説明

正常体温における肝臓移植片の保存用装置

本発明は、正常体温における肝臓移植片(1)の保存用装置であって、保存溶液中で肝臓移植片(1)を保存する、容器(2)、動脈灌流回路(3)、門脈灌流回路(5)、少なくとも1つの流量センサー(7)、及び少なくとも1つの圧力センサー(8)を備える装置に関する。肝臓移植片(1)の保存を向上するために、上記保存装置は、さらに、動脈灌流回路(3)に連結した動脈酸素供給器(11)、門脈灌流回路(5)に連結した門脈酸素供給器(12)、少なくとも1つの動脈灌流ポンプ(9)、少なくとも1つの門脈灌流ポンプ(10)、容器(2)内部の温度を正常体温に維持するように構成された温度変換モジュール(13)、及び圧力及び流量制御装置(14)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その後の移植や試料を採取するための臓器保存装置の分野に関する。より具体的には、本発明は、正常体温、すなわち人体と同等の温度において肝臓移植片を保存するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
肝臓移植は、末期の肝疾患を伴う患者において唯一有効な治療である。しかしながら、これは、移植臓器の不足により、極めて低い適用率を有する。欧州や米国の患者の10〜30%は、適当な移植肝臓を受け取るためのリストを待ちながら死亡している。
【0003】
肝臓移植の成功には適当なドナーの選択が極めて重要である。肝臓ドナーの評価の目的は、適当に機能しかつ予測的な不全が排除される可能性が高い臓器を識別することである。
【0004】
臓器の代謝活性を低下させるために、保存溶液、例えばウィスコンシン溶液を用いて行われる低温保存及び冷虚血(0〜4℃)の時間は、移植片の後の生存率を決定する最も重要なパラメーターの1つである。10時間を越える時間の冷虚血が、なぜ肝臓移植片の機能不全の高頻度に関係するのか、そしてなぜ最適以下の移植片が冷虚血に耐性でないのかについてはよく知られている。移植の最大23%に存在し得る肝臓移植片の主な機能障害は、移植後の主な死亡原因の1つである。
【0005】
臓器の虚血保存の間、補助因子と栄養の肝臓に対する供給が阻害される。酸素欠乏は、エネルギー源として乳酸解糖系を用いて嫌気的代謝状態にし、これは細胞内pHと乳酸の蓄積の低下を決定する。このアシドーシスは、その後の細胞浮腫、遊離カルシウム流入及び細胞内タンパク質分解酵素を伴う、経細胞電解質勾配の喪失の原因となる細胞レベルにおける反応のカスケードをもたらす。一方、ミトコンドリアレベルにおける酸素の非存在は、ATPの細胞エネルギー蓄積の枯渇、ヒポキサンチンに還元される代謝を決定する。ヒポキサンチンは、再灌流の間、多量の酸素フリーラジカルの産生を引き起こし、これは組織傷害の原因である主要な要因の1つである。
【0006】
肝臓保存の過程に固有の虚血/再灌流(I/R)による、特に準最適ドナー由来の臓器の損傷により、臓器を貯蔵するための新しい別の方法を探す必要がある。準最適ドナー、例えば非心拍ドナー由来の大半の肝臓又は脂肪症を伴う移植片を回収するために有効な方法ではないため、組織虚血による傷害を最小にするために、冷却保存に代わる方法を探す必要がある。
【0007】
しかしながら、生体外において生理的条件において肝機能を保ち、肝臓の生体外(ex vivo)において正常体温灌流を行うことは、臨床状態における一般常識としては確立されていないため、一定の技術的な困難性を要する。
【0008】
実験モデルは、酸素処理した灌流機器による肝臓保存が、柔組織の生存能力を如何にして有意に改善し、そして前損傷肝臓の血管免疫原性を軽減させるのかについて示している。さらに、正常体温灌流機器の使用は、その時間における臓器の応答を評価し、そして臓器のレシピエントにおける移植後にこれらが有用であるかを決定することが可能であるため、細胞保護物質の有効性の評価を許容する。
【0009】
正常体温灌流機器を用いて、ブタの肝臓を24時間維持し、冷却保存した肝臓と比較して、これらの臓器の優れた生存能力を実証した。グルコース代謝、ガラクトースクリアランス及び胆汁又は第V因子産生に関連するパラメーターは、正常体温血液での灌流により、明らかに優れている。
【0010】
正常体温における肝臓を灌流するための特許されている装置は、例えば中国特許CN 1543785を含む。該特許においては、臓器は湯浴手段により正常温度に保たれる。換言すれば、肝臓移植片が位置するチャンバーは、熱水が存在する別の大きなチャンバーに導入され、そして臓器と灌流溶液が正常体温に維持される。
【0011】
米国特許出願US 2006/0154357及びUS 2006/0154358は、生理条件において生体外で臓器を維持するためのポータブル機器について記載するが、脈動状態の心臓を維持するために具体的に設計されている。心臓の特別な解剖学的及び生理学的特徴により、この装置を肝臓灌流システムとして利用することは不適当である。
【0012】
米国特許出願US 2007/0009881は、異なる臓器及び組織を灌流するために使用できる機器について記載する。上記特許に記載れる機器は、灌流液から完全に分離するために臓器を包囲するカバーを有する。一方、該システムは、再循環システムの一部としてダイアライザーを組み込んでいる。
【0013】
PCT出願WO 2005/009125は、低体温における保存のための機器に関する。このような機器の設計は異なるものであり、また氷を入れるための容器を含み、これにより臓器を低体温に維持する。該文献においては、後者が行われない場合には、臓器は37℃で維持できる、と言及されているが、この代替的な技術的な生存率を分析できる具体的なシステムは存在しない。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、正常体温条件において肝臓又は肝臓移植片を保存するための装置に関する。正常体温は、人体において正常であると考えられる温度、すなわち35.5℃〜37.5℃の肝臓移植片を貯蔵する温度として考えられる。
【0015】
本発明の装置は、肝臓移植片が収容される容器を含んでよい。容器中の肝臓移植片は、保存溶液により包囲され、これは最適な条件において肝臓移植片を維持するために必要な特徴を有する。典型的には、上記保存溶液は、ほかの種類の溶液に希釈される、全血又は単離された赤血球であってよい。容器は、その閉口がスライドしかつ一度容器が密閉されたら漏れないように設計することができる。内外における唯一の経路は、作製された導管又はカニューレである。
【0016】
この場合、上記装置は、肝臓移植片への灌流溶液の灌流を許容する動脈灌流回路を備える。灌流は、一定の圧力及び灌流溶液の一定の流量により行われる。灌流回路は、外部から容器中に侵入し、肝臓動脈に連結されるカニューレを備えてもよい。さらに、これは独立した門脈灌流回路を備えてよい。上記の場合には、門脈灌流回路は、一定の圧力及び一定の流量により門脈血管を介して灌流溶液を灌流する。したがって、異なるカニューレが導入され、灌流を行うために門脈血管に連結されていてよい。
【0017】
本発明の肝臓移植片の保存用装置は、更に、少なくとも1つの灌流回路中の灌流溶液の流量の値を測定するための少なくとも1つの流量センサーを備える。動脈及び門脈の両方の灌流回路は、上記少なくとも1つの流量センサーを含んでよい。動脈及び門脈灌流回路中の圧力を決定又は測定するために、上記少なくとも1つの灌流回路は、少なくとも1つの圧力センサーを含む。したがって、装置内に存在し得る灌流回路の圧力及び流量は、個別に測定することができる。以下に記載されるとおり、動脈灌流回路と門脈灌流回路が、根本的に異なる流量及び圧力特性を有する場合には、この圧力及び流量の独立した測定は不可欠である。一方は高圧力及び拍動流を有し、そして他方は低圧力及び連続流を有する。
【0018】
保存装置は、少なくとも1つの灌流回路に連結した少なくとも1つの酸素供給器を備える。酸素供給器は、膜型酸素供給器であってよく、また酸素源と連結されていてよい。したがって、酸素は膜を介して拡散され、灌流溶液に酸素を送り込む。門脈及び動脈灌流回路に共通する単一の酸素供給器が存在してよく、あるいは、動脈酸灌流回路に一方が、そして門脈灌流回路に他方が存在するような2つの酸素供給器が存在してもよい。これらの2つの酸素供給器の存在は、肝臓移植片の正しい保存に必要な酸素の供給を保証する。さらに、通常の灌流条件と比較すると、本発明の装置に保存される、肝臓移植片は、門脈灌流回路を介して更なる酸素供給を有する。通常の条件においては、酸素は肝臓移植片に到達しない。
各々の灌流回路は、少なくとも1つの灌流ポンプを有し、動脈灌流回路の少なくとも1つのポンプは、少なくとも1つの門脈灌流ポンプとは独立している。動脈及び門脈回路の異なる圧力要件のために、これらのポンプの特性は異なる。したがって、少なくとも1つの動脈灌流ポンプは、高圧かつ拍動流ポンプであってよく、一方、少なくとも1つの門脈灌流ポンプは、低圧かつ連続流ポンプであってよい。
【0019】
肝臓移植片を保存するための装置は、温度変換モジュールを更に備える。ここで該モジュールは、容器内を正常体温、すなわち上述のとおり、35.5℃〜37.5℃に保つ。したがって、肝臓移植片の保存温度は、温度変換モジュールにより制御することができ、これにより、保存装置の外部の条件にかかわらず、移植片が正常と考えられる温度となることが保証される。
【0020】
保存装置の操作を制御及びモニタリングするために、後者は、圧力及び温度制御装置を含む。動脈及び門脈灌流回路中の圧力センサーの読取に基づき、該制御装置は、前記灌流回路中の流量値を選択する。
【0021】
動脈灌流回路は門脈灌流回路と独立しており、各々の回路の実際の要件に適用するため、本発明の肝臓組織片を保存するための装置は、より長い移植片の貯蔵期間を達成する。
【0022】
この場合、各々の灌流回路は、実際の灌流回路中の圧力及び流量に適応したそれ自身のポンプを有する。同様にして、動脈及び門脈灌流回路の両方は、1つの酸素供給器を有し、これにより、身体の外において可能である最も長い時間保存するために、肝臓移植片が酸素の十分な供給を有するように肝臓移植片に酸素を供給する。事前に酸素供給が存在しない門脈灌流回路中の酸素供給器の組み込みは、この回路を介する更なる酸素供給によって、肝臓移植片が身体に存在する条件において、酸素を予め受け取っていない保存を改善する。
【0023】
提案される装置は、酸素処理溶液で正常温度の灌流を行うための肝臓保存機器であって、これは、冷却保存に置き換えて、酸素輸送因子として赤血球を含んでよい。正常体温の灌流において、生理的な好気性代謝を維持し、組織アシドーシスを防ぎ、そして細胞恒常性に必要である肝臓移植片に対する基質を提供する。これは、動荷重及び細胞内ATPレベルの正常化、並びに供与過程において臓器中で産生された有害な代謝の除去を再確立することを許容する。これらは全て移植片の質を改善する。
【0024】
正常な解剖学的位置とは逆の位置に置かれる肝臓移植片が更に意図される。これは、肝臓の内面が上向きに置かれ、そして上面が下向きに置かれ、これにより肝門(hepatic hilum)の血管構造が、上部に存在し、これによって肝臓移植片のカニューレ挿入及びその保存を促進することを意味する。この条件において、多孔質ファブリックは、容器内部の肝臓移植片を保持することができる。多孔質ファブリックは、容器の底、低部分又は端から約1、2又は3センチメートに位置し、これにより肝臓移植片の全体が、保存溶液中に浸漬するか、あるいは保存溶液によって包囲される。
【0025】
用いられる灌流溶液は、保存溶液と同じであってよい。これは、例えば、肝臓血管を介して肝臓移植片から排出される灌流溶液が導かれず、肝臓移植片を保存するための容器中に集めることにより可能となる。この溶液は、後に濾過し、そして動脈及び門脈灌流回路を介して再度導くために容器の低部を介して排出することができる。したがって、灌流溶液は保存溶液と同じとなる。
【0026】
保存されている肝臓移植片によりもたらされる胆汁生成物は、灌流及び貯蔵溶液から単離し、そしてリザーバーに導くカニューレの手段により単離し、導くことができる。上記胆汁生成物は、胆汁生成物が肝臓移植片の保存状態の指標である場合に、制御装置によって制御することができる。
【0027】
全体的な保存過程を通じて、追跡及び制御しなければならない測定は、肝臓移植片の温度である。かかる制御を可能とするために、保存装置は肝臓移植片の温度を測定する温度センサーを備え、これは容器内部に含まれる。
【0028】
明細書の記載を補足するために、また本発明の特徴を理解するのを助けるために、上記記載の不可欠な部分として図面を添付する。以下は例示的かつ制限のない特徴により示される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の対象である肝臓移植片の保存用装置の概略図を示す。
【実施例】
【0030】
本発明の好ましい態様
本発明の対象である、肝臓移植片(1)の保存用装置の好ましい態様は、図面に関連して以下に記載される。
【0031】
図1は、保存のために肝臓移植片(1)が含まれている、容器(2)又はチャンバーを示す。上記容器(2)は、肝臓移植片(1)を導入し、送管を行うために開けることができる。肝臓移植片(1)が導入され、カニューレが連結されると、漏れないように容器(2)は閉じられる。
【0032】
容器(2)内の肝臓移植片(1)は、多孔質ファブリック(15)上に置かれ、肝臓移植片(1)は保存溶液に浸漬される。上記保存溶液は、好ましい態様においては血液又は血清中の赤血球の希釈液であってよい。
【0033】
多孔質ファブリック(15)における肝臓移植片(1)の位置は、直立した人体における肝臓移植片(1)の正常な位置とは逆である。したがって、直立身体において肝臓移植片(1)の上端を形成する部分は、多孔質ファブリック(15)に基づき、低い位置に存在する。反対に、直立身体における肝臓移植片の下端は、多孔質ファブリック(15)において上部に向けられる。肝臓移植片(1)の調節は、肝門の血管構造(4、6)が上部に位置し、これは挿管及び保存の促進を意味する。
【0034】
本発明は、容器(2)への対応する入り口カニューレを伴う2つの独立した灌流回路(3、5)である動脈灌流回路(3)及び門脈灌流回路(5)を有し、このうち第1のものは肝動脈(4)に連結し、第2のものは門脈血管(6)に連結する。これら2つの灌流回路(3、5)の各々は、流量センサー(7)、圧力センサー(8)、酸素供給器(11、12)、及び灌流ポンプ(9、10)を備える。
【0035】
したがって、動脈灌流回路(3)は、独立した動脈酸素供給器(11)及び動脈灌流ポンプ(9)を備える。上記動脈灌流ポンプ(9)は、肝動脈(4)が身体中で有するのと同様に、動脈灌流回路(3)に高い圧力と拍動流を与える。同様に、門脈灌流回路(5)は、門脈酸素供給器(12)及び門脈灌流ポンプ(10)を備える。しかしながら、門脈灌流ポンプ(10)は、肝臓移植片(1)が解剖学的位置に存在する場合には、門脈血管(6)が有するのと同様に、門脈灌流回路(5)に低い圧力と連続流を与える。動脈酸素供給器(11)と門脈酸素供給器(12)は、酸素源に連結した膜型酸素供給器であり、これは両方の共通源であってよい。
【0036】
動脈(3)及び門脈(5)灌流回路は、灌流溶液を肝臓移植片(1)に灌流し、温度変換モジュール(13)を共有し、これが灌流溶液の温度を35.5℃〜37.5℃の正常体温に維持する。身体の正常な温度であるこの灌流温度は、肝臓移植片が正常な条件を有する場合に類似した温度条件において肝臓移植片を保存すること、保存時間を増加すること、ならびに冷却を必要とするこれらの装置の動作を冷却及び加熱することを許容する。
【0037】
灌流溶液が灌流されると、これは、天然の導管、すなわち肝静脈を介して排出される。このときの灌流溶液は容器内部に保持され、肝臓移植片(1)を覆い、そして灌流溶液の機能を実行する。容器(2)は保存溶液が濾過される開口部を有し、保存溶液の特性の分析を介して、肝臓移植片(1)の状態を決定するために、容器(2)の内側と外側の両方の保存溶液の試料を採取することができる。
【0038】
容器(2)は、胆汁産生(16)及びリザーバー中のこのような胆汁の貯蔵を露出するための第3カニューレを有する。正常な条件における肝臓移植片(1)は胆汁産生(16)を行う。保存中に行われた胆汁産生(16)は、肝臓移植片(1)の保存状態をチェックするために有用となり得る。したがって、リザーバーは、前記胆汁産生(16)の試料を得るため、そして産生量を測定するための手段を有してよい。
【0039】
各々の灌流回路(3、5)の流量センサー(7)及び圧力センサー(8)は、制御装置(14)と連絡しており、得られた圧力により、各々の灌流回路(3、5)における保存溶液の必要な流量を計算する。したがって、各々の灌流回路(3、5)の加工パラメーターの制御又は決定は独立であり、また結果として、肝臓移植片(1)の保存を改善する。
【0040】
温度変換モジュール(13)により維持される温度と一致しなくてもよい肝臓移植片の実際の温度は、温度センサー(17)を介して測定される。かかる温度は、肝臓移植片(1)で行われる保存状態をチェックするために、制御装置(14)により制御される。
【0041】
制御装置(14)は、さらに、上に議論した肝臓での産生(16)の制御を行うことができる。同様にして、制御装置(14)は制御されたパラメーターが示されるディスプレイを有してよく、また操作パラメーターを選択するためのコントロールを含んでもよい。
【0042】
保存装置は、電力手段により供給され、かかる電力源は電池のネットワークから供給されることができる慣習的なものである。
【0043】
議論された全ての材料のうち、容器(2)、動脈灌流回路(3)及び門脈灌流回路(5)、酸素供給源(11、12)、多孔質ファブリック(15)、容器(2)のカバー又は閉口部、試料回収領域、及び胆汁産生(16)を回収するための回収カニューレは、代替可能な材料である。
【0044】
しかしながら、データディスプレイを有する制御装置、流量センサー(7)及び圧力センサー(8)、酸素源を供給する酸素供給器(11、12)、動脈灌流ポンプ(9)及び門脈灌流ポンプ(10)、ならびに電源又は電池は、代替可能な材料ではない。
【0045】
明細書の記載及び図面により、当業者は、本発明が好ましい態様に従い記載されており、そして特許請求の範囲に記載される発明の対象から離れることなく、上記の好ましい態様に対して複数の変更を導入できることを理解するものと思料する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正常体温における肝臓移植片(1)の保存用装置であって:
−保存溶液中で肝臓移植片(1)を収容するように構成された、肝臓移植片(1)のための容器(2)、
−圧力及び肝動脈(4)を介する肝臓移植片(1)への流動により灌流溶液を肝臓移植片(1)に灌流するように構成された、動脈灌流回路(3)、
−圧力及び門脈(6)を介する肝臓移植片(1)への流動により灌流溶液を肝臓移植片(1)に灌流するように構成された、門脈灌流回路(5)、
を備え、該肝臓移植片(1)の保存用装置が、更に:
−少なくとも1つの灌流回路(3、5)の少なくとも1つの流量センサー(7)、
−少なくとも1つの灌流回路(3、5)の少なくとも1つの圧力センサー(8)、
−少なくとも1つの灌流回路(3、5)に連結される少なくとも1つの酸素供給器(11、12)、
−少なくとも1つの動脈灌流ポンプ(9)、
−少なくとも1つの門脈灌流ポンプ(10)、
−正常体温において容器(2)内の温度を維持するように構成された、温度変換モジュール(13)、
−圧力及び流量制御装置(14)、
を備えることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記肝臓移植片(1)が、容器(2)中で正常な解剖学的位置とは反対の位置に置かれ、肝門の血管構造が上部に存在することを特徴とする、請求項1に記載の肝臓移植片(1)の保存用装置。
【請求項3】
多孔質ファブリック(15)が肝臓移植片(1)を保持することを特徴とする、請求項2に記載の肝臓移植片(1)の保存用装置。
【請求項4】
使用される灌流溶液が保存溶液と同じであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の肝臓移植片(1)の保存用装置。
【請求項5】
灌流溶液と貯蔵溶液から胆汁生成物を単離し、そして該胆汁生成物を回収するためのカニューレ(16)を備えることにより特徴付けられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の肝臓移植片(1)の保存用装置。
【請求項6】
肝臓移植片(1)の温度を測定するように構成された、温度センサー(17)を備えることにより特徴付けられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の肝臓移植片(1)の保存用装置。

【図1】
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【公表番号】特表2011−520839(P2011−520839A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508915(P2011−508915)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055816
【国際公開番号】WO2009/138446
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(510301404)
【Fターム(参考)】