと区別されるポリヌクレオチドも含まれる。したがって、「ポリヌクレオチド変異体」および「変異体」という用語には、1つまたは複数のヌクレオチドが付加された、もしくは欠失した、または異なるヌクレオチドによって置き換えられたポリヌクレオチドが含まれる。この点に関して、参照ポリヌクレオチドに対して突然変異、付加、欠失および置換を含むある種の改変を加えて、改変されたポリヌクレオチドに参照ポリヌクレオチドの生物学的機能または活性を保たせうることは、当技術分野で十分に理解されている。また、「ポリヌクレオチド変異体」および「変異体」という用語には、天然に存在するアレル変異体も含まれる。
【0069】
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマー、ならびにその変異体および合成類似体を指すために本明細書において互換的に用いられる。したがって、これらの用語は、天然に存在するアミノ酸ポリマーのほかに、1つまたは複数のアミノ酸残基が対応する天然アミノ酸の化学的類似体のような天然に存在しない合成アミノ酸であるアミノ酸ポリマーにも該当する。
【0070】
「ポリペプチド変異体」は、少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失または置換によって参照ポリペプチドと区別されるポリペプチドのことを指す。ある態様において、ポリペプチド変異体は、保存的であっても非保存的であってもよい1つまたは複数の置換によって参照ポリペプチドと区別される。ある態様において、ポリペプチド変異体は保存的置換を含み、この点に関して、ポリペプチドの活性の性質を変えることなしにいくつかのアミノ酸を概ね同様な特性を有する別のものに変化させうることは、当技術分野では十分に理解されている。ポリペプチド変異体には、1つまたは複数のアミノ酸が付加された、もしくは欠失した、または異なるアミノ酸残基によって置き換えられたポリペプチドも範囲に含まれる。
【0071】
「プライマー」とは、DNA鎖と対合させた時に、適した重合剤の存在下でプライマー伸長産物の合成を開始させることのできるオリゴヌクレオチドのことを意味する。プライマーは好ましくは、増幅効率が最大である一本鎖であるが、または二本鎖であってもよい。プライマーは、重合剤の存在下で伸長産物の合成のプライミングを行える十分な長さでなければならない。プライマーの長さは、用途、用いようとする温度、テンプレート反応条件、他の試薬、およびプライマーの供給源を含む、多くの要因に依存する。例えば、標的配列の複雑さに応じて、オリゴヌクレオチドプライマーは典型的には15〜35またはより多くのヌクレオチド残基を含むが、それよりも少ないヌクレオチド残基を含むこともできる。プライマーは、約200ヌクレオチド残基から数キロ塩基まで、またはそれ以上といった大型のポリヌクレオチドであってもよい。プライマーは、それがハイブリダイズするように設計されたテンプレート上の配列に対して「実質的に相補的」であって、合成開始のための部位としての役割を果たすように選択することができる。「実質的に相補的」とは、プライマーが標的ポリヌクレオチドとハイブリダイズするように十分に相補的であることを意味する。好ましくは、プライマーは、それがハイブリダイズするように設計されたテンプレートとのミスマッチを含まないが、これは必須ではない。例えば、非相補的なヌクレオチド残基をプライマーの5'末端に付加結合させて、プライマー配列の残りはテンプレートと相補的にすることができる。または、プライマー配列がそれとハイブリダイズするテンプレートの配列に対して十分な相補性を有し、かつそれによってプライマーの伸長産物の合成のためのテンプレートを形成することを条件として、非相補的なヌクレオチド残基または非相補的なヌクレオチド残基の連鎖をプライマーの中に挿入することもできる。
【0072】
「プローブ」は、特異的な配列もしくは部分配列、または別の分子の他のモイエティと結合する分子のことを指す。別に指示する場合を除き、「プローブ」という用語は、典型的には、しばしば「標的ポリヌクレオチド」と呼ばれる別のポリヌクレオチドと相補的な塩基対合を通じて結合するポリヌクレオチドプローブのことを指す。プローブは、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーによっては、プローブとの完全配列相補性を欠く標的ポリヌクレオチドヌクレオチドと結合することができる。プローブは直接的に標識することも間接的に標識することもできる。
【0073】
「調節エレメント」または「調節配列」とは、特定の宿主細胞における、機能的に連結されたコード配列の発現のために必要な核酸配列(例えば、DNA)のことを意味する。原核細胞に適した調節配列には、例えば、プロモーター、ならびに任意で、オペレーター配列およびリボソーム結合部位などのシス作用性配列が含まれる。真核細胞に適した制御配列には、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、転写エンハンサー、翻訳エンハンサー、mRNA安定性をモジュレートするリーダー配列またはトレーリング配列、ならびに転写されたポリヌクレオチドによってコードされる産物を細胞内部の細胞内区画または細胞外環境へと向かわせる標的指向性配列が含まれる。
【0074】
「配列同一性」という用語は、本明細書で用いる場合、比較ウィンドウにわたって配列がヌクレオチド単位またはアミノ酸単位で同一である度合いを指して互換的に用いられる。このため、「配列一致度(percentage of sequence identity)」は、最適にアライメントが行われた2つの配列を比較ウィンドウにわたって比較し、同一な核酸塩基(例えば、A、T、C、G、I)または同一なアミノ酸残基(例えば、Ala、Pro、Ser、Thr、Gly、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Lys、Arg、His、Asp、Glu、Asn、Gln、CysおよびMet)が両方の配列に存在する位置の数を決定してマッチする位置の数を求め、マッチする位置の数を参照配列における位置の総数(すなわち、ウィンドウのサイズ)で除算し、その結果に100を掛けて配列一致度を得ることによって算出される。本発明は、完全長ヘビ毒FV配列ならびにそれらの生物活性断片の、本発明の方法および系における使用法を想定している。典型的には、完全長ヘビ毒FVの生物活性断片は、相互作用、例えば分子内または分子間相互作用に関与しうる。分子間相互作用は、特異的結合相互作用または酵素相互作用でありうる(例えば、相互作用は一過性であり、共有結合が形成されるかまたは破壊される)。完全長ヘビ毒FVの生物活性断片には、(推定上の)完全長ヘビ毒FVのアミノ酸配列に十分に類似しているか、またはそれに由来するアミノ酸配列を含むペプチドが含まれる。典型的には、生物活性断片は、完全長ヘビ毒FVの少なくとも1つの活性を有するドメインまたはモチーフを含み、これにはA1、A2、B、A3、C1またはC2ドメインの1つまたは複数(場合によってはすべて)が含まれうる。完全長ヘビ毒FVの生物活性断片は、例えば、長さが30、40、50、60、70、80、90、100、120、150、300、400または500アミノ酸残基またはそれ以上であるポリペプチドでありうる。好適には、生物活性断片は、その由来となった完全長ポリペプチドの約1%、10%、25%、50%を下回ることのない活性を有する。
【0075】
「類似性」とは、同一であるか、または以下の表Cに定義された保存的置換を構成するアミノ酸のパーセンテージ数のことを指す。類似性は、GAP(Deveraux et al., 1984, Nucleic Acids Research 12, 387-395)などの配列比較プログラムによって決定することができる。このようにして、本明細書中に引用されたものと類似の、または実質的に異なる配列を、アラインメント中へのギャップの挿入によって比較することが可能となり、そのようなギャップは例えば、GAPによって用いられる比較アルゴリズムによって決定される。
【0076】
2つまたはそれ以上のポリヌクレオチドまたはポリペプチド間の配列の関係を記述するために用いられる用語には、「参照配列」「比較ウィンドウ」「配列類似性」「配列同一性」「配列一致度」および「実質的な同一性」が含まれる。「参照配列」は、長さが、ヌクレオチドおよびアミノ酸残基の、少なくとも12モノマー単位、しかししばしば15モノマー単位から18モノマー単位まで、多くの場合は少なくとも25モノマー単位である。2つのポリヌクレオチドはそれぞれ(1)2つのポリヌクレオチド間で類似している配列(すなわち、完全なポリヌクレオチド配列の一部分のみ)、および(2)2つのポリヌクレオチド間で大きく異なる配列、を含みうるため、2つの(またはそれ以上の)ポリヌクレオチド間の配列比較は、典型的には、2つのポリヌクレオチドの配列を「比較ウィンドウ」にわたって比較して、配列類似性のある局所領域を同定して比較することによって行われる。「比較ウィンドウ」とは、2つの配列の最適なアラインメントを行った後に、配列が同じ数の連続した位置の参照配列と比較される、少なくとも6個、通常は約50〜約100個、より一般的には約100〜約150個の連続した位置の概念的セグメントのことを意味する。比較ウィンドウは、2つの配列の最適なアラインメントのために、参照配列(付加も欠失も含まない)と比較して約20%またはそれ未満の付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含んでもよい。比較ウィンドウのアラインメントを行うための配列の最適なアラインメントは、アルゴリズム(Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0, Genetics Computer Group, 575 Science Drive Madison, WI, USA中のGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)のコンピュータでの実行により、または検査および選択した種々の任意の方法によって生成された最良のアラインメント(すなわち、比較ウィンドウにわたって最も高い相同度(percent homology)が得られるもの)によって行うことができる。BLASTファミリーのプログラム、例えばAltschul et al., 1997, Nucl. Acids Res. 25: 3389によって開示されたものを参照してもよい。配列解析に関する詳細な考察は、Ausubel et al., "Current Protocols in Molecular Biology", John Wiley & Sons Inc. 1994-1998, Chapter 15の第19.3項に記載されている。
【0077】
「ストリンジェンシー」は、本明細書で用いる場合、ハイブリダイゼーションおよび洗浄の手順の間の、温度およびイオン強度の条件、ならびにある種の有機溶媒の存在または非存在のことを指す。ストリンジェンシーが高いほど、固定化されたヌクレオチド配列と、洗浄後に標的とハイブリダイズしたままである標識されたプローブポリヌクレオチド配列との間の相補性の度合いが高くなると考えられる。「高ストリンジェンシー」という用語は、相補的塩基を高い頻度で有するヌクレオチド配列のみがハイブリダイズすると考えられる温度およびイオンの条件のことを指す。要求されるストリンジェンシーはヌクレオチド配列依存的であり、ハイブリダイゼーションの間に存在するさまざまな成分に依存する。一般に、ストリンジェントな条件は、定められたイオン強度およびpHでの特定の配列の融解点(Tm)よりも約10〜20℃低いように選択される。Tmは、標的配列の50%が相補的プローブとハイブリダイズする温度(定められたイオン強度およびpHでの)である。
【0078】
「形質転換」という用語は、外来性または内因性核酸の導入による、生物体、例えば細菌、酵母、哺乳動物、両生類、爬虫類、魚類または植物の遺伝子型の変更のことを意味する。
【0079】
本明細書で用いる場合、「治療」、「治療すること」などの用語は、所望の薬理学的および/または生理学的な効果を得ることを指す。効果は、疾患もしくはその症状の完全もしくは部分的な予防という点で予防的であってもよく、かつ/または、疾患および/もしくは疾患に起因する有害作用に関する部分的もしくは完全な治癒という点で治療的であってもよい。「治療」とは、本明細書で用いる場合、哺乳動物、特にヒトにおける疾患のあらゆる治療を範囲に含み、以下の段階を含む:(a)疾患の素因を持つ可能性があるが、それを有するとまだ診断されていない対象において、疾患の発症を予防する段階;(b)疾患を抑制する、すなわち、その進行を阻止する段階;および(c)疾患を緩和する、すなわち、疾患の消退を引き起こす段階。
【0080】
「ベクター」とは、その内部にポリヌクレオチドを挿入またはクローニングすることのできる、例えばプラスミド、バクテリオファージ、酵母またはウイルスに由来するポリヌクレオチド分子、好ましくはDNA分子のことを意味する。ベクターは、好ましくは、1つまたは複数の固有の制限部位を含み、標的の細胞もしくは組織または始原細胞もしくはその組織を含む規定された宿主細胞において自律複製すること、またはクローニングされた配列が複製可能なように規定された宿主のゲノムに組み込まれることが可能である。したがって、ベクターは自律複製するベクター、すなわち染色体外の実体として存在し、その複製が染色体の複製から独立しているベクター、例えば、直鎖状もしくは閉環状プラスミド、染色体外エレメント、ミニ染色体、または人工染色体などでありうる。ベクターは自己複製を確実にするためのあらゆる手段を含みうる。または、ベクターは、細胞内に導入された場合にゲノム中に組み込まれて、それが組み込まれた染色体とともに複製されるものであってもよい。ベクター系は、単一のベクターもしくはプラスミド、宿主細胞のゲノム中に導入しようとする全DNAを全体として含む2つもしくはそれ以上のベクターもしくはプラスミド、またはトランスポゾンのいずれで構成されてもよい。ベクターの選択は、典型的には、ベクターとそのベクターを導入しようとする細胞との適合性に依存すると考えられる。本発明の場合には、ベクターは好ましくは、動物細胞、好ましくは哺乳動物細胞において実働性に機能する、ウイルスベクターまたはウイルス由来のベクターである。そのようなベクターは、ポックスウイルス、アデノウイルスまたは酵母に由来しうる。ベクターはまた、適切な形質転換体の選別のために用いうる抗生物質耐性遺伝子などの選択マーカーも含むことができる。そのような耐性遺伝子の例は当業者に周知であり、抗生物質カナマイシンおよびG418(ジェネティシン(Geneticin)(登録商標))に対する耐性を付与するnptII遺伝子、ならびに抗生物質ハイグロマイシンBに対する耐性を付与するhph遺伝子が含まれる。
【0081】
「野生型」および「天然に存在する」という用語は、天然に存在する源から単離された場合の遺伝子または遺伝子産物の特徴を有する遺伝子または遺伝子産物のことを指して互換的に用いられる。野生型の遺伝子または遺伝子産物(例えば、ポリペプチド)とは、集団内で最も高い頻度で観察され、そのためにその遺伝子の「正常」または「野生型」形態と自由裁量で称されるものである。
【0082】
2.本発明のFV分子
本発明は、一部には、ヘビ毒FVポリペプチドが、第Xa因子および/または第VIIa因子などの他の凝固因子の非存在下で対象に投与された場合に、ヒト血漿および全血の凝固を実質的に強化することが明らかになったことに基づく。本発明者らは、驚いたことに、オーストラリアブラウンスネーク、シュードナジャ-テクスチリスの毒由来の低濃度のFVポリペプチド(例えば、ナノモル濃度の範囲)の添加が、単独で、クエン酸血漿の凝固速度の有意な上昇を引き起こしうることを発見した。本発明者らはこのため、ヘビ毒FVポリペプチドが、手術時損傷または外傷後の創傷からの、ならびに血液中の第V因子のレベルが本来的に低い個体における(例えば、パラ血友病またはオーレン(Owren)パラ血友病を有する個体におけるもの。その症状には、皮内への出血、過度の挫傷、鼻血、歯肉出血、過度の月経出血、手術または外傷による長期的または過度の失血、および臍断端出血のうちいずれか1つまたは複数が含まれうる)失血を治療または予防する上で有用であると考えられる。
【0083】
したがって、本発明は、FVポリペプチドを、薬学的に許容される担体または希釈剤を任意で含む組成物の形態で投与する、対象における失血または出血を予防または軽減するための方法を提供する。組成物は、対象における失血を予防または軽減するために、注射によって、または局部適用によって投与することができる。ヘビ毒ポリペプチドを得ることのできるヘビの非限定的な例には、オーストラリアの一般的なブラウンスネークであるシュードナジャ-テクスチリス、沿岸タイパン(オキシウラヌス-スキュテルス)、および内陸タイパン(オキシウラヌス-ミクロレピドータス)、メインランドタイガー(ノテキス-スキュターツス(Notechis scutatus))、ラフスケールド(トロピデキス-カリナーツス(Tropidechis carinatus))およびレッドベリーブラックスネーク(シュードキス-ポルフィリアーカス(Pseudechis porphyriacus))、ならびにコブラ科(Elapidae)の属の他のヘビが含まれる。ヘビ毒FVポリペプチドは、ヘビ毒から、またはヘビ毒FVを産生する細胞および組織を含む他の源から、標準的なタンパク質精製手法を用いて単離することができる。いくつかの態様において、ヘビ毒FVは、コブラ科の属のオーストラリアヘビ、例えば、以上に挙げたオーストラリアヘビのいずれか1つの毒液腺から単離される。または、ヘビ毒FVタンパク質またはその断片を組換えDNA手法によって生産すること、または化学合成することもできる。
【0084】
本発明のポリペプチドには、選択的な翻訳イベントおよび翻訳後イベントの存在の結果として生じるものが含まれる。ポリペプチドは、発現された場合に、ポリペプチドがネイティブ性の細胞で発現された場合に存在するのと実質的に同じ翻訳後修飾をもたらす系、例えば培養細胞において、または、ネイティブ性の細胞で発現された場合に存在する翻訳後修飾、例えばグリコシル化もしくは切断の変更もしくは脱落をもたらす系において発現させることができる。
【0085】
いくつかの態様において、ヘビ毒FVポリペプチドは以下の特徴のいずれか1つまたは複数を有する:
それは、FXa(例えば、限定はされないがヒトFXaなどの哺乳動物FXa)が存在する場合に血液を凝固させる能力を有する;
それは、少なくとも1つのマルチ銅オキシダーゼドメイン(例えば、A1、A2、A3ドメイン)を有する;
それは、少なくとも1つの膜結合ドメイン(例えば、C1、C2ドメイン)を有する;
それは、軽鎖および重鎖を有する。
【0086】
いくつかの態様において、ヘビ毒FVポリペプチドは、例えばBos et al., (2007, Blood ASH Annual Meeting Abstracts 110: Abstract 1765)に記載されたように、単一のポリペプチド鎖の形態にある。
【0087】
本発明は、本発明の方法における、完全長ヘビ毒FVポリペプチドならびにそれらの生物活性断片の使用法を想定している。典型的には、完全長ヘビ毒FVポリペプチドの生物活性断片は、相互作用、例えば分子内または分子間相互作用に関与しうる。そのような生物活性断片には、完全長ヘビ毒FVペプチドよりも少ないアミノ酸を含み、かつそのポリペプチドの少なくとも1つの活性を呈する、(推定上の)完全長ヘビ毒FVのアミノ酸配列、例えばSEQ ID NO:2、4、6、8、10または12に示されたアミノ酸配列に十分に類似しているか、またはそれに由来するアミノ酸配列を含むペプチドが含まれる。典型的には、生物活性断片は、完全長ヘビ毒FVポリペプチドの少なくとも1つの活性を有するドメインまたはモチーフを含むと考えられ、これには、マルチ銅オキシダーゼドメイン(例えば、1型、2型)、膜結合ドメイン、キュプレドキシンドメイン、凝固因子5/8型ドメイン(例えば、FA58C、FA58C_3、F5_F8_type_C、FA58C_2、FA58C_1)、ガラクトース結合様ドメイン、FXa結合部位、プロトロンビン結合部位、トロンビン切断部位のうち1つまたは複数(場合によってはすべて)が含まれうる。いくつかの態様において、生物活性断片は、例えば図7のコンセンサス番号付けを基準として残基818〜819および/または残基537〜538にある、1つまたは複数のAPC切断部位を含むと考えられる。完全長ヘビ毒FVポリペプチドの生物活性断片は、例えば、長さが30、40、50、60、70、80、90、100、120、150、300、400または500、600、800、900、1000、1100、1200、1300、1400またはそれ以上であるポリペプチドでありうる。好適には、生物活性断片は、その由来となった完全長ポリペプチドの約1%、10%、25%、50%を下回ることのない活性を有する。
【0088】
本発明はまた、野生型または天然に存在するヘビ毒FVの変異体であるヘビ毒FVポリペプチドも想定している。そのような「変異体」ポリペプチドには、ネイティブ性タンパク質のN末端および/もしくはC末端での1つもしくは複数のアミノ酸の欠失(いわゆる短縮)もしくは付加;ネイティブ性タンパク質における1つもしくは複数の部位での1つもしくは複数のアミノ酸の欠失もしくは付加;またはネイティブ性タンパク質における1つもしくは複数の部位での1つもしくは複数のアミノ酸の置換によって、ネイティブ性タンパク質から導き出されるタンパク質が含まれる。そのようなFV変異体ポリペプチドの非限定的な例には、シグナルペプチドドメインおよび活性化ペプチド(またはB)ドメインがチモーゲン形態または前駆体形態から除去されたFVaポリペプチドを非限定的に含む、完全長または前駆体ヘビ毒FVのプロセシングされた形態が含まれる。いくつかの態様において、変異体ポリペプチドは、野生型哺乳動物(例えば、ヒト)FVよりも1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ)少ない活性化プロテインC(APC)部位を有する。
【0089】
本発明の範囲に含まれる変異体タンパク質は、生物活性があり、すなわち、それらはネイティブ性タンパク質の所望の生物活性を有し続けている。そのような変異体は、例えば、遺伝子多型または人為的操作に起因するものでありうる。ネイティブ性または野生型ヘビ毒FVの生物活性変異体は、デフォルトのパラメーターを用いた、本明細書の別の箇所に記載した配列アラインメントプログラムによる評価で、ネイティブ性タンパク質のアミノ酸配列に対して少なくとも40%、50%、60%、70%、一般に少なくとも75%、80%、85%、通常は約90%〜95%またはそれ以上、典型的には約98%またはそれ以上の配列類似性または同一性を有すると考えられる。変異体ポリペプチドの範囲に入る、野生型ヘビ毒FVポリペプチドの生物活性変異体は、そのタンパク質とは、一般に200、100、50もしくは20個という多さのアミノ酸残基、または好適にはわずか1〜15アミノ酸残基、わずか1〜10個、例えば6〜10個、わずか5個、わずか4、3、2個、またはさらには1個のアミノ酸残基が異なってよい。いくつかの態様において、変異体ポリペプチドは、SEQ ID NO:2、4、6、8、10および12における対応する配列とは、少なくとも1個であるが15、10または5個未満であるアミノ酸残基が異なる。他の態様において、それは、SEQ ID NO:2、4、6、8、10および12における対応する配列とは、少なくとも1個であるがその残基の20%、15%、10%または5%未満の残基が異なる。
【0090】
ヘビ毒FVポリペプチドは、アミノ酸の置換、欠失、短縮および挿入を含むさまざまなやり方で変更することができる。そのような操作のための方法は当技術分野において一般に公知である。例えば、FVポリペプチドのアミノ酸配列変異体は、DNA中の突然変異によって調製することができる。突然変異誘発およびヌクレオチド配列の変更のための方法は当技術分野において周知である。例えば、Kunkel(1985, Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 82: 488-492)、Kunkel et al., (1987, Methods in Enzymol, 154: 367-382)、米国特許第4,873,192号、Watson, J. D. et al., ("Molecular Biology of the Gene", Fourth Edition, Benjamin/Cummings, Menlo Park, Calif., 1987)およびそれらの中に引用された参考文献を参照のこと。関心対象のタンパク質の生物活性に影響を及ぼさない適切なアミノ酸置換に関する手引きは、Dayhoff et al., (1978) Atlas of Protein Sequence and Structure(Natl. Biomed. Res. Found., Washington, D.C.)のモデルに見いだすことができる。点突然変異または短縮によって作られたコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするため、および選択された特性を有する遺伝子産物に関してcDNAライブラリーをスクリーニングするための方法は、当技術分野において公知である。そのような方法は、FVポリペプチドのコンビナトリアル突然変異誘発によって作製された遺伝子ライブラリーの迅速スクリーニングに利用することができる。ライブラリー中の機能的突然変異体の頻度を高める手法である再帰的アンサンブル(Recursive ensemble)突然変異誘発(REM)を、FVポリペプチド変異体を同定するためのスクリーニングアッセイと組み合わせて用いることができる(Arkin and Yourvan (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 7811-7815;Delgrave et al., (1993) Protein Engineering, 6: 327-331)。以下により詳細に考察するように、1つのアミノ酸を類似の特性を有する別のものと交換するといった保存的置換が望ましいことがある。
【0091】
変異体FVポリペプチドは、親(例えば、天然または参照)FVアミノ酸配列と比べて、その配列に沿ったさまざまな位置に保存的アミノ酸置換を含みうる。「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基によって置き換えられたものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当技術分野において定義されており、それらは一般に以下の通りに細分類することができる。
【0092】
酸性:この残基は生理pHでHイオンの喪失のために負の電荷を有し、かつこの残基は、ペプチドが生理pHの水性媒質中にある場合、水性溶液に誘引されて、内部にそれが含まれるペプチドのコンフォメーション内で表面の位置を得ようとする。酸性側鎖を有するアミノ酸には、グルタミン酸およびアスパラギン酸が含まれる。
【0093】
塩基性:この残基は、生理pHまたはその1もしくは2pH単位の範囲内でHイオンと会合のために正の電荷を有し(例えばヒスチジン)、かつこの残基は、ペプチドが生理pHの水性媒質中にある場合、水性溶液に誘引されて、内部にそれが含まれるペプチドのコンフォメーション内で表面の位置を得ようとする。塩基性側鎖を有するアミノ酸には、アルギニン、リジンおよびヒスチジンが含まれる。
【0094】
荷電性:この残基は生理的pHで荷電しており、したがって、これには酸性または塩基性側鎖を有するアミノ酸(すなわちグルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニン、リジンおよびヒスチジン)が含まれる。
【0095】
疎水性:この残基は生理的pHで荷電しておらず、かつこの残基は、ペプチドが生理的pHの水性媒質中にある場合、水性溶液によって反発されて、内部にそれが含まれるペプチドのコンフォメーション内で内部の位置を得ようとする。疎水性側鎖を有するアミノ酸には、チロシン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニンおよびトリプトファンが含まれる。
【0096】
中性/極性:この残基は生理的pHで荷電しておらず、ペプチドが水性媒質中にある場合、水性溶液によって十分には反発されず、そのためそれは内部にそれが含まれるペプチドのコンフォメーション内で内部の位置を得ようとはしないと考えられる。中性/極性側鎖を有するアミノ酸には、アスパラギン、グルタミン、システイン、ヒスチジン、セリンおよび/またはトレオニンが含まれる。
【0097】
この説明はまた、ある種のアミノ酸を、それらの側鎖がたとえ極性基を持たなくても、疎水性を付与するほど十分に大きくないことから「小型」と特徴づける。プロリンを例外として、「小型」アミノ酸とは、少なくとも1つの極性基が側鎖に存在する場合には炭素4個またはそれ未満であり、極性基が存在しない場合には炭素3個またはそれ未満のアミノ酸のことである。小型の側鎖を有するアミノ酸には、グリシン、セリン、アラニンおよびトレオニンが含まれる。遺伝子にコードされる第二級アミノ酸であるプロリンは、ペプチド鎖の二次構造に及ぼすその公知の作用のために特殊な事例である。プロリンの構造は、その側鎖がα炭素だけでなくαアミノ基の窒素とも結合しているという点で、他のすべての天然アミノ酸とは異なる。しかし、いくつかのアミノ酸類似性マトリックス(例えば、Dayhoff et al., (1978), A model of evolutionary change in proteins. Matrices for determining distance relationships In M. O. Dayhoff, (ed.), Atlas of protein sequence and structure, Vol. 5, pp. 345-358, National Biomedical Research Foundation, Washington DC;およびGonnet et al., (1992, Science, 256(5062): 14430-1445によって開示されているPAM120マトリックスおよびPAM250マトリックスを参照)は、グリシン、セリン、アラニンおよびトレオニンと同じグループ内にプロリンを含む。このため、本発明においては、プロリンを「小型」アミノ酸と分類する。
【0098】
極性または非極性としての分類のために必要な誘引または反発の度合いは自由に決めてよく、そのため、本発明によって具体的に想定されるアミノ酸はそのいずれか一方に分類されている。具体的に名前が挙げられていないほとんどのアミノ酸は、公知の挙動に基づいて分類することができる。
【0099】
アミノ酸残基はさらに、環状または非環状、芳香族または非芳香族、残基の側鎖置換基に関する改めて説明を要しない分類、および小型または大型として細分類することができる。残基は、別に極性置換基が存在する場合には、カルボキシル炭素を含めて全体で4個またはそれ未満の炭素原子を含む場合に小型とみなされ、置換基が存在しない場合には3個またはそれ未満を含む場合に小型とみなされる。当然ながら、小型残基は常に非芳香族である。その構造的特性に応じて、アミノ酸残基が2つまたはそれ以上のクラスに該当することもある。天然タンパク質のアミノ酸に関して、このスキームに従った細分類は表Bに提示されている。
【0100】
(表B)アミノ酸の細分類

【0101】
また、保存的アミノ酸置換も、側鎖に基づくグループ分けを含む。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸のグループは、グリシン、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシンであり;脂肪族-ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸のグループは、セリンおよびトレオニンであり;アミド含有側鎖を有するアミノ酸のグループは、アスパラギンおよびグルタミンであり;芳香族側鎖を有するアミノ酸のグループは、フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファンであり;塩基性側鎖を有するアミノ酸のグループは、リジン、アルギニンおよびヒスチジンであり;ならびにイオウ含有側鎖を有するアミノ酸のグループは、システインおよびメチオニンである。例えば、イソロイシンもしくはバリンによるロイシンの置き換え、グルタミン酸によるアスパラギン酸の置き換え、セリンによるトレオニンの置き換え、または構造的に関連したアミノ酸によるアミノ酸の同様の置き換えは、結果として生じる変異体ポリペプチドの特性に重大な影響を及ぼさないであろうと予想するのが妥当である。アミノ酸の変化が結果として機能的FVポリペプチドを生じさせるか否かは、その活性をアッセイすることによって容易に判定することができる。保存的置換は、以下の表Cに、例示的な置換および好ましい置換の見出しの下に示されている。本発明の範囲に入るアミノ酸置換は、一般に、(a)その置換領域内のペプチド骨格の構造、(b)標的部位での分子の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖の嵩(bulk)を維持することに対するそれらの影響が大きくは異ならない置換を選択することによって達成される。置換が導入された後に、変異体を生物活性についてスクリーニングする。
【0102】
(表C)例示的なアミノ酸置換および好ましいアミノ酸置換

【0103】
または、保存的置換を加えるための類似したアミノ酸を、その側鎖の実体に基づいて3つのカテゴリーにグループ分けすることもできる。Zubay, G., Biochemistry, third edition, Wm. C. Brown Publishers (1993)に記載されているように、第1のグループは、いずれも荷電側鎖を有する、グルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジンを含み;第2のグループはグリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、グルタミン、アスパラギンを含み、第3のグループは、ロイシン、イソロイシン、バリン、アラニン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニンを含む。
【0104】
このようにして、ヘビ毒FVポリペプチド中の非必須アミノ酸と予想されるものが、典型的には、同じ側鎖ファミリーからの別のアミノ酸残基によって置き換えられる。または、飽和突然変異誘発などによってヘビ毒FV遺伝子コード配列の全体または一部に沿ってランダムに突然変異を導入し、結果として生じた突然変異体を親ポリペプチドの活性についてスクリーニングすることで、その活性を保っている突然変異体を同定することもできる。コード配列の突然変異誘発の後に、コードされるペプチドを組換え的に発現させて、そのポリペプチドの活性を決定することができる。「非必須」アミノ酸残基とは、態様ポリペプチドの野生型配列から、その活性の1つまたは複数を消失させることも実質的に変更することもなしに変更することのできる残基のことである。好適には、その変更はこれらの活性の1つを実質的に変更せず、例えば、活性は野生型の少なくとも20%、40%、60%、70%または80%である。例証的な非必須アミノ酸残基には、図7に示された野生型ヘビ毒FVポリペプチドとの間で、同じ位置(例えば、前記に定義した残基X1-X66)に違いのあるアミノ酸のいずれか1つまたは複数が含まれる。「必須」アミノ酸残基とは、参照FVポリペプチドの野生型配列から変更された場合に、野生型活性の20%未満が存在するというように親分子の活性の消失を生じさせる残基のことである。例えば、そのような必須アミノ酸残基には、FVポリペプチド中で種を越えて保存されているもの、例えば、ヒト、マウス、ウシ、ニワトリ、ブラウンスネーク、内陸タイパンおよび沿岸タイパン由来のFVポリペプチドのFXa結合部位において保存されているW(N/D)Y(A/P)Pが含まれ、その結合部位は例えば図7に示されている残基338〜379によって定義される。
【0105】
したがって、本発明はまた、天然に存在するFVポリペプチド配列の変異体またはそれらの生物活性断片であって、変異体が1つまたは複数のアミノ酸残基の付加、欠失または置換によって天然の配列とは区別されるものもFVポリペプチドとして想定している。一般に、変異体は、例えばSEQ ID NO:2、4、6、8、10および12に示された親または参照FVポリペプチド配列に対して少なくとも約30、40、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%の類似性を呈すると考えられる。望ましくは、変異体は、例えばSEQ ID NO:2、4、6、8、10および12に示された親FVポリペプチド配列に対して少なくとも30、40、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%の配列同一性を呈すると考えられる。さらに、ネイティブ性または親配列とは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60、70、80、90、100またはそれ以上のアミノ酸の付加、欠失または置換による違いがあるが、親FVポリペプチドの特性を保っている配列も想定される。FVポリペプチドにはまた、本明細書で定義したストリンジェンシー条件、特に高ストリンジェンシー条件の下で、以下に記載するような、FVをコードするポリヌクレオチド配列またはその非コード鎖とハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドも含まれる。例証的なヘビ毒FVポリヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:1、3、5、7、9および11に示されている。
【0106】
いくつかの態様において、変異体ポリペプチドは、参照FV配列と、少なくとも1つの、しかし50、40、30、20、15、10、8、6、5、4、3または2未満のアミノ酸残基が異なる。他の態様において、変異体ポリペプチドは、SEQ ID NO:2、4、6、8、10および12の対応する配列と、残基の少なくとも1%、しかし20%未満、15%未満、10%未満または5%未満が異なる。(この比較にアラインメントが必要であれば、最大の類似性になるように配列のアラインメントを行うべきである。欠失もしくは挿入による「ループ」アウト("Looped" out)配列またはミスマッチは差異とみなされる)。好適には、差異は、非必須残基における差異もしくは変更、または保存的置換である。
【0107】
他の態様において、変異体ポリペプチドは、例えばSEQ ID NO:2、4、6、8、10および12に示されたFVポリペプチドの対応する配列に対して少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%またはそれ以上の類似性を有するアミノ酸配列を含み、かつヘビ毒FVポリペプチドの活性を有する。
【0108】
配列間の配列類似性または配列同一性(これらの用語は本明細書において互換的に用いられる)の計算は、以下の通りに行われる。
【0109】
2つのアミノ酸配列、または2つの核酸配列の一致度を決定するためには、最適な比較を目的として配列のアラインメントを行う(例えば、最適なアラインメントのために、第1および第2のアミノ酸配列または核酸配列の一方または両方にギャップを導入することができ、比較のために非相同配列を無視することができる)。好ましい態様において、比較の目的でアラインメントが行われる参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、60%、さらにより好ましくは少なくとも70%、80%、90%、100%である。続いて、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置にあるアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列中の位置が、第2の配列中の対応する位置にあるものと同じアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占められている場合には、これらの分子はその位置で同一である。
【0110】
2つの配列間の一致度は、2つの配列の最適なアラインメントのために導入する必要があるギャップの数およびそれぞれのギャップの長さを考慮に入れた上で、配列が共有する同一な位置の数の関数である。
【0111】
配列の比較および2つの配列間の一致度の決定は、数学的アルゴリズムを用いて行うことができる。ある態様において、2つのアミノ酸配列間の一致度は、GCGソフトウエアパッケージ中のGAPプログラム(http://www.gcg.comで入手可能)に組み込まれているNeedleman and Wunsch(1970, J. Mol. Biol. 48: 444-453)のアルゴリズムを用い、Blossum 62マトリックスまたはPAM250マトリックス、およびギャップ加重(gap weight)に16、14、12、10、8、6または4を、長さ加重(length weight)に1、2、3、4、5または6を用いて決定される。特定的な態様において、2つのヌクレオチド配列の間の一致率は、GCGソフトウエアパッケージ中のGAPプログラム(http://www.gcg.comで入手可能)を用い、NWSgapdna.CMPマトリックス、およびギャップ加重に40、50、60、70または80を、長さ加重に1、2、3、4、5または6を用いて決定される。パラメーターの非限定的な一例(および別に指定のない場合に用いるべきもの)は、Blossum 62スコアリングマトリックス、ギャップペナルティ(gap penalty)12、ギャップ伸長ペナルティ(gap extend penalty)4およびフレームシフトギャップペナルティ(frameshift gap penalty)5を含む。
【0112】
2つのアミノ酸配列またはヌクレオチド配列間の一致度は、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているE. Meyers and W. Millerのアルゴリズム(1989, Cabios, 4: 11-17)を用い、PAM120加重残基表(weight residue table)、ギャップ長ペナルティ(gap length penalty)12およびギャップペナルティ(gap penalty)4を用いて決定することができる。
【0113】
本明細書に記載された核酸配列およびタンパク質配列を「クエリー配列(query sequence)」として用いて、例えば、ファミリーの他のメンバーまたは関連配列を同定するために、公開データベースに対する検索を行うことができる。この種の検索は、Altschul, et al., (1990, J. Mol. Biol, 215: 403-10)のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)を用いて行うことができる。本発明の53010核酸分子と相同なヌクレオチド配列を得るためには、BLASTヌクレオチド検索を、スコア=100、ワード長(wordlength)=12としたNBLASTプログラムを用いて実行するとよい。本発明の53010タンパク質分子と相同なアミノ酸配列を得るためには、BLASTのタンパク質検索を、スコア=50、ワード長=3としたXBLASTプログラムを用いて実行するとよい。比較用のギャップ有りアラインメントを得るためには、Altschul et al., (1997, Nucleic Acids Res, 25: 3389-3402)に記載されたギャップトBLAST(Gapped BLAST)を利用するとよい。BLASTおよびギャップトBLASTプログラムを用いる際には、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトのパラメーターを用いることができる。
【0114】
ヘビ毒FVタンパク質の変異体は、突然変異体の、例えばヘビ毒FVタンパク質の短縮突然変異体のコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによって同定することができる。ヘビ毒FVタンパク質のコード配列の断片、例えばN末端、C末端または内部断片のライブラリーを、ヘビ毒FVタンパク質の変異体のスクリーニングおよびその後の選択のための、断片の多様化した集団を作製するために用いることができる。
【0115】
点突然変異または短縮によって作られたコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするため、および選択された特性を有する遺伝子産物に関してcDNAライブラリーをスクリーニングするための方法は、当技術分野で公知である。そのような方法は、ヘビ毒FVタンパク質のコンビナトリアル突然変異誘発によって作製された遺伝子ライブラリーの迅速スクリーニングに適応させるこごができる。
【0116】
本発明のFVポリペプチドは、当業者に公知の任意の適した手順によって調製することができる。例えば、FVポリペプチドを、ヘビ毒および血清を含む、天然に存在する保有物(reservoir)からポリペプチドを精製することなどによる任意の好都合な方法によって生産することができる。精製の方法には、レクチン(例えば、コムギ胚芽凝集素)アフィニティークロマトグラフィーまたは分離が含まれる。導き出されたFVの実体および純度は、例えばSDS-ポリアクリルアミド電気泳動によって、または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などによってクロマトグラフィー的に決定される。または、FVポリペプチドを、例えばAtherton and Shephard (前記)の第9章、およびRoberge et al., (1995, Science, 269: 202)に記載されたような、液相合成または固相合成などの化学合成によって合成することもできる。
【0117】
または、FVポリペプチドを組換え手法によって調製することもできる。例えば、本発明のFVポリペプチドは、以下の段階を含む手順によって調製することができる:(a)FVポリペプチドをコードし、かつ調節エレメントと機能的に連結されているポリヌクレオチド配列を含む構築物を調製する段階;(b)構築物を宿主細胞に導入する段階;(c)宿主細胞を培養してFVポリペプチドを発現させる段階;および(d)FVポリペプチドを宿主細胞から単離する段階。例証的な実例において、ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:2、4、6、8、10および12に示された配列の少なくとも生物活性部分、またはその変異体をコードする。組換えFVポリペプチドは、例えば、Sambrook, et al., (1989, 前記)、特にセクション16および17;Ausubel et al., (1994, 前記)、特に第10章および第16章;ならびにColigan et al., Current Protocols in Protein Science (John Wiley & Sons, Inc. 1995-1997)、特に第1章、第5章および第6章に記載されたような標準的なプロトコールを用いて好都合に調製することができる。
【0118】
本発明のFVポリペプチドをコードする例示的なヌクレオチド配列の範囲には、完全長ヘビ毒FV遺伝子のほかに、ヘビ毒FV遺伝子の完全長もしくは実質的に完全長のヌクレオチド配列の部分、またはそれらの転写物もしくはこれらの転写物のDNAコピーが含まれる。ヘビ毒FVヌクレオチド配列の部分は、ネイティブ性ポリペプチドの生物活性を保っているポリペプチド部分またはセグメントをコードしうる。ヘビ毒FVポリペプチドの生物活性断片をコードするヘビ毒FVヌクレオチド配列の一部分は、少なくとも約20、21、22、23、24、25、30、40、50、60、70、80、90、100、120、150、300もしくは400個の連続したアミノ酸残基、または完全長ヘビ毒FVポリペプチドに存在するアミノ酸のほぼ総数近くをコードしうる。
【0119】
本発明はまた、ヘビ毒FVヌクレオチド配列の変異体も想定している。核酸変異体は、アレル変異体(同じ遺伝子座)、ホモログ(異なる遺伝子座)およびオルソログ(異なる生物体)などのように天然のものでもよく、または非天然性のものでもよい。これらのような天然の変異体は、例えば、当技術分野で公知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)およびハイブリダイゼーション手法といった周知の分子生物学的な手法の使用によって同定することができる。非天然性の変異体は、ポリヌクレオチド、細胞または生物体に対して適用されるものを含む、突然変異誘発法によって作製可能である。変異体はヌクレオチドの置換、欠失、逆位および挿入を含みうる。変異はコード領域および非コード領域の一方にあってもよく、または両方にあってもよい。変異は(コードされる産物と比較して)保存的および非保存的なアミノ酸置換のいずれも生じさせることができる。ヌクレオチド配列の場合、保存的変異体には、遺伝暗号の縮重性のために参照ヘビ毒FVポリペプチドのアミノ酸配列をコードする配列が含まれる。また、変異体ヌクレオチド配列には、合成的に導き出されたヌクレオチド配列、例えば、部位指定突然変異誘発を用いることによって作製され、それでもなおヘビ毒FVポリペプチドをコードするものも含まれる。一般に、特定のヘビ毒FVヌクレオチド配列の変異体は、デフォルトのパラメーターを用いた、本明細書の別の箇所に記載した配列アラインメントプログラムによる評価で、その特定のヌクレオチド配列に対して、少なくとも約30%、40%50%、55%、60%、65%、70%の、一般に少なくとも約75%、80%、85%の、望ましくは約90%〜95%またはそれ以上の、より好適には約98%またはそれ以上の配列同一性を有すると考えられる。
【0120】
ヘビ毒FVヌクレオチド配列は、他の生物体、特に他のヘビからの対応する配列およびアレルを単離するために用いることができる。核酸配列のハイブリダイゼーションのための方法は当技術分野において容易に利用可能である。他の生物体からのコード配列を、本明細書に示されたコード配列とのそれらの配列同一性に基づいて、周知の手法に従って単離することもできる。これらの手法では、公知のコード配列の全体または一部を、選択した生物体(例えば、ヘビ)からクローニングされたゲノムDNA断片またはcDNA断片の集団(すなわち、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリー)内に存在する、他のヘビ毒FVをコードする配列と選択的にハイブリダイズするプローブとして用いる。したがって、本発明はまた、本明細書で以下に述べるストリンジェンシー条件下で、参照ヘビ毒FVヌクレオチド配列またはそれらの相補物とハイブリダイズするポリヌクレオチドも想定している。本明細書で用いる場合、「低ストリンジェンシー、中ストリンジェンシー、高ストリンジェンシーまたは超高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする」という用語は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄のための条件を記載している。ハイブリダイゼーション反応を行うための手引きは、Ausubel et al., (1998, 前記)、セクション6.3.1〜6.3.6に記載されている。この参考文献には水性および非水性での方法が記載されており、そのいずれを用いることもできる。本明細書における低ストリンジェンシー条件への言及には、42℃でのハイブリダイゼーションのための少なくとも約1% v/vから少なくとも約15% v/vのホルムアミド、および少なくとも約1Mから少なくとも約2Mの塩、ならびに42℃での洗浄のための少なくとも約1Mから少なくとも約2Mの塩が範囲に含まれる。低ストリンジェンシー条件にはまた、65℃でのハイブリダイゼーションのための1%ウシ血清アルブミン(BSA)、1mM EDTA、0.5M NaHPO4(pH 7.2)、7% SDS、および室温での洗浄のための(i)2×SSC、0.1% SDS;または(ii)0.5% BSA、1mM EDTA、40mM NaHPO4(pH 7.2)、5% SDSも含まれうる。低ストリンジェンシー条件の1つの態様は、約45℃での6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのハイブリダイゼーションと、その後の少なくとも50℃(低ストリンジェンシー条件の場合、洗浄の温度は55℃まで上昇させることができる)での0.2×SSC、0.1% SDS中での2回の洗浄を含む。中ストリンジェンシー条件には、42℃でのハイブリダイゼーションのための少なくとも約16% v/vから少なくとも約30% v/vのホルムアミド、および少なくとも約0.5Mから少なくとも約0.9Mの塩、ならびに55℃での洗浄のための少なくとも約0.1Mから少なくとも約0.2Mの塩が範囲に含まれる。中ストリンジェンシー条件にはまた、65℃でのハイブリダイゼーションのための1%ウシ血清アルブミン(BSA)、1mM EDTA、0.5M NaHPO4(pH 7.2)、7% SDS、および60〜65℃での洗浄のための(i)2×SSC、0.1% SDS;または(ii)0.5% BSA、1mM EDTA、40mM NaHPO4(pH 7.2)、5% SDSも含まれうる。中ストリンジェンシー条件の1つの態様は、約45℃で6×SSC中でハイブリダイズさせた後の、60℃での0.2×SSC、0.1% SDS中での1回または複数回の洗浄を含む。高ストリンジェンシー条件には、42℃でのハイブリダイゼーションのための少なくとも約31% v/vから少なくとも約50% v/vのホルムアミド、および42℃でハイブリダイゼーションのための約0.01M〜約0.15Mの塩、ならびに55℃での洗浄のための約0.01M〜約0.02Mの塩が含まれる。高ストリンジェンシー条件にはまた、65℃でのハイブリダイゼーションのための1% BSA、1mM EDTA、0.5M NaHPO4(pH 7.2)、7% SDS、および65℃を上回る温度での洗浄のための(i)0.2×SSC、0.1% SDS;または(ii)0.5% BSA、1mM EDTA、40mM NaHPO4(pH 7.2)、1% SDSも含まれうる。高ストリンジェンシー条件の1つの態様は、約45℃で6×SSC中でハイブリダイズさせた後の、65℃での0.2×SSC、0.1% SDS中での1回または複数回の洗浄を含む。
【0121】
ある態様において、ヘビ毒FVポリペプチドは、開示されたヌクレオチド配列と超高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされる。超高ストリンジェンシー条件の1つの態様は、65℃で0.5Mリン酸ナトリウム、7% SDS中でハイブリダイズさせた後の、65℃での0.2×SSC、1% SDS中での1回または複数回の洗浄を含む。
【0122】
他のストリンジェンシー条件も当技術分野において周知であり、当業者は、さまざまな要因を操作することでハイブリダイゼーションの特異性を最適化しうることを認識しているであろう。最後の洗浄のストリンジェンシーの最適化は、高度のハイブリダイゼーションを確実に行わせる役割を果たしうる。詳細な例については、Ausubel et al., 前記のページ2.10.1〜2.10.16、およびSambrook et al. (1989, 前記)のセクション1.101〜1.104を参照のこと。
【0123】
ストリンジェントな洗浄は、典型的には約42℃〜68℃の温度で行われるが、当業者は他の温度もストリンジェントな条件に適する場合があることを理解しているであろう。最大のハイブリダイゼーション速度は、典型的には、DNA-DNAハイブリッドの形成のためのTmよりも約20℃〜25℃低いところで起こる。Tmが融解温度、または2つの相補的ポリヌクレオチド配列が解離する温度であることは、当技術分野において周知である。Tmを推定するための方法は当技術分野において周知である(Ausubel et al.、前記の2.10.8ページを参照)。一般に、完全にマッチするDNA二重鎖のTmは、以下の式によって近似値として予測することができ:
【0124】
Tm=81.5+16.6(log10 M)+0.41(%G+C)−0.63(%ホルムアミド)−(600/長さ)、
式中、MはNa+の濃度であり、好ましくは0.01モル濃度〜0.4モル濃度の範囲にある;%G+Cは塩基の総数に占めるパーセンテージとしてのグアノシン塩基およびシトシン塩基の合計であり、30%及び75% G+Cの範囲内にある;%ホルムアミドは容積比でのホルムアミド濃度のパーセンテージである;長さはDNA二重鎖における塩基対の数である。二重鎖DNAのTmは、ランダムなミスマッチ塩基対の数が1%増えるごとに約1℃低下する。洗浄は一般に、高ストリンジェンシーの場合はTm−15℃、中ストリンジェンシーの場合はTm−30℃で行われる。
【0125】
ハイブリダイゼーション手順の一例では、固定化されたDNAを含む膜(例えば、ニトロセルロース膜またはナイロン膜)を、標識されたプローブを含むハイブリダイゼーション緩衝液(50%脱イオン化ホルムアミド、5×SSC、5×デンハルト溶液(0.1%フィコール、0.1%ポリビニルピロリドンおよび0.1%ウシ血清アルブミン)、0.1% SDSおよび200mg/mLの変性サケ精子DNA)中で42℃にて一晩ハイブリダイズさせる。続いて膜を2回連続して中ストリンジェンシー洗浄(すなわち、45℃で2×SSC、0.1% SDSで15分間、その後に50℃で2×SSC、0.1% SDSで15分間)に供し、その後に2回連続してより高いストリンジェンシーの洗浄(すなわち、55℃で0.2×SSC、0.1% SDSで12分間、その後に65〜68℃で0.2×SSCおよび0.1% SDS溶液で12分間)に供する。
【0126】
本発明はまた、出血エピソードまたは凝固障害を治療するためのヘビ毒FVのキメラタンパク質または融合タンパク質の使用法も想定している。本明細書で用いる場合、ヘビ毒FV「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」には、非ヘビ毒FVポリペプチドと連結されたヘビ毒FVポリペプチドが含まれる。「非ヘビ毒FVポリペプチド」とは、ヘビ毒FVタンパク質とは異なり、かつ同じまたは異なる生物体に由来するタンパク質に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドのことを指す。融合タンパク質のヘビ毒FVポリペプチドは、ヘビ毒FVアミノ酸配列の全体または一部、例えば本明細書に記載した断片に対応しうる。1つの好ましい態様において、ヘビ毒FV融合タンパク質は、ヘビ毒FVタンパク質の少なくとも1つ(または2つ)の生物活性部分を含む。非ヘビ毒FVポリペプチドは、ヘビ毒FVポリペプチドのN末端またはC末端と融合させることができる。
【0127】
融合タンパク質は、リガンドに対して高い親和性を有するモイエティ(部分)を含みうる。例えば、融合タンパク質は、ヘビ毒FV配列がGST配列のC末端と融合しているGST-ヘビ毒FV融合タンパク質でありうる。そのような融合タンパク質は、組換えヘビ毒FVの精製を容易にすることができる。または、融合タンパク質は、そのN末端に異種シグナル配列を含むヘビ毒FVタンパク質であってもよい。ある種の宿主細胞(例えば、哺乳動物宿主細胞)では、異種シグナル配列を用いることによってヘビ毒FVの発現および/または分泌を増加させることができる。いくつかの態様において、融合タンパク質は、血清タンパク質の全体または一部、例えばIgG定常領域またはヒト血清アルブミンを含みうる。
【0128】
本発明のヘビ毒FV融合タンパク質は、薬学的組成物中に組み入れて、インビボで対象に投与することができる。ヘビ毒FV融合タンパク質を用いることで、ヘビ毒FV基質の生物学的利用能に影響を及ぼすことができる。
【0129】
3.FV薬学的組成物およびそれらの使用法
本発明はまた、出血エピソードまたは凝固障害を治療するための組成物および方法における、本明細書に記載したヘビ毒FVポリペプチドの使用法も想定している。したがって、本発明のFVポリペプチドは、好適には、薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物中にある状態で投与される。薬学的に許容される担体は、糖、デンプン、セルロースおよびその誘導体、麦芽、ゼラチン、タルク、硫酸カルシウム、植物油、合成油、ポリオール、アルギン酸、リン酸緩衝溶液、乳化剤、ポリエチレングリコールおよびその異なる分子量のもの、等張生理食塩水、ならびに塩酸塩、臭化物および硫酸塩を含む鉱酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩およびマロン酸塩のような有機酸の塩、ならびに発熱性物質を含まない水を含む、非限定的な群から選択しうる。種々の水性担体、通常、許容される担体、好ましくは水性担体中に溶解された免疫グロブリンの溶液又はそれの混液を含む。種々の水性担体、例えば、水、緩衝水、0.4%食塩水、0.3%グリシンなどを用いることができる。また、本発明の組成物を、非水性担体を用いて、例えば、損傷の部位への送達またはターゲティングのためのゲルの形態で、またはリポソーム調製物として製剤化することもできる。リポソーム調製物は、例えば、米国特許第4837028号、第4501728号および第4975282号に全般的に記載されている。
【0130】
薬学的に許容される担体、希釈剤および添加剤を記載している有用な参考文献の1つは、Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Co. N.J. USA, 1991)であり、これは参照により本明細書に組み入れられる。また、補助的な活性化合物を組成物に組み入れることもできる。
【0131】
本発明の薬学的組成物は、血液凝固を促進するか、または他の様式で助長するために用いることができる。使用法の例には、手術中または損傷もしくは外傷の後といった出血性創傷に対する投与が含まれる。
【0132】
いくつかの態様において、ヘビ毒FVポリペプチドは、薬学的組成物中に存在する唯一の血液凝固成分である。この点に関して、本発明者らは、本発明のヘビ毒FVポリペプチドのさまざまな態様(例えば、SEQ ID NO:2に示された配列およびそのプロセシングされた形態を含むポリペプチド)を含む薬学的組成物が、補助因子、ヘビ毒FXa、またはFVIIもしくはFVIIaなどの他の血液凝固因子といった複数の成分の逐次的またはコンビナトリアルな作用の必要なしに、血液を迅速に凝固させることを見いだした。
【0133】
いくつかの態様において、薬学的組成物は、pH調整剤および緩衝剤ならびに/または張性調整剤、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムおよび塩化カルシウムなどを非限定的に含む、他の成分を含んでもよい。
【0134】
薬学的組成物は、ヘビ毒FVポリペプチドの安定性を向上させるために、例えばヘビ毒FVの消化、例えば自己消化などが減少するように製剤化することができる。ヘビ毒FVの安定性は、例えば、pHが約5〜9、好ましくは約6.5〜7である薬学的組成物中にヘビ毒FVを調製および/または提供することによって向上させることができる。また、ヘビ毒FVの安定性を、ポリオールなどの安定化剤をさらに含む薬学的組成物中にヘビ毒FVを提供することによって安定化することもできる。そのような態様において、薬学的組成物は、約5%、10%、20%またはそれ以上の1つのポリオール(または複数のポリオール)を含みうる。薬学的組成物中に用いうるポリオールの一例はグリセロールである。他の局面において、ヘビ毒FVの安定性は、ヘビ毒FVを結晶化されたフリーズドライ形態または凍結乾燥形態で提供することによって高めることができる。組成物を凍結する場合には、組成物を使用時の前に解凍すべきである。もう1つの態様において、本発明は、ヘビ毒FV、例えば本明細書に記載したヘビ毒FVを含み、pHが約5〜9、好ましくは約6.5〜7である組成物を特徴とする。本発明はまた、ヘビ毒FV、例えば本明細書に記載したヘビ毒FV、および安定化剤、例えばポリオール、例えばグリセロールなどを含む組成物も特徴とする。ポリオールは例えば約5%、10%または20%で存在しうる。
【0135】
本発明のFVポリペプチドを含む組成物の投与量はそのポリペプチドの具体的な用途に依存するが、投与量はその意図する用途を遂行するための組成物の有効量であるべきである。細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータを、ヒトに用いるための投与量の範囲を設定するために用いることができる。一般に、水性溶液であるヘビ毒FVポリペプチドを含む組成物については、そのような組成物の約1〜100nMが、フィブリン塊の形成を増加させるために十分であると考えられている。しかし、組成物の用途によっては、投与量は約20nM〜5μMの範囲でありうる。例えば、本発明のFVポリペプチドは、好適には、例えばヒトまたは非ヒト哺乳動物、例えば家畜などの対象に対して一般に少なくとも約0.1〜約1mg/kgの投与量で静脈内に投与されるが、他の投与量も有益な結果をもたらす可能性がある。
【0136】
いくつかの態様において、本発明の薬学的組成物は、失血を防止しようとする創傷、外科的切開部または他の場所に対して局部的に投与される。この目的のために、包帯、パッチ、ガーゼ、外科用テープ、綿球もしくは他の吸収材料、または支持マトリックスに、局部投与のために本発明のヘビ毒FVを含む組成物をコーティングすること、含浸させること、または化学結合させることができる。これらの用途においては局部投与が望ましい。加えて、ヘビ毒FVを含む組成物をコーティングした、または化学結合させた縫合糸およびステープルを用いることもできる。
【0137】
内出血の場合、または全身出血に対しては、組成物を静脈内、皮下、皮内または筋肉内に注射することができ、これは単回投与または多回投与として投与することができる。治療法において投与される具体的な用量は医師によって決定可能であり、これは投与の経路ならびに対象の体重および状態に依存すると考えられる。
【0138】
薬学的組成物は、投与の説明書とともに、容器、パックまたはディスペンサーの中に含めることができる。したがって、本発明は、対象における失血または出血を予防または軽減するためのキットも想定している。これらのキットは一般に、本明細書で幅広く説明したヘビ毒FVポリペプチド、および例えば以下のような1つまたは複数の他の要素を含むと考えられる:使用説明書;他の試薬および/または他の治療薬(例えば、以下のうち1つまたは複数:抗菌薬、例えば抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗炎症薬、抗ヒスタミン薬、抗線溶薬、鎮痛薬および増殖因子);希釈剤;装置、例えば容器、例えば滅菌容器、または投与のためにヘビ毒FVを調製するための他の材料;薬学的に許容される担体(例えば、安定化剤);および対象への投与のためのデバイスまたは他の材料(例えば、シリンジ、アプリケーター、包帯、スプレーまたはエアロゾル用デバイス)。説明書には、例えば外出血および/または内出血を有する患者において勧められる投与量および/または投与様式を含む、治療適用のための説明書が含まれうる。他の態様において、ヘビ毒FVは他の成分とともに投与することができ、キットは、ヘビ毒FVおよび他の成分の投与の量、投与量および時期に関する説明書を含みうる。
【0139】
いくつかの態様において、ヘビ毒FVは、凍結乾燥形態またはフリーズドライ形態で供給してもよい。そのような態様において、キットは、以下のうち1つまたは複数を含みうる:解凍および/または加水分解を行うための説明書、ならびに薬学的に許容される担体または希釈剤。いくつかの態様において、キットは、希釈剤、または予め測定した量の希釈剤に関する説明書を含みうる。
【0140】
本発明はまた、対象における失血または出血を予防または軽減するための方法も範囲に含む。本方法は以下を含みうる:ヘビ毒FVポリペプチドを、対象における所望の部位に対して、血餅形成を促進または増大させ、それによって凝固を増大させる、および/または血液もしくは体液の喪失を減少させるのに有効な量で投与する段階。組成物は、創傷、他の組織または他の所望の部位に直接適用することができる。典型的には、外部創傷に対しては、これを創傷への噴霧を含む任意の手段によって直接適用することができる。また、これを外科処置の間に、または注射などによって体内に適用することもできる。
【0141】
いくつかの態様において、対象は哺乳動物、例えばヒトである。本明細書に記載したヘビ毒FVは典型的には血液由来ではないため、血液成分から得られる凝固剤の中に認められる可能性のある血液媒介病原体または他の感染性因子のリスクに関する懸念は緩和される。
【0142】
本発明の方法、キットまたは薬学的組成物は、例えば、出血を停止または減少させるため、出血を予防または抑制するため、創傷を治癒するため、および/または創傷を密閉するために用いることができる。本発明の方法、キットおよび薬学的組成物は、以下を含むさまざまな外科的状況において用いることができる:神経系の手術;鼻、口または咽頭の手術;呼吸器系の手術;心血管系の手術;血液系またはリンパ系の手術;消化器系の手術;泌尿器系の手術;生殖系の手術;骨格筋系の手術;外皮系の手術;形成外科;整形手術;および移植手術。例えば、ヘビ毒FVは、血管手術時に用いることができ、これには、遠位冠動脈吻合部の縫合孔出血;左室縫合線;大動脈切開術およびカニューレ挿入部位;再手術時に認められる広範性心筋外膜出血;および例えば心房、大静脈または右室レベルでの静脈出血部位からの滲出、に対して止血をもたらすことが含まれる。本発明はまた、ダクロン動脈グラフトを移植前に密閉すること、体の外側の組織を密閉すること、損傷した脾臓、肝臓および他の実質臓器からの出血を停止させること(それによって臓器を救うこと);気管および気管支吻合部ならびに肺の漏出または裂傷を密閉すること、気管支断端、気管支痩および食道瘻を密閉すること;ならびに無縫合シームレス治癒(「ジッパー」手法)のためにも有用である。本発明はさらに、角膜移植、鼻血、扁桃腺摘出後、抜歯および他の用途において止血をもたらすためにも有用である。G.F.Gestring and R. Lermer, Vascular Surgery, 294-304, September/October 1983を参照。同じく、本発明の薬学的組成物は、血友病(例えば、血友病Aおよび血友病B)などの凝固欠陥を有する個体にも特に適している。
【0143】
以上に考察したように、ヘビ毒FVポリペプチドは、創傷被覆材、包帯、パッチ、ガーゼ、外科用テープ、綿球もしくは他の吸収材料、または支持マトリックスの一部として製剤化することができる。被覆材および包帯は、使用が容易であり、操作するために高度の技術的知識または熟練を必要としない。それらは緊急時の救急処置手段として自己投与することさえできる。そのような創傷被覆材および包帯は、兵士、レスキュー隊員、救急/パラメディカルチーム、消防士のための外傷湿布、ならびに特に災害の状況における病院および診療所での救急室人員による初期外傷および応急処置といったさまざまな実地用途に用いることができる。また、そのような被覆材は、一般の人々または医療従事者が用いるための応急処置キットにおいても有用性を有する可能性がある。ヘビ毒FVを含む創傷被覆材または包帯はさらに、安定化剤、または本明細書に記載したものなどの他の化合物もしくは物質の1つまたは複数を含むことができる。例えば、創傷被覆材または包帯は以下のものをさらに含みうる:鎮痛薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗炎症薬、抗ヒスタミン薬、抗線溶薬および増殖因子。
【0144】
ヘビ毒FVポリペプチド以外の複数の化合物を組成物に加えて、同時に放出させること、またはそれぞれを所定の徐放性様式で放出させることができる。組成物に加えられる追加の1つの化合物(または複数の化合物)は、それが意図する目的に有効と考えられるような、例えば、抗生物質は微生物の増殖を抑制するような、鎮痛薬は疼痛を緩和するような濃度で加えることができる。いくつかの態様において、被覆材または包帯は、接着層および/または裏地層を含むことができる。被覆材または包帯の裏地層は、従来の非吸収性の材料、例えばシリコンパッチまたは合成樹脂材料であってもよい;またはこれは生体適合性の吸収性の材料、例えばキチンまたはその誘導体であってもよい。
【0145】
手術において、または体内での凝固因子として用いるといった他の用途に関しては、ヘビ毒FVを、注射によって、または何らかの内部適用形態で投与するように製剤化することができる。
【0146】
組成物が血餅を形成させる速度は用途によってある程度左右される可能性があり、例えば動脈創傷および出血性の組織障害の場合には迅速であり、骨組織に対する創傷の治療の場合にはより緩徐である。特定的な態様において、凝固は試薬を局部に適用する場合は1分以内に明らかとなり、試薬を静脈内に注射する場合は5分以内に明らかとなる。後者の時間は血液中での平衡化を可能にする。
【0147】
他の態様において、ヘビ毒FVポリペプチドは単独で用いることもでき、またはインビトロで血清を生成させるための他の作用物質とともに用いることもできる。
【0148】
本発明が容易に理解され、実施されるように、ここで、特に好ましい態様を以下の非限定的な例によって説明する。
【実施例】
【0149】
実施例1
毒液からのP.テクスチリスFVの単離
プロトロンビンアクチベーター複合体を、参照により本明細書に組み入れられる本発明者らの以前の研究、Masci et al., (1988, Biochem Int, 17: 825-835)に記載された通りに、P.テクスチリスの毒液から単離した。4mg/mLのプロトロンビンアクチベーターを50%グリセロール中に-20℃で保存した。セファクリルS-300はAmersham Pharmacia Biotech., Uppsala, Swedenから入手し、合成発色基質S-2222はChromogenex, Stockholm, Swedenから入手した。ウイルススクリーニングを受けた正常な志願者から得られた、期限の切れたクエン酸血漿を、Princess Alexandra Hospital Blood Bankから入手することができた。Hampton 1およびHampton 2スクリーニングキットは、Hampton Research, United States of Americaから入手した。Wizard 1およびWizard 2スクリーニングキットはEmerald Biostructures, United Kingdomから入手した。
【0150】
P.テクスチリス-ヘビ毒FVの精製における第一段階は、Masci et al.,(1988、前記)に記載されたように、粗毒液からブラウンスネーク毒プロテアーゼ複合体を単離することであった。Con A-セファロース4Bを2.5×16cmカラムに充填し、製造元の推奨通りに洗浄して、開始緩衝液(0.05M Tris-HCl、pH 7.4)で平衡化した。P.テクスチリス毒液(乾燥重量233mg)を10mlの開始緩衝液中に再構成し、溶解するまで37℃の水浴に入れた。試料をカラムにローディングし、ベースラインがゼロに戻るまでカラム緩衝液で洗浄した。結合したタンパク質(ブラウンスネーク毒FV複合体)をCon A-セファロース4Bから溶出させるために、溶出緩衝液(0.02Mのメチルα-Dマンノピラノシド、0.05M Tris-HCl中)をカラムに適用した。カラムの流速は52ml/時とした。UV二重波長検出器を280mmに設定し、減衰量を0.32および0.64フルスケール吸光度単位(AUFS)とした。S-2222加水分解活性のある画分をプールし、Amicon濃縮器モデル405にYM3膜を用いて流速48mL/時で濃縮した。精製されたブラウンスネーク毒プロテアーゼ複合体は50%グリセロール中で-20℃で保存した。
【0151】
イソチアン酸ナトリウム処理によって複合体を解離させ、Superdex 75上でのゲルクロマトグラフィーによるFV様成分の分離が可能になるようにした。続いて、精製ヘビ毒FV中に存在する可能性のある微量のFXa活性を阻害するために、FV様成分を非可逆的FXa阻害薬であるDDACKで処理した。Speijer et al., (1986, J Biol Chem, 13258-13267)を参照。FXa発色基質S-2222を用いたアッセイおよび血漿凝固アッセイにより、完全な阻害が確認された。
【0152】
残存するヘビFXaタンパク質は、ヘビFXa重鎖に対するポリクローナル抗体によって誘導体化したセファロースビーズに対するアフィニティー吸着によって除去した。
【0153】
実施例2
P.テクスチリス毒FVによるクエン酸血漿の凝固
再カルシウム化を行ったクエン酸血漿に関する凝固時間を、ヘビ毒FVの存在下および非存在下で決定したところ、低いナノモル濃度であってもクエン酸血漿の凝固速度の大きな増大が達成された。この効果の簡単な説明は、添加したヘビ毒FVとヒトFXaとの間での高活性ハイブリッドプロトロンビナーゼ複合体の形成である。以下の表1は、Hyland-Clotek装置を用いて37℃で決定したクエン酸血漿に関する凝固時間を示している。反応混合物(容積350μL)は、100μLのクエン酸血漿;100μLのトリス緩衝食塩水;50μLの0.2Mカルシウム;50μLのプラテリン(platelin)LS(リン脂質)および;50μLのヘビ毒FV調製物または緩衝液からなっていた。59ページの表2は、カルシウム(Ca)、リン脂質(PL)およびP.テクスチリスのヘビ毒FVの存在下におけるクエン酸血漿の凝固を示しており、図1は、リン脂質およびP.テクスチリス毒FVの存在下における再カルシウム化クエン酸血漿の凝固時間を図示したグラフの例を提示している。
【0154】
【表1】

【0155】
実施例3
全血の凝固
再カルシウム化クエン酸ヒト血液の凝固に対する、添加したヘビ毒FVの影響を、Hemoscopeトロンボエラストグラフ(TEG)を用いて決定した(図2参照)。図1は、少量のヘビ毒FVの添加によって引き起こされた凝固の大きな強化を裏づけており、血漿凝固の結果と同じく、これはハイブリッドヘビ毒FVa-ヒトFXa複合体の形成と合致する。
【0156】
【表2】

【0157】
凝固混合物に20nMのAPCを含めること(再カルシウム化クエン酸全血(re-calcified citrated whole blood)の凝固のため)により、凝固時間は505秒から1333秒に延長し、血餅強度は12kdyn/cm2から7kdyn/cm2に低下した。280nMのヘビ毒FVとAPCの共添加は、凝固時間を127秒にさせ、血餅強度を回復させた。これらの結果は、ハイブリッドヘビ-ヒト複合体がヒトVa-Xa複合体よりもAPC切断に対してはるかに安定であると考えれれば容易に説明される。
【0158】
実施例4
マウス尾切除出血モデル
用いたプロトコールは、参照により本明細書に組み入れられるTanabe et al., (1999, Thromb Haemos, 8: 828-836)を一部改変したものとした。成体B57/BLマウス(20〜30g)に麻酔を施し(イソフラレン、2.5%、1.5L/分)、尾の先端10mmを滅菌刃によって外科的に切除した。近位の尾部表面を直ちに、P.テクスチリスFV(50nmol/L)を含む、または含まない食塩水(100mL)に1分間浸漬させた。続いて、切断面から失われた血液を、濾紙(Whatman No. 54濾紙)小片(直径1cm)に、1分間隔で交換しながら吸着させた。小片上および最初の食塩水溶液中のヘモグロビンを、Shaw et al., (1972, Contracept, 5: 497-513)の方法によって測定した。図3および4は、マウス切除出血モデルを用いて実施した失血試験の例証的な実例を提示している。倫理的な承認は、Queensland Institute of Medical ResearchのAnimal Care CommitteeおよびUniversity of Queensland Animals Ethics Committeesから得ており、プロトコールはNHMRC AEECガイドラインに準拠した。
【0159】
ウエスタンブロット
P.テクスチリス毒から単離されたプロトロンビンアクチベーター複合体;P.テクスチリス由来の単離されたFXa様プロテアーゼおよび;P.テクスチリス毒から単離されたFVa、の還元性および非還元性調製物のSDS PAGEおよびウエスタンブロット分析の結果から、抗プロテアーゼ重鎖抗体(P.テクスチリスFXa様プロテアーゼの重鎖との組換えGST融合タンパク質に対するヒツジ抗血清)を用いると、FV調製物からFXaが除去されるように思われることが示された(図6参照)。図6に示された左側のゲルはクーマシー染色の結果であり、右側の図は同じゲルからのウエスタンブロットである。
【0160】
実施例5
静脈内の出血データ
用いたプロトコールは、段落[0269]で概要を述べたマウス尾切除出血モデルのものと同様であった。成体B57/BLマウス(体重20〜30g)に麻酔を施し(イソフラレン、2.5%、1.5L/分)、500nmol/L FVを含む100μLの食塩水;100μLの食塩水(対照);またはアプロチニンを含む100μLの食塩水(110μmol/L)のいずれかを静脈内に注射した。各群の動物個体数は10匹とした。静脈内に注射した溶液が血流中で平衡化するまで3分間おいた後に、尾の先端10mmを滅菌刃によって外科的に切除した。切断面から失われた血液を、濾紙(Whatman No. 54濾紙)小片(直径1cm)に、1分間隔で交換しながら吸着させた。小片上のヘモグロビンを、Shaw et al., (1972, Contracept, 5: 497-513)の方法によって測定した。図5は、静脈内マウス切除出血モデルを用いて実施した失血試験の例証的な実例を提示している。倫理的な承認は、Queensland Institute of Medical ResearchのAnimal Care CommitteeおよびUniversity of Queensland Animals Ethics Committeesから得ており、プロトコールはNHMRC AEECガイドラインに準拠した。
【0161】
ANOVAを用いた結果の統計学的分析により、治療群と、分単位での時間との間の相互作用が示された(p=0.041)。これは図5に図示されており、そこではFVおよびアプロチニンが5分間の時点で交差している。治療効果(p<0.0001)および時間効果(p<0.0001)の強力な証拠がみられた。多重比較により、いずれの実験群(FVおよびアプロチニン)も対照と比較して平均失血量が少ないことが示された(p<0.05)。平均での失血はアプロチニン群の方が対照群と比較して58%(95%信頼区間:47%〜66%)少なく、FV群の方が対照群と比較して56%(95%信頼区間:45%〜65%)少なかった。また、失血は、1分間時点での失血と比較して、平均ではその後のすべての時点で少なかった(p<0.05)。以下の表3は、各治療群に関する分単位での時間別の平均失血、およびWilcoxon 2標本検定でのP値を示している。
【0162】
【表3】

【0163】
本明細書に引用されたすべての特許、特許出願および刊行物の開示内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0164】
本明細書におけるいずれの参考文献の引用も、そのような参考文献が本出願にとっての「先行技術」として利用可能であることの承認と解釈されるべきではない。
【0165】
本明細書の全体を通じて、その目的は、本発明をいずれか1つの態様または特定の特徴の集まりに限定することなく、本発明の好ましい態様を記載することであった。したがって、当業者は、本開示に鑑みて、本発明の範囲から逸脱することなく、例示された特定の態様にさまざまな修正および変更を加えることができることを理解しているであろう。そのような修正および変更はすべて、添付された特許請求の範囲の範囲内に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における出血エピソード(bleeding episode)または凝固障害(coagulation disorder)を治療または予防するための方法であって、ヘビ毒FVポリペプチドの出血抑制有効量を対象に投与する段階を含む方法。
【請求項2】
ヘビ毒FVポリペプチドが、(a)SEQ ID NO:2、4、6、8、10もしくは12のいずれか1つに示された配列に対して少なくとも50%の配列類似性を有するアミノ酸配列;または(b)SEQ ID NO:1、3、5、7、9もしくは11のいずれか1つに示された配列またはそれらの相補物に対して少なくとも50%の配列類似性を有するヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列;または(c)SEQ ID NO:1、3、5、7、9もしくは11のいずれか1つに示された配列またはそれらの相補物と、少なくとも低ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含み、ここで(a)、(b)または(c)のアミノ酸配列が、出血抑制活性;凝固時間短縮活性;止血強化活性;血餅溶解時間延長活性;および血餅強度増大活性からなる群より選択される任意の1つまたは複数の活性を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ヘビ毒FVポリペプチドが、薬学的に許容される担体を含む組成物の形態で投与される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
組成物が局部投与用または静脈内投与用に製剤化される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
組成物がFVIIおよび/またはFVIIaを含まない、請求項3記載の方法。
【請求項6】
組成物がヘビ毒FXaを含まない、請求項3記載の方法。
【請求項7】
ヘビ毒FVポリペプチドが、図7に示されているように、軽鎖および重鎖ドメインを含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
活性化ペプチドが、図7に示されているように、軽鎖ドメインと重鎖ドメインとの間に介在する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
ヘビ毒FVポリペプチドが活性化ペプチドを欠いている、請求項1記載の方法。
【請求項10】
ヘビ毒FVが以下のうち1つまたは複数を含む、請求項1記載の方法:(a)重鎖領域内のマルチ銅オキシダーゼドメイン;(b)軽鎖領域内のマルチ銅オキシダーゼドメイン;および(c)軽鎖領域内の膜結合ドメイン。
【請求項11】
ヘビ毒FVが以下のうち1つまたは複数を含む、請求項1記載の方法:(1)European Bioinformatics Institute(EBI)データベース中にInterProシグネチャIPR008972およびSuperfamilyエントリSSF49503として定義されているキュプレドキシンドメイン;(2)EBI InterProデータベース中にInterProシグネチャIPR002355およびPrositeエントリPS00079として定義されているマルチ銅_オキシダーゼ1型ドメイン;(3)EBIデータベース中にInterProシグネチャIPR011706およびPfamエントリPF07731として定義されているCu-オキシダーゼ_2ドメイン;(4)EBIデータベース中にInterProシグネチャIPR000421およびSMARTアクセッション番号SM00231として定義されているFA58Cドメイン;(5)EBIデータベース中にInterProシグネチャIPR000421およびPrositeエントリPS50022として定義されているFA58C_3ドメイン;(6)EBIデータベース中にInterProシグネチャIPR000421およびPfamエントリPF00754として定義されているF5_F8_type_Cドメイン;(7)EBIデータベース中にInterProシグネチャIPR008979およびSuperfamilyエントリSSF49785として定義されているGal_bind_likeドメイン;(8)EBIデータベース中にInterProシグネチャIPR000421およびPrositeエントリPS01285として定義されているcFA58C_1ドメイン;(9)EBIデータベース中にInterProシグネチャIPR000421およびPrositeエントリPS01286として定義されているFA58C_2ドメイン;ならびに(10)EBIデータベース中にInterProシグネチャIPR0014693およびProtein Information ResourceエントリPIRSF5000150として定義されているFactor_Vドメイン;またはそれらの生物活性断片。
【請求項12】
ヘビ毒FVポリペプチドが以下のものを含む、請求項11記載の方法:(1)少なくとも1つのキュプレドキシンドメイン;(2)少なくとも1つのマルチ銅_オキシダーゼ1ドメイン;(3)1つのCu-オキシダーゼ_2ドメイン;(4)少なくとも1つのFA58Cドメイン;(5)少なくとも1つのFA58C_3ドメイン;(6)少なくとも1つのF5_F8_type_Cドメイン;(7)少なくとも1つのGal_bind_likeドメイン;(8)少なくとも1つのFA58C_1ドメイン;(9)少なくとも1つのFA58C_2ドメイン;および(10)1つのFactor_Vドメイン。
【請求項13】
ヘビ毒FVポリペプチドがシグナルペプチドドメインを欠いている、請求項1記載の方法。
【請求項14】
ヘビ毒FVポリペプチドが、(a)A1ドメイン;(b)A2ドメイン;(c)Bドメイン;(d)A3ドメイン;(e)C1ドメイン;および(f)C2ドメインのうち1つまたは複数を含み、A1、A2およびA3ドメインが、例えばEBIデータベース中にInterProシグネチャIPR001117として定義されているマルチ銅オキシダーゼドメインの分岐進化バージョン(diverged version)であり;Bドメインが活性化の際に除去され;かつ、C1およびC2が、例えばEBIデータベース中にInterProシグネチャIPR000421として定義されている膜結合促進ドメインである、請求項1記載の方法。
【請求項15】
ヘビ毒FVポリペプチドが、A1、A2およびA3ドメインならびにC1およびC2ドメインを含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
ヘビ毒FVポリペプチドが、以下のドメインのうち1つまたは複数を含む、請求項1記載の方法(番号付けは、図7中のコンセンサス番号付けのことを指す):
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVポリペプチドのいずれかの残基31〜772によって定義される重鎖ドメインに対して、少なくとも70%の配列類似性を有するか、または20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基773〜817によって定義される活性化ドメインに対して、少なくとも70%の配列類似性を有するか、または20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基818〜1461によって定義される軽鎖ドメインに対して、少なくとも70%の配列類似性を有するか、または20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基31〜208、209〜337、351〜530、500〜682、823〜997および963〜1153によって定義されるキュプレドキシンドメインのいずれか1つに対して、少なくとも70%の配列類似性を有するか、または20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基307〜327、662〜681および1120〜1138によって定義されるマルチ銅_オキシダーゼ1ドメインのいずれか1つに対して、少なくとも70%の配列類似性を有するか、または20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基581〜687によって定義されるCu-オキシダーゼ_2ドメインに対して、少なくとも70%の配列類似性を有するか、または20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基1147〜1298および1303〜1457によって定義されるGal_bind_likeドメインのいずれか1つに対して、少なくとも70%の配列類似性を有するか、または20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基1146〜1296および1302〜1455によって定義されるFA58Cドメインのいずれか1つに対して、少なくとも70%の配列類似性を有するか、または20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基1147〜1296および1303〜1455によって定義されるFA58C_3ドメインのいずれか1つに対して、少なくとも70%の配列類似性を有するか、または20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基1141〜1455によって定義されるFA58C_2ドメインに対して、少なくとも70%の配列類似性を有するか、または20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基1187〜1215および1347〜1374によって定義されるFA58C_1ドメインのいずれか1つに対して、少なくとも70%の配列類似性を有するか、または20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基1162〜1293および1318〜1452によって定義されるF5_F8_type_Cドメインのいずれか1つに対して、少なくとも70%の配列類似性を有するか、または20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン。
【請求項17】
ヘビ毒FVポリペプチドが、以下のドメインのうち1つまたは複数を含む、請求項1記載の方法(番号付けは、図7中のコンセンサス番号付けのことを指す):
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基31〜348によって定義されるA1ドメインに対して、少なくとも70%の配列類似性を有するか、または20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基349〜691によって定義されるA2ドメインに対して、少なくとも70%の配列類似性を有するか、または20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基772〜817によって定義されるBドメインに対して、少なくとも70%の配列類似性を有するか、または20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基819〜1148によって定義されるA3ドメインに対して、少なくとも70%の配列類似性を有するか、または20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基1149〜1299によって定義されるC1ドメインに対して、少なくとも70%の配列類似性を有するか、または20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン;および
‐例えば図7に示されたヘビ毒FVのいずれかの残基1300〜1461によって定義されるC2ドメインに対して、少なくとも70%の配列類似性を有するか、または20個を上回らないアミノ酸残基が異なるドメイン。
【請求項18】
ヘビ毒FVポリペプチドが活性化ペプチドドメインまたはBドメインを欠いている、請求項17記載の方法。
【請求項19】
重鎖が以下の配列を含む、請求項7記載の方法。
【請求項20】

式中、X1は塩基性アミノ酸残基(例えば、ArgもしくはHisまたはそれらの改変形態)から選択される;
X2は、疎水性アミノ酸残基(例えば、IleもしくはLeuまたはそれらの改変形態などの脂肪族側鎖を有するアミノ酸残基)から選択される;
X3は、酸性アミノ酸残基(例えば、GluもしくはAspまたはそれらの改変形態)から選択される;
X4は、荷電アミノ酸残基(例えば、Lysもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基、またはGluもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基)から選択される;
X5は、任意のアミノ酸残基(例えば、Leuもしくはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基、またはProもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基)から選択される;
X6は、任意のアミノ酸残基(例えば、Gluもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基、またはAlaもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基)から選択される;
X7は、任意のアミノ酸残基(例えば、Ileもしくはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基、またはSerもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基)から選択される;
X8は、任意のアミノ酸残基(例えば、Asnもしくはその改変形態などの中性/極性アミノ酸残基、またはAspもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基)から選択される;
X9は、小型アミノ酸残基(例えば、SerもしくはAlaまたはそれらの改変形態)から選択される;
X10は、疎水性アミノ酸残基(例えば、MetもしくはValまたはそれらの改変形態などの脂肪族側鎖を有するアミノ酸残基)から選択される;
X11は、任意のアミノ酸残基(例えば、Aspもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基、またはAsnもしくはその改変形態などの中性/極性アミノ酸残基)から選択される;
X12は、任意のアミノ酸残基(例えば、Proもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基、またはLeuもしくはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基)から選択される;
X13は、任意のアミノ酸残基(例えば、Asnもしくはその改変形態などの中性/極性アミノ酸残基、またはAspもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基)から選択される;
X14は、任意のアミノ酸残基(例えば、Hisもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基、またはAsnもしくはその改変形態などの中性/極性アミノ酸残基)から選択される;
X15は、任意のアミノ酸残基(例えば、Asnもしくはその改変形態などの中性/極性アミノ酸残基、またはAspもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基)から選択される;
X16は、疎水性アミノ酸残基(例えば、Leuもしくはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するアミノ酸残基、またはTrpもしくはその改変形態などの芳香族側鎖を有するアミノ酸残基)から選択される;
X17は、任意のアミノ酸残基(例えば、Metもしくはその改変形態などのイオウ含有側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基;またはArgもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;
X18は、塩基性アミノ酸残基(例えば、ArgもしくはLysまたはその改変形態)から選択される;
X19は、任意のアミノ酸残基(例えば、Metもしくはその改変形態などのイオウ含有側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基;またはLysもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;
X20は、任意のアミノ酸残基(例えば、Asnもしくはその改変形態などの中性/極性アミノ酸残基、またはLysもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;
X21は、小型アミノ酸残基(例えば、ProもしくはAlaまたはそれらの改変形態)から選択される;
X22は、小型アミノ酸残基(例えば、GlyもしくはSerまたはそれらの改変形態)から選択される;
X23は、疎水性アミノ酸残基(例えば、IleもしくはValまたはそれらの改変形態などの脂肪族側鎖を有するアミノ酸残基)から選択される;
X24は、任意のアミノ酸残基(例えば、脂肪族側鎖を有するものもしくはその改変形態を含む疎水性アミノ酸残基、またはAlaもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基)から選択される;
X25は、任意のアミノ酸残基(例えば、Leuもしくはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基;またはArgもしくはHisもしくはそれらの改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;
X26は、疎水性アミノ酸残基(例えば、IleもしくはValまたはそれらの改変形態などの脂肪族側鎖を有するアミノ酸残基)から選択される;
X27は、塩基性アミノ酸残基(例えば、ArgもしくはLysまたはその改変形態)から選択される;
X28は、小型アミノ酸残基(例えば、SerもしくはAlaまたはそれらの改変形態)から選択される;
X29は、疎水性アミノ酸残基(例えば、Leuもしくはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するアミノ酸残基、またはTrpもしくはその改変形態などの芳香族側鎖を有するアミノ酸残基)から選択される;
X30は、任意のアミノ酸残基(例えば、Glyもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基、またはArgもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;
X31は、任意のアミノ酸残基(例えば、Glnもしくはその改変形態などの中性/極性アミノ酸残基、またはGluもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基)から選択される;
X32は、任意のアミノ酸残基(例えば、Serもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基、またはAsnもしくはその改変形態などの中性/極性アミノ酸残基、またはIleもしくはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基)から選択される;
X33は、小型アミノ酸残基(例えば、ProもしくはSerまたはそれらの改変形態)から選択される;
X34は、任意のアミノ酸残基(例えば、Lysもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基、またはIleもしくはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基)から選択される;
X35は、疎水性アミノ酸残基(例えば、LeuもしくはIleもしくはそれらの改変形態などの脂肪族側鎖を有するアミノ酸残基、またはPheもしくはその改変形態などの芳香族側鎖を有するアミノ酸残基)から選択される;
X36は、任意のアミノ酸残基(例えば、Aspもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基、またはGlyもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基)から選択される;
X37は、存在しないか、または疎水性アミノ酸残基(例えば、Ileまたはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するもの)から選択される;
X38は、任意のアミノ酸残基(例えば、Lysまたはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基、およびGluまたはその改変形態などの酸性アミノ酸残基を含む荷電アミノ酸残基、またはIleもしくはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基)から選択される;
X39は、小型アミノ酸残基(例えば、SerもしくはProまたはそれらの改変形態)から選択される;
X40は、任意のアミノ酸残基(例えば、Serもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基、またはArgもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;
X41は、任意のアミノ酸残基(例えば、Ileもしくはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基、またはLysもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;かつ
X42は、疎水性アミノ酸残基(例えば、Valもしくはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するアミノ酸残基、またはMetもしくはその改変形態などのイオウ含有側鎖を有するもの)から選択される。
【請求項21】
不活性化ペプチドが以下の配列を含む、請求項7記載の方法:

式中、X43は、塩基性アミノ酸残基(例えば、ArgもしくはHisまたはそれらの改変形態)から選択される;かつ
X44は、小型アミノ酸残基(例えば、SerもしくはProまたはそれらの改変形態)から選択される。
【請求項22】
軽鎖が以下の配列を含む、請求項7記載の方法:

式中、X45は、任意のアミノ酸残基(例えば、Tyrもしくはその改変形態などの芳香族側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基、またはAsnもしくはその改変形態などの中性/極性アミノ酸残基)から選択される;
X46は、任意のアミノ酸残基(例えば、Argもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基、またはGlyもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基)から選択される;
X47は、任意のアミノ酸残基(例えば、Argもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基、またはGlyもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基)から選択される;
X48は、任意のアミノ酸残基(例えば、Leuもしくはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基、またはArgもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;
X49は、小型アミノ酸残基(例えば、ProもしくはAlaまたはそれらの改変形態)から選択される;
X50は、任意のアミノ酸残基(例えば、Ileもしくはその改変形態などの疎水性アミノ酸残基もしくはその改変形態、またはThrもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基から選択される;
X51は、疎水性アミノ酸残基(例えば、ValもしくはIleまたはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するアミノ酸残基)から選択される;
X52は、塩基性アミノ酸残基(例えば、ArgもしくはLysまたはその改変形態)から選択される;
X53は、任意のアミノ酸残基(例えば、Asnもしくはその改変形態などの中性/極性アミノ酸残基、またはLysもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;
X54は、存在しないか、または小型アミノ酸残基(例えば、Serまたはその改変形態)から選択される;
X55は、任意のアミノ酸残基(例えば、ArgもしくはHisもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基、またはLeuもしくはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基)から選択される;
X56は、任意のアミノ酸残基(例えば、Thrもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基、またはMetもしくはその改変形態などのイオウ含有側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基)から選択される;
X57は、任意のアミノ酸残基(例えば、Ileもしくはその改変形態などの脂肪族側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基、またはThrもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基)から選択される;
X58は、任意のアミノ酸残基(例えば、Metもしくはその改変形態などのイオウ含有側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基、またはThrもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基)から選択される;
X59は、任意のアミノ酸残基(例えば、Aspもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基、またはGlyもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基)から選択される;
X60は、任意のアミノ酸残基(例えば、Gluもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基、またはGlyもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基)から選択される;
X61は、任意のアミノ酸残基(例えば、Metもしくはその改変形態などのイオウ含有側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基、またはLysもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;
X62は、疎水性アミノ酸残基(例えば、PheもしくはTyrまたはそれらの改変形態などの芳香族側鎖を有するアミノ酸残基)から選択される;
X63は、任意のアミノ酸残基(例えば、Hisもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基、またはGlnもしくはその改変形態などの中性/極性アミノ酸残基)から選択される;
X64は、任意のアミノ酸残基(例えば、Lysもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基、またはGlnもしくはその改変形態などの中性/極性アミノ酸残基)から選択される;
X65は、荷電アミノ酸残基(例えば、Lysもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基、またはGluもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基)から選択される;
X66は、荷電アミノ酸残基(例えば、Gluもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基、またはLysもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;
X67は、任意のアミノ酸残基(例えば、Thrもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基、またはArgもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;
X68は、任意のアミノ酸残基(例えば、Asnもしくはその改変形態などの中性/極性アミノ酸残基、またはAspもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基)から選択される;
X69は、任意のアミノ酸残基(例えば、Pheもしくはその改変形態などの芳香族側鎖を有するものを含む疎水性アミノ酸残基、またはSerもしくはその改変形態小型アミノ酸残基)から選択される;
X70は、荷電アミノ酸残基(例えば、Gluもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基、またはLysもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;
X71は、任意のアミノ酸残基(例えば、Glyもしくはその改変形態などの小型アミノ酸残基、またはArgもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;
X72は、荷電アミノ酸残基(例えば、Gluもしくはその改変形態などの酸性アミノ酸残基、またはLysもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基)から選択される;
X73は、小型アミノ酸残基(例えば、AlaまたはSer、その改変形態)から選択される;
X74は、塩基性アミノ酸残基(例えば、LysもしくはArgまたはそれらの改変形態)から選択される;
X75は、小型アミノ酸残基(例えば、SerまたはGly、その改変形態)から選択される;かつ
X76は、任意のアミノ酸残基(例えば、Lysもしくはその改変形態などの塩基性アミノ酸残基、またはAsnもしくはその改変形態などの中性/極性アミノ酸残基)から選択される。
【請求項23】
ヘビ毒FVポリペプチドが以下のものを含む、請求項1記載の方法:(1)SEQ ID NO:15に示された配列に対して少なくとも70%の配列類似性を有するか、または20個を上回らないアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列;および(2)SEQ ID NO:17に示された配列に対して少なくとも70%の配列類似性を有するか、または20個を上回らないアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列。
【請求項24】
ヘビ毒FVポリペプチドが、配列:

を含む、請求項1記載の方法。
【請求項25】
ヘビ毒FVポリペプチドが、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:10およびSEQ ID NO:12のいずれか1つに示された配列に対して少なくとも70%の配列類似性もしくは配列同一性を有するか、または20個を上回らないアミノ酸残基が異なる配列を含む、請求項1記載の方法。
【請求項26】
ヘビ毒FVポリペプチドが、シグナルペプチドドメインおよび活性化ペプチド(またはB)ドメインのうち少なくとも1つを欠いている、請求項1記載の方法。
【請求項27】
ヘビ毒FVポリペプチドが、FXa結合部位、プロトロンビン結合部位およびトロンビン切断部位のうちいずれか1つまたは複数を含む、請求項1記載の方法。
【請求項28】
ヘビ毒FVポリペプチドが、FXa結合部位、プロトロンビン結合部位およびトロンビン切断部位のうち少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項29】
ヘビ毒FVポリペプチドが、
(1)残基の約338〜379にあるFXa結合部位;
(2)残基の約524〜537にあるFXa結合部位;
(3)残基の約703〜707にあるプロトロンビン結合部位;および
(4)残基の約772〜773にあるトロンビン切断部位、
のうちいずれか1つまたは複数を含み、ここで番号付けが図7中のコンセンサス番号付けのことを指す、請求項1記載の方法。
【請求項30】
ヘビ毒FVポリペプチドが、図7のコンセンサス番号付けを基準として残基818〜819および/または残基537〜538にあるAPC部位を含む、請求項1記載の方法。
【請求項31】
ヘビ毒FVポリペプチドが、野生型哺乳動物FVよりも1つまたは複数少ない活性化プロテインC(APC)部位を含む、請求項1記載の方法。
【請求項32】
本質的に、請求項1に定義されたヘビ毒FVポリペプチド、および薬学的に許容される担体または希釈剤からなる、薬学的組成物。
【請求項33】
局部投与用に製剤化される、請求項32記載の組成物。
【請求項34】
FVIIおよび/またはFVIIaを含まない、請求項32記載の組成物。
【請求項35】
ヘビ毒FXaを含まない、請求項32記載の組成物。
【請求項36】
失血または凝固障害を治療するための医薬品の製造における、請求項1に定義されたヘビ毒FVポリペプチドの使用法。
【請求項37】
ヘビ毒FVポリペプチドが、対象における、対象の体表または体内の出血部位からの失血を予防または軽減するために注射用または局部適用用に製剤化される、請求項36記載の使用法。
【請求項38】
医薬品がFVIIおよび/またはFVIIaを含まない、請求項36記載の使用法。
【請求項39】
医薬品がヘビ毒FXaを含まない、請求項36記載の使用法。
【請求項40】
失血または凝固障害を予防または軽減するためのキットの製造における、請求項1に定義されたヘビ毒FVポリペプチドの使用法。
【請求項41】
キットが、薬学的に許容される担体または希釈剤;対象に対する投与用のヘビ毒FVポリペプチドの調製のための1つまたは複数の容器;1つまたは複数の他の試薬および/または他の治療薬;ヘビ毒FVポリペプチドを患者に投与するためのデバイスまたは他の材料;ならびに対象における失血を治療するためにキットを投与するための説明書、のうちいずれか1つまたは複数を含む、請求項40記載の使用法。
【請求項42】
キットがFVIIおよびFVIIaを含まない、請求項40記載の使用法。
【請求項43】
キットがヘビ毒FXaを含まない、請求項40記載の使用法。
【請求項44】
キットが以下のいずれか1つまたは複数のために用いられる、請求項40記載の使用法:完全な止血を得るために必要な時間を短縮させること;ホメオスタシスを得るために必要な時間を短縮させること;凝固時間を短縮させること;血餅溶解時間を延長させること;および出血の部位での血餅強度を増大させること。
【請求項45】
ヘビ毒FVポリペプチドが、以下のいずれか1つまたは複数を達成するために有効な量での投与のために製剤化される、請求項40記載の使用法:(1)出血の抑制;(2)凝固時間の短縮;(3)止血の強化;(4)血餅溶解時間を延長させること;および(5)血餅強度の増大。
【請求項46】
ヘビ毒FVポリペプチドが対象以外の者による投与用に製剤化される、請求項40記載の使用法。
【請求項47】
ヘビ毒FVポリペプチドが自己投与用に製剤化される、請求項40記載の使用法。
【請求項48】
ヘビ毒FVポリペプチドが、それを用いることが必要になるよりも前に、対象への備えのために製剤化される、請求項40記載の使用法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図7−4】
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【図7−5】
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【図7−6】
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【公表番号】特表2011−506489(P2011−506489A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538277(P2010−538277)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際出願番号】PCT/AU2008/001866
【国際公開番号】WO2009/079690
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(505167565)ザ ユニバーシティー オブ クイーンズランド (20)
【出願人】(510170866)ベノミクス プロプライエタリ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】