説明

正浸透分離法

工業的浸透を用いた分離方法が開示されており、この方法は、濃縮第2溶液を用いて第1溶液から半透膜を通じて溶媒を取り出すことによって、第1溶液から溶媒を抽出して溶質を濃縮することを概して含む。溶質および溶媒の一方または両方が所望の生成物であってよい。産業的または商業的供給源からの低級廃熱を用いることによって、改良された効率がもたらされ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本発明は、2008年6月20日に出願された米国特許仮出願第61/074,195号、および2008年6月20日に出願された米国特許仮出願第61/074,199号に対する優先権の利益を主張し、これらの出願の両方は、その全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の1つ又はそれより多くの要旨は概して浸透分離に関する。より特には、本発明の1つ又はそれより多くの要旨は、廃水の浄化のため、ならびに高純度用途(例えば食品および製薬産業)における生成物の回収のために水溶液から溶質を分離するための、正浸透(または順方向浸透)等の工学的浸透法の使用を含む。
【背景技術】
【0003】
種々の用途において、溶液中に存在する件の種を濃縮することが望ましいことがある。いくつかの伝統的技術において、熱を加え、それによって溶媒の相を変化させてその溶媒を溶液から取り除き、それによって件の種をより高濃度で与えてよい。他の伝統的なアプローチとして、溶媒を透過するが件の種を透過しない膜を通して溶媒を押し出すのに用いられる水圧駆動膜プロセスが挙げられる。廃液処理に関連して、膜バイオリアクターは、水性廃ストリームから有機物を除去するための伝統的二次廃水処理方法に広く取って代わった。水圧駆動膜システムは通常、生物活性溶液から水を分離するのに用いられ、その生物活性溶液において、有機物は、微生物によって食物として消費され、これらの微生物はその後、スラッジとして別々に除去される。
【発明の概要】
【0004】
要旨は概して溶液中の溶質の浸透分離のための系および方法に関する。
【0005】
1つ又はそれより多くの態様によって正浸透分離法を開示する。この方法は、溶媒および少なくとも1つの目的種を含有する第1溶液を半透膜の第1サイドに導入することを含んでよい。この方法は、アンモニアおよび二酸化炭素を少なくとも1:1のモル比で含有する第2溶液を半透膜の第2サイドに導入することを更に含んでよく、それによって、半透膜を横切る浸透濃度勾配を形成し、その浸透濃度勾配は、第1溶液の溶媒の少なくとも一部の半透膜を横切る流れを促進して、半透膜の第1サイドに第3溶液を形成し、半透膜の第2サイドに第4溶液を形成する。この方法は、第4溶液の少なくとも一部を分離操作へ送り、それによって取り出し側(draw)溶質、溶媒ストリームを発生させることを更に含んでよい。この方法は、取り出し側溶質を半透膜の第2サイドに戻すことを更に含んでよい。この方法は、少なくとも1つの目的種を第3溶液から回収することを更に含んでよい。
【0006】
いくつかの態様において、第1溶液は水溶液であってよい。少なくとも1つの態様において、第1溶液は、製薬または食品グレードの操作からのストリームを含んでよい。目的種は、塩、砂糖、酵素、タンパク質または微生物を含んでよい。いくつかの態様において、半透膜の第1サイドに第1溶液を導入することは、第1溶液に半透膜を浸漬することを含む。第2溶液の導入は、半透膜の第2サイドに沿って第2溶液を移動させることを含んでよい。少なくとも1つの態様において、第1溶液は連続的に導入される。
【0007】
1つ又はそれより多くの態様において、第4溶液の少なくとも一部を分離操作に導入することは、第4溶液の少なくとも一部を蒸留塔、膜蒸留システムまたはパーベーパレーションシステムに導入することを含む。いくつかの態様において、廃熱を分離操作に供給してよい。少なくとも1つの態様において、この方法は、溶媒ストリームを処理する工程を更に含んでよい。
【0008】
いくつかの態様において、少なくとも1つの目的種の回収は、第3溶液を沈殿容器(settling vessel)、ハイドロサイクロン、沈降分離装置または力勾配(force gradient)操作に導入することを含む。いくつかの態様において、本方法は、少なくとも1つの回収された目的種を更なる処理ユニットに導入することを更に含んでよい。少なくとも1つの処理された目的種は、下流の使用ポイントに供給してよい。
【0009】
1つ又はそれより多くの態様によって正浸透廃棄物処理方法を開示する。本方法は、溶媒および少なくとも1つの成分を含有する第1溶液を半透膜の第1サイドに導入することを含んでよい。いくつかの態様において、本方法は、アンモニアおよび二酸化炭素を少なくとも1:1のモル比で含有する濃縮取り出し側溶液を半透膜の第2サイドに導入して、半透膜を横切る浸透濃度勾配を保持することを更に含んでよい。いくつかの態様において、本方法は、第1溶液の溶媒の少なくとも一部の半透膜を横切る流れを促進して、半透膜の第1サイドに第2溶液を形成し、半透膜の第2サイドに希釈取り出し側溶液を形成することを更に含んでよい。いくつかの態様において、本方法は、希釈取り出し側溶液の少なくとも一部を分離操作に導入し、それによって取り出し側溶質および溶媒ストリームを発生させることを更に含んでよい。いくつかの態様において、本方法は、取り出し側溶質を半透膜の第2サイドに戻すことを更に含んでよい。いくつかの態様において、本方法は、少なくとも1つの成分を第2溶液から取り除くことを更に含んでよい。
【0010】
いくつかの態様において、第1溶液は廃水を含む。第1溶液は、塩、有機物、懸濁コロイドまたは生物有機体を含んでよい。少なくとも1つの態様において、半透膜の第1サイドに第1溶液を導入することは、半透膜を第1溶液に浸漬することを含む。濃縮取り出し側溶液を導入することは、濃縮取り出し側溶液を半透膜の第2サイドに沿って移動させることを含んでよい。少なくとも1つの態様において、第1溶液は連続的に導入される。
【0011】
いくつかの態様において、希釈取り出し側溶液の少なくとも一部を分離操作に導入することは、希釈取り出し側溶液の少なくとも一部を蒸留塔、膜蒸留システムまたはパーベーパレーションシステムに導入することを含む。本方法は、廃熱を分離操作に供給する工程を更に含んでよい。少なくとも1つの態様において、本方法は、溶媒ストリームの処理を更に含んでよい。少なくとも1つの望ましくない成分を除去することは、第2溶液を沈殿容器、ハイドロサイクロンまたはブローダウン操作に導入することを含んでよい。少なくとも1つの望ましくない成分は、更なる処理操作に導入してよい。
【0012】
更に他の要旨、態様、ならびにこれらの例示的要旨および態様の利点を以下に詳細に説明する。更に、上述の情報および以下の詳細な説明は、単に種々の要旨および態様の説明に役立つ実例であり、主張された要旨および態様の性質および特性を理解するための概説または骨組みを提供することが意図されていることを理解するべきである。添付の図面は、種々の要旨および態様の実例および更なる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれており、本明細書の一部を構成している。図面は、本明細書の残りの部分と一緒に、記載され且つ主張された要旨および態様の原理および操作を説明する働きをする。
【0013】
少なくとも1つの態様の種々の要旨を、添付の図面を参照して以下に説明する。正確な縮尺による描画を意図しない図面において、多数の図面において説明される同一のまたはほとんど同一の構成要素の各々は、同様の数字で表される。明確にするために、各図面で全ての構成要素をラベリングしているとは限らない。図面は、実例および説明の目的のために提供され、本発明の範囲を規定することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、1つ又はそれより多くの態様における分離方法の概略図を示す。
【図2】図2は、1つ又はそれより多くの態様における分離方法の詳細な概略図を示す。
【図3】図3は、1つ又はそれより多くの態様における分離方法において用いられる装置図を示す。
【図4】図4は、1つ又はそれより多くの態様における分離方法において用いられる装置の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1つ又はそれより多くの態様によると、開示される分離方法は、溶液における様々な種類の溶媒から様々な種類の溶質を抽出するのに使用してよい。開示される方法の望ましい生成物は、溶媒、溶質または両方であってよい。いくつかの態様において、本発明の方法は、溶質の濃縮に使用してよい。少なくとも1つの態様において、塩、砂糖、薬剤または他の化合物等の生成物をプロセスストリームから回収してよい。他の態様において、廃水等の廃ストリームを処理して、下流で使用するための精製水を回収してよい。
【0016】
1つ又はそれより多くの態様によると、溶液から溶媒を抽出する浸透法は概して、正浸透膜の第1面に溶液を接触させる(またはさらす)ことを含んでよい。いくつかの態様において、第1溶液(処理溶液または供給溶液として知られている)は海水、汽水(または半塩水)、廃水、汚染水、プロセスストリームまたは他の水溶液であってよい。少なくとも1つの態様において溶媒は水であるが、他の態様は非水性溶媒に関連する。第1溶液の溶質濃度と比較して高い溶質濃度を有する第2溶液(取り出し側溶液として知られている)を、正浸透膜の対向する第2面に接触させてよい。その後、溶媒(例えば水)が、第1溶液から正浸透膜を通って取り出され、第2溶液において正浸透により溶媒を多く含む溶液が生じる。正浸透は一般に、濃度のより低い溶液から濃度のより高い溶液への移動を含む流体移動特性を利用している。浸透圧は一般に、供給溶液から取り出し側溶液への正浸透膜を通る溶媒の移動を促進する。溶媒を多く含む溶液(希釈取り出し側溶液とも呼ばれる)を第1出口で収集して更なる分離プロセスにかけてよい。いくつかの限定的でない態様において、溶媒を多く含む溶液から生成物として精製水を製造してよい。第2生成物ストリーム(即ち溶媒が激減した又は濃縮処理溶液)を、排出または更なる処理のために第2出口で収集してよい。濃縮処理溶液は、下流で使用するために濃縮またはさもなければ単離することが望ましいことがある1つ又はそれより多くの目的化合物を含有してよい。
【0017】
1つ又はそれより多くの態様によると、正浸透分離システムは、1つ又はそれより多くの正浸透膜を含んでよい。正浸透膜は一般に半透性であってよく、例えば、水等の溶媒の通過を許容するが、溶媒中に溶解している塩化ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、他の塩、砂糖、薬物または他の化合物等の溶質は排除する。多くの種類の半透膜は、それらが水(即ち溶媒)の通過を許容し得るが溶質の通過を妨害し得、溶液中の溶質と反応しないならば、この目的に適している。膜は、薄膜、中空繊維膜、螺旋状に巻いた膜(spiral wound membrane)、モノフィラメント(または単繊維)およびディスクチューブを含む種々の構造を有し得る。水の通過を許容するが、塩化ナトリウム等の溶質分子および塩化物等のそれらのイオン分子種を遮るのに十分小さい孔を有することを特徴とする、多数のよく知られた市販の半透膜が存在する。そのような半透膜は、有機または無機材料から作製可能である。いくつかの態様において、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミドおよびアクリロニトリル共重合体等の材料から作製される膜を使用してよい。他の膜は、無機質膜またはZrOおよびTiO等の材料から作製されるセラミック膜であってよい。
【0018】
好ましくは、半透膜として用いるために選択される材料は一般に、膜が受け得る種々のプロセス条件に耐え得るべきである。例えば、膜が滅菌または他の高温プロセスに関連する温度上昇等の温度上昇に耐え得ることが望ましいことがある。いくつかの態様において、正浸透膜モジュールは約0℃〜約100℃の範囲の温度で操作してよい。いくつかの限定的でない態様において、プロセス温度は約40℃〜約50℃の範囲であってよい。同様に、膜が種々のpH条件下で一体性を保持し得ることが望ましいことがある。例えば、膜環境における1つ又はそれより多くの溶液(取り出し側溶液等)は、酸性度もしくは塩基性度がより高くてよく、または酸性度もしくは塩基性度がより低くてよい。いくつかの限定的でない態様において、正浸透膜モジュールは、約2〜約11の間のpHレベルで操作してよい。特定の限定的でない態様において、pHレベルは約7〜約10であってよい。使用する膜は、これらの材料の1つから作製する必要はなく、それらの膜は種々の材料の複合物であり得る。少なくとも1つの態様において、膜は、第1面に活性層を有し第2面に支持層を有するような非対称膜であってよい。いくつかの態様において、活性層は一般に拒絶層(rejecting layer)であってよい。例えば、いくつかの限定的でない態様において、拒絶層は塩の通過を阻害し得る。いくつかの態様において、裏地層等の支持層は一般に不活性であってよい。
【0019】
1つ又はそれより多くの態様によると、少なくとも1つの正浸透膜はハウジングまたはケーシングの中に配置してよい。ハウジングは一般に、その中に配置される膜に対応した寸法および形状であってよい。例えば、螺旋状に巻かれた正浸透膜を収納する場合、ハウジングは実質的に円筒形であってよい。モジュールのハウジングは、供給溶液および取り出し側溶液をモジュールに供給する入り口ならびにモジュールから生成物ストリームを引き出すための出口を有してよい。いくつかの態様において、ハウジングは、モジュールに導入すべき又はモジュールから引き出すべき流体を保持または保管するための少なくとも1つの容器またはチャンバーを備えてよい。少なくとも1つの態様において、ハウジングは断熱性であってよい。
【0020】
1つ又はそれより多くの態様によると、正浸透膜分離システムは一般に、第1溶液および第2溶液を半透膜の第1サイドおよび第2サイドに各々接触させるように構成および配置してよい。第1および第2溶液は流れないままであり得るが、第1および第2溶液の両方を、直交流、即ち半透膜の表面と平行な流れで導入することが好ましい。これにより一般に、1つ又はそれより多くの流体流路に沿って接触する膜表面積が増加し得、それによって正浸透効率が増加し得る。いくつかの態様において、第1および第2溶液は同じ方向に流れてよい。他の態様において、第1および第2溶液は反対方向に流れてよい。少なくともいくつかの態様において、同様の流体力学が膜表面の両側に存在してよい。これは、モジュールまたはハウジングにおける1つ又はそれより多くの正浸透膜の戦略的統合によって達成可能である。
【0021】
1つ又はそれより多くの態様によると、本方法は、過剰なエネルギーの必要性および/または環境に有害な廃棄物排出のない高収率溶媒抽出を達成し得る。高収率をもたらすエネルギー効率の良い方法でプロセスストリームから溶媒を抽出して、所望の目的種等の溶質を濃縮してよい。プロセスストリームからの溶媒および/または回収された溶質は、所望の最終生成物であってよい。取り出し側溶液中の溶質はプロセス内部でリサイクルしてもよい。
【0022】
1つ又はそれより多くの態様による分離プロセスは、第1溶液を半透膜の第1面に接触させることを含んでよい。第1溶液の濃度より高い濃度を有する第2溶液を、この膜の第2の対向する面に接触させてよい。いくつかの態様において、第2溶液内の溶質の平衡を調節して第2溶液内の溶質の可溶性種の量を増加させるために、第1試薬を用いることによって第2溶液の濃度を増加させてよい。その後、第1溶液と第2溶液との間の濃度勾配によって、第1溶液から半透膜を通って溶媒が取り出され、第2溶液において溶媒を多く含む溶液が生成する。1つまたはそれより多くの態様によると、溶媒を多く含む第2溶液から溶質の一部を回収して取り出し側溶液へリサイクルしてよい。回収プロセスは、溶媒生成物ストリームをもたらし得る。濃度勾配によって、半透膜の第1サイドにおいて溶媒が激減した溶液も生成し、その溶媒が激減した溶液は、排出してよく又は更に処理してよい。溶媒が激減した溶液は、濃縮または回収が望ましい1つ又はそれより多くの目的種を含有し得る。
【0023】
1つ又はそれより多くの態様によって、浸透を用いて第1溶液から溶媒を抽出する装置が開示される。装置の一の限定的でない態様において、装置は入り口および出口を備えた第1チャンバーを有する。第1チャンバーの入り口は第1溶液の供給源に接続してよい。半透膜は、第1チャンバーを第2チャンバーから隔てている。第2チャンバーは入り口ならびに第1および第2出口を有する。いくつかの態様において、第3チャンバーは、第2チャンバーの第1出口から溶媒を多く含む第2溶液を受け取ってよく、第2チャンバーの第2出口から試薬を受け取ってよい。第3チャンバーは、溶媒を多く含む第2溶液を濾過するためのフィルタ等の分離操作に接続された出口を有してよい。フィルタは、第1および第2出口を有してよく、第1出口は、沈殿した溶質を第2チャンバーへリサイクルするために、第2チャンバーの入り口に接続される。いくつかの態様において、第4チャンバーは、分離操作の第2出口から溶媒を多く含む第2溶液を受け取ってよい。第4チャンバーは、溶媒を多く含む第2溶液を加熱するための加熱装置を有してよい。第4チャンバーにおける第1出口は、構成ガスを第2チャンバーの入り口に戻してよい。ここで説明するように、第4チャンバーからのガスおよび/または第3チャンバーからの沈殿した溶質等の様々な種をシステム内でリサイクルしてよい。そのような種を、例えば第2チャンバーに、同じ入り口または異なる入り口に導入してよい。第4チャンバーにおける第2出口は、最終生成物、溶媒が装置を出るのを許容し得る。
【0024】
図1は、1つ又はそれより多くの態様による正浸透分離法の全体図を示し、図2を参照してその詳細を更に説明する。図1に示すように、溶液(10)、例えば海水、汽水、廃水、汚染水または他の溶液(第1溶液とよぶ)は、第1チャンバー(12)に配置される。第1チャンバー(12)は、矢印(13)で示すように、半透膜(16)と流体接続している。第1溶液より高い濃度を有する第2溶液は第2チャンバー(18)に入っている。より高濃度の溶液によって、第1チャンバー(12)における第1溶液から、溶媒、即ち水が、矢印(15)で示すように半透膜(16)を通って第2チャンバー(18)内に存在するより高濃度の第2溶液へと浸透することが可能となる。第1チャンバー(12)において残存する第1溶液は、その溶媒の大部分を失って溶質に濃縮される。廃棄物であると考えられる場合、矢印(14)で示すように溶質を廃棄してよい。別法として、溶質が目的化合物であってよく、更に処理するため又は所望の生成物として下流で使用するために収集してよい。その後、第2チャンバー(18)において得られる溶媒を多く含む第2溶液を矢印(19)で示すように第3チャンバー(22)に導入する。第3チャンバー(22)において、溶媒を多く含む第2溶液における溶質は分離してよく、第2溶液の濃度を保持するために、矢印(28)で示すように第2チャンバー(18)に戻して再利用してよい。その後、第3チャンバー(22)において残存する溶媒を多く含む第2溶液を、矢印(23)で示すように第4チャンバー(24)に導入してよい。第4チャンバー(24)において、残存する溶媒を多く含む第2溶液を加熱して残存するいかなる溶質も取り除き、それにより、矢印(26)で示す溶媒ストリームを生成してよい。廃水の処理を含むようないくつかの態様において、溶媒ストリームは精製水であってよい。第4チャンバー(24)において、熱によって、残存するいずれの溶質も、溶質をその構成ガスへと分解することによって除去してよく、ガスは、チャンバー(18)における第2溶液の濃度勾配を保持するために、矢印(20)で示すように第2チャンバー(18)に戻してよく、試薬としてはたらいてよい。
【0025】
上述のように、1つ又はそれより多くの態様による分離プロセスは、第1容器(12)に入っている第1溶液と共に開始してよい。第1溶液は、精製水の回収、望ましくない溶質の除去または所望の溶質の濃縮および回収のいずれかのために処理されている水溶液または非水性溶液であってよい。望ましくない溶質の中には、塩化ナトリウム(NaCl)等の化学的に沈殿し得る望ましくない可溶性塩が含まれる。第1溶液の典型例として、海水、ブラインおよび他の食塩水、汽水、鉱水、工業廃水、ならびに食品および製薬産業に関連する高純度用途等の高純度用途に関連する生成物ストリーム等の水溶液が挙げられる。ここで説明する第1溶液は水溶液または非水性溶液であってよい。一般に、取り出し側溶液と混和し得る任意の種類の溶媒、例えば取り出し側溶液のpH、温度および他の特性に耐え得る任意の溶媒を使用してよい。固体および化学廃棄物、生物学的汚染物質を除去するために、さもなければ膜の汚染を防ぐために、浸透分離に先だって第1溶液を濾過してよく、また、公知技術によって前処理してよく、その後、矢印10で示すように第1チャンバー(12)に供給する。
【0026】
1つ又はそれより多くの態様によると、第1溶液は、溶媒および1つ又はそれより多くの溶質を含有するいずれの溶液であってもよく、その溶媒および1つ又はそれより多くの溶質に対する分離、精製または他の処理が望ましい。いくつかの態様において、第1溶液は、海水、塩水、汽水、家庭雑排水および何らかの工業用水等の非飲用水であってよい。下流における使用のために、そのようなストリームから精製水または飲用水を製造することが望ましいことがある。処理すべきプロセスストリームは塩および他のイオン種(塩化物、硫酸塩、臭化物、ケイ酸塩、ヨウ化物、リン酸塩、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、硝酸塩、ヒ素、リチウム、ホウ素、ストロンチウム、モリブデン、マンガン、アルミニウム、カドミウム、クロム、コバルト、銅、鉄、鉛、ニッケル、セレン、銀および亜鉛等)を含有してよい。いくつかの例において、第1溶液は、塩水もしくは海水等のブライン、廃水または他の汚染水であってよい。他の態様において、第1溶液は、目的種等の1つ又はそれより多くの溶質を含有するプロセスストリームであってよく、その溶質を濃縮、単離または回収することが望ましい。そのようなストリームは、製薬または食品グレードの用途等の工業プロセスからのものであってよい。目的種には、薬剤、塩、酵素、タンパク質、触媒、微生物、有機化合物、無機化合物、化学的前駆体、化学製品、コロイド、食品または汚染物質が含まれてよい。第1溶液は、産業設備等の上流のユニット操作または海等の他の何らかの供給源から正浸透膜処理システムに送られてよい。
【0027】
第1溶液と同様に、第2溶液は水溶液であってよく、即ち溶媒は水である。他の態様において、有機溶媒等の非水性溶液を第2溶液に用いてよい。第2溶液は、第1溶液と比較してより高濃度の溶質を含有する取り出し側溶液であってよい。多種多様な取り出し側溶液を用いてよい。例えば、取り出し側溶液には熱分解性(thermolytic)塩溶液が含まれてよい。いくつかの態様において、McGinnisの米国特許出願公開第2005/0145568号に開示されている取り出し側溶液のような、アンモニアおよび二酸化炭素の取り出し側溶液を使用してよく、この出願は、全ての目的のためにその全体を引用することによって本明細書に組み込まれる。一の態様において、第2溶液はアンモニアおよび二酸化炭素の濃縮溶液であってよい。少なくとも1つの態様において、取り出し側溶液は、アンモニアおよび二酸化炭素を1対1より大きいモル比で含有してよい。
【0028】
取り出し側溶液は一般に、供給溶液の濃度より高い溶質濃度を有する。これは、供給溶液より高濃度の溶液を生成するのに十分な可溶性を有する溶質を用いて達成してよい。取り出し側溶液の1つ又はそれより多くの特性は、処理のために分離システムに供給されるプロセスストリームに基づいて調節してよい。例えば、体積、流速または供給溶液における溶質濃度は、取り出し側溶液に対して選択される1つ又はそれより多くのパラメータに影響を与え得る。システムに関連する排出ストリームに関する必要条件もまた、1つ又はそれより多くの操作パラメータに影響を与え得る。他の操作パラメータもまた、正浸透分離システムの意図される用途に基づいて変化し得る。好ましくは、第2溶液中の溶質は、分離プロセスによって溶液から容易に除去可能であるべきであり、前記分離プロセスは溶質を、溶液の溶媒により容易に溶解する少なくとも1つの種(即ち可溶性種)と、溶媒中に容易に溶解しない1つの種(即ち難溶性種)とに分離し、溶質は、得られる溶媒中に微量の溶質が残存する場合に健康リスクをもたらすべきでない。可溶性種および難溶性種の溶質の存在により、必要に応じて溶液を調節または操作することが可能となる。通常、可溶性および難溶性溶質種は、溶液において、特定の条件の温度、圧力、pH等の下で、溶質のいずれの種も他の種に対して増加も減少もしない、即ち溶質の不溶性種に対する可溶性種の比が変化しない点に達する。これを平衡とよぶ。特定の溶液条件を仮定すると、溶質種は、平衡において一対一の比で存在する必要がない。化学物質(ここでは試薬とよぶ)の添加によって、溶質種の間のバランスがシフトし得る。第1試薬を用いて、溶液の平衡をシフトさせて可溶性溶質種の量を増加させ得る。同様に、第2試薬を用いて、溶液の平衡をシフトさせて難溶性溶質種の量を増加させてよい。試薬を添加した後に、溶質種の比は、溶液の条件に有利にはたらく新しいレベルで安定化され得る。可溶性溶質種に有利にはたらく平衡の操作によって、飽和(溶液の溶媒が溶質をこれ以上溶解し得ない状態)に近い濃度を有する第2溶液を得ることができる。
【0029】
第2(取り出し側)溶液に対して好ましい溶質は、アンモニアおよび二酸化炭素ガスならびにそれらの生成物、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウムおよびカルバミン酸アンモニウムであってよい。アンモニアおよび二酸化炭素は、約1のモル比で水に溶解すると、第1に重炭酸アンモニウム、ならびにより少量の関連生成物、炭酸アンモニウムおよびカルバミン酸アンモニウムからなる溶液を形成する。この溶液における平衡は、可溶性溶質種であるカルバミン酸アンモニウムおよびより少量の炭酸アンモニウムよりも、難溶性溶質種である重炭酸アンモニウムに対して有利にはたらく。第1に重炭酸アンモニウムからなる溶液を、二酸化炭素に対するアンモニアのモル比が1より大きくなるように過剰のアンモニアガスで中和すると、溶液の平衡は、より可溶性の溶質種であるカルバミン酸アンモニウムに向かってシフトするであろう。アンモニアガスは水においてより可溶性であり、溶液によって選択的に吸収される。カルバミン酸アンモニウムは第2溶液の溶媒によってより速く吸収されるので、その濃度は、溶媒がこれ以上溶質を吸収し得ないポイント、即ち飽和状態まで増加し得る。いくつかの限定的でない態様において、この操作(またはマニピュレーション)によって達成されるこの第2溶液の溶質濃度は、約2重量モル濃度より大きく、約6重量モル濃度より大きく、または約6重量モル濃度〜約12重量モル濃度である。
【0030】
アンモニアガスは、溶質であるカルバミン酸アンモニウムが分解する際に得られる化学要素(さもなければ構成要素とよばれる)の1つであるので、カルバミン酸アンモニウムに対する好ましい第1試薬であり得る。一般に、溶媒に対する試薬は溶質の構成要素であることが好ましく、それは、そのことにより溶媒を取り除く際にいずれの過剰な試薬も溶液から容易に取り除き得るからであり、また、好ましい態様において、構成要素を第1試薬としてリサイクルし得るからである。尤も、溶液から試薬を容易に除去し得、試薬の微量要素が最終的な溶媒中に残存する場合に試薬が健康リスクを有しない限り、溶液中の溶質種の平衡を操作し得る他の試薬が考えられる。
【0031】
1つまたはそれより多くの態様によると、分離プロセスは、第1溶液および第2溶液を半透膜(16)の第1サイドおよび第2サイドの各々に接触させることによって開始してよい。第1および第2溶液は流れないままであり得るが、第1および第2溶液の両方を直交流、即ち半透膜(16)の表面と平行な流れで導入することが好ましい。これにより、所定量の溶液が接触する半透膜(16)の表面積の量が増加し、それによって正浸透の効率が増加する。第2チャンバー(18)における第2溶液は第1チャンバー(12)における第1溶液よりも高い溶質濃度を有するので、第1溶液における溶媒は正浸透によって第2溶液へと拡散する。いくつかの態様において、2つの溶液間の濃度差は非常に大きいので、溶媒は、第1溶液に圧力を加えることなくして半透膜(16)を通過する。全体として、このプロセスにより、第1溶液に含まれる溶媒の約90%〜約99.9%の除去がもたらされ得る。分離プロセスの間、第1溶液は溶媒を失うに従ってより高濃度になり、第2溶液は溶媒を得るに従ってより希薄になる。このようなことが起こるにもかかわらず、2つの溶液間の濃度勾配はかなり大きいままである。膜の第1サイドにおける溶媒が激減した溶液および膜の第2サイドにおける希釈溶液は各々、1つ又はそれより多くの所望の生成物を回収するために更に処理してよい。例えば、膜の第1サイドにおける溶媒が激減した溶液は、濃縮および回収が望ましい目的種である溶質を含有し得る。別法として、膜の第1サイドにおける溶媒が激減した溶液は、廃液として廃棄してよい。同様に、膜の第2サイドにおける希釈溶液は、所望の生成物であり得る溶媒を多く含有し得る。
【0032】
排出(14)、即ち濃縮第1溶液は、より高い溶質濃度を有する。従って、過剰の溶質は、第1溶液を供給源に戻す前に又は本発明の方法によって第1溶液をリサイクルする前に、濃縮第1溶液から除去可能である。このことは、例えばいくつかの限定的でない態様において、濃縮第1溶液を、天日乾燥器(または天日蒸発器、solar evaporator)、単純なスクリーン濾過機構、ハイドロサイクロンに供して、または沈殿物もしくは他の核生成点に接触させて溶質を沈殿させることによって行うことが可能である。この沈殿した溶質は、消費者または工業的目的に適合させるために更に処理してよい。
【0033】
第1溶液の溶媒を正浸透によって第2溶液へと抽出し、それによって、溶媒を多く含む第2溶液が形成されると、その後、その溶媒を多く含む第2溶液から溶質を取り除いて溶媒を分離(または単離)することが望ましいことがある。いくつかの限定的でない態様において、これは、溶液から溶質を沈殿させること、溶質をそれらの構成ガスへと分解し、そその構成ガスが溶液から気化すること、溶液から溶媒を蒸留分離すること、または溶質を表面に吸収することによって達成可能である。少なくとも1つの態様において、溶質の一部を沈殿によって除去することにより、溶液を加熱して残りの溶質を分解するのに必要とされるエネルギーの量が減少し、分解によって溶質の完全な除去がもたらされる。可能な(または潜在的な)沈殿および分解工程は、第3および第4チャンバー(22、24)の各々を参照して説明される。
【0034】
第2チャンバー(18)における溶媒を多く含む第2溶液を、矢印(19)で示すように第3チャンバー(22)へと引き出してよい。その後、溶媒を多く含む第2溶液を処理して、溶媒を多く含む溶液から溶質の一部を沈殿によって除去してよい。可溶性溶質種および難溶性溶質種の平衡を、難溶性溶質種に有利にはたらくように調節するために、第2試薬を導入してよい。第1試薬と同様に、溶媒を多く含む第2溶液から容易に除去され且つ健康リスクを有しない限り、平衡を調節し得る任意の化合物が適している。好ましくは、試薬は溶質の構成要素であり、好ましい溶質であるカルバミン酸アンモニウムの場合においては、二酸化炭素ガスである。いくつかの限定的でない態様において、溶媒を多く含む第2溶液が二酸化炭素と共に拡散される場合、溶液中の二酸化炭素に対するアンモニアの比は約0.5〜1.5の間に減少し得、溶媒を多く含む第2溶液における平衡は、難溶性溶質種である重炭酸アンモニウムに戻る方向にシフトする。その後、難溶性(またはより難溶性の)溶質種を溶液から沈殿させてよい。重炭酸アンモニウムの沈殿によって、溶媒を多く含む第2溶液中の溶質濃度が約2〜3重量モル濃度へと実質的に減少し得る。溶質の沈殿を助けるために、好ましくは、第3チャンバー(22)における溶媒を多く含む第2溶液の温度を約18〜25℃、好ましくは20〜25℃に低下させる。その後、沈殿した溶質を溶液から濾取してよい。
【0035】
ここで図2に言及すると、沈殿した溶質は第3チャンバー(22)内で濾取してよいが、矢印(36)で示すように溶液を濾過チャンバー(29)に向かわせてよい。ハイドロサイクロン、沈殿タンク、カラム濾過または単純なスクリーン濾過等の周知の方法を用いて、溶媒を多く含む溶液から沈殿した溶質を除去してよい。例えば、沈殿物を重力によって溶液から安定(または沈降)させて、その後、吸い出すことが可能であり得る。残りの溶媒を多く含む第2溶液は、矢印(23)で示すようにフィルターチャンバー(29)から第4チャンバー(24)に移してよく、次いで、そこで加熱して溶質をそれらの構成ガスへと分解する。一の好ましい態様において、これらの構成ガスはアンモニアおよび二酸化炭素であり得る。分離プロセスに必要とされるエネルギーは、カルバミン酸アンモニウム溶質の完全な除去をもたらす温度へと溶液温度を上昇させるのに必要とされる熱である。蒸発(または気化)エンタルピーの熱伝導の非効率性およびプロセス内でリサイクルされる溶質の溶解を補うために、更なる熱も必要とされる。具体的には、加熱により、溶媒を多く含む第2溶液中に残っている溶質がそれらの構成ガスへと分解され、その構成ガスが溶液を出る。いくつかの態様において、溶媒を多く含む第2溶液を加熱している間、分解ガスが溶液から蒸発(または気化)する効率を向上させるために、真空または空気流を、溶媒を多く含む第2溶液において保持してよい。第4チャンバーで空気流を発生させることによって、通常用いられるよりも低い温度で全ての溶質を除去することが可能となり得る。この分解は、飲用水製品等の溶媒製品をもたらし得、その溶媒製品を最終用途のために更に処理してよい。一般に、飲用水製品は約7のpHを有するべきであり、目的用途に適した水を製造するために更なるpH調節が必要であり得る。
【0036】
溶媒を多く含む第2溶液は、外部熱源(34)と、ガスおよび溶質(38、42)の発熱的導入から熱交換器(32)を通じてポンプで送られる熱との組み合わせを用いて加熱してよい。外部熱源(34)は、太陽エネルギーおよび地熱エネルギーを含む任意の熱源によって与えられてよい。熱源は、蒸留の熱源と同様であってよい。いくつかの態様において、熱源は第1に、発電または工業的プロセスからの廃熱を利用するコジェネレーション(または熱電併給)環境からであってよい。更に、熱交換器(32)を用いて本発明の脱塩方法における先の工程の間に放出される熱を捕捉することによって、プロセス効率を保持してよい。図2において矢印(38)および(42)で示すように、第2および第3チャンバー(18、22)における化学反応から放出される熱をヒートポンプ(32)に送り、次いで、そのヒートポンプ(32)が、溶媒を多く含む第2溶液の加熱を助けるために、この熱を矢印(40)で示すように第4チャンバー(24)に送る。別の態様において、放出される構成ガスを、溶媒を多く含む第2溶液が加熱されているチャンバー(24)の外部で凝縮することが可能となることによって、従って、この発熱的反応から第4チャンバー(24)へ熱が伝達されることによって、更なる熱が発生する。一の好ましい態様においてカルバミン酸アンモニウムである凝縮物を、その後、第2チャンバー(18)における第2溶液へリサイクルしてよい。
【0037】
本発明の正浸透分離方法の環境に対する影響およびコストを制限するために、第2溶液から取り除かれた溶質および溶質の構成要素をリサイクルすることも好ましい。濾過チャンバーから廃棄される沈殿した溶質は、矢印(28)で示すように第2チャンバー(18)へリサイクルしてよく、そこで、その溶質は第2溶液に溶解し得、それによって第2溶液の高濃度を保持し得る。更に、第4チャンバー(24)において溶媒を多く含む第2溶液から除去された構成ガスは、矢印(20)および(30)の各々で示すように第2または第3チャンバー(18、22)に戻してリサイクルし得、そこで、それらの構成ガスは試薬としてはたらく。一の好ましい態様において、溶質はカルバミン酸アンモニウムであり、そのカルバミン酸アンモニウムはその構成ガスであるアンモニアおよび二酸化炭素へと分解される。その後、これらのガスを、矢印(20)で示すように第2チャンバー(18)へリサイクルする。アンモニアは二酸化炭素より可溶性であるので、アンモニアは第2溶液に選択的に吸収され、カルバミン酸アンモニウムに有利にはたらくように溶質種の平衡を調節することによって、試薬としてはたらく。残りの二酸化炭素は矢印(30)で示すように第2チャンバー(18)から引き出されて第3チャンバー(22)に運ばれ、そこで試薬としてはたらき、重炭酸アンモニウムに有利にはたらくように第2溶液の平衡を変化させる。いくつかの好ましい態様は溶質の分解からもたらされる構成ガスのリサイクルを考慮しているので、本発明の方法の効率を保持するのに十分なガスのリサイクルを確保するために、最適な溶質量より少ない量を沈殿させることが必要であり得る。通常、溶質の約半分を沈殿によって溶液から除去することによって、本発明の方法を保持するのに十分な量の構成ガスが発生するであろうことが保証されるべきである。
【0038】
本明細書に記載の方法は、プロセス全体にわたって溶媒から溶質をより良く分離するために、連続的に又はバッチにおいて行ってよい。
【0039】
本発明の方法を実施するための装置の一の限定的でない態様を図3に詳細に示す。装置は、入り口(50)および出口(52)を有する第1チャンバー(12)を有する。第1チャンバーの入り口(50)は、第1溶液供給源(前処理を受けた溶液または上流の操作から導入された溶液の貯蔵タンク等)または第1溶液の天然供給源(海、湖、川もしくは他の水域および水路(または河川)等)に通じている。第1チャンバーの入り口(50)は、第1溶液をその供給源から吸い上げるためにポンプが組み込まれてよい。その入り口は、第1溶液の温度を調節するために、場合により加熱または冷却装置も有してよい。同様に、第1チャンバーの出口(52)は、第1チャンバー(12)から第1溶液を抽出するためにポンプが組み込まれてよい。第1溶液供給源に第1溶液を直接再循環させるのに出口(52)を用いてよいが、好ましくは、第1溶液は、第1溶液供給源に戻す前に、ポンプによって沈殿装置の中に又は沈殿装置を通って送られるであろう。そのような沈殿装置は、天日乾燥床(solar evaporation bed)、単純なスクリーン濾過機構、ハイドロサイクロン、または沈殿物もしくは他の核生成点操作、または当業者に公知の他の種類を含んでよい。第1チャンバー(12)は、半透膜(16)によって第2チャンバー(18)から隔てられている。
【0040】
第2チャンバー(18)は入り口(54)ならびに第1および第2出口(56、58)を有する。入り口(54)は第2溶液供給源を提供し、ポンプおよび加熱装置が組み込まれてよい。第2チャンバーの第1出口(56)は第3チャンバー(22)につながっており、溶媒を多く含む第2溶液を第3チャンバー(22)に運ぶための導管を提供する。第2チャンバーのこの第1出口(56)は、水を多く含む第2溶液を第2チャンバー(18)から引き出すためにポンプが組み込まれ得る。本発明のもう一つの態様において、第2チャンバーの第1出口(56)は、上述のように溶媒を多く含む第2溶液を冷却するために冷却装置が組み込まれてよい。第2チャンバーの第2出口(58)は、第1溶液からの溶媒が半透膜(16)を通って第2溶液の中に取り出される際に生成する全てのガスのための導管を提供し、このガスは、好ましい態様においては二酸化炭素ガスであり、第3チャンバー(22)に運ばれるべきものである。
【0041】
いくつかの態様において、第3チャンバー(22)は、溶媒を多く含む第2溶液から溶質の一部が析出する場所である。第3チャンバー(22)は、(56)および(58)の入り口に加えて、溶媒を多く含む第2溶液から沈殿物を分離するための濾過装置(29)につながっている出口(60)を有する。濾過装置(29)は、上で開示したいずれかの種類のものであるが、好ましくは沈殿タンクである。濾過装置(29)は2つの出口を有する:第1出口(62)は沈殿した溶質を廃棄するのに使用してよく、または第2チャンバー入り口(54)を通じてその沈殿物を第2チャンバー(18)に戻すのに使用してよく、第2出口(64)は、残存する溶媒を多く含む第2溶液を第4チャンバー(24)に運ぶのに使用してよい。別の態様において、濾過装置(29)を第3チャンバー(22)に組み込んでよく、この場合において、第3チャンバー(22)は、更なる出口、残存する溶媒を多く含む第2溶液を第4チャンバー(24)に運ぶための一の出口、および沈殿した溶質を廃棄するための、または好ましい態様において、第2チャンバー入り口(54)を通じて沈殿した溶質を第2チャンバー(18)に戻すためのもう一つの出口を有するであろう。
【0042】
第4チャンバー(24)は、残存する溶媒を多く含む第2溶液を加熱するための加熱装置が組み込まれてよい。第4チャンバー(24)には第1出口(66)も組み込まれ、それには、気流を発生させるため、構成ガスを排出するための真空装置、ファンまたは他の装置が組み込まれてよい。好ましくは、第4チャンバーの第1出口(66)は、構成ガスを第2溶質としてリサイクルするために、第2チャンバー(18)の入り口(54)につながっている。第2出口(68)は、飲用水または精製水等の最終溶媒製品を引き出すための導管としてはたらく。
【0043】
種々の保持および/または保存デバイス(チャンバー、容器および貯蔵所)、導管、パイプならびに関連機器を構成するのに、材料が溶液の重量に耐え且つ溶液中のいずれの溶媒とも反応しない限りにおいて、任意の材料を使用してよい。典型的な材料は、ステンレス鋼、プラスチック、ポリ塩化ビニル(PVC)、繊維ガラス等の非腐食性、非反応性材料である。容器は、任意の適切な構造をとり得るが、通常は円筒形タンク、成型またははめ込み式タンク等である。貯蔵所は通常、給水塔、円筒形タンク、成型またははめ込み式タンク等である。上述のように、チャンバーが独立したユニットとして示されているが、本発明はその構成に限定されず、適切である場合には、1つの容器の中に任意の数のチャンバーを含み得、例えば半透膜(16)によって隔てられた2つのチャンバーに分割されることに留意することが重要である。
【0044】
加熱および冷却装置は、当該技術分野において周知の電気ヒーター、冷却ユニット、ソーラーコネクタ(または太陽熱収集器)および復水器、循環器等の熱交換器であり得るが、好ましくは熱交換器である。電力の必要条件を有し得る加熱および冷却装置は、プロセス内で用いられる他の任意の機器と共に、廃蒸気、太陽エネルギー、風力または地熱エネルギーおよび常套的な供給源を例として限定することなく含む任意の種々の一般に用いられている供給源から、それらのエネルギーを得ることができる。
【0045】
図4を参照して、1つ又はそれより多くの態様による濃縮プロセスを開示する。第1溶液(1)を正浸透膜の片側に接触させる。第1溶液が処理すべき廃ストリームを含む態様において、第1溶液は通常水性であり、塩、タンパク質、触媒、微生物、有機もしくは無機化合物、化学的前駆体もしくは化学製品、コロイドまたは他の成分等の種の溶液を含有する。第1溶液が濃縮および回収すべき所望の目的種を含有する態様において、第1溶液は、薬剤、塩、酵素、タンパク質、触媒、微生物、有機化合物、無機化合物、化学的前駆体、化学製品、コロイド、食品または汚染物質を含有してよい。第1溶液を膜の片側に接触させることは、多数の構成で達成してよく、その中の2つは、溶液に膜を浸漬すること又は膜を越えて溶液を方向付けることである。この溶液は、連続的に、バッチにおいて、1回または多数回、容器または方向付け手段に導入してよい。第1溶液(1)のこの流入ストリームは図示していない。
【0046】
例えば水、アンモニアおよび二酸化炭素を含む種を含有し、第1溶液の浸透圧より高い浸透圧を生じさせ得る第2溶液(2)を、膜の第1溶液を接触させる側とは反対側に接触させる。この接触は多数の技術によって達成してよく、膜を第2溶液に浸漬させること(第1溶液に対して浸漬を用いる場合でなくても)または膜表面を越えて第2溶液を方向付けることを含んでよい。第1溶液の全て又は一部の種(塩、荷電分子および/または大分子、微生物ならびに粒状物質等)を透過しないが、水等の溶媒の通過を許容する膜は、第1溶液と第2溶液との間の浸透圧の差が、膜を通る第1溶液から第2溶液への水の流束を誘導することを可能にする。この流束は、かなり、部分的にまたは大部分において、第2溶液を希釈しないこと及び/又は第1溶液を濃縮しないことを許容し得る。膜の種類および/またはプロセスの使用意図に応じて、第1溶液の選択または目的種のいくつか、少数または1つが膜を通過すると予測してもよく、あるいは第1溶液の選択または目的種が膜を通過しないと予測してもよい。
【0047】
溶媒を多く含む第2溶液の一部は、(ストリーム1を介して)蒸留塔、膜蒸留操作またはパーベーパレーション操作等の取り出し側溶質分離操作(3)へと向かい、その分離操作により、溶媒を多く含む第2溶液中の溶質、例えばアンモニウム塩種を含むアンモニアおよび二酸化炭素溶質が、取り出し側溶質分離操作(3)に熱を加えることによって並びに/又は上述のガスおよび/もしくは取り出し側溶質分離操作により生成したガスに圧力差を加えることによって除去される。これにより、ストリーム1の種の濃度が部分的に、実質的に又は完全に減少した、ストリーム2で表される溶媒ストリームと、ストリーム1から除去された種を含有する、ストリーム3で表されるガスストリームとが生成する。ストリーム3は、第2溶液を再構成するために指定される操作に向かい、ストリーム3は、第2溶液の特性(体積または濃度等)を増加させる、置き換える又は保持するのに用いられるであろう。この操作は、前記種の水、第2溶液の一部への溶解、沈殿および第2溶液との混合またはいくつかの他の方法を含んでよく、それにより、3で除去された種を第2溶液に再導入する。この再導入を破線のストリーム4で示す。溶液1の拒絶された成分は、水をこの溶液から除去する際に、周期的にまたは連続的に溶液1から除去してよい。この操作は、沈殿(settling)、ハイドロサイクロン分離、沈殿、(電気または磁気等の)力勾配、ブローダウンまたは他のユニット操作を含んでよい。1から除去された成分のこのストリームをストリーム5で示す。いくつかの態様において、ストリーム5は所望の生成物ストリームであってよく、または廃棄物として廃棄してよい。これらの技術によって、浸透圧は、浸透圧により駆動される流束によって半透膜を通じて溶液から溶媒を除去するのに用いられる(例えば医薬品、食品もしくは溶液中の他の所望の種からの溶媒の分離、または望ましくない溶質の除去によりプロセスストリームを処理することによる精製生成物ストリームの製造)。
【0048】
本発明のいくつかの例示的態様を説明してきたが、上述の態様は単に例示的なものであって限定的なものでなく、例としてのみ示されたものであることは、当業者に明らかであるべきである。多数の変形および他の態様は当該技術分野における通常の技術の範囲内であり、本発明の範囲に含まれると考えられる。特に、本明細書において示される多数の例は方法の機能またはシステム要素の特定の組み合わせを含むが、同じ目的を達成するためにそれらの機能およびそれらの要素を他の方法で組み合わせてよいことを当業者は理解するべきである。
【0049】
本明細書において説明した装置、システムおよび方法の態様は、応用において、後の説明において記載される又は添付の図面において示される構成要素の構成および配置の詳細に限定されないことを理解するべきである。装置、システムおよび方法は、他の態様において実施可能であり、種々の方法で実施および実行可能である。例示の目的のためだけに特定の実施例をここで提示しており、それらの実施例は限定を意図するものでない。特に、1つ又はそれより多くの態様のいずれかに関連して説明した機能、要素および特徴を、他のいずれかの態様における同様の役割から除外することは意図されない。
【0050】
本明細書に記載のパラメータおよび構成は例示的なものであり、実際のパラメータおよび/または構成は、本発明のシステムおよび技術が用いられる特定の用途に依存するであろうことを、当業者は理解するべきである。当業者は、本発明の特定の態様に対する均等物も、ルーチンにすぎない実験を用いて理解するべきであり、かつ確認し得るべきである。従って、本明細書に記載の態様は例としてのみ示され、明確に記載されていない限り添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内において本発明を実施してよいことを理解するべきである。
【0051】
更に、本発明は、本明細書に記載の各特徴、システム、サブシステムまたは技術、および本明細書に記載の2つ又はそれより多くの特徴、システム、サブシステムまたは技術の任意の組み合わせを指向すること、ならびに2つ又はそれより多くの特徴、システム、サブシステムおよび/または方法の任意の組み合わせは、そのような特徴、システム、サブシステムおよび技術が互いに矛盾しない場合、特許請求の範囲において具体化された本発明の範囲内であると考えられることも、理解するべきである。更に、一の態様のみに関連して説明した機能、要素および特徴を、他の態様における同様の役割から除外することは意図されない。
【0052】
本明細書において使用する用語および専門用語は、説明を目的とするものであり、限定するものであると見なすべきでない。本明細書において使用される場合、用語「複数の」は、2つ又はそれより多くの事項または成分を指す。用語「…を含有する」、「…を含む」、「…が挙げられる」、「有する」、「…が(〜に)入っている」」および「…が含まれる」は、明細書であれ特許請求の範囲等であれオープンエンド用語であり、即ち、「…を含むがそれ(ら)に限定されない」を意味する。従って、そのような用語の使用は、そのあとに列挙される事項およびそれらの均等物ならびに更なる事項を包含することを意味する。特許請求の範囲に関して、移行句(transitional phrase)「…からなる」および「本質的に…からなる」のみが、各々クローズドまたはセミクローズドの移行句である。請求項の要素を修飾するために、特許請求の範囲において「第1」、「第2」、「第3」等の序数語を使用することは、それ自体が何らかの優先度、先行、または請求項の要素の互いの順序、または方法の機能が実行される時間的な順序を暗示することはなく、ある特定の名前を有する一の請求項の要素を、同じ名前を有する(しかし序数語を使用する)別の要素から区別して、請求項の要素を区別するためのラベルとして単に使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正浸透分離方法であって、
溶媒および少なくとも1つの目的種を含有する第1溶液を半透膜の第1サイドに導入すること;
アンモニアおよび二酸化炭素を少なくとも1:1のモル比で含有する第2溶液を半透膜の第2サイドに導入し、それによって、半透膜を横切る浸透濃度勾配を形成し、その浸透濃度勾配が、第1溶液の溶媒の少なくとも一部の半透膜を横切る流れを促進して、半透膜の第1サイドに第3溶液を形成し、半透膜の第2サイドにおいて第4溶液を形成すること;
第4溶液の少なくとも一部を分離操作へ送り、それによって取り出し側溶質、溶媒ストリームを発生させること;
取り出し側溶質を半透膜の第2サイドに戻すこと;ならびに
少なくとも1つの目的種を第3溶液から回収すること
を含む、方法。
【請求項2】
第1溶液が水溶液である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1溶液が製薬または食品グレードの操作からのストリームを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
目的種が塩、砂糖、酵素、タンパク質または微生物である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
半透膜の第1サイドに第1溶液を導入することが、第1溶液に半透膜を浸漬することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第2溶液の導入が、半透膜の第2サイドに沿って第2溶液を移動させることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
第1溶液を連続的に導入する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第4溶液の少なくとも一部を分離操作に導入することが、第4溶液の少なくとも一部を蒸留塔、膜蒸留システムまたはパーベーパレーションシステムに導入することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
廃熱を分離操作に供給することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
溶媒ストリームの処理を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの目的種の回収が、第3溶液を、沈殿容器、ハイドロサイクロン、沈降分離装置または力勾配操作に導入することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの回収された目的種を更なる処理ユニットに導入することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの処理された目的種を下流の使用ポイントに供給することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
正浸透廃棄液処理方法であって、
溶媒および少なくとも1つの成分を含有する第1溶液を半透膜の第1サイドに導入すること;
アンモニアおよび二酸化炭素を少なくとも1:1のモル比で含有する濃縮取り出し側溶液を半透膜の第2サイドに導入して、半透膜を横切る浸透濃度勾配を保持すること;
第1溶液の溶媒の少なくとも一部の半透膜を横切る流れを促進して、半透膜の第1サイドに第2溶液を形成し、半透膜の第2サイドに希釈取り出し側溶液を形成すること;
希釈取り出し側溶液の少なくとも一部を分離操作に導入し、それによって取り出し側溶質および溶媒ストリームを発生させること;
取り出し側溶質を半透膜の第2サイドに戻すこと;ならびに
少なくとも1つの成分を第2溶液から取り除くこと
を含む、方法。
【請求項15】
第1溶液が廃水を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第1溶液が塩、有機物、懸濁コロイドまたは生物有機体を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
第1溶液を半透膜の第1サイドに導入することが、半透膜を第1溶液に浸漬することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
濃縮取り出し側溶液を導入することが、濃縮取り出し側溶液を半透膜の第2サイドに沿って移動させることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
第1溶液を連続的に導入する、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
希釈取り出し側溶液の少なくとも一部を分離操作に導入することが、希釈取り出し側溶液の少なくとも一部を蒸留塔、膜蒸留システムまたはパーベーパレーションシステムに導入することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
廃熱を分離操作に供給することを更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
溶媒ストリームの処理を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つの望ましくない成分を除去することが、第2溶液を沈殿容器、ハイドロサイクロンまたはブローダウン操作に導入することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも1つの望ましくない成分を更なる処理操作に導入することを更に含む、請求項23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−525147(P2011−525147A)
【公表日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514883(P2011−514883)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/048137
【国際公開番号】WO2009/155596
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(392019352)イェール ユニバーシティー (38)
【氏名又は名称原語表記】YALE UNIVERSITY
【Fターム(参考)】