説明

正帯電2成分現像剤

【課題】長期間にわたって画像形成を行っても、トナーの帯電量が低下しにくく、かぶりの発生等を抑制でき、よって、長期間にわたって高画質な画像を形成することができる正帯電2成分現像剤を提供することを目的とする。
【解決手段】トナーとキャリアとを含む正帯電2成分現像剤であって、前記トナーが、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー母粒子と、前記トナー母粒子に外添される外添剤とを含み、前記外添剤が、金属酸化物微粒子の表面を、正帯電処理剤を含有する第1表面処理剤で処理した後に、負帯電処理剤を含有する第2表面処理剤で処理した表面処理粒子を含有する正帯電2成分現像剤を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーとキャリアとを含む正帯電2成分現像剤に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの複合機等の電子写真方式を利用した画像形成装置は、画像データに基づく静電潜像が形成された感光体ドラムの表面に、現像装置によって、現像剤のトナーを供給することによって、トナー像を形成する。そして、感光体ドラム上に形成されたトナー像を、転写装置等によって、所定の用紙に転写する。そして、この転写されたトナー像を、定着装置で加圧及び加熱することによって、用紙に定着させて、画像データに基づく画像を用紙上に形成する。
【0003】
このような画像形成装に備えられる現像装置としては、トナーを含み、キャリアを含まない1成分現像剤を用いるものと、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を用いるものとが挙げられる。このような現像装置は、感光体ドラムの表面にトナーを供給する前に、予め現像剤を攪拌させてトナーを帯電させる。2成分現像剤を用いる現像装置の場合、現像剤を攪拌させると、キャリア存在下でトナーが攪拌されることになる。よって、2成分現像剤を用いる現像装置のほうが、1成分現像剤を用いる現像装置と比較して、トナーの帯電量を確保しやすく、好適に用いられている。
【0004】
しかしながら、2成分現像剤を用いる現像装置の場合、トナーの帯電量を確保しやすく、形成される画像として高画質な画像が得られやすいものの、長期間にわたって画像形成を行うと、トナーの帯電量が低下し、現像剤のトナーによるかぶり等が発生しやすくなり、良好な画像を形成されにくくなる傾向があることが知られている。
【0005】
そして、このような2成分現像剤としては、例えば、特許文献1〜3に記載のもの等が挙げられる。
【0006】
特許文献1には、結着樹脂、着色剤、脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス及び第4級アンモニウム塩を主成分とする体積平均粒径5〜10μmの正帯電性母体粒子に、該母体粒子と混合したとき母体粒子だけの帯電量に比べ減少せしめる添加剤と、該母体粒子と混合したとき母体粒子だけの帯電量に比べ増加せしめる他の添加剤とが混合されたトナーと、表面にシリコーン樹脂中に導電性物質及び塩素基を有するアルコキシシランカップリング剤を含有する被覆層が設けられたキャリアとからなる2成分系乾式現像剤が記載されている。
【0007】
また、特許文献2には、少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤を含有するトナーとキャリアを含有する2成分系現像剤において、(i)該結着樹脂が少なくともポリエステルユニットを含み、(ii)該トナーのメタノール45体積%水溶液における透過率B(%)が、10≦B≦70の範囲にあり、(iii)該トナーの示差熱分析(DSC)測定における吸熱曲線において、温度30〜110℃の範囲に1個又は複数の吸熱ピークを有し、該吸熱ピーク中の最大吸熱ピークの温度Tscが、65℃<Tsc<105℃であり、(iv)該キャリアが樹脂被覆層と樹脂微粒子を含有する2成分系現像剤が記載されている。
【0008】
また、特許文献3には、キャリア芯材上に樹脂被覆層を有するキャリアとトナーを含有する静電荷像現像用現像剤において、該キャリアは、樹脂被覆層中にシリカもしくはカーボンブラックを7〜35質量%含有し、被覆する樹脂の重量平均分子量(Mw)が30〜60万であり、かつ、該トナーは、個数平均粒径が70〜300nmの外添剤微粒子を含有してなる静電荷像現像用現像剤が記載されている。
【0009】
なお、特許文献2及び特許文献3に記載の現像剤は、正帯電性現像剤ではなく、負帯電性現像剤である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平5−232740号公報
【特許文献2】特開2005−24580号公報
【特許文献3】特開2008−304745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者は、本発明に至る際、2成分現像剤を用いる現像装置において、長期間にわたって画像形成を行うと、トナーの帯電量が低下し、現像剤のトナーによるかぶり等が発生しやすくなり、良好な画像を形成されにくくなる原因として、以下のように推察した。
【0012】
2成分現像剤を用いる現像装置、例えば、2成分現像装置は、画像形成させる際、まず、感光体ドラムに対向して配置される、磁石が内包された現像ローラに、2成分現像剤を接触させる。そうすることによって、前記現像ローラ上に、キャリアが穂状に連なり、そのキャリア上にトナーが付着した、2成分現像剤からなる磁気ブラシが形成される。そして、この磁気ブラシを、感光体ドラムと接触させることによって、画像データに基づく静電潜像が形成された感光体ドラムの表面にトナーを供給し、画像データに基づくトナー像が形成される。このため、2成分現像装置は、画像形成を行うと、トナーは使用され、新たなトナーを補給して、長期間にわたる画像形成を行う。これに対して、キャリアは、長期間にわたって画像形成を行っても、同じものが繰り返し使用される。このことから、例えば、キャリアの表面にトナーの成分が付着する、キャリアスペント等が起こり、キャリアの帯電付与性能(帯電付与能力)が徐々に低下することによると考えられる。
【0013】
また、2成分現像剤を用いる現像装置としては、例えば、現像装置に備えた、磁石が内包された磁気ローラに2成分現像剤を一旦保持させ、前記磁気ローラに保持された2成分現像剤からトナーのみを現像ローラに移行させ、現像ローラ表面に移行されたトナーを感光体ドラムに飛翔させることによって、感光体ドラム上にトナー像を形成させる、いわゆるハイブリッド現像方式の現像装置等が挙げられる。このようなハイブリッド現像方式の現像装置であっても、キャリアとして、同じものが繰り返し使用するので、上記2成分現像装置と同様の不具合が発生すると考えられる。
【0014】
特許文献1〜3によれば、キャリアスペントを抑制できることが記載されている。しかしながら、これらの現像剤であっても、トナーの帯電量を維持しにくく、現像剤のトナーによるかぶり等が発生しやすくなり、長期間にわたって高画質な画像を形成することが困難な場合があった。具体的には、例えば、高画質な画像を形成させるために、トナー母粒子として、小粒径化されたものを用いた場合に、長期間にわたって高画質な画像を形成することが困難であった。特に、印字率の高い高濃度印字を行った場合、すなわち、単位駆動時間当たりのトナーの使用量が多く、トナーの補給量が多い場合に、トナーの帯電量が低下しやすく、現像剤のトナーによるかぶり等が発生しやすくなるという傾向が強かった。
【0015】
このことは、本発明者は以下のことによると推察した。
【0016】
小粒径化されたトナー母粒子を用いる場合、トナーの流動性や現像性等を確保するために、トナー母粒子に外添される外添剤の量を増加させることが多い。そして、この外添剤としては、一般的に、トナー母粒子と同じ極性を有し、キャリアとは反対の極性を有するものが使用される。このため、外添剤の量が増加されると、外添剤がトナー母粒子から離脱し、キャリアのほうに移行しやすくなり、前述したようなキャリアスペントが起こりやすくなることによると考えられる。
【0017】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、長期間にわたって画像形成を行っても、トナーの帯電量が低下しにくく、かぶりの発生等を抑制でき、よって、長期間にわたって高画質な画像を形成することができる正帯電2成分現像剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一態様に係る正帯電2成分現像剤は、トナーとキャリアとを含む正帯電2成分現像剤であって、前記トナーが、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー母粒子と、前記トナー母粒子に外添される外添剤とを含み、前記外添剤が、金属酸化物微粒子の表面を、正帯電処理剤を含有する第1表面処理剤で処理した後に、負帯電処理剤を含有する第2表面処理剤で処理した表面処理粒子を含有することを特徴とする。
【0019】
上記のような構成によれば、長期間にわたって画像形成を行っても、トナーの帯電量が低下しにくく、かぶりの発生等を抑制でき、よって、長期間にわたって高画質な画像を形成することができる正帯電2成分現像剤を提供することができる。
【0020】
このことは、以下のことによると考えられる。
【0021】
正帯電2成分現像剤を構成するトナーは、トナー母粒子に外添剤が外添されている。そして、この外添剤は、正帯電2成分現像剤を攪拌する前や攪拌開始直後等の、いわゆる初期の状態では、トナー母粒子にあまり埋め込まれていない状態であり、トナー母粒子から離脱されやすいと考えられる。
【0022】
また、外添剤としては、金属酸化物微粒子の表面を、正帯電処理剤を含有する第1表面処理剤で処理しただけではなく、その後に、負帯電処理剤を含有する第2表面処理剤で処理した表面処理粒子を含有するので、外添剤の正帯電性が、負帯電処理剤による処理によって、低くなっていると考えられる。
【0023】
よって、正帯電2成分現像剤が初期の状態の場合、外添剤の正帯電性が、低くなるものの、外添剤が、正に帯電されているトナー母粒子から離脱しにくく、負に帯電されているキャリアに移行しにくくなると考えられる。
【0024】
一方、正帯電2成分現像剤を攪拌するにしたがって、外添剤の表面上の、負帯電処理剤を含有する第2表面処理剤で処理により形成された被膜が剥がれていき、正帯電処理剤を含有する第1表面処理剤で処理により形成された被膜が露出してくると考えられる。よって、正帯電2成分現像剤を構成するトナーが画像形成に用いられる頃には、トナー母粒子に外添されている外添剤の正帯電性が高まって、外添剤が好適な正帯電性を発揮できるようになると考えられる。
【0025】
その際、外添剤は、正帯電2成分現像剤の攪拌によって、トナー母粒子に埋め込まれた状態になり、トナー母粒子から離脱しにくくなっていると考えられる。
【0026】
従って、外添剤が離脱しやすい初期の状態では、外添剤が、正帯電性の低い離脱しにくい状態になっていると考えられる。また、正帯電2成分現像剤を攪拌し、正帯電2成分現像剤を構成するトナーが画像形成に用いられる頃には、外添剤が離脱しにくく、さらに、外添剤が、外添剤として好適な正帯電性を発揮できる状態になっていると考えられる。よって、外添剤として好適な正帯電性を備えつつ、キャリアスペントの発生を抑制することができ、キャリアの帯電付与性能の低下が抑制されると考えられる。
【0027】
これらのことから、長期間にわたって画像形成を行っても、トナーの帯電量が低下しにくく、かぶりの発生等を抑制でき、よって、長期間にわたって高画質な画像を形成することができると考えられる。
【0028】
また、前記正帯電2成分現像剤を用いれば、さらに、印字率の高い高濃度印字を行った場合、すなわち、単位駆動時間当たりのトナーの使用量が多く、トナーの補給量が多い場合であっても、トナーの帯電量が低下しにくく、かぶりの発生等を抑制でき、よって、長期間にわたって高画質な画像を形成することができる。
【0029】
また、前記正帯電処理剤と前記負帯電処理剤との比が、質量比で、3:2〜9:1であることが好ましい。このような構成によれば、長期間にわたって画像形成を行っても、トナーの帯電量がより低下しにくく、かぶりの発生等をより抑制でき、よって、長期間にわたってより高画質な画像を形成することができる正帯電2成分現像剤を提供することができる。
【0030】
このことは、前記質量比が、正帯電2成分現像剤が初期の状態の場合には、外添剤がトナー母粒子からより離脱しにくい状態であり、さらに、正帯電2成分現像剤を構成するトナーが画像形成に用いられる頃には、外添剤の正帯電性をより好適に発揮しえる外添剤が得られる比であることによると考えられる。
【0031】
また、前記正帯電処理剤が、分子内にアミノ基を有するシランカップリング剤であることが好ましい。このような構成によれば、長期間にわたってより高画質な画像を形成することができる正帯電2成分現像剤を提供することができる。このことは、外添剤としてより好適な正帯電性を発揮できる外添剤が得られることによると考えられる。
【0032】
また、前記負帯電処理剤が、分子内にフッ素を有するシランカップリング剤であることが好ましい。このような構成によれば、長期間にわたって画像形成を行っても、トナーの帯電量がより低下しにくく、かぶりの発生等をより抑制でき、よって、長期間にわたってより高画質な画像を形成することができる正帯電2成分現像剤を提供することができる。このことは、外添剤として、分子内にフッ素を有するシランカップリング剤で処理した表面処理粒子を含有することによって、外添剤がキャリアにより移行しにくくなるためであると考えられる。
【0033】
また、前記第1表面処理剤が、疎水化処理剤を含有することが好ましい。このような構成によれば、長期間にわたって画像形成を行っても、トナーの帯電量がより低下しにくく、かぶりの発生等をより抑制でき、よって、長期間にわたってより高画質な画像を形成することができる正帯電2成分現像剤を提供することができる。
【0034】
このことは、前記正帯電処理剤は、疎水性が低いものが多い、具体的には、例えば、前記正帯電処理剤の一例である分子内にアミノ基を有するシランカップリング剤は、疎水性が低いことによると考えられる。このような疎水性の低い正帯電処理剤を用いて処理した外添剤は、疎水性が低くなると考えられる。よって、このような疎水性の低い外添剤を外添すると、高温高湿環境下において、トナーの帯電量が低下する傾向がある。このため、前記第1表面処理剤として、前記疎水化処理剤を含有するものを用いて処理することによって、疎水化どの高い外添剤が得られ、この疎水化度の高い外添剤を外添することによって、トナーの帯電量の低下を抑制できると考えられる。
【0035】
また、前記疎水化処理剤が、分子内に疎水性基を有するシランカップリング剤であることが好ましい。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、長期間にわたって画像形成を行っても、トナーの帯電量が低下しにくく、かぶりの発生等を抑制でき、よって、長期間にわたって高画質な画像を形成することができる正帯電2成分現像剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】画像形成装置100の画像形成部周辺を示す模式図である。
【図2】画像形成装置100に備えられた現像装置の一例である現像装置34を示す断面図である。
【図3】画像形成装置100に備えられた現像装置の他の一例である現像装置35を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0039】
[正帯電2成分現像剤]
本発明の一態様に係る正帯電2成分現像剤は、トナーとキャリアとを含む正帯電2成分現像剤であって、前記トナーが、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー母粒子と、前記トナー母粒子に外添される外添剤とを含み、前記外添剤が、金属酸化物微粒子の表面を、正帯電処理剤を含有する第1表面処理剤で処理した後に、負帯電処理剤を含有する第2表面処理剤で処理した表面処理粒子を含有することを特徴とする。
【0040】
<トナー母粒子>
前記トナー母粒子は、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有し、トナー母粒子として使用可能な形態のものであれば、特に限定されない。前記トナー母粒子としては、その粒子径としては、体積平均径で、3〜9μmであることが好ましい。なお、ここでの体積平均径は、例えば、レーザ回折散乱法等による測定や、一般的な粒度計等を用いた測定によって、計測することができる。
【0041】
(結着樹脂)
前記結着樹脂としては、従来からトナー母粒子の結着樹脂として用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、スチレン−アクリル系共重合体、スチレン−ブタジエン樹脂等のポリスチレン系樹脂;アクリル系樹脂;ポリエチレン系樹脂;ポリプロピレン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ビニルエーテル系樹脂;N−ビニル系樹脂等が挙げられる。この中でも、ポリエステル系樹脂が、低温定着性に優れ、非オフセット温度範囲が広い点から好ましく用いられる。また、前記結着樹脂としては、上記各結着樹脂を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
前記ポリエステル系樹脂としては、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合又は共縮重合によって得られるもの等が挙げられる。また、ポリエステル系樹脂を合成する際に用いられる成分としては、以下のものが挙げられる。
【0043】
前記アルコール成分としては、ポリエステル系樹脂を合成するためのアルコールとして使用可能なものであれば、特に限定されない。また、前記アルコール成分としては、分子内に水酸基が2個以上のアルコール(2価以上のアルコール)が含まれている必要がある。前記アルコール成分として用いられるもののうち、2価のアルコールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノール類等が挙げられる。また、前記アルコール成分として用いられるもののうち、3価以上のアルコールとしては、具体的には、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。また、前記アルコール成分としては、上記各成分を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
また、前記カルボン酸成分としては、ポリエステル系樹脂を合成するためのカルボン酸として使用可能なものであれば、特に限定されない。また、前記カルボン酸成分としては、カルボン酸だけではなく、カルボン酸の、酸無水物や低級アルキルエステル等も含まれる。そして、前記カルボン酸成分としては、カルボン酸が分子内に水酸基が2個以上であるもの(2価以上のカルボン酸)が含まれている必要がある。前記カルボン酸として用いられるもののうち、2価のカルボン酸としては、具体的には、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、アルキルコハク酸、及びアルケニルコハク酸等が挙げられる。アルキルコハク酸としては、例えば、n−ブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸等が挙げられ、アルケニルコハク酸としては、例えば、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等が挙げられる。また、前記カルボン酸として用いられるもののうち、3価以上のカルボン酸としては、具体的には、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等が挙げられる。また、前記カルボン酸成分としては、上記各成分を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
前記ポリスチレン系樹脂としては、スチレンの単独重合体でも、スチレンと共重合可能な他の共重合モノマーとの共重合体でもよい。前記共重合モノマーとしては、p−クロロスチレン;ビニルナフタレン;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のオレフィン系炭化水素(アルケン);塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸フェニル、α−クロロアクリル酸メチル等のアクリル酸エステル;メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸誘導体;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリデン等のN−ビニル化合物等が挙げられる。この中でも、低温定着性、帯電安定性、及び環境安定性に優れている点から、アクリル酸エステルが好ましく、アクリル酸n−ブチルがより好ましい。また、前記共重合モノマーとしては、上記各モノマーを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、ポリスチレン系樹脂は、2つの重量平均分子量ピーク(低分子量ピークおよび高分子量ピーク)を有することが好ましい。具体的には、例えば、低分子量ピークが3000〜20000の範囲内であり、もう1つの高分子量ピークが300000〜1500000の範囲内であることが好ましい。さらに、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)について、Mw/Mnが10以上であることが好ましい。重量平均分子量ピークがこのような範囲内にあれば、トナーを容易に定着させることができ、また、耐オフセット性を向上させることもできる。
【0046】
前記結着樹脂としては、定着性の観点から、上記のような熱可塑性樹脂を用いることが好ましいが、熱可塑性樹脂のみである必要はなく、架橋剤や熱硬化性樹脂を熱可塑性樹脂に組み合わせて用いてもよい。このように結着樹脂内に一部架橋構造を導入することにより、定着性の低下を抑制しつつ、トナーの保存安定性、形態保持性及び耐久性等を向上させることができる。
【0047】
(着色剤)
前記着色剤としては、トナーとして所望の色になるように、公知の顔料や染料を用いることができる。具体的には、例えば、色に応じて、以下のような着色剤が挙げられる。黒色顔料としては、例えば、アセチレンブラック、ランブラック、アニリンブラック等のカーボンブラック等が挙げられる。黄色顔料としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー180等が挙げられる。橙色顔料としては、例えば、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK等が挙げられる。赤色顔料として、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド238等が挙げられる。紫色顔料としては、例えば、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等が挙げられる。青色顔料としては、例えば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC、C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニンブルー顔料)等が挙げられる。緑色顔料としては、例えば、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファナルイエローグリーンG等が挙げられる。白色顔料としては、例えば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等が挙げられる。例えば、シアントナーの着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニンブルー顔料)が好ましい。
【0048】
前記着色剤の添加量としては、好適な画像濃度を達成するためにも、結着樹脂100質量部に対して、1〜10質量部であることが一般的であり、3〜7質量部であることが好ましい。
【0049】
(電荷制御剤)
前記トナー母粒子には、帯電性等を向上させるために、電荷制御剤を含有させることが一般的である。また、前記トナーは、前記正帯電2成分現像剤を構成するトナー、つまり正帯電性トナーであるので、前記電荷制御剤としては、従来からトナー母粒子の電荷制御剤のうち、正帯電性を示す電荷制御剤として用いられているものであれば、特に限定なく用いられる。その具体例としては、例えば、ニグロシン化合物、4級アンモニウム塩化合物、及び樹脂にアミン系化合物を結合させた樹脂タイプの電荷制御剤等の、正帯電性を示す電荷制御剤等が挙げられる。また、前記電荷制御剤の添加量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.5〜10質量部添加することが好ましく、さらに1〜5質量部添加することがより好ましい。前記電荷制御剤の添加量が少なすぎる場合、所定極性にトナーを安定して帯電することが困難となり、かぶりが発生しやすくなる傾向がある。また、前記電荷制御剤の添加量が多すぎる場合、耐環境性、特に高温高湿下での帯電不良、画像不良となり、感光体汚染等の欠点が生じやすくなる傾向がある。
【0050】
(ワックス)
前記トナー母粒子には、定着性やオフセット性等を向上させるために、ワックスを含有させることが一般的である。前記ワックスとしては、従来からトナー母粒子のワックスとして用いられているものであれば特に限定なく用いられる。その具体例としては、例えば、カルナバワックスやサトウキビワックス、木ワックス等の植物性ワックス;蜜ワックスや昆虫ワックス、鯨ワックス、羊毛ワックス等の動物性ワックス;フィッシャートロプシュ(以下、「FT」と記すことがある)ワックスやポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の合成炭化水素系ワックス等が挙げられる。これらの中では、前記結着樹脂中での分散性に優れている点から、FTワックスやカルナバワックス等の合成炭化水素系ワックスが好ましく、カルナバワックスがより好ましい。前記ワックスの添加量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.5〜10質量部添加することが好ましく、さらに1〜5質量部添加することがより好ましい。前記添加量が少なすぎる場合には、充分なワックスの効果が得られない傾向があり、また、多すぎる場合には、耐ブロッキング性が低下し、またトナーからの脱離が生じるおそれがある。
【0051】
(製造方法)
また、前記トナー母粒子の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、以下のようにして製造することができる。
【0052】
まず、上記の、結着樹脂及び着色剤等のトナー母粒子の各成分を混合機等で混合する。前記混合機としては、公知のものを使用でき、例えば、ヘンシェルミキサ、スーパーミキサ、メカノミル等のヘンシェルタイプの混合装置、オングミル、ハイブリダイゼーションシステム、コスモシステム等が挙げられる。
【0053】
次に、得られた混合物を混練機等で溶融混練する。前記混練機としては、公知のものを使用でき、例えば、2軸押出機、三本ロールミル、ラボブラストミル等が挙げられ、2軸押出機が好適に用いられる。また、溶融混練時の温度としては、前記結着樹脂の軟化点以上であって、前記結着樹脂の熱分解温度未満の温度であることが好ましい。
【0054】
次に、得られた溶融混練物を冷却して固形物とし、その固形物を粉砕機等で粉砕する。前記粉砕機としては、公知のものを使用でき、例えば、超音速ジェット気流を利用して粉砕するジェット式粉砕機(ジェットミル)等の気流式粉砕機、ターボミル等の機械式粉砕機や衝撃式粉砕機等が挙げられ、機械式粉砕機、特にターボミルが好適に用いられる。
【0055】
最後に、得られた粉砕物を分級機等で分級する。分級することによって、過粉砕物や粗粉を除去することができ、所望のトナー母粒子を得ることができる。前記分級機としては、公知のものを使用でき、例えば、エルボージェット等の旋回式風力分級機(ロータリー式風力分級機)等の風力分級機や遠心力分級機等が挙げられ、風力分級機、特にエルボージェットが好適に用いられる。
【0056】
<外添剤>
前記外添剤としては、金属酸化物微粒子の表面を、正帯電処理剤を含有する第1表面処理剤で処理した後に、負帯電処理剤を含有する第2表面処理剤で処理した表面処理粒子を含有する。
【0057】
前記表面処理粒子は、正帯電処理剤を含有する第1表面処理剤で処理した後に、負帯電処理剤を含有する第2表面処理剤で処理したものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、以下のようにして得られたもの等が挙げられる。まず、金属酸化物微粒子に、正帯電処理剤を含有する第1表面処理剤を添加し、加熱攪拌し、その後、負帯電処理剤を含有する第2表面処理剤を添加し、加熱攪拌することによって、得られた粒子等が前記表面処理粒子の例示として挙げられる。なお、前記表面処理粒子の製造方法については、後述する。
【0058】
また、前記第1表面処理剤での処理前の前記金属酸化物微粒子としては、シリカ粒子、アルミナ粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化マグネシウム粒子及びチタン酸ストロンチウム粒子等が挙げられる。この中でも、シリカ粒子が、流動性が高い点から好ましい。また、前記金属酸化物微粒子としては、上記各金属酸化物微粒子を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0059】
また、前記金属酸化物微粒子としては、球形であることが好ましく、その粒子径としては、体積平均径で、7〜100nmであることが好ましく、15〜50nmであることがより好ましい。なお、ここでの体積平均径は、例えば、レーザ回折散乱法等による測定や、一般的な粒度計等を用いた測定によって、計測することができる。前記金属酸化物微粒子の粒子径が小さすぎると、前記トナー母粒子に埋め込まれやすく、トナーにストレスがかかったとき(低濃度印字時)に、画像濃度の低下が起こりやすいという傾向がある。また、前記金属酸化物微粒子の粒子径が大きすぎると、トナーの流動性が低下するという傾向がある。
【0060】
前記第1表面処理剤としては、正帯電処理剤を含有していれば、特に限定されない。具体的には、疎水化処理剤が含有されていると好ましい。また、前記正帯電処理剤を希釈させるための溶媒(希釈剤)が含有されていてもよい。
【0061】
前記正帯電処理剤としては、前記金属酸化物微粒子に正帯電極性基を導入できるものであれば、特に限定されない。前記正帯電極性基としては、例えば、アミノ基等が挙げられる。また、前記正帯電処理剤としては、例えば、分子内にアルコキシ基やハロゲン基等の加水分解性基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。よって、前記正帯電処理剤としては、具体的には、例えば、分子内にアミノ基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。また、より具体的には、例えば、HN(CHNH(CHSi(OCH、HN(CHNH(CHSi(CH)(OCH、HN(CHNH(CHSi(OCH、HN(CHNH(CHNH(CHSi(OCH、HN(CHSi(OCH、及びCNH(CHSi(OCH等が挙げられる。また、前記正帯電処理剤としては、上記各正帯電処理剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0062】
前記正帯電処理剤の導入量は、前記金属酸化物微粒子100質量部に対して、5〜25質量部であることが好ましく、10〜20質量部であることがより好ましい。前記正帯電処理剤の導入量が少なすぎると、外添剤の正帯電性が不充分になる傾向がある。また、前記正帯電処理剤の導入量が多すぎると、前記正帯電処理剤による処理の後に、前記負帯電処理剤による処理を施しても、外添剤がトナー母粒子から離脱して、キャリアに移行する、いわゆるキャリアスペントを充分に抑制することができなくなる傾向がある。
【0063】
また、前記疎水化処理剤としては、前記金属酸化物微粒子に疎水性基を導入できるものであれば、特に限定されない。前記疎水性基としては、アルキル基やアルコキシ基等が挙げられる。また、前記疎水化処理剤としては、例えば、分子内にアルコキシ基やハロゲン基等の加水分解性基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。よって、前記疎水化処理剤としては、具体的には、例えば、分子内に前記疎水性基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。なお、前記疎水性基と前記加水分解性基とが同じ官能基であってもよい。より具体的には、例えば、CHSiCl、(CHSiCl、(CHSiCl、CHSi(OCH、CHSi(OCHCH3)、(CHSi(OCH)、(CHSi(OCH、(CHSi(OCHCH、(CHCHO)Si(OCHCH、(CHO)Si(OCH、CH(H)Si(OCH、CH(H)Si(OCHCH、(CH(H)Si(OCHCH)等が挙げられる。また、前記疎水化処理剤としては、上記各疎水化処理剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0064】
前記疎水化処理剤の導入量は、前記金属酸化物微粒子100質量部に対して、10〜30質量部であることが好ましく、15〜25質量部であることがより好ましい。前記疎水化処理剤の導入量が少なすぎると、外添剤の疎水性が充分ではなく、高温高湿環境下において、トナーの帯電量が低下するという傾向がある。また、前記疎水化処理剤の導入量が多すぎると、疎水化処理時に前記金属酸化物微粒子が凝集しやすいという傾向がある。
【0065】
また、前記第1表面処理剤に含有される溶媒としては、前記正帯電処理剤を溶解させ、前記正帯電処理剤による処理を阻害しないものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、テトラヒドロフラン、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、及びアセトン等が挙げられる。
【0066】
また、前記第2表面処理剤としては、負帯電処理剤を含有していれば、特に限定されない。前記第2表面処理剤は、負帯電処理剤以外の成分が含まれていてもよく、例えば、前記負帯電処理剤を希釈させるための溶媒(希釈剤)が含有されていてもよい。
【0067】
また、前記負帯電処理剤としては、前記正帯電極性基を導入した金属酸化物微粒子に負帯電極性基を導入できるものであれば、特に限定されない。前記負帯電極性基としては、例えば、フルオロアルキル基等の、フッ素原子を有する基等が挙げられる。また、前記負帯電処理剤としては、例えば、分子内にアルコキシ基やハロゲン基等の加水分解性基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。よって、前記負帯電処理剤としては、具体的には、例えば、分子内にフッ素を有するシランカップリング剤等が挙げられる。また、より具体的には、例えば、CF(CHSiCl、CF(CHSiCl、CF(CF(CHSiCl、CF(CF(CHSiCl、CF(CFCHCHSi(OCH、CF(CF(CHSi(CH)Cl、CF(CHSi(OCH、CF(CHSi(CH)(OCH、CF(CF(CHSi(OCH、CF(CF(CHSi(OCH、CF(CFCONH(CHSi(OC、CF(CFCOO(CHSi(OCH、CF(CF(CHSi(OCH、CF(CF(CHSi(CH)(OCH、CF(CFSONH(CH2)Si(OC、CF(CF(CHSi(OCH等が挙げられる。また、前記負帯電処理剤としては、上記各負帯電処理剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0068】
前記負帯電処理剤の導入量は、前記正帯電処理剤と前記負帯電処理剤との比が、質量比で、3:2〜9:1となるような導入量であることが好ましい。前記負帯電処理剤の導入量が少なすぎると、外添剤がトナー母粒子から離脱して、キャリアに移行する、いわゆるキャリアスペントを充分に抑制することができなくなる傾向がある。また、前記負帯電処理剤の導入量が多すぎると、外添剤の正帯電性が低くなりすぎ、形成される画像の画質が低下する傾向がある。
【0069】
また、前記第2表面処理剤に含有される溶媒としては、前記負帯電処理剤を溶解させ、前記負帯電処理剤による処理を阻害しないものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、テトラヒドロフラン、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、及びアセトン等が挙げられる。
【0070】
前記表面処理粒子の製造方法としては、前記金属酸化物微粒子に、前記第1表面処理剤で処理した後に、前記第2表面処理剤で処理する方法であれば、特に限定されない。各表面処理剤による処理は、具体的には、例えば、以下のような方法による処理等が挙げられる。なお、第1表面処理剤を用いた場合で説明するが、第2表面処理剤を用いても同様の方法で行うことができる。
【0071】
まず、混合機等で強制的に攪拌している金属酸化物微粒子に、前記第1表面処理剤を滴下又は噴霧させて添加し、充分混合させる。その後、得られた混合物を、オーブンに入れ、加熱させ、充分に乾燥させる。そして、乾燥された混合物を、再び混合機等で強制的に攪拌させて、解砕させる。そうすることによって、第1表面処理剤で処理された金属酸化物微粒子が得られる。なお、前記第1表面処理剤としては、上述したように、溶媒(希釈剤)を含有したものであってもよい。
【0072】
また、他の方法としては、前記第1表面処理剤として、前記正帯電処理剤を有機溶媒に溶解させた溶液を用い、前記溶液に前記金属酸化物微粒子を浸漬させる。その後、浸漬により得られた混合物を、オーブンに入れ、加熱させ、充分に乾燥させる。そして、乾燥された混合物を、混合機等で強制的に攪拌させて、解砕させる。そうすることによって、第1表面処理剤で処理された金属酸化物微粒子が得られる。
【0073】
なお、前記正帯電処理剤、前記負帯電処理剤、及び前記疎水化処理剤の各導入量は、前記表面処理粒子の製造時の、前記金属酸化物微粒子100質量部に対する各処理剤の仕込み量である。
【0074】
また、前記表面処理粒子が、前記トナー母粒子100質量部に対して、0.1〜4質量部含有させることが好ましく、0.5〜3質量部含有させることがより好ましい。前記トナー母粒子に対する前記表面処理粒子の含有量が少なすぎると、トナーの流動性を確保できない傾向がある。また、前記トナー母粒子に対する前記表面処理粒子の含有量が多すぎると、前記表面処理粒子が前記トナー母粒子から遊離してしまい、キャリアを汚染してしまうという傾向がある。
【0075】
また、前記外添剤としては、前記表面処理粒子以外の外添剤を含有していてもよい。前記表面処理粒子以外の外添剤としては、上述したように、表面処理を施していない金属酸化物微粒子等が挙げられる。前記表面処理粒子以外の外添剤としては、例えば、シリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子、及びマグネタイト粒子等が挙げられる。
【0076】
(キャリア)
前記正帯電2成分現像剤は、前記トナーとキャリアとを含有する。前記キャリアとしては、2成分現像剤の磁性キャリアとして用いられるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、フェライトキャリア等の磁性体粒子や、磁性体粒子をキャリアコア材として、その表面を樹脂で被覆したもの等が挙げられる。前記磁性体粒子としては、具体的には、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性体金属、これらの合金、希土類を含有する合金類、ヘマタイト、マグネタイト、マンガン−亜鉛系フェライト、ニッケル−亜鉛系フェライト、マンガン−マグネシウム系フェライト、リチウム系フェライト等のソフトフェライト、銅−亜鉛系フェライト等の鉄系酸化物、これらの混合物等の磁性体材料を、焼結及びアトマイズ等を行うことによって製造した磁性体粒子等が挙げられる。
【0077】
上述のようにして得られたキャリアコア材の表面を被覆する表面コート剤として、例えば、シリコーン樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂、アクリル樹脂等の結着樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂等が挙げられる。この中でも、帯電安定性及び耐久性に優れている点から、シリコーン樹脂が好ましい。また、表面コート剤は、上記各表面コート剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。具体的には、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等の結着樹脂と、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂との混合物等が挙げられる。
【0078】
また、前記キャリアとしては、例えば、前記磁性体粒子を分散させた結着樹脂からなる粒子であってもよい。前記結着樹脂としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等が挙げられる。また、前記着樹脂としては、上記各結着樹脂を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0079】
前記キャリアの粒子径は、体積中心径で、20〜200μmの範囲内であることが好ましく、30〜150μmの範囲内であることがより好ましい。なお、ここでの体積中心径は、例えば、電子顕微鏡による測定、レーザ回折散乱法等による測定、及び一般的な粒度計等を用いた測定によって、計測することができる。キャリアの見掛け密度は、磁性材料を主体とする場合は磁性体の組成や表面構造等によっても相違するが、一般に3〜8g/cmの範囲内であることが好ましい。
【0080】
前記トナーとキャリアとを含む2成分現像剤中のトナー濃度は、1〜20質量%であることが好ましく、3〜15質量%であることがより好ましい。トナー濃度が低すぎると、画像濃度が薄くなりすぎる傾向がある。また、トナー濃度が高すぎると、現像装置内でトナー飛散が発生し、機内汚れや転写紙等の背景部分にトナーが付着する不具合等が発生する傾向がある。よって、トナー濃度を上記範囲内にすることによって、高い画像濃度を得、さらに、現像装置内でトナー飛散が発生し、機内汚れや転写紙等の背景部分にトナーが付着する不具合を抑制することができる。
【0081】
本実施形態の現像剤は、前記トナーを前記キャリアと適切な割合で混合した2成分現像剤であり、例えば、後述の画像形成装置で使用することができる。
【0082】
[画像形成装置]
本実施形態に係る正帯電2成分現像剤を用いる画像形成装置について説明する。図1は、画像形成装置100の画像形成部周辺を示す模式図である。画像形成装置100は、電子写真方式によって記録媒体である用紙30に所定の画像を形成する装置である。また、画像形成装置100は、図1に示すように、感光性を有する感光体ドラム31の周囲に、感光体ドラム31の回転方向Aに沿って順に、帯電装置32、露光装置33、現像装置34,35、転写ローラ36、クリーナー37、及び除電装置38等を備えている。なお、クリーナー37と除電装置38とが逆の配置であっても良い。
【0083】
感光体ドラム31は、アモルファスシリコン感光体を用いる。また、本実施形態では、像担持体として、ドラム状の感光体である感光体ドラムを例に挙げて説明するが、これに限定するものではなく、ベルト状の感光体、及びシート状の感光体等に対しても適用できる。
【0084】
帯電装置32は、コロナ放電を発生させることによって感光体ドラム31の表面に所定電位を与えるものである。露光装置33は、画像データに基づく光を照射することにより感光体ドラム31の表面電位を選択的に減衰させて静電潜像を形成するものである。現像装置34,35は、感光体ドラム31の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像して、トナー像を形成するものであって、例えば、後述する、現像装置34,35等が挙げられる。転写ローラ36は、感光体ドラム31上に形成されたトナー像を用紙30上に転写するものである。クリーナー37は、感光体ドラム31の表面に残留したトナー等を除去するためのゴムブレード39と、ゴムブレード39により除去されたトナー等を回収するための回収容器40とにより構成されている。除電装置38は、感光体ドラム31の表面電荷をランプ光によって除電するものである。
【0085】
さらに、画像形成装置100は、用紙30の搬送方向下流側に、定着装置41(加熱ローラ42及び加圧ローラ43)を備えている。定着装置41は、トナー像が転写された用紙30に熱と圧力とを加えてトナー像を定着させて、用紙30上に所定の画像を形成させる。
【0086】
以下、画像形成装置100に用いられる現像装置34,35について、それぞれ説明する。
【0087】
まず、前記現像装置34について説明する。図2は、画像形成装置100に備えられた現像装置の一例である現像装置34を示す断面図である。現像装置34は、図略のトナーとキャリアとを含む2成分現像剤が収納されている現像剤収容部51と、この2成分現像剤を撹拌する2つの撹拌ローラ52,53と、トナーを感光体ドラム31表面に移行させるための現像ローラ54とが備えられている。また、現像ローラ54に対峙してブレード55が設けられている、すなわち、2成分現像方式の現像装置である。
【0088】
撹拌ローラ52,53は、らせん状羽根を有しており、互いに逆方向に2成分現像剤を搬送しながら攪拌して、2成分現像剤のトナーを帯電させる。さらに、撹拌ローラ53は、帯電させたトナーとキャリアとを含む2成分現像剤を現像ローラ54に供給する。現像ローラ54は、内部に配置された磁石によって2成分現像剤を吸着させて、2成分現像剤を搬送する。このとき、2成分現像剤は、現像ローラ54の内部の磁石によって磁気ブラシとなっており、ブレード55と現像ローラ54との間を磁気ブラシが通過する際に、磁気ブラシの厚さが規制される。そして、感光体ドラム31の近傍まで搬送された磁気ブラシのトナーが、感光体ドラム31と現像ローラ54との間に発生させた電位差によって、感光体ドラム31の、露光装置34で露光された部分に移行する。
【0089】
以上の画像形成動作によって、現像装置34は、感光体ドラム31上に形成されている静電潜像に基づく現像を行う。
【0090】
次に、前記現像装置35について説明する。図3は、画像形成装置100に備えられた現像装置の他の一例である現像装置35を示す断面図である。
【0091】
現像装置35は、現像ローラ61、磁気ローラ62、撹拌ローラ63,64、ブレード65、及び仕切板66等を備える。
【0092】
撹拌ローラ63,64は、らせん状羽根を有しており、互いに逆方向に2成分現像剤を搬送しながら攪拌して、2成分現像剤のトナーを帯電させる。さらに、撹拌ローラ63は、帯電させたトナーとキャリアとを含む2成分現像剤を磁気ローラ62に供給する。
【0093】
磁気ローラ62は、内部に配置された磁石によって2成分現像剤を吸着させて、2成分現像剤を搬送する。その際、2成分現像剤は、磁気ローラ62の内部の磁石によって磁気ブラシとなっており、ブレード65と磁気ローラ62との間を磁気ブラシが通過する際に、磁気ブラシの厚さが規制される。そして、現像ローラ61の近傍まで搬送された2成分現像剤のトナーが、現像ローラ61と磁気ローラ62との間に発生させた電位差によって、現像ローラ61に移行する。
【0094】
現像ローラ61は、磁気ローラ62から移行されたトナーを、表面に担持して搬送する。そして、感光体ドラム31の近傍まで搬送されたトナーが、感光体ドラム31と現像ローラ61との間に発生させた電位差によって、感光体ドラム31に移行する。
【0095】
以上の画像形成動作によって、現像装置35は、感光体ドラム31上に形成されている静電潜像に基づく現像を行う。
【0096】
なお、前記現像装置34,35では、キャリアは現像によって消費されず、そのまま装置内に回収され、再びトナーと混合されて使用される。
【0097】
上記画像形成装置は、用紙に直接トナー像を転写する装置であったが、このような画像形成装置に限定されない。例えば、複数色のトナー像を中間転写ベルトに一旦転写して、その中間転写ベルトに転写された複数色のトナー像を用紙に転写する、いわゆるタンデム方式の画像形成装置であってもよい。タンデム方式の画像形成装置は、優れた高速性を有するものの、感光体ドラムと現像装置とを備えた画像形成ユニットを複数並べて配置しなければならないために大型化する欠点を有していた。この対策として、小型化した画像形成ユニットを、感光体ドラム同士の間隔が狭くなるように配置した小型タンデム型画像形成装置が提案されている。小型タンデム型画像形成装置においては、画像形成ユニットの幅方向のサイズを極小にするために、現像装置を縦型とすることが有利である。すなわち、感光体ドラムの上部方向に現像装置を配置することが望ましい。
【0098】
このような小型タンデム型画像形成装置に適用される現像装置としては、感光体ドラムと現像ローラとの間に隙間を有し、磁気ブラシが感光体ドラムに接触しない非接触現像方式の現像装置が、感光体へのキャリア付着がなく、磁気ブラシにより感光体への傷が生じず、高画質化が可能となる点で好ましい。従って、小型タンデム型画像形成装置に適用される現像装置としては、図2に示すような現像ローラ上の磁気ブラシからトナーが供給される2成分現像方式の現像装置34よりも、図3に示すような現像装置35のほうが好ましい。
【0099】
前記画像形成装置100は、以上のような画像形成動作によって、用紙上に画像形成を行う。そして、前記正帯電2成分現像剤を用いることによって、長期間にわたって画像形成を行っても、特に、印字率の高い高濃度印字を行った場合であっても、かぶりの発生等を抑制でき、よって、長期間にわたって高画質な画像を形成することができる。
【実施例】
【0100】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
【0101】
(表面処理粒子A)
シリカ微粒子(日本アエロジル株式会社製のアエロジル90G:平均1次粒径20nm)100質量部をミキサに投入し、窒素雰囲気下で攪拌した。そして、窒素雰囲気下で攪拌しながら、シリカ微粒子100質量部に対して、正帯電処理剤としての、HN(CHNH(CHSi(OCH15質量部と、疎水化処理剤としてのCHSi(OCHCH3)、20質量部と、希釈剤としての、トルエンとを含有する第1表面処理剤を滴下し、液温が150℃になるまで加熱した。次に、その液温のままで1時間攪拌した。そして、得られた混合物を、乾燥させた。次に乾燥させて得られた混合物を、混合機等で強制的に攪拌させて、解砕させた。
【0102】
その後、解砕させて得られた混合物(解砕物)を窒素雰囲気下で攪拌した。そして、窒素雰囲気下で攪拌しながら、前記解砕物に対して、負帯電処理剤としての、CF(CF(CHSi(OCH5質量部(シリカ微粒子100質量部に対する量)と、希釈剤としての、テトラヒドロフラン 20質量部とを含有する第2表面処理剤を滴下し、液温が150℃になるまで加熱した。次に、その液温のままで1時間攪拌した。
【0103】
そして、得られた混合物を、乾燥させた。次に乾燥させて得られた混合物を、混合機等で強制的に攪拌させて、解砕させた。そうすることによって、第1表面処理剤で処理された後に第2表面処理剤で処理された表面処理粒子Aが得られた。なお、前記正帯電処理剤と前記負帯電処理剤との比が、質量比で、3:1である。
【0104】
(表面処理粒子B)
表面処理粒子Bは、負帯電処理剤を5質量部添加する代わりに、1.5質量部添加すること以外、表面処理粒子Aの製造方法と同様にして製造した。なお、前記正帯電処理剤と前記負帯電処理剤との比が、質量比で、10:1である。
【0105】
(表面処理粒子C)
表面処理粒子Cは、負帯電処理剤を5質量部添加する代わりに、10質量部添加すること以外、表面処理粒子Aの製造方法と同様にして製造した。なお、前記正帯電処理剤と前記負帯電処理剤との比が、質量比で、3:2である。
【0106】
(表面処理粒子D)
表面処理粒子Dは、負帯電処理剤を5質量部添加する代わりに、1質量部添加すること以外、表面処理粒子Aの製造方法と同様にして製造した。なお、前記正帯電処理剤と前記負帯電処理剤との比が、質量比で、15:1である。
【0107】
(表面処理粒子E)
表面処理粒子Eは、負帯電処理剤を5質量部添加する代わりに、12質量部添加すること以外、表面処理粒子Aの製造方法と同様にして製造した。なお、前記正帯電処理剤と前記負帯電処理剤との比が、質量比で、5:4である。
【0108】
(表面処理粒子F)
表面処理粒子Fは、負帯電処理剤による処理を行わないこと以外、表面処理粒子Aの製造方法と同様にして製造した。
【0109】
前記表面処理粒子A〜Fについての、上記各事項を、表1にまとめて示す。
【0110】
【表1】

【0111】
[実施例1]
(トナーの製造)
まず、結着樹脂として、ポリエステル系樹脂(酸価5.6、融点120℃)100質量部、着色剤として、銅フタロシアニンブルー顔料(C.I.ピグメントブルー15:3、クラリアントジャパン株式会社製のBlue B4G)4質量部、電荷制御剤として、4級アンモニウム塩化合物(クラリアント社製のP51)1重量部、ワックスとして、カルナバワックス(東亜化成株式会社製のカルナウバ1号)5重量部を、ヘンシェルミキサ(日本コークス工業株式会社製のFM−10型)で5分間混合した。その後、得られた混合物を2軸押出機(株式会社池貝製のPCM−30)で溶融混練した。そして、得られた溶融混練物をターボミル(ターボ工業株式会社製のターボミル)で粉砕し、エルボージェット分級機(日鉄鉱業株式会社製のEJ−LABO)で分級処理した。そうすることによって、体積平均径6.8μmのトナー母粒子が得られた。なお、トナー母粒子の体積平均径は、粒度計(ベックマンコールター株式会社製のマルチサイザー3)によって、測定した。
【0112】
次に、得られたトナー母粒子100質量部に対して、外添剤として、前記表面処理粒子A2質量部を添加し、ヘンシェルミキサ(日本コークス工業株式会社製のFM−10型)で、3500rpm、3分間混合した。そうすることによって、トナー(外添剤が外添されたトナー母粒子)が得られた。
【0113】
(現像剤の製造)
上記のようにして得られたトナーを、体積平均粒子径35μmのフェライトキャリア(パウダーテック株式会社製)に、トナー濃度が12質量%となるように配合した。そして、ロッキングミキサ(株式会社セイワ技研製のRM−10型)で30分間攪拌した。そうすることによって、実施例1に係る現像剤が得られた。
【0114】
[実施例2]
表面処理粒子Aの代わりに、表面処理粒子Bを用いたこと以外、実施例1と同様である。
【0115】
[実施例3]
表面処理粒子Aの代わりに、表面処理粒子Cを用いたこと以外、実施例1と同様である。
【0116】
[実施例4]
表面処理粒子Aの代わりに、表面処理粒子Dを用いたこと以外、実施例1と同様である。
【0117】
[実施例5]
表面処理粒子Aの代わりに、表面処理粒子Eを用いたこと以外、実施例1と同様である。
【0118】
[比較例1]
表面処理粒子Aの代わりに、表面処理粒子Fを用いたこと以外、実施例1と同様である。
【0119】
[評価]
得られたトナー及び現像剤については、以下のような方法で評価した。
【0120】
まず、京セラミタ株式会社製のプリンタ(FS−C5020N)を評価機として用い、得られた各現像剤をスタート現像剤として用い、さらに、得られた各トナーを補給用トナーとして用いて、温度28℃、相対湿度85%RHの環境下で画像形成して、下記の評価を行った。
【0121】
具体的には、まず、前記スタート現像剤を、前記評価機にセットし、前記評価機の電源を入れて安定させた。その後、サンプル画像を出力させた。なお、この画像を初期画像とした。次に、補給用トナーを補給しながら、印字率20%の画像を5万枚印字した。なお、5万枚目に初期画像と同じサンプル画像を出力し5万枚目印字画像とした。
【0122】
(画像濃度)
前記初期画像、及び前記5万枚目印字画像の各画像の、用紙の搬送方向左側端部近傍の位置、中央部、及び右側端部近傍の位置の3箇所について、反射濃度計(Gretag Macbeth社製のRD−19A:SpectroEyeLT)を用いて反射濃度を測定した。そして、その平均値を得られた画像の画像濃度(ID)とした。
【0123】
(かぶり)
得られた画像において、前記反射濃度計で測定した白紙相当部の画像濃度の値から、ベースペーパー(すなわち、画像出力前の白紙)の画像濃度の値を引いた値をかぶり濃度(FD)とした。
【0124】
(帯電量)
前記初期画像、及び前記5万枚目印字画像を印字した直後の現像剤を取り出し、その現像剤を0.1±0.01g秤量した。その秤量した現像剤を、吸引式帯電量測定装置(トレック社のq/mメータ MODEL 210HS)の吸引部で吸引した。そうすることによって、トナーのみが吸引され、その吸引したトナー量と電荷量とを吸引式帯電量測定装置(トレック社のq/mメータ MODEL 210HS)で測定した。測定されたトナー量と電荷量とから、トナーの帯電量(μC/g)を算出した。
【0125】
各評価結果は、表2に示す。
【0126】
【表2】

【0127】
表2からわかるように、金属酸化物微粒子の表面を、正帯電処理剤を含有する第1表面処理剤で処理した後に、負帯電処理剤を含有する第2表面処理剤で処理した表面処理粒子を外添させたトナーを含む現像剤の場合(実施例1〜5)は、負帯電処理剤を含有する第2表面処理剤での処理を施していない場合(比較例1)と比較して、トナーの帯電量の低下が抑制され、画像濃度が低下していないにもかかわらず、かぶりの発生も抑制されていることがわかる。
【0128】
また、前記正帯電処理剤と前記負帯電処理剤との比が、質量比で、3:2〜9:1である場合(実施例1及び実施例3)は、他の場合(実施例2,4,5)と比較して、トナーの帯電量の低下がさらに抑制され、画像濃度が低下していないにもかかわらず、かぶりの発生もさらに抑制されていることがわかる。
【符号の説明】
【0129】
30 用紙
31 感光体ドラム
32 帯電装置
33 露光装置
34,35 現像装置
36 転写ローラ
37 クリーナー
38 除電装置
39 ゴムブレード
40 回収容器
41 定着装置
42 加熱ローラ
43 加圧ローラ
51 現像剤収容部
52,53,63 撹拌ローラ
54,61 現像ローラ
55,65 ブレード
62 磁気ローラ
66 仕切板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリアとを含む正帯電2成分現像剤であって、
前記トナーが、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー母粒子と、前記トナー母粒子に外添される外添剤とを含み、
前記外添剤が、金属酸化物微粒子の表面を、正帯電処理剤を含有する第1表面処理剤で処理した後に、負帯電処理剤を含有する第2表面処理剤で処理した表面処理粒子を含有することを特徴とする正帯電2成分現像剤。
【請求項2】
前記正帯電処理剤と前記負帯電処理剤との比が、質量比で、3:2〜9:1である請求項1に記載の正帯電2成分現像剤。
【請求項3】
前記正帯電処理剤が、分子内にアミノ基を有するシランカップリング剤である請求項1又は請求項2に記載の正帯電2成分現像剤。
【請求項4】
前記負帯電処理剤が、分子内にフッ素を有するシランカップリング剤である請求項1〜3のいずれか1項に記載の正帯電2成分現像剤。
【請求項5】
前記第1表面処理剤が、疎水化処理剤を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の正帯電2成分現像剤。
【請求項6】
前記疎水化処理剤が、分子内に疎水性基を有するシランカップリング剤である請求項5に記載の正帯電2成分現像剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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