正立等倍レンズアレイプレート、光走査ユニット、画像読取装置および画像書込装置
【課題】ゴーストノイズを低減する。
【解決手段】正立等倍レンズアレイプレート11は、複数の第1レンズ24aと、複数の第2レンズ24bとを有する第1レンズアレイプレート24と、複数の第3レンズ26aと、複数の第4レンズ26bとを有する第2レンズアレイプレート26とを備える。第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26は、対応するレンズの組が共軸のレンズ系を構成するように第2面24dと第3面26cとを対向させて積層される。第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26との間には、中間貫通孔34aを有する中間遮光壁34が設けられる。中間貫通孔34aは、孔径が第2面24d側から第3面26c側に向けてテーパ状に小さくなるように形成されている。第2面24dにおける第2面レンズ間領域24fには、複数のV溝40が形成されている。
【解決手段】正立等倍レンズアレイプレート11は、複数の第1レンズ24aと、複数の第2レンズ24bとを有する第1レンズアレイプレート24と、複数の第3レンズ26aと、複数の第4レンズ26bとを有する第2レンズアレイプレート26とを備える。第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26は、対応するレンズの組が共軸のレンズ系を構成するように第2面24dと第3面26cとを対向させて積層される。第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26との間には、中間貫通孔34aを有する中間遮光壁34が設けられる。中間貫通孔34aは、孔径が第2面24d側から第3面26c側に向けてテーパ状に小さくなるように形成されている。第2面24dにおける第2面レンズ間領域24fには、複数のV溝40が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置や画像書込装置に用いられる正立等倍レンズアレイプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スキャナ等の画像読取装置として、正立等倍結像光学系を用いた装置が知られている。正立等倍結像光学系を用いた場合、縮小結像光学系の場合よりも装置をコンパクトにすることができる。画像読取装置の場合、正立等倍結像光学系は、ライン状光源と、正立等倍レンズアレイと、ラインイメージセンサから構成される。
【0003】
正立等倍結像光学系における正立等倍レンズアレイとしては、正立等倍像を結像可能なロッドレンズアレイが用いられる。ロッドレンズアレイは、通常はレンズアレイの長手方向(画像読取装置の主走査方向)にロッドレンズが配列される。ロッドレンズの列数を増加することで、光量伝達率の向上、透過光量ムラの低減が図れるが、ロッドレンズアレイの場合、ロッドレンズの列数は、価格とのかねあいで1〜2列が一般的である。
【0004】
一方、正立等倍レンズアレイとして、両面に複数の微小凸レンズを規則的に配列した透明な平板状レンズアレイプレートを、個々の凸レンズの光軸が一致するように2枚積層した正立等倍レンズアレイプレートも構成可能である。このような正立等倍レンズアレイプレートは、射出成型などの方法により形成できるため、正立等倍レンズアレイを比較的安価に製造することができる。
【0005】
正立等倍レンズアレイプレートでは、隣接したレンズ間に光を隔離するための壁が無いため、正立等倍レンズアレイプレートに斜めに入射した光が、プレート内部を斜めに進んで隣接した凸レンズに入り込み、出射してノイズ(ゴーストノイズともいう)を発生するという問題がある。
【0006】
そこで、ゴーストノイズを低減するために、2枚のレンズアレイプレート間に遮光壁を設けた正立等倍レンズアレイプレートが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−069801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載されるように2枚のレンズアレイプレート間に遮光壁を設けただけであってもある程度ゴーストノイズを低減できるが、より高品質な正立等倍像を形成するためにはよりゴーストノイズを減らすことが望ましい。
【0009】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、ゴーストノイズの除去性能を向上することのできる正立等倍レンズアレイプレート、並びに該正立等倍レンズアレイプレートを用いた光走査ユニット、画像読取装置および画像書込装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の正立等倍レンズアレイプレートは、第1面に規則的に配置された複数の第1レンズと、第1面に対向する第2面に規則的に配置された複数の第2レンズとを有する第1レンズアレイプレートと、第3面に規則的に配置された複数の第3レンズと、第3面に対向する第4面に規則的に配置された複数の第4レンズとを有する第2レンズアレイプレートとを備え、第1レンズアレイプレートと第2レンズアレイプレートが、対応するレンズの組が共軸のレンズ系を構成するように第2面と第3面とを対向させて積層され、第1面側に置かれた物体の正立等倍像を第4面側の像面に形成する正立等倍レンズアレイプレートである。この正立等倍レンズアレイプレートは、第2レンズおよび第3レンズに対応する複数の中間貫通孔を有する中間遮光壁であって、各中間貫通孔が対応する第2レンズおよび第3レンズの正面に位置するように第1レンズアレイプレートと第2レンズアレイプレートとの間に設けられた中間遮光壁をさらに備える。第2面における互いに隣接する第2レンズ間の領域および/または第3面における互いに隣接する第3レンズ間の領域に、複数のV溝が形成されている。
【0011】
本発明の別の態様もまた、正立等倍レンズアレイプレートである。この正立等倍レンズアレイプレートは、第1面に規則的に配置された複数の第1レンズと、第1面に対向する第2面に規則的に配置された複数の第2レンズとを有する第1レンズアレイプレートと、第3面に規則的に配置された複数の第3レンズと、第3面に対向する第4面に規則的に配置された複数の第4レンズとを有する第2レンズアレイプレートとを備え、第1レンズアレイプレートと第2レンズアレイプレートが、対応するレンズの組が共軸のレンズ系を構成するように第2面と第3面とを対向させて積層され、第1面側に置かれた物体の正立等倍像を第4面側の像面に形成する正立等倍レンズアレイプレートである。この正立等倍レンズアレイプレートは、第2レンズおよび第3レンズに対応する複数の中間貫通孔を有する中間遮光壁であって、各中間貫通孔が対応する第2レンズおよび第3レンズの正面に位置するように第1レンズアレイプレートと第2レンズアレイプレートとの間に設けられた中間遮光壁をさらに備える。中間貫通孔は、孔径が第2面側から第3面側に向けてテーパ状に小さくなるように形成されている。そして、第2面における互いに隣接する第2レンズ間の領域に複数のV溝が形成されている。
【0012】
本発明のさらに別の態様もまた、正立等倍レンズアレイプレートである。この正立等倍レンズアレイプレートは、第1面に規則的に配置された複数の第1レンズと、第1面に対向する第2面に規則的に配置された複数の第2レンズとを有する第1レンズアレイプレートと、第3面に規則的に配置された複数の第3レンズと、第3面に対向する第4面に規則的に配置された複数の第4レンズとを有する第2レンズアレイプレートとを備え、第1レンズアレイプレートと第2レンズアレイプレートが、対応するレンズの組が共軸のレンズ系を構成するように第2面と第3面とを対向させて積層され、第1面側に置かれた物体の正立等倍像を第4面側の像面に形成する正立等倍レンズアレイプレートである。この正立等倍レンズアレイプレートは、第2レンズおよび第3レンズに対応する複数の中間貫通孔を有する中間遮光壁であって、各中間貫通孔が対応する第2レンズおよび第3レンズの正面に位置するように第1レンズアレイプレートと第2レンズアレイプレートとの間に設けられた中間遮光壁をさらに備える。中間貫通孔は、孔径が第2面側から第3面側に向けて逆テーパ状に大きくなるように形成されている。そして、第3面における互いに隣接する第3レンズ間の領域に複数のV溝が形成されている。
【0013】
V溝は、当該正立等倍レンズアレイプレートの主走査方向に対して略平行に延びるよう形成されてもよい。また、全てのV溝の副走査方向の幅は、第1レンズの開口径以上であってもよい。また、互いに隣接するV溝同士が副走査方向の端部において当接してもよい。
【0014】
本発明の別の態様は、光走査ユニットである。この光走査ユニットは、被読取画像に光を照射するライン状光源と、被読取画像から反射した光を集光する上述の正立等倍レンズアレイプレートと、正立等倍レンズアレイプレートを透過した光を受光するラインイメージセンサとを備える。
【0015】
本発明のさらに別の態様は、画像読取装置である。この装置は、上述の光走査ユニットと、光走査ユニットによって検出された画像信号を処理する画像処理部とを備える。
【0016】
本発明のさらに別の態様は、画像書込装置である。この装置は、複数のLEDがアレイ状に配列されたLEDアレイと、LEDアレイから出射された光を集光する上述の正立等倍レンズアレイプレートと、正立等倍レンズアレイプレートを透過した光を受光する感光体ドラムとを備える。
【0017】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ゴーストノイズの除去性能を向上することのできる正立等倍レンズアレイプレート、並びに該正立等倍レンズアレイプレートを用いた光走査ユニット、画像読取装置および画像書込装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る画像読取装置を説明するための図である。
【図2】光走査ユニットの主走査方向における断面図である。
【図3】図2のA−A線に沿った正立等倍レンズアレイプレートの断面図である。
【図4】第1レンズアレイプレートの第2面の正面図である。
【図5】比較例に係る正立等倍レンズアレイプレートの主走査方向における断面図である。
【図6】比較例に係る正立等倍レンズアレイプレートの副走査方向における断面図である。
【図7】本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレートの動作を説明するための図である。
【図8】本発明のさらに別の実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレートを示す図である。
【図9】第2面のV溝における斜面の傾斜角度と光の曲がり角度との関係を説明するための図である。
【図10】第2面のV溝における斜面の傾斜角度εが臨界角θc以下の場合の光路を示す図である。
【図11】第2面のV溝における斜面の傾斜角度εが臨界角θcより大きい場合の光路を示す図である。
【図12】第2面のV溝における斜面の傾斜角度εと、光の曲がり角γの関係を示す図である。
【図13】第3面のV溝における斜面の傾斜角度εと、光の曲がり角γの関係を示す図である。
【図14】本発明のさらに別の実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレートを示す図である。
【図15】本発明の実施例に係る正立等倍レンズアレイプレートを示す図である。
【図16】比較例および本実施例のシミュレーション結果を示す図である。
【図17】本発明の別の実施形態に係る画像書込装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る画像読取装置100を説明するための図である。図1に示すように、画像読取装置100は、筐体102、原稿Gを載置する原稿台としてのガラス板14、筐体102内に収容された光走査ユニット10、光走査ユニット10を走査する駆動機構(図示せず)、光走査ユニット10によって読み取られたデータを処理する画像処理部(図示せず)等を備える。
【0021】
光走査ユニット10は、ガラス板14上に載置された原稿Gに光を照射するライン状光源16と、原稿Gからの反射光を集光する正立等倍レンズアレイプレート11と、正立等倍レンズアレイプレート11により集光された光を受けるラインイメージセンサ(光電変換素子)20と、ライン状光源16、正立等倍レンズアレイプレート11およびラインイメージセンサ20を固定するケース(図示せず)とを備える。
【0022】
ライン状光源16は、略直線状の光を出射する光源である。ライン状光源16は、その光軸が、正立等倍レンズアレイプレート11の光軸Axとガラス板14の上面との交点を通るように固定される。ライン状光源16から出射された光は、ガラス板14上に置かれた原稿Gに照射される。原稿Gに照射された光は、原稿Gにより正立等倍レンズアレイプレート11に向けて反射される。
【0023】
正立等倍レンズアレイプレート11は、後述するように、複数の凸レンズを両面に形成した第1レンズアレイプレート24、第2レンズアレイプレート26が対応するレンズの組が共軸のレンズ系を構成するように積層されたものである。第1レンズアレイプレート24、第2レンズアレイプレート26は、ホルダ(図示せず)により積層状態で保持されている。正立等倍レンズアレイプレート11は、その長手方向が主走査方向に、短手方向が副走査方向に一致するように画像読取装置100に装着される。
【0024】
正立等倍レンズアレイプレート11は、上方に位置する原稿Gから反射されたライン状の光を受けて、下方に位置する像面、すなわちラインイメージセンサ20の受光面に正立等倍像を形成する。画像読取装置100は、光走査ユニット10を副走査方向に走査することにより、原稿Gを読み取ることができる。
【0025】
図2は、光走査ユニット10の主走査方向における断面図である。図2において、縦方向が正立等倍レンズアレイプレート11の主走査方向(長手方向)であり、奥行き方向が副走査方向(短手方向)である。
【0026】
上述したように、正立等倍レンズアレイプレート11は、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26とが積層されて構成されている。第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26は、長方形状のプレートであり、その両面には複数の凸レンズが配列形成されている。
【0027】
第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26は、射出成形により形成される。第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26の材質は、射出成形に使用可能で、必要な波長帯域の光に対して光透過性が高く、吸水性の低いものが望ましい。望ましい材質としては、シクロオレフィン系樹脂や、オレフィン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネートなどを例示することができる。
【0028】
第1レンズアレイプレート24の一方の面である第1面24c上には、複数の第1レンズ24aが、第1レンズアレイプレート24の長手方向に沿って一列に配列されている。また、第1レンズアレイプレート24の第1面24cに対向する第2面24d上には、複数の第2レンズ24bが、第1レンズアレイプレート24の長手方向に沿って一列に配列されている。図2に示すように、本実施形態においては、第2レンズ24bのレンズ径は、第1レンズ24aのレンズ径よりも小さい。
【0029】
第2レンズアレイプレート26の一方の面である第3面26c上には、複数の第3レンズ26aが、第2レンズアレイプレート26の長手方向に沿って一列に配列されている。また、第3面26cに対向する第4面26d上には、複数の第4レンズ26bが、第2レンズアレイプレート26の長手方向に沿って一列に配列されている。図2に示すように、本実施形態においては、第3レンズ26aのレンズ径は、第4レンズ26bのレンズ径よりも小さい。第3レンズ26aのレンズ径は第2レンズ24bのレンズ径と等しく、第4レンズ26bのレンズ径は、第1レンズ24aのレンズ径と等しい。
【0030】
なお、本実施の形態では、第1レンズ24a、第2レンズ24b、第3レンズ26aおよび第4レンズ26bの形状を球面としたが、非球面であってもよい。
【0031】
第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26は、対応する第1レンズ24a、第2レンズ24b、第3レンズ26a、第4レンズ26bの組が共軸のレンズ系を構成するように第2面24dと第3面26cとを対向させて積層される。言い換えると、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26は、対応する第1レンズ24a、第2レンズ24b、第3レンズ26a、第4レンズ26bの光軸が一致するように積層される。
【0032】
第1レンズアレイプレート24の第1面24c上には、第1面側遮光壁30が設けられている。この第1面側遮光壁30は、遮光性材料によって形成された膜状の遮光部材であり、複数の第1面側貫通孔30aが形成されている。第1面側貫通孔30aは、第1面側遮光壁30の長手方向に沿って一列に、第1レンズアレイプレート24の第1レンズ24aと対応するように形成されている。各第1面側貫通孔30aの孔径は第1レンズ24aのレンズ有効径と等しい。第1面側遮光壁30は、各第1面側貫通孔30aが対応する第1レンズ24aの正面に位置するように第1面24c上に設けられる。言い換えると、第1面側遮光壁30は、各第1面側貫通孔30aの中心軸が対応する第1レンズ24aの光軸と一致するように第1面24c上に設けられる。図2に示すように、第1面側遮光壁30により、第1レンズ24aの有効領域以外の第1面24cの領域24e(以下、「第1面平坦領域24e」とも呼ぶ)が覆われている。レンズの有効領域とは、レンズとしての機能を有する部分のことである。第1面側遮光壁30により、結像に寄与しない光が遮断される。第1面側遮光壁30は、第1面24c上に、黒色インキなどの光吸収性材料を用いて遮光パターンを印刷することにより形成することができる。
【0033】
第2レンズアレイプレート26の第4面26d上には、第4面側遮光壁32が設けられている。この第4面側遮光壁32は、遮光性材料によって形成されたプレート状の遮光部材であり、複数の第4面側貫通孔32aが形成されている。第4面側貫通孔32aは、第4面側遮光壁32の長手方向に沿って一列に、第2レンズアレイプレート26の第4レンズ26bと対応するように形成されている。各第4面側貫通孔32aは、円柱形状であり、その孔径は第4レンズ26bのレンズ有効径と等しい。第4面側遮光壁32は、各第4面側貫通孔32aが対応する第4レンズ26bの正面に位置するように第4面26d上に設けられる。言い換えると、第4面側遮光壁32は、各第4面側貫通孔32aの中心軸が対応する第4レンズ26bの光軸と一致するように第4面26d上に設けられる。図2に示すように、第4面側遮光壁32により、第4レンズ26bの有効領域以外の第4面26dの領域26e(以下、「第4面平坦領域26e」とも呼ぶ)が覆われている。
【0034】
第4面側遮光壁32は、例えば黒色のABS樹脂などの光吸収性材料を用いて、射出成形などの方法により形成することができる。また、第4面側遮光壁32は、黒色樹脂塗料を積層させることににより形成されてもよい。
【0035】
なお、本明細書では、第1面側遮光壁30を「膜状」とし、第4面側遮光壁32を「プレート状」としているが、これは、第1面側遮光壁30が第4面側遮光壁32に比べて非常に薄いことを意味する。言い換えると、「膜状」とは、厚さが無視できる程度に薄いことを意味する。
【0036】
図2に示すように、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26との間には中間遮光壁34が設けられている。この中間遮光壁34は、遮光性材料によって形成されたプレート状の遮光部材であり、複数の中間貫通孔34aが形成されている。中間貫通孔34aは、中間遮光壁34の長手方向に沿って一列に、第2レンズ24bと第3レンズ26aと対応するように形成されている。本実施形態において、中間貫通孔34aは、孔径が第2面24d側から第3面26c側に向けてテーパ状に小さくなる円錐台形状に形成されている。中間遮光壁34は、各中間貫通孔34aが対応する第2レンズ24bおよび第3レンズ26aの正面に位置するように、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26との間に設けられる。言い換えると、中間遮光壁34は、各中間貫通孔34aの中心軸が対応する第2レンズ24bおよび第3レンズ26aの光軸と一致するように第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26との間に設けられる。
【0037】
図2に示すように、中間遮光壁512により、第2面レンズ間領域24fと第3面レンズ間領域26fとが覆われている。上述したように中間遮光壁34の中間貫通孔34aは、孔径が第2面24d側から第3面26c側に向けてテーパ状に小さくなる円錐台形状に形成されている。従って、第3面レンズ間領域26fは中間遮光壁34により完全に覆われているが、第2面レンズ間領域24fは中間遮光壁34により完全には覆われておらず、第2面レンズ間領域24fの一部が露出している。
【0038】
中間遮光壁34は、例えば黒色のABS樹脂などの光吸収性材料を用いて、射出成形などの方法により形成することができる。また、中間遮光壁34は、黒色樹脂塗料を積層させることににより形成されてもよい。
【0039】
上記のように中間貫通孔34aを円錐台形状に形成した理由は、所謂フレアノイズの発生を抑制するためである。中間遮光壁34は本来、第1レンズアレイプレート24を斜めに通過した光を遮光することによりゴーストノイズを防ぐ機能を有する。しかしながら、中間貫通孔34aの内壁面に入射した光は、光吸収性材料を用いた場合でも完全には吸収されず、一部が内壁面で反射(フレネル反射)する。
【0040】
中間遮光壁34における中間貫通孔を本実施形態のように円錐台形状ではなく、円柱形状に形成した場合、中間貫通孔の内壁面で反射した光が第2レンズアレイプレート26を通過した後、ラインイメージセンサ20に入射し、フレアノイズが発生してしまう可能性がある。
【0041】
図2には、本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート11におけるフレアノイズの除去を説明するために、原稿Gのある点から出射された光L(一点鎖線)の光路が図示されている。本実施形態においては、中間貫通孔34aは、孔径が第2面24d側から第3面26c側に向けてテーパ状に小さくなる円錐台形状に形成されている。つまり、中間貫通孔34aの内壁面は、レンズの光軸Axに対して傾斜している。このように内壁面が傾斜していることにより、中間貫通孔34aの内壁面における光の反射角は、中間貫通孔を円柱形状とした場合よりも小さくなる。ここでいう反射角とは、内壁面の法線と反射光とのなす角である。光軸Axに対する内壁面の傾斜角度をθとすると、内壁面を光軸Axに対してθ傾斜させることにより、光Lの反射角は、中間貫通孔を円柱形状とした場合よりも2θ分だけ小さくなる。反射角が小さくなったことにより、光Lは、第4面側遮光壁32に衝突し、遮光または少なくとも減衰する。従って、本実施形態においては、光Lはラインイメージセンサ20に実質的に到達せず、フレアノイズの発生を防止できる。
【0042】
図3は、図2のA−A線に沿った正立等倍レンズアレイプレート11の断面図である。図3において、縦方向が正立等倍レンズアレイプレート11の副走査方向(短手方向)であり、奥行き方向が主走査方向(長手方向)である。また、図4は、第1レンズアレイプレート24の第2面24dの正面図である。本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート11は、第1レンズアレイプレート24の第2面24dにおける隣接する第2レンズ24b間の領域24f(以下、「第2面レンズ間領域24f」とも呼ぶ)に特徴を有する。従って、図2のA−A線は、一部が第2面レンズ間領域24fを通るように描かれている。なお、本実施形態においては、第2レンズアレイプレート26の第3面26cにおける隣接する第3レンズ26a間の領域26f(以下、「第3面レンズ間領域26f」とも呼ぶ)は、平坦面とされている。
【0043】
図3および図4に示すように、本実施形態においては、第2面レンズ間領域24fに、複数のV溝40が形成されている。V溝40は、第2面レンズ間領域24fに入射した光を、正立等倍レンズアレイプレート11の副走査方向に曲げる機能を有する。光の曲がる方向は、V溝40の斜面の傾斜角度を変えることにより、制御できる。
【0044】
図3および図4に示すように、複数のV溝40は、正立等倍レンズアレイプレート11の主走査方向に対して略平行に延びるよう形成されている。V溝40は、互いに隣接するV溝同士が副走査方向の端部において当接するように配置される。第2面24dに断面三角形状の凹部を形成することによりV溝40を設けてもよいし、第2面24dに断面三角形状の凸部を形成することによりV溝40を設けてもよい。
【0045】
以上のように構成された正立等倍レンズアレイプレート11は、第1レンズ24aから原稿Gまでの距離および第4レンズ26bからラインイメージセンサ20までの距離が所定の作動距離となるように、画像読取装置100に組み込まれる。
【0046】
次に、本実施の形態に係る正立等倍レンズアレイプレート11の動作について説明する。正立等倍レンズアレイプレート11の動作を説明する前に、まず比較例を示す。
【0047】
図5は、比較例に係る正立等倍レンズアレイプレート611の主走査方向における断面図である。本比較例に係る正立等倍レンズアレイプレート611においては、第2面レンズ間領域24fは平坦面とされている。その他の構成については、図2に示す本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート11と同様である。
【0048】
図5には、原稿Gから出射された光L1(実線)、光L2(破線)および光L3(一点鎖線)の光路が図示されている。光L1〜L3は、いずれも斜めに正立等倍レンズアレイプレート611に入射する光である。
【0049】
正立等倍レンズアレイプレート611に斜めに入射する光の多くは、光L1に示すように、中間遮光壁512により吸収または少なくとも減衰される。しかしながら、上述したように第2面レンズ間領域24fの一部が露出しているので、この露出部分を通過したL2のような光が中間遮光壁34や第4面側遮光壁32により遮光されずにラインイメージセンサ20に到達し、ゴーストノイズが発生する場合がある。また、第4面側遮光壁32の高さが十分でない場合には、光L3のようにレンズを通ってラインイメージセンサ20に到達し、ゴーストノイズとなる光もある。光L2と光L3は、ゴーストノイズの元となる光、すなわち迷光である。
【0050】
図6は、比較例に係る正立等倍レンズアレイプレート611の副走査方向における断面図である。図6には、光L4(破線)と光L5(一点鎖線)の光路が図示されている。図6の光L4とL5は、図5における光L2、光L3それぞれの光の副走査方向の広がりを表しており、原稿Gから第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26を斜めに通過してラインイメージセンサ20に到達する迷光を示している。図5および図6から分かるように、比較例に係る正立等倍レンズアレイプレート611においては、中間遮光壁34を設けただけでは遮光できない迷光が存在する。
【0051】
図7は、本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート11の動作を説明するための図である。図7は、図2のA−A線に沿った正立等倍レンズアレイプレート11の断面を表す。図7においても、図6と同様に光L4(破線)と光L5(一点鎖線)の光路が図示されている。
【0052】
本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート11においては、図7に示すように、第2面レンズ間領域24fに形成されたV溝40により、光L4およびL5が正立等倍レンズアレイプレート11の副走査方向に曲げられる。V溝40により曲げられた光L4およびL5は、中間遮光壁34により吸収または少なくとも減衰され、ラインイメージセンサ20には到達しない。つまり、本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート11によれば、比較例に係る正立等倍レンズアレイプレート611では遮光できなかった迷光を遮光できる。その結果、比較例に係る正立等倍レンズアレイプレート611に比べてゴーストノイズの低減された高品質な正立等倍像を形成できる。
【0053】
図6に示されるように、ゴーストノイズの元となる迷光の光路は、第2面レンズ間領域24fと第3面レンズ間領域26fを通ること以外は結像光に類似している。よって、迷光が通過し得る第2面レンズ間領域24fの副走査方向の幅は、第1レンズ24aの開口径を超えることはない。従って、図3に示すように、全てのV溝40の副走査方向の幅W1は、第1レンズ24aの開口径D1以上あればよい。第1レンズ24aの開口径D1は、第1面側遮光壁30の第1面側貫通孔30aの孔径と等しい。
【0054】
V溝は、中間貫通孔34aの孔径が大きい側に位置するレンズ間領域(本実施形態では第2面レンズ間領域24f)に設けられる必要がある。しかしながら、製造時に中間遮光壁34が所定の位置からずれた場合、V溝の設置されていない第3面26cの第3面レンズ間領域26fが中間遮光壁34で完全に覆われなくなり、平坦面が現れる。これによりゴーストノイズが発生するおそれがある。このため、V溝は第2面24dと第3面26cの両方に形成されることがさらに好ましい。
【0055】
図8は、本発明のさらに別の実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート1011を示す。図8においても、図6と同様に光L4(破線)と光L5(一点鎖線)の光路が図示されている。本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート1011では、第2面レンズ間領域24fに入射した光が第1面24c方向に反射するようV溝40が形成されている。V溝40の斜面の傾斜角度を調整することにより、第2面レンズ間領域24fに入射した光L4およびL5を第1面24c方向へ反射させることができる。本実施形態によれば、比較例に係る正立等倍レンズアレイプレート611では遮光できなかった迷光を遮光できる。その結果、比較例に係る正立等倍レンズアレイプレート611に比べてゴーストノイズの低減された高品質な正立等倍像を形成できる。さらに、本実施形態によれば、迷光をラインイメージセンサ20と反対方向に向かわせることができるので、迷光がラインイメージセンサ20に入射するのを確実に防止することができ、ゴーストノイズの低減効果をより高めることができる。
【0056】
図9は、第2面のV溝における斜面の傾斜角度と光の曲がり角度との関係を説明するための図である。ここでは、二等辺三角形状に形成されたV溝40に、入射角度0°の光L6が入射した場合、光L6(破線)がどのように曲がるかについて考察する。入射角度0°の光とは、正立等倍レンズアレイプレートに垂直に入射する光を意味する。図9に示すように、V溝40の斜面と第1レンズアレイプレート24に平行な面とのなす角を、傾斜角度εとする。図9に示すV溝40は、一方の斜面40aの傾斜角度εと他方の斜面40bの傾斜角度εが等しい。また、第1レンズアレイプレート24に対する垂直線と、V溝40の斜面から出射された光L6とのなす角を光L6の曲がり角γとする。例えば、光L6が第1レンズアレイプレート24に対して垂直に出射される場合、曲がり角γ=0°であり、光L6が第1レンズアレイプレート24に対して平行に出射される場合、曲がり角γ=90°であり、光L6が第1レンズアレイプレート24に対して垂直に反射される場合、曲がり角γ=180°である。また、ここでは第1レンズアレイプレート24の屈折率nを1.53とする。この場合、V溝40の斜面における臨界角θcは40.8°となる。
【0057】
図10は、第2面のV溝における斜面の傾斜角度εが臨界角θc以下の場合の光路を示す。この場合、V溝40の斜面に入射した光L6は、図10に示すようにV溝40の斜面で屈折して第2レンズアレイプレート方向に出射する。
【0058】
図11は、第2面のV溝における斜面の傾斜角度εが臨界角θcより大きい場合の光路を示す。図11は、傾斜角度ε=45°の場合の光路を示している。この場合、あるV溝40の斜面で全反射した光L6は、再度隣接するV溝40の斜面で全反射した後、第1面方向に向かっている(曲がり角γ=180°)。なお、図11では傾斜角度ε=45°としたため、上記のような光路となったが、あるV溝40の斜面で全反射した後の光L6の光路は、傾斜角度εの値によって変わる。例えば、傾斜角度ε=70°の場合、あるV溝40の斜面で全反射した光L6は、隣接するV溝40の斜面で屈折し、第2レンズアレイプレート方向に向かう。
【0059】
図12は、第2面のV溝における斜面の傾斜角度εと、光の曲がり角γの関係を示す。図8にて説明したように、光L6を第1面方向に反射させた場合(すなわち、曲がり角>90°となる場合)に、ゴーストノイズの低減効果をより高めることができる。その中でも、曲がり角γ=180°となるときが最もゴーストノイズの低減効果が高いので、V溝40の傾斜角度εは、45°とするのが最も望ましい。曲がり角度γは、図12に示すように傾斜角度εの値に応じて変化する。ゴーストノイズの低減に効果のある曲がり角度γの範囲は、レンズの設計によって変わってくるので、傾斜角度εはレンズの設計に応じて適宜設定すればよい。
【0060】
図13は、第3面のV溝における斜面の傾斜角度εと、光の曲がり角γの関係を示す。この場合、空気から第2レンズアレイプレートへの入射であるので、全反射は生じない。図13に示すように、第3面のV溝における斜面の傾斜角度εが増加すると、曲がり角γも増加する。第3面のV溝の場合も、ゴーストノイズの低減に効果のある曲がり角度γの範囲は、レンズの設計によって変わってくるので、傾斜角度εはレンズの設計に応じて適宜設定すればよい。
【0061】
図9〜図13においては、V溝の一方の斜面の傾斜角度と他方の斜面の傾斜角度が等しい場合について説明した。しかしながら、V溝の一方の斜面と他方の斜面は等しい必要はなく、例えばV溝の位置に応じて一方の斜面と他方の斜面の傾斜角度が異なっていてもよい。また、各V溝の傾斜角度は一定である必要はなく、例えばV溝の位置に応じて異ならせてもよい。このように、V溝の配置位置に応じて適宜傾斜角度を調整することにより、より好適なゴーストノイズの除去が可能となる。
【0062】
図3に示す正立等倍レンズアレイプレート11では、第2面24dにV溝40を形成した。しかしながら、上述のように第2面と第3面の両方にV溝が形成されてもよい。この場合、第2面と第3面の両方のV溝で迷光が曲げられるので、ゴーストノイズの低減効果をより高めることができる。ただし、この場合は、V溝の副走査方向の幅W1は、第1レンズ24aの開口径D1と等しいことが望ましい。なぜなら、第2面24d及び/又は第3面26cのV溝により、新たなゴーストを生じる可能性があるためである。
【0063】
図3の実施形態では、第1面側遮光壁30を膜状の遮光部材とし、第4面側遮光壁32をプレート状の遮光部材としたが、第1面側遮光壁30と第4面側遮光壁32を両方ともプレート状の遮光部材としてもよい。このように遮光壁を高くすると、ゴーストノイズの低減効果をより高めることができる。また、第1面側遮光壁30をプレート状の遮光部材とし、第4面側遮光壁32を膜状の遮光部材としてもよい。また、第1面側遮光壁30の第1面側貫通孔30aは、円錐台形状であってもよい。すなわち、第1面側貫通孔30aは、原稿側開口径と第1面側開口径が異なっていてもよい。また、第4面側遮光壁32の第4面側貫通孔32aは、円錐台形状であってもよい。すなわち、第4面側貫通孔32aは、像面側開口径と第4面側開口径が異なっていてもよい。
【0064】
図14は、本発明のさらに別の実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート1611を示す。本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート1611において、中間遮光壁34の中間貫通孔34aは、孔径が第2面24d側から第3面26c側に向けて逆テーパ状に大きくなる円錐台形状に形成されている。また、本実施形態においては、中間貫通孔34aの孔径が大きい側に位置するレンズ間領域である第3面26cの第3面レンズ間領域26fに、複数のV溝42が形成されている。なお、第2面24dの第2面レンズ間領域は、平坦面とされている。また、正立等倍レンズアレイプレート1611では、第1面側遮光壁30がプレート状の遮光部材とされ、また第4面側遮光壁が取り除かれている。
【0065】
図14においても、図6と同様に光L4(破線)と光L5(一点鎖線)の光路が図示されている。本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート1611においては、図14に示すように、第3面レンズ間領域26fに形成されたV溝42により、光L4およびL5が正立等倍レンズアレイプレート1611の副走査方向に曲げられる。V溝42により曲げられた光L4およびL5は、第2レンズアレイプレート26を通過した後、ラインイメージセンサ20から遠ざかる方向に進むので、ラインイメージセンサ20には入射しない。従って、本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート1611によれば、第4面側遮光壁を設けずともゴーストノイズの低減された正立等倍像を形成することができる。その結果、部品点数がより削減されるので、より安価な正立等倍レンズアレイプレートを実現できる。
【0066】
本実施形態においても、製造時に中間遮光壁34が所定の位置からずれた場合、V溝の設置されていない第2面24dの第2面レンズ間領域が中間遮光壁34で完全に覆われなくなり、平坦面が現れる。これによりゴーストノイズが発生するおそれがある。このため、V溝は第2面24dと第3面26cの両方に形成されることがさらに好ましい。
【0067】
なお、図14に示す正立等倍レンズアレイプレート1611において、第1面側遮光壁30をさらに取り除くことはできない。また、図3に示す正立等倍レンズアレイプレート11において、第1面側遮光壁30を取り除くことはできない。原稿Gはラインイメージセンサ20と異なり副走査方向の幅が広いので、原稿Gからラインイメージセンサ20に向かう複数の迷光の光路が存在し、V溝を設けただけではラインイメージセンサ20に迷光が入射するのを防止できないからである。
【0068】
上述の実施形態では、中間貫通孔34aにおける小さい方の開口径は、レンズ径に等しいものとして説明した。例えば、図2に示す実施形態では、中間遮光壁34の第3面側開口径は、第3レンズ26aのレンズ径に等しい。これにより、第3面レンズ間領域26fは、中間遮光壁34により完全に覆われている。しかしながら、このような構成とした場合、第2レンズ24bまたは第3レンズ26aと中間遮光壁34との組み付け寸法に余裕が無く、組み付け性が低下するおそれがある。そのため、組み付け性の向上を目的として、中間貫通孔34aにおける小さい方の開口径をレンズ径よりも若干大きくしてもよい。この場合、第2面レンズ間領域24fと第3面レンズ間領域26fの両方に中間遮光壁34で覆われていない面ができるので、第2面24dと第3面26cの両方にV溝を形成した方がより効果的にゴーストノイズを除去できる。
【0069】
また、上述の実施形態においては、円錐台形状の中間貫通孔34aを有する中間遮光壁34を用いたが、フレアノイズの除去がそれほど求められない場合には、円柱形状の中間貫通孔を有する中間遮光壁を用いてもよい。この場合も、組み付け性の低下を回避するために、中間遮光壁の開口径をレンズ径より大きくしてもよい。この場合、第2面24dと第3面26cのいずれか一方にV溝を形成してもある程度のゴーストノイズの除去は可能であるが、第2面レンズ間領域24fと第3面レンズ間領域26fの両方に中間遮光壁34で覆われていない面ができるので、第2面24dと第4面26dの両方にV溝を形成した方がより効果的にゴーストノイズを除去できる。
【0070】
次に、本発明の実施例を示す。ここでは、本発明の実施例と、比較例とについて、ノイズ比のシミュレーションを行った。具体的には、光線追跡シミュレーションにて、正立等倍レンズアレイプレートの主走査方向の領域にわたり、点状の光源からの光線をランバシャン90度の条件で発し、像面の特定の点に到達した結像光の光量を結像光伝達光量とし、特定の点以外に到達した光量をノイズ伝達光量とした。これを主走査方向にわたるライン状で実施した。ノイズ伝達光量の総和を結像光伝達光量で割った値を全ノイズ比とした。
【0071】
図15は、本発明の実施例に係る正立等倍レンズアレイプレート1711を示す。図15に示すように、正立等倍レンズアレイプレート1711は、第2面レンズ間領域24fに複数のV溝40が形成されている。また、正立等倍レンズアレイプレート1711は、プレート状の第1面側遮光壁30、第4面側遮光壁32および中間遮光壁34が設けられている。また、第1面側貫通孔30a、第4面側貫通孔32aおよび中間貫通孔34aは、円錐台形状に形成されている。また、比較例に係る正立等倍レンズアレイプレートは、第2面レンズ間領域24fにV溝40ではなく平坦面が形成されている点が本実施例と異なる。
【0072】
本実施例と比較例に共通のシミュレーション条件は、共役長TC=9.9mm、第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26の厚さ(以下、レンズ厚)=1.05mm、第1〜第4レンズの配列周期(以下、レンズ配列周期)=0.7mm、第1レンズ24aのレンズ径=0.6mm、第2レンズ24bのレンズ径=0.4mm、第3レンズ26aのレンズ径=0.4mm、第4レンズ26bのレンズ径=0.6mm、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26間のギャップ(以下、ギャップ)=0.8mm、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26の屈折率=1.53、第1面側遮光壁30の高さ=0.7mm、第4面側遮光壁32の高さ=0.7mm、中間遮光壁512の高さ=0.80m、第1面側遮光壁30の原稿側開口径=0.45mm、第1面側遮光壁30の第1面側開口径=0.51mm、第4面側遮光壁32の像面側開口径=0.45mm、第4面側遮光壁32の第4面側開口径=0.51mm、中間遮光壁512の第2面側開口径=0.65mm、中間遮光壁512の第3面側開口径=0.35mmである。
【0073】
図16は、比較例および本実施例のシミュレーション結果を示す。実施例においてはV溝の形状を以下の条件(1)〜(4)のように変化させ、V溝の副走査方向幅W1=0.51mmの場合と、W1=200mmの場合についてノイズ比を算出した。
(1)V溝幅=5μm、傾斜角度ε=60°、V溝高さ=4.3μm
(2)V溝幅=5μm、傾斜角度ε=45°、V溝高さ=2.5μm
(3)V溝幅=10μm、傾斜角度ε=60°、V溝高さ=8.7μm
(4)V溝幅=10μm、傾斜角度ε=45°、V溝高さ=5.0μm
【0074】
比較例のシミュレーション結果を見ると、V溝の副走査方向幅W1=0.51mm、200mmの両方において、ノイズ比は1.07%であった。これに対し実施例のシミュレーション結果を見ると、V溝の副走査方向幅W1=0.51mm、200mmの両方において、条件(1)〜(4)のいずれの場合も比較例と比べてノイズ比が低減されていることが分かる。特に条件(1)および(3)に関しては、ノイズ比は0.38%であり、比較例の約1/3程度に低減されている。このように本シミュレーション結果から、第2面レンズ間領域に形成された複数のV溝がゴーストノイズのさらなる低減に有効であることが分かる。
【0075】
図17は、本発明の別の実施形態に係る画像書込装置200を説明するための図である。図17に示すように、画像書込装置200は、複数のLEDがアレイ状に配列されたLEDアレイ206と、LEDアレイ206が搭載された基板204と、LEDアレイ206を制御する制御部202と、LEDアレイ206から出射された光を集光する上述の正立等倍レンズアレイプレート11と、正立等倍レンズアレイプレート11を透過した光を受光する感光体ドラム208と、上記構成要素を収容する筐体210とを備える。なお、図17においては、感光体ドラム208の周辺に設けられる現像装置、転写装置などについては図示を省略している。図1に示す画像読取装置100の原稿Gを、画像書込装置200では感光体ドラム208に置き換え、更に、画像読取装置100のラインイメージセンサ20を画像書込装置200のLEDアレイ206に置き換えることで、画像読取装置100に関して説明した事項は、画像書き込み装置にも当てはまる。
【0076】
画像書込装置200は、LEDを光源に用いた所謂LEDプリントヘッド方式の画像書込装置である。LEDプリントヘッド方式は、画素と発光源が1対1に対応しており、走査機構が不要である。従って、レーザ光源とポリゴンミラーを組み合わせたレーザROS(Raster Output Scanner)方式と比べて、装置を小型且つ軽量化できる。
【0077】
従来、LEDプリントヘッド方式の正立等倍レンズアレイとしては、ロッドレンズアレイが用いられていたが、本発明に係る正立等倍レンズアレイプレート11を用いることにより、より安価な画像書込装置200を実現できる。また、本発明に係る正立等倍レンズアレイプレート11を用いることにより、ゴーストノイズの低減された良好な画像を感光体ドラム208上に形成できる。
【0078】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0079】
例えば、上述の実施形態では、各レンズ面のレンズを主走査方向に一列に配列したが、レンズの配列パターンはこれに限定されず、たとえば、レンズを主走査方向に2列以上に配列した場合や、正方配列で配置した場合でも本発明を適用でき、ゴーストノイズの低減効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0080】
10 光走査ユニット、 11 正立等倍レンズアレイプレート、 12 筐体、 14 ガラス板、 20 ラインイメージセンサ、 24 第1レンズアレイプレート、 26 第2レンズアレイプレート、 30 第1面側遮光壁、 32 第4面側遮光壁、 34 中間遮光壁、 40,42 V溝、 100 画像読取装置、 200 画像書込装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置や画像書込装置に用いられる正立等倍レンズアレイプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スキャナ等の画像読取装置として、正立等倍結像光学系を用いた装置が知られている。正立等倍結像光学系を用いた場合、縮小結像光学系の場合よりも装置をコンパクトにすることができる。画像読取装置の場合、正立等倍結像光学系は、ライン状光源と、正立等倍レンズアレイと、ラインイメージセンサから構成される。
【0003】
正立等倍結像光学系における正立等倍レンズアレイとしては、正立等倍像を結像可能なロッドレンズアレイが用いられる。ロッドレンズアレイは、通常はレンズアレイの長手方向(画像読取装置の主走査方向)にロッドレンズが配列される。ロッドレンズの列数を増加することで、光量伝達率の向上、透過光量ムラの低減が図れるが、ロッドレンズアレイの場合、ロッドレンズの列数は、価格とのかねあいで1〜2列が一般的である。
【0004】
一方、正立等倍レンズアレイとして、両面に複数の微小凸レンズを規則的に配列した透明な平板状レンズアレイプレートを、個々の凸レンズの光軸が一致するように2枚積層した正立等倍レンズアレイプレートも構成可能である。このような正立等倍レンズアレイプレートは、射出成型などの方法により形成できるため、正立等倍レンズアレイを比較的安価に製造することができる。
【0005】
正立等倍レンズアレイプレートでは、隣接したレンズ間に光を隔離するための壁が無いため、正立等倍レンズアレイプレートに斜めに入射した光が、プレート内部を斜めに進んで隣接した凸レンズに入り込み、出射してノイズ(ゴーストノイズともいう)を発生するという問題がある。
【0006】
そこで、ゴーストノイズを低減するために、2枚のレンズアレイプレート間に遮光壁を設けた正立等倍レンズアレイプレートが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−069801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載されるように2枚のレンズアレイプレート間に遮光壁を設けただけであってもある程度ゴーストノイズを低減できるが、より高品質な正立等倍像を形成するためにはよりゴーストノイズを減らすことが望ましい。
【0009】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、ゴーストノイズの除去性能を向上することのできる正立等倍レンズアレイプレート、並びに該正立等倍レンズアレイプレートを用いた光走査ユニット、画像読取装置および画像書込装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の正立等倍レンズアレイプレートは、第1面に規則的に配置された複数の第1レンズと、第1面に対向する第2面に規則的に配置された複数の第2レンズとを有する第1レンズアレイプレートと、第3面に規則的に配置された複数の第3レンズと、第3面に対向する第4面に規則的に配置された複数の第4レンズとを有する第2レンズアレイプレートとを備え、第1レンズアレイプレートと第2レンズアレイプレートが、対応するレンズの組が共軸のレンズ系を構成するように第2面と第3面とを対向させて積層され、第1面側に置かれた物体の正立等倍像を第4面側の像面に形成する正立等倍レンズアレイプレートである。この正立等倍レンズアレイプレートは、第2レンズおよび第3レンズに対応する複数の中間貫通孔を有する中間遮光壁であって、各中間貫通孔が対応する第2レンズおよび第3レンズの正面に位置するように第1レンズアレイプレートと第2レンズアレイプレートとの間に設けられた中間遮光壁をさらに備える。第2面における互いに隣接する第2レンズ間の領域および/または第3面における互いに隣接する第3レンズ間の領域に、複数のV溝が形成されている。
【0011】
本発明の別の態様もまた、正立等倍レンズアレイプレートである。この正立等倍レンズアレイプレートは、第1面に規則的に配置された複数の第1レンズと、第1面に対向する第2面に規則的に配置された複数の第2レンズとを有する第1レンズアレイプレートと、第3面に規則的に配置された複数の第3レンズと、第3面に対向する第4面に規則的に配置された複数の第4レンズとを有する第2レンズアレイプレートとを備え、第1レンズアレイプレートと第2レンズアレイプレートが、対応するレンズの組が共軸のレンズ系を構成するように第2面と第3面とを対向させて積層され、第1面側に置かれた物体の正立等倍像を第4面側の像面に形成する正立等倍レンズアレイプレートである。この正立等倍レンズアレイプレートは、第2レンズおよび第3レンズに対応する複数の中間貫通孔を有する中間遮光壁であって、各中間貫通孔が対応する第2レンズおよび第3レンズの正面に位置するように第1レンズアレイプレートと第2レンズアレイプレートとの間に設けられた中間遮光壁をさらに備える。中間貫通孔は、孔径が第2面側から第3面側に向けてテーパ状に小さくなるように形成されている。そして、第2面における互いに隣接する第2レンズ間の領域に複数のV溝が形成されている。
【0012】
本発明のさらに別の態様もまた、正立等倍レンズアレイプレートである。この正立等倍レンズアレイプレートは、第1面に規則的に配置された複数の第1レンズと、第1面に対向する第2面に規則的に配置された複数の第2レンズとを有する第1レンズアレイプレートと、第3面に規則的に配置された複数の第3レンズと、第3面に対向する第4面に規則的に配置された複数の第4レンズとを有する第2レンズアレイプレートとを備え、第1レンズアレイプレートと第2レンズアレイプレートが、対応するレンズの組が共軸のレンズ系を構成するように第2面と第3面とを対向させて積層され、第1面側に置かれた物体の正立等倍像を第4面側の像面に形成する正立等倍レンズアレイプレートである。この正立等倍レンズアレイプレートは、第2レンズおよび第3レンズに対応する複数の中間貫通孔を有する中間遮光壁であって、各中間貫通孔が対応する第2レンズおよび第3レンズの正面に位置するように第1レンズアレイプレートと第2レンズアレイプレートとの間に設けられた中間遮光壁をさらに備える。中間貫通孔は、孔径が第2面側から第3面側に向けて逆テーパ状に大きくなるように形成されている。そして、第3面における互いに隣接する第3レンズ間の領域に複数のV溝が形成されている。
【0013】
V溝は、当該正立等倍レンズアレイプレートの主走査方向に対して略平行に延びるよう形成されてもよい。また、全てのV溝の副走査方向の幅は、第1レンズの開口径以上であってもよい。また、互いに隣接するV溝同士が副走査方向の端部において当接してもよい。
【0014】
本発明の別の態様は、光走査ユニットである。この光走査ユニットは、被読取画像に光を照射するライン状光源と、被読取画像から反射した光を集光する上述の正立等倍レンズアレイプレートと、正立等倍レンズアレイプレートを透過した光を受光するラインイメージセンサとを備える。
【0015】
本発明のさらに別の態様は、画像読取装置である。この装置は、上述の光走査ユニットと、光走査ユニットによって検出された画像信号を処理する画像処理部とを備える。
【0016】
本発明のさらに別の態様は、画像書込装置である。この装置は、複数のLEDがアレイ状に配列されたLEDアレイと、LEDアレイから出射された光を集光する上述の正立等倍レンズアレイプレートと、正立等倍レンズアレイプレートを透過した光を受光する感光体ドラムとを備える。
【0017】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ゴーストノイズの除去性能を向上することのできる正立等倍レンズアレイプレート、並びに該正立等倍レンズアレイプレートを用いた光走査ユニット、画像読取装置および画像書込装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る画像読取装置を説明するための図である。
【図2】光走査ユニットの主走査方向における断面図である。
【図3】図2のA−A線に沿った正立等倍レンズアレイプレートの断面図である。
【図4】第1レンズアレイプレートの第2面の正面図である。
【図5】比較例に係る正立等倍レンズアレイプレートの主走査方向における断面図である。
【図6】比較例に係る正立等倍レンズアレイプレートの副走査方向における断面図である。
【図7】本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレートの動作を説明するための図である。
【図8】本発明のさらに別の実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレートを示す図である。
【図9】第2面のV溝における斜面の傾斜角度と光の曲がり角度との関係を説明するための図である。
【図10】第2面のV溝における斜面の傾斜角度εが臨界角θc以下の場合の光路を示す図である。
【図11】第2面のV溝における斜面の傾斜角度εが臨界角θcより大きい場合の光路を示す図である。
【図12】第2面のV溝における斜面の傾斜角度εと、光の曲がり角γの関係を示す図である。
【図13】第3面のV溝における斜面の傾斜角度εと、光の曲がり角γの関係を示す図である。
【図14】本発明のさらに別の実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレートを示す図である。
【図15】本発明の実施例に係る正立等倍レンズアレイプレートを示す図である。
【図16】比較例および本実施例のシミュレーション結果を示す図である。
【図17】本発明の別の実施形態に係る画像書込装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る画像読取装置100を説明するための図である。図1に示すように、画像読取装置100は、筐体102、原稿Gを載置する原稿台としてのガラス板14、筐体102内に収容された光走査ユニット10、光走査ユニット10を走査する駆動機構(図示せず)、光走査ユニット10によって読み取られたデータを処理する画像処理部(図示せず)等を備える。
【0021】
光走査ユニット10は、ガラス板14上に載置された原稿Gに光を照射するライン状光源16と、原稿Gからの反射光を集光する正立等倍レンズアレイプレート11と、正立等倍レンズアレイプレート11により集光された光を受けるラインイメージセンサ(光電変換素子)20と、ライン状光源16、正立等倍レンズアレイプレート11およびラインイメージセンサ20を固定するケース(図示せず)とを備える。
【0022】
ライン状光源16は、略直線状の光を出射する光源である。ライン状光源16は、その光軸が、正立等倍レンズアレイプレート11の光軸Axとガラス板14の上面との交点を通るように固定される。ライン状光源16から出射された光は、ガラス板14上に置かれた原稿Gに照射される。原稿Gに照射された光は、原稿Gにより正立等倍レンズアレイプレート11に向けて反射される。
【0023】
正立等倍レンズアレイプレート11は、後述するように、複数の凸レンズを両面に形成した第1レンズアレイプレート24、第2レンズアレイプレート26が対応するレンズの組が共軸のレンズ系を構成するように積層されたものである。第1レンズアレイプレート24、第2レンズアレイプレート26は、ホルダ(図示せず)により積層状態で保持されている。正立等倍レンズアレイプレート11は、その長手方向が主走査方向に、短手方向が副走査方向に一致するように画像読取装置100に装着される。
【0024】
正立等倍レンズアレイプレート11は、上方に位置する原稿Gから反射されたライン状の光を受けて、下方に位置する像面、すなわちラインイメージセンサ20の受光面に正立等倍像を形成する。画像読取装置100は、光走査ユニット10を副走査方向に走査することにより、原稿Gを読み取ることができる。
【0025】
図2は、光走査ユニット10の主走査方向における断面図である。図2において、縦方向が正立等倍レンズアレイプレート11の主走査方向(長手方向)であり、奥行き方向が副走査方向(短手方向)である。
【0026】
上述したように、正立等倍レンズアレイプレート11は、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26とが積層されて構成されている。第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26は、長方形状のプレートであり、その両面には複数の凸レンズが配列形成されている。
【0027】
第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26は、射出成形により形成される。第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26の材質は、射出成形に使用可能で、必要な波長帯域の光に対して光透過性が高く、吸水性の低いものが望ましい。望ましい材質としては、シクロオレフィン系樹脂や、オレフィン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネートなどを例示することができる。
【0028】
第1レンズアレイプレート24の一方の面である第1面24c上には、複数の第1レンズ24aが、第1レンズアレイプレート24の長手方向に沿って一列に配列されている。また、第1レンズアレイプレート24の第1面24cに対向する第2面24d上には、複数の第2レンズ24bが、第1レンズアレイプレート24の長手方向に沿って一列に配列されている。図2に示すように、本実施形態においては、第2レンズ24bのレンズ径は、第1レンズ24aのレンズ径よりも小さい。
【0029】
第2レンズアレイプレート26の一方の面である第3面26c上には、複数の第3レンズ26aが、第2レンズアレイプレート26の長手方向に沿って一列に配列されている。また、第3面26cに対向する第4面26d上には、複数の第4レンズ26bが、第2レンズアレイプレート26の長手方向に沿って一列に配列されている。図2に示すように、本実施形態においては、第3レンズ26aのレンズ径は、第4レンズ26bのレンズ径よりも小さい。第3レンズ26aのレンズ径は第2レンズ24bのレンズ径と等しく、第4レンズ26bのレンズ径は、第1レンズ24aのレンズ径と等しい。
【0030】
なお、本実施の形態では、第1レンズ24a、第2レンズ24b、第3レンズ26aおよび第4レンズ26bの形状を球面としたが、非球面であってもよい。
【0031】
第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26は、対応する第1レンズ24a、第2レンズ24b、第3レンズ26a、第4レンズ26bの組が共軸のレンズ系を構成するように第2面24dと第3面26cとを対向させて積層される。言い換えると、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26は、対応する第1レンズ24a、第2レンズ24b、第3レンズ26a、第4レンズ26bの光軸が一致するように積層される。
【0032】
第1レンズアレイプレート24の第1面24c上には、第1面側遮光壁30が設けられている。この第1面側遮光壁30は、遮光性材料によって形成された膜状の遮光部材であり、複数の第1面側貫通孔30aが形成されている。第1面側貫通孔30aは、第1面側遮光壁30の長手方向に沿って一列に、第1レンズアレイプレート24の第1レンズ24aと対応するように形成されている。各第1面側貫通孔30aの孔径は第1レンズ24aのレンズ有効径と等しい。第1面側遮光壁30は、各第1面側貫通孔30aが対応する第1レンズ24aの正面に位置するように第1面24c上に設けられる。言い換えると、第1面側遮光壁30は、各第1面側貫通孔30aの中心軸が対応する第1レンズ24aの光軸と一致するように第1面24c上に設けられる。図2に示すように、第1面側遮光壁30により、第1レンズ24aの有効領域以外の第1面24cの領域24e(以下、「第1面平坦領域24e」とも呼ぶ)が覆われている。レンズの有効領域とは、レンズとしての機能を有する部分のことである。第1面側遮光壁30により、結像に寄与しない光が遮断される。第1面側遮光壁30は、第1面24c上に、黒色インキなどの光吸収性材料を用いて遮光パターンを印刷することにより形成することができる。
【0033】
第2レンズアレイプレート26の第4面26d上には、第4面側遮光壁32が設けられている。この第4面側遮光壁32は、遮光性材料によって形成されたプレート状の遮光部材であり、複数の第4面側貫通孔32aが形成されている。第4面側貫通孔32aは、第4面側遮光壁32の長手方向に沿って一列に、第2レンズアレイプレート26の第4レンズ26bと対応するように形成されている。各第4面側貫通孔32aは、円柱形状であり、その孔径は第4レンズ26bのレンズ有効径と等しい。第4面側遮光壁32は、各第4面側貫通孔32aが対応する第4レンズ26bの正面に位置するように第4面26d上に設けられる。言い換えると、第4面側遮光壁32は、各第4面側貫通孔32aの中心軸が対応する第4レンズ26bの光軸と一致するように第4面26d上に設けられる。図2に示すように、第4面側遮光壁32により、第4レンズ26bの有効領域以外の第4面26dの領域26e(以下、「第4面平坦領域26e」とも呼ぶ)が覆われている。
【0034】
第4面側遮光壁32は、例えば黒色のABS樹脂などの光吸収性材料を用いて、射出成形などの方法により形成することができる。また、第4面側遮光壁32は、黒色樹脂塗料を積層させることににより形成されてもよい。
【0035】
なお、本明細書では、第1面側遮光壁30を「膜状」とし、第4面側遮光壁32を「プレート状」としているが、これは、第1面側遮光壁30が第4面側遮光壁32に比べて非常に薄いことを意味する。言い換えると、「膜状」とは、厚さが無視できる程度に薄いことを意味する。
【0036】
図2に示すように、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26との間には中間遮光壁34が設けられている。この中間遮光壁34は、遮光性材料によって形成されたプレート状の遮光部材であり、複数の中間貫通孔34aが形成されている。中間貫通孔34aは、中間遮光壁34の長手方向に沿って一列に、第2レンズ24bと第3レンズ26aと対応するように形成されている。本実施形態において、中間貫通孔34aは、孔径が第2面24d側から第3面26c側に向けてテーパ状に小さくなる円錐台形状に形成されている。中間遮光壁34は、各中間貫通孔34aが対応する第2レンズ24bおよび第3レンズ26aの正面に位置するように、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26との間に設けられる。言い換えると、中間遮光壁34は、各中間貫通孔34aの中心軸が対応する第2レンズ24bおよび第3レンズ26aの光軸と一致するように第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26との間に設けられる。
【0037】
図2に示すように、中間遮光壁512により、第2面レンズ間領域24fと第3面レンズ間領域26fとが覆われている。上述したように中間遮光壁34の中間貫通孔34aは、孔径が第2面24d側から第3面26c側に向けてテーパ状に小さくなる円錐台形状に形成されている。従って、第3面レンズ間領域26fは中間遮光壁34により完全に覆われているが、第2面レンズ間領域24fは中間遮光壁34により完全には覆われておらず、第2面レンズ間領域24fの一部が露出している。
【0038】
中間遮光壁34は、例えば黒色のABS樹脂などの光吸収性材料を用いて、射出成形などの方法により形成することができる。また、中間遮光壁34は、黒色樹脂塗料を積層させることににより形成されてもよい。
【0039】
上記のように中間貫通孔34aを円錐台形状に形成した理由は、所謂フレアノイズの発生を抑制するためである。中間遮光壁34は本来、第1レンズアレイプレート24を斜めに通過した光を遮光することによりゴーストノイズを防ぐ機能を有する。しかしながら、中間貫通孔34aの内壁面に入射した光は、光吸収性材料を用いた場合でも完全には吸収されず、一部が内壁面で反射(フレネル反射)する。
【0040】
中間遮光壁34における中間貫通孔を本実施形態のように円錐台形状ではなく、円柱形状に形成した場合、中間貫通孔の内壁面で反射した光が第2レンズアレイプレート26を通過した後、ラインイメージセンサ20に入射し、フレアノイズが発生してしまう可能性がある。
【0041】
図2には、本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート11におけるフレアノイズの除去を説明するために、原稿Gのある点から出射された光L(一点鎖線)の光路が図示されている。本実施形態においては、中間貫通孔34aは、孔径が第2面24d側から第3面26c側に向けてテーパ状に小さくなる円錐台形状に形成されている。つまり、中間貫通孔34aの内壁面は、レンズの光軸Axに対して傾斜している。このように内壁面が傾斜していることにより、中間貫通孔34aの内壁面における光の反射角は、中間貫通孔を円柱形状とした場合よりも小さくなる。ここでいう反射角とは、内壁面の法線と反射光とのなす角である。光軸Axに対する内壁面の傾斜角度をθとすると、内壁面を光軸Axに対してθ傾斜させることにより、光Lの反射角は、中間貫通孔を円柱形状とした場合よりも2θ分だけ小さくなる。反射角が小さくなったことにより、光Lは、第4面側遮光壁32に衝突し、遮光または少なくとも減衰する。従って、本実施形態においては、光Lはラインイメージセンサ20に実質的に到達せず、フレアノイズの発生を防止できる。
【0042】
図3は、図2のA−A線に沿った正立等倍レンズアレイプレート11の断面図である。図3において、縦方向が正立等倍レンズアレイプレート11の副走査方向(短手方向)であり、奥行き方向が主走査方向(長手方向)である。また、図4は、第1レンズアレイプレート24の第2面24dの正面図である。本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート11は、第1レンズアレイプレート24の第2面24dにおける隣接する第2レンズ24b間の領域24f(以下、「第2面レンズ間領域24f」とも呼ぶ)に特徴を有する。従って、図2のA−A線は、一部が第2面レンズ間領域24fを通るように描かれている。なお、本実施形態においては、第2レンズアレイプレート26の第3面26cにおける隣接する第3レンズ26a間の領域26f(以下、「第3面レンズ間領域26f」とも呼ぶ)は、平坦面とされている。
【0043】
図3および図4に示すように、本実施形態においては、第2面レンズ間領域24fに、複数のV溝40が形成されている。V溝40は、第2面レンズ間領域24fに入射した光を、正立等倍レンズアレイプレート11の副走査方向に曲げる機能を有する。光の曲がる方向は、V溝40の斜面の傾斜角度を変えることにより、制御できる。
【0044】
図3および図4に示すように、複数のV溝40は、正立等倍レンズアレイプレート11の主走査方向に対して略平行に延びるよう形成されている。V溝40は、互いに隣接するV溝同士が副走査方向の端部において当接するように配置される。第2面24dに断面三角形状の凹部を形成することによりV溝40を設けてもよいし、第2面24dに断面三角形状の凸部を形成することによりV溝40を設けてもよい。
【0045】
以上のように構成された正立等倍レンズアレイプレート11は、第1レンズ24aから原稿Gまでの距離および第4レンズ26bからラインイメージセンサ20までの距離が所定の作動距離となるように、画像読取装置100に組み込まれる。
【0046】
次に、本実施の形態に係る正立等倍レンズアレイプレート11の動作について説明する。正立等倍レンズアレイプレート11の動作を説明する前に、まず比較例を示す。
【0047】
図5は、比較例に係る正立等倍レンズアレイプレート611の主走査方向における断面図である。本比較例に係る正立等倍レンズアレイプレート611においては、第2面レンズ間領域24fは平坦面とされている。その他の構成については、図2に示す本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート11と同様である。
【0048】
図5には、原稿Gから出射された光L1(実線)、光L2(破線)および光L3(一点鎖線)の光路が図示されている。光L1〜L3は、いずれも斜めに正立等倍レンズアレイプレート611に入射する光である。
【0049】
正立等倍レンズアレイプレート611に斜めに入射する光の多くは、光L1に示すように、中間遮光壁512により吸収または少なくとも減衰される。しかしながら、上述したように第2面レンズ間領域24fの一部が露出しているので、この露出部分を通過したL2のような光が中間遮光壁34や第4面側遮光壁32により遮光されずにラインイメージセンサ20に到達し、ゴーストノイズが発生する場合がある。また、第4面側遮光壁32の高さが十分でない場合には、光L3のようにレンズを通ってラインイメージセンサ20に到達し、ゴーストノイズとなる光もある。光L2と光L3は、ゴーストノイズの元となる光、すなわち迷光である。
【0050】
図6は、比較例に係る正立等倍レンズアレイプレート611の副走査方向における断面図である。図6には、光L4(破線)と光L5(一点鎖線)の光路が図示されている。図6の光L4とL5は、図5における光L2、光L3それぞれの光の副走査方向の広がりを表しており、原稿Gから第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26を斜めに通過してラインイメージセンサ20に到達する迷光を示している。図5および図6から分かるように、比較例に係る正立等倍レンズアレイプレート611においては、中間遮光壁34を設けただけでは遮光できない迷光が存在する。
【0051】
図7は、本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート11の動作を説明するための図である。図7は、図2のA−A線に沿った正立等倍レンズアレイプレート11の断面を表す。図7においても、図6と同様に光L4(破線)と光L5(一点鎖線)の光路が図示されている。
【0052】
本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート11においては、図7に示すように、第2面レンズ間領域24fに形成されたV溝40により、光L4およびL5が正立等倍レンズアレイプレート11の副走査方向に曲げられる。V溝40により曲げられた光L4およびL5は、中間遮光壁34により吸収または少なくとも減衰され、ラインイメージセンサ20には到達しない。つまり、本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート11によれば、比較例に係る正立等倍レンズアレイプレート611では遮光できなかった迷光を遮光できる。その結果、比較例に係る正立等倍レンズアレイプレート611に比べてゴーストノイズの低減された高品質な正立等倍像を形成できる。
【0053】
図6に示されるように、ゴーストノイズの元となる迷光の光路は、第2面レンズ間領域24fと第3面レンズ間領域26fを通ること以外は結像光に類似している。よって、迷光が通過し得る第2面レンズ間領域24fの副走査方向の幅は、第1レンズ24aの開口径を超えることはない。従って、図3に示すように、全てのV溝40の副走査方向の幅W1は、第1レンズ24aの開口径D1以上あればよい。第1レンズ24aの開口径D1は、第1面側遮光壁30の第1面側貫通孔30aの孔径と等しい。
【0054】
V溝は、中間貫通孔34aの孔径が大きい側に位置するレンズ間領域(本実施形態では第2面レンズ間領域24f)に設けられる必要がある。しかしながら、製造時に中間遮光壁34が所定の位置からずれた場合、V溝の設置されていない第3面26cの第3面レンズ間領域26fが中間遮光壁34で完全に覆われなくなり、平坦面が現れる。これによりゴーストノイズが発生するおそれがある。このため、V溝は第2面24dと第3面26cの両方に形成されることがさらに好ましい。
【0055】
図8は、本発明のさらに別の実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート1011を示す。図8においても、図6と同様に光L4(破線)と光L5(一点鎖線)の光路が図示されている。本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート1011では、第2面レンズ間領域24fに入射した光が第1面24c方向に反射するようV溝40が形成されている。V溝40の斜面の傾斜角度を調整することにより、第2面レンズ間領域24fに入射した光L4およびL5を第1面24c方向へ反射させることができる。本実施形態によれば、比較例に係る正立等倍レンズアレイプレート611では遮光できなかった迷光を遮光できる。その結果、比較例に係る正立等倍レンズアレイプレート611に比べてゴーストノイズの低減された高品質な正立等倍像を形成できる。さらに、本実施形態によれば、迷光をラインイメージセンサ20と反対方向に向かわせることができるので、迷光がラインイメージセンサ20に入射するのを確実に防止することができ、ゴーストノイズの低減効果をより高めることができる。
【0056】
図9は、第2面のV溝における斜面の傾斜角度と光の曲がり角度との関係を説明するための図である。ここでは、二等辺三角形状に形成されたV溝40に、入射角度0°の光L6が入射した場合、光L6(破線)がどのように曲がるかについて考察する。入射角度0°の光とは、正立等倍レンズアレイプレートに垂直に入射する光を意味する。図9に示すように、V溝40の斜面と第1レンズアレイプレート24に平行な面とのなす角を、傾斜角度εとする。図9に示すV溝40は、一方の斜面40aの傾斜角度εと他方の斜面40bの傾斜角度εが等しい。また、第1レンズアレイプレート24に対する垂直線と、V溝40の斜面から出射された光L6とのなす角を光L6の曲がり角γとする。例えば、光L6が第1レンズアレイプレート24に対して垂直に出射される場合、曲がり角γ=0°であり、光L6が第1レンズアレイプレート24に対して平行に出射される場合、曲がり角γ=90°であり、光L6が第1レンズアレイプレート24に対して垂直に反射される場合、曲がり角γ=180°である。また、ここでは第1レンズアレイプレート24の屈折率nを1.53とする。この場合、V溝40の斜面における臨界角θcは40.8°となる。
【0057】
図10は、第2面のV溝における斜面の傾斜角度εが臨界角θc以下の場合の光路を示す。この場合、V溝40の斜面に入射した光L6は、図10に示すようにV溝40の斜面で屈折して第2レンズアレイプレート方向に出射する。
【0058】
図11は、第2面のV溝における斜面の傾斜角度εが臨界角θcより大きい場合の光路を示す。図11は、傾斜角度ε=45°の場合の光路を示している。この場合、あるV溝40の斜面で全反射した光L6は、再度隣接するV溝40の斜面で全反射した後、第1面方向に向かっている(曲がり角γ=180°)。なお、図11では傾斜角度ε=45°としたため、上記のような光路となったが、あるV溝40の斜面で全反射した後の光L6の光路は、傾斜角度εの値によって変わる。例えば、傾斜角度ε=70°の場合、あるV溝40の斜面で全反射した光L6は、隣接するV溝40の斜面で屈折し、第2レンズアレイプレート方向に向かう。
【0059】
図12は、第2面のV溝における斜面の傾斜角度εと、光の曲がり角γの関係を示す。図8にて説明したように、光L6を第1面方向に反射させた場合(すなわち、曲がり角>90°となる場合)に、ゴーストノイズの低減効果をより高めることができる。その中でも、曲がり角γ=180°となるときが最もゴーストノイズの低減効果が高いので、V溝40の傾斜角度εは、45°とするのが最も望ましい。曲がり角度γは、図12に示すように傾斜角度εの値に応じて変化する。ゴーストノイズの低減に効果のある曲がり角度γの範囲は、レンズの設計によって変わってくるので、傾斜角度εはレンズの設計に応じて適宜設定すればよい。
【0060】
図13は、第3面のV溝における斜面の傾斜角度εと、光の曲がり角γの関係を示す。この場合、空気から第2レンズアレイプレートへの入射であるので、全反射は生じない。図13に示すように、第3面のV溝における斜面の傾斜角度εが増加すると、曲がり角γも増加する。第3面のV溝の場合も、ゴーストノイズの低減に効果のある曲がり角度γの範囲は、レンズの設計によって変わってくるので、傾斜角度εはレンズの設計に応じて適宜設定すればよい。
【0061】
図9〜図13においては、V溝の一方の斜面の傾斜角度と他方の斜面の傾斜角度が等しい場合について説明した。しかしながら、V溝の一方の斜面と他方の斜面は等しい必要はなく、例えばV溝の位置に応じて一方の斜面と他方の斜面の傾斜角度が異なっていてもよい。また、各V溝の傾斜角度は一定である必要はなく、例えばV溝の位置に応じて異ならせてもよい。このように、V溝の配置位置に応じて適宜傾斜角度を調整することにより、より好適なゴーストノイズの除去が可能となる。
【0062】
図3に示す正立等倍レンズアレイプレート11では、第2面24dにV溝40を形成した。しかしながら、上述のように第2面と第3面の両方にV溝が形成されてもよい。この場合、第2面と第3面の両方のV溝で迷光が曲げられるので、ゴーストノイズの低減効果をより高めることができる。ただし、この場合は、V溝の副走査方向の幅W1は、第1レンズ24aの開口径D1と等しいことが望ましい。なぜなら、第2面24d及び/又は第3面26cのV溝により、新たなゴーストを生じる可能性があるためである。
【0063】
図3の実施形態では、第1面側遮光壁30を膜状の遮光部材とし、第4面側遮光壁32をプレート状の遮光部材としたが、第1面側遮光壁30と第4面側遮光壁32を両方ともプレート状の遮光部材としてもよい。このように遮光壁を高くすると、ゴーストノイズの低減効果をより高めることができる。また、第1面側遮光壁30をプレート状の遮光部材とし、第4面側遮光壁32を膜状の遮光部材としてもよい。また、第1面側遮光壁30の第1面側貫通孔30aは、円錐台形状であってもよい。すなわち、第1面側貫通孔30aは、原稿側開口径と第1面側開口径が異なっていてもよい。また、第4面側遮光壁32の第4面側貫通孔32aは、円錐台形状であってもよい。すなわち、第4面側貫通孔32aは、像面側開口径と第4面側開口径が異なっていてもよい。
【0064】
図14は、本発明のさらに別の実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート1611を示す。本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート1611において、中間遮光壁34の中間貫通孔34aは、孔径が第2面24d側から第3面26c側に向けて逆テーパ状に大きくなる円錐台形状に形成されている。また、本実施形態においては、中間貫通孔34aの孔径が大きい側に位置するレンズ間領域である第3面26cの第3面レンズ間領域26fに、複数のV溝42が形成されている。なお、第2面24dの第2面レンズ間領域は、平坦面とされている。また、正立等倍レンズアレイプレート1611では、第1面側遮光壁30がプレート状の遮光部材とされ、また第4面側遮光壁が取り除かれている。
【0065】
図14においても、図6と同様に光L4(破線)と光L5(一点鎖線)の光路が図示されている。本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート1611においては、図14に示すように、第3面レンズ間領域26fに形成されたV溝42により、光L4およびL5が正立等倍レンズアレイプレート1611の副走査方向に曲げられる。V溝42により曲げられた光L4およびL5は、第2レンズアレイプレート26を通過した後、ラインイメージセンサ20から遠ざかる方向に進むので、ラインイメージセンサ20には入射しない。従って、本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート1611によれば、第4面側遮光壁を設けずともゴーストノイズの低減された正立等倍像を形成することができる。その結果、部品点数がより削減されるので、より安価な正立等倍レンズアレイプレートを実現できる。
【0066】
本実施形態においても、製造時に中間遮光壁34が所定の位置からずれた場合、V溝の設置されていない第2面24dの第2面レンズ間領域が中間遮光壁34で完全に覆われなくなり、平坦面が現れる。これによりゴーストノイズが発生するおそれがある。このため、V溝は第2面24dと第3面26cの両方に形成されることがさらに好ましい。
【0067】
なお、図14に示す正立等倍レンズアレイプレート1611において、第1面側遮光壁30をさらに取り除くことはできない。また、図3に示す正立等倍レンズアレイプレート11において、第1面側遮光壁30を取り除くことはできない。原稿Gはラインイメージセンサ20と異なり副走査方向の幅が広いので、原稿Gからラインイメージセンサ20に向かう複数の迷光の光路が存在し、V溝を設けただけではラインイメージセンサ20に迷光が入射するのを防止できないからである。
【0068】
上述の実施形態では、中間貫通孔34aにおける小さい方の開口径は、レンズ径に等しいものとして説明した。例えば、図2に示す実施形態では、中間遮光壁34の第3面側開口径は、第3レンズ26aのレンズ径に等しい。これにより、第3面レンズ間領域26fは、中間遮光壁34により完全に覆われている。しかしながら、このような構成とした場合、第2レンズ24bまたは第3レンズ26aと中間遮光壁34との組み付け寸法に余裕が無く、組み付け性が低下するおそれがある。そのため、組み付け性の向上を目的として、中間貫通孔34aにおける小さい方の開口径をレンズ径よりも若干大きくしてもよい。この場合、第2面レンズ間領域24fと第3面レンズ間領域26fの両方に中間遮光壁34で覆われていない面ができるので、第2面24dと第3面26cの両方にV溝を形成した方がより効果的にゴーストノイズを除去できる。
【0069】
また、上述の実施形態においては、円錐台形状の中間貫通孔34aを有する中間遮光壁34を用いたが、フレアノイズの除去がそれほど求められない場合には、円柱形状の中間貫通孔を有する中間遮光壁を用いてもよい。この場合も、組み付け性の低下を回避するために、中間遮光壁の開口径をレンズ径より大きくしてもよい。この場合、第2面24dと第3面26cのいずれか一方にV溝を形成してもある程度のゴーストノイズの除去は可能であるが、第2面レンズ間領域24fと第3面レンズ間領域26fの両方に中間遮光壁34で覆われていない面ができるので、第2面24dと第4面26dの両方にV溝を形成した方がより効果的にゴーストノイズを除去できる。
【0070】
次に、本発明の実施例を示す。ここでは、本発明の実施例と、比較例とについて、ノイズ比のシミュレーションを行った。具体的には、光線追跡シミュレーションにて、正立等倍レンズアレイプレートの主走査方向の領域にわたり、点状の光源からの光線をランバシャン90度の条件で発し、像面の特定の点に到達した結像光の光量を結像光伝達光量とし、特定の点以外に到達した光量をノイズ伝達光量とした。これを主走査方向にわたるライン状で実施した。ノイズ伝達光量の総和を結像光伝達光量で割った値を全ノイズ比とした。
【0071】
図15は、本発明の実施例に係る正立等倍レンズアレイプレート1711を示す。図15に示すように、正立等倍レンズアレイプレート1711は、第2面レンズ間領域24fに複数のV溝40が形成されている。また、正立等倍レンズアレイプレート1711は、プレート状の第1面側遮光壁30、第4面側遮光壁32および中間遮光壁34が設けられている。また、第1面側貫通孔30a、第4面側貫通孔32aおよび中間貫通孔34aは、円錐台形状に形成されている。また、比較例に係る正立等倍レンズアレイプレートは、第2面レンズ間領域24fにV溝40ではなく平坦面が形成されている点が本実施例と異なる。
【0072】
本実施例と比較例に共通のシミュレーション条件は、共役長TC=9.9mm、第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26の厚さ(以下、レンズ厚)=1.05mm、第1〜第4レンズの配列周期(以下、レンズ配列周期)=0.7mm、第1レンズ24aのレンズ径=0.6mm、第2レンズ24bのレンズ径=0.4mm、第3レンズ26aのレンズ径=0.4mm、第4レンズ26bのレンズ径=0.6mm、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26間のギャップ(以下、ギャップ)=0.8mm、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26の屈折率=1.53、第1面側遮光壁30の高さ=0.7mm、第4面側遮光壁32の高さ=0.7mm、中間遮光壁512の高さ=0.80m、第1面側遮光壁30の原稿側開口径=0.45mm、第1面側遮光壁30の第1面側開口径=0.51mm、第4面側遮光壁32の像面側開口径=0.45mm、第4面側遮光壁32の第4面側開口径=0.51mm、中間遮光壁512の第2面側開口径=0.65mm、中間遮光壁512の第3面側開口径=0.35mmである。
【0073】
図16は、比較例および本実施例のシミュレーション結果を示す。実施例においてはV溝の形状を以下の条件(1)〜(4)のように変化させ、V溝の副走査方向幅W1=0.51mmの場合と、W1=200mmの場合についてノイズ比を算出した。
(1)V溝幅=5μm、傾斜角度ε=60°、V溝高さ=4.3μm
(2)V溝幅=5μm、傾斜角度ε=45°、V溝高さ=2.5μm
(3)V溝幅=10μm、傾斜角度ε=60°、V溝高さ=8.7μm
(4)V溝幅=10μm、傾斜角度ε=45°、V溝高さ=5.0μm
【0074】
比較例のシミュレーション結果を見ると、V溝の副走査方向幅W1=0.51mm、200mmの両方において、ノイズ比は1.07%であった。これに対し実施例のシミュレーション結果を見ると、V溝の副走査方向幅W1=0.51mm、200mmの両方において、条件(1)〜(4)のいずれの場合も比較例と比べてノイズ比が低減されていることが分かる。特に条件(1)および(3)に関しては、ノイズ比は0.38%であり、比較例の約1/3程度に低減されている。このように本シミュレーション結果から、第2面レンズ間領域に形成された複数のV溝がゴーストノイズのさらなる低減に有効であることが分かる。
【0075】
図17は、本発明の別の実施形態に係る画像書込装置200を説明するための図である。図17に示すように、画像書込装置200は、複数のLEDがアレイ状に配列されたLEDアレイ206と、LEDアレイ206が搭載された基板204と、LEDアレイ206を制御する制御部202と、LEDアレイ206から出射された光を集光する上述の正立等倍レンズアレイプレート11と、正立等倍レンズアレイプレート11を透過した光を受光する感光体ドラム208と、上記構成要素を収容する筐体210とを備える。なお、図17においては、感光体ドラム208の周辺に設けられる現像装置、転写装置などについては図示を省略している。図1に示す画像読取装置100の原稿Gを、画像書込装置200では感光体ドラム208に置き換え、更に、画像読取装置100のラインイメージセンサ20を画像書込装置200のLEDアレイ206に置き換えることで、画像読取装置100に関して説明した事項は、画像書き込み装置にも当てはまる。
【0076】
画像書込装置200は、LEDを光源に用いた所謂LEDプリントヘッド方式の画像書込装置である。LEDプリントヘッド方式は、画素と発光源が1対1に対応しており、走査機構が不要である。従って、レーザ光源とポリゴンミラーを組み合わせたレーザROS(Raster Output Scanner)方式と比べて、装置を小型且つ軽量化できる。
【0077】
従来、LEDプリントヘッド方式の正立等倍レンズアレイとしては、ロッドレンズアレイが用いられていたが、本発明に係る正立等倍レンズアレイプレート11を用いることにより、より安価な画像書込装置200を実現できる。また、本発明に係る正立等倍レンズアレイプレート11を用いることにより、ゴーストノイズの低減された良好な画像を感光体ドラム208上に形成できる。
【0078】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0079】
例えば、上述の実施形態では、各レンズ面のレンズを主走査方向に一列に配列したが、レンズの配列パターンはこれに限定されず、たとえば、レンズを主走査方向に2列以上に配列した場合や、正方配列で配置した場合でも本発明を適用でき、ゴーストノイズの低減効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0080】
10 光走査ユニット、 11 正立等倍レンズアレイプレート、 12 筐体、 14 ガラス板、 20 ラインイメージセンサ、 24 第1レンズアレイプレート、 26 第2レンズアレイプレート、 30 第1面側遮光壁、 32 第4面側遮光壁、 34 中間遮光壁、 40,42 V溝、 100 画像読取装置、 200 画像書込装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面に規則的に配置された複数の第1レンズと、前記第1面に対向する第2面に規則的に配置された複数の第2レンズとを有する第1レンズアレイプレートと、
第3面に規則的に配置された複数の第3レンズと、前記第3面に対向する第4面に規則的に配置された複数の第4レンズとを有する第2レンズアレイプレートと、を備え、
前記第1レンズアレイプレートと前記第2レンズアレイプレートが、対応するレンズの組が共軸のレンズ系を構成するように前記第2面と前記第3面とを対向させて積層され、第1面側に置かれた物体の正立等倍像を第4面側の像面に形成する正立等倍レンズアレイプレートであって、
前記第2レンズおよび前記第3レンズに対応する複数の中間貫通孔を有する中間遮光壁であって、各中間貫通孔が対応する前記第2レンズおよび前記第3レンズの正面に位置するように前記第1レンズアレイプレートと前記第2レンズアレイプレートとの間に設けられた中間遮光壁をさらに備え、
前記第2面における互いに隣接する前記第2レンズ間の領域および/または前記第3面における互いに隣接する前記第3レンズ間の領域に、複数のV溝が形成されていることを特徴とする正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項2】
前記V溝は、当該正立等倍レンズアレイプレートの主走査方向に対して略平行に延びるよう形成されることを特徴とする請求項1に記載の正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項3】
全てのV溝の副走査方向の幅は、前記第1レンズの開口径以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項4】
互いに隣接するV溝同士が副走査方向の端部において当接することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項5】
第1面に規則的に配置された複数の第1レンズと、前記第1面に対向する第2面に規則的に配置された複数の第2レンズとを有する第1レンズアレイプレートと、
第3面に規則的に配置された複数の第3レンズと、前記第3面に対向する第4面に規則的に配置された複数の第4レンズとを有する第2レンズアレイプレートと、を備え、
前記第1レンズアレイプレートと前記第2レンズアレイプレートが、対応するレンズの組が共軸のレンズ系を構成するように前記第2面と前記第3面とを対向させて積層され、第1面側に置かれた物体の正立等倍像を第4面側の像面に形成する正立等倍レンズアレイプレートであって、
前記第2レンズおよび前記第3レンズに対応する複数の中間貫通孔を有する中間遮光壁であって、各中間貫通孔が対応する前記第2レンズおよび前記第3レンズの正面に位置するように前記第1レンズアレイプレートと前記第2レンズアレイプレートとの間に設けられた中間遮光壁をさらに備え、
前記中間貫通孔は、孔径が前記第2面側から前記第3面側に向けてテーパ状に小さくなるように形成されており、
前記第2面における互いに隣接する前記第2レンズ間の領域に複数のV溝が形成されていることを特徴とする正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項6】
前記V溝は、当該正立等倍レンズアレイプレートの主走査方向に対して略平行に延びるよう形成されることを特徴とする請求項5に記載の正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項7】
全てのV溝の副走査方向の幅は、前記第1レンズの開口径以上であることを特徴とする請求項5または6に記載の正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項8】
互いに隣接するV溝同士が副走査方向の端部において当接することを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項9】
第1面に規則的に配置された複数の第1レンズと、前記第1面に対向する第2面に規則的に配置された複数の第2レンズとを有する第1レンズアレイプレートと、
第3面に規則的に配置された複数の第3レンズと、前記第3面に対向する第4面に規則的に配置された複数の第4レンズとを有する第2レンズアレイプレートと、を備え、
前記第1レンズアレイプレートと前記第2レンズアレイプレートが、対応するレンズの組が共軸のレンズ系を構成するように前記第2面と前記第3面とを対向させて積層され、第1面側に置かれた物体の正立等倍像を第4面側の像面に形成する正立等倍レンズアレイプレートであって、
前記第2レンズおよび前記第3レンズに対応する複数の中間貫通孔を有する中間遮光壁であって、各中間貫通孔が対応する前記第2レンズおよび前記第3レンズの正面に位置するように前記第1レンズアレイプレートと前記第2レンズアレイプレートとの間に設けられた中間遮光壁をさらに備え、
前記中間貫通孔は、孔径が前記第2面側から前記第3面側に向けて逆テーパ状に大きくなるように形成されており、
前記第3面における互いに隣接する前記第3レンズ間の領域に複数のV溝が形成されていることを特徴とする正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項10】
前記V溝は、当該正立等倍レンズアレイプレートの主走査方向に対して略平行に延びるよう形成されることを特徴とする請求項9に記載の正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項11】
全てのV溝の副走査方向の幅は、前記第1レンズの開口径以上であることを特徴とする請求項9または10に記載の正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項12】
互いに隣接するV溝同士が副走査方向の端部において当接することを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項13】
被読取画像に光を照射するライン状光源と、
前記被読取画像から反射した光を集光する請求項1から12のいずれかに記載の正立等倍レンズアレイプレートと、
前記正立等倍レンズアレイプレートを透過した光を受光するラインイメージセンサと、
を備えることを特徴とする光走査ユニット。
【請求項14】
請求項13に記載の光走査ユニットと、
前記光走査ユニットによって検出された画像信号を処理する画像処理部と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項15】
複数のLEDがアレイ状に配列されたLEDアレイと、
前記LEDアレイから出射された光を集光する請求項1から12のいずれかに記載の正立等倍レンズアレイプレートと、
前記正立等倍レンズアレイプレートを透過した光を受光する感光体ドラムと、
を備えることを特徴とする画像書込装置。
【請求項1】
第1面に規則的に配置された複数の第1レンズと、前記第1面に対向する第2面に規則的に配置された複数の第2レンズとを有する第1レンズアレイプレートと、
第3面に規則的に配置された複数の第3レンズと、前記第3面に対向する第4面に規則的に配置された複数の第4レンズとを有する第2レンズアレイプレートと、を備え、
前記第1レンズアレイプレートと前記第2レンズアレイプレートが、対応するレンズの組が共軸のレンズ系を構成するように前記第2面と前記第3面とを対向させて積層され、第1面側に置かれた物体の正立等倍像を第4面側の像面に形成する正立等倍レンズアレイプレートであって、
前記第2レンズおよび前記第3レンズに対応する複数の中間貫通孔を有する中間遮光壁であって、各中間貫通孔が対応する前記第2レンズおよび前記第3レンズの正面に位置するように前記第1レンズアレイプレートと前記第2レンズアレイプレートとの間に設けられた中間遮光壁をさらに備え、
前記第2面における互いに隣接する前記第2レンズ間の領域および/または前記第3面における互いに隣接する前記第3レンズ間の領域に、複数のV溝が形成されていることを特徴とする正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項2】
前記V溝は、当該正立等倍レンズアレイプレートの主走査方向に対して略平行に延びるよう形成されることを特徴とする請求項1に記載の正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項3】
全てのV溝の副走査方向の幅は、前記第1レンズの開口径以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項4】
互いに隣接するV溝同士が副走査方向の端部において当接することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項5】
第1面に規則的に配置された複数の第1レンズと、前記第1面に対向する第2面に規則的に配置された複数の第2レンズとを有する第1レンズアレイプレートと、
第3面に規則的に配置された複数の第3レンズと、前記第3面に対向する第4面に規則的に配置された複数の第4レンズとを有する第2レンズアレイプレートと、を備え、
前記第1レンズアレイプレートと前記第2レンズアレイプレートが、対応するレンズの組が共軸のレンズ系を構成するように前記第2面と前記第3面とを対向させて積層され、第1面側に置かれた物体の正立等倍像を第4面側の像面に形成する正立等倍レンズアレイプレートであって、
前記第2レンズおよび前記第3レンズに対応する複数の中間貫通孔を有する中間遮光壁であって、各中間貫通孔が対応する前記第2レンズおよび前記第3レンズの正面に位置するように前記第1レンズアレイプレートと前記第2レンズアレイプレートとの間に設けられた中間遮光壁をさらに備え、
前記中間貫通孔は、孔径が前記第2面側から前記第3面側に向けてテーパ状に小さくなるように形成されており、
前記第2面における互いに隣接する前記第2レンズ間の領域に複数のV溝が形成されていることを特徴とする正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項6】
前記V溝は、当該正立等倍レンズアレイプレートの主走査方向に対して略平行に延びるよう形成されることを特徴とする請求項5に記載の正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項7】
全てのV溝の副走査方向の幅は、前記第1レンズの開口径以上であることを特徴とする請求項5または6に記載の正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項8】
互いに隣接するV溝同士が副走査方向の端部において当接することを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項9】
第1面に規則的に配置された複数の第1レンズと、前記第1面に対向する第2面に規則的に配置された複数の第2レンズとを有する第1レンズアレイプレートと、
第3面に規則的に配置された複数の第3レンズと、前記第3面に対向する第4面に規則的に配置された複数の第4レンズとを有する第2レンズアレイプレートと、を備え、
前記第1レンズアレイプレートと前記第2レンズアレイプレートが、対応するレンズの組が共軸のレンズ系を構成するように前記第2面と前記第3面とを対向させて積層され、第1面側に置かれた物体の正立等倍像を第4面側の像面に形成する正立等倍レンズアレイプレートであって、
前記第2レンズおよび前記第3レンズに対応する複数の中間貫通孔を有する中間遮光壁であって、各中間貫通孔が対応する前記第2レンズおよび前記第3レンズの正面に位置するように前記第1レンズアレイプレートと前記第2レンズアレイプレートとの間に設けられた中間遮光壁をさらに備え、
前記中間貫通孔は、孔径が前記第2面側から前記第3面側に向けて逆テーパ状に大きくなるように形成されており、
前記第3面における互いに隣接する前記第3レンズ間の領域に複数のV溝が形成されていることを特徴とする正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項10】
前記V溝は、当該正立等倍レンズアレイプレートの主走査方向に対して略平行に延びるよう形成されることを特徴とする請求項9に記載の正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項11】
全てのV溝の副走査方向の幅は、前記第1レンズの開口径以上であることを特徴とする請求項9または10に記載の正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項12】
互いに隣接するV溝同士が副走査方向の端部において当接することを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項13】
被読取画像に光を照射するライン状光源と、
前記被読取画像から反射した光を集光する請求項1から12のいずれかに記載の正立等倍レンズアレイプレートと、
前記正立等倍レンズアレイプレートを透過した光を受光するラインイメージセンサと、
を備えることを特徴とする光走査ユニット。
【請求項14】
請求項13に記載の光走査ユニットと、
前記光走査ユニットによって検出された画像信号を処理する画像処理部と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項15】
複数のLEDがアレイ状に配列されたLEDアレイと、
前記LEDアレイから出射された光を集光する請求項1から12のいずれかに記載の正立等倍レンズアレイプレートと、
前記正立等倍レンズアレイプレートを透過した光を受光する感光体ドラムと、
を備えることを特徴とする画像書込装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−185390(P2012−185390A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49384(P2011−49384)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】
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