説明

歩行型管理機

【課題】歩行型管理機において、揚土作業時に、ハンドル逆姿勢の操向ハンドルを持ち上げながら歩行型管理機を前進させて、耕耘機構の浮き上がりを防止する作業をなくす。
【解決手段】本願発明に係る歩行型管理機は、機体1に搭載された動力源7と、前記機体1の下方に前後に並べて配置された左右一対の走行部2及び耕耘機構3と、前記機体1の上部に向き変更可能に設けられた操向ハンドル4とを備える。前記機体1のうち前記走行部2を挟んで前記耕耘機構3と反対側の端部には、地面に接地する起立姿勢と地面から離れる収容姿勢とに姿勢変更可能に構成された補助輪体40を取り付ける。補助輪体40は、上端側を回動支点として機体1に上下回動可能に取り付けられたスタンド部41と、スタンド部41の下端側に回転可能に設けられた補助輪42とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、オペレータが操向ハンドルを握って歩きながら操向操作する歩行型管理機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、歩行型管理機は、機体に搭載されたエンジンと、機体の下方に前後に並べて配置された車輪及び耕耘機構と、機体の上部に設けられた操向ハンドルとを備えている。車輪は側面視で機体の直下に位置している。耕耘機構は機体の下方で且つ車輪よりも機体から遠い側に位置している。操向ハンドルは進行方向の前後に向き変更可能な構成になっている。すなわち、操向ハンドルは、耕耘機構の上方側に延びるハンドル正姿勢と、耕耘機構から離れる上方側に延びるハンドル逆姿勢とに姿勢変更可能に構成されている(例えば特許文献1及び2等参照)。
【0003】
この種の歩行型管理機において、例えばネギといった農作物の根元部に土を被せる覆土作業や、土を盛り上げて農作物を植える畝を形成する溝上げ・畝立て作業等(以下、揚土作業という)を行う際は、操向ハンドルをハンドル逆姿勢にして耕耘機構を進行方向前側においた状態で、耕耘機構の耕耘爪を正回転(圃場に対して車輪側に向かう回転)させながら圃場を前進することにより、土を跳ね上げて掘り起こしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平2−134801号公報
【特許文献2】特開平7−308102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、揚土作業に際して、耕耘爪の正回転(圃場に対して車輪側に向かう回転)による耕耘力は、耕耘機構ひいては機体を後方斜め上向きに跳ね上げる方向に作用する(耕耘機構が圃場に対して浮き気味になる)。このため、オペレータは、ハンドル逆姿勢の操向ハンドルを上方に引き上げながら歩行型管理機を前進させることによって、耕耘機構の浮き上がりを防止せざるを得ない。かかる操作は極めて重労働であり、前記従来の歩行型管理機では揚土作業での負担が大きいのであった。
【0006】
また、揚土作業後は、歩行型管理機の姿勢を、耕耘機構が圃場から離れた前上がりの状態にした上で、隣り合う畝の間から歩行型管理機を脱出させることになる。しかし、この場合は、車輪のみが接地して歩行型管理機を支持する状態になるため、歩行型管理機が進行方向左右にふらつき易い。一旦ふらついた歩行型管理機の姿勢を立て直すのは、腕力の要る操作であるから厄介であり、特に非力なオペレータにとっては過大な負担になるのであった。
【0007】
そこで、本願発明は上記の問題を解消した歩行型管理機を提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、機体に搭載された動力源と、前記機体の下方に前後に並べて配置された走行部及び耕耘機構と、前記機体の上部に向き変更可能に設けられた操向ハンドルとを備えている歩行型管理機であって、前記機体のうち前記走行部を挟んで前記耕耘機構と反対側の端部には、地面に接地する起立姿勢と地面から離れる収容姿勢とに姿勢変更可能に構成された補助支持体が取り付けられているというものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載した歩行型管理機において、前記補助支持体は、上端側を回動支点として前記機体に上下回動可能に取り付けられたスタンド部と、前記スタンド部の下端側に回転可能に設けられた補助輪とを備えているというものである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載した歩行型管理機において、前記補助支持体の前記スタンド部と前記機体とには、前記補助支持体を前記起立姿勢と前記収容姿勢とに選択的に保持する付勢手段が関連付けて設けられており、前記補助支持体の収容姿勢時には前記スタンド部を前記機体の底面側に沿わせているというものである。
【発明の効果】
【0011】
前述の通り、揚土作業に際して、耕耘爪の正回転による耕耘力は、耕耘機構ひいては機体を後方斜め上向きに跳ね上げる方向に作用する(耕耘機構が圃場に対して浮き気味になる)。これに対して本願発明によれば、機体に搭載された動力源と、前記機体の下方に前後に並べて配置された走行部及び耕耘機構と、前記機体の上部に向き変更可能に設けられた操向ハンドルとを備えている歩行型管理機であって、前記機体のうち前記走行部を挟んで前記耕耘機構と反対側の端部には、地面に接地する起立姿勢と地面から離れる収容姿勢とに姿勢変更可能に構成された補助支持体が取り付けられているから、前記補助支持体の存在が前記耕耘機構を浮き気味にする力(前記耕耘機構ひいては前記機体を後方斜め上向きに跳ね上げる力)を打ち消すことになる。このため、オペレータは、ハンドル逆姿勢の前記操向ハンドルを持ち上げるように掴まずとも、前記耕耘機構を浮き上がらせることなく、軽い力で揚土作業を実行できることになる。従って、揚土作業での負担を軽減できるという効果を奏する。
【0012】
また、揚土作業後は、歩行型管理機の姿勢を、前記耕耘機構が圃場から離れた前上がりの状態にした上で、隣り合う畝の間から歩行型管理機を脱出させることになるが、この場合は、前記左右両走行部と前記補助支持体とが接地して歩行型管理機を支持する複数点での支持状態になるから、歩行型管理機の姿勢を安定させ易く、進行方向左右へのふらつきを抑制できるという効果を奏する。また、仮に歩行型管理機がふらついたりしても、接地点が多い分だけ姿勢の立て直しが簡単になるという利点もある。
【0013】
更に、前記補助支持体を起立姿勢にして地面に自立させれば、前記補助支持体と前記走行部とで歩行型管理機を安定的に支持できる。すなわち、前記補助支持体をいわゆるスタンドとして利用できる(前記補助支持体自体にスタンドの役割を担わせることができる)。従って、別途スタンドを設けたりする必要がなく、部品点数も少なくて済み、製造コストの低減に寄与できる。
【0014】
特に請求項3の発明を採用すると、前記補助支持体の前記スタンド部と前記機体とには、前記補助支持体を前記起立姿勢と前記収容姿勢とに選択的に保持する付勢手段が関連付けて設けられており、前記補助支持体の収容姿勢時には前記スタンド部を前記機体の底面側に沿わせているから、揚土作業のように前記操向ハンドルをハンドル逆姿勢にして前記耕耘機構を進行方向前側においた状態で、前記補助支持体を使わないのであれば、オペレータは例えば足で前記補助支持体を蹴り上げるだけで、前記付勢手段の作用にて前記補助支持体を収容姿勢に変更できることになる。従って、前記補助支持体の出し入れの操作をワンタッチ的に実行でき、操作性がよくなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ハンドル正姿勢時の歩行型管理機を示す側面図である。
【図2】ハンドル逆姿勢時の歩行型管理機を示す側面図である。
【図3】ハンドル逆姿勢時の歩行型管理機を示す平面図である。
【図4】補助支持体の要部拡大側面図である。
【図5】補助支持体の拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本願発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
(1).歩行型管理機の概略
まず、主に図1〜図3を参照しながら、歩行型管理機の概略について説明する。図1〜図3に示すように、実施形態の歩行型管理機は、走行部としての左右一対の車輪2(図1及び図2では左側のみ示す)にて支持された機体1に、圃場を耕すためのロータリ式の耕耘機構3を備えている。左右両車輪2と耕耘機構3とは進行方向前後に並べて配置されている。左右両車輪2は機体1の直下に位置している。耕耘機構3は機体1の下方で且つ車輪2よりも機体1から遠い側に位置している。従って、平面視において左右両車輪2の一部は機体1に隠れるが、耕耘機構3の上面側は機体1に隠れることなく露出する(図3参照)。
【0018】
機体1の上部には、進行方向の前後に向き変更可能に構成された操向ハンドル4が設けられている。実施形態では、機体1上部にあるハンドル台5に、操向ハンドル4の基部が水平回動可能に取り付けられている。このため、操向ハンドル4は、耕耘機構3の上方側に延びるハンドル正姿勢(図1の実線状態参照)と、耕耘機構3から離れる上方側に延びるハンドル逆姿勢(図2の実線状態参照)とに姿勢変更可能になっている。実施形態の歩行型管理機では、オペレータによる操向ハンドル4の左右の操作量に応じて、機体1自体の向きが変更される。
【0019】
機体1を構成する機体フレーム6に、動力源としてのエンジン7とミッションケース8とが搭載されている。ミッションケース8は機体フレーム6から下方に突出していて、ミッションケース8の下部には、左右両側に外向き突出する車軸9が回転可能に軸支されている。車軸9の左右端部に走行部としての車輪2がそれぞれ取り付けられている。図示は省略するが、ミッションケース8内には、エンジン7からの動力を適宜変速する動力変速機構が収容されている。エンジン7からの動力は、ミッションケース8内の動力変速機構を経由して車軸9に伝達され、車軸9を介して左右両車輪2を回転駆動させるように構成されている。
【0020】
耕耘機構3は、ミッションケース8のうちエンジン7と反対側の端部に、ヒッチ10を介して着脱可能に装着されている。実施形態の耕耘機構3は、ミッションケース8の上部に動力伝達可能に連結される動力中継ケース11と、動力中継ケース11の一側面に上下回動可能に取り付けられた入力ケース12と、入力ケース12から下向きに延びる縦長筒状の耕耘ケース13と、耕耘ケース13の下端部にあるギヤケース14に回転可能に軸支された横向きの耕耘出力軸15と、耕耘出力軸15に装着された複数の耕耘爪16とを備えている。耕耘ケース13は、ヒッチ10に支持されるリヤフレーム17を上下に貫通している。リヤフレーム17には、耕耘爪16群を上方から覆うロータリカバー18が取り付けられている。
【0021】
図示は省略するが、ミッションケース8の上部にはPTO軸が突出している。エンジン7からの動力は、PTO軸を起点に、動力中継ケース11内のスプロケット及びチェン、入力ケース12内の傘歯車機構、耕耘ケース13内のドライブ軸、並びにギヤケース14内の傘歯車機構を通じて耕耘出力軸15に伝達され、耕耘出力軸15を介して耕耘爪16群を回転駆動させるように構成されている。耕耘爪16群を回転駆動させながら歩行型管理機を走行させることによって、耕耘作業が実行される。
【0022】
ロータリカバー18は、リヤフレーム17の下面に固定された中央カバー19(図3参照)と、中央カバー19の左右両側にヒンジ21を介して跳ね上げ回動可能に取り付けられた横カバー20とを備えている。各横カバー20の上面に取り付けられた枢支バー21に、スイングアーム22の基端側が回動可能に枢着されている。リヤフレーム17上に立設された調節支柱23と左右両スイングアーム22の先端側とは、その交点(重なり合う箇所)においてノブねじ24及びナット25で固定されている。ノブねじ24及びナット25を緩めた場合は、左右両スイングアーム22の先端側が調節支柱23に沿った上下方向にスライド可能になり、左右両横カバー20を同時に上げ下げしてその跳ね上げ角度を調整できる。ノブねじ24及びナット25を締め付けた場合は、左右両横カバー20を所定の跳ね上げ角度に固定できる。
【0023】
リヤフレーム17のうちヒッチ10と反対側の端部には、路上走行時に耕耘爪16群の路面との接触を防止する尾輪体26が昇降調節可能に取り付けられている。実施形態では、リヤフレーム17のうちヒッチ10と反対側の端部に、上下に貫通する挿通穴(図示せず)付きのボス部材27が固着されている。ボス部材27の挿通穴に、尾輪調節ロッド28が上下スライド可能に差し込まれている。尾輪調節ロッド28の下部側に固定された支持アーム29に、尾輪30が回転可能に取り付けられている。尾輪調節ロッド28のボス部材27からの下向き突出長さを適宜調節した状態で、ボス部材27の側面から押さえボルト31をねじ込んで圧接させることにより、尾輪調節ロッド28がボス部材27に昇降不能に固定され、尾輪30の高さ位置が無段階(連続的)に変更・設定されることになる。
【0024】
(2).補助輪体の詳細構造
次に、図1〜図3に加えて、図4及び図5を参照しながら、補助支持体としての補助輪体40の詳細構造について説明する。図1〜図4に示すように、機体1のうち車輪2を挟んで耕耘機構3と反対側の端部には、地面に接地する起立姿勢(図1〜図4の実線状態参照)と地面から離れる収容姿勢(図1〜図4の二点鎖線状態参照)とに姿勢変更可能に構成された補助輪体40が取り付けられている。実施形態の補助輪体40は、上端側を回動支点として機体1に上下回動可能に取り付けられた正面視略門形のスタンド部41と、スタンド部41における左右両下端側に回転可能に設けられた補助輪42とを備えている。
【0025】
この場合、図5に詳細に示すように、機体1を構成する機体フレーム6が、下向きに開口した正断面視コ字状に形成されている。スタンド部41における左右横長の水平支軸部分43は中空筒状に形成されている。スタンド部41の水平支軸部分43に挿入された横支軸45の左右両端側を機体フレーム6における左右一対の側ブラケット46に軸支させることにより、スタンド部41(補助輪体40)が横支軸45(水平支軸部分43)を回動中心として上下回動可能に構成されている。横支軸45において左右の側ブラケット46から外向きに突出した突端部には抜け止め用の止めリング(図示省略)が被嵌されている。補助輪体40の収容姿勢時には、スタンド部41を機体フレーム6の内部底面側に沿わせて機体フレーム6内部に抱え込む(収容する)ように構成されている(図1〜図5参照)。
【0026】
スタンド部41における左右各脚柱部分44の下端側には、支持アーム47のボス部48が上下スライド可能に被嵌固定されている。そして、各支持アーム47に補助輪42が回転可能に取り付けられている。図3に詳細に示すように、補助輪体40における左右一対の補助輪42は、平面視で機体1の左右方向中央を通ってスタンド部41の水平支軸部分43と直交する仮想中心線Aを挟んだ両側に位置している。ここで、機体1の左右方向中央とは、機体1の進行方向と平行な前後方向であって、機体1の質量中心である重心の箇所やその近傍を意味している。なお、尾輪30も平面視で仮想中心線A上に位置している。
【0027】
スタンド部41における一方の脚柱部分44と、機体フレーム6における一方の側ブラケット46の内面側とには、補助輪体40を起立姿勢と収容姿勢とに選択的に保持する付勢手段としての引張りばね49が装架されている。実施形態では、機体フレーム6における一方の側ブラケット46の内面側に、横支軸45を迂回するように円弧状に形成された支点越えリンク50の一端側が枢着されている。支点越えリンク50の他端側に引張りばね49の一端側が引っ掛けて固定されている。引っ張りばね49の他端側は一方の脚柱部分44に設けられた係止ピン部に引っ掛けて固定されている。すなわち、支点越えリンク50と引張りばね49とを利用して、補助輪体40を下向き回動させた起立姿勢と、補助輪体40を上向き回動させた収容姿勢とで、引張りばね49の軸線が横支軸45(補助輪体40の回動支点)を横切るように設定されている。このため、補助輪体40に対する引張りばね49の引張り力が互いに逆向きに変わる(支点越えする)ことになる。
【0028】
スタンド部41(補助輪体40)を図1〜図4に実線で示す起立姿勢まで下向き回動させると、引張りばね49が支点越えして、スタンド部41における一方の脚柱部分44を支点越えリンク50の方向に引張り付勢し、当該引張り付勢力が補助輪体40を起立姿勢に維持することになる。揚土作業時は耕耘機構3を進行方向前側においた状態で歩行型管理機が圃場を進むので、圃場との接触で補助輪体40に作用する力は、補助輪体40を起立姿勢に保持する方向には掛かるが、収容姿勢に戻す(上向き回動させる)方向には掛かり難い。このため、引張りばね49の作用にて、補助輪体40を起立姿勢に維持することが可能になっている。なお、起立姿勢での支点越えリンク50は、機体フレーム6の内部底面又は機体フレーム先端のホルダブラケット39に当接して、それ以上のスタンド部41(補助輪体40)の回動を規制している。スタンド部41(補助輪体40)を図1〜図4に二点鎖線で示す収容姿勢まで上向き回動させると、引張りばね49が支点越えして、スタンド部41における一方の脚柱部分44を支点越えリンク50の方向に引張り付勢し、当該引張り付勢力が補助輪体40を収容姿勢に維持することになる。
【0029】
(3).まとめ
以上の構成において、図2に示すように揚土作業を行う場合は、ロータリカバー18における両横カバー20を跳ね上げ状態に保持すると共に、補助輪体40を図1〜図4に実線で示す起立姿勢まで下向き回動させる。そして、操向ハンドル4をハンドル逆姿勢にして耕耘機構3を進行方向前側においた状態で、耕耘機構3の耕耘爪16群を正回転(図2の矢印T方向参照、圃場に対して車輪2側に向かう回転)させながら圃場を進むことにより、土を跳ね上げて掘り起こし、歩行型管理機の進行方向左右に畝Fを形成する。
【0030】
ここで、揚土作業に際して、耕耘爪16群の正回転(図2の矢印T方向参照)による耕耘力は、前述の通り、耕耘機構3ひいては機体1を後方斜め上向きに跳ね上げる方向に作用する。すなわち、耕耘機構3が圃場に対して浮き気味になる。これに対して実施形態では、機体1のうち車輪2を挟んで耕耘機構3と反対側の端部に、地面に接地する起立姿勢と地面から離れる収容姿勢とに姿勢変更可能に構成された補助輪体40が取り付けられているから、補助輪体40の存在が耕耘機構3を浮き気味にする力(耕耘機構3ひいては機体1を後方斜め上向きに跳ね上げる力)を打ち消すことになる。このため、オペレータは、ハンドル逆姿勢の操向ハンドル4を持ち上げるように掴まずとも、耕耘機構3を浮き上がらせることなく、軽い力で揚土作業を実行できる。従って、揚土作業での負担を軽減できるという効果を奏する。
【0031】
また、揚土作業後は、歩行型管理機の姿勢を、耕耘機構3が圃場から離れた前上がりの状態にした上で、隣り合う畝Fの間から歩行型管理機を脱出させることになるが、この場合は、左右一対の車輪2と補助輪体40とが接地して歩行型管理機を支持する3点以上での支持状態になるから、歩行型管理機の姿勢を安定させ易く、進行方向左右へのふらつきを抑制できるという効果を奏する。仮に歩行型管理機がふらついたりしても、接地点が多い分だけ姿勢の立て直しが簡単になる。
【0032】
更に、補助輪体40を起立姿勢にして地面に自立させれば、補助輪体40と左右両車輪2とで歩行型管理機を安定的に支持できる。すなわち、補助輪体40をいわゆるスタンドとして利用できる(補助輪体40自体にスタンドの役割を担わせることができる)。従って、別途スタンドを設けたりする必要がなく、部品点数も少なくて済み、製造コストの低減に寄与できる。
【0033】
その上、補助輪体40のスタンド部41と機体1とには、補助輪体40を起立姿勢と収容姿勢とに選択的に保持する引張りばね49が関連付けて設けられており、補助輪体40の収容姿勢時にはスタンド部41を機体1の底面側に沿わせているから、揚土作業のように操向ハンドル4をハンドル逆姿勢にして耕耘機構3を進行方向前側においた状態で、補助輪体40を使わないのであれば、オペレータは例えば足で補助輪体40を蹴り上げるだけで、引張りばね49を支点越えさせて、補助輪体40を収容姿勢に変更できることになる。従って、補助輪体40の出し入れの操作をワンタッチ的に実行でき、操作性がよくなるのである。
【0034】
(4).その他
本願発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。例えば動力源としてはエンジン7に限らず、電動モータ等でもよい。補助支持体としては、前述の補助輪体40に限らず、そり状のものを使用したりしてもよい。補助輪体40の補助輪42は、平面視で仮想中心線A上に位置するのであれば1つでもよい。車輪2は左右一対に限らず、単輪であってもよい。その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 機体
2 車輪
3 耕耘機構
4 操向ハンドル
6 機体フレーム
9 車軸
16 耕耘爪
17 リヤフレーム
18 ロータリカバー
20 横カバー
40 補助輪体
41 スタンド部
42 補助輪
43 水平支軸部分
44 脚柱部分
49 引張りばね
50 支点越えリンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に搭載された動力源と、前記機体の下方に前後に並べて配置された走行部及び耕耘機構と、前記機体の上部に向き変更可能に設けられた操向ハンドルとを備えている歩行型管理機であって、
前記機体のうち前記走行部を挟んで前記耕耘機構と反対側の端部には、地面に接地する起立姿勢と地面から離れる収容姿勢とに姿勢変更可能に構成された補助支持体が取り付けられている、
歩行型管理機。
【請求項2】
前記補助支持体は、上端側を回動支点として前記機体に上下回動可能に取り付けられたスタンド部と、前記スタンド部の下端側に回転可能に設けられた補助輪とを備えている、
請求項1に記載した歩行型管理機。
【請求項3】
前記補助支持体の前記スタンド部と前記機体とには、前記補助支持体を前記起立姿勢と前記収容姿勢とに選択的に保持する付勢手段が関連付けて設けられており、前記補助支持体の収容姿勢時には前記スタンド部を前記機体の底面側に沿わせている、
請求項2に記載した歩行型管理機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−36208(P2011−36208A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188493(P2009−188493)
【出願日】平成21年8月17日(2009.8.17)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】