説明

正倒立バルブ機構および正倒立バルブ機構を備えたエアゾール式製品

【課題】正立用流入通路および倒立用流入通路のそれぞれに弁構造を設けた正倒・倒立の両状態で使用可能なエアゾール式製品において、使用中に当該弁構造が双方とも閉状態となった場合にその状態の解消を容易にする。
【解決手段】正立時に開状態となる弁構造(6b,9)および倒立時に開状態となる弁構造(6a,8)それぞれの下流側となる正倒立共用通路(6c,6dから1aに至る通路)と、容器本体内部とを連通させるバイパス通路(7f,6f,4gの各リブ状部間)を設けた。内容物の噴射操作中にそれぞれの弁構造が上流側・下流側間の圧力差によって「双方閉」状態となると噴射量がバイパス流Cのみに減少する。これを視認した利用者が一端噴射操作を解除すると、バルブ作用部(2a,3)は閉じて、正倒立共用通路へはバイパス通路から内容物が流入し続けるので、前記圧力差は減少し「双方閉」状態は解消される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール式製品の作動モード設定操作に基づいてそれまでの閉状態から開状態に移行して容器本体の内容物を外部空間域に噴射するためのバルブ作用部(ステム孔部)および、当該バルブ作用部に通じる正倒立使用態様の内容物通路部を少なくとも有する正倒立バルブ機構に関する。
【0002】
特に、この内容物通路部に、
・容器本体内容物の正立用流入通路および倒立用流入通路
・正立用流入通路および倒立用流入通路それぞれの下流側でバルブ作用部へと通じる正倒立共用通路
・正立用流入通路に設けられて、自重で落下する第1の移動弁(第1の弁構造)
・倒立用流入通路に設けられて、自重で落下する第2の移動弁(第2の弁構造)
などを備えた正倒立バルブ機構を対象としている。
【0003】
なお、本明細書において、
(11)「静止モード」とは操作ボタンがその初期位置(上動位置)に保持されて、バルブ作用部(ステム孔部)が「閉」状態のままで、容器内容物が外部空間に噴射されない状態を示し、
(12)「作動モード」とは操作ボタンが押圧され、バルブ作用部(ステム孔部)が「開」状態となって、本来、容器本体内部と外部空間域とが「正立用流入通路または倒立用流入通路−正倒立共用通路−バルブ作用部」の経路で連通し、容器本体の内容物が外部空間域に噴射される状態を示し、
(13)正倒立バルブ機構の構成要素名称、例えば上方ボール弁,上方弁座,下方ボール弁,下方弁座,上側鞘状部,下側鞘状部材,下側内部空間域,下側孔部,上側筒状部および下側筒状部などの「上」,「下」は、図1〜図3の正立状態での上下を示している。
【0004】
正倒立バルブ機構の正立使用状態では、本来、正立用流入通路の第1の移動弁(第1の弁構造)が開き、かつ、倒立用流入通路の第2の移動弁(第2の弁構造)が閉じた状態に設定される。
【0005】
そして、これら弁構造の各開閉作用により、
(21)正立容器本体下側の内容物は、正立用流入通路,(開状態の)第1の弁構造および正倒立共用通路を経て外部空間域に噴射され、
(22)正立容器本体上側のガス(圧縮ガス,液化ガスそれぞれの気相分)は、閉状態の第2の弁構造によって、外部空間域へ流出することが阻止される。
【0006】
倒立使用状態では、第1,第2の移動弁の開閉状態が正立使用時とは逆になり、倒立容器本体下側の内容物は倒立用流入通路,(開状態の)第2の弁構造および正倒立共用通路を経て外部空間域に噴射される。また、倒立容器本体上側のガスは、閉状態の第1の弁構造によって、正倒立共用通路に移動することが阻止される。
【0007】
このように上述の第1,第2の移動弁(弁構造)を備えた正倒立バルブ機構の本来の内容物噴射動作が担保されるためには、その一方が開状態に設定され、その他方が閉状態に設定されることが必要である。
【0008】
すなわち、第1,第2の移動弁(弁構造)がともに閉じて、正倒立共用通路が、容器本体内容物の正立用流入通路および倒立用流入通路のいずれとも連通しない(=容器本体内容物が外部空間域に噴射されない)、といった状況が継続しないようにしなければならない。
【0009】
本発明は、正立用流入通路および倒立用流入通路のそれぞれに弁構造を設けたタイプの正倒立バルブ機構において、作動モードでの正倒立状態の変更にともない当該弁構造が「双方閉」状態になったことを内容物噴射量の減少によって利用者にいわば示唆するとともに、この示唆に基づく作動モード操作中断という簡単な操作により当該「双方閉」状態を解消する、ようにしたものである。
【背景技術】
【0010】
従来、正倒立使用タイプのバルブ機構において、実質的に、
(31)正立用流入通路[410],[411]および倒立用流入通路[420],[421]と、その下流側の正倒立共用通路[401]とを備え、
(32)正立用流入通路の出力側部分に、自重で落下する第1の移動弁[600]および当該移動弁に対する第1の弁座[700]からなる第1の弁構造を設け、
(33)倒立用流入通路の出力側部分に、自重で落下する第2の移動弁[600]および当該移動弁に対する第2の弁座[700]からなる第2の弁構造を設け、
(34)第1の移動弁が第1の弁座に当接し、かつ、第2の移動弁が第2の弁座に当接する状態が生じるのを阻止するため、第1の移動弁と第2の移動弁との間に、第1の弁座と第2の弁座との間隔よりも長い所定長さのプランジャ[800]を介在させる、
ようにした正倒立バルブ機構がすでに提案されている(特許文献1参照)。
【0011】
この従来の正倒立使用タイプのバルブ機構の場合、上記(34)で述べたように所定長さのプランジャといった新たな機械要素を準備し、これを第1の移動弁と第2の移動弁との間にいわば離間スペーサとして設けたものである。
【0012】
この離間スペーサの存在により、第1の移動弁と第2の移動弁との間には、少なくとも当該離間スペーサ(プランジャ)の長さ、すなわち第1の弁座と第2の弁座との間隔よりも大きな長さの隔たりが確保される。
【0013】
そのため、第1の移動弁が第1の弁座に当接し、かつ、第2の移動弁が第2の弁座に当接して第1,第2の弁構造がともに閉状態に設定される、といったことは機構的に生じえない。
【0014】
したがって、自重で落下する上方移動弁のみが対応弁座に当接した閉状態となり、貯蔵容器の内容物は「下方側の内容物流入通路‐開状態の下方弁構造‐正倒立共用通路‐開状態のバルブ作用部」を経て外部に噴射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】実開平6−54576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
このように、上述した従来の正倒立バルブ機構では、正立用流入通路に設けられた第1の移動弁(弁構造)と倒立用流入通路に設けられた第2の移動弁(弁構造)との間に上記所定長さの離間スペーサ(プランジャ)を新たに介在させ、これにより、正立用流入通路の第1の弁構造および倒立用流入通路の弁構造がともに閉状態となることを、機構的に阻止している。すなわち、離間スペーサ(プランジャ)といった新たな構成要素を第1,第2の各移動弁の間に配している。
【0017】
そのため、正倒立バルブ機構を組み立てる際の工程数が増えて組立作業の手間がかかり、さらには部品点数が増えて製品のコストアップにつながるなどの問題点があった。
【0018】
本発明は、正倒立バルブ機構の作動モードでの正倒立状態の変更にともない、正立用,倒立用の各流入通路の第1,第2の弁構造(倒立作動用,正立作動用)が「双方閉」状態に設定される上記原因に着目して、正倒立バルブ機構の構成要素数を特に増やすことなしに、当該弁構造の「双方閉」状態を解消するようにしたものである。
【0019】
正立用,倒立用の各流入通路に弁構造を単に設けただけの正倒立バルブ機構、すなわち上記離間スペーサを設けるなどの工夫をしていない正倒立バルブ機構の作動モードのとき、その正倒立を逆にすることにより正立用,倒立用の各流入通路の弁構造が「双方閉」の状態になってしまい、当該閉状態が、仮に正倒立バルブ機構を静止モードに復帰させても継続する本質的な理由は次のとおりである。
【0020】
すなわち、
(41)例えば初期噴射で、下方移動弁が下方弁座から離間して内容物が外部空間域に正常噴射されているとき、上方移動弁は、容器本体内部の大きなガス圧力を内容物流入通路から下方向に受けるとともに、容器本体内部(大圧力)から外部空間域(低圧力:大気圧)へと流れる内容物噴射通路の途中の正倒立共用通路からは小さなガス圧力を上方向に受けるので、当該上方移動弁は、結果として下方向に強く押されて上方弁座に当接した状態に維持され、
(42)この上方移動弁に作用するガス圧力の大小関係は正倒立逆転後も変化しないので、逆転後の下方移動弁(=逆転前の上方移動弁)は上方向に強く押されて正倒立逆転後の下方弁座(=逆転前の上方弁座)に当該したままであり、
(43)また、正倒立逆転後の上方移動弁(=逆転前の下方移動弁)は、逆転前の上方移動弁と同様のガス圧力を上下方向に受けることにより、逆転後の上方弁座に強く当接した状態に維持され、
(44)このように作動モードでの正倒立逆転にともない上下の各移動弁が対応弁座に当接した形にいわばロックされてしまうと、正倒立バルブ機構の作動モードを解除して静止モードに移行させたとしても当該ロック状態における各移動弁に作用する上下方向圧力の大小関係に変化が生じえない、
からである。
【0021】
そこで本発明では、作動モードにおいて本来「開状態」となる下方弁構造が閉じた「双方閉」状態のときにも容器本体内容物を正倒立共用通路へ流入させるためのバイパス通路を形成し、かつ、この「双方閉」状態で静止モードへ復帰した後も当該バイパス通路からの流入動作が継続して(外部空間域から分離後の)当該正倒立共用通路の圧力を高めることにより、下方弁構造が開状態に移行するようにしている。
【0022】
ここで、利用者は、第1,第2の各弁構造の「双方閉」状態を、内容物噴射量の減少、すなわち当該閉状態へ移行する前の「本来の流入通路+バイパス通路」経由の大噴射量から、閉状態移行後の「バイパス通路のみ」の小噴射量への変化に応じて認識できる。
【0023】
そして利用者が内容物噴射量の減少を認識して作動モードの設定操作を解除すると、バルブ作用部が閉じ、正倒立共用通路には依然としてバイパス通路から内容物が流入し、これに応じて正倒立共用通路の圧力が高まり、概略、「下方移動弁に対する正倒立共用通路からの下方向への圧力+下方移動弁の自重」が「下方移動弁に対する下方流入通路からの上方向への圧力」以上になると、下方移動弁が落下して下方弁構造の閉状態が解消されて本来の内容物噴射状態に復帰する。
【0024】
このようなバイパス通路の設定により、正倒立バルブ機構の構成要素数を増やさずに、正倒立バルブ機構の噴射動作の正常化や利便性の向上化を図ることを目的とする。
【0025】
また、容器本体内部と正倒立共用通路との間のバイパス通路を、周知の変形可能な内容物流入用チューブが取り付けられた正立用流入通路の一部から正倒立共用通路へいたる通路態様のものとして、倒立使用時においてもバイパス通路の入力部ができるだけ倒立容器本体の下側空間に位置して噴射用ガスの流入を阻止する、すなわち倒立容器本体の上側空間に存在している噴射用ガスがこのバイパス通路に流入するのを阻止し、これにより所定圧力に基づく容器本体内容物の効率的噴射の持続化を図ることを目的とする。
【0026】
また、正立用流入通路および倒立用流入通路の内容物流入部を正立,倒立それぞれの使用態様における容器本体底部に近い部分に位置するように設定し、これにより容器本体内容物が正立用流入通路,倒立用流入通路に入っていかないで容器本体に残留したままになるのを極力さけて、容器本体内容物の有効利用化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明は、以上の課題を次の正倒立バルブ機構を用いて解決する。
(1)作動モード設定操作に基づいてそれまでの閉状態から開状態に移行して容器本体の内容物を外部空間域に噴射するためのバルブ作用部(例えば後述の横孔部2a,ステムガスケット3)および当該バルブ作用部に通じる正倒立使用態様の内容物通路部を少なくとも有する正倒立バルブ機構において、
前記内容物通路部は、
前記内容物の正立用流入通路(例えば後述の、ディップチューブ10−下側孔部7d−斜めリブ状部7cの間の溝状部−下側内部空間域7b)と、
前記内容物の倒立用流入通路(例えば後述の、ハウジング4の外周面とカバー体7の環状低内周面部分7aとの間の空間域−周面開口部4e−下側鞘状部4cの内部空間域)と、
当該正立用流入通路および当該倒立用流入通路それぞれの下流側に形成されて、前記バルブ作用部に通じる正倒立共用通路(例えば後述の、小径縦筒状部6c−横貫通部6d−縦貫通部4f−上側鞘状部4aの内部空間域−横孔部2a−操作ボタン内部通路1b−噴射口1a)と,
当該正立用流入通路に設けられて、第1の移動弁(例えば後述の下方ボール弁9)の落下により開閉作用を呈する第1の弁構造(例えば後述の下方弁座6b)と、
当該倒立用流入通路に設けられて、第2の移動弁(例えば後述の上方ボール弁8)の落下により開閉作用を呈する第2の弁構造(例えば後述の上方弁座6a)と、
作動モードの際に当該正倒立共用通路を容器本体内部へ連通させて、当該第1の弁構造および当該第2の弁構造がともに閉じた状態のときにも前記内容物の当該正倒立共用通路への流入動作を確保するためのバイパス通路(例えば後述の、径方向リブ状部7fの間のバイパス溝状部−縦リブ状部6fの間のバイパス溝状部−L字状の縦リブ状部4gの間のバイパス溝状部)と、を備えた、
態様の正倒立バルブ機構を用いる。
(2)上記(1)において、
前記正立用流入通路は、
その入力側に内容物流入用チューブ(例えば後述のディップチューブ10)が取り付けられた通路であり、
前記バイパス通路は、
前記正立用流入通路の一部と前記正倒立共用通路との間に設けられた通路である、
態様の正倒立バルブ機構を用いる。
(3)上記(1)において、
前記内容物通路部は、
少なくとも前記バルブ作用部を保持し、かつ、前記倒立用流入通路の下流側部分である孔部(例えば後述の周面開口部4e)、当該下流側部分であって前記第2の移動弁の移動域としても作用する第2の内部空間域(例えば後述の下側鞘状部4c)および、前記正倒立共用通路の下流側部分(例えば後述の縦貫通部4f,上側鞘状部4a)を画定する正立上側部材(例えば後述のハウジング4)と、
少なくとも前記第1の弁座、第2の弁座および当該正倒立共用通路の上流側部分(例えば後述の小径縦筒状部6c,横貫通部6d)を画定する中間部材(例えば後述の中間部材6)と、
少なくとも内容物流入用チューブ(例えば後述のディップチューブ10)が取り付けられて、当該正立上側部材の当該孔部より正立上側の外面との間に当該倒立用流入通路の上流側部分(例えば後述の環状低内周面部分7a)を形成し、かつ、前記正立用流入通路であって前記第1の移動弁の移動域としても作用する第1の内部空間域(例えば後述の下側内部空間域7b)を画定する正立下側部材(例えば後述のカバー体7)と、からなり、
前記正立上側部材と前記中間部材との間に前記バイパス通路が形成された、
態様の正倒立バルブ機構を用いる。
【0028】
本発明は、以上の構成からなる正倒立バルブ機構および、これを備えたエアゾール式製品を対象としている。
【発明の効果】
【0029】
本発明では、作動モードの際に正倒立共用通路が容器本体内部と連通する形にして、第1の弁構造および第2の弁構造の双方閉状態のときにも容器本体内容物の正倒立共用通路への流入動作を確保するための、バイパス通路を形成している。
【0030】
すなわち、正倒立共用通路への内容物流入路として、本来の正立用または倒立用の流入通路の他に、第1の弁構造および第2の弁構造に対するバイパス通路を設けている。
【0031】
したがって、外部空間域への噴射口からは流入通路経由の内容物と、バイパス通路経由の内容物とがいわば加算されて噴射される。なお、流入通路およびバイパス経路それぞれの内容物通過抵抗は、単位時間あたりに噴射口から噴射される流入通路経由の内容物がバイパス通路経由のそれよりも多くなるように設定されている。
【0032】
そのため、第1,第2の弁構造が「双方閉」になると噴射口からの内容物噴射量が明示的に少なくなる。
【0033】
また、作動モード設定操作を解除して正倒立バルブ機構が静止モードに復帰すると、バルブ作用部が閉じて正倒立共用通路が外部空間域から遮断される。
【0034】
そして、正倒立共用通路にはバイパス通路経由で容器本体の内容物が流入するので、それに応じて正倒立共用通路の圧力が高まっていき、第1,第2の各移動弁に対する上方向および下方向の圧力がバランスする。これにより、そのときの下方移動弁が自重で落下して、下方の弁構造は「開」状態となる。すなわち本来の下方流入通路(正立用流入通路または倒立用流入通路)が正常に動作する。
【0035】
このように内容物噴射量の減少により、利用者は第1,第2の各弁構造がそれぞれ閉状態になったことを認識でき、また、利用者の当該認識後の作動モードの設定操作解除にともない当該「双方閉」状態が解消されるので、正倒立バルブ機構の構成要素数を増やすことなしに、その利便性の向上化を図ることができる。
【0036】
また、容器本体内部と正倒立共用通路との間のバイパス通路を、周知の変形可能な内容物流入用チューブが取り付けられた正立用流入通路の一部から正倒立共用通路へいたる通路態様のものとして、倒立使用時においてもバイパス通路の入力部ができるだけ倒立容器本体の下側空間に位置して噴射用ガスの流入を阻止する、すなわち倒立容器本体の上側空間に存在している噴射用ガスがこのバイパス通路に流入するのを阻止しているので、所定圧力に基づく容器本体内容物の効率的噴射の持続化を図ることができる。
【0037】
また、正立用流入通路および倒立用流入通路の内容物流入端部を正立,倒立それぞれの使用態様における容器本体底部に近い部分に位置するように設定しているので、最後まで噴射されずに容器本体に残留したままとなる内容物の量を極力少なくして、容器本体内容物の有効利用化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】正倒立バルブ機構を備えたエアゾール式製品の正立静止モードを示す説明図である。
【図2】図1の正倒立バルブ機構の拡大図(静止モード)を示す説明図である。
【図3】正倒立バルブ機構の正立作動モードを示す説明図である。
【図4】図3の正立作動モードの使用途中で正倒立が逆転した状態(上方ボール弁8および下方ボール弁9がともに閉じてバイパス流Cのみの少量内容物が噴射されている状態)を示す説明図である。
【図5】図4の少量噴射に気づいた利用者が正倒立バルブ機構を静止モードに復帰させることにより、上方ボール弁8が落下した状態を示す説明図である。
【図6】図5の静止モードから作動モード(倒立作動モード)に移行後の本来の内容物噴射状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1乃至図6を用いて本発明を実施するための形態を説明する。
【0040】
以下のアルファベット付き参照番号の構成要素(例えば噴射口1a)はそれぞれ原則として、当該参照番号の数字部分の構成要素(例えば操作ボタン1)の一部であることを示している。
【0041】
図1〜図6において、
1は押下げタイプで上下動可能な操作ボタン(操作部),
1aは内容物の噴射口,
1bは当該噴射口にいたる操作ボタン内部通路,
2は操作ボタン1と一体化された鞘状のステム,
2aは後述のステムガスケット3との間で出力弁の作用を呈する複数の横孔部,
2bは当該横孔部および操作ボタン内部通路1bと連通したステム内部通路,
3は外側部分が後述のハウジング4とマウンティングキャップ11とに挟持され、内側部分が横孔部2aとの間で出力弁の作用を呈するステムガスケット,
4は後述のマウンティングキャップ11に嵌合して、ステム2の正立時下側部分を収容し、かつ、容器本体の内容物の正倒立共用通路の下流部分および倒立用流入通路を画定するハウジング,
4aはステム2の正立時下側部分(略横孔部2aから下の部分)を収容するとともに、内容物通過・収納用の空間域として作用する上側鞘状部,
4bは当該上側鞘状部の正立時下側内周面に複数形成され、それぞれの間に内容物通過用の溝状部が設定される縦リブ状部,
4cは倒立用流入通路として、また倒立時における後述の上方ボール弁8の収容空間域として作用する下側鞘状部,
4dは後述の上方ボール弁8の倒立時受け部として作用する当該下側鞘状部の倒立時底面部分,
4eは当該下側鞘状部の胴部分の一部に形成され、倒立用流入通路として作用する周面開口部,
4fは当該下側鞘状部の胴部分の当該周面開口部とは別の部分に上側鞘状部4aの内部空間域(内容物通過用の溝状部)まで貫通する態様で形成され、正倒立共用通路として作用する縦貫通部,
4gは当該下側鞘状部の周面開口部4eの正立時下側胴部分における下端側内周面および下端面それぞれの一部に形成されて、後述の下方弁座6bおよび下方ボール弁9の弁構造に対するバイパス溝状部を設定するためのL字状の縦リブ状部,
4hは当該下側鞘状部の内周面と後述の中間部材の外周面との間に設定され、正倒立共用通路の上流部分として作用する環状空間域,
5はステム2の正立時下面段部と上側鞘状部4aの底面部分との間に配設されて当該ステムを正立時において上方向に付勢するコイルスプリング,
6はハウジング4の正立時下側内面部分と嵌合して正倒立共用通路の上流部分を画定する筒状の中間部材,
6aは本来の正立時下動位置における後述の上方ボール弁8と密接(当接)するテーパ面状の上方弁座,
6bは本来の倒立時下動位置における後述の下方ボール弁9と密接(当接)するテーパ面状の下方弁座,
6cは当該上方弁座と当該下方弁座との間の小径縦筒状部(≒正倒立共用通路の始まり部分),
6dは当該小径縦筒状部の内周面部分と外周面との間に複数形成され、正倒立共用通路の上流部分の一部として作用する横貫通部,
6eは下側鞘状部4cの正立時下端面部分を受ける環状鍔部,
6fは当該環状鍔部の外周面に複数形成され、それぞれの間に、下方弁座6bおよび下方ボール弁9の弁構造に対するバイパス溝状部が設定される縦リブ状部,
7はその内部空間域にハウジング4および中間部材6が嵌合状態で取り付けられた筒状のカバー体,
7aは当該カバー体内周面におけるハウジング4の周面開口部4eの正立時略上側部分に形成され、ハウジング外周面との間で当該周面開口部に通じる倒立用流入通路を設定するための環状低内周面部分,
7bは正立用流入通路として、また正立時における後述の下方ボール弁9の収容空間域として作用する、中間部材6との間の下側内部空間域,
7cは当該下側内部空間域の正立時下側内周面に複数形成され、下方ボール弁9の受け部として作用するとともに、それぞれの間に内容物通過用の溝状部が設定される斜めリブ状部,
7dは当該斜めリブ状部の直上流側に形成された内容物通過用の下側孔部,
7eは当該下側孔部の直上流側に形成された下側筒状部,
7fは当該カバー体の正立時上側筒状部の環状底面部分に複数形成され、中間部材6の正立時下面部分の受け部として作用するとともに、それぞれの間に、下方弁座6bおよび下方ボール弁9の弁構造に対するバイパス溝状部が設定される径方向リブ状部,
8は正立時下動位置において上方弁座6aと密接(当接)する上方ボール弁,
9は倒立時下動位置において下方弁座6bと密接(当接)する下方ボール弁,
10は下側筒状部7eに取り付けられた内容物流入用のディップチューブ,
11はステムガスケット3を挟み込んだ形でハウジング4と嵌合した状態のマウンティングキャップ,
12はマウンティングキャップ11が取り付けられて、その内部空間域に噴射対象内容物および噴射用ガスが収納された容器本体,
Aは正立使用時の本来の内容物の流れ,
Bは倒立使用時の本来の内容物の流れ,
Cは正立使用時および倒立使用時の内容物バイパス流,
をそれぞれ示している。
【0042】
ここで概略、
(51)正立使用時の流れA,(A+C)の正立メインルートは、「ディップチューブ10−下側孔部7d−斜めリブ状部7cの間の溝状部−下側内部空間域7b−小径縦筒状部6c−横貫通部6d−縦貫通部4f−上側鞘状部4aの内部空間域−横孔部2a−操作ボタン内部通路1b−噴射口1a」であり、
(52)倒立使用時の流れB,(B+C)の倒立メインルートは、「ハウジング4の外周面とカバー体7の環状低内周面部分7aとの間の空間域−周面開口部4e−下側鞘状部4cの内部空間域−小径縦筒状部6c−横貫通部6d−縦貫通部4f−上側鞘状部4aの内部空間域−横孔部2a−操作ボタン内部通路1b−噴射口1a」であり、
(53)内容物バイパス流Cのサブルート(中間部材6とカバー体7との間の下側内部空間域7bから、ハウジング4と中間部材6との間の環状空間域4hまでのルート)は、「径方向リブ状部7fの間のバイパス溝状部−縦リブ状部6fの間のバイパス溝状部−L字状の縦リブ状部4gの間のバイパス溝状部」である。
【0043】
そして、概略、
(61)内容物の正立用流入通路は、流れA(図3参照)における「ディップチューブ10−下側孔部7d−斜めリブ状部7cの間の溝状部−下側内部空間域7b」であり、
(62)内容物の倒立用流入通路は、流れB(図6参照)における「ハウジング4の外周面とカバー体7の環状低内周面部分7aとの間の空間域−周面開口部4e−下側鞘状部4cの内部空間域」であり、
(63)内容物の正倒立共用通路は、流れA,Bにおける「小径縦筒状部6c−横貫通部6d−縦貫通部4f−上側鞘状部4aの内部空間域−横孔部2a−操作ボタン内部通路1b−噴射口1a」である。
【0044】
上述の操作ボタン1,中間部材6,カバー体7およびディップチューブ10は、ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリアセタール,ナイロン,ポリブチレンテレフタレートなどの合成樹脂製のものである。
【0045】
ステム2,ハウジング4,コイルスプリング5,上方ボール弁8および下方ボール弁9は金属製や合成樹脂製のものである。また、ステムガスケット3はゴム製や合成樹脂製のものであり、マウンティングキャップ11および容器本体12は金属製のものである。
【0046】
図1乃至図6の正倒立バルブ機構の基本的特徴は、
(71)上記(61)の内容物の正立用流入通路といわば並列になる形で上記(53)のサブルートを設け、
(72)作動モードの途中で正倒立が逆に設定されることによって上方ボール弁8および下方ボール弁9が「双方閉」状態になると、外部空間への内容物放出量が減少する、すなわち上記(51),(52)の一方のメインルートおよび上記(53)のサブルートの「(A+C)または(B+C)」から、サブルートのみの「C」に減少し、
(73)この内容物放出量の減少を認識した利用者が操作ボタン1の押圧を止めると、「双方閉」状態のボール弁8,9間の小径縦筒状部6cは外部空間から遮断され、当該筒状部には上記(53)のサブルートにより容器本体内容物が流入してそこでの内容物圧力が大きくなって、最終的には、下側に位置している当該ボール弁が落下し、上記(51),(52)の正立または倒立のメインルートが復活する、
ことである。
【0047】
図示の正倒立バルブ機構のさらなる特徴は、
(74)容器本体内部と正倒立共用通路との間のバイパス通路を、ディップチューブ10の先に続く下側内部空間域7bと、正倒立共用通路の始まり部分である小径縦筒状部6cとの間に形成して、倒立使用時においてもバイパス通路の入力部ができるだけ倒立容器本体の下側空間に位置して噴射用ガスの流入を阻止する、すなわち倒立容器本体の上側空間に存在している噴射用ガスがこのバイパス通路に流入するのを阻止し、
(75)正立用流入通路の内容物流入部をディップチューブ10の端部とし、また、倒立用流入通路の内容物流入部をカバー体7の環状低内周面部分7aの端部とし、すなわち正立,倒立それぞれの使用態様における容器本体底部に近い部分に設定することにより、容器本体内容物が正立用流入通路,倒立用流入通路に入らずに噴射されないままになるのを極力少なくしている、
ことである。
【0048】
図1および図2の正立静止モードでは、操作ボタン1およびステム2がコイルスプリング5の作用により上動して図示の位置に保持されている。
【0049】
このとき、
・ステム2の横孔部2aはステムガスケット3で閉塞され、
・上方ボール弁8は容器本体内部の大きなガス圧力の作用によって中間部材6の上方弁座に6aに密接し、
・下方ボール弁9はカバー体7の斜めリブ状部7bの上面部分に当接し、
・横孔部2aより上流側の各通路域には内容物が充足されている。
【0050】
操作ボタン1が押下げられる、すなわちステム2が下方に移動することにより横孔部2aの閉塞状態は解除される(図3参照)。
【0051】
そして、容器本体内容物は、図3の黒矢印で示されるように、上記(51)の正立メインルートおよび上記(53)のサブルートを介して外部空間に噴射される。
【0052】
このとき、上方ボール弁8は静止モードのときと同様の下方向へのガス圧力作用により上方弁座6aに密接し、下方ボール弁9は内容物噴射流を受けて浮き状態になっている。なお、上方ボール弁8の直下の小径縦筒状部6cは内容物流出通路の一部であって、当該小径縦筒状部から上方ボール弁8が受ける上方向への内容物圧力(ガス圧力)は上記下方向へのガス圧力よりも十分に小さい。そのため、上方ボール弁8は上方弁座6aに密接する。
【0053】
利用者が、図3の正立作動モードのバルブ機構をその使用状況に応じて図4に示すような上下逆の倒立作動モードにすると、
(81)それまでの正立作動モードで上方ボール弁8に作用していた下方向(図4の上方向)へのガス圧力(内容物圧力)は特に変化せず、当該ボール弁と上方弁座6aとの密接状態が維持され、
(82)下方ボール弁9はその自重などで落下して下方弁座6bに密接し、
(83)上記(52),(62)の倒立メインルートおよび倒立用流入通路は上方ボール弁8で遮断され、
(84)上記(63)の正倒立共用通路への内容物流入路は上記(53)の内容物バイパス流Cのサブルートのみとなる。
【0054】
なお、図4〜図6の倒立状態のとき、ディップチューブ10は、その内容物流入側端部が容器本体内部の下側空間域に位置するように屈曲している。また、この屈曲状態を担保するため、必要に応じて、ディップチューブ10の内容物流入側には周知の重りなどが取りつけられる。
【0055】
エアゾール容器では、容器本体内部の上側空間域に噴射剤(圧縮ガス,液化ガスの気相分)が存在し、下側空間域に噴射対象内容物(原液,粉末)などが存在している。図4〜図6の倒立状態におけるディップチューブ10の屈曲は、上側空間域の噴射剤ではなく、下側空間域の噴射対象内容物を正倒立共用通路に流入させて操作ボタン1の噴射口1aから放出するためである。
【0056】
ここで図3の正立作動モードから図4の倒立作動モードにシフトした場合、噴射口1aからの内容物放出量が図3の「A+C」から図4の「C」へと減少する。
【0057】
この内容物放出量の見た目上の減少程度(噴射流の大きさの変化)は、試作品で検証したところ略1/2以下であり、明確に視認できるほどの変化といえる。
【0058】
図5に示すように、利用者が、この内容物放出量の激減をみて操作ボタン1の押圧を解除することにより、ステム2はコイルスプリング5の作用で初期位置に復帰してその横孔部2aがステムガスケット3で閉塞される。
【0059】
その結果、横孔部2aより上流側である上記(84)の内容物バイパス流Cのサブルートが噴射口1aと遮断された状態になる。
【0060】
この遮断状態での内容物バイパス流Cにより、図5の上方ボール弁8の直上の小径縦筒状部6cの圧力も大きくなっていく。そして、概略、上方ボール弁8に対し「下方向に作用する(小径縦筒状部6cの)圧力+上方ボール弁の自重」が「上方向に作用する圧力」を超えた段階で、当該上方ボール弁は落下する。
【0061】
この上方ボール弁8の落下により、図6に示すように、上記(52)の倒立メインルートが確保されて、操作ボタン1の噴射口1aからは倒立使用時の本来の流れである(B+C)が放出される。
【0062】
なお、本発明の正倒立バルブ機構のバイパス通路を、下側鞘状部4cの内部空間域と横貫通部6dとの間や、カバー体7の外面部分と横貫通部6dとの間に形成してもよい。
【0063】
本発明が適用されるエアゾール式製品としては、洗浄剤,清掃剤,制汗剤,冷却剤,筋肉消炎剤,ヘアスタイリング剤,ヘアトリートメント剤,染毛剤,育毛剤,化粧品,シェービングフォーム,食品,液滴状のもの(ビタミンなど),医薬品,医薬部外品,塗料,園芸用剤,忌避剤(殺虫剤),クリーナー,消臭剤,洗濯のり,ウレタンフォーム,消火器,接着剤,潤滑剤などの各種用途のものがある。
【0064】
容器本体に収納する内容物は、例えば、粉状物,油成分,アルコール類,界面活性剤,高分子化合物,各用途に応じた有効成分などである。
【0065】
粉状物としては、金属塩類粉末,無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク,カオリン,アルミニウムヒドロキシクロライド(アルミ塩),アルギン酸カルシウム,金粉,銀粉,雲母,炭酸塩,硫酸バリウム,セルロース,これらの混合物などを用いる。
【0066】
油成分としては、シリコーン油,パーム油,ユーカリ油,ツバキ油,オリーブ油,ホホバ油,パラフィン油,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,リノール酸,リノレン酸などを用いる。
【0067】
アルコール類としては、エタノールなどの1価の低級アルコール,ラウリルアルコールなどの1価の高級アルコール,エチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いる。
【0068】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【0069】
高分子化合物としては、メチルセルロース,ゼラチン,デンプン,カゼインなどを用いる。
【0070】
各用途に応じた有効成分としては、サリチル酸メチル,インドメタシンなどの消炎鎮痛剤、安息香酸ナトリウム,クレゾールなどの除菌剤、ヒレスロイド,ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤、酸化亜鉛などの制汗剤、カンフル,メントールなどの清涼剤、エフェドリン,アドレナリンなどの抗喘息薬、スクラロース,アスパルテームなどの甘味料、エポキシ樹脂,ウレタンなどの接着剤や塗料、パラフェニレンジアミン,アミノフェノールなどの染料,リン酸二水素アンモニウム,炭酸水素ナトリウム・カリウムなどの消火剤などを用いる。
【0071】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤,紫外線吸収剤,乳化剤,保湿剤,酸化防止剤、金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【0072】
エアゾール式製品における内容物噴射用ガスとしては、炭酸ガス,窒素ガス,圧縮空気,酸素ガス,希ガス,これらの混合ガスなどの圧縮ガスや、液化石油ガス,ジメチルエーテル,フロロカーボンなどの液化ガスを用いる。
【符号の説明】
【0073】
1:操作ボタン(操作部)
1a:噴射口
1b:操作ボタン内部通路
2:ステム
2a:横孔部
2b:ステム内部通路
3:ステムガスケット
4:ハウジング
4a:上側鞘状部
4b:縦リブ状部
4c:下側鞘状部
4d:倒立時底面部分
4e:周面開口部
4f:縦貫通部
4g:L字状の縦リブ状部
4h:環状空間域
5:コイルスプリング
6:中間部材
6a:上方弁座
6b:下方弁座
6c:小径縦筒状部(≒正倒立共用通路の始まり部分)
6d:横貫通部
6e:環状鍔部
6f:縦リブ状部
7:カバー体
7a:環状低内周面部分
7b:下側内部空間域
7c:斜めリブ状部
7d:下側孔部
7e:下側筒状部
7f:径方向リブ状部
8:上方ボール弁
9:下方ボール弁
10:ディップチューブ
11:マウンティングキャップ
12:容器本体
A:正立使用時の本来の内容物の流れ
B:倒立使用時の本来の内容物の流れ
C:正立使用時および倒立使用時の内容物バイパス流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動モード設定操作に基づいてそれまでの閉状態から開状態に移行して容器本体の内容物を外部空間域に噴射するためのバルブ作用部および当該バルブ作用部に通じる正倒立使用態様の内容物通路部を少なくとも有する正倒立バルブ機構において、
前記内容物通路部は、
前記内容物の正立用流入通路と、
前記内容物の倒立用流入通路と、
当該正立用流入通路および当該倒立用流入通路それぞれの下流側に形成されて、前記バルブ作用部に通じる正倒立共用通路と,
当該正立用流入通路に設けられて、第1の移動弁の落下により開閉作用を呈する第1の弁構造と、
当該倒立用流入通路に設けられて、第2の移動弁の落下により開閉作用を呈する第2の弁構造と、
作動モードの際に当該正倒立共用通路を容器本体内部へ連通させて、当該第1の弁構造および当該第2の弁構造がともに閉じた状態のときにも前記内容物の当該正倒立共用通路への流入動作を確保するためのバイパス通路と、
を備えている、
ことを特徴とする正倒立バルブ機構。
【請求項2】
前記正立用流入通路は、
その入力側に内容物流入用チューブが取り付けられた通路であり、
前記バイパス通路は、
前記正立用流入通路の一部と前記正倒立共用通路との間に設けられた通路である、
ことを特徴とする請求項1記載の正倒立バルブ機構。
【請求項3】
前記内容物通路部は、
少なくとも前記バルブ作用部を保持し、かつ、前記倒立用流入通路の下流側部分である孔部、当該下流側部分であって前記第2の移動弁の移動域としても作用する第2の内部空間域および、前記正倒立共用通路の下流側部分を画定する正立上側部材と、
少なくとも前記第1の弁座、第2の弁座および当該正倒立共用通路の上流側部分を画定する中間部材と、
少なくとも内容物流入用チューブが取り付けられて、当該正立上側部材の当該孔部より正立上側の外面との間に当該倒立用流入通路の上流側部分を形成し、かつ、前記正立用流入通路であって前記第1の移動弁の移動域としても作用する第1の内部空間域を画定する正立下側部材と、からなり、
前記正立上側部材と前記中間部材との間に前記バイパス通路が形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の正倒立バルブ機構。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の正倒立バルブ機構を備え、かつ、内容物および噴射用ガスを収容した、
ことを特徴とするエアゾール式製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−254359(P2010−254359A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108202(P2009−108202)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000144463)株式会社三谷バルブ (142)
【Fターム(参考)】