歩行型管理機
【課題】
操作ハンドル17を取外すことなくコンパクトに収納することができる歩行型管理機1を提供する。
【解決手段】
ロータリ耕耘装置19を備えた歩行型管理機1において、ハンドルフレーム16をミッションケース2から後部上方に向かって延設して形成すると共に、前記ロータリ耕耘装置19に近接した位置に操作ハンドル17の収納位置P2を設け、操作ハンドル17の先端側を操作ハンドル17の中途部から下方へ屈曲させた操作ハンドル17を、作業時に使用する作業位置から下方に向けて回動させて、収納位置P2に固定可能とした。
操作ハンドル17を取外すことなくコンパクトに収納することができる歩行型管理機1を提供する。
【解決手段】
ロータリ耕耘装置19を備えた歩行型管理機1において、ハンドルフレーム16をミッションケース2から後部上方に向かって延設して形成すると共に、前記ロータリ耕耘装置19に近接した位置に操作ハンドル17の収納位置P2を設け、操作ハンドル17の先端側を操作ハンドル17の中途部から下方へ屈曲させた操作ハンドル17を、作業時に使用する作業位置から下方に向けて回動させて、収納位置P2に固定可能とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミッションケース後方にロータリ耕耘装置が設けられた歩行型管理機に係り、詳しくは、そのハンドルまわりの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、圃場での耕耘作業、畝立て作業などに歩行型管理機が用いられることが知られており、この歩行型管理機には、ロータリ耕耘装置の位置によって、ミッションケースの後方にロータリ耕耘装置が連結されたリアロータリ式歩行型管理機や、ロータリ耕耘装置が車軸と一体に形成された車軸型の歩行型管理機などがある。
【0003】
上記歩行型管理機では、作業者が機体を操作する操作ハンドルが後部上方に向かって突出して形成されているため、このハンドルを出荷時や、持ち運びの際にコンパクトに収納することが求められている。
【0004】
そこで、従来、上述の車軸型の歩行型管理機にあっては、操作ハンドルを機体の後方に回動させて折り畳むことで、ハンドルをコンパクトに収納するものが案出されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−322572号公報
【特許文献2】実開昭57−120180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、リアロータリ式歩行型管理機の場合、ロータリ耕耘装置がミッションケース後方にあるために、操作ハンドルを回動させて収納しようとしても、ロータリ耕耘装置と操作ハンドルとが干渉してしまうため、上述の車軸型の歩行型管理機のように操作ハンドルを後方に回動させて収納することができず、操作ハンドルを取外して収納するように構成されていた。
【0007】
そのため、操作ハンドルを取外した際に取付部材であるネジやナットなどを紛失する虞があると共に、操作ハンドルを再び管理機に取付ける際に操作ハンドルに取付けられた様々な操作具の調整が必要となり、組立の手間もかかってしまっていた。
【0008】
また、操作ハンドル収納時の管理機のサイズは、出荷時に、より多くの管理機をトラックやコンテナに積み込めるように厳しく制限されており、例えばリアロータリ式歩行型管理機において操作ハンドルを後方に回動させて収納するようにしても、長い操作ハンドルが機体前後方向の寸法制限からはみ出てしまい、結局は操作ハンドルを取外して管理機を出荷する必要があった。
【0009】
そこで、本発明はミッションケースを覆うカバーから突出したハンドルフレームの突出部に操作ハンドルを取付けると共に、この操作ハンドルを作業位置から下方に回動し、ロータリ耕耘装置に近接した収納位置に固定可能にすることによって、上記課題を解決した歩行型管理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
車輪(3)に支持されたミッションケース(2)と、該ミッションケース(2)の後方に配置されたロータリ耕耘装置(19)と、を備えた歩行型管理機(1)において、前記ミッションケース(2)から後部上方に向かって延設されたハンドルフレーム(16)と、前記ハンドルフレーム(16)に取付けられた操作ハンドル(17)と、を備え、前記ハンドルフレーム(16)を、前記ミッションケース(2)の後方側を覆うカバー体(11b)から突出して形成すると共に、このカバー体(11b)から突出した前記ハンドルフレーム(16)の突出部(16a)に前記操作ハンドル(17)の取付部(16b)を設け、前記操作ハンドル(17)を、作業時に使用する作業位置(P1)と、該作業位置(P1)から下方に向けて回動し、前記ロータリ耕耘装置(19)に近接した収納位置(P2)とに固定可能に設けるにあたり、操作ハンドル(17)の先端側を操作ハンドル(17)の中途部(M)から下方へ屈曲させることで、収納位置に固定した際に、ロータリ耕耘装置(19)のリヤカバー(26)に略沿うべく、構成したことに特徴がある。
【0011】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何ら影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によると、ミッションケースの後方にロータリ耕耘機が配置された歩行型管理機において、操作ハンドルの操縦高さ位置を、スペースのあるロータリ耕耘機側に回動させて収納することによって、収納状態の管理機の高さ位置を下げることができる。また、上記操作ハンドルが取り付けられるハンドルフレームを、ミッションケースの後方側を覆うカバー体から突出するまで延設し、このカバー体から突出した突出部に上記操作ハンドルを取り付けたため、操作ハンドルの全長を短く形成することができると共に、その回動範囲を大きく取ることができ、特に梱包の際などの制限が厳しい機体前後方向の長さも短くして上記操作ハンドルを収納することができる。しかも、操作ハンドルの先端側が、操作ハンドルの中途部から更に下方へ傾斜することで、操作ハンドルを収納した際に、リヤカバーに略沿う形状とすることが出来、機体全長を短くすることが出来る。また、操作ハンドルを収納位置に回動させるだけで、容易に管理機を収納状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の作業時の斜視図。
【図2】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の作業時の側面図。
【図3】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の作業時の平面図。
【図4】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の操作ハンドルの拡大斜視図。
【図5】本発明の実施形態に係る歩行型管理機のハンドルフレーム部の拡大斜視図。
【図6】本発明の実施形態に係る歩行型管理機のハンドルフレーム部の拡大斜視図。
【図7】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の収納時の斜視図。
【図8】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の収納時の側面図。
【図9】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の収納時の平面図。
【図10】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の収納時の耕耘装置の拡大斜視図。
【図11】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の収納時の耕耘装置の拡大斜視図。
【図12】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の収納時の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1乃至12に基づいて本発明に係る歩行型管理機の実施の形態を説明する。なお、以下の説明における方向は、歩行型管理機で作業を行っている際の作業者を基準とする。
【0015】
[リアロータリ式歩行型管理機の構成]
リアロータリ式歩行型管理機1の構成について説明する。図1乃至図3に示すように、リアロータリ式歩行型管理機1は、主に、圃場の走行などを行うためのリアロータリ式歩行型管理機の本体部4と、圃場を耕耘するための耕耘部としてのロータリ耕耘装置19と、リアロータリ式歩行型管理機1を操作するための操作部18とから構成されている。以下、各構成部について説明する。
【0016】
まず、リアロータリ式歩行型管理機の本体部4は、車軸5を介して駆動輪である左右一対の車輪3に支持されると共に、トランスミッションを収納したミッションケース2と、ミッションケース2に取付けられたフレーム6に搭載され、ミッションケース2の前方に配置された動力源であるエンジン7と、エンジン7の上に配置された燃料タンク(不図示)とを有して構成されている。
なお、図1に示すHは変速レバーである。
【0017】
また、リアロータリ式歩行型管理機1の本体部4の左側面には、エンジンから上記トランスミッションへの動力伝達を断接するためのテンションプーリ式クラッチ9が、カバーに覆われて設けられていると共に、テンションプーリ式クラッチ9の上方には、エンジン7からの排気ガスを排出するためのマフラ10が、カバーに覆われて設けられている。
【0018】
上記エンジン7の上側は、ボンネット11aで覆われており、また、上記燃料タンクとミッションケース2の前方側から後方側までは、カバー体であるボディーカバー11bによって覆われている。また、図2に示すようにボンネット11a及びボディーカバー11bは、リアロータリ式歩行型管理機1に隣接して取付けられると共に、取付時に一体化して側面視で略円弧形状になるように形成されている。
【0019】
また、ボンネット11aと隣接する、ボディーカバー11bの一端部側には、前記燃料タンクに燃料を給油するための給油口を突出させるための孔が設けてあり、該孔から突出した給油口には脱着可能で給油口キャップ12が取付けられている。そして、前記給油口の後方には、リアロータリ式歩行型管理機1の変速などを行うための主変速ガイド13が、主変速レバー14の揺動領域を切り欠いてボディーカバー11bに形成されていると共に、主変速ガイド13の後方には、矩形の開口部15が形成されている。開口部15からは操作ハンドル17を取付けるためのハンドルフレーム16が突設して形成されている。なお、ハンドルフレーム16についての詳細は後述する。
【0020】
次に、リアロータリ式歩行型管理機の耕耘部としてのロータリ耕耘装置19は、ロータリ軸20に軸支されたロータ爪21と、ロータ爪21の上方を覆うロータリカバー22とを有していると共に、ミッションケース2の後方に連結されて配置されている。そして、ロータリ耕耘装置19は、ロータ爪21がエンジン7の動力によって回転することで圃場を耕耘する構成になっている。
【0021】
また、ロータリカバー22には、圃場を滑走することでロータリ耕耘装置19の耕耘深さを規制する尾ソリ23が、上下位置変更自在に設けられており、また、ロータリカバー22には、下端部を圃場の土中に入れて走行することで、走行抵抗を発生させて機体のダッシング現象を抑えるための抵抗板25も設けられている。さらに、ロータリカバー22の後端部にはリヤカバー26が取付けられ、リヤカバー26の上には支持アーム24に支持されて移動用の尾輪27が設けられている。
【0022】
そして、リアロータリ式歩行型管理機1の操作部18は、側面視で略へ字形状に屈曲されて形成された操作ハンドル17を有して構成されており、この操作ハンドル17は、上記ハンドルフレーム16に設けられた取付部16bに回動自在に取付けられている。
【0023】
操作ハンドルの左側17Lには、操作ハンドルの位置を変更するための操作ハンドル位置変更レバー29が取付けられている。また、図4に示すように、操作ハンドルの右側17Rには、リアロータリ式歩行型管理機1の旋回性を向上させるために、ディファレンシャルギアをロックさせるディファレンシャルギアロックレバー32が取付けられている。ディファレンシャルギアロックレバー32の前方には、作業中の緊急時に歩行型管理機1を確実に停止するためデッドマンクラッチ31が、操作ハンドルの左右(17R,17L)にそれぞれ支持されて回動自在に取り付けられている。
【0024】
デッドマンクラッチ31の前方には、リアロータリ式歩行型管理機1を緊急停止させるための緊急停止スイッチ33aが先端部に取付けられた取付け板33が、ループ状に形成された操作ハンドル17の内側に平面視略L字形状で設けられており、取付け板33の前方には、エンジン7の回転数を調節するためのスロットルコントロールレバー30が取付けけられている。
【0025】
[操作ハンドルの回動機構及び固定機構]
次に、本実施形態に係るリアロータリ式歩行型管理機1の操作ハンドルの回動機構及び固定機構について説明する。図5及び図6に示すように、ハンドルフレーム16は、ミッションケース2から後部上方に向かって延設して形成されており、ミッションケース2の後方側を覆うボディーカバー11bから突出した突出部16aを有している。
【0026】
この突出部16aは、ボディーカバー11bに形成されて開口部15からカバー外に突出していると共に、操作ハンドル17が支持部材であるシャフト(不図示)によって回動自在に軸支される取付部16bが形成されている。
また、操作ハンドル17の先端側は、操作ハンドル17の中途部Mから下方側へ屈曲させている。
なお、ハンドルフレーム16に対する操作ハンドル17の取付け位置については、主変速レバー14の邪魔にならないように、しかも、出来るだけ安定した位置、即ち、低い位置に設けている。
その詳細については図2に示すように、車輪3の圃場接地点とロータリ耕耘装置19のロータリ軸20を結んだ線L、即ち、耕耘作業で最も深く耕耘した状態と、作業者が操作ハンドル17を把持する先端部を前方に引き出した線Hが略平行で、しかも、ハンドルフレーム16に対する操作ハンドル17の取付け点が該線Hよりも下方になる位置で、図8に示すべく、操作ハンドル17を収納位置にした時に、操作ハンドル17の屈曲ポイントがロータリ耕耘装置19の略上方になる位置にしている。
従って、操作ハンドル17の中途部Mから下方側へ屈曲させるポイントについても、必然的に特定されるものである。
【0027】
上記ハンドルフレーム16は、突出部16aの一面が開放された平面視略コ字形状に形成されており、この開放面がロータリ耕耘装置19側である機体後方に向くように配設されている。また、ハンドルフレーム16の内側上面には、操作ハンドル17の回動位置(図の位置P1)を位置決めするための固定部材であって、後述する操作ハンドル固定部材であるストッパピンの先端部を嵌合させるための孔h1,h2が、複数設けられたハンドル位置固定プレート37が取付けられている。
なお、操作ハンドル17の先端側は、操作ハンドル17の中途部Mから下方に向けて屈曲さてあることで、ロータリ耕耘作業にあっては、略圃場面と、操作ハンドル17先端側が平行となることで、作業者が操作ハンドル17を把持する姿勢が楽に行うことが出来る。
【0028】
また、ハンドル位置固定プレート37は、上述した開放面に向かって一部が延設されており、ハンドルフレーム16の上面部に相当する部分(以下、単に上面部という)には、操作ハンドル17がハンドルフレーム16から後部上方に向かって延び、作業時に使用される作業位置P1に操作ハンドル17を固定するための作業位置調整孔h1・・・が複数設けられていると共に、開放面に向かって延設された延設部37aには、作業位置P1から下方に向けて回動し、ロータリ耕耘装置に近接した収納位置P2(図7乃至12の位置)に操作ハンドル17を固定するための収納位置固定孔h2が設けられている。
【0029】
また、ハンドルフレーム16の開放面の上側の角部には、ハンドル位置固定プレート37上面部とベロ状の延設部37aとの間に位置するように、規制部材である規制ピン39が、抜き差し自在に取付けられており、この規制ピン39によって、作業時に操作ハンドル17が収納位置側まで回動しないように、操作ハンドル17の回動範囲を規制するようになっている。
【0030】
また、ハンドルフレーム16の開放面の下側には、ハンドルフレーム16の強度を上げるための補強部材41である断面円形形状の金属棒が、ハンドルフレーム16内側の両壁面に取付けられている。また、スロットルコントロールレバー30や、緊急停止スイッチ33aなどの操作具に接続されるワイヤハーネス42が、ハンドルフレームの略コ字形状の開放面を通って内部から配線されており、それぞれワイヤハーネス42は、ハンドルフレーム内に取付けられた金属棒41の上側と下側とに別々に通るように配線されている。
【0031】
ハンドルフレーム16の取付部16bへ、操作ハンドル17を取付けるために形成された操作ハンドルの取付部17aには、操作ハンドル17を固定するための固定部材であるストッパピン(不図示)を収納したストッパピンケース36を支持した、ストッパピン取付部材である取付金具(ストッパピン支持部材)35が取付けられている。
【0032】
ついで、上記ハンドル位置固定プレート37の孔に嵌挿されるストッパピンについて詳しく説明をする。上記操作ハンドル17の回動位置を位置決めするストッパピンは、ストッパピンケース36からストッパピンの先端部が突出して収められている。そして、操作ハンドルの左側17Lに取付けられた、操作ハンドル位置変更レバー29を握ると、ストッパピンケース36内のストッパピンと操作ハンドル位置変更レバー29とを繋いだワイヤ28により、ストッパピンケース36内にストッパピンが引っ張られ、ストッパピンの全体がストッパピンケース内に収納される。また、操作ハンドル位置変更レバー29を放すと前記ワイヤが緩められることになり、ストッパピンケース36内からストッパピンの先端部が突出する構成となっている。
【0033】
ところで、図5乃至図9に示すように、上記ストッパピンケース36は、上記ハンドルフレーム16の突出部16aの外周側に位置するように、ループ状の操作ハンドル17基部において、左右の操作ハンドル17L,17Rに挟まれるようにして支持されている。
【0034】
より詳しくは、円筒状のストッパピンケース(ストッパピン)36は、ストッパピン支持部材35によって左右の操作ハンドル17L,17R間に支持されており、このストッパピン支持部材は、左右の操作ハンドル間に架設され、その中間部に円筒状のストッパピンケース36が嵌合する一対の支持プレート35aと、これら一対の支持プレート35a間を上方側から覆うカバー部材35bと、から構成されている。
【0035】
上記一対の支持プレート35aは、ストッパピンケース36の上端部及び下端部それぞれ支持していると共に、カバー部材35bがこれら支持プレート間を上方からカバーしており、これにより作業者からハンドルの位置調整機構部が見えないようになっている。
【0036】
また、上記カバー部材35bは図2に示すように、操作ハンドル17の先端側の支持プレート35a1から操作ハンドル17の基部側(ハンドルフレーム側)の支持プレート35a2に向かってその上面部が傾斜して形成されており、この上面部は、操作ハンドル17が作業位置P1にあるとき、このカバー部材35bと接続するハンドルフレーム16の接続面16cと略面一状になるように傾斜角度が調整されている。
【0037】
即ち、カバー部材35bには、操作ハンドル17を作業位置P1にした際に、操縦者である作業者のリアロータリ式歩行型管理機1に設けられた操作盤の視認性を向上させるため傾斜面が形成され、側面視三角形形状で形成されている。また、ハンドルフレーム16の突出部16aの外周面とカバー部材35bに形成された傾斜面とを合わせるために、操作ハンドル17と接するカバー部材35bの両辺側には、平面視三角形形状の傾斜面が形成されている。
【0038】
次に、上記操作ハンドルの回動機構及び固定機構を有するハンドルフレーム16及び操作ハンドル17の作用について説明する。
【0039】
作業者は、圃場で作業をするに際し、操作ハンドル位置変更レバー29を握って、ストッパピンとハンドル位置固定プレート37の作業位置調整孔h1との嵌合を解除し、複数ある上記作業位置調整孔h1・・・の内、最も作業しやすい作業位置P1を調整する。
【0040】
この時、操作ハンドル17の回動範囲は、作業位置調整孔h1が位置する作業位置調整領域と、後述する収納位置固定孔h2が位置する収納領域と、が規制ピン39によって分けられているため、作業者は操作ハンドル17の作業位置P1を調整する際に、収納領域ではなく作業位置調整領域にて操作ハンドル17を回動させて作業位置P1を調整する。 そして、作業位置P1の調整が終わると、操作ハンドル17を持って、圃場での作業を開始する。
【0041】
一方、圃場での作業が終わると、作業者は、管理機1をトラックなどに積み込む。この時、作業者は、操作ハンドル17を収納するため、ハンドルフレーム16に取付けられた規制ピン39を抜いた後、操作ハンドル位置変更レバー29を握って、操作ハンドルの固定が解除されると、作業時位置から下方に向けて回動させて、ロータリ耕耘装置19に近接した収納位置P2にまで移動させた後、操作ハンドル位置変更レバー29を放してストッパピンを収納位置固定孔h2に嵌合させて操作ハンドル17の位置を収納位置P2に固定する。
操作ハンドル17を収納位置P2にすると、操作ハンドル17の先端側が中途部Mから下方へ屈曲させて、リヤカバー26に略沿う形状となっており、機体の全長を短くすることが出来る。
また、操作ハンドル17を作業位置から収納位置へする回動軌跡内に尾ソリ23や尾輪27等の装置を有することで、操作ハンドル17を回動させた際に、それらの装置が邪魔にならないようにロータリ耕耘装置19に取付けられている。
【0042】
上述のように、作業者が操作ハンドル17を収納すると、図7乃至図11に示すように、操作ハンドル17はハンドルフレーム取付部16bから下方後方に向かい、ロータリ耕耘装置19を覆うようにロータリ耕耘装置に近接させて収納される。そして、その際、尾ソリ23、尾輪27などのロータリカバー22に設けられた装置は、ループ状の操作ハンドル17内に収納される。
【0043】
上述したように、本発明の実施の形態に係るリアロータリ式歩行型管理機1において、操作ハンドル17の操縦高さ位置を、ロータリ耕耘装置19側に回動させて収納することで、収納状態における管理機1の高さ位置を下げることができる。
【0044】
また、操作ハンドル17が取り付けられるハンドルフレーム16を、ボディーカバー11bから突出するまで延設し、ボディーカバー11bから突出した突出部16aに操作ハンドル17を取り付けたため、操作ハンドル17の全長を短く形成することができると共に、その回動範囲を大きく取ることができる。
【0045】
例えば、梱包の際などの制限が厳しい機体前後方向の長さも短くして操作ハンドル17を収納することができる。更に、操作ハンドル17を収納位置P2に回動させるだけで、容易にリアロータリ式歩行型管理機を収納状態にすることができる。
【0046】
また、ハンドルフレーム16を略コ字形状に形成し、その内側にハンドル位置固定プレート37を配置する構成としたことで、操作ハンドル17を収納した際でもハンドルフレーム16の内部が見えることを防止して外観の向上を図ることができる。また、ハンドルフレーム16の構造を簡素化することができるので、製造コストを抑えることもできる。
【0047】
また、ストッパピン支持部材35をハンドルフレーム16の外周に近接するように操作ハンドル取付部17aへ取付けたことで、操作ハンドル17を作業時位置にした際に、ハンドルフレーム16内に取付けられたハンドル位置固定プレート37を見えにくくすることができるため、外観の向上を図ることができる。また、操作ハンドルにハンドル位置固定プレート37を隠すための折り返しなどを設ける必要もなく、ハンドルを複雑な形状にしなくてもよいため製造コストを抑えることもできる。
【0048】
また、操作ハンドル17が作業位置P1にある際、変速ガイド13などの歩行型管理機1の操作盤についての作業者の視認性を確保するため、カバー部材35bを傾斜面を有する側面視三角形形状に形成したことから、リアロータリ式歩行型管理機1の操作性の向上を図ることができる。
【0049】
また、ストッパピン支持部材35を操作ハンドル取付部17aにハンドルフレーム16の外周にハンドルフレーム16と近接するように取付けたと共に、ストッパピン支持部材35をハンドルフレーム16と略同一幅及び略同一形状に形成したことで、ハンドルを作業位置P1にした際に、ハンドルフレームとの統一感が生じ、外観の向上を図ることができ、また、ストッパピン支持部材35に別途カバーを取付ける必要もなく製造コストも抑えることもできる。
【0050】
また、ハンドルフレーム16に操作ハンドル17の回動範囲を規制するための規制ピン39を取付けたことで、操作ハンドル17の回動範囲が規制されるため、例えば、操作者が作業中に操作ハンドル17の位置を変えようと動かした際、操作ハンドル17がハンドル作業位置P1からハンドル収納位置P2まで動いてしまうことを防ぐことができる。これにより、作業者の予測していない操作ハンドル17の動きを防止することができる。
【0051】
また、ハンドル位置固定プレートの延設部37aを両端に隙間を設けてハンドル位置固定プレート37に取付ける構成としたので、延設部37aを取り付けるために行う溶接を必要最低限度で行えばよく、溶接時間の短縮及び製造コストを抑えることができる。また、ハンドルフレーム16を略コ字形状に開放したことから、ワイヤハーネス42の配線を容易にすることができる。
【0052】
また、ハンドルフレーム16の背面の開放面の下方に、ワイヤハーネス42を規制するための金属棒41を取付けたことで、ワイヤハーネス42同士が絡まることを防ぎ、また、操作ハンドル17を収納位置P2に収納した際、操作ハンドル17とハンドルフレーム16とにワイヤハーネス42が挟まることを防ぐこともできる。これにより、ワイヤハーネス42の断線を防ぐことができる。更には、ハンドルフレーム16の強度をあげることもできるため、ワイヤハーネス42の規制材とハンドルフレーム16の補強材とを一つにすることでき、新たにワイヤハーネスを規制する部材を設ける必要がなく、製造コストを抑えることもできる。
【0053】
また、ループ形状である操作ハンドル17の内側に略L字形状で緊急停止スイッチ取付け板33を設けると共に、取付け板33でデッドマンクラッチ31の回動ストッパを兼ねる構成としたことから、デッドマンクラッチ専用のストッパを設ける必要がなく、製造コストを抑えることができ、更に、デッドマンクラッチの停止位置に影響されることないため、取付け板33の形状を大きくすることもできる。
【0054】
なお、本実施形態では操作ハンドルの回動範囲を規制するために、ハンドルフレーム16にピン39を取付ける構成としたが、これに限らず、例えば、ワイヤ、プレートなどを取り付けるという構成にしてもよい。
【0055】
また、本実施形態ではワイヤハーネス規制及び、ハンドルフレーム補強のために、ハンドルフレーム16に断面円形形状の金属棒41を取付ける構成としたが、これに限らず、例えば断面矩形形状の棒や、プレートなどを取り付ける構成としてもよく、また、金属製に限らず、強化プラスチックやセラミック製などの棒などを取付ける構成でもよい。
【0056】
また、本実施形態ではストッパピン支持部材35は金属製の構成としたがこれに限らず、例えば、樹脂製や強化プラスチック製などで構成してもよい。
【0057】
また、本実施形態では、ハンドルフレーム16に取付ける操作ハンドルをループ形状の構成としたが、これに限らず、例えば、平面視略Y字形状の操作ハンドルを取付ける構成でもよい。
【0058】
なお、図12に示すように、本発明に係るハンドルフレーム16´を、ロータ爪46の形状が異なるロータリ耕耘装置45を有するリアロータリ式歩行型管理機43に用いても好適に実施することができる。図12はハンドルフレーム16´に取付けられた操作ハンドル17´が収納位置に収納された状態を示したものである。
【符号の説明】
【0059】
1 歩行型管理機(リアロータリ式歩行型管理機)
2 ミッションケース
11b カバー体(ボディーカバー)
16 ハンドルフレーム
16a 突出部
26b 取付部
17 操作ハンドル
19 ロータリ耕耘装置
M 中途部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミッションケース後方にロータリ耕耘装置が設けられた歩行型管理機に係り、詳しくは、そのハンドルまわりの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、圃場での耕耘作業、畝立て作業などに歩行型管理機が用いられることが知られており、この歩行型管理機には、ロータリ耕耘装置の位置によって、ミッションケースの後方にロータリ耕耘装置が連結されたリアロータリ式歩行型管理機や、ロータリ耕耘装置が車軸と一体に形成された車軸型の歩行型管理機などがある。
【0003】
上記歩行型管理機では、作業者が機体を操作する操作ハンドルが後部上方に向かって突出して形成されているため、このハンドルを出荷時や、持ち運びの際にコンパクトに収納することが求められている。
【0004】
そこで、従来、上述の車軸型の歩行型管理機にあっては、操作ハンドルを機体の後方に回動させて折り畳むことで、ハンドルをコンパクトに収納するものが案出されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−322572号公報
【特許文献2】実開昭57−120180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、リアロータリ式歩行型管理機の場合、ロータリ耕耘装置がミッションケース後方にあるために、操作ハンドルを回動させて収納しようとしても、ロータリ耕耘装置と操作ハンドルとが干渉してしまうため、上述の車軸型の歩行型管理機のように操作ハンドルを後方に回動させて収納することができず、操作ハンドルを取外して収納するように構成されていた。
【0007】
そのため、操作ハンドルを取外した際に取付部材であるネジやナットなどを紛失する虞があると共に、操作ハンドルを再び管理機に取付ける際に操作ハンドルに取付けられた様々な操作具の調整が必要となり、組立の手間もかかってしまっていた。
【0008】
また、操作ハンドル収納時の管理機のサイズは、出荷時に、より多くの管理機をトラックやコンテナに積み込めるように厳しく制限されており、例えばリアロータリ式歩行型管理機において操作ハンドルを後方に回動させて収納するようにしても、長い操作ハンドルが機体前後方向の寸法制限からはみ出てしまい、結局は操作ハンドルを取外して管理機を出荷する必要があった。
【0009】
そこで、本発明はミッションケースを覆うカバーから突出したハンドルフレームの突出部に操作ハンドルを取付けると共に、この操作ハンドルを作業位置から下方に回動し、ロータリ耕耘装置に近接した収納位置に固定可能にすることによって、上記課題を解決した歩行型管理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
車輪(3)に支持されたミッションケース(2)と、該ミッションケース(2)の後方に配置されたロータリ耕耘装置(19)と、を備えた歩行型管理機(1)において、前記ミッションケース(2)から後部上方に向かって延設されたハンドルフレーム(16)と、前記ハンドルフレーム(16)に取付けられた操作ハンドル(17)と、を備え、前記ハンドルフレーム(16)を、前記ミッションケース(2)の後方側を覆うカバー体(11b)から突出して形成すると共に、このカバー体(11b)から突出した前記ハンドルフレーム(16)の突出部(16a)に前記操作ハンドル(17)の取付部(16b)を設け、前記操作ハンドル(17)を、作業時に使用する作業位置(P1)と、該作業位置(P1)から下方に向けて回動し、前記ロータリ耕耘装置(19)に近接した収納位置(P2)とに固定可能に設けるにあたり、操作ハンドル(17)の先端側を操作ハンドル(17)の中途部(M)から下方へ屈曲させることで、収納位置に固定した際に、ロータリ耕耘装置(19)のリヤカバー(26)に略沿うべく、構成したことに特徴がある。
【0011】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何ら影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によると、ミッションケースの後方にロータリ耕耘機が配置された歩行型管理機において、操作ハンドルの操縦高さ位置を、スペースのあるロータリ耕耘機側に回動させて収納することによって、収納状態の管理機の高さ位置を下げることができる。また、上記操作ハンドルが取り付けられるハンドルフレームを、ミッションケースの後方側を覆うカバー体から突出するまで延設し、このカバー体から突出した突出部に上記操作ハンドルを取り付けたため、操作ハンドルの全長を短く形成することができると共に、その回動範囲を大きく取ることができ、特に梱包の際などの制限が厳しい機体前後方向の長さも短くして上記操作ハンドルを収納することができる。しかも、操作ハンドルの先端側が、操作ハンドルの中途部から更に下方へ傾斜することで、操作ハンドルを収納した際に、リヤカバーに略沿う形状とすることが出来、機体全長を短くすることが出来る。また、操作ハンドルを収納位置に回動させるだけで、容易に管理機を収納状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の作業時の斜視図。
【図2】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の作業時の側面図。
【図3】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の作業時の平面図。
【図4】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の操作ハンドルの拡大斜視図。
【図5】本発明の実施形態に係る歩行型管理機のハンドルフレーム部の拡大斜視図。
【図6】本発明の実施形態に係る歩行型管理機のハンドルフレーム部の拡大斜視図。
【図7】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の収納時の斜視図。
【図8】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の収納時の側面図。
【図9】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の収納時の平面図。
【図10】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の収納時の耕耘装置の拡大斜視図。
【図11】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の収納時の耕耘装置の拡大斜視図。
【図12】本発明の実施形態に係る歩行型管理機の収納時の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1乃至12に基づいて本発明に係る歩行型管理機の実施の形態を説明する。なお、以下の説明における方向は、歩行型管理機で作業を行っている際の作業者を基準とする。
【0015】
[リアロータリ式歩行型管理機の構成]
リアロータリ式歩行型管理機1の構成について説明する。図1乃至図3に示すように、リアロータリ式歩行型管理機1は、主に、圃場の走行などを行うためのリアロータリ式歩行型管理機の本体部4と、圃場を耕耘するための耕耘部としてのロータリ耕耘装置19と、リアロータリ式歩行型管理機1を操作するための操作部18とから構成されている。以下、各構成部について説明する。
【0016】
まず、リアロータリ式歩行型管理機の本体部4は、車軸5を介して駆動輪である左右一対の車輪3に支持されると共に、トランスミッションを収納したミッションケース2と、ミッションケース2に取付けられたフレーム6に搭載され、ミッションケース2の前方に配置された動力源であるエンジン7と、エンジン7の上に配置された燃料タンク(不図示)とを有して構成されている。
なお、図1に示すHは変速レバーである。
【0017】
また、リアロータリ式歩行型管理機1の本体部4の左側面には、エンジンから上記トランスミッションへの動力伝達を断接するためのテンションプーリ式クラッチ9が、カバーに覆われて設けられていると共に、テンションプーリ式クラッチ9の上方には、エンジン7からの排気ガスを排出するためのマフラ10が、カバーに覆われて設けられている。
【0018】
上記エンジン7の上側は、ボンネット11aで覆われており、また、上記燃料タンクとミッションケース2の前方側から後方側までは、カバー体であるボディーカバー11bによって覆われている。また、図2に示すようにボンネット11a及びボディーカバー11bは、リアロータリ式歩行型管理機1に隣接して取付けられると共に、取付時に一体化して側面視で略円弧形状になるように形成されている。
【0019】
また、ボンネット11aと隣接する、ボディーカバー11bの一端部側には、前記燃料タンクに燃料を給油するための給油口を突出させるための孔が設けてあり、該孔から突出した給油口には脱着可能で給油口キャップ12が取付けられている。そして、前記給油口の後方には、リアロータリ式歩行型管理機1の変速などを行うための主変速ガイド13が、主変速レバー14の揺動領域を切り欠いてボディーカバー11bに形成されていると共に、主変速ガイド13の後方には、矩形の開口部15が形成されている。開口部15からは操作ハンドル17を取付けるためのハンドルフレーム16が突設して形成されている。なお、ハンドルフレーム16についての詳細は後述する。
【0020】
次に、リアロータリ式歩行型管理機の耕耘部としてのロータリ耕耘装置19は、ロータリ軸20に軸支されたロータ爪21と、ロータ爪21の上方を覆うロータリカバー22とを有していると共に、ミッションケース2の後方に連結されて配置されている。そして、ロータリ耕耘装置19は、ロータ爪21がエンジン7の動力によって回転することで圃場を耕耘する構成になっている。
【0021】
また、ロータリカバー22には、圃場を滑走することでロータリ耕耘装置19の耕耘深さを規制する尾ソリ23が、上下位置変更自在に設けられており、また、ロータリカバー22には、下端部を圃場の土中に入れて走行することで、走行抵抗を発生させて機体のダッシング現象を抑えるための抵抗板25も設けられている。さらに、ロータリカバー22の後端部にはリヤカバー26が取付けられ、リヤカバー26の上には支持アーム24に支持されて移動用の尾輪27が設けられている。
【0022】
そして、リアロータリ式歩行型管理機1の操作部18は、側面視で略へ字形状に屈曲されて形成された操作ハンドル17を有して構成されており、この操作ハンドル17は、上記ハンドルフレーム16に設けられた取付部16bに回動自在に取付けられている。
【0023】
操作ハンドルの左側17Lには、操作ハンドルの位置を変更するための操作ハンドル位置変更レバー29が取付けられている。また、図4に示すように、操作ハンドルの右側17Rには、リアロータリ式歩行型管理機1の旋回性を向上させるために、ディファレンシャルギアをロックさせるディファレンシャルギアロックレバー32が取付けられている。ディファレンシャルギアロックレバー32の前方には、作業中の緊急時に歩行型管理機1を確実に停止するためデッドマンクラッチ31が、操作ハンドルの左右(17R,17L)にそれぞれ支持されて回動自在に取り付けられている。
【0024】
デッドマンクラッチ31の前方には、リアロータリ式歩行型管理機1を緊急停止させるための緊急停止スイッチ33aが先端部に取付けられた取付け板33が、ループ状に形成された操作ハンドル17の内側に平面視略L字形状で設けられており、取付け板33の前方には、エンジン7の回転数を調節するためのスロットルコントロールレバー30が取付けけられている。
【0025】
[操作ハンドルの回動機構及び固定機構]
次に、本実施形態に係るリアロータリ式歩行型管理機1の操作ハンドルの回動機構及び固定機構について説明する。図5及び図6に示すように、ハンドルフレーム16は、ミッションケース2から後部上方に向かって延設して形成されており、ミッションケース2の後方側を覆うボディーカバー11bから突出した突出部16aを有している。
【0026】
この突出部16aは、ボディーカバー11bに形成されて開口部15からカバー外に突出していると共に、操作ハンドル17が支持部材であるシャフト(不図示)によって回動自在に軸支される取付部16bが形成されている。
また、操作ハンドル17の先端側は、操作ハンドル17の中途部Mから下方側へ屈曲させている。
なお、ハンドルフレーム16に対する操作ハンドル17の取付け位置については、主変速レバー14の邪魔にならないように、しかも、出来るだけ安定した位置、即ち、低い位置に設けている。
その詳細については図2に示すように、車輪3の圃場接地点とロータリ耕耘装置19のロータリ軸20を結んだ線L、即ち、耕耘作業で最も深く耕耘した状態と、作業者が操作ハンドル17を把持する先端部を前方に引き出した線Hが略平行で、しかも、ハンドルフレーム16に対する操作ハンドル17の取付け点が該線Hよりも下方になる位置で、図8に示すべく、操作ハンドル17を収納位置にした時に、操作ハンドル17の屈曲ポイントがロータリ耕耘装置19の略上方になる位置にしている。
従って、操作ハンドル17の中途部Mから下方側へ屈曲させるポイントについても、必然的に特定されるものである。
【0027】
上記ハンドルフレーム16は、突出部16aの一面が開放された平面視略コ字形状に形成されており、この開放面がロータリ耕耘装置19側である機体後方に向くように配設されている。また、ハンドルフレーム16の内側上面には、操作ハンドル17の回動位置(図の位置P1)を位置決めするための固定部材であって、後述する操作ハンドル固定部材であるストッパピンの先端部を嵌合させるための孔h1,h2が、複数設けられたハンドル位置固定プレート37が取付けられている。
なお、操作ハンドル17の先端側は、操作ハンドル17の中途部Mから下方に向けて屈曲さてあることで、ロータリ耕耘作業にあっては、略圃場面と、操作ハンドル17先端側が平行となることで、作業者が操作ハンドル17を把持する姿勢が楽に行うことが出来る。
【0028】
また、ハンドル位置固定プレート37は、上述した開放面に向かって一部が延設されており、ハンドルフレーム16の上面部に相当する部分(以下、単に上面部という)には、操作ハンドル17がハンドルフレーム16から後部上方に向かって延び、作業時に使用される作業位置P1に操作ハンドル17を固定するための作業位置調整孔h1・・・が複数設けられていると共に、開放面に向かって延設された延設部37aには、作業位置P1から下方に向けて回動し、ロータリ耕耘装置に近接した収納位置P2(図7乃至12の位置)に操作ハンドル17を固定するための収納位置固定孔h2が設けられている。
【0029】
また、ハンドルフレーム16の開放面の上側の角部には、ハンドル位置固定プレート37上面部とベロ状の延設部37aとの間に位置するように、規制部材である規制ピン39が、抜き差し自在に取付けられており、この規制ピン39によって、作業時に操作ハンドル17が収納位置側まで回動しないように、操作ハンドル17の回動範囲を規制するようになっている。
【0030】
また、ハンドルフレーム16の開放面の下側には、ハンドルフレーム16の強度を上げるための補強部材41である断面円形形状の金属棒が、ハンドルフレーム16内側の両壁面に取付けられている。また、スロットルコントロールレバー30や、緊急停止スイッチ33aなどの操作具に接続されるワイヤハーネス42が、ハンドルフレームの略コ字形状の開放面を通って内部から配線されており、それぞれワイヤハーネス42は、ハンドルフレーム内に取付けられた金属棒41の上側と下側とに別々に通るように配線されている。
【0031】
ハンドルフレーム16の取付部16bへ、操作ハンドル17を取付けるために形成された操作ハンドルの取付部17aには、操作ハンドル17を固定するための固定部材であるストッパピン(不図示)を収納したストッパピンケース36を支持した、ストッパピン取付部材である取付金具(ストッパピン支持部材)35が取付けられている。
【0032】
ついで、上記ハンドル位置固定プレート37の孔に嵌挿されるストッパピンについて詳しく説明をする。上記操作ハンドル17の回動位置を位置決めするストッパピンは、ストッパピンケース36からストッパピンの先端部が突出して収められている。そして、操作ハンドルの左側17Lに取付けられた、操作ハンドル位置変更レバー29を握ると、ストッパピンケース36内のストッパピンと操作ハンドル位置変更レバー29とを繋いだワイヤ28により、ストッパピンケース36内にストッパピンが引っ張られ、ストッパピンの全体がストッパピンケース内に収納される。また、操作ハンドル位置変更レバー29を放すと前記ワイヤが緩められることになり、ストッパピンケース36内からストッパピンの先端部が突出する構成となっている。
【0033】
ところで、図5乃至図9に示すように、上記ストッパピンケース36は、上記ハンドルフレーム16の突出部16aの外周側に位置するように、ループ状の操作ハンドル17基部において、左右の操作ハンドル17L,17Rに挟まれるようにして支持されている。
【0034】
より詳しくは、円筒状のストッパピンケース(ストッパピン)36は、ストッパピン支持部材35によって左右の操作ハンドル17L,17R間に支持されており、このストッパピン支持部材は、左右の操作ハンドル間に架設され、その中間部に円筒状のストッパピンケース36が嵌合する一対の支持プレート35aと、これら一対の支持プレート35a間を上方側から覆うカバー部材35bと、から構成されている。
【0035】
上記一対の支持プレート35aは、ストッパピンケース36の上端部及び下端部それぞれ支持していると共に、カバー部材35bがこれら支持プレート間を上方からカバーしており、これにより作業者からハンドルの位置調整機構部が見えないようになっている。
【0036】
また、上記カバー部材35bは図2に示すように、操作ハンドル17の先端側の支持プレート35a1から操作ハンドル17の基部側(ハンドルフレーム側)の支持プレート35a2に向かってその上面部が傾斜して形成されており、この上面部は、操作ハンドル17が作業位置P1にあるとき、このカバー部材35bと接続するハンドルフレーム16の接続面16cと略面一状になるように傾斜角度が調整されている。
【0037】
即ち、カバー部材35bには、操作ハンドル17を作業位置P1にした際に、操縦者である作業者のリアロータリ式歩行型管理機1に設けられた操作盤の視認性を向上させるため傾斜面が形成され、側面視三角形形状で形成されている。また、ハンドルフレーム16の突出部16aの外周面とカバー部材35bに形成された傾斜面とを合わせるために、操作ハンドル17と接するカバー部材35bの両辺側には、平面視三角形形状の傾斜面が形成されている。
【0038】
次に、上記操作ハンドルの回動機構及び固定機構を有するハンドルフレーム16及び操作ハンドル17の作用について説明する。
【0039】
作業者は、圃場で作業をするに際し、操作ハンドル位置変更レバー29を握って、ストッパピンとハンドル位置固定プレート37の作業位置調整孔h1との嵌合を解除し、複数ある上記作業位置調整孔h1・・・の内、最も作業しやすい作業位置P1を調整する。
【0040】
この時、操作ハンドル17の回動範囲は、作業位置調整孔h1が位置する作業位置調整領域と、後述する収納位置固定孔h2が位置する収納領域と、が規制ピン39によって分けられているため、作業者は操作ハンドル17の作業位置P1を調整する際に、収納領域ではなく作業位置調整領域にて操作ハンドル17を回動させて作業位置P1を調整する。 そして、作業位置P1の調整が終わると、操作ハンドル17を持って、圃場での作業を開始する。
【0041】
一方、圃場での作業が終わると、作業者は、管理機1をトラックなどに積み込む。この時、作業者は、操作ハンドル17を収納するため、ハンドルフレーム16に取付けられた規制ピン39を抜いた後、操作ハンドル位置変更レバー29を握って、操作ハンドルの固定が解除されると、作業時位置から下方に向けて回動させて、ロータリ耕耘装置19に近接した収納位置P2にまで移動させた後、操作ハンドル位置変更レバー29を放してストッパピンを収納位置固定孔h2に嵌合させて操作ハンドル17の位置を収納位置P2に固定する。
操作ハンドル17を収納位置P2にすると、操作ハンドル17の先端側が中途部Mから下方へ屈曲させて、リヤカバー26に略沿う形状となっており、機体の全長を短くすることが出来る。
また、操作ハンドル17を作業位置から収納位置へする回動軌跡内に尾ソリ23や尾輪27等の装置を有することで、操作ハンドル17を回動させた際に、それらの装置が邪魔にならないようにロータリ耕耘装置19に取付けられている。
【0042】
上述のように、作業者が操作ハンドル17を収納すると、図7乃至図11に示すように、操作ハンドル17はハンドルフレーム取付部16bから下方後方に向かい、ロータリ耕耘装置19を覆うようにロータリ耕耘装置に近接させて収納される。そして、その際、尾ソリ23、尾輪27などのロータリカバー22に設けられた装置は、ループ状の操作ハンドル17内に収納される。
【0043】
上述したように、本発明の実施の形態に係るリアロータリ式歩行型管理機1において、操作ハンドル17の操縦高さ位置を、ロータリ耕耘装置19側に回動させて収納することで、収納状態における管理機1の高さ位置を下げることができる。
【0044】
また、操作ハンドル17が取り付けられるハンドルフレーム16を、ボディーカバー11bから突出するまで延設し、ボディーカバー11bから突出した突出部16aに操作ハンドル17を取り付けたため、操作ハンドル17の全長を短く形成することができると共に、その回動範囲を大きく取ることができる。
【0045】
例えば、梱包の際などの制限が厳しい機体前後方向の長さも短くして操作ハンドル17を収納することができる。更に、操作ハンドル17を収納位置P2に回動させるだけで、容易にリアロータリ式歩行型管理機を収納状態にすることができる。
【0046】
また、ハンドルフレーム16を略コ字形状に形成し、その内側にハンドル位置固定プレート37を配置する構成としたことで、操作ハンドル17を収納した際でもハンドルフレーム16の内部が見えることを防止して外観の向上を図ることができる。また、ハンドルフレーム16の構造を簡素化することができるので、製造コストを抑えることもできる。
【0047】
また、ストッパピン支持部材35をハンドルフレーム16の外周に近接するように操作ハンドル取付部17aへ取付けたことで、操作ハンドル17を作業時位置にした際に、ハンドルフレーム16内に取付けられたハンドル位置固定プレート37を見えにくくすることができるため、外観の向上を図ることができる。また、操作ハンドルにハンドル位置固定プレート37を隠すための折り返しなどを設ける必要もなく、ハンドルを複雑な形状にしなくてもよいため製造コストを抑えることもできる。
【0048】
また、操作ハンドル17が作業位置P1にある際、変速ガイド13などの歩行型管理機1の操作盤についての作業者の視認性を確保するため、カバー部材35bを傾斜面を有する側面視三角形形状に形成したことから、リアロータリ式歩行型管理機1の操作性の向上を図ることができる。
【0049】
また、ストッパピン支持部材35を操作ハンドル取付部17aにハンドルフレーム16の外周にハンドルフレーム16と近接するように取付けたと共に、ストッパピン支持部材35をハンドルフレーム16と略同一幅及び略同一形状に形成したことで、ハンドルを作業位置P1にした際に、ハンドルフレームとの統一感が生じ、外観の向上を図ることができ、また、ストッパピン支持部材35に別途カバーを取付ける必要もなく製造コストも抑えることもできる。
【0050】
また、ハンドルフレーム16に操作ハンドル17の回動範囲を規制するための規制ピン39を取付けたことで、操作ハンドル17の回動範囲が規制されるため、例えば、操作者が作業中に操作ハンドル17の位置を変えようと動かした際、操作ハンドル17がハンドル作業位置P1からハンドル収納位置P2まで動いてしまうことを防ぐことができる。これにより、作業者の予測していない操作ハンドル17の動きを防止することができる。
【0051】
また、ハンドル位置固定プレートの延設部37aを両端に隙間を設けてハンドル位置固定プレート37に取付ける構成としたので、延設部37aを取り付けるために行う溶接を必要最低限度で行えばよく、溶接時間の短縮及び製造コストを抑えることができる。また、ハンドルフレーム16を略コ字形状に開放したことから、ワイヤハーネス42の配線を容易にすることができる。
【0052】
また、ハンドルフレーム16の背面の開放面の下方に、ワイヤハーネス42を規制するための金属棒41を取付けたことで、ワイヤハーネス42同士が絡まることを防ぎ、また、操作ハンドル17を収納位置P2に収納した際、操作ハンドル17とハンドルフレーム16とにワイヤハーネス42が挟まることを防ぐこともできる。これにより、ワイヤハーネス42の断線を防ぐことができる。更には、ハンドルフレーム16の強度をあげることもできるため、ワイヤハーネス42の規制材とハンドルフレーム16の補強材とを一つにすることでき、新たにワイヤハーネスを規制する部材を設ける必要がなく、製造コストを抑えることもできる。
【0053】
また、ループ形状である操作ハンドル17の内側に略L字形状で緊急停止スイッチ取付け板33を設けると共に、取付け板33でデッドマンクラッチ31の回動ストッパを兼ねる構成としたことから、デッドマンクラッチ専用のストッパを設ける必要がなく、製造コストを抑えることができ、更に、デッドマンクラッチの停止位置に影響されることないため、取付け板33の形状を大きくすることもできる。
【0054】
なお、本実施形態では操作ハンドルの回動範囲を規制するために、ハンドルフレーム16にピン39を取付ける構成としたが、これに限らず、例えば、ワイヤ、プレートなどを取り付けるという構成にしてもよい。
【0055】
また、本実施形態ではワイヤハーネス規制及び、ハンドルフレーム補強のために、ハンドルフレーム16に断面円形形状の金属棒41を取付ける構成としたが、これに限らず、例えば断面矩形形状の棒や、プレートなどを取り付ける構成としてもよく、また、金属製に限らず、強化プラスチックやセラミック製などの棒などを取付ける構成でもよい。
【0056】
また、本実施形態ではストッパピン支持部材35は金属製の構成としたがこれに限らず、例えば、樹脂製や強化プラスチック製などで構成してもよい。
【0057】
また、本実施形態では、ハンドルフレーム16に取付ける操作ハンドルをループ形状の構成としたが、これに限らず、例えば、平面視略Y字形状の操作ハンドルを取付ける構成でもよい。
【0058】
なお、図12に示すように、本発明に係るハンドルフレーム16´を、ロータ爪46の形状が異なるロータリ耕耘装置45を有するリアロータリ式歩行型管理機43に用いても好適に実施することができる。図12はハンドルフレーム16´に取付けられた操作ハンドル17´が収納位置に収納された状態を示したものである。
【符号の説明】
【0059】
1 歩行型管理機(リアロータリ式歩行型管理機)
2 ミッションケース
11b カバー体(ボディーカバー)
16 ハンドルフレーム
16a 突出部
26b 取付部
17 操作ハンドル
19 ロータリ耕耘装置
M 中途部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪に支持されたミッションケースと、該ミッションケースの後方に配置されたロータリ耕耘装置と、を備えた歩行型管理機において、
前記ミッションケースから後部上方に向かって延設されたハンドルフレームと、
前記ハンドルフレームに取付けられた操作ハンドルと、を備え、
前記ハンドルフレームを、前記ミッションケースの後方側を覆うカバー体から突出して形成すると共に、このカバー体から突出した前記ハンドルフレームの突出部に前記操作ハンドルの取付部を設け、
前記操作ハンドルを、作業時に使用する作業位置と、該作業位置から下方に向けて回動し、前記ロータリ耕耘装置に近接した収納位置とに固定可能に設けるにあたり、操作ハンドルの先端側を操作ハンドルの中途部から下方へ屈曲させることで、収納位置に固定した際に、ロータリ耕耘装置のリヤカバーに略沿うべく、構成したことを特徴とする歩行型管理機。
【請求項1】
車輪に支持されたミッションケースと、該ミッションケースの後方に配置されたロータリ耕耘装置と、を備えた歩行型管理機において、
前記ミッションケースから後部上方に向かって延設されたハンドルフレームと、
前記ハンドルフレームに取付けられた操作ハンドルと、を備え、
前記ハンドルフレームを、前記ミッションケースの後方側を覆うカバー体から突出して形成すると共に、このカバー体から突出した前記ハンドルフレームの突出部に前記操作ハンドルの取付部を設け、
前記操作ハンドルを、作業時に使用する作業位置と、該作業位置から下方に向けて回動し、前記ロータリ耕耘装置に近接した収納位置とに固定可能に設けるにあたり、操作ハンドルの先端側を操作ハンドルの中途部から下方へ屈曲させることで、収納位置に固定した際に、ロータリ耕耘装置のリヤカバーに略沿うべく、構成したことを特徴とする歩行型管理機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−244948(P2012−244948A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119856(P2011−119856)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
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